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  • 特開-型締装置および射出成形機 図1
  • 特開-型締装置および射出成形機 図2
  • 特開-型締装置および射出成形機 図3A
  • 特開-型締装置および射出成形機 図3B
  • 特開-型締装置および射出成形機 図4A
  • 特開-型締装置および射出成形機 図4B
  • 特開-型締装置および射出成形機 図4C
  • 特開-型締装置および射出成形機 図4D
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008682
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】型締装置および射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20240112BHJP
   B29C 45/03 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110737
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】三谷 聡麻
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM19
4F206AR07
4F206JA07
4F206JL02
4F206JM02
4F206JM06
4F206JN31
4F206JP02
4F206JQ83
4F206JT32
4F206JT38
(57)【要約】
【課題】グリスによる周囲環境の汚染を防止する型締装置を提供する。
【解決手段】2個の型盤(13、14)と、型盤(13、14)同士を接続する複数本のボールねじ機構(18)と、ボールねじ機構(18)を駆動する複数個のサーボモータ(22)と、を備えた型締装置(2)を対象とする。複数本のボールねじ機構(18)を構成しているボールねじ(19)には、それぞれ2個の型盤(13、14)の間において少なくとも一部を覆うカバー(24、25、26)を設ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の型盤と、
前記型盤同士を接続する複数本のボールねじ機構と、
複数本の前記ボールねじ機構のそれぞれに設けられて前記ボールねじ機構を駆動する複数個のサーボモータと、を備え、
複数本の前記ボールねじ機構はそれぞれボールねじを備え、
複数本の前記ボールねじには、それぞれ2個の前記型盤の間において少なくとも一部を覆うカバーが設けられている、型締装置。
【請求項2】
前記カバーは2個の前記型盤の間の全長に渡って前記ボールねじを覆っている、請求項1に記載の型締装置。
【請求項3】
複数本の前記ボールねじは一方の端部が一方の前記型盤から外方に突き出しており、突き出した部分を覆うカバーが設けられている、請求項1または2に記載の型締装置。
【請求項4】
複数本の前記ボールねじにおいて2個の前記型盤の間に設けられている前記カバーは、一方の前記型盤に設けられている第1のカバー体と、他方の前記型盤に設けられている第2のカバー体とから構成され、2個の前記型盤が型閉じ方向に駆動されるとき、前記第1のカバー体が前記第2のカバー体に挿入されるようになっている、請求項1または2に記載の型締装置。
【請求項5】
前記カバーは金属製である、請求項1または2に記載の型締装置。
【請求項6】
前記カバーには、前記ボールねじから飛散したグリスが内部に溜められるグリス溜め構造が設けられている、請求項1または2に記載の型締装置。
【請求項7】
前記カバーには、前記ボールねじから飛散したグリスを外部に排出するグリスドレン構造が設けられている、請求項1または2に記載の型締装置。
【請求項8】
金型を型締めする型締装置と、
射出材料を射出する射出装置と、から構成され、
前記型締装置は、2個の型盤と、
前記型盤同士を接続する複数本のボールねじ機構と、
複数本の前記ボールねじ機構のそれぞれに設けられて前記ボールねじ機構を駆動する複数個のサーボモータと、を備え、
複数本の前記ボールねじ機構はそれぞれボールねじを備え、
複数本の前記ボールねじには、それぞれ2個の前記型盤の間において少なくとも一部を覆うカバーが設けられている、射出成形機。
【請求項9】
前記カバーは2個の前記型盤の間の全長に渡って前記ボールねじを覆っている、請求項8に記載の射出成形機。
【請求項10】
複数本の前記ボールねじは一方の端部が一方の前記型盤から外方に突き出しており、突き出した部分を覆うカバーが設けられている、請求項8または9に記載の射出成形機。
【請求項11】
複数本の前記ボールねじにおいて2個の前記型盤の間に設けられている前記カバーは、一方の前記型盤に設けられている第1のカバー体と、他方の前記型盤に設けられている第2のカバー体とから構成され、2個の前記型盤が型閉じ方向に駆動されるとき、前記第1のカバー体が前記第2のカバー体に挿入されるようになっている、請求項8または9に記載の射出成形機。
【請求項12】
前記カバーは金属製である、請求項8または9に記載の射出成形機。
【請求項13】
前記カバーには、前記ボールねじから飛散したグリスが内部に溜められるグリス溜め構造が設けられている、請求項8または9に記載の射出成形機。
【請求項14】
前記カバーには、前記ボールねじから飛散したグリスを外部に排出するグリスドレン構造が設けられている、請求項8または9に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2個の型盤とこれら型盤を連結する複数本のボールねじ機構とを備えた型締装置、および射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機もしくはプレス機には、金型を型締めする型締装置が設けられている。型締装置には色々な種類があるが、特許文献1には型盤が2個からなる型締装置が記載されている。つまり型盤は固定盤と可動盤ととからなる。そして固定盤と可動盤は、4組のボールねじ機構によって連結されている。一方の型盤には4組のボールねじ機構を構成する4個のボールナットが設けられ、他方の型盤には4本のボールねじを回転する4個のサーボモータが設けられている。したがって、4個のサーボモータを駆動すると4組のボールねじ機構によって可動盤が固定盤に対してスライドする。すなわち型開閉することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-269748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の型締装置が型開閉するとき4本のボールねじは必然的に回転する。ボールねじにはグリスが付着しており、回転によって飛散する虞がある。つまりグリスによって金型や周囲環境を汚染する虞がある。
【0005】
本開示において、グリスによる周囲環境の汚染を防止する型締装置を提供する。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、2個の型盤と、型盤同士を接続する複数本のボールねじ機構と、ボールねじ機構を駆動する複数個のサーボモータと、を備えた型締装置を対象とする。複数本のボールねじ機構を構成しているボールねじには、それぞれ2個の型盤の間において少なくとも一部を覆うカバーを設ける。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、グリスによる周囲環境の汚染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る射出成形機を示す正面図である。
図2】本実施の形態に係る型締装置を示す斜視図である。
図3A】本実施の形態に係る型締装置の一部を示す正面図である。
図3B】本実施の形態に係る型締装置の一部を示す正面図である。
図4A】本実施の変形例1に係る型締装置の一部を示す正面図である。
図4B】本実施の変形例2に係る型締装置の一部を示す正面図である。
図4C】本実施の変形例3に係る型締装置の一部を示す正面図である。
図4D】本実施の変形例4に係る型締装置の一部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0011】
<本実施の形態に係る射出成形機>
本実施の形態に係る射出成形機1は、図1に示されているように、ベッドBに設けられている型締装置2と、射出装置4と、これらを制御する制御装置5と、から構成されている。
【0012】
<射出装置>
射出装置4は加熱シリンダ6と、この加熱シリンダ6に入れられているスクリュ7と、スクリュ7を駆動するスクリュ駆動装置8とから構成されている。加熱シリンダ6にはホッパ10が設けられ、そして先端に射出ノズル11が設けられている。ホッパ10から射出材料が投入され、そしてスクリュ7を回転して射出材料を溶融するとスクリュ7の先端に計量される。スクリュ7を軸方向に駆動すると射出材料が射出されるようになっている。
【0013】
<型締装置>
本実施の形態に係る型締装置2は、いわゆる2プラテンの型締装置からなる。すなわち型締装置2は、図2に示されているように、2個の型盤13、14つまり固定盤13と可動盤14とを備えている。固定盤13はベッドB上に固定されており、可動盤14はベッドB上に設けられたリニアガイド15、15に載せられている。すなわち可動盤14は固定盤13に接近・離間する方向にスライド自在になっている。固定盤13には図1に示されているように、固定側金型16が、そして可動盤14には可動側金型17がそれぞれ取り付けられている。
【0014】
本実施の形態に係る型締装置2は、2個の型盤13、14、つまり固定盤13と可動盤14とが4組のボールねじ機構18、18、…によって連結されている。それぞれのボールねじ機構18、18、…は、ボールねじ19、19、…と、これらボールねじ19、19、…と噛み合っているボールナット20、20、…とを備えている。
【0015】
図2には示されていないが、可動盤14には貫通孔が開けられており、この貫通孔にボールナット20、20、…が固着されている。つまりボールねじ19、19、…は、一方の端部側がボールナット20、20、…を介して可動盤14に接続されている。ボールねじ19、19、…の他方の端部は、固定盤13を貫通し、固定盤13に対して回転可能に支持されている。固定盤13にはサーボモータ22、22、…が設けられ、ボールねじ19、19、…と接続されている。したがって、サーボモータ22、22、…を駆動するとボールねじ19、19、…が回転し、可動盤14がスライドすることになる。すなわち金型16、17(図1参照)が型開閉される。
【0016】
<カバー>
本実施の形態に係る型締装置2は、4本のボールねじ19、19、…にカバー24、24、…が設けられている点に特徴がある。カバー24、24、…は、本実施の形態において第1のカバー体25、25、…と、第2のカバー体26、26、…とから構成されている。第1のカバー体25、25、…は、金属製の円筒状を呈し、その内径がボールねじ19、19、…の径より少しだけ大きい。この第1のカバー体25、25、…はボールねじ19、19、…が挿入された状態でその端部が可動盤14に固定されている。一方、第2のカバー体26、26、…も金属製の円筒状を呈しているが、内径は第1のカバー体25、25、…の外径より少しだけ大きい。この第2のカバー体26、26、…はボールねじ19、19、…が挿入された状態でその端部が固定盤13に固定されている。
【0017】
第1のカバー体25、25、…は、それらの端部が第2のカバー体26、26、…内に挿入されている。そして、図3Aに示されているように、型締装置2が完全に型開きされた状態でも、固定盤13と可動盤14の間の区間においてボールねじ19、19、…は、完全に覆われた状態になっている。したがって、ボールねじ19、19、…からグリスが飛散しても、第1、第2のカバー体25、26、…にグリスが付着して、周囲環境の汚染を防止する。型締装置2が型閉じすると、図3Bに示されているように、第1のカバー体25、25、…が深く第2のカバー体26、26、…内に挿入されるが、第1、第2のカバー体25、26、…の端部は他方の型盤13、14に接触せず、型閉じの妨げにならない。
【0018】
<変形例1>
本実施の形態に係る型締装置2のカバー24、24、…は色々な変形が可能である。図4Aには変形例1に係る型締装置2Aの一部が示されている。変形例1に係る型締装置2Aは、図1図2で説明した本実施の形態に係る射出成形機1、型締装置2に対して、次に説明するカバーだけが相違しており、他の構成は同じである。したがって同じ構成に関して説明を省略する。
【0019】
変形例1に係る型締装置2には、図4Aに示されているように、ボールねじ19の可動盤14から外方に突き出している部分にも、外側カバー28が設けられている。外側カバー28も、金属製の筒状を呈し、その内径はボールねじ19の径より少しだけ大きい。この外側カバー28は、図4Aに示されている例では一方の端部がボールナット20に固定されているが、可動盤14に固定されていてもよい。このような外側カバー28によって、ボールねじ19の可動盤14から外方に突き出している部分からのグリスの飛散を防止することができる。
【0020】
<変形例2>
本実施の変形例2に係る型締装置2Bが、図4Bに示されている。変形例2に係る型締装置2Bは、図1図2で説明した本実施の形態に係る射出成形機1、型締装置2に対して、カバー24Bだけが相違しており、他の構成は同じであるので同じ構成についての説明を省略する。カバー24Bを構成している第1のカバー体25Bと、第2のカバー体26Bには、それぞれの先端において内側にわずかに突出し縮径した堰30、31が形成されている。これらの堰30、31によって第1のカバー体25Bと第2のカバー体26B内に落ちたグリスが漏れ出さないようになっている。つまり、堰30、31は、グリス溜め構造になっていると言える。
【0021】
<変形例3>
図4Cには本実施の変形例3に係る型締装置2Cが示されている。変形例3に係る型締装置2Cは、図1図2で説明した本実施の形態に係る射出成形機1、型締装置2に対して、カバー24Cだけが相違しており、他の構成は同じであるので同じ構成についての説明を省略する。このカバー24Cは、図4Bに示されている変形例2に係るカバー24Bと概ね同様に構成され、第1のカバー体25Cと第2のカバー体26Cに、それぞれ堰30、31が形成されている。このカバー24Cは、第1のカバー体25Cと第2のカバー体26Cのそれぞれにおいてグリスを排出するグリスドレン構造、つまりグリス排出管35、36が設けられている点に特徴がある。第1のカバー体25Cと第2のカバー体26C内に溜まったグリスはこのグリスドレン構造によって外部に排出され、周囲環境の汚染を防止することができる。
【0022】
<変形例4>
図4Dには本実施の変形例4に係る型締装置2Dが示されている。変形例4に係る型締装置2Dは、図1図2で説明した本実施の形態に係る射出成形機1、型締装置2に対して、カバー38だけが相違しており、他の構成は同じであるので同じ構成についての説明を省略する。変形例4に設けられているカバー38は、複数個の径の異なる円筒カバー体40、41、42、43から構成されている。円筒カバー体40、41、42、43は全体として伸縮自在になっており、ボールねじ19を覆っている。この変形例4に係る型締装置2もボールねじ19からのグリスの飛散を防止することができる。
【0023】
<他の変形例>
本実施の形態は他にも色々な変形が可能である。例えば、図2によって説明した本実施の形態に係る型締装置2において、カバー24、24、…は2個の型盤13、14の間においてボールねじ19、19、…を完全に覆っているように説明した。しかしながら、例えば、第1のカバー体25、25、…だけから構成して、第2のカバー体26、26、…を省略するようにしてもよい。つまりボールねじ19、19、…を固定盤13の近傍について露出させるようにしてもよい。グリスはボールねじ19、19、…において、ボールナット20の近傍に、つまり可動盤14の近傍に比較的多めに付着している。したがって、可動盤14側に設けられている第1のカバー体25、25、…のみによっても、ある程度のグリスの飛散を防止することができるからである。
【0024】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0025】
1 射出成形機 2 型締装置
4 射出装置 5 制御部
6 加熱シリンダ 7 スクリュ
8 スクリュ駆動装置 10 ホッパ
11 射出ノズル 13 固定盤
14 可動盤 15 リニアガイド
16 固定側金型 17 可動側金型
18 ボールねじ機構 19 ボールねじ
20 ボールナット 22 サーボモータ
24 カバー 25 第1のカバー体
26 第2のカバー体 28 外側カバー
30 堰 31 堰
35 グリス排出管 36 グリス排出管
38 カバー
B ベッド
C 中心

図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D