(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008688
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】抗菌性造粒物及びその製造方法並びに抗菌剤包装体
(51)【国際特許分類】
A01N 25/08 20060101AFI20240112BHJP
A01N 35/02 20060101ALI20240112BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240112BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20240112BHJP
A01N 25/18 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A01N25/08
A01N35/02
A01P3/00
A01P1/00
A01N25/18 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110743
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】村井 絵美子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠也
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011AA03
4H011BB05
4H011BC18
4H011BC19
4H011DA02
4H011DA11
4H011DC01
4H011DC05
4H011DC06
4H011DD05
4H011DF01
4H011DH14
(57)【要約】
【課題】空間抗菌効果が優れている抗菌性造粒物を提供する。
【解決手段】抗菌性造粒物は、空間抗菌効果を発揮する揮発性抗菌剤と、多孔質粉粒体からなり且つ揮発性抗菌剤を担持する担持体と、多孔質粉粒体の造粒を促進するバインダー及び無機塩と、親水性無機粒子と、を有する。そして、親水性無機粒子は、揮発性抗菌剤、担持体、バインダー、及び無機塩の混合物を造粒したものの表面に付加されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間抗菌効果を発揮する揮発性抗菌剤と、
多孔質粉粒体からなり且つ前記揮発性抗菌剤を担持する担持体と、
前記多孔質粉粒体の造粒を促進するバインダー及び無機塩と、
親水性無機粒子と、
を有し、
前記親水性無機粒子は、前記揮発性抗菌剤、前記担持体、前記バインダー、及び前記無機塩の混合物を造粒したものの表面に付加されている抗菌性造粒物。
【請求項2】
請求項1に記載の抗菌性造粒物を、ピンホールを有する包材に収容してなる抗菌剤包装体。
【請求項3】
請求項1に記載の抗菌性造粒物を製造する方法であって、
前記担持体と前記無機塩とを混合する粉混合工程と、
前記粉混合工程で得られた粉に、前記揮発性抗菌剤と前記バインダーとを含有する液剤を混合する粉液混合工程と、
前記粉液混合工程で得られた混合物を攪拌造粒して粒子状とする造粒工程と、
前記造粒工程にて前記混合物を造粒したものと前記親水性無機粒子とを混合して攪拌し、前記混合物を造粒したものの表面に前記親水性無機粒子を層状に配する付加工程と、
を備える抗菌性造粒物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性造粒物及びその製造方法並びに抗菌剤包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
抗菌効果を発揮する抗菌性造粒物が、特許文献1に開示されている。この抗菌性造粒物は、水溶性高分子の溶液に架橋剤及び抗菌剤を加えて造粒した後に、加熱して架橋及び乾燥を行ったものである。
また、抗菌剤等の機能性材料を有する造粒物の表面に親水性無機粒子が付加されていると、機能性材料の性能が向上することが知られている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3979887号公報
【特許文献2】特許第6834282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の抗菌性造粒物は、製造工程中に乾燥工程があるため、抗菌剤が揮発性である場合は乾燥工程で有効成分が揮発してしまい、抗菌性が低下するという問題点を有していた。そのため、抗菌性造粒物をワンポットで得ることは困難であった。
本発明は、空間抗菌効果が優れている抗菌性造粒物及びその製造方法並びに抗菌剤包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る抗菌性造粒物は、空間抗菌効果を発揮する揮発性抗菌剤と、多孔質粉粒体からなり且つ揮発性抗菌剤を担持する担持体と、多孔質粉粒体の造粒を促進するバインダー及び無機塩と、親水性無機粒子と、を有し、親水性無機粒子は、揮発性抗菌剤、担持体、バインダー、及び無機塩の混合物を造粒したものの表面に付加されていることを要旨とする。
【0006】
本発明の別の態様に係る抗菌剤包装体は、上記一態様に係る抗菌性造粒物を、ピンホールを有する包材に収容してなることを要旨とする。
本発明のさらに別の態様に係る抗菌性造粒物の製造方法は、上記一態様に係る抗菌性造粒物を製造する方法であって、担持体と無機塩とを混合する粉混合工程と、粉混合工程で得られた粉に、揮発性抗菌剤とバインダーとを含有する液剤を混合する粉液混合工程と、粉液混合工程で得られた混合物を攪拌造粒して粒子状とする造粒工程と、造粒工程にて混合物を造粒したものと親水性無機粒子とを混合して攪拌し、混合物を造粒したものの表面に親水性無機粒子を層状に配する付加工程と、を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、空間抗菌効果が優れている抗菌性造粒物及びその製造方法並びに抗菌剤包装体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る抗菌性造粒物は、空間抗菌効果を発揮する揮発性抗菌剤と、多孔質粉粒体からなり且つ揮発性抗菌剤を担持する担持体と、多孔質粉粒体の造粒を促進するバインダー及び無機塩と、親水性無機粒子と、を有している。そして、親水性無機粒子は、揮発性抗菌剤、担持体、バインダー、及び無機塩の混合物を造粒したものの表面に付加されている。
【0009】
本実施形態に係る抗菌性造粒物の製造方法は、本実施形態に係る抗菌性造粒物を製造する方法であって、担持体と無機塩とを混合する粉混合工程と、粉混合工程で得られた粉に、揮発性抗菌剤とバインダーとを含有する液剤を混合する粉液混合工程と、粉液混合工程で得られた混合物を攪拌造粒して粒子状とする造粒工程と、造粒工程にて混合物を造粒したものと親水性無機粒子とを混合して攪拌し、混合物を造粒したものの表面に親水性無機粒子を層状に配する付加工程と、を備える。
本実施形態に係る抗菌剤包装体は、本実施形態に係る抗菌性造粒物を、ピンホールを有する包材に収容してなる。
【0010】
本実施形態に係る抗菌性造粒物は、揮発性抗菌剤が多孔質粉粒体に担持されているため、単位体積あたりの揮発性抗菌剤の量が多くなり、また、表面に親水性無機粒子が付加されているため、単位体積あたりの揮発性抗菌剤の量がさらに多くなる。したがって、本実施形態に係る抗菌性造粒物は、空間抗菌効果が優れている。
【0011】
さらに、本実施形態に係る抗菌性造粒物は、表面に親水性無機粒子が付加されているので、揮発性抗菌剤の揮発が生じにくい。そのため、本実施形態に係る抗菌性造粒物は、例えば高温環境下におかれても空間抗菌効果の低下が生じにくい。また、本実施形態に係る抗菌性造粒物は、表面に親水性無機粒子が付加されているので、乾燥工程を経なくても製造時の造粒性、ハンドリング性が優れている。
本実施形態に係る抗菌性造粒物における揮発性抗菌剤の含有率は、以下のとおりとすることが好ましい。すなわち、多孔質粉粒体の質量に対して、揮発性抗菌剤を含有する液剤の質量の割合が40質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
【0012】
担持体は、揮発性抗菌剤を担持できる多孔質粒子であればよい。通常、担持体に揮発性抗菌剤が含浸することで、揮発性抗菌剤が担持体に担持される。担持体としては、例えば、活性炭、ゼオライト粒子、ベントナイト粒子、活性アルミナ粒子、活性白土、ケイ酸カルシウム粒子、及び珪藻土から選ばれる1種類以上を使用できる。
造粒物が容易に形成できるように、抗菌性造粒物はバインダーを含有している。バインダーとしては、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、セルロース等を使用できる。
【0013】
造粒物が容易に形成できるように、抗菌性造粒物は無機塩を含有している。無機塩としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、第三リン酸塩、第二リン酸塩等を使用できる。具体的な無機塩としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化ラジウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、第三リン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、および第二リン酸カリウムからなる群より選ばれる1種以上の化合物を例示できる。
【0014】
揮発性抗菌剤の例には、オレガノ、バジル、(E)-2-ヘキセナール、ヘキサナール、シンナムアルデヒド、シトラール、デカナール、二酸化塩素、バニリン、コリアンダー油、チョウジ油、西洋ワサビ油、ミント油、ローズマリー、セージ、タイム、ワサビまたはその抽出物、竹の抽出物、グレープフルーツ種子抽出物、ショウヨウダイオウ抽出物、トウオウレン抽出物、ラベンダー油、レモン油、ユーカリ葉油、ペパーミント油、イランイランノキ、ホソイトスギ、ウコン、レモングラス、ユーカリグロブラス、ピーナスラジアタ、コショウ属クラシネルビウム、グアバ、ローズマリー、ショウガ、タイム、チモール、アリルイソチオシアネート(AIT)、ヒノキチオール、カルバクロール、オイゲノール、α-テルピネオール、ごま油またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、それに限定されない。用途によって、揮発性抗菌剤は、単独で使用されてもよく、または溶剤もしくは他の成分と組み合わせてもよい。
【0015】
親水性無機粒子は、親水性の無機物質を主成分として含む非水溶性の粒子である。親水性無機粒子は、その全体質量を基準として、通常50質量%以上の親水性の無機物質を含有する。親水性の無機物質は、元素としてケイ素(Si)を含有することが好ましく、例えば、親水性二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム水和物、およびケイ酸アルミニウム等を例示できる。
揮発性抗菌剤を含有した抗菌性造粒物は、担持体と揮発性抗菌剤を造粒することにより得ることができる。造粒は、攪拌混合機による攪拌造粒や、所定の開孔を有するスクリーンを用いた押出し造粒法によって行うことができる。
【0016】
また、造粒方法は特に限定されるものではなく、圧縮造粒、押し出し造粒、噴霧造粒、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒があるが、攪拌造粒のように造粒径や造粒品の密度等をコントロールできる方法だとハンドリングがしやすくなる。
本実施形態に係る抗菌剤包装体は、例えば、以下のようにして製造することができる。本実施形態に係る抗菌性造粒物を、ピンホールを有する例えばポリエチレン製の包材に、自動パッカーを使用して完全に自動操作によって収容した上、ヒートシールする。これにより、空間抗菌効果を発揮する抗菌剤包装体を得ることができる。
【実施例0017】
<実施例1>
活性炭100質量部、塩化カルシウム20質量部を攪拌混合機に投入し、7.0m/秒で粉混合を実行した。そこに、水38.4質量部、アラビアガム21.6質量部、シンナムアルデヒド30質量部を混合した液剤を添加し、3.0m/秒で粉液混合を実行した。さらに、10.0m/秒で攪拌造粒を実行した。粒子の表面が濡れて黒色光沢が見られ、球状に凝集したことを目視で確認した。
【0018】
続いて、親水性無機粒子としてサイロページ720(富士シリシア化学社製)10.5質量部を攪拌混合機に投入し、5.0m/秒で混合を実行した。攪拌混合機内に飛散する親水性無機粒子が無くなったことを確認し、終了した。これにより、表面の濡れた造粒物の周囲を親水性無機粒子が均一に被覆した。
【0019】
以上により、抗菌剤を含有した造粒物の表面に親水性無機粒子が付加された造粒物を得た。すなわち、揮発性抗菌剤、担持体、バインダー、及び無機塩の混合物を造粒したものをコア部とし、コア部の表面に層状に配された親水性無機粒子をシェル部とする抗菌性造粒物を得た。
【0020】
<実施例2>
シンナムアルデヒドの代わりにシトラールを用いた点を除いては実施例1と同様にして、抗菌剤を含有した造粒物の表面に親水性無機粒子が付加された抗菌性造粒物を得た。
<実施例3>
シンナムアルデヒドの代わりに1-ヘキサナールを用いた点を除いては実施例1と同様にして、抗菌剤を含有した造粒物の表面に親水性無機粒子が付加された抗菌性造粒物を得た。
【0021】
<実施例4>
シンナムアルデヒドの代わりにtrans-2-ヘキセナールを用いた点を除いては実施例1と同様にして、抗菌剤を含有した造粒物の表面に親水性無機粒子が付加された抗菌性造粒物を得た。
【0022】
<比較例1>
活性炭100質量部、塩化カルシウム20質量部を攪拌混合機に投入し、7.0m/秒で粉混合を実行した。そこに、水38.4質量部、アラビアガム21.6質量部、シンナムアルデヒド30質量部を混合した液剤を添加し、3.0m/秒で粉液混合を実行した。さらに、10.0m/秒で攪拌造粒を実行した。粒子の表面が濡れて黒色光沢が見られ、球状に凝集したことを目視で確認して終了した。
【0023】
<比較例2>
活性炭100質量部、塩化カルシウム20質量部を攪拌混合機に投入し、7.0m/秒で粉混合を実行した。そこに、水38.4質量部、アラビアガム21.6質量部、水30質量部を混合した液剤を添加し、3.0m/秒で粉液混合を実行した。さらに、10.0m/秒で攪拌造粒を実行した。粒子の表面が濡れて黒色光沢が見られ、球状に凝集したことを目視で確認した。
【0024】
続いて、親水性無機粒子であるサイロページ720(富士シリシア化学社製)10.5質量部を攪拌混合機に投入し、5.0m/秒で混合を実行した。混合機内に飛散する親水性無機粒子が無くなったことを確認し、終了した。これにより、表面の濡れた造粒物の周囲を親水性無機粒子が均一に被覆した。
【0025】
実施例1-4及び比較例1、2の造粒物を、ピンホールを有するポリエチレン製の包材に充填して包装体とし、これら包装体に対して以下の評価を行った。
〔抗菌試験〕
大腸菌(Escherichia coli。以下「E. coli」と記す)に対する抗菌試験を行った。抗菌試験は、(1)前培養、(2)菌液調整、(3)菌液接種、(4)コロニー形成、及び(5)コロニー計測からなる。抗菌試験は安全キャビネット内で行った。以下に詳細を説明する。
【0026】
(1)前培養
前培養とは、微生物の活性度を高めた状態で試験に使用するため、予め保存していた菌株を富栄養の環境下に移して、一定時間培養する手順である。容器内で一般細菌検査用E-MC64パールコア(登録商標)トリプトソイブイヨン培地「栄研」3.0gを精製水100mLに溶かして、容器にシリコン栓をし、上からアルミホイルで覆い、オートクレーブを用いて121℃で20分間加熱滅菌した後に、室温まで冷却した。その後、斜面培地の保存株E. coliを、白金耳を用いてひとかき上記培地に移植し、35℃で21時間前培養した。
【0027】
(2)菌液調整
前培養して得られた菌液を1mL採取して9mLの培地(生理食塩水)に分注し、1/10希釈の菌液を得た。これを繰り返し、106希釈の菌液を調整した。試験後、菌液を希釈して、前培養した菌液の菌数をカウントしたところ、44~87×107CFU/mLであった。
【0028】
(3)菌液接種
予め、直径50mmの滅菌済シャーレに標準寒天(SA)培地「ニッスイ」を5mL流し込み、固化させておく。固化したSA培地上に106希釈の菌液50μLを接種し、コンラージ棒で均一に塗布した。
【0029】
(4)コロニー形成
菌液接種を終えた後、シャーレを傾けても表面の菌液が流れないことを確認してから、シャーレを倒置した。シャーレ蓋の内側中央には、試料(多くのピンホールを有するポリエチレン製の包材に造粒物を充填した包装体)を両面テープで固定した。その後、パラフィルムでシールして、35℃で24時間培養した。この操作により、SA培地で移動を抑制された状態で菌が増殖することで、同じ場所でコロニーを形成し視認できるようになる。すなわち、1つの菌から1コロニーが形成される。
【0030】
(5)コロニー計測
培養によるコロニーの形成後、シャーレのコロニー数を計測した。コロニー数0、すなわち大腸菌の生育がないものを抗菌性「〇」、ブランクの生育状況より60%程度の生育状況のものを抗菌性「△」、ブランクと同等なものを抗菌性「×」とした。結果を表1に示す。
【0031】
造粒性は、ステンレス製ふるい(目開き2.8mm、2.0mm、1.0mm、0.5mm、0.1mm、奥谷金網製作所製、JIS Z8801-1:2019)とANF-30電動ふるい(日陶科学製)を用いて評価した。造粒物200gを電動ふるいに投入し、2分間振動させた。このとき、ふるい下に落ちた造粒物の質量が投入量に対して90%以上のものを造粒性「〇」、50%以下のものを造粒性「×」とした。結果を表1に示す。
【0032】
【0033】
表1に示すように、揮発性抗菌剤を含有した造粒物の表面に親水性無機粒子が付加された実施例1の造粒物は、揮発性抗菌剤を含有するが親水性無機粒子は付加されていない比較例1の造粒物よりも抗菌性が向上した。これは、シンナムアルデヒドが表面の親水性無機粒子に移行していき、比表面積が増大してより多くのシンナムアルデヒドが空間中に揮発したことが原因と考えられる。
【0034】
また、親水性無機粒子が表面に付加された造粒物である実施例1~4及び比較例2は、親水性無機粒子が表面に付加されていない比較例1よりも流動性がよく造粒性が向上した。これは、濡れて黒色光沢を有する造粒物を親水性無機粒子が均一に被覆することで、造粒物同士の接触面積が小さくなり、結果として造粒物同士の摩擦が小さくなったことが原因であると考えられる。