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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008676
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】光線方向検知センサ
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/60 20230101AFI20240112BHJP
【FI】
H01L31/08 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110731
(22)【出願日】2022-07-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年9月2日にThe 4th NIT-NUU Bilateral Academic Conference(日台国際交流会議)にて公開 令和4年1月22日に第27回高専シンポジウムにて公開
(71)【出願人】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】森宗 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】長川 歩
(72)【発明者】
【氏名】金澤 啓三
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 貴大
【テーマコード(参考)】
5F849
【Fターム(参考)】
5F849AA17
5F849AB11
5F849BA25
5F849BA30
5F849BB20
5F849DA16
5F849FA02
5F849FA04
5F849HA17
5F849LA02
5F849LA06
5F849XA01
5F849XA25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型で、かつ、光線の入射方向を高精度で検知することができる光線方向検知センサを提供する。
【解決手段】光線の入射方向を検知する光線方向検知センサであって、積層配置された第1位置検出センサ10および第2位置検出センサ20と、第1位置検出センサ10および第2位置検出センサ20からの信号に基づいて光線の入射方向を算出する演算装置30と、を有し、第1位置検出センサ10は、透光性の半導体層14,15と、半導体層14の上層として形成された入射側電極と、半導体層15の下層として形成された透光性を有する出射側電極16と、を備えて構成されており、第2位置検出センサ20は、第1位置検出センサ10を透過した光線が入射するように配置され、演算装置30は、第1位置検出センサ10で検知した光線の入射位置と、第2位置検出センサ20で検知した光線の入射位置とのずれに基づいて、光線の入射方向を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象となる光線の入射方向を検知する光線方向検知センサであって、
積層配置された第1位置検出センサおよび第2位置検出センサと、
前記第1位置検出センサおよび前記第2位置検出センサからの信号に基づいて前記光線の入射方向を算出する演算装置と、を有し、
前記第1位置検出センサは、前記光線が入射していない部分においては絶縁体として機能し、前記光線が入射した部分においては導体として機能する、透光性の半導体層と、半導体層の上層として形成された入射側電極と、半導体層の下層として形成された透光性を有する出射側電極と、を備えて構成されており、
前記第2位置検出センサは、前記第1位置検出センサを透過した光線が入射するように配置されており、
前記演算装置は、前記第1位置検出センサで検知した光線の入射位置と、前記第2位置検出センサで検知した光線の入射位置とのずれに基づいて、前記光線の入射方向を算出する、光線方向検知センサ。
【請求項2】
前記入射側電極または前記出射側電極が、金属膜により構成されている、請求項1に記載の光線方向検知センサ。
【請求項3】
前記金属膜は銀膜である、請求項2に記載の光線方向検知センサ。
【請求項4】
前記銀膜は、厚さが17~40nmである、請求項3に記載の光線方向検知センサ。
【請求項5】
前記入射側電極または前記出射側電極は、一対の透光性電極であり、当該一対の透光性電極の間には、一定の抵抗を有する透光性の導電膜層をさらに有する、請求項1に記載の光線方向検知センサ。
【請求項6】
前記入射側電極または前記出射側電極は、一対の透光性電極であり、
前記半導体層は、一定の抵抗を有する高分子有機半導体であり、
光線が前記高分子有機半導体に入射することで、前記高分子有機半導体から前記一対の透光性電極に電気が伝達される、請求項1に記載の光線方向検知センサ。
【請求項7】
前記第1位置検出センサおよび前記第2位置検出センサは、それぞれ、二対以上の前記入射側電極を有しており、入射した光線の位置を二次元で検出する、請求項3に記載の光線方向検知センサ。
【請求項8】
前記光線は可視光線である、請求項1に記載の光線方向検知センサ。
【請求項9】
前記光線は放射線であり、
前記第1位置検出センサおよび前記第2位置検出センサは、シンチレータを有しており、前記シンチレータにおいて放射線が発した光を検知することで、放射線の入射位置を検知する、請求項1に記載の光線方向検知センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線の入射方向を検知する光線方向検知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォトダイオードを用いたイメージセンサや位置検出センサ(PSD:Position Sensitive Device)など、光線を検知するセンサが実用化されている。また、近年、光線を検知するだけではなく、光線の入射方向を検出する技術についても開発が進められている。
たとえば、特許文献1では、放射線の入射方法を検出する装置において、複数の光電変換素子がマトリクス状に配列された半導体チップを有する第1の検出部で、入射放射線によるコンプトン散乱が発生した位置とコンプトン散乱により発生した反跳電子の軌跡と検出するとともに、基板と第1の検出部との間に設けられた第2の検出部で、散乱放射線が入射された位置を検出することで、放射線源の位置を算出する技術が開示されている。
また、特許文献2では、ICチップ上に複数の受光素子を円周状に形成配置し、水平方向の入射光の仰角をレンズや鏡などを組み合わせて光学的に変えることにより、IC面上に集光させ、この複数の受光素子を走査して受信レベルを検出することで、光線の飛来方向を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-185852号公報
【特許文献2】特開2003-329426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、コンプトン散乱により発生した反跳電子の軌跡を検出するために、複数の光電変換素子をマトリクス状に配列させる必要があり、装置の小型化が困難であるという問題があった。また、特許文献2でも、複数の受光素子と、受光素子ごとにレンズおよび鏡が必要となり、小型化を実現することは困難であり、また、光線の入射方向を実用可能な精度で検出することが難しいとの問題があった。
【0005】
本発明は、小型で、かつ、光線の入射方向を高精度に検知可能な、光線方向検知センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光線方向検知センサは、検出対象となる光線の入射方向を検知する光線方向検知センサであって、積層配置された第1位置検出センサおよび第2位置検出センサと、前記第1位置検出センサおよび前記第2位置検出センサからの信号に基づいて前記光線の入射方向を算出する演算装置と、を有し、前記第1位置検出センサは、前記光線が入射していない部分においては絶縁体として機能し、前記光線が入射した部分においては導体として機能する、透光性の半導体層と、半導体層の上層として形成された入射側電極と、半導体層の下層として形成された透光性を有する出射側電極と、を備えて構成されており、前記第2位置検出センサは、前記第1位置検出センサを透過した光線が入射するように配置されており、前記演算装置は、前記第1位置検出センサで検知した光線の入射位置と、前記第2位置検出センサで検知した光線の入射位置とのずれに基づいて、前記光線の入射方向を算出する。
上記光線方向検知センサにおいて、前記入射側電極または前記出射側電極が、金属膜により構成されている構成とすることができる。
上記光線方向検知センサにおいて、前記金属膜は銀膜である構成とすることができる。
上記光線方向検知センサにおいて、前記銀膜は、厚さが17~40nmである構成とすることができる。
上記光線方向検知センサにおいて、前記入射側電極または前記出射側電極は、一対の透光性電極であり、当該一対の透光性電極の間には、一定の抵抗を有する透光性の導電膜層をさらに有する構成とすることができる。
上記光線方向検知センサにおいて、前記入射側電極または前記出射側電極は、一対の透光性電極であり、前記半導体層は、一定の抵抗を有する高分子有機半導体であり、光線が前記高分子有機半導体に入射することで、前記高分子有機半導体から前記一対の透光性電極に電気が伝達される構成とすることができる。
上記光線方向検知センサにおいて、前記第1位置検出センサおよび前記第2位置検出センサは、それぞれ、二対以上の前記入射側電極を有しており、入射した光線の位置を二次元で検出する構成とすることができる。
上記光線方向検知センサにおいて、前記光線は可視光線である構成とすることができる。
上記光線方向検知センサにおいて、前記光線は放射線であり、前記第1位置検出センサおよび前記第2位位置検出センサは、シンチレータを有しており、前記シンチレータにおいて放射線が発した光を検知することで、放射線の入射位置を検知する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、小型で、かつ、光線の入射方向を高精度で検知することができる光線方向検知センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る光線方向検知センサの断面概要図である。
図2】本実施形態に係る光線方向検知センサの上面概要図である。
図3】共通電極における光線の透光率の一例を示すグラフである。
図4】共通電極の膜厚と電気抵抗率との関係の一例を示すグラフである。
図5】光線の入射位置の検出方法を説明するための図である。
図6】本実施形態に係る第1位置検出センサにおける光線の入射位置の検出精度の一例を示す図である。
図7】光線の入射方向の算出方法を説明するための図である。
図8】本実施形態に係る第1位置検出センサでの光線の入射位置の検出結果を示すグラフである。
図9】本実施形態に係る第2位置検出センサでの光線の入射位置の検出結果を示すグラフである。
図10】他の実施形態に係る光線方向検知センサを示す概要図である。
図11】他の実施形態に係る放射線検出センサを示す概要図である。
図12】他の実施形態に係る光線方向検知センサを示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る光線方向検知センサの実施形態を、図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る光線方向検知センサ1を示す断面構成図である。また、図2は、本実施形態に係る光線方向検知センサ1の上面概要図であり、図1に示す光線方向検知センサ1を上面から見た図となる。なお、図1は、図2のI-I線に沿う断面図となる。図1に示すように、光線方向検知センサ1は、第1位置検出センサ10と、第2位置検出センサ20と、演算装置30とを有する。本実施形態では、第1位置検出センサ10および第2位置検出センサ20との位置関係において、第1位置検出センサ10が配置されている方向を上側、第2位置検出センサ20が配置されている方向を下側として説明する。図1に示すように、本実施形態では、上側から入射する光線の入射方向を検知するものとし、第1位置検出センサ10を透過した光線が、第2位置検出センサ20で受光されるように、第1位置検出センサ10および第2位置検出センサ20が配置されている。
【0010】
第1位置検出センサ10は、図1および図2に示すように、表面抵抗層11、一対の入対向電極12a,12b、一対の対向電極13a,13b、第1の半導体層14、第2の半導体層15、共通電極16、第1電源17a,17b、第1電流計18a,18b、第2電源19a,19b、および第2電流計110a,110bを有する。なお、以下においては、一対の対向電極12a,12bをまとめて一対の対向電極12、一対の対向電極13a,13bをまとめて一対の対向電極13とも言う。
【0011】
第1位置検出センサ10では、図1に示すように、共通電極16の上に第1および第2の半導体層14,15が積層され、第1の半導体層14の上に表面抵抗層11および一対の対向電極12,13が積層されている。また、図2に示すように、一対の対向電極12,13は、表面抵抗層11の四方を囲うように配置されている。すなわち、一対の対向電極12a,12bは、表面抵抗層11を介して、X方向に互いに対向するように配置されており、一対の対向電極13a,13bは、Y方向において、表面抵抗層11を介して互いに対向するように配置されている。
【0012】
表面抵抗層11は、透光性を有する導電材料で作成された矩形の導電膜であり、表面抵抗層11における通電に対して一定の電気抵抗を有している。表面抵抗層11としては、たとえば、PEDOT:PSSなどの導電性高分子や、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)などの亜鉛酸化物を用いることができる。表面抵抗層11は、一定の電気抵抗値を有しているため、表面抵抗層11を面方向に流れる電流の距離が長いほど表面抵抗層11を流れる電流値は小さくなる特性を有している。
【0013】
対向電極12、13は、透光性の電導材料で作成された入射側電極であり、たとえば、インジウムスズ酸化物(ITO)電極やIGZO電極などが例示される。対向電極12a,12bは、表面抵抗層11の対向する一対の側辺(図2においては左右両端の側辺)の全体に配設される細長い矩形の電極である。また、対向電極13a,13bは、対向電極12a,12bが配置される表面抵抗層11の一対の側辺と直交する一対の側辺(図2においては上下両端の側辺)の全体に配設される細長い矩形の電極である。また、対向電極12,13は、いずれも第1の半導体層14の上層として配置される。対向電極12,13は、第1電源17、第2電源19および表面抵抗層11と電気的に接続しており、第1電源17および第2電源19から出力された電流は、対向電極12,13を介して、表面抵抗層11へと流れることとなる。
【0014】
第1の半導体層14は、n型半導体からなる層(たとえば、厚さ250nm)であり、たとえば、銅フタロシアニンから構成することができる。また、第2の半導体層15は、p型半導体からなる層(たとえば、厚さ900nm)であり、たとえば、銅フタロシアニンとフラーレンを1:1で混合したCuPc:C60(1:1)から構成することができる。本実施形態において、第1および第2の半導体層14,15は、光線が入射していない部分においては絶縁体として機能するが、光線が入射した部分においては、励起し内部光電効果を発揮することで、光線が入射された部分において導体として機能し電流が流れることとなる。なお、本実施形態では、第1および第2の半導体層14,15として、有機半導体を用いることで、可撓性を有する光線方向検知センサ1を作製することが可能となる。ただし、第1および第2の半導体層14,15として、ZnOやGaOなどの無機半導体を用いることもできる。
【0015】
共通電極16は、第1位置検出センサ10の底面を構成する矩形の出射側電極であり、本実施形態においては、透光性を有する金属薄膜により構成される。上述の対向電極12,13の外縁ならびに第1および第2の半導体層14、15の外縁は、共通電極16の外縁と揃う大きさに構成されている。共通電極16を構成する金属薄膜としては、銀、金、銅などの薄膜を用いることができるが、透光性および経済性の点から、銀膜を用いることが好ましい。
【0016】
ここで、共通電極16の厚さが厚い場合、共通電極16は、十分な透光性を得ることができない。そのため、本実施形態に係る共通電極16の膜厚は、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下となるように構成される。ここで、図3は、共通電極16における光線の透過率の一例を示すグラフであり、膜厚20nmの銀薄膜で構成した共通電極16の波長ごとの透光性を検査した結果を示す。なお、透光率の測定は、紫外・可視・近赤外分光光度計「SHIMADZU UV-3600」(株式会社島津製作所)を用いて行った。
【0017】
図3に示すように、共通電極16を20nmの銀膜とした場合、可視光の波長範囲のうち、435.8nmの波長の光の透過率(図3の(a)に示す透過率)は約41%となり、546.1nmの波長の光の透過率(図3の(b)に示す透過率)は22%となり、700nmの波長の光の透過率(図3の(c)に示す透過率)は約15%となった。このように、膜厚20nmの銀膜では、可視光の波長範囲の光であれば波長にかかわらず約14%以上の透過率が得られることがわかった。また、共通電極16を30nmの銀膜とした場合は、膜厚20nmよりも透過率は低くなるが、図3に示すように、可視光の波長範囲において、膜厚20nmとほぼ同程度の透過率が得られることがわかった。本実施形態に係る共通電極16としては、光線の透過率が少ない波長でも、8%以上の透過率があることが好ましく、14%以上の透過率があることがより好ましく、20%以上の透過率があることがさらに好ましい。
【0018】
また、共通電極16は、膜厚が薄すぎる場合には、電気抵抗が安定しない場合がある。そのため、共通電極16の膜厚は、好ましくは17nm以上、より好ましくは20nm以上となるように構成される。ここで、図4は、共通電極16である銀膜の膜厚と電気抵抗率との関係の一例を示すグラフである。図4の(A)に示すように、銀膜は膜厚16nm付近において、電気抵抗率は10から10-4へと大きく変動するため、銀膜の膜厚を16nm以下としてしまうと位置検出センサとして安定性に欠けてしまうことが考えられる。一方で、銀膜の膜厚を17nm以上とすることで、このような電気抵抗率の変動は抑えられ、また、電気抵抗率を低くすることができるため、安定かつ適切に線の入射位置を検出することが可能となる。
【0019】
図1に示すように、対向電極12aと共通電極16との間には、第1電源17aおよび第1電流計18aが配置される。また、対向電極12bと共通電極16との間には、第1電源17bおよび第1電流計18bが配置される。同様に、図2に示すように、対向電極13aと共通電極16との間には、第2電源19aおよび第2電流計110aが配置され、対向電極13bと共通電極16との間には、第2電源19bおよび第2電流計110bが配置される。なお、以下においては、第1電源17a,17bをまとめて第1電源17とも称し、第1電流計18a,18bをまとめて第1電流計18とも称し、第2電源19a,19bをまとめて第2電源19とも称し、第2電流計110a,110bをまとめて第2電流計110とも称す。
【0020】
ここで、第1位置検出センサ10に光線が入射していない場合、半導体層14,15は絶縁体として機能し電流は流れないため、第1電流計18および第2電流計110において電流を計測することはできない。一方、第1位置検出センサ10に光線が入射すると、半導体層14,15における光線の入射位置において内部光電効果により通電が可能となり、第1電源17および第2電源19から出力された電流が、一対の対向電極12,13、表面抵抗層11、半導体層14,15および共通電極16を介して流れ、第1電流計18および第2電流計110により電流値が計測されることとなる。たとえば、図5に示す例のように、第1位置検出センサ10に光線が入射すると、半導体層14,15における光線の入射位置が導体と機能し通電が生じることで、第1電源17aから出力された電流の電流値Iは、対向電極12a、表面抵抗層11、光線の入射位置における半導体層14,15、共通電極16を介して、第1電流計18aで計測される。また、第1電源17bから出力された電流の電流値Iは、対向電極12b、表面抵抗層11、光線の入射位置における半導体層14,15、共通電極16を介して、第1電流計18bで計測される。同様に、図示していないが、第2電源19aから出力された電流の電流値Iは、対向電極13a、表面抵抗層11、光線の入射位置における半導体層14,15、共通電極16を介して、第2電流計110で計測され、第2電源19bから出力された電流の電流値Iは、対向電極13b、表面抵抗層11、光線の入射位置における半導体層14,15、共通電極16を介して、第2電流計110bで計測される。
【0021】
ここで、上述したように、表面抵抗層11は、一定の電気抵抗を有しており、表面抵抗層11の面方向に流れる電流の距離が長いほど、表面抵抗層11を流れる電流は減衰し電流値は小さくなる。たとえば、図5に示す例においては、光線の入射位置は、対向電極12aよりも、対向電極12bに近い位置Pになっている。そのため、対向電極12aを経由して流れる電流の電流値Iは、対向電極12bを経由して流れる電流の電流値Iよりも小さくなる。
【0022】
演算装置30は、このような電気特性に基づいて、第1位置検出センサ10における光線の入射位置を検出する。具体的に、演算装置30は、第1電流計18および第2電流計110と接続しており、第1電流計18および第2電流計110が計測した各電流値I,Iを取得する。そして、演算装置30は、下記式1に示す式に基づいて、光線の入射位置(図5に示す例では対向電極12bからの距離ΔX)を算出する。
【数1】
なお、上記式(1)においては、図5に示すように、対向電極12aから対向電極12bまでの距離をLとし、第1電流計18aで計測した電流値をI、第1電流計18bで計測した電流値をIとして、X方向における光線の入射位置P(図5に示す例では対向電極12bからの距離ΔX)を求めることができる。
【0023】
同様に、演算装置30は、第2電流計110aおよび第2電流計110bと接続しており、第2電流計110aおよび第2電流計110bが計測した電流値I,Iを取得することで、上記式(1)に基づいて、Y方向における光線の入射位置P(対向電極13bからの距離ΔY)も算出することができる。これにより、演算装置30は、二次元(X方向およびY方向)における光線の入射位置を検出することができる。
【0024】
ここで、図6は、本実施形態に係る第1位置検出センサ10での光線の入射位置の検出試験の結果を示す図である。図6に示す試験例では、レーザー照射装置から、第1位置検出センサ10の表面に垂直となるように、光線を入射させた。また、レーザー照射装置を移動させてレーザー光の照射位置を変更させながら、それぞれの照射位置において、第1位置検出センサ10で計測した電流値I,Iから光線の入射位置Pを算出した。レーザー照射位置と、電流値I,Iから求めた光線の入射位置P(図5に示すΔX)との関係とを、図6に示す。図6に示すように、レーザー照射位置と、検出値ΔXとが相関しており、本実施形態に係る第1位置検出センサ10で光線の入射位置ΔXを高精度に検知することができることがわかった。
【0025】
さらに、本実施形態に係る光線方向検知センサ1では、第1位置検出センサ10が、第1位置検出センサ10に入射した光線の一部を透過して、下側に配置された第2位置検出センサ20に透過した光線を受光させる構成となっている。特に、本実施形態において、表面抵抗層11、対向電極12,13、半導体層14,15は高い透光性を有しており、また、共通電極16は金属薄膜であり半透光性ではあるが、上述したように、共通電極16の膜厚を40nm以下とすることで、第1位置検出センサ10に入射した光線が、第1位置検出センサ10を通過して、第2位置検出センサ20に入射するように構成されている。
【0026】
次に、第2位置検出センサ20について説明する。第2位置検出センサ20も、第1位置検出センサ10と同様に、透光性の表面抵抗層21、透光性の一対の対向電極22a,22bおよび23a,23b、透光性の半導体層24,25、共通電極26、第1電源27a,27b、第1電流計28a,28b、第2電源29a,29b、並びに第2電流計210a,210bを有する。なお、第2位置検出センサ20においても、一対の対向電極22a,22bをまとめて対向電極22とも称し、一対の対向電極23a,23bをまとめて対向電極23とも称す。また、第1電源27a,27bをまとめて第1電源27とも称し、第1電流計28a,28bをまとめて第1電流計28とも称し、第2電源29a,29bをまとめて第2電源29とも称し、第2電流計210a,210bをまとめて第2電流計210とも称す。
【0027】
第2位置検出センサ20においても、第1位置検出センサ10と同様に、第1の半導体層24および第2の半導体層25に光線が入射すると、半導体層24,25は、入射位置において、内部誘電効果を発揮し通電が可能となる。これにより、第2位置検出センサ20に光線が入射すると、半導体層24,25における光線の入射位置において内部光電効果により通電が可能となり、第1電源27および第2電源29から出力された電流が、一対の対向電極22,23、表面抵抗層21、半導体層24,25および共通電極26を介して流れ、第1電流計28および第2電流計210により電流値が計測されることとなる。具体的には、第2位置検出センサ20に光線が入射すると、半導体層24,25における光線の入射位置が導体となり通電が生じることで、第1電源27aから出力された電流の電流値Iは、対向電極22a、表面抵抗層21、光線の入射位置における半導体層24,25、共通電極26を介して、第1電流計28aで計測される。また、第1電源27bから出力された電流の電流値Iは、対向電極22b、表面抵抗層21、光線の入射位置における半導体層24,25、共通電極26を介して、第1電流計28bで計測される。同様に、第2電源29aから出力された電流の電流値Iは、対向電極23a、表面抵抗層21、光線の入射位置における半導体層24,25、共通電極26を介して、第2電流計210aで計測され、第2電源29bから出力された電流の電流値Iは、対向電極23b、表面抵抗層21、光線の入射位置における半導体層24,25、共通電極26を介して、第2電流計210bで計測される。そして、第1電流計28a,28bおよび第2電流計210a,210bで計測された電流値I,Iは、演算装置30へと出力される。
【0028】
また、第2位置検出センサ20においても、表面抵抗層21は、一定の電気抵抗を有しており、表面抵抗層21の面方向に流れる電流の距離が長いほど、電流は抵抗により減衰し小さくなる。そのため、演算装置30は、第1電流計28および第2電流計210から取得した電流値に基づいて、上記式(1)により、表面抵抗層21における光線の入射位置(X方向におけるΔXおよびY方向におけるΔY)を算出することができる。
【0029】
なお、第2位置検出センサ20は、第1位置検出センサ10とは異なり、入射した光線を透過する必要はない。そのため、第2位置検出センサ20における共通電極26は、第1位置検出センサ10の共通電極16よりも、膜厚を厚くすることができる。また、第2位置検出センサ20は、光線方向検知センサ1全体を可撓性とするために、第1位置検出センサ10の半導体層14,15と同様に、半導体層24,25に有機半導体を用いる構成とすることが好ましい。
【0030】
また、本実施形態において、演算装置30は、第1位置検出センサ10で算出した光線の入射位置と、第2位置検出センサ20で算出した光線の入射位置のずれに基づいて、光線の入射方向を検知する。具体的には、演算装置30は、図7に示すように、第1位置検出センサ10の第1電流計18および第2電流計110で計測した電流値I,Iと、第2位置検出センサ20の第1電流計28および第2電流計210で計測した電流値I,Iとを用いて、下記式(2)により、X方向における光線の入射方向、およびY方向における光線の入射方向を算出する。なお、図7は、光線の入射方向の算出方法を説明するための図である。
【0031】
具体的には、演算装置30は、光線の入射方向をθ(鉛直方向に対するX方向またはY方向における傾きθ)を、下記式(2)に基づいて算出する。なお、下記式(2)において、第1位置検出センサ10における第1電流計18aおよび第2電流計110aで計測した電流値をI、第1位置検出センサ10における第1電流計18bおよび第2電流計110bで計測した計測した電流値をI、第2位置検出センサ20における第1電流計28aおよび第2電流計210aで計測した電流値をI、第2位置検出センサ20における第1電流計28bおよび第2電流計210bで計測した電流値をI、対向電極12a,13aから対向電極12b,13bまでの距離をL、第1位置検出センサ10の表面抵抗層11と第2位置検出センサ20との表面抵抗層21との間の積層方向における距離をDとする。
【数2】
【0032】
ここで、図8および図9に、実際に試作した光線方向検知センサ1を用いて、第1位置検出センサ10の光線の入射位置と、当該第1位置検出センサ10を透過した光を第2位置検出センサ20で受光した場合の光線の入射位置とを計測した結果を示す。なお、図8および図9に示す例では、レーザー光照射装置により、第1位置検出センサ10および第2位置検出センサ20の受光面に対して垂直となる方向から光線を照射した。
【0033】
図8(A)は、第1位置検出センサ10における電流値I,Iの大きさと、光線の入射位置とを示すグラフである。また、図8(B)は、図8(A)に示す電流値I,Iから算出した光線の入射位置(ΔX)と、実際にレーザー光線を照射した位置との関係を示すグラフである。図8(B)に示すように、図8(A)に示す電流値I,Iから算出した光線の入射位置(ΔX)と、実際にレーザー光線を照射した位置とはほぼ一致し、試作した光線方向検知センサ1において、第1位置検出センサ10での光線の入射位置を適切に検知できることがわかりました。
【0034】
また、図9(A)は、第1位置検出センサ10を透過した光線を、第2位置検出センサ20で受光した場合の、第2位置検出センサ20における電流値I,Iの大きさと、光線の入射位置とを示すグラフである。また、図9(B)は、図9(A)に示す電流値I,Iから算出した光線の入射位置(ΔX)と、実際にレーザー光線を照射した位置との関係を示すグラフである。図9(A)に示すように、本実施形態に係る光線方向検知センサ1では、第2位置検出センサ20で電流値I,Iが検出されているため、第1位置検出センサ10を透過した光線の一部が、第2位置検出センサ20で受光できることがわかった。また、図9(B)に示すように、第2位置検出センサ20でも、第1位置検出センサ10と同様に、第2位置検出センサ20で計測された電流値I,Iから求めた光線の入射位置と、レーザー光線の照射位置とがほぼ一致し、第2位置検出センサ20における光線の入射位置も適切に検出することができるとがわかった。なお、第2位置検出センサ20では、光線の入射位置が対向電極13a,13bに近い場合(たとえば、レーザー光線の照射位置が図9(B)の1mm以下、または4mm以上の場合)に、光線の入射位置を適切に算出することができなかった。これは、第1位置検出センサ10の対向電極12,13が光線の透過に影響を与えたためと考えられる。
【0035】
また、実際に試作した光線方向検知センサ1を用いて、レーザー光線の入射方向を検出する試験を行った。具体的には、レーザー光線を入射方向30°から照射し、第1位置検出センサ10における電流値I,Iと、第2位置検出センサ20における電流値I,Iとを測定した。その結果、電流値Iが0.415μA、電流値Iが5.012μA、電流値Iが4.792μA、電流値Iが3.113μAとして得られた。試作した光線方向検知センサ1は、第1位置検出センサ10と第2位置検出センサ20との間の距離Dが3.652mm、第1位置検出センサ10および第2位置検出センサ20の長さ(対向電極12a,13a,22a,23aから対向電極12b,13b,22b,23bまでの距離)Lが5mmであるため、上記式(2)を用いて入射角θを求めた場合に、θは35.95°として算出された。なお、上記試験は、第1位置検出センサ10および第2位置検出センサ20の長さLを5mmとした試作品で試験を行ったが、長さLを10mm以上、もしくは30mm以上と長くすることで、より広い入射角度の光の入射方向を測定することができるとともに、入射方向の検出精度を高めることができると期待される。
【0036】
以上のように、本実施形態に係る光線方向検知センサ1は、光線の入射位置を検出する第1位置検出センサ10と、光線の入射位置を検出する第2位置検出センサ20と、を有し、第1位置検出センサ10は、入射する光線の少なくとも一部を透過するように構成されており、第2位置検出センサ20は、第1位置検出センサ10を透過した光線が入射するように配置されている。これにより、本実施形態に係る光線方向検知センサ1では、第1位置検出センサ10に入射した光線の入射位置と、第1位置検出センサ10を透過し、第2位置検出センサ20に入射した光線の入射位置とを検出することができ、第1位置検出センサ10での光線の入射位置と、第2位置検出センサ20での光線の入射位置とのずれから、光線の入射方向(あるいは光源の位置)を特定することができる。
【0037】
特に、本実施形態に係る第1位置検出センサ10では、表面抵抗層11、一対の対向電極12,13、半導体層14,15を透光性部材として構成するとともに、金属膜である共通電極16を半透光性として構成することで、第1位置検出センサ10で光線の入射位置を検出することができるとともに、第1位置検出センサ10を透光して第2位置検出センサ20に入射した光線の入射位置も検出することができる。また、共通電極16においては、膜厚を17nm以上、かつ、40nm以下とすることで、一定の透光性を確保することができるとともに、共通電極16の電気抵抗を安定にすることができる。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0039】
たとえば、光線方向検知センサ1は、上記構成に加えて、図10に示すように、遮光部40を有する構成とすることができる。遮光部40は、偏光板41と、液晶シャッター42とを有し、液晶シャッター42を制御して、偏光板41を通過した特定の偏光の光線の一部を、液晶シャッター42の43孔から通過させることができる。これにより、光線を受光面で点状に受光することができるため、光線の入射位置を特定しやすくすることができる。なお、図10は、他の実施形態に係る光線方向検知センサ1aの構成概要図であり、第1電源17a,17b、第1電流計18a,18b、第2電源19a,19b、第2電流計110a,110bおよび演算装置30の図示は省略している。
【0040】
また、上述した実施形態では、可視光線を検知する光線方向検知センサ1を例示したが、赤外線、近赤外線、紫外線、深紫外線、放射線、マイクロ波などを検知する光線方向検知センサとすることもできる。たとえば、図11に示すように、X線やγ線などの放射線を検知する放射線方向検知センサ1bとすることができる。図11に示す例では、放射線が入射する側から順に、放射線遮蔽板51と、第1位置検出センサ10aと、第2位置検出センサ20aとを有する。放射線遮蔽板51は、一部に孔52が空いており、この孔52を通じて放射線の一部が第1位置検出センサ10aに受光される。また、第1位置検出センサ10aは、シンチレータ111、透明電極112、半導体層14,15、表面抵抗層11および対向電極12,13を有する。また、第2位置検出センサ20aも、第1位置検出センサ10aと同様に、シンチレータ211、透明電極212、半導体層24,25、表面抵抗層21と、対向電極22,23を有する。なお、図11でも、第1電源17a,17b、第1電流計18a,18b、第2電源19a,19b、第2電流計110a,110bおよび演算装置30の図示は省略している。
【0041】
図11に示す構成の場合、シンチレータ111,211に入射した放射線は蛍光を発光し、放射線による蛍光が透明電極112を経由して半導体層14,15に入射することで、半導体層14,15の入射位置が導体となり通電が可能となる。また、図11に示すように、放射線の一部は第1位置検出センサ10aを通過して、第2位置検出センサ20aに受光される。これにより、上述した実施形態と同様に、放射線遮蔽板51の孔52を通過した放射線が、第1位置検出センサ10aおよび第2位置検出センサ20aで受光され、放射線の入射位置を検出することが可能となる。そして、放射線方向検知センサ1bは、第1位置検出センサ10aへの放射線の入射位置と、第2位置検出センサ20aへの放射線の入射位置とのずれに基づいて(第1位置検出センサ10aで計測した電流値I,Iと第2位置検出センサ20aで計測した電流値I,Iに基づいて)、放射線の入射方向(放射線源の位置)を検知することが可能となる。
【0042】
さらに、上述した実施形態では、第1位置検出センサ10および第2位置検出センサ20において、一対の対向電極12,13,22,23をそれぞれ2つずつ設けることで、光線の入射位置をX方向およびY方向の二次元で検出する構成を例示したが、一対の対向電極を1つずつ設けることで、光線の入射位置をX方向またはY方向の一次元で検出する構成とすることができる。また、一対の対向電極を3以上ずつ設ける構成とすることもできる。さらに、上述した実施形態では、第1位置検出センサ10および第2位置検出センサ20の2つの位置検出センサを用いる構成を例示したが、この構成に限定されず、3以上の位置検出センサを用いる構成としてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、第1位置検出センサ10の共通電極16に銀膜を用いる構成を例示したが、この構成に限定されず、第1位置検出センサ10の共通電極16に,ITO電極やIGZO電極などの透光性の電極を用いることもできる。ただし、銀膜は、入手が容易であり、酸化しにくく、かつ比較的安価であるため、第1位置検出センサ10の共通電極16として銀膜を用いることは経済的に好ましい。
【0044】
さらに、上述した実施形態では、第1位置検出センサ10および第2位置検出センサ20が表面抵抗層11,21を有する構成を例示したが、この構成に限定されず、半導体層14,15,24,25として有機半導体を用いることで、表面抵抗層11,21を備えない構成とすることができる。たとえば、図12に示すように、半導体層14,15,24,25として有機半導体113,213を用いることで、有機半導体113,213に入射した光線により、有機半導体113,213が導電性となるとともに、有機半導体層113,213が高い電子移動度を有するため、有機半導体層113,213の入射位置から電気が通電し、一対の対向電極12a,12b,13a,13bまで電気が伝達される。また、有機半導体113,213は、一定の抵抗を有するため、有機半導体113,213を流れる距離が長くなるほど電流値は低くなり、対向電極12a,12b,13a,13b,22a,22b,23a,23bで電流値を測定することで、有機半導体113,213の光線の入射位置が検出できる。そのため、図12に示す光線方向検知センサ1cでも、第1位置検出センサ10bおよび第2位置検出センサ20bにおける光線の入射位置に基づいて、光の入射方向を検知することができる。
【0045】
加えて、上述した図11に示す例では、シンチレータ111,211を、第1位置検出センサ10aおよび第2位置検出センサ20aの光線入射側に配置する構成を例示したが、シンチレータ111,211を、第1位置検出センサ10aおよび第2位置検出センサ20aの光線出射側に配置する構成とすることもできる。また、図11に示す構成において、半導体層14,15,24,25に代えて、放射線に対する受光感度を有し、かつ放射線の入射により通電可能となる有機半導体を用いることで、シンチレータ111,211を用いない構成とすることもできる。
【0046】
加えて、上述した実施形態では、第1位置検出センサ10および第2位置検出センサ20の2つの位置検出センサを積層する構成を例示して説明したが、3つ以上の位置検出センサを積層し、各位置検出センサでの光線の入射位置を検出することで、光線の入射方向を検出する構成とすることもできる。この場合、2つの位置検出センサを積層する構成と比べて、入射方向の検出精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0047】
1…光線方向検知センサ
10…第1位置検出センサ
11…表面抵抗層
12a,12b,13a,13b…一対の対向電極
14…第1の半導体層
15…第2の半導体層
16…共通電極
17a,17b…第1電源
18a,18b…第1電流計
19a,19b…第2電源
110a,110b…第2電流計
20…第2位置検出センサ
21…表面抵抗層
22a,22b,23a,23b…一対の対向電極
24…第1の半導体層
25…第2の半導体層
26…共通電極
27a,27b…第1電源
28a,28b…第1電流計
29a,29b…第2電源
210a,210b…第2電流計
30…演算装置
40…遮光部
41…偏光板
42…液晶シャッター
51…放射線遮蔽板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12