IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中村 周の特許一覧

<>
  • 特開-住宅換気空調システム 図1
  • 特開-住宅換気空調システム 図2
  • 特開-住宅換気空調システム 図3
  • 特開-住宅換気空調システム 図4
  • 特開-住宅換気空調システム 図5
  • 特開-住宅換気空調システム 図6
  • 特開-住宅換気空調システム 図7
  • 特開-住宅換気空調システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086721
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】住宅換気空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20240621BHJP
   F24F 7/10 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F24F7/007 Z
F24F7/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201673
(22)【出願日】2022-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】505273648
【氏名又は名称】中村 周
(72)【発明者】
【氏名】中村 周
(57)【要約】
【課題】費用やメンテナンス性,防音性能を向上させるために,各部屋が屋外と直接通気することなく,ダクトを用いず,床下空間や階間空間や屋根裏空間を通気空間として用いずに住宅の第一種換気・全館空調を実現するシステムを構築することを目的とする.
【解決手段】通行室に第一種換気装置の給排気口が設置され,通行室が屋外と熱交換もしくは非熱交換にて換気が行われ,さらに通行室に空調機が設置されて気温が調整される.そして通行室と各部屋との間に室間換気扇器具を部屋毎に設置して各部屋も換気空調され,風向可変性を有する室間換気扇器具により夏季と冬季で設定を変えてより良く各部屋に循環させる.
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廊下や玄関ホール等の各部屋と接続して人が各部屋へ移動するための通路となって人の往来を目的とする屋内空間を通行室とすると,
通行室に給気口と排気口が設置され,そこからファンにて熱交換性もしくは非熱交換性に通行室と屋外との間で給排気が行われて通行室が換気され,
さらに通行室に空調機が設置されて,通行室内の気温が調節され,
部屋毎に,通行室と部屋との間で給排気を行う室間通気路と風向可変性で非熱交換性の室間換気扇器具が設置されて,通行室と部屋との間で給排気が行われることにより各部屋も換気と空調がなされることを特徴とする住宅換気・空調システム.
【請求項2】
請求項1記載の室間通気路は,通行室と各部屋を隔てる壁にあり,そこに請求項1記載の室間換気扇器具があり,
室間換気扇器具に送風軸が部屋側に向かって上向きの上向きファンと,送風軸が部屋側に向かって下向きの下向きファンがあり,その上向きと下向きのファンは送風方向が逆であり,給気か排気を担い,連動スイッチによりそれらのファンの回転を同時に逆転することができ,
夏には通行室から部屋への給気を上向きファンにて行い,部屋から通行室への排気は下向きファンにて行われ,
冬には連動スイッチでファンの回転を逆転させて,通行室から部屋への給気を下向きファンにて行い,部屋から通行室への排気は上向きファンにて行われることを特徴とする請求項1に記載の住宅換気・空調システム.
【請求項3】
請求項1記載の室間通気路は,
通行室と部屋を隔てる壁の上部に,もしくは通行室と部屋の天井に通気口があってその間に,通気路が通っている上通気路と,
通行室と部屋を隔てる壁の下部に,もしくは通行室と部屋の床に通気口があってその間に,通気路が通っている下通気路があり,
上下の通気路にそれぞれにファンを内蔵した請求項1記載の室間換気扇器具があり,その上下の室間換気扇器具のファンは送風方向が逆となっており,それぞれ給気か排気を担い,
ファンの回転は逆転することが可能となっており,連動スイッチにより上下の室間換気扇器具は同時に送気方向を逆転することができ,
夏には上通気路は部屋から通行室への排気を担い,下通気路は通行室から部屋への給気を担い,冬にはその逆になるよう連動スイッチで切り替えて,上通気路は通行室から部屋への給気を担い,下通気路は部屋から通行室への排気を担うことを特徴とする請求項1に記載の住宅換気・空調システム.
【請求項4】
請求項1記載の室間通気路は,
通行室と部屋を隔てる壁の上部に,もしくは通行室と部屋の天井に通気口があってその間に,通気路が通っている上通気路と,
通行室と部屋を隔てるドアのアンダーカットもしくはドアの下部のガラリによる下通気路があり,
上通気路にファンを内蔵した請求項1記載の室間換気扇器具があり,ファンの回転は逆転することが可能となっており,スイッチによりファンは送気方向を逆転することができ,
夏には上通気路は部屋から通行室への排気を担い,下通気路は通行室から部屋への受動的な給気を担い,冬にはその逆になるようスイッチで切り替えて,上通気路は通行室から部屋への給気を担い,下通気路は部屋から通行室への受動的な排気を担うことを特徴とする請求項1に記載の住宅換気・空調システム.
【請求項5】
請求項1記載の室間通気路は,通行室と部屋を隔てる壁の上部にあり,給気と排気それぞれにファンを内蔵した請求項1記載の室間換気扇器具があり,
室間換気扇器具の給気と排気それぞれの呼出側にルーバーがあり,送風方向を上下に変えることが可能となっていて,
夏には通行室から部屋への給気の送風方向を上向きにし,部屋から通行室への排気の送風方向を下向きにして,冬にはその逆にして,通行室から各部屋への給気の送風方向を下向きにし,各部屋から通行室への排気の送風方向を上向きにしてすることが可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の住宅換気・空調システム.
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は住宅設備のダクトレス第一種換気・空調システムに関するものである.
【背景技術】
【0002】
住宅には室内温度を調節するエアコン等の空調機にて快適な室温にする機能が必要であり高気密住宅はその室温を保持しやすくすることができるが,一方で二酸化炭素の蓄積やシックハウスの問題を解決するために屋外との換気が一定量必要である.換気システムにおいて,給気と排気をそれぞれファンで能動的に行うものを,第一種換気と呼び,適切な換気量を定常で行うことができる.さらに第一種換気には熱交換換気というものがあり,室内から屋外へ排気する空気と屋外から室内へ給気する空気との間で熱を伝達させることにより,空調された空気のエネルギーを再利用して室内に送りこむことができ,空調の省エネルギー化に重要である.
【0003】
住宅の第一種換気・全館空調システムには,一台の空調機や換気装置から各部屋へダクトにより給排気を行うシステムがあるが,ダクト内にたまるほこりやカビ等の汚染が問題となる.ダクト内の清掃は困難であるし,ダクトを各部屋に通すことは設備費や工費がかかる.費用面から全室には給排気口が設置されないこともある.また,給排気のどちらかだけダクトを用いて他方はドアのアンダーカットもしくはドアのガラリまたは吹き抜け等を利用して通気する方法もあるが,屋内の部屋間の防音性能が悪化する.
【0004】
また,床下空間や階間空間や屋根裏空間に空調機や換気装置を設置し,それらの空間を空調換気し,それらの空間から各部屋に給気するシステムがあるが,それらの空間の高度な断熱と気密が必要となり,またそれらの空間は障害物が多いため強い風力を必要とし,また給排気のどちらかはダクトで行っていたりする.それらの空間の全体的な清掃等のメンテナンスは,人が容易に入り込める場所ではないため難しい.
【0005】
全館空調ではなく,部屋ごとに換気装置と空調機を設置する方法もあるが,屋外と給排気する換気口から屋外の騒音が室内へ直接侵入してしまう.また換気装置と空調機が部屋数分の多数必要になる.高気密高断熱住宅では1,2台の空調機だけで空調能力は十分であり,多数の空調機はオーバースペックで,小部屋ではむしろ温度調節が難しくなる.
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許5094894
【特許文献2】特開2012-21758
【特許文献3】特許6211675
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
費用やメンテナンス性,防音性能を向上させるために,各部屋が直接屋外と通気することなく,ダクトを用いず,床下空間や階間空間や屋根裏空間を通気空間として用いずに住宅の第一種換気・全館空調を実現するシステムを構築することを目的とする.
【課題を解決するための手段】
【0008】
廊下や玄関ホール等の各部屋と接続して人が各部屋へ移動するための通路となって人の往来を目的とする屋内空間を通行室と呼ぶことにする.例えば,玄関ホールから廊下が続き,廊下に各部屋が接続している間取りの住宅では玄関ホールと廊下が通行室となる.廊下がなく大きな玄関ホールにリビングや各部屋が接続している間取りでは玄関ホールが通行室となる.廊下がなくリビングに各部屋が接続している間取りではリビングが通行室と居室を兼ねていることになる.
【0009】
通行室に第一種換気装置の給排気口が設置され,熱交換性もしくは非熱交換性にて通行室と屋外との間で給排気が行われて通行室が換気され,さらに通行室に空調機が設置されて通行室内の気温が調節される.
通行室と部屋との間に室間通気路と,風向可変性で非熱交換性の室間換気扇器具があり,室間換気扇器具のファンにより通行室から部屋への給気と部屋から通行室への排気が行われ,その給気と排気は同時に同量で行われる.この室間通気路と室間換気扇器具を部屋毎に設置することで各部屋も換気空調されることになる.
【0010】
室間通気路と室間換気扇器具には様々なバリエーションがある.室間通気路が一穴で,その中に給気路と排気路が通り(室間給排気路),一つの器具を経由して給気と排気を行う一穴一器具方式と,室間通気路が二穴でそれぞれに換気扇器具がある二穴二器具方式がある.また,二穴一器具方式等も考えられる.さらに換気扇器具にも下記のように風向可変性を有した様々なバリエーションがあり,部屋毎に適したものを設置する.
【0011】
室間換気扇器具の上下風向方式は,一穴一器具方式では,一つの換気扇器具の中に隔壁で分けられて,それぞれに送風軸(送風方向の軸で,正負つまり呼出方向と吸入方向の両方を含む.プロペラファンの回転軸であったり呼出風洞の向きであったりする.)が部屋側に向かって上向きの上向きファンと,送風軸が部屋側に向かって下向きの下向きファンがあり,その上向きと下向きのファンは送風方向が逆であり,給気か排気を担う.一穴の通気路で給気と排気を行う室間給排気路は,壁を貫いているパイプで内部は隔壁にて上下に分けられていて,換気フードも上下に分かれている.換気フード上部は上向きに開口し,換気フードの下部は下向きに開口している.上向きファンの空間はパイプの上部と換気フードの上部につながっており,下向きファンの空間はパイプの下部と換気フードの下部につながっている.通行室と各部屋を隔てる屋内の壁に上下風向方式の室間換気扇器具があり,ファンにより通行室と部屋の間で給気と排気を行う.ファンはプロペラファンであり,回転方向を逆転させることが可能で,連動スイッチにより上向きと下向きのファンの回転は同時に逆転して送風方向を逆転することができる.夏には通行室から部屋への給気を上向きファンにて行い,通行室からの冷気を部屋へ上向きに送風することで部屋全体に冷気が循環しやすいようになる.部屋から通行室へ排気される暖気は下向きファンにて下方から室間換気扇器具に吸われて通行室へ下向きに送気されることにより暖気が通行室で循環しやすくなる.冬には,連動スイッチで上向き下向きともファンの回転を逆転させて,通行室から部屋への給気を下向きファンにて行い,通行室からの暖気を部屋へ下向きに送風することで部屋全体に暖気が循環しやすくなる.部屋から通行室へ排気される冷気は上向きファンにて上方から室間換気扇器具に吸われて通行室へ上向きに送気されることにより冷気が通行室で循環しやすくなる.
【0012】
室間換気扇器具の別の形態(上下分離方式)の二穴二器具方式として,通行室と部屋を隔てる壁の上部に通気路が,もしくは通行室と部屋の天井に通気口があってその間に通気路が通っている上通気路と,通行室と部屋を隔てる壁の下部に通気路が,もしくは通行室と部屋の床に通気口があってその間に通気路が通っている下通気路がある(壁に通気口がある場合には壁の中に通気路があり,天井に通気口がある場合には天井の上に通気路があり,床に通気口がある場合には床の下に通気路がある).上下の通気路にそれぞれにプロペラファンを内蔵した室間換気扇器具があり,その上下の室間換気扇器具のファンは送風方向が逆となっており,それぞれ給気と排気を担い,その給気量と排気量は同量となっている.ファンの回転は逆転することが可能となっており,連動スイッチにより上下の室間換気扇器具のファンは同時に回転を逆転させて送気方向を逆転することができる.夏には上通気路は各部屋から通行室への排気を担い,下通気路は通行室から各部屋への給気を担い,冬にはその逆になるよう連動スイッチで切り替えて,上通気路は通行室から各部屋への給気を担い,下通気路は各部屋から通行室への排気を担う.これにより,夏では通行室の下部にたまりがちな冷気を下通気路にて各部屋に送気し,冬には通行室上部にたまりがちな暖気を上通気路にて各部屋に送気することとなる.
【0013】
また,上下分離方式の二穴一器具方式として,上記と同様に上通気路に室間換気扇器具があり,下通気路は上記と異なりドアのアンダーカットもしくはドアの下部のガラリのみで換気扇器具がない形態も考えられる.上室間換気扇器具は上記と同様で,スイッチにてプロペラファンを逆転させることが可能となっている.夏には上通気路の上室間換気扇器具が各部屋から通行室への排気を担い,下通気路にて通行室から各部屋への給気が受動的に行われ,冬にはその逆になるようスイッチで切り替えて,上通気路の上室間換気扇器具が通行室から各部屋への給気を担い,下通気路から各部屋から通行室への排気が受動的に行われる.この形態はコストを抑える目的で防音性を考慮する必要のない小部屋では適応となる.
【0014】
室間換気扇器具のまた別の形態(ルーバー方式)の二穴二器具方式では,通行室と部屋を隔てる壁の上部に二つの通気路があり,それぞれにファンを内蔵した室間換気扇器具があり,二つの室間換気扇器具の送風方向が逆で,一つは通行室から部屋へ給気し,他方は部屋から通行室へ排気する.二つの室間換気扇器具の呼出側にルーバーがあり,送風方向を上下に変えることが可能となっている.夏には通行室から各部屋への給気の送風方向を上向きにし,各部屋から通行室への排気の送風方向を下向きにして,冬にはその逆にして,通行室から各部屋への給気の送風方向を下向きにし,各部屋から通行室への排気の送風方向を上向きにしてする.この場合のファンはプロペラファンの他,シロッコファン等の逆転できないファンでも可能である.
【0015】
また室間換気扇器具の上下風向方式の二穴二器具方式で,上記の隔壁ではなく二つの器具に分けて,それぞれに上向きファンと下向きファンがあるバリエーションも考えられる.また,室間換気扇器具のルーバー方式の一穴一器具方式で,上記の二つ室間換気扇器具を合体させて一つの器具の中に隔壁を有するバリエーションも考えられる.
【発明の効果】
【0016】
当方法ではダクトが必要ないか,あっても短いもので十分であり(室間通気路を壁に設置する場合にはダクトが不要で,通気口を天井に設置した場合には天井の上を通って壁をまたぐ短距離のダクトでよく,床に通気口を設置した場合も床の下を通って壁をまたぐ短距離のダクトでよい),ダクトに関係する前述の問題が解消される.床下空間や階間空間や屋根裏空間に空調機や第一種換気装置を設置することはあってもその空間全体に通気しないため,その空間のメンテナンスが不要である.基本的には第一種換気装置も空調機も一つで全体を賄うことが可能である.清掃もそれに付随するフィルターだけとなる.
【0017】
各部屋へ屋外からの騒音は,通行室の第一種換気装置を経由し通行室の広い空間に拡散されてさらに室間換気扇器具を通ることによる3段階の低減を受けるため,各部屋には騒音が伝わりにくい.部屋の音も他の部屋へは二か所の室間換気扇器具を介するため低減される.
【0018】
一般的に換気扇は風量が少なく,風向も変えられないが,空調に必要とされる風量は温度差のある空気を循環させるため,換気に必要な風量よりも大きな風量が必要となる.さらに風量を上げると騒音が大きくなってしまう.室間換気扇器具上下分離方式では,通行室と各部屋の上下でできる気温差に対応した換気となり空調が各部屋にききやすくなる.つまり夏では通行室の下部にたまりがちな冷気を下通気路にて各部屋に送気し,各部屋の上部に残る暖気を上通気路にて通行室に送気する.冬には通行室上部にたまりがちな暖気を上通気路にて各部屋に送気し,各部屋の下部に残る冷気を下通気路にて通行室に送気する.これにより,風量が少なくても通行室の空調された空気を有効に各部屋に移すことができる.
【0019】
室間換気扇器具上下風向方式やルーバー方式では,夏期には通行室からの冷気を部屋へ上向きに送気し,密度の高く下方に留まりがちな冷気を部屋全体にいきわたりやすくする.冷気が部屋内で循環して暖気になって戻ってきた空気を通行室へ下向きに送気し,密度が低く上方に留まりがちな暖気を通行室内で循環しやすくする.冬期にはその逆とすることで,通行室からの暖気を部屋へ下向きに送気し,暖気を部屋全体にいきわたりやすくする.暖気が部屋内で循環して冷気になって戻ってきた空気を通行室へ上向きに送気し,冷気を通行室内で循環しやすくする.
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のシステム全体の俯瞰レイアウト図.
図2】本発明の室間換気扇器具上下風向方式の一穴一器具方式の場合の部屋側から見た図(a)と通行室側から見た図(b).
図3】本発明の上下風向方式の室間換気扇器具正面図(a)と換気フード(b)とそれらの縦断面図(c)(斜線部は壁).
図4】本発明の室間換気扇器具上下分離方式の二穴二器具方式の場合の部屋側から見た図(a)と通行室側から見た図(b).
図5】本発明の上下分離方式の室間換気扇器具の縦断面図(斜線部は壁).
図6】本発明の室間換気扇器具上下分離方式の二穴一器具方式の場合の部屋側から見た図(a)と通行室側から見た図(b).
図7】本発明の室間換気扇器具ルーバー方式の二穴二器具方式の場合の部屋側から見た図(a)と通行室側から見た図(b).
図8】本発明のルーバー方式の室間換気扇器具の縦断面図(斜線部は壁).
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1のシステム全体の俯瞰レイアウト図での通行室1は玄関ホールから廊下にわたる空間となる.通行室1の天井下等の室内もしくは床の下もしくは天井の上に第一種換気装置10が設置され,第一種換気装置10から通行室1に直接もしくは床もしくは天井に屋内給気口13,屋内排気口14が開口している.通行室1の外壁または床の下もしくは天井の上の外壁に屋外へ開口している屋外給気口11,屋外排気口12がある.屋外給排気口11,12には防音フードが設置されていることが望ましい.第一種換気装置10は熱交換性が望ましい.さらに通行室内にエアコン等の空調機20が設置され,空調機の室外機21が屋外に設置されている.さらに通行室1と各部屋2,3,4の間で給排気する室間換気扇器具30が設置されている.
【0022】
一穴一器具方式で室間換気扇器具上下風向方式は図1,2,3のように,通行室1と部屋2,3,4を隔てる屋内の壁(図2ではドアの上方の壁)に室間給排気路があり,そこの部屋側に非熱交換性の室間換気扇器具30(図3a)があり,通行室側に換気フード301(図3b)がある.室間換気扇器具30の中は隔壁で分けられて(図3c),それぞれに送風軸が部屋側に向かって上向きの上向きファン302と,送風軸が部屋側に向かって下向きの下向きファン303があり,その上向きと下向きのファンは送風方向が逆であり,給気か排気を担う.室間給排気路で壁を貫いているパイプ304の内部は隔壁にて上下に分けられ,換気フード301も上下に分かれている.換気フード301の上部は上向きに開口し,換気フード301の下部は下向きに開口している.上向きファン302の空間はパイプ304の上部と換気フード301の上部につながっており,下向きファン303の空間はパイプ304の下部と換気フード301の下部につながっている.
【0023】
通行室と各部屋の間で給気と排気は同時に同量で行う.ファンはプロペラファンで回転方向を逆転させることが可能であり,連動スイッチにより上向きと下向きのファンの回転を同時に逆転させ送風方向を逆転することができる.図3cの点線矢印ように夏には通行室から各部屋への給気を上向きファン302にて行い,通行室からの冷気を部屋へ上向きに送風して部屋全体に冷気が循環しやすいようにする.部屋から通行室へ排気される暖気は下向きファン303にて下方から室間換気扇器具に吸われて通行室へ下向きに送気されることにより暖気が通行室で循環しやすくなる.冬にはその逆で,連動スイッチで上向きと下向きのファンの回転を逆転させて,通行室から各部屋への給気を下向きファン303にて行い,通行室からの暖気を部屋へ下向きに送風して部屋全体に暖気が循環しやすいようにする.部屋から通行室へ排気される冷気は上向きファン302にて上方から室間換気扇器具に吸われて通行室へ上向きに送気されることにより冷気が通行室で循環しやすくなる.
【0024】
二穴二器具方式で室間換気扇器具上下分離方式は図4,5のように,通行室と部屋を隔てる壁の上部と下部に通気路があり,それぞれにプロペラファン314を内蔵した上室間換気扇器具310と下室間換気扇器具311があり,上下のファンは送風方向が逆となっており,それぞれ給気と排気を担い,その給気量と排気量は同量となっている.ファンの回転は逆転することが可能となっており,送風方向を変えることができ,連動スイッチ312により上下のファンは同時に送気方向を逆転することができる.夏には上室間換気扇器具310は各部屋から通行室への排気を担い,下室間換気扇器具311は通行室から各部屋への給気を担い,冬にはその逆になるよう連動スイッチ312で切り替えて,上室間換気扇器具310は通行室から各部屋への給気を担い,下室間換気扇器具311は各部屋から通行室への排気を担う.上室間換気扇器具310と下室間換気扇器具311は構造が同じで,通気路内に吸音材315や室間換気扇器具の通行室側に防音フード313を設置することが望ましい.
【0025】
二穴一器具方式で室間換気扇器具上下分離方式は図6のように,通行室と部屋を隔てる壁の上部に上通気路があり,そこにプロペラファン314を内蔵した上室間換気扇器具310がある.ファンの回転は逆転することが可能となっており,送風方向を変えることができる.ドアにはアンダーカット316が施されている.夏には上室間換気扇器具310により各部屋から通行室への排気を行い,ドアのアンダーカットにて通行室から各部屋への給気が受動的に行われる.冬にはその逆になるようスイッチで切り替えて,上室間換気扇器具310により通行室から各部屋への給気を行い,ドアのアンダーカット316により各部屋から通行室への排気が受動的に行われる.
【0026】
二穴二器具方式で室間換気扇器具ルーバー方式は図7,8のように,通行室と部屋を隔てる壁の上部に二つの通気路があり,それぞれにファン332を内蔵した室間換気扇器具33があり,二つの室間換気扇器具は逆向きに設置されており,送風方向が逆で,一つは通行室から部屋へ給気し,他方は部屋から通行室へ排気する.その給気量と排気量は同量となっている.二つの室間換気扇器具33の呼出側330にルーバー331があり,送風方向を上下に変えることが可能となっている.内部にはファン332と吸音部材333,334がある.室間換気扇器具33の吸入側336は屈折した先に吸入口335がある.夏には通行室から各部屋への給気の送風方向を上向きにし,各部屋から通行室への排気の送風方向を下向きにして,冬にはその逆にして,通行室から各部屋への給気の送風方向を下向きにし,各部屋から通行室への排気の送風方向を上向きにしてする.この場合ファン332はプロペラファンの他シロッコファン等でも可能である.
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8