(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086835
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】撮像素子および電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240621BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01L27/146 F
H01L27/088 E
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062766
(22)【出願日】2024-04-09
(62)【分割の表示】P 2020553169の分割
【原出願日】2019-10-15
(31)【優先権主張番号】P 2018195638
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長濱 嘉彦
(57)【要約】
【課題】基板の面積を低減させることが可能な撮像素子および電子機器を提供する。
【解決手段】複数の光電変換素子と、前記光電変換素子ごとに形成され、前記光電変換素子から出力される電気信号を転送するための転送トランジスタと、が形成される第1の基板と、2以上の前記光電変換素子を単位とする組ごとに、当該組が共有する1以上の画素トランジスタが形成される第2の基板とを備え、前記第1の基板には、前記各転送トランジスタの出力端子側として、前記各光電変換素子から出力される電気信号を一時的に保持するフローティングディフュージョンが形成され、前記フローティングディフュージョンの各々に繋がる第2の配線は、複数の前記第2の配線が共有する1つのコンタクトに接続され、当該コンタクトを介して、前記第2の基板に形成された第1の配線に接続される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光電変換素子と、前記光電変換素子ごとに形成され、前記光電変換素子から出力される電気信号を転送するための転送トランジスタと、が形成される第1の基板と、
2以上の前記光電変換素子を単位とする組ごとに、当該組が共有する1以上の画素トランジスタが形成される第2の基板と、
を備え、
前記第1の基板には、前記各転送トランジスタの出力端子側として、前記各光電変換素子から出力される電気信号を一時的に保持するフローティングディフュージョンが形成され、
前記フローティングディフュージョンの各々に繋がる第2の配線は、複数の前記第2の配線が共有する1つのコンタクトに接続され、当該コンタクトを介して、前記第2の基板に形成された第1の配線に接続される、
撮像素子。
【請求項2】
前記コンタクトは、前記第1の基板と前記第2の基板とに形成され、前記第1の基板と前記第2の基板とを電気的に接続する、請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記コンタクトは、前記第2の基板の第1の半導体領域と前記第2の基板の第2の半導体領域との間に位置する絶縁領域を貫通するように形成される、
請求項2に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記第2の基板の前記第1の半導体領域又は前記第2の半導体領域には、前記各転送トランジスタの各々から転送された電気信号を増幅して出力する増幅トランジスタを少なくとも含む前記画素トランジスタが形成され、
前記第1の配線は、前記増幅トランジスタに接続される、
請求項3に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記画素トランジスタは、選択トランジスタを含む、
請求項4に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記転送トランジスタはN型のトランジスタであり、
前記第2の配線はP型のポリシリコンで形成される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記転送トランジスタはP型のトランジスタであり、
前記第2の配線はN型のポリシリコンで形成される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記第1の配線は銅を含んで形成される、
請求項1~7のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項9】
前記第2の基板に積層され、前記各光電変換素子で生成された信号を処理するロジック回路を有する第3の基板をさらに備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項10】
前記第2の基板と前記第3の基板との互いに向かい合う面の各々には、前記第2の基板と前記第3の基板とを、電気的に接続し、且つ、貼り合されせるための、複数のパッド電極が形成されている、請求項9に記載の撮像素子。
【請求項11】
前記パッド電極は銅を含んで形成される、
請求項10に記載の撮像素子。
【請求項12】
前記撮像素子を前記第1の基板の面に対して垂直に交わる第1の方向に沿って切断した断面において、前記各第2の配線は、前記第1の方向に延伸する、請求項1~11のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項13】
前記各第2の配線は、前記第1の基板に形成された第3の配線に接続され、前記第3の配線は、前記コンタクトに接続されている、請求項12に記載の撮像素子。
【請求項14】
前記断面において、前記第3の配線は、前記第1の基板の面に対して平行に交わる第2の方向に延伸する、請求項13に記載の撮像素子。
【請求項15】
前記断面において、前記各第2の配線の前記第2の方向における長さは、前記第3の配線の第2の方向における長さに比べて短い、請求項14に記載の撮像素子。
【請求項16】
前記転送トランジスタの各々のゲート電極は、前記フローティングディフュージョンに隣接するように設けられ、前記第2の基板に形成された第5の配線に、貫通電極を介して接続されている、請求項1~15のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項17】
撮像素子と、
前記撮像素子へ入射光を導くための光学系と、
前記撮像素子から出力される信号を処理する処理部と、を備え、
前記撮像素子は、
複数の光電変換素子と、前記光電変換素子ごとに形成され、前記光電変換素子から出力される電気信号を転送するための転送トランジスタと、が形成される第1の基板と、
2以上の前記光電変換素子を単位とする組ごとに、当該組が共有する1以上の画素トランジスタが形成される第2の基板と、
を有し、
前記第1の基板には、前記各転送トランジスタの出力端子側として、前記各光電変換素子から出力される電気信号を一時的に保持するフローティングディフュージョンが形成され、
前記フローティングディフュージョンの各々に繋がる第2の配線は、複数の前記第2の配線が共有する1つのコンタクトに接続され、当該コンタクトを介して、前記第2の基板に形成された第1の配線に接続される、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像素子、および、この撮像素子を備えたカメラ等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像装置において、画素領域が形成された第1の半導体基板と、ロジック回路が形成された第2の半導体基板とが積層される構成が知られている(例えば特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された撮像装置は、光電変換素子と、該光電変換素子で受光した光量に応じた電気信号を読み出すための画素トランジスタとが同一の半導体基板に形成されている。しかしながら、このような構成では、基板の面積(基板のうち、例えばトランジスタなどの回路部品が形成される面のスペース)を十分に低減できない。
【0005】
そこで、例えば光電変換素子が形成される基板(第1の基板)と、画素トランジスタが形成される基板(第2の基板)とを分けて積層することが考えらえる。このような構成において、例えば複数の画素と1対1に対応する複数の光電変換素子が1つの画素トランジスタを共有する場合を想定する。この場合、第1の基板に形成される要素(例えばトランジスタ等の回路部品)のうち、それぞれが光電変換素子ごとに形成される複数の第1の要素は、共有要素となる第2の要素に対して共通に接続される。
【0006】
上記構成の場合、第1の基板の複数の第1の要素を、これらが共有する第2の要素に繋がる配線であって第2の基板に形成される配線に対して、1つずつコンタクトで繋ぐ必要がある。そのため、配線のコンタクト数が増えて面積が大きくなってしまう。
【0007】
本開示は、基板の面積を低減させることが可能な撮像素子および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の撮像素子は、複数の光電変換素子が形成される第1の基板と、2以上の光電変換素子を単位とする組ごとに、該組が共有する画素トランジスタが形成される第2の基板と、第1の基板に形成される複数の要素のうち、それぞれが光電変換素子ごとに形成される複数の第1の要素が共有する第2の要素に繋がる配線であって、第2の基板に形成される第1の配線に対して、1つのコンタクトで接続され、かつ、該複数の第1の要素が接続される第2の配線と、を備える撮像素子である。
【0009】
ここで、「要素」とは基板(半導体基板)に形成される光電変換素子、トランジスタ、配線(電極を含む)などの回路部品のうちの一部または全部を含む概念である。また、「画素トランジスタ」とは、光電変換素子で受光した光量に応じた電気信号を読み出すためのトランジスタであり、かつ、複数の光電変換素子(画素)で共有可能なトランジスタである。例えば画素トランジスタには、光電変換素子から供給される電気信号を増幅して出力する増幅トランジスタが少なくとも含まれる。
【0010】
(作用)本開示の撮像素子においては、第1の基板の複数の第1の要素が共有する第2の要素に繋がる配線であって、第2の基板に形成される第1の配線に対して、1つのコンタクトで接続され、かつ、該複数の第1の要素が接続される第2の配線が設けられる。つまり、この第2の配線は、複数の第1の要素を集約し、該複数の第1の要素が共有する(共通に接続される)第2の要素に繋がる配線に対して1つのコンタクトで接続する。これにより、集約単位の複数の第1の要素を第1の配線に接続するために該第1の配線に形成されるコンタクトの数は1つで済むので、第1の配線のコンタクト数および面積を低減できる。
【0011】
また、本開示の撮像素子は、光電変換素子が形成される第1の基板と、画素トランジスタが形成される第2の基板とが分けて積層されるので、基板上の面積を低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、基板の面積を低減させることができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載された何れかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の各実施形態に適用される撮像素子の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図1のセンサ画素および読み出し回路の一例を表す図である。
【
図3】
図1のセンサ画素および読み出し回路の一例を表す図である。
【
図4】
図1のセンサ画素および読み出し回路の一例を表す図である。
【
図5】
図1のセンサ画素および読み出し回路の一例を表す図である。
【
図6】複数の読み出し回路と複数の垂直信号線との接続態様の一例を表す図である。
【
図7】
図1の撮像素子の垂直方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図8】第1の実施形態のフォトダイオードを構成するN型の半導体領域の変形例を示す図である。
【
図9】第1の実施形態の撮像素子の構造の変形例を示す図である。
【
図10】第2基板と、第3基板との接合点の配置を示す図である。
【
図11】第2基板と、第3基板との接合点の配置の変形例を示す図である。
【
図12】
図1の撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図13】
図1の撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図14】
図1の撮像素子の水平面内での配線レイアウトの一例を表す図である。
【
図15】
図1の撮像素子の水平面内での配線レイアウトの一例を表す図である。
【
図16】
図1の撮像素子の水平面内での配線レイアウトの一例を表す図である。
【
図17】
図1の撮像素子の水平面内での配線レイアウトの一例を表す図である。
【
図18】第1の実施形態の撮像素子の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図19】第1の実施形態の撮像素子の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図20】第1の実施形態の撮像素子の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図21】第1の実施形態の撮像素子の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図22】第1の実施形態の撮像素子の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図23】第1の実施形態の撮像素子の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図24】第1の実施形態の撮像素子の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図25】第1の実施形態の撮像素子の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図26】配線が設けられない構成を採った場合の撮像素子の断面の一部を示す図である。
【
図27】第1の実施形態の撮像素子の断面の一部を示す図である。
【
図28】第1の実施形態の第1の基板の模式的な平面図である。
【
図29】第1の実施形態の第2の基板の模式的な平面図である。
【
図30】第1の実施形態の第2の基板と第1の基板とを重ね合わせた状態の模式的な平面図である。
【
図31】配線のレイアウトの変形例を示す図である。
【
図32】第1の実施形態の変形例に係る第1の基板の模式的な平面図である。
【
図33】第1の実施形態の変形例に係る第2の基板の模式的な平面図である。
【
図34】第4の実施形態の撮像素子の断面の一部を示す図である。
【
図35】第5の実施形態の撮像素子の断面の一部を示す図である。
【
図36】第6の実施形態の撮像素子の断面の一部を示す図である。
【
図37】第6の実施形態の変形例に係る撮像素子の断面の一部を示す図である。
【
図38】本開示の撮像素子を適用した電子機器の一例であるカメラの構成例を示す図である。
【
図39】
図1のセンサ画素および読み出し回路の一例を表す図である。
【
図40】
図1のセンサ画素および読み出し回路の一例を表す図である。
【
図41】
図1のセンサ画素および読み出し回路の一例を表す図である。
【
図42】
図1のセンサ画素および読み出し回路の一例を表す図である。
【
図43】
図1の撮像素子の垂直方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図44】
図1の撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図45】
図1の撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図46】
図1の撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図47】
図1の撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図48】
図1の撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図49】
図1の撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図50】
図1の撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図51】上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置を備えた撮像装置の回路構成の一例を表す図である。
【
図52】
図51の撮像素子を3つの基板を積層して構成した例を表す図である。
【
図53】ロジック回路を、センサ画素の設けられた基板と、読み出し回路の設けられた基板とに分けて形成した例を表す図である。
【
図54】ロジック回路を、第3基板に形成した例を表す図である。
【
図55】上記撮像素子を備えた撮像システムの概略構成の一例を表す図である。
【
図56】
図55の撮像システムにおける撮像手順の一例を表す図である。
【
図57】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図58】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図59】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図60】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態に係る撮像素子および電子機器の一例を詳細に説明する。説明は以下の順序で行う。
1.撮像素子の概略構成例
2.第1の実施形態(撮像素子の構成例)
3.第2の実施形態(撮像素子の構成例)
4.第3の実施形態(撮像素子の構成例)
5.第4の実施形態(撮像素子の構成例)
6.第5の実施形態(撮像素子の構成例)
7.第6の実施形態(撮像素子の構成例)
8.第7の実施形態(電子機器の構成例)
9.変形例
10.適用例
11.応用例
【0015】
<1.撮像素子の概略構成例>
図1は、本開示の各実施形態に適用される撮像素子1の概略構成の一例を示す図である。撮像素子1は、受光した光を電気信号に変換して画素信号として出力する。この例では、撮像素子1はCMOSイメージセンサとして構成されている。
【0016】
図1は、本開示の一実施の形態に係る撮像素子1の概略構成の一例を表したものである。撮像素子1は、3つの基板(第1基板10、第2基板20、第3基板30)を備えている。撮像素子1は、3つの基板(第1基板10、第2基板20、第3基板30)を貼り合わせて構成された3次元構造の撮像装置である。第1基板10、第2基板20および第3基板30は、この順に積層されている。
【0017】
第1基板10は、半導体基板11に、光電変換を行う複数のセンサ画素12を有している。複数のセンサ画素12は、第1基板10における画素領域13内に行列状に設けられている。第2基板20は、半導体基板303に、センサ画素12から出力された電荷に基づく画素信号を出力する読み出し回路22を4つのセンサ画素12ごとに1つずつ有している。第2基板20は、行方向に延在する複数の画素駆動線23と、列方向に延在する複数の垂直信号線24とを有している。第3基板30は、半導体基板31に、画素信号を処理するロジック回路32を有している。ロジック回路32は、例えば、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、水平駆動回路35およびシステム制御回路36を有している。ロジック回路32(具体的には水平駆動回路35)は、センサ画素12ごとの出力電圧Voutを外部に出力する。ロジック回路32では、例えば、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi2やNiSiなどのサリサイド(Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域が形成されていてもよい。
【0018】
垂直駆動回路33は、例えば、複数のセンサ画素12を行単位で順に選択する。カラム信号処理回路34は、例えば、垂直駆動回路33によって選択された行の各センサ画素12から出力される画素信号に対して、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)処理を施す。カラム信号処理回路34は、例えば、CDS処理を施すことにより、画素信号の信号レベルを抽出し、各センサ画素12の受光量に応じた画素データを保持する。水平駆動回路35は、例えば、カラム信号処理回路34に保持されている画素データを順次、外部に出力する。システム制御回路36は、例えば、ロジック回路32内の各ブロック(垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34および水平駆動回路35)の駆動を制御する。
【0019】
図2は、センサ画素12および読み出し回路22の一例を表したものである。以下では、
図2に示したように、4つのセンサ画素12が1つの読み出し回路22を共有している場合について説明する。ここで、「共有」とは、4つのセンサ画素12の出力が共通の読み出し回路22に入力されることを指している。
【0020】
各センサ画素12は、互いに共通の構成要素を有している。
図2には、各センサ画素12の構成要素を互いに区別するために、各センサ画素12の構成要素の符号の末尾に識別番号(1,2,3,4)が付与されている。以下では、各センサ画素12の構成要素を互いに区別する必要のある場合には、各センサ画素12の構成要素の符号の末尾に識別番号を付与するが、各センサ画素12の構成要素を互いに区別する必要のない場合には、各センサ画素12の構成要素の符号の末尾の識別番号を省略するものとする。
【0021】
各センサ画素12は、例えば、フォトダイオードPDと、フォトダイオードPDと電気的に接続された転送トランジスタTRと、転送トランジスタTRを介してフォトダイオードPDから出力された電荷を一時的に保持するフローティングディフュージョンFDとを有している。フォトダイオードPDは、本開示の「光電変換素子」の一具体例に相当する。フォトダイオードPDは、光電変換を行って受光量に応じた電荷を発生する。フォトダイオードPDのカソードが転送トランジスタTRのソースに電気的に接続されており、フォトダイオードPDのアノードが基準電位線(例えばグラウンド)に電気的に接続されている。転送トランジスタTRのドレインがフローティングディフュージョンFDに電気的に接続され、転送トランジスタTRのゲートは画素駆動線23に電気的に接続されている。転送トランジスタTRは、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。
【0022】
1つの読み出し回路22を共有する各センサ画素12のフローティングディフュージョンFDは、互いに電気的に接続されるとともに、共通の読み出し回路22の入力端に電気的に接続されている。読み出し回路22は、例えば、リセットトランジスタRSTと、選択トランジスタSELと、増幅トランジスタAMPとを有している。なお、選択トランジスタSELは、必要に応じて省略してもよい。リセットトランジスタRSTのソース(読み出し回路22の入力端)がフローティングディフュージョンFDに電気的に接続されており、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDDおよび増幅トランジスタAMPのドレインに電気的に接続されている。リセットトランジスタRSTのゲートは画素駆動線23(
図1参照)に電気的に接続されている。増幅トランジスタAMPのソースが選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続されており、増幅トランジスタAMPのゲートがリセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続されている。選択トランジスタSELのソース(読み出し回路22の出力端)が垂直信号線24に電気的に接続されており、選択トランジスタSELのゲートが画素駆動線23(
図1参照)に電気的に接続されている。
【0023】
転送トランジスタTRは、転送トランジスタTRがオン状態となると、フォトダイオードPDの電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDの電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRSTがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSELは、読み出し回路22からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMPは、画素信号として、フローティングディフュージョンFDに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMPは、ソースフォロア型のアンプを構成しており、フォトダイオードPDで発生した電荷のレベルに応じた電圧の画素信号を出力するものである。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を増幅して、その電位に応じた電圧を、垂直信号線24を介してカラム信号処理回路34に出力する。リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELは、例えば、CMOSトランジスタである。
【0024】
以上のように、4つのセンサ画素12が1つの読み出し回路22を共有する1つの単位(以下の説明では「共有単位」または「共有単位回路」と称する場合がある)ごとに、4つの光電変換素子PDと、4つの光電変換素子PDと1対1に対応する4つの転送トランジスタTRと、増幅トランジスタAMPと、リセットトランジスタRSTと、選択トランジスタSELと、を含む。この例では、4つの画素(光電変換素子PDを少なくとも含むセンサ画素12)は、1つの増幅トランジスタAMP、1つのリセットトランジスタRST、および、1つの選択トランジスタSELの組み合わせを共有している。この例では、1つの増幅トランジスタAMP、1つのリセットトランジスタRST、および、1つの選択トランジスタSELの組み合わせが、「画素トランジスタ」に相当する。
【0025】
また、以上のように、本開示の「第1の基板」に対応する第1基板10には、複数の画素と1対1に対応する複数のフォトダイオードPDが形成される。より具体的には、第1基板10には、複数のフォトダイオードPDごとに、該フォトダイオードPDから出力される電気信号を画素トランジスタへ転送するための転送トランジスタTRも形成される。ここでは、第1基板10に形成される複数のフォトダイオードPDに含まれる2つのフォトダイオードPDが、「第1の光電変換素子」および「第2の光電変換素子」に相当する。そして、第1の光電変換素子に相当するフォトダイオードPDに接続される転送トランジスタTRが「第1の転送トランジスタ」に相当し、第2の光電変換素子に相当するフォトダイオードPDに接続される転送トランジスタTRが「第2の転送トランジスタ」に相当する。つまり、第1基板10には、第1の光電変換素子と第2の光電変換素子が形成され、第1基板10は、第1の光電変換素子に接続された第1の転送トランジスタと、第2の光電変換素子に接続された第2の転送トランジスタと、を有していると考えることができる。
【0026】
また、本開示の「第2の基板」に対応する第2基板20には、2以上(この例では4つ)のフォトダイオードPDを単位とする組ごとに、該組が共有する画素トランジスタが形成される。より具体的には、第2基板20には、1以上の組ごとに、該組に含まれる2以上の転送トランジスタTRの各々から転送された電気信号を増幅して出力する1つの増幅トランジスタAMPを少なくとも含む画素トランジスタが形成される。ここでは、第2の基板には、第1の光電変換素子と第2の光電変換素子とに接続された画素トランジスタが形成されていると考えることができる。
【0027】
なお、
図3に示したように、選択トランジスタSELが、電源線VDDと増幅トランジスタAMPとの間に設けられていてもよい。この場合、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDDおよび選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続されている。選択トランジスタSELのソースが増幅トランジスタAMPのドレインに電気的に接続されており、選択トランジスタSELのゲートが画素駆動線23(
図1参照)に電気的に接続されている。増幅トランジスタAMPのソース(読み出し回路22の出力端)が垂直信号線24に電気的に接続されており、増幅トランジスタAMPのゲートがリセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続されている。また、
図4、
図5に示したように、FD転送トランジスタFDGが、リセットトランジスタRSTのソースと増幅トランジスタAMPのゲートとの間に設けられていてもよい。
【0028】
FD転送トランジスタFDGは、変換効率を切り替える際に用いられる。一般に、暗い場所での撮影時には画素信号が小さい。Q=CVに基づき、電荷電圧変換を行う際に、フローティングディフュージョンFDの容量(FD容量C)が大きければ、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが小さくなってしまう。一方、明るい場所では、画素信号が大きくなるので、FD容量Cが大きくなければ、フローティングディフュージョンFDで、フォトダイオードPDの電荷を受けきれない。さらに、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが大きくなりすぎないように(言い換えると、小さくなるように)、FD容量Cが大きくなっている必要がある。これらを踏まえると、FD転送トランジスタFDGをオンにしたときには、FD転送トランジスタFDG分のゲート容量が増えるので、全体のFD容量Cが大きくなる。一方、FD転送トランジスタFDGをオフにしたときには、全体のFD容量Cが小さくなる。このように、FD転送トランジスタFDGをオンオフ切り替えることで、FD容量Cを可変にし、変換効率を切り替えることができる。
【0029】
図6は、複数の読み出し回路22と、複数の垂直信号線24との接続態様の一例を表したものである。複数の読み出し回路22が、垂直信号線24の延在方向(例えば列方向)に並んで配置されている場合、複数の垂直信号線24は、読み出し回路22ごとに1つずつ割り当てられていてもよい。例えば、
図6に示したように、4つの読み出し回路22が、垂直信号線24の延在方向(例えば列方向)に並んで配置されている場合、4つの垂直信号線24が、読み出し回路22ごとに1つずつ割り当てられていてもよい。なお、
図6では、各垂直信号線24を区別するために、各垂直信号線24の符号の末尾に識別番号(1,2,3,4)が付与されている。
【0030】
<2.第1の実施形態>
(撮像素子の構成例)
次に、第1の実施形態に係る撮像素子1の構成を製造方法とともに説明する。
【0031】
図7は、本実施形態の撮像素子1のうち1つの共有単位回路に対応する断面の一部を示す図である。
図7に示すように、撮像素子1は、第1基板10と、第2基板20と、周辺回路が形成される第3基板30と、が積層され、これらが電気的に接続される。この例では、周辺回路は、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、水平駆動回路35、システム制御回路36を含むロジック回路32を含み、第3基板30に形成される。また、例えば周辺回路に含まれる要素(垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、水平駆動回路35、システム制御回路36等)のうちの一部または全部が、第1基板10または第2基板20に形成されてもよい。この例では、第3基板30は、少なくともロジック回路32を含む。ロジック回路32は、「第2の基板に形成され、第1の光電変換素子または第2の光電変換素子で生成された信号を処理するロジック回路」に対応している。第3基板30は、本開示の「第3の基板」に対応している。なお、
図7に示す面501は、第1基板10と、第2基板20とが貼り合わされる面を示す。また、
図7に示す面502は、第2基板20と、第3基板30とが貼り合わされる面を示す。
【0032】
本実施形態の撮像素子1は、第1基板10に形成される複数の要素のうち、それぞれがフォトダイオードPDごとに形成される複数の第1の要素が共有する第2の要素に繋がる配線であって、第2基板20に形成される第1の配線に対して、1つのコンタクトで接続され、かつ、該複数の第1の要素が接続される第2の配線を備える。
図7の例では、撮像素子1は、複数の転送トランジスタTRの出力端子側(「第1の要素」)を、第2基板20に形成される配線D1(「第1の配線」)に対して、1つのコンタクトで接続される配線301(「第2の配線」)を備える。配線D1は、複数の転送トランジスタTRの出力端子側が共有する(共通に接続される)増幅トランジスタAMPのゲート(「第2の要素」)に繋がる配線でもある。詳しくは後述する。
【0033】
以下、
図7に示された撮像素子1の構成を説明する。
図7に示すように、第1基板10は、半導体基板11上に絶縁層240を積層して構成されている。第1基板10は、層間絶縁膜51の一部として、絶縁層240を有している。絶縁層240は、半導体基板11と、後述の半導体基板303との間隙に設けられている。半導体基板11は、シリコン基板で構成されている。半導体基板11は、例えば、表面の一部およびその近傍に、P型の半導体領域204(Pウェル)を有しており、それ以外の領域(P型の半導体領域204よりも深い領域)に、P型の半導体領域204とは異なる導電型(N型)のフォトダイオードPDを有している。
【0034】
第1基板10には、複数のフォトダイオードPDが形成される。また、第1基板10には、複数のフォトダイオードPDと1対1に対応する複数の転送トランジスタTRが形成される。
図7の例では、フォトダイオードPDは、N型の半導体領域で形成され、フォトダイオードPDとは異なるP型の半導体領域202がその側面を覆うように形成される。各フォトダイオードPDは、画素を分離(区画)するための画素分離部203によって電気的に分離されている。例えば画素分離部203は、金属、絶縁膜(例えばSiO
2など)、これらの組み合わせなどで構成される。
【0035】
フォトダイオードPDの下面には、第1基板10を覆うように絶縁膜211が形成される。絶縁膜211は、例えば固定電荷を有する膜などで形成される。絶縁膜211とカラーフィルタ212との間には、平坦化膜213としてさらに絶縁膜が形成されてもよい。絶縁膜211は、例えば酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化アルミニウムなどの金属酸化膜で形成され、平坦化膜213は、例えば酸化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁膜で形成される。なお、絶縁膜211、平坦化膜213は、それぞれ複数層設けてもよい。カラーフィルタ212の下にはオンチップレンズ214が形成される。オンチップレンズ214では照射された光が集光され、集光された光はカラーフィルタ212を介してフォトダイオードPDへと導かれる。
【0036】
また、フォトダイオードPDの上には、N型の転送トランジスタTRが形成される。より具体的には、第1基板10においてフォトダイオードPD上にはP型の半導体領域204(Pウェル)が形成され、この半導体領域204の表面近傍には、N型のドレイン領域221およびN型のソース領域222が形成される。そして、半導体領域204上のN型のドレイン領域221とN型のソース領域222との間にはゲート電極223が形成される。この例では、ゲート電極223は、フォトダイオードPDへ繋がっている。また、この例では、フォトダイオードPDの側面を覆うP型の半導体領域202は、半導体領域204の側面の一部を覆うように突き出ているが、これに限らず、P型の半導体領域202の深さは任意である。例えば半導体領域202の上面と半導体領域204の下面とが同じ高さであってもよい。
【0037】
また、フォトダイオードPDの深さも任意であり、例えば
図8に示すように、フォトダイオードPDの一部が、転送トランジスタTRが形成されるP型の半導体領域204の表面と同じ高さまで達する形態であってもよい。このような場合、N型のフォトダイオードPD上にはP型の半導体領域が形成されることが好ましいが、
図8のように形成されない形態であっても構わない。さらに、例えば
図9に示すように、転送トランジスタTRのゲート電極223が、フォトダイオードPDまで繋がらずに、半導体領域204上に形成される形態であってもよい。つまり、転送トランジスタTRが、平面型の転送ゲート(ゲート電極223)を有する形態であってもよい。
【0038】
図7に戻って説明を続ける。
図7に示すように、各転送トランジスタTRのソース領域222は配線301に接続される。この例ではソース領域222はN型の半導体領域であるため、配線301はP型のポリシリコンで形成される。各転送トランジスタTRおよび配線301は絶縁層240で覆われ、絶縁層240上には半導体基板303が形成される。
【0039】
なお、ここでは、半導体基板303と、この半導体基板303上に形成される各要素との組み合わせが本開示の「第2の基板」に相当すると考えることもできるし、半導体基板303のみが本開示の「第2の基板」に相当すると考えることもできる。第1基板10についても同様に、ベースとなるシリコン基板と、このシリコン基板上に形成される各要素との組み合わせが本開示の「第1の基板」に相当すると考えることもできるし、シリコン基板のみが本開示の「第1の基板」に相当すると考えることもできる。
【0040】
上述したように、第2基板20には、増幅トランジスタAMPを少なくとも含む画素トランジスタが形成される。この例では、画素トランジスタに含まれる各トランジスタはNチャネル型のMOSトランジスタであるため、半導体基板303はP型のシリコン基板となる。
【0041】
上記配線301は、半導体基板303を貫通するコンタクトCtを介して、第2基板20に形成される配線D1に接続される。この例では、第2基板20は、半導体基板303上に絶縁層245を積層して構成されている。第2基板20は、層間絶縁膜51の一部として、絶縁層245を有している。絶縁層245は、半導体基板303と、後述の半導体基板31との間隙に設けられている。第2基板20は、4つのセンサ画素12ごとに、1つの読み出し回路22を有している。第2基板20は、半導体基板303の表面側(第3基板30側)の部分に読み出し回路22が設けられた構成となっている。第2基板20は、半導体基板11の表面側に半導体基板303の裏面を向けて第1基板10に貼り合わされている。つまり、第2基板20は、第1基板10に、フェイストゥーバックで貼り合わされている。第2基板20は、さらに、半導体基板303と同一の層内に、半導体基板303を貫通する絶縁層53を有している。第2基板20は、層間絶縁膜51の一部として、絶縁層53を有している。絶縁層53は、半導体基板303を貫通するコンタクトCtの側面を覆うように設けられている。
【0042】
第1基板10および第2基板20からなる積層体は、センサ画素12ごとに、1つのコンタクトCtを有している。第1基板10および第2基板20は、コンタクトCtによって互いに電気的に接続されている。具体的には、コンタクトCtは、フローティングディフュージョンFDおよび後述の配線D1に電気的に接続されている。
【0043】
第1基板10および第2基板20からなる積層体は、さらに、層間絶縁膜51内に設けられた貫通配線47,48(後述の
図12等参照)を有している。上記積層体は、センサ画素12ごとに、1つの貫通配線47と、1つの貫通配線48とを有している。貫通配線47,48は、それぞれ、半導体基板303の法線方向に延びており、半導体基板303を貫通して設けられている。第1基板10および第2基板20は、貫通配線47,48によって互いに電気的に接続されている。具体的には、貫通配線47は、半導体基板11のP型の半導体領域204と、第2基板20内の配線とに電気的に接続されている。貫通配線48は、転送トランジスタTRのゲート電極223および画素駆動線23に電気的に接続されている。
【0044】
上述のコンタクトCtは、絶縁層245を貫通し、絶縁層245上に形成された配線層246に含まれる配線D1に接続される。配線層246は、例えば絶縁層247と、絶縁層247内に設けられた複数の画素駆動線23および複数の垂直信号線24などを有している。配線層246は、さらに、例えば、絶縁層47内に複数のパッド電極58を有している。各パッド電極58は、例えば、Cu(銅)、Al(アルミニウム)などの金属で形成されている。各パッド電極58は、配線層246の表面に露出している。各パッド電極58は、第2基板20と第3基板30との電気的な接続と、第2基板20と第3基板30との貼り合わせに用いられる。複数のパッド電極58は、例えば、画素駆動線23および垂直信号線24ごとに1つずつ設けられている。ここで、パッド電極58の総数(または、パッド電極58とパッド電極64(後述)との接合の総数は、第1基板10に含まれるセンサ画素12の総数よりも少ない。
【0045】
上述の配線D1は、コンタクトCt2を介して増幅トランジスタAMPのゲート電極311に接続される。なお、ソース領域222から配線301および配線D1を介してゲート電極311に至るまでの領域は上述のFDとして機能する領域である。
【0046】
つまり、この配線301は、第1基板10の各転送トランジスタTRのソース領域222(出力端子側)を集約している。そして、この配線301は、その集約したソース領域222を、各転送トランジスタTRのソース領域222が共有する増幅トランジスタAMPのゲート電極311に繋がる第2基板20の配線D1に対して1つのコンタクトCtで接続する。なお、この例では、配線301は一体に形成されているが、これに限らず、例えば、別々の材料から形成される配線同士を繋ぎ合わせる形態であってもよい。例えば、各転送トランジスタTRのソース領域222(出力端子側、FD)から縦方向に延びる配線と、横方向に延びる共通の配線とを別々の材料で形成し、それらを繋ぎ合わせて配線301を構成する形態であってもよい。
【0047】
ここでは、転送トランジスタTRのソース領域222(出力端子側)は、第1基板10に形成される複数の要素のうち、それぞれがフォトダイオードPDごとに形成される「第1の要素」に対応している。また、増幅トランジスタAMPのゲート電極311(ゲート)は、複数の第1の要素が共通に接続される「第2の要素」に対応している。また、配線D1は、該複数の第1の要素が共有する第2の要素に繋がる配線であって、第2基板20に形成される「第1の配線」に対応している。また、配線D1は、「第2基板20に形成された第2の配線」にも対応している。さらに、配線301は、上記第1の配線に対して、1つのコンタクトCtで接続され、かつ、複数の第1の要素が接続される「第2の配線」に対応している。また、上述したように、配線301は、各転送トランジスタTRのソース領域222を介して、それぞれに対応するフォトダイオードPDに接続(間接的に接続)されている。つまり、配線301は、「第1基板10に形成され、第1の光電変換素子と第2の光電変換素子とに接続された第1の配線」でもあると考えることができる。なお、本開示における「接続」には、直接的に接続される形態のみならず、上記のように間接的に接続される形態も含まれる。また、配線301は、各転送トランジスタTRのソース領域222に接続されている。つまり、配線301は、第1の転送トランジスタと接続された第1のフローティングディフュージョン領域と、第2の転送トランジスタと接続された第2のフローティングディフュージョン領域とに接続されていると考えることができる。また、コンタクトCtは、「第1基板10と第2基板20を貫通するように形成され、かつ、第1の配線および第2の配線と接続された第3の配線」に対応している。
【0048】
第3基板30は、例えば、半導体基板31上に層間絶縁膜61を積層して構成されている。半導体基板31は、シリコン基板で構成されている。第3基板30は、半導体基板31の表面側の部分にロジック回路32が設けられた構成となっている。第3基板30は、さらに、例えば、層間絶縁膜61上に配線層62を有している。配線層62は、例えば、絶縁層63と、絶縁層63内に設けられた複数のパッド電極64を有している。複数のパッド電極64は、ロジック回路32と電気的に接続されている。各パッド電極64は、例えば、Cu(銅)で形成されている。各パッド電極64は、配線層62の表面に露出している。各パッド電極64は、第2基板20と第3基板30との電気的な接続と、第2基板20と第3基板30との貼り合わせに用いられる。また、パッド電極64は、必ずしも複数でなくてもよく、1つでもロジック回路32と電気的に接続が可能である。第2基板20および第3基板30は、パッド電極58,64同士の接合によって、互いに電気的に接続されている。つまり、転送トランジスタTRのゲート電極223は、上述のコンタクトCtと、パッド電極58,64とを介して、ロジック回路32に電気的に接続されている。第3基板30は、半導体基板303の表面側に半導体基板31の表面を向けて第2基板20に貼り合わされている。つまり、第3基板30は、第2基板20に、フェイストゥーフェイスで貼り合わされている。
【0049】
図10に示すように、第2基板20のパッド電極58と、第3基板30のパッド電極64との接合点503は、画素領域13に重畳している。ただし、これに限らず、例えば
図11に示すような形態であってもよい。
図11の形態においては、第2基板20のパッド電極58と、第3基板30のパッド電極64との接合点503は、画素領域13の外側の領域に重畳している。つまり、第2基板20のパッド電極58を画素領域13の外側へ配置して、第3基板30のパッド電極64と接続させる形態であってもよい。
【0050】
図12、
図13は、撮像素子1の水平方向の断面構成の一例を表したものである。
図12、
図13の上側の図は、
図7の断面Sec1での断面構成の一例を表す図であり、
図12、
図13の下側の図は、
図7の断面Sec2での断面構成の一例を表す図である。
図12には、2×2の4つのセンサ画素12を2組、第2方向V2に並べた構成が例示されており、
図13には、2×2の4つのセンサ画素12を4組、第1方向V1および第2方向V2に並べた構成が例示されている。なお、
図12、
図13の上側の断面図では、
図7の断面Sec1での断面構成の一例を表す図に、半導体基板11の表面構成の一例を表す図が重ね合わされるとともに、絶縁層240が省略されている。また、
図12、
図13の下側の断面図では、
図7の断面Sec2での断面構成の一例を表す図に、半導体基板303いの表面構成の一例を表す図が重ね合わされている。
【0051】
図12、
図13に示したように、複数の貫通配線54、複数の貫通配線48および複数の貫通配線47は、第1基板10の面内において第1方向V1(
図12の上下方向、
図13の左右方向)に帯状に並んで配置されている。なお、
図12、
図13には、複数の貫通配線54、複数の貫通配線48および複数の貫通配線47が第1方向V1に2列に並んで配置されている場合が例示されている。第1方向V1は、マトリクス状の配置された複数のセンサ画素12の2つの配列方向(例えば行方向および列方向)のうち一方の配列方向(例えば列方向)と平行となっている。読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12において、4つのフローティングディフュージョンFDは、例えば、画素分離部203を介して互いに近接して配置されている。読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12において、4つの転送トランジスタTRのゲート電極223は、4つのフローティングディフュージョンFDを囲むように配置されており、例えば、4つのゲート電極223によって円環形状となる形状となっている。
【0052】
上述の半導体基板303のうち上述のコンタクトCtが貫通する部分に存在する絶縁層53は、第1方向V1に延在する複数のブロックで構成されている。半導体基板303は、第1方向V1に延在するとともに、上記絶縁層53を介して第1方向V1と直交する第2方向V2に並んで配置された複数の島状のブロック303Aで構成されている。各ブロック303Aには、例えば、複数組のリセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELが設けられている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、4つのセンサ画素12と対向する領域内にある、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELによって構成されている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、上記絶縁層53の左隣りのブロック303A内の増幅トランジスタAMPと、上記絶縁層53の右隣りのブロック303A内のリセットトランジスタRSTおよび選択トランジスタSELとによって構成されている。
【0053】
図14、
図15、
図16、
図17は、撮像素子1の水平面内での配線レイアウトの一例を表したものである。
図14~
図17には、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22が4つのセンサ画素12と対向する領域内に設けられている場合が例示されている。
図14~
図17に記載の配線は、例えば、配線層246において互いに異なる層内に設けられている。
【0054】
互いに隣接する4つのコンタクトCtは、例えば、
図14に示したように、配線D1と電気的に接続されている。互いに隣接する4つのコンタクトCtは、さらに、例えば、
図14に示したように、配線D1およびコンタクトCt2を介して、絶縁層53の左隣りブロック303Aに含まれる増幅トランジスタAMPのゲートと、絶縁層53の右隣りブロック303Aに含まれるリセットトランジスタRSTのゲートとに電気的に接続されている。
【0055】
電源線VDDは、例えば、
図15に示したように、第2方向V2に並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。電源線VDDは、例えば、
図15に示したように、コンタクトCt2を介して、第2方向V2に並んで配置された各読み出し回路22の増幅トランジスタAMPのドレインおよびリセットトランジスタRSTのドレインに電気的に接続されている。2本の画素駆動線23が、例えば、
図15に示したように、第2方向V2に並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。一方の画素駆動線23は、例えば、
図15に示したように、第2方向V2に並んで配置された各読み出し回路22のリセットトランジスタRSTのゲートに電気的に接続された配線RSTGである。他方の画素駆動線23は、例えば、
図15に示したように、第2方向V2に並んで配置された各読み出し回路22の選択トランジスタSELのゲートに電気的に接続された配線SELGである。各読み出し回路22において、増幅トランジスタAMPのソースと、選択トランジスタSELのドレインとが、例えば、
図15に示したように、配線25を介して、互いに電気的に接続されている。
【0056】
2本の電源線VSSが、例えば、
図16に示したように、第2方向V2に並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。各電源線VSSは、例えば、
図16に示したように、第2方向V2に並んで配置された各センサ画素12と対向する位置において、複数の貫通配線47に電気的に接続されている。4本の画素駆動線23が、例えば、
図16に示したように、第2方向V2に並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。4本の画素駆動線23の各々は、例えば、
図16に示したように、第2方向V2に並んで配置された各読み出し回路22に対応する4つのセンサ画素12のうちの1つのセンサ画素12の貫通配線48に電気的に接続された配線TRGである。つまり、4本の画素駆動線23(第1制御線)は、第2方向V2に並んで配置された各センサ画素12の転送トランジスタTRのゲート電極223に電気的に接続されている。
図16では、各配線TRGを区別するために、各配線TRGの末尾に識別子(1,2,3,4)が付与されている。
【0057】
垂直信号線24は、例えば、
図17に示したように、第1方向V1に並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。垂直信号線24(出力線)は、例えば、
図17に示したように、第1方向V1に並んで配置された各読み出し回路22の出力端(増幅トランジスタAMPのソース)に電気的に接続されている。
【0058】
次に、本実施形態の撮像素子1の製造方法について説明する。まず、シリコン基板である第1基板10内に、半導体領域や画素分離部203を形成し、画素ごとに、フォトダイオードPDや転送トランジスタTRを形成する。
図18に示すように、画素分離部203で区画されたP型の半導体領域(Pウェル)204の表面近傍に、N型のドレイン領域221およびN型のソース領域222が形成される。そして、それらの間にゲート電極223が形成される。より具体的には、P型の半導体領域204のうちN型のドレイン領域221とN型のソース領域222との間には、下方に存在するフォトダイオードPD(
図18では不図示)へ繋がる開口が設けられる。そして、その開口を埋めるようにしてゲート電極223が形成される。この例では、ゲート電極223は、半導体領域204の下方に形成されるフォトダイオードPDへ繋がっている(
図7参照)。なお、
図7に示す領域205は、画素分離部203で区画された1画素分の領域を示している。
【0059】
さらに、P型の半導体領域204上には、基準電位(例えばグラウンド)が供給される基準電位線へフォトダイオードPDを繋ぐための電極230が形成される。この電極230は画素ごとに形成され、不図示のフォトダイオードPDに繋がっている。
【0060】
この例では、転送トランジスタTRはNチャネル型のMOSトランジスタであり、そのドレイン領域221はN型の半導体領域である。したがって、転送トランジスタTRのドレイン領域221は、フォトダイオードPDの側面を覆うP型の半導体領域202に繋がることになる。
図2の回路図からも分かるように、フォトダイオードPDの2つの端子のうち転送トランジスタTRと接続されない方の端子(入力側の端子)は基準電位線に繋がる。そのため、この例では、フォトダイオードPDは、上記電極230を介して基準電位線に接続される。したがって、N型の半導体領域で形成されるフォトダイオードPDと接続される上記電極230は、P型のポリシリコンで形成される。
【0061】
以上のようにして、P型の半導体領域204に、N型のドレイン領域221、N型のソース領域222、ゲート電極223および電極230が画素ごとに形成された後、これらは絶縁層240で覆われる。絶縁層240は例えばSiO2などの酸化膜で構成される。
【0062】
次に、
図19に示すように、絶縁層240をエッチングして、複数の転送トランジスタTRのソース領域222を集約する配線301aを形成するための配線溝241と、複数の電極230を集約する配線301bを形成するための配線溝242と、を形成する。以下では、配線301aと配線301bを区別しない場合は、単に「配線301」と称する場合がある。
【0063】
上述したように、この例では、転送トランジスタTRのソース領域222はN型の半導体領域であるので、これに接続される配線301aはP型のポリシリコンで形成される。一方、電極230はP型のポリシリコンであるので、これに接続される配線301bはN型のポリシリコンで形成される。
【0064】
つまり、転送トランジスタTRがN型のトランジスタの場合は、複数の転送トランジスタTRの出力端子側を集約する配線301aは、P型のポリシリコンで形成される。また、上述したように、この場合は、N型の半導体領域で形成されるフォトダイオードPDに接続される電極230はP型のポリシリコンで形成される。そのため、複数の電極230を集約する配線301bは、N型のポリシリコンで形成される。
【0065】
次に、
図19で形成した配線溝241を埋めるように、配線301aの材料となるP型のポリシリコンを成膜するとともに、配線溝242を埋めるように、配線301bの材料となるN型のポリシリコンを成膜する。そして、その後、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)により研磨して配線301aおよび配線301bを形成する(
図20参照)。
【0066】
この例では、配線301aは、4つのフォトダイオードPDごとに(4つのフォトダイオードPDの集合ごとに)、該4つのフォトダイオードPDと1対1に対応する4つの転送トランジスタTRのソース領域222が接続される。言い換えれば、配線301aは、4つのフォトダイオードPDごとに、該4つのフォトダイオードPDと1対1に対応する4つの転送トランジスタTRのソース領域222を集約する。そして、配線301aは、その集約したソース領域222を、それらが共有する増幅トランジスタAMPのゲート電極311に繋がる第2基板20の配線D1に対して接続するために、1つのコンタクトCtで配線D1と接続される。この例では、4つのソース領域222ごとに1つのコンタクトCtが形成されることになる。また、この例では、転送トランジスタTRのソース領域222は「第1の要素」に対応し、増幅トランジスタAMPのゲート電極311は「第2の要素」に対応し、配線D1は「第1の配線」または「第2の基板に形成された第2の配線」に対応し、配線301aは「第2の配線」または「第1の基板に形成され、第1の光電変換素子と第2の光電変換素子とに接続された第1の配線」に対応している。なお、配線301aによる集約単位の画素数は4つに限られるものでは無く、任意に変更可能である。
【0067】
また、この例では、配線301bは、4つのフォトダイオードPDごとに、該4つのフォトダイオードPDと1対1に対応する4つの電極230が接続される。言い換えれば、配線301bは、4つのフォトダイオードPDごとに、該4つのフォトダイオードPDと1対1に対応する4つの電極230を集約する。そして、配線301bは、その集約した電極230を、それらが共有する基準電位線に繋がる第2基板20の配線D1に接続するために、1つのコンタクトCtで配線D1と接続される。この例では、4つの電極230ごとに1つのコンタクトCtが形成されることになる。なお、基準電位線に繋がる配線D1は、上述の増幅トランジスタAMPのゲート電極311に繋がる配線D1とは別の配線である(ただし、ともに第2基板20の絶縁層245上に形成される配線である)。また、この例では、電極230は「第1の要素」に対応し、基準電位線は「第2の要素」に対応し、配線D1は「第1の配線」に対応し、配線301bは「第2の配線」に対応している。なお、配線301bによる集約単位の画素数は4つに限られるものでは無く、任意に変更可能である。また、上述したように、配線301bは、各電極230を介して、それぞれに対応するフォトダイオードPDに接続(間接的に接続)されている。つまり、配線301bは、「第1の基板に形成され、第1の光電変換素子と第2の光電変換素子とに接続された第1の配線」にも対応していると考えることができる。また、上記配線D1は、「第2の基板に形成された第2の配線」にも対応していると考えることができる。
【0068】
なお、この例では、基準電位線は第2基板20に形成されていることを前提とするが、これに限られるものでは無く、例えば他の基板(第3基板30等)に形成されてもよい。要するに、「第2の要素」は第2基板20に形成される要素には限定されない。
【0069】
次に、
図21に示すように、配線301aおよび配線301bの上に絶縁層240を成膜した後、その上にP型の半導体基板303を貼り合わせて薄肉化する。
【0070】
次に、
図22に示すように、半導体基板303のうち配線301と対向する部分を開口し、半導体基板303上に画素トランジスタを形成する。なお、
図12の例では、増幅トランジスタAMPと選択トランジスタSELが例示されているが、不図示のリセットトランジスタRSTも半導体基板303上に形成される。
図12に示すように、半導体基板303の表面近傍には、N型のドレイン領域312およびN型のソース領域313が形成される。そして、それらの間にゲート電極311が形成されて、増幅トランジスタAMPが形成される。
【0071】
上記と同様に、半導体基板303の表面近傍には、N型のドレイン領域321およびN型のソース領域322が形成され、それらの間にゲート電極323が形成されて、選択トランジスタSELが形成される。なお、不図示のリセットトランジスタRSTも同様にして形成される。そして、以上のように形成された開口および画素トランジスタ(増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL等)を覆うように絶縁層245が形成(成膜)される。
【0072】
次に、
図23に示すように、配線301や第2基板20の各要素を配線D1に接続するためのコンタクトCt,Ct2が形成される。この例では、増幅トランジスタAMPのドレイン領域312、配線301、および、選択トランジスタSELのソース領域322の各々に対してコンタクトCtが形成され、増幅トランジスタAMPのゲート電極311に対してコンタクトCt2が形成される。
【0073】
コンタクトCt,Ct2の形成方法としては、例えば絶縁層をエッチングして、コンタクトCt,Ct2を形成するための開口を形成し、その開口の内面に電気的に絶縁するためのバリア層を形成してから、コンタクトCt,Ct2の材料を充填するといった方法が考えられる。この例では、半導体基板303の開口に設けられる絶縁層(コンタクトCtの側面を覆う絶縁層)が上述の絶縁層53となる。コンタクトCt,Ct2の材料としては、例えばタングステンなどが挙げられる。バリア層は、例えばTi、TiN、Ta、TaNなどで構成される。ただし、コンタクトCt,Ct2の形成方法や材料はこれに限らず任意であり、公知の様々な技術を利用可能である。
【0074】
次に、
図24に示すように、コンタクトCt,Ct2が接続される配線D1を絶縁層245上に形成する。この例では、配線D1は銅(Cu)で構成される。なお、配線D1の形成方法や材料は任意であり、公知の様々な技術を利用可能である。
【0075】
次に、
図25に示すように、絶縁層245上に上述の配線層246を形成していく。その後、周辺回路が形成された第3基板30を貼り合わせ、画素毎のカラーフィルタおよびオンチップレンズを形成することにより、
図7に示すような構成が得られる。
【0076】
次に、本実施形態の撮像素子1の作用および効果を説明する。ここで、例えば上述の配線301(配線301aまたは配線301b)が形成されない構成を想定する。この構成では、
図26に示すように、各転送トランジスタTRのソース領域222(出力端子側)は、それぞれ個別にコンタクトCtを介して、増幅トランジスタAMPのゲート電極311に繋がる配線D1に接続される。1つの共有単位に着目すると、増幅トランジスタAMPのゲート電極311に繋がる第2基板20の配線D1に対して、4つの転送トランジスタTRのソース領域222と1対1に対応する4つのコンタクトCtを接続する必要がある。このため、配線D1のコンタクト数が増えて面積が大きくなってしまう。また、コンタクトCtを通すための半導体基板303の開口面積も大きくなってしまう。
【0077】
また、上記構成(
図26に示す構成)においては、各電極230も、それぞれ個別にコンタクトCtを介して、基準電位線に繋がる配線D1に接続される。1つの共有単位に着目すると、基準電位線に繋がる第2基板20の配線D1に対して、4つの電極230と1対1に対応する4つのコンタクトCtを接続する必要がある。このため、配線D1のコンタクト数が増えて面積が大きくなってしまう。また、コンタクトCtを通すための半導体基板303の開口面積も大きくなってしまう。
【0078】
したがって、上記構成においては、第2基板20に形成される配線D1に付随する容量(寄生容量)が大きくなるので、光電変換の変換効率に影響を与えるおそれがある。例えば光電変換の変換効率が低下するおそれがある。
【0079】
そこで、本実施形態では、転送トランジスタTRの出力端子側や電極230などの複数の第1の要素が共有する第2の要素(増幅トランジスタAMPのゲート電極311や基準電位線)に繋がる配線であって、第2基板20に形成される配線D1に対して、1つのコンタクトCtで接続され、かつ、該複数の第1の要素が接続される配線301を設けている。
【0080】
つまり、この配線301は、複数の第1の要素を集約し、該複数の第1の要素が共有する第2の要素に繋がる配線D1に対して、1つのコンタクトCtで接続している。これにより、集約単位の複数の第1の要素を配線D1に接続するために該配線D1に形成されるコンタクトCtの数は1つで済むので、配線D1のコンタクト数および面積を低減できる。したがって、配線D1に付随する容量を低減できるので、光電変換の変換効率を向上させることができる。
【0081】
より具体的には、
図27に示すように、本実施形態の撮像素子1においては、各転送トランジスタTRのソース領域222(出力端子側)を、第2基板20に形成される配線D1に対して、1つのコンタクトCtで接続するための配線301aが設けられる。上記配線D1は、各転送トランジスタTRのソース領域222が共有する増幅トランジスタAMPのゲート電極311に繋がる配線である。また、本実施形態の撮像素子1においては、各電極230を、第2基板20に形成される配線D1に対して、1つのコンタクトCtで接続するための配線301bも設けられる。上記配線D1は、各電極230が共通に接続される基準電位線に繋がる配線である。
【0082】
図28は、本実施形態の第1基板10の模式的な平面図である。画素分離部203によって区画された複数の領域250の各々は、1つの画素に対応する領域である。
図28に示す領域260は、画素トランジスタを共有する単位となる4つのフォトダイオードPDと1対1に対応する4つの転送トランジスタTRごとの、ソース領域222と配線301aとの接続点261の集合を示す。また、
図28に示す領域270は、基準電位線を共有する単位となる4つのフォトダイオードPDと1対1に対応する4つの電極230ごとの、電極230と配線301bとの接続点271の集合を示す。
【0083】
図29は、本実施形態の第2基板20の模式的な平面図である。上述したように、第2基板20には、4つのフォトダイオードPDごとに、該4つのフォトダイオードPDが共有する画素トランジスタが形成される。
図29に示す領域280は、1つの共有単位回路の画素トランジスタのゲート電極が形成される領域を示している。より具体的には、増幅トランジスタAMPのゲート電極311、選択トランジスタSELのゲート電極323、および、リセットトランジスタRSTのゲート電極333が形成される領域を示している。
【0084】
図30は、本実施形態において、第2基板20と第1基板10とを重ね合わせた状態の模式的な平面図である。
図30の例では、配線301aは、4つのフォトダイオードPDの集合(集合の数は任意)ごとに、該集合に含まれる4つのフォトダイオードPDと1対1に対応する4つの転送トランジスタTRのソース領域222が接続される。そして、配線301aは、4つのソース領域222が共有する増幅トランジスタAMPのゲート電極311に繋がる配線D1(不図示)に対して、1つのコンタクトCtで接続される。つまり、配線301aは、4つのフォトダイオードPDごとに、該4つのフォトダイオードPDと1対1に対応する4つの転送トランジスタTRのソース領域222を集約する。そして、これらが共有する増幅トランジスタAMPのゲート電極に繋がる配線D1に対して、1つのコンタクトCtで接続している。
【0085】
これにより、集約単位の4つのフォトダイオードPDと1対1に対応する4つの転送トランジスタTRのソース領域222を配線D1に接続するために該配線D1に形成されるコンタクトの数は1つで済む。これにより、配線D1のコンタクト数および面積を低減できる。したがって、配線D1に付随する容量を低減できるので、光電変換の変換効率を向上させることができる。
【0086】
また、
図30の例では、配線301bは、4つのフォトダイオードPDの集合ごとに、該集合に含まれる4つのフォトダイオードPDと1対1に対応する4つの電極230が接続される。そして、配線301bは、4つの電極230が共有する基準電位線に繋がる配線D1(不図示)に対して、1つのコンタクトCtで接続される。つまり、配線301bは、4つのフォトダイオードPDごとに、該4つのフォトダイオードPDと1対1に対応する4つの電極230を集約し、これらが共有する基準電位線に繋がる配線D1に対して、1つのコンタクトCtで接続している。
【0087】
これにより、集約単位の4つのフォトダイオードPDと1対1に対応する4つの電極230を配線D1に接続するために該配線D1に形成されるコンタクトの数は1つで済むので、配線D1のコンタクト数および面積を低減できる。したがって、配線D1に付随する容量を低減できるので、光電変換の変換効率を向上させることができる。なお、以上においては、配線301(配線301aまたは配線301b)は、複数の第1の要素を集約し、該複数の第1の要素が共有する第2の要素に繋がる配線D1に対して、1つのコンタクトCtで接続している。ただし、これに限らず、コンタクトCtの数は2つ以上であってもよい。要するに、配線301は、集約単位の数よりも少ない数のコンタクトCtで配線D1に接続される形態であればよく、このような形態であれば、配線D1のコンタクト数および面積を低減できる。
【0088】
なお、この例では、配線301aにより集約される単位となる4つの画素と、配線301bにより集約される単位となる4つの画素とは完全には一致せず、その一部(この例では2つの画素)が重複する形になっているが、これに限られるものではない。
【0089】
また、本実施形態では、フォトダイオードPDが形成される第1基板10と、画素トランジスタが形成される第2基板20と、が分けて積層されるので、基板の面積(平面のスペース)を低減することが可能になる。より具体的には、第1基板10と第2基板20を分けることで、フォトダイオードPDと画素トランジスタを同一の基板に設ける構成に比べて、フォトダイオードPDおよび画素トランジスタの各々の面積を拡大できる。これにより、光電変換効率を向上させるとともにトランジスタノイズを低減できる。
【0090】
また、第1基板10と第2基板20を分けることで、フォトダイオードPDと画素トランジスタを同一の基板に設ける構成に比べて、単位面積当たりの画素数を増加させることができるので、解像度を向上させることができる。
【0091】
さらに、上述したように、本実施形態では、基板間接続に関して、第1基板10と第2基板20を画素領域13内で貫通電極(コンタクトCtや貫通配線47,48)を用いて接続し、第2基板20と第3基板30を、パッド電極58,64を用いて接合している。これにより、画素領域13の周縁の周辺領域に対して貫通接続ビア(TSV(Thorough Si Via))を設けて各基板を接続する構成に比べて、基板間接続に必要な面積が小さくて済むので、チップサイズを低減できる。もしくは、同じチップ面積でも画素領域13を拡大することができる。なお、基板間接続を全て画素領域内で済ませることができれば、さらに効果がある。
【0092】
また、本実施形態では、第2基板20よりも光入射面側(この例では第2基板20の下層)に上記配線301(配線301aまたは配線301b)が設けられる(例えば
図17参照)。これにより、第2基板20の半導体基板303のうち配線301に対向する領域に形成される開口は、1つのコンタクトCtを通すことができる程度の大きさで足りる。したがって、本実施形態によれば、半導体基板303に形成される開口を小さくすることができる。
【0093】
なお、以上に説明した本実施形態では、「第1の要素」の一例として転送トランジスタTRの出力端子側や電極230を例に挙げ、「第2の要素」の一例として増幅トランジスタAMPのゲート電極311や基準電位線を例に挙げているが、これらに限られるものではない。要するに、第1の要素は、第1基板10に形成される複数の要素のうち、それぞれがフォトダイオードPDごとに形成される要素であり、第2の要素は、第2基板20に形成される要素のうち、該複数の第1の要素が共有する要素であればよい。
【0094】
さらに、本実施形態では、配線301aおよび配線301bは縦方向に沿って交互に配置されるレイアウトであるが(
図30参照)、これに限らず、配線301のレイアウトは設計条件等に応じて任意に変更可能である。例えば
図31に示すように、配線301aおよび配線301bは横方向に沿って交互に配置されるレイアウトであってもよい。
図32は、この場合における第1基板10の模式的な平面図であり、
図33は、この場合における第2基板20の模式的な平面図である。
図32、
図33においては、上述の実施形態と共通する要素については同一の符号を付している。
【0095】
<3.第2の実施形態>
(撮像素子の構成例)
次に、第2の実施形態に係る撮像素子の構成の一例を説明する。なお、本実施形態に係る撮像素子の基本的な構成は上述の第1の実施形態に係る撮像素子1と同じであるので、上述の第1の実施形態との相違点のみを説明する。相違点以外の構成は上述の第1の実施形態と同様である。
【0096】
上述の第1の実施形態において、転送トランジスタTRはNチャネル型のMOSトランジスタで構成されているが、本実施形態では、転送トランジスタTRはPチャネル型のMOSトランジスタ(P型のトランジスタの一例)で構成される。このため、フォトダイオードPD上に形成される半導体領域204はN型の半導体領域となり、その半導体領域204の表面近傍に形成される転送トランジスタTRのドレイン領域221およびソース領域222はP型の半導体領域となる。このため、各転送トランジスタTRのソース領域222を集約する配線301aはN型のポリシリコンで形成される。
【0097】
つまり、転送トランジスタTRがP型のトランジスタの場合は、複数の転送トランジスタTRの出力端子側を、配線D1に対して、1つのコンタクトで接続するための配線301aは、N型のポリシリコンで形成される。
【0098】
また、転送トランジスタTRのN型のドレイン領域221は、フォトダイオードPDの側面を覆うP型の半導体領域に繋がることになるので、フォトダイオードPDは上記電極230に接続されることになる。そのため、この例では上記電極230はN型のポリシリコンで形成されるので、各電極230を集約する配線301bはP型のポリシリコンで形成される。
【0099】
つまり、本実施形態では、フォトダイオードPDに接続される電極230はN型のポリシリコンで形成され、複数の電極230を、配線D1に対して1つのコンタクトで接続するための配線301bは、P型のポリシリコンで形成される。
【0100】
以上の本実施形態の構成であっても、上述の第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、第1基板10に形成される転送トランジスタTRの出力端子側や電極230などの複数の第1の要素(集約単位の複数の第1の要素)を配線D1へ繋ぐために該配線D1に形成されるコンタクトCtの数は1つで済む。したがって、配線D1のコンタクト数および面積を低減できるので、配線D1に付随する容量を低減できる。これにより、光電変換の変換効率を向上させることができる。
【0101】
<4.第3の実施形態>
(撮像素子の構成例)
次に、第3の実施形態に係る撮像素子の構成の一例を説明する。なお、本実施形態に係る撮像素子の基本的な構成は上述の第1の実施形態に係る撮像素子1と同じであるので、上述の第1の実施形態との相違点のみを説明する。相違点以外の構成は上述の第1の実施形態と同様である。
【0102】
上述の第1の実施形態では、配線(配線301aまたは配線301b)は、ポリシリコンで形成されているが、これに限らず、例えば配線301は、タングステン(W)を含んで形成されてもよい。これにより、配線301をポリシリコンで形成する場合に比べて、配線301の抵抗を下げることができる。
【0103】
また、この構成であっても、上述の第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、第1基板10に形成される転送トランジスタTRの出力端子側や電極230などの複数の第1の要素(集約単位の複数の第1の要素)を配線D1へ繋ぐために該配線D1に形成されるコンタクトCtの数は1つで済む。したがって、配線D1のコンタクト数および面積を低減できるので、配線D1に付随する容量を低減できる。これにより、光電変換の変換効率を向上させることができる。
【0104】
<5.第4の実施形態>
(撮像素子の構成例)
次に、第4の実施形態に係る撮像素子の構成の一例を説明する。なお、本実施形態に係る撮像素子の基本的な構成は上述の第1の実施形態に係る撮像素子1と同じであるので、上述の第1の実施形態との相違点のみを説明する。相違点以外の構成は上述の第1の実施形態と同様である。
【0105】
本実施形態では、
図34に示すように、配線301aおよび配線301bは、第2基板20(半導体基板303)に形成された開口に配置される。ここでは、「第2基板20に形成された開口」とは、第2基板20の第1の半導体領域(例えば増幅トランジスタAMPが形成された領域)と、第2基板20の第2の半導体領域(例えば選択トランジスタSELが形成された領域)との間に形成された絶縁膜230の領域内(絶縁領域内)に相当する。これにより、積層方向の高さを低減できるという有利な効果を奏する。
【0106】
また、この構成であっても、上述の第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、第1基板10に形成される転送トランジスタTRの出力端子側や電極230などの複数の第1の要素(集約単位の複数の第1の要素)を配線D1へ繋ぐために該配線D1に形成されるコンタクトCtの数は1つで済む。したがって、配線D1のコンタクト数および面積を低減できるので、配線D1に付随する容量を低減できる。これにより、光電変換の変換効率を向上させることができる。
【0107】
なお、本実施形態は、上述の第2の実施形態にも適用することができる。例えば配線301aは、第2基板20に形成された開口に配置され、転送トランジスタTRはP型のトランジスタであり、配線301aはN型のポリシリコンで形成されてもよい。また、例えば配線301bは、第2基板20に形成された開口に配置され、フォトダイオードPDに接続される電極230はN型のポリシリコンで形成され、配線301bはP型のポリシリコンで形成されてもよい。
【0108】
また、本実施形態は、上述の第3の実施形態にも適用することができる。例えば配線301(配線301aまたは配線301b)は、第2基板20に形成された開口に配置され、配線301はタングステン(W)を含んで形成されてもよい。
【0109】
<6.第5の実施形態>
(撮像素子の構成例)
次に、第5の実施形態に係る撮像素子の構成の一例を説明する。なお、本実施形態に係る撮像素子の基本的な構成は上述の第1の実施形態に係る撮像素子1と同じであるので、上述の第1の実施形態との相違点のみを説明する。相違点以外の構成は上述の第1の実施形態と同様である。
【0110】
本実施形態では、配線301(配線301aまたは配線301b)は、第2の要素(増幅トランジスタAMPのゲート電極311または基準電位線)と配線D1との間に配置される。例えば
図35に示すように、配線301aは、第2基板20に形成される増幅トランジスタAMPのゲート電極311と配線D1との間に配置される。
【0111】
この構成であっても、上述の第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、第1基板10に形成される転送トランジスタTRの出力端子側や電極230などの複数の第1の要素(集約単位の複数の第1の要素)を配線D1へ繋ぐために該配線D1に形成されるコンタクトCtの数は1つで済む。したがって、配線D1のコンタクト数および面積を低減できるので、配線D1に付随する容量を低減できる。これにより、光電変換の変換効率を向上させることができる。
【0112】
なお、本実施形態は、上述の第2の実施形態にも適用することができる。例えば配線301aは、第2基板20に形成された開口に配置され、増幅トランジスタAMPのゲート電極311と配線D1との間に配置され、転送トランジスタTRはP型のトランジスタであり、配線301aはN型のポリシリコンで形成されてもよい。また、例えば配線301bは、基準電位線と配線D1との間に配置され、フォトダイオードPDに接続される電極230はN型のポリシリコンで形成され、配線301bはP型のポリシリコンで形成されてもよい。
【0113】
また、本実施形態は、上述の第3の実施形態にも適用することができる。例えば配線301aは、増幅トランジスタAMPのゲート電極311と配線D1との間に配置され、配線301aはタングステン(W)を含んで形成されてもよい。また、例えば配線301bは、基準電位線と配線D1との間に配置され、配線301bはタングステン(W)を含んで形成されてもよい。
【0114】
<7.第6の実施形態>
(撮像素子の構成例)
次に、第6の実施形態に係る撮像素子の構成の一例を説明する。なお、本実施形態に係る撮像素子の基本的な構成は上述の第1の実施形態に係る撮像素子1と同じであるので、上述の第1の実施形態との相違点のみを説明する。相違点以外の構成は上述の第1の実施形態と同様である。
【0115】
本実施形態では、
図36に示すように、配線301aのみが設けられる。ここでは、上述の配線301bは設けられず、各電極230は、それぞれ個別のコンタクトを介して配線D1に接続される。
【0116】
この構成であっても、第1基板10に形成される複数の転送トランジスタTRの出力端子側を配線D1(増幅トランジスタAMPのゲート電極311に繋がる配線D1)に共通に接続するために該配線D1に形成されるコンタクトCtの数は1つで済む。したがって、増幅トランジスタAMPのゲート電極311に繋がる配線D1のコンタクト数および面積を低減できる。
【0117】
また、例えば
図37に示すように、配線301bのみが設けられる構成とすることもできる。ここでは、上述の配線301aは設けられず、各転送トランジスタTRの出力端子側(この例ではソース領域222)は、それぞれ個別のコンタクトを介して配線D1に接続される。
【0118】
この構成であっても、第1基板10に形成される複数の電極230を配線D1(基準電位線に繋がる配線D1)に共通に接続するために該配線D1に形成されるコンタクトCtの数は1つで済む。したがって、基準電位線に繋がる配線D1のコンタクト数および面積を低減できる。
【0119】
要するに、上述の配線301aが設けられて上述の配線301bが設けられない構成とすることもできるし、それとは反対に、上述の配線301bが設けられて上述の配線301aが設けられない構成とすることもできる。
【0120】
なお、本実施形態は、上述の第2の実施形態に適用することもでき、転送トランジスタTRはP型のトランジスタであり、配線301aはN型のポリシリコンで形成されてもよい。また、フォトダイオードPDに接続される電極230はN型のポリシリコンで形成され、配線301bはP型のポリシリコンで形成されてもよい。
【0121】
また、本実施形態は、上述の第3の実施形態に適用することもでき、配線301(配線301aまたは配線301b)はタングステン(W)を含んで形成されてもよい。
【0122】
また、本実施形態は、上述の第4の実施形態に適用することもできる。例えば上述の配線301aが設けられて上述の配線301bが設けられない構成であって、配線301aは第2基板20に形成された開口に配置されてもよい。また、例えば上述の配線301bが設けられて上述の配線301aが設けられない構成であって、配線301bは第2基板20に形成された開口に配置されてもよい。
【0123】
さらに、本実施形態は、上述の第5の実施形態に適用することもできる。例えば上述の配線301aが設けられて上述の配線301bが設けられない構成であって、配線301aは、増幅トランジスタAMPのゲート電極311と配線D1との間に配置される形態であってもよい。また、例えば上述の配線301bが設けられて上述の配線301aが設けられない構成であって、配線301bは、基準電位線と配線D1との間に配置される形態であってもよい。
【0124】
要するに、本実施形態は、上述の第2の実施形態~第5の実施形態の各々に対して適用することができる。
【0125】
<8.第7の実施形態>
(電子機器の構成例)
上述の各実施形態で説明した撮像素子は、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ付き携帯電話機などの各種携帯端末機器、プリンタ等の電子機器に適用することができる。
図38は、本開示の撮像素子を適用した電子機器の一例であるカメラ1000の構成例を示す図である。このカメラ1000は、静止画または動画を撮影可能なビデオカメラを例としたものである。
【0126】
図38に示すように、カメラ1000は、レンズ群1011と、撮像素子1012と、DSP回路1013と、を少なくとも備えている。
【0127】
レンズ群1011は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像素子1012へと導く。この例では、レンズ群1011は、撮像素子へ入射光を導くための「光学系」の一例に相当する。
【0128】
撮像素子1012は、入射光を画素単位で電気信号に変換して画素信号としてDSP回路1013へ供給する。撮像素子1012は、上述した各実施形態の撮像素子の何れかが適用される。
【0129】
DSP回路1013は、撮像素子1012から供給される画素信号に対して所定の画像処理を行い、処理後の画素単位の画素信号の集合(1フレーム分の画素信号の集合)を映像信号として出力する。この例では、DSP回路1013は、撮像素子から出力される信号を処理する「処理部」の一例に相当する。
【0130】
DSP回路1013から出力された映像信号は、フレームメモリなどに一時的に記憶された後、DVD(Digital Versatile Disk)やフラッシュメモリなどの記録媒体に記録される。あるいは、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの表示装置に表示される。
【0131】
<9.変形例>
以下に、上記撮像素子1の変形例について説明する。
【0132】
[変形例A]
上記各実施形態では、共有単位の画素数は4つであるが、これに限らず、共有単位の画素数は任意に変更可能である。例えば
図39および
図40に示すように、共有単位の画素数は2つであってもよい。つまり、第2基板20は、2つのセンサ画素12ごとに読み出し回路22を有する形態であってもよい。
図39には、
図2に記載のセンサ画素12および読み出し回路22の一変形例が示されている。
図40には、
図3に記載のセンサ画素12および読み出し回路22の一変形例が示されている。
【0133】
また、例えば
図41および
図42に示すように、共有単位の画素数は1つであってもよい。つまり、第2基板20は、2つのセンサ画素12ごとに読み出し回路22を有する形態であってもよい。
図41には、
図2に記載のセンサ画素12および読み出し回路22の一変形例が示されている。
図42には、
図3に記載のセンサ画素12および読み出し回路22の一変形例が示されている。
【0134】
[変形例B]
図43は、上記撮像素子1の垂直方向の断面構成の一変形例を表すものである。本変形例では、第2基板20と第3基板30との電気的な接続が、第1基板10における周辺領域14と対向する領域でなされている。周辺領域14は、第1基板10の額縁領域に相当しており、画素領域13の周縁に設けられている。本変形例では、第2基板20は、周辺領域14と対向する領域に、複数のパッド電極58を有しており、第3基板30は、周辺領域14と対向する領域に、複数のパッド電極64を有している。第2基板20および第3基板30は、周辺領域14と対向する領域に設けられたパッド電極58,64同士の接合によって、互いに電気的に接続されている。
【0135】
このように、本変形例では、第2基板20および第3基板30が、周辺領域14と対向する領域に設けられたパッド電極58,64同士の接合によって、互いに電気的に接続されている。これにより、画素領域13と対向する領域で、パッド電極58,64同士を接合する場合と比べて、1画素あたりの面積の微細化を阻害するおそれを低減することができる。従って、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像素子1を提供することができる。
【0136】
[変形例C]
図44、
図45は、上記撮像素子1の水平方向の断面構成の一変形例を表すものである。
図44、
図45の上側の図は、
図7の断面Sec1での断面構成の一変形例であり、
図23の下側の図は、
図7の断面Sec2での断面構成の一変形例である。なお、
図44、
図45の上側の断面図では、
図7の断面Sec1での断面構成の一変形例を表す図に、
図7の半導体基板11の表面構成の一変形例を表す図が重ね合わされるとともに、絶縁層240が省略されている。また、
図44、
図45の下側の断面図では、
図7の断面Sec2での断面構成の一変形例を表す図に、半導体基板303の表面構成の一変形例を表す図が重ね合わされている。
【0137】
図44、
図45に示したように、複数のコンタクトCt、複数の貫通配線47および複数の貫通配線48(図中の行列状に配置された複数のドット)は、第1基板10の面内において第1方向V1(
図44、
図45の左右方向)に帯状に並んで配置されている。なお、
図44、
図45には、複数のコンタクトCt、複数の貫通配線47および複数の貫通配線48が第1方向V1に2列に並んで配置されている場合が例示されている。読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12において、4つのフローティングディフュージョンFDは、例えば、素子分離部43を介して互いに近接して配置されている。読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12において、4つの転送ゲートTG(TG1,TG2,TG3,TG4)は、4つのフローティングディフュージョンFDを囲むように配置されており、例えば、4つの転送ゲートTGによって円環形状となる形状となっている。
【0138】
絶縁層53は、第1方向V1に延在する複数のブロックで構成されている。半導体基板303は、第1方向V1に延在するとともに、絶縁層53を介して第1方向V1と直交する第2方向V2に並んで配置された複数の島状のブロック303Aで構成されている。各ブロック303Aには、例えば、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELが設けられている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、4つのセンサ画素12と正対して配置されておらず、第2方向V2にずれて配置されている。
【0139】
図44では、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、第2基板20において、4つのセンサ画素12と対向する領域を第2方向V2にずらした領域内にある、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELによって構成されている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、1つのブロック303A内の増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよび選択トランジスタSELによって構成されている。
【0140】
図45では、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、第2基板20において、4つのセンサ画素12と対向する領域を第2方向V2にずらした領域内にある、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSELおよびFD転送トランジスタFDGによって構成されている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、1つのブロック303A内の増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよびFD転送トランジスタFDGによって構成されている。
【0141】
本変形例では、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、4つのセンサ画素12と正対して配置されておらず、4つのセンサ画素12と正対する位置から第2方向V2にずれて配置されている。このようにした場合には、配線25を短くすることができ、または、配線25を省略して、増幅トランジスタAMPのソースと、選択トランジスタSELのドレインとを共通の不純物領域で構成することもできる。その結果、読み出し回路22のサイズを小さくしたり、読み出し回路22内の他の箇所のサイズを大きくしたりすることができる。
【0142】
[変形例D]
図46は、上記撮像素子1の水平方向の断面構成の一変形例を表すものである。
図46には、
図12の断面構成の一変形例が示されている。
【0143】
本変形例では、半導体基板303が、絶縁層53を介して第1方向V1および第2方向V2に並んで配置された複数の島状のブロック303Aで構成されている。各ブロック303Aには、例えば、一組のリセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELが設けられている。このようにした場合には、互いに隣接する読み出し回路22同士のクロストークを、絶縁層53によって抑制することができ、再生画像上での解像度低下や混色による画質劣化を抑制することができる。
【0144】
[変形例E]
図47は、上記撮像素子1の水平方向の断面構成の一変形例を表すものである。
図47には、
図46の断面構成の一変形例が示されている。
【0145】
本変形例では、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22が、例えば、4つのセンサ画素12と正対して配置されておらず、第1方向V1にずれて配置されている。本変形例では、さらに、変形例Dと同様、半導体基板303が、絶縁層53を介して第1方向V1および第2方向V2に並んで配置された複数の島状のブロック303Aで構成されている。各ブロック303Aには、例えば、一組のリセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELが設けられている。本変形例では、さらに、複数の貫通配線47および複数のコンタクトCtが、第2方向V2にも配列されている。具体的には、複数の貫通配線47が、ある読み出し回路22を共有する4つのコンタクトCtと、その読み出し回路22の第2方向V2に隣接する他の読み出し回路22を共有する4つの貫通配線コンタクトCtとの間に配置されている。このようにした場合には、互いに隣接する読み出し回路22同士のクロストークを、絶縁層53および貫通配線47によって抑制することができ、再生画像上での解像度低下や混色による画質劣化を抑制することができる。
【0146】
[変形例F]
図48は、上記撮像素子1の水平方向の断面構成の一例を表したものである。
図48には、
図12の断面構成の一変形例が示されている。
【0147】
本変形例では、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに有し、フローティングディフュージョンFDを4つのセンサ画素12ごとに共有している。従って、本変形例では、4つのセンサ画素12ごとに、1つのコンタクトCtが設けられている。
【0148】
マトリクス状に配置された複数のセンサ画素12において、1つのフローティングディフュージョンFDを共有する4つのセンサ画素12に対応する単位領域を、1つのセンサ画素12分だけ第1方向V1にずらすことにより得られる領域に対応する4つのセンサ画素12を、便宜的に、4つのセンサ画素12Aと称することとする。このとき、本変形例では、第1基板10は、貫通配線47を4つのセンサ画素12Aごとに共有している。従って、本変形例では、4つのセンサ画素12Aごとに、1つの貫通配線47が設けられている。
【0149】
本変形例では、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに分離する画素分離部203を有している。素子分離部43は、半導体基板11の法線方向から見て、センサ画素12を完全には囲っておらず、フローティングディフュージョンFD(貫通配線54)の近傍と、貫通配線47の近傍に、隙間(未形成領域)を有している。そして、その隙間によって、4つのセンサ画素12による1つの貫通配線54の共有や、4つのセンサ画素12Aによる1つの貫通配線47の共有を可能にしている。本変形例では、第2基板20は、フローティングディフュージョンFDを共有する4つのセンサ画素12ごとに読み出し回路22を有している。
【0150】
図49は、本変形例に係る撮像素子1の水平方向の断面構成の一例を表したものである。
図49には、
図46の断面構成の一変形例が示されている。本変形例では、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに有し、フローティングディフュージョンFDを4つのセンサ画素12ごとに共有している。さらに、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに分離する画素分離部203を有している。
【0151】
図50は、本変形例に係る撮像素子1の水平方向の断面構成の一例を表したものである。
図50には、
図47の断面構成の一変形例が示されている。本変形例では、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに有し、フローティングディフュージョンFDを4つのセンサ画素12ごとに共有している。さらに、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに分離する画素分離部203を有している。
【0152】
[変形例G]
図51は、変形例に係る撮像素子1の回路構成の一例を表したものである。本変形例に係る撮像素子1は、列並列ADC搭載のCMOSイメージセンサである。
【0153】
図51に示すように、本変形例に係る撮像素子1は、光電変換素子を含む複数のセンサ画素12が行列状(マトリックス状)に2次元配置されてなる画素領域13に加えて、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、参照電圧供給部38、水平駆動回路35、水平出力線37およびシステム制御回路36を有する構成となっている。
【0154】
このシステム構成において、システム制御回路36は、マスタークロックMCKに基づいて、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、参照電圧供給部38および水平駆動回路35などの動作の基準となるクロック信号や制御信号などを生成し、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、参照電圧供給部38および水平駆動回路35などに対して与える。
【0155】
また、垂直駆動回路33は、画素領域13の各センサ画素12とともに、第1基板10形成されており、さらに、読み出し回路22の形成されている第2基板20にも形成される。カラム信号処理回路34、参照電圧供給部38、水平駆動回路35、水平出力線37およびシステム制御回路36は、第3基板30に形成される。
【0156】
センサ画素12としては、ここでは図示を省略するが、例えば、フォトダイオードPDの他に、フォトダイオードPDで光電変換して得られる電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する転送トランジスタTRとを有する構成のものを用いることができる。また、読み出し回路22としては、ここでは図示を省略するが、例えば、フローティングディフュージョンFDの電位を制御するリセットトランジスタRSTと、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた信号を出力する増幅トランジスタAMPと、画素選択を行うための選択トランジスタSELとを有する3トランジスタ構成のものを用いることができる。
【0157】
画素領域13には、センサ画素12が2次元配置されるとともに、このm行n列の画素配置に対して行毎に画素駆動線23が配線され、列毎に垂直信号線24が配線されている。複数の画素駆動線23の各一端は、垂直駆動回路33の各行に対応した各出力端に接続されている。垂直駆動回路33は、シフトレジスタなどによって構成され、複数の画素駆動線23を介して画素領域13の行アドレスや行走査の制御を行う。
【0158】
カラム信号処理回路34は、例えば、画素領域13の画素列毎、即ち垂直信号線24毎に設けられたADC(アナログ-デジタル変換回路)34-1~34-mを有し、画素領域13の各センサ画素12から列毎に出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する。
【0159】
参照電圧供給部38は、時間が経過するにつれてレベルが傾斜状に変化する、いわゆるランプ(RAMP)波形の参照電圧Vrefを生成する手段として、例えばDAC(デジタル-アナログ変換回路)38Aを有している。なお、ランプ波形の参照電圧Vrefを生成する手段としては、DAC38Aに限られるものではない。
【0160】
DAC38Aは、システム制御回路36から与えられる制御信号CS1による制御の下に、当該システム制御回路36から与えられるクロックCKに基づいてランプ波形の参照電圧Vrefを生成してカラム処理部15のADC34-1~34-mに対して供給する。
【0161】
なお、ADC34-1~34-mの各々は、センサ画素12全ての情報を読み出すプログレッシブ走査方式での通常フレームレートモードと、通常フレームレートモード時に比べて、センサ画素12の露光時間を1/Nに設定してフレームレートをN倍、例えば2倍に上げる高速フレームレートモードとの各動作モードに対応したAD変換動作を選択的に行い得る構成となっている。この動作モードの切り替えは、システム制御回路36から与えられる制御信号CS2,CS3による制御によって実行される。また、システム制御回路36に対しては、外部のシステムコントローラ(図示せず)から、通常フレームレートモードと高速フレームレートモードの各動作モードとを切り替えるための指示情報が与えられる。
【0162】
ADC34-1~34-mは全て同じ構成となっており、ここでは、ADC34-mを例に挙げて説明するものとする。ADC34-mは、比較器34A、計数手段である例えばアップ/ダウンカウンタ(図中、U/DCNTと記している)34B、転送スイッチ34Cおよびメモリ装置34Dを有する構成となっている。
【0163】
比較器34Aは、画素領域13のn列目の各センサ画素12から出力される信号に応じた垂直信号線24の信号電圧Vxと、参照電圧供給部38から供給されるランプ波形の参照電圧Vrefとを比較し、例えば、参照電圧Vrefが信号電圧Vxよりも大なるときに出力Vcoが"H"レベルになり、参照電圧Vrefが信号電圧Vx以下のときに出力Vcoが"L"レベルになる。
【0164】
アップ/ダウンカウンタ34Bは非同期カウンタであり、システム制御回路36から与えられる制御信号CS2による制御の下に、システム制御回路36からクロックCKがDAC18Aと同時に与えられ、当該クロックCKに同期してダウン(DOWN)カウントまたはアップ(UP)カウントを行うことにより、比較器34Aでの比較動作の開始から比較動作の終了までの比較期間を計測する。
【0165】
具体的には、通常フレームレートモードでは、1つのセンサ画素12からの信号の読み出し動作において、1回目の読み出し動作時にダウンカウントを行うことにより1回目の読み出し時の比較時間を計測し、2回目の読み出し動作時にアップカウントを行うことにより2回目の読み出し時の比較時間を計測する。
【0166】
一方、高速フレームレートモードでは、ある行のセンサ画素12についてのカウント結果をそのまま保持しておき、引き続き、次の行のセンサ画素12について、前回のカウント結果から1回目の読み出し動作時にダウンカウントを行うことで1回目の読み出し時の比較時間を計測し、2回目の読み出し動作時にアップカウントを行うことで2回目の読み出し時の比較時間を計測する。
【0167】
転送スイッチ34Cは、システム制御回路36から与えられる制御信号CS3による制御の下に、通常フレームレートモードでは、ある行のセンサ画素12についてのアップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作が完了した時点でオン(閉)状態となって当該アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント結果をメモリ装置34Dに転送する。
【0168】
一方、例えばN=2の高速フレームレートでは、ある行のセンサ画素12についてのアップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作が完了した時点でオフ(開)状態のままであり、引き続き、次の行のセンサ画素12についてのアップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作が完了した時点でオン状態となって当該アップ/ダウンカウンタ34Bの垂直2画素分についてのカウント結果をメモリ装置34Dに転送する。
【0169】
このようにして、画素領域13の各センサ画素12から垂直信号線24を経由して列毎に供給されるアナログ信号が、ADC34-1~34-mにおける比較器34Aおよびアップ/ダウンカウンタ34Bの各動作により、Nビットのデジタル信号に変換されてメモリ装置34Dに格納される。
【0170】
水平駆動回路35は、シフトレジスタなどによって構成され、カラム信号処理回路34におけるADC34-1~34-mの列アドレスや列走査の制御を行う。この水平駆動回路35による制御の下に、ADC34-1~34-mの各々でAD変換されたNビットのデジタル信号は順に水平出力線37に読み出され、当該水平出力線37を経由して撮像データとして出力される。
【0171】
なお、本開示には直接関連しないため特に図示しないが、水平出力線37を経由して出力される撮像データに対して各種の信号処理を施す回路等を、上記構成要素以外に設けることも可能である。
【0172】
上記構成の本変形例に係る列並列ADC搭載の撮像素子1では、アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント結果を、転送スイッチ34Cを介して選択的にメモリ装置34Dに転送することができるため、アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作と、当該アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント結果の水平出力線37への読み出し動作とを独立して制御することが可能である。
【0173】
[変形例H]
図52は、
図51の撮像素子1を3つの基板(第1基板10,第2基板20,第3基板30)を積層して構成した例を表す。本変形例では、第1基板10において、中央部分に、複数のセンサ画素12を含む画素領域13が形成されており、画素領域13の周囲に垂直駆動回路33が形成されている。また、第2基板20において、中央部分に、複数の読み出し回路22を含む読み出し回路領域15が形成されており、読み出し回路領域15の周囲に垂直駆動回路33が形成されている。第3基板30において、カラム信号処理回路34、水平駆動回路35、システム制御回路36、水平出力線37および参照電圧供給部38が形成されている。これにより、上記実施形態およびその変形例と同様、基板同士を電気的に接続する構造に起因して、チップサイズが大きくなったり、1画素あたりの面積の微細化を阻害したりしてしまうことがない。その結果、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像素子1を提供することができる。なお、垂直駆動回路33は、第1基板10のみに形成されても、第2基板20のみに形成されてもよい。
【0174】
[変形例I]
図53は、本変形例に係る撮像素子1の断面構成の一変形例を表す。上記第1の実施形態およびその変形例では、撮像素子1は、3つの基板(第1基板10,第2基板20,第3基板30)を積層して構成されていた。しかし、上記第1の実施形態およびその変形例において、撮像素子1が、2つの基板(第1基板10,第2基板20)を積層して構成されていてもよい。このとき、ロジック回路32は、例えば、
図53に示したように、第1基板10と、第2基板20とに分けて形成されている。ここで、ロジック回路32のうち、第1基板10側に設けられた回路32Aでは、高温プロセスに耐え得る材料(例えば、high-k)からなる高誘電率膜とメタルゲート電極とが積層されたゲート構造を有するトランジスタが設けられている。一方、第2基板20側に設けられた回路32Bでは、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi
2やNiSiなどのサリサイド(Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域26が形成されている。シリサイドからなる低抵抗領域は、半導体基板の材料と金属との化合物で形成されている。これにより、センサ画素12を形成する際に、熱酸化などの高温プロセスを用いることができる。また、ロジック回路32のうち、第2基板20側に設けられた回路32Bにおいて、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、シリサイドからなる低抵抗領域26を設けた場合には、接触抵抗を低減することができる。その結果、ロジック回路32での演算速度を高速化することができる。
【0175】
図54は、上記第1の実施形態およびその変形例に係る撮像素子1の断面構成の一変形例を表す。上記第1の実施形態およびその変形例に係る第3基板30のロジック回路32において、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi
2やNiSiなどのサリサイド(Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域37が形成されていてもよい。これにより、センサ画素12を形成する際に、熱酸化などの高温プロセスを用いることができる。また、ロジック回路32において、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、シリサイドからなる低抵抗領域37を設けた場合には、接触抵抗を低減することができる。その結果、ロジック回路32での演算速度を高速化することができる。
【0176】
<10.適用例>
図55は、上記撮像素子1を備えた撮像システム2の概略構成の一例を表したものである。
【0177】
撮像システム2は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、スマートフォンやタブレット型端末等の携帯端末装置などの電子機器である。撮像システム2は、例えば、上記撮像素子1、DSP回路141、フレームメモリ142、表示部143、記憶部144、操作部145および電源部146を備えている。撮像システム2において、上記撮像素子1、DSP回路141、フレームメモリ142、表示部143、記憶部144、操作部145および電源部146は、バスライン147を介して相互に接続されている。
【0178】
上記撮像素子1は、入射光に応じた画像データを出力する。DSP回路141は、上記撮像素子1から出力される信号(画像データ)を処理する信号処理回路である。フレームメモリ142は、DSP回路141により処理された画像データを、フレーム単位で一時的に保持する。表示部143は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、上記撮像素子1で撮像された動画又は静止画を表示する。記憶部144は、上記撮像素子1で撮像された動画又は静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。操作部145は、ユーザによる操作に従い、撮像システム2が有する各種の機能についての操作指令を発する。電源部146は、上記撮像素子1、DSP回路141、フレームメモリ142、表示部143、記憶部144および操作部145の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0179】
次に、撮像システム2における撮像手順について説明する。
【0180】
図56は、撮像システム2における撮像動作のフローチャートの一例を表す。ユーザは、操作部145を操作することにより撮像開始を指示する(ステップS101)。すると、操作部145は、撮像指令を撮像素子1に送信する(ステップS102)。撮像素子1(具体的にはシステム制御回路36)は、撮像指令を受けると、所定の撮像方式での撮像を実行する(ステップS103)。
【0181】
撮像素子1は、撮像により得られた画像データをDSP回路141に出力する。ここで、画像データとは、フローティングディフュージョンFDに一時的に保持された電荷に基づいて生成された画素信号の全画素分のデータである。DSP回路141は、撮像素子1から入力された画像データに基づいて所定の信号処理(例えばノイズ低減処理など)を行う(ステップS104)。DSP回路141は、所定の信号処理がなされた画像データをフレームメモリ142に保持させ、フレームメモリ142は、画像データを記憶部144に記憶させる(ステップS105)。このようにして、撮像システム2における撮像が行われる。
【0182】
本適用例では、上記撮像素子1が撮像システム2に適用される。これにより、撮像素子1を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な撮像システム2を提供することができる。
【0183】
<11.応用例>
[応用例1]
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0184】
図57は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0185】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図57に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0186】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0187】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0188】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0189】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0190】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0191】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0192】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0193】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0194】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図57の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0195】
図58は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0196】
図58では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0197】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0198】
なお、
図58には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0199】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0200】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0201】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0202】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0203】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像素子1は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの少ない高精細な撮影画像を得ることができるので、移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことができる。
【0204】
[応用例2]
図59は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0205】
図59では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0206】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0207】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0208】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0209】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0210】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0211】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0212】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0213】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0214】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0215】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0216】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0217】
図60は、
図59に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0218】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0219】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0220】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0221】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0222】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0223】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0224】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0225】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0226】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0227】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0228】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0229】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0230】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0231】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0232】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0233】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0234】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100のカメラヘッド11102に設けられた撮像部11402に好適に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部11402を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な内視鏡11100を提供することができる。
【0235】
以上、実施形態およびその変形例、適用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態および変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0236】
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0237】
なお、本開示は、以下のような構成にすることもできる。
(1)
複数の光電変換素子が形成される第1の基板と、
2以上の前記光電変換素子を単位とする組ごとに、該組が共有する画素トランジスタが形成される第2の基板と、
前記第1の基板に形成される複数の要素のうち、それぞれが前記光電変換素子ごとに形成される複数の第1の要素を、該複数の第1の要素が共有する第2の要素に繋がる配線であって前記第2の基板に形成される第1の配線に対して、1つのコンタクトで接続するための第2の配線と、を備える、
撮像素子。
(2)
前記第2の配線は、
2以上の前記光電変換素子の集合ごとに、
該集合に含まれる2以上の前記光電変換素子と1対1に対応する複数の前記第1の要素が接続され、該複数の前記第1の要素が共有する前記第2の要素に繋がる前記第1の配線に対して1つのコンタクトで接続される、
(1)に記載の撮像素子。
(3)
前記第2の配線は、前記第2の基板よりも光入射面側に配置される、
(1)または(2)に記載の撮像素子。
(4)
前記第1の基板には、前記光電変換素子ごとに、前記光電変換素子から出力される電気信号を前記画素トランジスタへ転送するための転送トランジスタが形成され、
前記第2の基板には、1以上の前記組ごとに、該組に含まれる2以上の前記転送トランジスタの各々から転送された電気信号を増幅して出力する1つの増幅トランジスタを少なくとも含む前記画素トランジスタが形成され、
前記第1の要素は、前記転送トランジスタの出力端子側を含み、
前記第2の要素は、前記増幅トランジスタのゲートを含む、
(1)~(3)の何れか1つに記載の撮像素子。
(5)
前記転送トランジスタの出力端子側は、前記光電変換素子から出力される電気信号を一時的に保持するフローティングディフュージョンである、
(4)に記載の撮像素子。
(6)
前記転送トランジスタはN型のトランジスタであり、
前記第2の配線はP型のポリシリコンで形成される、
(4)または(5)に記載の撮像素子。
(7)
前記第1の要素は、前記光電変換素子に接続される電極を含み、
前記第2の要素は、基準電位が供給される基準電位線を含み、
前記電極はP型のポリシリコンで形成され、
複数の前記電極を、前記基準電位線に繋がる前記第1の配線に対して1つのコンタクトで接続するための前記第2の配線は、N型のポリシリコンで形成される、
(6)に記載の撮像素子。
(8)
前記転送トランジスタはP型のトランジスタであり、
前記第2の配線はN型のポリシリコンで形成される、
(4)に記載の撮像素子。
(9)
前記第1の要素は、前記光電変換素子に接続される電極を含み、
前記第2の要素は、基準電位が供給される基準電位線を含み、
前記電極はN型のポリシリコンで形成され、
複数の前記電極を、前記基準電位線に繋がる前記第1の配線に対して1つのコンタクトで接続するための前記第2の配線は、P型のポリシリコンで形成される、
(8)に記載の撮像素子。
(10)
前記第1の要素は、前記光電変換素子に接続される電極を含み、
前記第2の要素は、基準電位が供給される基準電位線を含む、
(1)~(4)の何れか1つに記載の撮像素子。
(11)
前記第2の配線はタングステンを含んで形成される、
(1)~(4)および(10)のうちの何れか1つに記載の撮像素子。
(12)
前記第2の配線は、前記第2の基板の第1の半導体領域と前記第2の基板の第2の半導体領域との間に形成された絶縁領域内に配置される、
(1)、(2)、(4)~(11)のうちの何れか1つに記載の撮像素子。
(13)
前記第2の配線は、前記第2の要素と前記第1の配線との間に配置される、
(1)、(2)、(4)~(11)のうちの何れか1つに記載の撮像素子。
(14)
撮像素子と、
前記撮像素子へ入射光を導くための光学系と、
前記撮像素子から出力される信号を処理する処理部と、を備え、
前記撮像素子は、
複数の光電変換素子が形成される第1の基板と、
2以上の前記光電変換素子を単位とする組ごとに、該組が共有する画素トランジスタが形成される第2の基板と、
前記第1の基板に形成される複数の要素のうち、それぞれが前記光電変換素子ごとに形成される複数の第1の要素を、該複数の第1の要素が共有する第2の要素に繋がる配線であって前記第2の基板に形成される第1の配線に対して、1つのコンタクトで接続するための第2の配線と、を備える、
電子機器。
(15)
第1の光電変換素子と第2の光電変換素子が形成された第1の基板と、
前記第1の基板に形成され、前記第1の光電変換素子と前記第2の光電変換素子とに接続された第1の配線と、
前記第1の光電変換素子と前記第2の光電変換素子とに接続された画素トランジスタが形成された第2の基板と、
前記第2の基板に形成された第2の配線と、
前記第1の基板と前記第2の基板を貫通するように形成され、かつ、前記第1の配線および前記第2の配線と接続された第3の配線と、を備える、
撮像素子。
(16)
前記画素トランジスタは、増幅トランジスタ、リセットトランジスタ、選択トランジスタの少なくともいずれか1つを有する、
(15)に記載の撮像素子。
(17)
前記第1の基板は、前記第1の光電変換素子に接続された第1の転送トランジスタと、前記第2の光電変換素子に接続された第2の転送トランジスタとを有する、
(15)または(16)に記載の撮像素子。
(18)
前記第1の配線は、前記第1の転送トランジスタと接続された第1のフローティングディフュージョン領域と、前記第2の転送トランジスタと接続された第2のフローティングディフュージョン領域とに接続された、
(17)に記載の撮像素子。
(19)
前記第2の基板に積層され、前記第1の光電変換素子または前記第2の光電変換素子で生成された信号を処理するロジック回路を有する第3の基板を備えた、
(18)に記載の撮像素子。
(20)
撮像素子と、
前記撮像素子へ入射光を導くための光学系と、
前記撮像素子から出力される信号を処理する処理部と、を備え、
前記撮像素子は、
第1の光電変換素子と第2の光電変換素子が形成された第1の基板と、
前記第1の基板に形成され、前記第1の光電変換素子と前記第2の光電変換素子とに接続された第1の配線と、
前記第1の光電変換素子と前記第2の光電変換素子とに接続された画素トランジスタが形成された第2の基板と、
前記第2の基板に形成された第2の配線と、
前記第1の基板と前記第2の基板を貫通するように形成され、かつ、前記第1の配線および前記第2の配線と接続された第3の配線と、を備える、
電子機器。
【符号の説明】
【0238】
1・・撮像素子、10・・第1基板、20・・第2基板、30・・第3基板、202・・半導体領域、203・・画素分離部、204・・半導体領域、221・・ドレイン領域、222・・ソース領域、223・・ゲート電極、301a,301b・・配線、311・・ゲート電極、312・・ドレイン領域、313・・ソース領域、321・・ドレイン領域、322・・ソース領域、323・・ゲート電極、AMP・・増幅トランジスタ、Ct,Ct2・・コンタクト、D1・・配線、PD・・フォトダイオード、RST・・リセットトランジスタ、SEL・・選択トランジスタ、TR・・転送トランジスタ