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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086803
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20240621BHJP
   B60R 16/04 20060101ALI20240621BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20240621BHJP
   B60N 3/10 20060101ALI20240621BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20240621BHJP
【FI】
B60R7/04 S
B60R16/04 X
B60N3/00 Z
B60N3/10 A
B60N2/90
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061765
(22)【出願日】2024-04-05
(62)【分割の表示】P 2020029702の分割
【原出願日】2020-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 大助
(72)【発明者】
【氏名】勝部 健一
(57)【要約】
【課題】収納構造からの被収納物の取り出しやすさを含めた利便性を向上させることが可能な収納構造、及び車両用シートを提供する。
【解決手段】車両用シートのクッションの幅方向の少なくとも一側部に設けられたサイドフィニッシャに形成され、鉛直方向上方に向かって開放されて被収納物を収納可能とされた凹部と、前記凹部に設けられ前記被収納物を前記凹部の側面に当接させる付勢部と、を備える、収納構造。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートのクッションの幅方向の少なくとも一側部に設けられたサイドフィニッシャに形成され、鉛直方向上方に向かって開放されて被収納物を収納可能とされた凹部と、
前記凹部に設けられ前記被収納物を前記凹部の側面に当接させる付勢部と、
を備える、収納構造。
【請求項2】
前記付勢部は、前記被収納物を前記凹部の前記幅方向の内側に向かって付勢する、請求項1に記載の収納構造。
【請求項3】
前記被収納物は電子機器であり、前記サイドフィニッシャは、前記被収納物へ給電が可能な給電構造を有する、請求項1又は2に記載の収納構造。
【請求項4】
前記給電構造は、無線給電が可能な無線給電部を有し、
前記無線給電部は、前記凹部の側面に設けられている、請求項3に記載の収納構造。
【請求項5】
前記付勢部は、前記凹部を上方から覆う蓋部を有し、
前記蓋部は、前記凹部を覆っている状態から、鉛直方向下方に向かって回動可能とされている、請求項1~4のいずれか1項に記載の収納構造。
【請求項6】
前記付勢部は、前記凹部の鉛直方向下端部に設けられた弾性部材を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の収納構造。
【請求項7】
前記弾性部材は、一端部が前記凹部の底面に取り付けられ、
他端部が前記一端部よりも前記凹部の側面に向かって突出している、請求項6に記載の収納構造。
【請求項8】
前記弾性部材は、前記凹部の長手方向の両端部において、前記凹部の側面に向かって突出した側壁部をさらに有する、請求項6又は7に記載の収納構造。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の収納構造を備える、車両用シート。
【請求項10】
前記クッションを鉛直方向に移動可能なリフタ又は前記クッションを車両前後方向に移動可能なスライド機構をさらに備える、請求項9に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納構造、及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートにおいて、乗員の利便性を向上させるため、車両用シートの周辺に収納構造が設けられることがある。例えば、下記特許文献1には、車両用シートにおいて、シートの下部側方に設けられたシートサイドガーニッシュに上方に開口した収納ボックスを一体成型により設けた技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平01-170046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の収納構造では、収納ボックスは、スライドレールに固定されている。このため、リフタ又はスライドレールによって、シートが上下方向又は前後方向に移動した際、収納ボックスとシート本体との相対位置が変化する。この結果、乗員が収納ボックスから内部に収納された被収納物(タブレット端末等)を取り出すことが困難になる場合がある。
【0005】
さらに、上記特許文献1に記載の収納ボックスは、被収納物がタブレット端末のような平板な形状を有する場合には、収納ボックスの深さが十分ではなく、内部で倒れたり、移動したりする(特に、車両の加減速時)等、収納状態が安定しないことも想定される。
【0006】
このように、車両用シートの側方に設けられた収納構造において、収納構造からの被収納物の取り出し易さを含めた利便性には改善の余地があるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、車両用シートにおける収納構造において、収納構造からの被収納物の取り出し易さを含めた利便性を向上させることが可能な収納構造、及び車両用シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の収納構造では、車両用シートのクッションの幅方向の少なくとも一側部に設けられたサイドフィニッシャに形成され、鉛直方向上方に向かって開放されて被収納物を収納可能とされた凹部と、前記凹部に設けられ前記被収納物を前記凹部の側面に当接させる付勢部と、を備える。
【0009】
請求項1に記載の収納構造によれば、サイドフィニッシャに設けられた凹部により収納構造が形成されるので、また、付勢部によって凹部内の側面に被収納物が当接されているので、クッションが上下、又は前後移動しても、収納された被収納物と乗員との位置関係が相対的に変化せず、取り出し易さが向上する。
【0010】
請求項2に記載の収納構造では、前記付勢部は、前記被収納物を前記凹部の前記幅方向内側に向かって付勢する。
【0011】
請求項2に記載の収納構造によれば、凹部におけるクッションの幅方向の内側の壁に付勢されるので、乗員の位置に近く、被収納物が取り出しやすい。
【0012】
請求項3に記載の収納構造では、前記被収納物が電子機器であり、前記サイドフィニッシャは、前記被収納物へ給電が可能な給電構造を有する。
【0013】
請求項3に記載の収納構造によれば、被収納物が凹部内で固定的に保持されるので、給電構造と被収納物との相対的な位置が変化しにくく、給電が安定して行われる。
【0014】
請求項4に記載の収納構造では、前記給電構造は、無線給電が可能な無線給電部を有し、前記無線給電部は、前記凹部の側面に設けられている。
【0015】
請求項4に記載の収納構造によれば、無線給電が安定して行われる。
【0016】
請求項5に記載の収納構造では、前記付勢部は、前記凹部を上方から覆う蓋部を有し、前記蓋部は、前記凹部を覆っている状態から、鉛直方向下方に向かって回動可能とされている。
【0017】
請求項5に記載の収納構造によれば、蓋部が鉛直方向下方に回動するので、被収納物の収納動作の妨げにならず、収納構造の利便性が向上する。さらに蓋部によって凹部内への異物の侵入が抑制されるとともに、蓋部が付勢部としての機能を奏するので部品点数が低減できる。
【0018】
請求項6に記載の収納構造では、前記付勢部は、前記凹部の鉛直方向下端部に設けられた可撓性部材を有する。
【0019】
請求項6に記載の収納構造によれば、可撓性部材が凹部の下端部に設けられているので、被収納物の収納動作の妨げにならず、収納構造の利便性が向上する。
【0020】
請求項7に記載の収納構造では、前記可撓性部材は、一端部が前記凹部の底面に取り付けられ、他端部が前記一端部よりも前記凹部の側面に向かって突出している。
【0021】
請求項7に記載の収納構造によれば、被収納物の収納動作の妨げにならず、さらに、被収納物が凹部の側面に付勢されて固定されるので、収納構造の利便性が向上する。
【0022】
請求項8に記載の収納構造では、前記弾性部材は、前記凹部の長手方向の両端部において、前記凹部の側面に向かって突出した側壁部をさらに有する。
【0023】
請求項8に記載の収納構造によれば、側壁部によって弾性部材が凹部内に保持され、走行時の振動によるがたつき等が抑制される。
【0024】
請求項9に記載の車両用シートでは、請求項1~8のいずれか1項に記載の収納構造を備える。
【0025】
請求項10に記載の車両用シートでは、前記クッションを鉛直方向に移動可能なリフタ又は前記クッションを車両前後方向に移動可能なスライド機構をさらに備える。
【0026】
請求項9又は10に記載の車両用シートによれば、サイドフィニッシャに収納構造が形成されるので、クッションが上下、又は前後移動しても、収納位置が乗員と相対的に変化しないので、乗員と被収納物との距離が近くなり、被収納物の取り出し易さが向上する。
【発明の効果】
【0027】
以上、説明したように本発明によれば、車両用シートにおける収納構造において、収納構造からの被収納物の取り出し易さを含めた利便性を向上させることが可能な収納構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用シートの構成例を示す外観斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る収納構造の構成例を示す外観斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る収納構造の構成例を示す上面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る収納構造の構成例を示す分解図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る収納構造の構成例を示す背面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る収納構造の構成例を示す断面図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る弾性部材の構成例を示す外観斜視図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る弾性部材の構成例を示す上面図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る弾性部材の構成例を示す正面図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係る弾性部材の構成例を示す側面図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係る収納構造の使用例を示す外観斜視図である。
図12】本発明の第1の実施形態に係る収納構造の使用例を示す断面図である。
図13】本発明の第1の実施形態に係る収納構造の使用例を示す断面図である。
図14】本発明の第2の実施形態に係る収納構造の構成例を示す外観斜視図である。
図15】本発明の第2の実施形態に係る収納構造の構成例を示す上面図である。
図16】本発明の第2の実施形態に係る収納構造の構成例を示す分解図である。
図17】本発明の第2の実施形態に係る収納構造の構成例を示す断面図である。
図18】本発明の第2の実施形態に係る収納構造の使用例を示す断面図である。
図19】本発明の第2の実施形態に係る収納構造の使用例を示す断面図である。
図20】本発明の第3の実施形態に係る収納構造の構成例を示す分解図である。
図21】本発明の第3の実施形態に係る収納構造の構成例を示す断面図である。
図22】本発明の第3の実施形態に係る収納構造の使用例を示す断面図である。
図23】本発明の第3の実施形態に係る収納構造の使用例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の一の実施形態に係る車両用シート10及び収納構造30について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0030】
また、以下の説明において前後左右上下の方向を示して説明するときは、車両用シートに着座した乗員から見た前後左右上下の方向を示すものとし、また各図に適宜示す矢印F Rは前方向、矢印UPは上方向、矢印RHは右方向、矢印LHは左方向をそれぞれ示すものとする。また、左右の方向は、シート幅方向と一致している。
【0031】
<<第1の実施形態>>
<1.車両用シートの構成>
図1を用いて本発明の第1実施形態に係る車両用シートについて説明する。本実施形態に係る車両用シート10は、車両(例えば、自動車等)の車室内に設置される。図1に示すように、車両用シート10は、ヘッドレスト11、シートバック12、及びシートクッション13を備えている。
【0032】
また、車両用シート10は、シートクッション13の側部にサイドフィニッシャ20を備えている。具体的には、図1に示すように、サイドフィニッシャ20は、シートクッション13の幅方向の右側部に設けられている。また、図示しないが、サイドフィニッシャ20は、シートクッション13の幅方向の左側方にも設けられている。サイドフィニッシャ20は、金属製のシートサイドフレーム(後述するシートサイドフレーム13Aに相当)を外方から覆うことで、シートクッション13の外観意匠を構成している。サイドフィニッシャ20は、例えば、樹脂材料から成り、射出成型によって所定の形状に形成される。
【0033】
また、図1に示すように、車両用シート10は、シートクッション13の下部にシートスライド機構14を備えている。かかるシートスライド機構14によって、車両用シート10は、車両前後方向に移動可能とされている。さらに、車両シート10は、シートスライド機構14とシートクッション13との間に図示しないシートリフタ機構を備えている。かかるシートリフタ機構によって、車両用シート10は、鉛直方向に沿って移動可能とされている。以上、本実施形態に係る車両用シート10の概略構成について説明した。
【0034】
<2.収納構造の構成>
続いて、図2図13を用いて本実施形態に係る収納構造30Aについて説明する。図2に示すように、本実施形態に係る収納構造30Aは、サイドフィニッシャ20の前後方向の中間部に設けられている。具体的には、サイドフィニッシャ20は、クッションサイドフレームの前端側を覆う前端部21と、クッションサイドフレームの後端側であってシートバック12と連結される部位を覆う後端部23とを有している。収納構造30は、サイドフィニッシャ20の前端部21と後端部23との間に設けられている。
【0035】
図2及び図3に示すように、収納構造30Aは、凹部25を有している。凹部25は、鉛直方向上方に向かって開放されて被収納物(後述する被収納物Tに相当)を収納可能とされている。凹部25は、図2及び図3に示すように、サイドフィニッシャ20の長手方向(前後方向)に沿って、長手方向を有する直方体形状の筐体状に形成されている。また、凹部25内には、被収納物を凹部25の幅方向内側に向かって付勢する付勢部としての弾性部材40が設けられている。弾性部材40の詳細については後述する。
【0036】
凹部25は、図3及び図4に示すように、シート幅方向外側に設けられた外壁部25Aと、サイドフィニッシャ20の前端部21側に設けられた前壁部25Bと、サイドフィニッシャ20の後端部23側に設けられた後壁部25Cと、シート幅方向内側に設けられた内壁部25Dとを有している。凹部25は、これらの壁部によって四方を囲まれることで形成されている。また、凹部25は、底壁部25Fを有し、底壁部25Fによって、凹部25内に収納される被収納物を下方から支持する。このように凹部25は、筐体形状を有している。
【0037】
凹部25を形成する外壁部25Aと、前壁部25Bと、後壁部25Cと、内壁部25Dとの寸法は、収納される被収納物の大きさ、又は形状に応じて適宜設定される。例えば、外壁部25Aと内壁部25Dの長さ(サイドフィニッシャ20の前後方向距離)は、被収納物の長さと同程度とされてもよい。また、前壁部25Bと後壁部25Cの長さ(サイドフィニッシャ20の幅方向距離)は、被収納物の厚みよりも大きく設定されてもよい。
【0038】
また、内壁部25Dには、給電構造50としての無線給電部51を凹部25内に露出されるための開口25Eが設けられる。さらに、後壁部25Cの上方側と連結されたサイドフィニッシャ20の後端部23には、給電構造50としての有線給電部53と接続可能な差込口が設けられてもよい。給電構造50の詳細は後述する。
【0039】
また、凹部25の底壁部25Fには、付勢部としての弾性部材40を凹部25内に取り付けるための一対の貫通孔25Gが形成されている。具体的には、図4及び図5に示すように、弾性部材40は、本体部41の下面から下方に突出した係合部42が、凹部25の貫通孔25Gに嵌合することで取り付けられている。弾性部材40が、凹部25内に収納される被収納物を内壁部25Dに向かって付勢する。すなわち、被収納物が弾性部材40と内壁部25Dとの間で保持される。このように、付勢部は、凹部25の鉛直方向下端部に設けられた弾性部材40を有している。
【0040】
図5及び図6に示すように、サイドフィニッシャ20は、被収納物へ電力を供給することが可能な給電構造50を有している。特に、被収納物がタブレット端末等の電子機器である場合に、給電構造50は、かかる電子機器に対して電力を供給可能とされている。給電構造50は、凹部25の内部、又はサイドフィニッシャ20における凹部25の周辺部に設けられる。
【0041】
具体的には、サイドフィニッシャ20は、給電構造50として、無線給電が可能な無線給電部51を有している。図5及び図6に示すように、無線給電部51は、凹部25の内壁部25Dに形成された開口25Eを介して、その一部が凹部25内に露出している。例えば、無線給電部51の給電用の一側面が、内壁部25Dと面一になるように配置されている。このように、無線給電部51は、凹部25の側面である内壁部25Dに設けられている。
【0042】
図5に示すように、無線給電部51は、凹部25の長手方向の中間部に設けられている。また、無線給電部51は、凹部25の鉛直方向の中間部に設けられている。無線給電部51が、凹部25の内壁部25Dにおける中間領域に設けられていることで、様々な形状、大きさの被収納物への給電に対応し易くなる。また、無線給電部51は、弾性部材40の突出部45に対応する位置(鉛直方向において互いに対向する位置)に設けられている。
【0043】
無線給電部51の一例としては、Qi規格に準拠した、いわゆる電磁誘導方式による無線給電装置を用いることができる。無線給電部51の給電用の部位と被収納物としての電子機器における受電用の部位とが接触することで、電子機器が充電される。
【0044】
無線給電部51における給電方式は、電磁誘導方式に限定されず、電子機器の充電が可能な方式であればよく、例えば、電解結合方式等であってもよい。無線給電装置から取り出された配線は、規定の電圧に調節された図示しない電源に接続されている。
【0045】
また、給電構造50は、有線による給電が可能な有線給電部53を有してもよい。具体的には、図5及び図6に示すように、有線給電部53は、サイドフィニッシャ20の後端部23の上面部23Aに設けられる。かかる上面部23Aは、凹部25の後壁部25Cから連設された部位である。有線給電部53は、差込口を介して、電子機器に接続された給電用ケーブルの端子と接続可能とされている。
【0046】
有線給電部53の一例としては、USBコネクタが挙げられる。USBコネクタに繋がれた図示しない配線はコネクタケースから取り出されるように構成されている。このコネクタケースの他端部から取り出された配線は、規定の電圧に調節された図示しない電源に接続されている。なお、USBとは、Universal Serial Busの略称であり、シリアルバス規格の1つである。また、USBコネクタとしては、A端子の雌コネクタ、ミニA端子又はマイクロA端子の雌コネクタ等を用いることができる。USBコネクタの形状は、車内で使用する電子端末のコネクタ形状を考慮して適宜設定すれば良い。
【0047】
また、図6に示すように、本実施形態に係る収納構造30Aは、凹部25内に付勢部としての弾性部材40を有している。上述したように、弾性部材40は、下端部が凹部25の底壁部25Fに取り付けられている。図6に示すように、側面視したとき、弾性部材40は、その上端側が、下端側よりも凹部25の内壁部25Dに向かって突出している。かかる付勢部としての弾性部材40によって凹部25内で被収納物が安定するとともに、乗員や周囲の給電構造50と被収納物との位置関係が所定の状態となる。そこで、図7図10を参照しながら、本実施形態に係る付勢部としての弾性部材40について、より詳細に説明する。
【0048】
図7に示すように、弾性部材40は、図7におけるY方向に長手方向を有し、X方向に短手方向を有する略直方体形状を有する。弾性部材40の長さ(長手方向距離)は、凹部25の長さ(サイドフィニッシャ20の前後方向に沿った距離)と同程度とされ、弾性部材40の幅(短手方向距離)は、凹部25の幅(幅方向に沿った距離)よりも短く設定されている。弾性部材40は、例えば、ゴム等の樹脂材料を所定形状に射出成型することで形成される。
【0049】
弾性部材40は、図7に示すように、本体部41と、本体部41の下端部47から下方に突出した係合部42と、本体部41のX方向の両端部に形成された側壁部43とを有する。本体部41は、弾性部材40の主体を成す部位であり、かかる本体部41の一部が凹部25内で被収納物に対して当接することで、被収納物を凹部25の側面に付勢している。
【0050】
本体部41は、図10に示すように、側面視で上端側が、下端側に対して突出した形状を有している。具体的には、本体部41の高さ方向(図10におけるZ方向)において、上端部46側に突出部45が設けられている。突出部45は、本体部41の下端部47に対して図10におけるY方向に突出している。つまり、本体部41の突出部45の方が、下端部47よりもY方向の距離が長くなっている。かかる突出部45は、後述するように被収納物と当接し、被収納物を付勢する。
【0051】
さらに、図10に示すように、突出部45は、本体部41の上端部46よりも突出していてもよい。つまり、本体部41の突出部45の方が、上端部46よりもY方向の距離が長くなっている。この結果、図7及び図10に示すように、本体部41には、上端部46から突出部45にかけて形成された上側斜面41Aと、突出部45から下端部47にかけて形成された下側斜面41Bとが形成されている。
【0052】
本体部41が突出部45を有し、さらに上側斜面41Aを有することで、被収納物が収納される際、被収納物が上側斜面41Aに当接しながら移動することで、被収納物が弾性部材40の突出部45の位置へ向かってガイドされる。その後、弾性部材40によって、被収納物が付勢されて、保持される。
【0053】
さらに、本体部41が下側斜面41Bを有することで、突出部45を通過した後の被収納物と弾性部材40との間に隙間が生じる。この結果、突出部45を通過した後、被収納物に対して弾性部材40が接触することが抑制され、収納動作の抵抗が少なくなる。
【0054】
図7及び図9に示すように、係合部42は、本体部41の下面に設けられ、下方に向かって突出した部位である。係合部42は、凹部25の底壁部25Fに設けられた貫通孔25Gに挿通されて、弾性部材40を凹部25内に取り付ける。例えば、貫通孔25Gが一対設けられる場合、一対の係合部42が、かかる一対の貫通孔25Gに対応する位置に設けられる。
【0055】
係合部42は、いわゆる矢尻様形状を有している。すなわち、係合部42は、本体部41から連設された基端部42Bと、基端部42Bの先端側に設けられ、基端部42Bよりも図9におけるX方向の長さが幅広に設定された先端部42Aとを有している。基端部42Bは、凹部25の底壁部25Fに設けられた貫通孔25Gと同程度のX方向に沿った長さを有している。一方、先端部42Aは、貫通孔25GのX方向長さよりも大きく設定されている。これにより、係合部42が貫通孔25Gに挿入された後の状態で、先端部42Aが貫通孔25Gの縁部と係合する。この結果、弾性部材40が、底壁部25Fに対して取り付けられる(図6参照)。
【0056】
図8に示すように、側壁部43は、本体部41のX方向の両端部に設けられた壁状の部位である。側壁部43は、本体部41よりもY方向に延出して形成されている。図10に示すように、側壁部43は、側面視で台形状を有し、かかる台形の高さ(Y方向の距離)は、本体部41の突出部45のY方向の距離よりも長くなるように設定されている。なお、かかる台形状の側壁部43の斜辺は、本体部41の上側斜面41Aと同一面を成している。
【0057】
このように構成されていることで、側壁部43は、弾性部材40が凹部25に取り付けられた状態で、凹部25の内壁部25Dに向かって突出する。この結果、側壁部43は、凹部25内において、被収納物のサイドフィニッシャ20の前後方向に沿う方向の両端部に対向する。
【0058】
さらに、弾性部材40は、中空構造を有してもよい。具体的には、図7図10に示すように弾性部材40をX方向に沿って貫通した中空部49を有している。中空部49は、本体部41の外形と相似形状を成すような穴形状を有している。中空部49によって弾性部材40の剛性が適宜調整されるとともに、弾性部材40の成形が容易になる。以上、本実施形態に係る収納構造30Aの構成例について説明した。
【0059】
<3.収納構造の使用例>
続いて、図11図13を参照しながら、本実施形態に係る収納構造30Aの使用例について説明する。図11及び図12に示すように、被収納物Tが、シートサイドフレーム13Aを側方から覆うサイドフィニッシャ20に設けられた収納構造30Aに収納される。具体的には、図11に示すように、被収納物Tが凹部25の略筐体状の空間内に挿入されて、収納される。
【0060】
収納動作の際、付勢部としての弾性部材40が被収納物Tと当接するが、弾性部材40は、変形、又は変位するので、収納動作における大きな抵抗にはならない。図12に示すように、被収納物Tは、収納構造30Aに収納された状態で、その下方側の側面が底壁部25Fによって下方から支持される。
【0061】
さらに、図12に示すように、被収納物Tは、弾性部材40によりサイドフィニッシャ20側に向かって付勢される。すなわち、被収納物Tは、凹部25の側面である内壁部25Dに向かって付勢され、当接する。このとき、被収納物Tは、内壁部25Dと面一になるように凹部25内に露出された無線給電部51とも当接する。
【0062】
換言すれば、被収納物Tは凹部25に収納された状態において、弾性部材40の突出部45と内壁部25Dとの間に保持される。このように凹部25内において、被収納物Tは所定の位置に保持される。従って、乗員と被収納物Tとの位置関係が変化しにくくなる。さらに、被収納物Tがタブレット端末等の電子機器である場合には、タブレット端末と給電構造50との位置関係の変化が生じにくいので、給電が安定して行われる。
【0063】
一方、図13に示すように、被収納物Tを収納構造から取り出す際、例えば、被収納物Tをシート幅方向の外方へ向かって傾倒させた後、上方へ引き上げるようにして取り出すことができる。被収納物Tを傾倒させることで、弾性部材40を変形又は変位させることで、被収納物Tを取り出しやすくできる。もちろん、収納された状態の被収納物Tをそのまま上方へ引き上げて取り出すようにしてもよい。以上、本実施形態に係る収納構造30Aの使用例について説明した。
【0064】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0065】
図1に示すように、本実施形態に係る収納構造30Aは、サイドフィニッシャ20に設けられる。このため、乗員と被収納物Tとの位置が変化しにくく、例えば、スライドレールに収納構造を設ける場合と比較して、被収納物Tの取り出しが容易となり、利便性が向上する。例えば、乗員が、比較的体格が小さかったり、又は高齢者であったりする等、取り出し動作の可能な範囲が狭い場合でも、被収納物Tの取り出しが容易となる。
【0066】
特に、車両用シート10が、シート本体を鉛直方向に移動させるリフタ構造、又はシート本体を車両前後方向に移動させるスライダ構造を有する場合、これらの構造が作動し、シート本体の位置が変化することがある。この場合にも、本実施形態に係る収納構造30は、サイドフィニッシャ20に設けられているので、シート本体とともに移動し、乗員との位置が変化しにくい。
【0067】
また、図11及び図12に示すように、被収納物Tが凹部25内において、付勢部としての弾性部材40によって凹部25の側面である内壁部25Dに向かって付勢される。このため、被収納物Tが凹部25内で弾性部材40と内壁部25Dとの間で保持される。この結果、被収納物Tが凹部25内で所定の位置に保持されるので、乗員と被収納物Tとの位置関係が変化しにくく、取り出し動作が容易となる。
【0068】
また、弾性部材40が被収納物Tを凹部25内で付勢しているので、被収納物Tが凹部25内でがたつくことが抑制される。このため、サイドフィニッシャ20を介して収納構造30Aに伝達される振動による被収納物Tへの影響が抑制される。
【0069】
さらに、図11及び図12に示すように、凹部25の側面又は周囲に給電構造50が設けられている場合、弾性部材40によって凹部25が付勢されているので、弾性部材40と給電構造50との位置関係が変化しにくくなる。被収納物Tがタブレット端末等の電子機器である場合、給電構造50から電子機器への給電が安定して行われる。
【0070】
また、図7図12に示すように、弾性部材40は、側面視した際に、その上端側において下端側よりも部分的に突出した形状を有している。これにより、被収納物Tを効果的に凹部25の側面に付勢することが実現される。すなわち、弾性部材40の下端側が突出している形状と比較して、上端側が突出した方が、側面視したときの被収納物Tの重心に近い位置を付勢できる。この結果、被収納物Tの凹部25内での傾倒を抑制できる。さらに、弾性部材40の上端側に突出部45を有することで、被収納物への無線給電が行われる場合、傾倒を抑制しつつ、無線給電部51に向かって被収納物を付勢することができ、無線給電状態が安定する。
【0071】
さらに、弾性部材40が、凹部25内に被収納物Tを挿入する際に、突出した部位が主に変形又は変位しながら被収納物Tの挿入を許容するので挿入の障害にならない。また、突出した部位が変形又は変位することで被収納物Tの寸法の変化にも対応できる。
【0072】
また、弾性部材40は、長手方向の両端に側壁を有している。かかる側壁は、被収納物Tの長手方向の端面に対向する。これにより、被収納物Tが凹部25内でサイドフィニッシャ20の前後方向に沿って移動することが抑制され、よりがたつきが抑制される。また、弾性部材40が側壁を有することで、弾性部材40が所定の剛性を有するように調整され、被収納物Tをより効果的に付勢できる。
【0073】
また、弾性部材40は、中空形状に形成されているので、弾性部材40が所定の剛性を有するように調整される。この結果、被収納物Tが効果的に付勢されるとともに、凹部25内に収納される際、弾性部材40が変形又は変位しやすくなり、収納動作の障害になりにくい。また、弾性部材40は、中空形状とされているので、成形が容易になるとともに、弾性部材40の軽量化、又は低コスト化が実現される。
【0074】
<<第2の実施形態>>
次に、図14図19を用いて本発明の第2実施形態に係る収納構造30Bについて説明する。本実施形態に係る収納構造30Bは、付勢部として蓋部60を有する点で、前述の第1実施形態と相違する。なお、第2実施形態に係る収納構造30Bにおいて第1実施形態と対応する部材及び部分については、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略することがある。
【0075】
図14及び図15に示すように、本実施形態に係る収納構造30Bは、付勢部として蓋部60を有している。図15に示すように、上面視したとき、蓋部60は、凹部25の開口を上方から覆っている。ここで、蓋部60が凹部25を覆うとは、完全に被覆する趣旨に限定されるものではなく、異物の進入を抑制可能な程度に凹部25の上方側に蓋部60が設けられ、蓋部60とサイドフィニッシャ20の間に隙間が生じていることも許容する趣旨である。
【0076】
図15に示すように、蓋部60は、外壁部25Aの上端部に取り付けられている。蓋部60は、かかる上端部に取り付けられた箇所を回転中心として、凹部25の開口を覆っている状態から下方に向かって回動可能とされている。
【0077】
具体的には、図16に示すように、蓋部60は、蓋本体61と、蓋本体61に設けられた一対の回転ピン63と、回転ピン63と同軸に取り付けられ、蓋本体61を付勢する、ねじりばね64とを有している。蓋本体61は、凹部25の開口を覆うことが可能な程度の面積を有する平板状の部材である。蓋本体61の長手方向の両端部であって、蓋本体61が開口を覆った状態における外壁部25A側の端部には、回転ピン63が設けられている。回転ピン63は、サイドフィニッシャ20において、外壁部25Aの上端近傍に設けられた図示しない孔に挿通されている。これにより、蓋本体61は、サイドフィニッシャ20に対して、回転ピン63を回動軸として回動可能とされている。
【0078】
ねじりばね64は、密巻きとされたコイルばね部分が回転ピン63に挿通され、さらにコイルばね部分の一端部が蓋本体61と係合し、他端部がサイドフィニッシャ20と係合している。ねじりばね64は、回転ピン63を中心とした蓋本体61の下方向への回動に応じて、蓋本体61を上方向に付勢している。すなわち、ねじりばね64は、蓋本体61を凹部25の開口を覆う状態となるように付勢している。
【0079】
被収納物Tが収納構造30Bに収納されていない状態において、図17に示すように、蓋部60によって凹部25の開口が覆われている。すなわち、ねじりばね64によって蓋本体61が図17に示すような凹部25を覆う状態に付勢され、当該状態が維持されている。
【0080】
図18に示すように、収納構造30Bへの被収納物Tの収納動作が開始されると、被収納物Tが蓋本体61に当接し、蓋本体61が下方に回動される。さらに、収納動作が継続され、蓋本体61と内壁部25Dとの間に生じた隙間から、被収納物Tが凹部25内に進入する。このとき、付勢部としての蓋部60が被収納物Tと当接するが、ねじりばね64の付勢力は、適宜調整されているので、収納動作における大きな抵抗にはならない。
【0081】
図18に示すように、被収納物Tは、収納構造30Bに収納された状態で、その下方側の側面が底壁部25Fによって下方から支持される。さらに、図18に示すように、被収納物Tは、蓋部60によりサイドフィニッシャ20側に向かって付勢される。すなわち、被収納物Tは、蓋部60が閉じた状態に戻ろうとする動きによって、凹部25の側面である内壁部25Dに向かって付勢され、当接する。このとき、被収納物Tは、内壁部25Dと面一になるように凹部25内に露出された無線給電部51とも当接する。
【0082】
換言すれば、被収納物Tは凹部25に収納された状態において、蓋部60と内壁部25Dとの間に保持される。このように凹部25内において、被収納物Tは所定の位置に保持され、乗員や給電構造50と被収納物Tとの位置関係が変化しにくくなる。
【0083】
一方、図19に示すように、被収納物Tを収納構造から取り出す際、例えば、被収納物Tをシート幅方向の外方へ向かって傾倒させた後、上方へ引き上げるようにして取り出すことができる。被収納物Tを傾倒させることで、蓋部60を変位させることで、被収納物Tを取り出しやすくできる。もちろん、収納された状態の被収納物Tをそのまま上方へ引き上げて取り出すようにしてもよい。
【0084】
本実施形態に係る収納構造30Bでは、付勢部としての蓋部60を有することにより、上記第1の実施形態と同様な効果を奏する。さらに、蓋部60が少ない部品点数の簡素な構成を有することにより、耐久性の向上、又は低コスト化が実現される。
【0085】
さらに、図17及び図18に示すように、蓋部60によって凹部25の上方側が閉塞された状態に維持される。このため、凹部25内への異物(塵芥、水分等)の進入を抑制できる。特に、給電構造50が凹部25内に設けられている場合には、かかる異物の進入による給電構造50への影響が抑制される。
【0086】
また、図18に示すように、蓋部60は、外壁部25Aの上端を回転中心として、上方に向かって付勢されている。このため、側面視したときの被収納物Tの重心に近い位置を付勢できる。この結果、被収納物Tの凹部25内での傾倒を抑制できる。さらに、被収納物への無線給電が行われる場合、蓋部60により被収納物の傾倒を抑制しつつ、無線給電部51に向かって被収納物を付勢することができ、無線給電状態が安定する。
【0087】
<<第3の実施形態>>
次に、図20図23を用いて本発明の第3実施形態に係る収納構造30Cについて説明する。第3実施形態に係る収納構造30Cは、付勢部として弾性部材40と蓋部60の両方を有する点で上記実施形態と相違する。なお、第3実施形態に係る収納構造30Cにおいて前述の第1及び第2実施形態と対応する部材及び部分については、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略することがある。
【0088】
図20に示すように、本実施形態に係る収納構造30Cは、付勢部として弾性部材40と蓋部60とを備えている。図21に示すように、弾性部材40は、凹部25の下端部に取り付けられている。また、蓋部60は、凹部25の外壁部25Aの上端を回動中心として、上方に向かって付勢されている。
【0089】
図21に示すように、被収納物Tが収納構造30Bに収納されていない状態において、蓋部60によって凹部25の開口が覆われている。図22に示すように、収納構造30Cへの被収納物Tの収納動作が開始されると、被収納物Tが蓋本体61に当接し、蓋本体61が下方に回動される。さらに、収納動作が継続され、蓋本体61と内壁部25Dとの間に生じた隙間から、被収納物Tが凹部25内に進入する。そして、弾性部材40が被収納物Tと当接するが、弾性部材40は、変形、又は変位するので、収納動作における大きな抵抗にはならない。図21に示すように、被収納物Tは、収納構造30Cに収納された状態で、その下方側の側面が底壁部25Fによって下方から支持される。
【0090】
図22に示すように、被収納物Tは、蓋部60又は弾性部材40の少なくともいずれか一方によりサイドフィニッシャ20側に向かって付勢される。被収納物Tは、凹部25の側面である内壁部25Dに向かって付勢され、当接する。このとき、被収納物Tは、内壁部25Dと面一になるように凹部25内に露出された無線給電部51とも当接する。
【0091】
換言すれば、被収納物Tは凹部25に収納された状態において、蓋部60又は弾性部材40の少なくともいずれか一方と内壁部25Dとの間に保持される。このように凹部25内において、被収納物Tは所定の位置に保持され、乗員や給電構造50と被収納物Tとの位置関係が変化しにくくなる。
【0092】
一方、図23に示すように、被収納物Tを収納構造30Cから取り出す際、例えば、被収納物Tをシート幅方向の外方へ向かって傾倒させた後、上方へ引き上げるようにして取り出すことができる。被収納物Tを傾倒させることで、蓋部60又は弾性部材40の少なくともいずれか一方を変形又は変位させることで、被収納物Tを取り出しやすくできる。もちろん、収納された状態の被収納物Tをそのまま上方へ引き上げて取り出すようにしてもよい。
【0093】
本実施形態に係る収納構造30Cでは、付勢部としての蓋部60及び弾性部材40を有することにより、上記第1及び第2の実施形態と同様な効果を奏する。さらに、蓋部60によって凹部25の上方側で被収納物Tを付勢し、さらに弾性部材40によって凹部25の下方側で被収納物Tを付勢することができる。これにより、凹部25内での被収納物Tのがたつきがより抑制される。また、被収納物Tの大きさ、形状の変化にも対応することができる。
【0094】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0095】
例えば、上記実施形態において、付勢部が、弾性部材40又は/及び蓋部60を有する例を示したが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、付勢部は、ゴム製の突起部が、凹部25の側面に複数配置された構成であってもよい。
【0096】
また、上記実施形態において、蓋部60が回動可能な例を示したが、本発明は、かかる例に限定されない。蓋部60は、凹部25を覆うとともに、付勢部として被収納物Tを付勢できればよく、蓋部60は、例えばシャッタ構造であってもよい。
【0097】
また、上記実施形態において、無線給電部51は、内壁部25Dに設けられる例を示したが、本発明は、かかる例に限定されない。無線給電部51は、外壁部25Aに設けられてもよい。また、有線給電部53は、サイドフィニッシャ20の後端部23に設けられる例を示したが、本発明は、かかる例に限定されず、有線給電部53は、サイドフィニッシャ20の前端部21に設けられてもよい。
【0098】
また、上記実施形態において、被収納物Tがタブレット端末である例を示したが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、電子機器としては、タブレット型パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又は電子書籍リーダであってもよい。さらに、被収納物Tは、ポータブルバッテリー等の給電構造50による充電が可能な電子機器であってもよい。また、被収納物Tのその他の例としては、雑誌、地図等の書籍であってもよい。
【符号の説明】
【0099】
10 車両用シート
13 シートクッション
14 スライダ構造
20 サイドフィニッシャ
25 凹部
30 収納構造
40 弾性部材
43 側壁部
45 突出部
50 給電構造
51 無線給電部
60 蓋部
T 被収納物
S 表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、車両用シートにおける収納構造において、収納構造からの被収納物の取り出し易さを含めた利便性を向上させることが可能な車両用シートを提供することである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項1に記載の車両用シートでは、車両用シートのクッションの幅方向の少なくとも一側部に設けられる樹脂製のサイドフィニッシャと、前記サイドフィニッシャに設けられ被収納物収納可能な収納部と、前記収納部に設けられ、前記被収納物を前記収納部の側面に当接させる付勢部と、を備え、前記付勢部は、前記被収納物を前記収納部の前記幅方向における内壁部に向かって付勢する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項1に記載の車両用シートによれば、サイドフィニッシャに設けられた収納部により収納構造が形成されるので、また、付勢部によって収納部内の側面に被収納物が当接されているので、クッションが上下、又は前後移動しても、収納された被収納物と乗員との位置関係が相対的に変化せず、取り出し易さが向上する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項2に記載の車両用シートでは、前記付勢部は、前記被収納物を前記収納部の前記幅方向の内側の前記側面である内壁部に向かって付勢する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項2に記載の車両用シートによれば、収納部におけるクッションの幅方向の内側の壁に付勢されるので、乗員の位置に近く、被収納物が取り出しやすい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項3に記載の車両用シートでは、前記被収納物が電子機器であり、前記サイドフィニッシャは、前記被収納物へ給電が可能な給電構造を有する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項3に記載の車両用シートによれば、被収納物が収納部内で固定的に保持されるので、給電構造と被収納物との相対的な位置が変化しにくく、給電が安定して行われる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項4に記載の車両用シートでは、前記給電構造は、無線給電が可能な無線給電部を有し、前記無線給電部は、前記収納部の内壁面に設けられている。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項4に記載の車両用シートによれば、無線給電が安定して行われる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項5に記載の車両用シートでは、前記付勢部は、前記収納部を上方から覆う蓋部を有し、前記蓋部は、前記収納部を覆っている状態から、前記収納部内に向かって回動可能とされている。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項5に記載の車両用シートによれば、蓋部が収納部内に向かって回動するので、被収納物の収納動作の妨げにならず、収納構造の利便性が向上する。さらに蓋部によって収納部内への異物の侵入が抑制されるとともに、蓋部が付勢部としての機能を奏するので部品点数が低減できる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
請求項6に記載の車両用シートでは、前記付勢部は、前記収納部の下端部に設けられた弾性部材を有する。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
請求項6に記載の車両用シートによれば、弾性部材が収納部の下端部に設けられているので、被収納物の収納動作の妨げにならず、収納構造の利便性が向上する。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
請求項7に記載の車両用シートでは、前記弾性部材は、一端部が前記収納部の底面に取り付けられ、他端部が前記一端部よりも前記収納部の側面に向かって突出している。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
請求項7に記載の車両用シートによれば、被収納物の収納動作の妨げにならず、さらに、被収納物が収納部の側面に付勢されて固定されるので、収納構造の利便性が向上する。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
請求項8に記載の車両用シートでは、前記弾性部材は、前記収納部の長手方向の両端部において、前記収納部の側面に向かって突出した側壁部をさらに有する。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
請求項8に記載の車両用シートによれば、側壁部によって弾性部材が収納部内に保持され、走行時の振動によるがたつき等が抑制される。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正23】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートのクッションの幅方向の少なくとも一側部に設けられる樹脂製のサイドフィニッシャと、
前記サイドフィニッシャに設けられ被収納物収納可能な収納部と、
前記収納部に設けられ、前記被収納物を前記収納部の側面に当接させる付勢部と、
を備え、
前記付勢部は、前記被収納物を前記収納部の前記幅方向における内壁部に向かって付勢する、
車両用シート。
【請求項2】
前記付勢部は、前記被収納物を前記収納部の前記幅方向の内側の前記側面である内壁部に向かって付勢する、請求項1に記載の車両用シート
【請求項3】
前記被収納物は電子機器であり、前記サイドフィニッシャは、前記被収納物へ給電が可能な給電構造を有する、請求項1又は2に記載の車両用シート
【請求項4】
前記給電構造は、無線給電が可能な無線給電部を有し、
前記無線給電部は、前記収納部の内壁面に設けられている、請求項3に記載の車両用シート
【請求項5】
前記付勢部は、前記収納部を上方から覆う蓋部を有し、
前記蓋部は、前記収納部を覆っている状態から、前記収納部内に向かって回動可能とされている、請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用シート
【請求項6】
前記付勢部は、前記収納部の下端部に設けられた弾性部材を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用シート
【請求項7】
前記弾性部材は、一端部が前記収納部の底面に取り付けられ、
他端部が前記一端部よりも前記収納部の側面に向かって突出している、請求項6に記載の車両用シート
【請求項8】
前記弾性部材は、前記収納部の長手方向の両端部において、前記収納部の側面に向かって突出した側壁部をさらに有する、請求項6又は7に記載の車両用シート