(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086812
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】防災機器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/06 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
G08B17/06 K
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061928
(22)【出願日】2024-04-08
(62)【分割の表示】P 2019096912の分割
【原出願日】2019-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】鷲頭 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】土肥 学
(57)【要約】
【課題】試験装置で防災機器の少なくとも一部を覆った状態でも試験に関する情報を把握させることが可能となる防災機器を提供すること。
【解決手段】感知器200であって、外カバー21と、発光することにより少なくとも感知器200の試験に関する情報を出力する発光手段と、検出対象の物理量を検出するための検出素子を収容する導光性の保護手段と、外カバー21の一部であって外カバー21の他の部分よりも薄肉の導光手段と、を備え、保護手段は、発光手段からの光を保護手段へ入射させると共に導光手段へ入射させるための分光部、を備え、導光手段の少なくとも一部は、防災機器の試験を行うために保護手段が試験装置で覆われた場合に、当該試験装置の外側に露出し、導光手段に入射した光は、試験装置の外部から視認可能となっている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災機器であって、
外カバーと、
発光することにより少なくとも前記防災機器の試験に関する情報を出力する発光手段と、
検出対象の物理量を検出するための検出素子を収容する導光性の保護手段と、
前記外カバーの一部であって前記外カバーの他の部分よりも薄肉の導光手段と、を備え、
前記保護手段は、前記発光手段からの光を前記保護手段へ入射させると共に前記導光手段へ入射させるための分光部、を備え、
前記導光手段の少なくとも一部は、前記防災機器の試験を行うために前記保護手段が試験装置で覆われた場合に、当該試験装置の外側に露出し、前記導光手段に入射した光は、前記試験装置の外部から視認可能となっており、
前記発光手段は、前記外カバーの側面部側に向かって光を出力するように配置されており、
前記発光手段からの光は、前記保護手段へ直接は入射しない、
防災機器。
【請求項2】
前記導光手段は、前記外カバーの正面部側から前記外カバーの側面部側にわたっている、
請求項1に記載の防災機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井等に設置されて火災による熱を検出する感知器が知られていた(例えば、特許文献1参照)。この感知器においては、当該感知器に対する試験が定期的に行われていたが、感知器の外カバーに設けられている表示灯を発光させることにより、試験に関する情報を出力するように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の感知器の試験については、例えば、感知器の少なくとも一部を覆う円筒型の試験冶具を用いて当該感知器に対して熱を加えることにより行われていたので、試験冶具で感知器の少なくとも一部を覆った状態で熱を加えている際中は感知器の表示灯が試験冶具によって隠れて視認不可能となってしまい、熱を加えている際中にユーザが試験に関する情報を把握できなくなる可能性があった。
【0005】
従って、試験冶具で感知器の少なくとも一部を覆った状態でも試験に関する情報を把握可能にするという観点において、改善の余地があった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、試験装置で防災機器の少なくとも一部を覆った状態でも試験に関する情報を把握させることが可能となる防災機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の防災機器は、防災機器であって、外カバーと、発光することにより少なくとも前記防災機器の試験に関する情報を出力する発光手段と、検出対象の物理量を検出するための検出素子を収容する導光性の保護手段と、前記外カバーの一部であって前記外カバーの他の部分よりも薄肉の導光手段と、を備え、前記保護手段は、前記発光手段からの光を前記保護手段へ入射させると共に前記導光手段へ入射させるための分光部、を備え、前記導光手段の少なくとも一部は、前記防災機器の試験を行うために前記保護手段が試験装置で覆われた場合に、当該試験装置の外側に露出し、前記導光手段に入射した光は、前記試験装置の外部から視認可能となっており、前記発光手段は、前記外カバーの側面部側に向かって光を出力するように配置されており、前記発光手段からの光は、前記保護手段へ直接は入射しない。
【0008】
また、請求項2に記載の防災機器は、請求項1に記載の防災機器において、前記導光手段は、前記外カバーの正面部側から前記外カバーの側面部側にわたっている
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の防災機器によれば、本願の課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1における感知器の斜視図である。
【
図7】
図4の断面図に対して試験冶具を図示した図である。
【
図8】
図4の断面図に対して試験用アダプタを図示した図である。
【
図9】実施の形態2における感知器の斜視図である。
【
図14】
図12の断面図に対して試験冶具を図示した図である。
【
図15】
図12の断面図に対して試験用アダプタを図示した図である。
【
図17】
図16のC‐C断面図に対して試験冶具を図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る防災機器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、防災機器に関するものである。
【0013】
「防災機器」とは、防災のために用いられる機器であり、例えば、監視領域の異常を検出する機器等を含む概念であり、一例としては、熱感知器、火災感知器、ガス感知器、及び煙感知器等を含む概念である。また、「防災機器」とは、例えば、外カバー、及び表示手段を備える。
【0014】
「監視領域」とは、防災機器による監視の対象となっている領域であり、具体的には、一定の広がりを持った空間であり、例えば、建築物の部屋(例えば、1階の部屋A、1階の部屋B等)、廊下、階段等を含む概念である。また、「監視領域の異常」とは、監視領域の状態が通常とは異なっている状態であることであり、具体的には、火災発生、ガス漏れ等を含む概念である。
【0015】
「外カバー」とは、例えば、防災機器の構成要素の少なくとも一部を覆うものである。
【0016】
「表示手段」とは、発光することにより少なくとも防災機器の試験に関する情報を出力する手段であって、外カバーに設けられている手段であり、具体的には、防災機器の試験を行うために、外カバーの少なくとも一部が試験装置で覆われた場合に、当該表示手段の表示面の少なくとも一部が当該試験装置の外側に露出するもの又は部分等を含む概念である。
【0017】
また、「表示手段」とは、例えば、カバーの側面部から突出しているもの又は部分等を含む概念であり、また、少なくとも、外カバーの正面部における縁部に形成されているもの又は部分等を含む概念であり、また、導光手段等を含む概念であり、また、薄肉部等を含む概念である。また、「表示手段の表示面」とは、例えば、表示手段における防災機器の外部に露出する面であって、発光する面であり、利用者に視認される面等を含む概念である。
【0018】
「導光手段」とは、例えば、外カバーに形成されている手段であって、発光手段からの光を導光するもの又は部分等を含む概念である。「薄肉部」とは、例えば、外カバーにおける他の部分よりも薄い部分であって、発光手段からの光が照射される部分等を含む概念であり、また、照射した光の一部を透過させる部分等を含む概念である。「発光手段」とは、例えば、光を出力する手段である。
【0019】
そして、以下に示す各実施の形態では、「防災機器」が熱感知器である場合について説明し、特に、実施の形態1においては、表示手段が導光手段である場合について説明し、また、実施の形態2においては、表示手段が薄肉部である場合について説明する。
【0020】
[実施の形態の具体的内容]
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0021】
(実施の形態1)
初めに、実施の形態1について説明する。この実施の形態においては、表示手段が導光手段である場合について説明する。
【0022】
(構成-感知器)
まず、本実施の形態に係る感知器の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態における感知器の斜視図であり、
図2は、感知器の平面図であり、
図3は、感知器の側面図であり、
図4は、
図2のA‐A断面図である。なお、各図では、Z軸が垂直方向を示しており、Z軸と直交するX軸及びY軸が水平方向を示していることとして説明する。また、例えば、「正面部」、「背面部」、及び「側面部」については、感知器100の一部を称する用語であることとして説明する。具体的には、感知器100を天井面である取付対象900に設置した場合において、感知器100における床面側(感知器100を基準として取付対象900の反対側)(
図3の-Z方向)に位置するほうを「正面部」と称し、感知器100における天井面である取付対象900に面するほう(
図3の+Z方向)を「背面部」とする。そして、感知器100における「正面部」と「背面部」に繋がる周面を「側面部」とする。なお、これらの「正面部」、「背面部」、及び「側面部」の定義については、実施の形態2でも同様とする。
【0023】
図1~
図4の各図の感知器1は、防災機器であり、具体的には、熱を検出する熱感知器であり、例えば、天井面である取付対象900に対して
図3の感知器100の取付部101(例えば、所謂「感知器ベース」。詳細構造の図示は省略)を介して取り付けられるものであり、一例としては、
図1の外カバー11、保護部12、防止部13、
図4のサーミスタ14、発光部15を備える。
【0024】
(構成-感知器-外カバー)
図1の外カバー11は、感知器100の構成要素の少なくとも一部を覆うものである。この外カバー11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、
図3に示すように、取付部101から離れても同径の円筒状の部分と、取付部101から離れるにつれて小径となるテーパー形状の部分とを備えるものであり、また、特記する部分を除いて遮光性を有するものであり、また、
図2の導光部111、及び操作孔112を備えるものである。なお、「遮光性」とは、光を遮る性能であり、例えば、外カバー11における内側から外側に対して光を通さない性能等を示す概念である。
【0025】
導光部111とは、前述の表示手段であり、また、導光手段である。この導光部111の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、外カバー11の一部に形成されているものであり、また、光を導いて発光するライトガイドとして機能するために任意の材料にて形成されるものであり、また、外カバー11における遮光性を有する部分とは別体として形成されているものであり、また、外カバー11における内側から外側に対して光を通すものである。また、導光部111は、例えば、当該導光部111の表示面(
図2及び
図3で図示されている感知器100の外部に対して露出している面)が外カバー11の正面部側(-Z方向)から外カバー11の側面部側(+X方向又は-X方向)にわたっているものであり、また、2個設けられているものであり、また、
図2に示すように、当該導光部111の表示面が外カバー11の正面部側から見たときに直線形状のものであり、また、操作孔112の位置に対応する位置に設けられているものである。
【0026】
操作孔112とは、感知器100を物理的に操作するための操作手段である。この操作孔112の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、感知器100の外カバー11を、取付部101に対して回動させるために所定の冶具の突起が挿入される孔である。
【0027】
(構成-感知器-保護部)
図1の保護部12は、検出素子保護手段である。「検出素子保護手段」とは、例えば、検出素子であるサーミスタ14を収容して保護するものである。この保護部12の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、外カバー11の一部に形成されているものであり、また、光を導いて発光するライトガイドとして機能するために任意の材料にて形成されるものであり、また、外カバー11における遮光性を有する部分とは別体として形成されているものであり、また、外カバー11における内側から外側に対して光を通すものである。また、保護部12は、例えば、
図4のサーミスタ14を保護するものであり、また、当該サーミスタ14を収容するための中空部を有するものであり、外カバー11から取付部101の反対側(-Z方向)に向かって突出しているものであり、また、外カバー11が広がっている方向(XY平面に平行な方向)において当該外カバー11の中央に設けられているものであり、また、導光部111と一体的に形成されているものである。また、保護部12は、例えば、
図1のフレーム部121、開口部122、及び
図4の分光部123を備えるものである。
【0028】
フレーム部121は、例えば、保護部12の少なくとも一部の外形を形成す部分であり、また、感知器100における先端部分(-Z方向)を形成する1個の円形部材と、当該円形部材と外カバー11との間において当該円形部材を支持している6個の支持部材とを備える部分である。
【0029】
開口部122は、例えば、保護部12の中空部に設けられているサーミスタ14に対して熱気流を流入又は流出させる部分であり、また、前述のフレーム部121の6個の支持部材で区切られて6個設けられている部分である。
【0030】
分光部123は、例えば、発光部15から出力される光を屈折、分散、又は反射させる部分であり、また、発光部15と対向している部分である。
【0031】
(構成-感知器-防止部)
図1の防止部13は、保護部12に収容されているサーミスタ14に対して接触対象が接触することを防止する防止手段である。なお、「接触対象」とは、接触することが防止部13によって防止される対象であり、例えば、ユーザの指等を含む概念である。この防止部13の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、開口部122に設けられている突起である。
【0032】
(構成-感知器-サーミスタ)
図4のサーミスタ14は、検出素子である。「検出素子」とは、例えば、検出対象の物理量を検出するための構成要素である。「検出対象の物理量」とは、例えば、監視領域の異常に起因して発生又は変化し得る量であり、一例としては、熱又は熱気流による温度等を含む概念である。このサーミスタ14の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、熱又は熱気流による温度を検出するものであり、また、外カバー11が広がっている方向に対して直交する方向(Z軸方向)において突出しているものであり、保護部12に収容されているものである。
【0033】
(構成-感知器-発光部)
図4の発光部15は、前述の発光手段である。この発光部15の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、導光部111、及び保護部12を発光させるものであり、また、分光部123に向かって光を出力するものであり、また、発光ダイオード等を用いて構成することができるものである。
【0034】
(発光)
次に、このように構成される感知器100による発光について説明する。なお、感知器100が発光するタイミングは任意であり、例えば、感知器100の試験に関する情報を出力する場合、あるいは、感知器100がサーミスタ14で検出した熱の温度に基づいて火災を判定した場合等の任意のタイミングが想定される。なお、感知器100が火災を判定する処理は、従来と同様の処理を適用することができるので、その説明は省略する。
図5は、
図4において光路を例示した図である。
【0035】
図5の感知器100の不図示の制御部が発光部15から光を出力する。この場合、当該発光部15からの光は、分光部123にて屈折、分散、又は反射されて、
図5に示すように、導光部111及び保護部12全体に導光される。なお、
図5では、説明の便宜上、図面左側の発光部15からの光の光路のみが図示されているが、実際には、図面右側の発光部15からも光が出力されて、導光部111及び保護部12全体に導光されることになる。そして、
図1の導光部111及び保護部12全体が発光することになる。
【0036】
(試験)
次に、このように構成される感知器100の試験について説明する。「試験」とは、感知器100の能力を試すことである。なお、この感知器100の試験の具体的な内容は任意であるが、例えば、後述する試験用装置を用いて火災発生を模擬して感知器100に対して熱を加えた場合に、当該感知器100が加えられた熱を検出するか否かを試す試験を行う場合について説明する。ここでは、例えば、感知器100の制御部が、サーミスタ14での温度の検出結果を取得し、取得した温度が閾値以上である場合に火災として検出し、
図4の発光部15から赤色光を出力し続けることにより、試験にて感知器100が火災を検出したことを示す情報を出力するように構成されているものとして、以下説明する。
【0037】
図6は、試験装置と感知器とを示す側面図であり、
図7は、
図4の断面図に対して試験冶具を図示した図であり、
図8は、
図4の断面図に対して試験用アダプタを図示した図である。なお、
図7及び
図8においては、説明の便宜上、試験冶具81及び試験用アダプタ82が一点鎖線で図示されている。また、この
図7及び
図8において、感知器100の一部は、試験冶具81及び試験用アダプタ82の内部の中空部に設けられて実際には見えない状態となっているが、説明の便宜上、実線で図示されている。感知器100の試験は、
図6の試験用装置800を用いて行われる。
【0038】
(試験-試験用装置)
試験用装置800は、感知器100の試験を行うために用いられる装置であり、例えば、
図6に示すように持ち手部分と試験冶具81とを備え、任意で
図8の試験用アダプタ82を備える。
【0039】
(試験-試験用装置-試験冶具)
試験冶具81は、前述の試験装置であり、具体的には、試験用装置800の棒状の持ち手部分の先端に設けられているものであり、例えば、内部に感知器100の少なくとも一部(例えば、保護部12等)を収容して熱を加えるための中空部を備える円筒形状のものであり、また、金属製のものである。この試験冶具81のサイズは任意であるが、例えば、
図7に示すように、試験冶具81の外径が感知器100の外径よりも大径となっており、また、当該試験冶具81の内径が感知器100の外径よりも小径となっている場合について説明する。
【0040】
(試験-試験用装置-試験用アダプタ)
図8の試験用アダプタ82は、前述の試験装置であり、具体的には、
図6の試験冶具81の先端側(+Z方向)に着脱自在に取り付け可能となっているものであり、例えば、試験冶具81よりも小径となるように径を変換するために用いられるものであり、例えば、円筒形状のものであり、また、金属製のものであり、また、取り付けられた場合に試験冶具81の中空部と連続する中空部を備えるものである。この試験用アダプタ82のサイズは任意であるが、例えば、
図8に示すように、試験用アダプタ82の外径が感知器100の外径よりも小径となっている場合について説明する。
【0041】
(試験-具体的内容)
次に、試験用アダプタ82を用いずに試験を行う場合と、試験用アダプタ82を用いて試験を行う場合について説明する。
【0042】
まず、試験用アダプタ82を用いずに試験を行う場合、
図7に示すように試験冶具81を感知器100に当接させて当該感知器100の一部(例えば、保護部12等)を試験冶具81の中空部に収容した状態で、当該試験冶具81の中空部側から熱を加える。この場合、感知器100の制御部で、火災として検出し、
図4の発光部15から赤色光を出力する。そして、前述したように、赤色光が導光部111及び保護部12に導光されて、導光部111及び保護部12全体が発光することになる。この場合、導光部111の一部及び保護部12は、
図7に示すように試験冶具81に隠れて外部から視認不可能となっているが、導光部111における外カバー11の側面部側の一部である側方部111Aが露出しているので、当該側方部111Aの赤色の発光が視認可能となる。このため、ユーザは、当該側方部111Aの赤色の発光を視認することにより、試験に関する情報を把握することが可能となる。
【0043】
次に、試験用アダプタ82を用いて試験を行う場合、
図8に示すように試験用アダプタ82を感知器100に正面部側から当接させて当該感知器100の一部(例えば、保護部12等)を試験用アダプタ82の中空部に収容した状態で、当該試験用アダプタ82の中空部側から熱を加える。この場合、感知器100の制御部は、熱を検出した上で、
図4の発光部15から赤色光を出力する。そして、前述したように、赤色光が導光部111及び保護部12に導光されて、導光部111及び保護部12全体が発光することになる。この場合、導光部111の一部及び保護部12は、
図8に示すように試験冶具81に隠れて外部から視認不可能となっているが、導光部111における外カバー11の側面部側の一部である側方部111A、及び導光部111における外カバー11の正面部の縁部に形成されている一部である正面側縁部111Bが露出しているので、当該側方部111A及び正面側縁部111Bの赤色の発光が視認可能となる。このため、ユーザは、当該側方部111A及び正面側縁部111Bの赤色の発光を視認することにより、試験に関する情報を把握することが可能となる。
【0044】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、表示手段である導光部111の表示面の少なくともの一部は、感知器100の試験を行うために、外カバー11の少なくとも一部が試験冶具81又は試験用アダプタ82で覆われた場合に、当該試験冶具81又は試験用アダプタ82の外側に露出することにより、例えば、試験冶具81又は試験用アダプタ82で感知器100の少なくとも一部を覆った状態でも、導光部111の一部を視認可能にすることができるので、試験に関する情報を把握させることが可能となる。
【0045】
また、表示手段は外カバー11の側面部に形成されている側方部111Aを含むことにより、例えば、感知器100に対するあらゆる方向から表示手段を視認させることができるので、試験に関する情報を確実に把握させることが可能となる。
【0046】
また、表示手段は外カバー11の正面部における縁部に形成されている正面側縁部111Bを含むことにより、例えば、感知器100の真下からも表示手段を視認させることができるので、試験に関する情報を確実に把握させることが可能となる。
【0047】
また、表示手段は導光部111の一部であることにより、例えば、表示手段に対する光源である発光部15の設置位置の自由度を向上させることができるので、感知器100の設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0048】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態においては、表示手段が薄肉部である場合について説明する。なお、この実施の形態2の各構成については、特記する場合を除いて、実施の形態1の同一名称の各構成と同様であることとする。
【0049】
(構成-感知器)
まず、本実施の形態に係る感知器の構成について説明する。
図9は、本発明の実施の形態における感知器の斜視図であり、
図10は、感知器の平面図であり、
図11は、感知器の側面図であり、
図12は、
図10のB‐B断面図である。各図の感知器200は、防災機器であり、具体的には、熱を検出する熱感知器であり、例えば、天井面である取付対象900に対して
図11の感知器200の取付部201を介して取り付けられているものであり、一例としては、
図9の外カバー21、保護部22、防止部23、
図12のサーミスタ24、発光部25を備える。
【0050】
(構成-感知器-外カバー)
図9の外カバー21は、感知器200の構成要素の少なくとも一部を覆うものである。この外カバー21の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、光を全部又は一部のみ遮るものであり、また、
図10の薄肉部211を備えるものである。
【0051】
薄肉部211とは、表示手段であり、また、外カバー21における厚さが他の部分に比べて相対的に薄い部分である。この薄肉部211の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、照射された光のうちの少なくとも一部を透過可能な程度に薄い部分(つまり、照射された光のうちの一部のみを遮光する程度に薄い部分)であり、また、外カバー21における他の部分と一体的に形成されている部分であり、また、外カバー21の正面部側(-Z方向)から外カバー21の側面部側(+X方向又は-X方向)にわたっているものであり、また、2個設けられているものであり、また、
図10に示すように、外カバー21の正面部側から見たときに直線形状のものである。
【0052】
なお、「外カバー21における他の部分」とは、外カバー21の一部であり、具体的には、外カバー21における薄肉部211以外の部分であり、例えば、照射された光のうちの全部を遮光する程度の厚みとなっている部分である。
【0053】
(構成-感知器-保護部)
図9の保護部22は、前述の検出素子保護手段である。この保護部22の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、外カバー21の一部に形成されているものであり、また、光を導いて発光するライトガイドとして機能するために任意の材料にて形成されるものであり、また、外カバー21における遮光性を有する部分とは別体として形成されているものであり、また、外カバー21における内側から外側に対して光を通すものである。また、保護部22は、例えば、
図12のサーミスタ24を保護するものであり、また、
図10のフレーム部221、開口部222、及び
図12の分光部223を備えるものである。なお、フレーム部221、開口部222、及び分光部223の構成は、実施の形態1の同一名称の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0054】
(構成-感知器-防止部、サーミスタ、発光部)
図9の防止部23、
図12のサーミスタ24、及び発光部25の構成は、実施の形態1の同一名称の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0055】
(発光)
次に、このように構成される感知器200による発光について説明する。
図13は、
図12において光路を例示した図である。
【0056】
図13の感知器200の不図示の制御部が発光部25から光を出力する。この場合、当該発光部25からの光は、分光部223にて屈折、分散、又は反射されて、
図13に示すように、薄肉部211全体に照射され、また、保護部22全体に導光される。なお、
図13では、説明の便宜上、図面左側の発光部25からの光の光路のみが図示されているが、実際には、図面右側の発光部25からも光が出力されて、薄肉部211全体に照射され、また、保護部22全体に導光されることになる。そして、
図10の薄肉部211及び保護部22全体が発光することになる。
【0057】
(試験)
次に、このように構成される感知器200の試験について説明する。
図14は、
図12の断面図に対して試験冶具を図示した図であり、
図15は、
図12の断面図に対して試験用アダプタを図示した図である。ここでは、試験用アダプタ82を用いずに試験を行う場合と、試験用アダプタ82を用いて試験を行う場合について説明する。
【0058】
まず、試験用アダプタ82を用いずに試験を行う場合、
図14に示すように試験冶具81を感知器200に当接させて当該感知器200の一部(例えば、保護部22等)を試験冶具81の中空部に収容した状態で、当該試験冶具81の中空部側から熱を加える。この場合、感知器200の制御部で、火災として検出し、
図13の発光部25から赤色光を出力する。そして、前述したように、赤色光が薄肉部211全体に照射され、また、保護部22全体に導光されることにより、薄肉部211及び保護部22全体が発光することになる。この場合、薄肉部211の一部及び保護部22は、
図14に示すように試験冶具81に隠れて外部から視認不可能となっているが、薄肉部211における外カバー21の側面部側の一部である側方部211Aが露出しているので、当該側方部211Aの赤色の発光が視認可能となる。このため、ユーザは、当該側方部211Aの赤色の発光を視認することにより、試験に関する情報を把握することが可能となる。
【0059】
次に、試験用アダプタ82を用いて試験を行う場合、
図15に示すように試験用アダプタ82を感知器200に当接させて当該感知器200の一部(例えば、保護部22等)を試験用アダプタ82の中空部に収容した状態で、当該試験用アダプタ82の中空部側から熱を加える。この場合、感知器200の制御部で、火災として検出し、
図13の発光部25から赤色光を出力する。そして、前述したように、薄肉部211全体に照射され、また、保護部22全体に導光されることにより、薄肉部211及び保護部22全体が発光することになる。この場合、薄肉部211の一部及び保護部22は、
図15に示すように試験冶具81に隠れて外部から視認不可能となっているが、薄肉部211における外カバー21の側面部側の一部である側方部211A、及び薄肉部211における外カバー21の正面部の縁部に形成されている一部である正面側縁部211Bが露出しているので、当該側方部211A及び正面側縁部211Bの赤色の発光が視認可能となる。このため、ユーザは、当該側方部211A及び正面側縁部211Bの赤色の発光を視認することにより、試験に関する情報を把握することが可能となる。
【0060】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、表示手段は薄肉部211の一部であることにより、例えば、発光させるための他の構成要素を設けることが不要となるので、部品点数を減少させることができ、コストの低減を図ることが可能となる。
【0061】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0062】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0063】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。
【0064】
(導光部及び薄肉部について)
また、実施の形態1では、
図2に示すように、導光部111が外カバー11の正面部側から見たときに直線形状である場合について説明したが、これに限らない。例えば、導光部111を外カバー11の正面部側から見たときに曲線形状(例えば、全体としてはS字形状)としてもよい。なお、実施の形態2の
図10の薄肉部211についても、同様にして、曲線形状(例えば、全体としてはS字形状)としてもよい。
【0065】
また、各実施の形態では、導光部及び薄肉部が2個ずつ設けられている場合について説明したが、これに限らない。例えば、導光部及び薄肉部を省略してもよいし、あるいは、1個ずつ設けてもよいし、又は、3個以上ずつ設けてもよい。
【0066】
(突出部について)
また、各実施の形態の感知器に対して突出部を設けて、当該突出部を表示手段として用いてもよい。
図16は、感知器の平面図であり、
図17は、
図16のC‐C断面図に対して試験冶具を図示した図である。突出部の具体的な実装手法は任意であるが、例えば、実施の形態1の
図2の導光部111におけるX軸方向における長さを伸ばすことにより、
図16に示すように、導光部111と同様な構成の導光部311の先端を突出部311Aとして構成してもよい。このように構成した感知器300の場合、
図17に示すように試験冶具81を設けた場合に、導光部311の一部である突出部311Aが当該試験冶具81から露出することになるので、試験時に発光部からの光によって突出部311Aが発光した場合に、ユーザが当該発光を視認することが可能となる。このように構成した場合、表示手段である突出部311Aは感知器300の外カバーの側面部から突出していることにより、例えば、表示手段である突出部311Aを確実に視認させることができるので、試験に関する情報を確実に把握させることが可能となる。
【0067】
また、例えば、実施の形態2の感知器200についても、外カバー21の外形を
図16の感知器300と同様に突出部を備える外形とした上で、当該突出部を薄肉部とすることにより、当該突出部を表示手段として構成してもよい。
【0068】
また、例えば、導光部又は薄肉部以外の表示灯(例えば、従来と同様な砲弾型の表示灯等)を感知器の側面に設けることにより、当該等を突出部である表示手段として構成してもよい。
【0069】
(特徴について)
また、上記各実施の形態の構成、及び変形例の特徴を、任意に組み合わせてもよい。例えば、
図2の感知器100における外カバー11に対して薄肉部を設けて、導光部111と共に当該薄肉部を発光させるように構成してもよいし、あるいは、
図10の感知器200における外カバー11に対して導光部を設けて、薄肉部211と共に導光部を発光させるように構成してもよい。
【0070】
(付記)
付記1の防災機器は、防災機器であって、外カバーと、発光することにより少なくとも前記防災機器の試験に関する情報を出力する表示手段であって、前記外カバーに設けられている前記表示手段と、を備え、前記表示手段の表示面の少なくとも一部は、前記防災機器の試験を行うために、前記外カバーの少なくとも一部が試験装置で覆われた場合に、当該試験装置の外側に露出する。
【0071】
付記2の防災機器は、付記1に記載の防災機器において、前記表示手段は、前記外カバーの側面部から突出している。
【0072】
付記3の防災機器は、付記1又は2に記載の防災機器において、前記表示手段は、少なくとも、前記外カバーの側面部に形成されている。
【0073】
付記4の防災機器は、付記1から3の何れか一項に記載の防災機器において、前記表示手段は、少なくとも、前記外カバーの正面部における縁部に形成されている。
【0074】
付記5の防災機器は、付記1から4の何れか一項に記載の防災機器において、前記表示手段は、前記外カバーに形成されている導光手段であって、発光手段からの光を導光する前記導光手段である。
【0075】
付記6の防災機器は、付記1から5の何れか一項に記載の防災機器において、前記表示手段は、前記外カバーにおける他の部分よりも薄い薄肉部であって、発光手段からの光が照射される前記薄肉部である。
【0076】
付記7の防災機器は、付記1から6の何れか一項に記載の防災機器において、前記防災機器は、少なくとも、熱感知器である。
【0077】
(付記の効果)
付記1に記載の防災機器によれば、表示手段の表示面の少なくとも一部は、防災機器の試験を行うために、外カバーの少なくとも一部が試験装置で覆われた場合に、当該試験装置の外側に露出することにより、例えば、試験装置で防災機器の少なくとも一部を覆った状態でも、表示手段を視認可能にすることができるので、試験に関する情報を把握させることが可能となる。
【0078】
付記2に記載の防災機器によれば、表示手段は外カバーの側面部から突出していることにより、例えば、表示手段を確実に視認させることができるので、試験に関する情報を確実に把握させることが可能となる。
【0079】
付記3に記載の防災機器によれば、表示手段は外カバーの側面部に形成されていることにより、例えば、防災機器に対するあらゆる方向から表示手段を視認させることができるので、試験に関する情報を確実に把握させることが可能となる。
【0080】
付記4に記載の防災機器によれば、表示手段は外カバーの正面部における縁部に形成されていることにより、例えば、防災機器の真下からも表示手段を視認させることができるので、試験に関する情報を確実に把握させることが可能となる。
【0081】
付記5に記載の防災機器によれば、表示手段は導光部であることにより、例えば、表示手段に対する光源(例えば、発光手段)の設置位置の自由度を向上させることができるので、防災機器の設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0082】
付記6に記載の防災機器によれば、表示手段は薄肉部であることにより、例えば、発光させるための他の構成要素を設けることが不要となるので、部品点数を減少させることができ、コストの低減を図ることが可能となる。
【0083】
付記7に記載の防災機器によれば、防災機器は少なくとも熱感知器であることにより、例えば、試験装置で防災機器の少なくとも一部を覆った状態でも、試験に関する情報を把握させることができる熱感知器を提供することができる。
【符号の説明】
【0084】
11 外カバー
12 保護部
13 防止部
14 サーミスタ
15 発光部
21 外カバー
22 保護部
23 防止部
24 サーミスタ
25 発光部
81 試験冶具
82 試験用アダプタ
100 感知器
101 取付部
111 導光部
111A 側方部
111B 正面側縁部
112 操作孔
121 フレーム部
122 開口部
123 分光部
200 感知器
201 取付部
211 薄肉部
211A 側方部
211B 正面側縁部
221 フレーム部
222 開口部
223 分光部
311 導光部
311A 突出部
800 試験用装置
900 取付対象