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特開2024-86802グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびグリコシル化ステビオール配糖体組成物の製造方法
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  • 特開-グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびグリコシル化ステビオール配糖体組成物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086802
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびグリコシル化ステビオール配糖体組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20240621BHJP
【FI】
A23L33/105
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024061618
(22)【出願日】2024-04-05
(62)【分割の表示】P 2021114972の分割
【原出願日】2017-06-05
(31)【優先権主張番号】62/346,148
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522149980
【氏名又は名称】テイト アンド ライル ソリューションズ ユー・エス・エー エル・エル・シー
【氏名又は名称原語表記】Tate & Lyle Solutions USA LLC
【住所又は居所原語表記】5450 Prairie Stone Parkway, Hoffman Estates, IL 60192, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア フレッチャー
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ウッドヤー
(72)【発明者】
【氏名】ミカイル ゴロロボフ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン グロス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン スマイス
(72)【発明者】
【氏名】サルマ シラジ
(72)【発明者】
【氏名】シエン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ガディー
(57)【要約】
【課題】食品および飲料製品などにおける甘味料および香味改質剤として有用なグリコシル化ステビオール配糖体組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】本製造方法は、ステビオール配糖体組成物の酵素-触媒されたグリコシル化の前、間および/または後の塩基性条件の使用によって改善される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発ステビオール配糖体組成物、グルコース供与体およびシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼをグリコシル化ステビオール配糖体組成物を生産するのに効果的な時間の間7.5超過~10以下のpHを有する水性媒体中で接触させる段階で含む、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の製造方法。
【請求項2】
前記出発ステビオール配糖体組成物が、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドF、レバウジオシドM(X)、ステビオシド、ステビオールビオシド、ルブソシドおよびズルコシドAからなる群より選択される1種以上のステビオール配糖体で構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出発ステビオール配糖体組成物が、乾燥重量基準で少なくとも約50%レバウジオシドBで構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記出発ステビオール配糖体組成物が、乾燥重量基準で少なくとも約50%レバウジオシドAで構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記出発ステビオール配糖体組成物が、乾燥重量基準で少なくとも約50%ステビオシドで構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記出発ステビオール配糖体組成物が、乾燥重量基準で少なくとも約10%ステビオールビオシドで構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記グルコース供与体がオリゴ糖、シクロデキストリンおよび多糖類からなる群より選択される、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記グルコース供与体が、澱粉、デキストリン、液化澱粉およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記pHが、約8~約9である、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼが、バチルスステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルスマセランス(Bacillus macerans)、バチルスサーキュランス(Bacillus circulans)、バチルスアルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)、バチルスハロフィルス(Bacillus halophilus)、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)菌株またはサーモアナエロビュム(Thermoanaerobium)菌株から得られるか、由来されるシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼである、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼが、サーモアナエロバクター属(Thermoanaerobacter sp.)の菌株から得られるか、由来されるシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼである、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼが、非-好アルカリ性シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼである、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
接触が、約20℃~約95℃の温度で行われる、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
接触が、約1時間~約250時間の間行われる、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記水性媒体が、緩衝された水性媒体である、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
グリコシル化ステビオール配糖体組成物をグルコース間の結合を切断することのできる少なくとも1つの酵素と接触させる追加段階を含む、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記接触段階が、出発ステビオール配糖体組成物に存在するステビオール配糖体のグリコシル化ステビオール配糖体への転換率60%~85%または65%~80%を達成するのに効果的な条件下で行われる、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
a)出発ステビオール配糖体組成物を塩基性水性媒体または塩基性樹脂と接触させ、塩基-処理されたステビオール配糖体組成物を得る段階およびb)前記塩基-処理されたステビオール配糖体組成物、グルコース供与体およびシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼをグリコシル化ステビオール配糖体組成物を生産するのに效果的な時間の間水性媒体中で接触させる段階を含む、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の製造方法。
【請求項19】
前記出発ステビオール配糖体組成物が、7.5~14のpHを有する塩基性水性媒体と接触される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
段階a)が、20℃~100℃の温度で行われる、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
段階a)が0.5時間~250時間または1時間~250時間の間行われる、請求項18~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
出発ステビオール配糖体組成物が、レバウジオシドAまたはステビオシド中、少なくとも1つで構成される、請求項18~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
段階a)が、レバウジオシドAが存在する場合、その少なくとも一部分をレバウジオシドBに転換させ、ステビオシドが存在する場合、その少なくとも一部分をステビオールビオシドに転換させるのに効果的な条件下で行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記グリコシル化ステビオール配糖体組成物を、グルコース間の結合を切断することのできる少なくとも1つの酵素と接触させる追加段階を含む、請求項18~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
グリコシル化ステビオール配糖体組成物を、塩基性水性媒体または塩基性樹脂と接触させる段階を含む、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の1つ以上の官能特性を向上させる、方法。
【請求項26】
前記グリコシル化ステビオール配糖体組成物が、塩基性水性媒体と接触し、前記塩基性水性媒体が、7.5~14または8~14のpHを有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記接触段階が、20℃~100℃の温度で行われる、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記グリコシル化ステビオール配糖体組成物が、グリコシル化レバウジオシドAまたはグリコシル化ステビオシド中、少なくとも1つで構成される、請求項25~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記接触段階が、グリコシル化レバウジオシドAが存在する場合、その少なくとも一部分をグリコシル化レバウジオシドBに転換させ、グリコシル化ステビオシドが存在する場合、その少なくとも一部分をグリコシル化ステビオールビオシドに転換させるのに効果的な条件下で行われる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項1~29のいずれかに記載の方法によって得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物。
【請求項31】
a)グリコシル化ステビオール配糖体組成物とb)レバウジオシドBの総乾燥重量基準で、a)グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびb)2~8重量%のレバウジオシドBで構成される、甘味料組成物。
【請求項32】
前記グリコシル化ステビオール配糖体組成物が、請求項1~29のいずれかに記載の方法によって得られる、請求項31に記載の甘味料組成物。
【請求項33】
a)第1グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびb)請求項18~24のいずれかに記載の方法によって得られる第2グリコシル化ステビオール配糖体組成物で構成される、甘味料組成物。
【請求項34】
第1グリコシル化ステビオール配糖体組成物が、請求項1~17のいずれかに記載の方法によって得られる、請求項33に記載の甘味料組成物。
【請求項35】
a)第1ステビオール配糖体組成物およびb)第2グリコシル化ステビオール配糖体組成物の総乾燥重量基準で、a)65~95重量%の第1ステビオール配糖体組成物およびb)5~35重量%の第2グリコシル化ステビオール配糖体組成物で構成される、請求項33または34に記載の甘味料組成物。
【請求項36】
a)第1グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびb)請求項25~28のいずれかに記載の方法によって得られる第2グリコシル化ステビオール配糖体組成物で構成される、甘味料組成物。
【請求項37】
第1グリコシル化ステビオール配糖体組成物が、請求項1~17のいずれかに記載の方法によって得られる、請求項36に記載の甘味料組成物。
【請求項38】
a)第1ステビオール配糖体組成物とb)第2グリコシル化ステビオール配糖体組成物の総乾燥重量基準で、a)50~95重量%の第1グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびb)5~50重量%の第2グリコシル化ステビオール配糖体組成物で構成される、請求項36または37に記載の甘味料組成物。
【請求項39】
グリコシル化ステビオール配糖体組成物であって、グリコシル化レバウジオシドB、グリコシル化ステビオールビオシド、ステビオールビオシドおよびレバウジオシドBが各々存在し、グリコシル化レバウジオシドB、グリコシル化ステビオールビオシド、ステビオールビオシドおよびレバウジオシドBがともに、乾燥重量基準で、前記グリコシル化ステビオール配糖体組成物の5~50%または10~25%を占める、グリコシル化ステビオール配糖体組成物。
【請求項40】
グリコシル化ステビオール配糖体組成物であって、グリコシル化レバウジオシドBおよびグリコシル化ステビオールビオシドがともに、乾燥重量基準で、上記グリコシル化ステビオール配糖体組成物の2~25%または5~15%を占める、グリコシル化ステビオール配糖体組成物。
【請求項41】
i)a)請求項1~29のいずれかに記載の方法によって得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物、b)請求項31~38のいずれかに記載の甘味料組成物またはc)請求項39または40のグリコシル化ステビオール配糖体組成物中、少なくとも1つ、およびii)少なくとも1つの追加的な食品、飲料、化粧品または医薬成分を含む食品、飲料製品、化粧品または医薬品。
【請求項42】
i)a)請求項1~29のいずれかに記載の方法によって得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物、b)請求項31~38のいずれかに記載の甘味料組成物またはc)請求項39または40のグリコシル化ステビオール配糖体組成物中、少なくとも1つ、およびii)少なくとも1つの追加的な食品、飲料、化粧品または医薬成分を配合する段階を含む食品、飲料製品、化粧品または医薬品の製造方法。
【請求項43】
食品、飲料製品、化粧品または医薬品におけるa)請求項1~29のいずれかに記載の方法によって得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物、b)請求項31~38のいずれかに記載の甘味料組成物またはc)請求項39または40のグリコシル化ステビオール配糖体組成物中、少なくとも1つの用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
【0002】
本出願は、2016年6月6日付で出願された米国仮特許出願第62/346,148号に対する優先権を主張し、その全体開示内容は、すべての目的のために参考として本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の向上された製造方法、これによって得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物、このようなグリコシル化ステビオール配糖体組成物を含む甘味料およびブレンド、ならびに食品および飲料などの食用製品における甘味料および香味改質剤としてのこのようなグリコシル化ステビオール配糖体の用途に関する。
【背景技術】
【0004】
最近、天然産物に基づく高強度甘味料の開発にかなりの関心があった。このような甘味料は、食品および飲料製品において糖を代替することができ、これによって潜在的に、このような製品の糖を低下させ、また可能にはカロリー含有量も低下させることができる。ステビア(Stevia)植物の葉から抽出および単離されたステビオール配糖体は、大部分のこのような化合物が糖(スクロース)より何倍も甘いため、重要な研究および商業的関心の対象であった。ステビア植物のより古い品種は、少量のレバウジオシドAおよび他の微量のステビオール配糖体とともに、主要なステビオール配糖体成分としてステビオシドを含有する。ステビオシドは、スクロースより約100倍~300倍も甘いが、その味の質は、レバウジオシドAの味の質より著しく劣るものと見なされる。したがって、非常に高いレベルのレバウジオシドAを有するステビア植物の新品種および高度に純粋な(95%+)レバウジオシドAを得るためのステビア葉の加工方式が開発された。しかしながら、高度に精製されたレバウジオシドAであっても、全的にスクロースに匹敵される味プロファイルを有さない。したがって、精製されたレバウジオシドAのみを使用し、低糖食品および飲料を調製することは、かなりの挑戦課題として残されている。
【0005】
ステビオール配糖体は、中心ステビオール(テルペノイド)部分に結合したグルコース分子を有することを特徴とする。以前、アルファ-グルコシルトランスフェラーゼを1種以上のステビオール配糖体、および澱粉またはシクロデキストリンなどのグルコース供与体を含有する水溶液上で反応し得るようにし、1つ以上のグルコース単位が上記グルコース供与体からステビオール配糖体(ら)へ転移させることによって、ステビオシドおよびレバウジオシドAなどの天然発生ステビオール配糖体を変形させ得ることが発見された。これによって得られる反応産物は、一般に「グリコシル化ステビオール配糖体」と称され、出発ステビオール配糖体(ら)と比較して変形された/向上された官能特性を有することができる。グリコシル化(glycosylation)またはグリコシル転移(transglycosylation)を伴うものと見なされ得る、このような反応の例は、米国特許第4,219,571号および米国公開特許第2007/0082102号に記載されている。
【0006】
しかしながら、ステビオール配糖体グリコシル化技術のさらなる向上が好ましいであろう。例えば、このような反応で得られるグリコシル化ステビオール配糖体(ら)の収率は、低い傾向がある。さらに、公知された方法を用いて製造されたグリコシル化ステビオール配糖体の香味および味は、おそらく出発ステビオール配糖体(ら)の香味および味よりも優れているが、スクロースの有する官能特性と顕著に異なるという点で依然として完全に理想的ではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の様々な非限定的な例示的様態は、以下のように要約することができる:
様態1:出発ステビオール配糖体組成物、グルコース供与体およびシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼをグリコシル化ステビオール配糖体組成物を生産するのに効果的な時間の間7.5超過~10以下のpHを有する水性媒体中で接触させる段階で構成されるか、これから本質的になるか、これからなる、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の製造方法。
【0008】
様態2:上記出発ステビオール配糖体組成物が、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドF、レバウジオシドM(X)、ステビオシド、ステビオールビオシド、ルブソシドおよびズルコシドAからなる群より選択される1種以上のステビオール配糖体で構成されるか、これから本質的になるか、これからなる、様態1に記載の方法。
【0009】
様態3:上記出発ステビオール配糖体組成物が、乾燥重量基準で少なくとも約50%レバウジオシドBで構成される、様態1に記載の方法。
【0010】
様態4:上記出発ステビオール配糖体組成物が、乾燥重量基準で少なくとも約50%レバウジオシドAで構成される、様態1に記載の方法。
【0011】
様態5:上記出発ステビオール配糖体組成物が、乾燥重量基準で少なくとも約50%ステビオシドで構成される、様態1に記載の方法。
【0012】
様態6:上記出発ステビオール配糖体組成物が、乾燥重量基準で少なくとも約10%ステビオールビオシドで構成される、様態1に記載の方法。
【0013】
様態7:上記グルコース供与体がオリゴ糖、シクロデキストリンおよび多糖類からなる群より選択される、様態1~6のいずれかに記載の方法。
【0014】
様態8:上記グルコース供与体が、澱粉、デキストリン、液化澱粉およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、様態1~6のいずれかに記載の方法。
【0015】
様態9:上記pHが、約8~約9である、様態1~8のいずれかに記載の方法。
【0016】
様態10:上記シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼが、バチルスステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルスマセランス(Bacillus macerans)、バチルスサーキュランス(Bacillus circulans)、バチルスアルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)、バチルスハロフィルス(Bacillus halophilus)、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)菌株またはサーモアナエロビュム(Thermoanaerobium)菌株から得られるか、由来されるシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼである、様態1~9のいずれかに記載の方法。
【0017】
様態11:上記シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼが、サーモアナエロバクター属(Thermoanaerobacter sp.)の菌株から得られるか、由来されるシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼである、様態1~9のいずれかに記載の方法。
【0018】
様態12:上記シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼが、非-好アルカリ性シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼである、様態1~9のいずれかに記載の方法。
【0019】
様態13:上記接触が、約20℃~約95℃の温度で行われる、様態1~12のいずれかに記載の方法。
【0020】
様態14:接触が、約1時間~約250時間の間行われる、様態1~13のいずれかに記載の方法。
【0021】
様態15:上記水性媒体が、緩衝された水性媒体である、様態1~14のいずれかに記載の方法。
【0022】
様態16:グリコシル化ステビオール配糖体組成物をグルコース間の結合を切断することのできる少なくとも1つの酵素と接触させる追加段階を含む、様態1~15のいずれかに記載の方法。
【0023】
様態17:上記接触段階が、出発ステビオール配糖体組成物に存在するステビオール配糖体のグリコシル化ステビオール配糖体への転換率60%~85%または65%~80%を達成するのに効果的な条件下で行われる、様態1~16のいずれかに記載の方法。
【0024】
様態18:a)出発ステビオール配糖体組成物を塩基性水性媒体または塩基性樹脂と接触させ、塩基-処理されたステビオール配糖体組成物を得る段階およびb)上記塩基-処理されたステビオール配糖体組成物、グルコース供与体およびシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼをグリコシル化ステビオール配糖体組成物を生産するのに效果的な時間の間水性媒体中で接触させる段階を含むか、このような段階から本質的になるか、このような段階からなる、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の製造方法。
【0025】
様態19:様態18において、上記出発ステビオール配糖体組成物が、7.5~14のpHを有する塩基性水性媒体と接触される、様態18に記載の方法。
【0026】
様態20:段階a)が、20℃~100℃の温度で行われる、様態18または19に記載の方法。
【0027】
様態21:段階a)が0.5時間~250時間または1時間~250時間の間行われる、様態18~20のいずれかに記載の方法。
【0028】
様態22:出発ステビオール配糖体組成物が、レバウジオシドAまたはステビオシド中、少なくとも1つを含むか、これから本質的になるか、これからなる、様態18~21のいずれかに記載の方法。
【0029】
様態23:様態22において、段階a)が、レバウジオシドAが存在する場合、その少なくとも一部分をレバウジオシドBに転換させ、ステビオシドが存在する場合、その少なくとも一部分をステビオールビオシドに転換させるのに効果的な条件下で行われる、方法。
【0030】
様態24:グリコシル化ステビオール配糖体組成物を、グルコース間の結合を切断することのできる少なくとも1つの酵素と接触させる追加段階を含む、様態18~23のいずれかに記載の方法。
【0031】
様態25:グリコシル化ステビオール配糖体組成物を、塩基性水性媒体または塩基性樹脂と接触させる段階を含むか、これから本質的になるか、これからなる、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の1つ以上の官能特性を向上させる、方法。
【0032】
様態26:上記グリコシル化ステビオール配糖体組成物が、塩基性水性媒体と接触し、上記塩基性水性媒体が、7.5~14または8~14のpHを有する、様態25に記載の方法。
【0033】
様態27:上記接触段階が、20℃~100℃の温度で行われる、様態25または26に記載の方法。
【0034】
様態28:上記グリコシル化ステビオール配糖体組成物が、グリコシル化レバウジオシドAまたはグリコシル化ステビオシド中、少なくとも1つで構成されるか、これから本質的になるか、これからなる、様態25~27のいずれかに記載の方法。
【0035】
様態29:上記接触段階が、グリコシル化レバウジオシドAが存在する場合、その少なくとも一部分をグリコシル化レバウジオシドBに転換させ、グリコシル化ステビオシドが存在する場合、その少なくとも一部分をグリコシル化ステビオールビオシドに転換させるのに効果的な条件下で行われる、様態28に記載の方法。
【0036】
様態30:様態1~29のいずれかの方法によって得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物。
【0037】
様態31:a)グリコシル化ステビオール配糖体組成物とb)レバウジオシドBの総乾燥重量基準で、a)グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびb)2~8重量%のレバウジオシドBで構成されるか、これから本質的になるか、これからなる、甘味料組成物。
【0038】
様態32:上記グリコシル化ステビオール配糖体組成物が、様態1~29のいずれかの方法によって得られる、様態31に記載の甘味料組成物。
【0039】
様態33:a)第1グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびb)様態18~24のいずれかの方法によって得られる第2グリコシル化ステビオール配糖体組成物で構成されるか、これから本質的になるか、これからなる、甘味料組成物。
【0040】
様態34:第1グリコシル化ステビオール配糖体組成物が、様態1~17のいずれかの方法によって得られる、様態33に記載の甘味料組成物。
【0041】
様態35:a)第1ステビオール配糖体組成物およびb)第2グリコシル化ステビオール配糖体組成物の総乾燥重量基準で、a)65~95重量%の第1ステビオール配糖体組成物およびb)5~35重量%の第2グリコシル化ステビオール配糖体組成物で構成されるか、これらから本質的になるか、これらからなる、様態33または34に記載の甘味料組成物。
【0042】
様態36:a)第1グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびb)様態25~28のいずれかの方法によって得られる第2グリコシル化ステビオール配糖体組成物で構成されるか、これらから本質的になるか、これらからなる、甘味料組成物。
【0043】
様態37:上記第1グリコシル化ステビオール配糖体組成物が、様態1~17のいずれかの方法によって得られる、様態36に記載の甘味料組成物。
【0044】
様態38:a)第1ステビオール配糖体組成物とb)第2グリコシル化ステビオール配糖体組成物の総乾燥重量基準で、a)50~95重量%の第1グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびb)5~50重量%の第2グリコシル化ステビオール配糖体組成物で構成されるか、これらから本質的になるか、これらからなる、様態36または37に記載の甘味料組成物。
【0045】
様態39:グリコシル化ステビオール配糖体組成物であって、グリコシル化レバウジオシドB、グリコシル化ステビオールビオシド、ステビオールビオシドおよびレバウジオシドBが各々存在し、グリコシル化レバウジオシドB、グリコシル化ステビオールビオシド、ステビオールビオシドおよびレバウジオシドBがともに、乾燥重量基準で、上記グリコシル化ステビオール配糖体組成物の5~50%または10~25%を占める、グリコシル化ステビオール配糖体組成物。
【0046】
様態40:グリコシル化ステビオール配糖体組成物であって、グリコシル化レバウジオシドBおよびグリコシル化ステビオールビオシドがともに、乾燥重量基準で、上記グリコシル化ステビオール配糖体組成物の2~25%または5~15%を占める、グリコシル化ステビオール配糖体組成物。
【0047】
様態41:i)a)様態1~29のいずれかの方法によって得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物、b)様態31~38のいずれかの甘味料組成物またはc)様態39または40のグリコシル化ステビオール配糖体組成物中、少なくとも1つ、およびii)少なくとも1つの追加的な食品、飲料、化粧品または医薬成分を含むか、これらから本質的になるか、これらからなる、食品、飲料製品、化粧品または医薬品。
【0048】
様態42:i)a)様態1~29のいずれかの方法によって得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物、b)様態31~38のいずれかの甘味料組成物またはc)様態39または40のグリコシル化ステビオール配糖体組成物中、少なくとも1つ、およびii)少なくとも1つの追加的な食品、飲料、化粧品または医薬成分を配合する段階を含むか、これから本質的になるか,これからなる、食品、飲料製品、化粧品または医薬品の製造方法。
【0049】
様態43:食品、飲料製品、化粧品または医薬品におけるa)様態1~29のいずれかの方法によって得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物、b)様態31~38のいずれかの甘味料組成物またはc)様態39または40のグリコシル化ステビオール配糖体組成物中、少なくとも1つの用途。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、本発明による様々な方法およびこのような方法が、どのように互いに関連して実施され得るかを図式的に例示するプロセスフロー図である。
図2図2図8は、本明細書の実施例において、さらに説明される様々なステビオール配糖体およびグリコシル化ステビオール配糖体組成物のLC-MSクロマトグラムである。
図3図2図8は、本明細書の実施例において、さらに説明される様々なステビオール配糖体およびグリコシル化ステビオール配糖体組成物のLC-MSクロマトグラムである。
図4図2図8は、本明細書の実施例において、さらに説明される様々なステビオール配糖体およびグリコシル化ステビオール配糖体組成物のLC-MSクロマトグラムである。
図5図2図8は、本明細書の実施例において、さらに説明される様々なステビオール配糖体およびグリコシル化ステビオール配糖体組成物のLC-MSクロマトグラムである。
図6図2図8は、本明細書の実施例において、さらに説明される様々なステビオール配糖体およびグリコシル化ステビオール配糖体組成物のLC-MSクロマトグラムである。
図7図2図8は、本明細書の実施例において、さらに説明される様々なステビオール配糖体およびグリコシル化ステビオール配糖体組成物のLC-MSクロマトグラムである。
図8図2図8は、本明細書の実施例において、さらに説明される様々なステビオール配糖体およびグリコシル化ステビオール配糖体組成物のLC-MSクロマトグラムである。
図9図9は、本明細書の実施例に説明される特定の検査性能データを得ることに関連して使用される検査サンプル評価形態のフォーマットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本明細書で使用される「ステビオール配糖体」という語句は、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドM(時には、レバウジオシドXとも称される)、ルブソシド、ズルコシドまたはステビオシドなどのステビア植物に見出されるステビオール配糖体化合物(ステビオール配糖体)を意味する。天然発生ステビオール配糖体において、ステビオールグルコース単位は、ベータ形態で結合している。
【0052】
本明細書で使用される「グリコシル化ステビオール配糖体」とは、1つ以上の位置でグリコシル化ステビオール配糖体(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれ以上のグルコース部分が共有配糖体結合を介し、ステビオール配糖体に付加される)を意味する。特に、グリコシル化ステビオール配糖体は、1つ以上のグルコース部分またはアルファ1-4結合されたグルコース重合体(例えば、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース)が、母体ステビオール配糖体上の糖部分への1-4結合によって母体ステビオール配糖体分子に導入されているステビオール配糖体である。グリコシル化ステビオール配糖体において、酵素的グリコシル化反応によって付加されるグルコース単位(ら)は、アルファ形態で結合している。したがって、グリコシル化ステビオール配糖体は、天然発生ステビオール配糖体と異なる構造を有する。
【0053】
本明細書で使用される「グリコシル化ステビオール配糖体組成物(ら)」という語句は、1つ以上のグリコシル化ステビオール配糖体を含むが、グリコシル化ステビオール配糖体以外の1つ以上の物質(例えば、未反応のステビオール配糖体(ら)および/または未反応のグルコース供与体および/またはグルコース供与体から得られる炭水化物の産物など)をさらに含むことのできる組成物を意味するものである。
【0054】
本発明は、一般に、実施形態A、実施形態Bおよび実施形態Cと称され、以下でより詳細に説明される少なくとも3つの主要な実施形態に対応する方法を含む。このような主要な実施形態は、独立的に、または互いに組み合わせて実施することができる。

実施形態A
【0055】
実施形態Aは、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の製造方法であって、出発ステビオール配糖体組成物、グルコース供与体およびシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼをグリコシル化ステビオール配糖体組成物を生産するのに効果的な時間の間7.5超過~10以下のpHを有する水性媒体中で接触させる段階を含む方法を伴う。このような条件下でグリコシル化を実施することは、低いpH値におけるCGTアーゼ-触媒グリコシル化と比較し、以下の利点中、1つ以上を提供することが発見されている:グリコシル化ステビオール配糖体収率の増加、味が向上されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物および/または甘味が増加されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物。

出発ステビオール配糖体組成物
【0056】
出発ステビオール配糖体組成物は、天然ステビオール配糖体(すなわち、ステビア植物の葉から天然に発見されるステビオール配糖体)および/または非-天然ステビオール配糖体(すなわち、ステビア葉または他の天然供給源に発見されないステビオール配糖体)であり得る1つ以上のステビオール配糖体を含むことができる。出発ステビオール配糖体組成物は、向上を必要とするものと確認される1つ以上の属性、特に、1つ以上の官能特性を有する組成物として特徴づけることができる。例えば、向上を必要とする属性は、苦味、甘味後味、甘味強度、甘草香味、渋味およびこれらの組み合わせからなる群より選択することができる。出発ステビオール配糖体組成物は、ステビオール配糖体以外の1つ以上の物質、特に、ステビオール配糖体とともに、ステビア植物質中に存在する非-ステビオール配糖体、ステビア植物物質から得られるか、または製造される抽出物あるいは合成的に製造されるステビオール配糖体組成物中、1つ以上を含むことができる。しかし、本発明の様々な有利な実施形態において、出発ステビオール配糖体組成物は、乾燥固体基準で、全部で少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%または少なくとも99重量%ステビオール配糖体(ら)で構成される。
【0057】
出発ステビオール配糖体組成物に使用するのに適した例示的なステビオール配糖体は、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドX(M)、レバウジオシドN、レバウジオシドO、ズルコシドA、ステビオールビオシド、ルブソシドおよびこれらの組み合わせからなる群より選択することができる。出発ステビオール配糖体組成物は、ステビア植物の公知された品種(天然および雑種)のいずれかを含むステビア植物の葉由来のステビオール配糖体の抽出物であり得る。このような抽出物は、一般にステビオシドおよびレバウジオシドAが典型的に最も豊富に存在するステビオール配糖体である(抽出物が得られるステビア植物の品種に応じて)異なるステビオール配糖体の混合物である。一実施形態において、出発ステビオール配糖体組成物は、乾燥重量基準で、10~70%ステビオシドおよび20~70%レバウジオシドAを含むことができ、ここで、ステビオシドおよびレバウジオシドAの総量は、乾燥重量基準で70%以上であり、他のステビオール配糖体が任意に存在し、乾燥重量基準で90%以上または95%以上の総ステビオール配糖体含量を提供することができる。例えば、出発ステビオール配糖体組成物は、(乾燥重量基準で)28~30%ステビオシド、50~55%レバウジオシドA、9~12%レバウジオシドC、1~3%レバウジオシドFおよび他のステビオール配糖体で構成され、総ステビオール配糖体含量が少なくとも90%または少なくとも95%になる抽出物であり得る。別の実施形態において、出発ステビオール配糖体組成物は、(乾燥重量基準で)25~30%ステビオシド、55~65%レバウジオシドAおよび他のステビオール配糖体で構成され、総ステビオール配糖体含量が少なくとも95%になる抽出物であり得る。さらに別の実施形態において、出発ステビオール配糖体組成物は、(乾燥重量基準で)55~65%レバウジオシドA、20~30%ステビオシドおよび総3~8%のレバウジオシドCとズルコシドAで構成され、少なくとも90%の総ステビオール配糖体含量を有する抽出物であり得る。代替的に、ステビオール配糖体の比率が異なるのみならず、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドX(M)、レバウジオシドN、レバウジオシドO、ズルコシドA、ステビオールビオシドまたはルブソシドなどの高度に精製された(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%純粋な)ステビオール配糖体を有するステビア抽出物を使用することができる。
【0058】
例えば、出発ステビオール配糖体組成物は、乾燥重量基準で、少なくとも約50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%レバウジオシドBで構成され得る。他の実施形態において、出発ステビオール配糖体組成物は、乾燥重量基準で、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%レバウジオシドAで構成され得る。さらなる実施形態において、出発ステビオール配糖体組成物は、乾燥重量基準で、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%ステビオシドで構成され得る。追加の実施形態によって、出発ステビオール配糖体組成物は、乾燥重量基準で、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%ステビオールビオシドで構成され得る。
【0059】
出発ステビオール配糖体組成物として使用するのにも適しているのは、本発明の実施形態Bにしたがって塩基-処理されたステビオール配糖体組成物である。

グルコース供与体
【0060】
本発明で使用するのに適しているグルコース供与体は、実質的に1つ以上のグルコース単位を切断し、出発ステビオール配糖体組成物に存在するステビオール配糖体分子に転移されるようにするCGTアーゼの存在下で反応され得るグルコースのオリゴマー、重合体および環状形態のいずれかを含む。適切なグルコース供与体には、例えば、非限定的に、澱粉(小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、タピオカおよびサゴ(sago)などの異なる供給源由来の澱粉を含む)、液化澱粉(例えば、酸および/またはアミラーゼなどの酵素によって触媒される部分的加水分解を受けた澱粉を含む)、デキストリン(マルトデキストリンを含む)、シクロデキストリンなどおよびこれらの組み合わせが含まれる。有利な一実施形態において、グルコース供与体は、約0.5~約10のデキストロース当量(DE)値を有するマルトデキストリンである。
【0061】
本発明の一実施形態において、適切なグルコース供与体組成物は、澱粉または他の適切な多糖類を、多糖類を液化させるのに効果的な条件下でアミラーゼとCGTアーゼの混合物で処理して製造される。例えば、澱粉と水を配合して澱粉懸濁液を形成することができ、これにα-アミラーゼおよびCGTアーゼを添加する。次いで、生成された混合物を、澱粉を液化(これによってその分子量の低下およびそのDE値の増加をもたらす)させるのに効果的な時間(例えば、約0.2時間~約6時間)に適切な温度(例えば、約50℃~約90℃または約70℃~約90℃)でインキュベートすることができる。その後、アミラーゼを低いpH熱処理などの任意の適切な方法によって不活性化させ、グルコース供与体組成物を生成した後、これを出発ステビオール配糖体組成物およびCGTアーゼの追加部分と配合し、グリコシル化条件に適用する。
【0062】
本発明の様々な実施形態において、約0.5:1~約2:1のグルコース供与体対ステビオール配糖体の重量比(乾燥重量基準)を提供するのに効果的な量のグルコース供与体がグリコシル化反応で使用される。他の実施形態において、グルコース供与体:ステビオール配糖体の重量比は、1:1~2:1または1.5:1~2:1であり得る。

CGTアーゼ
【0063】
シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ(CGTアーゼ)は、ステビオール配糖体へのグルコース単位添加を触媒することのできる当業界に公知されている酵素のいずれかであり得る。異なるCGTアーゼ酵素の組み合わせを利用することができる。CGTアーゼは、中温性、高温性、好アルカリ性および好塩性バチルスによって生産することができる。適切なCGTアーゼ酵素は、例えば、バチルスステアロサーモフィラス、バチルスマセランス、バチルスサーキュランス、バチルスアルカロフィルスおよび/またはバチルスハロフィルスからならびにサーモアナエロバクターまたはサーモアナエロビュムの菌株から培養され得るか、由来され得る。このようなCGTアーゼの例には、例えば、上記で言及した微生物の種から由来した天然または組み換え酵素であるものが含まれる。例えば、滅菌された培養培地に適切なバチルス種を接種させた後、接種された培地を約20℃~約90℃の温度で約12~48時間、好ましくは、通気および攪拌しながら培養し、得られた培養液を濾過してバチルス細胞を分離させ、例えば、限外濾過を使用して無細胞透過液をさらに濃縮させることによって、CGTアーゼを生成することができる。このような酵素は、澱粉を液化させてグリコシル化反応に使用するのに適したグルコース供与体を提供するために1つ以上のアミラーゼとともに使用することもできる。CGTアーゼ酵素(ら)は、無細胞培養液、濃縮された液体無細胞培養液、噴霧乾燥された、または凍結乾燥された無細胞培養液または高純度タンパク質の形態であり得る。遊離酵素のみならず、固定された酵素製剤を使用することができる。本発明の一実施形態において、CGTアーゼは(例えば、ゲル補足、吸着または共有結合によって)適切な支持体に固定される。適切なCGTアーゼは、選択された微生物(例えば、サーモアナエロバクターの種または菌株)由来のCGTアーゼを単離させ、大腸菌(E.Coli)などの適切な宿主微生物内にクローニングし、ここでCGTアーゼを発現させる手順にしたがって生産することもできる。適切なCGTアーゼは、例えば、ノボザイムズ(Novozymes)およびアマノ(Amano)などの商業的供給源から入手することができる。
【0064】
本発明の一実施形態において、CGTアーゼ酵素は、非-好アルカリ性有機体(すなわち、9以上のpHで最適な成長を示す有機体を意味するものと理解される好アルカリ性有機体ではない有機体)から培養されるか、由来される。したがって、本発明の好ましい実施形態のCGTアーゼ酵素は、9未満のpHで最適な成長を示す有機体から培養されるか、由来される。特定の実施形態において、CGTアーゼ酵素は、サーモアナエロバクター属ATCC53627などのサーモアナエロバクターの菌株から培養されるか、由来される。したがって、好ましくは、ノボザイムズによって商標名Toruzym(登録商標)3.0Lで市販されるCGTアーゼ酵素などのサーモアナエロバクターCGTアーゼが本発明のグリコシル化反応で使用される。本発明の特定の実施形態において、出発ステビオール配糖体組成物のグリコシル化は、ジェンバンク(GenBank)受託番号Z35484を有するCGTアーゼのアミノ酸序列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸序列を有するCGTアーゼを使用して行われる(参照:Joergensen et al., Cloning and nucleotide sequence of a thermostable cyclodextrin glycosyltransferase gene from Thermoanaerobacter sp.ATCC 53627 and its expression in Escherichia coli″Biotechnol.Lett.19,1027-1031(1997))。
【0065】
Toruzym(登録商標)3.0LCGTアーゼなどのサーモアナエロバクターCGTアーゼを使用したステビオシドのグリコシル化に関する以前に公開された文献は、グリコシル化のための最適のpHが約5.5であり、pHが7に増加される場合にステビオシドの転換率の顕著な低下があることを明確に示した(Li et al., 「Transglycosylation of stevioside to improve the edulcorant quality by lower substitution using cornstarch hydrolyzate and CGTase」 Food Chem. 138, 2013 2064-2069)。類似した最適のpHは、文献[「Regioselective glycosylation of hydroquinone to α-arbutin by cyclodextrin glucanotransferase from Thermoanaerobacter sp. Biochem. Eng. J. 79,2013,187-193」]で報告されたように、ほぼ5.5のpHが複数の基質とこのような酵素に最適であることを示したマシュー(Mathew)などによって明らかになった。さらに、澱粉からシクロデキストリンを生産するために使用される場合、Toruzym(登録商標)3.0Lは、5の最適作動pHを有し、pHが、pH6~10に増加される場合に活性が低下することが明らかになった。したがって、ステビオール配糖体のグリコシル化を含み、広範囲な反応にわたってToruzym(登録商標)3.0LなどのCGTアーゼに対して予想される最適pHは、5~6範囲にあることが立証された。したがって、ステビオール配糖体組成物のグリコシル化を7.5超過~10以下のpHを有する水性媒体中でToruzym(登録商標)3.0LなどのCGTアーゼおよびグルコース供与体の存在下で行うことによって、実際に特定の利益が達成されるという本発明者の調査結果は予期せぬことであり、当業界の従来知識に基づいて適正に予想できないことである。このような利益には、収率の向上(すなわち、所定の期間内のグリコシル化ステビオール配糖体収率の増加)、味の質の向上(すなわち、得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物はより優れた官能特性を有する)および/またはグリコシル化程度の向上(すなわち、より高い数のグルコース部分が出発ステビオール配糖体(ら)に添加されるグリコシル化ステビオール配糖体組成物の生産)を含むことができるが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の様々な実施形態において、グリコシル化反応で用いられるCGTアーゼの量は、グルコース供与体のグラム当たり、約0.02~約10単位のCGTアーゼ(固体基準)であり得る。

グリコシル化条件
【0067】
上記で言及したように、出発ステビオール配糖体組成物のグリコシル化は、出発ステビオール配糖体組成物を水性媒体中で少なくとも1つのCGTアーゼの存在下でグルコース供与体と接触させることによって行われる。24時間以内に得られるグリコシル化された産物の収率は、弱塩基性pH、例えば、7.5を超過するが、10以下であるpH、8~10のpH、8~9のpHまたは約8.5のpHを有する水性媒体を提供することによって顕著に増加され得ることが発見された。このような結果は、特に、使用されるCGTアーゼがToruzym(登録商標)3.0Lなどの非-好アルカリ性CGTアーゼの場合に弱酸性であるpH値(例えば、5.5~6.5のpH)でステビオール配糖体のCGTアーゼ-触媒されたグリコシル化を行うことが通常的であったため、驚くべきことであった。水性媒体のpHは、任意の適切な塩基または適切な塩基の組み合わせを用いて所望の値に調整することができる;適切な塩基には、弱塩基のみならず、強塩基を含むことができる。塩基は、無機塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩)または有機塩基(例えば、有機アミン、有機酸の共役塩基)であり得る。一実施形態において、塩基または塩基らは、水性媒体中で可溶化される。水性媒体は、選択された塩基性pHで緩衝されていてもよく、緩衝されていなくてもよい。本発明の一実施形態において、水性媒体に所望のpHを付与するのに必要な塩基の少なくとも一部分は、出発ステビオール配糖体組成物を本明細書の他の部分で説明する本発明の実施形態Bにしたがって塩基-処理することによって得られる反応産物中に存在する塩基によって供給される。すなわち、塩基-処理されたステビオール配糖体組成物は、本発明の実施形態Aにおける出発ステビオール配糖体組成物として使用することができる。
【0068】
水性媒体は、水で構成されるが、水以外の1種以上の溶媒でさらに構成されることも可能である。典型的に、このような追加溶媒(ら)は、存在する場合、水と混和性であり、水の量に比べて比較的少量で存在する(例えば、水以外の溶媒の量は、水と溶媒の総重量基準で20重量%未満、10重量%未満または5重量%未満であり得る)。特定の実施形態において、水性媒体は、水以外にいかなる溶媒も含有しない。
【0069】
グリコシル化反応が行われる温度は、重要であるとは考えられないが、典型的にグリコシル化は、室温(例えば、20℃)~約95℃の温度範囲内で実施される。一実施形態において、グリコシル化反応温度は、約45℃~約70℃である。別の実施形態において、グリコシル化反応温度は、約45℃~約55℃である。反応物の接触は、出発ステビオール配糖体のグリコシル化ステビオール配糖体への所望の転換を達成するのに効果的な期間に実施される。例えば、本発明の特定の実施形態において、出発ステビオール配糖体の60%~85%または65%~80%転換率が達成される;転換程度は、HPLCおよび/またはLC-MS分析方法によって容易にモニタリングすることができる。(グリコシル化反応産物として得られる)グリコシル化ステビオール配糖体組成物中のグリコシル化ステビオール配糖体の含量および未反応のステビオール配糖体の含量は、日本国厚生労働省によって2009年に公開された食品添加物などの規格基準(Japan’s Specifications and Standards for Food Addditives)第8版の257~258頁に記載されている手順にしたがって測定することができる。
【0070】
一般に、温度、CGTアーゼの活性、出発ステビオール配糖体組成物の組成、酵素濃度および他の要因によって、1時間~250時間または1時間~168時間の反応時間が適切であり得る。一実施形態において、反応時間は、約12~約24時間である。出発ステビオール配糖体組成物がステビオシドを含む場合、例えば、得られる反応混合物は、13-O-ソホロシル部分の19-O-グルコシル単位と末端グルコシル単位両方でモノ-グリコシル化、ジ-グリコシル化、トリ-グリコシル化およびさらに高度にグリコシル化された産物の比較的複雑な混合物であり得る。
【0071】
特定の実施形態によれば、グリコシル化反応は、出発物質に存在するステビオール配糖体の部分的転換のみを達成するのに効果的な条件下で実施される。例えば、一旦、出発ステビオール配糖体の約60~85%が反応され(すなわち、1つ以上のグルコース部分でグリコシル化され)、約15~40%の未反応の出発ステビオール配糖体が反応混合物中に残ることになると(ここで、グリコシル化ステビオール配糖体+未反応のステビオール配糖体の総量=100%)、グリコシル化反応が中断され得る。別の実施形態によって、グリコシル化は、出発ステビオール配糖体の約65~80%が反応され(すなわち、1つ以上のグルコース部分でグリコシル化され)、約20~35%の未反応の出発ステビオール配糖体が反応混合物中に残るまで(ここで、グリコシル化ステビオール配糖体+未反応のステビオール配糖体の総量=100%)行われる。
【0072】
本発明の様々な実施形態において、グリコシル化反応は、水(約8~約8.4の初期pH)中で約4~約6重量%出発ステビオール配糖体組成物および約8~約12重量%デキストリン(デキストリン対出発ステビオール配糖体の重量比は、約1.5:1~約2.5:1である)を用いて行うことができる。上記混合物を約40℃~約60℃で約0.5~約30時間CGTアーゼとともにインキュベートし、所望のグリコシル化ステビオール配糖体を含有する反応産物を得る。次いで、酵素を不活性化させ、吸着樹脂、炭素濾過およびイオン交換を用いて反応産物を精製する。
【0073】
一旦、所望の転換程度が達成されると(これは、標準高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)または液体クロマトグラフィー-質量分光法(LC-MS)技術を用いて測定することができる)、反応産物をさらに処理するか、加工することができる。例えば、CGTアーゼを(例えば、反応産物をCGTアーゼがさらなるグリコシル化を触媒する能力に関し、不活性化するのに効果的な温度まで加熱する熱処理によって)不活性化させることができる。他の実施形態において、反応産物を本明細書で説明する実施形態Cにしたがって塩基でさらに処理することができる。別の実施形態において、グリコシル化ステビオール配糖体組成物を追加的な異なる種類の酵素、特に、アミラーゼまたはグルコース間の結合を切断することのできる他の酵素(例えば、バチルスズブチリス(Bacillus Subtilis)から由来されたマルトジェニックアミラーゼなどのマルトジェニックアミラーゼ)で処理することができる。例えば、α-アミラーゼをグリコシル化反応産物と配合することができ、生成された混合物を約55℃~約95℃で約6~24時間インキュベートした後、(例えば、低いpHで加熱を用いて)α-アミラーゼを不活性化させることができる。別の実施形態において、マルトジェニックアミラーゼなどのアミラーゼをグリコシル化反応産物と配合し、生成された混合物を約25℃~約40℃で約12時間~約36時間インキュベートする。このようなさらなる酵素的処理は、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の組成プロファイルを変更する作用をし、これによって可能には組成物の味プロファイルのさらなる向上をもたらす。グリコシル化ステビオール配糖体組成物はまた、または代替的に本明細書(例えば、「グリコシル化ステビオール配糖体組成物の精製」と題する段落)に記載されたさらなる加工段階中、1つ以上に適用することができる。

実施形態B
【0074】
本発明の実施形態Bは、a)出発ステビオール配糖体組成物を塩基性水性媒体または塩基性樹脂と接触させ、塩基-処理されたステビオール配糖体組成物を得る段階およびb)上記塩基-処理されたステビオール配糖体組成物、グルコース供与体およびシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼを、グリコシル化ステビオール配糖体組成物を生産するのに効果的な時間の間水性媒体中で接触させる段階を含む、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の製造方法を提供する。実施形態Bは、実施形態Aおよび実施形態Cの一方またはこれらの両方と組み合わせて実施することができるが、代替的に、単独でまたはグリコシル化ステビオール配糖体分野に公知された他の加工段階と組み合わせて実施することができる。出発ステビオール配糖体組成物を本明細書に説明された方式で塩基処理することによって、ステビオール配糖体組成物から得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物の味は、異臭(off-flavor)、苦味、長続きする後味などの減少(これによってグリコシル化ステビオール配糖体組成物の味をスクロースとさらに類似するように作る)によって、および/またはグリコシル化ステビオール配糖体組成物の甘味強度の増加によって向上することができる。
【0075】
出発ステビオール配糖体組成物は、実施形態Aと関連して上記で言及した出発ステビオール配糖体組成物のいずれかに該当し得る。しかし、実施形態Bの特定の様態において、出発ステビオール配糖体組成物は、レバウジオシドAおよびステビオシド中、少なくとも1つ、またはレバウジオシドAとステビオシドの両方を含有する。レバウジオシドAおよびステビオシドの一方または両方は、出発ステビオール配糖体組成物中に優勢に(≧50重量%、≧60重量%、≧70重量%、≧80重量%、≧90重量%)存在するステビオール配糖体(ら)であり得る。例えば、レバウジオシドAおよびステビオシドは、ともに出発ステビオール配糖体組成物中に存在するステビオール配糖体の≧50重量%、≧60重量%、≧70重量%、≧80重量%、≧90重量%を占めることができる。
【0076】
塩基性水性媒体のpHは、本発明の様々な実施形態において、7.5超過、少なくとも8または少なくとも9および14以下であり得る。例えば、塩基性水性媒体は、8~14、9~14または約10~約14のpHを有することができる。水性媒体のpHは、任意の適切な塩基または適切な塩基の組み合わせを用いて所望の値に調整することができる;適切な塩基は、弱塩基のみならず、強塩基を含むことができる。塩基は、無機塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩)または有機塩基であり得る。一実施形態において、塩基または塩基らは、水性媒体中で可溶化される。水性媒体は、選択された塩基性pHで緩衝されていてもよく、緩衝されていなくてもよい。
【0077】
出発ステビオール配糖体組成物が、塩基性樹脂と接触する本発明の実施形態において、塩基性樹脂を例えば、塩基性官能基(1級、2級および/または3級アミノ基または4級アンモニウム基など)が結合した弱塩基性または(好ましくは)強塩基性重合体樹脂(例えば、架橋ポリスチレン)と接触させる。スルホン酸基がトリメチルアンモニウムなどの4級アンモニウム陽イオンを含有する架橋ポリスチレンスルホネート(例えば、ジビニルベンゼンで架橋され、スルホン化されたポリスチレン)は、1種類の強塩基性樹脂を構成する。ポリエチレンアミンは、適切な弱塩基性樹脂の一例である。出発ステビオール配糖体組成物は、塩基性樹脂と接触する場合に水性媒体に溶解することができる。
【0078】
出発ステビオール配糖体組成物の塩基処理が行われる温度は、重要であるとは考えられないが、典型的に処理は、室温(例えば、20℃)~約100℃の温度範囲内で実施される。例えば、塩基処理温度は、約40℃~約60℃であり得る。塩基処理は、出発ステビオール配糖体の所望の転換を達成するのに効果的な時間に行われ、これは可能には個々のステビオール配糖体から1つ以上のグルコース単位を除去(特に、C-19位置でグルコース単位を除去)し、それによってステビオールの配糖体の少なくとも部分的に他のステビオール配糖体に転換することを伴う。例えば、レバウジオシドAが出発ステビオール配糖体組成物中に存在する場合、レバウジオシドAの少なくとも一部分は、レバウジオシドBに転換することができ、ステビオシドが存在する場合、ステビオシドの少なくとも一部分は、ステビオールビオシドに転換することができる。報告によると、レバウジオシドBおよびステビオールビオシドは、各々レバウジオシドAおよびステビオシドより甘味が少なく、ステビオールビオシドは、特に、悪い味プロファイルおよび低い甘味強度を有するものと特徴づけることができる。しかしながら、これらの化合物(レバウジオシドBおよびステビオールビオシド)のグリコシル化産物は、現在予想外に各々「母体」ステビオール配糖体(レバウジオシドAおよびステビオシド)のグリコシル化で得られるグリコシル化産物よりも甘いことが明らかになった。
【0079】
一般に、温度、pH、塩基濃度、塩基の同一性および他の要因によって1時間~168時間の反応時間が適切であり得る。本発明の特定の実施形態において、水酸化ナトリウムを用いて水性媒体のpHを約13~約14に調整し、混合物を約40℃~約60℃で約18~約30時間加熱する。
【0080】
これによって得られる塩基-処理されたステビオール配糖体組成物を、その後にCGTアーゼの存在下で適切なグルコース供与体と反応させ、グリコシル化する。グリコシル化の前に、塩基-処理されたステビオール配糖体組成物を任意に中和/酸性化、沈殿などのような1つ以上の加工または精製段階に適用することができる。適切なグルコース供与体およびCGTアーゼは、実施形態Aに関連して以前に説明したもののいずれかであり得る。グリコシル化の条件は、上述したものと同じであってもよい。本発明の様々な様態において、水性媒体のpHは、7.5超過(実施形態Aによって)であってもよい。しかし、他の様態において、水性媒体のpHは、7.5以下(例えば、5.5~7.5または5.5~6.5)である。これによって反応産物として得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物を、その後に本明細書の他の部分に説明されるか、当業界に公知されているように1つ以上のさらなる加工および/または精製段階に適用し、消耗性組成物の成分として使用するのに適した最終産物を提供することができる。

実施形態C
【0081】
本発明はまた、グリコシル化ステビオール配糖体組成物を塩基性水性媒体または塩基性樹脂と接触させる段階を含む、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の1つ以上の官能特性を向上させる方法を提供する。上記方法は、任意のグリコシル化ステビオール配糖体組成物、すなわち、ステビオール配糖体組成物をグリコシル化反応させて得られる任意の組成物を用いて実施することができる。例えば、グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、実施形態Aにしたがって製造されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物または本発明の実施形態Bにしたがって製造された塩基-処理されたステビオール配糖体組成物のグリコシル化によって製造されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物であり得る。代替的に、塩基-処理されるグリコシル化ステビオール配糖体組成物は、当業界に公知されている任意の他のグリコシル化方法を用いて製造することができる。本明細書で説明する方式で加工することによって、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の味は、異臭、苦味、長続きする後味などの減少(これによってグリコシル化ステビオール配糖体組成物の味をスクロースとさらに類似するようになる)によって、および/またはグリコシル化ステビオール配糖体組成物の甘味強度の増加によって向上することができる。
【0082】
塩基性水性媒体のpHは、本発明の様々な実施形態において、7.5超過、少なくとも8または少なくとも9または少なくとも10および14以下であり得る。例えば、塩基性水性媒体は、8~14または8.5~12または9~11または約10のpHを有することができる。水性媒体のpHは、任意の適切な塩基または適切な塩基の組み合わせを用いて所望の値に調整することができる;適切な塩基は、弱塩基のみならず、強塩基を含むことができる。塩基は、無機塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩)または有機塩基であり得る。一実施形態において、塩基または塩基らは、水性媒体中で可溶化される。水性媒体は、選択された塩基性pHで緩衝されていてもよく、緩衝されていなくてもよい。
【0083】
グリコシル化ステビオール配糖体組成物が塩基性樹脂と接触する本発明の実施形態において、塩基性樹脂は、例えば、塩基性官能基(1級、2級および/または3級アミノ基または4級アンモニウム基など)が結合した弱塩基性または強塩基性重合体樹脂(例えば、架橋ポリスチレン)と接触させる。スルホン酸基がトリメチルアンモニウムなどの4級アンモニウム陽イオンを含有する架橋ポリスチレンスルホネート(例えば、ジビニルベンゼンで架橋され、スルホン化されたポリスチレン)は、1種類の強塩基性樹脂を構成する。ポリエチレンアミンは、適切な弱塩基性樹脂の一例である。グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、塩基性樹脂と接触する場合に水性媒体に溶解することができる。
【0084】
グリコシル化ステビオール配糖体組成物の塩基処理が行われる温度は、重要であるとは考えられないが、典型的に処理は、室温(例えば、20℃)~約100℃の温度範囲内で実施される。例えば、温度は、約40℃~約60℃または50℃であり得る。塩基処理は、出発グリコシル化ステビオール配糖体の所望の転換を達成するのに効果的な時間に行われ、これは可能には、グリコシル化レバウジオシドAまたはグリコシル化ステビオシドの各々グリコシル化レバウジオシドBまたはグリコシル化ステビオールビオシドへの転換および/またはグリコシル化ステビオール配糖体生成物上に添加されたグルコース鎖の短縮を伴うものと考えられる。一般に、温度、pH、塩基濃度、塩基の同一性および他の要因によって1時間~168時間の反応時間(例えば、約12時間~約36時間または約18~約30時間)が適切であり得る。例えば、水酸化ナトリウムが塩基として使用され、水性媒体が約9~約11のpHを有する場合、反応温度は、約40℃~約60℃であり、反応時間は、約18~約30時間であり得る。
【0085】
これによって反応産物として得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物を、その後に本明細書の他の部分に説明されるか、当業界に公知されているように1つ以上のさらなる加工および/または精製段階に適用し、消耗性組成物の成分として使用するのに適した最終産物を提供することができる。

グリコシル化ステビオール配糖体組成物の精製
【0086】
本発明の実施形態のいずれかにしたがって製造されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物は、以下により詳細に説明するように、食品、飲料製品、化粧品および医薬品に組み込まれるか、成分として使用する前にさらに加工および/または精製することができる。
【0087】
適切な精製/加工技術には、酵素不活性化、中和または他のpH調整、濾過、滅菌、脱色、脱塩、クロマトグラフィーなどによる分画、乾燥、濃縮、沈殿、結晶化、吸着剤(例えば、マクロポーラス(macroporous)吸着剤および疎水性樹脂などの重合体吸着剤、活性炭)処理、イオン交換樹脂処理などおよびこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。グリコシル化ステビオール配糖体組成物が水溶液(例えば、シロップ)の形態で得られる場合、それはその自体で使用してもよく、または任意に例えば、噴霧乾燥によって乾燥形態に転換してもよい。グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、乾燥前または後に1種以上の他の成分(例えば、甘味料または他の香味改質剤)と配合することができる。
【0088】
本発明の特定の実施形態において、グリコシル化ステビオール配糖体組成物を上述した方法中、1つ以上を用いて加工/または精製し、そのステビオール配糖体(存在する場合、未反応の出発ステビオール配糖体(ら)および出発ステビオール配糖体(ら)のグリコシル化産物両方とも含む)の含量が、乾燥重量基準で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%となるようにする。生成されたグリコシル化ステビオール配糖体の量は、HPLCを用いて出発ステビオール配糖体量の減少を測定することによって定量することができる。
【0089】
用いられるさらなる加工/精製条件に応じて、得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物は、少量の残留グルコース供与体および/またはグルコース供与体から得られる炭水化物産物(例えば、グルコース供与体が澱粉である場合、マルトデキストリン)を含有することができる。組成物はまた、または代替的に出発ステビオール配糖体組成物中に存在するステビオール配糖体の一部分(例えば、未反応のステビオール配糖体)を含有することができる。
【0090】
本発明の様々な実施形態において、グリコシル化ステビオール配糖体組成物を加工/または精製して甘味料および/または香味剤として消耗品(例えば、食品または飲料製品)の成分として意図された、または成分として使用するのに適した組成物を提供する。例えば、このようなグリコシル化ステビオール配糖体組成物は、乾燥固体基準で15重量%~40重量%の未反応のステビオール配糖体および60重量%~85重量%のグリコシル化ステビオール配糖体を含むことができ、ここで未反応のステビオール配糖体とグリコシル化ステビオール配糖体の総重量は、乾燥重量基準で、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の総重量の少なくとも90%である。他の実施形態において、乾燥固体基準で20重量%~35重量%の未反応のステビオール配糖体および65重量%~80重量%のグリコシル化ステビオール配糖体で構成されるグリコシル化ステビオールの配糖体組成物が提供され、ここで未反応のステビオール配糖体とグリコシル化ステビオール配糖体の総重量は、乾燥重量基準で、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の総重量の少なくとも95%である。
【0091】
特定の実施形態によって、グリコシル化レバウジオシドB、グリコシル化ステビオールビオシド、ステビオールビオシドおよびレバウジオシドBを含有するグリコシル化ステビオール配糖体組成物が提供される。このような成分はともに、乾燥重量基準で、例えば、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の5~50%または10~25%を占めることができる。グリコシル化ステビオール配糖体組成物の残りは、主としてまたは全的にグリコシル化レバウジオシドB、グリコシル化ステビオールビオシド、ステビオールビオシドおよびレバウジオシドB以外の1種以上のステビオール配糖体およびグリコシル化ステビオール配糖体(例えば、レバウジオシドA、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK,レバウジオシドJ、レバウジオシドM(レバウジオシドXとも称される)、レバウジオシドN、レバウジオシドO、ズルコシドA、ズルコシドB、ルブソシド、ステビオシドおよびこれらのグリコシル化誘導体)で構成され得る。例えば、グリコシル化ステビオール配糖体組成物中のステビオール配糖体とグリコシル化ステビオール配糖体の総重量は、乾燥重量基準で、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%であり得る。上述したグリコシル化ステビオール配糖体およびステビオール配糖体以外にも、グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、比較的微量の残留グルコース供与体および/またはグルコース供与体から得られる炭水化物産物(例えば、乾燥重量基準で、総5%以下または10%以下の残留グルコース供与体および/またはグルコース供与体から得られる炭水化物産物)を含むことができる。上記で説明したグリコシル化ステビオール配糖体組成物は、特に、有利な官能特性を有することが明らかになった。
【0092】
さらなる実施形態によって、グリコシル化レバウジオシドBおよびグリコシル化ステビオールビオシドを含有するグリコシル化ステビオール配糖体組成物が提供される。このような成分はともに、乾燥重量基準で、例えば、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の2%~25%または5%~15%を占めることができる。グリコシル化ステビオール配糖体組成物の残りは、主としてまたは全的にグリコシル化レバウジオシドBおよびグリコシル化ステビオールビオシド以外の1種以上のステビオール配糖体およびグリコシル化ステビオール配糖体(例えば、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK、レバウジオシドJ、レバウジオシドM(レバウジオシドXとも称される)、レバウジオシドN、レバウジオシドO、ズルコシドA、ズルコシドB、ルブソシド、ステビオールビオシド、ステビオシド、およびグリコシル化レバウジオシドBおよびグリコシル化ステビオールビオシド以外のこれらのグリコシル化された誘導体)で構成され得る。例えば、グリコシル化ステビオール配糖体組成物中のステビオール配糖体とグリコシル化ステビオール配糖体の総重量は、乾燥重量基準で、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%であり得る。上記で言及したグリコシル化ステビオール配糖体およびステビオール配糖体以外にも、グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、比較的微量の残留グルコース供与体および/またはグルコース供与体から得られる炭水化物産物(例えば、乾燥重量基準で、総5%以下または10%以下の残留グルコース供与体および/またはグルコース供与体から得られる炭水化物産物)を含むことができる。上記で説明したグリコシル化ステビオール配糖体組成物は、特に、有利な官能特性を有することが明らかになった。

例示的なプロセス段階のさらなる説明
【0093】
本発明の態様は、出発ステビオール配糖体組成物を食品、飲料製品、化粧品または医薬品などの消耗性製品に(例えば、甘味料または香味剤として)使用するのに適したグリコシル化ステビオール配糖体組成物に転換させるために実施され得る一連の加工段階を図式的形態に示す図1を参照してさらに説明することができる。図1において、個々の段階の番号は、単に参照目的のためのものであり、このような段階が番号順に実施されるか、言及されているすべての段階が必ず実施されることを暗示するものではない。しかし、本発明によって、段階1(実施形態B)、段階3(実施形態A)または段階8(実施形態C)中、少なくとも1つは実行される。
【0094】
段階1において、出発ステビオール配糖体組成物は、任意に本発明の実施形態Bにしたがって塩基処理することができる。次いで、塩基-処理されたステビオール配糖体組成物は、塩基-処理されたステビオール配糖体組成物中に存在するステビオール配糖体の少なくとも一部分をグリコシル化するのに效果的な条件下で、CGTアーゼの存在下でグルコース供与体と接触させることができる(段階3および4)。このような塩基処理は、少なくともステビオール配糖体の特定の類型が出発ステビオール配糖体組成物中に存在する場合に最終的に得られるグリコシル化ステビオール組成物の1つ以上の官能特性を向上させるのに役立つことが明らかになった。代替的に(図1に図示せず)、グリコシル化反応は、実施形態Bに塩基で処理されていない出発ステビオール配糖体組成物を用いて実施することができる。本発明の実施形態Aに対応する段階3において、グリコシル化は、7.5超過のpH(例えば、少なくとも8のpH)を有する水性媒体を用いて行われる。このようなより高いpH条件下のグリコシル化は、収率、味の質および/またはグリコシル化程度の向上をもたらすことが発見されている。代替的に、段階4に示したように、従来のpH条件(例えば、pH=5.5~7.5)を使用することができる。
【0095】
段階3または4で使用されるグルコース供与体は、デキストリンまたは澱粉などの未変形された、または未処理されたオリゴ糖、あるいは多糖類であり得る。しかしながら、段階2に示すように、グルコース供与体をアミラーゼまたはアミラーゼとCGTアーゼの混合物と接触させた後、(例えば、低いpH熱処理によって)アミラーゼを不活性化させる液化段階にグルコース供与体を適用することによって、これを前処理することが有利であり得る。
【0096】
一旦、段階3または4のグリコシル化反応が出発ステビオール配糖体組成物の所望の転換率(これは、一旦、仕様が設定された後に、HPLCまたはLC-MSによってモニタリングすることができ、このような仕様は、得られる生成物の官能分析を用いて決定される)に進行されると、CGTアーゼを熱処理または他の適切な手段によって不活性化させることができる(段階5)。次いで、これによって得られる反応産物を直接精製し(段階9)、本明細書の他の部分で説明した消耗品に使用するのに適したグリコシル化ステビオール配糖体組成物を提供することができる。代替的に、段階8に示すように、反応産物を精製段階9の前に本発明の実施形態Cにしたがって塩基-処理することができる。さらなる変形(段階6)において、グリコシル化ステビオール配糖体を含有する反応産物をグリコシル化ステビオール配糖体に存在する少なくとも特定のグルコース間の結合の切断を引き起こすのに効果的な条件下で、アミラーゼまたは他のグルコース間の結合切断酵素と接触させ、これによって反応産物に存在する個々のグリコシル化ステビオール配糖体の類型および/または相対量を変更することができる。その後、アミラーゼまたは他の酵素を反応産物のさらなる精製(段階9)の前に不活性化させることができる(段階7)。
【0097】
本明細書に記載された加工段階は、組み合わせることができ、以下の例示的なプロセスフローにしたがって実行することができる:
I).出発ステビオール配糖体組成物の塩基処理(IIIまたはVIIが実施される場合には選択的)。
II).デキストリンまたは他のグルコース供与体のアミラーゼおよびCGTアーゼへの処理(選択的)。
III).pH>7.5において、出発ステビオール配糖体組成物(これは、塩基-処理されていてもいなくてもよい)とCGTアーゼおよびグルコース供与体の接触(IまたはVIIのいずれかが実施される場合には、pH≦7.5で実施されてもよい)。
IV).CGTアーゼの不活性化(例えば、熱処理によって)。
V).グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびアミラーゼまたは他のグルコース間の結合切断酵素の接触(選択的)。
VI).アミラーゼまたは他の酵素の不活性化(例えば、加熱によって)。
VII).グリコシル化ステビオール配糖体組成物の塩基処理(IまたはIIIが実施される場合には選択的)。
VIII).グリコシル化ステビオール配糖体組成物の精製(活性炭、イオン交換樹脂および/または疎水性樹脂処理によっておよび/または不純物を除去する他の方法によって)。

グリコシル化ステビオール配糖体組成物の用途
【0098】
本発明の方法によって製造されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物は、例えば、食品、飲料製品、化粧品(パーソナルケア)および医薬品を含む消費用として意図された製品の成分または構成要素として使用することができる。グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、例えば、単独の甘味または香味改質成分として、または他の甘味料および/または香味改質剤と組み合わせて、甘味料および/または香味改質剤または増強剤として有用である。
【0099】
本発明にしたがって製造されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物と組み合わせて使用され得る適切な甘味料は、天然甘味料、合成甘味料、栄養および非-栄養甘味料のみならず、高強度および低強度甘味料を含む。甘味料は、スクロース、グリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、エリスロース、トレオース、エリトルロース、リキソース、リボース、キシロース、リブロース、キシルロース、アロース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、タロース、フルクトース、オールロース(プシコース)、ソルボース、タガトース、マンノヘプツロース、セドヘプツロース、オクトロース、フコース、ラムノース、アラビノース、ツラノース、シアロース、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK、レバウジオシドJ、レバウジオシドM(レバウジオシドXとも称される)、レバウジオシドN、レバウジオシドO、ズルコシドA、ズルコシドB、ルブソシド、ステビア抽出物、ステビオシド、モグロシドIV、モグロシドV、羅漢果(Luo Han Guo)抽出物、シアメノシド、モナチンおよびその塩(モナチンSS、RR、rS、SR)、クルクリン(curculin)、グリチルリジン酸およびその塩、タウマチン(thaumatin)、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ヘルナンズルチン(hernandulcin)、フィロズルチン、グリチフィリン(glycyphyllin)、フロリジン(phloridzin)、トリロバチン、バイユノシド、オスラジン、ポリポドシドA、プテロカリオシドA、プテロカリオシドB、ムクロジオシド、フロミソシドI、ペリアンドリンI、アブルソシドA、ステビオールビオシドおよびシクロカリオシドI、エリスリトールなどの糖アルコール、スクラロース、アセスルファムカリウム、アセスルファム酸およびその塩、アスパルターム、アリターム、サッカリンおよびその塩、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、シクラマート、シクラミン酸およびその塩、ネオターム、アドバンターム(advantame)、本明細書に説明された方法以外の方法によって製造されるグルコシル化ステビオール配糖体(GSG)およびこれらの組み合わせからなる群より選択され得るが、これらに限定されるものではない。
【0100】
本発明の一実施形態によればグリコシル化ステビオール配糖体組成物は、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の味および香味特性を向上させるのに効果的な量のレバウジオシドBと組み合わされる。グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、本明細書に説明されている手順のいずれかにしたがって製造することができるが、出発ステビオール配糖体組成物をグリコシル化反応に適用する当業界に公知されている任意の他の方法を用いて得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物であり得る。特定の実施形態において、グリコシル化ステビオール配糖体組成物は,乾燥固体基準で、15%~約40重量%(例えば、乾燥固体基準で約20重量%~約35重量%)の未反応のステビオール配糖体を含むことができ、残りは、全的にまたは主として(例えば、乾燥固体基準で少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%)グリコシル化ステビオール配糖体である。
【0101】
レバウジオシドBをグリコシル化ステビオール配糖体組成物(例えば、本発明によって得られるステビオール配糖体組成物)と組み合わせることは、グリコシル化ステビオール配糖体組成物の嗜好(hedonic)特性を顕著に向上させ得ることが明らかになった。好ましくは、グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、実施形態A(出発ステビオール配糖体組成物、グルコース供与体およびシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼが7.5超過~10以下のpHを有する水性媒体中で接触される本発明の様態)にしたがって製造されたものである。本発明の有利な実施形態において、グリコシル化ステビオール配糖体組成物および、グリコシル化ステビオールの配糖体組成物ならびにレバウジオシドBの総乾燥重量基準で少なくとも1%、少なくとも2%または少なくとも3重量%のレバウジオシドBを含むか、これらから本質的になるか、これらからなる、甘味料組成物が提供される。グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、乾燥重量基準で、2%未満、1%未満、または0.5%未満、またはさらには0%のレバウジオシドBを含有することができる。甘味料組成物は、様々な実施形態において、グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびレバウジオシドBの総乾燥重量基準で、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下または5重量%以下のレバウジオシドBを含有することができる。例えば、甘味料組成物は、グリコシル化ステビオール配糖体組成物およびレバウジオシドBの総重量基準で、1~10重量、2~8重量%、3~6重量%または約4重量%レバウジオシドBを含有することができる。
【0102】
有利に向上された甘味料組成物は、本発明の異なる様態にしたがって製造されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物を組み合わせて製造することもできる。
【0103】
例えば、出発ステビオール配糖体組成物、グルコース供与体およびシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼを7.5超過~10以下のpHを有する水性媒体中で接触させるが、グリコシル化の前または後の出発ステビオール配糖体組成物の塩基処理を行わずに製造されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物(「GSG組成物A型」)の官能性能は、このような組成物をa)出発ステビオール配糖体組成物を塩基性水性媒体または塩基性樹脂と接触させ、塩基-処理されたステビオール配糖体組成物を得る段階およびb)上記塩基-処理されたステビオール配糖体組成物、グルコース供与体およびシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼを水性媒体(任意の適切なpH、例えば、約5~約10を有する水性媒体;グリコシル化ステビオール組成物のより高収率は、弱塩基性pH、例えば、約8~約9のpHで得ることができる)中で接触させる段階によって製造されるグリコシル化ステビオール配糖体組成物(「GSG組成物B型」)と組み合わせて増強させることができる。このようなブレンドの利益は、消耗性製品中の比較的高濃度の甘味料組成物(例えば、少なくとも1000ppmの総グリコシル化ステビオール配糖体)において特に、明らかである。甘味料組成物中のGSG組成物B型の量は、GSG組成物A型とGSG組成物B型の総乾燥重量基準で、少なくとも5重量%および50重量%以下(または35重量%以下)であり得る。これに対応し、甘味料組成物中のGSG組成物A型の量は、GSG組成物A型とGSG組成物B型の総乾燥重量基準で、少なくとも50重量%および95重量%以下(または65重量%以下)であり得る。
【0104】
別の例において、出発ステビオール配糖体組成物、グルコース供与体およびシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼを7.5超過~10以下のpHを有する水性媒体中で接触させるが、グリコシル化の前または後の出発ステビオール配糖体組成物の塩基処理を行わずに製造されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物(「GSG組成物A型」)の官能性能は,このような組成物をグリコシル化ステビオール配糖体組成物および塩基性水性媒体または塩基性樹脂を接触させて製造されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物(「GSG組成物C型」)と組み合わせて増強させることができる。このようなブレンドの利益は、消耗性製品中の比較的高濃度の甘味料組成物(例えば、少なくとも1000ppmの総グリコシル化ステビオール配糖体)において特に、明らかである。甘味料組成物中のGSG組成物C型の量は、GSG組成物A型とGSG組成物C型の総乾燥重量基準で、少なくとも5重量%および50重量%以下であり得る。これに対応し、甘味料組成物中のGSG組成物A型の量は、GSG組成物A型とGSG組成物C型の総乾燥重量基準で、少なくとも50重量%および95重量%以下であり得る。
【0105】
本発明のさらなる実施形態によって、以下を含むか、以下から本質的になるか、以下からなる、甘味料組成物が提供される:
a)乾燥固体基準で、本発明の実施形態Cにしたがって製造された塩基-処理されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物約10~約25(または約15~約20)重量%[ここで、上記グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、(乾燥重量基準で)25~30%ステビオシド、55~65%レバウジオシドAおよび他のステビオール配糖体で構成され、総ステビオール配糖体含量が少なくとも95%に達する出発ステビオール配糖体組成物または(乾燥重量基準で)55~65%レバウジオシドA、20~30%ステビオシドおよび総3~8%のレバウジオシドCおよびズルコシドAで構成され、少なくとも90%の総ステビオール配糖体含量を有する出発ステビオール配糖体組成物のグリコシル化によって得られる];
b)乾燥固体基準で、本発明の実施形態Cにしたがって塩基-処理されていないグリコシル化ステビオール配糖体組成物約65~約90(または約70~約85)重量%[ここで、上記グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、(乾燥重量基準で)25~30%ステビオシド、55~65%レバウジオシドAおよび他のステビオール配糖体で構成され、総ステビオール配糖体含量が少なくとも95%に達する出発ステビオール配糖体組成物または(乾燥重量基準で)55~65%レバウジオシドA、20~30%ステビオシドおよび総3~8%レバウジオシドCとズルコシドAで構成され、少なくとも90%の総ステビオール配糖体含量を有する出発ステビオール配糖体組成物のグリコシル化によって得られる];および
c)乾燥固体基準で、残留グルコース供与体および/またはグルコース供与体から得られる炭水化物産物総0~約10(または0~約5)重量%。
【0106】
本発明の別の実施形態において、以下を含むか、以下から本質的になるか、以下からなる、甘味料組成物が提供される:
a)乾燥固体基準で、本発明の実施形態Aにしたがって製造されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物約10~約25(または約15~約20)重量%[ここで、上記グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、(乾燥重量基準で)25~30%ステビオシド、55~65%レバウジオシドAおよび他のステビオール配糖体で構成され、総ステビオール配糖体含量が少なくとも95%に達する出発ステビオール配糖体組成物または(乾燥重量基準で)55~65%レバウジオシドA、20~30%ステビオシドおよび総3~8%のレバウジオシドCとズルコシドAで構成され、少なくとも90%の総ステビオール配糖体含量を有する出発ステビオールの配糖体組成物を塩基-処理し、塩基-処理された出発ステビオール配糖体組成物を得て、次いでこれをグリコシル化することによって得られる];
b)乾燥固体基準で、(乾燥重量基準で)25~30%ステビオシド、55~65%レバウジオシドAおよび他のステビオール配糖体で構成され、総ステビオール配糖体含量が少なくとも95%に達する出発ステビオール配糖体組成物または(乾燥重量基準で)55~65%レバウジオシドA、20~30%ステビオシドおよび総3~8%のレバウジオシドCとズルコシドAで構成され、少なくとも90%の総ステビオール配糖体含量を有する出発ステビオール配糖体組成物のグリコシル化によって得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物約65~約90(または約70~約85)重量%[ここで、上記出発ステビオール配糖体組成物は、グリコシル化の前に塩基-処理されていない];および
c)乾燥固体基準で、残留グルコース供与体および/またはグルコース供与体から得られる炭水化物産物総0~約10(または0~約5)重量%。
【0107】
本発明の一様態は、一般に少なくとも1つの追加的な食品成分と組み合わせる、本発明にしたがって製造されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物またはこのようなグリコシル化ステビオール配糖体組成物の組み合わせを含む食品を提供する。場合によって、特に、レバウジオシドBを含む1種以上の個々のステビオール配糖体をこのようなグリコシル化ステビオール配糖体組成物(ら)と組み合わせて使用することができる。例えば、食品は、このようなグリコシル化ステビオール配糖体組成物以外にも、レバウジオシドBとグリコシル化ステビオール配糖体組成物の総乾燥重量基準で、1~10重量%、2~8重量%、3~6重量%または約4重量%のレバウジオシドBを含むことができる。食品中のグリコシル化ステビオール配糖体組成物の量は、例えば、甘味の増加および/または香味の向上などの特定の所望の結果を達成するために必要に応じて変更することができる。例えば、食品は、グリコシル化ステビオール配糖体組成物を甘味量以下の量(subsweetening amount)または甘味量で含むことができる。食品中のグリコシル化ステビオール配糖体組成物の濃度は、乾燥重量基準で、5~2000ppmであり得る。他の実施形態において、食品は、食品に少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10、あるいは少なくとも11、しかし一般に20または15以下のSEVを付与するのに効果的な量のグリコシル化ステビオール配糖体組成物を含有し、ここで、上記食品は、SEVにも寄与する1種以上の他の甘味料をさらに含むことができる。グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、1種以上の他の甘味料も含有する食品に、食品のSEVを少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10または少なくとも11に増加させるのに効果的な量で添加され、これによって所定の所望の甘味を有する食品を提供することができる。したがって、食品は、本発明の様々な実施形態において、1~20、5~15または7~13のSEVを有することができる。
【0108】
食品の非限定的例には、菓子製品(ゼリーキャンディー、ハードキャンディーおよびガムを含むが、これらに限定されない)、ヨーグルト(全脂肪、低脂肪および低脂肪乳製品ヨーグルトのみならず、非乳製品ヨーグルトおよび乳糖不含ヨーグルト、ならびにこれらのすべての冷凍等価物を含むが、これらに限定されない)などのデザート製品、冷凍デザート(アイスクリーム-通常のアイスクリーム、ソフトサーブアイスクリームおよび他の種類のアイスクリームを含む-などの冷凍乳製品デザート、および非乳製品デザートを含むが、これらに限定されない)、スイートベーカリー製品(ビスケット、ケーキ、ロール、パイ、ペストリー、クッキーを含むが、これらに限定されない)スイートベーカリー製品を製造するために予め作られたスイートベーカリーミックス、パイ詰め物(果実パイ詰め物、およびピーカンパイ詰め物のようなナッツパイ詰め物を含むが、これらに限定されない)加糖朝食用シリアルのようなシリアル製品(押出成形された朝食用シリアル、フレーク状朝食用シリアルおよび膨化朝食用シリアルを含むが、これらに限定されない)、シリアルコーティング組成物、パン製品(発酵および非発酵パン、酵母パンおよびソーダパン(soda bread)のような無酵母パン、任意の小麦粉類型を含むパン、任意の非-小麦粉を含むパン(例えば、ジャガイモ、米およびライ麦の粉など)、グルテンフリーのパンを含むが、これらに限定されない)、製パンするために予め作られたパンミックス、凍結乳製品、肉類、乳製品、調味料(condiment)、スナックバー(シリアル、ナッツ、種子および/またはフルーツバーを含むが、これらに限定されない)、スープ、ドレッシング、ミックス、調理済み食品、ベビーフード、ダイエット調製物、シロップ、食品コーティング、ドライフルーツ、ソース、グレービー、スプレッド(ジャム/ゼリー、バターおよび他のスプレッド型保存食品、コンサーヴ)のようなものを含むが、これらに限定されない)が含まれる。本明細書で言及されていないが、通常1種以上の栄養甘味料を含む他の種類の食品、特に、還元糖または低糖製品も本発明の範囲であると考えられる。食品は、ペットフードのような動物飼料製品であってもよい。本発明の食品は、食品の表面に形成されるコーティングまたは糖衣として甘味料組成物を含むことができる。このようなコーティングは、食品の香味を向上させるのみならず、食品の貯蔵寿命も向上させる。
【0109】
本発明のグリコシル化ステビオール配糖体組成物はまた、医療用食品(単独の通常の食餌療法のみでは充足されない特有の栄養要求を有する疾患の食事管理用として特別に処方され、意図された食品)においても有用である。
【0110】
本発明の別の様態は、任意にレバウジオシドBなどの1種類以上の個々のステビオール配糖体に改質された、本発明によるグリコシル化ステビオール配糖体組成物または本発明によるグリコシル化ステビオール配糖体組成物の組み合わせを含む飲料製品を提供する。例えば、飲料製品は、このようなグリコシル化ステビオール配糖体組成物以外にも、レバウジオシドBとグリコシル化ステビオール配糖体組成物の総乾燥重量基準で、1~10重量%、2~8重量%、3~6重量%または約4重量%レバウジオシドBを含むことができる。飲料製品中のグリコシル化ステビオール配糖体組成物の量は、例えば、甘味の増加および/または香味の向上などの特定の所望の結果を達成するために必要に応じて変更することができる。例えば、飲料製品は、グリコシル化ステビオール配糖体組成物を甘味量以下の量または甘味量で含むことができる。飲料製品中のグリコシル化ステビオール配糖体組成物の濃度は(乾燥固体基準で)、5~2000ppmであり得る。一実施形態において、飲料製品は、800~1800ppm(乾燥)グリコシル化ステビオール配糖体組成物で構成される。他の実施形態において、飲料製品は、飲料製品に少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10、あるいは少なくとも11、しかし典型的に20または15以下のSEVを付与するのに効果的な量のグリコシル化ステビオール配糖体組成物を含有し、ここで上記飲料製品は、SEVにも寄与する1種以上の他の甘味料をさらに含有することができる。グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、1種以上の他の甘味料も含有する飲料製品に、飲料製品のSEVを少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10または少なくとも11に増加させるのに効果的な量で添加され、これによって所定の所望の甘味を有する飲料製品を提供することができる。例えば、非-ダイエット清涼飲料は、典型的に水100mL当たり、スクロース12グラム、すなわち、12%スクロースを含有する。したがって、同等の甘味ダイエット清涼飲料は、(存在し得る1種以上の他の甘味料とともに)12のSEVを達成するのに充分な量のグリコシル化ステビオール配糖体組成物を用いて調製することができる。したがって、飲料製品は、本発明の様々な実施形態において、1~20、5~15または7~13のSEVを有することができる。
【0111】
飲料製品の非限定的な例には、炭酸飲料(炭酸清涼飲料を含むが、これに限定されない)、非炭酸飲料(香味添加ミネラルウォーター(flavored water)および甘茶(sweet tea)またはコーヒー飲料などの非-炭酸清涼飲料を含むが、これに限定されない)、フルーツ味飲料、フルーツジュース、茶、牛乳、コーヒー、特に、還元糖または低糖製品が含まれる。冷凍飲料製品(時にはスラッシーとして知られている)も明示的に考慮される。本明細書で言及されていないが、通常1種以上の栄養甘味料を含有する他の種類の飲料製品、特に、還元糖または低糖製品も本発明の範囲であると考えられる。
【0112】
本発明のさらなる様態は、本発明による少なくとも1つのグリコシル化ステビオール配糖体組成物を含む食卓用甘味料を提供する。本発明の食卓用甘味料は、バルク剤(bulking agent)(マルトデキストリン、ポリデキストロース、キサンタンガムまたはグアーガムなどのガム、可溶性トウモロコシ繊維素(SCF)、澱粉およびポリオールなど)、天然および/または人工香味、香味増強剤、天然および/または人工色素、繊維素、酸味料、ビタミン、抗酸化剤、保存剤、澱粉加水分解物などからなる群より選択される1つ以上のさらなる成分を任意に含むことができる。一実施形態において、食卓用甘味剤は、本発明による少なくとも1つのグリコシル化ステビオール組成物と、レバウジオシドBなどの少なくとも1つの個々のステビオール配糖体両方とも含まれる。
【0113】
一実施形態によれば、食卓用の甘味料は乾燥型食卓用甘味料である。例えば、上記甘味料は、錠剤、顆粒または粉末の形態を取ることができる。液体の食卓用甘味料も考えられ、典型的に構成成分の水溶液形態を取る。
【0114】
一実施形態によれば、食卓用甘味料は、1種以上の栄養甘味料をさらに含むことができる。栄養甘味料は、スクロース、グルコース、グルコースシロップ、イソグルコース、フルクトース、グルコースフルクトースシロップ、マルトース、ラクトース、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、転化糖、糖蜜、蜂蜜およびリュウゼツランからなる群より選択することができる。好ましい一実施形態において、栄養甘味料は、スクロースである。食卓用製品が栄養甘味料を含む場合、上記栄養甘味料は、食卓用甘味料の総重量基準で、最大約30重量%の量で存在することができる。例えば、栄養甘味料は、食卓用甘味料の総重量基準で、約26重量%の量で存在することができる。一実施形態によって、食卓用甘味料は、高強度甘味料および糖アルコールからなる群より選択される1種以上の補助甘味料をさらに含むことができる。種々の合成高強度甘味料が1種以上の補助甘味料として使用することもできる。具体的な例には、スクラロース、アスパルタームおよびアセスルファムカリウム(Ace K)が含まれる。種々の糖アルコールが本発明の1種以上の補助甘味料として使用することもできる。具体的な例には、マルチトール、キシリトールおよびエリトリトールが含まれる。
【0115】
本発明による食卓用甘味料は、典型的に飲料、特に、茶およびコーヒーなどの温かい飲料を甘くするために使用することができる。
【0116】
本発明の別の様態は、本発明によるグリコシル化ステビオール配糖体組成物を含むバルク剤を提供する。
【0117】
本発明のさらなる様態は、本発明によるグリコシル化ステビオール配糖体組成物を含むコーティング剤を提供する。
【0118】
本発明の別の様態は、本発明によるグリコシル化ステビオール配糖体組成物および活性成分または賦形剤などの少なくとも1つの他の医薬成分を含む医薬品を提供する。例示的な医薬品には、咳止めシロップ、チュアブル錠剤、ロゼンジ剤、ビタミン剤などが含まれる。
【0119】
本発明の別の様態は、本発明によるグリコシル化ステビオール配糖体組成物を含む栄養製品またはスポーツ栄養食(sports product)を提供する。
【0120】
本発明の別の様態は、本発明によるグリコシル化ステビオール配糖体組成物および少なくとも1つの化粧品成分を含む化粧品(パーソナルケア)を提供する。例示的な化粧品には、歯磨剤、口腔清潔剤などが含まれる。
【0121】
食品、飲料製品、医薬品、栄養製品、スポーツ栄養食または化粧品に存在する本発明にしたがって得られるグリコシル化ステビオール配糖体組成物の量がグリコシル化ステビオール配糖体組成物の甘味、味、香味および他の官能属性および製品に存在する他の甘味料(ら)および/または香味改質剤(ら)の種類(ら)と量(ら)および製品の所望の甘味または他の香味特性のみならず、製品の所望のカロリー含量などの他の要因に依存するということが理解されるであろう。グリコシル化ステビオール配糖体組成物は、その甘味検出限界(グリコシル化ステビオール配糖体が任意の他の甘味料の不在下で製品に認知可能な甘味を付与する最小限の濃度)未満の製品中の濃度で香味増強剤として使用することができ、その甘味検出限界以上の製品中の濃度で甘味料として使用することができる。
【0122】
本発明の代替的様態は、バルク剤としてまたはコーティング剤として、食品、飲料製品、医薬品、栄養製品、スポーツ栄養食または化粧品における本発明の甘味料組成物の用途を提供する。
【0123】
本発明にしたがって製造されるグリコシル化ステビオール配糖体組成物は、任意の摂取可能な形態、例えば、シロップ、粉末形態、錠剤形態、顆粒、溶液としてまたは飲料製品および食品を含む任意の他の適切な形態で調剤することができる。
【実施例0124】
実施例1
【0125】
本実施例においては、ステビオール配糖体の高純度の組み合わせ(主成分としてレバウジオシドAを含む)を出発材料として使用し、最初にグリコシル化した。次いで、生成されたグリコシル化ステビオール配糖体組成物を塩基で処理した。
材料
【0126】
1) マルトデキストリン(デキストロース当量=1)。
2) シクロデキストリングルコトランスフェラーゼ(CGTアーゼ)。
3) マルトジェニックアミラーゼ
4) GLG Life Tech Corporationから供給されるSG95ステビオール配糖体混合物(ステビア葉から発見される9種の甘味ステビオール配糖体の高純度組み合わせとして、Reb Aが混合物の約60重量%を占め、ステビオシドが混合物の約30重量%を占める)。
5) 顆粒状活性炭、再生。
6) 重量基準で60:40の強塩基陰イオン性樹脂対強酸陽イオン性樹脂の比率で混合した、強塩基陰イオン性樹脂と強酸陽イオン性樹脂。
7) マクロポーラス吸着樹脂(巨大網状構造と高い表面積を有するビーズ状の非イオン性脂肪族アクリル系重合体)。
反応
【0127】
手順は、500mL発効槽で行った。各反応の3つのサンプル(表1参照)を以下の手順を用いて同時に製造した:
1) 20gのSG95ステビオール配糖体を1000mLビーカー内の340mLの温水に懸濁させる。
2) 40gのマルトデキストリン(DE=1)を上記懸濁液に添加し、ブレンディングして材料を浸水させる。
3) 水酸化ナトリウムを用いてpHを8.2に調整する。
4) 2mLのCGTアーゼ酵素を上記溶液に添加する。
5) 200rpmで攪拌しながら、50℃で24時間インキュベートする。
6) フラスコに移し、反応混合物を沸騰水(約95℃)中で30分間加熱してCGTアーゼ酵素を変性させた後、室温まで放冷させた。
7) 混合物を再び発酵槽のビーカーに戻し、フラスコをDI水(DI water)で洗浄し、材料がフラスコからビーカーに完全な移動を確実にし、混合物の総容積が約500mlになるようにする。
8) 上記溶液に5mL(1%)のマルトジェニックアミラーゼを添加する。
9) 150rpmで攪拌しながら、30℃で24時間インキュベートする。
10) 反応混合物を沸騰水(約95℃)中で30分間加熱し、マルトジェニックアミラーゼを変性させた後、室温まで放冷させた。
11) ブフナー漏斗で溶液を濾過し、未反応の固体/デキストリンを除去する。
12) 活性炭をDI水で洗浄し、微粒子を除去する。パック1#15×300mmジャケット型カラムに顆粒状の活性炭を充填する。炭素カラムを50℃に予熱し、引き続き1.5LのDI水で洗浄して微粒子を除去する。
13) 29.95gの強塩基陰イオン性樹脂と20.00gの強酸陽イオン性樹脂をDI水で洗浄し、混合床樹脂を製造する。パック1#15×300mmジャケット型カラムに混合床樹脂を充填する。カラムを25℃に予熱し、引き続き1.5LのDI水で洗浄する。
14) 反応溶液を1.5mL/分の流速で炭素カラムおよび混合床樹脂カラムを通過する。カラムを水で洗浄する。
15) マクロポーラス吸着カラムを1500gの脱気したDI水で洗浄する。
16) 反応溶液をマクロポーラス吸着カラムを介して濾過する。
17) マクロポーラス吸着カラムを1500gの脱気したDI水で洗浄する。
18) マクロポーラス吸着カラムを1500gの50%エタノール溶液(758.68g脱気されたDI水と750.63gの190プルーフエタノール)で洗浄する。
19) エタノール洗浄された溶液を収集し、上記溶液からエタノールを蒸発させる。
20) 溶液(740.11g)を2Lガラスビーカーに移す。pH(4.24)を測定し、水酸化ナトリウムを用いて10.03の最終pHに調整する。溶液を50℃に加熱し、350rpmで24時間攪拌する。
21) 溶液を冷却させ、7%w/w塩酸を用いてpHを8.20~5.00に調整する。
22) 溶液を凍結乾燥機に位置させる。
23) 乾燥した物質(総24.17g)を収集し、分析検査のために提出する。
【表1】
結果
【0128】
このようなサンプルに対して使用された主要な分析技術は、LC-MSであった。質量分析器(MS)は、クロマトグラフィー(LC)からのピークの分子量(電荷で割ったものであって、これは一般に1であった)を報告する。ステビオール配糖体は、以下の表に示す分子量を有すると予想される。ステビオールコアに添加される最も一般的な糖残基は、グルコース、ラムノース、キシロース、6-デオキシグルコースおよびフルクトースである。質量観点から、グルコース=フルクトースであり、ラムノース=6-デオキシグルコースである。質量分析法の別の現象は、イオン化中に付加物が形成され得るということである。これらの反応産物は、予想質量対電荷比に対して質量を付加する。本実験の場合、図2に示すm/z687は、ルブソシドとギ酸付加物に対応する。このようなm/zピークは、ルブソシドを含有するステビオール配糖体標準においても見られる。図2は、大部分の反応産物がモノ-グリコシル化、ジ-グリコシル化およびトリ-グリコシル化ステビオール配糖体に対応し、965および803で最も高いピークは、各々レバウジオシドAおよびステビオシドであることを示す。
【表2】
【0129】
上記表2に見られるように、ステビオシドは、803のm/zを有し、レバウジオシドAは、965のm/zを有する。図2および図3において、これらは9~12分の保持時間で溶出する大きなピークに対応する。
【表3】
論議
【0130】
レバウジオシドBおよびステビオールビオシドが出発材料の塩基処理の主要産物であるため、本手順で予想される主要産物は、グリコシル化レバウジオシドBおよびグリコシル化ステビオールビオシドであった。これらの産物は、10分後にLC-MSで現れると予想できた。一般に、より高度のグリコシル化は、より低い保持時間と相関があるため、7分前に大きなピークを有する産物は、より大きいグリコシドを有するステビオール配糖体を相当量を含むと予想できた。このような産物の一部が生成されているが、これらは、より多くの典型的に製造されたサンプルよりも優勢ではないと見られる(図4)。図3図4と比較すると、上記図間の最も顕著な違いは、約7.5分で1127m/zピークおよび1451m/zピークの抑制である。このようなピークは、ジ-グリコシル化およびトリ-グリコシル化レバウジオシドAおよびトリ-グリコシル化ステビオシドに対応する可能性がある。両方の手順とも、商業的グリコシル化ステビオール配糖体産物と比較して、高度のグリコシル化を有する成分をより低い存在量で生産するものと見られる(図5)。

実施例2
【0131】
本実施例は、グリコシル化ステビオール配糖体組成物を製造するためのステビオール配糖体組成物の初期塩基処理後グリコシル転移を立証する。

塩基処理
【0132】
1) 39.99gのステビオール配糖体混合物(SG95,GLG Life Tech Corporation)を360.00gの1.25N水酸化ナトリウム溶液に溶解させた。生成された混合物のpHは、13.6であった。
2) 上記混合物を50℃に加熱し、360rpmで24時間攪拌した。
3) 次いで、混合物を氷浴で冷却させた。
4) 一旦、冷却させた後、次いで7%w/w塩酸を用いて混合物をpH5(初期pH13.60、最終pH4.99)となるようにした。
5) 生成された物質を3回遠心分離し(50mLチューブ中で25℃で4500rpmで30分間)、乾燥させた。沈殿物をステビオール配糖体の含量に対して分析し、グリコシル転移段階で使用した。

グリコシル転移
【0133】
1) 20gの塩基-処理されたSG95ステビオール配糖体混合物を1000mLビーカー中の340mLの温水に懸託させた。
2) 40gのマルトデキストリン(DE=1)を上記懸濁液に添加し、ブレンディングして材料を浸水させた。
3) pHを8.2に調整し、混合物を50℃に保持させた。
4) 2mLのCGTアーゼ酵素を上記溶液に添加した。
5) 混合物を200rpmで攪拌しながら、50℃で24時間インキュベートした。
6) 次いで、反応混合物をフラスコに移し、ほぼ沸騰水(約95℃)中で30分間加熱し;次いで、サンプルを室温まで放冷させた。
7) 混合物を再び発酵槽に戻し、フラスコをDI水で洗浄して材料がフラスコからビーカーに完全な移動を確実にした。混合物の総容積は、約500mlであった。
8) 上記溶液に5mL(1%)のマルトジェニックアミラーゼを添加した。
9) 混合物を150rpmで攪拌しながら、30℃で24時間インキュベートした。
10) 次いで、反応混合物をフラスコに移し、ほぼ沸騰水(約95℃)中で30分間加熱し、次いで、サンプルを室温まで放冷させた。
11) 次いで、混合物を濾紙を通して濾過し、不良に分散したデキストリンを除去した。
12) 次いで、顆粒状の活性炭をDI水で洗浄し、15×300mmジャケット型カラム内に充填した。次いで、炭素カラムを50℃に予熱し、1.5LのDI水で洗浄して微粒子を除去した。
13) 次いで、段階11の濾液を1.5mL/分の流速で炭素カラムを通過させた。その後、上記カラムを水で洗浄した。
14) 24.13gの強塩基陰イオン性樹脂を16.10gの強酸陽イオン性樹脂とともにDI水で洗浄し、15×300mmジャケット型カラム内に充填した。次いで、混合床カラムを25℃に加熱し、1.5LのDI水で洗浄した。
15) 次いで、段階13の濾液を1.5mL/分の流速で混合床カラムを通過させた。その後、カラムを水で洗浄した。
16) マクロポーラス吸着カラムを1500gの脱気したDI水で洗浄した。
17) 次いで、段階15の濾液をマクロポーラス吸着カラムを通過させた後、1500gの脱気したDI水で洗浄した。
18) 次いで、マクロポーラス吸着カラムを1500gの50%エタノール溶液(760.69gの脱気したDI水と729.07gの190プルーフエタノール)で洗浄した。
19) エタノール分画を収集し、回転蒸発(rotovap)および凍結乾燥機を介して乾燥させた。
20) 次いで、乾燥した物質(20.07g)を重金属、残留溶媒および配糖体分析のための分析検査に提出した。

結果
【0134】
酵素処理前の塩基-処理されたSG95ステビオール配糖体混合物のLC-MS分析は、レバウジオシドBおよびステビオールビオシドに対応するピークを示す(図6)。
【0135】
酵素-処理された物質のLC-MSクロマトグラムは、図7に示す。すべての割り当てられた質量は、ステビオールコアに対する糖(グルコース)添加に対応する。
【0136】
ステビオール配糖体は、以下の表4に示す分子量を有すると予想される(「X glc」という表示は、ステビオールコアに添加されたグルコース単位の数を意味する):
【表4】
【0137】
17分後に溶出する大きな641ピークおよび803ピークは、レバウジオシドBおよびステビオールビオシドである。787および773のm/zを有する上記ピーク後のピークは、ズルコシドBおよび脱グリコシル化レバウジオシドFに対応する:これらは、レバウジオシドCおよびレバウジオシドF塩基処理の予想産物であろう。このような産物に対するラムノースとキシロースの残基は、それらのグリコシル化を抑制する可能性がある。
【0138】
SG95ステビオール配糖体混合物の塩基処理は、予想通りステビオールビオシドおよびレバウジオシドBを生成するものと見られる。上昇した(塩基性)pHと2:1グルコース供与体対ステビオール配糖体の比率(w/w)を用いるグリコシル化条件下で、大部分のレバウジオシドB(および可能にはステビオールビオシドも同様に)は、未反応の状態で残っているものと予測された。図7の6分~11分の小さなピークは、グリコシル化を弱酸性pHおよび1:1(w/w)グルコース供与体:ステビオール配糖体の比率で行ったレバウジオシドBで得られた以前の結果と比較すると、多少予想外であった(図8)。例えば、図7のクロマトグラムは、803のm/zを有する4つのピークを示す:これらは、ステビオシド、モノ-グリコシル化ステビオールビオシドおよびレバウジオシドBである場合にのみ可能である。これは、ステビオールビオシドが多数の位置でグリコシル化され得るか、フラグメンテーションピークがクロマトグラムで記録されていることを暗示する。しかしながら、図8と比較して図7の相対的複雑性は、ステビオールビオシドグリコシル化がレバウジオシドBと比較して複雑であることを強く暗示する。
【0139】
ステビオールビオシドとレバウジオシドB間の構造的違いは、レバウジオシドBは、1-2、1-3結合されたグルコース部分を有する一方で、ステビオールビオシドは、1-2結合された部分のみを有するということである。立体障害の減少によって、ステビオールビオシドの2つのグルコース残基がともにグリコシル化され得ることが可能な反面、レバウジオシドBに対してはこのような可能性が強く阻害される。

実施例3
【0140】
種々のステビオール配糖体組成物およびグリコシル化ステビオール配糖体組成物の味覚性能を評価した。評価された組成物は、以下のように説明される:
Reb A=レバウジオシドA、97%純度。
Reb A G=グリコシル化レバウジオシドA(pH5.5~6.0でグリコシル化、デキストリン:ステビオール配糖体重量比=1:1)。
Reb B G=グリコシル化レバウジオシドB(pH5.5~6.0でグリコシル化、デキストリン:ステビオール配糖体重量比=1:1)。
SG95 B-G=グリコシル化SG95ステビオール配糖体混合物(供給源:GLG Life Tech Corporation、約60重量%レバウジオシドAおよび約30重量%ステビオシドを含む)、グリコシル化の前に塩基-処理される(pH約8.5でグリコシル化、デキストリン:ステビオール配糖体重量比=2:1)。
SG95 G-B=グリコシル化SG95ステビオール配糖体混合物(供給源:GLG Life Tech Corporation、約60重量%レバウジオシドAおよび約30重量%ステビオシドを含む)、グリコシル化の後に塩基-処理される(pH約8.5でグリコシル化、デキストリン:ステビオール配糖体重量比=2:1)。
ステビオシドG=グリコシル化ステビオシド(pH5.5~6.0でグリコシル化、デキストリン:ステビオール配糖体重量比=1:1)。
Steviten=Daepyung Co., Ltd.によって商標名「Steviten」で市販されている商業的グリコシル化ステビオール配糖体製品。
【0141】
出発ステビオール配糖体組成物およびデキストリンを50℃で24時間CGTアーゼと接触させ、Reb A G、Reb B G、SG95 B-G、SG95 G-BおよびステビオシドG組成物を製造した。加熱殺菌(酵素不活性化)段階の後、得られた各組成物を30℃で24時間アミラーゼで処理し、鎖-短縮した。第2酵素死滅段階の後に、組成物をイオン交換樹脂、炭素濾過および吸着樹脂によって精製した。次いで、すべての組成物を凍結乾燥を用いて乾燥させた。
【0142】
各ステビア産物を1日の検査中に2つのレベルで検査し、検査は、500ppmおよび1000ppm両方の利用率で実施した。知られているキャリーオーバー効果(carryover effect)によって、産物を上昇的濃度で提供し、両データポイントともに明瞭な読み取りを可能にした。溶液を室温で3-桁の符号が付着された2オンスのスフレカップに提供した。パネリストは、検査前および検査中にこれらの味覚を清潔にするためにRO水(RO water)および無塩クラッカーを用いることができる。各々の毎日の研究は、30名人を対象としたが、時には。排除条件(すなわち、研究を開始したが、過程中に脱落した授乳婦、妊婦、投薬中など)によって28名程度と少ないパネリストが検査された。
【0143】
研究は、中性pH水中のスクロース溶液の基準の固定されたスケール(anchored scale)を用いる等級化研究として設計した。本研究において、パネリストにSEV当量が標識および識別された一連の基準サンプルを提供した。範囲は、検査サンプルの予想甘味を超過しており、パネリストは、検査サンプルの予想甘味を超過する甘味を15-pt最大値を用いて等級化した。
【0144】
検査溶液の予備選別は、ほとんどの個体がこれらの溶液を10SEV以下と認知し得ることを示唆した。検査前にすべての個体の敏感性を効果的に予測することはできないため、より広範囲な基準が用いられた。具体的には、SEV基準は、以下の通りであった(表5):
【表5】
【0145】
パネリストにまず、各基準溶液の強度およびそれに対応するSEVに慣れるように要請した。その後、パネリストは、30秒間待ち、水とクラッカーで味覚を清潔にした.次いで、パネリストに検査サンプル(ランダムに3-桁の符号で識別される)を試食するように要請した。次いで、パネリストに線スケール(line scale)で上述した基準と比較し、それらの検査サンプルの甘味と一致するマーカーをドラッグ(drag)するように指示し、スケールは、0~15の範囲であった。線スケールの右側にあるボックスは、パネリストが等級化している甘味当量に関して混同しないように保障するため、パネリストにドラッグする値を見せた。一旦、これが完了すると、図9に示すフォーマットを使用し、検査サンプルの選好度、検査サンプルと糖味の類似性、任意の異臭の強度および任意の異臭の実体に関する質問をした。
【0146】
選好度スケールのために使用された値は、1~7範囲の標準7-pt嗜好スケールであり、類似性スケールは、1~5範囲の標準5-pt強度スケールであり、異臭スケールは、0~5範囲のゼロ-pt固定された6-pt強度スケールであった。パネリストが潜在的なオフ-ノート(off note)にこれらが望む任意の名称でも付けることができるように異臭に対する記述に制限をしなかった。
【0147】
得られた味覚性能データは、以下の表(表6)に要約する。SEVは、スクロース当量値(%スクロース溶液)である。「スクロース当量値」または「SEV」という語句は、同一の食品、飲料または溶液中の所定のスクロース百分率の甘味を提供するために必要な非-スクロース甘味料の量である。逆転%は、500ppmのサンプルを1000ppmサンプルよりも甘いと評価したパネリストの百分率である。これは、強度曲線の平坦領域(plateau)付近にあることを示し、高濃度で甘味をマスキングする苦味または他の不愉快な味を示す。高いSEVと高い選好度値とともに、低い値の逆転%が最適である。糖点数との低い差、低いSEV標準偏差および低い異臭点数がまた好ましい。
【表6】
【0148】
味覚データは、すべてのグリコシル化されたサンプルがSEV以外のすべての尺度においてレバウジオシドAより優れていることを示す。1000ppmにおいて、いくつかのサンプルは、等級化でより小さい標準偏差を有しながら、甘味に対してレバウジオシドAと同等であると見なされ得る。これは、一般消費者集団が食品および飲料などの消耗性製品中の成分としてレバウジオシドAと比較してこれらの産物とのより一貫した経験を有し、これによってこのような産物を製造する利点を提供することを暗示する。検査された組成物中において、SG95G-Bは、500ppmで特に、効能がある。したがって、上記組成物が検査された組成物中で最も低い甘味閾値を有することは当然である。この属性は、そのような組成物を低いレベルで香味増強剤として使用するときに有益であろう。上記組成物の効能の利点は、Stevitenと比較するときに最も明らかである。SG95G-Bに見られるように、グリコシル化されたSG95型産物が主にレバウジオシドA、ステビオシドおよびこれらのグリコシル化された産物で構成されているため、その味覚性能がグリコシル化レバウジオシドAの味覚性能とグリコシル化ステビオシドの味覚性能の間にあり得ることは当然である。しかしながら、驚くべきことにSG95G-Bは、上述した産物のいずれよりも甘いことが明らかになった。同様に、SG95B-Gは、主にレバウジオシドB、ステビオールビオシドおよびグリコシル化された産物で構成されている。ステビオールビオシドは、レバウジオシドA、レバウジオシドBまたはステビオシドと比較して甘味がなく、味の質が悪いと報告されていることを考慮すると、上記産物(SG95B-G)がグリコシル化レバウジオシドBと非常に類似に作用するということは驚くべきことであった。

実施例4
【0149】
本実施例においては、以下のグリコシル化ステビオール配糖体サンプルを検査した:
SG95G=グリコシル化SG95ステビオール配糖体混合物(供給元:Sweet Green Fields Corporation、約60重量%レバウジオシドAおよび約25重量%ステビオシドを含む)、pH約8.5でグリコシル化、デキストリン:ステビオール配糖重量比=2:1。
4%Reb Bを有するSG95G=4%レバウジオシドBを有する上記のような96%SG95G(乾燥ブレンディングされる)。
15%SG95B-Gを有するSG95G=15%SG95B-Gを有する85%SG95G(実施例3で説明した通り)。
【0150】
20%G-Bを有するSG95G=グリコシル化SG95ステビオール配糖体混合物(供給元:Sweet Green Fields Corporation、約60重量%レバウジオシドAおよび約25重量%ステビオシドを含む)、pH約8.5でグリコシル化、デキストリン:ステビオール配糖体重量比=2:1、ここで材料の20%は、グリコシル化後に塩基処理する。
【0151】
出発ステビオール配糖体組成物とデキストリンを50℃で最大24時間CGTアーゼと接触させ、SG95Gサンプルを製造した。次いで、上記産物を30℃で24時間アミラーゼを用いて鎖-短縮させた。酵素死滅段階(95℃で30分間加熱)後、産物をイオン交換樹脂、炭素濾過および吸着樹脂によって精製した。次いで、サンプルを噴霧乾燥した。
【0152】
出発ステビオール配糖体組成物およびデキストリンを80℃で最大18時間CGTアーゼと接触させ、20%G-Bを有するSG95Gサンプルを製造した。次いで、上記産物を50℃で2時間アミラーゼを用いて鎖-短縮させた。酵素死滅段階(95℃で30分間加熱)後、残留炭水化物を除去した。次いで、溶液の20%を80℃で塩基処理した。中和後、物質を元の溶液と再結合させ、イオン交換樹脂および炭素濾過で処理した。次いで、サンプルを凍結乾燥を用いて乾燥させた。
【0153】
サンプルを、1500ppmを含む追加濃度を評価し、実施例3に記載されているように検査した。得られた結果は、表7に要約する。
【表7】
【0154】
表7で見られるように、SG95Gは(極めて甘いながら)、本実験で検査された他の産物より異臭が高く、選好度点数が低い。4%のレバウジオシドBは、SG95Gの選好度および異臭点数を向上させることが明らかになった。塩基処理されたグリコシル化ステビア(グリコシル化の前または後に塩基処理される)を含むことによって、異臭の減少および/または選好度の増大によって甘味料の味覚性能をさらに向上させることが明らかになった。さらに、SG95Gの1500ppm溶液と比較し、苦い異臭の減少によってより高い甘味レベルが得られる可能性が大きい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステビオール配糖体及びグリコシル化ステビオール配糖体を含有する組成物であって:
前記組成物は、前記組成物の乾燥重量基準で、ステビオール配糖体及びグリコシル化ステビオール配糖体を、合計で85%以上含有し;かつ
グリコシル化レバウジオシドB、グリコシル化ステビオールビオシド、ステビオールビオシド及びレバウジオシドBがそれぞれ存在し、前記組成物の乾燥重量基準で、それらが纏めて5~50%を占める;
組成物。
【請求項2】
グリコシル化レバウジオシドB、グリコシル化ステビオールビオシド、ステビオールビオシド及びレバウジオシドBが、前記組成物の乾燥重量基準で、纏めて10~25%を占める、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
グリコシル化レバウジオシドB及びグリコシル化ステビオールビオシドが、前記組成物の乾燥重量基準で、纏めて5~15%を占める、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ステビオール配糖体及びグリコシル化ステビオール配糖体の合計の量が、前記組成物の乾燥重量基準で、90%以上を占める、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
ステビオール配糖体及びグリコシル化ステビオール配糖体の合計の量が、前記組成物の乾燥重量基準で、95%以上を占める、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、前記組成物の乾燥重量基準で、15重量%~40重量%の非グリコシル化ステビオール配糖体及び60重量%~85重量%のグリコシル化ステビオール配糖体を含み、ここで非グリコシル化ステビオール配糖体及びグリコシル化ステビオール配糖体の合計の重量が、前記組成物の合計重量の乾燥重量基準で90%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、前記組成物の乾燥重量基準で、20重量%~35重量%の非グリコシル化ステビオール配糖体及び65重量%~80重量%のグリコシル化ステビオール配糖体を含み、ここで非グリコシル化ステビオール配糖体及びグリコシル化ステビオール配糖体の合計の重量が、前記組成物の合計重量の乾燥重量基準で95%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
以下:
i)請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物、及び
ii)1つ以上の追加の食品、飲料製品、化粧品または医薬品成分、
を含む、食品、飲料製品、化粧品または医薬品。
【請求項9】
以下:
i)請求項1に記載の組成物、及び
ii)1つ以上の追加の食品、飲料製品、化粧品または医薬品成分、
を組み合わせる工程を含む、食品、飲料製品、化粧品または医薬品を製造する方法。
【請求項10】
前記1つ以上の追加の食品、飲料製品、化粧品または医薬品成分が、請求項1に記載の組成物に加えて、レバウジオシドB及び請求項1に記載の組成物の合計の乾燥重量基準で、2~8重量%のレバウジオシドBを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
以下:
a)請求項1に記載の組成物、及び
b)レバウジオシドB、
を組み合わせることにより調製される甘味料組成物であって、前記甘味料組成物が、a)及びb)の合計の乾燥重量基準で2~8重量%のレバウジオシドBを含む、甘味料組成物。
【請求項12】
前記甘味料組成物が、a)及びb)の合計の乾燥重量基準で3~6重量%のレバウジオシドBを含む、請求項11に記載の甘味料組成物。
【請求項13】
以下:
i)請求項11又は12のいずれかに記載の甘味料組成物、及び
ii)1つ以上の追加の食品、飲料製品、化粧品または医薬品成分、
を含む、食品、飲料製品、化粧品または医薬品。
【請求項14】
以下:
i)請求項11または12のいずれかに記載の甘味料組成物、及び
ii)1つ以上の追加の食品、飲料製品、化粧品または医薬品成分、
を組み合わせる工程を含む、食品、飲料製品、化粧品または医薬品を製造する方法。
【外国語明細書】