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特開2024-86732真菌の菌糸体を増殖させ、それから可食製品を形成するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086732
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】真菌の菌糸体を増殖させ、それから可食製品を形成するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/14 20060101AFI20240621BHJP
   A23L 31/00 20160101ALI20240621BHJP
   A23J 3/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C12N1/14 E
A23L31/00
A23J3/00 502
【審査請求】有
【請求項の数】40
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024044520
(22)【出願日】2024-03-21
(62)【分割の表示】P 2021518058の分割
【原出願日】2019-06-07
(31)【優先権主張番号】62/682,301
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520480784
【氏名又は名称】エマルジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ハギンズ タイラー
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトリー ジャスティン
(57)【要約】
【課題】大規模生成および非動物性ベースの可食製品の採用を促進することができる非動物性タンパク質供給源が必要である。
【解決手段】真菌の菌糸体を増殖させ、可食食品を形成する方法は、真菌細胞が菌糸体を生成するように、真菌細胞を増殖培地中で増殖させるステップを含む。増殖培地は、糖、窒素含有化合物、およびリン酸含有化合物を含む。菌糸体は、増殖培地から分離される。菌糸体は、菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する繊維状菌糸塊を得るために濃縮される。食品添加物を繊維状菌糸塊に添加して、バイオマスを生成することができる。バイオマスは、可食食品に形成され得る。バイオマスは、可食肉代替製品に形成され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真菌細胞が菌糸体を生成するように、真菌細胞を、糖、窒素含有化合物、およびリン酸含有化合物を含む増殖培地中で増殖させるステップと、
増殖培地から菌糸体を分離するステップと、
菌糸体を濃縮して、菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する繊維状菌糸塊を得るステップと
を含む、方法。
【請求項2】
真菌細胞および増殖培地を含むブロスの0.01体積%~95体積%を除去するステップと、
ブロスを含有する容器に、新しい増殖培地を添加するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
糖が、5~50g/Lの範囲であり、窒素含有化合物が、0.5~10g/Lの範囲であり、リン酸含有化合物が、0.1~5g/Lの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
糖が、スクロース、グルコース、フルクトース、または糖蜜の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
窒素含有化合物が、水酸化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、尿素、酵母エキス、またはペプトンの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
リン酸含有化合物が、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、またはリン酸の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
菌糸体の細胞壁を溶解するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
菌糸体に、植物性タンパク質、動物性タンパク質、脂肪、乳化剤、増粘剤、安定剤、またはフレーバーの少なくとも1つを含む食品添加物を添加するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
可食食品を形成する方法であって、
菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する繊維状菌糸塊を提供するステップと、
食品添加物を繊維状菌糸塊に添加して、バイオマスを生成するステップと、
バイオマスを可食食品に形成するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
バイオマスを可食食品に形成するステップが、
バイオマスを脱水すること、および
バイオマスを粉末に微粉砕すること
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
粉末を焼成食品に組み込むステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
可食食品が、チップス、プロテインバー、ジャーキー、トルティーヤ、パン、またはクラッカーの少なくとも1つである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
バイオマスをある形状に成型するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
可食肉代替製品を形成する方法であって、
菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する繊維状菌糸塊を提供するステップと、
食品添加物を繊維状菌糸塊に添加して、バイオマスを生成するステップと、
バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップが、
少なくとも1つの可溶性タンパク質をバイオマスに添加すること、および
バイオマスを可食肉代替製品に成型すること
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップが、
少なくとも1つの増粘剤をバイオマスに添加すること、および
バイオマスを可食肉代替製品に成型すること
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップが、
少なくとも1つの脂肪供給源をバイオマスに添加すること、および
バイオマスを可食肉代替製品に成型すること
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
調味料をバイオマスに添加するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
可食肉代替製品が、鶏肉代替製品、牛肉代替製品、豚肉代替製品、子牛肉代替製品、または魚肉代替製品の少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
可食肉代替製品が、10質量%~90質量%の繊維状菌糸塊を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
繊維状菌糸塊の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する、10質量%~100質量%の範囲の繊維状菌糸塊、および
0質量%~90質量%の範囲の含水量
を含む、可食肉代替製品。
【請求項22】
繊維状菌糸塊が、10質量%~50質量%の範囲であり、含水量が、50質量%~90質量%の範囲である、請求項21に記載の可食肉代替製品。
【請求項23】
1質量%~20質量%の範囲の可溶性タンパク質、および
0.01質量%~5質量%の範囲の増粘剤含量
をさらに含む、請求項22に記載の可食肉代替製品。
【請求項24】
0質量%~10質量%の範囲の脂肪供給源をさらに含む、請求項23に記載の可食肉代替製品。
【請求項25】
0.01質量%~20質量%の範囲の可溶性タンパク質、
0.01質量%~5質量%の範囲の増粘剤含量、および
0質量%~50質量%の範囲の脂肪供給源
をさらに含む、請求項21に記載の可食肉代替製品。
【請求項26】
香味剤をさらに含む、請求項21に記載の可食肉代替製品。
【請求項27】
繊維状菌糸塊が、粗タンパク質1グラム当たり少なくとも20mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を含む、請求項21に記載の可食肉代替製品。
【請求項28】
繊維状菌糸塊が、タンパク質消化吸収率補正アミノ酸(PDCAAS)スコア1を有する、請求項21に記載の可食肉代替製品。
【請求項29】
2~9の範囲の内部pH、20質量%~70質量%の範囲のタンパク質乾燥質量、5質量%~30質量%の範囲の繊維乾燥質量、および0質量%~20質量%の範囲の乾燥脂肪質量を有する、請求項21に記載の可食肉代替製品。
【請求項30】
55を超えるCIE L*値によって表される色、15Nを超えるWarner-Bratzlerせん断力、および50Nを超える硬さを有する、請求項29に記載の可食肉代替製品。
【請求項31】
可食チップスであって、
維状菌糸塊の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する、0.1質量%~90質量%の範囲の繊維状菌糸塊を含む可食実質、
20質量%未満の含水量、および
0質量%~90質量%の範囲の炭水化物含量
を含み、
繊維状菌糸塊が、可食実質中に分布している、可食チップス。
【請求項32】
可食実質が、可食実質の厚さの10倍を超える直径を有する、請求項31に記載の可食チップス。
【請求項33】
香味剤をさらに含む、請求項31に記載の可食チップス。
【請求項34】
繊維状菌糸塊が、粗タンパク質1グラム当たり少なくとも20mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を含む、請求項31に記載の可食チップス。
【請求項35】
繊維状菌糸塊が、PDCAASスコア1を有する、請求項31に記載の可食チップス。
【請求項36】
粉末化可食製品であって、
粉末化菌糸塊の40質量%を超えるタンパク質含量を有する粉末化菌糸塊
を含む、粉末化可食製品。
【請求項37】
粉末の粒子が、150μm未満の粒径を有する、請求項36に記載の粉末化可食製品。
【請求項38】
粉末化菌糸塊が、粉末化可食製品の総質量の0.1質量%~80質量%の範囲であり、粉末化可食製品が、0質量%~90質量%の範囲の炭水化物をさらに含む、請求項36に記載の粉末化可食製品。
【請求項39】
粉末化菌糸塊が、粗タンパク質1グラム当たり少なくとも20mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を含む、請求項36に記載の粉末化可食製品。
【請求項40】
粉末化菌糸塊が、PDCAASスコア1を有する、請求項36に記載の粉末化可食製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年6月8日出願の米国仮出願番号第62/682,301号の優先権および利益を主張するものであり、その開示全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、真菌の菌糸体の分野に関し、より具体的には、真菌の菌糸体を増殖させ、それから可食製品を形成するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
食品および飲料の生成および処理施設は、世界的に主要な水の消費者であり、廃水の生産者でもある。このような施設の例として、中でも果物および野菜の処理、肉処理、乳製品処理、スナック食品処理、ならびに飲料処理施設が挙げられる。水は、典型的に、これらの施設において原料処理、洗浄材料、材料の運搬、および洗浄装置などの必須のプロセスのために使用される。したがって、食品および飲料製品で消費されなかった残留水は、廃水として公知の流出ストリームとして生じる。食品および飲料施設からの廃水は、化学的酸素要求量(COD)および総浮遊固形分(TSS)が極めて高く、それにより処理が困難となり、費用がかかる。これらの残留水ストリームは、施設にとって厄介視されることが多い。広く実施されている唯一の解決策は、好気性処理、嫌気性消化、および固定フィルムであり、唯一有用な副産物は、嫌気性消化から得られる出力である。消化装置および他の外部処理技術の資本コストが大きいことが考慮され、廃水は、処理のために都市下水路に直接放出されることが多い。
さらに、非動物性供給源から得られる高タンパク質含量を提供することができる可食製品への要求が、高まりつつある。個人の健康への認識の高まりによって駆り立てられ、タンパク質および繊維などの非動物性供給源の構成成分を含む可食製品は、動物性タンパク質ベースの生成物のより健康な代替とみなされている。特に、肉の組成および質感を模倣しているが、非動物性構成成分から構成されている可食肉代替物への要求が高まりつつあり、可食肉代替物は、牛などの動物への依存を低減し、このような動物によって引き起こされる二酸化炭素排出量を低減することができる。したがって、大規模生成および非動物性ベースの可食製品の採用を促進することができる非動物性タンパク質供給源が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載される実施形態は、一般に、真菌の菌糸体を増殖させ、それから可食食品を形成するための方法に関する。
一部の実施形態では、ある方法は、真菌細胞が菌糸体を生成するように、真菌細胞を増殖培地中で増殖させるステップを含む。増殖培地は、糖、窒素含有化合物、およびリン酸含有化合物を含む。その方法は、増殖培地から菌糸体を分離するステップと、菌糸体を濃縮して、菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する繊維状菌糸塊を得るステップとを含む。
一部の実施形態では、可食食品を形成する方法は、菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する繊維状菌糸塊を提供するステップを含む。その方法は、食品添加物を繊維状菌糸塊に添加して、バイオマスを生成するステップと、バイオマスを可食食品に形成するステップとを含む。
一部の実施形態では、可食肉代替製品を形成する方法は、菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する繊維状菌糸塊を提供するステップを含む。その方法は、食品添加物を繊維状菌糸塊に添加して、バイオマスを生成するステップと、バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップとを含む。
一部の実施形態では、可食肉代替製品は、10質量%~100質量%の範囲の繊維状菌糸塊を含む。繊維状菌糸塊は、繊維状菌糸塊の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する。可食肉代替製品は、0質量%~90質量%の範囲の含水量を含む。
一部の実施形態では、可食チップスは、可食実質を含む。可食実質は、0.1質量%~90質量%の範囲の繊維状菌糸塊を含む。繊維状菌糸塊は、繊維状菌糸塊の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する。可食チップスは、20質量%未満の含水量を含む。可食チップスは、0質量%~90質量%の範囲の炭水化物含量を含む。繊維状菌糸塊は、可食実質中に分布している。
一部の実施形態では、粉末化可食製品は、粉末化菌糸塊を含む。粉末化菌糸塊は、粉末化菌糸塊の40質量%を超えるタンパク質含量を有する。
先の概念および以下により詳細に論じられるさらなる概念のあらゆる組合せは(このような概念が互いに矛盾しないという条件で)、本明細書に開示される本発明の主題の一部であることが企図されると理解されたい。特に本開示の最後に見られる、特許請求される主題のあらゆる組合せは、本明細書に開示される本発明の主題の一部であることが企図される。
本開示の上述の特色および他の特色は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を添付の図と合わせることによって、より完全に明らかになると予想される。これらの図は、本開示に従っていくつかの実装形態を単に図示するものであり、したがってその範囲を制限するものとみなされないという理解の下で、本開示を、添付の図を使用することによりさらに具体的かつ詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一実施形態による、真菌の菌糸体を増殖させるための一例となる方法のブロック図を示す。
図2】一実施形態による、醸造所のプロセスフロー図を示す。
図3】一実施形態による、Vogel溶液および醸造所からの残留水の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)走査を示す。
図4】一実施形態による、醸造所からの残留水中のN.クラッサ(N. crassa)の増殖のHPLC走査を示す。
図5】一実施形態による、真菌の菌糸体から可食製品を形成するための一例となる方法のブロック図を示す。
図6A1-6A2】一実施形態による、チップスとして構成された食品の上面図および側面図をそれぞれ示す。
図6B1-6B2】さらに別の実施形態による、三角形チップスとして構成された食品の上面図および側面図をそれぞれ示す。
図6C1-6C2】別の実施形態による、楕円形チップスとして構成された食品の上面図および側面図をそれぞれ示す。
図7】一実施形態による、真菌の菌糸体から可食肉代替製品を形成するための一例となる方法のブロック図を示す。
図8A】一実施形態による、パティとして構成された可食肉代替食品の斜視図を示す。
図8B】一実施形態による、テンダーとして構成された可食肉代替製品の斜視図を示す。
図8C】一実施形態による、挽いた可食肉代替製品の斜視図を示す。
【0006】
以下の詳細な説明を通して添付の図が参照される。図では、文脈によって別段示されない限り、類似の記号は、典型的に類似の構成成分を特定する。詳細な説明、図、および特許請求の範囲に記載される例示的な実装形態は、限定することを意味するものではない。他の実装形態を利用することもでき、本明細書に提示される主題の精神または範囲から逸脱することなく、他の変更を行うことができる。本明細書に一般に記載され、図に例示される通り、本開示の態様は、多種多様な異なる構造で配置し、置換し、組み合わせ、設計することができ、それらのすべてが明確に企図され、本開示の一部を作成することを容易に理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載される実施形態は、一般に、真菌の菌糸体を増殖させ、それから可食製品を形成するための方法に関する。特に、本明細書に記載される様々な実施形態は、真菌細胞を増殖させ、菌糸体を分離し、菌糸体を濃縮して、繊維状の塊を得る方法を提供する。また、様々な実施形態が、食品添加物を添加してバイオマスを生成し、そのバイオマスを可食食品または可食肉代替製品に形成することに関する。可食肉代替製品は、繊維状菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する繊維状菌糸塊を含むことができる。
真菌の菌糸体を増殖させ、それから可食製品を形成する方法の様々な実施形態は、例えば、(1)真菌の菌糸体のバッチプロセスまたは連続プロセス培養を提供すること、(2)醸造所の廃水または他の廃水ストリームで真菌の菌糸体を増殖させて、再循環および廃水の浄化を可能にすること、(3)非動物性供給源、すなわち真菌の菌糸体由来のタンパク質を含む可食製品を提供し、それによって、動物性供給源のタンパク質への依存を低減し、それらの二酸化炭素排出量を低減すること、ならびに(4)本物の肉のような食感および味がする可食肉代替製品を提供すると同時に、高タンパク質含量を供給することを含む、1つまたは複数の利益を提供することができる。
真菌の菌糸体は、アスペルギルス(Aspergillus)属、フサリウム(Fusarium)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、およびモナスカス(Monascus)属を含む、子嚢菌門(Ascomycota)および接合菌門(Zygomycota)由来の真菌を含むことができる。他の種には、担子菌門(Basidiomycota)およびレンチヌラ(Lentinula)属の可食種が含まれる。1つの属は、固体発酵による食品生成に使用されるニューロスポラである。ニューロスポラ属は、バイオマスを高効率で生成し、複雑な炭水化物を分解する能力があることが知られている。ある特定のニューロスポラ種については、公知のアレルギーは検出されておらず、マイコトキシンレベルは生成されない。糸状性真菌の単一培養に加えて、複数の株を一度に培養して、最終的なバイオマスのタンパク質、アミノ酸、ミネラル、質感、およびフレーバーのプロファイルを調整することができる。
【0008】
図1は、一実施形態による、真菌の菌糸体を増殖させるための一例となる方法のブロック図を示す。簡単にまとめると、方法100は、102において増殖培地中で真菌細胞を増殖させるステップを含むことができる。方法100は、104において増殖培地から菌糸体を分離するステップを含むことができる。方法100は、106において菌糸体を濃縮するステップを含むことができる。方法100は、108において繊維状菌糸塊を得るステップを含むことができる。
さらに詳細には、方法100は、102において増殖培地中で真菌細胞を増殖させるステップを含むことができる。例えば、増殖培地は、数キログラムの真菌の菌糸体を増殖させることができる大桶などの容器に含有され得る。増殖培地は、元の増殖培地と呼ぶことができる。方法100は、真菌細胞が菌糸体を生成するように、真菌細胞を増殖培地中で増殖させるステップを含むことができる。増殖培地は、栄養素(例えば、糖、窒素含有化合物、またはリン酸含有化合物)を含むことができる。増殖培地は、糖、窒素含有化合物、およびリン酸含有化合物を含むことができる。糖は、5~50g/Lの範囲であってよい。例えば、糖は、両端を含み5g/L、10g/L、20g/L、30g/L、40g/L、または50g/Lであってよい。糖は、スクロース、グルコース、フルクトース、糖蜜、または糖の混合物を含むことができる。窒素含有化合物は、0.5~10g/Lの範囲であってよい。例えば、窒素含有化合物は、両端を含み0.5g/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、5g/L、または10g/Lであってよい。窒素含有化合物は、水酸化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、尿素、酵母エキス、ペプトン、または窒素含有化合物の混合物を含むことができる。リン酸含有化合物は、0.1~5g/Lの範囲であってよい。例えば、リン酸含有化合物は、両端を含み0.1g/L、0.2g/L、0.3g/L、0.4g/L、0.5g/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、または5g/Lであってよい。リン酸含有化合物は、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、またはリン酸含有化合物の混合物であってよい。
真菌細胞は、両端を含み25℃~40℃の間の温度で増殖させることができる。真菌細胞は、両端を含み12時間~48時間の間、増殖させることができる。真菌細胞の増殖により、5~20g/Lの収量の真菌細胞の乾燥質量を生成することができる。菌糸体は、40質量%を超える(乾燥質量)タンパク質含量を有することができる。一部の実施形態では、菌糸体は、両端を含み50~65%(乾燥質量)のタンパク質含量を有することができる。菌糸体は、粗タンパク質1g当たり少なくとも25mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を有することができる。
一部の実施形態では、方法100は、ある体積のブロスを除去するステップを含むことができる。ブロスは、真菌細胞および増殖培地を含有することができる。ある体積のブロスを除去するステップは、ある体積のブロスを別々に除去することを含むことができる。例えば、ある体積のブロスは、ブロスを含有する容器からバッチプロセスでサイフォン処理するか、またはブロスから連続的に除去することができる。例えば、ある体積のブロスは、ブロスを含有する容器から連続プロセスで流出させることができる。
【0009】
方法100は、ブロスを含有する容器に、新しい増殖培地を添加するステップを含むことができる。ブロスは、発酵ブロスであってよい。栄養素(例えば、糖、リン酸含有化合物、または窒素含有化合物)は、バッチ増殖構成で添加することができる。例えば、栄養素は、所定の時間が経過した後(例えば、1時間後、2時間後、3時間後、6時間後、または12時間後)に添加することができる。新しい増殖培地の栄養素の1つまたは少なくとも1つの濃度は、操作102に記載される元の増殖培地の栄養素の濃度にすることができる。新しい増殖培地は、元の増殖培地における真菌細胞の増殖中に元の増殖培地から喪失した増殖培地の体積を超える、それ未満、またはそれと等しい体積を有することができる。
一例では、6時間後に、新しい増殖培地中の糖、リン酸含有化合物、および窒素含有化合物の濃度が増大される。ブロスの糖、リン酸含有化合物、および窒素含有化合物の濃度を、それぞれ元の増殖培地の糖、リン酸含有化合物、および窒素含有化合物の濃度にするために、栄養素が添加される。
一例では、少なくとも12時間後に、ブロスの50~95%を除去することができる。栄養素(例えば、糖、リン酸含有化合物、または窒素含有化合物)を含有する新しい培地を添加することができる。ブロスの栄養濃度は、添加された新しい増殖培地によって増大され得る。
栄養素は、連続増殖構成で添加することができる。例えば、ある体積(例えば、両端を含み0.01体積%、1体積%、5体積%、10体積%、25体積%、50体積%、または95体積%)のブロスを、真菌細胞および増殖培地を含有する容器から除去することができる。新しい増殖培地は、ブロスを含有する容器に添加することができる。新しい増殖培地は、連続流として提供することができる。容器内のブロスの体積は、特定のレベルにとどまるようにモニタリングすることができる。例えば、容器内のブロスの体積は、固定体積でとどまることができる。添加される新しい増殖培地の体積は、容器から喪失されるブロスの体積に等しくてよい。
【0010】
方法100は、104において増殖培地から菌糸体を分離するステップを含む。増殖培地からの菌糸体の分離は、重圧、遠心分離、ベルトプレス機、フィルタプレス機、機械的プレス機、ドラム乾燥機、または任意の他の適切なプロセスを使用して実施することができる。分離プロセス中、菌糸体は、水、エタノール、酸、塩基または他の溶媒で洗浄することができる。回収された濾液は、再使用するか、または廃棄することができる。菌糸体は、65%~95%の間の含水量を有することができる。菌糸体の細胞壁は、例えば溶解によって破壊することができる。溶解は、pHを4未満または9超に調整することによって、溶解酵素を添加することによって、温度を40℃~60℃の間に1~24時間上昇させることによって、または任意の他の適切な溶解方法によって実施することができる。分離後、添加物(例えば、食品添加物)を、菌糸体と混合することができる。例えば、菌糸体が可食製品に形成される場合、添加物は、植物性または動物性タンパク質、脂肪、乳化剤、増粘剤、安定剤、およびフレーバーを含むことができる。
【0011】
方法100は、106において菌糸体を濃縮するステップを含むことができる。菌糸体を濃縮するステップは、増殖培地から分離した後に得られた繊維状菌糸塊の割合またはレベルを増大することを含むことができる。例えば、菌糸体を濃縮するステップは、菌糸体から水を除去することによって、菌糸体を脱水することを含むことができる。例えば、菌糸体は、例えば70%未満の含水量に熱乾燥させることができる。菌糸体は、特定の温度(例えば、両端を含み30℃、50℃、75℃、または90℃)で熱乾燥させることができる。一部の実施形態では、菌糸体は、強制空気を用いて熱乾燥させることができる。一部の実施形態では、菌糸体から水を除去することは、機械力(例えば、プレス機、ふるい)を適用して菌糸体から水を除去することを含むことができる。菌糸体の脱水(例えば、熱的または機械的乾燥を介する)により、部分的に乾燥した繊維状菌糸塊を生成することができる。部分的に乾燥した繊維状菌糸塊は、粒径を低減するため、例えば粉末を作製するために粉砕することができる。
【0012】
方法100は、108において繊維状菌糸塊を得るステップを含む。繊維状菌糸塊は、菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有することができる。例えば、繊維状菌糸塊は、菌糸体の乾燥質量の、両端を含み45質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、または90質量%のタンパク質含量を有することができる。
【0013】
以下は、真菌を増殖させ、それから40質量%を超えるタンパク質含量を有する繊維状菌糸塊を得る、いくつかの例である。これらの例は、単に例示することを目的とし、本開示を任意の形状または形態に限定するものと解釈されるべきではない。
一例では、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)(N. crassa)を、10Lの卓上反応器内で、バッチ構成で増殖させた。N.クラッサ(N. crassa)を、最初に寒天斜面で増殖させ、32℃で3日間インキュベートする。N.クラッサ(N. crassa)の分生子または胞子を、250mLの通気フェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上で32℃において48時間増殖させる。得られた菌糸体を、以下の培地:20g/Lのスクロース、2g/Lの硝酸アンモニウム、2g/Lの一塩基リン酸カリウム、1g/Lの硝酸ナトリウム、0.2g/Lの硫酸マグネシウム、0.1g/Lの塩化カルシウム、および微量元素を含有する10Lの卓上反応器に無菌状態で移す。曝気は0.75vvmに設定し、かき混ぜは250rpmに設定する。pHは、6N水酸化ナトリウム緩衝液を使用して調整し、5.8で保持する。24時間後に、菌糸体を、チーズクロスを使用して採取し、リンゴ用プレス機で水を除去し、74℃に設定した脱水機で完全に乾燥させる。全細胞の乾燥質量は9.5g/Lである。タンパク質分析により、57質量%の粗タンパク質含量が得られる。アミノ酸分析により、繊維状菌糸塊についてPDCAASスコア1.0が得られる。繊維状菌糸塊は、粗タンパク質1g当たり26mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を有する。
【0014】
別の例では、N.クラッサ(N. crassa)を、10Lの卓上反応器内で、バッチ構成で増殖させた。N.クラッサ(N. crassa)を、最初に寒天斜面で増殖させ、32℃で3日間インキュベートする。N.クラッサ(N. crassa)の分生子または胞子を、250mLの通気フェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上で32℃において48時間増殖させる。得られた菌糸体を、以下の培地:20g/Lのスクロース、2g/Lの硝酸アンモニウム、1g/Lの一塩基リン酸カリウム、0.2g/Lの硫酸マグネシウム、0.1g/Lの塩化カルシウム、および微量元素を含有する10Lの卓上反応器に無菌状態で移す。曝気は0.75vvmに設定し、かき混ぜは250rpmに設定する。pHは、6N水酸化ナトリウム緩衝液を使用して調整し、5.8で保持する。24時間後に、菌糸体を、チーズクロスを使用して採取し、リンゴ用プレス機で水を除去し、74℃に設定した脱水機で完全に乾燥させる。全細胞の乾燥質量は9g/Lである。タンパク質分析により、55質量%の粗タンパク質含量が得られる。アミノ酸分析により、繊維状菌糸塊についてPDCAASスコア1.0が得られる。繊維状菌糸塊は、粗タンパク質1g当たり26mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を有する。
【0015】
別の例では、N.クラッサ(N. crassa)を、10Lの卓上反応器内で、バッチ構成で増殖させた。N.クラッサ(N. crassa)を、最初に寒天斜面で増殖させ、32℃で3日間インキュベートする。分生子を、250mLの通気フェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上で32℃において48時間増殖させる。得られた菌糸体を、以下の培地:30g/Lのスクロース、3g/Lの硝酸アンモニウム、1g/Lの一塩基リン酸カリウム、0.2g/Lの硫酸マグネシウム、0.1g/Lの塩化カルシウム、および微量元素を含有する10Lの卓上反応器に無菌状態で移す。曝気は0.75vvmに設定し、かき混ぜは250rpmに設定する。pHは、6N水酸化ナトリウム緩衝液を使用して調整し、5.8で保持する。24時間後に、菌糸体を、チーズクロスを使用して採取し、リンゴ用プレス機で水を除去し、74℃に設定した脱水機で完全に乾燥させる。全細胞の乾燥質量は11g/Lである。タンパク質分析により、63質量%の粗タンパク質含量が得られる。アミノ酸分析により、繊維状菌糸塊についてPDCAASスコア1.0が得られる。繊維状菌糸塊は、粗タンパク質1g当たり27mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を有する。
【0016】
別の例では、N.クラッサ(N. crassa)を、10Lの卓上反応器内で、バッチ構成で増殖させた。N.クラッサ(N. crassa)を、最初に寒天斜面で増殖させ、32℃で3日間インキュベートする。分生子を、250mLの通気フェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上で32℃において48時間増殖させる。得られた菌糸体を、以下の培地:20g/Lのスクロース、3.25g/Lの尿素、1g/Lの一塩基リン酸カリウム、0.2g/Lの硫酸マグネシウム、0.1g/Lの塩化カルシウム、および微量元素を含有する10Lの卓上反応器に無菌状態で移す。曝気は0.75vvmに設定し、かき混ぜは250rpmに設定する。pHは、6N水酸化ナトリウム緩衝液を使用して調整し、5.8で保持する。24時間後に、菌糸体を、チーズクロスを使用して採取し、リンゴ用プレス機で水を除去し、74℃に設定した脱水機で完全に乾燥させる。全細胞の乾燥質量は8.5g/Lである。タンパク質分析により、56質量%の粗タンパク質含量が得られる。アミノ酸分析により、PDCAASスコア1.0が得られる。繊維状菌糸塊は、粗タンパク質1g当たり25mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を有する。
【0017】
別の例では、N.クラッサ(N. crassa)を、10Lの卓上反応器内で、バッチ構成で増殖させた。N.クラッサ(N. crassa)を、最初に寒天斜面で増殖させ、32℃で3日間インキュベートする。分生子を、250mLの通気フェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上で32℃において48時間増殖させる。得られた菌糸体を、以下の培地:20g/Lのスクロース、2g/Lの硝酸アンモニウム、1g/Lの一塩基リン酸カリウム、0.2g/Lの硫酸マグネシウム、0.1g/Lの塩化カルシウム、および微量元素を含有する10Lの卓上反応器に無菌状態で移す。曝気は0.75vvmに設定し、かき混ぜは250rpmに設定する。pHは、15%水酸化アンモニウム緩衝液を使用して調整し、5.8で保持する。24時間後に、菌糸体を、チーズクロスを使用して採取し、リンゴ用プレス機で水を除去し、74℃に設定した脱水機で完全に乾燥させる。全細胞の乾燥質量は10g/Lである。タンパク質分析により、60質量%の粗タンパク質含量が得られる。アミノ酸分析により、PDCAASスコア1.0が得られる。繊維状菌糸塊は、粗タンパク質1g当たり26mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を有する。
【0018】
別の例では、N.クラッサ(N. crassa)を、10Lの卓上反応器内で、バッチ構成で増殖させた。N.クラッサ(N. crassa)を、最初に寒天斜面で増殖させ、32℃で3日間インキュベートする。分生子を、250mLの通気フェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上で32℃において48時間増殖させる。得られた菌糸体を、以下の培地:20g/Lのスクロース、2g/Lの硝酸アンモニウム、1g/Lの一塩基リン酸カリウム、0.2g/Lの硫酸マグネシウム、0.1g/Lの塩化カルシウム、および微量元素を含有する10Lの卓上反応器に無菌状態で移す。曝気は0.75vvmに設定し、かき混ぜは250rpmに設定する。pHは、6N水酸化ナトリウム緩衝液を使用して調整し、5.8で保持する。12時間後に、10g/Lのスクロースおよび1g/Lの硝酸アンモニウムを、その系に添加する。合計24時間が経過した後に、菌糸体を、チーズクロスを使用して採取し、リンゴ用プレス機で水を除去し、74℃に設定した脱水機で完全に乾燥させる。全細胞の乾燥質量は12g/Lである。タンパク質分析により、60質量%の粗タンパク質含量が得られる。アミノ酸分析により、繊維状菌糸塊についてPDCAASスコア1.0が得られる。繊維状菌糸塊は、粗タンパク質1g当たり26mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を有する。
【0019】
別の例では、N.クラッサ(N. crassa)を、10Lの卓上反応器内で、バッチ構成で増殖させた。N.クラッサ(N. crassa)を、最初に寒天斜面で増殖させ、32℃で3日間インキュベートする。分生子を、250mLの通気フェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上で32℃において48時間増殖させる。得られた菌糸体を、以下の培地:20g/Lのスクロース、2g/Lの硝酸アンモニウム、1g/Lの一塩基リン酸カリウム、0.2g/Lの硫酸マグネシウム、0.1g/Lの塩化カルシウム、および微量元素を含有する10Lの卓上反応器に無菌状態で移す。曝気は0.75vvmに設定し、かき混ぜは250rpmに設定する。pHは、6N水酸化ナトリウム緩衝液を使用して調整し、5.8で保持する。24時間後に、培地の90%を採取し、新規の培地を上述の濃度で添加して、系全体を10Lに戻す。新規の一連のバッチ時間を、12時間に短縮する。12時間ごとに90%を採取し、フェッドバッチプロセスを再び繰り返す。そのプロセスは60時間行った。採取した細胞乾燥質量は9.5g/Lである。タンパク質分析により、60質量%の粗タンパク質含量が得られる。アミノ酸分析により、繊維状菌糸塊についてPDCAASスコア1.0が得られる。繊維状菌糸塊は、粗タンパク質1g当たり26mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を有する。
【0020】
別の例では、N.クラッサ(N. crassa)を、10Lの卓上反応器内で、バッチ構成で増殖させた。N.クラッサ(N. crassa)を、最初に寒天斜面で増殖させ、32℃で3日間インキュベートする。分生子を、250mLの通気フェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上で32℃において48時間増殖させる。得られた菌糸体を、以下の培地:20g/Lのスクロース、2g/Lの硝酸アンモニウム、1g/Lの一塩基リン酸カリウム、0.2g/Lの硫酸マグネシウム、0.1g/Lの塩化カルシウム、および微量元素を含有する10Lの卓上反応器に無菌状態で移す。曝気は0.75vvmに設定し、かき混ぜは250rpmに設定する。pHは、6N水酸化ナトリウム緩衝液を使用して調整し、5.8で保持する。24時間後に、培地の90%を採取し、新規の培地を上述の濃度で添加して、系全体を10Lに戻す。新規の一連のバッチ時間を、12時間に短縮する。12時間ごとに90%を採取し、フェッドバッチプロセスを再び繰り返す。そのプロセスは60時間行った。チーズクロスおよびプレス機を用いて濾した後、すべての培地を収集し、オートクレーブ処理し、20g/Lのスクロース、2g/Lの硝酸アンモニウム、および1g/Lの一塩基リン酸カリウムを添加するだけで再使用する。フェッドバッチプロセスの反復を、合計60時間行う。採取した細胞乾燥質量は9.5g/Lである。タンパク質分析により、60質量%の粗タンパク質含量が得られる。アミノ酸分析により、繊維状菌糸塊についてPDCAASスコア1.0が得られる。繊維状菌糸塊は、粗タンパク質1g当たり26mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を有する。
【0021】
細胞維持および分生子単離の方法を、本明細書に記載する。ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)(N. crassa)の野生型株(FGSC番号4815)を、真菌遺伝子保存センター(fungal genetic stock center)から購入した。接種のために使用した細胞を、2%Vogelの50x塩、0.01%微量元素溶液、0.005%ビオチン、1.5%スクロース、および1.5%寒天から構成された寒天斜面上で、-20℃で保存した。増殖実験を、凍結させた寒天斜面から除去して新規の寒天斜面上に移し、完全な暗室中30℃で2~3日間インキュベートした細胞から出発した。分生子を、バッチ液内培養実験のために、標準の方法を使用して斜面から単離し、新しいVogel培地(2%Vogelの50x塩、0.01%微量元素溶液、0.005%ビオチン、および1.0%グルコース)100mLに接種させた。約0.7の光学密度の間の分生子の懸濁液(Vogel培地中1mL)を、各培養物に添加した。
【0022】
バッチ増殖方法を、本明細書に記載する。増殖実験を、新しい残留水1L中で実施した。バッチ培養物を、一定の光の下で30℃において1~3日間インキュベートした(120rpm)。バイオマスの採取は、真空濾過フラスコを使用して実施し、その後105℃で乾燥させた。
【0023】
糸状性真菌の粗タンパク質含量は、さらなる窒素供給源を補充することによって増大することができる。非限定的な例として、ガス状アンモニア、液体アンモニア、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、酵母エキス、尿素、ペプトン、または他の有機窒素供給源の補充が挙げられる。窒素供給源は、他のpH緩衝構成成分と共に添加することができる。非限定的な例として、酸、リン酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩、および塩基が挙げられる。
一部の実施形態では、真菌の菌糸体は、食品および飲料処理施設で生じた食品等級の水ストリーム由来の増殖培地を使用して増殖させることができる。例えば、本明細書に記載される方法および材料は、醸造所、使用済み酵母、装置洗浄、パッケージング、またはそれらの混合物からの残留水ストリームを含んでいてよい、醸造所で生じた水ストリームのために使用することができる。真菌の菌糸体は、食品等級のプロセスが行われ、残留水ストリームが、著しいレベルの糖、栄養素、および有機物と共に生じる、他の産業由来の増殖培地から増殖させることができる。非限定的な例として、以下の、醸造所、ワイナリー、蒸留所、栄養ドリンク、ソーダ、フルーツドリンク、ジャガイモ加工品、乳製品、肉処理、キャンディ、焼成品、またはそれらの混合物は、食品等級の残留水ストリームを生成するのに適した食品および飲料施設の一覧である。食品等級の残留水は、糸状性真菌を培養するための増殖培地として使用するために収集することができ、その糸状性真菌のバイオマスは、それに限定されるものではないが、可食タンパク質、化学的抽出、または材料を含む複数の生成物のために使用することができる。他の実施形態では、真菌の菌糸体は、菌糸体の培養効率を増強するために、制御された量の栄養素を含む適切な培養培地中で増殖させることができる。
【0024】
醸造所は、年間生成能力に基づいて様々な分類に区分される。ビールは、バレル(bbl)の単位で測定され、1bblは31ガロンに相当する。マイクロブルワリーは、一般に年間5,000bbl未満を生成し、クラフトブルワリーは年間5,000~1,000,000bblの間を生成し、国内大手醸造所は年間1,000,000bbl超を生成するものとみなされる。醸造所では、製品の生成だけでなく洗浄装置のためにも、それらの施設内で著しい量の水を使用する。残留水ストリームは、醸造所、使用済み酵母、発酵槽洗浄、濾過、およびパッケージングプロセスから生じる。生じた残留水は、典型的に、装置およびパッケージングの化学的すすぎを除いて、食品等級とみなされる。残留ストリームはまた、化学的酸素要求量(COD)および総浮遊固形分(TSS)が極めて高く、通常それぞれ20,000mg L-1および10,000mg L-1を上回る。醸造所の大きさに応じて、残留水は、異なる方式で廃棄され得る。ほとんどのマイクロブルワリーおよびクラフトブルワリーでは、残留水は下水に放出することができ、水のCODおよびTSS濃度に基づいて、地方自治体によって費用が課される。より大きいクラフトブルワリーおよび国内大手では、残留水は、通常、現場の排水処理施設に回される。これらの施設で生じた残留水は、しばしば糸状性真菌の増殖に必要な栄養素を含有しており、またはさらなる栄養素を補充する必要がある。
【0025】
図2は、一実施形態による醸造所プロセス200を示す。醸造所プロセス図は、本明細書に記載される真菌増殖方法が、どのように商業的醸造所に統合され得るかの模式図を含む。ある特定の残留水ストリームは、他のストリームよりも最適化された栄養プロファイルを有すると特定された。
醸造所プロセス200は、マッシュタン202を含むことができる。マッシュタン202は、粉砕麦芽を温度制御された水と混合するために使用される醸造容器を含むことができる。醸造所プロセス200は、マッシュタン202内で麦芽をすりつぶすことを含むことができる。醸造所プロセス200は、ラウタータン204を含むことができる。ラウタータン204は、ラウターを実施する、すなわちマッシュを透明な液体麦汁および残留穀粒に分離するために構成された容器を含むことができる。残留水203は、真菌細胞を増殖させるための増殖培地を提供するために、ラウタータン204から除去することができる。
醸造所プロセス200は、ケトル206を含むことができる。ケトル206は、麦汁をホップおよび他のフレーバーと共に沸騰させるための容器を含むことができる。ケトル206は、銅製であってよい。醸造所プロセス200は、ワールプール208を含むことができる。ワールプール208は、ホップを加えた麦汁中の固体粒子を分離する容器を含むことができる。ワールプール208は、沈降タンクを含むこともできる。残留水203は、真菌細胞を増殖させるための増殖培地を提供するために、ワールプール208から除去することができる。
醸造所プロセス200は、麦汁の冷却210を含むことができる。醸造所プロセス200は、発酵212を含むことができる。残留水203は、真菌細胞を増殖させるための増殖培地を提供するために、発酵212の後に除去することができる。醸造所プロセス200は、熟成214を含むことができる。醸造所プロセスは、濾過216を含むことができる。醸造所プロセス200は、パッケージング218を含むことができる。
【0026】
本明細書に記載される通り、残留水203は、真菌細胞のための増殖培地として使用することができる。真菌細胞は、増殖プロセス220を受けることができる。増殖プロセス220は、必要に応じた補助剤(例えば、糖、リン酸含有化合物、窒素含有化合物)を含むことができる。真菌細胞は、バイオマスまたは製品を生成するために、222で処理することができる。
糸状性真菌は、典型的に、実験室内でVogel溶液として公知の合成溶液中で培養される。表1は、誘導結合プラズマ発光(optimal)分光分析(ICP-OES)によって決定される通り、Vogel溶液および醸造所からの残留水の元素分析を示す。すべての値は、mg/Lで表される。表1によって提供された元素分析は、マイクロブルワリー醸造所からの残留水を示す。醸造所の残留水は、適切な糸状性真菌増殖に必要な栄養素を含有している。このデータは、Vogel溶液において使用される著しい量の栄養素が、適切な真菌増殖には必要でないことも明らかにしている。
【0027】
【表1】
醸造所の水ストリームの構成物は、Vogelの構成物と非常に類似しており、糸状性真菌の培養のために必要な量の各必須有機物およびミネラルを含有している。醸造所の水ストリームは、収集し、発酵容器内に保存することができる。真菌胞子を添加し、両端を含み6~72時間、両端を含み20~40℃でインキュベートすることができる。次に、最終的な糸状性真菌は、食品等級のストリーム由来なのでヒトが消費するために使用することができ、キチンもしくはキトサンなどの個々の化学物質に分解することができ、またはそれに限定されるものではないが活性炭などの、材料生成のための原料として使用することができる。真菌バイオマスが培養される水は、CODおよびTSSの両方が十分に精製され得る。したがってその水は、ある特定の適用のために、食品および飲料施設で再使用することができる。
【0028】
醸造所からの残留水ストリームは、そのまま使用することができるが、真菌増殖の効率は、さらなる栄養素および補助剤を添加することによって最大限にすることができる。補助剤には、それに限定されるものではないが、窒素供給源、微量金属供給源、リン供給源、カリウム供給源、マグネシウム供給源、硫酸塩供給源、ビタミン、またはそれらの混合物が含まれる。食品および飲料のほとんどの大規模施設は、単一製品だけを生成しており、したがって、食品等級の残留水ストリームの組成物は一貫している。より小さい施設(例えば、クラフトブルワリー)では、醸造される特定のビールの知識により、どんな元素の供給源が存在し、どんな栄養素をさらに補充する必要があるかが示され得る。補充は、食品および材料生成の目的で、増殖効率を増強し、バイオマスの最終的なミネラル含量を強化するという二重の目的を有することができる。ある特定の補充により、粗タンパク質レベルおよびアミノ酸プロファイルを変化させることができる。補充は、窒素供給源からなるpH緩衝液を含むことができる。
醸造所で生じた使用済み酵母は、Vogel溶液中、他の残留水ストリーム中、または単独のいずれかで、単一の補助剤として使用することができる。使用済み酵母は、補充時に不活化されているか、溶解されているか、または生存しているかのいずれかであってよい。糸状性真菌は、炭素、窒素、および栄養供給源として使用されるように酵母を分解することができる。
【0029】
単一施設からの残留水供給源に加えて、複数施設からの水供給源をブレンドして、発酵培地を最適化することができる。食品および飲料施設からの他の残留固体栄養供給源を添加することもできる。一例として、挽いたコーヒーを醸造所の残留水に添加することができる。
食品等級の残留水ストリームは、食品等級の残留水ストリームを収集する前、または収集した後に滅菌することができる。食品等級の残留水ストリームは、オゾン、熱、紫外線(UV)、および過酸化水素などの滅菌技術を使用して滅菌することができる。真菌の菌糸体由来の活性炭の生成などの他の適用では、増殖培地を滅菌するために、ヨウ素または二酸化塩素を使用することができる。
【0030】
図3は、Vogel溶液および醸造所からの残留水の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)走査を示す。HPLC走査は、醸造所からの残留水およびVogel溶液について、スクロース/マルトースピークに正規化された強度を示す。マルトトリオースピークは、Vogel溶液よりも醸造所からの残留水の方が強力である。さらに、ブドウ糖ピークは、Vogel溶液よりも醸造所からの残留水の方が強力であり、フルクトースピークは、Vogel溶液よりも醸造所からの残留水の方が強力である。
【0031】
図4は、醸造所からの残留水中のN.クラッサ(N. crassa)の増殖のHPLC走査を示す。HPLC走査は、48時間にわたる残留水中のN.クラッサ(N. crassa)の増殖を示す。スクロース/マルトースピークは、24時間目および48時間目よりも0時間目の方が強力である。マルトトリオースピークは、24時間目および48時間目よりも0時間目の方が強力であり、ブドウ糖ピークは、24時間目および48時間目よりも0時間目の方が強力であり、フルクトースピークは、24時間目および48時間目よりも0時間目の方が強力である。
一例では、醸造所の残留水を、イリノイ州のマイクロブルワリーから収集した。水ストリームは、初期のビール作成ストリームの残余であり、したがって食品等級である。増殖実験を、48時間にわたって実施した。図4は、N.クラッサ(N. crassa)の増殖過程にわたるHPLCデータを示す。フルクトース、ブドウ糖、スクロース、マルトース、マルトトリオース、および高次マルトデキストリンを含むほぼすべての糖が消費されている。高次マルトデキストリンが発酵培地における適切な炭素供給源であることが示されるのは、これが初めてである。表2に、収量特性、ならびにCOD、TOCおよび全窒素(TN)の低減をまとめる。この例は、真菌の菌糸体を増殖させるための完全発酵培地として、この特定の食品等級の水供給源を使用できることを実証している。
【0032】
【表2】

別の例では、醸造所の残留水および生存酵母を、イリノイ州のマイクロブルワリーから収集した。水ストリームは、初期のビール作成ストリームからの残余であり、酵母は、ビール作成プロセスからの残余であり、したがって、共に食品等級である。酵母を、オートクレーブを使用して死滅させた。酵母の量を増大して残留水に添加し、N.クラッサ(N. crassa)のための発酵培地として使用した。表3は、この実験と関連する収量データを示す。酵母添加による最終的なバイオマス収量は、生の真菌の収量に、開始時に添加された酵母の量を加えたものを超える。この例は、酵母および他の有機固体を培地に統合することができ、N.クラッサ(N. crassa)のために死滅酵母を栄養供給源として使用できることを実証している。
【0033】
【表3】

別の例では、醸造所の残留水および使用済み穀粒粉を、イリノイ州のマイクロブルワリーから収集した。水ストリームは、初期のビール作成ストリームからの残余であり、使用済み穀粒粉は、ビール作成プロセスからの残余であり、したがって、共に食品等級である。使用済み穀粒粉の量を増大して残留水に添加し、N.クラッサ(N. crassa)のための発酵培地として使用した。表4は、この実験と関連する収量データを示す。使用済み穀粒粉添加による最終的なバイオマス収量は、生の真菌の収量に、開始時に添加された微粉の量を加えたものを超える。この例は、使用済み穀粒を培地に統合することができ、N.クラッサ(N. crassa)のために使用済み穀粒を栄養供給源として使用できることを実証している。
【0034】
【表4】

別の例では、醸造所の残留水を、イリノイ州のマイクロブルワリーから収集した。水ストリームは、初期のビール作成ストリームの残余であり、したがって食品等級である。増殖実験を、48時間にわたって実施した。補助剤として、Vogel培地の50×塩部分を、適切な濃度で残留水ストリームに添加して、栄養供給源として作用させた。表5は、この実験と関連する収量データを示す。50×の添加による最終的なバイオマス収量は、未補充のものを超えている。この例は、真菌の菌糸体を増殖させるための発酵培地中の炭素供給源として、醸造所の残留水を使用できることを実証している。
【0035】
【表5】

別の例では、醸造所の残留水を、イリノイ州のマイクロブルワリーから収集した。水ストリームは、初期のビール作成ストリームの残余であり、したがって食品等級である。増殖実験を、48時間にわたって実施した。採取したバイオマスを脱イオン(DI)水で洗浄し、真空濾過し、57℃で8時間脱水し、可食チップスを生成するために使用した。別の実装形態では、真空濾過したバイオマスに、脱水の前にヒマワリ油を刷毛で塗り、57℃で8時間脱水し、可食チップスとして使用した。別の実装形態では、真空濾過したバイオマスを十分に揚げて、可食チップスを生成した。さらに別の実装形態では、脱水したバイオマスを、粉末に微粉砕し、水と混合して生地を形成し、シート状にし、円形にカットし、乾燥させ、次に十分に揚げて、可食チップスを形成した。
【0036】
図5は、一実施形態による、真菌の菌糸体から可食製品を形成するための一例となる方法500のブロック図を示す。簡単にまとめると、方法500は、502において繊維状菌糸塊を提供するステップと、504において食品添加物を繊維状菌糸塊に添加してバイオマスを生成するステップと、506においてバイオマスを生成するステップと、バイオマスを可食食品に形成するステップとを含む。
さらに拡張すると、方法500は、502において繊維状菌糸塊を提供するステップを含む。繊維状菌糸塊は、菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する。繊維状菌糸塊は、方法100の操作または本明細書に記載される真菌の菌糸体を生成する任意の他の方法を使用して生成することができる。
504において、食品添加物を繊維状菌糸塊に添加して、バイオマスを生成する。例えば、植物性または動物性タンパク質、脂肪、乳化剤、増粘剤、安定剤、フレーバー、pH調整剤、油、香辛料、塩などの、任意の適切な食品添加物を使用することができる。例えば、バイオマスのフレーバーは、様々な油を添加することによって増強することができる。油の非限定的な例として、ナッツ由来、野菜由来、植物由来、および動物由来の油が挙げられる。油は、消泡剤、真菌のための炭素供給源として作用する多目的を有するため、およびバイオマスに細胞外/細胞内で統合するために、食品等級の残留水ストリームに添加することができる。あるいは、油は、採取後または調理後にバイオマスに統合することができる。
形成され、部分的に乾燥したバイオマスは、様々な操作によって導入された食品添加物を有することができる。例えば、バイオマスは、さらなる成分に浸すことができる。バイオマスには、さらなる成分を注入することができる。バイオマスは、さらなる成分でコーティングすることができる。さらなる成分は、さらなる圧力を適用することによって、または真空条件下でバイオマスに分散させることができる。さらなる成分は、植物性または動物性タンパク質、脂肪、乳化剤、増粘剤、安定剤、フレーバー、pH調整剤等を含むことができる。
【0037】
方法500は、506においてバイオマスを生成するステップを含む。バイオマスを生成するステップは、バイオマスの質感を調整することを含むことができる。真菌バイオマスの質感は、バイオマスを化学的に洗浄することによって調整することができる。あるいは質感は、バイオマスの含水量を制御することによって変えることができる。質感は、バイオマスの増殖および形態を決定する様々な栄養素を添加することによって変えることもできる。最終的なバイオマスの密度は、より重いまたはより軽い最終生成物を生成するために初期含水量および乾燥条件を変えることによって、制御することができる。
生のバイオマスは、乾燥させ、粉末または漸増的粉末度に粉砕することができる。次に、粉末は、ヒトまたは動物に供給するタンパク質成分として使用することができる。粉末は、様々な形状を形成するために、中でも水および/または油などの他の成分およびバインダーを用いて形成することができる。タンパク質の抽出は、真菌タンパク質の単離物を作製するために行うことができる。単離物は、ヒトまたは動物への供給成分として使用することができる。
【0038】
508において、バイオマスは可食食品に形成される。バイオマスを可食食品に形成するステップは、バイオマスを脱水すること、および/またはバイオマスを粉末に微粉砕することを含むことができる。例えば、粉末は、中でもスムージー、スープ、シチュー、プディングに添加することができる。可食食品は、例えば、粉末化菌糸塊から形成することができる、チップス、プロテインバー、ジャーキー、トルティーヤ、パン、またはクラッカーを含むことができる。
【0039】
可食食品は、粉末化可食製品を含むことができる。粉末化可食製品は、粉末化菌糸塊を含むことができる。粉末化菌糸塊は、粉末化菌糸塊の40質量%を超えるタンパク質含量を有することができる。粉末化可食製品は、150μm未満の粒径を有することができる粉末の粒子を含むことができる。例えば、粉末の粒子は、両端を含み149μm、135μm、120μm、100μm、50μm、25μm、10μm、5μm、2μm、1μm、0.5μm、または0.25μmの粒径を有することができる。一部の実施形態では、方法500は、粉末を焼成食品に組み込むステップを含むことができる。例えば、焼成食品は、中でもビスケット、パン、ブラウニー、ケーキ、キャセロール、クッキー、クラッカー、カスタード、ペーストリー、パイ、プディング、ローストおよびタルトを含むことができる。焼成食品は、0.1~80質量%(例えば、両端を含み0.1質量%、1質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、または80質量%)の真菌の菌糸体、例えばN.クラッサ(N. crassa)由来の菌糸体を含むことができる。焼成食品は、0~90質量%(例えば、両端を含み0質量%、1質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、または90質量%)の炭水化物を含むことができる。炭水化物は、デンプンを含むことができる。粉末化可食製品の粉末化菌糸塊は、粉末化可食製品の総質量の0.1質量%~80質量%の範囲(例えば、両端を含み0.1質量%、0.5質量%、1質量%、5質量%、10質量%、25質量%、50質量%、75質量%、または80質量%)であってよい。粉末化可食製品は、0質量%~90質量%の範囲(例えば、0.1質量%、0.5質量%、1質量%、5質量%、10質量%、25質量%、50質量%、75質量%、90質量%)の炭水化物を含むことができる。粉末化菌糸塊は、粗タンパク質1グラム当たり少なくとも20mg(例えば、20mg/グラム、25mg/グラム、30mg/グラム等)のメチオニンおよびシステインの組合せの含量を含むことができる。
【0040】
一例では、N.クラッサ(N. crassa)を、10質量%未満の含水量になるまで74℃で完全に脱水し、150um未満の粒子粉末に微粉砕した。次に、小麦粉を使用する従来のレシピまたは類似のレシピを行い、全小麦質量の1~100%の間のいずれかの代わりにN.クラッサ(N. crassa)粉末を代用した。生成物には、中でもチップス、トルティーヤ、パン、およびクラッカーが含まれる。
【0041】
一部の実施形態では、方法500は、バイオマスを、ある形状に成型するステップを含むことができる。生のバイオマスは、可食食品に直接形成することができる。可能なプロセスは、中でもバー、ディスクおよび円筒形などの様々な形状を形成するために、中でも押出し、シーティングおよび成型を含む。乾燥させ、および/またはフレーバーを添加すると、バイオマス形態は、ヒトまたは動物が消費するための、中でもチップス、プロテインバー、ジャーキーなどの適用に使用することができる。形成されたバイオマスは、中でも、高温で調理し、凍結乾燥させ、脱水し、または揚げることができる。重要なことに、最終形態因子は、バインダーを使用することなく作製することができ、連続バイオマスとなる。
【0042】
成分を添加したバイオマスは、単一の様式で、または様式の組合せで調理することができる。例えば、バイオマスは、乾燥または蒸気環境下で、100℃未満(例えば、両端を含み90℃、80℃、75℃、または50℃)の温度で1~60分間調理することができる。バイオマスは、乾燥または蒸気環境下で、100℃~200℃の間(例えば、両端を含み100℃、125℃、150℃、または200℃)の温度で1~60分間調理することができる。バイオマスは、100℃未満の水浴中、1~120分間調理することができる。
【0043】
一部の実施形態では、バイオマスは保存することができる。バイオマスは、さらなる成分を含むことができる。バイオマスは調理することができる。バイオマスは、周囲条件もしくは真空条件下で0℃未満において凍結させることができ、および/または周囲条件もしくは真空条件下で5℃未満において冷蔵することができる。バイオマスは、封止容器内で無制限に保存することができる。
【0044】
一例では、バイオマスを、チーズクロスを使用して分離し、リンゴ用プレス機で圧縮する。含水量は75%である。バイオマスを、市販の脱水機で様々な温度において乾燥させる。40℃では、およそ3時間乾燥を行うと、20%未満の含水量が達成され、60℃では、およそ2時間乾燥を行うと、20%未満の含水量が達成され、75℃では、およそ1.5時間乾燥を行うと、20%未満の含水量が達成される。低温では、より長時間かかるが、最終的なバイオマスにより白い外観をもたらすことができ、個々の菌糸が分離したままになることにより、より低い密度を得ることができる。温度が高いほど真菌の菌糸の癒合が一緒になって促進されて、密度が高くなり、レジリエンスが増大する。
別の例では、バイオマスを、チーズクロスを使用して分離する。次に、湿潤バイオマスを、ドラム式加熱乾燥機上に直接添加し、蒸気を使用して110℃に加熱した。ドラム乾燥機から収集した残留バイオマスは、10%未満の含水量を有しており、薄膜または薄片の質を有していた。乾燥バイオマスは、粉末にさらに処理することができる。
別の例では、バイオマスを、チーズクロスを使用して分離する。この時、10%マメタンパク質、10%バレイショデンプン、5%キャノーラ油、5%アマニミール(flax meal)、または他の添加物を含む食品添加物を、湿潤バイオマスに添加することができる。食品添加物の濃度は、乾燥バイオマスに関係する。次に、湿潤バイオマスを、リンゴ用プレス機を使用して圧縮する。
別の例では、バイオマスを、チーズクロスを使用して分離する。次に、湿潤バイオマスを、様々な形状の金型に添加する。金型の上部に圧力をかけ、乾燥した、形成されたバイオマスを回収する。次に、形成された試料を、部分的に脱水するか、またはそのまま使用し、金型に入れるか、または真空成型システムを使用して自由に形成することができる。バイオマスは、部分的に乾燥したバイオマスであってよい。部分的に乾燥したバイオマスは、圧力成型を使用して形成することができる。部分的に乾燥したバイオマスは、真空成型を使用して形成することができる。次に、成型された試料を、直接凍結させて、連続処理のために輸送することができる。
別の例では、主に水、5%マメタンパク質および0.25%カラゲニン、ならびに調味料を含有する溶液を混合した。形成され部分的に乾燥したバイオマスを、その溶液に浸した。あるいは、溶液を、形成されたバイオマスに正確な量で注入した。次に、試料を圧縮して、溶液を金型に分散させた。次に、試料をオーブン内で180°Fで30分間調理して、タンパク質を変性させた。あるいは、真空金型を使用して溶液を分散させ、次に試料を、封止した真空パウチ内で、水バッチ中180°Fで30分間調理した。次に、試料をより高温で調理し、提供するか、または凍結させることができた。
【0045】
図6A1および6A2は、一実施形態による、チップスとして構成された食品の上面図および側面図をそれぞれ示す。チップスは、波状チップス、波型チップス、型押しチップスであってよく、または任意の他の適切な大きさもしくは形状を有することができる。図6B1および6B2は、一実施形態による、楕円形チップスとして構成された食品の上面図および側面図をそれぞれ示す。図6C1および6C2は、別の実施形態による、三角形チップスとして構成された食品の上面図および側面図をそれぞれ示す。
【0046】
可食食品は、チップスを含むことができる。チップスは、可食チップスを含むことができる。可食チップスは、可食実質を含むことができる。可食実質は、繊維状菌糸塊を含むことができる。繊維状菌糸塊は、0.1質量%~90質量%の範囲(例えば、両端を含み0.1質量%、0.5質量%、1質量%、5質量%、10質量%、25質量%、50質量%、75質量%、または90質量%)であってよい。繊維状菌糸塊は、繊維状菌糸塊の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有することができる。可食チップスは、20質量%未満(例えば、両端を含み15質量%、10質量%、5質量%、2質量%、1質量%、または0質量%)の含水量を含むことができる。可食チップスは、0質量%~90質量%の範囲(例えば、両端を含み0質量%、0.5質量%、1質量%、5質量%、10質量%、25質量%、50質量%、75質量%、または90質量%)の炭水化物含量を含むことができる。繊維状菌糸塊は、可食実質中に分布することができる。例えば、繊維状菌糸塊は、可食実質中に均一に分布することができる。他の実施形態では、繊維状菌糸塊は、可食実質中の濃縮領域に位置することができる。
可食実質は、可食実質の厚さの10倍を超える直径を有することができる。例えば、可食実質の厚さは、1mmであってよく、直径は、40mmであってよい。可食実質の厚さは、1mmであってよく、直径は、60mmであってよい。可食実質の厚さは、2mmであってよく、直径は、50mmであってよい。可食実質の厚さは、2mmであってよく、直径は、75mmであってよい。可食実質の厚さは、1.5mmであってよく、直径は、45mmであってよい。可食実質の厚さは、1.5mmであってよく、直径は、50mmであってよい。本明細書では特定の寸法の可食実質が記載されているが、これらは単なる例であり、他の寸法を有する可食実質も、本開示の範囲内にあるとみなされるべきであることを理解されたい。
可食チップスは、香味剤を含むことができる。香味剤は、フレーバーまたは食品添加物を含むことができる。例えば、香味剤は、油、例えばナッツ由来の油、野菜由来の油、植物由来の油、および/または動物由来の油を含むことができる。一部の実施形態では、香味剤は、塩、コショウ、または香辛料(例えば、黒コショウ、フェンネル、マスタード、ナツメグ、シナモン、ショウガ、赤トウガラシ、クローブ、ウコン等)を含むことができる。一部の実施形態では、香味剤は、フレーバー付き粉末(例えば、タマネギ粉末、ニンニク粉末、BBQ粉末、サワークリーム粉末、レモン粉末、ライム粉末等)を含むことができる。
繊維状菌糸塊は、粗タンパク質1グラム当たり少なくとも20mg(例えば、両端を含み20mg/グラム、25mg/グラム、または30mg/グラム)のメチオニンおよびシステインの組合せの含量を含むことができる。繊維状菌糸塊は、タンパク質消化吸収率補正アミノ酸スコア(PDCAAS)のスコア1を有することができる。PDCAASは、ヒトのアミノ酸必要量およびヒトのタンパク質消化能の両方に基づいて、タンパク質の質を評価する方法を含むことができる。
【0047】
図7は、一実施形態による、真菌の菌糸体から可食肉代替製品を形成するための一例となる方法700のブロック図を示す。簡単にまとめると、方法700は、702において繊維状菌糸塊を提供するステップと、704において食品添加物を繊維状菌糸塊に添加して、バイオマスを生成するステップと、706においてバイオマスを生成するステップと、708においてバイオマスを可食肉代替製品に形成するステップとを含む。
さらに拡張すると、方法700は、702において繊維状菌糸塊を提供するステップを含む。繊維状菌糸塊は、菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有することができる。繊維状菌糸塊は、方法100の操作または本明細書に記載される任意の他の方法を使用して生成することができる。
【0048】
方法700は、704において食品添加物を繊維状菌糸塊に添加して、バイオマスを生成するステップを含むことができる。食品添加物を繊維状菌糸塊に添加するステップは、調味料をバイオマスに添加することを含むことができる。バイオマスのフレーバーは、様々な油を添加することによって増強することができる。油の非限定的な例として、ナッツ由来、野菜由来、植物由来、および動物由来の油が挙げられる。油は、消泡剤、真菌のための炭素供給源として作用する多目的を有するため、およびバイオマスに細胞外/細胞内で統合するために、食品等級の残留水ストリームに添加することができる。あるいは、油は、採取後または調理後にバイオマスに統合することができる。
形成され、部分的に乾燥したバイオマスは、様々な操作によって導入された食品添加物を有することができる。例えば、バイオマスは、さらなる成分に浸すことができる。バイオマスには、さらなる成分を注入することができる。バイオマスは、さらなる成分でコーティングすることができる。さらなる成分は、圧力を適用することによって、または真空条件下でバイオマスに分散させることができる。さらなる成分は、植物性または動物性タンパク質、脂肪、乳化剤、増粘剤、安定剤、フレーバー、pH調整剤、香辛料、塩等を含むことができる。
【0049】
方法700は、706においてバイオマスを生成するステップを含む。バイオマスを生成するステップは、バイオマスの質感を調整することを含むことができる。真菌バイオマスの質感は、バイオマスを化学的に洗浄することによって調整することができる。あるいは質感は、バイオマスの含水量を制御することによって変えることができる。質感は、バイオマスの増殖および形態を決定する様々な栄養素を添加することによって変えることもできる。最終的なバイオマスの密度は、より重いまたはより軽い最終生成物を生成するために初期含水量および乾燥条件を変えることによって、制御することができる。
生のバイオマスは、乾燥させ、粉末または漸増的粉末度に粉砕することができる。次に、粉末は、ヒトまたは動物に供給するタンパク質成分として使用することができる。粉末は、異なる形状を形成するために、中でも水および/または油などの他の成分およびバインダーを用いて形成することができる。タンパク質の抽出は、真菌タンパク質の単離物を作製するために行うことができる。単離物は、ヒトまたは動物への供給成分として使用することができる。
【0050】
方法700は、708においてバイオマスを可食肉代替製品に形成するステップを含むことができる。バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップは、少なくとも1つの可溶性タンパク質をバイオマスに添加することを含むことができる。バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップは、少なくとも1つの増粘剤をバイオマスに添加することを含むことができる。バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップは、少なくとも1つの脂肪供給源をバイオマスに添加することを含むことができる。バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップは、バイオマスを可食肉代替製品に成型することを含むことができる。
【0051】
可食肉代替製品は、10質量%~100質量%の範囲(例えば、両端を含み10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、または100質量%)の繊維状菌糸塊を含むことができる。可食肉代替製品は、0質量%~100質量%の範囲(例えば、両端を含み0質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、または100質量%)の含水量を有することができる。一部の実施形態では、繊維状菌糸塊は、10質量%~50質量%の範囲であり、含水量は、50質量%~90質量%の範囲である。一部の実施形態では、可食肉代替製品は、1質量%~20質量%の範囲(例えば、両端を含み1質量%、2質量%、5質量%、10質量%、15質量%、または20質量%)の可溶性タンパク質を含む。可食肉代替製品は、0.01質量%~5質量%の範囲(例えば、両端を含み0.01質量%、0.05質量%、0.1質量%、1質量%、2質量%、または5質量%)の増粘剤含量を含むことができる。可食肉代替製品は、0質量%~10質量%の範囲(例えば、両端を含み0質量%、0.5質量%、1質量%、2質量%、5質量%、または10質量%)の脂肪供給源を含むことができる。
可食肉代替製品は、香味剤を含むことができる。香味剤は、フレーバーまたは食品添加物を含むことができる。例えば、香味剤は、油、例えばナッツ由来の油、野菜由来の油、植物由来の油、および動物由来の油を含むことができる。香味剤は、香辛料(例えば、黒コショウ、フェンネル、マスタード、ナツメグ、シナモン、ショウガ、赤トウガラシ、クローブ等)を含むことができる。香味剤は、フレーバー付き粉末(例えば、タマネギ粉末、ニンニク粉末、BBQ粉末、サワークリーム粉末、レモン粉末、ライム粉末等)を含むことができる。
可食肉代替製品は、粗タンパク質1グラム当たり少なくとも20mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を含むことができる。一部の実施形態では、可食肉代替製品におけるメチオニンおよびシステインの組合せの含量は、20mg/グラム~30mg/グラムの範囲(例えば、両端を含み20mg/グラム、25mg/グラム、または30mg/グラム)である。可食肉代替製品は、PDCAASスコア1を有することができる。可食肉代替製品は、2~9の範囲(例えば、両端を含み2、3、4、5、6、7、8、または9)の内部pHを有することができる。可食肉代替製品は、20質量%~70質量%の範囲(例えば、両端を含み20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、または70質量%)のタンパク質乾燥質量を有することができる。可食肉代替製品は、5質量%~30質量%の範囲(例えば、両端を含み5質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、または30質量%)の繊維乾燥質量を有することができる。可食肉代替製品は、0質量%~20質量%(例えば、両端を含み0質量%、1質量%、5質量%、10質量%、15質量%、または20質量%)の乾燥脂肪質量を有することができる。可食肉代替製品は、55を超えるCIE L*値によって表される色を有することができる。可食肉代替製品は、15Nを超えるWarner-Bratzlerせん断力を有することができる。可食肉代替製品は、50Nを超える硬さを有することができる。
可食肉代替製品は、鶏肉代替製品、牛肉代替製品、豚肉代替製品、子牛肉代替製品、または魚肉代替製品を含むことができる。可食肉代替製品は、10質量%~90質量%(例えば、両端を含み10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、または90質量%)の繊維状菌糸塊を含むことができる。
【0052】
鶏肉代替製品は、50~90質量%(例えば、両端を含み50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、または90質量%)の水を含むことができる。鶏肉代替製品は、10~50質量%(例えば、両端を含み10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、または50質量%)の真菌の菌糸体、例えばN.クラッサ(N. crassa)由来の菌糸体を含むことができる。鶏肉代替製品は、1~20質量%(例えば、両端を含み1質量%、2質量%、5質量%、10質量%、または20質量%)の可溶性タンパク質を含むことができる。可溶性タンパク質は、中でもマメ、卵白、およびジャガイモを含むことができる。鶏肉代替製品は、0.01~5質量%(例えば、両端を含み0.01質量%、0.05質量%、0.1質量%、1質量%、2質量%、または5質量%)の増粘剤を含むことができる。増粘剤は、中でもペクチン、カラゲニン、寒天を含むことができる。鶏肉代替製品は、0~10質量%(両端を含み0質量%、1質量%、2質量%、3質量%、4質量%、5質量%、または10質量%)の脂肪供給源を含むことができる。脂肪供給源は、中でも植物油、種子油を含むことができる。鶏肉代替製品は、調味料を含むことができる。鶏肉代替製品は、様々な物理的特性を有することができる。例えば、鶏肉代替製品は、2~9の間(例えば、両端を含み2、3、4、5、6、7、8、または9)の内部pHを有することができる。鶏肉代替製品は、40~70質量%(例えば、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、または70質量%)のタンパク質乾燥質量を有することができる。鶏肉代替製品は、5~30質量%(例えば、両端を含み5質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、または30質量%)の繊維乾燥質量を有することができる。鶏肉代替製品は、0~10質量%(両端を含み0質量%、1質量%、2質量%、4質量%、5質量%、または10質量%)の脂肪乾燥質量を有することができる。鶏肉代替製品は、55を超えるCIE L*値を有することができる。鶏肉代替製品は、15Nを超えるWarner-Bratzlerせん断力を有することができる。鶏肉代替製品は、50Nを超える硬さを有することができる。
鶏肉代替製品を生成するための一例では、主に水、5%マメタンパク質および0.25%カラゲニン、ならびに調味料を含有する溶液を混合した。形成され部分的に乾燥したバイオマスを、その溶液に浸した。あるいは、溶液を、形成されたバイオマスに正確な量で注入した。次に、試料を圧縮して、溶液を金型に分散させた。次に、試料をオーブン内で180°Fで30分間調理して、タンパク質を変性させた。あるいは、真空金型を使用して溶液を分散させ、次に試料を、封止した真空パウチ内で、水バッチ中180°Fで30分間調理した。次に、試料をより高温で調理し、提供するか、または凍結させることができた。
【0053】
肉代替製品は、0~90質量%(例えば、両端を含み0質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、または90質量%)の水を含むことができる。肉代替製品は、10~100質量%(例えば、両端を含み10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、90質量%、または100質量%)の真菌の菌糸体、例えばN.クラッサ(N. crassa)由来の菌糸体を含むことができる。肉代替製品は、1~20質量%(例えば、両端を含み1質量%、2質量%、5質量%、10質量%、または20質量%)の可溶性タンパク質を含むことができる。可溶性タンパク質は、中でもマメ、卵白、およびジャガイモを含むことができる。肉代替製品は、0~5質量%(例えば、両端を含み0質量%、0.01質量%、0.05質量%、0.1質量%、1質量%、2質量%、または5質量%)の増粘剤を含むことができる。増粘剤は、中でもペクチン、カラゲニン、寒天を含むことができる。肉代替製品は、0~50質量%(両端を含み0質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、または50質量%)の脂肪供給源を含むことができる。脂肪供給源は、中でも植物油、種子油を含むことができる。肉代替製品は、調味料を含むことができる。
肉代替製品を生成するための一例では、バイオマスが10質量%未満の含水量を有するまで、N.クラッサ(N. crassa)を74℃で完全に脱水した。次に乾燥N.クラッサ(N. crassa)を、ソース、ウースターソース、植物油、および調味料からなる「マリネ液」で再水和する。次に、マリネ液に浸したN.クラッサ(N. crassa)を、バイオマスがおよそ30質量%の含水量を有するまで、74℃で脱水する。
【0054】
バイオマスのフレーバーは、様々な油を添加することによって増強することができる。油の非限定的な例として、ナッツ由来、野菜由来、植物由来、および動物由来の油が挙げられる。油は、消泡剤、真菌のための炭素供給源として作用する多目的を有するため、およびバイオマスに細胞外/細胞内で統合するために、食品等級の残留水ストリームに添加することができる。あるいは、油は、採取後または調理後にバイオマスに統合することができる。
真菌バイオマスの質感は、バイオマスを化学的に洗浄することによって調整することができる。あるいは質感は、バイオマスの含水量を制御することによって変えることができる。質感は、バイオマスの増殖および形態を決定する様々な栄養素を添加することによって変えることもできる。最終的なバイオマスの密度は、より重いまたはより軽い最終生成物を生成するために初期含水量および乾燥条件を変えることによって、制御することができる。
【0055】
一例では、N.クラッサ(N. crassa)を増殖させ、採取した。バイオマスを、チーズクロスを使用して分離する。重力によって廃水した後、含水量はおよそ95%である。バイオマスを、水道水、エタノール、1Mのクエン酸、または0.1Mの水酸化カルシウムを含む様々な異なる溶液で洗浄する。バイオマスを、リンゴ用プレス機で圧縮する。圧縮後、含水量はおよそ75質量%である。エタノールで洗浄した試料は、68%の含水量を有していた。次に、湿潤バイオマスを、培地由来の任意の残留糖含量について試験する。未洗浄のバイオマスは、培地中3g/Lの糖と記録され、水で洗浄したバイオマスは、およそ0.5g/Lの糖と記録され、エタノールで洗浄したバイオマスは、0.4g/Lの糖と記録され、1Mのクエン酸および0.1Mの水酸化カルシウムは、0.1g/L未満の糖と記録された。
【0056】
生のバイオマスは、可食肉代替物に直接形成することができる。可能なプロセスは、中でもバー、ディスクおよび円筒形などの様々な形状を形成するために、中でも押出し、シーティングおよび成型を含む。乾燥させ、および/またはフレーバーをバイオマスに添加した後、バイオマスは、ヒトまたは動物が消費するための、中でもチップス、プロテインバー、ジャーキーなどの可食製品を形成するために使用することができる。形成されたバイオマスは、中でも、高温で調理し、凍結乾燥させ、脱水し、または揚げることができる。重要なことに、最終形態因子は、バインダーを使用することなく作製することができ、連続バイオマスとなる。
生のバイオマスは、乾燥させ、粉末または漸増的粉末度に粉砕することができる。次に、粉末は、ヒトまたは動物に供給するタンパク質成分として使用することができる。粉末は、様々な形状を形成するために、中でも水および/または油などの他の成分およびバインダーを用いて形成することができる。タンパク質の抽出は、真菌タンパク質の単離物を作製するために行うことができる。単離物は、ヒトまたは動物への供給成分として使用することができる。
【0057】
図8Aは、一実施形態による、パティとして構成された可食肉代替食品の斜視図を示す。パティは、バーガーまたはサンドイッチのためのパティであってよい。図8Bは、一実施形態による、テンダーとして構成された可食肉代替製品の斜視図を示す。テンダーは、中でも肉代替物のテンダー、ストリップ、フィレ、ナゲットであってよい。図8Cは、一実施形態による、挽いた可食肉代替製品の斜視図を示す。
一部の実施形態では、ある方法は、真菌細胞が菌糸体を生成するように、真菌細胞を増殖培地中で増殖させるステップを含む。増殖培地は、糖、窒素含有化合物、およびリン酸含有化合物を含む。その方法は、増殖培地から菌糸体を分離するステップと、菌糸体を濃縮して、菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する繊維状菌糸塊を得るステップとを含む。
一部の実施形態では、その方法は、真菌細胞および増殖培地を含むブロスの0.01体積%~95体積%を除去するステップを含む。その方法は、ブロスを含有する容器に、新しい増殖培地を添加するステップを含む。一部の実施形態では、糖は、5~50g/Lの範囲であり、窒素含有化合物は、0.5~10g/Lの範囲であり、リン酸含有化合物は、0.1~5g/Lの範囲である。一部の実施形態では、糖は、スクロース、グルコース、フルクトース、または糖蜜の少なくとも1つを含む。一部の実施形態では、窒素含有化合物は、水酸化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、尿素、酵母エキス、またはペプトンの少なくとも1つを含む。一部の実施形態では、リン酸含有化合物は、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、またはリン酸の少なくとも1つを含む。一部の実施形態では、その方法は、菌糸体の細胞壁を溶解するステップを含む。一部の実施形態では、その方法は、食品添加物を菌糸体に添加するステップを含む。食品添加物は、植物性タンパク質、動物性タンパク質、脂肪、乳化剤、増粘剤、安定剤、またはフレーバーの少なくとも1つを含む。
一部の実施形態では、可食食品を形成する方法は、菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する繊維状菌糸塊を提供するステップを含む。その方法は、食品添加物を繊維状菌糸塊に添加して、バイオマスを生成するステップと、バイオマスを可食食品に形成するステップとを含む。
一部の実施形態では、バイオマスを可食食品に形成するステップは、バイオマスを脱水することを含む。一部の実施形態では、バイオマスを可食食品に形成するステップは、バイオマスを粉末に微粉砕することを含む。一部の実施形態では、その方法は、粉末を焼成食品に組み込むステップを含む。一部の実施形態では、可食食品は、チップス、プロテインバー、ジャーキー、トルティーヤ、パン、またはクラッカーの少なくとも1つである。一部の実施形態では、その方法は、バイオマスをある形状に成型するステップを含む。
一部の実施形態では、可食肉代替製品を形成する方法は、菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する繊維状菌糸塊を提供するステップを含む。その方法は、食品添加物を繊維状菌糸塊に添加して、バイオマスを生成するステップと、バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップとを含む。
一部の実施形態では、バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップは、少なくとも1つの可溶性タンパク質をバイオマスに添加することを含む。一部の実施形態では、バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップは、バイオマスを可食肉代替製品に成型することを含む。一部の実施形態では、バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップは、少なくとも1つの増粘剤をバイオマスに添加することを含む。一部の実施形態では、バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップは、バイオマスを可食肉代替製品に成型することを含む。一部の実施形態では、バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップは、少なくとも1つの脂肪供給源をバイオマスに添加することを含む。一部の実施形態では、バイオマスを可食肉代替製品に形成するステップは、バイオマスを可食肉代替製品に成型することを含む。一部の実施形態では、その方法は、調味料をバイオマスに添加するステップを含む。
【0058】
一部の実施形態では、可食肉代替製品は、鶏肉代替製品、牛肉代替製品、豚肉代替製品、子牛肉代替製品、または魚肉代替製品の少なくとも1つを含む。一部の実施形態では、可食肉代替製品は、10質量%~90質量%の繊維状菌糸塊を含む。
一部の実施形態では、可食肉代替製品は、繊維状菌糸塊の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する、10質量%~100質量%の範囲の繊維状菌糸塊、および0質量%~90質量%の範囲の含水量を含む。一部の実施形態では、繊維状菌糸塊は、10質量%~50質量%の範囲であり、含水量は、50質量%~90質量%の範囲である。
一部の実施形態では、可食肉代替製品は、1質量%~20質量%の範囲の可溶性タンパク質、および0.01質量%~5質量%の範囲の増粘剤含量をさらに含む。一部の実施形態では、可食肉代替製品は、0質量%~10質量%の範囲の脂肪供給源をさらに含む。一部の実施形態では、可食肉代替製品は、0.01質量%~20質量%の範囲の可溶性タンパク質、0.01質量%~5質量%の範囲の増粘剤含量、および0質量%~50質量%の範囲の脂肪供給源をさらに含む。
【0059】
一部の実施形態では、可食肉代替製品は、香味剤をさらに含む。一部の実施形態では、繊維状菌糸塊は、粗タンパク質1グラム当たり少なくとも20mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を含む。一部の実施形態では、繊維状菌糸塊は、タンパク質消化吸収率補正アミノ酸(PDCAAS)スコア1を有する。一部の実施形態では、可食肉代替製品は、2~9の範囲の内部pH、20質量%~70質量%の範囲のタンパク質乾燥質量、5質量%~30質量%の範囲の繊維乾燥質量、および0質量%~20質量%の乾燥脂肪質量を有する。一部の実施形態では、可食肉代替製品は、55を超えるCIE L*値によって表される色、15Nを超えるWarner-Bratzlerせん断力、および50Nを超える硬さを有する。
一部の実施形態では、可食チップスは、繊維状菌糸塊の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含量を有する、0.1質量%~90質量%の範囲の繊維状菌糸塊、20質量%未満の含水量、および0質量%~90質量%の範囲の炭水化物含量を含む、可食実質を含む。繊維状菌糸塊は、可食実質中に分布している。
一部の実施形態では、可食実質は、可食実質の厚さの10倍を超える直径を有する。一部の実施形態では、可食実質は、香味剤も含む。一部の実施形態では、繊維状菌糸塊は、粗タンパク質1グラム当たり少なくとも20mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を含む。一部の実施形態では、繊維状菌糸塊は、PDCAASスコア1を有する。
【0060】
一部の実施形態では、粉末化可食製品は、粉末化菌糸塊の40質量%を超えるタンパク質含量を有する粉末化菌糸塊を含む。
一部の実施形態では、粉末化菌糸塊の粒子は、150μm未満の粒径を有する。一部の実施形態では、粉末化菌糸塊は、粉末化可食製品の総質量の0.1質量%~80質量%の範囲であり、粉末化可食製品は、0質量%~90質量%の範囲の炭水化物をさらに含む。一部の実施形態では、粉末化菌糸塊は、粗タンパク質1グラム当たり少なくとも20mgのメチオニンおよびシステインの組合せの含量を含む。一部の実施形態では、粉末化菌糸塊は、PDCAASスコア1を有する。
【0061】
本明細書は、多くの具体的な実装形態の詳細を含有するが、これらは、本発明または特許請求され得るもののいずれかの範囲を制限するものと解釈されるべきではなく、むしろ、特定の本発明の特定の実装形態に特異的な特性を説明するものとして解釈されるべきである。本明細書において別個の実装形態の文脈で記載されるある特定の特性は、単一の実装形態に組み合わせて実装することもできる。それとは逆に、単一の実装形態の文脈で記載される様々な特性は、別個にまたは任意の適切な部分的組合せで、複数の実装形態に実装することもできる。さらに特性は、ある特定の組合せで作用するものとして上述され、そのようなものとして最初に特許請求されている場合もあるが、特許請求された組合せから得られる1つまたは複数の特性は、ある場合には、その組合せから除外することができ、特許請求された組合せは、部分的組合せまたは部分的組合せの変形形態を対象にすることができる。
同様に、図および表において、操作が特定の順序で図示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、このような操作が示されている順序もしくは一連の順序で実施されること、または例示されているすべての操作が実施されることを必要とするものと理解されるべきではない。ある特定の環境では、同時作業的な並列処理が有利となり得る。さらに、上述の実装形態における様々なシステムコンポーネントの分離は、すべての実装形態においてこのような分離を必要とするものと理解されるべきではなく、記載されるプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に統合され得るか、または複数のソフトウェア製品にパッケージされ得ることを理解されたい。
したがって、本発明の特定の実装形態が記載されている。他の実装形態も、以下の特許請求の範囲内にある。ある場合には、特許請求の範囲に記載される動作は、異なる順序で実施しても、望ましい結果を達成することができる。さらに、添付の図に図示されるプロセスは、望ましい結果を達成するために、示されている特定の順序または一連の順序を必ずしも必要としない。ある特定の実装形態では、同時作業的な並列処理が有利となり得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈によって別段明示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つのメンバー(a member)」という用語は、単一のメンバーまたはメンバーの組合せを意味することを企図され、「1つの材料」は、1つもしくは複数の材料、またはその組合せを意味することが企図される。
【0063】
本明細書で使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、一般に、記載値のプラスまたはマイナス10%を意味する。例えば、約0.5は、0.45および0.55を含むことができ、約10は、9~11を含むことができ、約1000は、900~1100を含むことができる。
「例示的な」という用語は、様々な実施形態を記載するために本明細書で使用される場合、このような実施形態が、可能な実施形態の可能な例、代表、および/または例示であることを示すことが企図される(このような用語は、このような実施形態が、必然的に特別または最高の例であることを暗示することを企図されない)ことに留意されたい。
「結合された」、「接続された」等の用語は、本明細書で使用される場合、2つのメンバーが、互いに直接的または間接的に接合することを意味する。このような接合は、固定的(例えば、永久的)または可動的(例えば、除去可能または解除可能)であってよい。このような接合は、2つのメンバーもしくは2つのメンバーおよび任意のさらなる中間メンバーが、互いに単一体として一体的に形成されることにより、または2つのメンバーもしくは2つのメンバーおよび任意のさらなる中間メンバーが、互いに結合することにより達成され得る。
様々な例示的な実施形態の構成および配置は、単に例示的であることに留意することが重要である。いくつかの実施形態だけを、本開示において詳説してきたが、本開示を再考察する当業者は、本明細書に記載される主題の新規な教示および利点から実質的に逸脱することなく、多くの改変(例えば、様々な要素の大きさ、寸法、構造、形状および割合、パラメータ値、取付け配置、材料の使用、色、配向等の変更)が可能であることを、容易に理解されよう。様々な例示的な実施形態の設計、操作条件および配置に、他の置換、改変、変更および省略を、本発明の範囲から逸脱することなく加えることもできる。
【0064】
本明細書を通して「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」または類似の用語への言及は、実施形態と関連して記載される特定の特性、構造、または特徴が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書を通して、「一実施形態(one embodiment)では」、「一実施形態(an embodiment)では」という句、および類似の用語の出現は、すべて同じ実施形態に言及している場合があるが、必ずしもそうでない場合がある。同様に、「実装形態」という用語の使用は、本開示の1つまたは複数の実施形態と関連して記載される特定の特性、構造、または特徴を有する実装形態を意味するが、そうでないと示す明確な相関がない場合には、一実装形態は、1つまたは複数の実施形態と関連し得る。
【0065】
本明細書は、多くの具体的な実装形態の詳細を含有するが、これらは、本発明または特許請求され得るもののいずれかの範囲を制限するものと解釈されるべきではなく、むしろ、特定の本発明の特定の実装形態に特異的な特性を説明するものとして解釈されるべきである。本明細書において別個の実装形態の文脈で記載されるある特定の特性は、単一の実装形態に組み合わせて実装することもできる。それとは逆に、単一の実装形態の文脈で記載される様々な特性は、別個にまたは任意の適切な部分的組合せで、複数の実装形態に実装することもできる。さらに特性は、ある特定の組合せで作用するものとして上述され、そのようなものとして最初に特許請求されている場合もあるが、特許請求された組合せから得られる1つまたは複数の特性は、ある場合には、その組合せから除外することができ、特許請求された組合せは、部分的組合せまたは部分的組合せの変形形態を対象にすることができる。
同様に、図および表において、操作が特定の順序で図示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、このような操作が示されている順序もしくは一連の順序で実施されること、または例示されているすべての操作が実施されることを必要とするものと理解されるべきではない。ある特定の環境では、同時作業的な並列処理が有利となり得る。さらに、上述の実装形態における様々なシステムコンポーネントの分離は、すべての実装形態においてこのような分離を必要とするものと理解されるべきではなく、記載されるプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に統合され得るか、または複数のソフトウェア製品にパッケージされ得ることを理解されたい。
したがって、本発明の特定の実装形態が記載されている。他の実装形態も、以下の特許請求の範囲内にある。ある場合には、特許請求の範囲に記載される動作は、異なる順序で実施しても、望ましい結果を達成することができる。さらに、添付の図に図示されるプロセスは、望ましい結果を達成するために、示されている特定の順序または一連の順序を必ずしも必要としない。ある特定の実装形態では、同時作業的な並列処理が有利となり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A1-6A2】
図6B1-6B2】
図6C1-6C2】
図7
図8A
図8B
図8C
【外国語明細書】