(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008677
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/133 20060101AFI20240112BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20240112BHJP
G09F 9/46 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G02F1/133 580
G02F1/1347
G02F1/133 535
G09F9/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110732
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 敬也
(72)【発明者】
【氏名】大平 啓史
(72)【発明者】
【氏名】石川 誠
【テーマコード(参考)】
2H189
2H193
5C094
【Fターム(参考)】
2H189AA35
2H189CA36
2H189JA14
2H189LA10
2H189LA14
2H189LA15
2H189LA17
2H189LA20
2H193ZA04
2H193ZA37
2H193ZD32
2H193ZF13
2H193ZG03
2H193ZG14
2H193ZG41
2H193ZG52
2H193ZG56
2H193ZH42
2H193ZH43
2H193ZH52
2H193ZH57
2H193ZP13
2H193ZP15
2H193ZQ16
5C094AA03
5C094BA43
5C094DA03
(57)【要約】
【課題】表示装置において、複数の画素の階調値が互いに同じである場合に、画像を表示する表示領域の明るさの均一化を図ること。
【解決手段】表示装置1は、複数の画素Gを有する表示領域DAを有する表示パネル20と、出射領域SAから出射光を表示パネル20に出射する光源装置40と、出射光の明るさを調節する調光パネル30と、駆動回路10と、を備え、複数の画素Gにおいて、第1出射範囲SA1に対応する第1画素の階調値と、駆動回路10は、複数の画素Gのうち第2出射範囲SA2に対応する第2画素の階調値とが等しい場合、調光領域において、第1画素に対応する第1調光範囲PA1の透光率よりも、第2画素に対応する第2調光範囲PA2の透光率を高くする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する表示領域を有する表示パネルと、
平面視において前記表示領域と重畳する出射領域から、前記表示パネルに向けて光を出射する光源装置と、
前記表示パネルと前記光源装置との間に配置され、平面視において前記表示領域と重畳する調光領域において前記出射領域から出射された出射光の明るさを調節する調光パネルと、
前記調光パネルを駆動する駆動回路と、を備え、
前記出射領域は、第1出射範囲、および、第2出射範囲を有し、
複数の前記画素において、前記第1出射範囲に対応する第1画素の階調値と、複数の前記画素のうち前記第2出射範囲に対応する第2画素の階調値とが等しい場合、
前記駆動回路は、前記調光領域において、前記第1画素に対応する第1調光範囲の透光率よりも、前記第2画素に対応する第2調光範囲の透光率を高くする、
表示装置。
【請求項2】
前記第1出射範囲は、平面視において前記出射領域の中央部にあり、
前記第2出射範囲は、平面視において前記第1出射範囲より前記出射領域の周縁側にある、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2出射範囲は、平面視において前記出射領域の中央部にあり、
前記第1出射範囲は、平面視において前記第1出射範囲より前記出射領域の周縁側にある、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2出射範囲における前記出射光の明るさは、前記第1出射範囲における前記出射光の明るさよりも弱い、請求項1から3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光源装置は、平面視において前記出射領域に重畳し、複数の発光素子が配置されている主面を有する電気回路基板を有し、
複数の前記発光素子それぞれの明るさは、互いに等しい、
請求項1から3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記光源装置は、平面視において前記出射領域に重畳し、複数の発光素子が配置されている主面を有する電気回路基板を有し、
複数の前記発光素子において、前記第1出射範囲に対応する前記発光素子の明るさよりも前記第2出射範囲に対応する前記発光素子の明るさは弱い、
請求項1から3の何れか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルと光源装置との間に調光パネルを設けて画像のコントラストをより高める構成が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶表示パネルに対して光を出射する光源装置の出射領域において、光源装置の構造に起因して、明るさが均一でない場合がある。この場合、画像を表示する液晶表示パネルの表示領域において、全ての画素の階調値が同じであっても、明るさが均一にならない可能性がある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、表示装置において、複数の画素の階調値が互いに同じである場合に、画像を表示する表示領域の明るさの均一化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による表示装置は、複数の画素を有する表示領域を有する表示パネルと、平面視において前記表示領域と重畳する出射領域から、前記表示パネルに向けて光を出射する光源装置と、前記表示パネルと前記光源装置との間に配置され、平面視において前記表示領域と重畳する調光領域において前記出射領域から出射された出射光の明るさを調節する調光パネルと、前記調光パネルを駆動する駆動回路と、を備え、前記出射領域は、第1出射範囲、および、第2出射範囲を有し、複数の前記画素において、前記第1出射範囲に対応する第1画素の階調値と、複数の前記画素のうち前記第2出射範囲に対応する第2画素の階調値とが等しい場合、前記駆動回路は、前記調光領域において、前記第1画素に対応する第1調光範囲の透光率よりも、前記第2画素に対応する第2調光範囲の透光率を高くする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る表示装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、表示パネルの回路構成を示す図である。
【
図4】
図4は、表示パネルおよび調光パネルの断面図である。
【
図7】
図7は、平面視における出射領域の輝度分布を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7に示すA-A線に沿う光源装置の断面における出射領域の輝度分布を示す図である。
【
図11】
図11は、駆動回路が実行するフローチャートである。
【
図12】
図12は、駆動回路が調光副階調データおよび表示副階調データを生成する際に算出する値などを示す図である。
【
図13】
図13は、複数の画素における階調データの階調値が互いに等しい場合における表示領域の輝度の一部を示す図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態の変形例において、複数の画素における階調データの階調値が互いに等しい場合における表示領域の輝度の一部を示す図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態において、
図7に示すA-A線に沿う光源装置の断面における出射領域の輝度分布を示す図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態の輝度調節データの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0009】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
図面で示すX方向およびY方向は、表示装置1に含まれる基板の主面に平行な方向に相当する。X方向の+X側、-X側、Y方向の+Y側、-Y側は、表示装置1の側方に相当する。Z方向は、表示装置1の厚み方向に相当し、Z方向の+Z側は、表示装置1において画像が表示される前面側に相当し、Z方向の-Z側は、表示装置1の背面側に相当する。また、本明細書において、「平面視」は、Z方向に沿って+Z側から-Z側に向かって表示装置1を見ることである。なお、X、Y、Zの方向は一例であって、本開示はこれらの方向に限定されない。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本開示の第1実施形態に係る表示装置1の構成を示す図である。
図2は、表示装置1の側面図である。表示装置1は、駆動回路10、表示パネル20、調光パネル30、および、光源装置40を備えている。
【0012】
駆動回路10は、外部装置2から出力される画像信号を取得し、表示パネル20、調光パネル30、および光源装置40を制御する。画像信号は、表示パネル20に画像を表示させるためのデータを有する信号である(詳細は後述する)。
【0013】
駆動回路10は、信号処理回路11、第1信号出力回路12、第1走査回路13、第2信号出力回路14、第2走査回路15、および、光源制御回路16を備えている。
【0014】
信号処理回路11は、画像信号に基づいて、それぞれ後述する表示副画素信号、調光副画素信号、および、光源制御信号を生成し、表示副画素信号、調光副画素信号、および、光源制御信号を、第1信号出力回路12、第2信号出力回路14、および、光源制御回路16に出力する。また、信号処理回路11は、第1信号出力回路12、第1走査回路13、第2信号出力回路14、第2走査回路15、および、光源制御回路16を同期させるクロック信号を、第1信号出力回路12、第1走査回路13、第2信号出力回路14、第2走査回路15、および、光源制御回路16それぞれに出力する。
【0015】
第1信号出力回路12および第1走査回路13は、表示副画素信号に基づいて表示パネル20を制御する。第2信号出力回路14および第2走査回路15は、調光副画素信号に基づいて調光パネル30を制御する。光源制御回路16は、光源制御信号に基づいて光源装置40を制御する。信号処理回路11、第1信号出力回路12、第1走査回路13、第2信号出力回路14、第2走査回路15、および、光源制御回路16の詳細は、後述する。
【0016】
図2に示すように、表示パネル20、調光パネル30、および、光源装置40は、+Z側から-Z側に向けてこの順に配置されている。つまり、調光パネル30は、Z方向において表示パネル20と光源装置40との間に配置されている。
【0017】
表示パネル20は、透過型の液晶ディスプレイである。なお、表示パネル20は、例えば、有機ELディスプレイおよび無機ELディスプレイでもよい。
図1に示すように、表示パネル20の前面は、画像が表示される表示領域DAを有している。
【0018】
表示パネル20は、表示領域DAにおいてX方向およびY方向に沿って行列状に配置されている複数の表示副画素Sdを有している。
【0019】
図3は、表示パネル20の回路構成を示す図である。複数の表示副画素Sdは、第1信号出力回路12および第1走査回路13によって駆動される。
【0020】
第1信号出力回路12は、複数の表示副画素信号を、複数の表示副画素Sdに出力する(詳細は後述する)。第1信号出力回路12と複数の表示副画素Sdとは、Y方向に沿って延びる複数の第1信号線Lb1を介して電気的に接続されている。
【0021】
第1走査回路13は、第1信号出力回路12による表示副画素信号の出力と同期して、複数の表示副画素Sdを走査する。第1走査回路13と複数の表示副画素Sdとは、X方向に沿って延びる複数の第1走査線Lc1を介して電気的に接続されている。
【0022】
表示パネル20は、複数の表示副画素Sdそれぞれが有するスイッチング素子SW、副画素電極PE、共通電極CE、液晶容量LC、および、保持容量CSを備えている。
【0023】
スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。スイッチング素子SWにおいて、ソース電極と第1信号線Lb1とが電気的に接続され、ゲート電極と第1走査線Lc1とが電気的に接続されている。
【0024】
副画素電極PEは、スイッチング素子SWのドレイン電極に接続されている。共通電極CEは、複数の第1走査線Lc1に対応して複数配置されている。副画素電極PEおよび共通電極CEは、透光性を有する。
【0025】
液晶容量LCは、副画素電極PEと共通電極CEとの間にある後述する液晶層22の液晶材料の容量成分である。保持容量CSは、共通電極CEと同電位の電極と、副画素電極PEと同電位の電極との間に配置されている。
【0026】
図4は、表示パネル20および調光パネル30の断面図である。表示パネル20の表示副画素Sdは、第1基板21、液晶層22、および、第2基板23をさらに備えている。第1基板21、液晶層22、および、第2基板23は、それぞれ透光性を有し、-Z側から+Z側に向けて、この順に配置されている。
【0027】
第1基板21は、平面視矩形状であり、複数の表示副画素Sdに対して1つ設けられている。第1基板21には、信号処理回路11、第1信号出力回路12および第1走査回路13が配置されている(
図3)。
【0028】
また、第1基板21の+Z側の主面21aには、上記のスイッチング素子SW、第1信号線Lb1、および、第1走査線Lc1が配置されている(
図4では不図示)。さらに、主面21aには、共通電極CEおよび副画素電極PEが、絶縁層ILを挟んで配置されている。このように、副画素電極PEおよび共通電極CEが第1基板21に配置されており、表示パネル20は、横電界方式の液晶ディスプレイである。
【0029】
液晶層22は、複数の液晶分子を含んで構成されている。液晶層22は、Z方向において、2つの配向膜ALの間にある。液晶分子の向きは、2つの配向膜ALによって規制される。
【0030】
第2基板23は、平面視矩形状であり、複数の表示副画素Sdに対して1つ設けられている。第2基板23の背面側には、カラーフィルタCF、遮光層SM、および、オーバーコート層OCが配置されている。
【0031】
カラーフィルタCFは、平面視矩形状であり、複数の表示副画素Sdそれぞれに1つずつ配置されている。カラーフィルタCFは、透光性を有し、透過させる光のスペクトルのピークが予め定めされている。
【0032】
このスペクトルのピークは、互いに異なる3つの色に対応する3つのスペクトルのピークのいずれかである。3つの色は、赤、緑、および青であるが、色の個数および種類がこれに限定されないことは言うまでもない。以下、カラーフィルタCFが透過させる光のスペクトルのピークに対応する色を、カラーフィルタCFの色と称する。カラーフィルタCFの色は、表示副画素Sdの色に相当する。
【0033】
なお、第1基板21に配置されている第1信号線Lb1は、平面視においてX方向で互いに隣接する2つの表示副画素SdのカラーフィルタCFの境界と重なる位置にある。つまり、第1信号線Lb1は、平面視においてX方向で互いに隣接する2つの表示副画素Sdの境界と重なる位置にある。
【0034】
そして、第1基板21に配置されている第1走査線Lc1は、平面視においてY方向で互いに隣接する2つの表示副画素SdのカラーフィルタCFの境界と重なる位置にある。つまり、第1走査線Lc1は、平面視においてY方向で互いに隣接する2つの表示副画素Sdの境界と重なる位置にある。
【0035】
遮光層SMは、遮光性を有し、複数の表示副画素Sdを区画する。つまり、遮光層SMは、X方向およびY方向において互いに隣接する複数の表示副画素Sdの境界と重なる位置にある。また、遮光層SMは、Z方向において、第1信号線Lb1および第1走査線Lc1と重なる。
【0036】
オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFと配向膜ALとの間に配置され、カラーフィルタCFに含まれる顔料が液晶層22に侵入することを抑制する。
【0037】
また、表示パネル20は、第1基板21の背面側に配置されている第1偏光板24、および、第2基板23の前面側に配置されている第2偏光板25をさらに備えている。
【0038】
第1偏光板24は、Z方向と直交する透過軸を有している。第2偏光板25は、第1偏光板24の透過軸およびZ方向と直交する透過軸を有している。
【0039】
図5は、表示領域DAの平面図である。複数の表示副画素Sdは、複数の第1表示副画素Sd1、複数の第2表示副画素Sd2および複数の第3表示副画素Sd3を有している。第1表示副画素Sd1、第2表示副画素Sd2および第3表示副画素Sd3において、カラーフィルタCFの色すなわち表示副画素Sdの色が互いと異なる。第1表示副画素Sd1の色は、赤である。第2表示副画素Sd2の色は、緑である。第3表示副画素Sd3の色は、青である。なお、表示副画素Sdの色がこれに限定されないことは言うまでもなく、第1表示副画素Sd1の色、第2表示副画素Sd2の色、および、第3表示副画素Sd3の色が互いに異なればよい。また、第1表示副画素Sd1、第2表示副画素Sd2および第3表示副画素Sd3を区別せずに共通する事項を説明するときは、単に、「表示副画素Sd」と称する場合がある。
【0040】
表示領域DAにおいて、複数の表示副画素Sdは、Y方向に沿う複数の第1表示副画素Sd1が並ぶ列、Y方向に沿う複数の第2表示副画素Sd2が並ぶ列、および、Y方向に沿う第3表示副画素Sd3が並ぶ列が、X方向に沿ってこの順に繰り返し並ぶ。つまり、表示領域DAにおいて、X方向に沿って並ぶ1つの第1表示副画素Sd1、1つの第2表示副画素Sd2および1つの第3表示副画素Sd3によって構成される1組の表示副画素CSdがX方向およびY方向それぞれに沿って複数並ぶ。
【0041】
この1組の表示副画素CSdは、1つの画素Gを構成する。すなわち、表示領域DAにおいて、複数の画素Gは、X方向およびY方向それぞれに沿って複数並ぶ。つまり、表示領域DAにおいて、複数の表示副画素Sdの配列は、いわゆるストライプ配列である。但し、複数の表示副画素Sdの配列がストライプ配列に限定されないことは言うまでもない。
【0042】
次に、表示パネル20の動作について説明する。はじめに、表示パネル20がノーマリブラック方式であり、表示領域DAに黒色が表示される場合について説明する。この場合、駆動回路10は、表示副画素Sdを駆動せず、液晶層22に電界が発生していない。これにより、液晶分子の向きが配向膜ALによって規制されている。
【0043】
光源装置40の出射光が調光パネル30を介して第1偏光板24の背面側からに表示パネル20に入射する。第1偏光板24を透過した光は、第1偏光板24の透過軸と平行な偏光軸を有する直線偏光である。第1偏光板24を透過した光は、第1基板21を透過し、液晶層22に入射する。
【0044】
液晶分子の向きが配向膜ALによって規制されている場合、液晶層22において、光の偏光軸は回転しない。液晶層22を透過した光は、第2基板23を透過して、第2偏光板25に入射する。
【0045】
液晶層22および第2基板23を透過した光の偏光軸と第2偏光板25の透過軸とが直交しており、液晶層22を透過した光は、第2偏光板25を透過しない。つまり、液晶分子の向きが配向膜ALによって規制されている場合、光源装置40の出射光は表示副画素Sdを透過しない。これにより、表示領域DAには、黒色が表示される。
【0046】
次に、表示領域DAに画像が表示される場合の表示パネル20の動作について説明する。この場合、表示副画素信号が第1信号出力回路12から複数の表示副画素Sdに出力される。表示副画素信号は、表示副画素Sdの階調を示す表示副階調データを含んでいる。
【0047】
第1走査回路13によって表示副画素Sdが走査されることで、スイッチング素子SWが操作され、副画素電極PEに表示副画素信号が送信される。これにより、共通電極CEと副画素電極PEとの間に電位差、ひいては、液晶層22に電界が発生することで、液晶分子の向きが変化する。液晶分子の向きは、表示副階調データによって定まる。具体的には、液晶層22を透過する光の偏光軸の向きは、表示副階調データの階調値に応じて変化する。液晶層22を透過した光において、第2偏光板25の偏光軸に対して偏光軸が直交していない光は、第2偏光板25を透過する。
【0048】
第2偏光板25を透過した光の輝度は、表示副階調データの階調値に応じた輝度である。このように、表示副画素信号によって液晶分子の向きが調節されることで、液晶層22の透光率すなわち液晶層22を透過する光の輝度が調節される。また、第1基板21においてカラーフィルタCFを透過した光は、カラーフィルタCFの色に相当する色を有する。つまり、第2偏光板25を透過した光は、カラーフィルタCFの色に相当する色を有し、輝度が調節されている。
【0049】
複数の表示副画素Sdそれぞれにおいて、カラーフィルタCFの色すなわち第2偏光板25を透過する光の色は、表示副画素Sdの色に相当する。また、複数の表示副画素Sdそれぞれにおいて、表示副階調データの階調値に応じて第2偏光板25を透過する光の輝度、すなわち、表示副画素Sdの透光率が調節される。これにより、画像信号に基づく画像が表示領域DAに表示される。なお、表示パネル20は、ノーマリホワイト方式でもよい。
【0050】
調光パネル30は、光源装置40から出射され、表示パネル20に入射する光の明るさを調節する。換言すれば、調光パネル30は、Z方向の透光率を調節する。
図4に示すように、調光パネル30は、透光性を有する接着層OCAを介して表示パネル20と接着されている。調光パネル30は、
図1に示す調光領域PAにおいて透光率を調節することで、光の明るさを調節する。具体的には、調光パネル30は、光源装置40から出射された光の明るさを調節する。調光領域PAは、平面視にいて、表示領域DAと重畳する。
【0051】
図1に示すように、調光パネル30は、調光領域PAにおいてX方向およびY方向に沿って行列状に配置されている複数の調光副画素Spを有している。
【0052】
複数の調光副画素Spは、それぞれ、平面視において複数の表示副画素Sdと重畳しており、調光副画素Spの色が互いに同じであること以外、上記の表示副画素Sdと同様に構成されている。つまり、調光パネル30は、複数の調光副画素Spそれぞれが有するスイッチング素子SW、副画素電極PE、共通電極CE、液晶容量LC、および、保持容量CSを備えている。また、複数の調光副画素Spは、第2信号出力回路14および第2走査回路15によって駆動される。
【0053】
第2信号出力回路14は、複数の調光副画素信号を、複数の調光副画素Spに出力する(詳細は後述する)。第2信号出力回路14と複数の調光副画素Spとは、Y方向に沿って延びる複数の第2信号線Lb2を介して電気的に接続されている。
【0054】
第2走査回路15は、第2信号出力回路14による調光副画素信号の出力と同期して、複数の調光副画素Spを走査する。第2走査回路15と複数の調光副画素Spとは、X方向に沿って延びる複数の第2走査線Lc2を介して電気的に接続されている。
【0055】
また、
図4に示すように、調光パネル30は、カラーフィルタCFおよびオーバーコート層OCを有さないこと以外で表示パネル20と同様に構成されている。つまり、調光パネル30は、表示パネル20の第1基板21、第2基板23、液晶層22、配向膜AL、遮光層SM、第1偏光板24および第2偏光板25それぞれに対応する、第3基板31、液晶層32、第4基板33、配向膜AL、遮光層SM、第3偏光板34および第4偏光板35を備えている。第1偏光板24の透過軸と第4偏光板35の透過軸とは、互いに平行である。なお、表示装置1は、第1偏光板24および第4偏光板35の一方を備えなくてもよい。
【0056】
このように調光パネル30が構成されることで、
図1に示すように、複数の調光副画素Spは、調光領域PAにおいて、上記のように、X方向およびY方向それぞれに沿って行列状に並ぶ。また、調光領域PAにおいて、1組の表示副画素CSdと平面視で重畳する3つの調光副画素Spで構成される1組の調光副画素CSpは、X方向およびY方向それぞれに沿って並ぶ。複数の1組の調光副画素CSpは、それぞれ、平面視において複数の画素Gと重畳する。
【0057】
次に、調光パネル30の動作について説明する。調光パネル30は、上記のようにカラーフィルタCFおよびオーバーコート層OCを有さないこと以外で表示パネル20と同様に構成されており、表示パネル20と同様に動作する。光源装置40の出射光は、第3偏光板34に入射する。
【0058】
調光パネル30が光を透過しない場合(すなわち透光率が0%である場合)、駆動回路10は調光副画素Spを駆動せず、調光パネル30は、表示パネル20が黒色を表示する場合と同様に動作する。
【0059】
一方、調光パネル30が光を透過する場合(すなわち透光率が0%を超える場合)、調光副画素信号が第2信号出力回路14を介して複数の調光副画素Spに出力される。調光副画素信号は、後述するように調光副画素Spの階調を示す調光副階調データを含んでいる。
【0060】
第2走査回路15によって調光副画素Spが走査されることで、上記の表示副画素Sdと同様に調光副画素Spが動作する。つまり、液晶層32を透過する光の偏光軸の向きは、調光副階調データの階調値に応じて変化する。このように、調光副画素信号によって液晶分子の向きが調節されることで、液晶層32の透光率ひいては液晶層32を透過する光の輝度、すなわち、調光パネル30の透光率が調節される。調光パネル30を透過した光は、表示パネル20に入射する。
【0061】
光源装置40は、
図2および
図4に示すように、調光パネル30の背面側に配置され、調光パネル30および表示パネル20に向けて光を出射する。光源装置40は、
図1に示す出射領域SAから光を出射する。出射領域SAは、平面視において、調光領域PAおよび表示領域DAと重畳する。
【0062】
図6は、表示装置1の断面図である。表示装置1は、+Z側を開放し、表示パネル20および調光パネル30を周縁部で支持する筐体50をさらに備えている。
【0063】
光源装置40は、筐体50の内側に配置されている。光源装置40は、直下型のバックライトユニットである。光源装置40は、電気回路基板41、フレーム42、および、拡散パネル43を備えている。
【0064】
電気回路基板41は、平面視矩形状であり、筐体50の内側底面に配置されている。平面視で出射領域SAと重畳する電気回路基板41の主面41aには複数の発光素子44が実装され、複数の発光素子44は、発光素子44を保護するオーバーコート層45で覆われている。
【0065】
発光素子44は、自己発光素子であり、例えば発光ダイオード(LED(Light Emission Diode))である。複数の発光素子44は、平面視格子状に配置されている。具体的には、複数の発光素子44は、平面視において、主面41aの周縁より中央側で、X方向およびY方向それぞれに沿って行列状に配置されている。
【0066】
また、複数の発光素子44は、主面41aの全体に渡って均等に配置されている。つまり、主面41aの全体に渡って、主面41aの単位面積あたりに配置されている発光素子44の個数は同じである。具体的には、複数の発光素子44は、X方向およびY方向それぞれに沿って等間隔で配置されている。発光素子44は、+Z側に光を出射する。
【0067】
フレーム42は、筐体50の内側において、電気回路基板41より+Z側で拡散パネル43の周縁部を支持する。フレーム42は、筐体50の側壁の内側面に配置され、電気回路基板41より側方に配置されている。つまり、平面視において、電気回路基板41の周縁は、筐体50の側壁およびフレーム42から離れている。なお、平面視において、電気回路基板41が筐体50の側壁またはフレーム42と接触する形状でもよいが、発光素子44は、筐体50の側壁およびフレーム42から離れて主面41aに配置される。
【0068】
拡散パネル43は、発光素子44から出射された光を拡散させつつ透過させる。拡散パネル43の前面において、筐体50によって支持されている部位より中央側は、出射領域SAに相当する。
【0069】
光源制御回路16は、光源制御信号に基づいて、複数の発光素子44の光量が互いに等しくなるように複数の発光素子44を制御する。これにより、発光素子44の輝度すなわち複数の発光素子44が出射する光の明るさは、互いに等しい。発光素子44から出射した光は、出射領域SAから出射光として調光パネル30の背面に向けて出射する。
【0070】
図7は、平面視における出射領域SAの輝度分布を示す図である。
図7では、複数の発光素子44の輝度が互いに等しい場合における出射領域SAの輝度分布を示している。
【0071】
出射領域SAは、第1出射範囲SA1、および、第2出射範囲SA2を有している。第2出射範囲SA2における出射光の明るさは、第1出射範囲SA1における出射光の明るさよりも弱い。つまり、第2出射範囲SA2の輝度は、第1出射範囲SA1の輝度より低い。
【0072】
第1出射範囲SA1は、平面視において出射領域SAの中央部にある。この理由は、上記のように、互いに同じ光量である複数の発光素子44がX方向およびY方向それぞれに沿って等間隔に行列状に配置されており、出射領域SAの平面視中央部において輝度が最も高い値でほぼ一定となるためである。
【0073】
第2出射範囲SA2は、平面視において第1出射範囲SA1より出射領域SAの周縁側にある。具体的には、第2出射範囲SA2は、第1出射範囲SA1と隣接しており、第1出射範囲SA1の周縁と出射領域SAの周縁との間にある。第2出射範囲SA2では、出射領域SAの中央側から周縁側に向けて輝度が低くなる。
【0074】
この理由は、上記のように、平面視において、電気回路基板41の周縁が筐体50の側壁およびフレーム42から離れており、第1出射範囲SA1に対応する範囲において単位面積あたりに配置されている発光素子44の個数よりも、第2出射範囲SA2に対応する範囲おいて単位面積あたりに配置されている発光素子44の個数が少ないためである。さらに、第2出射範囲SA2において、発光素子44は、出射領域SAの中央側にあり、出射領域SAの中央側から周縁側に向けて発光素子44の光量が少なくなるためである。
【0075】
図8は、
図7に示すA-A線に沿う光源装置40の断面における出射領域SAの輝度分布を示す図である。
図8において、横軸は、出射領域SAのX座標を示しており、縦軸は、出射領域SAの輝度を、出射領域SAにおいて最も高い輝度を100%と定めた百分率で示している。
【0076】
図8に示すように、第1出射範囲SA1では、出射領域SAにおいて、輝度が最も高い値(すなわち100%)でほぼ一定となる。第1出射範囲SA1から第2出射範囲SA2にかけて輝度は連続して変化する。第2出射範囲SA2の内側周縁における輝度は100%未満であり、出射領域SAの中央側から周縁側に向けて輝度が低下し、第2出射範囲SA2の外側周縁における輝度は25%である。
【0077】
なお、平面視でA-A線と交差する直線に沿う光源装置40の断面においても、第1出射範囲SA1では輝度が最も高い値でほぼ一定となり、第2出射範囲SA2では出射領域SAの中央側から周縁側に向けて輝度が低下する。
【0078】
次に、信号処理回路11の構成について説明する。
図9は、信号処理回路11のブロック図である。信号処理回路11は、記憶部11a、取得部11b、第1補正部11c、透光率算出部11d、調光副階調データ生成部11e、表示副階調データ生成部11f、第2補正部11g、および、出力部11hを備えている。
【0079】
記憶部11aには、輝度を調節する輝度調節データが予め格納されている。上記のように出射領域SAにおいて第2出射範囲SA2の輝度は、第1出射範囲SA1の輝度より低い。よって、複数の画素Gにおける階調データの階調値が互いに等しい場合に、第2出射範囲SA2に対応する表示領域DAの範囲の輝度は、第1出射範囲SA1に対応する表示領域DAの範囲の輝度より低くなり、所望の輝度を得ることができない。
【0080】
そこで、以下に説明するように、輝度調節データは、
図7および
図8に示す出射領域SAの輝度分布に対応して、複数の画素Gにおける階調データの階調値が互いに等しい場合に、表示領域DAの輝度が均一化するように定められている。
【0081】
具体的には、駆動回路10は、輝度調節データを用いて調光領域PAの透光率を調節する。駆動回路10は、輝度調節データよって調光領域PAの透光率を調節することで、複数の画素Gにおいて、第1出射範囲SA1に対応する画素G(以下、第1画素と称する)の階調値と、複数の画素のうち第2出射範囲SA2に対応する画素G(以下、第2画素と称する)の階調値とが等しい場合、調光領域PAにおいて、第1画素に対応する第1調光範囲PA1の透光率よりも、第2画素に対応する第2調光範囲PA2の透光率を高くする。
【0082】
第1画素は、表示領域DAにある複数の画素Gのうち第1出射範囲SA1と平面視で重畳する画素Gであり、複数ある。第2画素は、表示領域DAにある複数の画素Gのうち第2出射範囲SA2と平面視で重畳する画素Gであり、複数ある。
【0083】
第1調光範囲PA1は、平面視において、第1出射範囲SA1と平面視で重畳する調光領域PAの範囲であり、調光領域PAの中央部にある。よって、複数の第1画素は、第1調光範囲PA1および第1出射範囲SA1と平面視で重畳する。
【0084】
第2調光範囲PA2は、平面視において、第2出射範囲SA2と平面視で重畳する調光領域PAの範囲であり、第1調光範囲PA1より調光領域PAの周縁側にある。具体的には、第2調光範囲PA2は、第1調光範囲PA1の周縁と調光領域PAの周縁との間にある。よって、複数の第2画素は、第2調光範囲PA2および第2出射範囲SA2と平面視で重畳する。
【0085】
輝度調節データにおいて、第1出射範囲SA1に対応する第1調光範囲PA1の補正比率は、一定であり、第2出射範囲SA2に対応する第2調光範囲PA2に対応する補正比率より小さくなる。また、第2調光範囲PA2の補正比率は、調光領域PAの中央側から周縁側に向けて輝度が高くなる。
【0086】
図10は、輝度調節データの一部を示す図である。
図10の輝度調節データは、
図7に示すA-A線に沿う調光パネル30の断面における調光副画素Spの位置と補正比率との関係を示しており、横軸は、調光領域PAのX座標を示しており、縦軸は、補正比率(%)である。
【0087】
輝度調節データは、
図8に示す出射領域SAの輝度分布の曲線の形状を、横軸と平行な直線を対称軸とした対称形状に近似した曲線状である。具体的には、第1調光範囲PA1の補正比率は、20%で一定である。第1調光範囲PA1から第2調光範囲PA2にかけて補正比率は連続して変化する。第2調光範囲PA2の内側周縁における補正比率は20%を超え、調光領域PAの中央側から周縁側に向けて補正比率が増加し、第2調光範囲PA2の外側周縁における補正比率は80%である。
【0088】
輝度調節データは、表示装置1毎に個別に定められる。具体的には、表示装置1の製造時に出射領域SAの輝度が表示装置1毎に測定され、輝度調節データは、測定された出射領域SAに対応して定められ、記憶部11aに格納される。つまり、輝度調節データは、表示装置1毎に光源装置40の個体差に対応して定められる。なお、輝度調節データは、表示装置1の製造前に実験等によって予め測定される出射領域SAの輝度に対応して定められ、記憶部11aに格納されてもよい。この場合、輝度調節データは、光源装置40の個体差に関わらず定められ、複数の表示装置1の記憶部11aそれぞれに同一の輝度調節データが格納される。
【0089】
取得部11bは、複数の画素Gに対応する画像信号を取得する。画像信号は、複数の画素Gの階調を示す階調データを有する。階調データは、画素Gを構成する第1表示副画素Sd1、第2表示副画素Sd2および第3表示副画素Sd3に対応して複数ある。
【0090】
階調データは、第1表示副画素Sd1に対応する第1階調データ、第2表示副画素Sd2に対応する第2階調データ、および、第3表示副画素Sd3に対応する第3階調データを有する。なお、第1階調データ、第2階調データおよび第3階調データを区別せずに説明するときには、単に、「階調データ」と称する場合がある。階調データは、いわゆるガンマ特性を有する。
【0091】
第1補正部11cは、取得部11bで取得した複数の階調データそれぞれを線形化処理する。具体的には、第1補正部11cは、階調データの階調値に線形化係数を適用することで、ガンマ特性を有する階調データを、線形性を有する階調データに補正する。この線形化係数は、記憶部11aに予め格納されている。
【0092】
透光率算出部11dは、調光パネル30の透光率(%)を算出する。はじめに、透光率算出部11dは、線形化された階調データにおいて、複数の画素G毎に、1つの画素Gに対応する3つ階調データの階調値のうち最も高い階調値(以下、最高階調値と称する)を特定する。
【0093】
また、透光率算出部11dは、複数の画素G毎に、階調値の最大値に対する最高階調値の割合である階調割合を算出する。例えば、階調データが8ビットのデータであり、階調値が0から255までの値で表されている場合、階調値の最大値は255であり、階調割合は最高階調値を255で除算した値である。
【0094】
さらに、透光率算出部11dは、複数の画素G毎に、画素Gに対応する調光領域PAの範囲(すなわち第1調光範囲PA1および第2調光範囲PA2の一方)の補正比率と、階調割合とを乗算する。透光率算出部11dは、その乗算結果を、その画素Gと平面視で重畳する調光領域PAの範囲の透光率とする。つまり、調光パネル30の透光率は、1の画素Gと平面視で重畳する調光領域PAの範囲、すなわち、1組の調光副画素CSp(3つの調光副画素Sp)毎に算出される。
【0095】
調光副階調データ生成部11eは、複数の調光副画素Sp毎に、調光副画素Spの階調値を示す調光副階調データを生成する。具体的には、調光副階調データ生成部11eは、複数の調光副画素Sp毎に、調光副画素Spが位置する調光領域PAの範囲における透光率と、その調光副画素Spに対応する画素Gの最高階調値とを乗じた値を示すデータを、調光副階調データとして生成する。よって、1つの画素Gに対応する1組の調光副画素CSpを構成する3つの調光副画素Spの階調値は、互いに等しい。
【0096】
表示副階調データ生成部11fは、複数の表示副画素Sd毎に、表示副画素Sdの階調値を示す表示副階調データを生成する。具体的には、表示副階調データ生成部11fは、第1表示副画素Sd1に対応する第1表示副階調データ、第2表示副画素Sd2に対応する第2表示副階調データ、および、第3表示副画素Sd3に対応する第3表示副階調データを生成する。
【0097】
より具体的には、表示副階調データ生成部11fは、複数の第1表示副画素Sd1毎に、第1表示副画素Sd1に対応する画素Gの第1階調データの階調値と、その画素Gの階調割合の逆数とを乗算した値を示すデータを第1表示副階調データとして生成する。
【0098】
同様に、表示副階調データ生成部11fは、複数の第2表示副画素Sd2毎に、第2表示副画素Sd2に対応する画素Gの第2階調データの階調値と、その画素Gの階調割合の逆数とを乗算した値を示すデータを第2表示副階調データとして生成する。さらに、表示副階調データ生成部11fは、複数の第3表示副画素Sd3毎に、第3表示副画素Sd3に対応する画素Gの第3階調データの階調値と、その画素Gの階調割合の逆数とを乗算した値を示すデータを第3表示副階調データとして生成する。なお、第1表示副階調データ、第2表示副階調データおよび第3表示副階調データを区別せずに共通する事項を説明するときは、単に、「表示副階調データ」と称する場合がある。
【0099】
第2補正部11gは、調光副階調データ生成部11eによって生成された調光副階調データ、および、表示副階調データ生成部11fによって生成された表示副階調データをガンマ補正する。具体的には、第2補正部11gは、調光副階調データおよび表示副階調データそれぞれの階調値にガンマ値を適用することで、線形性を有する調光副階調データおよび表示副階調データを、ガンマ特性を有する調光副階調データおよび表示副階調データに補正する。このガンマ値は、記憶部11aに予め格納されている。
【0100】
出力部11hは、ガンマ補正された表示副階調データを含む表示副画素信号を複数生成し、第1信号出力回路12に出力する。また、出力部11hは、ガンマ補正された調光副階調データを含む調光副画素信号を複数生成し、第2信号出力回路14に出力する。
【0101】
次に、駆動回路10、表示パネル20および調光パネル30の動作について、
図11および
図12を用いて説明する。
図11は、駆動回路10が実行するフローチャートである。
図12は、駆動回路10が調光副階調データおよび表示副階調データを生成する際に算出する値などを示す図である。
【0102】
光源装置40が上記のように制御されることで、出射領域SAの輝度分布は、
図7および
図8に示す状態であり、複数の画素Gにおける階調データの階調値が互いに等しく、表示領域DAの全体に白色が表示される場合を説明する。
【0103】
また、階調データ、表示副階調データおよび調光副階調データが8ビットのデータであり、
図7および
図8に示す点α、点βおよび点γに位置する画素Gに対応する表示副画素Sdおよび調光副画素Spそれぞれの階調値が算出される過程を具体的に説明する。
【0104】
図7および
図8に示すように、点αに対応する画素Gは第1出射範囲SA1に位置する第1画素に相当し、点βおよび点γに対応する画素Gは、第2出射範囲SA2に位置する第2画素に相当する。また、
図10に示すように、点αに対応する調光副画素Spは第1調光範囲PA1に位置し、点βおよび点γに位置する調光副画素Spは第2調光範囲PA2に位置する。
【0105】
図8および
図12に示すように、点α、点βおよび点γそれぞれにおいて、出射領域SAの輝度(A)は、100%、50%、および、25%である。また、
図10および
図12に示すように、点α、点βおよび点γそれぞれにおいて、補正比率(B)は、20%、40%、および、80%である。
【0106】
図11に示すように、取得部11bは、ステップS1にて、画像信号を取得する。表示領域DAの全体に白色が表示される場合、全ての画素Gの階調データは、最大の階調値である255を示し、点α、点βおよび点γそれぞれに位置する画素Gの3つの階調データの階調値は、255である。続けて、第1補正部11cは、ステップS2にて、階調データを線形化処理する。
【0107】
さらに、透光率算出部11dは、ステップS3にて、最高階調値を特定する。上記のように点α、点βおよび点γそれぞれに位置する画素Gの3つの階調データの階調値は、255であるため、点α、点βおよび点γそれぞれに位置する画素Gの最高階調値(C)は、「255」である(
図12)。
【0108】
続けて、透光率算出部11dは、ステップS4にて、階調割合(=最高階調値(C)/255)を算出する。点α、点βおよび点γそれぞれに位置する画素Gの階調割合(D)は、「1」である(
図12)。
【0109】
さらに、透光率算出部11dは、ステップS5にて、透光率(=補正比率(B)×階調割合(D))を算出する。点α、点βおよび点γそれぞれに対応する調光副画素Spの透光率は、「20%」、「40%」、および、「80%」である(
図12)。
【0110】
続けて、調光副階調データ生成部11eは、ステップS6にて、調光副画素Spの階調値(=最高階調値(C)×透光率(E))を含む調光副階調データを生成する。点α、点βおよび点γそれぞれに対応する調光副画素Spの階調値(F)は、「25」、「51」、および、「204」である。
【0111】
さらに、表示副階調データ生成部11fは、ステップS7にて、表示副画素Sdの階調値(=最高階調値(C)×(1/階調割合(D))を含む表示副階調データを生成する。点α、点βおよび点γそれぞれに対応する表示副画素Sdの階調値(G)は、「255」、「255」、および、「255」である。
【0112】
続けて、第2補正部11gは、ステップS8にて、調光副階調データおよび表示副階調データをガンマ補正する。出力部11hは、ステップS9にて、表示副階調データを含む表示副画素信号を第1信号出力回路12に出力し、調光副階調データを含む調光副画素信号を含む第2信号出力回路14に出力する。
【0113】
上記のように、第2信号出力回路14によって、複数の調光副画素信号が対応する調光副画素Spに送信され、複数の調光副画素Spが動作することで、調光領域PAにおいて透光率が1組の調光副画素CSp毎に調節される。
【0114】
具体的には、点αに位置する画素Gに対応する1組の調光副画素CSpの透光率が20%、点βに位置する画素Gに対応する1組の調光副画素CSpの透光率が40%、および、点γに位置する画素Gに対応する1組の調光副画素CSpの透光率が80%に調節される。また、点αに位置する画素Gを含む調光領域PAの第1調光範囲PA1の透光率は20%で一定であり、第1調光範囲PA1から第2調光範囲PA2にかけて透光率は連続して変化し、点βおよび点γに位置する画素Gを含む第2調光範囲PA2の透光率は、調光領域PAの中央側から周縁に向かって、20%を超え80%まで増加する。
【0115】
また、上記のように、第1信号出力回路12によって、複数の表示副画素信号が対応する表示副画素Sdに送信される。複数の表示副画素Sdが動作することで、表示領域DAに画像(全体が白色である画像)が表示される。このとき、表示領域DAに表示される画像の明るさ(すなわち表示領域DAの輝度)は、出射領域SAの輝度、調光パネル30の透光率、および、表示パネル20の透光率によって定まる。具体的には、表示領域DAの輝度を階調値で表す場合、
図12に示す出射領域SAの輝度(A)と、透光率(E)と、画素Gを構成する表示副画素Sdの階調値(G)とを乗ずることで算出できる。
【0116】
点αに位置する画素Gにおける表示領域DAの輝度(H(=出射領域SAの輝度(A)×透光率(E)×表示副画素Sdの階調値(G))は、「51」である。点βに位置する画素Gにおける表示領域DAの輝度(H)は、「51」である。点γに位置する画素Gにおける表示領域DAの輝度(H)は、「51」である。このように、複数の画素Gにおける階調データの階調値が互いに等しい場合、点α、点βおよび点γそれぞれに位置する画素Gにおける表示領域DAの輝度が互いに等しくなる。
【0117】
図13は、複数の画素Gにおける階調データの階調値が互いに等しい場合における表示領域DAの輝度の一部を示す図である。
図13の表示領域DAの輝度は、
図7に示すA-A線に沿う表示パネル20の断面における表示副画素Sdの位置と輝度との関係を示しており、横軸は、表示領域DAのX座標を示しており、縦軸は、表示領域DAの輝度を、表示領域DAにおいて最も高い輝度を100%と定めた百分率で示している。
【0118】
図13に示すように、X方向の全体に亘って表示領域DAの輝度が一定である。また、
図13と同様に、平面視において、調光領域PAの第1調光範囲PA1および第2調光範囲PA2それぞれに対応する表示領域DAの範囲(つまり表示領域DAの全体)において、輝度はほぼ一定である。
【0119】
上記のように、輝度調節データを用いて、調光パネル30および表示パネル20の階調値を補正することで、出射領域SAの輝度が均一でない場合においても、表示領域DAの輝度を均一化することができる。つまり、複数の画素Gの階調値が互いに同じである場合に、画像を表示する表示領域DAの明るさを均一化することができる。
【0120】
なお、輝度調節データが用いられない場合の表示領域DAの輝度は、調光領域PAの全体の透光率が例えば100%で一定である場合、出射領域SAの輝度(A)と表示副階調データの階調値(表示領域DAの全体に白色が表示される場合は255)を乗ずることで算出される。
【0121】
具体的には、
図12に示すように、複数の画素Gにおける階調データの階調値が互いに等しく、表示領域DAの全体に白色が表示される場合、点α、点βおよび点γそれぞれに位置する画素Gにおける表示領域DAの輝度(X(=出射領域SAの輝度(A)×255)は、「255」、「127」、および、「64」である。このように、輝度調節データが用いられない場合、表示領域DAの輝度は、出射領域SAの輝度に対応し、表示領域DAの全体に白色が表示されるとき、表示領域DAの周縁部の輝度は、表示領域DAの中央部の輝度より低くなる。
【0122】
<第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の変形例に係る表示装置1について、主として、上記の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0123】
本変形例において、輝度調節データは、表示領域DAの周縁部の輝度が表示領域DAの中央部の輝度より僅かに低くなるように定められている。
【0124】
具体的には、第2調光範囲PA2の外側周縁において、本変形例の補正比率は、
図10に示す上記の第1実施形態の補正比率(80%)より低く定められており、例えば、65%である。これにより、点α、点βおよび点γそれぞれにおいて、補正比率(B)は、例えば、20%、35%、65%に定められる。これにより、複数の画素Gにおける階調データの階調値が互いに等しく、表示領域DAの全体に白色が表示される場合、点α、点βおよび点γそれぞれにおいて、表示領域DAの輝度(H)は、「51」、「45」、「41」となる。
【0125】
図14は、第1実施形態の変形例において、複数の画素Gにおける階調データの階調値が互いに等しい場合における表示領域DAの輝度の一部を示す図である。
図14の表示領域DAの輝度は、
図13と同様に、
図7に示すA-A線に沿う表示パネル20の断面における表示副画素Sdの位置と輝度との関係を示している。
【0126】
図14に示すように、表示領域DAのX方向両端部の輝度は、中央部の輝度より低くなる。同様に、表示領域DAの平面視において、周縁部の輝度は、中央部の輝度より低くなる。この場合においても、輝度調節データが用いられない場合と比べて、表示領域DAの明るさは均一化している。
【0127】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態に係る表示装置1について、主として、上記の第1実施形態と異なる部分を説明する。本第2実施形態では、出射領域SAの輝度分布および輝度調節データが上記の第1実施形態と異なる。
【0128】
本第2実施形態において、第2出射範囲SA2は、平面視において出射領域SAの中央部にある。第2出射範囲SA2における出射領域SAの輝度はほぼ一定である。
【0129】
第1出射範囲SA1は、平面視において第1出射範囲SA1より出射領域SAの周縁側にある。具体的には、第1出射範囲SA1は、第2出射範囲SA2と隣接しており、第2出射範囲SA2の周縁と出射領域SAの周縁との間にある。また、第2出射範囲SA2から第1出射範囲SA1にかけて輝度は連続して変化し、第1出射範囲SA1では、出射領域SAの中央側から周縁側に向けて輝度が増加したのちに減少する。
【0130】
図15は、第2実施形態において、
図7に示すA-A線に沿う光源装置40の断面における出射領域SAの輝度分布を示す図である。
図15に示すように、第2出射範囲SA2では、輝度が第1出射範囲SA1よりも低い輝度(例えば40%)でほぼ一定となる。
【0131】
また、第1出射範囲SA1の内側周縁における輝度は例えば40%を超え、第1出射範囲SA1の外側周縁に向かって増加して例えば100%となった後、出射領域SAの周縁に向かって減少する。
【0132】
このような出射領域SAの輝度分布となるように、光源制御回路16は、発光素子44の光量を制御する。具体的には、光源制御回路16は、第1出射範囲SA1と平面視で重なる発光素子44の光量よりも、第2出射範囲SA2と平面視で重なる発光素子44の光量を小さくする。これにより、第1出射範囲SA1に対応する発光素子44の明るさよりも第2出射範囲SA2に対応する発光素子44の明るさは弱くなる。
【0133】
さらに、光源制御回路16は、第1出射範囲SA1と平面視で重なる複数の発光素子44の光量を、第1出射範囲SA1の内側周縁から外側周縁に向けて増加させたのちに減少させる。
【0134】
本第2実施形態の輝度調節データは、上記の第2実施形態の出射領域SAの輝度分布に対応して、複数の画素Gにおける階調データの階調値が互いに等しい場合に表示領域DAの輝度が均一化するように定められている。輝度調節データにおいて、第2出射範囲SA2に対応する第2調光範囲PA2の補正比率は、一定であり、第1出射範囲SA1に対応する第1調光範囲PA1に対応する補正比率より大きくなる。また、第2調光範囲PA2から第1調光範囲PA1にかけて補正比率は連続して変化し、第1調光範囲PA1の補正比率は、調光領域PAの中央側から周縁側に向けて輝度が減少したのちに増加する。
【0135】
図16は、第2実施形態の輝度調節データの一部を示す図である。
図16の輝度調節データは、
図7に示すA-A線に沿う調光パネル30の断面における調光副画素Spの位置(換言すれば調光領域PAのX座標)と補正比率との関係を示している。
【0136】
輝度調節データは、
図15に示す出射領域SAの輝度分布の曲線の形状を、横軸と平行な直線を対称軸とした対称形状に近似した曲線状である。具体的には、第2調光範囲PA2の補正比率は、例えば80%で一定である。第1調光範囲PA1の内側周縁における補正比率は例えば80%未満であり、調光領域PAの中央側から周縁側に向けて補正比率が減少して、例えば25%となった後、出射領域SAの周縁に向かって増加する。
【0137】
以上、本開示の好適な実施の形態を説明したが、本開示はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【0138】
例えば、上記の各実施形態において、複数の発光素子44の配置を変更することで、
図7、
図8および
図15に示す出射領域SAの輝度分布となるようにしてもよい。具体的には、出射領域SAの輝度が高い範囲ほど、単位面積あたりに配置されている発光素子44の個数を多くする。つまり、第2調光範囲PA2と平面視で重なる主面41aの範囲において単位面積あたりに配置されている発光素子44の個数よりも、第1出射範囲SA1と平面視で重なる主面41aの範囲おいて単位面積あたりに配置されている発光素子44の個数を多くする。
【0139】
また、最高階調値は、1つの画素Gに対応する3つの階調データから特定されるが、互いに隣接する複数の画素Gによって構成される1組の画素に対応する階調データから特定されてもよい。この場合、調光パネル30の透光率は、1組の画素と平面視で重なる調光領域PAの範囲、すなわち、複数の1組の調光副画素CSp毎に算出される。
【0140】
出射領域SAの輝度、および、輝度調節データの補正比率が上記の値に限定されないことは言うまでもなく、第1出射範囲SA1、第2出射範囲SA2、第1調光範囲PA1、および、第2調光範囲PA2が上記の範囲に限定されないことは言うまでもない。例えば、
図15に示す出射領域SAの輝度分布において、第1出射範囲SA1よりも出射領域SAの周縁側に、第2出射範囲SA2があってもよい。
【0141】
また、上記の表示パネル20は、複数の副画素電極PEと対向するように共通電極CEが第2基板23に配置される縦電界方式の液晶ディスプレイでもよい。また、表示パネル20は、反射型の液晶ディスプレイでもよい。
【0142】
また、光源装置40は、発光素子44がフレーム42の内側面に配置されているエッジ型のバックライトユニットでもよい。
【0143】
また、第2出射範囲SA2における出射光の明るさは、第1出射範囲SA1における出射光の明るさ以上でもよい。
【0144】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0145】
1 表示装置
10 駆動回路
20 表示パネル
30 調光パネル
40 光源装置
41 電気回路基板
41a 電気回路基板の主面
44 発光素子
DA 表示領域
G 画素
PA 調光領域
PA1 第1調光範囲
PA2 第2調光範囲
SA 出射領域
SA1 第1出射範囲
SA2 第2出射範囲
Sd 表示副画素
Sp 調光副画素