(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086871
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】画像再構成方法及び再構成装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61B5/055 376
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063952
(22)【出願日】2024-04-11
(62)【分割の表示】P 2020052112の分割
【原出願日】2020-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2019056224
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】長島 正晃
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデン マーク
(57)【要約】
【課題】不整脈発生時の再撮像を回避することである。
【解決手段】実施形態に係る方法は、k空間データを、k空間中心部分とk空間辺縁部分とにセグメント分割する。前記方法は、前記k空間中心部分を第1の時間区間で収集し、前記k空間辺縁部分を前記第1の時間区間と異なる第2の時間区間で収集する。前記方法は、収集した前記k空間中心部分と前記k空間辺縁部分のそれぞれのデータを組み合わせたk空間データからMR(Magnetic Resonance)画像を再構成する。また、前記第1の時間区間は、複数の心周期を含む。前記k空間中心部分は、前記複数の心周期に亘って繰り返し収集される。前記MR画像の再構成に用いられるk空間データの中心部分として、前記複数の心周期のうち、不整脈の影響が低い心周期のデータが選択される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
k空間データを、k空間中心部分とk空間辺縁部分とにセグメント分割し、
前記k空間中心部分を第1の時間区間で収集し、
前記k空間辺縁部分を前記第1の時間区間と異なる第2の時間区間で収集し、
収集した前記k空間中心部分と前記k空間辺縁部分のそれぞれのデータを組み合わせたk空間データからMR(Magnetic Resonance)画像を再構成する画像再構成方法であって、
前記第1の時間区間は、複数の心周期を含み、
前記k空間中心部分は、前記複数の心周期に亘って繰り返し収集され、
前記MR画像の再構成に用いられるk空間データの中心部分として、前記複数の心周期のうち、不整脈の影響が低い心周期のデータが選択される、
画像再構成方法。
【請求項2】
前記k空間データを収集する対象の被検体の心拍情報を更に取得し、
前記不整脈の影響が低い心周期のデータの選択において、前記取得した心拍情報に基づいて、前記k空間データの中心部分のうち、心周期が正常範囲のデータを選択する、
請求項1に記載の画像再構成方法。
【請求項3】
前記心拍情報におけるトリガー信号の時刻の入力を受け付け、
前記入力に基づいて、前記入力された時刻に擬似的なトリガー信号を生成し、
前記擬似的なトリガー信号を含む心拍情報に基づいて、前記k空間データの中心部分のうち、前記心周期が正常範囲のデータを選択する、
請求項2に記載の画像再構成方法。
【請求項4】
前記第2の時間区間は、少なくとも1心周期を含み、前記第1の時間区間より短い、
請求項1~3のいずれか一つに記載の画像再構成方法。
【請求項5】
前記k空間データを収集する対象の被検体の心拍情報を更に取得し、
非単純間引きサンプリングによって、前記k空間中心部分及び前記k空間辺縁部分に対応する複数の第1k空間データを収集し、
前記非単純間引きサンプリングに対応するフーリエ変換を含む処理により、前記非単純間引きサンプリングにより間引かれた領域の少なくとも一部が充填された複数の第2k空間データを、前記複数の第1k空間データから生成し、
各第1k空間データの第1収集時刻に基づいて、各第2k空間データの擬似的な第2収集時刻を生成し、
前記心拍情報に基づいて、前記複数の第2k空間データのうち不整脈の影響が低い複数の第2k空間データを特定し、
前記第2収集時刻に基づいて、特定された前記不整脈の影響が低い複数の第2k空間データの中から、予め設定された複数の心時相それぞれに対応する複数の第2k空間データを選択し、
選択された前記複数の心時相それぞれに対応する複数の第2k空間データを用いて、前記複数の心時相に対応する複数の前記MR画像を再構成する、
請求項1~4のいずれか一つに記載の画像再構成方法。
【請求項6】
前記第2k空間データを生成する処理は、
前記k空間中心部分に含まれる複数の第1k空間データの心時相情報と、前記k空間辺縁部分に含まれる複数の第1k空間データの心時相情報とを算出し、
前記k空間中心部分に含まれる複数の第1k空間データそれぞれと、前記k空間中心部分の心時相情報に近い心時相情報を有する前記k空間辺縁部分の第1k空間データとを結合させ、
結合された複数の第1k空間データに対して前記フーリエ変換を含む処理を行うことで、前記複数の第2k空間データを生成する、
請求項5に記載の画像再構成方法。
【請求項7】
前記結合させる処理は、更に、選択された前記不整脈の影響が低い心周期のデータのトリガー間隔に基づいて、前記k空間中心部分の第1k空間データと前記k空間辺縁部分の第1k空間データとを結合させる、
請求項6に記載の画像再構成方法。
【請求項8】
前記結合させる処理は、
前記心拍情報に基づいて、前記k空間辺縁部分に含まれる第1k空間データのうち不整脈の影響が低い複数の第1k空間データを特定し、
特定された前記不整脈の影響が低い複数の第1k空間データのうち、前記k空間中心部分の心時相情報に近い心時相情報を有する前記k空間辺縁部分の第1k空間データを、前記k空間中心部分の第1k空間データに結合させる、
請求項6に記載の画像再構成方法。
【請求項9】
前記第2k空間データを生成する処理は、前記k空間辺縁部分に含まれる第1k空間データのうち不整脈の影響が低い複数の第1k空間データを特定する処理を行わずに、前記結合させる処理を行う、
請求項6に記載の画像再構成方法。
【請求項10】
前記心時相情報は、1心周期における時相方向の位置を示す情報である、
請求項6~9のいずれか一つに記載の画像再構成方法。
【請求項11】
前記取得する処理は、
前記非単純間引きサンプリングが行われている間に、前記心拍情報に基づいて不整脈の発生を監視し、
前記不整脈の発生していない期間が所定条件を満たした場合に、前記非単純間引きサンプリングを終了させる、
請求項6~10のいずれか一つに記載の画像再構成方法。
【請求項12】
前記特定する処理は、前記心拍情報に基づいて算出されるRR間隔が閾値未満である場合に、前記RR間隔に含まれる第2k空間データを、前記不整脈の影響のある複数の第2k空間データとして特定する、
請求項6~11のいずれか一つに記載の画像再構成方法。
【請求項13】
前記特定する処理は、前記心拍情報に基づいて算出されるRR間隔が閾値未満である場合に、前記RR間隔を含む所定期間に含まれる第2k空間データを、前記不整脈の影響のある複数の第2k空間データとして特定する、
請求項6~11のいずれか一つに記載の画像再構成方法。
【請求項14】
前記非単純間引きサンプリングは、連続する時相間において互いに異なるサンプリングパターンで前記複数の第1k空間データを収集する、
請求項6~13のいずれか一つに記載の画像再構成方法。
【請求項15】
前記非単純間引きサンプリングは、k空間の位相エンコード方向に規則的に間引かれたサンプリングパターンであって、連続する時相間において収集される位相エンコードのラインが異なるサンプリングパターンで前記複数の第1k空間データを収集する、
請求項14に記載の画像再構成方法。
【請求項16】
前記非単純間引きサンプリングは、連続する時相間において収集される位相エンコードのラインが不規則的なサンプリングパターンで前記複数の第1k空間データを収集する、
請求項14に記載の画像再構成方法。
【請求項17】
前記k空間データを収集する対象の被検体の心拍情報を更に取得し、
非単純間引きサンプリングによって、前記k空間中心部分及び前記k空間辺縁部分に対応する複数の第1k空間データを収集し、
前記心拍情報に基づいて、前記複数の第1k空間データのうち不整脈の影響が低い複数の第1k空間データを特定し、
前記非単純間引きサンプリングに対応するフーリエ変換を含む処理により、前記非単純間引きサンプリングにより間引かれた領域の少なくとも一部が充填された複数の第2k空間データを、特定された前記不整脈の影響が低い複数の第1k空間データから生成し、
各第1k空間データの第1収集時刻に基づいて、各第2k空間データの擬似的な第2収集時刻を生成し、
前記第2収集時刻に基づいて、生成された前記第2k空間データの中から、予め設定された複数の心時相それぞれに対応する複数の第2k空間データを選択し、
選択された前記複数の心時相それぞれに対応する複数の第2k空間データを用いて、前記複数の心時相に対応する複数の前記MR画像を再構成する、
請求項1~4のいずれか一つに記載の画像再構成方法。
【請求項18】
k空間データを、k空間中心部分とk空間辺縁部分とにセグメント分割し、前記k空間中心部分を第1の時間区間で収集し、前記k空間辺縁部分を前記第1の時間区間と異なる第2の時間区間で収集する収集部と、
収集した前記k空間中心部分と前記k空間辺縁部分のそれぞれのデータを組み合わせたk空間データからMR(Magnetic Resonance)画像を再構成する再構成部と
を備える、再構成装置であって、
前記第1の時間区間は、複数の心周期を含み、
前記k空間中心部分は、前記複数の心周期に亘って繰り返し収集され、
前記MR画像の再構成に用いられるk空間データの中心部分として、前記複数の心周期のうち、不整脈の影響が低い心周期のデータが選択される、
再構成装置。
【請求項19】
磁気共鳴イメージング装置である、
請求項18に記載の再構成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像再構成方法及び再構成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)において、周期的な運動を行う部位を撮像するための撮像法として、被検体の生体信号に同期した同期撮像が知られている。同期撮像の一例として、被検体の心電信号に同期した撮像を行う心電同期撮像が知られている。
【0003】
ここで、心電同期撮像には、プロスペクティブゲート法(prospective gating method)とレトロスペクティブゲート法(retrospective gating method)とが含まれる。プロスペクティブゲート法は、予め決められた特定の心時相でデータを収集する方法である。例えば、プロスペクティブゲート法では、R波のタイミングを検出し、このR波をトリガーとして各心時相のデータを繰り返し収集する。
【0004】
レトロスペクティブゲート法は、連続的に収集した一連のデータから同一心時相のデータを抜き出して画像を再構成する方法である。例えば、レトロスペクティブゲート法では、心電信号に同期させることなく連続的にデータを収集するとともに、データ収集時の心電信号を取得する。そして、取得された心電信号を用いて、一連の収集データの心時相が揃うように事後的に並べ替えを行った後に、再構成を行う。
【0005】
上記の心電同期撮像中には、患者(被検体)の不整脈が生じる場合がある。通常、撮像中に不整脈が発生すると画像にアーティファクトが出現してしまう。このため、不整脈の影響を含まない動画像を撮像するために、十分に長い期間のサンプリングを行ったり、再撮像を行ったりする場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-082753号公報
【特許文献2】特表2010-510856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、不整脈発生時の再撮像を回避することができる画像再構成方法及び再構成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る方法は、k空間データを、k空間中心部分とk空間辺縁部分とにセグメント分割する。前記方法は、前記k空間中心部分を第1の時間区間で収集し、前記k空間辺縁部分を前記第1の時間区間と異なる第2の時間区間で収集する。前記方法は、収集した前記k空間中心部分と前記k空間辺縁部分のそれぞれのデータを組み合わせたk空間データからMR(Magnetic Resonance)画像を再構成する。また、前記第1の時間区間は、複数の心周期を含む。前記k空間中心部分は、前記複数の心周期に亘って繰り返し収集される。前記MR画像の再構成に用いられるk空間データの中心部分として、前記複数の心周期のうち、不整脈の影響が低い心周期のデータが選択される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、k-t空間におけるサンプリング位置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るMRI装置による処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る取得機能の処理を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る取得機能の処理を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る取得機能の処理を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る算出機能の処理を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る結合機能の処理を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る結合機能の処理を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る結合機能の処理を説明するための図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る結合機能の処理を説明するための図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係る第1再構成機能及び生成機能の処理を説明するための図である。
【
図13】
図13は、第1の実施形態に係る不整脈除去並べ替え処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第1の実施形態に係る選択機能の処理を説明するための図である。
【
図15】
図15は、第1の実施形態に係る選択機能の処理を説明するための図である。
【
図16】
図16は、第1の実施形態に係る選択機能の処理を説明するための図である。
【
図17】
図17は、第1の実施形態の変形例2に係る選択機能の処理を説明するための図である。
【
図18】
図18は、第1の実施形態の変形例2に係る結合機能の処理を説明するための図である。
【
図19】
図19は、第2の実施形態に係る取得機能の処理を説明するための図である。
【
図20】
図20は、第3の実施形態に係るMRI装置による処理手順を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、第3の実施形態に係る選択機能の処理を説明するための図である。
【
図22】
図22は、その他の実施形態に係るMRI装置による処理手順を示すフローチャートである。
【
図23】
図23は、その他の実施形態に係るMRI装置の処理を説明するための図である。
【
図24】
図24は、その他の実施形態に係るMRI装置の処理を説明するための図である。
【
図25】
図25は、その他の実施形態に係るMRI装置の処理を説明するための図である。
【
図26】
図26は、その他の実施形態に係るMRI装置の処理を説明するための図である。
【
図27】
図27は、その他の実施形態に係るMRI装置の処理を説明するための図である。
【
図28】
図28は、その他の実施形態に係るMRI装置の処理を説明するための図である。
【
図29】
図29は、その他の実施形態に係るMRI装置の処理を説明するための図である。
【
図30】
図30は、その他の実施形態に係るk-t空間におけるサンプリング位置の一例を示す図である。
【
図31】
図31は、その他の実施形態に係る擬似的なトリガー信号の入力例を示す図である。
【
図32】
図32は、その他の実施形態に係る再構成装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態に係る画像再構成方法及び再構成装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用可能である。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100を示すブロック図である。
図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、傾斜磁場コイル102と、傾斜磁場電源103と、寝台104と、寝台制御回路105と、送信コイル106と、送信回路107と、受信コイルアレイ108と、受信回路109と、シーケンス制御回路110と、ECG(Electrocardiogram)回路111と、計算機システム120とを備える。なお、MRI装置100に被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、MRI装置100は、再構成装置の一例である。
【0012】
静磁場磁石101は、中空の円筒形状(円筒の軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成された磁石であり、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、永久磁石、超伝導磁石などである。
【0013】
傾斜磁場コイル102は、中空の円筒形状(円筒の軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル102は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源103から個別に電流の供給を受けて、X、Y、Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。ここで、傾斜磁場コイル102によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge及びリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応する。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じてMR信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてMR信号の周波数を変化させるために利用される。
【0014】
傾斜磁場電源103は、傾斜磁場コイル102に電流を供給する。例えば、傾斜磁場電源103は、傾斜磁場コイル102を形成する3つのコイルのそれぞれに、個別に電流を供給する。
【0015】
寝台104は、被検体Pが載置される天板104aを備え、寝台制御回路105による制御のもと、天板104aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル102の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台104は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。
【0016】
寝台制御回路105は、計算機システム120による制御のもと、寝台104を駆動して天板104aを長手方向及び上下方向へ移動するプロセッサである。
【0017】
送信コイル106は、傾斜磁場コイル102の内側に配置され、送信回路107からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0018】
送信回路107は、対象とする原子の種類及び磁場の強度で決まるラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル106に供給する。
【0019】
受信コイルアレイ108は、傾斜磁場コイル102の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、MR信号と称する)を受信する。受信コイルアレイ108は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信回路109へ出力する。なお、第1の実施形態において、受信コイルアレイ108は、1以上、典型的には複数の受信コイルを有するコイルアレイである。
【0020】
受信回路109は、受信コイルアレイ108から出力されるMR信号に基づいてMRデータを生成する。例えば、受信回路109は、受信コイルアレイ108から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータを生成する。また、受信回路109は、生成したMRデータをシーケンス制御回路110へ送信する。
【0021】
なお、受信回路109は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル102などを備える架台装置側に備えられていてもよい。ここで、第1の実施形態において、受信コイルアレイ108の各コイルエレメント(各受信コイル)から出力されるMR信号は、適宜分配・合成されることで、チャネルなどと呼ばれる単位で受信回路109に出力される。このため、MRデータは、受信回路109以降の後段の処理においてチャネル毎に取り扱われる。コイルエレメントの総数とチャネルの総数との関係は、同一の場合もあれば、コイルエレメントの総数に対してチャネルの総数が少ない場合、あるいは反対に、コイルエレメントの総数に対してチャネルの総数が多い場合もある。以下において、「チャネル毎」のように表記する場合、その処理が、コイルエレメント毎に行われてもよいし、あるいは、コイルエレメントが分配・合成されたチャネル毎に行われてもよいことを示す。なお、分配・合成のタイミングは、上述したタイミングに限られるものではない。MR信号若しくはMRデータは、後述する再構成処理の前までに、チャネル単位に分配・合成されればよい。
【0022】
シーケンス制御回路110は、計算機システム120から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源103、送信回路107及び受信回路109を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。例えば、シーケンス制御回路110は、プロセッサにより実現される。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源103が傾斜磁場コイル102に供給する電源の強さや電源を供給するタイミング、送信回路107が送信コイル106に送信するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路109がMR信号を検出するタイミングなどが定義される。
【0023】
なお、シーケンス制御回路110は、傾斜磁場電源103、送信回路107及び受信回路109を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路109からMRデータを受信すると、受信したMRデータを計算機システム120へ転送する。
【0024】
ECG回路111は、ECGセンサ111aから出力される心電信号に基づいて、所定の心電波形を検出する。ECGセンサ111aは、被検体Pの体表に装着され、被検体Pの心電信号を検出するセンサである。ECGセンサ111aは、検出した心電信号をECG回路111に出力する。
【0025】
例えば、ECG回路111は、所定の心電波形として、R波を検出する。そして、ECG回路111は、R波を検出したタイミングでトリガー信号を生成し、生成したトリガー信号をインタフェース回路121に出力する。トリガー信号は、インタフェース回路121により記憶回路122に格納される。ここで、トリガー信号は、無線通信によって、ECG回路111からインタフェース回路121へ送信されてもよい。なお、本実施形態では、心電信号をECGセンサ111aにより検出する場合を説明するが、これに限らず、例えば、脈波計により検出されてもよい。また、
図1において、ECGセンサ111aおよびECG回路111がMRI装置100の一部となる例を説明したが、これに限らない。つまり、MRI装置100とは別に設けられたECGセンサ111aおよびECG回路111から得られる心電信号をMRI装置100が取得するようにしてもよい。
【0026】
計算機システム120は、MRI装置100の全体制御や、データ収集、画像再構成などを行う。計算機システム120は、インタフェース回路121、記憶回路122、入力インタフェース123、ディスプレイ124、及び処理回路130を有する。
【0027】
インタフェース回路121は、シーケンス情報をシーケンス制御回路110へ送信し、シーケンス制御回路110からMRデータを受信する。また、インタフェース回路121は、MRデータを受信すると、受信したMRデータを記憶回路122に格納する。記憶回路122に格納されたMRデータは、処理回路130によってk空間に配置される。この結果、記憶回路122は、複数チャネル分のk空間データを記憶する。このようにして、k空間データが収集される。インタフェース回路121は、例えば、ネットワークインタフェースカードにより実現される。
【0028】
記憶回路122は、インタフェース回路121によって受信されたMRデータや、後述の取得機能131によってk空間に配置された時系列データ(k-t空間データ)、後述の第2再構成機能137によって生成されたMR画像データなどを記憶する。また、記憶回路122は、各種のプログラムを記憶する。記憶回路122は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。
【0029】
入力インタフェース123は、医師や診療放射線技師等の操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力インタフェース123は、例えば、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等によって実現される。入力インタフェース123は、処理回路130に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号に変換して処理回路130へと出力する。
【0030】
ディスプレイ124は、処理回路130による制御のもと、各種GUI(Graphical User Interface)や、第2再構成機能137によって生成されたMR画像データ等を表示する。
【0031】
処理回路130は、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、処理回路130は、入力インタフェース123を介して操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路110に送信することによって撮像を制御する。また、処理回路130は、撮像の結果としてシーケンス制御回路110から送られるMRデータに基づいて行われる画像の再構成を制御したり、ディスプレイ124による表示を制御したりする。処理回路130は、プロセッサにより実現される。
【0032】
処理回路130は、取得機能131、算出機能132、結合機能133、第1再構成機能134、生成機能135、選択機能136、第2再構成機能137、及び出力制御機能138を有する。なお、取得機能131は、取得部の一例である。また、算出機能132は、算出部の一例である。また、結合機能133は、結合部の一例である。また、第1再構成機能134は、第1生成部の一例である。また、生成機能135は、第2生成部の一例である。また、選択機能136は、選択部の一例である。また、第2再構成機能137は、再構成部の一例である。また、出力制御機能138は、出力制御部の一例である。
【0033】
ここで、例えば、処理回路130の構成要素である取得機能131、算出機能132、結合機能133、第1再構成機能134、生成機能135、選択機能136、第2再構成機能137、及び出力制御機能138の各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路122に記憶されている。処理回路130は、各プログラムを記憶回路122から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路130は、
図1の処理回路130内に示された各機能を有することとなる。なお、
図1においては、単一の処理回路130にて、取得機能131、算出機能132、結合機能133、第1再構成機能134、生成機能135、選択機能136、第2再構成機能137、及び出力制御機能138の各処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路130を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。
【0034】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central preprocess unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。なお、記憶回路122にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0035】
ここで、一般的に、MRI装置100は、被検体から放出された電磁波をコイルにより測定する。この測定された電磁波をデジタル化することで得られた信号をk空間データと呼ぶ。
【0036】
k空間データは、例えば、1次元の撮像を繰り返すことで得られる2次元あるいは3次元のデータである。そして、被検体内部の原子分布画像は、k空間データに対して、フーリエ変換(以後、フーリエ変換といえばフーリエ逆変換も含む場合がある)を施すことにより得られる。得られた原子分布画像をMR画像と呼び、k空間データからMR画像を算出する過程を、再構成あるいは画像再構成、画像生成などと呼ぶ。k空間データの中心部は、MR画像にフーリエ変換を施した際の低周波成分、k空間データの辺縁部は、MR画像にフーリエ変換を施した際の高周波成分に対応する。
【0037】
撮像時間の短縮化を図るためには、位相エンコード方向に加えて、時相方向(時間方向)にもk空間データを間引いて取得することが有効である。時相方向にk空間データを間引いて収集する手法として、例えば、k-t BLAST(k-space time Broad-use Linear Acquisition Speed-up Technique)やk-t SENSEと呼ばれる技術が知られている。ところが、これらの技術は、レトロスペクティブゲート法と組み合わせてもうまくいかない場合がある。なぜならば、これらの手法は、時系列に沿ったk空間の間引きパターンが規則的に変化することが前提となっているからである。つまり、レトロスペクティブゲート法を用いて再構成を行なう際に必要な、心時相を用いた並び替えの際に、時系列に沿ったk空間の間引きパターンが不規則になり、k-t BLASTやk-t SENSEといった技術が利用できなくなる。なお、コイルの数が間引いたサンプルの割合に対して少ない場合はk-t BLAST、そうでない場合をk-t SENSEと呼ぶが、以後の説明では明示的に区別しない限り、k-t BLASTも含めてk-t SENSEと呼ぶことにする。以後、主にコイルが複数の場合について説明するが、k-t BLASTの特別な場合として、コイルの数が1つである場合も許容される。コイルが1つの場合でも便宜上、k-t SENSEと呼ぶことにする。
【0038】
k-t SENSEでは、収集されたk空間データ群を、フーリエ変換により画像空間と時間スペクトルとから成るx-f空間データに変換する。そして、このx-f空間データにおいて、x-f空間上の感度マップを用いて折り返し信号が除去されたx-f空間データが生成される。そして、生成されたx-f空間データを逆フーリエ変換によりx-t空間データに変換することにより、時系列に並ぶ複数のMR画像が生成される。
【0039】
図2を用いて、k-t空間を時相方向に間引いてサンプリングする例を説明する。
図2は、k-t空間におけるサンプリング位置の一例を示す図である。
図2において、縦軸に示した「k」は、位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は、時相方向に対応する。
図2では、説明の都合上、位相エンコード方向に8個、時相方向に20個の位置(枠)に収集データが配置されるk-t空間データを例示する。また、黒丸印は、1ラインのデータが収集される位置を示す。言い換えると、黒丸印が配置されない枠は、データが収集されない位置である。また、時相P’1~時相P’20までの間に、1心拍以上の期間が含まれるものとする。なお、k-t BLASTやk-t SENSEにおいては、本撮像前あるいは本撮像途中において、時相方向に間引かずにx-f空間に関する情報を取得するキャリブレーション撮像と、時相方向に間引いてk-t空間をサンプリングする本撮像とが存在するが、
図2に示すサンプリング位置の例は、本撮像におけるサンプリング位置の一例と考えることができる。簡略化のため、
図2においては、本撮像におけるサンプリング位置は図示しない。また、特許第6073627号に開示されているような、キャリブレーション撮像を必ずしも必要としない技術においては、
図2を本撮像におけるサンプリング位置の一例と考えることができる。
【0040】
図2に示す例では、1単位時相ごとに、位相エンコード方向にサンプリング位置を1つずつずらす。例えば、時相P’2のk空間データは、時相P’1のk空間データと比較して、位相エンコード方向(図中の上方向)に1サンプルずれた位置でサンプリングされる。また、時相P’3のk空間データは、時相P’2のk空間データと比較して、位相エンコード方向に1サンプルずれた位置でサンプリングされる。また、時相P’4のk空間データは、時相P’3のk空間データと比較して、位相エンコード方向に1サンプルずれた位置でサンプリングされる。つまり、
図2の例では、4分の1に間引かれたk空間データが、4単位時相ごとに周期的にサンプリングされる。
【0041】
このように、k-t空間を時相方向に沿って、位相エンコード方向のサンプリングパターンを変化させる場合では、同一の位相エンコード量を有するk空間データが、4時相につき1時相の割合でしか存在しない。このため、心時相のみに注目してk空間データを並び替えてしまうと、再構成に必要な各位相エンコード量のデータが収集できない場合がある。例えば、時相P’1、P’20、P’3、P’4の順でk空間データを並べても、再構成することはできない。なぜならば、時相P’1、P’3、P’4と組み合わせて再構成するのに必要なk空間データのサンプリングパターンは時相P’2と同じものであり、時相P’2と時相P’20とではサンプリングパターンが異なるからである。
【0042】
また、不整脈のある患者(被検体)に対する心電同期撮像では、不整脈の影響でアーティファクトが発生するのを回避するために、十分に長い期間(例えば3心拍分等)のサンプリングを行ったり、再撮像を行ったりする場合がある。しかしながら、サンプリング期間の延長は撮像の高速化を阻害する。また、再撮像は、同じ撮像を2回行うこととなるため、一人の患者に費やす検査時間を延長させてしまう。
【0043】
そこで、第1の実施形態に係るMRI装置100は、以下に説明する処理機能により、高速な心電同期撮像を行いつつ不整脈発生時の再撮像を回避することを可能にする。
【0044】
なお、以下では、本実施形態がk-t SENSEに適用される場合を説明するが、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態は、k-t BLASTや圧縮センシング(Compressed Sensing:CS)にも適用可能である。圧縮センシングとは、位相エンコード方向に不規則的に間引いてサンプリングを行い、信号のスパース性を利用することで少数のk空間データから画像を再構成する高速撮像法である。なお、k-t SENSE、k-t BLAST、及び圧縮センシングにおけるサンプリングは、連続する時相間において互いに異なるサンプリングパターンで複数のk空間データを収集するものであり、以下の説明においては、単純な間引きサンプリングを行う通常のPIと対比して「非単純間引きサンプリング」と呼ぶことにする。
【0045】
図3を用いて、第1の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を説明する。
図3は、第1の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を示すフローチャートである。
図3に示す処理手順は、例えば、操作者により入力された撮像開始要求を契機として開始される。なお、以下の実施形態にて例示する数値はあくまで一例であり、操作者の任意に変更可能である。
【0046】
ステップS101において、取得機能131は、複数のk空間データを収集する。例えば、取得機能131は、入力インタフェース123を介して操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成する。例えば、取得機能131は、操作者から入力される1心周期の期間と、1心周期当たりのMR画像の取得枚数とに基づいて、シーケンス情報を生成する。
【0047】
例えば、操作者は、被検体に見合った1心周期の期間を定義する。この1心周期の期間は、例えばRR間隔(トリガー間隔)である。操作者は、ECGやPPG(Photoplethysmography)などの生体情報を参照して、被検体の1心周期の期間を例えばmsec単位で定義する。また、健常者であってもRR間隔は揺らぐことがあるので、許容するRR間隔の変動量をさらに指定してもよい。例えばRR間隔の変動量を10%と定義すれば、MRI装置100は、720msecから880msecまでの範囲を正常な心拍と判定する。一方、極端にRR間隔が短かったり、長かったりする場合は不整脈と考えられる。そこで、MRI装置100は、操作者が定義した1心周期の期間、あるいは1心周期の期間に許容する変動量を考慮した期間の範囲から外れるRR間隔を不整脈と判定する。本実施形態では、基準として用いる1心周期の期間として「800msec」が定義される場合を説明するが、任意の時間に設定可能である。また、設定を受け付ける単位も任意に変更可能である。
【0048】
操作者は、1心周期当たりの画像データの「取得枚数」を設定する。例えば、操作者は、取得枚数を「24枚」に設定する。これにより、MRI装置100は、1心周期の中で24枚のMR画像を撮像する。なお、この取得枚数は、1心周期をいくつの時相に分けて画像化するかを表すものでもあるため、画像化される「時相数(フェーズ数)」に相当する。本実施形態では、1心周期当たりに「24枚(24フェーズ)」のMR画像を取得する場合を説明するが、任意の枚数(フェーズ数)に設定可能である。
【0049】
つまり、取得機能131は、1心周期に対応する期間と、1心周期当たりのMR画像の取得枚数とを含む撮像条件の入力に基づいて、シーケンス情報を生成する。そして、取得機能131は、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路110に送信することによって撮像を制御する。シーケンス制御回路110は、取得機能131から受信したシーケンス情報に基づいて、k空間データのサンプリングを行う。
【0050】
例えば、シーケンス制御回路110は、k空間データを、位相エンコード量が互いに異なる複数のセグメントに分けて収集する。シーケンス制御回路110は、収集した複数のk空間データを撮像の結果として取得機能131へ送る。これにより、取得機能131は、位相エンコード量が互いに異なる複数のセグメントに分けて収集された複数のk空間データを取得する。
【0051】
図4、
図5、及び
図6を用いて、第1の実施形態に係る取得機能13の処理を説明する。
図4、
図5、及び
図6は、第1の実施形態に係る取得機能13の処理を説明するための図である。
図4には、k-t空間データをセグメントA及びセグメントBに分割して収集する撮像シーケンスを例示する。
図5には、セグメントAのk-t空間データを例示する。
図6には、セグメントBのk-t空間データを例示する。
図4、
図5、及び
図6において、横軸に示した「t」は時間方向に対応する。説明の都合上、ここでは時間方向を一部省略して図示する。また、
図5及び
図6において、縦軸に示した「k」は位相エンコード方向に対応する。また、
図5及び
図6において、黒丸印は、1ラインのk空間データが収集される位置を示す。言い換えると、黒丸印が配置されない枠は、k空間データが収集されない位置である。なお、各k空間データは、1次元の周波数エンコード方向及び1次元の位相エンコード方向から成る2次元のk空間に対応する。ここでは簡略化のため、周波数エンコード方向は図示していないが、紙面に垂直な方向に周波数エンコード方向のk空間データが充填されることとなる。また、図示しないが、シーケンス制御回路110は、ダミーショットやウェイトタイムを適宜挿入して撮像シーケンスを実行可能である。
【0052】
図4に示すように、シーケンス制御回路110は、セグメントA、セグメントBの順に撮像シーケンスを実行する。ここで、セグメントAは、時相PA1、時相PA2、時相PA3・・・時相PA72までの72フェーズを含む。また、セグメントBは、時相PB1、時相PB2、時相PB3・・・時相PB60までの58フェーズを含む。つまり、シーケンス制御回路110は、セグメントAについては72フェーズ分のk空間データを収集し、セグメントBについては58フェーズ分のk空間データを収集する。
【0053】
図5に示すように、セグメントAは、k空間中心に近い16個の位相エンコード量に対応するk空間データを、時間方向に72時相分収集するものである。つまり、セグメントAは、中心セグメントに対応する。なお、中心セグメントは、第1セグメントとも表記される。中心セグメントは、k空間中心部分に対応する。
【0054】
図6に示すように、セグメントBは、k空間の両辺縁部で交互に8個の位相エンコード量に対応するk空間データを、時間方向に58時相分収集するものである。つまり、セグメントBは、辺縁セグメントに対応する。なお、辺縁セグメントは、第2セグメントとも表記される。辺縁セグメントは、k空間辺縁部分に対応する。
【0055】
ここで、k-t SENSEによるセグメントA及びセグメントBの収集について説明する。k-t SENSEは、k空間の位相エンコード方向に規則的に間引かれたサンプリングパターンであって、連続する時相間において収集される位相エンコードのラインが異なるサンプリングパターンで複数のk空間データを収集する。例えば、セグメントAでは、4分の1に間引かれた複数のk空間データが、1単位時相ごとに、位相エンコード方向に1サンプルずつサンプリング位置をずらしてサンプリングされる。例えば、時相PA2の複数のk空間データは、時相PA1の複数のk空間データと比較して、位相エンコード方向(図中の上方向)に1サンプルずつずれた位置でサンプリングされる。また、時相PA3の複数のk空間データは、時相PA2の複数のk空間データと比較して、位相エンコード方向に1サンプルずつずれた位置でサンプリングされる。このように、セグメントAのサンプリングパターンは、4分の1に間引かれた複数のk空間データが、4単位時相ごとに周期的に繰り返されたパターンである。また、セグメントBのサンプリングパターンは、収集されるk空間データの位相エンコード量が異なる点を除き、セグメントAのサンプリングパターンと同様であるので説明を省略する。
【0056】
ここで、中心セグメント(セグメントA)の収集期間は、不整脈が発生したとしても1心周期分のk空間データが得られるように、操作者により定義された「RR間隔」の200~300%相当の値が設定される。本実施形態では、操作者により設定されたRR間隔が800msecであるので、300%相当とした場合、セグメントAの収集期間は、「800msec×3=2400msec」となる。また、本実施形態では、操作者により設定された800msec(1心周期)当たりの取得枚数が24枚(24フェーズ)であるので、セグメントAのフェーズ数は、「2400msec×24フェーズ/800msec=72フェーズ」となる。中心セグメント(セグメントA)の収集期間は、第1の時間区間に対応する。
【0057】
また、辺縁セグメント(セグメントB)の収集期間は、中心セグメントと比較して少ないフェーズ数が設定される。例えば、辺縁セグメントの収集期間は、不整脈の発生に関係無く、設定した1心周期の期間の120%程度に設定される。本実施形態では、操作者により設定されたRR間隔が800msecであり、操作者により1心周期の期間として設定された800msec当たりの取得枚数が24枚(24フェーズ)であるので、セグメントBのフェーズ数は、28フェーズとなる。上述した辺縁セグメントの収集期間は中心セグメントの収集期間よりも短く、不整脈の有無を考慮していない。これは、シネ画像を用いた診断において中心セグメントに含まれる情報のほうが辺縁セグメントに含まれる情報よりも寄与が高いためである。辺縁セグメント(セグメントB)の収集期間は、第2の時間区間に対応する。
【0058】
すなわち、本実施形態において、辺縁セグメントに含まれるk空間データは、中心セグメントの収集期間より短い収集期間にわたって収集される。例えば、中心セグメントの収集期間が、操作者により設定された基準となるRR間隔の200~300%相当の値として設定される場合、辺縁セグメントの収集期間は、200%未満相当の値として設定されるのが好適であり、120%程度の値として設定されるのが更に好適である。
【0059】
また、セグメントA、セグメントB1、及びセグメントB2それぞれに含まれるk空間データを結合(連結)させることにより、再構成に必要な位相エンコード量を有する一組のk空間データを揃えることができる。なお、k空間データを結合させる処理については後述する。
【0060】
このように、シーケンス制御回路110は、セグメント単位に分割された複数のk空間データを収集し、収集した複数のk空間データを撮像の結果として取得機能131へ送る。これにより、取得機能131は、位相エンコード量が互いに異なる複数のセグメントに分けて収集された複数のk空間データを取得する。
【0061】
なお、
図5及び
図6では、図示の都合上、各時相に含まれる複数のk空間データは、時間方向において同一位置に図示されているものの、厳密には互いに異なる時刻に収集されたものである。例えば、時相PA1に含まれる4つのk空間データは、位相エンコード量が小さいものから順に収集される。各k空間データの収集時刻は、各k空間データに対応づけられている。つまり、取得機能131は、複数のk空間データと、各k空間データの収集時刻とを取得する。
【0062】
また、取得機能131は、非単純間引きサンプリングとともに、被検体Pの心電情報を取得する。例えば、ECG回路111は、非単純間引きサンプリングが開始されると、心電信号の記録を開始する。ECG回路111は、ECGセンサ111aにより検出される心電信号からR波を検出する。そして、ECG回路111は、R波を検出したタイミングでトリガー信号を生成する。そして、ECG回路111は、生成したトリガー信号を、インタフェース回路121を経て記憶回路122に格納する。トリガー信号の検出時刻は、k空間データの収集時刻と対応づけ可能である。取得機能131は、被検体Pの心電情報として、記憶回路122に格納されたトリガー信号の検出時刻を取得する。なお、心電情報は、心拍情報の一例である。
【0063】
このように、取得機能131は、非単純間引きサンプリングにより被検体Pから収集された複数のk空間データと、各k空間データの収集時刻と、被検体Pの心電情報とを取得する。なお、取得機能131により取得されるk空間データは、第1k空間データとも表記される。また、第1k空間データの収集時刻は、第1収集時刻とも表記される。
【0064】
なお、上記の取得機能131の説明はあくまで一例であり、上記の説明により限定されるものではない。例えば、
図4では、セグメントA、セグメントBの順序で収集する場合を説明したが、逆の順序でも収集可能である。また、3つ以上のセグメントに分けて収集する場合には、3つのセグメントを任意の順序で収集可能である。また、
図5及び
図6に図示した位相エンコード方向及び時間方向の位置(枠)の数は、任意に変更可能である。
【0065】
ステップS102において、算出機能132は、中心セグメントの心時相情報を算出する。ここで、「心時相情報」は、1心周期における時相方向の位置を示す情報である。例えば、算出機能132は、セグメントAに含まれる各時相において、各時相に含まれるk空間データの位相エンコード量の中から代表点となるデータの心時相情報を、セグメントAに含まれる各時相の心時相情報として算出する。なお、代表点となるデータとしては、例えば、各時相に含まれるk空間データの位相エンコード量のうち略中心の位相エンコード量を有するデータが選択される。
【0066】
図7を用いて、第1の実施形態に係る算出機能132の処理を説明する。
図7は、第1の実施形態に係る算出機能132の処理を説明するための図である。
図7において、「PE Line番号」は、収集された各データの位相エンコード方向に関するラインを示す番号である。また、「Time」は、収集された各データの収集時刻を示す情報である。また、「RR Interval」は、収集された各データが含まれる心拍のRR間隔を示す情報であり、
図7の例では「820msec」である。「trigger」は、収集された各データが含まれる心拍のトリガー信号の検出時刻を示す情報である。「Phase中心」は、収集された各ラインのデータがセグメント内において位相エンコード方向の略中心であるか否かを示す情報である。このPhase中心は、サンプリングパターン、セグメントの分割数及び分割幅が決定された段階で設定可能である。「心時相情報」は、例えば、RR間隔を100%とした場合に、収集されたk空間データがRR間隔の起点から何%の位置で収集されたかを示す。
【0067】
図7に示す例では、PE Line番号が「1」から「4」までの4ラインのk空間データが、
図5の時相PA1に含まれる4ラインのk空間データに対応する場合を説明する。具体的には、時相PAのうち最も位相エンコード量が小さいk空間データがPE Line番号「1」に対応し、最も位相エンコード量が大きいk空間データがPE Line番号「4」に対応する。この4ラインのk空間データのうち、位相エンコード方向の略中心に位置するk空間データは、PE Line番号「3」のラインである。この4ラインの位相エンコード量のうち略中心の位相エンコード量を有するk空間データは、PE Line番号「3」のラインである。このため、PE Line番号「3」のラインがPhase中心として設定され、「1」が登録される。なお、Phase中心として設定されないラインには、「0」が登録される。
【0068】
ここで、算出機能132は、Phase中心として設定されているラインの心時相情報を算出する。例えば、算出機能132は、Phase中心として設定されているPE Line番号「3」のラインの心時相情報を算出する。具体的には、算出機能132は、Timeとtriggerとの差をRR Intervalで除算し、百分率とすることで、このセグメントの心時相情報「67.26」を算出する。また、ここでは説明を省略するが、算出機能132は、時相PA2、時相PA3・・・時相PA72のそれぞれについても同様に、位相エンコード方向の略中心に位置するラインの心時相情報を、セグメントAに含まれる各時相の心時相情報として算出する。
【0069】
このように、算出機能132は、複数のk空間データのうち、基準とする位相エンコード量の複数のk空間データを含む中心セグメントの心時相情報を算出する。なお、
図7に図示した内容はあくまで一例であり、図示の例に限定されるものではない。例えば、算出機能132は、PE Line番号「2」のラインの心時相情報と、PE Line番号「3」のラインの心時相情報とを算出し、これらの平均値をセグメントAの時相PA1の心時相情報としても良い。つまり、「略中心」とは、セグメント内において位相エンコード方向の中心に最も近いラインのみに限定されるものではない。
【0070】
ステップS103において、算出機能132は、辺縁セグメントの心時相情報を算出する。例えば、算出機能132は、セグメントBに含まれる各時相において、各時相に含まれる複数のk空間データの位相エンコード量のうち略中心の位相エンコード量を有するk空間データの心時相情報を、セグメントBに含まれる各時相の心時相情報として算出する。
図6の例では、算出機能132は、時相PB1のk空間に含まれる2つのデータのうち位相エンコード量の大きい方のデータの心時相情報を、時相PB1の心時相情報として算出する。これは、セグメントB1がカバーする位相エンコード量のうち、当該データが位相エンコード方向に関して略中心に位置するからである。
【0071】
すなわち、算出機能132は、中心セグメントとは異なる位相エンコード量の複数のk空間データを含む辺縁セグメントの心時相情報を算出する。なお、辺縁セグメントの心時相情報を算出する処理は、中心セグメントの心時相情報を算出する処理と同様であるので説明を省略する。
【0072】
ステップS104において、結合機能133は、中心セグメントに対して、中心セグメントの心時相情報に近い心時相情報を有する辺縁セグメントを結合させる。例えば、結合機能133は、中心セグメントであるセグメントAを基準として、セグメントAに含まれる各時相のk空間データに対してセグメントBに含まれる各時相のk空間データを結合させる。ここで、結合機能133は、予め設定されたサンプリングパターンに基づいて、結合対象となるk空間データを特定する。なお、以下では、結合機能133により結合された各時相に含まれる複数のk空間データを、結合データと表記する。
【0073】
図8、
図9、
図10、及び
図11を用いて、第1の実施形態に係る結合機能133の処理を説明する。
図8、
図9、
図10、及び
図11は、第1の実施形態に係る結合機能133の処理を説明するための図である。
図8、
図9、
図10、及び
図11において、左側にはセグメントAのk-t空間データを例示し、右側にはセグメントBのk-t空間データを例示する。なお、
図8、
図9、
図10、及び
図11に示すk-t空間データは、
図5及び
図6に示したk-t空間データに相当する。
図8、
図9、
図10、及び
図11において、縦軸に示した「k」は位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は時間方向に対応する。また、説明の都合上、ここでは時間方向を一部省略して図示する。また、黒丸印は、データが充填されているk空間データ上の1ラインを示す。
【0074】
図8では、セグメントAの領域R1に含まれるk空間データに対して結合させる結合対象を、セグメントB1のk空間データの中から特定する処理を説明する。領域R1には、時相PA1で収集された4ラインのk空間データが含まれる。この領域R1のサンプリングパターンは、k空間データ位相エンコード量が小さいものから順に、1番目、5番目、9番目、及び13番目のように、4枠単位のうち1番目が収集されたサンプリングパターンである。そこで、結合機能133は、セグメントB1のk空間データの中から、領域R1のサンプリングパターンと同じサンプリングパターンを有し、かつ、時相PA1の心時相情報に近い心時相情報を有する時相を特定する。ここで、セグメントB1及びセグメントB2は交互に収集され、かつ、各サンプリングパターンは4単位時相ごとに周期的に繰り返されるので、領域R1のサンプリングパターンと同じサンプリングパターンは、時相PB1、時相PB9、時相PB17・・・時相PB57である。そして、結合機能133は、時相PB1、時相PB9、時相PB17・・・時相PB57のうち、時相PA1の心時相情報に最も近い心時相情報を有する時相として、時相PB1(領域R2)を特定する。そして、結合機能133は、領域R2に含まれるk空間データを領域R3に配置することで、領域R1に含まれるk空間データに対して結合させる。
【0075】
また、
図9では、セグメントAの領域R4に含まれるk空間データに対して結合させる結合対象を、セグメントB1のk空間データの中から特定する処理を説明する。領域R4には、時相PA2で収集された4ラインのk空間データが含まれる。この領域R4のサンプリングパターンは、位相エンコード量が小さいものから順に、2番目、6番目、10番目、及び14番目のように、4枠単位のうち2番目が収集されたサンプリングパターンである。そこで、結合機能133は、セグメントB1のk空間データの中から、領域R4のサンプリングパターンと同じサンプリングパターンを有し、かつ、時相PA2の心時相情報に近い心時相情報を有する時相を特定する。ここで、領域R4のサンプリングパターンと同じサンプリングパターンは、時相PB2、時相PB10、時相PB18・・・時相PB58である。そして、結合機能133は、時相PB2、時相PB10、時相PB18・・・時相PB58のうち、時相PA2の心時相情報に最も近い心時相情報を有する時相として、領域R5の時相を特定する。そして、結合機能133は、領域R5に含まれるk空間データを領域R6に配置することで、領域R2に含まれるk空間データに対して結合させる。
【0076】
このように、結合機能133は、予め設定されたサンプリングパターンを有し、かつ、セグメントAの心時相情報に近い心時相情報を有するセグメントB1のk空間データを特定する。そして、結合機能133は、特定したセグメントB1のk空間データを、セグメントAのk空間データに対してセグメント単位で結合する。この結果、
図10に示すように、時相PA1、時相PA2、時相PA3・・・時相PA72の各時相のセグメントAのk空間データに対して、予め設定されたサンプリングパターンを乱すことなく、最も近い心時相にて収集されたセグメントB1のk空間データを結合することができる。
【0077】
また、
図11に示すように、結合機能133は、セグメントB2のk空間データを、セグメントAのk空間データに対してセグメント単位で結合する。なお、セグメントB2のk空間データを結合させる処理は、セグメントB1のk空間データを結合させる処理と同様であるので説明を省略する。この結果、
図11に示すように、時相PA1、時相PA2、時相PA3・・・時相PA72の各時相のセグメントAのk空間データに対して、予め設定されたサンプリングパターンを乱すことなく、最も近い心時相にて収集されたセグメントB2のk空間データを結合することができる。
【0078】
このように、結合機能133は、中心セグメントの各時相のk空間データと、辺縁セグメントのうち、中心セグメントの各時相の心時相情報に近い心時相情報を有する時相のk空間データとを結合させる。これにより、結合機能133は、時相PA1、時相PA2、時相PA3・・・時相PA72の各時相について、各時相の結合データを生成する。
【0079】
なお、上記の結合機能133の説明はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上記の説明では、結合機能133が、辺縁セグメントに含まれるk空間データのうち不整脈の影響の無い(影響が低い)複数のk空間データを特定する処理を行わずに、結合させる処理を行う場合を説明したが、これに限定されるものではない。つまり、結合機能133は、辺縁セグメントに含まれるk空間データのうち不整脈の影響の無い複数のk空間データを特定する処理を行うことも可能である。なお、この場合の結合機能133の処理については、
図18を用いて後述する。
【0080】
図3の説明に戻る。ステップS105において、第1再構成機能134は、第1再構成処理を実行する。例えば、第1再構成機能134は、非単純間引きサンプリング(例えばk-t SENSE)に対応する再構成処理により、複数のk空間データから複数の画像データを再構成する。なお、第1再構成機能134により再構成される画像データは、中間画像としてのMR画像である。
【0081】
ステップS106において、生成機能135は、フーリエ逆変換処理により、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。例えば、生成機能135は、第1再構成機能134により再構成された複数の画像データに対してフーリエ逆変換処理を行うことで、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。なお、生成機能135により生成されるk空間データは、第2k空間データとも表記される。ここで、フルサンプリングに対応する複数のk空間データとは、非単純間引きサンプリングにより間引かれたk空間データに相当するk空間データの少なくとも一部が補填(充填)されたデータである。つまり、生成機能135は、非単純間引きサンプリングに対応するフーリエ変換を含む処理により、非単純間引きサンプリングにより間引かれた領域の少なくとも一部が充填された複数の第2k空間データを、複数の第1k空間データから生成する。
【0082】
ステップS107において、生成機能135は、複数のk空間データそれぞれに対して、擬似的な収集時刻を付与する。例えば、生成機能135は、フルサンプリングに対応する各k空間データの擬似的な収集時刻を生成する。なお、擬似的な収集時刻は、第2収集時刻とも表記される。
【0083】
図12を用いて、第1の実施形態に係る第1再構成機能134及び生成機能135の処理を説明する。
図12は、第1の実施形態に係る第1再構成機能134及び生成機能135の処理を説明するための図である。
図12の上段には、
図11にて生成された複数時相の結合データを例示する。
図12の中段には、
図12の上段の複数時相の結合データから再構成された複数時相の画像(MR画像)を例示する。
図12の下段には、
図12の上段の画像から生成されたフルサンプリングに対応する複数のk空間データを例示する。
図12において、縦軸に示した「k」は位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は時間方向に対応する。また、説明の都合上、
図12では位相エンコード方向及び時間方向を一部省略して図示する。また、黒丸印は、1ラインのk空間データが配置された位置を示す。
【0084】
図12に示すように、第1再構成機能134は、各時相の結合データ(複数のk空間データ)を、フーリエ変換により画像空間と時間スペクトルとから成るx-f空間データに変換する。また、第1再構成機能134は、x-f空間上の感度マップを用いて、x-f空間データにおける折り返し信号が除去されたx-f空間データを生成する。そして、第1再構成機能134は、生成したx-f空間データをフーリエ逆変換によりx-t空間データに変換することにより、時系列の複数の画像データを生成する。
【0085】
すなわち、再構成機能134は、結合機能133により結合された複数のk空間データに対して再構成処理を行うことで、複数の画像データを再構成する。具体的には、再構成機能134は、時相PA1、時相PA2、時相PA3・・・時相PA72の各時相の結合データから、各時相の画像データを生成する。
【0086】
そして、生成機能135は、時相PA1、時相PA2、時相PA3・・・時相PA72の各時相の画像データに対して、フーリエ逆変換処理(IFFT)を実行する。これにより、生成機能135は、時相PA1、時相PA2、時相PA3・・・時相PA72の各時相のk空間がフルサンプリングされた状態に相当する複数のk空間データを生成する。
【0087】
例えば、生成機能135は、時相PA1の画像データに対するフーリエ逆変換処理により、32個のk空間データS’1,S’2,S’3,・・・S’32を生成する。ここで、この32個のk空間データS’1,S’2,S’3,・・・S’32は、時相PA1の32個のサンプリング位置のフルサンプリングに相当する。生成機能135は、他の時相についても同様に、フルサンプリングに相当する複数のk空間データを生成する。
【0088】
そして、生成機能135は、フルサンプリングに相当する複数のk空間データに対して、擬似的な収集時刻を付与する。例えば、k空間データS’1は、
図12の上段のk空間データS1と同一時相かつ同一位相エンコード量である。このため、生成機能135は、k空間データS1の収集時刻をk空間データS’1の収集時刻として付与する。また、k空間データS’5は、
図12の上段のk空間データS2と同一時相かつ同一位相エンコード量である。このため、生成機能135は、k空間データS2の収集時刻をk空間データS’5の収集時刻として付与する。
【0089】
また、k空間データS’2,S’3,S’4は、k空間データS’1とS’5との間に等間隔に配置される。このため、生成機能135は、k空間データS’1の収集時刻とS’5の収集時刻との間を4等分した時刻を、各k空間データS’2,S’3,S’4の収集時刻として付与する。具体的には、k空間データS’3の収集時刻は、k空間データS’1の収集時刻とS’5の収集時刻との中間値である。また、k空間データS’2の収集時刻は、k空間データS’1の収集時刻とS’3の収集時刻との中間値である。また、k空間データS’4の収集時刻は、k空間データS’3の収集時刻とS’5の収集時刻との中間値である。このように、生成機能135は、第1k空間データの第1収集時刻に基づいて、フルサンプリングに相当する第2k空間データの第2収集時刻を算出し、付与する。
【0090】
図3の説明に戻る。ステップS108において、選択機能136は、不整脈除去並べ替え処理を実行する。この不整脈除去並べ替え処理は、フルサンプリングに相当する複数のk空間データの中から、不整脈の影響のあるk空間データを処理対象から除去(除外)した上で並べ替え処理(レトロスペクティブゲート法によるソーティング処理)を行うものである。
【0091】
すなわち、選択機能136は、心電情報に基づいて、フルサンプリングに対応する複数のk空間データのうち不整脈の影響の無い複数のk空間データを特定する。そして、選択機能136は、擬似的な収集時刻に基づいて、特定された不整脈の影響の無い複数のk空間データの中から、予め設定された複数の心時相それぞれに対応する複数のk空間データを選択する。なお、不整脈の影響のあるk空間データを処理対象から除去する処理は、不整脈の影響の無い複数のk空間データを特定する処理と実質的に同等である。
【0092】
図13を用いて、第1の実施形態に係る不整脈除去並べ替え処理の処理手順を説明する。
図13は、第1の実施形態に係る不整脈除去並べ替え処理の処理手順を示すフローチャートである。
図13に示す処理手順は、
図3のステップS108の不整脈除去並べ替え処理の処理手順に対応する。
【0093】
以下では、
図14,
図15、及び
図16を参照しつつ、不整脈除去並べ替え処理の処理手順を説明する。
図14,
図15、及び
図16は、第1の実施形態に係る選択機能136の処理を説明するための図である。
図14、
図15、及び
図16において、縦軸に示した「k」は位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は時間方向に対応する。また、説明の都合上、ここでは時間方向を一部省略して図示する。また、丸印は、1ラインのk空間データが配置された位置を示す。丸印のうち黒丸印は、不整脈の影響の無いk空間データを示す。丸印のうち白丸印は、不整脈の影響のあるk空間データを示す。
【0094】
図13に示すように、ステップS201において、選択機能136は、不整脈の影響のあるk空間データを特定する。例えば、選択機能136は、心電情報に基づいて、フルサンプリングに対応する複数のk空間データの中から、不整脈の影響のあるk空間データを特定する。具体的には、選択機能136は、心電信号に基づいて算出されるRR間隔が閾値未満である場合に、そのRR間隔に含まれるk空間データを、不整脈の影響のある複数のk空間データとして特定する。
【0095】
図14に示すように、選択機能136は、被検体Pの心電情報に基づいて、生成機能135により生成されたフルサンプリングに対応する複数時相のk空間データの中から、不整脈の影響のあるものと無いものを区別する。例えば、選択機能136は、取得機能131により取得された心電情報に基づいて、RR間隔を算出する。RR間隔は、心電情報に含まれる一連のトリガー信号のうち、連続する2つのトリガー信号の検出時刻の時間差として算出される。そして、選択機能136は、算出したRR間隔が閾値未満である場合に、そのRR間隔において不整脈が発生したものと判定する。この閾値は、一例としては、一般的な心拍の揺らぎでは生じ得ない程度のRR間隔の値(例えば100~500msec程度の任意の値)が設定される。なお、
図14のトリガー信号は、中心セグメトの収集期間に対応する期間に収集された心電情報から得られる。
【0096】
図14の例では、トリガー信号Tg1とトリガー信号Tg2との間のRR間隔が閾値未満である。この場合、選択機能136は、トリガー信号Tg1とトリガー信号Tg2との間で不整脈が発生したものと判定する。そして、選択機能136は、トリガー信号Tg1の検出時刻とトリガー信号Tg2の検出時刻との間に含まれるk空間データを、不整脈の影響のあるk空間データとして特定する。これにより、
図14の白丸印で示されるk空間データが特定される。
【0097】
ステップS202において、選択機能136は、不整脈の影響の無いk空間データが1心拍分あるか否かを判定する。例えば、選択機能136は、
図14の黒丸印に対応するk空間データを含むフェーズ数が、1心周期以上あるか否かを判定する。ここで、不整脈の影響の無いk空間データが1心拍分あると判定された場合には(ステップS202,Yes)、選択機能136は、ステップS203の処理へ移行する。一方、不整脈の影響の無いk空間データが1心拍分無いと判定された場合には(ステップS202,No)、選択機能136は、ステップS207の処理へ移行する。
【0098】
ステップS203において、選択機能136は、不整脈の影響のあるk空間データを除去する。例えば、選択機能136は、
図14の白丸印で示されるk空間データを、処理対象から除去する。
【0099】
ステップS204において、選択機能136は、連続する複数時相のk空間データが1心拍分あるか否かを判定する。例えば、不整脈の影響のあるk空間データを処理対象から除去することにより、時相PA1から時相PA72までの複数時相のk空間データが分断され、不連続となる。このため、選択機能136は、除去後の複数時相のk空間データのうち、連続する複数時相のk空間データが1心拍分あるか否かを判定する。連続する複数時相のk空間データが1心拍分あると判定された場合には(ステップS204,Yes)、選択機能136は、ステップS205の処理へ移行する。一方、連続する複数時相のk空間データが1心拍分無いと判定された場合には(ステップS204,No)、選択機能136は、ステップS206の処理へ移行する。
【0100】
ステップS205において、選択機能136は、連続する複数時相のk空間データを用いて並べ替え処理を実行する。
図15に示す例では、期間T1において連続する複数時相のk空間データが1心拍分(1心周期以上)ある場合を示す。
【0101】
この場合、選択機能136は、期間T1に含まれる複数時相のk空間データを、レトロスペクティブゲート法により並べ替える。つまり、選択機能136は、各k空間データの擬似的な収集時間に基づいて、予め設定された複数の心時相それぞれに対応するk空間データを選択する。
【0102】
ここで、操作者により予め設定された取得枚数は「24」である。このため、選択機能136は、期間T1に含まれる複数時相のk空間データを、時相P1、時相P2、時相P3・・・時相P24の24フェーズ分のk空間データに並べ替える。具体的には、選択機能136は、時相P1、時相P2、時相P3・・・時相P24の各時相が1心周期の中に等間隔に並ぶものとして、各時相の心時相情報を算出する。そして、選択機能136は、各時相の心時相情報に近い心時相情報を有するk空間データを、期間T1に含まれるk空間データの中から選択する。このように、選択機能136は、連続する複数時相のk空間データを用いて並べ替え処理を実行する。並べ替え処理が完了すると、選択機能136は、ステップS205の処理を終了し、並べ替え処理後の時相P1~時相P24のk空間データを第2再構成機能に送る。
【0103】
ステップS206において、選択機能136は、連続しない複数時相のk空間データを用いて並べ替え処理を実行する。
図16に示す例では、期間T2の複数時相のk空間データも、期間T3の複数時相のk空間データも、1心拍分(1心周期以上)無い場合を示す。なお、期間T2のk空間データと期間T3のk空間データは、不連続である。
【0104】
この場合、選択機能136は、期間T2に含まれる複数時相のk空間データと、期間T3に含まれる複数時相のk空間データとを、レトロスペクティブゲート法により並べ替える。これにより、選択機能136は、期間T2に含まれる複数時相のk空間データと、期間T3に含まれる複数時相のk空間データとを、時相P1、時相P2、時相P3・・・時相P24の24フェーズ分のk空間データに並べ替える。なお、並べ替え処理についてはステップS205の処理と同様であるので説明を省略する。並べ替え処理が完了すると、選択機能136は、ステップS206の処理を終了し、並べ替え処理後の時相P1~時相P24のk空間データを第2再構成機能に送る。
【0105】
ステップS207において、選択機能136は、不整脈の影響のあるk空間データを除去せずに並べ替え処理を実行する。この場合、選択機能136は、
図14の黒丸印に対応するk空間データと、白丸印に対応するk空間データとを、レトロスペクティブゲート法により並べ替える。これにより、選択機能136は、
図14の黒丸印に対応するk空間データと、白丸印に対応するk空間データとを、時相P1、時相P2、時相P3・・・時相P24の24フェーズ分のk空間データに並べ替える。なお、並べ替え処理についてはステップS205の処理と同様であるので説明を省略する。並べ替え処理が完了すると、選択機能136は、ステップS207の処理を終了し、並べ替え処理後の時相P1~時相P24のk空間データを第2再構成機能に送る。
【0106】
図3の説明に戻る。ステップS109において、第2再構成機能137は、第2再構成処理を実行する。第2再構成機能137は、選択された複数の心時相それぞれに対応する複数のk空間データを用いて、予め設定された複数の心時相に対応する複数の画像データを再構成する。例えば、第2再構成機能137は、時相P1に含まれる32個のk空間データを用いて再構成処理を実行することで、時相P1の画像データを生成する。同様に、第2再構成機能137は、時相P2、時相P3・・・時相P24の各時相に含まれる32個のk空間データを用いて再構成処理を実行することで、時相P2、時相P3・・・時相P24の各時相の画像データを生成する。なお、第2再構成機能137が実行する再構成処理としては、公知の再構成処理を適宜適用可能である。
【0107】
ステップS110において、出力制御機能138は、複数の画像データを出力させる。例えば、出力制御機能138は、第2再構成機能137により生成された24フェーズの画像データをシネ再生する。なお、出力制御機能138は、シネ再生に限らず、例えば、時系列に並ぶ複数の画像データを並べて表示させることもできる。また、出力制御機能138は、複数の画像データを記憶回路122に格納したり、ネットワークは記憶媒体を介してMRI装置100の外部の装置へ送ったりすることもできる。
【0108】
上述してきたように、MRI装置100は、非単純間引きサンプリングにより被検体から収集された複数のk空間データと、各k空間データの収集時刻と、被検体の心電情報とを取得する。また、MRI装置100は、非単純間引きサンプリングに対応する再構成処理により、複数のk空間データから複数の画像データを再構成する。また、MRI装置100は、再構成した複数の画像データに対するフーリエ逆変換処理により、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成するとともに、生成した各k空間データの擬似的な収集時刻を生成する。また、MRI装置100は、心電情報に基づいて、複数のk空間データのうち不整脈の影響の無い複数の第2k空間データを特定する。また、MRI装置100は、擬似的な収集時刻に基づいて、特定された不整脈の影響の無い複数のk空間データの中から、予め設定された複数の心時相それぞれに対応する複数のk空間データを選択する。また、MRI装置100は、選択された複数の心時相それぞれに対応する複数のk空間データを用いて、複数の心時相に対応する複数の画像データを再構成する。これにより、MRI装置100は、高速な心電同期撮像を行いつつ不整脈発生時の再撮像を回避することができる。
【0109】
例えば、MRI装置100は、不整脈の影響の無いk空間データが1心拍分ある場合、そのk空間データを用いてレトロスペクティブゲート法による並べ替え処理を実行する。ここで、不整脈の影響の有無は、中心セグメトの収集期間に対応する期間に収集された心電情報(トリガー信号)に基づいて判定される。このため、MRI装置100は、少なくとも中心セグメントについて不整脈の影響を除外した上で、k-t SENSEによる高速な心電同期撮像を行うことができる。また、MRI装置100は、不整脈の影響の無いk空間データが1心拍分ない場合、不整脈の影響のあるk空間データを除去せずに、レトロスペクティブゲート法による並べ替え処理を実行する。このため、MRI装置100は、撮像中に不整脈が発生していたとしても、k-t SENSEによる高速な心電同期撮像を行うことができる。このように、MRI装置100は、不整脈の影響の無いk空間データが1心拍分ある場合にも、1心拍分無い場合にも、それぞれの状況に応じてレトロスペクティブゲート法による並べ替え処理を実行することができるので、再撮像を回避することができる。
【0110】
また、例えば、MRI装置100は、辺縁セグメントに含まれるk空間データを、中心セグメントの収集期間より短い収集期間にわたって収集する。そして、MRI装置100は、辺縁セグメントに含まれるk空間データのうち不整脈の影響の無い複数のk空間データを特定する処理を行わずに、結合データを生成する。このため、MRI装置100は、辺縁セグメントに発生した不整脈を許容しつつ、辺縁セグメントに要する撮像を高速化することができる。
【0111】
(第1の実施形態の変形例1)
上記の実施形態では、不整脈と判定されたRR間隔に含まれるk空間データを不整脈の影響のあるk空間データとして特定する場合を説明した。しかしながら、不整脈は、その前後の心臓の動きにも影響を及ぼす可能性が考えられる。そこで、MRI装置100は、不整脈の前後の所定期間内に含まれるk空間データを、不整脈の影響のあるk空間データとして特定することもできる。
【0112】
例えば、選択機能136は、心電信号に基づいて算出されるRR間隔が閾値未満である場合に、RR間隔を含む所定期間に含まれるk空間データを、不整脈の影響のある複数のk空間データとして特定する。
【0113】
図17を用いて、第1の実施形態の変形例1に係る選択機能136の処理を説明する。
図17は、第1の実施形態の変形例2に係る選択機能136の処理を説明するための図である。
図17において、縦軸に示した「k」は位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は時間方向に対応する。また、説明の都合上、ここでは時間方向を一部省略して図示する。また、丸印は、1ラインのk空間データが配置された位置を示す。丸印のうち黒丸印は、不整脈の影響の無いk空間データを示す。丸印のうち白丸印は、不整脈の影響のあるk空間データを示す。
【0114】
図17の例では、トリガー信号Tg1とトリガー信号Tg2との間のRR間隔が閾値未満である。この場合、選択機能136は、トリガー信号Tg1とトリガー信号Tg2との間で不整脈が発生したものと判定する。そして、選択機能136は、トリガー信号Tg1及びトリガー信号Tg2を含む期間T4に含まれるk空間データを、不整脈の影響のあるk空間データとして特定する。ここで、期間T4は、例えば、トリガー信号Tg1の検出時刻の50msec前から、トリガー信号Tg2の検出時刻の50msec後までの間に対応する。これにより、
図17の白丸印で示されるk空間データが特定される。
【0115】
このように、MRI装置100は、不整脈の前後の所定期間内に含まれるk空間データを、不整脈の影響のある複数のk空間データとして特定する。これにより、MRI装置100は、より不整脈の影響の少ないMR画像を再構成することができる。
【0116】
(第1の実施形態の変形例2)
また、上記の実施形態では、中心セグメントにて発生した不整脈の影響を除去する場合を説明したが、更に、辺縁セグメントにて発生した不整脈の影響を除去することも可能である。
【0117】
結合機能133は、心電情報に基づいて、辺縁セグメントに含まれるk空間データのうち不整脈の影響の無い複数のk空間データを特定する。そして、結合機能133は、特定した不整脈の影響の無い複数のk空間データのうち、中心セグメントの心時相情報に近い心時相情報を有する辺縁セグメントのk空間データを、中心セグメントのk空間データに結合させる。なお、この処理は、
図3のステップS104の処理の前に実行される。
【0118】
図18を用いて、第1の実施形態の変形例2に係る結合機能133の処理を説明する。
図18は、第1の実施形態の変形例2に係る結合機能133の処理を説明するための図である。
図18において、縦軸に示した「k」は位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は時間方向に対応する。また、説明の都合上、ここでは時間方向を一部省略して図示する。また、丸印は、1ラインのk空間データが配置された位置を示す。丸印のうち黒丸印は、不整脈の影響の無いk空間データを示す。丸印のうち白丸印は、不整脈の影響のあるk空間データを示す。
【0119】
図18に示すように、結合機能133は、被検体Pの心電情報に基づいて、セグメントBに含まれる複数時相のk空間データの中から、不整脈の影響のあるものと無いものを区別する。例えば、結合機能133は、取得機能131により取得された心電情報に基づいて、RR間隔を算出する。RR間隔は、心電情報に含まれる一連のトリガー信号のうち、連続する2つのトリガー信号の検出時刻の時間差として算出される。そして、結合機能133は、算出したRR間隔が閾値未満である場合に、そのRR間隔において不整脈が発生したものと判定する。この閾値は、一例としては、一般的な心拍の揺らぎでは生じ得ない程度のRR間隔の値(例えば100~500msec程度の任意の値)が設定される。なお、
図18のトリガー信号は、辺縁セグメントの収集期間に対応する期間に収集された心電情報から得られる。
【0120】
図18の例では、トリガー信号Tg3とトリガー信号Tg4との間のRR間隔が閾値未満である。この場合、結合機能133は、トリガー信号Tg3とトリガー信号Tg4との間で不整脈が発生したものと判定する。そして、結合機能133は、トリガー信号Tg3の検出時刻とトリガー信号Tg4の検出時刻との間に含まれるk空間データを、不整脈の影響のあるk空間データとして特定する。これにより、
図18の白丸印で示されるk空間データが特定される。
【0121】
そして、結合機能133は、セグメントAの各時相のk空間データに対して、セグメントAの各時相の心時相情報に近い心時相情報を有する時相のk空間データを、不整脈の影響の無い複数時相のk空間データ(つまり
図18の黒丸印)の中から特定して結合させる。この処理は、
図3に示したステップS104の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0122】
このように、MRI装置100は、心電情報に基づいて、辺縁セグメントに含まれるk空間データのうち不整脈の影響の無い複数のk空間データを特定し、特定した複数のk空間データのうち、中心セグメントの心時相情報に近い心時相情報を有する辺縁セグメントのk空間データを、中心セグメントのk空間データに結合させる。これにより、MRI装置100は、より不整脈の影響の少ないMR画像を再構成することができる。
【0123】
(第1の実施形態の変形例3)
また、第1の実施形態では、フルサンプリングに対応するk空間データを生成する際に、一旦、中間画像としてのMR画像(再構成画像)に変換する処理(第1再構成処理)を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。つまり、MRI装置100は、必ずしも中間画像に変換しなくとも、フルサンプリングに対応するk空間データを生成することができる。
【0124】
例えば、第1再構成機能134は、結合機能133により作成された複数時相の結合データに対して、k-t SENSEに対応する再構成処理を実行する。この過程で、再構成機能123dは、上述したように、折り返し信号が除去されたx-f空間データを生成する。このx-f空間データは、画像データ(実空間データ)に変換される前のデータである。
【0125】
ここで、第1再構成機能134は、このx-f空間データに対して、フーリエ変換(フーリエ逆変換)を含む処理を行う。これにより、第1再構成機能134は、結合機能133により作成された複数時相の結合データから、フルサンプリングに対応するk空間データを生成することができる。すなわち、第1再構成機能134は、非単純間引きサンプリングに対応するフーリエ変換を含む処理により、所定のサンプリングパターンで間引かれた複数のk空間データから、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。
【0126】
なお、第1再構成機能134は、ステップS105及びステップS106の処理に代えて、上記のフルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する処理を行う。ステップS107以降の処理は、
図3にて説明した内容と同様であるので、説明を省略する。
【0127】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、収集期間が予め設定される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、サンプリングが行われている間に不整脈の発生を動的に監視し、不整脈の影響の無いk空間データが十分得られた時点でサンプリングを停止させることも可能である。
【0128】
すなわち、取得機能131は、非単純間引きサンプリングが行われている間に、心電情報に基づいて不整脈の発生を監視する。そして、取得機能131は、不整脈の発生していない期間が所定条件を満たした場合に、非単純間引きサンプリングを終了させる。
【0129】
図19を用いて、第2の実施形態に係る取得機能131の処理を説明する。
図19は、第2の実施形態に係る取得機能131の処理を説明するための図である。
図19の上段には、セグメントAのk空間データを収集する撮像シーケンスを例示する。また、
図19の下段には、
図19の上段の撮像シーケンスにおいて監視されるトリガー信号の検出時刻を例示する。
図19おいて、横軸に示した「t」は時間方向に対応する。なお、図示しないが、シーケンス制御回路110は、ダミーショットやウェイトタイムを適宜挿入して撮像シーケンスを実行可能である。
【0130】
図19に示すように、シーケンス制御回路110は、セグメントAの撮像シーケンスを実行する。このとき、取得機能131は、セグメントAの撮像シーケンスが行われている間に、心電情報に基づいてRR間隔を算出する。RR間隔は、心電情報に含まれる一連のトリガー信号のうち、連続する2つのトリガー信号の検出時刻の時間差として算出される。そして、取得機能131は、算出したRR間隔が閾値未満である場合に、そのRR間隔において不整脈が発生したものと判定する。この閾値は、一例としては、一般的な心拍の揺らぎでは生じ得ない程度のRR間隔の値(例えば100~500msec程度の任意の値)が設定される。
【0131】
図19の例では、トリガー信号Tg5とトリガー信号Tg6との間のRR間隔が閾値未満である。この場合、選択機能136は、トリガー信号Tg5とトリガー信号Tg6との間で不整脈が発生したものと判定する。そして、取得機能131は、トリガー信号Tg6の検出時刻(不整脈が消失したと認められる時刻)を起点として、収集期間(期間T5)のカウントを開始する。
【0132】
そして、取得機能131は、期間T5が所定期間に到達した場合に、セグメントAのサンプリングを停止させる。この所定期間は、例えば、1心周期の120%程度を充足するように設定される。操作者により設定されたRR間隔が800msecである場合には、トリガー信号Tg6の検出時刻から960msec後にセグメントAのサンプリングを停止させる。
【0133】
このように、取得機能131は、セグメントAの撮像シーケンスが行われている間に不整脈の発生を動的に監視し、不整脈の影響の無いk空間データが十分得られた時点でサンプリングを停止させる。また、
図19では説明を省略したが、取得機能131は、セグメントBの撮像シーケンスについても同様に、サンプリングが行われている間に不整脈の発生を動的に監視し、不整脈の影響の無いk空間データが十分得られた時点でサンプリングを停止させることが可能である。
【0134】
なお、取得機能131は、期間T5が所定期間に到達する前に再度不整脈の発生を検出した場合には、再度発生した不整脈が消失したと認められる時刻を起点として、収集期間のカウントを再度開始する。そして、取得機能131は、再度カウントした収集期間が所定期間に到達した場合に、サンプリングを停止させる。
【0135】
このように、第2の実施形態に係るMRI装置100は、サンプリングが行われている間に不整脈の発生を動的に監視し、不整脈の影響の無いk空間データが十分得られた時点でサンプリングを停止させる。これにより、MRI装置100は、不整脈の影響の無い複数のk空間データを、必要量に応じて得ることができる。
【0136】
なお、上記の説明はあくまで一例であり、上記の説明により限定されるものではない。例えば、
図19では、取得機能131が、所定条件として、トリガー信号Tg6の検出時刻を起点としてカウントされる収集期間を用いて判定する場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、取得機能131は、所定条件として、トリガー信号Tg6の検出時刻の所定時間(例えば50msec)後を起点としてカウントされる収集期間を用いて判定しても良い。これは、不整脈が、その前後の心臓の動きにも影響を及ぼす可能性を考慮して、その影響を排除するためである。また、取得機能131は、セグメントB(辺縁セグメント)については上記の動的な監視を行わず、一定期間の収集を行うことも可能である。
【0137】
(第3の実施形態)
上記の実施形態では、フルサンプリング化を実行した後に、不整脈の影響を除去する処理を実行する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、フルサンプリング化を実行する前に、不整脈の影響を除去する処理を実行することも可能である。
【0138】
すなわち、第3の実施形態に係るMRI装置100において、取得機能131は、非単純間引きサンプリングにより被検体から収集された複数のk空間データと、各k空間データの収集時刻と、被検体の心電情報とを取得する。選択機能136は、心電情報に基づいて、複数のk空間データのうち不整脈の影響の無い複数のk空間データを特定する。第1再構成機能134は、非単純間引きサンプリングに対応するフーリエ変換を含む処理により、特定された不整脈の影響の無い複数のk空間データから、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。生成機能135は、各第2k空間データの擬似的な収集時刻を生成する。選択機能136は、擬似的な収集時刻に基づいて、生成されたフルサンプリングに対応するk空間データの中から、予め設定された複数の心時相それぞれに対応する複数のk空間データを選択する。第2再構成機能137は、選択された複数の心時相それぞれに対応する複数のk空間データを用いて、複数の心時相に対応する複数の画像データを再構成する。なお、選択機能136は、特定部の一例である。
【0139】
図20を用いて、第3の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を説明する。
図20は、第3の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を示すフローチャートである。
図20に示す処理手順は、例えば、操作者により入力された撮像開始要求を契機として開始される。
【0140】
なお、
図20では、
図21を参照しつつ説明する。
図21は、第3の実施形態に係る選択機能136の処理を説明するための図である。
図21の上段のk-t空間データにおいて、縦軸に示した「k」は位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は時間方向に対応する。また、説明の都合上、ここでは時間方向を一部省略して図示する。また、丸印は、1ラインのk空間データが配置された位置を示す。丸印のうち黒丸印は、不整脈の影響の無いk空間データを示す。丸印のうち白丸印は、不整脈の影響のあるk空間データを示す。また、
図21の下段に示すトリガー信号は、k-t空間データの時間方向に対応する。なお、
図21にて説明する内容はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。
【0141】
ステップS301において、取得機能131は、複数のk空間データを収集する。例えば、取得機能131は、セグメントA及びセグメントBにそれぞれ含まれる複数のk空間データを収集する。この処理は、
図3のステップS101の処理と同様である。
【0142】
ステップS302において、選択機能136は、不整脈の影響のあるk空間データを特定する。例えば、選択機能136は、心電情報に基づいて、セグメントA(中心セグメント)に含まれる複数のk空間データの中から、不整脈の影響のあるk空間データを特定する。具体的には、選択機能136は、心電信号に基づいて算出されるRR間隔が閾値未満である場合に、そのRR間隔に含まれるk空間データを、不整脈の影響のある複数のk空間データとして特定する。
【0143】
図21に示すように、選択機能136は、被検体Pの心電情報に基づいて、セグメントAに含まれる複数時相のk空間データの中から、不整脈の影響のあるものと無いものを区別する。例えば、選択機能136は、取得機能131により取得された心電情報に基づいて、RR間隔を算出する。RR間隔は、心電情報に含まれる一連のトリガー信号のうち、連続する2つのトリガー信号の検出時刻の時間差として算出される。そして、選択機能136は、算出したRR間隔が閾値未満である場合に、そのRR間隔において不整脈が発生したものと判定する。この閾値は、一例としては、一般的な心拍の揺らぎでは生じ得ない程度のRR間隔の値(例えば100~500msec程度の任意の値)が設定される。なお、
図21のトリガー信号は、セグメントAの収集期間に対応する期間に収集された心電情報から得られる。
【0144】
図21の例では、トリガー信号Tg5とトリガー信号Tg6との間のRR間隔が閾値未満である。この場合、選択機能136は、トリガー信号Tg5とトリガー信号Tg6との間で不整脈が発生したものと判定する。そして、選択機能136は、トリガー信号Tg5の検出時刻とトリガー信号Tg6の検出時刻との間に含まれるk空間データを、不整脈の影響のあるk空間データとして特定する。これにより、
図21の白丸印で示されるk空間データが特定される。
【0145】
ステップS303において、選択機能136は、不整脈の影響のあるk空間データを除去する。例えば、選択機能136は、不整脈の影響のあるk空間データをブロック単位で処理対象から除去する。
【0146】
ここで、「ブロック」とは、k-t SENSEにおける再構成処理において規定される時相数のk空間データを一纏めにしたグループを意味する。例えば、k-t SENSEにおける間引き率が「4」であれば、各ブロックには4時相分のk空間データが含まれる。
【0147】
図21に示す例では、領域R11,R12,R13,R14にはそれぞれ一つのブロックに相当する16ラインのk空間データが含まれる。このうち、3つの領域R12,R13,R14には、不整脈の影響のあるk空間データが含まれる。そこで、選択機能136は、3つの領域R12,R13,R14に含まれる48ラインのk空間データを、処理対象から除去する。
【0148】
また、選択機能136は、時系列的に連続するブロック数が所定数未満のブロックを、処理対象から除去する。ここで、所定数とは、例えば「3」である。
図21に示す例では、領域R11に含まれるブロックは、他のブロックと連続していないため、除去対象である。そこで、選択機能136は、領域R11に含まれる16ラインのk空間データを、処理対象から除去する。
【0149】
このように、選択機能136は、4つの領域R11,R12,R13,R14に含まれる64ラインのk空間データを、処理対象から除去する。この結果、選択機能136は、領域R15に含まれる複数のk空間データを、以後の処理の処理対象として選択する。なお、領域R15には、3ブロック以上のブロックが時系列的に連続して含まれているものとする。
【0150】
なお、
図21では、中心セグメントから不整脈の影響のあるk空間データを除去し、辺縁セグメントからは除去しない場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。つまり、辺縁セグメントについても同様に、不整脈の影響のあるk空間データを除去することが可能である。なお、辺縁セグメントから不整脈の影響のあるk空間データを除去する処理は、
図18にて説明した処理と同様であっても良いし、ブロック単位で除去しても良い。
【0151】
また、
図21では、3ブロック以上の連続するk空間データを処理対象とする場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。処理対象とするブロック数は、任意に設定可能である。また、1ブロックに満たないk空間データを、他のブロックのk空間データに結合して処理対象とすることも可能である。ただし、再構成画像の画質を保つため、時系列的に所定数以上連続するブロックを処理対象とするのが好適である。
【0152】
図20の説明に戻る。ステップS304~ステップS309の処理は、不整脈の影響のあるk空間データが処理対象から除去された点を除き、
図3に示したステップS102~ステップS107の処理と同様である。この結果、領域R15に含まれるフルサンプリング相当のk空間データが生成される。
【0153】
ステップS310において、選択機能136は、並べ替え処理を実行する。例えば、選択機能136は、領域R15に含まれるフルサンプリング相当のk空間データを、レトロスペクティブゲート法により並べ替える。つまり、選択機能136は、各k空間データの擬似的な収集時間に基づいて、予め設定された複数の心時相それぞれに対応するk空間データを選択する。
【0154】
ステップS311~ステップS312の処理は、
図3に示したステップS109~ステップS110の処理と同様である。
【0155】
以上の処理により、第3の実施形態に係るMRI装置100は、フルサンプリング化を実行する前に、不整脈の影響を除去する処理を実行することができる。この結果、MRI装置100は、高速な心電同期撮像を行いつつ不整脈発生時の再撮像を回避することができる。
【0156】
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
【0157】
(キャリブレーションデータの利用)
上記の実施形態では、セグメント分割を行った場合に、中心セグメントのk空間データに対して、心時相が近い辺縁セグメントのk空間データをグループ単位で結合させることにより、最終的な再構成画像を生成する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、辺縁セグメントのk空間データをフルサンプリング化するためのキャリブレーションデータを、中心セグメントのk空間データから生成することで、最終的な再構成画像を生成することも可能である。
【0158】
図22を用いて、その他の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を説明する。
図22は、その他の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を示すフローチャートである。
図22に示す処理手順は、例えば、操作者により入力された撮像開始要求を契機として開始される。
【0159】
なお、
図22では、
図23~
図29を参照しつつ説明する。
図23~
図29は、その他の実施形態に係るMRI装置100の処理を説明するための図である。
図23~
図29において、トリガーテーブルは、各k-t空間データの時間方向に対応する。なお、
図22~
図29にて説明する内容はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。
【0160】
ステップS401において、取得機能131は、複数のk空間データを収集する。つまり、取得機能131は、k空間の中心に対応する中心セグメントと、中心セグメントとは異なる辺縁セグメントとを含む複数のセグメントに分けて収集された複数のk空間データを取得する。
【0161】
例えば、取得機能131は、
図23に示すように、中心セグメント及び辺縁セグメントの2つのセグメントに分けて、複数のk空間データを収集する。ここで、中心セグメント及び辺縁セグメントは、異なるタイミングで収集されるため、互いに異なるタイミングでトリガー信号が検出される。
【0162】
なお、
図23では、2つのセグメントに分けて収集する場合を例示したが、3つ以上のセグメントに分けて収集することも可能である。
【0163】
ステップS402において、生成機能135は、中心セグメントのフルサンプリング化を実行する。つまり、生成機能135は、非単純間引きサンプリングに対応するフーリエ変換を含む処理により、中心セグメントに含まれる複数のk空間データから、中心セグメントのフルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。
【0164】
例えば、生成機能135は、
図24に示すように、中心セグメントに含まれる複数のk空間データから、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。この処理は、処理対象が中心セグメントに含まれる複数のk空間データである点を除き、
図3のステップS105及びステップS106の処理と同様である。
【0165】
ステップS403において、生成機能135は、疑似的な収集時刻を付与する。この処理は、処理対象が中心セグメントに含まれる複数のk空間データである点を除き、
図3のステップS107の処理と同様である。
【0166】
ステップS404において、選択機能136は、辺縁セグメントの心時相に合わせて、フルサンプリング化された中心セグメントのk空間データを並び替える。つまり、選択機能136は、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを、辺縁セグメントの心時相に応じて並べ替える。
【0167】
例えば、選択機能136は、
図23に示した辺縁セグメントの各時相に含まれる4ラインのk空間データのうち、時間的に略中心に位置するk空間データの心時相情報を算出する。そして、選択機能136は、フルサンプリング化された中心セグメントに含まれる複数のk空間データの中から、位相エンコード量が一致し、算出した心時相情報に最も近い心時相情報を有するk空間データを選択する。これにより、選択機能136は、
図25に示すように、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを並べ替えることで、キャリブレーションデータを生成する。キャリブレーションデータにおけるトリガー検出タイミング(
図25の右図)は、辺縁セグメントのk-t空間データのトリガー検出タイミング(
図23の右図)と略一致する。つまり、このキャリブレーションデータは、辺縁セグメントにおけるトリガー検出タイミングと略同一のトリガー検出タイミングとなるように、中心セグメントのフルサンプリングに対応する複数のk空間データが並べ替えられたk-t空間データである。
【0168】
ステップS405において、選択機能136は、並べ替え後の中心セグメントのk空間データから、辺縁セグメントのサンプリングパターンに対応するk空間データを抽出する。
【0169】
例えば、選択機能136は、
図26に示すように、キャリブレーションデータから辺縁セグメントのサンプリングパターンに対応するk空間データを抽出することで、抽出データを生成する。つまり、この抽出データは、辺縁セグメントのサンプリングパターンと同一のサンプリングパターンとなるように、キャリブレーションデータのk空間データが間引かれたk-t空間データである。このように、選択機能136は、並べ替え後の複数のk空間データから、辺縁セグメントに含まれる複数のk空間データのサンプリングパターンに対応する複数のk空間データを抽出する。
【0170】
ステップS406において、結合機能133は、抽出したk空間データを、辺縁セグメントのk空間データに結合する。
【0171】
例えば、結合機能133は、
図27に示すように、抽出データと、
図23の右図に示した辺縁セグメントのk-t空間データとを結合させることで、結合データを生成する。ここで、抽出データにおけるトリガー検出タイミングは、辺縁セグメントにおけるトリガー検出タイミングと略同一であるので、各時相のk空間データをそれぞれ結合させることができる。
【0172】
ステップS407において、生成機能135は、全セグメントのフルサンプリング化を実行する。つまり、生成機能135は、抽出された複数のk空間データと、辺縁セグメントに含まれる複数のk空間データとに対して、非単純間引きサンプリングに対応するフーリエ変換を含む処理を行うことで、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。
【0173】
例えば、生成機能135は、
図28に示すように、結合データから、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。この処理は、
図3のステップS105及びステップS106の処理と同様である。このように、生成機能135は、キャリブレーションデータを利用することで、辺縁セグメントのk空間データをフルサンプリング化することができる。
【0174】
ステップS408において、選択機能136は、擬似的なタイムスタンプを付与する。この処理は、
図3のステップS107の処理と同様である。
【0175】
ステップS409において、選択機能136は、フルサンプリング化された全セグメントのk空間データから、中心セグメントのk空間データに対応するk空間データを選択する。
【0176】
例えば、選択機能136は、
図29に示すように、
図28の右図のフルサンプリング化された全セグメントに含まれる複数のk空間データの中から、領域R21及び領域R22に対応する複数のk空間データを選択する。具体的には、選択機能136は、
図23に示した中心セグメントの各時相に含まれる4ラインのk空間データのうち、時間的に略中心に位置するk空間データの心時相情報を算出する。そして、選択機能136は、フルサンプリング化された辺縁セグメントに含まれる複数のk空間データの中から、位相エンコード量が一致し、算出した心時相情報に最も近い心時相情報を有するk空間データを選択する。これにより、選択機能136は、
図29の右図に示すように、領域R21及び領域R22に対応する複数のk空間データを選択する。そして、選択機能136は、選択した領域R21及び領域R22に対応する複数のk空間データを、
図23の左図の中心セグメントに含まれる複数のk空間データに対して結合させることで、
図29の右図の結合データ(第2の結合データ)を生成する。第2の結合データは、中心セグメントにおけるトリガー検出タイミングと略同一のトリガー検出タイミングとなるように配列される。
【0177】
ステップS410において、選択機能136は、不整脈除去並べ替え処理を実行する。この不整脈除去並べ替え処理は、
図3のステップS108の処理と同様である。
【0178】
ステップS411において、第2再構成機能137は、再構成処理を実行する。この再構成処理は、
図3のステップS109の第2再構成処理と同様である。
【0179】
ステップS412において、出力制御機能138は、複数の画像データを出力させる。この処理は、
図3のステップS110の処理と同様である。
【0180】
このように、その他の実施形態に係るMRI装置100は、辺縁セグメントのk空間データをフルサンプリング化するためのキャリブレーションデータを、中心セグメントのk空間データから生成することで、最終的な再構成画像を生成することができる。
【0181】
なお、
図22に示した処理手順はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、
図22に示した処理手順は、処理内容に矛盾が生じない範囲で処理順序を適宜変更することができる。また、ステップS402及びステップS407にて説明したフルサンプリング化の処理は、MR画像に変換せずにフルサンプリング化する処理が適用可能である。
【0182】
また、ステップS409の処理はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS408の処理が完了した時点で、中心セグメント及び辺縁セグメントのそれぞれについて、フルサンプリングに対応する複数のk空間データが得られている。このため、再構成機能137は、上記のステップS409の処理に限らず、任意のk空間データを適宜選択して再構成処理を行うことが可能である。
【0183】
(位相エンコード方向における収集密度の変更)
上記の実施形態では、位相エンコード方向において均一に4分の1に間引くサンプリングを例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態に係る非単純間引きサンプリングは、位相エンコード方向における中心付近の収集密度を上げて収集することも可能である。
【0184】
図30を用いて、その他の実施形態に係るk-t空間データの一例を説明する。
図30は、その他の実施形態に係るk-t空間におけるサンプリング位置の一例を示す図である。その他の実施形態に係るk-t空間データの一例を示す図である。
図30において、横軸に示した「t」は時間方向に対応し、縦軸に示した「k」は位相エンコード方向に対応する。
図30には、k空間の位相エンコード方向に27個、時間方向に30個の位置(枠)を有するk-t空間データを例示する。また、
図30において、黒丸印は、1ラインのk空間データが収集される位置を示す。
【0185】
図30に示すように、シーケンス制御回路110は、位相エンコード方向の中心付近(14個目~16個目)の位置について、全ての時相において間引かずにk空間データを収集する。
【0186】
これにより、MRI装置100は、MR画像を構成する主要な周波数成分に相当するk空間データを高密度に収集することができ、最終的に再構成されるMR画像の画質を向上させることができる。
【0187】
(圧縮センシングへの適用)
また、例えば、上述した実施形態に係る処理機能は、圧縮センシング(Compressed Sensing:CS)にも適用可能である。
【0188】
圧縮センシングは、信号のスパース性を利用して、少数のk空間データから画像を再構成する撮像法である。例えば、圧縮センシングでは、k空間にk空間データを充填するにあたり、位相エンコード方向に不規則的に間引いてサンプリングされる。一例としては、圧縮センシングでは、カーテシアン収集、又は、ラディアル収集(Golden Angle Radial収集)により不規則的に間引いてサンプリングされる。この結果、圧縮センシングでは、スパース性を導入しつつ、データの収集時間を短縮することができる。
【0189】
すなわち、実施形態に係る非単純間引きサンプリングは、連続する時相間において収集される位相エンコードのラインが不規則的なサンプリングパターンで複数のk空間データを収集する。取得機能131は、連続する時相間において収集される位相エンコードのラインが不規則的なサンプリングパターンで収集された複数のk空間データを取得する。
【0190】
(非単純間引きサンプリングを利用しない場合)
上記の実施形態では、非単純間引きサンプリングを利用する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、k空間辺縁部分は約1心周期分収集する一方、k空間中心部分は複数の心周期に亘って繰り返し収集し、k空間中心部分については不整脈が無い正常区間を選択して再構成に用いる。これにより、MRI装置100は、通常のサンプリング(k空間を間引きせずに埋めるサンプリング)においても、不整脈発生時の再撮像を回避することができる。
【0191】
すなわち、MRI装置100は、k空間データを、k空間中心部分とk空間辺縁部分とにセグメント分割する。MRI装置100は、k空間中心部分を第1の時間区間で収集し、k空間辺縁部分を第1の時間区間と異なる第2の時間区間で収集する。MRI装置100は、収集したk空間中心部分とk空間辺縁部分のそれぞれのデータを組み合わせたk空間データからMR(Magnetic Resonance)画像を再構成する。また、MRI装置100において、第1の時間区間は、複数の心周期を含む。k空間中心部分は、複数の心周期に亘って繰り返し収集される。MR画像の再構成に用いられるk空間データの中心部分として、複数の心周期のうち、不整脈の影響が低い心周期のデータが選択される。これによれば、MRI装置100は、不整脈発生時の再撮像を回避することができる。
【0192】
(不整脈の影響が低い心周期のデータの選択)
上記の実施形態では、RR間隔が閾値未満である場合を不整脈の影響のあるデータとして特定し、当該特定されたデータ以外の他のデータを不整脈の影響が低い心周期のデータとして選択する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、被検体Pから得られた複数の心周期のRR間隔を互いに比較することで、不整脈の影響が低い心周期のデータを選択することも可能である。
【0193】
すなわち、MRI装置100は、k空間データを収集する対象の被検体の心拍情報を更に取得する。MRI装置100は、不整脈の影響が低い心周期のデータの選択において、取得した心拍情報に基づいて、k空間データの中心部分のうち、心周期が正常範囲のデータを選択する。例えば、MRI装置100は、複数の心周期のRR間隔の分布の中心に対応するRR間隔を有するデータを選択することで、心周期が正常範囲のデータを選択する。
【0194】
ここで、被検体Pから得られた5つの心周期のRR間隔が、1000msec、810msec、820msec、850msec、及び700msecである場合を説明する。例えば、700~750msec、750~800msec、800~850msec、850~900msec、900~950msec、950~1000msecと、50msecごとに範囲を区切ってデータを分類すると、800~850msecの範囲に3つのデータ(810msec、820msec、850msec)が密集している。この場合、MRI装置100は、密集している3つのデータの中から任意のデータ(例えば、中央値に対応する820msecのデータ)を選択することができる。
【0195】
なお、上記の選択方法はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、複数の心周期のRR間隔の平均値を算出し、算出した平均値に近いRR間隔を有するデータを選択しても良い。また、MRI装置100は、複数の心周期のRR間隔の中から中央値を特定し、特定した中央値に対応するRR間隔のデータを選択しても良い。
【0196】
(擬似的なトリガー信号の生成)
検査では、ECGセンサ111aがトリガー信号の検出漏れを起こす場合がある。この場合、複数の心周期のデータの中から選択したデータが、2心周期(2心拍)分のデータを含むことになる。このため、この2心周期分のデータから再構成されたMR画像を参照すると、描出された心臓が2回拍動しているように見えるので、操作者は、ECGセンサ111aがトリガー信号の検出漏れを起こしたことを把握できる。
【0197】
そこで、MRI装置100は、操作者がトリガー信号の検出漏れを把握した場合に、擬似的なトリガー信号を入力するためのGUIを提供する。すなわち、MRI装置100は、心拍情報におけるトリガー信号の時刻の入力を受け付ける。MRI装置100は、入力に基づいて、入力された時刻に擬似的なトリガー信号を生成する。MRI装置100は、擬似的なトリガー信号を含む心拍情報に基づいて、k空間データの中心部分のうち、心周期が正常範囲のデータを選択する。
【0198】
図31は、その他の実施形態に係る擬似的なトリガー信号の入力例を示す図である。
図31の上段の「サンプリング」には、中心セグメント及び辺縁セグメントのk空間データを収集する撮像シーケンスを例示する。また、
図31の中段及び下段の「トリガー信号」には、
図31の上段の撮像シーケンスにおいて監視されるトリガー信号の検出時刻を例示する。
図31おいて、横軸に示した「t」は時間方向に対応する。なお、図示しないが、シーケンス制御回路110は、ダミーショットやウェイトタイムを適宜挿入して撮像シーケンスを実行可能である。
【0199】
図31に示すように、シーケンス制御回路110は、中心セグメント及び辺縁セグメントの撮像シーケンスを実行する。このとき、取得機能131は、撮像シーケンスの実行と平行して、トリガー信号Tg11~Tg17の検出を行う。
図31では、期間T10に含まれるk空間データを用いてMR画像が再構成される。
【0200】
ここで、操作者がトリガー信号の検出漏れに気づいた場合には、操作者は、MR画像をプレビュー再生してトリガー信号が本来あるべき時相(拡張末期時相)を特定する。そして、操作者は、特定した時相の入力を行う。これにより、選択機能136は、入力された時相(時刻)に擬似的なトリガー信号Tg20を生成する。そして、選択機能136は、トリガー信号Tg20を含む心拍情報を用いて、k空間中心部分の中から適切なRR間隔のデータを選択する。この場合、選択機能136は、元々採用されていた期間T10が分割された期間T11又は期間T12のいずれを選択しても良いし、例えば、期間T20のように他の期間から選択しても良い。
【0201】
(RR間隔に基づくセグメント間の結合)
また、結合機能133は、心時相情報だけでなく、更に、選択された不整脈の影響が低い心周期のデータのトリガー間隔(RR間隔)に基づいて、k空間中心部分の第1k空間データとk空間辺縁部分の第1k空間データとを結合させることができる。
【0202】
一例として、k空間中心部分のk空間データの心時相情報が「50%」であり、そのk空間データが含まれる心周期のRR間隔が「800msec」である場合を説明する。ここで、結合対象の候補として、心時相情報「55%」及びRR間隔「1000msec」の第1候補と、心時相情報「40%」及びRR間隔「800msec」の第2候補とが存在する。この場合、心時相情報が近い方を結合対象として選択する場合には、第1候補が選択されるが、心時相情報だけでなく、更に、RR間隔の近さも加味して選択する場合には、第2候補が選択される。
【0203】
(ネットワーク上の再構成装置)
また、例えば、上述した実施形態に係る処理機能は、ネットワーク上の再構成装置として提供可能である。この再構成装置は、例えば、ネットワークを介した情報処理サービス(クラウドサービス)を提供可能である。
【0204】
図32は、その他の実施形態に係る再構成装置の構成例を示すブロック図である。
図32に示すように、例えば、情報処理サービスを提供するサービスセンタには、再構成装置200が設置される。再構成装置200は、操作端末201に接続される。また、再構成装置200は、ネットワーク202を介して複数のクライアント端末203A,203B,・・・,203Nに接続される。なお、再構成装置200及び操作端末201は、ネットワーク202を介して接続されてもよい。また、複数のクライアント端末203A,203B,・・・,203Nを区別無く総称する場合、「クライアント端末203」と記載する。
【0205】
操作端末201は、再構成装置200を操作する者(操作者)が利用する情報処理端末である。例えば、操作端末201は、マウス、キーボード、タッチパネル等、操作者からの各種の指示や設定要求を受け付けるための入力装置を備える。また、操作端末201は、画像を表示したり、操作者が入力装置を用いて各種設定要求を入力するためのGUIを表示したりする表示装置を備える。操作者は、操作端末201を操作することで、各種の指示や設定要求を再構成装置200に送信したり、再構成装置200内部の情報を閲覧したりすることができる。また、ネットワーク202は、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等、任意の通信網である。
【0206】
クライアント端末203は、情報処理サービスを利用する利用者が操作する情報処理端末である。ここで、利用者は、例えば、医療機関に従事する医師や技師などの医療従事者である。例えば、クライアント端末203は、パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置、又は、MRI装置に含まれるコンソール装置等の医用画像診断装置の操作端末に対応する。クライアント端末203は、再構成装置200により提供される情報処理サービスを利用可能なクライアント機能を有する。なお、このクライアント機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でクライアント端末203に予め記録されている。
【0207】
再構成装置200は、通信インタフェース210、記憶回路220、及び処理回路230を備える。通信インタフェース210、記憶回路220、及び処理回路230は、相互に通信可能に接続される。
【0208】
通信インタフェース210は、例えば、ネットワークカードやネットワークアダプタである。通信インタフェース210は、ネットワーク202に接続することで、再構成装置200と外部装置との間での情報通信を行う。
【0209】
記憶回路220は、例えば、NAND(Not AND)型フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)であり、医用画像データやGUIを表示するための各種のプログラムや、当該プログラムによって用いられる情報を記憶する。
【0210】
処理回路230は、再構成装置200における処理全体を制御する電子機器(プロセッサ)である。処理回路230は、取得機能231、算出機能232、結合機能233、第1再構成機能234、生成機能235、選択機能236、第2再構成機能237、及び出力制御機能238を有する。処理回路230が実行する各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路220内に記録されている。処理回路230は、各プログラムを読み出し、実行することで読み出した各プログラムに対応する機能を実現する。取得機能231、算出機能232、結合機能233、第1再構成機能234、生成機能235、選択機能236、第2再構成機能237、及び出力制御機能238は、
図1に示した取得機能131、算出機能132、結合機能133、第1再構成機能134、生成機能135、選択機能136、第2再構成機能137、及び出力制御機能138を有する。と基本的に同様の処理を実行可能である。
【0211】
例えば、利用者は、クライアント端末203を操作して、サービスセンタにある再構成装置200へ複数のk空間データを送信する(アップロードする)旨の指示を入力する。複数のk空間データを送信する指示が入力されると、クライアント端末203は、再構成装置200へ複数のk空間データを送信する。ここで、複数のk空間データは、シーケンス制御回路110により収集されたセグメント単位に分割された複数のk空間データである。
【0212】
そして、再構成装置200は、クライアント端末203から送信された複数のk空間データを受信する。これにより、再構成装置200において、取得機能231は、非単純間引きサンプリングにより被検体から収集された複数のk空間データと、各k空間データの収集時刻と、被検体の心電情報とを取得する。そして、第1再構成機能234は、非単純間引きサンプリングに対応する再構成処理により、複数のk空間データから複数の画像データを再構成する。そして、生成機能235、再構成した複数の画像データに対するフーリエ逆変換処理により、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成するとともに、生成した各k空間データの擬似的な収集時刻を生成する。そして、選択機能236は、心電情報に基づいて、複数のk空間データのうち不整脈の影響の無い複数の第2k空間データを特定する。そして、選択機能236は、擬似的な収集時刻に基づいて、特定された不整脈の影響の無い複数のk空間データの中から、予め設定された複数の心時相それぞれに対応する複数のk空間データを選択する。そして、第2再構成機能237は、選択された複数の心時相それぞれに対応する複数のk空間データを用いて、複数の心時相に対応する複数の画像データを再構成する。そして、出力制御機能138は、再構成された画像データをクライアント端末203に送信する(ダウンロードさせる)。これにより、再構成装置200は、高速な心電同期撮像を行いつつ不整脈発生時の再撮像を回避することができる。
【0213】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0214】
また、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0215】
また、上述した実施形態で説明した画像再構成方法は、予め用意された画像再構成プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像再構成プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この超音波イメージング方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0216】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、高速な心電同期撮像を行いつつ不整脈発生時の再撮像を回避することができる。
【0217】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0218】
100 MRI装置
130 処理回路
131 取得機能
132 算出機能
133 結合機能
134 第1再構成機能
135 生成機能
136 選択機能
137 第2再構成機能
138 出力制御機能