IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オービックの特許一覧

特開2024-86865会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム
<>
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図1
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図2
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図3
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図4
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図5
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図6
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図7
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図8
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図9
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図10
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図11
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図12
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図13
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図14
  • 特開-会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086865
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20240621BHJP
【FI】
G06Q40/12
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063767
(22)【出願日】2024-04-11
(62)【分割の表示】P 2020055039の分割
【原出願日】2020-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 涼介
(72)【発明者】
【氏名】関谷 拓麻
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
(57)【要約】
【課題】本発明は、契約業務の対象となる対象物件ごとにその収支を捉えることが可能な会計データを、多大な手間をかけずに得ることができる会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る会計データ生成装置は、一又は複数の物件についての契約業務に関する会計データを生成するための情報処理装置である。この会計データ生成装置の制御部は、割当て金額データ生成手段を備える。割当て金額データ生成手段は、契約業務の対象となる対象物件の各々に対して前記契約業務の契約金額を割当てた割当て金額に関する情報を含む割当て金額データを生成する。割当て金額は、契約金額に関する契約金額情報と、前記対象物件の各々に対して予め設定された按分割合又は前記契約業務に応じて予め指定された当該対象物件に固有の固有情報とに基づいて算出される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の不動産物件についての契約業務に関する会計データを生成するための、制御部を備えた会計データ生成装置であって、
前記制御部は、
前記契約業務の対象となる対象不動産物件の各々に対して前記契約業務の契約金額を割当てた割当て金額に関する情報を含む割当て金額データを前記会計データの1つとして生成する割当て金額データ生成手段
を含み、
前記割当て金額データ生成手段は、
前記契約金額に関する契約金額情報と、前記対象不動産物件の各々に対して予め設定された按分割合又は前記契約業務に応じて予め指定された当該対象不動産物件に固有の固有情報とに基づいて、前記割当て金額を算出し、
前記契約業務の管理項目を含む種類ごとに前記割当て金額を割当てるための按分方法が登録された契約管理マスタから、前記契約業務に応じた按分方法を取得し、
前記不動産物件ごとに固有情報が登録された物件マスタから、前記取得された按分方法に対応する前記対象不動産物件の固有情報が示す数値を取得し、
固有情報が示す数値に応じた按分割合で、前記割当て金額を算出すること、
を特徴とする会計データ生成装置。
【請求項2】
前記割当て金額データ生成手段は、
前記契約業務の対象となる前記対象不動産物件が1つである場合、前記按分割合として掛率1又はその百分率100%を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の会計データ生成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記契約業務を会計月ごとに管理するための月次管理データを前記会計データの1つとして生成する月次管理データ生成手段
をさらに含み、
前記月次管理データ生成手段は、
前記割当て金額データ生成手段が算出した割当て金額に基づき前記対象不動産物件ごとに前記月次管理データを生成する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の会計データ生成装置。
【請求項4】
前記月次管理データ生成手段は、
前記生成した月次管理データに基づき、翌会計月の月次管理データを生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の会計データ生成装置。
【請求項5】
前記契約業務は、委託業務であり、
前記割当て金額は、前記委託業務に係る債務である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうち、いずれか一項に記載の会計データ生成装置。
【請求項6】
前記契約業務は、請負業務であり、
前記割当て金額は、前記請負業務に係る債権である
ことを特徴とする請求項1から請求項5のうち、いずれか一項に記載の会計データ生成装置。
【請求項7】
制御部を備えた情報処理装置において実行される、一又は複数の不動産物件についての契約業務に関する会計データを生成するための会計データ生成方法であって、
前記制御部において実行される、
前記契約業務の対象となる対象不動産物件の各々に対して前記契約業務の契約金額を割当てた割当て金額に関する情報を含む割当て金額データを前記会計データの1つとして生成する割当て金額データ生成ステップ
を含み、
前記割当て金額データ生成ステップでは、
前記契約金額に関する契約金額情報と、前記対象不動産物件の各々に対して予め設定された按分割合又は前記契約業務に応じて予め指定された当該対象不動産物件に固有の固有情報とに基づいて、前記割当て金額を算出し、
前記契約業務の管理項目を含む種類ごとに前記割当て金額を割当てるための按分方法が登録された契約管理マスタから、前記契約業務に応じた按分方法を取得し、
前記不動産物件ごとに固有情報が登録された物件マスタから、前記取得された按分方法に対応する前記対象不動産物件の固有情報が示す数値を取得し、
固有情報が示す数値に応じた按分割合で、前記割当て金額を算出すること、
を特徴とする会計データ生成方法。
【請求項8】
制御部を備えた情報処理装置において実行される、一又は複数の不動産物件についての契約業務に関する会計データを生成するための会計データ生成プログラムであって、
前記制御部において実行させるための、
前記契約業務の対象となる対象不動産物件の各々に対して前記契約業務の契約金額を割当てた割当て金額に関する情報を含む割当て金額データを前記会計データの1つとして生成する割当て金額データ生成ステップ
を含み、
前記割当て金額データ生成ステップでは、
前記契約金額に関する契約金額情報と、前記対象不動産物件の各々に対して予め設定された按分割合又は前記契約業務に応じて予め指定された当該対象不動産物件に固有の固有情報とに基づいて、前記割当て金額を算出し、
前記契約業務の管理項目を含む種類ごとに前記割当て金額を割当てるための按分方法が登録された契約管理マスタから、前記契約業務に応じた按分方法を取得し、
前記不動産物件ごとに固有情報が登録された物件マスタから、前記取得された按分方法に対応する前記対象不動産物件の固有情報が示す数値を取得し、
固有情報が示す数値に応じた按分割合で、前記割当て金額を算出すること、
を特徴とする会計データ生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多種の設備機器を備える施設の維持管理業務を受託する管理会社が、その契約に先立って、施設のオーナー等に見積を提示することが記載されている(段落[0001]~[0003])。ここで、特許文献1には、受託対象となる業務が、設備機器の点検、整備、清掃等であることが記載されている(段落[0003])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-341875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、維持管理業務、警備業務又は清掃業務といった各種の業務が、契約上、複数の物件(例えば、複合施設)に対する一括業務として行われる場合がある。このような場合、契約に係る業務(以下、「契約業務」ともいう)の契約金額は、通常、定まっているものの、複数の物件の各々に対する契約金額が定まっていない。
【0005】
しかしながら、管理会計上、物件ごとの収支(例えば原価)を捉えることは重要である。したがって、契約業務の対象となる対象物件ごとにその収支を捉えることが可能な会計データを、多大な手間をかけずに得ることが求められている。なお、対象物件ごとの収支を捉える必要性は、契約業務が受託業務又は請負業務(すなわち債権)である場合に限られることはなく、委託業務(すなわち債務)である場合にも同様に生じる。
【0006】
本発明は、上述の問題(要求)に鑑みてなされたものであって、契約業務の対象となる対象物件ごとにその収支を捉えることが可能な会計データを、多大な手間をかけずに得ることができる会計データ生成装置、会計データ生成方法、及び会計データ生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る会計データ生成装置は、一又は複数の不動産物件についての契約業務に関する会計データを生成するための、制御部を備えた会計データ生成装置であって、制御部は、契約業務の対象となる対象不動産物件の各々に対して契約業務の契約金額を割当てた割当て金額に関する情報を含む割当て金額データを会計データの1つとして生成する割当て金額データ生成手段を含み、割当て金額データ生成手段は、契約金額に関する契約金額情報と、対象不動産物件の各々に対して予め設定された按分割合又は契約業務に応じて予め指定された対象不動産物件に固有の固有情報とに基づいて、割当て金額を算出し、契約業務の管理項目を含む種類ごとに割当て金額を割当てるための按分方法が登録された契約管理マスタから、契約業務に応じた按分方法を取得し、不動産物件ごとに固有情報が登録された物件マスタから、取得された按分方法に対応する対象不動産物件の固有情報が示す数値を取得し、固有情報が示す数値に応じた按分割合で、割当て金額を算出する。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る会計データ生成方法は、制御部を備えた情報処理装置において実行される、一又は複数の不動産物件についての契約業務に関する会計データを生成するための会計データ生成方法であって、制御部において実行される、契約業務の対象となる対象不動産物件の各々に対して契約業務の契約金額を割当てた割当て金額に関する情報を含む割当て金額データを会計データの1つとして生成する割当て金額データ生成ステップを含み、割当て金額データ生成ステップでは、契約金額に関する契約金額情報と、対象不動産物件の各々に対して予め設定された按分割合又は契約業務に応じて予め指定された対象不動産物件に固有の固有情報とに基づいて、割当て金額を算出し、契約業務の管理項目を含む種類ごとに割当て金額を割当てるための按分方法が登録された契約管理マスタから、契約業務に応じた按分方法を取得し、不動産物件ごとに固有情報が登録された物件マスタから、取得された按分方法に対応する対象不動産物件の固有情報が示す数値を取得し、固有情報が示す数値に応じた按分割合で、割当て金額を算出する。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る会計データ生成プログラムは、制御部を備えた情報処理装置において実行される、一又は複数の不動産物件についての契約業務に関する会計データを生成するための会計データ生成プログラムであって、制御部において実行させるための、契約業務の対象となる対象不動産物件の各々に対して契約業務の契約金額を割当てた割当て金額に関する情報を含む割当て金額データを会計データの1つとして生成する割当て金額データ生成ステップを含み、割当て金額データ生成ステップでは、契約金額に関する契約金額情報と、対象不動産物件の各々に対して予め設定された按分割合又は契約業務に応じて予め指定された対象不動産物件に固有の固有情報とに基づいて、割当て金額を算出し、契約業務の管理項目を含む種類ごとに割当て金額を割当てるための按分方法が登録された契約管理マスタから、契約業務に応じた按分方法を取得し、不動産物件ごとに固有情報が登録された物件マスタから、取得された按分方法に対応する対象不動産物件の固有情報が示す数値を取得し、固有情報が示す数値に応じた按分割合で、割当て金額を算出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、契約業務の対象となる対象物件ごとにその収支を捉えることが可能な会計データを、手間をかけずに得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る会計データ生成装置を含む会計データ生成システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、図1の会計データ生成システム1000において、会計データ生成装置100が実行する会計データ生成方法の処理手順を示すフローチャートである。
図3図3は、図2のステップS210で登録される物件マスタの構成の一例を模式的に示す図である。
図4図4は、図2のステップS210で登録される契約管理マスタの構成の一例を模式的に示す図である。
図5図5は、図2のステップS220で起動される契約業務の入力画面の構成例を示す図である。
図6図6は、図2のステップS220で表示された入力画面を介して入力された情報に基づき生成される契約基本データの構成例を模式的に示す図である。
図7図7は、図5に示す入力画面において対象物件の数が複数である場合に該当するボタン又はチェックボックスがONにセットされた場合の状態の一例を示す図である。
図8図8は、図2のステップS231において受け付けた複数の対象物件を1群の物件群として管理するための対象物件群データの構成例を示す図である。
図9図9は、図7に示した入力画面から遷移可能な物件情報画面の構成例を示す図である。
図10図10は、図2のステップS232で契約金額の登録を受け付けるための入力画面の構成例を示す図である。
図11図11は、図2のステップS232で生成される契約明細データの構成例を模式的に示す図である。
図12図12は、図2のステップS233において表示される物件按分設定画面の構成例を示す図である。
図13図13は、図9に示した物件情報画面の月額の物件金額に、図2のステップS236の判別の結果、確定した割当て金額が反映された状態を示す図である。
図14図14は、図2のステップS238で生成される月次管理データの構成例を模式的に示す図である。
図15図15は、図2のステップS251において生成された1群の月次管理データが表示された金額展開画面の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0013】
[1.構成]
本実施形態に係る会計データ生成装置を含む会計データ生成システムの構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る会計データ生成装置を含む会計データ生成システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示す会計データ生成システム1000は、情報処理装置としての会計データ生成装置100と、サーバ200と、会計データ生成装置100及びサーバ200を通信可能に接続するネットワーク300とを含んでいる。
【0015】
会計データ生成装置100は、一又は複数の物件についての契約業務に関する会計データを生成するための情報処理装置であり、例えば市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータで構成される。この会計データ生成装置100は、例えば、契約業務に伴う会計を管理する部門(例えば、会計部門又は総務部門)に1台設置されている。なお、会計データ生成装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。また、会計データ生成装置100は、会計データ生成システム1000内において複数台設置されていてもよく、複数台の会計データ生成装置100の間で同期をとることで1台の会計データ生成装置100として機能してもよい。
【0016】
会計データ生成装置100は、制御部102と、通信インターフェース部104と、記憶部106と、入出力インターフェース部108とを備えている。会計データ生成装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0017】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、会計データ生成装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、会計データ生成装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。したがって、通信インターフェース部104は、他の情報処理装置からの入力情報等を、ネットワーク300を介して又はネットワーク300及びサーバ200を介して受け付けることが可能に構成されているとともに、所定の情報処理装置に対して所定の情報を出力することが可能に構成されている。
【0018】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラム(本発明のプログラムを含む)が記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。また、この記憶部106には、本発明のプログラムを実施するために用いられる各種のデータが書き出し/読み出し可能に格納されている。
【0019】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
【0020】
制御部102は、会計データ生成装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0021】
さらに図1を参照しながら、記憶部106及び制御部102の構成について詳述する。
【0022】
記憶部106は、図1に示されるように、物件マスタ106aと、契約管理マスタ106bと、契約データ記憶領域106cと、割当て金額データ記憶領域106dと、月次管理データ記憶領域106eとを含む。また、記憶部106は、その他のマスタやデータ記憶領域を備えていてもよい。
【0023】
物件マスタ106aは、物件に関する情報を登録したマスタであり、本実施形態では、物件ごとに固有情報が登録されたマスタである。物件マスタ106aの構成例については、図3を用いて後述する。契約管理マスタ106bは、契約に関する情報を登録したマスタであり、本実施形態では、契約業務の管理項目を含む種類ごとに割当て金額を割当てるための按分方法が登録されたマスタである。契約管理マスタ106bの構成例については、図4を用いて後述する。
【0024】
契約データ記憶領域106c、割当て金額データ記憶領域106d及び月次管理データ記憶領域106eは、それぞれ、後述する契約データ、割当て金額データ及び月次管理データを記憶するための領域であり、必要に応じて各データを出力可能に保持する。契約データは、契約金額に関する契約金額情報、契約業務の管理項目を含む種類に関する情報を含む。
【0025】
制御部102は、図1に示されるように、複数のモジュールを備えている。図1に示す例では、制御部102は、割当て金額データ生成部102aと、月次管理データ生成部102bとを備えている。
【0026】
割当て金額データ生成部102aは、契約業務の対象となる対象物件の各々に対して契約業務の契約金額を割当てた割当て金額に関する情報を含む割当て金額データを会計データの1つとして生成する割当て金額データ生成手段として機能するモジュールである。月次管理データ生成部102bは、契約業務を会計月ごとに管理するための月次管理データを会計データの1つとして生成する月次管理データ生成手段として機能するモジュールである。各部の機能は、後述する処理内容を実現する機能を含む。
【0027】
[2.処理]
次に、図1に示す会計データ生成システム1000において実行される会計データ生成方法を例示的に説明する。
【0028】
図2は、図1の会計データ生成システム1000において、会計データ生成装置100が実行する会計データ生成方法の処理手順を示すフローチャートである。この図2に示す処理は、概略的には、一又は複数の物件についての契約業務を管理するに際し、物件ごとの会計データを自動的に生成するというものであり、本処理の大部分は、会計データ生成装置100の制御部102において実行される。なお、以下では、契約業務として、複数の物件からなる1群の物件群についての警備業務を委託先(警備会社)に一括して委託する場合を主な例として挙げて説明する。このような委託業務は、多数の物件を所有する親会社(不動産会社)から、1群の物件群についてその管理委託を所定の契約金額で一括して請け負った子会社(例:ビルメンテナンス会社又はビル管理会社)が、請け負った管理業務の一部又は全部(例えば、警備業務、清掃業務)を他の会社へ発注(委託)する場合に生じ得る。
【0029】
図2において、まず、ステップS210では、必要なマスタの登録を受け付ける。既にマスタが構築されている場合には、斯かるマスタの編集(メンテナンス)を受け付けてもよい。マスタとしては、図3を用いて後述する物件マスタ、図4を用いて後述する契約管理マスタが挙げられる。また、必要に応じてその他のマスタ(例えば、契約業務の発注先又は受注先を登録したマスタ等)を用意してもよい。なお、マスタの名称は便宜上のものであり、任意の名称を採用できる。また、マスタの構成例は、後述するものに限られることはなく、例えば、物件マスタと契約管理マスタとが統合されていてもよい。また、既存のマスタが存在する場合には、ステップS210において、既存のマスタへのアクセス(参照)を可能に設定してもよい。
【0030】
図3は、図2のステップS210で登録される物件マスタの構成の一例を模式的に示す図である。
【0031】
図3に例示される物件マスタは、物件に係る情報を登録したマスタである。物件の例としては、ビル、マンション、商業施設、娯楽施設、競技施設、観光施設、農園、山林又はこれらを任意に組み合わせた複合施設といった不動産が挙げられる。図3に示す例では、物件マスタには、各物件を識別するための物件識別情報(例えば、物件名又は物件コード)と、当該物件に固有の固有情報とが少なくとも登録される。固有情報とは、本実施形態では、数値によって表現可能な情報をいい、通常、契約業務に関わる情報として物件マスタに登録された情報(具体的には、後述する契約管理マスタの按分方法によって指定され得る物件の固有情報)をさす。図3に示す例では、物件マスタは、固有情報として、敷地面積、延床面積等を含む。また、固有情報は、契約業務に関わる情報として、ゲートの数、トイレの数、窓の設置面積、月ごと若しくは月平均の来場者見込数といった固有情報を含んでいてもよい。なお、固有情報は、所定の評価基準にしたがって定まるランクを数値化したものであってもよく、例えば、敷地面積1500m以上をランク「5」、敷地面積1500m未満をランク「2」としてもよい。
【0032】
図4は、図2のステップS210で登録される契約管理マスタの構成の一例を模式的に示す図である。
【0033】
図4に例示される契約管理マスタは、契約業務に係る情報を登録したマスタである。図4に示す契約管理マスタは、契約業務の種類を特定するための契約種類情報(例えば、管理項目情報)と、契約種類情報ごとに指定された按分方法に関する按分方法情報とを含んで構成されている。ここで、契約業務の種類とは、契約業務として発生し得る業務内容又は管理内容をいう。契約種類情報は、契約業務の種類を特定できればよく、任意の数字又は文字列(例えば管理項目コード)であってもよい。また、按分方法とは、複数の物件につきその収支を捉えるために参照するための各物件の固有情報又は按分割合を決めるための方法をいう。按分方法情報は、按分方法を特定できればよく、任意の数字又は文字列(例えば、図3に示す物件マスタに登録されている固有情報のうち参照すべき固有情報を指定するための指定先情報)であってもよい。
【0034】
図2に戻り、続いて、ステップS220では、契約業務に係る入力がなされるかどうかを判別する。具体的には、ステップS220において、契約業務の入力画面(例えば、図5を用いて説明する業務契約入力画面のヘッダ情報入力画面)が起動されるかどうかを判別する。契約業務に係る入力がなされない場合には(ステップS220でNo)、ステップS210に戻り、マスタの編集又は契約業務に係る入力を待機する。契約業務に係る入力がなされる場合には、入力された契約業務に関する情報を受け付ける。
【0035】
図5は、図2のステップS220で起動される契約業務の入力画面の構成例を示す図である。図5に示す入力画面は、契約業務に関する情報として、契約業務を特定するための情報(例えば、契約番号及び契約名)と、契約先を特定するための情報(例えば、契約先コード及び契約先名)とを受け付け可能に構成されている。なお、図5に示す例では、契約先の一例として、委託先(発注先)が示されているが、契約業務が請負業務である場合には受注先(発注元)が表示されるようにしてもよい。
【0036】
さらに、図5に示す入力画面には、契約業務の対象となる対象物件の数が単数(単一)であるか複数であるかを指定するためのボタン又はチェックボックスが設けられている。対象物件の数が単数である場合、該当するボタン又はチェックボックスがONにセットされると、対象物件を特定するための情報を入力するための物件入力欄が入力可能となるように構成されている。図5に示す例では、対象物件の数が単数である場合に該当するボタン又はチェックボックスがONにセットされ、かつ、物件入力欄が空欄である状態(以下、「単一物件選択状態」ともいう)が示されている。図5に示すように、単一物件選択状態をデフォルトとすることで、ユーザは、多数の物件を個別に管理したい場合に容易に管理することができる。
【0037】
引き続き、図5に示す入力画面において契約番号及び契約名、並びに、委託先の入力を待機し、斯かる入力がなされると、入力された情報に基づき、契約業務の基本情報に関する契約基本データが生成される。図6は、図2のステップS220で表示された入力画面を介して入力された情報に基づき生成される契約基本データの構成例を模式的に示す図である。
【0038】
また、図5に示す入力画面において、対象物件の数が複数である場合に該当するボタン又はチェックボックスがONにセットされるかどうかを判別する(ステップS231)。ステップS231の判別の結果、対象物件の数が複数である場合に該当するボタン又はチェックボックスがONにセットされない場合、すなわち対象物件の数が複数である場合に該当するボタン又はチェックボックスがONのままの場合には(ステップS231でNo)、後述するステップS260の処理に進む。
【0039】
他方、ステップS231の判別の結果、対象物件の数が複数である場合に該当するボタン又はチェックボックスがONにセットされた場合には(ステップS231でYes)、ステップS231に進んで、複数の対象物件の登録を受け付ける。ここで、図5に示す入力画面において、対象物件の数が複数である場合に該当するボタン又はチェックボックスがONにセットされると、対象物件を特定すべく「物件選択」ボタンが押下可能となるように構成されていることが好ましい。図7は、図5に示す入力画面において対象物件の数が複数である場合に該当するボタン又はチェックボックスがONにセットされた場合の状態(以下、「複数物件選択状態」ともいう)の一例を示す図である。これにより、ユーザは、単一の対象物件ではなく、複数の対象物件を一括して管理しようとしていることを把握することができる。また、斯かる契約情報を読み出す際においては、登録された複数の対象物件が参照可能であることを視覚的に把握することができる。
【0040】
図8は、図2のステップS231において受け付けた複数の対象物件を1群の物件群として管理するための対象物件群データの構成例を示す図である。図8に示すように、ステップS231で受け付けた複数の対象物件(図8に示す例では6件の対象物件)は、契約業務を特定するための情報(契約番号)と紐付けた対象物件群データが生成されることにより、1群の対象物件群として管理される。そして、1群の対象物件群として管理されている複数の対象物件は、例えば、図7に示した入力画面から遷移可能な物件情報画面において参照可能に表示される。図9は、図7に示した入力画面から遷移可能な物件情報画面の構成例を示す図である。図9に示す例では、物件情報画面において、図8に示した対象物件群データの物件名が反映されるようになっている。さらに、図9に示す物件情報画面においては、対象物件ごとに、月額の物件金額が表示されるようになっている。ただし、図9に示す例においては、各対象物件の月額の物件金額として0円がデフォルトで表示された場合が示されている。
【0041】
さらに、ステップS232では、契約種類及び契約金額の登録を受け付ける。具体的には、図7に示した入力画面から遷移可能な明細情報画面において、契約種類及び契約金額が入力されるのを待機する。図10は、図2のステップS232で契約金額の登録を受け付けるための入力画面の構成例を示す図である。図10に示す例に係る入力画面には、契約種類(例えば、管理項目)の入力欄と、契約金額の入力欄とが設けられている。そして、図10に示したような入力画面を介して契約種類及び契約金額が入力されると、入力された情報に基づき、契約業務の明細に関する契約明細データが生成される。図11は、図2のステップS232で生成される契約明細データの構成例を模式的に示す図である。図11に示すように、契約明細データが契約業務を特定する情報(契約番号)を含むことにより、図6に示した契約基本データと紐付けがなされることとなる。
【0042】
加えて、ステップS233では、按分方法の指定があるかどうかを判別する。具体的には、図7に示した入力画面、図9に示した物件情報画面、又は図10に示した入力画面から遷移可能な物件按分設定画面(図12)を介して按分方法の指定があるかどうかを判別する。按分方法の指定がない場合には(ステップS233でNo)、後述するステップS240の処理に進む。他方、按分方法の指定がある場合には(ステップS233でYes)、ステップS234に進む。
【0043】
図12は、図2のステップS233において表示される物件按分設定画面の構成例を示す図である。
【0044】
図12に示す物件按分設定画面は、按分方法の指定がある場合に表示される画面例である。図12に示す物件按分設定画面は、例えば、契約種類情報(管理項目)の表示欄と、按分方法の表示欄とを含んで構成されている。物件按分設定画面における契約種類情報(管理項目)の表示欄には、ステップS232で受け付けた契約種類が表示される。物件按分設定画面における契約種類情報(管理項目)の表示欄には、按分方法を特定するための情報が表示される。ここで、按分方法を特定するための情報とは、図4を用いて説明したような契約管理マスタに登録されている按分方法に関する情報から選択される一の情報である。そして、ステップS232で契約種類を既に受け付けている場合、契約管理マスタを参照することにより、契約業務に応じた按分方法を取得して自動的に按分方法の表示欄にセットされるようになっている。なお、契約種類に複数種類の按分方法が紐付けられていてもよく、その場合には、ユーザに一の按分方法を選択するよう促すように構成されることが好ましい。他方で、按分方法の表示欄においてユーザが他の按分方法を指定すべく、図12に示す物件按分設定画面を介してユーザによる按分方法の編集(変更)を受け付けるようにしてもよい。
【0045】
続くステップS234では、指定された按分方法に対応する対象物件の固有情報の読み出しを行い、さらに引き続くステップS235において、ステップS234で読み出した固有情報に基づき、各対象物件の月額の物件金額を割当て金額として算出する。ステップS234で読み出すべき対象物件の固有情報は、物件マスタを参照することにより取得される。ここで、按分方法が「敷地面積按分」である場合には、物件マスタの「敷地面積」が参照される。割当て金額は、読み出した各対象物件の固有情報が示す数値を用いて、契約金額を1群の対象物件群で按分することにより算出される。具体的には、固有情報が敷地面積である場合、敷地面積が示す数値を用いて、1群の対象物件群の敷地面積の総和が示す数値を算出し、次に、算出した総和に対する敷地面積が示す数値の按分割合(掛率)を算出し、そして、算出した按分割合を契約金額に乗じることにより、各対象物件の割当て金額が算出される。同様にして、按分方法が「延床面積按分」である場合にも各対象物件の割当て金額が算出される。
【0046】
図2のステップS233及びステップS234の処理の結果、図12の物件按分設定画面には、読み出した固有情報が示す数値と、算出された割当て金額とが表示されるようになっている。さらに、図12の物件按分設定画面には、割当て金額の合計金額が示されるようになっており、これにより、契約金額と一致しているかどうかをユーザは確認することができる。割当て金額の合計金額と契約金額とが互いに一致していない場合(例えば、四捨五入の結果、端数が生じた場合)、ユーザは、任意の対象物件の割当て金額を図12の物件按分設定画面を介して編集(変更)することにより、割当て金額の合計金額を契約金額と一致させることが可能である。
【0047】
他方、ステップS233の判別の結果、按分方法が指定されていない場合には(ステップS233でNo)、固有情報が示す数値の表示欄においてデフォルト表示を行い(ステップS240)、ステップS235に進んで、デフォルト表示用の固有情報が示す数値に応じて、割当て金額を算出する。デフォルト表示の第1の例は、図12の物件按分設定画面において、固有情報が示す数値の表示欄にNull又はゼロがセットされる。この第1の例では、ユーザによる任意の編集を受け付け可能として、任意の按分割合を設定することができる。デフォルト表示の第2の例は、固有情報が示す数値の表示欄に、1群の対象物件群に属する対象物件の数に応じた按分割合(具体的には、1/対象物件の数)又は全て「1」が表示される。この第2の例では、割当て金額として、契約金額を均等に按分した金額が表示されるので、ユーザは、均等に按分した金額を把握したうえで、任意の按分割合を設定することができる。
【0048】
その後、ステップS236では、ステップS235で算出された割当て金額で確定すべきかどうかを判別する。具体的には、ステップS236において、図12に示す物件按分設定画面において、図示しない「確定」ボタンが押下されるかどうかを判別する。「確定」ボタンが押下されない場合(ステップS236でNo)、ユーザによる編集を待機し(ステップS237)、ユーザによる編集がなされた場合には、割当て金額を再度算出し(ステップS235)、再び、「確定」ボタンが押下されるかどうかを判別する(ステップS236)。他方、「確定」ボタンが押下された場合には、確定した割当て金額に関する情報を含む割当て金額データを会計データの1つとして生成するとともに、確定した割当て金額を図9に示した月額の物件金額に反映させて、ステップS238の処理に進む。図13は、図9に示した物件情報画面の月額の物件金額に、図2のステップS236の判別の結果、確定した割当て金額が反映された状態を示す図である。
【0049】
ステップS238では、ステップS236の判別の結果、確定した割当て金額に基づき、月次管理データを生成する。月次管理データとは、契約業務を会計月ごとに管理するための会計データの1つである。したがって、ステップS236の処理が、ユーザが指定した期日(例えば計上日の5日前)において自動的に実行されるように図2の処理を構成することが好ましく、この場合には、期日前においては、ユーザによる割当て金額の編集が可能である。他方で、ユーザの指定により任意のタイミングでステップS236の処理を実行してもよく、これにより、ユーザは、任意のタイミングで管理会計データを得ることができる。
【0050】
図14は、図2のステップS238で生成される月次管理データの構成例を模式的に示す図である。図14に示す月次管理データの例は、契約業務が委託業務である場合に発注元において生成される支払予定データである。図14に示す月次管理データは、対象物件ごとに、契約種類情報と、割当て金額に関する情報と、計上日に関する情報と、支払予定日に関する情報とを含むレコードで構成されている。契約種類情報は、ステップS232おいて受け付けた情報に基づいており、割当て金額は、ステップS236で確定した金額に基づいている。計上日及び支払予定日は、それぞれ、契約上設定された各月の指定日又はユーザが予め指定した各月の指定日である。計上月は、図示さない契約期間の入力項目から取得して特定することが可能である。図14に示すように、月次管理データが、対象物件ごとのレコードで構成されているので、ユーザは、1群の対象物件群の収支だけでなく、対象物件ごとの収支も捉えることが可能となる。例えば、月次管理データを用いることにより、対象物件の割当て金額が敷地面積の割には高額であり、次回の契約時には契約金額の減額を打診することについて検討を要する等の管理会計上の情報を取得することができる。また、月次管理データを、図14に示したような支払予定データとして用いることで、入金後の消込を容易にすることもできる。さらに、支払予定データを編集することにより、委託先への入金予定伝票データとしてもよい。
【0051】
続くステップS250では、ステップS238で生成した月次管理データを契約期間にわたって展開するかどうかを判別する。月次管理データの展開とは、既存の月次管理データに基づき、他の月次データを生成することをいう。ステップS250の判別は、具体的には、図15に示されるような金額展開画面が起動されるかどうかによって行われる。そして、月次管理データの展開を行う場合には(ステップS250でYes)、ステップS251に進んで、月次管理データの展開を実行して、1群の月次管理データを生成し、そして、本処理を完了する。他方、月次管理データの展開を行わない場合には(ステップS250でNo)、ステップS251の処理をスキップして、本処理を完了する。
【0052】
図15は、図2のステップS251において生成された1群の月次管理データが表示された金額展開画面の構成例を示す図である。図15において、行番号1~6に表示された1群のレコードは、ステップS238で生成された月次管理データである。行番号7以降は、ステップS238で生成された月次管理データに基づき、計上日及び支払予定日の会計月を変更することで生成した月次管理データであり、少なくとも翌会計月の月次管理データを含む。会計月の最終月は、図示しない契約期間の入力欄から取得することで、決定される。このように、1群の月次管理データが生成可能であるので、ユーザは、同じ契約業務を複数月にわたって行う場合に、容易に月次管理データを得ることができる。
【0053】
ところで、ステップS230の判別の結果、対象物件の数が複数でない場合、すなわち単数である場合には(ステップS230でNo)、単数の対象物件の登録を受け付けて(ステップS260)、ステップS261に進んで、当該対象物件の按分割合として掛率1を設定する。これにより、契約金額の全額が対象物件の割当て金額として算出される。そして、ステップS238の処理に進んで、ステップS238~S251の処理を実行し、本処理を終了する。
【0054】
以上詳細に説明したように、図2に示した会計データ生成方法の処理手順によれば、契約業務に関する会計データを生成するに際し、会計データ生成装置100は、契約業務の対象となる対象物件の各々に対して前記契約業務の契約金額を割当てた割当て金額に関する情報を含む割当て金額データを前記会計データの1つとして生成する(ステップS236)(割当て金額データ生成手段)。ここで、割当て金額は、前記契約金額に関する契約金額情報と(ステップS232)、前記対象物件の各々に対して予め設定された按分割合(ステップS261)又は前記契約業務に応じて予め指定された当該対象物件に固有の固有情報と(ステップS234)に基づいて算出される。これにより、ユーザは、契約業務の対象となる対象物件ごとにその収支を捉えることが可能な会計データを、多大な手間をかけずに得ることができる。
【0055】
また、図2の処理によれば、前記契約業務の管理項目を含む種類ごとに前記割当て金額を割当てるための按分方法が登録された契約管理マスタ(ステップS210)から、前記契約業務に応じた按分方法を取得し(ステップS233)、前記物件ごとに固有情報が登録された物件マスタから(ステップS210)、前記取得された按分方法に対応する前記対象物件の固有情報が示す数値を取得し(ステップS234)、固有情報が示す数値に応じた按分割合で、前記割当て金額が算出される(ステップS235)。これにより、ユーザは、対象物件ごとにその収支を捉えることが可能な会計データを、按分方法を登録するだけで、多大な手間をかけずに得ることができる。
【0056】
また、図2の処理によれば、前記契約業務の対象となる対象物件が1つである場合、前記按分割合として掛率1を設定する(ステップS261)。これにより、ユーザは、対象物件が1つであっても、その収支を捉えることが可能な会計データを、対象物件が複数である場合と同様に、得ることができる。なお、上述した実施形態では、按分割合として掛率1を設定するとしたが、これに代えて、按分割合として百分率100%を設定するようにしてもよい。また、他の実施形態では、契約業務の対象となる対象物件が1つである場合には、按分割合を設定しないように構成してもよく、この場合には、契約業務の対象となる対象物件が複数である場合に按分割合又は固有情報に基づいた割当て金額の算出がなされる。
【0057】
また、図2の処理によれば、前記契約業務を会計月ごとに管理するための月次管理データが前記会計データの1つとして生成される(ステップS238)(月次管理データ生成手段)。ここで、算出した割当て金額に基づき前記対象物件ごとに前記月次管理データが生成される。これにより、ユーザは、対象物件ごとの収支を捉えることが可能な会計データを月次管理データとして得ることができる。
【0058】
さらに、図2の処理によれば、前記生成した月次管理データに基づき、翌会計月の月次管理データが生成される(ステップS251)。これにより、ユーザは、対象物件ごとの収支を捉えることが可能な1群の会計データを容易に得ることができる。
【0059】
また、上述した説明では、前記契約業務が委託業務であり、前記割当て金額が前記委託業務に係る債務である場合を例に説明したが、前記契約業務が請負業務であり、前記割当て金額が前記請負業務に係る債権である場合にも同様に適用することができる。契約業務が請負業務である場合、物件マスタにおいて、例えば、請負業務に係る領域(例:敷地面積の1区画)が1つの物件として登録されてもよく、この場合、ユーザは、複数の領域からなる1つの物件について、各領域の収支を捉えることが可能な会計データを得ることができる。そのため、管理会計上、作業効率等の観点から収支が良好な領域と良好ではない領域に関する情報を得ることも可能となり、次回の契約時に必要に応じて請負業務の契約金額の上乗せを求めるべきかどうかの判断材料を得ることも可能となる。
【0060】
なお、図2に示した処理の処理内容や処理手順を任意に変更することが可能である。上述した実施形態では、契約基本データと契約明細データとを個別に生成したが、これに代えて、契約基本データと契約明細データとを統合した契約データを生成するようにしてもよく、さらに、斯かる契約データに、割当て金額データを統合してもよい。また、上述した実施形態において、対象物件の登録(ステップS231)、契約種類及び契約金額の登録(ステップS232)及び按分方法の指定(ステップS233)の順序を変更してもよいし、これらを並行して実施するようにしてもよい。また、図12に示す物件按分設定画面を介して按分方法の指定を受け付けることに代えて、任意の画面において按分方法の指定を受け付けることにより、図9又は図13に示す物件情報画面において割当て金額としての月額の物件金額を表示し、ユーザによる編集を受け付け可能に構成してもよい。
【0061】
[3.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0062】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0063】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0064】
また、会計データ生成装置100及び会計データ生成システム1000に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0065】
例えば、会計データ生成装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて会計データ生成装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0066】
また、このコンピュータプログラムは、会計データ生成装置100に対して任意のネットワーク(例えばネットワーク300)を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0067】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本明細書で説明した処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
【0068】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0069】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0070】
また、会計データ生成装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、会計データ生成装置100は、当該装置に本明細書で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0071】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、一又は複数の物件についての契約業務を管理する際において有用である。
【符号の説明】
【0073】
100 会計データ生成装置
102 制御部
102a 割当て金額データ生成部
102b 月次管理データ生成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 物件マスタ
106b 契約管理マスタ
106c 契約データ記憶領域
106d 割当て金額データ記憶領域
106e 月次管理データ記憶領域
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
1000 会計データ生成システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15