(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086818
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】B7-H4抗体製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240621BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240621BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240621BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240621BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240621BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20240621BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240621BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20240621BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240621BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20240621BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240621BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/10
A61K9/08
A61K38/17 100
A61P35/00
A61P15/00
A61P11/00
A61P1/18
A61P5/14
A61P13/12
A61P13/10
A61K39/395 E
A61K39/395 T
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024062282
(22)【出願日】2024-04-08
(62)【分割の表示】P 2020544477の分割
【原出願日】2019-02-21
(31)【優先権主張番号】62/633,537
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515302853
【氏名又は名称】ファイヴ プライム セラピューティクス インク
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ヨン チュアン
(72)【発明者】
【氏名】チン-イー フアン
(72)【発明者】
【氏名】ハルジート シン ガンダ
(57)【要約】
【課題】B7-H4抗体製剤の提供。
【解決手段】本開示は、ヒトB7-H4(及び任意でカニクイザル、マウス及び/またはラットのB7-H4)に特異的に結合する抗体及びその抗原結合断片を含む医薬組成物を提供する。本開示はまた、そのような医薬組成物を投与することによってがんのような障害を治療する方法も提供する。特定の態様では、医薬組成物は、(i)ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片と、(ii)酢酸塩またはクエン酸塩から成る群から選択される緩衝液と、(iii)糖とを含み、組成物のpHは約4.5~約6または4.5~6である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.B7-H4抗体を含む医薬組成物及びそのような製剤を使用する方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
2.B7-H4(B7x、B7-S1、及びVTCN1としても知られる)は、PD-L1を含む他のB7ファミリーメンバーと相同性を共有する免疫調節分子である。それは、IgVとIgC双方の細胞外ドメインで構成されるI型の膜貫通タンパク質である。健康な組織におけるB7-H4の発現はタンパク質レベルでは比較的限定されている一方で、B7-H4は乳房、卵巣、子宮内膜の婦人科がんのようないくつかの固形腫瘍にて発現する。腫瘍におけるB7-H4の発現は予後不良と相関する傾向がある。B7-H4の受容体は不明であるが、T細胞に発現していると考えられている。B7-H4はT細胞活性を直接阻害すると考えられている。
【0003】
B7-H4の発現及び機能を考慮して、B7-H4の調節を含む治療法、例えばがんの治療のためにB7-H4に特異的に結合する抗体が開発されている。したがって、そのような治療の施用のためのB7-H4抗体及びその抗原結合断片を含む医薬組成物についてのニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
3.本明細書で提供されるのは、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物である。
【0005】
特定の態様では、医薬組成物は、(i)ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片と、(ii)酢酸塩またはクエン酸塩から成る群から選択される緩衝液と、(iii)糖とを含み、組成物のpHは約4.5~約6または4.5~6である。
【0006】
特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片は20502のCDRを含む。
【0007】
特定の態様では、医薬組成物は、(i)ヒトB7-H4に特異的に結合し、20502のCDRを含む抗体またはその抗原結合断片と、(ii)緩衝液と、(iii)約4.5~pH約6または4.5から6のpHとを含む。
【0008】
特定の態様では、20502のCDRは、Kabatが定義したCDR、Chothiaが定義したCDR、またはAbMの定義のCDRである。特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号5~10の重鎖可変領域(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、VH CDR3及び軽鎖可変領域(VL)CDR1、CDR2、及びCDR3の配列を含む。
【0009】
特定の態様では、医薬組成物は、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を45%以下で含む。特定の態様では、医薬組成物は、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を40%以下で含む。特定の態様では、医薬組成物は、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、組成物は、5℃での6ヵ月後に抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を約35%~約45%含む。特定の態様では、医薬組成物は、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を35%~45%含む。特定の態様では、組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を20%以下で含む。
【0010】
特定の態様では、医薬組成物は、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、組成物は5℃での6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を20%以下で含む。特定の態様では、医薬組成物は、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、組成物は5℃での6か月後、抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を約9%~約18%含む。特定の態様では、医薬組成物は、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、組成物は5℃での6か月後、抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を9%~18%含む。特定の態様では、組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を45%以下で含む。特定の態様では、組成物は、5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を40%以下で含む。
【0011】
特定の態様では、医薬組成物は、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性及び塩基性の変異体を60%以下で含む。特定の態様では、組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性及び塩基性の変異体を55%以下で含む。特定の態様では、組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を45%以下で含む。特定の態様では、組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を40%以下で含む。特定の態様では、組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体20%以下で含む。
【0012】
特定の態様では、医薬組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を約30%~約40%含む。特定の態様では、医薬組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を30%~40%含む。特定の態様では、医薬組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を約35%~約40%含む。特定の態様では、医薬組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を35%~40%含む。
【0013】
特定の態様では、医薬組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を約10%~約17%含む。特定の態様では、医薬組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を10%~17%を含む。特定の態様では、医薬組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を約11%~約16%含む。特定の態様では、医薬組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の基本変異体を11%~16%含む。
【0014】
特定の態様では、組成物は5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性及び塩基性の変異体を55%以下で含む。
【0015】
特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片は20502のCDRを含む。特定の態様では、20502のCDRは、Kabatが定義したCDR、Chothiaが定義したCDR、またはAbMの定義のCDRである。特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号5~10の重鎖可変領域(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、VH CDR3及び軽鎖可変領域(VL)CDR1、CDR2、及びCDR3の配列を含む。
【0016】
特定の態様では、組成物のpHは約4.5~約6、または4.5~6である。
【0017】
特定の態様では、組成物は緩衝液を含む。特定の態様では、緩衝液は酢酸塩またはクエン酸塩である。
【0018】
特定の態様では、組成物はさらに糖を含む。特定の態様では、糖はスクロース、ソルビトール、及びトレハロースから成る群から選択される。
【0019】
特定の態様では、緩衝液の濃度は約15~約25mMである。特定の態様では、緩衝液の濃度は15~25mMである。特定の態様では、緩衝液の濃度は約18mM~約22mMである。特定の態様では、緩衝液の濃度は18mM~22mMである。特定の態様では、緩衝液の濃度は約20mMである。特定の態様では、緩衝液の濃度は20mMである。
【0020】
特定の態様では、糖の濃度は約225mM~約300mMである。特定の態様では、糖の濃度は225mM~300mMである。特定の態様では、糖の濃度は約250mM~約290mMである。特定の態様では、糖の濃度は250mM~290mMである。特定の態様では、糖の濃度は約270mMである。特定の態様では、糖の濃度は270mMである。
【0021】
特定の態様では、糖の濃度は緩衝液の濃度の約10~約15倍である。特定の態様では、糖の濃度は緩衝液の濃度の10~15倍である。特定の態様では、糖の濃度は緩衝液の濃度の約13.5倍である。特定の態様では、糖の濃度は緩衝液の濃度の13.5倍である。
【0022】
特定の態様では、組成物はさらに界面活性剤を含む。特定の態様では、界面活性剤はポリソルベートである。特定の態様では、ポリソルベートはポリソルベート20である。特定の態様では、ポリソルベートの濃度は、約0.025%~約0.075重量/体積(w/v)%である。特定の態様では、組成物はさらに界面活性剤を含む。特定の態様では、界面活性剤はポリソルベートである。特定の態様では、ポリソルベートはポリソルベート20である。特定の態様では、ポリソルベートの濃度は0.025%~0.075重量/体積(w/v)%である。特定の態様では、ポリソルベートの濃度は約0.035%~約0.065重量/体積(w/v)%である。特定の態様では、ポリソルベートの濃度は0.035%~0.065重量/体積(w/v)%である。特定の態様では、ポリソルベートの濃度は約0.005重量/体積(w/v)%である。特定の態様では、ポリソルベートの濃度は0.005重量/体積(w/v)%である。
【0023】
特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片(その酸性及び塩基性の変異体を含む)の濃度は約5mg/ml~約30mg/mlである。特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片(その酸性及び塩基性の変異体を含む)の濃度は5mg/ml~30mg/mlである特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片(その酸性及び塩基性の変異体を含む)の濃度は約10mg/mlから約25mg/mlである。特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片(その酸性及び塩基性の変異体を含む)の濃度は10mg/ml~25mg/mlである。特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片(その酸性及び塩基性の変異体を含む)の濃度は約20mg/mlである。特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片(その酸性及び塩基性の変異体を含む)の濃度は20mg/mlである。
【0024】
特定の態様では、組成物のpHは約5.0~約6.0である。特定の態様では、組成物のpHは5.0~6.0である。特定の態様では、pHは約5である。特定の態様では、pHは5である。特定の態様では、pHは約5.5である。特定の態様では、pHは5.5である。
【0025】
特定の態様では、組成物は液体である。特定の態様では、組成物は非経口投与用である。特定の態様では、組成物は静脈内投与用である。
【0026】
特定の態様では、緩衝液は酢酸塩であり、賦形剤はスクロースである。特定の態様では、組成物は、約20mMの酢酸塩と、約270mMのスクロースと、約20mg/mlの抗体またはその抗原結合断片と、約0.05%のポリソルベート20とを含み、pHは約5.0である。特定の態様では、組成物は、酢酸塩の濃度の約13.5倍である濃度のスクロースと、約20mg/mlの抗体またはその抗原結合断片と、約0.05%のポリソルベート20とを含み、pHは約5.0である。特定の態様では、組成物は、20mMの酢酸塩と、270mMのスクロースと、20mg/ml抗体またはその抗原結合断片と、0.05%ポリソルベート20とを含み、pHは5.0である。特定の態様では、組成物は、酢酸塩の濃度の13.5倍である濃度のスクロースと、20mg/mlの抗体またはその抗原結合断片と、0.05%のポリソルベート20とを含み、pHは5.0である。
【0027】
特定の態様では、緩衝液はクエン酸塩であり、賦形剤はスクロースである。特定の態様では、組成物は、約20mMのクエン酸塩と、約270mMのスクロースと、約20mg/mlの抗体またはその抗原結合断片と、約0.05%のポリソルベート20とを含み、pHは約5.5である。特定の態様では、組成物は、クエン酸塩の濃度の約13.5倍である濃度のスクロースと、20mg/mlの抗体またはその抗原結合断片と、約0.05%ポリソルベート20とを含み、pHは約5.5である。特定の態様では、組成物は、20mMのクエン酸塩と、270mMのスクロースと、20mg/mlの抗体またはその抗原結合断片と、0.05%のポリソルベート20とを含み、pHは5.5である。特定の態様では、組成物は、クエン酸塩の濃度の13.5倍である濃度のスクロースと、20mg/mlの抗体またはその抗原結合断片と、0.05%ポリソルベート20とを含み、pHは5.5である。
【0028】
特定の態様では、抗体は配列番号11で示されるアミノ酸配列を含むVH、及び/または配列番号12で示されるアミノ酸配列を含むVL領域を含む。特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号21で示されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び/または配列番号22で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0029】
特定の態様では、組成物における抗体またはその抗原結合断片の少なくとも95%が非フコシル化される。特定の態様では、フコシル化は組成物では検出されない。
【0030】
特定の態様では、組成物は完全長抗体を含む。
【0031】
特定の態様では、組成物は抗原結合断片を含む。特定の態様では、抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH2、ミニボディ、F(ab’)3、テトラボディ、トリアボディ、ジアボディ、単一ドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb2、(scFv)2、またはscFv-Fcを含む。
【0032】
特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片はカニクイザルB7-H4に特異的に結合する。特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片はラットB7-H4に特異的に結合する。特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片はマウスB7-H4に特異的に結合する。
【0033】
特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4のIgVドメインに特異的に結合する。
【0034】
特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片のpIは約8.2である。特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片のpIは8.2である。
【0035】
特定の態様では、医薬組成物は、(i)配列番号21で示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び/または配列番号22で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体と、(ii)約20mMの酢酸塩と、(iii)約270mMのスクロースと、(iv)約0.05重量/体積%のポリソルベート20とから成り、組成物のpHは約5.0である。特定の態様では、医薬組成物は、(i)配列番号21で示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び/または配列番号22で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体と、(ii)20mMの酢酸塩と、(iii)270mMのスクロースと、(iv)0.05%重量/体積%のポリソルベート20とから成り、組成物のpHは5.0である。
【0036】
特定の態様では、医薬組成物は、(i)配列番号21で示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び/または配列番号22で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体と、(ii)約20mMのクエン酸塩と、(iii)約270mMのスクロースと、(iv)約0.05%重量/体積%のポリソルベート20とから成り、組成物のpHは約5.5である。特定の態様では、医薬組成物は、(i)配列番号21で示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び/または配列番号22で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体と、(ii)20mMのクエン酸塩と、(iii)270mMのスクロースと、(iv)0.05%重量/体積%のポリソルベート20とから成り、組成物のpHは5.5である。
【0037】
特定の態様では、シリンジまたはバイアルは本明細書で提供されている医薬組成物を含む。
【0038】
特定の態様では、対象にてB7-H4を発現しているがんを治療する方法は、本明細書で提供されている医薬組成物を対象に投与することを含む。特定の態様では、がんは固形腫瘍である。特定の態様では、がんは、乳癌、乳管癌、子宮内膜癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、膵臓癌、甲状腺癌、腎臓癌、及び膀胱癌から成る群から選択される。特定の態様では、乳癌は、トリプルネガティブ乳癌またはホルモン受容体陽性乳癌である。特定の態様では、非小細胞肺癌は扁平上皮癌である。
【0039】
特定の態様では、対象はヒトである。
【0040】
特定の態様では、医薬組成物は非経口投与される。他の実施形態では、医薬組成物は静脈内投与される。
4.
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】UNitシステムで測定されたさまざまなpH条件下でのB7-H4抗体「20502」(非フコシル化)のアンフォールディング温度(Tm1)を示す図である。(実施例3を参照)
【
図2】サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)で測定したときの40℃でのB7-H4抗体「20502」(非フコシル化)の凝集体形成に対する緩衝液pHの影響を示す図である。各pHについての製剤を表13に示す。高分子量(HMW)の比率は、調べたすべてのpHについてT0でほぼ0だった。(実施例3を参照)
【
図3】SE-HPLCで測定したとき40℃での断片形成に対する緩衝液pHの影響を示す図である。各pHについての製剤を表13に示す。低分子量(LMW)の比率は、調べたすべてのpHについてT0でほぼ0だった。(実施例3を参照)
【
図4】20mMのクエン酸と、270mMスクロースと、0.05%ポリソルベート20(PS20)とを含む製剤における40℃での凝集体形成(SE-HPLCで測定)に対する緩衝液pHの影響を示す図である。(実施例4を参照)
【
図5】20mMクエン酸塩と、270mMスクロースと、0.05%のPS20とを含有する製剤における40℃での断片形成(SE-HPLCで測定したとき)に対する緩衝液pHの影響を示す図である。LMWの比率は、調べたすべてのpHについてT0でほぼ0だった。(実施例4を参照)
【
図6】40℃での酸性変異体(画像化キャピラリー等電点電気泳動(iCE)によって測定したとき)に対する緩衝液のpHの影響を示す図である。(実施例4を参照)
【
図7】40℃での凝集体形成(SE-HPLCで測定したとき)に対する緩衝液の種類の影響を示す図である。(実施例5を参照)
【
図8】40℃での断片形成(SE-HPLCで測定したとき)に対する緩衝液の種類の影響を示す図である。(実施例5を参照)
【
図9】40℃での酸性変異体形成(iCEで測定したとき)に対する緩衝液の種類の影響を示す図である。(実施例5を参照)
【
図10】40℃での塩基性変異体形成(iCEで測定したとき)に対する緩衝液の種類の影響を示す図である。(実施例5を参照)
【
図11】40℃での凝集体形成(SE-HPLCで測定したとき)に対する賦形剤の影響を示す図である。(実施例6を参照)
【
図12】40℃での断片形成(SE-HPLCで測定したとき)に対する賦形剤の影響を示す図である。(実施例6を参照)
【
図13】40℃での酸性変異体(iCEで測定したとき)に対する賦形剤の影響を示す図である。(実施例6を参照)
【
図14】40℃での塩基性変異体(iCEで測定したとき)に対する賦形剤の影響を示す図である。(実施例6を参照)
【
図15】選択した製剤における20502(非フコシル化)の示差走査熱量測定(DSC)プロファイルを示す図である。(実施例6を参照)
【発明を実施するための形態】
【0042】
5.本明細書で提供されるのは、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物である。医薬組成物は、例えば、長期保存条件下で、繰り返しの凍結融解サイクル(例えば、少なくとも5サイクル)を経て、及び/または撹拌を経て安定であることができる。
【0043】
本明細書で提供されるように、B7-H4抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物は、約4.5~約6のpH、B7-H4抗体またはその抗原結合断片(例えば、約5~約25mg/mlの濃度で)、緩衝液(酢酸塩またはクエン酸塩を含むがこれらに限定されない)、賦形剤(スクロース、トレハロース、及びソルビトールを含むがこれらに限定されない)、及び/または界面活性剤(ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20(PS20)を含むがこれに限定されない)を有することができる。
【0044】
特定の実施形態では、pH5.0での20mMの酢酸塩、270mMのスクロース、及び0.05%PS20にて20mg/mLの抗B7-H4抗体(例えば、非フコシル化抗体20502)を含有する液体水性医薬組成物が本明細書で提供される。別の特定の実施形態では、pH5.5での20mMのクエン酸塩、270mMのスクロース、及び0.05%PS20にて20mg/mLの抗B7-H4抗体(例えば、非フコシル化抗体20502)を含有する液体水性医薬組成物が本明細書で提供される。
【0045】
本明細書で提供されている医薬組成物は、がんのような状態を治療するのに有用であることができる。
【0046】
5.1 用語
本明細書で使用されるとき、「B7-H4」という用語は、ネイティブのB7-H4ポリペプチド及びB7-H4ポリペプチドのアイソフォームを含むがこれらに限定されない哺乳動物B7-H4ポリペプチドを指す。「B7-H4」は完全長、未処理のB7-H4ポリペプチド、と同様に細胞内の処理から生じるB7-H4ポリペプチドの形態を包含する。「B7-H4ポリヌクレオチド」、「B7-H4ヌクレオチド」または「B7-H4核酸」は、B7-H4をコードするポリヌクレオチドを指す。
【0047】
「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介して、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、または前述の組み合わせのような標的を認識しこれに特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。本明細書で使用されるとき、「抗体」という用語は、インタクトのポリクローナル抗体、インタクトのモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体を含む融合タンパク質、及び当該抗体が所望の生物活性を示す限り任意の他の修飾された免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと呼ばれる重鎖定常ドメインの独自性に基づいて5つの主な免疫グロブリンのクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、またはそれらのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)のいずれかであることができる。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる周知のサブユニット構造及び三次元構造を有する。抗体は裸であることができ、毒素、放射性同位元素等のような他の分子に結合することができる。
【0048】
「抗体断片」という用語は、インタクトな抗体の一部を指す。「抗原結合断片」、「抗原結合ドメイン」、または「抗原結合領域」は、抗原に結合するインタクトな抗体の一部を指す。抗原結合断片は、インタクトな抗体の抗原認識部位(例えば、抗原を特異的に結合するのに十分な相補性決定領域(CDR))を含有することができる。抗体の抗原結合断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、線状抗体、及び単鎖抗体が挙げられるが、これらに限定されない。抗体の抗原結合断片は、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、またはハムスター)及びヒトのような任意の動物種に由来することができ、または人工的に作製することができる。
【0049】
「抗B7-H4抗体」、「B7-H4抗体」及び「B7-H4に結合する抗体」という用語は、抗体がB7-H4を標的とすることにおいて診断薬及び/または治療薬として有用であるように、十分な親和性でB7-H4を特異的に結合することができる抗体を指す。本明細書で使用されるとき、「特異的に結合する」、「免疫特異的に結合する」、「免疫特異的に認識する」、及び「特異的に認識する」という用語は、抗体またはその抗原結合断片の文脈において類似の用語である。これらの用語は、抗体またはその抗原結合断片がその抗原結合ドメインを介してエピトープに結合すること、及び結合が抗原結合ドメインとエピトープの間にある程度の相補性を伴うことを示す。したがって、ヒトB7-H4(配列番号1)に「特異的に結合する」抗体は、他の種(例えば、カニクイザル、マウス及び/またはラットのB7-H4) 及び/または他のヒト対立遺伝子から産生されたB7-H4タンパク質にも結合してもよく、ただし関連のない非B7-H4タンパク質(例えば、PD-L1のような他のB7タンパク質ファミリーメンバー)への結合の程度は、例えば放射性免疫アッセイ(RIA)により測定されたときB7-H4に対する抗体の結合の約10%未満である。具体的な実施形態では、本明細書で提供される製剤で使用するための抗体またはその抗原結合断片は、ヒト、カニクイザル、マウス、及びラットのB7-H4に特異的に結合する。
【0050】
「モノクローナル」抗体またはその抗原結合断片は、単一の抗原決定基またはエピトープの特異性の高い認識及び結合に関与する均質な抗体または抗原結合断片の集団を指す。これは、通常は異なる抗原決定基に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体とは対照的である。「モノクローナル」抗体またはその抗原結合断片という用語は、インタクトな且つ完全長のモノクローナル抗体と同様に、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、単鎖(scFv)変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、及び抗原認識部位を含む任意の他の修飾された免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル」抗体またはその抗原結合断片は、ハイブリドーマ、ファージ選択、組み換え発現、及びトランスジェニック動物を含むが、これらに限定されないあらゆる方法で作製されるそのような抗体及びその抗原結合断片を指す。
【0051】
本明細書で使用されるとき、「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は相互交換可能に使用され、当該技術分野で一般的である。可変領域は通常、抗体の一部、一般に軽鎖または重鎖の一部を指し、通常、成熟重鎖のアミノ末端約110~120アミノ酸または110~125アミノ酸及び成熟した軽鎖の約90~115アミノ酸を指し、それらは抗体間で配列が異なり、特定の抗体の特定の抗原に対する結合と特異性に使用される。配列の変動性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中している一方で、可変ドメインにおけるさらに高度に保存された領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。特定のメカニズムまたは理論に束縛されることを望まないが、軽鎖及び重鎖のCDRは、抗体の抗原との相互作用及び特異性に主として関与すると考えられている。特定の実施形態では、可変領域はヒト可変領域である。特定の実施形態では、可変領域は、げっ歯類またはマウスのCDR及びヒトのフレームワーク領域(FR)を含む。特定の実施形態では、可変領域は霊長類(例えば、非ヒト霊長類)の可変領域である。特定の実施形態では、可変領域は、げっ歯類またはマウスのCDR及び霊長類(例えば、非ヒト霊長類)のフレームワーク領域(FR)を含む。
【0052】
「VL」及び「VLドメイン」という用語は、抗体の軽鎖可変領域を指すために相互交換可能に使用される。
【0053】
「VH」及び「VHドメイン」という用語は、抗体の重鎖可変領域を指すために相互交換可能に使用される。
【0054】
「Kabat番号付け」という用語及び同様の用語は、当該技術分野で認識されており、抗体またはその抗原結合断片の重鎖及び軽鎖可変領域におけるアミノ酸残基の番号付けの方式を指す。特定の態様では、CDRは、Kabat番号付け方式に従って決定することができる(例えば、Kabat EA & Wu TT,(1971),Ann.NY.Acad.Sci.190:382-391及びKabat,EA.et al.,(1991),Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,US Department of Health and Human Services,NIH Publication,No.91-3242を参照のこと)。Kabat番号付け方式を用いて、抗体重鎖分子内のCDRは通常、35に続く1または2の追加のアミノ酸を含めることができる(Kabatの番号付けスキームでは35A及び35Bと呼ばれる)アミノ酸の31~35位(CDR1)、アミノ酸の50~65位(CDR2)、及びアミノ酸の95~102位(CDR3)に存在する。Kabat番号付け方式を用いて、抗体軽鎖分子内のCDRは通常、アミノ酸の24~34位(CDR1)、アミノ酸の50~56位(CDR2)、及びアミノ酸の89~97位(CDR3)に存在する。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体のCDRはKabat番号付けスキームに従って決定されている。
【0055】
Cothiaは代わりに構造ループの位置を参照する(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。Kabat番号付け規則を用いて番号付けした場合、ChothiaのCDR-H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32とH34の間で異なる(これは、Kabat番号付けスキームがH35AとH35Bに挿入を置くためであり、35Aも35Bも存在しない場合、このループは32で終わり、35Aのみが存在する場合、このループは33で終わり、35A及び35Bの双方が存在する場合、このループは34で終わる)。AbMの超可変領域は、KabatのCDR及びChothiaの構造ループとの間の妥協を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデル化ソフトウェアによって使用されている。
【表A-1】
【表A-2】
【0056】
本明細書で使用されるとき、「定常領域」及び「定常ドメイン」という用語は相互交換可能であり、当該技術分野でのそれらの共通の意味を有する。定常領域は、抗体の一部であり、例えば、抗体の抗原への結合には直接関与しないが、Fc受容体との相互作用のような、さまざまなエフェクター機能を発揮できる軽鎖及び/または重鎖のカルボキシル末端部分である。免疫グロブリン分子の定常領域は一般に、免疫グロブリン可変ドメインと比べてさらに保存されたアミノ酸配列を有する。特定の態様では、抗体または抗原結合断片は、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)に十分である定常領域またはその一部を含む。
【0057】
本明細書で使用されるとき、抗体に関して使用される場合の「重鎖」という用語は、任意の異なる種類、例えば、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいてアルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ)を指すことができ、それらは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のようなIgGのサブクラスを含む、それぞれIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMのクラスの抗体を生じる。重鎖アミノ酸配列は当該技術分野で周知である。具体的な実施形態では、重鎖はヒト重鎖である。
【0058】
本明細書で使用されるとき、抗体に関して使用される場合の「軽鎖」という用語は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づく、例えばカッパ(κ)またはラムダ(λ)のような異なる種類を指すことができる。軽鎖アミノ酸配列は当技術分野で周知である。具体的な実施形態では、軽鎖はヒト軽鎖である。
【0059】
「キメラ」抗体という用語またはその抗原結合断片は、アミノ酸配列が2以上の種に由来する抗体またはその抗原結合断片を指す。通常、軽鎖及び重鎖双方の可変領域は、所望の特異性、親和性、及び機能を持つ哺乳類の一種(例えば、マウス、ラット、ウサギ等)に由来する抗体またはその抗原結合断片の可変領域に対応する一方で、その定常領域は、別の種(通常はヒト)に由来する抗体またはその抗原結合断の配列に対して相同であり、その種での免疫反応の誘発を回避する。
【0060】
「ヒト化」抗体という用語またはその抗原結合断片は、最小限の非ヒト(例えば、マウス)配列を含有する特定の免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、またはそれらの断片である非ヒト(例えば、マウス)抗体または抗原結合断片の形態を指す。通常、ヒト化抗体またはその抗原結合断片は、ヒト免疫グロブリンであって、その相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性、及び機能を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDR由来の残基で置き換えられている(「CDRグラフト」)(Jones et al.,Nature,321:522-525,(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323-327,(1988);Verhoeyen et al.,Science,239:1534-1536,(1988))。場合によっては、ヒト免疫グロブリンの特定のFvフレームワーク領域(FR)は、所望の特異性、親和性、及び機能を有する非ヒト種由来の抗体または断片における対応する残基で置き換えられる。ヒト化抗体またはその抗原結合断片を、Fvフレームワーク領域にて及び/または非ヒトCDR残基内にてさらなる残基の置換によってさらに修飾し、抗体またはその抗原結合断片の特異性、親和性、及び/または機能を改良する及び最適化することができる。一般に、ヒト化抗体またはその抗原結合断片は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域のすべてまたは実質的にすべてを含有する可変ドメインを含むのに対して、FR領域のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体またはその抗原結合断片は、通常はヒト免疫グロブリンのものである免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部も含むことができる。ヒト化抗体を生成するのに使用される方法の例は、米国特許第5,225,539号、Roguska et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,91(3):969-973(1994)、及びRoguska et al.,Protein Eng.9(10):895-904(1996)に記載されている。いくつかの実施形態では、「ヒト化抗体」は再表面化抗体である。
【0061】
「ヒト」抗体という用語またはその抗原結合断片は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するアミノ酸配列を有する抗体またはその抗原結合断片を意味し、そのような抗体または抗原結合断片は当該技術分野で既知の任意の技法を用いて作製される。ヒト抗体またはその抗原結合断片のこの定義には、インタクトなまたは完全長の抗体及びその断片が含まれる。
【0062】
「非フコシル化」抗体またはその抗原結合断片または「フコースを欠く」抗体またはその抗原結合断片は、その定常領域のグリコシル化においてフコースを欠くIgG1またはIgG3のアイソタイプ抗体またはその抗原結合断片を指す。ヒトIgG1またはIgG3のグリコシル化は、最大2つのGal残基で終わるコアのフコシル化二分岐複合オリゴ糖のグリコシル化としてAsn297にて起こる。いくつかの実施形態では、非フコシル化抗体はAsn297でフコースを欠いている。これらの構造は、末端のGal残基の量に応じてG0、G1(1、6、または1、3)、またはG2グリカン残基と呼ばれる。例えば、Raju,T.S.,BioProcess Int.1:44-53(2003)を参照のこと。抗体FcのCHO型グリコシル化は、例えば、Routier,F.FL,Glycoconjugate J.14:201-207(1997)に記載されている。
【0063】
フコースを測定する方法には当該技術分野で既知の任意の方法が挙げられる。本明細書の目的のために、フコースは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるWO2015/017600の実施例1に記載されている方法により検出される。簡単に言えば、グリカン分析は、抗体からグリカンを遊離し(例えば、酵素的遊離によって)、グリカンをアントラニル酸(2-AA)で標識し、次いで標識されたグリカンを精製することによって実施される。蛍光検出を備えた順相HPLCを用いて、グリカンを分離し、抗体における各グリカンの相対量を測定する。グリカンは質量分析によってフコースを欠いている、または含んでいると確実に同定されてもよい。いくつかの実施形態では、フコースは、複数の非フコシル化された抗体またはその抗原結合断片を含む組成物では検出できない。いくつかの実施形態では、非フコシル化された抗体またはその抗原結合断片は増強されたADCC活性を有し、それは、本明細書の実施例12で提供されるアッセイによって測定されてもよい。いくつかの実施形態では、非フコシル化された抗体またはその抗原結合断片はFcガンマRIIIAに対して増強された親和性を有する。いくつかの実施形態では、非フコシル化された抗体またはその抗原結合断片は、FcγRIIIA(V158)に対して増強された親和性を有する。いくつかの実施形態では、非フコシル化された抗体またはその抗原結合断片は、FcガンマRIIIA(F158)に対して増強された親和性を有する。FcガンマRIIIAまたはその対立遺伝子に対する親和性は、本明細書の実施例10で提供されるアッセイによって測定されてもよい。
【0064】
「結合親和性」は、一般に、分子(例えば、抗体またはその抗原結合断片)の単一結合部位とその結合相手(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。特に指示されない限り、本明細書で使用されるとき、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体またはその抗原結合断及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する、本来の結合親和性を指す。分子Xの、その相手Yに対する親和性は一般に解離定数(KD)によって表すことができる。平衡解離定数(KD)及び平衡会合定数(KA)を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の多数の方法で親和性を測定することができ、及び/または表現することができる。KDはkoff/konの商から計算されるのに対して、KAはkon/koffの商から計算される。konは、例えば、抗体またはその抗原結合断片の抗原への会合速度定数を指し、koffは、例えば、抗体またはその抗原結合断片の抗原からの解離を指す。kon及びkoffは、BIAcore(登録商標)またはKinExAのような当業者に既知の技法によって決定することができる。
【0065】
本明細書中で使用されるとき、「エピトープ」は、当該技術分野における用語であり、抗体またはその抗原結合断片が特異的に結合することができる抗原の局在化された領域を指す。エピトープは、例えば、ポリペプチドの隣接アミノ酸(線状または隣接エピトープ)であることができ、またはエピトープは、例えば、ポリペプチド(単数)またはポリペプチド(複数)の2以上の非隣接領域から集まることができる(立体構造的、非線状、不連続、または非隣接のエピトープ)。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片が特異的に結合するエピトープは、例えば、NMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISAアッセイ、質量分析(例、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析)と併せた水素/重水素交換、アレイ系のオリゴペプチド走査アッセイ、及び/または変異誘発マッピング(例:部位特異的変異誘発マッピング)によって決定することができる。X線結晶学については、結晶化は当該技術分野で既知の方法のいずれかを用いて達成されてもよい(例えば、GiegeR et al.,(1994)Acta.Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.50(Pt4):339-350;McPherson,A.(1990),Eur.J.Biochem.189:1-23;Chayen,NE.(1997)Structure,5:1269-1274;McPherson,A.(1976)J.Biol.Chem.251:6300-6303)。抗体/その抗原結合断片:抗原の結晶は、周知のX線回折技術を用いて研究することができ、X-PLORのようなコンピューターソフトウェアを用いて改良することができる(Yale University,1992,distributed by
Molecular Simulations,Inc.;see,e.g.,Meth.Enzymol(1985),volume 114&115,eds Wyckoff HW et al.,;U.S.2004/0014194),and BUSTER(Bricogne G,(1993),Acta.Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.49(Pt1):37-60;Bricogne G,(1997),Meth.Enzymol.276A:361-423,ed Carter CW;Roversi,P.et al.,(2000),Acta.Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.56,(Pt10):1316-1323)。変異誘発マッピング研究は、当業者に既知の任意の方法を用いて達成することができる。アラニン走査突然変異誘発技法を含む突然変異誘発技法の説明については、例えば、Champe,M.et al.,(1995),J.Biol.Chem.270:1388-1394及びCunningham,BC & Wells JA,(1989),Science,244:1081-1085)を参照のこと。
【0066】
「単離される」ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、自然界には見られない形態であるポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物である。単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物には、もはやそれらが自然界で見られる形態ではない程度まで精製されたものが含まれる。いくつかの実施形態では、単離されている抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、実質的に純粋である。本明細書で使用されるとき、「実質的に純粋」は、少なくとも50%純粋(すなわち、混入物質を含まない)、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも98%純粋、または少なくとも99%である材料を指す。
【0067】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は本明細書では、相互交換可能に使用されて、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。該ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含むことができ、非アミノ酸によって中断され得る。これらの用語は、自然に、または介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、もしくは任意の他の操作または修飾、例えば、標識成分とのコンジュゲーションにより修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。その定義内に含まれるのはまた、例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸等を含む)の1以上の類似体を含有するポリペプチド、と同様に当該技術分野で既知の他の修飾である。本発明のポリペプチドは抗体に基づいているので、特定の実施形態では、該ポリペプチドは一本鎖または結合鎖として存在し得ることが理解される。
【0068】
本明細書中で使用されるとき、「宿主細胞」という用語は、任意の種類の細胞、例えば、初代細胞、培養中の細胞、または細胞株由来の細胞であることができる。具体的な実施形態では、「宿主細胞」という用語は、核酸分子で形質移入された細胞及びそのような細胞の子孫または潜在的な子孫を指す。そのような細胞の子孫は、例えば、次の世代または宿主細胞ゲノムへの核酸分子の組み込みにおいて起こり得る突然変異または環境の影響に起因して、核酸分子で形質移入された親細胞と同一ではなくてもよい。
【0069】
「医薬製剤」または「医薬組成物」という用語は、活性成分の生物活性を有効にするような形態であり、且つ製剤が投与される対象にとって受け入れられない毒性である追加成分を含有しない調製物を指す。製剤は無菌であることができる。
【0070】
「医薬品」という用語は、完成した剤形、例えば、必ずしもではないが一般に、1以上の他の成分と関連して原薬を含有する液体製剤を指す。
【0071】
「原薬」という用語は、疾患の診断、治癒、緩和、治療、または予防にて薬理学的または生物学的な活性または他の直接効果をもたらすことが意図される活性成分、例えばB7-H4抗体またはその抗原結合断片(例えば、非フコシル化抗体20502)を指すが、そのような成分の合成に使用される中間体は含まれない。
【0072】
本明細書で使用されるとき、「緩衝液」は、溶液がpHbの変化に抵抗することを可能にする溶液における成分を指す。緩衝液には、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、及びヒスチジンが挙げられる。
【0073】
「安定した」製剤は、その中の活性成分(例えばB7-H4抗体またはその抗原結合断片)が保管時にその物理的安定性及び/または化学的安定性及び/または生物学的活性を実質的に保持するものである。安定性は、選択された期間の間、選択された条件(例えば、温度)で測定することができる。本明細書で提供される製剤は、室温(約25℃)で少なくとも6ヵ月間安定であることができ、及び/または約2~8℃で少なくとも1年間安定であることができる。本明細書で提供される製剤は、以後、「凍結/融解サイクル」と呼ばれる、製剤の凍結(例えば、-70℃まで)及び融解後も安定であることができる。本明細書で提供される製剤は、攪拌後も安定であることができる。
【0074】
本明細書で使用されるとき、用語「投与する」、「投与すること」、「投与」等は、生物作用の所望の部位への薬剤、例えば、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片の送達を可能にするのに使用されてもよい方法を指す(例えば、静脈内投与)。本明細書に記載されている作用剤及び方法とともに採用することができる投与技法は、例えば、Goodman及びGilman,The Pharmacological Basis of
Therapeutics,current edition,Pergamon;ならびにRemington’s,Pharmaceutical Sciences,current edition,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.にて見いだされる。
【0075】
本明細書で使用されるとき、「対象」及び「患者」という用語は相互交換可能に使用される。対象は動物であることができる。いくつかの実施形態では、対象は非ヒト動物(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、マウス、サルまたは他の霊長類等)のような哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象はカニクイザルである。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0076】
「治療上有効な量」という用語は、対象における疾患または障害を治療するのに有効な薬剤、例えば、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片の量を指す。がんの場合、治療上有効な量の薬剤はがん細胞の数を減らすことができ;腫瘍のサイズまたは負担を軽減することができ;末梢臓器へのがん細胞の浸潤をある程度阻害することができ;ある程度、腫瘍転移を阻害することができ;ある程度、腫瘍の成長を阻害することができ;がんに関連する症状の1以上をある程度緩和することができ;及び/または無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、場合によっては安定した疾患(SD)、進行性疾患の減少(PD)、進行までの時間の短縮(TTP)、またはそれらの任意の組み合わせのような良好な反応をもたらすことができる。薬剤が既存のがん細胞の成長の防ぎ及び/またはそれらの殺傷する範囲で、薬剤は細胞増殖抑制性及び/または細胞傷害性であることができる。
【0077】
「治療すること」、「治療」、「治療すること」、「緩和すること」、及び「緩和すること」のような用語は、病的状態または障害を治癒させ、その症状を減速し、軽減する及び/またはその進行を止める治療手段を指す。したがって、治療を必要とするものには、すでにその障害があると診断された、またはその疑いがあるものが含まれる。特定の実施形態では、患者が以下:がん細胞の数の減少または完全な非存在;腫瘍サイズの低下;例えば、軟組織及び骨へのがんの広がりを含む、末梢器官へのがん細胞浸潤の阻害または非存在;腫瘍転移の阻害または非存在;腫瘍増殖の阻害または非存在;特定のがんに関連する1以上の症状の緩和;罹患率と死亡率の低下;生活の質の改善;腫瘍の腫瘍形成性、腫瘍形成頻度、または腫瘍形成能の低下;腫瘍におけるがん幹細胞の数または頻度の低下;腫瘍原性細胞の非腫瘍原性状態への分化;増加した無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定した疾患(SD)、進行性疾患(PD)の減少、進行時間の短縮(TTP)、またはその任意の組み合わせの1以上を示す場合、対象は、本発明の方法に従ってがんについて首尾よく「治療」されている。
【0078】
「がん」及び「がん性」という用語は、細胞の集団が制御されていない細胞増殖を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指す、または記載する。がんの例には、婦人科癌(例えば、乳癌(トリプルネガティブ乳癌を含む)、乳管癌、卵巣癌、及び子宮内膜癌)、非小細胞肺癌、膵臓癌、甲状腺癌、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)及び膀胱癌(例えば、尿路上皮細胞癌)が挙げられるが、これらに限定されない。がんは、「B7-H4を発現するがん」または「B7-H4を発現しているがん」であることができる。そのような用語は、B7-H4を発現している細胞を含むがんを指す。がんは原発腫瘍であってもよいし、または進行がんまたは転移がんであってもよい。
【0079】
「不応性」がんとは、化学療法剤のような抗腫瘍治療ががん患者に投与されているにもかかわらず進行するがんである。
【0080】
「再発性」がんとは、初期療法に応答した後に、初期の部位または遠位部位で再増殖しているがんである。
【0081】
「再発」患者は、寛解後にがんの兆候または症状を有する者である。任意に、患者は、アジュバントまたはネオアジュバント療法後に再発した。
【0082】
本開示及びクレームで使用されるとき、単数形態「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0083】
実施形態が本明細書で「comprising(含む)」という言葉で説明される場合は常に、そうでなければ「consisting of(から成る)」及び/または 「consisting essentially of(から本質的に成る)」という用語で説明される類似の実施形態も提供されることが理解される。本開示では、「comprises(含む)」、「comprising(含むこと)」、「containing(含有すること)」、及び「having(有すること)」等は、米国特許法においてそれらに帰せられる意味を有することができ、「includes(含む)」及び「including(含むこと)」等を意味することができ;「consisting essentially of(から本質的に成る)」または「consisting essentially(本質的に成る)」は同様に、米国特許法において帰せられる意味を有し、用語は制限がなく、引用されるものの基本的または新規の特徴が引用されるもの以上のものの存在によって変化しない限り、引用されるもの以上のものの存在を許容するが、先行技術の実施形態は除外する。
【0084】
具体的に述べられるか、文脈から明らかでない限り、本明細書で使用されるとき、「または」という用語は包括的であることが理解される。「及び/または」という用語は、本明細書で「A 及び/またはB」のような表現で使用されるとき、「A及びB」、「AまたはB」、「A」及び「B」の双方を含むことが意図される。同様に、「及び/または」という用語は「A、B、及び/またはC」のような表現で使用されるとき、以下の各実施形態:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AとC;AとB;BとC;A(単独);B(単独);及びC(単独)のそれぞれを包含することが意図される。
【0085】
本明細書で使用されるとき、「約」及び「およそ」という用語は、数値または数値範囲を変更するために使用される場合、値または範囲の5%~10%を上回る及び5%~10%を下回る逸脱は引用された値または範囲の意図された意味の範囲内にとどまることを示す。
【0086】
本明細書で提供される任意の組成物または方法は、本明細書で提供される他の組成物及び方法のいずれかの1以上と組み合わせることができる。
【0087】
5.2 B7-H4抗体を含む医薬組成物
本明細書で提供されるのは、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片(例えば、以下のセクション5.3で論じられるような)を含む医薬組成物(例えば、水性医薬組成物)である。
【0088】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物は、複数の凍結融解サイクルに対して安定である。凍結融解サイクルは、医薬組成物を(例えば、約-70℃の温度で)凍結し、次いで医薬組成物を(例えば、室温で)融解することを含むことができる。医薬組成物は、少なくとも5回の凍結融解サイクルを経て安定であることができる。凍結融解サイクル(例えば、少なくとも5回の凍結融解サイクル)は、外観、可溶性凝集物、または目に見えない粒子状物質に変化を生じなくてもよい。
【0089】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物は撹拌を経て安定である。攪拌は、室温での約3日間の振盪(例えば、オービタルシェーカーで約300回転/分)を含むことができる。攪拌は、外観、可溶性凝集体、電荷変異体プロファイル、または目に見えない粒子状物質に変化を生じなくてもよい。
【0090】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物は長期保存条件下で安定である。長期保存条件は、約5℃(例えば、約2℃~約8℃)での約6ヵ月または約1年の保存を含むことができる。長期保存条件は、約25℃で約6ヵ月または約1年の保存を含むことができる。長期保存条件は、約40℃での約3ヵ月、約6ヵ月または約1年の保存を含むことができる。
【0091】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物は、複数(例えば、少なくとも5回)の凍結融解サイクルに対して安定であり、攪拌を経て安定であり、及び/または長期保存条件下で安定である。
【0092】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物は、約-70℃で保存した場合、及び約2℃~約8℃で約1年間保存した場合安定である。
【0093】
特定の実施形態では、医薬組成物はB7-H4抗体またはその抗原結合断片を含有することができる。特定の実施形態では、製剤におけるB7-H4抗体またはその抗原結合断片(その酸性及び塩基性の変異体を含む)の濃度は約5mg/ml~約30mg/mlである。特定の実施形態では、医薬組成物におけるB7-H4抗体またはその抗原結合断片(その酸性及び塩基性の変異体を含む)の濃度は約10mg/ml~約25mg/mlである。特定の実施形態では、医薬組成物におけるB7-H4抗体またはその抗原結合断片(その酸性及び塩基性の変異体を含む)の濃度は約20mg/mlである。
【0094】
特定の実施形態では、製剤におけるB7-H4抗体またはその抗原結合断片(その酸性及び塩基性の変異体を含む)の濃度は5mg/ml~30mg/mlである。特定の実施形態では、医薬組成物におけるB7-H4抗体またはその抗原結合断片(その酸性及び塩基性の変異体を含む)の濃度は10mg/ml~25mg/mlである。特定の実施形態では、医薬組成物におけるB7-H4抗体またはその抗原結合断片(その酸性及び塩基性の変異体を含む)の濃度は20mg/mlである。
【0095】
本明細書で提供されているように、医薬組成物は緩衝液を含有することができる。特定の実施形態では、緩衝液は酢酸塩である。特定の実施形態では、緩衝液はクエン酸塩である。特定の実施形態では、緩衝液(例えば、酢酸塩またはクエン酸塩)の濃度は約15mM~約25mMである。特定の実施形態では、緩衝液(例えば、酢酸塩またはクエン酸塩)の濃度は約18mMから約22mMである。特定の実施形態では、緩衝液(例えば、酢酸塩またはクエン酸塩)の濃度は約20mMである。
【0096】
特定の実施形態では、緩衝液(例えば、酢酸塩またはクエン酸塩)の濃度は15mM~25mMである。特定の実施形態では、緩衝液(例えば、酢酸塩またはクエン酸塩)の濃度は18mM~22mMである。特定の実施形態では、緩衝液(例えば、酢酸塩またはクエン酸塩)の濃度は20mMである。
【0097】
本明細書で提供されているように、医薬組成物は、賦形剤、例えば、スクロース、ソルビトール、またはトレハロースのような糖を含有することができる。いくつかの実施形態では、賦形剤(例えば、スクロース)の濃度は約225mM~約300mMである。いくつかの実施形態では、賦形剤(例えば、スクロース)の濃度は約250mM~約290mMである。いくつかの実施形態では、賦形剤(例えば、スクロース)の濃度は約270である。
【0098】
いくつかの実施形態では、賦形剤(例えば、スクロース)の濃度は225mMからmMである。いくつかの実施形態では、賦形剤(例えば、スクロース)の濃度は250mM~290mMである。いくつかの実施形態では、賦形剤(例えば、スクロース)の濃度は270である。
【0099】
本明細書で提供されているように、医薬組成物は緩衝液(例えば、酢酸塩またはクエン酸塩)及び糖(例えば、スクロース)のような賦形剤を含有することができる。いくつかの実施形態では、糖(例えば、スクロース)のような賦形剤の濃度は緩衝液(例えば、酢酸塩またはクエン酸塩)の濃度の約10~約15倍である。いくつかの実施形態では、糖(例えば、スクロース)のような賦形剤の濃度は緩衝液(例えば、酢酸塩またはクエン酸塩)の濃度の約13.5倍である。
【0100】
いくつかの実施形態では、糖(例えば、スクロース)のような賦形剤の濃度は緩衝液(例えば、酢酸塩またはクエン酸塩)の濃度の10~15倍である。いくつかの実施形態では、糖(例えば、スクロース)のような賦形剤の濃度は緩衝液(例えば、酢酸塩またはクエン酸塩)の濃度の13.5倍である。
【0101】
本明細書で提供されているように、医薬組成物は界面活性剤、例えば、ポリソルベートを含有することができる。ポリソルベートは、例えば、ポリソルベート20(PS20)であることができる。いくつかの実施形態では、界面活性剤(例えば、PS20)の濃度は約0.025~0.075重量/体積(w/v)%である。いくつかの実施形態では、界面活性剤(例えば、PS20)の濃度は約0.035~約0.065w/v%である。いくつかの実施形態では、界面活性剤(例えば、PS20)の濃度は約0.05w/v%である。
【0102】
いくつかの実施形態では、界面活性剤(例えば、PS20)の濃度は0.025~0.075重量体積 (w/v)%である。いくつかの実施形態では、界面活性剤(例えば、PS20)の濃度は0.035~0.065w/v%である。いくつかの実施形態では、界面活性剤(例えば、PS20)の濃度は0.05w/v%である。
【0103】
本明細書で提供されているように、いくつかの実施形態では、医薬組成物は約4.5~約6のpHを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物のpHは約5~約6である。いくつかの実施形態では、医薬組成物のpHは約5である。いくつかの実施形態では、医薬組成物のpHは約5.5である。いくつかの実施形態では、医薬組成物のpHは約6である。
【0104】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は4.5~6のpHを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物のpHは5~6である。いくつかの実施形態では、医薬組成物のpHは5である。いくつかの実施形態では、医薬組成物のpHは5.5である。いくつかの実施形態では、医薬組成物のpHは6である。
【0105】
本明細書で提供されているように、医薬組成物は液体であることができる。医薬組成物(例えば、液体医薬組成物)は、非経口投与用、例えば、静脈内投与用であることができる。
【0106】
一実施形態では、医薬組成物は、約15mM~約25mMの酢酸塩、約225mM~約300mMのスクロース、及び約0.025%~約0.075%のPS20にて約5mg/mL~約30mg/mLのB7-H4抗体またはその断片(例えば、非フコシル化抗体20502)を含む。一実施形態では、医薬組成物は、約4.5~約6、例えば約5のpHを有する。一実施形態では、医薬組成物は液体である。
【0107】
一実施形態では、医薬組成物は、15mM~25mMの酢酸塩、225mM~300mMのスクロース、及び0.025%~0.075%のPS20にて5mg/mL~30mg/mL のB7-H4抗体またはその断片(例えば、非フコシル化抗体20502)を含む。一実施形態では、医薬組成物は4.5から6、例えば5のpHを有する。一実施形態では、医薬組成物は液体である。
【0108】
一実施形態では、医薬組成物は約18mM~約22mMの酢酸塩、約250mM~約290mMのスクロース、及び約0.035%~約0.065%のPS20にて約10mg/mL~約25mg/mLのB7-H4抗体またはその断片(例えば、非フコシル化抗体20502)を含む。一実施形態では、医薬組成物は、約4.5~約6、例えば約5のpHを有する。一実施形態では、医薬組成物は液体である。
【0109】
一実施形態では、医薬組成物は、18mM~22mMの酢酸塩、250mM~290mMのスクロース、及び0.035%~0.065%のPS20にて10mg/mL~25mg/mLのB7-H4抗体またはその断片(例えば、非フコシル化抗体20502)を含む。一実施形態では、医薬組成物は4.5から6、例えば5のpHを有する。一実施形態では、医薬組成物は液体である。
【0110】
一実施形態では、医薬組成物は、20mMの酢酸塩、270mMのスクロース、及び0.05%のPS20にて20mg/mLのB7-H4抗体またはその断片(例えば、非フコシル化抗体20502)を含む。一実施形態では、医薬組成物5.0のpHを有する。一実施形態では、医薬組成物は液体である。
【0111】
一実施形態では、医薬組成物は、約15mM~約25mMのクエン酸塩、約225mM~約300mMのスクロース、及び約0.025%~約0.075%のPS20にて約5mg/mL~約30mg/mLのB7-H4抗体またはその断片(例えば、非フコシル化抗体20502)を含む。一実施形態では、医薬組成物は約4.5~約6、例えば、約5.5のpHを有する。一実施形態では、医薬組成物は液体である。
【0112】
一実施形態では、医薬組成物は、15mM~25mMのクエン酸塩、225mM~300mMのスクロース、及び0.025%~0.075%のPS20にて5mg/mL~30mg/mLのB7-H4抗体またはその断片(例えば、非フコシル化抗体20502)を含む。一実施形態では、医薬組成物は4.5~6、例えば、5.5のpHを有する。一実施形態では、医薬組成物は液体である。
【0113】
一実施形態では、医薬組成物は約18mM~約22mMのクエン酸塩、約250mM~約290mMのスクロース、及び約0.035%~約0.065%のPS20にて約10mg/mL~約25mg/mLのB7-H4抗体またはその断片(例えば、非フコシル化抗体20502)を含む。一実施形態では、医薬組成物は約4.5~約6、例えば、約5.5のpHを有する。一実施形態では、医薬組成物は液体である。
一実施形態では、医薬組成物は、18mM~22mMのクエン酸塩、250mM~290mMのスクロース、及び0.035%~0.065%のPS20にて10mg/mL~25 mg/mLのB7-H4抗体またはその断片(例えば、非フコシル化抗体20502) を含む。一実施形態では、医薬組成物約4.5~約6、例えば、約5.5のpHを有する。一実施形態では、医薬組成物は液体である。
【0114】
一実施形態では、液体医薬組成物は、20mMのクエン酸塩、270mMのスクロース、及び0.05%のPS20にて20mg/mLの抗体またはその断片(例えば、非フコシル化抗体20502)を含む。一実施形態では、医薬組成物は5.5のpHを有する。
【0115】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(例えば、非フコシル化抗体20502)を含み、組成物は5℃で6ヵ月後、抗体または抗原結合断片の酸性変異体を40%以下で含み、及び/または抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を20%以下で含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(例えば、非フコシル化抗体20502)を含み、組成物は、5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を約30%~45%、約30%~約40%、または約35%~約40%含み、及び/または抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を約11%~約16%、約10%~17%、または約9%~約18%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ヒトB7-H4(例えば、非フコシル化抗体20502)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、組成物は、5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を30%~45%、30%~40%、または35%~40%含み、及び/または抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を11%~16%、10%~17%、または9%~18%含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、組成物は5℃で6ヵ月後、抗体または抗原結合断片の酸性変異体及び塩基性変異体を60%以下でまたは55%以下で含む。いくつかの実施形態では、組成物は、5℃で6ヵ月後、抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を40%以下で含み、及び/または塩基性変異体を20%以下で含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、医薬組成物が提供され、医薬組成物は、非フコシル化された抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片と医薬的に許容される担体とを含む。具体的な実施形態では、医薬組成物が提供され、医薬組成物は非フコシル化された抗B7-H4抗体または抗原結合断片を含み、例えば、組成物における抗体の少なくとも80%が非フコシル化される。具体的な実施形態では、医薬組成物が提供され、医薬組成物は非フコシル化された抗B7-H4抗体または抗原結合断片を含み、例えば、組成物における抗体の少なくとも85%が非フコシル化される。具体的な実施形態では、医薬組成物が提供され、医薬組成物は非フコシル化された抗B7-H4抗体または抗原結合断片を含み、例えば、組成物における抗体の少なくとも90%が非フコシル化される。具体的な実施形態では、医薬組成物が提供され、医薬組成物は非フコシル化された抗B7-H4抗体または抗原結合断片を含み、例えば、組成物における抗体の少なくとも95%が非フコシル化される。具体的な実施形態では、医薬組成物が提供され、医薬組成物は非フコシル化された抗B7-H4抗体または抗原結合断片を含み、例えば、組成物における抗体の少なくとも96%が非フコシル化される。具体的な実施形態では、医薬組成物が提供され、医薬組成物は非フコシル化された抗B7-H4抗体または抗原結合断片を含み、例えば、組成物における抗体の少なくとも97%が非フコシル化される。具体的な実施形態では、医薬組成物が提供され、医薬組成物は非フコシル化された抗B7-H4抗体または抗原結合断片を含み、例えば、組成物における抗体の少なくとも98%が非フコシル化される。具体的な実施形態では、医薬組成物が提供され、医薬組成物は非フコシル化された抗B7-H4抗体または抗原結合断片を含み、例えば、組成物における抗体の少なくとも99%が非フコシル化される。具体的な実施形態では、医薬組成物が提供され、医薬組成物は非フコシル化された抗B7-H4抗体または抗原結合断片を含み、フコースは組成物にて検出できない。
【0119】
いくつかの実施形態では、医薬組成物が提供され、医薬組成物は、(i)(a)それぞれ配列番号5~10の重鎖可変領域(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、VH CDR3及び軽鎖可変領域(VL)配列番号のCDR1、CDR2、及びCDR3の配列と、(b)配列番号11のアミノ酸配列を含む可変重鎖領域及び配列番号12のアミノ酸配列を含む可変軽鎖領域、または(c)配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、ヒトB7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片と(ii)薬学的に許容される賦形剤とを含む。
【0120】
本明細書で提供されるのはまた医薬組成物であり、医薬組成物は、(i)ヒトB7-H4に特異的に結合し、それぞれ配列番号5~10の重鎖可変領域(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、VH CDR3及び軽鎖可変領域(VL)CDR1、CDR2、及びCDR3の配列の配列を含む抗体またはその抗原結合断片と、(ii)薬学的に許容される賦形剤とを含み、その際、組成物における抗体またはその抗原結合断片の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%が非フコシル化されている。一実施形態では、(i)抗体もしくはその抗原結合断片は、配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むか、または(ii)抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0121】
5.3 B7-H4抗体
本明細書で提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合する抗体(例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体のようなモノクローナル抗体)及びその抗原結合断片を含む医薬組成物である。本明細書で提供されている医薬組成物で使用することができる例示的なB7-H4抗体及びその抗原結合断片は、当該技術分野で既知である。ヒト、カニクイザル、マウス、及びラットのB7-H4のアミノ酸配列は当該技術分野で既知であり、それぞれ配列番号1~4によって表されるように本明細書でも提供されている。
ヒトB7-H4:
MASLGQILFWSIISIIIILAGAIALIIGFGISGRHSITVTTVASAGNIGEDGILSCTFEPDIKLSDIVIQWLKEGVLGLVHEFKEGKDELSEQDEMFRGRTAVFADQVIVGNASLRLKNVQLTDAGTYKCYIITSKGKGNANLEYKTGAFSMPEVNVDYNASSETLRCEAPRWFPQPTVVWASQVDQGANFSEVSNTSFELNSENVTMKVVSVLYNVTINNTYSCMIENDIAKATGDIKVTESEIKRRSHLQLLNSKASLCVSSFFAISWALLPLSPYLMLK(配列番号1)
カニクイザルB7-H4:
MASLGQILFWSIISIIFILAGAIALIIGFGISGRHSITVTTVASAGNIGEDGILSCTFEPDIKLSDIVIQWLKEGVIGLVHEFKEGKDELSEQDEMFRGRTAVFADQVIVGNASLRLKNVQLTDAGTYKCYIITSKGKGNANLEYKTGAFSMPEVNVDYNASSETLRCEAPRWFPQPTVVWASQVDQGANFSEVSNTSFELNSENVTMKVVSVLYNVTINNTYSCMIENDIAKATGDIKVTESEIKRRSHLQLLNSKASLCVSSFLAISWALLPLAPYLMLK(配列番号2)
マウスB7-H4
MASLGQIIFWSIINIIIILAGAIALIIGFGISGKHFITVTTFTSAGNIGEDGTLSCTFEPDIKLNGIVIQWLKEGIKGLVHEFKEGKDDLSQQHEMFRGRTAVFADQVVVGNASLRLKNVQLTDAGTYTCYIRTSKGKGNANLEYKTGAFSMPEINVDYNASSESLRCEAPRWFPQPTVAWASQVDQGANFSEVSNTSFELNSENVTMKVVSVLYNVTINNTYSCMIENDIAKATGDIKVTDSEVKRRSQLQLLNSGPSPCVFSSAFVAGWALLSLSCCLMLR(配列番号3)
ラットB7-H4
MASLGQIIFWSIINVIIILAGAIVLIIGFGISGKHFITVTTFTSAGNIGEDGTLSCTFEPDIKLNGIVIQWLKEGIKGLVHEFKEGKDDLSQQHEMFRGRTAVFADQVVVGNASLRLKNVQLTDAGTYTCYIHTSKGKGNANLEYKTGAFSMPEINVDYNASSESLRCEAPRWFPQPTVAWASQVDQGANFSEVSNTSFELNSENVTMKVVSVLYNVTINNTYSCMIENDIAKATGDIKVTDSEVKRRSQLELLNSGPSPCVSSVSAAGWALLSLSCCLMLR(配列番号4)
【0122】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合する。特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片はヒト及びカニクイザルのB7-H4に特異的に結合する。特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片はヒト、マウス、及びラットのB7-H4に特異的に結合する。特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片はヒト、カニクイザル、マウス、及びラットのB7-H4に。
【0123】
B7-H4は、IgC細胞外ドメイン(配列番号1のアミノ酸153-241)及びIgV細胞外ドメイン(配列番号1のアミノ酸35-146)を含有する。特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片は、ヒトB7-H4のIgVドメインに特異的に結合する。したがって、本明細書で提供されるのは、配列番号1のアミノ酸35~146から成るポリペプチドに特異的に結合する抗体及びその抗原結合断片を含む医薬組成物である。
【0124】
特定の実施形態では、本明細書に提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表1及び2に提供されるように列挙される20502抗体の6つのCDRを含む。
【表1】
1表1のVH CDRはKabatに従って決定される。
【表2】
2表2のVL CDRはKabatに従って決定される。
【0125】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片は、ヒトB7-H4に特異的に結合し、表3でリストされている20502抗体のVHを含む。
【表3】
【0126】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片は、ヒトB7-H4に特異的に結合し、表4でリストにされている20502のVLを含む。
【表4-1】
【表4-2】
【0127】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3及び4でリストにされている20502抗体のVH及びVLを含む。
【0128】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表5でリストにされている20502抗体のVHフレームワーク領域を含む。
【表5】
3表5に記載されているVHフレームワーク領域は、CDRについてのKabat番号付け方式の境界に基づいて決定される。したがって、VHのCDRはKabatによって決定され、フレームワーク領域は、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4の形式の可変領域内のCDRを囲むアミノ酸残基である。
【0129】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片は、ヒトB7-H4に特異的に結合し、表6でリストにされている20502抗体のVLフレームワーク領域を含む。
【表6】
4表6に記載されているVLフレームワーク領域はCDRについてのKabat番号付け方式の境界に基づいて決定される。したがって、VL CDRはKabatによって決定され、フレームワーク領域は、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4の形式で可変領域のCDRを囲むアミノ酸残基である。
【0130】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表5及び6でリストにされている20502抗体の4つのVHフレームワーク領域及び4つのVLフレームワーク領域を含む。
【0131】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表7でリストにされている20502抗体の重鎖配列を含む。
【表7】
【0132】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表8でリストにされている20502抗体の軽鎖配列を含む。
【表8】
【0133】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体または抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表7及び8でリストにされている20502抗体の重鎖配列及び軽鎖配列を含む。
【0134】
特定の態様では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片は、そのVLドメインのみ、もしくはそのVHドメインのみによって、またはその3つのVL CDRのみ、もしくはその3つのVH CDRのみによって記載される。例えば、ヒト軽鎖または重鎖のライブラリーからそれぞれ相補性の軽鎖または重鎖を同定し、元の抗体の親和性と同じかそれより高い親和性を有するヒト化抗体変異体を生じることによってマウス抗αvβ3抗体のヒト化を説明している、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるRader C et al.,(1998)PNAS95:8910-8915を参照のこと。特定のVLドメイン(またはVHドメイン)を使用し,相補性VHドメイン(またはVLドメイン)についてライブラリーをスクリーニングすることによって特定の抗原を特異的に結合する抗体を作製する方法を説明している、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、Clackson T et al.,(1991),Nature,352:624-628も参照のこと。この選抜は、ELISAで判定したところ、特定のVHドメインについて14の新しいパートナーと特定のVLドメインについて13の新しいパートナーを作り出し、それらは強力なバインダーだった。特定のVHドメインを使用し、相補性VLドメインについてライブラリー(例えば、ヒトVLライブラリー)をスクリーニングすることによって特定の抗原を特異的に結合する抗体を作製する方法を説明している、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、Kim,SJ及びHong,HJ,(2007),J.Microbiol.45:572-577も参照のこと;選択されたVLドメインを次に使用して追加の相補性(例えば、ヒト)VHドメインの選択を導き得る。
【0135】
特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片のCDRは、免疫グロブリンの構造ループの位置を指すChothia番号付けスキームに従って決定することができる(例えば、Chothia,C及びLesk,AM,(1987),J.Mol.Biol.196:901-917;Al-Lazikani,B.et al.,(1997),J.Mol.Biol.273:927-948;Chothia,C.et al.,(1992),J.Mol.Biol.227:799-817;Tramontano,A.et al.,(1990),J.Mol.Biol.215(1):175-82;ならびに米国特許第7,709,226号を参照のこと)。通常、Kabat番号付け規則を使用する場合、ChothiaのCDR-H1ループは重鎖アミノ酸26~32、33、または34に存在し、ChothiaのCDR-H2ループは重鎖アミノ酸52~56に存在し、ChothiaのCDR-H3ループは重鎖アミノ酸95~102に存在する一方で、ChothiaのCDR-L1ループは軽鎖アミノ酸24~34に存在し、ChothiaのCDR-L2ループは軽鎖アミノ酸50~56に存在し、ChothiaのCDR-L3ループは軽鎖アミノ酸89~97に存在する。Kabat番号付け規則を用いて番号付けした場合、ChothiaのCDR-H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32とH34の間で異なる(これは、Kabat番号付けスキームがH35AとH35Bに挿入を置くためであり、35Aも35Bも存在しない場合、このループは32で終わり、35Aのみが存在する場合、このループは33で終わり、35A及び35Bの双方が存在する場合、このループは34で終わる)。
【0136】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合し、表3及び4でリストにされた20502抗体のChothiaのVH及びVLのCDRを含む抗体及びその抗原結合断片を含む医薬組成物である。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合し、1以上のCDRを含む抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物であり、その際、Chothia及びKabatのCDRは同じアミノ酸配列を有する。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合し、KabatのCDR及びChothiaのCDRの組み合わせを含む抗体及びその抗原結合断片を含む医薬組成物である。
【0137】
特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片のCDRは、Lefranc,M-P,(1999),The Immunologist,7:132-136及びLefranc,M-P,et al.,(1999),Nucleic Acids Res.27:209-212に記載されているようなIMGT番号付け方式に従って決定することができる。IMGT番号付けスキームによれば、VH-CDR1は、26~35位であり、VH-CDR2は51~57位であり、VH-CDR3は93~102位であり、VL-CDR1は27~32位であり、VL-CDR2は50~52位であり、VL-CDR3は89~97位である。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合し、表3及び4でリストにされた、例えば、Lefranc,M-P(1999) 上記及びLefranc,M-P.et al.,(1999)に記載されている20502抗体のIMGTのVH及びVLのCDRを含む抗体及びその抗原結合断片を含む医薬組成物である。
【0138】
特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片のCDRは、MacCallum,RM.et al.,(1996),J.Mol.Biol.262:732-745に従って決定することができる例えば、Martin,A.”Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains,”in Antibody Engineering,Kontermann及びDubel,eds.,Chapter 31,pp.422-439,Springer-Verlag,Berlin(2001)も参照のこと。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合し、MacCallum,RM.et al.,の方法によって判定されたように表3及び4でリストにされた20502抗体のVH及びVLのCDRを含む抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物である。
【0139】
特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片のCDRは、AbM番号付けスキームに従って決定することができ、それは、KabatのCDRとChothiaの構造ループとの折衷物を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(Oxford Molecular Group,Inc.)によって使用されているAbMの超可変領域を参照する。特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合し、AbM番号付けスキームによって決定されたように表3及び4でリストにされた20502抗体のVH及びVLのCDRを含む抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物である 。
【0140】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、重鎖及び軽鎖を含む抗体を含む医薬組成物である。
【0141】
軽鎖に関して、具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体の軽鎖はカッパ軽鎖である。ヒトカッパ軽鎖の定常領域は以下のアミノ酸配列を含むことができる:
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号23)。
【0142】
ヒトカッパ軽鎖の定常領域は以下のヌクレオチド配列によってコードされ得る。
CGGACCGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT(配列番号24)。
【0143】
特定の実施形態では、B7-H4ポリペプチド(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する抗体、本明細書に記載されている医薬組成物は、VLドメインのアミノ酸配列が表4で示される配列を含む軽鎖を含み、その際、軽鎖の定常領域はヒトカッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0144】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物におけるB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する抗体は、VHドメインのアミノ酸配列が表3で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含み、その際、重鎖の定常領域は、ヒトガンマ(γ)重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0145】
ヒトIgG1重鎖の定常領域は以下のアミノ酸配列を含むことができる:
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号25)。
【0146】
ヒトIgG1重鎖の定常領域は以下のヌクレオチド配列によってコードされ得る。
GCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGGGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAA(配列番号26)。
【0147】
具体的な実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物におけるB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する抗体は、本明細書に記載されている任意のVH及びVLドメインのアミノ酸配列を含むVHドメイン及びVLドメインを含み、且つ、定常領域はIgG(例えば、ヒトIgG)免疫グロブリン分子の定常領域のアミノ酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物で使用するためのB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する抗体は、本明細書に記載されている任意のVH及びVLドメインのアミノ酸配列を含む及びVHドメインのVLドメインを含み、その際、定常領域は、IgG1(例えば、ヒトIgG1)免疫グロブリン分子の定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0148】
フコース含量が低下した抗体は、例えば、FcγRIIIAのようなFc受容体に対する親和性が増加すると報告されている。したがって、特定の実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片は、フコース含量が低下しているか、またはフコースを欠いている(すなわち、「非フコシル化されている」)。そのような抗体またはその抗原結合断片は、当業者に既知の技法を用いて作り出すことができる。例えば、それらは、フコシル化する能力を欠損するまたは欠如する細胞において発現させることができる。特定の例では、α1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子(FUT8)の双方の対立遺伝子をノックアウトした細胞株を用いて、フコース含量が低下した抗体またはその抗原結合断片を作り出すことができる。Potelligent(登録商標)システム(Lonza)は、フコース含量が低下した抗体及びその抗原結合断片を作り出すために使用できるそのようなシステムの例である。あるいは、フコース含量が低下した、またはフコース含量が存在しない抗体またはその抗原結合断片は、例えば、(i)フコシル化を防止するまたは低下させる条件下で細胞を培養すること;(ii)フコースの翻訳後の除去(例えば、フコシダーゼ酵素による);(iii) 例えば、非グリコシル化糖タンパク質の組換え発現後の、所望の炭水化物の翻訳後付加;または(iv)フコシル化されていない抗体またはその抗原結合断片を選択するための糖タンパク質の精製によって作り出すことができる。フコース含量を含まないか、またはフコース含量が低下したその抗体を産生させる方法については、例えば、Longmore,GD.& Schachter,H.(1982),Carbohydr.Res.100:365-92及びImai-Nishiya,H.et al.,(2007),BMC Biotechnol.7:84を参照のこと。
【0149】
いくつかの実施形態では、非フコシル化されたB7-H4抗体またはその抗原結合断片は、同じアミノ酸配列を有するフコシル化されたB7-H4抗体またはその抗原結合断片と比べて試験管内でのADCC活性が増強されている。いくつかの実施形態では、非フコシル化されたB7-H4抗体またはその抗原結合断片は、フコシル化B7-H4抗体による特異的溶解より少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、または少なくとも75パーセントポイント高い特異的溶解を引き起こす。
【0150】
いくつかの実施形態では、B7-H4抗体またはその抗原結合断片は、同じアミノ酸配列を有するフコシル化されたB7-H4抗体またはその抗原結合断片と比べてFcガンマRIIIAに対する親和性が増強されている。いくつかの実施形態では、非フコシル化されたB7-H4抗体またはその抗原結合断片はフコシル化されたB7-H4抗体またはその抗原結合断片よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも15倍、少なくとも17倍、または少なくとも20倍高い親和性でFcガンマRIIIAに結合する。いくつかの実施形態では、FcガンマRIIIAに対する親和性は表面プラズモン共鳴を用いて決定される。いくつかの実施形態では、FcガンマRIIIAは、FcガンマRIIIA(V158)及びFcガンマRIIIA(F158)から選択される。いくつかの実施形態では、FcガンマRIIIAは、FcガンマRIIIA(V158)である。
【0151】
いくつかの実施形態では、フコースの存在は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、キャピラリー電気泳動、またはMALDI-TOF質量分析を含む方法によって決定することができる。
【0152】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、(i)20502のCDR配列、20502のVH及びVLの配列、または20502の重鎖及び軽鎖の配列を含み、(ii)非フコシル化される。
【0153】
具体的な実施形態では、組成物は、(i)20502のCDR配列、20502のVH及びVL配列、または20502の重鎖及び軽鎖の配列を含み、且つ(ii)非フコシル化される抗体またはその抗原結合断片を含み、例えば、組成物における抗体の少なくとも95%が非フコシル化されているか、または組成物にてフコシル化が検出できない。
【0154】
操作された糖型は、エフェクター機能を増強することまたは低減することを含むがこれらに限定されない、様々な目的に有用であってもよい。本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片において操作された糖型を生成する方法には、例えば、Umana,P.et al.,(1999),Nat.Biotechnol.17:176-180;Davies,J.et al.,(2001),Biotechnol.Bioeng.74:288-294;Shields,RL.et al.,(2002),J.Biol.Chem.277:26733-26740;Shinkawa,T.et al.,(2003),J.Biol.Chem.278:3466-3473;Niwa,R.et al.,(2004),Clin.Cancer Res.1:6248-6255;Presta,LG.et al.,(2002),Biochem.Soc.Trans.30:487-490;Kanda,Y.et al.,(2007),Glycobiology,17:104-118;米国特許第6,602,684号;同第6,946,292号;及び同第7,214,775号;米国特許公開番号US2007/0248600;2007/0178551;2008/0060092;及び2006/0253928;国際公開番号WO00/61739;WO01/292246;WO02/311140;及びWO02/30954;Potelligent(商標)technology(Biowa,Inc.Princeton,N.J.);並びにGlycoMAb(登録商標)グリコシル化操作技術(Glycart biotechnology AG,Zurich,Switzerland)にて開示されているものが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Ferrara,C.et al.,(2006),Biotechnol.Bioeng.93:851-861;国際公開番号WO07/039818;WO12/130831;WO99/054342;WO03/011878;及びWO04/065540も参照のこと。
【0155】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている定常領域の変異または修飾のいずれかを、2つの重鎖定常領域を有する本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片の一方または双方の重鎖定常領域に導入することができる。
【0156】
別の特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、(i)重鎖が表1でリストにされている20502抗体のVH CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3のアミノ酸配列を含むVHドメインを含み;(ii)軽鎖が表2でリストにされている20502抗体のVL CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、(iii)重鎖がさらに、ヒトIgG1重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列を含む定常重鎖ドメインを含み;(iv)軽鎖がさらに、ヒトカッパ軽鎖の定常ドメインのアミノ酸配列を含む定常軽鎖ドメインを含む、重鎖及び軽鎖を含む。
【0157】
別の特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、(i)重鎖が表3でリストにされている20502抗体のVHドメインのアミノ酸配列を含むVHドメインを含み;(ii)軽鎖が表で4でリストにされている20502抗体のVLドメインのアミノ酸配列を含むVLドメインを含み;(iii)重鎖がさらに、ヒトIgG1重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列を含む定常重鎖ドメインを含み;(iv)軽鎖がさらに、ヒトカッパ軽鎖の定常ドメインのアミノ酸配列を含む定常軽鎖ドメインを含む、重鎖及び軽鎖を含む。
【0158】
具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、T細胞チェックポイント遮断活性を示す。具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、T細胞におけるインターフェロン-ガンマ(IFNγ)の産生を増加させる。具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、T細胞増殖を増加させる。具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、CD4+T細胞増殖を増加させる。具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、CD8+T細胞増殖を増加させる。
【0159】
具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示す。具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも300,000の細胞表面B7-H4分子を伴う細胞株(例えば、SK-BR-3細胞)に対して抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示す。具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも100,000の細胞表面B7-H4分子を伴う細胞株(例えば、HCC1569細胞)に対して抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示す。具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも50,000の細胞表面B7-H4分子を伴う細胞株(例えば、ZR-75-1細胞)において抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示す。具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも30,000の細胞表面B7-H4分子を伴う細胞株(例えば、MDA-MB-468細胞)に対して抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示す。具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも15,000の細胞表面B7-H4分子を伴う細胞株(例えば、HCC1964細胞)に対して抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示す。
【0160】
具体的な態様では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2及びscFvから成る群から選択され、その際、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはscFvは、本明細書に記載されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片の重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列を含む。Fab、Fab’、F(ab’)2、またはscFvは、当業者に既知の任意の技法によって生成することができる。特定の実施形態では、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはscFvは生体内での抗体の半減期を延長する部分をさらに含む。その部分は「半減期延長部分」とも呼ばれる。生体内でのFab、Fab’、F(ab’)2、またはscFvの半減期を延長するために当業者に既知の任意の部分を使用することができる。例えば、半減期延長部分は、Fc領域、ポリマー、アルブミン、またはアルブミン結合タンパク質または化合物を含むことができる。ポリマーには、天然または合成の、任意で置換された直鎖または分岐鎖のポリアルキレン、ポリアルケニレン、ポリオキシアルキレン、多糖類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、メトキシポリエチレングリコール、ラクトース、アミロース、デキストラン、グリコーゲン、またはそれらの誘導体を挙げることができる。置換基には、1以上のヒドロキシ基、メチル基、またはメトキシ基を挙げることができる。特定の実施形態では、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはscFvは、半減期延長部分の取付のために1以上のC末端アミノ酸の付加によって修飾することができる。特定の実施形態では、半減期延長部分はポリエチレングリコールまたはヒト血清アルブミンである。特定の実施形態では、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはscFvはFc領域に融合される。
【0161】
5.4 抗体の生産及びポリヌクレオチド
B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する抗体及びその抗原結合断片は、抗体及びその抗原結合断片の合成について当該技術分野で既知の任意の方法によって、例えば、化学合成によってまたは組換え発現技術によって作り出すことができる。本明細書に記載されている方法は、特に指示されない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子分析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチドの合成及び修飾、核酸のハイブリッド形成、及び当該技術の範囲内の関連分野における従来の技法を採用する。これらの技法は、例えば、本明細書に引用される参考文献に記載されており、文献で完全に説明されている。例えば、Sambrook,J.et al.,(2001),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Ausubel,FM.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987 and annual updates);Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons(1987 and annual updates)Gait(ed.)(1984),Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein(ed.)(1991),Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,IRL Press;Birren,B.et al.,(eds.)(1999),Genome Analysis:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory
Pressを参照のこと。
【0162】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、抗B7-H4抗体または抗原結合断片を含む医薬組成物であり、その際、抗体または断片は、宿主細胞におけるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの組換え発現によって生成される。
【0163】
特定の態様では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、表9に示されるヌクレオチド配列(すなわち、配列番号27)を含むポリヌクレオチドによってコードされる重鎖可変領域を含む。特定の態様では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、表9に示されるヌクレオチド配列(すなわち、配列番号27)を含むポリヌクレオチドによってコードされる重鎖可変領域と、ヒトガンマ(γ)重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列とを含む。特定の態様では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、表9に示されるヌクレオチド配列(すなわち、配列番号27)を含むポリヌクレオチドによってコードされる重鎖可変領域と、配列番号26のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる重鎖定常ドメインとを含む。
【表9-1】
【表9-2】
【0164】
特定の態様では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、表10に示されるヌクレオチド配列(すなわち、配列番号28)を含むポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖可変領域を含む。特定の態様では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、表10に示されるヌクレオチド配列(すなわち、配列番号28)を含むポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖可変領域と、ヒトラムダ軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列とを含む。特定の態様では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、表10に示されるヌクレオチド配列(すなわち、配列番号28)を含むポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖可変領域と、配列番号24のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖定常ドメインとを含む。
【表10】
【0165】
特定の態様では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、表9に示される可変重鎖をコードするヌクレオチド配列(すなわち、配列番号27)を含むポリヌクレオチドによってコードされる可変重鎖と、表10に示される可変軽鎖をコードするヌクレオチド配列(すなわち、配列番号28)を含むポリヌクレオチドによってコードされる可変軽鎖とを含む。
【0166】
特定の態様では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、(i)表9に示される可変重鎖をコードするヌクレオチド配列(すなわち、配列番号27)を含むポリヌクレオチドによってコードされる重鎖及びヒトガンマ(γ)重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列と、(ii)表10に示される可変軽鎖をコードするヌクレオチド配列(すなわち、配列番号28)を含むポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖及びヒトラムダ軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列とを含む。
【0167】
特定の態様では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、(i)表9に示される可変重鎖をコードするヌクレオチド配列(すなわち、配列番号27)を含むポリヌクレオチドによってコードされる重鎖及び配列番号26の重鎖定常ドメインをコードするヌクレオチド配列と、(ii)表10に示される可変軽鎖をコードするヌクレオチド配列(すなわち、配列番号28)を含むポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖及び配列番号24の軽鎖定常ドメインをコードするヌクレオチド配列とを含む。
【0168】
特定の態様では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、例えば、コドン/RNAの最適化、異種シグナル配列による置換、mRNA不安定要素の排除によって最適化されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片またはそのドメインをコードするポリヌクレオチドによってコードされる。コドンの変化(例えば、遺伝子コードの縮重に起因して同じアミノ酸をコードするコドンの変化)を導入することによって及び/またはmRNAにおける阻害性領域を排除することによってB7-H4抗体またはその抗原結合断片またはそのドメイン(例えば、重鎖、軽鎖、VHドメイン、またはVLドメイン)をコードする、組換え発現のために最適化された核酸を生成する方法は、例えば、適切に米国特許第5,965,726号;同第6,174,666号;同第6,291,664号;同第6,414,132号;及び同第6,794,498号に記載されている最適化方法を適合させることによって実施することができる。
【0169】
ポリヌクレオチドは、例えば、RNAの形態またはDNAの形態であることができる。DNAにはcDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAが挙げられる。DNAは一本鎖または二本鎖であることができる。一本鎖の場合、DNAはコード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であることができる。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは1以上のイントロンを欠くcDNAまたはDNAである。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは天然に存在しないポリヌクレオチドである。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは組換えにより産生される。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは単離される。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは実質的に純粋である。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは天然成分から精製される。
【0170】
特定の態様では、ベクター(例えば、発現ベクター)は、宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞における組換え発現のために抗B7-H4抗体及びその抗原結合断片またはそのドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。特定の態様では、細胞、例えば宿主細胞は、本明細書に記載されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片(例えば、ヒト抗体またはヒト化抗体またはその抗原結合断片)を組換え発現するためのそのようなベクターを含む。したがって、本明細書に記載されている医薬組成物で使用するための抗体またはその抗原結合断片を作製する方法は、宿主細胞でそのような抗体またはその抗原結合断片を発現させることを含むことができる。
【0171】
発現ベクターは、従来の技法によって細胞(例えば、宿主細胞)に移すことができ、次いで得られた細胞を従来の技法によって培養して、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片(例えば、20502の抗体または 6つのCDR、VH、VL、VHとVL、重鎖、軽鎖、または重鎖と軽鎖を含む抗原結合断片)またはそのドメイン(例えば、20502のVH、VL、VHとVL、重鎖、または軽鎖)を産生させることができる。
【0172】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片(例えば、20502のCDRを含む抗体またはその抗原結合断片)は、Potelligent(登録商標)のCHOK1SV細胞にて産生される 。
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片(例えば、20502のCDRを含む抗体またはその抗原結合断片)は、機能的アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子(FUT8)遺伝子を欠く宿主細胞で産生される。いくつかの実施形態では、宿主細胞はCHO細胞である。
【0174】
具体的な実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物における抗体またはその抗原結合断片は、単離されるまたは精製される。一般に、単離された抗体またはその抗原結合断片は、単離された抗体またはその抗原結合断片とは異なる抗原特異性を持つ他の抗体またはその抗原結合断片を実質的に含まないものである。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片の調製物は、細胞性物質及び/または化学前駆物質を実質的に含まない。
【0175】
5.5 治療上の使用及び治療方法
一態様では、本明細書で提供されるのは、B7-H4抗体またはその抗原結合断片を含む本明細書で提供されている医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象にて1以上の免疫機能を調節する方法である。
【0176】
別の実施形態では、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を含む本明細書で提供されている医薬組成物を患者(例えば、ヒト患者)に投与して、患者にてT細胞、CD4+T細胞、またはCD8+Tの増殖を増加させる。別の実施形態では、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を含む本明細書で提供されている医薬組成物を患者(例えば、ヒト患者)に投与して、患者にてインターフェロン-ガンマ(IFNγ)産生を増加させる。別の実施形態では、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を含む本明細書で提供されている医薬組成物を患者(例えば、ヒト患者)に投与して、患者にてT細胞に対するB7-H4の阻害活性を遮断する。別の実施形態では、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を含む本明細書で提供されている医薬組成物を患者(例えば、ヒト患者)に投与して、患者にてB7-H4発現がん細胞を枯渇させる。別の実施形態では、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を含む本明細書で提供されている医薬組成物は、上記の効果の2以上を達成するために投与される。
【0177】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物をそれを必要とする患者(例えば、ヒト患者)に投与することを含む、がん、例えば、B7-H4を発現しているがんを治療する方法である。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物をそれを必要とする患者(例えば、ヒト患者)に投与することを含む、固形腫瘍、例えば、B7-H4を発現している固形腫瘍を治療する方法である。
【0178】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、乳癌(例えば、進行性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、ホルモン受容体(HR)陽性乳癌、または乳管癌)、子宮内膜癌腫、卵巣癌、尿路上皮癌、非小細胞肺癌(例、扁平上皮癌)、膵臓癌、甲状腺癌、腎臓癌(例、腎細胞癌)、及び膀胱癌(例、尿路上皮細胞癌)から成る群から選択されるがんを治療するための医薬組成物である。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、進行性乳癌(トリプルネガティブ乳癌及びホルモン受容体(HR)陽性乳癌を含む)、卵巣癌、子宮内膜癌、または尿路上皮癌を治療するための医薬組成物である。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは乳癌を治療するための医薬組成物である。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは卵巣癌を治療するための医薬組成物である。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは子宮内膜癌を治療するための医薬組成物である。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは尿路上皮癌を治療するための医薬組成物である。
【0179】
いくつかの実施形態では、がんはB7-H4を発現しているがんである。
【0180】
別の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物はがんと診断された患者(例えば、ヒト患者)に投与されて、患者におけるT細胞、CD4+T細胞、またはCD8+T細胞の増殖を増加させる。別の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物はがんと診断された患者(例えば、ヒト患者)に投与されて、患者におけるインターフェロンガンマ(IFNγ)の産生を増加させる。別の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物はがんと診断された患者(例えば、ヒト患者)に投与されて、患者にてT細胞に対するB7-H4の阻害活性を遮断する。別の実施形態では、本明細書で提供されている医薬組成物はがんと診断された患者(例えば、ヒト患者)に投与されて、患者にてB7-H4発現がん細胞を枯渇させる。
【0181】
本明細書に記載されている医薬組成物は静脈内経路によって患者に送達することができる。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物も治療することができる。
【実施例0182】
6.このセクション(すなわち、セクション6)における実施例は、例示を目的として提供されるのであって、限定を目的とするものではない。
【0183】
実施例1:製剤化試験で使用される方法
I.抗体産生
20502抗体は、FUT8遺伝子(α1,6-フコシルトランスフェラーゼ)を欠くCHO細胞株で生成されたので、実施例2~9のすべてで使用された20502抗体は非フコシル化されている。それらは抗体のFc部分のASN297にて末端フコースを欠く。
【0184】
II. 一般的な製剤化手順
モノクローナル抗体(mAb)の試料は、20kD分子量カットオフ(MWCO)の透析膜デバイスを用いて、ポリソルベートを含まない原薬(非フコシル化20502)を透析することにより、さまざまな製剤で調製した。透析後、mAbの濃度は1.47cm-1[g/L]-1の吸光係数を用いてUV分光法によって測定した。緩衝液交換した試料のタンパク質濃度を透析緩衝液で所望の値に調整し、10%PS20ストック溶液を0.05%(w/v)PS20の最終濃度で各製剤に添加した。製剤は、0.22μmフィルターユニットを用いて滅菌ろ過し、層流フードにて適切な容器/閉鎖系に入れた。試料は試験設計ごとにさまざまな保管条件に置かれ、それらの安定性は指定された時点でさまざまな方法を用いて分析した。
【0185】
III.分析方法
目視検査(AD-Gen-002/00):蛍光照明下で、黒と白の双方の背景に対して視覚的評価を行った。色、透明度、及び目に見える粒子の存在について試料を調べた。
【0186】
タンパク質濃度(TM-150-001/00):タンパク質濃度は、1.47cm-1[g/L]-1の理論吸収係数を用いて280nmでのUV吸光度によって決定した。試料をダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)で吸光度の直線範囲内に希釈し、ブランクとしてDPBSに対して測定した。吸光度は、Agilent Cary 8454 UV-Vis分光光度計(Agilent Technologies,CA)を用いて測定した。
【0187】
pH(AD-GEN-001/00):緩衝液のpHは、較正されたBeckman Coulter pHi560メーター(Beckman Coulter, Inc.,CA)を用いて決定した。
【0188】
浸透圧(TM-GEN-004/00):緩衝浸透圧は、Wescor VAPROシステム(Wescor,Inc.,UT)を用いて蒸気圧で測定した。
【0189】
示差走査熱量測定(DSC)分析:DSC測定は、MicroCal VP-Capillary DSCプラットフォーム(GE Healthcare,UK)で実施した。mAb試料をさまざまな製剤緩衝液で1mg/mLの濃度に希釈した。対応する製剤緩衝液を参照として使用した。1℃/分の速度で15℃から110℃まで試料を走査した。データはまずタンパク質濃度に対して基準化し、次にベースラインが補正し、Origin7.0ソフトウェア(OriginLab,MA)を用いて緩衝液を差し引いた。Originソフトウェア内の非二状態アンフォールディングモデルを用いて、カーソルで開始されたDSCピークフィット関数で融解転移を分析した。
【0190】
UNitシステムによるアンフォールディング温度(商標):タンパク質のアンフォールディング温度(Tm)は分子の物理的安定性の測定値を提供する。アンフォールディング温度は、等量の天然タンパク質と変性タンパク質が平衡状態で存在する温度として定義される。Unchained Labs(CA)によるUNitシステムは、固有の蛍光分光変化を用いてタンパク質の熱誘導のアンフォールディングが発生する温度を決定する。1 mg/mL の試料を1℃/分の速度で20℃から90℃まで走査した。TmはUnchained Labs(CA)のUNcleソフトウェアを用いて決定した。
【0191】
画像化キャピラリー等電点電気泳動(iCE)(TM-150-003/02):720 NV自動サンプラー(ProteinSimple,CA)を備えたProtein
Simple iCE3機器での画像化キャピラリー等電点電気泳動(iCE)によって電荷変異体を分析した。iCE CFRソフトウェアを用いてデータを分析し、プロファイルで観察されたピークの面積を積分して主要な、酸性の、及び塩基性のピークの相対量を決定し、それを用いて酸性及び塩基性の変異体の比率を算出した。
【0192】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(TM-150-004/00):ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent 1100シリーズHPLCで試料を分析し、280nmで吸光度をモニターした。移動相(100mMのリン酸ナトリウム、400mMの塩化ナトリウム、pH6.8)で試料を1mg/mlに希釈し、50μL事前に平衡化したSepax Zenix SEC-300 7.8 X 200mmカラム(Sepax Technologies,Inc.,Delaware)に注入した。SEC分離カラム及びガードカラムは25℃で使用した。1.0mL/分の流速を12分の実行時間で使用した。データ分析用の機器ソフトウェアを用いて、凝集体、単量体、及び断片のピークを定量化した。
【0193】
ドデシル硫酸ナトリウムゲル(CE-SDS)によるキャピラリー電気泳動(TM-150-002/00):還元及び非還元の条件下でのB7-H4抗体20502の純度を決定するためにCE-SDSを使用した。試料はコーティングされていない50μM I.D.キャピラリーを用いて、Beckman Coulter PA800 plusシステム(Beckman Coulter、CA)で分析した。吸光度を220nmでモニターした。還元条件下での20502の純度は、重鎖及び軽鎖のピークのピーク面積を測定し、検出されたすべてのピークの合計面積と比較することによって決定した。非還元条件下での20502の純度は、主要なインタクトなタンパク質ピークのピーク面積を測定し、検出されたすべてのピークの合計面積と比較することによって決定した。
【0194】
HIACによる目に見えない粒子状物質(AD-GEN-006):HRDL-150検出器と1mLシリンジを備えたHIAC 9703+粒子カウンター(Hach、CO)を使用した。使用前に、システムに粒子を含まないMilli-Q水(Millipore、MA)を流し、クリーンなベースラインを生成した。試料から4つの連続した0.4mLアリコートを採取し、最後の3つのアリコートからの粒子数を平均して報告した。
【0195】
実施例2:抗体20502のアミノ酸残基の生化学分析
抗B7-H4抗体20502はモノクローナル抗体である。知識ベースの製剤開発アプローチを用いて、タンパク質に最大の安定性を提供する適切な組成物を特定した。これを行うには、分子の固有の特性と、タンパク質の安定性に影響を与える得る外因性の配合成分の双方が考慮される。
【0196】
抗体20502の完全長の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を表11に示す。
【表11】
【0197】
20502の一次配列の分析は、いくつかのアミノ酸残基が生化学的修飾を受ける可能性があることを明らかにした。これらには、アスパラギンの脱アミド、アスパラギン酸の異性化、ならびにメチオニン、システイン、ヒスチジン、トリプトファン、フェニルアラニン及びチロシンの酸化が含まれる。脱アミド化、異性化、及び酸化を受けるアスパラギン、アスパラギン酸、及びメチオニンは、それぞれ表11の配列で太字及び灰色の四角で示されている。20502における潜在的な生化学的分解スポットを表12に示す。これらの潜在的な分解スポットはCDR領域の外側にある。
【表12】
【0198】
20502に良好な安定性を提供し得る液体製剤を開発するために、pH、緩衝液の種類、賦形剤のようなさまざまな条件を評価した。タンパク質の安定性は、各例で20502の生物物理学的及び生化学的な特性に基づいてモニターした。試験の詳細及びその結果はここに記載されている。
【0199】
実施例3:最初のpHスクリーニング試験
製剤のpHはタンパク質の安定性に影響を及ぼす。製剤のpHは、脱アミド化、異性化、酸化のような生化学的分解経路、と同様にタンパク質間の相互作用や環境との相互作用による凝集や断片化のような生物物理学的分解にも影響を与えることができる。
【0200】
20502に最大の安定性を提供するpH範囲を決定し、これらの条件下でのタンパク質の分解メカニズムを理解するために、pHスクリーニング試験を行った。試験で評価された製剤組成の詳細を表13でリストにする。
【表13】
【0201】
異なるpH条件下でのタンパク質の熱安定性を決定するために、UNit装置を用いて、異なる温度での固有の蛍光変化によってアンフォールディング温度を測定した。トリプトファンの蛍光発光波長のシフト(重心平均、BCM)は、試料が加熱されたときにアンフォールディング事象が発生することを示す。
図1は、さまざまなpH条件下での20502の測定されたアンフォールディング温度(Tm1)を示す。結果はTm1がpH依存性であることを示している。さらに高いpH(例えば、pH≧7)では、74℃のアンフォールディング温度が観察された。pH5及び6では、アンフォールディング温度はそれぞれ66℃及び70℃だった。pH4では、アンフォールディング温度は55℃だった。さらに、開始温度はpH4を用いて約50℃であると思われたが、開始温度はpH5~8を用いて62℃以上だった。これらの結果は、pH≧5の組成物は、pH4の製剤よりも良好な熱安定性を提供することを実証している。
【0202】
さまざまなpHでの20502の安定性も40℃で最大4週間のストレス条件下にて評価した。すべての試料は透明で無色のままであり、試験期間中、粒子は観察されなかった。凝集体及び断片における変化はSE-HPLCで判定した。時間ゼロ(T0)では、調べた製剤にて1mg/mlの濃度での20502について明確な凝集体は観察されなかった。40℃で4週間後、pH4、7及び8の製剤では可溶性凝集体が著しく増加した;pH5または6の製剤では凝集体のわずかな増加のみが観察された(
図2)。断片の形成に対するpHの同様の効果が観察された(
図3)。この試験の結果は、示された特性のSE-HPLC測定によって示されるように、20502がpH5~6付近で最も安定していることを示した。
【0203】
実施例4:詳細なpHスクリーニング試験
予備的なpHスクリーニング試験の結果は、抗体20502がpH5~6付近で最も安定していることを示した。4.5~6.5の範囲で最大の安定性を提供するpHを特定するために、詳細なpH試験を行った。配合組成の詳細を表14でリストにする。この試験は、mAbの安定性に対する緩衝液の種類の考えられる影響を最小限に抑えるために、クエン酸緩衝液を用いて実施した。10mg/mLでの抗体20502の安定性を、最大3週間のストレス(40℃)条件下での視覚的外観、凝集、断片化(SE-HPLCによる)、及び電荷変異体(iCE)に基づいて調べた。
【表14-1】
【表14-2】
【0204】
すべての試料は透明で無色のままであり、試験期間中、粒子は観察されなかった。SE-HPLCの結果は、試験開始時(T0)に10mg/ml濃度での20502について低レベルの凝集体が観察されることを示した。40℃で3週間の熱ストレスは、4.5<5.0<5.5<6.0<6.5の順で凝集のpH依存性増加を生じた一方で、断片化は反対の傾向を示した(
図4及び
図5)。
【0205】
iCEデータは、40℃で3週間後に酸性変異体が増加することを示した。酸性変異体の増加はpH依存性であり、6.5/6.0/5.5<5.0<4.5の順で増加した(
図6)。
【0206】
高いpHが凝集の増加に関連し、低いpHが断片化の増加に関連するという事実は、望ましい医薬製剤を特定することの困難さを高めた。まとめると、この試験結果は、pH 5~6の製剤が20502に最良の全体的な安定性プロファイルを提供することを実証している。
【0207】
実施例5:緩衝液種スクリーニング試験
pHと同様に、緩衝液の種類はタンパク質の安定性に対してさまざまな程度に影響を及ぼす。10mg/mLでの20502の加速安定性は、pH5.0からpH6.5で最大の安定性を提供する緩衝液を決定する目的で、pKaに基づいて0.5単位の増分でpH5.0からpH6.5までの酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、及びヒスチジンの緩衝液で評価した。詳細な配合組成を表15に提供する。これらの緩衝液は、外観、凝集、断片化、及び電荷変異体に基づいてタンパク質の安定性への影響について調べた。
【表15-1】
【表15-2】
【0208】
すべての試料は透明で無色のままであり、試験期間中、粒子は観察されなかった。
図16に示すSE-HPLC結果は、この試験における緩衝液(pH)に依存した凝集体の増加が明らかにしている。凝集体は、ヒスチジン(pH6.5)>コハク酸塩(pH6)>クエン酸塩(pH5.5)>酢酸塩(pH5)の順で、さらに低いpHでの凝集と比べてさらに高いpHでさらに速い速度で形成された。一方、40℃で3週間にわたって全体的なレベルは低かった(0.5%~0.7%)。けれども、ヒスチジン(pH6.5)及びコハク酸塩(pH6)の緩衝液に比べて酢酸塩(pH5)及びクエン酸塩(pH5.5)の緩衝液ではわずかに少ない断片が観察された(
図8)。
【0209】
iCEの結果は、
図9及び
図10に示されるように、緩衝液が20502の電荷プロファイルにいくらかの影響を及ぼすことを示した。しかし、それらの間の全体的な違いは、40℃で3週間保管した際、酸性変異体で10%をわずかに超え、塩基性変異体では約2%だった。
【0210】
20502抗体は、ヒスチジンを含有する他の2つの標準製剤で調べられたが、どちらも所望の安定性を備えた組成物を生じなかった。これらの結果に基づいて、調べたすべての製剤条件の中で20502はpH5の酢酸緩衝液にて最も安定であると結論付けられた。pH5.5のクエン酸緩衝液も20502に比較的安定した緩衝液を提供する。
【0211】
実施例6:賦形剤の選択試験
増量剤のような製剤賦形剤は製品の安定性に影響を与えることができる。抗体20502の安定性に対する賦形剤の効果を評価するために、20mg/mLでの抗体を塩化ナトリウム(NaCl)、トレハロース、ソルビトール、またはスクロースを等張濃度で含有する酢酸塩製剤及びクエン酸塩製剤に製剤化した。クエン酸塩製剤はpH5.5で製剤化し、酢酸塩製剤はpH5.0で製剤化した。スクロースを含む2つの追加の酢酸塩製剤もpH4.5及び5.5で調製した。詳細な配合組成を表16にて提供する。賦形剤は、40℃、25℃、及び5℃の保管条件下で視覚的外観、凝集、断片化、及び電荷変異体に基づいてタンパク質の安定性に対するその影響について調べた。
【表16-1】
【表16-2】
【0212】
すべての試料は透明で無色のままであり、4週間の試験期間中、粒子は観察されなかった。
図11に示すSE-HPLC結果は、酢酸塩製剤と比べてクエン酸塩製剤では20502凝集体がさらに速い速度で形成されることを明らかにした。凝集形成率はNaCl製剤で最も高く、これはクエン酸塩及び酢酸塩の製剤の双方に当てはまった。ソルビトール、トレハロース、及びスクロースの製剤は、クエン酸塩と酢酸塩の双方の緩衝液で同様の凝集変化を示した。断片については、酢酸塩及びNaClを含有する製剤を除いて、すべての製剤が類似しており、わずかに多い断片を示した(
図12)。したがって、NaClは医薬組成物で広く使用されているが、20502の凝集と断片化の増加を生じた。この試験で観察された断片の量は以前の試験のものと比べてわずかに多かった。これは、この試験で使用したタンパク質の高い濃度(20mg/mL)に起因し得る。
【0213】
製剤賦形剤は、保存時の20502の電荷プロファイルへの影響が少なかった。
図13に示すように、すべての製剤の間で酸性変異体の10%未満の差異が観察された。同様に、さらに少ない2%の塩基性変異体の差異は、各緩衝液種類の範囲内のすべての製剤で観察された(
図14)。
【0214】
賦形剤選択試験の結果に基づいて、観察された凝集体レベルに起因してNaClよりもスクロースが選択された。スクロースは、ソルビトール及びトレハロースと同様の凝集及び電荷プロファイルを示した。しかしながら、スクロースの方が原料供給の観点から信頼性が高く、品質と規制の経験がさらに良好である。
【0215】
まとめると、pH、緩衝液種、及び賦形剤のスクリーニング試験の結果は、20502抗体が、pH5.0での20mMの酢酸塩、270mMのスクロース、及び0.05%PS20を含有する製剤にて最も安定であったことを示している。pH5.5にて20mMのクエン酸塩、270mMのスクロース、0.05%PS20を含有する製剤も良好な安定性を提供する。
【0216】
pH5.0にて20mMの酢酸塩、270mMのスクロース、0.05%PS20を含有する製剤における20502抗体の示差走査熱量測定(DSC)プロファイルを収集し、
図15に示す。Tm1=69℃及びTm2=84℃で2つのピークが観察された。
【0217】
実施例7:20502の凍結融解安定性
凍結/融解試験は、500mLのスケールでpH5.0での20mMの酢酸塩、270mMのスクロース、0.05%のPS20の製剤における20mg/mLのタンパク質として製剤化された20502バルク原薬を-70℃で凍結し、5サイクルを経て常温で融解することによって実施した。外観、可溶性凝集体、または目に見えない粒子状物質の明らかな変化は検出されなかった(表17)。
【表17】
【0218】
実施例8:20502の攪拌安定性
20502原薬を3ccのガラス製バイアルに充填し、試料バイアルをオービタルシェーカーに水平に置き、試料を室温にて72時間300RPMで振盪することにより、20502に攪拌ストレスをかけた。20502はpH5.0での20mMの酢酸塩、270mMのスクロース、0.05%PS20の製剤にて20mg/mLのタンパク質として製剤化された。20502製剤試料では、外観、可溶性凝集体、電荷変異体プロファイル、または目に見えない粒子状物質の明らかな変化は検出されなかった(表18)。すべての試験は20±5℃の室温で行われた。すべての試料は、目に見える粒子がなく、無色透明の外観を有した。
【表18-1】
【表18-2】
【0219】
実施例9:確認安定性試験
2つの製剤(i)pH5.0での20mMの酢酸塩、270mMのスクロース、及び0.05%PS20にて20mg/mLのタンパク質を含む製剤と、(ii)pH5.5での20mMのクエン酸塩、270mMのスクロース、及び0.05%PS20にて20mg/mLのタンパク質を含有する製剤における20502の安定性を評価するために安定性試験を実施した。製剤化した溶液1.5mLを、13mmのネックが付いた13mmのWest4023/50グレイのブロモブチル血清ストッパーでキャップをし、且つアルミニウムシールで密封した3ccの1型ガラスバイアルに充填した。容器閉鎖系と抗体20502との適合性はバイアルを逆さにして評価した。この安定性試験では、5℃、25℃、及び40℃での保管条件を使用した。酢酸塩製剤については表19~表21及びクエン酸塩製剤については表22~表24に示されている6ヵ月の安定性データ。
【表19-1】
【表19-2】
略語:NP=計画されなかった;NT=調べなかった;T0=時間ゼロ。
【表20】
【表21-1】
【表21-2】
【表22-1】
【表22-2】
【表23】
【表24-1】
【表24-2】
【0220】
2~8℃の長期保存条件下での20502医薬品の安定性データは、酢酸塩とクエン酸塩の製剤にて6ヵ月間リアルタイムで収集した。すべての安定性データは合格判定基準を満たした(表19及び表22)。調べたどの属性でも、安定性の変化の明確な傾向は観察されなかった。結果は、20502医薬品が2~8℃での少なくとも6ヵ月間の長期保存条件下で双方の製剤にて安定であることを実証している。
【0221】
25℃の加速条件での安定性データは酢酸塩とクエン酸塩の製剤にて6ヵ月間収集した。全体として、加速条件で6ヵ月間保管すると、iCEで測定されたような酸性ピークの増加と主要ピークの減少;SE-HPLCで測定されたような凝集体と断片のわずかな増加;還元及び非還元CE-SDSで測定されたような純度のわずかな低下;ならびに細胞ベースのADCCアッセイで測定されたような効力のわずかな低下を生じた。他の製品属性の変化は観察されなかった。すべての安定性データは合格判定基準内だった。
【0222】
40℃のストレス条件での安定性データを3ヵ月間収集した。いくつかの変化は時間の経過とともに収集されたデータでさらに顕著だった。傾向は加速保管条件(25℃)で示されたものと類似した。iCEによって酸性ピークの上昇及び主要ピークと塩基性ピークの低下が観察された。単量体の減少に伴う凝集体及び断片の増加がSE-HPLCによって観察された。さらに、還元型及び非還元型のCE-SDS分析で判定されたように、この条件下では純度が低下した。細胞ベースのADCCアッセイにおける効力の低下も観察された。これらの結果は、この条件下で保存されたタンパク質治療薬に期待される変化と一致する。
【0223】
上記の試験は、20502の最大の安定性を提供する製剤化条件を特定するために行われた。これらには、pHスクリーニング、緩衝液種の選択、及び賦形剤の選択の試験が含まれる。20502は、酢酸塩またはクエン酸塩緩衝液にてpH5~6の範囲で最も安定だった。20502は、スクロースを賦形剤として使用した場合も安定だった。pH5.0での20mMの酢酸塩、270mMのスクロース、及び0.05%のPS20にて20mg/mLのタンパク質を含む製剤を選択した。pH5.5での20mMのクエン酸塩、270mMのスクロース、0.05%のPS20における20mg/mLのタンパク質としてのバックアップ製剤も選択した。
【0224】
抗体20502は、凍結融解及び攪拌の条件下の酢酸塩製剤でも安定である。酢酸塩製剤における20502は、-70℃で保管した場合は原薬として、且つ2~8℃で保管した場合は医薬品として少なくとも12ヵ月間は安定であると予想される。
【0225】
本発明は、本明細書に記載されている特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際、記載されているものに加えて、本明細書で提供されている様々な修飾が、上記の説明及び添付の図面から当業者に明らかとなるだろう。かかる修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0226】
本明細書で引用されている全ての参考文献(例えば、出版物または特許または特許出願)は、各個々の参考文献(例えば、出版物または特許または特許出願)が、あらゆる目的でその全体が参照によって組み込まれるように具体的かつ個別に指示されたかのような同じ程度に、あらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0227】
他の実施形態は以下のクレームの範囲内である。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
医薬組成物であって、(i)ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片と、(ii)酢酸塩またはクエン酸塩から成る群から選択される緩衝液と、(iii)糖とを含み、前記組成物のpHが約4.5~約6である、前記医薬組成物。
(項目2)
医薬組成物であって、(i)ヒトB7-H4に特異的に結合し、配列番号5~10のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3及びVL CDR1、CDR2、及びCDR3の配列を含む抗体またはその抗原結合断片と、(ii)緩衝液と、及び(iii)約4.5~約6のpHとを含む、前記医薬組成物。
(項目3)
医薬組成物であって、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、前記組成物が5℃で6ヵ月後、前記抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を45%以下で含む、前記医薬組成物。
(項目4)
医薬組成物であって、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、前記組成物が5℃で6ヵ月後、前記抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を約30%~約45%含む、前記医薬組成物。
(項目5)
医薬組成物であって、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、前記組成物が5℃で6ヵ月後、前記抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を約20%以下で含む、前記医薬組成物。
(項目6)
医薬組成物であって、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、前記組成物が5℃で6ヵ月後、前記抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を約9%~約18%含む、前記医薬組成物。
(項目7)
医薬組成物であって、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、前記組成物が5℃で6ヵ月後、前記抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体及び塩基性変異体を60%以下で含む、前記医薬組成物。
(項目8)
組成物が、5℃で6ヵ月後、前記抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を約30%~約40%含む、項目1~7のいずれか1項に記載の組成物。
(項目9)
前記組成物が、5℃で6ヵ月後、前記抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体を約35%~約40%含む、項目8に記載の組成物。
(項目10)
前記組成物が、5℃で6ヵ月後、前記抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を約10%~約17%含む、項目1~9のいずれか1項に記載の組成物。
(項目11)
前記組成物が、5℃で6ヵ月後、前記抗体またはその抗原結合断片の塩基性変異体を約11%~約16%含む、項目10に記載の組成物。
(項目12)
前記組成物が、5℃で6ヵ月後、前記抗体またはその抗原結合断片の酸性変異体及び塩基性変異体を55%以下で含む、項目1~11のいずれか1項に記載の組成物。
(項目13)
前記抗体またはその抗原結合断片がそれぞれ、配列番号5~10のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3及びVL CDR1、CDR2、及びCDR3の配列を含む、項目1または3~12のいずれか1項に記載の組成物。
(項目14)
前記組成物の前記pHが約4.5~約6である、項目3~13のいずれか1項に記載の組成物。
(項目15)
前記組成物が緩衝液を含む、項目3~14のいずれか1項に記載の組成物。
(項目16)
前記緩衝液が酢酸塩またはクエン酸塩である、項目2または15に記載の組成物。
(項目17)
前記組成物が糖をさらに含む、項目2~15のいずれか1項に記載の組成物。
(項目18)
前記糖が、スクロース、ソルビトール、及びトレハロースから成る群から選択される、項目1または17に記載の組成物。
(項目19)
前記緩衝液の濃度が約15~約25mMである、項目1、2及び15~18のいずれか1項に記載の組成物。
(項目20)
前記緩衝液の前記濃度が約18mM~約22mMである、項目19に記載の組成物。
(項目21)
前記緩衝液の前記濃度が約20mMである、項目20に記載の組成物。
(項目22)
前記糖の濃度が、約225mM~約300mMである、項目1及び項目17~21のいずれか1項に記載の組成物。
(項目23)
前記糖の前記濃度が約250mM~約290mMである、項目22に記載の組成物。
(項目24)
前記糖の前記濃度が約270mMである、項目23に記載の組成物。
(項目25)
前記糖の前記濃度が前記緩衝液の前記濃度の約10~約15倍であり、任意で、前記糖の前記濃度が前記緩衝液の前記濃度の約13.5倍である、項目1及び17~24のいずれか1項に記載の組成物。
(項目26)
前記組成物が界面活性剤をさらに含む、項目1~25のいずれか1項に記載の組成物。
(項目27)
前記界面活性剤がポリソルベートであり、任意で前記ポリソルベートがポリソルベート20である、項目26に記載の組成物。
(項目28)
前記界面活性剤の前記濃度が約0.025%~約0.075重量/体積(w/v)%である、項目26または27に記載の組成物。
(項目29)
前記界面活性剤の前記濃度が約0.035%~約0.065重量/体積(w/v)%である、項目28に記載の組成物。
(項目30)
前記界面活性剤の前記濃度が約0.005重量/体積(w/v)%である、項目29に記載の組成物。
(項目31)
前記抗体またはその抗原結合断片の濃度が約5mg/mL~約30mg/mLである、項目1~30のいずれか1項に記載の組成物。
(項目32)
前記抗体またはその抗原結合断片の前記濃度が約10~約25mg/mLである、項目31記載の組成物。
(項目33)
前記抗体またはその抗原結合断片の前記濃度が約20mg/mLである、項目32記載の組成物。
(項目34)
前記pHが約5.0~約6.0である、項目1~33のいずれか1項に記載の組成物。
(項目35)
前記pHが約5である、項目1~33のいずれか1項に記載の組成物。
(項目36)
前記pHが約5.5である、項目1~33のいずれか1項に記載の組成物。
(項目37)
前記組成物が液体である、項目1~36のいずれか1項に記載の組成物。
(項目38)
前記組成物が非経口投与用である、項目1~37のいずれか1項に記載の組成物。
(項目39)
前記組成物が静脈内投与用である、項目1~37のいずれか1項に記載の組成物。
(項目40)
前記緩衝液が酢酸塩であり、前記賦形剤がスクロースである、項目1~39のいずれか1項に記載の組成物。
(項目41)
約20mMの酢酸塩と、約270mMのスクロースと、約20mg/mLの前記抗体またはその抗原結合断片と、約0.05%のポリソルベート20とを含み、前記pHが約5.0である、項目1~40のいずれか1項に記載の組成物。
(項目42)
酢酸塩の濃度の約13.5倍である濃度のスクロースと、約20mg/mLの前記抗体またはその抗原結合断片と、約0.05%のポリソルベート20とを含み、前記pHが約5.0である、項目1~40のいずれか1項に記載の組成物。
(項目43)
前記緩衝液がクエン酸塩であり、前記賦形剤がスクロースである、項目1~39のいずれか1項に記載の組成物。
(項目44)
約20mMのクエン酸塩と、約270mMのスクロースと、約20mg/mLの前記抗体またはその抗原結合断片と、約0.05%のポリソルベート20とを含み、前記pHが約5.5である、項目1~39または43のいずれか1項に記載の組成物。
(項目45)
クエン酸塩の濃度の約13.5倍である濃度のスクロースと、約20mg/mLの前記抗体またはその抗原結合断片と、約0.05%のポリソルベート20とを含み、前記pHが約5.5である、項目1~39または43のいずれか1項に記載の組成物。
(項目46)
前記抗体が、配列番号11で示されるアミノ酸配列を含むVH及び/または配列番号12で示されるアミノ酸配列を含むVLを含む項目1~45のいずれか1項に記載の組成物。
(項目47)
前記抗体が、配列番号21で示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び/または配列番号22で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、項目46に記載の組成物。
(項目48)
前記組成物における前記抗体またはその抗原結合断片の少なくとも95%が非フコシル化されている、項目1~47のいずれか1項に記載の組成物。
(項目49)
前記組成物においてフコシル化が検出できない、項目1~47のいずれか1項に記載の組成物。
(項目50)
完全長の抗体を含む、項目1~49のいずれか1項に記載の組成物。
(項目51)
抗原結合断片を含む、項目1~49のいずれか1項に記載の組成物。
(項目52)
前記抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH2、ミニボディ、F(ab’)3、テトラボディ、トリアボディ、ジアボディ、単一ドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb2、(scFv)2、またはscFv-Fcを含む、項目51に記載の組成物。
(項目53)
前記抗体またはその抗原結合断片がカニクイザルB7-H4に特異的に結合する、項目1~52のいずれか1項に記載の組成物。
(項目54)
前記抗体またはその抗原結合断片がラットB7-H4に特異的に結合する、項目1~53のいずれか1項に記載の組成物。
(項目55)
前記抗体またはその抗原結合断片がマウスB7-H4に特異的に結合する、項目1~54のいずれか1項に記載の組成物。
(項目56)
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒトB7-H4のIgVドメインに特異的に結合する、項目1~55のいずれか1項に記載の組成物。
(項目57)
前記抗体またはその抗原結合断片のpIが約8.2である、項目1~56のいずれか1項に記載の組成物。
(項目58)
医薬組成物であって、(i)配列番号21で示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び/または配列番号22で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体と、(ii)約20mMの酢酸塩と、(iii)約270mMのスクロースと、(iv)約0.05重量/体積%のポリソルベート20とから成り、前記組成物のpHが約5.0である、前記医薬組成物。
(項目59)
医薬組成物であって、(i)配列番号21で示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び/または配列番号22で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体と、(ii)約20mMのクエン酸塩と、(iii)約270mMのスクロースと、(iv)約0.05重量/体積%のポリソルベート20とから成り、前記組成物のpHが約5.5である、前記医薬組成物。
(項目60)
項目1~59のいずれか1項に記載の組成物を含む、シリンジまたはバイアル。
(項目61)
対象にてB7-H4を発現しているがんを治療する方法であって、前記方法が項目1~59のいずれか1項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
(項目62)
前記がんが固形腫瘍である、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記がんが、乳癌、乳管癌、子宮内膜癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、膵臓癌、甲状腺癌、腎臓癌及び膀胱癌から成る群から選択される、項目61または62に記載の方法。
(項目64)
前記乳癌がトリプルネガティブ乳癌またはホルモン受容体陽性乳癌である、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記非小細胞肺癌が扁平上皮癌である、項目63に記載の方法。
(項目66)
前記対象がヒトである、項目61~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目67)
前記医薬組成物が非経口投与される、項目61~66いずれか1項に記載の方法。
(項目68)
前記医薬組成物が静脈内に投与される、項目61~66のいずれか1項に記載の方法。