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特開2024-8673相続リスク診断装置、相続リスク診断システム、相続リスク診断方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008673
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】相続リスク診断装置、相続リスク診断システム、相続リスク診断方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20240112BHJP
【FI】
G06Q50/18 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110727
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】519373143
【氏名又は名称】株式会社東京会計パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 伸市
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC32
(57)【要約】
【課題】個人情報を提供することなく、法定相続人による相続リスクを出力する仕組みを提案する。
【解決手段】相続リスク診断装置としてのサーバ1は、ユーザを特定する情報を入力することなく、前記ユーザの法定相続人に関する法定相続人情報の入力を受け付ける法定相続人情報受付部31と、法定相続人に関する情報に基づいて、ユーザが死亡した場合の法定相続人それぞれの相続割合に関する法定相続分情報を出力する相続割合情報出力部32と、選択により、前記ユーザを特定する情報及び前記法定相続人に関する情報の開示を条件として、相続に関する相談の申し込みを受け付ける相談受付部33を備える。これにより、ユーザを特定する情報の入力をすることなく、誰でも気軽に相続による相続リスクを知ることができる。また、必要に応じて、相続専門家Eへ相続に関する相談の申し込みをすることもできる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを特定する情報の入力をすることなく、前記ユーザの法定相続人に関する法定相続人情報の入力を受け付ける法定相続人情報受付手段と、
前記法定相続人に関する情報に基づいて、前記ユーザが死亡した場合の前記法定相続人それぞれの相続割合に関する法定相続分情報を出力する相続割合情報出力手段と、
選択により、前記ユーザを特定する情報及び前記法定相続人に関する情報の開示を条件として、相続に関する相談の申し込みを受け付ける相談受付手段と、
を備えることを特徴とする相続リスク診断装置。
【請求項2】
前記法定相続人情報受付手段は、各法定相続人の有無を尋ねる形式で前記法定相続人情報の入力を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の相続リスク診断装置。
【請求項3】
前記ユーザを特定する情報の入力をすることなく、前記ユーザの財産情報の入力を受け付ける財産情報受付手段と、
前記法定相続分情報と前記財産情報に基づいて、前記ユーザが死亡した場合の前記法定相続人に課される税金に関する相続税額情報を出力する相続税情報出力手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の相続リスク診断装置。
【請求項4】
前記ユーザの遺言による前記相続割合の変更情報の入力を受け付ける遺言受付手段、
をさらに備え、
前記相続割合情報出力手段は、前記相続割合の変更情報に基づいて遺留分を考慮した前記法定相続分情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の相続リスク診断装置。
【請求項5】
前記法定相続人のうち少なくとも一人が前記ユーザの死亡以降に死亡する後続シナリオを受け付ける後続シナリオ受付手段、
をさらに備え、
前記相続割合情報出力手段は、前記後続シナリオに基づいて第二の前記相続割合に関する情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の相続リスク診断装置。
【請求項6】
ネットワークを介して通信可能に接続された、相続リスクの診断を求めるユーザが用いるユーザ端末と、請求項1に記載の相続リスク診断装置と、から構成され、
前記ユーザ端末は、
ユーザを特定する情報を入力することなく、前記ユーザの法定相続人に関する情報を入力し送信する手段と、
前記法定相続人それぞれの相続割合に関する法定相続分情報を受信し表示する手段と、
選択により、前記ユーザを特定する情報及び前記法定相続人に関する情報の開示を条件として、相続に関する相談の申し込みを送信する手段と、を備える、
ことを特徴とする相続リスク診断システム。
【請求項7】
ユーザを特定する情報を入力することなく、前記ユーザの法定相続人に関する法定相続人情報の入力を受け付ける法定相続人情報受付ステップと、
前記法定相続人に関する情報に基づいて、前記ユーザが死亡した場合の前記法定相続人それぞれの相続割合に関する法定相続分情報を出力する相続割合情報出力ステップと、
選択により、前記ユーザを特定する情報及び前記法定相続人に関する情報の開示を条件として、相続に関する相談の申し込みを受け付ける相談受付ステップと、
を有することを特徴とする相続リスク診断方法。
【請求項8】
ユーザを特定する情報を入力することなく、前記ユーザの法定相続人に関する法定相続人情報の入力を受け付ける法定相続人情報受付ステップと、
前記法定相続人に関する情報に基づいて、前記ユーザが死亡した場合の前記法定相続人それぞれの相続割合に関する法定相続分情報を出力する相続割合情報出力ステップと、
選択により、前記ユーザを特定する情報及び前記法定相続人に関する情報の開示を条件として、相続に関する相談の申し込みの意思表示となる前記ユーザを特定するユーザの個人情報の入力を受け付ける相談受付ステップと、
をコンピュータによって実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相続リスク診断装置、相続リスク診断システム、相続リスク診断方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会が進む中、自分の身に万一の事があった場合、残される保有財産をどのように承継させた方が望ましいのかについて不安を抱く者がいる。例えば、配偶者と子がいる被相続人が、相続税の配偶者控除の適用内だからといって出来るだけ多くの資産を配偶者に残した場合、一次相続を受けた配偶者がその後死亡したとき、子が、二次相続において想定以上の相続税を課されてしまうことがある。また、被相続人が、会社を経営しているオーナー経営者である場合、財産分与の仕方によっては、会社の経営基盤の問題に発展してしまう可能性もある。
【0003】
そのため、被相続人が相続のリスクを事前に把握できれば、生前にその対策を講じておくことが可能となり、望ましい財産の承継を行うことができる。
最近では、金融機関等によって、遺言信託や各相続人の相続税額の試算、相続税節税のための情報の提供等、相続を対象とした種々のサービスが提案され、各相続人の資産承継を支援する技術が検討されている。
【0004】
例えば、被相続人の相続関係者の構成情報と、被相続人が保有する各財産情報を取得し、被相続人の相続関係者の構成情報に基づいて、相続関係者構成マップを生成すると共に、被相続人が保有する各財産情報に基づく財産アイコンを生成する。そして、指定された財産アイコンの割り当てに基づいて各相続人の推定相続税額を算出することで、承継財産を効率的に分配すると共に、承継コストの引き下げを検討することができる、とする承継コストを考慮した資産承継を支援する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-102641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、承継コストを考慮した、効率的かつ的確な資産承継を支援するシステムではあるが、誰でも気軽に利用できるものではないといえる。つまり、特許文献1は、金融機関に個人を特定できる情報を提供して口座を開設している顧客が、資産承継について相談を申し込んだ場合に利用できるシステムであって、個人を特定できる情報を提供せずに匿名でこのシステムによる支援が受けられるものではないと思料される。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、個人を特定できる情報を提供する(入力する)ことなく、法定相続人による相続リスクを把握することができる技術を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、ユーザを特定する情報の入力をすることなく、前記ユーザの法定相続人に関する法定相続人情報の入力を受け付ける法定相続人情報受付手段と、前記法定相続人に関する情報に基づいて、前記ユーザが死亡した場合の前記法定相続人それぞれの相続割合に関する法定相続分情報を出力する相続割合情報出力手段と、選択により、前記ユーザを特定する情報及び前記法定相続人に関する情報の開示を条件として、相続に関する相談の申し込みを受け付ける相談受付手段と、を備えることを基本とする相続リスク診断装置である。
【0009】
また、本発明は、上記態様の相続リスク診断装置に加え、前記法定相続人情報受付手段が、各法定相続人の有無を尋ねる形式で前記法定相続人に関する情報の入力を受け付けるものとする。
【0010】
また、本発明は、上記態様の相続リスク診断装置に加え、前記ユーザを特定する情報の入力をすることなく、前記ユーザの財産情報の入力を受け付ける財産情報受付手段と、前記法定相続分情報と前記財産情報に基づいて、前記ユーザが死亡した場合の前記法定相続人に課される税金に関する相続税額情報を出力する相続税情報出力手段と、をさらに備えるものとする。
【0011】
また、本発明は、上記態様の相続リスク診断装置に加え、前記ユーザの遺言による前記相続割合の変更情報の入力を受け付ける遺言受付手段をさらに備え、前記相続割合情報出力手段が、前記相続割合の変更情報に基づいて遺留分を考慮した前記法定相続分情報を出力するものとする。
【0012】
また、本発明は、上記態様の相続リスク診断装置に加え、前記法定相続人のうち少なくとも一人が前記ユーザの死亡以降に死亡する後続シナリオを受け付ける後続シナリオ受付手段をさらに備え、前記相続割合情報出力手段は、前記後続シナリオに基づいて第二の前記相続割合に関する情報を出力するものとする。
【0013】
また、本発明の他の態様は、ネットワークを介して通信可能に接続された、相続リスクの診断を求めるユーザが用いるユーザ端末と、上述の相続リスク診断装置と、から構成され、前記ユーザ端末は、被相続人となる前記ユーザの法定相続人に関する情報を入力し送信する手段と、前記法定相続人それぞれの相続割合に関する法定相続分情報を受信し表示する手段と、前記法定相続分情報の受信に応じ、選択により、前記ユーザを特定する情報及び前記法定相続人に関する情報の開示を条件として、相続に関する相談の申し込みを送信する手段と、を備える相続リスク診断システムである。
【0014】
また、本発明の他の態様は、ユーザを特定する情報の入力をすることなく、前記ユーザの法定相続人に関する法定相続人情報の入力を受け付ける法定相続人情報受付ステップと、前記法定相続人に関する情報に基づいて、前記ユーザが死亡した場合の前記法定相続人それぞれの相続割合に関する法定相続分情報を出力する相続割合情報出力ステップと、選択により、前記ユーザを特定する情報及び前記法定相続人に関する情報の開示を条件として、相続に関する相談の申し込みを受け付ける相談受付ステップと、を有する相続リスク診断方法である。
【0015】
また、本発明の他の態様は、ユーザを特定する情報の入力をすることなく、前記ユーザの法定相続人に関する法定相続人情報の入力を受け付ける法定相続人情報受付ステップと、前記法定相続人に関する情報に基づいて、前記ユーザが死亡した場合の前記法定相続人それぞれの相続割合に関する法定相続分情報を出力する相続割合情報出力ステップと、選択により、前記ユーザを特定する情報及び前記法定相続人に関する情報の開示を条件として、相続に関する相談の申し込みを受け付ける相談受付ステップと、をコンピュータによって実行させるコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、個人を特定できる情報を提供する(入力する)ことなく、法定相続人による相続リスクを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る相続リスク診断システムの概要を示す図である。
図2】本実施形態に係る相続リスク診断システムの構成の概略を示す図である。
図3】本実施形態に係るサーバのハードウェアの構成を示すブロック図である。
図4】サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5】法定相続割合情報記憶部に格納される情報の一例を示す図である。
図6】相続税率情報記憶部に格納される情報の一例を示す図である。
図7】相続リスク診断処理の基本的な動作を示すフローチャートである。
図8】ユーザ端末に表示される画面構成の例を示す模式図である。
図9】相続リスク診断処理の具体的な動作を示すフローチャートの一部である。
図10】ユーザ端末に表示される他の画面構成の例を示す模式図である。
図11】ユーザ端末に表示される他の画面構成の例を示す模式図である。
図12】ユーザ端末に表示される他の画面構成の例を示す模式図である。
図13】ユーザ端末に表示される他の画面構成の例を示す模式図である。
図14】ユーザ端末に表示される他の画面構成の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<概略>
以下、本実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る相続に伴うリスクを診断する相続リスク診断システムの概要を示す図である。本実施形態では第一ステップにおいて、被相続人となるユーザUが自身を特定する情報を提供することなく、法定相続人による相続リスクの診断結果を確認することを想定した例について説明する。また、本実施形態では第二ステップにおいて、ユーザUの意思を確認した上で、ユーザUを特定する情報及び法定相続人に関する情報の開示を条件に、この相続リスクの診断結果に応じて、相続専門家Eに対して相続に関する相談の申し込みを可能とすることを含めて説明する。
これにより、第一ステップでは匿名性を担保することで相続のようなデリケートな情報を入力できる環境を整えつつ、法定相続や遺留分といった法令によりご本人の意向通りにいかないことを示すことで、第二ステップでは匿名性を解除して専門家の相談を受けることができることができる。
【0019】
サーバ1は、相続に伴うリスクを診断する装置であって、演算処理機能や、通信機能を有する。このサーバ1は、例えば、サーバ装置や、パーソナルコンピュータ等の電子機器により実現される。
【0020】
ユーザ端末2は、被相続人となるユーザU、すなわち、相続に伴うリスクの診断を受けるユーザUが操作するコンピュータであり、演算処理機能、通信機能を有する装置である。このユーザ端末2は、例えば、デスクトップ又はラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン等により実現される。
【0021】
相続専門家端末3は、ユーザUから相続に関する相談を受け付ける相続専門家Eが操作するコンピュータであり、演算処理機能、通信機能を有する装置である。相続専門家Eとは、法律に関わることに対応する弁護士や、相続税に関する相談に対応する税理士、登記に関する相談に対応する司法書士、等それぞれの専門分野に対応する特定の個人に限らず、各専門分野の能力を有する者が集まった法人であってもよい。この相続専門家端末3もまた、例えば、デスクトップ又はラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン等により実現される。
【0022】
以上のように、本実施形態では、例えば、相続に伴うリスクに関心をもったユーザUが、インターネット上に開設された相続リスク診断サイトへアクセスすることで、相続に伴うリスクの診断を行うものである。しかも、相続リスクの診断において、ユーザUは、自身を特定する情報を開示することなく匿名で、ユーザUの法定相続人に関する情報を入力するだけで、法定相続による各法定相続人の相続割合を知ることができる。そして、相続リスクの診断結果において何らかの不安を抱いた場合は、必要に応じて相続専門家Eに対して相談を行う申し込みをすることができるものである。
なお、ユーザを特定する情報とは、匿名性を解除するような情報を意味する。
【0023】
<システム構成>
図2は、本実施形態に係る相続リスク診断システムのシステム構成の概要を示す図である。本実施形態に係る相続リスク診断システムは、サーバ1と、ユーザ端末2と、相続専門家端末3とが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続して構成される。サーバ1、ユーザ端末2、相続専門家端末3は、上述と同様のため、説明を省略する。
【0024】
<ハードウェア構成>
図3は、本実施形態に係るサーバ1のハードウェア構成を示すブロック図である。
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0025】
CPU11は、ROM12に記憶されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。すなわち、CPU11は、プログラムに従って各種の処理を実行する、サーバ1全体の動作を制御するプロセッサである。また、プログラムは、例えば、サーバ1の各部を動作させるためのオペレーティングシステムやファームウェア、或いは、後述の機能ブロックを実現するためのアプリケーションソフトウェアといったプログラムである。
【0026】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0027】
出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部17は、キーボードやマウス、マイク等で構成され、ユーザUの指示操作を受け付け、受け付けた指示操作に応じて各種情報を入力する。なお、例えば、タッチパネルにより、出力部16と入力部17とを一体にして実現してもよい。
【0028】
記憶部18は、サーバ1が情報処理を実行するために必要な各種データを記憶するものであって、例えば、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成される。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0029】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0030】
なお、サーバ1は単体で動作する装置に限らず、ネットワークNを介して通信を行うことで協調動作する分散型サーバシステムや、一般にクラウドサーバ又はクラウドストレージと称される、インターネット等のネットワークNに接続された一つ以上のサーバが含まれ得る。
【0031】
<機能構成>
図4は、本実施形態に係るサーバ1における機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
サーバ1のCPU11においては、動作する際に、法定相続人情報受付部31、相続割合情報出力部32、相談受付部33、財産情報受付部34、相続税情報出力部35、遺言受付部36、後続シナリオ受付部37、相続専門家情報出力部38が機能する。
すなわち、本実施形態に係るサーバ1は、補助記憶装置(例えば、ROM)に記憶された各種のプログラム(OS、アプリケーション等)が主記憶装置(RAM)にロードされ、CPU11により実行されることによって、法定相続人情報受付部31、相続割合情報出力部32、相談受付部33、財産情報受付部34、相続税情報出力部35、遺言受付部36、後続シナリオ受付部37、相続専門家情報出力部38を含む装置として機能する。
【0032】
法定相続人情報受付部31は、ユーザUを特定する情報(以下、「個人情報」という場合がある。)の入力をすることなく、当該ユーザUの法定相続人に関する情報(以下、「法定相続人情報」という場合がある。)の入力を受け付ける。すなわち、法定相続人情報受付部31は、被相続人と各法定相続人との間の続柄や生死状況、等の情報の入力を受ける。
また、法定相続人情報受付部31は、各法定相続人に関する情報として、例えば、配偶者、子、親、兄弟姉妹等の有無を尋ねる形式で法定相続人情報の入力を受け付ける。
これにより、誰が法定相続人となるかを知らなくとも、漏れなく法定相続人に関する情報の入力を受け付けることができる。
【0033】
相続割合情報出力部32は、法定相続人情報受付部31で受け付けた法定相続人情報に基づいて、後述する法定相続割合情報DB41を参照し、ユーザが死亡した場合の法定相続人それぞれの相続割合に関する情報(以下、「法定相続分情報」という場合がある。)を出力する。つまり、相続割合情報出力部32は、法定相続割合情報DB41を参照することで、法定の相続割合で相続する場合の法定相続分情報を出力する。
これにより、ユーザUは、法定相続人に関する情報を入力するだけで、自身の個人情報を開示(入力)することなく匿名で、誰が法定相続人となるのか、また、法定相続人となった者それぞれがどれくらいの割合で相続するのか、といった各法定相続人の相続割合を簡単に確認することができる。
【0034】
また、相続割合情報出力部32は、後述する遺言受付部36において相続割合の変更情報の入力を受け付けたとき、この相続割合の変更情報に基づいて遺留分を考慮した相続分情報を出力することもできる。つまり、相続割合情報出力部32は、遺言による相続割合に従いつつ、遺留分を考慮して、法定相続人それぞれの相続分情報を出力する。遺言による相続割合は、誰に1/2、誰に1/3といった分数でも、誰に30%、誰に50%といった百分率でもよく、さらに、具体的に誰に○○万円といった金額でもよい。
これにより、ユーザUは、遺言による相続割合の修正の可能性を確認することができる。
【0035】
さらに、相続割合情報出力部32は、後述する後続シナリオ受付部37において後続シナリオ情報の入力を受け付けたとき、この後続シナリオ情報に基づいて第二の法定相続分情報を出力する。つまり、相続割合情報出力部32は、例えば、ユーザUの遺産を一次相続した配偶者がその後死亡した場合の二次相続を想定して、法定相続人それぞれの相続分情報を出力する。ここで、一次相続とは、例えば、配偶者と子を持つ被相続人が死亡した場合、その配偶者と子へなされる相続をいう。また、二次相続とは、一次相続を受けた配偶者がその後死亡した場合、その子へとなされる相続をいう。
これにより、ユーザUは、ユーザUの遺産を相続した配偶者がその後死亡したという後続シナリオ情報に基づく先々の相続リスクを認識することができる。
【0036】
相談受付部33は、法定相続分情報の出力に応じ、選択により、ユーザUを特定する情報及び法定相続人に関する情報の開示を条件として、相続に関する相談の申し込みを受け付ける。すなわち、相談受付部33は、相続割合情報出力部32での法定相続人それぞれの法定相続分情報を出力に応じ、この結果を見たユーザが何らかの不安や危機感を抱いたとき、相続専門家Eへの相談を望むユーザUの個人情報を開示(入力)することを前提として、相談の申し込みを受け付ける。
ここで、「選択により・・・開示を条件として」は、例えば、所定の受け付け画面において、個人情報の入力を受け付け、最後に「承諾する」のアイコンへのクリックを受け付けると、専門家への相談に移行したり、個人情報の入力は後で行うことを承諾させることで相談に移行したりすることが想定される。すなわち、ユーザを特定する情報(個人情報)の入力は、第一ステップでは不要である。
これにより、ユーザUは、法定相続人となった者それぞれがどれくらいの割合で相続するのか確認した上で、必要に応じて相続専門家Eに対する相談を始めることができる。また、ユーザUは、遺言による相続割合の修正の可能性を確認した後にも、必要に応じて相続専門家Eに対する相談を始めることができる。また、ユーザUは、自身が死亡した場合の相続リスクが低い場合にも、その後の後続シナリオに基づく相続リスクに応じて相続専門家Eに対する相談を始めることができる。
【0037】
財産情報受付部34は、ユーザUを特定する情報の入力をすることなく、ユーザUの財産情報の入力を受け付ける。すなわち、財産情報受付部34は、ユーザUの保有する種々の財産についての情報の入力を受け付けるものであって、例えば、現預金や生命保険、有価証券、所有する不動産、不動産や事業等から継続的に見込まれる収益、及び債務、等に関する財産情報を受け付ける。
【0038】
相続税情報出力部35は、相続割合情報出力部32において出力した法定相続分情報と、財産情報受付部34において受け付けた財産情報に基づいて、後述する相続税率情報DB42を参照し、ユーザが死亡した場合の法定相続人に課される税金に関する相続税額情報を出力する。
相続税情報出力部35では、受け付けた財産情報の現在の価値に基づいて相続税額情報を出力するものでもよいが、受け付けた財産情報の将来の価値をシミュレーションして求めた予想価値に基づいて相続税額情報を出力するものとしてもよい。また、現在の価値に基づく相続税額情報と、シミュレーションした将来の予想価値に基づく相続税額情報の両方を出力するものとしてもよい。
これにより、ユーザUは、匿名でその財産額に応じた各法定相続人が負担する相続税に関する情報を確認することができると共に、この確認後、相談受付部33において、必要に応じて相続専門家Eに対する相談を始めることができる。
【0039】
遺言受付部36は、ユーザUの遺言による相続割合の変更情報の入力を受け付ける。
この変更情報は、法定相続分に関わらず、ユーザUの意思によって取り決めた相続割合をいう。ただし、被相続人(ユーザU)の兄弟姉妹以外の法定相続人に対して留保される遺留分(相続できる遺産の最低保証額)は考慮されるものとなるので、相続割合情報出力部32で出力される相続分情報は、相続割合の変更情報に基づいて遺留分を考慮したものとなっている。
【0040】
後続シナリオ受付部37は、法定相続人のうち少なくとも一人がユーザUの死亡以降に死亡する後続シナリオを受け付ける。つまり、ユーザUの財産を引き継いだ法定相続人が死亡することで、ユーザUの財産を含んだ法定相続人の財産をさらに引き継ぐ二次相続における相続リスクを確認するための情報の入力を受け付ける。
【0041】
相続専門家情報出力部38は、ユーザ個人情報の受け付けに応じ、相続に関する相談を受け付ける専門家を紹介する相続専門家情報を出力する。すなわち、相続専門家情報出力部38は、相談受付部33において、ユーザUの個人情報の入力を受け付けたとき、信頼できる相続専門家Eを紹介する相続専門家情報を出力するものである。
相続専門家情報としては、例えば、ユーザUが相続専門家Eへ直接コンタクトするための連絡先情報や、ユーザUがサーバ1を介して相続専門家Eとコンタクトするための相談受付情報といった、ユーザUが相続専門家Eとの相談を可能とする情報が挙げられる。
【0042】
また、図4に示すサーバ1の記憶部18においては、法定相続割合情報DB41、相続税率情報DB42が設けられている。
法定相続割合情報DB41は、相続人の有無に応じた相続割合に関する法定相続分情報を記憶する。すなわち、法定相続割合情報DB41は、配偶者の有無や子供の有無、両親の有無といった相続関係者の各種構成パターンに応じて、相続割合を導き出すのに必要な情報を記憶する。
【0043】
法定相続割合情報DB41に格納される情報としては、例えば、図5に示すテーブルを挙げることができる。このテーブル(以下、「法定相続割合テーブル」という)には、法定相続人となり得る、配偶者、子、親、兄弟姉妹の各欄と、それぞれの有無を「○」又は「-」で示す欄と、その相続割合を示す欄が、上下二段に設けられたものとなっている。例えば、パターンIは、法定相続人として、配偶者、子、親、兄弟姉妹の各欄に、存在することを示す「○」がそれぞれ示され、各法定相続人の相続割合は、配偶者が「1/2」、子が「1/2」、親と兄弟姉妹は何れも「無し」と示されている。また、パターンIIは、法定相続人として、配偶者、親、兄弟姉妹の各欄に、存在することを示す「○」がそれぞれ示され、各法定相続人の相続割合は、配偶者が「2/3」、親が「1/3」、兄弟姉妹は「無し」と示されている。また、パターンIIIは、法定相続人として、配偶者、兄弟姉妹の各欄に、存在することを示す「○」がそれぞれ示され、各法定相続人の相続割合は、配偶者が「3/4」、兄弟姉妹が「1/4」と示されている。そして、パターンIV以降も同様に示され、最後のパターンXIは、法定相続人として、兄弟姉妹だけが存在することを示す「○」が示され、その相続割合は「全部」と示されている。
【0044】
相続税率情報DB42は、法定相続人に課される税金に関する相続税率情報を記憶する。すなわち、相続税率情報DB42は、法定相続人が取得する金額に応じて相続税率や控除額といった税金を算出するのに必要な情報を記憶する。
【0045】
相続税率情報DB42に格納される情報としては、例えば、図6に示すテーブルを挙げることができる。このテーブル(以下、「相続税率テーブル」という)には、法定相続分に応ずる取得金額に対する税率と控除額が各行ごとに示されている。例えば、取得金額が1,000万円以下の場合は、税率が10%で、控除は無いことが示されている。また、取得金額が1,000万円を超えて3,000万円以下の場合は、税率が15%で、控除額は50万円であることが示されている。また、取得金額が3,000を超えて5,000万円以下の場合は、税率が20%で、控除額は200万円であることが示されている。そして、それ以降も同様に示され、最後の60,000万円を超えた場合は、税率が55%で、控除額は7,200万円であることが示されている。
【0046】
この法定相続割合情報DB41や相続税率情報DB42は、必ずしもサーバ1の記憶部18に設けられる必要はなく、サーバ1とネットワークNを介して通信可能な外部記憶装置(例えば、クラウドサーバ等)に記憶させるものとしてもよい。
【0047】
また、サーバ1は、図示しないが、必要に応じて、法定相続人情報DBや、財産情報DB、及び後続シナリオ情報DBを備えるものとしてもよい。
法定相続人情報DBは、法定相続人情報受付部31が受け付けた続柄情報をユーザと関連付けて記憶する。また、財産情報DBは、財産情報受付部34が受け付けた財産情報をユーザと関連付けて記憶する。そして、後続シナリオ情報DBは、後続シナリオ受付部37が受け付けた後続シナリオをユーザと関連付けて記憶する。
【0048】
<処理内容>
図7は、本実施形態に係る相続リスク診断処理の一例を示す図である。
ステップS11において、法定相続人情報受付部31は、被相続人となるユーザUの法定相続人情報の入力を受け付ける処理を行う。
ステップS12において、相続割合情報出力部32は、法定相続割合情報DB41を参照し、法定相続人情報に基づいて、ユーザが死亡した場合の法定相続人それぞれの法定相続分情報を出力する処理を行う。
【0049】
ここで、法定相続分情報は、例えば、図8のように示すことができる。図8は、ユーザ端末2に表示される画面構成の例を示す模式図である。ユーザ端末2のモニタ画面50-1には、法定相続人となる者の本人からの続柄と、この続柄に応じた相続人の数、及び法定相続人それぞれの法定相続割合を少なくとも含む、法定相続分情報画面が示されている。
図8において、法定相続人となる者の続柄として「配偶者」、「子」、「親」、「兄弟姉妹」が示され、また、それぞれの数として、配偶者は「1」、子は「2」、親は「0」、兄弟姉妹は「2」と示され、それぞれの法定相続割合として、配偶者が「1/2」、子が「1/2」、兄弟姉妹は「特になし」と示されている。
【0050】
ステップS13において、相談受付部33は、法定相続分情報の出力に応じ、選択により、ユーザUの個人情報の入力を受け付けたか否か判定する処理を行う。
その結果、相談受付部33が、ユーザUの個人情報の入力を受け付けたと判定した場合(S13-YES)はステップS14に進み、そうでない場合(S13-NO)はサーバ1での一連の動作は終了する(END)。
ステップS14において、相談受付部33は、ユーザUの個人情報の入力を受け付けたことに応じ、その意思表示として相続に関する相談の申し込みを受け付ける処理を行う。
以上がサーバ1での基本的な相続リスク診断処理の流れとなる。
【0051】
次に、サーバ1での詳細な相続リスク診断処理の流れについて説明する。
図9は、本実施形態に係る相続リスク診断処理の具体例を示す図である。本実施形態では、配偶者(妻)がおり、今の配偶者との間と、前の配偶者との間に、それぞれ1人ずつ(計2人)の子がおり、両親は共に既に他界し、兄弟姉妹が2人いる、ユーザU(夫)が被相続人として、相続リスクの診断を行う場合を例に説明する。
【0052】
ステップS101において、法定相続人情報受付部31は、被相続人となるユーザの法定相続人情報の入力を受け付ける処理を行う。ここで、法定相続人情報の入力は、例えば、図10に示すように、各法定相続人の有無を尋ねる形式で行うことができる。
【0053】
図10は、ユーザ端末2に表示される画面構成の例を示す模式図である。
ユーザ端末2のモニタ画面50-2には、初めに、Q1.「配偶者」はいますか?という設問と、その回答が「はい」の場合のラジオボタン51Yと、同「いいえ」の場合のラジオボタン51Nが示されている。図10において、Q1の問に対しては、配偶者がいることを示す「はい」のラジオボタン51Yが選択されている。
また、Q2.「子」はいますか?という設問と、その回答が「はい」の場合のラジオボタン52Yと、同「いいえ」の場合のラジオボタン52Nと、「はい」を選択した場合にその人数を問うコンボボックス53が示されている。図10において、Q2に対しては、子がいることを示す「はい」のラジオボタン52Yが選択され、その数としてコンボボックス53に「2」が入力されている。
また、Q3.「親」はいますか?という設問と、その回答が「はい」の場合のラジオボタン54Yと、同「いいえ」の場合のラジオボタン54Nが示されている。図10において、Q3に対しては、親がいないことを示す「いいえ」のラジオボタン54Nが選択されている。
また、Q4.「兄弟姉妹」はいますか?という設問と、その回答が「はい」の場合のラジオボタン55Yと、同「いいえ」の場合のラジオボタン55Nと、「はい」を選択した場合にその人数を問うコンボボックス56が示されている。図10において、Q4に対しては、兄弟姉妹がいることを示す「はい」のラジオボタン55Yが選択され、その数としてコンボボックス56に「2」が入力されている。
【0054】
なお、各法定相続人の有無として、配偶者の場合、その有無だけではなく、再婚の有無を尋ねたり、子の場合、実子か義子か継子か養子か、嫡出子か嫡出でない子(私生子)かを尋ねたり、兄弟姉妹の生存の有無を尋ねたり、甥や姪の有無を尋ねたりしてもよい。また、全ての質問をするのではなく、配偶者や子、親の有無の状況(選択結果)に応じて、それ以降の質問の内容を適宜変更する等、法定相続人になり得ない者に関する質問は省くことが望ましい。
【0055】
ステップS102において、相続割合情報出力部32は、法定相続割合情報DB41を参照し、法定相続人情報に基づいて、ユーザが死亡した場合の法定相続人それぞれの法定相続分情報を出力する処理を行う。
法定相続分情報については、上述のステップS12において既に例示したため説明は省略する。
【0056】
ステップS103において、財産情報受付部34は、ユーザUの財産情報の入力を受け付けたか否かを判定する処理を行う。
その結果、財産情報受付部34が、財産情報の入力を受け付けたと判定した場合(S103-YES)はステップS104へ進み、そうでない場合(S103-NO)はステップS105へ進む。
ステップS104において、相続税情報出力部35は、法定相続分情報と財産情報に基づいて、ユーザUが死亡した場合の法定相続人に課される税金に関する相続税額情報を出力する処理を行う。
【0057】
相続税額情報としては、例えば、図11のように示すことができる。図11は、ユーザ端末2に表示される画面構成の例を示す模式図である。ユーザ端末2のモニタ画面50-3には、最初に入力された財産総額が示され、続いて、法定相続分情報として出力した、法定相続人となる者の本人からの続柄と、この続柄に応じた相続人の数、及び法定相続人それぞれの法定相続割合と共に、相続税額、及び税引後財産額を含む、一次相続の相続税額情報画面が示されている。
図11において、財産総額は60,000万円と示されている。また、法定相続人となる「配偶者(妻)」と「子」それぞれの相続税額として、配偶者は「0」、子は「4,340」万円と示されている。つまり、配偶者の相続税は、相続額が法定相続分なので相続税の配偶者控除により(非課税枠に該当し)課税されない。また、子は2人いるので、それぞれ15,000万円相続することになり、そのうち4,340万円がそれぞれの相続税額となる。そして、税引後財産額として、配偶者は「30,000」万円、子は「10,660」万円であることが示されている。
【0058】
相続税額の計算は、相続税率テーブルを参照して次のように算出する。まず、財産総額(60,000万円)から法定相続人の数に応じた基礎控除(3,000万円+600万円×3)を行って課税遺産総額(55,200万円)を算出する。次いで、それぞれの法定相続分に応じた取得金額に、相続税率テーブルに示す相続税率を乗じた後、控除を行って相続税額を算出する。具体的には、配偶者の場合、法定相続分に応じた取得金額は27,600万円(55,200×1/2)なので、相続税率の45%を乗じた後、2,700万円を控除して、相続税額(9,720万円)を算出する。一方、子の場合、法定相続分に応じた取得金額は13,800万円(55,200×1/2×1/2)なので、相続税率の40%を乗じた後、1,700万円を控除して、相続税額(3,820万円)を算出する。そして、法定相続人全員の相続税額の総額(17,360万円)に自身の相続額を乗じた後、財産総額で除して各人の相続税額を算出する。なお、税引後財産額は、自身の相続額から相続税額を減じることで算出できる。従って、相続税情報出力部35では、上述した演算を行っている。
【0059】
ステップS105において、遺言受付部36は、ユーザUの遺言による相続割合の変更情報の入力を受け付けたか否かを判定する処理を行う。
その結果、遺言受付部36が、相続割合の変更情報の入力を受け付けたと判定した場合(S105-YES)、ステップS106へ進み、そうでない場合(S105-NO)はステップS107へ進む。
【0060】
ステップS106において、相続割合情報出力部32は、遺言による相続割合の変更情報に基づいて遺留分を考慮した相続割合情報を出力する処理を行う。また、相続税情報出力部35は、遺言による相続割合情報と財産情報とに基づいて、ユーザUが死亡した場合の法定相続人に課される税金に関する相続税額情報を出力する処理を行う。
【0061】
相続割合情報と相続税額情報としては、例えば、図12のように示すことができる。図12は、ユーザ端末2に表示される画面構成の例を示す模式図である。ユーザ端末2のモニタ画面50-4には、財産情報として入力した財産総額と、法定相続分情報として出力した、法定相続人となる者の本人からの続柄と、この続柄に応じた相続人の数、法定相続人それぞれの法定相続割合と共に、遺留分、遺言による割合、及び相続税額と税引後財産額を含む、遺言による一次相続の相続税額情報画面が示されている。
図12に示す例では、財産総額は、60,000万円と示されている。法定相続人となる「配偶者(妻)」と「夫の子」と「妻の実子」それぞれの数は何れも「1」である。
法定相続割合については、「配偶者(妻)」が「1/2」、「夫の子」と「妻の実子」は共に「1/4」と示されている。
遺留分として、「配偶者(妻)」は「1/4」、「夫の子」と「妻の実子」は共に「1/8」と示されている。
遺言による相続割合は、二次相続を考慮して、「配偶者(妻)」は「3/8」、「夫の子」は「1/4」、「妻の実子」は「3/8」と示されている。ここで各法定相続人の遺留分を考慮すると、遺言による相続割合は何れも満たしているので問題はない。
相続税額として、「配偶者(妻)」は「0」、「夫の子」は「4,340」万円、「妻の実子」は「6,510」万円と示されている。
税引後財産額については、「配偶者(妻)」は「22,500」万円、「夫の子」は「10,660」万円、「妻の実子」は「15,990」万円であることが示されている。
なお、妻の実子も夫の子ではあるが、ステップS107において、配偶者(妻)の財産を相続した場合の二次相続について説明する関係上、便宜的に分かり易く区別して示す。
【0062】
また、ステップS107において、後続シナリオ受付部37は、後続シナリオの入力を受け付けたか否かを判定する処理を行う。
その結果、後続シナリオ受付部37が、後続シナリオの入力を受け付けたと判定した場合(S107-YES)はステップS108へ進み、そうでない場合(S107-NO)はステップS109へ進む。
ステップS108において、相続割合情報出力部32は、後続シナリオに基づいて第二の相続割合情報を出力する処理を行う。また、相続税情報出力部35は、後続シナリオに基づく相続割合情報と財産情報に基づいて、ユーザUが死亡した後に配偶者(妻)が死亡した場合の法定相続人に課される税金に関する相続税額情報を出力する処理を行う。
【0063】
相続割合情報と相続税額情報としては、例えば、図13及び図14のように示すことができる。図13及び図14は共に、ユーザU(夫)の財産を相続した配偶者(妻)がその後死亡した場合を想定したシナリオに基づく、二次相続における法定相続分情報と相続税額情報を示す。図13は、ユーザ端末2に表示される画面構成の例を示す模式図であって、一次相続において遺言による相続割合の変更は無い二次相続の場合を示している。一方、図14は、ユーザ端末2に表示される画面構成の例を示す模式図であって、一次相続において遺言による相続割合の変更があった二次相続の場合を示している。
【0064】
図13に示すユーザ端末2のモニタ画面50-5には、配偶者(妻)の財産額と、相続人となり得る者の配偶者からの続柄と、この続柄に応じた相続人の数、法定相続人それぞれの法定相続割合、及び相続税額と税引後財産額を含む、二次相続の相続税額情報画面が示されている。
図13において、配偶者(妻)の財産額には、一次相続においてユーザU(夫)から相続した財産額である30,000万円と示されている。また、配偶者からの続柄には「夫の子」、「妻の実子」、「妻の親」、「妻の兄弟」が示され、それぞれの数は「夫の子」と「妻の実子」と「妻の兄弟」が何れも「1」で、親は「0」、その法定相続割合は夫の子と妻の兄弟は共に「常になし」であり、妻の実子は「全部」と示されている。そして、妻の実子の相続税額は「9,180」万円、税引後財産額は「20,820」万円であることが示されている。
また、図14において、配偶者(妻)の財産額には、一次相続においてユーザU(夫)から遺言により相続した財産額である22,500万円と示されており、配偶者からの続柄や、その人数、法定相続割合は、上述した図13と同じである。そして、妻の実子の相続税額は「5,860」万円、税引後財産額は「16,640」万円であることが示されている。
【0065】
これにより、法定相続分に基づいて一次相続を行うより、その後の二次相続を考慮して遺言によって相続割合の変更を行った方が望ましいことが分かる。
つまり、一次相続において配偶者へと相続された財産は、配偶者が死亡した際に、その相続人、例えば、子がいればその子へと二次相続される。一次相続において配偶者は、配偶者控除を受けることができるため、子が相続を受ける場合に比べて相続税の面で非常に有利である。しかしながら、二次相続がなされる場合にも相続税が掛かる。そうすると、配偶者控除があるからといって一次相続において、配偶者へとあまりに多くの財産を相続させてしまうと、その後、子へと二次相続する際の相続税によって、結果的に一次相続の税額と二次相続の際の税額とを合計した額が高額になってしまうということが起き得る。
【0066】
具体的には、図11より、法定相続分に基づいて一次相続を行ったときの妻の実子(二次相続の法定相続人)の相続税額は「4,340」万円、税引後財産額は「10,660」万円ということが分かる。また、図13より、法定相続分に基づいて二次相続を行ったときの妻の実子の相続税額は「9,180」万円、税引後財産額は「20,820」万円ということが分かる。これにより、法定相続分に基づいた一次相続と二次相続を合計した妻の実子の相続税額は「13,520」万円、税引後財産額は「31,480」万円となる。
一方、図12より、遺言に基づいて一次相続を行ったときの妻の実子の相続税額は「6,510」万円、税引後財産額は「15,990」万円ということが分かる。また、図14より、遺言による相続割合の変更があった後に二次相続を行ったときの妻の実子の相続税額は「5,860」万円、税引後財産額は「16,640」万円ということが分かる。これにより、遺言に基づいた一次相続と二次相続を合計した妻の実子の相続税額は「12,370」万円、税引後財産額は「32,630」万円となる。
【0067】
そうすると、法定相続分に基づいて一次相続を行うより、その後の二次相続を考慮して遺言によって相続割合の変更を行った方が、相続税額が「1,150」万円減って、税引後財産額が「1,150」万円増えることになり、相続によるリスクが軽減されることがわかる。
【0068】
ステップS109において、相談受付部33は、法定相続分情報の出力に応じ、選択により、ユーザの個人情報の入力を受け付けたか否か判定する処理を行う。
その結果、相談受付部33が、ユーザの個人情報の入力を受け付けたと判定した場合(S109-YES)はステップS110に進み、そうでない場合(S109-NO)は、サーバ1での一連の動作は終了する(END)。
ステップS110において、相談受付部33は、ユーザの個人情報の入力を受け付けたことに応じ、その意思表示として相続に関する相談の申し込みを受け付ける処理を行う。
そして、ステップS111において、相続専門家情報出力部38は、ユーザ個人情報の受け付けに応じ、相続に関する相談を受け付ける相続専門家Eを紹介する相続専門家情報を出力する処理を行う。
以上がサーバ1での具体的な相続リスク診断処理の流れとなる。
【0069】
なお、相続専門家情報については特に図示しないが、例えば、ユーザ端末2のモニタ画面に、相続専門家Eを示すアイコンやバナーが表示されるものとすることができる。そして、ユーザUがこのアイコンやバナーを選択(クリックやタップ)することで、直接、相続専門家Eが開設するサイトへアクセスできるものとすることができる。また、ユーザUがこのアイコンやバナーを選択することで、既存の予約システムによってカレンダーが表示され、空いている希望の日時を選択したりできるものでもよく、特に限定されない。
【0070】
<本実施形態の有利な効果>
上述の実施形態によれば、ユーザUは自身の個人情報を開示することなく法定相続人に関する情報を入力するだけで、匿名で法定相続による各法定相続人の相続割合を知ることができる。ゆえに、相続リスクを認識した上で、必要に応じて自身の望むタイミングで相続の専門家に相談を行うことができる。しかも、匿名で相続リスクを確認できる機会が得られるので、相続を具体的により身近なものとして捉え、できるだけ将来の相続リスクを減らす対策を事前に講じることができる。
換言すると、ユーザは法定相続人に関する情報を入力するだけで、自身を特定する情報を開示することなく匿名で、法定相続による各法定相続人の相続割合を知ることができる。ゆえに、身構えたり、不安を覚えたりすることなく、容易に相続リスクの診断を安心して受けることができる。
また、診断結果より相続リスクを認識した上で、ユーザの法定相続人に関する情報と共に、ユーザを特定する情報を開示することで、必要に応じて相続の専門家により具体的な相談を、効率よく効果的に行うことができる。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれるものである。
【0072】
(その他)
また、例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実装させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるかは、特に上述の例に限定されない。
【0073】
また、機能ブロックの存在場所も、図4に特に限定されず、任意でよい。例えば、サーバの機能ブロックを他の装置等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックをサーバ等に移譲させてもよい。
また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組合せで構成してもよい。
【0074】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば、サーバの他、汎用のスマートフォンや、パーソナルコンピュータであってもよい。
【0075】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0076】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0077】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、上記実施形態と変形例の各構成を組合せることも可能である。さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1:サーバ 2:ユーザ端末 3:相続専門家端末
11:CPU 18:記憶部 19:通信部
31:法定相続人情報受付部 32:相続割合情報出力部 33:相談受付部
34:財産情報受付部 35:相続税情報出力部 36:遺言受付部
37:後続シナリオ受付部 38:相続専門家情報出力部
41:法定相続割合情報記憶部 42:相続税率情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14