(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086731
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】体液収集装置および関連方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/151 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61B5/151
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024044508
(22)【出願日】2024-03-21
(62)【分割の表示】P 2021513338の分割
【原出願日】2019-09-13
(31)【優先権主張番号】62/731,728
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518219169
【氏名又は名称】タッソ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】ベルティエ アーウィン
(72)【発明者】
【氏名】カサヴァント ベン
(72)【発明者】
【氏名】マイア ジェイク
(57)【要約】
【課題】患者から体液を引き出すための装置および方法を提供する。
【解決手段】本技術により構成された手持ち式装置は、開口部を有するハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に位置する皮膚貫通アセンブリと、ハウジングに対して展開方向に沿って移動可能であるアクチュエータと、を含むことができる。その皮膚貫通アセンブリは、皮膚貫通特徴部および付勢部材を含むことができる。その付勢部材は、皮膚貫通特徴部に結合されて、展開方向に沿って皮膚貫通特徴部を付勢することができる。アクチュエータが展開方向に沿って所定の位置に移動することにより、付勢部材への負荷を、少なくとも部分的に負荷された状態に増加させることができる。アクチュエータが展開方向に沿って所定の位置を超えて移動することにより、付勢部材への負荷を解放することができ、その結果、付勢部材は、能動的に、展開方向に沿って皮膚貫通特徴部を駆動する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象から体液を引き出すための手持ち式装置であって、前記装置が、
開口部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に位置付けられており、かつ前記対象の皮膚を貫通するように構成された皮膚貫通特徴部を有する、皮膚貫通アセンブリと、
前記皮膚貫通アセンブリに結合されたアクチュエータであって、前記アクチュエータが、前記ハウジングに対して移動可能であり、前記開口部に向かう前記アクチュエータの移動が、前記開口部に向かって前記皮膚貫通特徴部を駆動する、アクチュエータと、
前記皮膚貫通アセンブリに結合された付勢部材であって、前記付勢部材が、前記皮膚貫通アセンブリを前記開口部から離れるように駆動するように構成されており、前記開口部から離れる前記皮膚貫通アセンブリの移動が、前記ハウジングの少なくとも一部分の内部を真空に吸引する、付勢部材と、
前記ハウジングに結合され、前記開口部の少なくとも一部分を被覆する、可撓性膜であって、前記膜は、前記真空が吸引されるときに、少なくとも部分的に前記開口部を通って吸引されるように構成されている、可撓性膜と、
を備える、手持ち式装置。
【請求項2】
前記膜は、前記真空が吸引されたときに、湾曲形状を採るように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記膜が、前記開口部を完全に被覆し、前記皮膚貫通特徴部は、前記膜を穿刺して、前記体液が前記開口部を通って流れることを可能にするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記膜が、アパーチャを含み、前記開口部に向かう前記アクチュエータの移動が、前記アパーチャを通って前記皮膚貫通特徴部を駆動する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記膜が、前記体液を前記ハウジング中に方向付けるように構成されたマイクロ流体パターンを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記膜が、疎水性、親水性、または両親媒性のコーティングのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記膜が、抗凝固剤を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記膜が、前記膜の中央部分における第1の厚さを有し、前記膜が、前記第1の厚さよりも薄い、前記膜の外側部分における第2の厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ハウジング内に前記皮膚貫通アセンブリに結合された可撓性シーリング部材をさらに備えており、前記シーリング部材が、前記ハウジング内の内腔を画定するように、前記開口部を囲繞し、前記開口部に向かう前記皮膚貫通アセンブリの前記移動が、前記内腔の容積を低減させ、前記開口部から離れる前記皮膚貫通アセンブリの前記移動が、前記内腔内を前記真空に吸引するように前記内腔の前記容積を増加させる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
対象から体液を引き出すための方法であって、前記方法が、
手持ち式装置の可撓性膜が、患者の皮膚に接触するように、前記対象の前記皮膚に対して前記手持ち式装置を位置付けることであって、前記手持ち式装置が、開口部を有するハウジングを含み、前記膜が、前記開口部の少なくとも一部分を被覆する、位置付けることと、
前記患者の前記皮膚を穿刺し、前記体液を引き出すように、前記開口部を通って、かつ前記膜を通って、前記手持ち式装置の皮膚貫通特徴部を展開するように、前記手持ち式装置を作動させることと、
前記体液を、前記膜にわたって、前記手持ち式装置の前記ハウジング内に移送することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記方法が、少なくとも部分的に前記開口部を通って、前記可撓性膜および前記皮膚を引っ張るように、前記手持ち式装置内を真空に吸引することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記真空に吸引することが、前記真空を動的に生成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、
前記患者の前記皮膚を穿刺した後に、前記膜を通って、かつ前記開口部を通って、前記患者の前記皮膚から離れるように前記皮膚貫通特徴部を駆動し戻すことと、
前記患者の前記皮膚から離れるように前記皮膚貫通特徴部を駆動しながら、前記真空を動的に生成することと、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記膜を通って前記皮膚貫通特徴部を展開することが、前記膜を穿刺することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記膜を通って前記皮膚貫通特徴部を展開することが、前記膜内のアパーチャを通って前記皮膚貫通特徴部を展開することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記膜にわたって前記体液を前記ハウジング中に移送することが、前記膜上のマイクロ流体パターンを介して、前記膜にわたって前記体液を方向付けることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記膜にわたって前記体液を前記ハウジング中に移送することが、前記膜上の疎水性コーティングを介して、前記膜にわたって前記体液を方向付けることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
対象から体液を引き出すための手持ち式装置であって、前記装置が、
開口部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に位置付けられた皮膚貫通アセンブリであって、
前記皮膚貫通アセンブリが、皮膚貫通特徴部および第1の付勢部材を含み、
前記第1の付勢部材が、展開方向において前記開口部に向かって前記皮膚貫通特徴部を付勢するように、前記皮膚貫通特徴部に結合されている、皮膚貫通アセンブリと、
前記展開方向において、前記ハウジングに対して移動可能である、アクチュエータであって、
前記アクチュエータの前記展開方向における、所定の位置への移動が、前記第1の付勢部材への負荷を増加させ、
前記アクチュエータの前記展開方向における、前記所定の位置を超える移動は、前記第1の付勢部材が、前記展開方向に前記皮膚貫通特徴部を駆動するように、前記第1の付勢部材への前記負荷を解放する、アクチュエータと、
前記皮膚貫通アセンブリに結合された第2の付勢部材であって、
前記第2の付勢部材は、前記皮膚貫通特徴部が前記展開方向に展開された後に、前記皮膚貫通特徴部を退縮方向に駆動するように構成されており、
前記手持ち式装置は、前記皮膚貫通特徴部が前記退縮方向に移動するときに、前記ハウジング内に真空を生成するように構成されている、第2の付勢部材と、
を備える、手持ち式装置。
【請求項19】
前記ハウジングが、前記開口部に近接して位置付けられたアームを含み、
前記第1の付勢部材が、基部を介して、前記皮膚貫通特徴部に結合されており、
前記所定の位置への前記アクチュエータの移動が、前記第1の付勢部材への前記負荷を増加させるように、前記アームを前記基部と係合させ、
前記所定の位置を超える前記アクチュエータの移動が、前記第1の付勢部材への前記負荷を解放するように、前記アームを前記基部から係合解除する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記皮膚貫通アセンブリに結合され、かつ突起部を含む、プランジャをさらに備え、前記突起部は、前記アクチュエータが前記所定の位置を超えて移動されたときに、前記アームを前記基部から係合解除するように成形されている、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2018年9月14日に出願され、「BODILY FLUID COLLECTION DEVICES AND RELATED METHODS」と題する米国仮特許出願第62/731,728号の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔参照により組み込まれる出願〕
本出願は、2013年1月25日に出願され、「Handheld Device for Drawing,Collecting,and Analyzing Bodily Fluid」と題する米国出願第13/750,526号、2013年7月23日に出願され、「Methods,Systems,and Devices Relating to Open Microfluidic Channels」と題する米国出願第13/949,108号、2015年8月3日に出願され、「Devices,Systems and Methods for Gravity-Enhanced Microfluidic Collection,Handling and Transferring of Fluids」と題する米国出願第14/816,994号、2016年12月21日に出願され、「Devices,Systems and Methods for Actuation and Retraction in Fluid Collection」と題する米国出願第15/387,177号、2017年9月21日に出願され、「Methods for Delivery of Bodily Fluids Onto a Fibrous Substrate」と題する米国出願第15/711,746号、および2017年7月17日に出願され、「Apparatus,Systems and Methods for Preparing and Shipping」と題する米国仮出願第62/533,323号に関連し、それらのすべては、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本技術は、患者から体液を収集することに関する。特に、本技術の様々な実施形態は、手持ち式体液収集装置および関連方法に関する。
【背景技術】
【0004】
血液などの体液を収集するための装置、システム、および方法は、個人専用、臨床、および野外の医療用途で広く使用されている。生物学的なサンプルは、通常、単純な穿刺装置、または訓練された要員を必要とするより高度な装置(例えば、瀉血静脈穿刺)を使用して収集される。体液を容器、レセプタクル、または分析装置に移送するには、多くの場合、いくつかのステップが必要であり、これには、時間がかかり、間違いが生じやすく、および/または煩雑になり得る。さらに、訓練されていないユーザのために設計された多くの個人専用装置は、非常に限られた量の体液しか取得することができず、これにより、今度は、そのような装置の適用範囲が制限される。
【発明の概要】
【0005】
本技術の多くの態様は、以下の図面を参照して、よりよく理解することができる。図面内の構成要素は必ずしも縮尺通りではない。代わりに、本技術の原理を明確に例示することに、重点が置かれている。参照を容易にするため、本開示全体を通して、同一の参照番号が、同一、または少なくともほぼ同様もしくは類似の構成要素もしくは特徴を識別するために使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】本技術の実施形態により構成された体液収集装置の斜視図である。
【
図1C】
図1Aの体液収集装置からの収集リザーバの取り外しを例示する斜視図である。
【
図2A】本技術の実施形態により構成された体液収集装置の概略断面図である。
【
図2B】本技術の実施形態により構成された皮膚貫通特徴部の側面図である。
【
図2C】本技術の実施形態により構成された停止特徴部を有する皮膚貫通特徴部の側面図である。
【
図3】本技術の実施形態による体液収集装置を使用するための方法のブロック図である。
【
図4】本技術の実施形態により構成された、現場負荷作動機構を使用して皮膚貫通特徴部を展開するための方法のブロック図である。
【
図5A】本技術の実施形態により構成された、現場負荷作動機構の動作の概略断面図である。
【
図5B】本技術の実施形態により構成された、現場負荷作動機構の動作の概略断面図である。
【
図5C】本技術の実施形態により構成された、現場負荷作動機構の動作の概略断面図である。
【
図6A】本技術の実施形態により構成された、現場負荷作動機構を有する体液収集装置の断面図である。
【
図7】展開状態における
図6Aの装置の断面図である。
【
図8】ピーク展開状態における
図6Aの装置の断面図である。
【
図9】退縮状態における
図6Aの装置の断面図である。
【
図11A】本技術による、事前負荷作動機構の動作の概略上面図および断面図である。
【
図11B】本技術による、事前負荷作動機構の動作の概略上面図および断面図である。
【
図11C】本技術による、事前負荷作動機構の動作の概略上面図および断面図である。
【
図11D】本技術による、事前負荷作動機構の動作の概略上面図および断面図である。
【
図11E】本技術による、事前負荷作動機構の動作の概略上面図および断面図である。
【
図11F】本技術による、事前負荷作動機構の動作の概略上面図および断面図である。
【
図11G】本技術による、事前負荷作動機構の動作の概略上面図および断面図である。
【
図11H】本技術による、事前負荷作動機構の動作の概略上面図および断面図である。
【
図12A】本技術の実施形態により構成されたロック機構の動作の概略断面図である。
【
図12B】本技術の実施形態により構成されたロック機構の動作の概略断面図である。
【
図12C】本技術の実施形態により構成されたロック機構の動作の概略断面図である。
【
図13A】本技術の実施形態による、患者の皮膚に適用される真空の概略断面図である。
【
図13B】本技術の実施形態による、患者の皮膚に適用される真空の概略断面図である。
【
図13C】本技術の実施形態による、患者の皮膚に適用される真空の概略断面図である。
【
図13D】本技術の実施形態による、患者の皮膚に適用される真空の概略断面図である。
【
図14A】本技術の実施形態による、患者の皮膚に適用される真空の概略断面図である。
【
図14B】本技術の実施形態による、患者の皮膚に適用される真空の概略断面図である。
【
図14C】本技術の実施形態による、患者の皮膚に適用される真空の概略断面図である。
【
図15A】本技術の実施形態による、動的に生成された真空機構の動作の概略断面図である。
【
図15B】本技術の実施形態による、動的に生成された真空機構の動作の概略断面図である。
【
図15C】本技術の実施形態による、動的に生成された真空機構の動作の概略断面図である。
【
図16A】本技術の実施形態による、動的に生成された別の真空機構の動作の概略断面図である。
【
図16B】本技術の実施形態による、動的に生成された別の真空機構の動作の概略断面図である。
【
図16C】本技術の実施形態による、動的に生成された別の真空機構の動作の概略断面図である。
【
図17A】本技術の実施形態による、皮膚貫通アセンブリ内に一体化された、動的に生成された真空機構の動作の概略断面図である。
【
図17B】本技術の実施形態による、皮膚貫通アセンブリ内に一体化された、動的に生成された真空機構の動作の概略断面図である。
【
図18A】皮膚貫通アセンブリ内に一体化された、動的に生成された真空機構を有し、本技術の実施形態により構成された体液収集装置の概略断面図である。
【
図18B】皮膚貫通アセンブリ内に一体化された、動的に生成された真空機構を有し、本技術の実施形態により構成された体液収集装置の概略断面図である。
【
図19A】本技術の実施形態による、皮膚の曲率を制御するための皮膚界面の概略断面図である。
【
図19B】本技術の実施形態による、皮膚の曲率を制御するための皮膚界面の概略断面図である。
【
図19C】本技術の実施形態による、皮膚の曲率を制御するための皮膚界面の概略断面図である。
【
図19D】本技術の実施形態による、皮膚の曲率を制御するための皮膚界面の概略断面図である。
【
図19E】本技術の実施形態による、皮膚の曲率を制御するための皮膚界面の概略断面図である。
【
図20】本技術の実施形態による、可撓性膜を使用して患者の皮膚から体液を引き出すための方法のブロック図である。
【
図21A】本技術の実施形態による、体液収集装置の可撓性膜の断面図および斜視図である。
【
図21B】本技術の実施形態による、体液収集装置の可撓性膜の断面図および斜視図である。
【
図21C】本技術の実施形態による、体液収集装置の可撓性膜の断面図および斜視図である。
【
図22】本技術の実施形態により構成された可撓性膜の分解組立図である。
【
図23A】本技術の実施形態により構成された、異なる表面特徴部および/または表面処理を有する可撓性膜の様々な図である。
【
図23B】本技術の実施形態により構成された、異なる表面特徴部および/または表面処理を有する可撓性膜の様々な図である。
【
図23C】本技術の実施形態により構成された、異なる表面特徴部および/または表面処理を有する可撓性膜の様々な図である。
【
図23D】本技術の実施形態により構成された、異なる表面特徴部および/または表面処理を有する可撓性膜の様々な図である。
【
図23E】本技術の実施形態により構成された、異なる表面特徴部および/または表面処理を有する可撓性膜の様々な図である。
【
図24A】本技術の実施形態による、可撓性膜に沿って体液の流れを制御するためのハウジング特徴部の断面図である。
【
図24B】本技術の実施形態による、可撓性膜に沿って体液の流れを制御するためのハウジング特徴部の断面図である。
【
図24C】本技術の実施形態による、可撓性膜に沿って体液の流れを制御するためのハウジング特徴部の断面図である。
【
図24D】本技術の実施形態による、可撓性膜に沿って体液の流れを制御するためのハウジング特徴部の断面図である。
【
図24E】本技術の実施形態による、可撓性膜に沿って体液の流れを制御するためのハウジング特徴部の断面図である。
【
図24F】本技術の実施形態による、可撓性膜に沿って体液の流れを制御するためのハウジング特徴部の断面図である。
【
図25A】本技術の実施形態により体液の流れを方向付けるための吸い上げ要素の断面図および上面図である。
【
図25B】本技術の実施形態により体液の流れを方向付けるための吸い上げ要素の断面図および上面図である。
【
図25C】本技術の実施形態により体液の流れを方向付けるための吸い上げ要素の断面図および上面図である。
【
図25D】本技術の実施形態により体液の流れを方向付けるための吸い上げ要素の断面図および上面図である。
【
図25E】本技術の実施形態により体液の流れを方向付けるための吸い上げ要素の断面図および上面図である。
【
図25F】本技術の実施形態により体液の流れを方向付けるための吸い上げ要素の断面図および上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本技術による装置および方法は、皮膚貫通特徴部を患者の皮膚に向かって展開して体液(例えば、血液)を引き出すように構成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された装置および方法は、アクチュエータの移動に応答して皮膚貫通特徴部を展開する作動機構を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された装置および方法は、患者の皮膚に適用される真空を動的に生成して、体液の収集を容易にするように構成された真空機構を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された装置および方法は、体液をより効率的に引き出すために、患者の皮膚および/または体液の界面となる可撓性膜を使用する。本技術の装置および方法を使用して、下流の試験および分析のために十分な量の体液を迅速かつ容易に取得することができる。
【0008】
本技術の具体的な詳細は、
図1A~
図25Fを参照して、本明細書に記載されている。本明細書に開示されたものに加えて、他の実施形態が、本技術の範囲内にあることに留意されたい。さらに、本技術のいくつかの実施形態は、本明細書に示されているか、または記載されているものとは異なる構成、構成要素、および/または手順を有することができる。さらに、当業者は、本技術のいくつかの実施形態が、本明細書に示されているか、または記載されているものに加えて、構成、構成要素、および/または手順を有することができ、またこれらおよび他の実施形態が、本技術から逸脱することなく、本明細書に示されているか、または記載されている構成、構成要素、および/または手順のうちのいくつかを用いない場合があることを理解するであろう。
【0009】
本明細書に提供される見出しは、単に便宜上のためのものであり、開示される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0010】
I.体液収集装置
図1Aは、本技術の実施形態により構成された体液収集装置100(「装置100」)の斜視図である。装置100は、患者の片手または両手で容易に把持および操作されるサイズを有する手持ち式とすることができる。そのような手持ち式装置は、患者が別の個人からの支援を受けずに体液サンプル(例えば、血液サンプル)を有利に収集することを可能にする。いくつかの実施形態では、本技術の手持ち式装置は、医療現場の外側で(例えば、自宅で、または野外診療所で)、素人が、医療専門家の助けなしに、操作することができる。
【0011】
図1Aに示すように、装置100は、ハウジング102およびアクチュエータ104を含む。アクチュエータ104(例えば、ボタン)は、ハウジング102に対して移動可能であり、患者からの体液の引き出しを作動させる。ハウジング102は、患者から引き出された体液を受容するための収集リザーバ200(例えば、管またはカートリッジ)に取り外し可能に結合されている。リザーバ200は、例えば、診断および/またはバイオマーカー検出のために、取り外して臨床および試験室機器またはワークフローに挿入することができる、取り外し可能でかつ標準化された体液用容器としての役割を果たすことができる。
【0012】
図1Bは、使用中の体液収集装置100の斜視図である。体液サンプルを収集するために、装置100は、ハウジング102の底面が皮膚250に対して位置付けられ、アクチュエータ104が皮膚250から離れて位置付けられた状態で、患者の身体に適用される。アクチュエータ104を押すことにより、装置100の内部から皮膚貫通特徴部(例えば、ランセット、ブレード、または針)を展開して、皮膚250を貫通させる。続いて、皮膚からアクチュエータ104を離して退縮させることにより、装置100内に真空を作り出し、この真空は、患者の皮膚に対して直接的または間接的に作用する。その結果得られた切開部からの体液は、ハウジング102中に引き出され、そしてリザーバ200に収集される。
【0013】
図1Cは、体液収集装置100からの収集リザーバ200の取り外しを例示する斜視図である。所望の量の体液が、リザーバ200に収集されると、装置100は、皮膚250から取り除かれ、リザーバ200は、ハウジング102から取り外される。
【0014】
図2Aは、本技術の実施形態により構成された体液収集装置100の概略断面図である。装置100は、ハウジング102、アクチュエータ104、ハウジング102内に少なくとも部分的または完全に位置する皮膚貫通アセンブリ106、およびハウジング102を通る開口部108を含む。いくつかの実施形態では、開口部108は、装置100が患者の身体に適用されたときに、皮膚に接触するように、ハウジング102の底面110内に形成される。アクチュエータ104は、展開方向112および退縮方向114に沿って、ハウジング102に対して移動可能である。展開方向112は、
図2Aの配向では、例えば、開口部108に向かって下向きの方向であり得、退縮方向114は、例えば、開口部108から離れる上向きの方向であり得る。展開方向112は、概して、皮膚に向かい、これに対して、退縮方向114は、概して、皮膚から離れる。
【0015】
皮膚貫通アセンブリ106は、少なくとも1つの皮膚貫通特徴部116(例えば、ランセット、ブレード、または針)、および皮膚貫通特徴部116に結合されている付勢部材118(例えば、ばね)を含む。この付勢部材118は、展開方向112に沿って開口部108に向かって皮膚貫通特徴部116を駆動するように構成されている。皮膚貫通特徴部116は、患者の皮膚を貫通して、体液を引き出すことができる切開部を作り出すように構成することができる。皮膚貫通特徴部のサイズは、必要に応じて変更することができる。例えば、比較的大きな皮膚貫通特徴部は、より大量の体液の引き出しを可能にするより大きな切開部を作り出すために有利であり得る。比較的小さい皮膚貫通特徴部は、痛みを軽減し、かつ高穿通速度を達成するために有利であり得る。任意選択的に、皮膚貫通アセンブリ106は、複数の皮膚貫通特徴部、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを超える皮膚貫通特徴部を含むことができる。いくつかの実施形態では、装置100は、対応する数の開口部108を含むことができ、その結果、各皮膚貫通特徴部は、それぞれの開口部を通過して、患者の皮膚を貫通する。ただし、2つ以上の皮膚貫通特徴部116が、開口部108を通過することができる。例えば、皮膚貫通特徴部116のすべてが、単一の開口部108を通過することができる。
【0016】
図2Bは、本技術の実施形態により構成された装置100の皮膚貫通特徴部116の側面図である。皮膚貫通特徴部116の長さは、皮膚250への適切な穿通深さを生成するように選択することができる。例えば、皮膚貫通特徴部116の長さは、約0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.8mm、2.9mm、3.0mm、3.1mm、3.2mm、3.3mm、3.4mm、3.5mm、3.6mm、3.7mm、3.8mm、3.9mm、または4.0mmとすることができる。皮膚貫通特徴部116の長さは、穿通深さを、皮膚250の表面下の約0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.8mm、2.9mm、3.0mm、3.1mm、3.2mm、3.3mm、3.4mm、3.5mm、3.6mm、3.7mm、3.8mm、3.9mm、または4.0mm以下に生成するように選択することができる。
【0017】
図2Cは、本技術の実施形態により構成された停止特徴部117を有する皮膚貫通特徴部116の側面図である。いくつかの実施形態では、停止特徴部117は、皮膚貫通特徴部116の基部またはその付近にあり、皮膚への皮膚貫通特徴部116の穿通深さを制限する。例えば、停止特徴部117は、穿通深さを、皮膚250の表面下の約0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.8mm、2.9mm、3.0mm、3.1mm、3.2mm、3.3mm、3.4mm、3.5mm、3.6mm、3.7mm、3.8mm、3.9mm、または4.0mm以下に制限することができる。
【0018】
図2Aに戻って参照すると、装置100は、皮膚貫通アセンブリ106の展開を作動させるための作動機構を含む。例えば、アクチュエータ104は、例えば、プラットフォーム120およびプランジャ122を介して、皮膚貫通アセンブリ106に機械的に結合されて、展開方向112に沿って皮膚貫通特徴部を展開することができる。図示してある実施形態では、プラットフォーム120は、アクチュエータ104内に少なくとも部分的に位置し、プランジャ122は、プラットフォーム120内に少なくとも部分的に位置し、皮膚貫通アセンブリ106は、プランジャ122に結合されている。任意選択的に、作動機構はまた、皮膚貫通特徴部116が展開された後、退縮方向114に沿って皮膚貫通特徴部116の退縮を作動させることもできる。作動機構の追加の特徴部および実装が、
図4~
図12Cを参照して、本明細書に記載されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、装置100は、体液の収集を容易にするための真空機構を含む。例えば、装置100は、開口部108上にシーリング部材124(例えば、曲げることができ、かつ/または弾性のある可撓性膜)を含み、内腔126を形成することができる。装置100は、内腔126に流体的に接続されて内腔126の中および外への空気の流れを制御する少なくとも1つの弁128を含むことができる。シーリング部材124は、例えば、プランジャ122を介して皮膚貫通アセンブリ106に機械的に結合され得、その結果、展開方向112に沿った皮膚貫通アセンブリ106の移動は、内腔126の容積を減少させ、退縮方向114に沿った皮膚貫通アセンブリ106の移動は、内腔126の容積を増加させる。弁128は、逆止弁とすることができ、これは、例えば、内腔容積が減少するときに、空気は、内腔126内から逃げることができるが、例えば、内腔容積が増加するときに、空気が内腔126内に入るのを防止する。これにより、皮膚に対して直接的または間接的に作用する内腔126内に低圧領域(例えば、真空)を作り出す。真空機構の追加の特徴部および実装態様は、
図13A~
図18Bを参照して、本明細書に記載されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、装置100は、患者の皮膚および/または体液と相互作用して体液の収集を容易にする皮膚界面を含む。この皮膚界面は、皮膚の曲率を制御して切開部を開放位置に維持し、したがって、皮膚からの体液の流れを促進することができる。皮膚界面はまた、体液の流れを所望の位置に向かって、例えば、ハウジング102中に、そして収集リザーバに向かって方向付ける、表面特徴部および/または表面処理も含むことができる。例えば、装置100は、ハウジング102に結合され、開口部108の少なくとも一部分を被覆する可撓性膜130を含むことができる。可撓性膜130は、屈曲可能であり、かつ/または伸縮可能(例えば、弾性)であり得る。可撓性膜130は、膜130がハウジング102の外側上にあるように、ハウジング102の底面110に結合することができる。あるいは、可撓性膜130は、ハウジング102の内部内にあり得る。可撓性膜130は、任意選択的に、皮膚貫通特徴部116が通過することができるアパーチャを含むことができる。可撓性膜130は、真空に晒されたときに、湾曲した形状に変形する弾性材料(例えば、ポリウレタン、シリコーン)で作製することができる。装置100が患者の身体に適用されたときに、可撓性膜130は、患者の皮膚に対してシールを形成して、皮膚の曲率を制御し、かつ/または皮膚からの体液の流れを方向付けることができる。皮膚界面の追加の特徴部および実装態様は、
図19A~
図25Fを参照して、本明細書に記載されている。
【0021】
図3は、本技術の実施形態により構成された体液収集装置を使用するための方法300のブロック図である。方法300の様々なステップが、装置100の構成要素に関して説明されているが、方法300は、概して、本明細書に開示された体液収集装置のいずれの実施形態にも適用可能であることが理解されよう。
【0022】
方法300は、皮膚貫通特徴部を有する体液収集装置を提供すること(ブロック310)と、皮膚貫通特徴部を患者の皮膚に向かって展開すること(ブロック320)と、を含む。皮膚貫通特徴部の展開は、
図4~
図12Cを参照して本明細書に記載されているように、作動機構によって駆動することができる。いくつかの実施形態では、作動機構は、皮膚貫通アセンブリに機械的に結合されたアクチュエータを含み、その結果、展開方向に沿ったアクチュエータの移動により、皮膚貫通特徴部が駆動されて展開方向に沿って開口部に向かって展開される。例えば、
図2Aの実施形態では、アクチュエータ104は、展開方向112に沿ってプラットフォーム120に係合して移動させ、プラットフォーム120は、展開方向112に沿ってプランジャ122に係合して移動させ、展開方向112に沿ったプランジャ122の移動により、皮膚貫通特徴部116が展開される。いくつかの実施形態では、展開方向112に沿ったプランジャ122の移動により、付勢部材118への負荷が解放され、したがって、付勢部材118に、展開方向112に沿って皮膚貫通特徴部116を能動的に駆動させる。いくつかの実施形態では、付勢部材118には、最初は負荷がかかっていないが、アクチュエータ104、プラットフォーム120、およびプランジャ122の移動により、アクチュエータが皮膚貫通特徴部116を解放する起動ポイントに到達するまで、蓄積エネルギーを使って付勢部材118に負荷をかける。これにより、付勢部材118内の蓄積エネルギーが、一気に解放され、それによって、皮膚貫通特徴部116を皮膚中に高速で駆動することが可能になる。このアプローチにより、より容易な装置アセンブリを可能にし、装置の安定性および安全性を向上させ、装置の保管寿命を伸ばし、付勢部材の疲労を軽減することが期待される。
【0023】
皮膚貫通特徴部は、体液を引き出すために、患者の皮膚の切開部の作成に好適な任意の速度で、展開することができる。本明細書で使用される場合、「速度」は、最大速度、平均速度、または皮膚貫通特徴部が皮膚に接触するときの速度を指す場合がある。いくつかの実施形態では、皮膚貫通特徴部は、約0.1m/s、0.2m/s、0.3m/s、0.4m/s、0.5m/s、0.6m/s、0.7m/s、0.8m/s、0.9m/s、1.0m/s、1.5m/s、2.0m/s、または2.5m/s以上の速度で展開される。いくつかの実施形態では、皮膚貫通特徴部は、約0.1m/s、0.2m/s、0.3m/s、0.4m/s、0.5m/s、0.6m/s、0.7m/s、0.8m/s、0.9m/s、1.0m/s、1.5m/s、2.0m/s、または2.5m/s以下の速度で展開される。いくつかの実施形態では、皮膚貫通特徴部は、約0.1m/s~約2.5m/sの範囲内の速度で展開される。
【0024】
いくつかの実施形態では、皮膚貫通特徴部は、高速度で、例えば、約2.5m/s以上の速度で展開される。皮膚貫通特徴部の高速展開は、剛性または弾性が低い一部の皮膚タイプにとってより効果的な穿通を生じさせ、多量の体液の引き出しを可能にするより大きな切開部を作り出し、またはヒト以外の他の哺乳類への本装置の使用を可能にすることができる。あるいは、いくつかの実施形態では、皮膚貫通特徴部は、低速、例えば、約0.1m/s以下の速度で展開される。皮膚貫通特徴部の低速展開は、患者が経験する痛みを軽減することができる。
【0025】
方法300は、皮膚貫通特徴部を患者の皮膚から離すように退縮させることをさらに含む(ブロック330)。皮膚貫通特徴部は、
図4~
図12Cを参照して本明細書に記載されているように、作動機構によって退縮させることができる。皮膚貫通特徴部は、退縮方向に沿って、ハウジング中に少なくとも部分的にまたは完全に退縮させることができる。いくつかの実施形態では、皮膚貫通特徴部は、展開後に自動的に退縮され、そのため、患者は、退縮を引き起こすためのいかなる追加の動作も実行する必要がない。任意選択的に、皮膚貫通特徴部は、展開方向に沿ったアクチュエータのさらなる移動が皮膚貫通特徴部を再展開しないように、退縮位置にロックされる。
【0026】
方法300は、患者の皮膚に真空を適用することをさらに含む(ブロック340)。例えば、装置は、
図13A~
図18Bを参照して本明細書に記載されているように、皮膚貫通特徴部の展開および退縮と同時に真空を生成する真空機構を含むことができる。例えば、
図2の実施形態では、展開方向112に沿ったプランジャ122の移動は、内腔126の容積を減少させる。空気は、容積が減少するに従って、弁128を介して、内腔126内から逃げることができる。プランジャ122が退縮方向114に沿って移動すると、内腔126の容積は増加するが、一方で、弁128は、空気が内腔126に入るのを防ぐ。したがって、内腔126内の圧力が低下し、内腔126内に真空を作り出して、開口部108を通って体液および/または患者の皮膚の一部分を吸引する。いくつかの実施形態では、弁は、プランジャ122が最も遠い変位位置などの所望の変位位置に到達したときに、機械的に遮断することができる。これにより、局所的な毛細血管を開放し、かつ切開部を開放した構成で維持することによって、皮膚から引き出される体液の量を増やすことが期待される。
【0027】
方法300は、体液を体液収集装置に引き出すことをさらに含む(ブロック350)。皮膚貫通特徴部が、患者の皮膚に切開部を形成すると、切開部からの体液は、開口部を通ってハウジングに、そして収集リザーバに吸引される。任意選択的に、装置は、
図19A~
図25Fを参照して本明細書に記載されているように、皮膚および/または体液と相互作用して、装置への体液の流れを強化する皮膚界面(例えば、可撓性膜)を含むことができる。いくつかの実施形態では、可撓性膜は、皮膚のより広い領域にわたって改善された制御を提供し、したがって、装置が、より多くの毛細血管にアクセスし、引き出し得る体液の量を増加させ、ならびに切開部箇所に近接する血液を収集するための支持体を提供して、血液がユーザの皮膚上を移動するのを防ぐか、または少なくとも軽減することを可能にすることが期待される。これにより、血液が毛細血管から採取された後、抗凝固剤材料を迅速に送達することがさらに可能になる。
【0028】
「吸引量」としても知られる、装置に引き出される体液の量は、体液の下流の試験および分析、例えば、血液サンプルについて実行される診断および/またはバイオマーカー検出のためには、十分に多い可能性がある。本明細書で使用される場合、吸引量とは、患者集団の特定のパーセンテージから、例えば、患者の少なくとも90%から収集することができる体液の最大量を指す場合がある。本装置の吸引量は、患者からの体液の少なくとも約50μL、75μL、100μL、125μL、150μL、175μL、200μL、225μL、250μL、275μL、300μL、325μL、350μL、375μL、400μL、425μL、450μL、475μL、500μL、550μL、600μL、650μL、700μL、750μL、800μL、850μL、900μL、950μL、1mL、1.5mL、または2mLであり得る。いくつかの実施形態では、本装置の吸引量は、患者からの体液の最大約50μL、75μL、100μL、125μL、150μL、175μL、200μL、225μL、250μL、275μL、300μL、325μL、350μL、375μL、400μL、425μL、450μL、475μL、500μL、550μL、600μL、650μL、700μL、750μL、800μL、850μL、900μL、950μL、1mL、1.5mL、または2mLである。いくつかの実施形態では、本装置の吸引量は、約50μL~約2mL、約100μL~約2mL、約100μL~約1.5mL、約100μL~約1mL、または約100μL~約500μLの範囲内である。
【0029】
II.作動機構
本技術の体液収集装置は、皮膚貫通アセンブリを展開する作動機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、この作動機構は、皮膚貫通アセンブリに機械的に結合されているアクチュエータを含み、その結果、アクチュエータの移動により、皮膚貫通アセンブリの皮膚貫通特徴部が、患者の皮膚に向かって展開方向に沿って展開される。皮膚貫通特徴部を展開するこのアクチュエータの移動は、ボタンを押すことなどの、素人にも容易に実行される、単純な単一方向の移動とすることができる。
【0030】
作動機構は、皮膚貫通特徴部に結合されて、展開方向に沿って皮膚貫通特徴部を駆動する付勢部材(例えば、ばね)を含むことができる。この付勢部材は、無負荷状態(例えば、非圧縮状態)、すなわち、負荷がその付勢部材にほとんどまたは全くかけられていない(例えば、エネルギーが付勢部材にほとんどまたは全く蓄積されていない)状態、および負荷状態(例えば、圧縮状態)、すなわち、負荷がその付勢部材にかけられている(例えば、皮膚貫通特徴部116を、所望の速度で駆動するのに十分なエネルギーが、付勢部材に蓄積されている)状態を有することができる。付勢部材の負荷が解放されると、付勢部材は、負荷状態から無負荷状態に遷移し、無負荷状態への付勢部材の遷移により、展開方向への皮膚貫通特徴部の展開が駆動される。
【0031】
いくつかの実施形態では、作動機構は、展開方向に沿ったアクチュエータの移動により、付勢部材への負荷の印加および解放の両方が行われる(「現場で負荷がかけられる」)ように構成される。現場で負荷をかける作動機構は、展開方向に沿って最初の位置からアクチュエータを移動させる前には、付勢部材に負荷をほとんどまたは全くかけない場合がある。例えば、アクチュエータを移動させる前の、付勢部材への負荷は、体液収集装置の動作中における付勢部材への最大負荷の約15%、10%、5%、または1%以下とすることができる。別の例として、最初の位置からアクチュエータを移動させる前の、付勢部材の長さは、その無負荷長の少なくとも約85%、90%、95%、または99%とすることができる。現場で負荷をかける作動機構の利点には、装置アセンブリがより簡単になること、装置の安定性および安全性が向上すること、装置の保管寿命が長くなること、および付勢部材の疲労を軽減することが含まれる。
【0032】
図4は、本技術の実施形態により構成された、現場で負荷をかける作動機構を使用して皮膚貫通特徴部を展開するための方法400のブロック図である。この方法400は、装置100などの、本明細書に開示された任意の体液収集装置にも適用することができる。さらに、方法400の1つ以上のステップは、本明細書に開示された他の方法の任意のステップと組み合わせるか、または代用することができる。例えば、方法400の1つ以上のステップは、方法300のブロック320と組み合わせるか、またはそのサブステップとして実行することができる。
【0033】
方法400は、アクチュエータを所定の位置に移動させることを含む(ブロック410)。この所定の位置は、展開方向に沿った(例えば、患者の皮膚に向かう)位置とすることができる。例えば、患者は、体液収集装置が皮膚に適用されると、アクチュエータを押すことができる。いくつかの実施形態では、所定の位置は、アクチュエータの最初の静止位置から少なくとも約1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、10mm、15mm、または20mmである。
【0034】
この方法は、皮膚貫通特徴部に結合された付勢部材に負荷を加えることをさらに含む(ブロック420)。この負荷は、アクチュエータを展開方向に沿って所定の位置に移動させることによって、付勢部材に加えることができる。付勢部材は、最初は、負荷がほとんどまたは全くかけられていない無負荷状態にあり得、アクチュエータを移動させることにより、付勢部材への負荷を、少なくとも部分的な負荷状態、または完全な負荷状態に増加させることができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、付勢部材に機械的に結合されて、例えば、付勢部材を圧縮することによって、付勢部材に負荷を加える。例えば、付勢部材は、その無負荷長の約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または85%以下である、負荷長に圧縮することができる。
【0035】
次に、この方法は、所定の位置を超えてアクチュエータを移動させることを含む(ブロック430)。例えば、アクチュエータは、例えば、装置が皮膚に適用されている間に、アクチュエータを押し続ける患者によって、展開方向に沿って所定の位置よりも遠い位置に移動させることができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、少なくとも約0.1mm、0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、または5mmの距離だけ、所定の位置を超えて移動する。
【0036】
この方法はまた、付勢部材への負荷を解放することも含む(ブロック440)。負荷は、所定の位置を超えて、展開方向に沿ってアクチュエータを移動させることによって、解放することができる。この方法は、患者の皮膚に向かって皮膚貫通特徴部を駆動することをさらに含む(ブロック450)。皮膚貫通特徴部は、アクチュエータおよび付勢部材の両方によって、患者の皮膚に向かって集合的に駆動することができる。いくつかの実施形態では、所定の位置を超えて、展開方向に沿ってアクチュエータを移動させることにより、付勢部材への負荷が解放され、その結果、付勢部材は、展開方向に沿って皮膚貫通特徴部を能動的に駆動する。例えば、付勢部材は、付勢部材が圧縮状態から非圧縮状態に向かって拡張するに従い、皮膚貫通特徴部を駆動することができる。
【0037】
図5A~
図5Cは、本技術の実施形態により構成された、現場で負荷をかける作動機構500の動作の概略断面図である。この作動機構500は、付勢部材118、プランジャ122、ハウジング102、およびアクチュエータ(図示せず)を含む。皮膚貫通特徴部116は、基部502を介して付勢部材118に結合されている。プランジャ122は、皮膚貫通アセンブリ106の少なくとも一部分の周りに位置付けられ、1つ以上の突起部504を含む。ハウジング102は、ハウジング102内に開口部108および1つ以上のアーム506を含む。
【0038】
アクチュエータを展開方向に沿って移動させる前に(
図5A)、付勢部材118への負荷がほとんどまたは全くないため、付勢部材は、その非圧縮長さまたはその近くに存在する。アクチュエータを展開方向に沿って所定の位置まで移動させることにより(
図5B)、アーム(複数可)506は、基部502に係合して付勢部材118に負荷を加える屈曲構成を採る。例えば、図示してある実施形態では、アクチュエータは、プランジャ122および皮膚貫通アセンブリ106に係合して、それらを開口部108に向かって下向きに移動させる。この下向きの移動により、アーム(複数可)506は、基部502に係合する。アーム(複数可)506は、基部502に対して押し上げる屈曲構成(例えば、内向きに曲げられた構成)にあり、付勢部材118を、基部502とプランジャ122との間で圧縮させる。
【0039】
所定の位置を超えて展開方向に沿ってアクチュエータを移動させると(
図5C)、アーム(複数可)506は、外向きに曲がり、それによって、基部502から係合解除され(例えば、静止構成または解放構成)、続いて付勢部材118への負荷を解放する。例えば、図示してある実施形態では、アクチュエータが下向きに移動し続けると、プランジャ122の突起部(複数可)504は、内向きに屈曲されたアーム(複数可)506と接触する。各突起部504は、対応するアーム506に接触し、例えば、アーム506を外向きに曲げることによって、そのアームを、内向きに屈曲された構成から、解放された構成に変位させる。解放構成になると、アーム(複数可)506は、基部502から係合解除され、付勢部材118への圧縮を解放する。付勢部材118は、その非圧縮長に戻り、開口部108に向かって下向きに皮膚貫通特徴部116を駆動する。
【0040】
作動機構500の特徴は、必要に応じて変更することができる。例えば、
図5A~
図5Cは、2つの突起部および2つのアームを有する機構500を例示しているが、代替の実施形態は、任意の適切な数の突起部およびアームを含むことができる。いくつかの実施形態では、機構500は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを超える突起部、および1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを超えるアームを含むことができる。突起部(複数可)504およびアーム(複数可)506の位置付けもまた、変更することができる。例えば、突起部(複数可)504は、ハウジング102上にあってもよく、アーム(複数可)506は、プランジャ122上にあってもよい。さらに、
図5A~
図5Cは、アーム(複数可)506が突起部(複数可)504によって外向きに変位されて付勢部材118を解放するように例示しているが、代替の実施形態では、アーム(複数可)506は、突起部(複数可)504によって内向きに変位されて付勢部材118を解放することができる。
【0041】
図6A~
図10は、本技術の実施形態により構成された、現場で負荷をかける作動機構を有する体液収集装置100を例示する。この装置100は、ハウジング102、アクチュエータ104、および皮膚貫通アセンブリ106を含む。ハウジング102は、上部ハウジング部分602Aおよび下部ハウジング部分602Bを含む。いくつかの実施形態では、上部ハウジング部分602Aおよび下部ハウジング部分602Bは、一緒に結合されてハウジング102を形成する別個の構成要素である。代替の実施形態では、上部ハウジング部分602Aおよび下部ハウジング部分602Bは、単一の単体構成要素として一体化して形成することができる。上部ハウジング部分602Aは、アクチュエータ104を受容するように成形されている。下部ハウジング部分602Bは、開口部108を有する底面110を含む。
【0042】
アクチュエータ104は、装置100の上部ハウジング部分602A内に少なくとも部分的に存在する。いくつかの実施形態では、アクチュエータ104は、患者によって展開方向112に沿って押し下げられると、皮膚貫通アセンブリ106の皮膚貫通特徴部116を展開するように位置付けられた中空のボタン状構造体である。アクチュエータ104は、プラットフォーム120、ワッシャ604、シーリング部材124、および/またはプランジャ122などの1つ以上の内部装置構成要素を介して、皮膚貫通アセンブリ106に機械的に結合することができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ104は、プラットフォーム120の少なくとも一部分の周りに位置付けられ、プラットフォーム120は、ワッシャ604の少なくとも一部分の周りに位置付けられ、ワッシャ604は、シーリング部材124の少なくとも一部分の周りに位置付けられ、シーリング部材124は、プランジャ122の少なくとも一部分の周りに位置付けられる。アクチュエータ104、プラットフォーム120、ワッシャ604、シーリング部材124、およびプランジャ122は、同心円状に位置付けられ、その結果、これらの構成要素の長手方向軸(例えば、展開方向112に沿って延びる軸)は、一直線に整列される。
【0043】
アクチュエータ104、プラットフォーム120、ワッシャ604、シーリング部材124、およびプランジャ122は、相補的に相互接続する特徴部(例えば、ノッチ、溝、突起部、タブなど)の任意の好適な組み合わせを使用して、互いに結合することができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ104の下部縁端部606は、アクチュエータ104が展開方向112に沿って移動したときに、プラットフォーム120の少なくとも1つのタブ特徴部608に係合する。この少なくとも1つのタブ特徴部608は、プラットフォーム120の外面から半径方向の外向きに延在して、アクチュエータ104の下部縁端部606を受容して、それに係合することができる。いくつかの実施形態では、プラットフォーム120は、プラットフォーム120が展開方向112に沿って移動したときに、ワッシャ604の少なくとも1つのタブ特徴部612に係合する少なくとも1つの突出特徴部610を含む。この少なくとも1つの突出特徴部610は、プラットフォーム120の内面から半径方向の内向きに延在することができ、少なくとも1つのタブ特徴部612は、ワッシャ604の外面から半径方向の外向きに延在することができる。任意選択的に、
図6C~
図6Dに示すように、ワッシャ604は、ワッシャ604の外面に沿って均等に離間された3つのタブ特徴部を含むことができる。いくつかの実施形態では、ワッシャ604の下部縁端部614は、ワッシャ604が展開方向112に沿って移動したときに、シーリング部材124、およびプランジャ122のカラー特徴部616に係合する。このカラー特徴部616は、プランジャ122の外面から半径方向の外向きに延在して、ワッシャ604の下部縁端部614を受容してそれに係合することができる。
【0044】
アクチュエータ104、プラットフォーム120、ワッシャ604、シーリング部材124、およびプランジャ122は、別個の構成要素として
図6A~
図6Eに図示してあるが、これらの構成要素のうちの1つ以上はまた、互いに一体化して形成することができる。例えば、シーリング部材124およびプランジャ122は、例えば、オーバーモールド法によって、単一の単体構成要素として一体化して形成することができる。別の例として、ワッシャ604、シーリング部材124、およびプランジャ122は、例えば、オーバーモールド法によって、単一の単体構成要素として一体化して形成することができる。このようなアプローチは、構成要素の数を削減して装置アセンブリを単純化するために有益であり得る。
【0045】
皮膚貫通アセンブリ106は、プランジャ122に機械的に結合されている。いくつかの実施形態では、皮膚貫通アセンブリ106は、プランジャ122の内面に結合され、その結果、プランジャ122は、皮膚貫通アセンブリの少なくとも一部分の周りに存在する。皮膚貫通アセンブリ106は、付勢部材118、基部502、および少なくとも1つの皮膚貫通特徴部116を含むことができる。付勢部材118は、プランジャ122の内面に結合された上部、および基部502に結合された下部を有することができる。皮膚貫通特徴部116は、基部502に取り付けることができる。
【0046】
この装置100は、開口部108の近くのハウジング102内に少なくとも1つのアーム506を含む。このアーム506は、下部ハウジング部分502Bと一体化して形成することができるか、または下部ハウジング部分502Bに結合される別個の構成要素とすることができる。アーム506は、屈曲構成(例えば、内向きに屈曲された構成)と静止構成(例えば、直線状または外向きに屈曲された構成)との間で移動可能である可撓性構成要素とすることができる。
【0047】
図6Aは、展開方向112に沿ってアクチュエータ104が移動する前の装置100の断面図である(「作動前状態」)。作動前状態では、アーム506は、最初、基部502に係合する屈曲構成にある。基部502は、アーム506の端部620を受容するフック特徴部618を含むことができる。このフック特徴部618は、アーム506を屈曲構成に拘束し、アーム506が解放構成に戻るのを防止することができる。アクチュエータ104が展開方向112に沿って所定の位置まで移動すると(「作動状態」)、上述したように、プラットフォーム120、ワッシャ604、シーリング部材124、およびプランジャ122もまた、それらのそれぞれの相互接続特徴部の係合によって、展開方向112に沿って移動する。したがって、アーム506は、基部502とプランジャ122との間で付勢部材118を圧縮させ、したがって、付勢部材118に負荷を加える。
【0048】
図7は、アクチュエータ104が所定の位置を超えて移動したとき(「展開状態」)の、装置100の断面図であり、
図8は、アクチュエータ104が展開方向112に沿って最大位置にあるとき(「ピーク展開状態」)の、装置100の断面図である。アクチュエータ104が所定の位置を超えて移動すると、プランジャ122は、アーム506の端部620がプランジャ122内の少なくとも1つの突起部504に接触するまで、アーム506に向かって移動する。基部502は、アーム506の端部620と、突起部504との間の接触を可能にするための、フック特徴部618内に形成されたノッチを含むことができる。突起部504は、アーム506と接触してそれをフック特徴部618から外向きに変位させる傾斜面622を含み、その結果、アーム506は、屈曲構成から解放構成に移動する。この解放構成では、アーム506は、基部502から係合解除されて、突起部504と、プランジャ122の側壁626との間に形成されたチャネル624内で外向きに偏向する。
【0049】
アーム506が基部502を係合解除すると、付勢部材118への負荷は、解放され(例えば、蓄積エネルギーが解放され)、付勢部材118は、開口部108に向かって基部502および皮膚貫通特徴部116を駆動する。プランジャ122は、任意選択的に、展開方向112に沿った皮膚貫通特徴部116の移動を制限するためのラッチ部分628を含むことができる。いくつかの実施形態では、このラッチ部分は、基部502上の相補的な停止特徴部630に係合して、展開方向112に沿った、基部502および皮膚貫通特徴部116の移動を停止する。ラッチ部分628は、プランジャ122の上部632から離れて位置付けることができ、上部632およびラッチ部分628からの距離は、皮膚貫通特徴部116が所望の穿通速度を達成することができるように構成されている。例えば、この距離は、少なくとも約1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、または10mmとすることができる。いくつかの実施形態では、その距離は、約4mm~約8mmの範囲内とすることができる。
【0050】
図9は、皮膚貫通特徴部116の退縮後の装置100の断面図である(「退縮状態」)。いくつかの実施形態では、装置100の作動機構はまた、患者による、装置構成要素の任意の追加の作動を必要とすることなく、展開後に皮膚貫通特徴部116を自動的に退縮させる。例えば、装置100は、開口部108から離れる退縮方向114に沿って皮膚貫通特徴部116を付勢するように構成された第2の付勢部材634(例えば、ばね)を含むことができる。この第2の付勢部材634は、第2の付勢部材634にほとんどまたは全く負荷がかかっていない無負荷状態(例えば、非圧縮状態)、および第2の付勢部材634に負荷がかかっている負荷状態(例えば、圧縮状態)を有することができる。第2の付勢部材634への負荷が解放されると、第2の付勢部材634は、負荷状態から無負荷状態に向かって移動し、無負荷状態に向かう第2の付勢部材634の移動により、皮膚貫通特徴部116の退縮が駆動される。
【0051】
第2の付勢部材は、アクチュエータ104と下部ハウジング部分602Bとの間に結合させることができる。
図7および
図8に示すように、展開方向に沿ったアクチュエータ104の移動は、第2の付勢部材634を圧縮し、したがって、第2の付勢部材634に負荷を加えて、エネルギーを第2の付勢部材634に蓄積させる。患者またはユーザがアクチュエータ104を押すことを停止すると、第2の付勢部材634への負荷が解放され、第2の付勢部材634に、退縮方向114に沿ってアクチュエータ104を駆動させる。退縮方向114に沿ったアクチュエータ104の移動はまた、上述したように、それぞれの相互接続特徴部の係合によって、退縮方向114に沿ってプラットフォーム120、ワッシャ604、シーリング部材124、およびプランジャ122も移動させる。退縮方向114に沿ったプランジャ122の移動はまた、退縮方向114に沿って開口部108から離れるように、付勢部材118、基部502、および皮膚貫通特徴部116も退縮させる。第2の付勢部材634がプラットフォーム120、プランジャ122、およびシーリング部材124を退縮方向114に移動させると、シーリング部材124内の容積が増加して、患者から血液を吸引する、シーリング部材124によって囲まれた容積内の圧力(例えば、真空)が低下する。
【0052】
図10は、アクチュエータ104が皮膚貫通特徴部116の退縮後に展開方向112に沿って移動したときの装置100の断面図である(「再作動状態」)。装置100は、皮膚貫通特徴部116が既に退縮された後に、皮膚貫通特徴部116の再展開を防止するように構成されたロック機構を含むことができる。したがって、患者がアクチュエータ104を再度押したとしても、皮膚貫通特徴部116は、ハウジング102内に保持され、展開しない。ロック機構の追加の特徴部および実装態様は、
図12A~
図12Cを参照して、本明細書に記載されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、本技術の体液収集装置は、皮膚貫通特徴部の展開を駆動する付勢部材がアクチュエータの移動の前に部分的または完全に負荷される(「事前負荷」)、作動機構を含む。したがって、展開方向に沿ったアクチュエータの移動は、追加の負荷がほとんどまたは全く加わらない状態で、付勢部材への負荷を簡単に解放する。
【0054】
図11A~
図11Hは、本技術の実施形態により構成された、事前負荷された作動機構の動作の概略上面図および断面図である。この作動機構は、展開アセンブリ1100(
図11A~
図11D)および退縮アセンブリ1150(
図11E~
図11G)を含む。
図11A(上面図)および
図11B(断面図)に示すように、展開アセンブリ1100は、プレート1102、プレート1102内のアパーチャ1104、およびアパーチャ1104を通って延在するシャフト1106を含む。このシャフト1106は、上端部分1108Aおよび下端部分1108Bを含む。その上端部分1108Aは、アパーチャ1104の形状に相補的な形状を有する少なくとも1つの停止特徴部1110に結合されている。例えば、停止特徴部1110は、シャフト1106から半径方向の外向きに突出する1つ以上のタブを含むことができ、アパーチャ1104は、1つ以上のタブを受容するように成形された1つ以上の凹部を含むことができる。下端部分1108Bは、皮膚貫通特徴部116を支持する基部502に結合されている。付勢部材118は、プレート1102の下面と、基部502の上面との間のシャフト1106の周りに少なくとも部分的に位置付けられている。
【0055】
図11Aおよび
図11Bに示すように、体液収集装置の作動前に、停止特徴部1110は、停止特徴部1110がアパーチャ1104と整列しないように、プレート1102の上面に配向される。例えば、停止特徴部1110は、アパーチャ1104に対して回転することができ、このため、停止特徴部1110の突起部は、アパーチャ1104の対応する凹部の上ではなく、代わりに、プレート1102の上面に対向している。したがって、停止特徴部1110により、シャフト1106、基部502、および皮膚貫通特徴部116の、展開方向への移動が防止される。シャフト1106の長さは、付勢部材118が、少なくとも部分的に負荷された状態で、基部502とプレート1102との間に保持されるように選択することができる。例えば、付勢部材118は、その無負荷長の約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または85%以下の負荷長で保持することができる。
【0056】
体液収集装置の作動中、展開方向に沿ったアクチュエータの移動により、例えば、回転方向1112に沿って、停止特徴部1110の回転運動が引き起こされる。回転方向1112は、時計回り方向または反時計回り方向とすることができる。
図11C(上面図)および
図11D(断面図)に示すように、回転運動により、停止特徴部1110がアパーチャ1104と整列し、その結果、停止特徴部1110は、アパーチャ1104を通過することができる。例えば、停止特徴部1110は、停止特徴部1110の突起部がアパーチャ1104の対応する凹部の上に存在するように回転することができる。停止特徴部1110の、アパーチャ1104との整列は、付勢部材118への負荷を解放する。付勢部材118をその負荷長に拘束する停止特徴部1110がないと、付勢部材118は、その無負荷長に向かって延びることができ、したがって、展開方向112に沿って、患者の皮膚に向かって基部502および皮膚貫通特徴部116を駆動する。
【0057】
退縮アセンブリ1150は、展開アセンブリ1100と組み合わせて使用して、展開後に皮膚貫通特徴部116を退縮することができる。例えば、退縮アセンブリ1150は、展開アセンブリ1100および/または皮膚貫通特徴部116の少なくとも一部分の周りに存在してもよい。
図11E(上面図)および
図11F(断面図)に示すように、退縮アセンブリ1150は、外面1154Aおよび内面1154Bを有するキャップ1152を含む。このキャップ1152は、外面1154Aから半径方向の外向きに延在する1つ以上の突起部1156を含む。第2の付勢部材634は、キャップ1152の内面1154Bに形成された溝1158内に受容される。第2の付勢部材634は、キャップ1152の内側カラー1160と、装置のハウジング102との間で結合されている。退縮アセンブリ1150は、キャップ1152に向かって半径方向の内向きに延在する1つ以上のラッチ特徴部1162をさらに含む。ラッチ特徴部1162は、ハウジング102などの、皮膚貫通特徴部116に対して静止している装置の一部分の上に存在することができる。
【0058】
図11Eおよび
図11Fに示すように、皮膚貫通特徴部116の展開の前に、キャップ1152は、突起部1156がラッチ特徴部1162と整列されるように、配向することができる。ラッチ特徴部1162は、キャップ1152がハウジング102に対して所定の位置に保持されるように、突起部1156に係合することができる。キャップ1152内の溝1158の高さは、第2の付勢部材634が、少なくとも部分的に負荷状態で、内側カラー1160とハウジング102との間に保持されるように、選択することができる。例えば、第2の付勢部材634は、その無負荷長の約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または85%以下である負荷長に保持することができる。
【0059】
皮膚貫通特徴部の展開により、例えば、回転方向1164に沿って、キャップ1152の回転運動が引き起こされる。回転方向1164は、時計回り方向または反時計回り方向とすることができる。
図11G(上面図)および
図11H(断面図)に示すように、回転運動により、ラッチ特徴部1162が突起部1156との整列から外れ、したがって、第2の付勢部材634への負荷を解放する。第2の付勢部材634は、その無負荷長に向かって延びることができ、したがって、退縮方向114に沿ってキャップ1152を駆動する。キャップ1152は、皮膚貫通特徴部116に機械的に結合することができ、その結果、第2の付勢部材634の、その無負荷長への移動により、退縮方向114に沿って患者の皮膚から離れるように皮膚貫通特徴部116が移動する。
【0060】
展開アセンブリ1100および退縮アセンブリ1150の特徴部は、必要に応じて変更することができる。例えば、停止特徴部1110および/またはアパーチャ1104の様々な数、サイズ、および/または形状を使用することができる。いくつかの実施形態では、停止特徴部1110は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを超えるタブ含み、アパーチャ1104は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを超える対応する凹部を含む。別の例として、突起部1156および/またはラッチ特徴部1162の数、サイズ、および/または形状は、必要に応じて変更することができる。例えば、退縮アセンブリ1150は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを超える突起部、および1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを超えるラッチ特徴部を含むことができる。
【0061】
本技術の体液収集装置は、皮膚貫通特徴部が展開されて装置に退縮された後に、皮膚貫通特徴部の再展開を防止するように構成されたロック機構を含むことができる。このロック機構により、装置の単回使用のみを行うことによって安全性を向上させ、したがって、汚染された装置の損傷または偶発的な再利用の危険性を低減することが期待される。いくつかの実施形態では、ロック機構は、退縮前構成と退縮後構成との間で移動可能である切り替え可能な特徴部を含む。切り替え可能な特徴部は、最初は、退縮前構成とすることができ、皮膚貫通特徴部の退縮に伴って、退縮後構成に移動することができる。退縮後構成では、切り替え可能な特徴部により、1つ以上の装置構成要素(例えば、アクチュエータ、プランジャ、皮膚貫通アセンブリ)の移動を制限して、アクチュエータが展開方向に沿って移動したとしても、皮膚貫通特徴部が再展開するのを防止することができる。例えば、切り替え可能な特徴部により、1つ以上の装置構成要素が、退縮前の移動経路とは異なる移動経路に沿って移動することを制限することができ、皮膚貫通特徴部を再展開することを許可しない。
【0062】
図12A~
図12Cは、本技術の実施形態により構成されたロック機構1200の動作の概略断面図である。このロック機構1200は、本明細書に開示された体液収集装置の任意の実施形態に組み込むことができる。例えば、ロック機構1200は、
図6A~
図10の装置100に組み込むことができる。別の例として、ロック機構1200は、
図11A~
図11Hの作動機構と組み合わせて使用することができる。
【0063】
ロック機構1200は、1つ以上の切り替え可能な特徴部1202および1つ以上のガイド特徴部1204を含む。切り替え可能な特徴部1202は、リング122’またはアクチュエータ104(図示せず)などの、皮膚貫通特徴部116に機械的に結合されている構成要素の上にある。ガイド特徴部1204は、ハウジング102(図示せず)などの、皮膚貫通特徴部116に対して静止したままである装置の構成要素の上に存在することができる。
【0064】
切り替え可能な特徴部1202は、退縮前構成と退縮後構成との間で移動可能である。
図12Aに示すように、アクチュエータが展開方向112に沿って移動する前に、切り替え可能な特徴部1202は、最初、ガイド特徴部1204の第1の表面1208Aに沿ってそれらの接触部分1206と共に退縮前構成の状態にある。例えば、退縮前構成では、切り替え可能な特徴部1202は、ガイド特徴部1204の外面に沿って接触部分1206と共に半径方向の外向きに曲げることができる。第1の表面1208Aは、接触部分1206に負荷を加えて、切り替え可能な特徴部1202を退縮前構成に維持し、切り替え可能な特徴部1202が退縮後構成に戻るのを防ぐ。
【0065】
図12Bに示すように、リング122’が皮膚貫通特徴部116の展開中に展開方向112に沿って移動すると、切り替え可能な特徴部1202の接触部分1206は、それらがガイド特徴部1204の端部1210に到達するまで、第1の表面1208Aに対面して展開方向112に沿ってスライドし、接触部分1206への負荷を解放し、切り替え可能な特徴部1202が退縮後構成に戻るのを可能にする。切り替え可能な特徴部1202が退縮後構成に移動することは、線形、半径方向、および/または回転の運動を含むことができる。いくつかの実施形態では、切り替え可能な特徴部1202の移動は、線形および/または半径方向の運動のみを含むことができ、いかなる回転運動も伴わない。例えば、退縮後構成では、切り替え可能な特徴部1202は、半径方向の内向きに曲げることができる。
【0066】
図12Cに示すように、リング122’が皮膚貫通特徴部116の退縮中に退縮方向114に沿って移動すると、切り替え可能な特徴部1202の接触部分1206は、ガイド特徴部1204の第2の表面1208Bに対して退縮方向114に沿ってスライドする。第2の表面1208Bは、ガイド特徴部1204の内面とすることができる。切り替え可能な特徴部1202は、退縮後構成に向かって付勢され得、その結果、切り替え可能な特徴部1202は、リング122’が続いて展開方向112に沿って移動したとしても、退縮前構成に戻らない。切り替え可能な特徴部1202の退縮後構成は、皮膚貫通特徴部116が再展開されるのを防ぐ、移動経路へのリング122’の移動を制限することができる。例えば、リング122’は、リング122’が移動経路に沿って移動する間に、皮膚貫通特徴部116の展開に関与する1つ以上の装置構成要素(例えば、アクチュエータ、プラットフォーム、カラー、皮膚貫通アセンブリ)から係合解除することができる。
【0067】
ロック機構1200の特徴部は、必要に応じて変更することができる。例えば、
図12A~
図12Cは、2つの切り替え可能な特徴部および2つのガイド特徴部を有する機構1200を例示しているが、代替の実施形態は、任意の適切な数の切り替え可能な特徴部およびガイド特徴部を含むことができる。いくつかの実施形態では、機構1200は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを超える切り替え可能な特徴部、および1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを超えるガイド特徴部を含むことができる。切り替え可能な特徴部およびガイド特徴部の位置付けもまた、変更することができる。例えば、切り替え可能な特徴部1202は、アクチュエータ、プラットフォーム、カラー、プランジャ、および/または皮膚貫通アセンブリの上にあってもよい。切り替え可能な特徴部1202およびガイド特徴部1204の位置付けはまた、切り替え可能な特徴部1202が、皮膚貫通特徴部116に対して静止したままである構成要素の上に存在し、ガイド特徴部1204が、皮膚貫通特徴部116と共に移動する構成要素の上に存在するように、逆であってもよい。さらに、
図12A~
図12Cは、切り替え可能な特徴部1202の接触部分1206が、退縮前構成では外向きに、そして退縮後構成では内向きに曲げられていることを例示しているが、代替の実装態様では、接触部分1206は、退縮前構成では内向きに、そして退縮後構成では外向きに曲げることができる。
【0068】
III.真空機構
本技術の体液収集装置は、患者の皮膚に真空を適用して、より大量の体液の引き出しを容易にするように構成された真空機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、真空は、皮膚を、皮膚内の毛細血管を開いて体液の局所的な流れを増大させる湾曲した形状に変形させ、また、開いた構成での切開部を維持して体液の、装置への引き出しも促進する。例えば、真空は、上述したシーリング部材124などの、可撓性膜内の容積を膨張させることによって適用することができ、硬いカップから空気を能動的に吸引すること(例えば、吸引カップから空気を引き出すこと)とは対照的である。体液収集装置の動作における他のステップに対する真空適用のタイミングは、必要に応じて変更することができる。例えば、真空は、皮膚を貫通するための皮膚貫通特徴部の展開の前、同時、および/または後に適用することができる。別の例として、真空は、皮膚貫通特徴部を皮膚から離れるように退縮させる前、同時、および/または後に適用することができる。本技術の真空機構は、
図4~
図12Cを参照して説明した作動機構などの、本明細書に開示された任意の作動機構と組み合わせて使用することができる。
【0069】
図13A~
図13Dは、例えば、本技術の実施形態により構成された、患者の皮膚250に適用される真空の概略断面図である。この装置は、最初、ハウジング102および開口部108を皮膚250に接触させるように患者の身体に適用される(
図13A)。真空が、皮膚250に適用されて、皮膚250の少なくとも一部分を湾曲した形状に引っ張る(
図13B)。皮膚250は、開口部108を通ってハウジングの内部に、少なくとも部分的に引っ張られるなど、装置内に少なくとも部分的に引っ張ることができる。皮膚250が真空下にある間に、皮膚貫通特徴部116が展開され、皮膚250を貫通して切開部1300を作成する(
図13C)。次いで、皮膚貫通特徴部116は、退縮され、体液が切開部1300からハウジング102内に流れるのを可能にすることができる(
図13D)。
【0070】
図14A~
図14Cは、本技術の実施形態により構成された、患者の皮膚250に適用される真空の概略断面図である。この装置は、最初、ハウジング102および開口部108を皮膚250に接触させるように患者の身体に適用される(
図14A)。真空が、皮膚250に適用されて、皮膚250の少なくとも一部分を湾曲した形状に引っ張る(
図14B)。皮膚250は、開口部108を通ってハウジング102の内側などの装置内に、少なくとも部分的に引っ張られ得、皮膚貫通特徴部116は、皮膚250を貫通して切開部1300を作成することができる。いくつかの実施形態では、皮膚貫通特徴部116は、皮膚250が皮膚貫通特徴部116と接触するように引っ張られるときに、静止した状態に保持される。あるいは、皮膚貫通特徴部116は、真空が適用されたときに、皮膚250に向かって同時に展開することができる。次いで、皮膚貫通特徴部116は、退縮されて、体液が切開部1300からハウジング102に流れるのを可能にすることができる(
図14C)。
【0071】
いくつかの実施形態では、体液収集装置は、既存の真空源を含まない。代わりに、装置は、皮膚貫通特徴部の展開および/または退縮と協同して真空を生成する真空機構を含む(「動的に生成された真空」)。例えば、この真空機構は、最初、大気圧またはその付近にある内腔を含むことができる(例えば、ゲージ圧力は、約0kPaである)。装置が作動すると(例えば、皮膚貫通特徴部の展開および/または退縮中に)、真空機構は、内腔からガスを引き出すことによって内腔内に真空を作り出すことと対照的に、内腔の容積を拡張することによって内腔内の圧力を大気圧未満に下げることができる。例えば、内腔は、約~10kPa、~15kPa、~20kPa、~25kPa、~30kPa、~35kPa、~40kPa、~45kPa、~50kPa、~55kPa、または~60kPa以下のゲージ圧力にすることができる。内腔は、皮膚、または皮膚と接触する装置構成要素(例えば、可撓性膜)と流体接続して、皮膚に真空を直接的または間接的に適用することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、内腔は、体液収集装置の1つ以上の移動可能な構成要素に機械的に結合され、その結果、展開方向に沿った構成要素の移動により、内腔の容積を減少させ、退縮方向に沿った構成要素の移動により、内腔の容積が増加する。例えば、内腔は、内腔の容積を増減するのに変形可能であるシーリング部材(例えば、可撓性膜)から少なくとも部分的に形成することができる。別の例では、内腔は、一方のシリンダを他方のシリンダに対してスライドさせることができる2つの硬い接触したシリンダから形成することができる。真空機構は、内腔に流体接続されて内腔の空気の流れの出入りを制御する少なくとも1つの弁をさらに含むことができる。この弁は、一方向弁(例えば、逆止弁)とすることができ、その弁は、内腔容積が減少したときに空気が内腔内から逃げるのを可能にするが、内腔容積が増加したときに空気が内腔に入るのを防いで、内腔内に真空を動的に生成する。他の実施形態では、その弁は、作動機構が完全作動の前またはそれと同時に所定の位置に到達すると、機械的に閉じることができる。
【0073】
図15A~
図15Cは、本技術の実施形態により構成された、動的に生成された真空機構1500の動作の概略断面図である。真空機構1500は、シーリング部材124を含み、そのシーリング部材は、体液収集装置のハウジング102の開口部108の上に少なくとも部分的に存在する。シーリング部材124は、外側部分1502Aおよび内側部分1502Bを有する。シーリング部材124の外側部分1502Aは、ハウジング102に接続され、シーリング部材124の内側部分1502Bは、プランジャ122に接続され、したがって、開口部108と流体接続する内腔126を形成する。プランジャ122は、内腔126と流体接続する弁128(例えば、傘弁)を含む。プランジャ122は、本明細書に記載されているように、皮膚貫通アセンブリ106(図示せず)に接続することができる。
【0074】
この装置は、最初、開口部108を患者の皮膚に接触させるように患者の身体に適用され、その結果、内腔126は、シーリング部材124、プランジャ122、ハウジング102、および皮膚との間でシールされる。装置のアクチュエータが移動する前に(
図15A)、内腔126内の圧力は、大気圧またはその付近にあり、弁128は、閉じている。アクチュエータが展開方向に沿って移動すると(例えば、皮膚貫通特徴部を展開するために)、プランジャ122もまた、開口部108に向かって展開方向に沿って移動し、したがって、内腔126の容積を低減させる(
図15B)。この容積の低減により、内腔126内の対応する圧力の増加をもたらし、弁128を開放させて、空気が内腔126内から逃げるのを可能にする。例えば、弁128は、内腔内のゲージ圧力が約0.1kPa、0.2kPa、0.3kPa、0.4kPa、0.5kPa、0.6kPa、0.7kPa、0.8kPa、0.9kPa、1.0kPa、1.5kPa、2kPa、2.5kPa、3.0kPa、または4kPa以上のときに、開くように構成することができる。
【0075】
プランジャ122が退縮方向に沿って開口部から離れるように移動すると(例えば、皮膚貫通特徴部が退縮されると)、内腔126の容積は増加する(
図15C)。弁128は、容積が増加したときに、空気が内腔126に入るのを防ぎ、したがって、内腔126内の圧力の対応する減少をもたらす。減少した圧力は、患者の皮膚を、装置中に少なくとも部分的に引っ張る(例えば、皮膚を、開口部108を通って内腔126中に少なくとも部分的に引っ張る)真空をもたらす。
【0076】
図6A~
図9に戻って参照すると、体液収集装置100は、本技術の実施形態により構成された、動的に生成された真空機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、真空機構は、シーリング部材124を含む。シーリング部材124は、ハウジング102およびプランジャ122に結合されて、内腔126を画定する。シーリング部材124は、内腔126の容積が減少する収縮構成と、内腔126の容積が増加する拡張構成との間で移動可能であり得る。いくつかの実施形態では、シーリング部材124は、プランジャ122に機械的に結合され、その結果、プランジャ122の移動もまた、収縮構成と拡張構成との間でシーリング部材124を移動させる。
【0077】
シーリング部材124、ハウジング102、およびプランジャ122は、気密性のある接続を介して互いに接続されて、内腔126内の低圧力領域(例えば、真空)の作成を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、シーリング部材124の外側部分1502Aは、ハウジング102と保持要素640との間に結合されている。保持要素640は、ハウジング102の円筒形部分642に対して外側部分1502Aを圧縮して、シーリング部材124とハウジング102との間に、気密性のある接続を作り出すリング状構造体とすることができる。シーリング部材124の内側部分1502Bは、プランジャ122の上面に接続されている。弁128(例えば、傘弁)は、プランジャ122の上面を通って延在して、内腔126の空気の流れの出入りを制御する。
【0078】
装置のアクチュエータが移動する前に(
図6A)、内腔126内の圧力は、大気圧またはその付近にあり、弁128は、閉じている。皮膚貫通特徴部116の展開中に(
図7および
図8)、プランジャ122は、展開方向112に沿って移動し、したがって、シーリング部材124を収縮構成に移動させ、内腔126の容積を低減させる。この容積の低減により、内腔126内の対応する圧力の増加をもたらし、弁128を開放させて、空気が内腔126内から逃げるのを可能にする。
【0079】
皮膚貫通特徴部116の退縮中に(
図9)、プランジャ122は、退縮方向114に沿って移動し、したがって、シーリング部材124を拡張構成に引っ張り、内腔126の容積を増加させる。弁128は、容積が増加したときに、空気が内腔126に入るのを防ぎ、したがって、内腔126内の圧力の対応する減少をもたらす。圧力が減少すると、患者の皮膚を、開口部108を通って内腔126中に少なくとも部分的に引っ張る、真空をもたらす。
【0080】
図16A~
図16Cは、本技術の実施形態により構成された、動的に生成された別の真空機構1600の動作の概略断面図である。真空機構1600は、ハウジング102およびプランジャ122に接続されて内腔126を形成するシーリング部材124を含む。内腔126は、ハウジング102内の1つ以上の開口部108と流体接続している。プランジャ122は、内腔126と流体接続する弁128を含む。ハウジング102は、弁128に向かって内腔126内に延在する尖端部1602を含む。弁128は、尖端部1602との係合によって開閉される機械的に作動する弁とすることができる。
【0081】
この装置は、最初、開口部108を患者の皮膚に接触させるように患者の身体に適用され、その結果、内腔126は、シーリング部材124、プランジャ122、ハウジング102、および皮膚との間でシールされる。装置のアクチュエータが移動する前に(
図16A)、内腔126内の圧力は、大気圧またはその付近にあり、弁128は、閉鎖されている。アクチュエータが展開方向に沿って移動すると(例えば、皮膚貫通特徴部を展開するために)、プランジャ122もまた、展開方向に沿って開口部108に向かって移動し、したがって、尖端部1602は、弁128と接触する(
図16B)。尖端部1602は、弁128と係合して、それを開放し、空気が内腔126内から逃げるのを可能にすることができる。
【0082】
プランジャ122が退縮方向に沿って開口部から離れるように移動すると(例えば、皮膚貫通特徴部が退縮されると)、尖端部1602は、弁128から係合解除される(
図16C)。尖端部1602は、それが弁128から係合解除されると、弁128を閉鎖して、したがって、空気が内腔126に入るのを防ぐことができる。したがって、内腔126の容積が増加すると、内腔126内の圧力が減少し、開口部108を通って内腔126内に患者の皮膚を少なくとも部分的に引っ張る真空をもたらす。
【0083】
図17Aおよび
図17Bは、本技術の実施形態により構成された、皮膚貫通アセンブリ106内に一体化された、動的に生成された真空機構の動作の概略断面図である。この機構1700では、皮膚貫通アセンブリ106自体は、弁128の一部を形成する。例えば、弁128は、弁部材1702(例えば、円板、シール、またはパッキン)、および真空内腔(図示せず)に接続する開口部1704を含むことができる。弁部材1702は、開口部1704に対して配置されたときに気密シールを形成するゴムまたは同様の材料で作製することができる。弁部材1702は、皮膚貫通特徴部116の近くなどの皮膚貫通アセンブリ106の上に存在することができる。皮膚貫通アセンブリ106は、プランジャ122内に少なくとも部分的に存在することができ、開口部1704は、プランジャ122内に形成することができる。弁128は、弁部材1702が開口部1704から離れているときに(例えば、皮膚貫通特徴部116の展開前に)、開放することができる(
図17A)。弁128は、皮膚貫通特徴部および弁部材1702が開口部1704に接触しているときに(例えば、皮膚貫通特徴部116の展開後に)、閉鎖することができる(
図17B)。
【0084】
図18Aおよび
図18Bは、本技術の実施形態により構成された皮膚貫通アセンブリ106内に一体化された、動的に生成された真空機構を有する体液収集装置100の断面図である。この装置100は、ハウジング102、アクチュエータ104、および皮膚貫通アセンブリ106を含む。ハウジング102は、上部ハウジング部分602Aおよび下部ハウジング部分602Bを含む。上部ハウジング部分602Aは、アクチュエータ104を受容するように成形されている。下部ハウジング部分602Bは、開口部108を有する底面110を含む。
【0085】
アクチュエータ104は、装置100の上部ハウジング部分602A内に少なくとも部分的に存在する。アクチュエータ104は、プラットフォーム120、プランジャ122、および/またはシーリング部材124などの1つ以上の内部装置構成要素を介して、皮膚貫通アセンブリ106に機械的に結合されている。いくつかの実施形態では、アクチュエータ104は、プラットフォーム120の少なくとも一部分の周りに位置付けられ、プラットフォーム120は、プランジャ122および/またはシーリング部材124の少なくとも一部分の周りに位置付けられている。アクチュエータ104、プラットフォーム120、プランジャ122、および/またはシーリング部材124は、これらの構成要素の長手方向軸が一直線に整列されるように、同心円状に位置付けることができる。
【0086】
アクチュエータ104、プラットフォーム120、プランジャ122、およびシーリング部材124は、相補的に相互接続する特徴部(例えば、ノッチ、溝、突起部、タブなど)の任意の適切な組み合わせを使用して、互いに結合することができる。例えば、プラットフォーム120は、プランジャ122上の1つ以上の相補的なノッチ特徴部1804に係合する1つ以上のフック特徴部1802を含むことができ、その結果、展開方向112に沿ったプラットフォーム120の移動により、展開方向に沿ってプランジャ122も移動する。プランジャ122は、上部1806Aおよび下部1806Bを有する中空構造体とすることができる。上部1806Aは、プラットフォーム120に結合することができ、下部1806Bは、シーリング部材124に結合することができる。
【0087】
皮膚貫通アセンブリ106は、プランジャ122内にシャフト1808を少なくとも部分的に含む。このシャフト1808は、上端部分1810A、下端部分1810B、およびフレア部分1810Cを有する。シャフト1808の長手方向軸は、上端部分1810Aが開口部108から離れ、かつ下端部分1810Bが開口部108に向かうように、展開方向112と整列させることができる。フレア部分1810Cは、上端部分1810Aと下端部分1810Bとの間に存在することができる。フレア部分1810Cは、上端部分1810Aおよび下端部分1810Bよりも大きな直径を有することができる。シャフト1808は、展開方向112および退縮方向114に沿って、プランジャ122に対して移動可能である。
【0088】
皮膚貫通アセンブリ106は、皮膚貫通特徴部116および付勢部材118をさらに含む。皮膚貫通特徴部116は、シャフト1808の下端部分1810Bに結合されている。付勢部材118は、シャフト1808の少なくとも一部分の周りのプランジャ122内に位置付けられている。いくつかの実施形態では、付勢部材118は、シャフト1808のフレア部分1806Cと、プラットフォーム120との間に結合され、その結果、付勢部材118は、皮膚貫通特徴部116の展開中に、プランジャ122に対して下向きにシャフト1808を駆動する。
【0089】
シーリング部材124は、外側部分1502Aおよび内側部分1502Bを含む。外側部分1502Aは、ハウジング102に接続され、内側部分1502Bは、プランジャ122に接続され、したがって、開口部108と流体接続する内腔126を形成する。いくつかの実施形態では、プランジャ122の下部1806Bは、カラー1812を含み、そのカラーは、シーリング部材124の内側部分1502Bの対応する溝1814内に受容されて、プランジャ122とシーリング部材124との間に気密シールを形成する。
【0090】
いくつかの実施形態では、皮膚貫通アセンブリ106、プランジャ122、およびシーリング部材124は、内腔126に流体接続された弁128を集合的に形成する。プランジャ122の下部1806B、およびシーリング部材124の内側部分1502Bは、弁128の開口部1704を形成するように開放することができる。皮膚貫通アセンブリ106のシャフト1808のフレア部分1810Cは、弁128の弁部材1702としての役割を果たすことができる。弁128は、弁部材1702が開口部1704から離れると(例えば、シャフト1808のフレア部分1810Cが、プランジャ122の上部1806Aに向かうと)、開放することができる(
図18A)。弁128は、弁部材1702が開口部1704に接触すると(例えば、シャフト1808のフレア部分1810Cが、プランジャ122の下部1806Bに向かうと)、閉鎖することができる(
図18B)。
【0091】
この装置は、最初、開口部108を患者の皮膚に接触させるように患者の身体に適用され、その結果、内腔126は、シーリング部材124、プランジャ122、ハウジング102、および皮膚との間でシールされる。皮膚貫通特徴部116の展開前に(
図18A)、内腔126内の圧力は、大気圧またはその付近にある。弁128は、開放状態にあり、弁部材1702は、開口部1704から離れている。展開中、付勢部材118は、展開方向112に沿ってシャフト1808を駆動し、その結果、皮膚貫通特徴部116は、開口部108に向かって移動する。シャフト1808の移動はまた、開口部1704に対して弁部材1702も駆動させ、したがって、弁128を閉鎖する。
【0092】
皮膚貫通特徴部116の退縮中、第2の付勢部材634は、プラットフォーム120とハウジング102との間にあり、退縮方向114に沿ってプラットフォーム120を駆動する。プラットフォーム120の移動により、退縮方向114に沿ったプランジャ122の対応する移動をもたらす。プランジャ122の移動により、退縮方向114に沿ってシーリング部材124の内側部分1502Bが引っ張られ、結果として、内腔126の容積が増加する。シャフト1808は、プランジャ122に対してその展開位置を維持し、その結果、弁128は閉鎖したままであり、空気が内腔126に入るのを防ぐ(
図18B)。したがって、内腔126内の圧力は、減少し、開口部108を通って内腔126内に患者の皮膚を少なくとも部分的に引っ張る、真空をもたらす。
【0093】
IV.皮膚界面
いくつかの実施形態では、本技術の体液収集装置は、患者の皮膚および/または体液と相互作用して、装置への体液の引き出しを強化する皮膚界面を含む。例えば、皮膚界面は、装置に引っ張られる皮膚の曲率を制御して(例えば、
図13A~
図18Bを参照して本明細書に記載されている真空機構を介して)、皮膚からの体液の流れを促進する開放位置に切開部を維持することができる。皮膚界面の他の目的は、流れる体液を収集および方向付けるための制御された表面を提示して、皮膚の表面からの付着物または汚染を防ぎ、ユーザの皮膚をより清潔に保つことである。いくつかの実施形態では、皮膚界面は、皮膚からの体液の迅速な除去を容易にして、体液の凝固を低減し、かつ/または体液内の成分の活性化を低減するように構成されている。例えば、体液が血液である実施形態では、皮膚界面は、皮膚から血液を迅速に除去して、血液凝固および/または血小板活性化を低減するように構成することができる。
【0094】
図19A~
図19Eは、本技術の実施形態により構成された、皮膚の曲率を制御するための皮膚界面の概略断面図である。
図19Aは、開口部108を有するハウジング102を含む皮膚界面1900を例示する。ハウジング102内から皮膚250に真空が適用されると、皮膚250の一部分は、開口部108を通って引っ張られ、湾曲した形状を採る。
【0095】
図19Bは、湾曲したハウジング部分1902を含む皮膚界面1900を例示する。湾曲したハウジング部分1902は、ハウジング102の開口部108の周りに、少なくとも部分的に位置することができる。ハウジング102内から皮膚250に真空が適用されると、皮膚250は、開口部108に向かって、湾曲したハウジング部分1902の底面に対して引っ張られ、したがって、湾曲したハウジング部分1902の曲率と同様の曲率を採る。
【0096】
図19Cは、比較的薄い可撓性膜130を含む皮膚界面1900を例示する。いくつかの実施形態では、膜130の厚さは、約250μm以下、または約50μm~約400μmの範囲内である。可撓性膜130は、開口部108を少なくとも部分的に被覆する位置でハウジング102に結合されている。膜130は、任意選択的に、皮膚貫通特徴部(図示せず)が通過することを可能にするアパーチャ1904を含む。体液収集装置が患者の身体に適用されると、膜130は、皮膚250に接触および結合して、皮膚250に対して気密シールを提供する。接着剤を膜130の底面に塗布して、皮膚250に対するシールを容易にすることができる。膜130がハウジング102内から真空に晒されると、膜130は、ハウジング102の内部に少なくとも部分的に引っ張られ、湾曲した形状を採る。皮膚250と膜130との間のシールにより、皮膚250もまた、開口部108に向かって引っ張られ、膜130の曲率と同様な曲率を採る。
【0097】
図19Dは、比較的厚い可撓性膜130を含む皮膚界面1900を例示する。皮膚界面1900は、可撓性膜130の厚さが増加したことを除いて、
図19Cの界面と同様である。いくつかの実施形態では、膜130の厚さは、約400mm以上、または約400mm~約800mmの範囲内である。いくつかの実施形態では、より薄い膜は、真空に晒されたときに、より大きな曲率を示し、より大きな皮膚曲率をもたらすが、これに対して、より厚い膜は、真空に晒されたときに、より小さい曲率を示して、より小さな皮膚曲率をもたらす。より大きな皮膚曲率は、開放された構成において切開部を維持するために有利であり得るが、これに対して、より小さな皮膚曲率は、皮膚250の囲繞部分に対する皮下出血または他の損傷を軽減するために有利であり得る。
【0098】
図19Eは、変更可能な厚さを有する可撓性膜130を含む皮膚界面1900を例示する。この皮膚界面1900は、可撓性膜130が変更可能な厚さを有することを除いて、
図19C~
図19Dの界面と同様である。図示してある実施形態では、膜130は、中央部分1906Aおよび外側部分1906Bを有する。中央部分1906Aは、真空に晒されると、より薄くなり、より大きな曲率を有し得るが、これに対して、外側部分1906Bは、真空に晒されると、より厚くなり、より小さな曲率を有し得る。例えば、中央部分1906Aの厚さは、約300μm以下、または約50mm~約300μmの範囲内であり得、外側部分1906Bの厚さは、約300μm以上、または約300μm~約600μmの範囲内であり得る。したがって、中央部分1906Aに近い皮膚250の一部分は、外側部分1906Bに近い皮膚250の一部分よりも大きな曲率を有し得る。この構成は、皮膚250の他の部分への損傷を軽減しながら、切開部を開放位置に維持するために有利であり得る。あるいは、中央部分1906Aおよび外側部分1906Bの厚さは、中央部分1906Aが外側部分1906Bよりも厚くなるように、逆であってもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、可撓性膜は、比較的大きな皮膚表面積にわたる場合でさえ、真空圧のみを使用して達成可能である場合よりも、皮膚の曲率のより正確な制御を提供する。したがって、可撓性膜を皮膚界面として利用する体液収集装置は、ハウジング内により大きな開口部を有して、より大きな皮膚表面積から体液を引き出すことを可能にし、したがって、潜在的な吸引量を増加させることができる。例えば、開口部の直径は、少なくとも約3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、または30mmとすることができる。いくつかの実施形態では、その直径は、約9mm~約27mmの範囲内である。
【0100】
図20は、本技術の実施形態により構成された、可撓性膜を使用して患者の皮膚から体液を引き出すための方法2000のブロック図である。この方法2000は、装置100などの、本明細書に開示された体液収集装置の任意の実施形態に適用することができる。さらに、方法2000の1つ以上のステップは、本明細書に開示された他の方法のステップのいずれかと組み合わせるか、または代用することができる。例えば、方法2000の1つ以上のステップは、方法300のブロック340および/もしくはブロック350と組み合わせるか、またはそのサブステップとして実行することができる。
【0101】
方法2000は、装置内を真空に吸引することを含む(ブロック2010)。この真空は、
図13A~
図18Bを参照して説明した真空機構などの、本明細書に開示された真空機構のいずれかを使用して生成することができる。方法2000は、可撓性膜を、装置内で少なくとも部分的に引っ張ることをさらに含む(ブロック2020)。例えば、可撓性膜は、開口部の少なくとも一部分を被覆する位置において、ハウジングの底面に結合することができ、可撓性膜は、真空に晒されたときに、開口部を通って少なくとも部分的に引っ張られることができる。
【0102】
この方法は、患者の皮膚を可撓性膜に接触させて皮膚の曲率を制御することをさらに含む(ブロック2030)。いくつかの実施形態では、患者の皮膚もまた、開口部を通って装置内に少なくとも部分的に引っ張られる。可撓性膜は、真空に晒されると、湾曲した形状を採ることができ、患者の皮膚は、同様の湾曲した形状を採るように、可撓性膜に対してシールすることができる。
【0103】
図21A~
図21Cは、本技術の実施形態により構成された体液収集装置の可撓性膜130の断面図および斜視図である。この装置は、ハウジング102内に形成された開口部108を含み、膜130は、ハウジング102に結合され、開口部108の少なくとも一部分を被覆している。任意選択的に、膜130は、装置の皮膚貫通特徴部が展開中に膜130通過するのを可能にする、アパーチャ1904を含むことができる。あるいは、膜130は、アパーチャが全くない状態で提供されてもよく、皮膚貫通特徴部は、展開中に膜130を穿刺して、アパーチャ1904を形成することができる。真空に晒される前に(
図21A)、膜130は、概して平面構成にあり、曲率をほとんどまたは全く持たない。真空が、装置のハウジング102内で吸引されると(
図21B)、膜130は、ハウジング102内で少なくとも部分的に引っ張られて湾曲した形状になる。体液が、アパーチャ1904を介してハウジング102内に引き出され、チャネル2100を介して収集リザーバ(図示せず)に方向付けられ得る。
【0104】
図22は、本技術の実施形態により構成された可撓性膜130の分解組立図である。この膜130は、フィルム2200、第1の接着剤層2202、および第2の接着剤層2204を含む。フィルム2200は、ポリウレタンまたはシリコーンなどの可撓性材料の薄膜とすることができる。第1の接着剤層2202は、フィルム2200と、体液収集装置のハウジングとの両方を接着する両面接着剤とすることができる。第2の接着剤層2204は、フィルム2200と、患者の皮膚の一部分との両方を接着する両面接着剤とすることができる。第1および第2の接着剤層2202、2204の接着剤材料は、装置が患者の身体に適用されたときに、可撓性膜130がハウジングと患者の皮膚との間に気密シールを形成するように選択することができる。代替の実施形態では、第1の接着剤層2202、第2の接着剤層2204、またはその両方は、膜130から省略されてもよい。
【0105】
フィルム2200は、皮膚貫通特徴部が展開中に通過するためのアパーチャ1904を含むことができる。第1の接着剤層2202は、第1の接着剤層2202の中央部分内に形成されたアパーチャ2206を含むことができる。第2の接着剤層2204は、第2の接着剤層2204の中央部分内に形成されたアパーチャ2208を含むことができる。アパーチャ2206、2208は、ハウジング内の開口部のサイズおよび/または形状と同様のサイズおよび/または形状を有することができる。
【0106】
膜130は、使用前に、例えば、保管および/または輸送中に、膜130を保護するライナー2210と共に提供され得る。ライナー2406は、取り外して第2の接着剤層2204を露出させることができるため、可撓性膜130を、患者の皮膚に適用してシールすることができる。任意選択的に、ライナー2210は、ライナー2210の取り外しを容易にするため、装置のハウジングを超えて延在するタブ部分2212を含むことができる(例えば、
図6Aに示すように)。
【0107】
いくつかの実施形態では、膜は、熱可塑性エラストマー材料またはシリコーン材料を使用して、体液収集装置自体の基部中に直接キャストすることができる。この製造方法は、第1の接着剤層2202の必要性を排除することになり、これらの製造方法は、膜が平面であることを必要としないため、膜自体に構造的または機能的特徴部を作成することを可能にする。
【0108】
いくつかの実施形態では、本技術の可撓性膜は、患者の皮膚から装置への体液の流れを強化するための1つ以上の表面特徴部および/または表面処理を含む。例えば、表面特徴部および/または表面処理は、体液の凝固(例えば、血液凝固)を低減し、患者の皮膚への体液の付着を低減し、膜への体液の付着を低減し、所望の場所に向けて(例えば、収集リザーバに向けて)体液の流れを方向付け、かつ/または望ましくない場所から離れて体液の流れを方向付けるように構成することができる。表面特徴部および/または表面処理は、膜の下面(例えば、患者の皮膚に向かう面)、膜の上面(例えば、患者の皮膚から離れた面)、またはその両方の上に存在することができる。膜の上面および下面は、同じ特徴部および/または処理を有することができるか、または、異なる特徴部および/または処理を有することができる。
【0109】
図23A~
図23Eは、本技術の実施形態により構成された、異なる表面特徴部および/または表面処理を有する可撓性膜の部分の様々な図である。例えば、
図23Aは、表面特徴部および/または表面処理のない可撓性膜130の上面図の概略図である。膜130は、体液2300が患者の皮膚250から引き出されるアパーチャ1904(例えば、膜130に予め形成されているか、または皮膚貫通特徴部によって形成される)を含む。流体2300は、皮膚250および/または膜130にわたって拡がって汚し、したがって、流体2300を収集することをより困難にする場合がある。
【0110】
図23Bは、微細パターン化された特徴部2302を有する可撓性膜130の上面図の概略図である。微細パターン化された特徴部2302は、チャネル、隆起、溝、表面改質、またはパターン化された表面処理もしくはコーティングなどの様々な組み合わせを含むことができる。微細パターン化された特徴部2302は、収集リザーバに向けてなどの、所望の場所に向けて体液の流れを方向付けるように成形され、位置付けることができる。例えば、
図23Bの実施形態では、微細パターン化された特徴部2302は、アパーチャ1904からリザーバに向かって延在する線形チャネル2304を含む。皮膚250から引き出された体液2300は、チャネル2304に、そしてリザーバに向かって流れることができる。複数の切開部が同じ膜の上に作製されるいくつかの実施形態では、これらの特徴部を使用して、複数の切開部からの体液を集約するか、または別の方法として、それらの体液を別個に保持して、異なる処理が、流れる流体に対して行われることを可能にすることができる。さらに、このアプローチは、体液の複数の流れの方向を、異なるまたは別個のリザーバまたは容器に向けることを可能にすることができる。
【0111】
図23Cは、微細パターン化された特徴部2302を有する可撓性膜130の一部分の上面斜視図である。特徴部2302は、体液を収容するチャンバ2308を画定する円形の隆起2306を含む。隆起2306は、チャンバ2308内の開口部2310を画定することができ、その開口部は、収集リザーバに向けて配向されて体液をリザーバに方向付ける。特徴部2302はまた、チャンバ2308内に、隆起、平行な隆起2312、または複数の隆起を含むこともできる。隆起2312は、皮膚貫通特徴部が膜130を穿刺し、開口部2310に向けてまたは流れの経路に沿って体液を方向付ける場所の両側に存在し、流体の流れに対する毛細管誘導装置として機能することができる。特徴部2302はまた、開口部2310近くのチャンバ2308内に、一対の斜めの隆起2314を含むこともできる。この斜めの隆起2314は、チャンバ2308内から開口部2310に向けて体液を漏斗する役割を果たすことができる。
【0112】
図23Dは、疎水性コーティング2316(例えば、シリコーンコーティング)を有する可撓性膜130の一部分の上面図の概略図である。疎水性コーティング2316は、膜130に塗布することができる(例えば、スプレーコーティングによって)。あるいは、膜130自体は、疎水性の材料で作製することができる。体液2300がコーティング2316に接触すると、その体液は、ほとんどまたは全く固着せずに、膜130の表面にわたって容易に移動する液滴を形成する。
【0113】
図23Eは、抗凝固剤コーティング2318を有する可撓性膜130の一部分の上面図の概略図である。いくつかの実施形態では、抗凝固剤コーティング2318は、スプレーコーティングされたEDTAを含む。抗凝固剤コーティング2318は、体液の凝固を低減し、したがって、リザーバへの流れを向上させることができる。
【0114】
図24A~
図24Fは、本技術の実施形態により構成された、可撓性膜130に沿って体液の流れを制御するためのハウジング特徴部の断面図である。いくつかの実施形態では、可撓性膜130の外側部分1906Bにおける体液2300の蓄積は、望ましくない。そのような蓄積は、外側部分1906Bと、外側部分1906Bに隣接するハウジング102の一部分(「基部の部分2400」)との間の角度が、例えば、90度未満と十分に小さい場合に、生じる場合がある。例えば、外側部分1906Bと基部の部分2400との間の角度は、最初は、約90度以上であり得るが(
図24A)、その角度は、膜130が湾曲すると、90度未満に減少し得る(
図24B)。この減少した角度は、例えば、毛管作用により、外側部分1906Bと基部の部分2400との間の体液を引っ張ることがある。
【0115】
図24Cおよび
図24Dは、外側部分1906Bと、基部の部分2400との間の体液の流れを低減するための棚2402を例示する。この棚2402は、基部の部分2400に形成することができ、半径方向の内向きに延在して、開口部108を部分的に被覆することができる。膜130が湾曲すると(
図24D)、体液2300は、基部の部分2400と膜130との間に捕捉されるようになるのではなく、棚2402上を流れ得る。
【0116】
図24Eおよび
図24Fは、外側部分1906Bと基部の部分2400との間の体液の流れを低減するための、角度の付いた基部の部分2400を例示する。この角度の付いた基部の部分2400の幾何学的形状は、膜130が湾曲したときに(
図24F)、基部の部分2400と、膜130の外側部分1906Bとの間の角度が、外側部分1906Bと基部の部分2400との間の体液2300を吸引することを回避するのに十分大きいように、構成することができる。
【0117】
図25A~
図25Fは、本技術の実施形態により構成された、体液2300の流れを方向付けるための吸い上げ要素2500の断面図および上面図である。この吸い上げ要素2500は、本明細書に開示された可撓性膜と組み合わせて、またはその代替物として使用することができる。吸い上げ要素2500は、吸収性のある材料で作製することができ、任意選択的に、抗凝固剤を含むことができる。吸い上げ要素2500は、第1の吸い上げ部分2502Aおよび第2の吸い上げ部分2502Bを含むことができる。第1の吸い上げ部分2502Aは、ハウジング102の開口部108を少なくとも部分的に被覆するように成形することができ、任意選択的に、皮膚貫通特徴部116が通過するためのアパーチャを含むことができる。第2の吸い上げ部分2502Bは、体液2300を収集リザーバに向けてハウジング102内に方向付けるように構成された細長い形状を有することができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、吸い上げ要素2500は、可撓性膜130上に位置付けられ、第1の吸い上げ部分2502Aは、膜130内のアパーチャ1904上にあり、第2の吸い上げ部分2502Bは、ハウジングの内部に向かって膜130に沿って延在している(
図25A(断面図)および
図25B(上面図))。皮膚貫通特徴部116は、第1の吸い上げ部分2502Aを通って展開されて、患者の皮膚を貫通することができる(
図25C(断面図)および
図25D(上面図))。次いで、皮膚貫通特徴部116は、第1の吸い上げ部分2502Aを通って退縮されて、体液2300の引き出しを可能にすることができる(
図25E(断面図)および
図25F(上面図))。体液2300の第1の部分が、吸い上げ要素2500に吸収され得る。吸い上げ要素2500が飽和すると、体液2300の残りの部分が、第2の吸い上げ部分2502Bと可撓性膜130との間を、収集リザーバに向かって流れることができる。いくつかの実施形態では、体液2300の第1の部分は、汚染物質を含むか、または別様に体液2300の試験および分析にとって望ましくない。したがって、吸い上げ要素2500を使用して、収集のために体液2300の残りの部分をハウジングおよびリザーバに方向付けながら、体液2300の第1の部分を吸収および廃棄することができる。さらに、吸い上げ要素を利用して、膜またはプラスチック上の流体の流れを誘導し、その流体が皮膚から採取された後、迅速に流体に化学処理を送達することができる。
【0119】
V.追加例
以下の例は、本技術のいくつかの実施形態を例示する。
1.患者から体液を引き出すための手持ち式装置であって、この装置は、
開口部を有するハウジングと、
ハウジング内に少なくとも部分的に位置する皮膚貫通アセンブリであって、皮膚貫通アセンブリは、皮膚貫通特徴部および付勢部材を含み、付勢部材は、展開方向に沿って開口部に向かって皮膚貫通特徴部を付勢するように皮膚貫通特徴部に結合されている、皮膚貫通アセンブリと、
展開方向に沿ってハウジングに対して移動可能であるアクチュエータと、を備え、
展開方向に沿った、所定の位置へのアクチュエータの移動が、付勢部材への負荷を増加させ、少なくとも部分的に負荷された状態にし、
展開方向に沿った、所定の位置を超えるアクチュエータの移動は、付勢部材への負荷を開放し、その結果、付勢部材が展開方向に沿って皮膚貫通特徴部を能動的に駆動する。
2.例1の装置では、
ハウジングは、開口部の周りに位置付けられた少なくとも1つのアームを含み、
付勢部材は、基部を介して皮膚貫通特徴部に結合され、
アクチュエータが所定の位置に移動すると、少なくとも1つのアームが基部と係合することによって、付勢部材への負荷が増加し、
アクチュエータが所定の位置を超えて移動すると、少なくとも1つのアームが基部から係合解除することによって、付勢部材への負荷が開放される。
3.例1または例2の装置は、皮膚貫通アセンブリの少なくとも一部分の周りに位置付けられ、かつ少なくとも1つの突起部を含むプランジャをさらに備え、少なくとも1つの突起部は、アクチュエータが所定の位置を超えて移動したときに、少なくとも1つのアームを基部から係合解除するように成形されている。
4.例1~3のうちのいずれか1つの装置では、皮膚貫通特徴部は、ブレードであり、そのブレードの直径は、300μm~最大2.5mmである。
5.例1~4のうちのいずれか1つの装置では、
付勢部材は、無負荷長を有し、
アクチュエータが展開方向に沿って移動する前には、付勢部材の長さは、無負荷長の少なくとも約80%である。
6.例1~5のうちのいずれか1つの装置では、皮膚貫通特徴部は、展開方向に沿って、少なくとも約0.6m/sの速度で展開される。
7.例1~6のうちのいずれか1つの装置では、アクチュエータおよび付勢部材は、展開方向に沿って、集合的に皮膚貫通特徴部を駆動する。
8.例1~7のうちのいずれか1つの装置では、皮膚貫通特徴部が展開されたときに、装置は、患者から少なくとも約150マイクロリットルの体液を引き出すように構成されている。
9.例1~8のうちのいずれか1つの装置は、皮膚貫通特徴部が展開方向に沿って展開した後、皮膚貫通特徴部を退縮方向に沿って付勢するように構成された第2の付勢部材をさらに備える。
10.例9の装置では、その装置は、皮膚貫通特徴部が退縮方向に沿って移動したときに、ハウジング内で真空を吸引するように構成されている。
11.例10の装置では、真空は、少なくとも約~25kPaゲージ圧力である。
12.例10または例11の装置では、装置が患者の皮膚上に位置付けられたときに、真空は、皮膚を、開口部を通って少なくとも部分的に引っ張るように構成されている。
13.例10~12のうちのいずれか1つの装置は、第2の付勢部材に結合されたプランジャをさらに備え、第2の付勢部材は、退縮方向に沿ってプランジャを付勢するように、プランジャに結合され、プランジャを退縮方向に沿って付勢することにより、真空がハウジング内に吸引される。
14.例10~13のうちのいずれか1つの装置は、ハウジング内に位置する弁をさらに備え、その弁は、皮膚貫通特徴部が展開方向に沿って移動したときに、開放され、その弁は、皮膚貫通特徴部が、ハウジング内の真空を吸引するように退縮方向に沿って移動したときに、閉鎖される。
15.例14の装置は、皮膚貫通アセンブリの少なくとも一部分の周りに位置付けられたプランジャをさらに備え、弁は、プランジャの上または内部に位置する。
16.例14の装置では、皮膚貫通アセンブリは、弁の少なくとも一部を形成する。
17.例1~16のうちのいずれか1つの装置は、開口部の少なくとも一部分を被覆する可撓性膜をさらに備える。
18.例17の装置では、可撓性膜は、真空に晒されたときに、ハウジングの内部に少なくとも部分的に吸引され、湾曲した形状を採る。
19.例1~18のうちのいずれか1つの装置は、患者から引き出された体液を受容するように位置付けられた収集リザーバをさらに備え、そのリザーバは、装置から取り外し可能である。
20.例1~19のうちのいずれか1つの装置は、開口部の少なくとも一部分にわたってハウジング内に位置付けられた吸い上げ要素をさらに備える。
21.例20の装置では、吸い上げ要素は、第1の吸い上げ部分および第2の吸い上げ部分を含み、第1の吸い上げ部分は、開口部の一部分の上に位置付けられ、第2の吸い上げ部分は、第1の吸い上げ部分に結合され、かつ体液をハウジング内に方向付けるように構成された細長い形状を有する。
22.例20または21の装置では、吸い上げ要素は、抗凝固剤を含む。
23.患者から体液を引き出すための手持ち式装置であって、この装置は、
開口部、およびハウジング内に少なくとも部分的に位置付けられた少なくとも1つのアームを有するハウジングと、
ハウジング内に少なくとも部分的に位置する皮膚貫通アセンブリであって、その皮膚貫通アセンブリが、皮膚貫通特徴部、付勢部材、および基部を含み、付勢部材は、基部を介して皮膚貫通特徴部に結合されている、皮膚貫通アセンブリと、
展開方向に沿ってハウジングに対して移動可能であるアクチュエータと、を備え、
アクチュエータが展開方向に所定の位置に移動すると、少なくとも1つのアームが、基部に係合する屈曲構成を採り、それによって付勢部材に負荷を加え、
アクチュエータが所定の位置を超えて展開方向に移動すると、少なくとも1つのアームが、基部から係合解除される静止構成を採り、それによって、付勢部材への負荷を解放し、付勢部材は、展開方向に沿って開口部に向けて皮膚貫通特徴部を能動的に駆動する。
24.例23の装置は、皮膚貫通アセンブリの少なくとも一部分の周りに位置付けられ、かつ少なくとも1つの突起部を含むプランジャをさらに備え、少なくとも1つの突起部は、アクチュエータが所定の位置を超えて移動したときに、少なくとも1つのアームを屈曲構成から静止構成に変位するように位置付けられる。
25.例24の装置では、少なくとも1つの突起部は、少なくとも1つのアームを屈曲構成から静止構成に変位させる傾斜面を有する。
26.例24または25の装置では、プランジャは、間にチャネルを画定するように突起部から離間した側壁を含み、少なくとも1つのアームは、静止構成にあるときに、チャネル内に位置付けられる。
27.例24~26のうちのいずれか1つの装置では、プランジャは、展開方向に沿った皮膚貫通特徴部の移動を制限するように位置付けられたラッチ部分を含む。
28.例27の装置では、少なくとも1つの突起部の上端部分からラッチ部分までの距離は、少なくとも約4mmである。
29.患者から体液を引き出すための手持ち式装置であって、この装置は、
開口部を有するハウジングと、
ハウジング内に少なくとも部分的に位置する皮膚貫通アセンブリであって、その皮膚貫通アセンブリは、展開方向に沿って開口部に向けて、ハウジングに対して移動可能である皮膚貫通特徴部を含む、皮膚貫通アセンブリと、
ハウジングに結合され、かつ開口部の少なくとも一部分を被覆する可撓性膜であって、その膜は、真空に晒されたときに、ハウジングの内部に少なくとも部分的に吸引されて、湾曲した形状を採る、可撓性膜と、を備える。
30.例29の装置では、装置が患者の皮膚上に位置付けられたときに、真空は、開口部を通って皮膚を少なくとも部分的に引っ張るように構成され、可撓性膜は、皮膚と接触して開口部内の皮膚の曲率を制御するように構成されている。
31.例29または30の装置では、可撓性膜は、皮膚貫通特徴部が通過するのを可能にするように位置付けられたアパーチャを有する。
32.例29~31のうちのいずれか1つの装置では、可撓性膜は、体液をハウジング内に方向付けるように成形されたマイクロ流体パターンを含む。
33.例29~32のうちのいずれか1つの装置では、可撓性膜は、疎水性、親水性、または両親媒性のコーティングを含む。
34.例33の装置では、疎水性コーティングは、シリコーン界面活性剤である。
35.例29~34のうちのいずれか1つの装置では、可撓性膜は、抗凝固剤を含む。
36.例29~35のうちのいずれか1つの装置では、可撓性膜の厚さは、約50μm~約500μmの範囲内である。
37.例29~36のうちのいずれか1つの装置では、可撓性膜の厚さは、変更可能である。
38.例37の装置では、可撓性膜は、可撓性膜の中央部分における第1の厚さ、および可撓性膜の外側部分における第2の厚さを有する。
39.例38の装置では、第1の厚さは、第2の厚さよりも薄い。
40.例29~39のうちのいずれか1つの装置では、開口部の直径は、約9mm~約27mmの範囲内である。
41.例29~40のうちのいずれか1つの装置では、ハウジングは、開口部を囲繞し、かつ可撓性膜の外側部分に隣接して位置付けられた基部の部分を含む。
42.例41の装置では、基部の部分は、可撓性膜の外側部分と、基部の部分との間の体液の流れを方向付けるように成形されている。
43.例41または42の装置では、基部の部分は、開口部上に部分的に延在する棚を含む。
44.例29~43のうちのいずれか1つの装置では、皮膚貫通アセンブリは、展開方向に沿って開口部に向けて皮膚貫通特徴部を付勢するために、皮膚貫通特徴部に結合された第1の付勢部材を含む。
45.例44の装置は、退縮方向に沿って皮膚貫通特徴部を付勢するように構成された第2の付勢部材をさらに備える。
46.例45の装置では、その装置は、皮膚貫通特徴部が退縮方向に沿って移動するときに、ハウジング内で真空を吸引するように構成されている。
47.患者から体液を引き出すための方法であって、この方法は、
アクチュエータおよび皮膚貫通アセンブリを有する手持ち式装置を提供することであって、皮膚貫通アセンブリは、付勢部材に結合された皮膚貫通特徴部を含む、提供することと、
アクチュエータを展開方向に沿って所定の位置に移動させることによって、付勢部材に負荷を加えることと、
アクチュエータを展開方向に沿って所定の位置を超えて移動させることによって、付勢部材への負荷を解放することであって、負荷を解放すると、皮膚貫通特徴部が展開方向に沿って展開される、解放することと、を含む。
48.例47の方法では、
付勢部材は、無負荷長を有し、
アクチュエータを展開方向に沿って移動させる前には、付勢部材の長さは、無負荷長の少なくとも約80%である。
49.例47または48の方法では、皮膚貫通特徴部は、展開方向に沿って、少なくとも約0.6m/sの速度で展開される。
50.例47~49のうちのいずれか1つの方法は、退縮方向に沿って皮膚貫通特徴部を退縮させることをさらに含む。
51.例47~50のうちのいずれか1つの方法は、手持ち式装置内で真空を吸引することをさらに含む。
52.例51の方法は、皮膚を手持ち式装置に少なくとも部分的に引っ張るように、患者の皮膚に真空を適用することをさらに含む。
53.例47~52のうちのいずれか1つの方法は、皮膚貫通アセンブリを用いて患者の皮膚を貫通させることをさらに含む。
54.例53の方法は、皮膚を貫通した後、患者から少なくとも約150マイクロリットルの体液を引き出すことをさらに含む。
55.例47~54のうちのいずれか1つの方法は、
体液の第1の部分を吸い上げ要素に吸収させることと、
体液の残りの部分を収集リザーバに方向付けることと、をさらに含む。
56.患者から体液を引き出すための方法であって、この方法は、
皮膚貫通特徴部、開口部、および開口部の少なくとも一部を被覆する可撓性膜を有する手持ち式装置を提供することと、
患者の皮膚を貫通するように、可撓性膜および開口部を通って皮膚貫通特徴部を展開することと、
開口部を通って可撓性膜および皮膚を少なくとも部分的に引っ張るように、手持ち式装置内に真空を吸引することであって、可撓性膜が、湾曲した形状を採る、吸引することと、
開口部内の皮膚の曲率を制御するように、湾曲した可撓性膜に皮膚を接触させることと、を含む。
57.例56の方法は、患者から少なくとも約150マイクロリットルの体液を引き出すことをさらに含む。
58.例56または57の方法は、体液の流れを手持ち式装置に方向付けることをさらに含む。
59.例58の方法では、その流れは、可撓性膜上のマイクロ流体パターンを使用して方向付けられる。
60.例58または59のいずれかの方法では、その流れは、可撓性膜上の疎水性コーティングを使用して方向付けられる。
61.例56~60のうちのいずれか1つの方法は、体液に抗凝固剤を適用することをさらに含む。
62.例56~61のうちのいずれか1つの方法では、開口部内の皮膚の曲率半径は、約2mm~約40mmの範囲内である。
63.例56~62のうちのいずれか1つの方法では、開口部内の皮膚は、変更可能な曲率を有する。
64.例63の方法では、開口部内の皮膚は、皮膚の中央部分における第1の曲率、および皮膚の外側部分における第2の曲率を有する。
65.例64の方法では、第1の曲率は、第2の曲率よりも大きい。
66.例56~65のうちのいずれか1つの方法では、手持ち式装置内に真空を吸引することは、患者の皮膚から離れるように皮膚貫通特徴部を退縮させることを含む。
67.対象から体液を引き出すための手持ち式装置であって、この装置は、
開口部を有するハウジングと、
ハウジング内に少なくとも部分的に位置付けられ、かつ対象の皮膚を貫通するように構成された皮膚貫通特徴部を有する皮膚貫通アセンブリと、
皮膚貫通アセンブリに結合されたアクチュエータであって、そのアクチュエータは、ハウジングに対して移動可能であり、アクチュエータが開口部に向かって移動することにより、開口部に向かって皮膚貫通特徴部が駆動される、アクチュエータと、
皮膚貫通アセンブリに結合された付勢部材であって、その付勢部材は、開口部から離れるように皮膚貫通アセンブリを駆動するように構成されており、皮膚貫通アセンブリが開口部から離れるように移動することにより、ハウジングの少なくとも一部内に真空が吸引される、付勢部材と、
ハウジングに結合され、かつ開口部の少なくとも一部を被覆する可撓性膜であって、その膜は、真空が吸引されたときに、開口部を通って少なくとも部分的に吸引されるように構成されている、可撓性膜と、を備える。
68.例67の装置では、その膜は、真空が吸引されたときに、湾曲した形状を採るように構成されている。
69.例67または68の装置では、その膜は、開口部を完全に被覆し、皮膚貫通特徴部は、膜を穿刺して、体液が開口部を通って流れるのを可能にするように構成されている。
70.例67~69のうちのいずれか1つの装置では、その膜は、アパーチャを含み、開口部に向かうアクチュエータの移動により、皮膚貫通特徴部がアパーチャを通って駆動される。
71.例67~70のうちのいずれか1つの装置では、その膜は、体液をハウジング内に方向付けるように構成されたマイクロ流体パターンを含む。
72.例67~71のうちのいずれか1つの装置では、その膜は、疎水性、親水性、または両親媒性のコーティングのうちの少なくとも1つを含む。
73.例67~72のうちのいずれか1つの装置では、その膜は、抗凝固剤を含む。
74.例67~73のうちのいずれか1つの装置では、その膜は、膜の中央部分における第1の厚さを有し、その膜は、第1の厚さよりも薄い、膜の外側部分における第2の厚さを有する。
75.例67~74のうちのいずれか1つの装置は、ハウジング内の皮膚貫通アセンブリに結合された可撓性シーリング部材をさらに備え、シーリング部材は、開口部を囲繞してハウジング内の内腔を画定し、開口部に向かう皮膚貫通アセンブリの移動により、内腔の容積を低減し、開口部から離れる皮膚貫通アセンブリの移動により、内腔内の容積を増加させて、内腔内の真空が吸引される。
76.対象から体液を引き出すための方法であって、この方法は、
手持ち式装置の可撓性膜が患者の皮膚に接触するように、手持ち式装置を対象の皮膚に対して位置付けることであって、手持ち式装置は、開口部を有するハウジングを含み、その膜は、開口部の少なくとも一部分を被覆する、位置付けることと、
手持ち式装置を作動させて、開口部を通り、そして膜を通って手持ち式装置の皮膚貫通特徴部を展開して、患者の皮膚を穿刺し、そして体液を引き出すことと、
膜にわたって体液を手持ち式装置のハウジング内に移送することと、を含む。
77.例76の方法では、その方法は、手持ち式装置内で真空を吸引して、開口部を通って、少なくとも部分的に可撓性膜および皮膚を引っ張ることをさらに含む。
78.例77の方法では、真空を吸引することは、真空を動的に生成することを含む。
79.例77または78の方法では、この方法は、
患者の皮膚を穿刺した後に、膜を通りそして開口部を通って、患者の皮膚から離れて戻るように皮膚貫通特徴部を駆動することと、
皮膚貫通特徴部を患者の皮膚から離れるように駆動しながら、真空を動的に生成することと、を含む。
80.例76~79のうちのいずれか1つの方法では、膜を通って皮膚貫通特徴部を展開することは、膜を穿刺することを含む。
81.例76~80のうちのいずれか1つの方法では、膜を通って皮膚貫通特徴部を展開することは、膜内のアパーチャを通って皮膚貫通特徴部を展開することを含む。
82.例76~81のうちのいずれか1つの方法では、膜にわたって体液をハウジング内に移送することは、膜上のマイクロ流体パターンを介して、膜にわたって体液を方向付けることを含む。
83.例76~82のうちのいずれか1つの方法では、膜にわたって体液をハウジング内に移送することは、膜上の疎水性コーティングを介して、膜にわたって体液を方向付けることを含む。
84.対象から体液を引き出すための手持ち式装置であって、この装置は、
開口部を有するハウジングと、
ハウジング内に少なくとも部分的に位置付けられた皮膚貫通アセンブリであって、
皮膚貫通アセンブリは、皮膚貫通特徴部および第1の付勢部材を含み、
第1の付勢部材は、展開方向の開口部に向けて皮膚貫通特徴部を付勢するように、皮膚貫通特徴部に結合されている、皮膚貫通アセンブリと、
ハウジングに対して展開方向に移動可能であるアクチュエータであって、
展開方向におけるアクチュエータの所定の位置への移動により、第1の付勢部材への負荷を増加させ、
展開方向における所定の位置を超えるアクチュエータの移動により、第1の付勢部材が皮膚貫通特徴部を展開方向に駆動するように、第1の付勢部材への負荷を解放する、アクチュエータと、
皮膚貫通アセンブリに結合された第2の付勢部材であって、
第2の付勢部材は、皮膚貫通特徴部が展開方向に展開した後に、皮膚貫通特徴部を退縮方向に駆動するように構成され、
手持ち式装置は、皮膚貫通特徴部が退縮方向に移動したときに、ハウジング内で真空を生成するように構成されている、第2の付勢部材と、を備える。
85.例84の装置では、
ハウジングは、開口部に接近して位置付けられたアームを含み、
第1の付勢部材は、基部を介して皮膚貫通特徴部に結合され、
アクチュエータが所定の位置に移動すると、アームが基部と係合して、第1の付勢部材への負荷を増加させ、
アクチュエータが所定の位置を超えて移動すると、アームが基部から係合解除されて、第1の付勢部材への負荷が解放される。
86.例85の装置では、皮膚貫通アセンブリに結合され、かつ突起部を含むプランジャをさらに備え、突起部は、アクチュエータが所定の位置を超えて移動したときに、アームを基部から係合解除するように成形されている。
【0120】
VI.結論
本開示は、網羅的であること、または、本明細書に開示された正確な形式に本技術を限定することを意図するものではない。特定の実施形態が、例示的な目的のために本明細書に開示されているが、当業者が認識するように、様々な等価な修正が、本技術から逸脱することなく可能である。場合によっては、本技術の実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の構造および機能を示さず、かつ/または詳述していない。方法の各ステップは、本明細書において特定の順序で提示されている場合があるが、代替の実施形態では、それらのステップは、別の適切な順序を有することができる。同様に、特定の実施形態の文脈で開示された本技術の特定の態様は、他の実施形態では、組み合わせられ、または削除することができる。さらに、特定の実施形態に関連する利点は、それらの実施形態の文脈で開示されている場合があるが、他の実施形態もまた、そのような利点を提示する場合もあり、すべての実施形態が、本技術の範囲内に該当させるために、そのような利点、または本明細書に開示された他の利点を、必ずしも提示する必要はない。したがって、本開示および関連する技術は、本明細書において明示的に示されていないか、かつ/または記載されていない他の実施形態を包含することができる。
【0121】
本開示全体を通じて、単数形の用語である「a」、「an」、および「the」は、文脈で特に明示的に示していない限り、複数形の指示対象を含む。同様に、単語「または(or)」が、2つ以上の項目の一覧に関して、他の項目から排他的な単一の項目のみを指すように明示的に限定されない限り、そのような一覧での「または」の使用は、(a)一覧内の任意の単一の項目、(b)一覧内のすべての項目、または(c)一覧内の項目の任意の組み合わせ、を含むものとして解釈されるべきである。さらに、「備える(comprising)」などの用語は、任意のより多くの数の同じ特徴部(複数可)、および/または1つ以上の追加のタイプの特徴部が排除されないように、少なくともその列挙された特徴部(複数可)を含むことを意味するために、本開示全体を通じて使用される。本明細書では、「上」、「下」、「前」、「後」、「垂直」、および「水平」などの方向性の用語を使用して、様々な要素間の関係を表現および明確化する場合がある。そのような用語は、絶対的な配向を示すものではないことを理解されたい。本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、または同様の表現への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴部、構造、動作、または特性が、本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。したがって、本明細書におけるそのような語句または表現の出現は、必ずしも、すべてがその同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、様々な特定の特徴部、構造、動作、または特性は、1つ以上の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0122】
前述のことから、本技術の特定の実施形態が、例示の目的で本明細書に記載されているが、本技術の範囲を逸脱せずに、様々な修正を行うことができることを理解されるであろう。したがって、本技術は、添付された特許請求の範囲による場合を除き、限定されない。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象から体液を引き出すための手持ち式装置であって、前記装置が、
前記対象の皮膚に対して位置付けられるように構成された表面を有するハウジングであって、前記表面を通って延びる開口部を有するハウジングと、
前記ハウジングに取り外し可能に結合するように構成された収集リザーバと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に位置付けられており、かつ前記対象の皮膚を貫通するように構成された皮膚貫通特徴部を有する、皮膚貫通アセンブリと、
前記皮膚貫通アセンブリに作動的に結合されたアクチュエータであって、前記アクチュエータが、前記開口部を通して前記対象の前記皮膚の中に前記皮膚貫通特徴部を配置するように、前記ハウジングに対して相対的に作動可能である、アクチュエータと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に位置付けられており、前記ハウジング内に真空圧を生成するように構成された真空源と、
前記ハウジングに結合され、前記開口部の少なくとも一部分を被覆する膜であって、前記膜は、可撓性であり、前記膜は、前記ハウジングの前記開口部に対向する上面と、前記対象の前記皮膚に沿うように構成された下面とを有し、前記膜は、前記真空源が前記ハウジング内に前記真空圧を生成するときに、少なくとも部分的に前記開口部を通って吸引され、湾曲形状を採るように構成されており、前記膜の前記上面は、前記開口部から少なくとも部分的に前記収集リザーバに向かって前記上面を横断するように横方向に前記体液を方向付けるように構成されている、膜と、
を備える、手持ち式装置。
【請求項2】
前記膜が、前記開口部を完全に被覆し、前記皮膚貫通特徴部は、前記膜を穿刺して、前記体液が前記開口部を通って流れることを可能にするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記膜が、アパーチャを含み、前記アクチュエータが、前記アパーチャを通して前記皮膚貫通特徴部を配置するように作動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記膜が、前記体液を前記収集リザーバに向かって方向付けるように構成されたマイクロ流体パターンを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記膜が、前記上面の少なくとも一部の上に疎水性コーティングを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記膜が、前記上面の少なくとも一部の上に親水性コーティングを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記膜が、前記上面の少なくとも一部の上に両親媒性のコーティングを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記膜が、前記上面の少なくとも一部の上に抗凝固剤コーティングを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記抗凝固剤コーティングは、スプレーコーティングされたエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記膜の前記下面と前記上面との間の厚さは、約50~400マイクロメートルの間である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記膜の前記下面と前記上面との間の厚さは、約400~800マイクロメートルの間である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記膜は、前記下面の少なくとも一部上に接着剤を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記膜は、前記対象の皮膚に対してシールをするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記膜は、弾性材料で形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記ハウジングは、流出チャネルを有し、前記収集リザーバは、前記流出チャネルに取り外し可能に結合されるように構成され、前記膜の前記上面は、前記開口部から少なくとも部分的に前記流出チャネルへ前記上面を横断するように横方向に前記体液を方向付けるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記膜が、前記開口部に近接する中央部分と、外側部分とを有し、前記中央部分は、前記下面と前記上面との間に第1の厚さを有し、前記外側部分は、前記下面と前記上面との間に前記第1の厚さとは異なる第2の厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の厚さは、前記第2の厚さよりも小さい、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記真空源は、前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された可撓性シーリング部材を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記可撓性シーリング部材は、前記皮膚貫通アセンブリに作動的に結合され、前記シーリング部材が、前記ハウジング内の前記開口部上の領域を画定し、前記皮膚貫通アセンブリが、(a)前記シーリング部材を移動させて前記領域の容積を低減させるように第1の方向に移動可能であり、(b)前記シーリング部材を移動させて前記領域の前記容積を増加させることにより前記真空圧を生成するように第2の方向に移動可能である、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記収集リザーバが、管である、請求項1に記載の装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0122
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0122】
前述のことから、本技術の特定の実施形態が、例示の目的で本明細書に記載されているが、本技術の範囲を逸脱せずに、様々な修正を行うことができることを理解されるであろう。したがって、本技術は、添付された特許請求の範囲による場合を除き、限定されない。
本発明は、以下のような態様であっても良い。
[1]
対象から体液を引き出すための手持ち式装置であって、前記装置が、
開口部と、収集リザーバに離脱可能に結合されるように構成された流出チャネルと、を有するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に位置付けられており、かつ前記対象の皮膚を貫通するように構成された皮膚貫通特徴部を有する、皮膚貫通アセンブリと、
前記皮膚貫通アセンブリに結合されたアクチュエータであって、前記アクチュエータが、前記ハウジングに対して移動可能であり、前記開口部に向かう前記アクチュエータの移動が、前記開口部に向かって前記皮膚貫通特徴部を駆動する、アクチュエータと、
前記皮膚貫通アセンブリに結合された付勢部材であって、前記付勢部材が、前記皮膚貫通アセンブリを前記開口部から離れるように駆動するように構成されており、前記開口部から離れる前記皮膚貫通アセンブリの移動が、前記ハウジングの少なくとも一部分の内部を真空に吸引する、付勢部材と、
前記ハウジングに結合され、前記開口部の少なくとも一部分を被覆する、可撓性膜であって、前記膜は、前記ハウジングの前記開口部に対向する上面と、前記対象の前記皮膚に沿うように構成された下面とを有し、前記膜は、前記真空が吸引されるときに、少なくとも部分的に前記開口部を通って吸引され、湾曲形状を採るように構成されており、前記膜の前記上面は、前記開口部から少なくとも部分的に前記流出チャネルへ前記上面を横断するように横方向に前記体液を方向付けるように構成されている、可撓性膜と、
を備える、手持ち式装置。
[2]
前記膜が、前記開口部を完全に被覆し、前記皮膚貫通特徴部は、前記膜を穿刺して、前記体液が前記開口部を通って流れることを可能にするように構成されている、[1]に記載の装置。
[3]
前記膜が、アパーチャを含み、前記開口部に向かう前記アクチュエータの移動が、前記アパーチャを通って前記皮膚貫通特徴部を駆動する、[1]に記載の装置。
[4]
前記膜が、前記体液を前記ハウジング中に方向付けるように構成されたマイクロ流体パターンを含む、[1]に記載の装置。
[5]
前記膜が、疎水性、親水性、または両親媒性のコーティングのうちの少なくとも1つを含む、[1]に記載の装置。
[6]
前記膜が、抗凝固剤を含む、[1]に記載の装置。
[7]
対象から体液を引き出すための手持ち式装置であって、前記装置が、
開口部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に位置付けられており、かつ前記対象の皮膚を貫通するように構成された皮膚貫通特徴部を有する、皮膚貫通アセンブリと、
前記皮膚貫通アセンブリに結合されたアクチュエータであって、前記アクチュエータが、前記ハウジングに対して移動可能であり、前記開口部に向かう前記アクチュエータの移動が、前記開口部に向かって前記皮膚貫通特徴部を駆動する、アクチュエータと、
前記皮膚貫通アセンブリに結合された付勢部材であって、前記付勢部材が、前記皮膚貫通アセンブリを前記開口部から離れるように駆動するように構成されており、前記開口部から離れる前記皮膚貫通アセンブリの移動が、前記ハウジングの少なくとも一部分の内部を真空に吸引する、付勢部材と、
前記ハウジングに結合され、前記開口部の少なくとも一部分を被覆する、可撓性膜であって、前記膜は、前記真空が吸引されるときに、少なくとも部分的に前記開口部を通って吸引されるように構成されており、前記膜が、前記膜の中央部分における第1の厚さを有し、前記膜が、前記第1の厚さよりも薄い、前記膜の外側部分における第2の厚さを有する、
手持ち式装置。
[8]
前記ハウジング内に前記皮膚貫通アセンブリに結合された可撓性シーリング部材をさらに備えており、前記シーリング部材が、前記ハウジング内の内腔を画定するように、前記開口部を囲繞し、前記開口部に向かう前記皮膚貫通アセンブリの前記移動が、前記内腔の容積を低減させ、前記開口部から離れる前記皮膚貫通アセンブリの前記移動が、前記内腔内を前記真空に吸引するように前記内腔の前記容積を増加させる、[1]に記載の装置。
[9]
対象から体液を引き出すための手持ち式装置であって、前記装置が、
開口部と、収集リザーバに離脱可能に結合されるように構成された流出チャネルと、を有するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に位置付けられた皮膚貫通アセンブリであって、
前記皮膚貫通アセンブリが、皮膚貫通特徴部および第1の付勢部材を含み、
前記第1の付勢部材が、展開方向において前記開口部に向かって前記皮膚貫通特徴部を付勢するように、前記皮膚貫通特徴部に結合されている、皮膚貫通アセンブリと、
前記展開方向において、前記ハウジングに対して移動可能である、アクチュエータであって、
前記アクチュエータの前記展開方向における、所定の位置への移動が、前記第1の付勢部材への負荷を増加させ、
前記アクチュエータの前記展開方向における、前記所定の位置を超える移動は、前記第1の付勢部材が、前記展開方向に前記皮膚貫通特徴部を駆動するように、前記第1の付勢部材への前記負荷を解放する、アクチュエータと、
前記皮膚貫通アセンブリに結合された第2の付勢部材であって、
前記第2の付勢部材は、前記皮膚貫通特徴部が前記展開方向に展開された後に、前記皮膚貫通特徴部を退縮方向に駆動するように構成されており、
前記手持ち式装置は、前記皮膚貫通特徴部が前記退縮方向に移動するときに、前記ハウジング内に真空を生成するように構成されている、第2の付勢部材と、
前記ハウジングに結合され、前記開口部の少なくとも一部分を被覆する、可撓性膜であって、前記膜は、前記ハウジングの前記開口部に対向する上面と、前記対象の前記皮膚に沿うように構成された下面とを有し、前記膜は、前記真空が吸引されるときに、少なくとも部分的に前記開口部を通って吸引され、湾曲形状を採るように構成されており、前記膜の前記上面は、前記開口部から少なくとも部分的に前記流出チャネルへ前記上面を横断するように横方向に前記体液を方向付けるように構成されている、可撓性膜と、
を備える、手持ち式装置。
[10]
前記ハウジングが、前記開口部に近接して位置付けられたアームを含み、
前記第1の付勢部材が、基部を介して、前記皮膚貫通特徴部に結合されており、
前記所定の位置への前記アクチュエータの移動が、前記第1の付勢部材への前記負荷を増加させるように、前記アームを前記基部と係合させ、
前記所定の位置を超える前記アクチュエータの移動が、前記第1の付勢部材への前記負荷を解放するように、前記アームを前記基部から係合解除する、[9]に記載の装置。
[11]
前記皮膚貫通アセンブリに結合され、かつ突起部を含む、プランジャをさらに備え、前記突起部は、前記アクチュエータが前記所定の位置を超えて移動されたときに、前記アームを前記基部から係合解除するように成形されている、[10]に記載の装置。
[12]
前記ハウジングは、内腔を画定し、
前記ハウジングは、基部をさらに備え、
前記開口部は前記基部にあり、
前記ハウジングは、前記基部の前記開口部を通して、前記体液を前記内腔の中に受けるように構成されている、
[1]に記載の装置。
[13]
前記ハウジングは、内腔を画定し、
前記ハウジングは、基部をさらに備え、
前記開口部は前記基部にあり、
前記ハウジングは、前記基部の前記開口部を通して、前記体液を前記内腔の中に受けるように構成されている、
[9]に記載の装置。
【外国語明細書】