(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008689
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】物品搬送車
(51)【国際特許分類】
B61B 13/06 20060101AFI20240112BHJP
B61B 12/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B61B13/06 D
B61B12/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110744
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】和田 吉成
(57)【要約】
【課題】物品の重量に拘らず強度を確保し易い構造の落下規制装置を備えた物品搬送車の実現。
【解決手段】物品搬送車1は、落下規制装置2と、を備え、車体5は、第1カバー部51と、第2カバー部52と、カバー連結部53と、を備え、落下規制装置2は、一対の落下規制部材20と、駆動機構30と、を備え、一対の落下規制部材20のそれぞれは、被支持部と、一対の上下方向延在部22と、下側連結部と、備え、駆動機構30は、一対の落下規制部材20を駆動して規制位置P1と解除位置P0とに移動させ、規制位置では、一対の上下方向延在部22が、第2方向視で収容物品Wsと重複すると共に、下側連結部が、上下方向視で収容物品Wsと重複するように配置され、解除位置P0では、下側連結部が、上下方向視で収容物品Wsと重複しないように配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する物品搬送車であって、
車輪を備えた走行部と、前記走行部に連結され、前記物品を収容する収容空間を形成する車体と、前記物品を吊り下げた状態で保持する保持部と、前記車体に対して前記保持部を昇降させて、前記保持部に保持された前記物品を前記収容空間内の収容位置と前記収容空間よりも下側の下降位置とに昇降移動させる昇降部と、前記収容位置にある前記物品である収容物品の落下を規制する落下規制装置と、を備え、
水平方向のうちの特定の方向を第1方向とし、上下方向視で前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第1方向の一方側を第1方向第1側とし、前記第1方向の他方側を第1方向第2側として、
前記車体は、前記収容空間に対して前記第1方向第1側を覆う第1カバー部と、前記収容空間に対して前記第1方向第2側を覆う第2カバー部と、前記収容空間に対して上側において前記第1カバー部と前記第2カバー部とを連結するカバー連結部と、を備え、
前記落下規制装置は、一対の落下規制部材と、一対の前記落下規制部材を駆動する駆動機構と、を備え、
一対の前記落下規制部材のそれぞれは、前記カバー連結部に支持された被支持部と、前記収容物品に対して前記第2方向の両側に分かれて配置され、前記被支持部から下側に向かって延在する一対の上下方向延在部と、前記収容物品よりも下側において一対の前記上下方向延在部を連結する下側連結部と、備え、
前記駆動機構は、一対の前記落下規制部材を駆動して規制位置と解除位置とに移動させ、
前記規制位置では、一対の前記落下規制部材のそれぞれの一対の前記上下方向延在部が、前記第2方向に沿う第2方向視で前記収容物品と重複すると共に、一対の前記落下規制部材のそれぞれの前記下側連結部が、上下方向視で前記収容物品と重複するように配置され、
前記解除位置では、一対の前記落下規制部材のそれぞれの前記下側連結部が、上下方向視で前記収容物品と重複しないように前記収容物品に対して前記第1方向の外側に配置される、物品搬送車。
【請求項2】
前記車体は、前記収容空間に対して前記第2方向の少なくとも一方側が開放された形状であり、
前記駆動機構は、一対の前記落下規制部材のそれぞれの前記被支持部を前記第1方向に移動させ、
前記解除位置では、一対の前記落下規制部材のそれぞれの一対の前記上下方向延在部が、前記第2方向視で前記収容物品と重複しないように前記収容物品に対して前記第1方向の外側に配置される、請求項1に記載の物品搬送車。
【請求項3】
前記駆動機構は、一対の前記落下規制部材のそれぞれの前記被支持部を前記第1方向に移動自在に案内する案内部と、一対の前記被支持部を前記第1方向の互いに反対側に移動させる駆動部と、を備える、請求項2に記載の物品搬送車。
【請求項4】
前記規制位置は、前記第1方向における複数の位置に設定可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送車。
【請求項5】
前記車体は、前記走行部よりも下側に配置され、
前記カバー連結部は、前記走行部に連結されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送車。
【請求項6】
前記第1方向は、前記走行部の走行方向に沿う方向である、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する物品搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2015-131702号公報(特許文献1)には、一対の落下規制部材を備えた物品搬送車が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1の物品搬送車(天井搬送車1)は、走行レール(2)を走行する走行部(走行移動部12)と、物品(搬送物6)を吊り下げて保持する保持部(支持機構19)と、保持部を昇降移動自在に支持する昇降部(昇降操作機構20)と、搬送用位置に位置する物品の上方及び側周囲を覆うカバー部(21)と、走行部の走行方向に離間して設けられた一対の落下規制部材(一対の落下防止体27)とを備えている。一対の落下規制部材は、搬送用位置の物品よりも下側に配置されており、水平面に沿って互いに接近及び離間するように構成されている。物品搬送車の走行中には、一対の落下規制部材は、搬送用位置の物品と上下方向視で重複する位置に配置される。従って、保持部による物品の保持が意図せず解除された場合であっても、一対の落下規制部材により当該物品を支持できるため、物品が一対の落下規制部材よりも下側に転落してしまう事態を回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の物品搬送車では、一対の落下規制部材は、カバー部(21)の支持部(支持部分21a)に片持ち状態で設けられている。このため、もしも保持部による物品の保持が意図せず解除された場合には、一対の落下規制部材及びカバー部(21)における落下規制部材を支持する支持部に曲げモーメントが作用することになる。従って、重量が大きい物品を搬送することが想定される場合には、当該物品を支持することにより生じる曲げモーメントを支えることができるように、落下規制部材及び支持部の強度を十分に確保する必要があった。そのため、落下規制部材及び支持部の大型化、延いては、物品搬送車の大型化やコストの上昇の要因になるという課題があった。
【0006】
そこで、物品の重量に拘らず強度を確保し易い構造の落下規制装置を備えた物品搬送車の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る物品搬送車は、物品を搬送する物品搬送車であって、
車輪を備えた走行部と、前記走行部に連結され、前記物品を収容する収容空間を形成する車体と、前記物品を吊り下げた状態で保持する保持部と、前記車体に対して前記保持部を昇降させて、前記保持部に保持された前記物品を前記収容空間内の収容位置と前記収容空間よりも下側の下降位置とに昇降移動させる昇降部と、前記収容位置にある前記物品である収容物品の落下を規制する落下規制装置と、を備え、
水平方向のうちの特定の方向を第1方向とし、上下方向視で前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第1方向の一方側を第1方向第1側とし、前記第1方向の他方側を第1方向第2側として、
前記車体は、前記収容空間に対して前記第1方向第1側を覆う第1カバー部と、前記収容空間に対して前記第1方向第2側を覆う第2カバー部と、前記収容空間に対して上側において前記第1カバー部と前記第2カバー部とを連結するカバー連結部と、を備え、
前記落下規制装置は、一対の落下規制部材と、一対の前記落下規制部材を駆動する駆動機構と、を備え、
一対の前記落下規制部材のそれぞれは、前記カバー連結部に支持された被支持部と、前記収容物品に対して前記第2方向の両側に分かれて配置され、前記被支持部から下側に向かって延在する一対の上下方向延在部と、前記収容物品よりも下側において一対の前記上下方向延在部を連結する下側連結部と、備え、
前記駆動機構は、一対の前記落下規制部材を駆動して規制位置と解除位置とに移動させ、
前記規制位置では、一対の前記落下規制部材のそれぞれの一対の前記上下方向延在部が、前記第2方向に沿う第2方向視で前記収容物品と重複すると共に、一対の前記落下規制部材のそれぞれの前記下側連結部が、上下方向視で前記収容物品と重複するように配置され、
前記解除位置では、一対の前記落下規制部材のそれぞれの前記下側連結部が、上下方向視で前記収容物品と重複しないように前記収容物品に対して前記第1方向の外側に配置される。
【0008】
本構成によれば、一対の落下規制部材のそれぞれの被支持部が、車体における収容空間に対して上側のカバー連結部に支持される。そして、当該被支持部から下側に向かって延在する一対の上下方向延在部によって、収容物品よりも下側の下側連結部が吊り下げ状態で支持される。そのため、一対の落下規制部材が規制位置にある状態では、保持部による物品の保持が意図せずに解除された場合であっても、一対の落下規制部材のそれぞれの下側連結部により当該物品を支持することができる。よって、物品が一対の落下規制部材から転落してしまうことを回避できる。
また、このように下側連結部により物品を支持している状態では、物品の荷重は、被支持部から下側連結部までが上下方向に沿う姿勢の落下規制部材に対する上下方向の引っ張り荷重として作用する。すなわち、落下規制部材及び当該落下規制部材を支持する支持部に大きな曲げモーメントが作用することを回避することができる。従って、物品の重量が大きい場合であっても、落下規制部材及び支持部の剛性を大きく高めることなく、物品を支持するのに必要な強度を確保し易い。またこれにより、落下規制部材及び支持部の小型化や軽量化を図り易い。
また、本構成によれば、一対の落下規制部材が規制位置にある状態では、各上下方向延在部が、第2方向視で収容物品と重複するように配置されている。よって、物品又はその一部が、第2方向に脱落することも規制することができる。
このように、本構成によれば、物品の重量に拘らず強度を確保し易い構造の落下規制装置を備えた物品搬送車を実現することができる。
【0009】
物品搬送車のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】落下規制装置の駆動機構を模式的に示す平面図
【
図4】落下規制装置の駆動機構を模式的に示す側面図(
図3におけるIV-IV断面図)
【
図5】落下規制装置の駆動機構を模式的に示す正面図(
図4におけるV-V断面図)
【
図6】本体及び一対の落下規制部材の下側連結部を模式的に示す下面図
【
図11】別実施形態における落下規制装置の駆動機構を模式的に示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、物品搬送車1を物品搬送設備100に適用した実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、
図1に示すように、物品搬送設備100は、走行経路3に沿って走行する物品搬送車1と、物品Wに収容された収容物に対して処理を行う処理装置10と、を備えている。
【0012】
図1及び
図2に示すように、物品搬送車1は、物品Wを搬送する。本実施形態では、物品搬送車1は、走行経路3に沿って移動して物品Wを搬送する。本例では、走行経路3は、天井に沿って配置されており、走行経路3に沿ってレールRが設けられている。すなわち、物品搬送車1は、レールRに案内されて走行経路3を走行して、物品Wを搬送する。具体的には、
図1及び
図2に示すように、レールRは、天井から吊り下げ支持された状態で天井に固定されている。本例では、走行経路3に沿って一対のレールRが設けられている。このように、本例では、物品搬送車1は、天井から吊り下げ支持された一対のレールRに案内されて走行する天井搬送車である。なお、物品搬送車1は、天井搬送車に限定されない。
【0013】
本例では、物品搬送設備100には、複数の処理装置10が設けられている(
図1の例では、そのうちの1つのみを示している)。そして、物品搬送車1は、複数の処理装置10の間で物品Wの搬送を行う。複数の処理装置10のそれぞれは、ポート10aを備えている。ポート10aには、処理装置10による処理対象の物品Wが搬出入される。物品搬送車1は、走行経路3におけるポート10aに対応する位置で停車して、ポート10aとの間で物品Wの受け渡しを行う。本例では、搬送対象の物品Wとして、半導体基板を収容する容器(FOUP:Front Opening Unified Pod)が用いられている。そして、処理装置10では、物品Wに収納されている半導体基板に対して処理が行われる。なお、物品Wは、FOUP以外にも、例えばレチクルを収容するレチクル収納容器(いわゆるレチクルポッド)等であっても良い。
【0014】
以下、
図1から
図7を参照して、物品搬送車1の構成について詳細に説明する。なお、説明にあたり、水平方向のうちの特定の方向を第1方向Xとし、上下方向視で第1方向Xに直交する方向を第2方向Yとし、第1方向Xの一方側を第1方向第1側X1とし、第1方向Xの他方側を第1方向第2側X2とする。本例では、第2方向Yは、第1方向Xに直交する水平方向である。
【0015】
図1及び
図2に示すように、物品搬送車1は、車輪4aを備えた走行部4と、走行部4に連結され、物品Wを収容する収容空間Sを形成する車体5と、物品Wを吊り下げた状態で保持する保持部6と、車体5に対して保持部6を昇降させて、保持部6に保持された物品Wを収容空間S内の収容位置T1と収容空間Sよりも下側の下降位置T2とに昇降移動させる昇降部7と、収容位置T1にある物品Wである収容物品Wsの落下を規制する落下規制装置2と、を備えている。本実施形態では、物品搬送車1は、保持部6に保持された物品Wを水平方向にスライド移動させるスライド部8と、制御装置Hとを更に備えている。
【0016】
図1及び
図2に示すように、走行部4は、レールR上を転動する車輪4aと、車輪4aを駆動する走行用モータM1と、を備えている。図示の例では、走行部4は、複数の車輪4aを備えている。走行用モータM1は、複数の車輪4aの少なくとも1つを駆動して、物品搬送車1が一対のレールRに案内されて移動するための推進力を付与する。なお、本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、第1方向Xは、走行部4の走行方向に沿う方向である。すなわち、走行経路3に沿う方向が第1方向Xであり、物品搬送車1は、第1方向Xに沿って走行する。
【0017】
保持部6は、一対の把持爪6aと、一対の把持爪6aを互いに接近離間させる保持用モータM2(
図7参照)と、を備えている。そして保持部6は、保持用モータM2の駆動により一対の把持爪6aを互いに接近又は離間させることで、一対の把持爪6aが物品Wを把持する把持状態と、当該把持状態を解除する把持解除状態と、を切り換えるように構成されている。本例では、
図2に示すように、物品Wは、物品本体部Wbと、物品本体部Wbよりも上側に設けられた被保持部Waと、を備えている。そして、保持部6は、物品Wにおける被保持部Waを保持することで、より詳細には、被保持部Waを一対の把持爪6aによって把持することで、物品Wを吊り下げた状態で保持するように構成されている。
【0018】
スライド部8は、走行部4に対して第2方向Yに沿って移動するスライド体8aと、スライド体8aを第2方向Yに沿って移動させるスライド用モータM4(
図7参照)とを備えている。スライド部8は、スライド用モータM4の駆動によりスライド体8aを第2方向Yに沿って移動させることで、昇降部7、保持部6、及び保持部6に保持された物品Wを第2方向Yに沿って移動させるように構成されている。例えば、処理装置10におけるポート10aが走行経路3に対して第2方向Yにずれた位置に配置されている場合、保持部6に保持された物品Wを第2方向Yに沿って移動させることで、物品Wをポート10aに対して上下方向視で重複する位置に配置することができる。これにより、昇降部7による、ポート10aへの物品Wの移載を適切に行うことができる。
【0019】
昇降部7は、物品搬送車1が走行経路3に沿って移動する際には、保持部6により保持された物品Wを下降位置T2から収容位置T1に上昇させる。また、昇降部7は、物品搬送車1とポート10aとの間で物品Wを移載する際には、保持部6により保持された物品Wを収容位置T1から下降位置T2に下降させる。本例では、
図1及び
図2に示すように、昇降部7は、スライド体8aに支持されたプーリ7aと、プーリ7aに巻回されて先端部に保持部6が連結されたベルト7bと、プーリ7aを回転させてベルト7bを駆動する昇降用モータM3(
図7参照)と、を備えている。昇降部7は、昇降用モータM3の駆動によりプーリ7aを正転方向に回転させて、ベルト7bを巻き取ることで、保持部6及び保持部6に保持された物品Wを車体5に対して上昇させる。また、昇降部7は、昇降用モータM3の駆動によりプーリ7aを逆転方向に回転させて、ベルト7bを繰り出すことで、保持部6及び保持部6に保持された物品Wを車体5に対して下降させる。このように物品Wを昇降させることで、物品搬送車1は、ポート10aとの間で物品Wの移載を行う。
【0020】
図1及び
図2に示すように、本実施形態では、車体5は、走行部4よりも下側に配置されている。本例では、車体5は、走行部4によって吊り下げ支持されている。具体的には、レールRに対して上側に走行部4が配置され、レールRに対して下側に車体5が配置されている。また、本実施形態では、車体5は、収容空間Sに対して第2方向Yの少なくとも一方側が開放された形状である。本例では、
図1及び
図2に示すように、車体5は、収容空間Sに対して第2方向Yの両側及び下側が開放された形状とされている。以下では、車体5の具体的な構成について説明する。
【0021】
図1から
図3、及び
図6に示すように、車体5は、収容空間Sに対して第1方向第1側X1を覆う第1カバー部51と、収容空間Sに対して第1方向第2側X2を覆う第2カバー部52と、収容空間Sに対して上側において第1カバー部51と第2カバー部52とを連結するカバー連結部53と、を備えている。そして、収容空間Sは、第1カバー部51、第2カバー部52、及びカバー連結部53に囲まれるように形成されている。本実施形態では、第1カバー部51及び第2カバー部52のそれぞれは、保持部6に保持されて収容空間Sに収容された物品W(すなわち、収容物品Ws)における第1方向Xを向く面に対して対向するように配置される。収容空間Sに対して第2方向Yの両側及び下側には、このようなカバー部が配置されておらず、開放されている。このため、収容物品Wsは、スライド部8により、収容空間Sに対して第2方向Yの両外側にスライド移動することができる。同様に、収容物品Wsは、昇降部7により、収容位置T1と下降位置T2との間を昇降することができる。また、本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、カバー連結部53は、走行部4に連結されている。本例では、物品搬送車1は、連結体4dを更に備えており、カバー連結部53は、連結体4dを介して走行部4に連結されている(
図2及び
図3参照)。また、
図2に示すように、カバー連結部53の下側には、昇降部7、スライド部8、及び保持部6が配置されており、これらも連結体4dを介して走行部4に支持されている。従って、物品Wを収容する収容空間Sは、昇降部7、スライド部8、及び保持部6が配置される領域よりも下側に形成されている。
【0022】
落下規制装置2は、例えば、物品搬送車1の走行中に、保持部6による収容物品Wsに対する保持が意図せずに解除された場合であっても、物品Wが物品搬送車1から落下してしまうことを回避するための装置である。以下では、落下規制装置2の具体的な構成について説明する。
【0023】
図1から
図5に示すように、落下規制装置2は、一対の落下規制部材20と、一対の落下規制部材20を駆動する駆動機構30と、を備えている。本実施形態では、一対の落下規制部材20は、カバー連結部53に設けられる。また、一対の落下規制部材20は、第1方向Xに分かれて配置されている。そして、一対の落下規制部材20は、保持部6による収容物品Wsに対する保持が解除された場合に、この物品Wを支持することで、当該物品Wが収容空間Sよりも下側に落下することを回避する。
【0024】
図2から
図6に示すように、一対の落下規制部材20のそれぞれは、カバー連結部53に支持された被支持部21と、収容物品Wsに対して第2方向Yの両側に分かれて配置され、被支持部21から下側に向かって延在する一対の上下方向延在部22と、収容物品Wsよりも下側において一対の上下方向延在部22を連結する下側連結部24と、備えている。本実施形態では、一対の落下規制部材20のそれぞれは、被支持部21、一対の上下方向延在部22、及び下側連結部24により、収容空間Sにおける第2方向Yの両側及び下側を囲むように配置されている。本例では、被支持部21、一対の上下方向延在部22、及び下側連結部24は、収容空間Sに対して外側に配置されている。なお、本例では、一対の落下規制部材20のそれぞれは、互いに同じ構造を有している。そのため、以下では一対の落下規制部材20のうちの一方の構成について説明し、他方については説明を省略する。なお、一対の落下規制部材20は、それぞれ別の構造を有していても良い。
【0025】
本実施形態では、
図3から
図5に示すように、被支持部21は、駆動機構30を介してカバー連結部53に支持されている。また、被支持部21は、一対の上下方向延在部22を上方から支持している。本例では、落下規制部材20は、一対の上下方向延在部22のそれぞれに対応する一対の被支持部21を備えている。そして、一対の被支持部21は、第2方向Y(より詳細には、収容物品Wsに対して第2方向Yの両側)に分かれて配置されている。そして、一対の被支持部21のそれぞれには、対応する上下方向延在部22が接続されている。
図4及び
図5の例では、一対の被支持部21は、後述する駆動機構30の案内部32に連結されている。そして、案内部32における被支持部21との連結部分が、後述する支持部41とされている。このような駆動機構30の構成の詳細については、後に説明する。
【0026】
本実施形態では、
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、一対の上下方向延在部22のそれぞれは、上下方向に沿うように配置されている。また、一対の上下方向延在部22は、第2方向Y視で互いに重複するように配置されている。なお、「重複する」とは、互いの領域が完全に重なり合うこと以外に、一部の領域が重なり合うことも含まれる。本例では、上記のとおり、一対の被支持部21のそれぞれは、対応する一対の上下方向延在部22を上側から支持する。具体的には、上下方向延在部22の上端が、対応する被支持部21に連結されている。そして、上下方向延在部22は、被支持部21から下側に延びるように形成されている。また、上下方向延在部22の下端は、収容物品Wsの底面よりも下側に配置されている。
図2、
図4及び
図5の例では、上下方向延在部22は、上下方向に沿うように配置される板状部材である。そして、後述する規制位置P1では、一対の上下方向延在部22のそれぞれは、収容物品Wsの物品本体部Wbにおける第2方向Yを向く面に対して対向するように配置されている。また、一対の上下方向延在部22のそれぞれの下端は、収容物品Wsの底面よりも下側であって、且つ、第1カバー部51及び第2カバー部52の下端よりも下側(換言すると、収容空間Sよりも下側)に配置されている。なお、一対の上下方向延在部22のそれぞれの下端は、収容物品Wsの底面よりも下側であれば、収容空間S内に配置されていても良い。この場合、一対の上下方向延在部22のそれぞれの下端は、収容物品Wsの底面よりも下側であって、且つ、第1カバー部51及び第2カバー部52の下端よりも上側に配置される。なお、本例では、一対の上下方向延在部22は、互いに同じ構造を有しているが、異なる構造を有していてもよい。その場合であっても、一対の上下方向延在部22のそれぞれの下端は、上下方向の位置が同じであると好適である。
【0027】
なお、本例では、一対の上下方向延在部22のそれぞれは、上下方向に沿う姿勢で配置されているが、例えば、上下方向に対して傾斜する姿勢で配置されていても良い。
【0028】
本実施形態では、
図6に示すように、下側連結部24は、一対の上下方向延在部22の下端を連結している。すなわち、下側連結部24は、一対の上下方向延在部22に上側から支持されている。言い換えると、下側連結部24は、一対の上下方向延在部22を介して、一対の被支持部21に上方から支持されている。また、下側連結部24は、収容物品Wsの底面よりも下側に配置されると共に、第2方向Yに沿うように配置されている。図示の例では、下側連結部24は、水平面に沿う板状部材である。そして、後述する規制位置P1では、一対の落下規制部材20のそれぞれの下側連結部24は、収容物品Wsの物品本体部Wbにおける下側を向く面に対向するように配置されている。なお、本例では、下側連結部24、上下方向延在部22、及び被支持部21は一体的に形成されているが、それぞれが別体で構成されていてもよい。
【0029】
図2に示すように、駆動機構30は、一対の落下規制部材20を駆動して規制位置P1と解除位置P0とに移動させる。ここで、規制位置P1は、保持部6による保持が解除された物品Wが収容空間Sよりも下側に落下することを回避可能な一対の落下規制部材20の位置である。言い換えると、規制位置P1は、保持部6による保持が解除された物品Wを下側から支持できる一対の落下規制部材20の位置である。また、解除位置P0は、物品搬送車1がポート10aとの間で物品Wを移載する場合における、一対の落下規制部材20の位置である。解除位置P0では、一対の落下規制部材20は、ポート10aに対して移載動作を行う昇降部7、保持部6、及びスライド部8や、保持部6に保持された物品Wと干渉しない位置に配置される。本実施形態では、駆動機構30は、物品搬送車1が物品Wをポート10aとの間で移載する場合に、一対の落下規制部材20を規制位置P1から解除位置P0に移動させる。そして、駆動機構30は、物品搬送車1が物品Wを保持して走行経路3を走行する場合には、一対の落下規制部材20を解除位置P0から規制位置P1に移動させる。本実施形態では、
図2に示すように、駆動機構30は、一対の落下規制部材20のそれぞれの被支持部21を第1方向Xに移動させる。これにより、一対の落下規制部材20のそれぞれは、規制位置P1と解除位置P0とのいずれかに配置される。本例では、駆動機構30は、第1方向Xに分かれて配置されたそれぞれの被支持部21を、第1方向Xに移動させつつ、互いに接近及び離間させる。また、本例では、被支持部21(ここでは、一対の被支持部21)が第1方向Xに移動すると、一対の上下方向延在部22及び下側連結部24も被支持部21と一体として第1方向Xに移動する。すなわち、駆動機構30は、落下規制部材20の全体を第1方向Xに移動させつつ、一対の落下規制部材20を互いに接近及び離間させる。以下では、規制位置P1及び解除位置P0について具体的に説明する。
【0030】
図2及び
図6に示すように、規制位置P1では、一対の落下規制部材20のそれぞれの一対の上下方向延在部22が、第2方向Yに沿う第2方向Y視で収容物品Wsと重複すると共に、一対の落下規制部材20のそれぞれの下側連結部24が、上下方向視で収容物品Wsと重複するように配置される。本実施形態では、規制位置P1では、一対の落下規制部材20は、収容物品Wsの物品本体部Wbにおける第1方向Xの両端から規定距離だけ内側の位置に配置される。すなわち、一対の落下規制部材20のそれぞれの一対の上下方向延在部22及び下側連結部24は、収容物品Wsの物品本体部Wbにおける第1方向Xの両端から規定距離だけ内側に配置される。規定距離は、物品Wを適切に支持できる位置(規制位置P1)に一対の落下規制部材20が配置されるように設定される。本例では、規制位置P1では、一対の上下方向延在部22が、第2方向Y視で収容物品Wsと一部(図示の例では、上下方向延在部22の中央よりも下側の領域)が重複するように配置され、下側連結部24は、上下方向視で収容物品Wsと一部(具体的には下側連結部24の第2方向Yの両端部以外の領域)が重複するように配置される。
【0031】
更に、本例では、上記のように、規制位置P1では、一対の上下方向延在部22は、収容物品Wsの物品本体部Wbにおける第2方向Yを向く面に対して対向するように配置される(
図2参照)。また、規制位置P1では、下側連結部24は、収容物品Wsにおける物品本体部Wbの底面に対して対向するように配置される(
図3参照)。規制位置P1は、一対の落下規制部材20が上記のように配置されるように設定されているため、もしも意図せずに保持部6による収容物品Wsの保持が解除された場合であっても、保持が解除された物品Wは、一対の落下規制部材20のそれぞれの下側連結部24の上に落下し、下側連結部24に適切に支持される。よって、当該物品Wが収容空間Sよりも下側に転落してしまうことを回避できる。更に、例えば、物品搬送車1が走行経路3のうちの曲線経路を走行したために発生した遠心力等により、保持が解除された物品Wが第2方向Yの一方側に移動したとしても、一対の落下規制部材20のそれぞれの第2方向Yの一方側の上下方向延在部22に当接するため、当該物品が第2方向Yの一方側から収容空間Sよりも下側に転落してしまうことを回避できる。
【0032】
図2及び
図6に示すように、解除位置P0では、一対の落下規制部材20のそれぞれの下側連結部24が、上下方向視で収容物品Wsと重複しないように収容物品Wsに対して第1方向Xの外側に配置される。本実施形態では、解除位置P0では、一対の落下規制部材20のそれぞれの一対の上下方向延在部22が、第2方向Y視で収容物品Wsと重複しないように収容物品Wsに対して第1方向Xの外側に配置される。本例では、解除位置P0では、一対の落下規制部材20は、収容物品Wsの物品本体部Wbにおける第1方向Xの両側から規定距離だけ外側の位置に配置される。このため、解除位置P0では、一対の上下方向延在部22は、第2方向Y視で収容物品Wsとは重複せずに、収容空間Sと重複するように配置される。また、解除位置P0では、一対の落下規制部材20のそれぞれの下側連結部24は、上下方向視で収容物品Wsとは重複せずに、収容空間Sと重複するように配置される。このため、保持部6により保持されている物品Wは、例えば、収容位置T1と下降位置T2との間で昇降するに際し、一対の落下規制部材20のそれぞれの下側連結部24と干渉しない。同様に、保持部6により保持されている物品Wは、第2方向Yにスライド移動するに際し、一対の落下規制部材20のそれぞれの一対の上下方向延在部22と干渉しない。
【0033】
上記のように、本例では、一対の落下規制部材20は、解除位置P0に移動するために、規制位置P1から互いに第1方向Xの反対側に移動する。すなわち、一対の落下規制部材20のそれぞれに対応する解除位置P0は、収容物品Wsに対して第1方向Xの両外側に設定されている。しかし、一対の落下規制部材20のそれぞれに対応する解除位置P0は、収容物品Wsに対して第1方向Xの一方側に設定されていても良い。この場合、一対の落下規制部材20は、規制位置P1から互いに第1方向Xの同じ側に移動することで解除位置P0に到達する。
【0034】
図2から
図5に示すように、本実施形態では、駆動機構30は、一対の落下規制部材20のそれぞれの被支持部21を第1方向Xに移動自在に案内する案内部32と、一対の被支持部21を第1方向Xの互いに反対側に移動させる駆動部35と、を備えている。本例では、案内部32と駆動部35とは、カバー連結部53(
図3の例ではカバー連結部53の上面)に設けられている。
【0035】
本例では、
図2から
図5に示すように、案内部32は、直動案内機構31を備えている。直動案内機構31は、第1方向Xに沿って配置されており、一対の落下規制部材20のそれぞれの被支持部21は、直動案内機構31に連結されている。このように、一対の落下規制部材20のそれぞれは、直動案内機構31に案内されて、第1方向Xに移動する。
図3の例では、一対の直動案内機構31が、第2方向Yに分かれて配置されている。一対の直動案内機構31のそれぞれは、案内体31aと複数(ここでは2つ)の移動体31bとを備えている。案内体31aは、第1方向Xに沿って移動体31bが移動するように配置されている。そして、移動体31bには、一対の落下規制部材20のそれぞれの一対の被支持部21が固定されている。
図4及び
図5の例では、被支持部21は、移動体31bに上方から固定されることで、移動体31bに支持されている。すなわち、直動案内機構31の移動体31bが、被支持部21を支持する支持部41としての機能を果たしている。なお、直動案内機構31は、ここではリニアガイドとされているが、例えば、ボールスプライン、リニアブッシュ等、公知の各種の直動案内機構を用いることができる。
【0036】
また、本例では、
図2から
図4に示すように、駆動部35は、カバー連結部53に支持された複数のプーリ35bと、複数のプーリ35bに巻回されると共に直動案内機構31に接続された駆動ベルト35aと、プーリ35bを回転させて駆動ベルト35aを駆動する落下規制駆動モータM6とを備えている。
図4の例では、第1方向Xに分かれて配置された複数(ここでは2つ)のプーリ35bに駆動ベルト35aが巻回されている。そして、一対の落下規制部材20の一方が下側の駆動ベルト35aの水平部分に接続され、一対の落下規制部材20の他方が上側の駆動ベルト35aの水平部分に接続されている。具体的には、落下規制部材20は、上下方向延在部22の上部に設けられたベルト支持部23を介して、駆動ベルト35aに接続されている。そして、複数のプーリ35bが同じ向きに回転することで、一対の落下規制部材20が接近又は離間するように移動する。
図3の例では、このような駆動ベルト35aが、一対の直動案内機構31に対応するように一対設けられている。駆動ベルト35a及び複数のプーリ35bは、伝達機構35cを介して単一の落下規制駆動モータM6に接続されている。伝達機構35cは、落下規制駆動モータM6の駆動力を複数のプーリ35bに伝達する。そして、複数のプーリ35bの回転と共に駆動ベルト35aが回転し、これにより一対の落下規制部材20が互いに接近及び離間する移動を行う。
【0037】
本実施形態では、
図7に示すように、制御装置Hは、走行部4、保持部6、昇降部7、スライド部8、及び落下規制装置2を制御する。制御装置Hは、マイクロコンピュータ等のプロセッサを備えると共に、メモリ等の周辺回路を備え、これらのハードウェアと、プロセッサ等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により、制御装置Hの各機能が実現される。制御装置Hは、物品搬送設備100全体を制御する上位コントローラ(不図示)と相互に通信可能に接続されている。制御装置Hは、指令取得部11において、上位コントローラ(不図示)からの指令を取得し、取得した指令の内容に応じて走行部4、保持部6、昇降部7、スライド部8、及び落下規制装置2に対する制御を行うように構成されている。
【0038】
本例では、制御装置Hは、物品Wを複数の処理装置10の間で搬送する搬送制御と、ポート10aとの間で物品Wの移載を行う移載制御とを実行する。
【0039】
制御装置Hは、搬送制御では、上位コントローラからの搬送指令により、物品搬送車1を移載先の処理装置10へ向かわせるように走行部4(走行用モータM1)を制御する。その際、制御装置Hは、一対の落下規制部材20が規制位置P1にある状態を維持するように、落下規制装置2(落下規制駆動モータM6)を制御する。そして、制御装置Hは、移載先の処理装置10におけるポート10aに対応する停車位置に、物品搬送車1を停止させる。従って、物品搬送車1の走行中に、意図せずに保持部6による物品Wの保持が解除されても、物品Wは一対の落下規制部材20のそれぞれの下側連結部24に支持されるため、当該物品Wが収容空間Sよりも下側に落下、すなわち、物品搬送車1から落下してしまうことを回避できる。また、例えば、走行経路3のうちの曲線経路を走行したり、外部から衝撃をうけたりしたことにより、保持が解除された物品Wが第2方向Yのいずれかの側に移動することがあっても、一対の落下規制部材20のそれぞれの上下方向延在部22により、収容空間Sの第2方向Yの外側への移動が規制されるため、当該物品Wが収容空間Sに対して第2方向Yのいずれかの側から転落することを回避できる。
【0040】
ここで、一対の落下規制部材20のそれぞれは、上下方向に沿う姿勢で支持部41(ここでは、複数の移動体31b)に上側から支持されている。そして、保持が解除された物品Wは、一対の落下規制部材20のそれぞれの下端部分である下側連結部24に下側から支持される。そのため、例えば、一対の落下規制部材20が、第1カバー部51と第2カバー部52とのそれぞれに片持ち状態で支持されるような場合に比べて、落下規制部材20を支持する支持部41に大きな曲げモーメントが作用することを回避できる。従って、搬送対象の物品Wの重量が大きい場合であっても、落下規制部材20やこれを支持する部材の剛性を大きく高めることなく、物品Wを支持するのに必要な強度を確保し易くできる。よって、物品Wの重量に拘らず、一対の落下規制部材20により、保持が解除された物品Wを適切に支持させ易い。また、物品Wを支持するのに必要な強度を確保すべく、落下規制部材20や支持部41が大型化してしまうことも避けやすい。
【0041】
制御装置Hは、移載対象のポート10aに停車した物品搬送車1に対して移載制御を実行する。制御装置Hは、物品Wをポート10aとの間で移載するにあたり、一対の落下規制部材20を規制位置P1から解除位置P0に移動させるように落下規制装置2を制御する。これにより、物品搬送車1とポート10aとの間で物品Wの受け渡しを行う場合に、保持部6に保持された物品Wが一対の落下規制部材20と干渉してしまうことを回避できる。制御装置Hは、一対の落下規制部材20が解除位置P0にある状態で、物品Wを収容位置T1と下降位置T2との間で昇降させるように昇降部7(昇降用モータM3)を制御する。ここで、ポート10aが、走行経路3に沿うレールRとはずれた位置にある場合は、制御装置Hは、スライド部8(スライド用モータM4)を制御して、物品Wを第2方向Yにスライド移動させる。このようにして、制御装置Hは、移載制御において、一対の落下規制部材20を規制位置P1から解除位置P0に移動させることで、一対の落下規制部材20と干渉することなく、ポート10aとの間で物品Wの移載を行うことができる。
【0042】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送車のその他の実施形態について説明する。
【0043】
(1)上記の実施形態では、落下規制装置2は、一対の落下規制部材20を備える構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、落下規制装置2が、3つ以上の落下規制部材20を備える構成とすることもできる。
【0044】
(2)上記の実施形態では、物品搬送車1は、物品Wを搬送するに際して、一対の落下規制部材20を解除位置P0から規制位置P1に移動させ、保持部6による収容物品Wsの保持が解除されても、物品Wを一対の落下規制部材20のそれぞれの下側連結部24で支持できる構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、例えば、物品搬送車1は、一対の落下規制部材20に加えて揺れ防止機構60を備える構成とすることもできる。これにより、物品搬送車1の走行中に発生する振動が揺れ防止機構60により吸収され、収容物品Wsに伝わる振動が低減する。そのため、収容物品Wsに収容された収容物が振動により破損することを回避できる。このような一例を
図8に示している。
図8の例では、第1カバー部51と第2カバー部52とのそれぞれに、揺れ防止機構60として、揺れ防止体60aと、揺れ防止体60aを支持する揺れ防止体支持部60bとが設けられている。図示の例では、揺れ防止体60aは上下方向に沿う軸心回りに回転するローラであり、当該ローラを回転自在に支持する揺れ防止体支持部60bが、第1方向Xに移動自在に第1カバー部51及び第2カバー部52に取り付けられている。そして、物品搬送車1が走行する場合には、第1カバー部51と第2カバー部52とのそれぞれの揺れ防止体支持部60bが、収容空間Sにおける第1方向Xの内側に突出して、収容物品Wsの物品本体部Wbの側面(第1方向Xを向く面)に当接する。揺れ防止機構60を駆動する駆動源と、一対の落下規制部材20を駆動する駆動機構30の駆動源(上記の実施形態では落下規制駆動モータM6)とが、共通の駆動源である構成とすると好適である。なお、揺れ防止体60aが弾性部材を備える構成としてもよい。これにより、より効果的に収容物品Wsに伝わる振動を吸収することができる。
【0045】
(3)上記の実施形態では、一対の落下規制部材20のそれぞれの被支持部21が、駆動機構30により第1方向Xに移動することで、一対の落下規制部材20のそれぞれの一対の上下方向延在部22が第1方向Xに移動し、解除位置P0では、一対の落下規制部材20のそれぞれの一対の上下方向延在部22が、第2方向Y視で収容物品Wsと重複しないように収容物品Wsに対して第1方向Xの外側に配置される構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、一対の落下規制部材20のそれぞれの被支持部21が、第1方向Xに移動しなくてもよい。また、解除位置P0において、一対の落下規制部材20の上下方向延在部22が、第2方向Y視で収容物品Wsと重複してもよい。このような一例を
図10に示している。
図10では、駆動機構30は、第2方向Yに沿う軸心r1回りに回転する一対の回転体36を備えている。一対の回転体36は、第1方向Xに分かれて配置されている。一対の回転体36のそれぞれは、一対の落下規制部材20のそれぞれの一対の被支持部21を支持している。すなわち、回転体36が、被支持部21を支持する支持部41とされている。そして、落下規制駆動モータM6の駆動により、伝動機構37(
図10では簡略化している)を介して一対の回転体36のそれぞれが軸心r1回りに互いに逆方向に回転する。これにより、一対の落下規制部材20のそれぞれが軸心r1回りに旋回し、解除位置P0と規制位置P1とに移動する。図示の例では、解除位置P0では、一対の落下規制部材20のそれぞれの一対の上下方向延在部22は、第2方向Y視で収容物品Ws、保持部6、昇降部7、及びスライド部8のいずれにも重複していないが、解除位置P0において、一対の落下規制部材20のそれぞれの一対の上下方向延在部22が、収容物品Wsと第2方向Y視で重複する構成としてもよい。例えば、物品搬送車1がスライド部8を備えない場合に、このような構成とすることができる。
【0046】
(4) 上記の実施形態では、駆動機構30は、駆動部35として、カバー連結部53に支持された複数のプーリ35bと、複数のプーリ35bに巻回されると共に直動案内機構31に接続された駆動ベルト35aと、プーリ35bを回転させて駆動ベルト35aを駆動する落下規制駆動モータM6とを備えている構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、駆動機構30は、駆動部35として、ボールねじ36aと、ボールねじ36aに螺合するナット部36bと、ナット部36b及び一対の直動案内機構31の支持部41(ここでは、移動体31b)同士を接続する連動軸36cとを備える構成とすることもできる。このような一例を
図11に示している。
図11の例では、ボールねじ36aは、落下規制駆動モータM6に接続されていると共に、第1方向Xに沿って配置されている。そして、ボールねじ36aは、落下規制駆動モータM6により、軸心回りに回転するように駆動される。図示の例では、ボールねじ36aは、第1方向X(走行方向)の中央部に対して一方側と他方側とで、螺旋の向きが逆方向となるように雄ねじが形成されている。また、ナット部36bは、ボールねじ36aにおける、雄ねじの向きが互いに異なる部分にそれぞれ螺合している。すなわち、ナット部36bは、第1方向Xに分かれて一対配置されている。また、連動軸36cも、第1方向Xに分かれて一対配置されている。そして、それぞれの連動軸36cは、第2方向Yに向かい合った一対の直動案内機構31の移動体31bと、ナット部36bとを接続している。従って、ボールねじ36aが第1の方向に回転すると、一対のナット部36bが互いに接近し、ボールねじ36aが第1の方向とは反対の第2方向に回転すると、一対のナット部36bが互いに離間する。このような一対のナット部36bの接近及び離間する動きに連動して、一対の落下規制部材20が互いに接近及び離間する。なお、駆動機構30は、駆動部35としてラックアンドピニオン機構を備えており、ラックアンドピニオン機構を用いて、一対の落下規制部材20を第1方向Xに移動させることもできる。
【0047】
(5)上記の実施形態では、駆動機構30は、一対の落下規制部材20を、1箇所の規制位置P1と、解除位置P0とに移動させる構成を例として説明した。しかしこのような構成に限定されない。例えば、規制位置P1は、第1方向Xにおける複数の位置に設定されていてもよい。この場合、駆動機構30は、一対の落下規制部材20を複数の規制位置P1と解除位置P0とに移動させることができる。このような一例を
図9に示している。
図9の例では、収容物品Wsの大きさに応じて複数(ここでは2つ)の規制位置P1が設定されている。より詳細には、収容物品Wsの第1方向Xの幅に応じた複数の規制位置P1が設定されている。図示の例では、制御装置Hは、収容物品Wsの大きさが大きい場合には、一対の落下規制部材20を解除位置P0に近い位置である大物品規制位置P11に移動させる。また、制御装置Hは、収容物品Wsの大きさが小さい場合には、一対の落下規制部材20を大物品規制位置P11よりも第1方向Xの内側に設定された小物品規制位置P12に移動させる。図示の例では、2つの規制位置P1が設定されているが、2つ以上の規制位置P1が設定されていてもよい。
【0048】
(6)上記の実施形態では、車体5は、走行部4よりも下側に配置されている構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、例えば、車体5が、走行部4よりも上側に配置されていても良い。
【0049】
(7)上記の実施形態では、第1方向Xは、走行部4の走行方向に沿う方向である構成を例として説明した。しかしこのような構成に限定されない。例えば、第1方向Xは、走行部4の走行方向に上下方向視で直交する方向とされていてもよい。この場合、第2方向Yは、走行部の走行方向に沿う方向であり、物品搬送車1は、第2方向Yに沿って走行すると好適である。また、例えば、第1方向X及び第2方向Yの双方が、走行部4の走行方向に対して傾斜した方向であっても良い。
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送車の概要について説明する。
【0050】
本開示に係る物品搬送車は、物品を搬送する物品搬送車であって、
車輪を備えた走行部と、前記走行部に連結され、前記物品を収容する収容空間を形成する車体と、前記物品を吊り下げた状態で保持する保持部と、前記車体に対して前記保持部を昇降させて、前記保持部に保持された前記物品を前記収容空間内の収容位置と前記収容空間よりも下側の下降位置とに昇降移動させる昇降部と、前記収容位置にある前記物品である収容物品の落下を規制する落下規制装置と、を備え、
水平方向のうちの特定の方向を第1方向とし、上下方向視で前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第1方向の一方側を第1方向第1側とし、前記第1方向の他方側を第1方向第2側として、
前記車体は、前記収容空間に対して前記第1方向第1側を覆う第1カバー部と、前記収容空間に対して前記第1方向第2側を覆う第2カバー部と、前記収容空間に対して上側において前記第1カバー部と前記第2カバー部とを連結するカバー連結部と、を備え、
前記落下規制装置は、一対の落下規制部材と、一対の前記落下規制部材を駆動する駆動機構と、を備え、
一対の前記落下規制部材のそれぞれは、前記カバー連結部に支持された被支持部と、前記収容物品に対して前記第2方向の両側に分かれて配置され、前記被支持部から下側に向かって延在する一対の上下方向延在部と、前記収容物品よりも下側において一対の前記上下方向延在部を連結する下側連結部と、備え、
前記駆動機構は、一対の前記落下規制部材を駆動して規制位置と解除位置とに移動させ、
前記規制位置では、一対の前記落下規制部材のそれぞれの一対の前記上下方向延在部が、前記第2方向に沿う第2方向視で前記収容物品と重複すると共に、一対の前記落下規制部材のそれぞれの前記下側連結部が、上下方向視で前記収容物品と重複するように配置され、
前記解除位置では、一対の前記落下規制部材のそれぞれの前記下側連結部が、上下方向視で前記収容物品と重複しないように前記収容物品に対して前記第1方向の外側に配置される。
【0051】
本構成によれば、一対の落下規制部材のそれぞれの被支持部が、車体における収容空間に対して上側のカバー連結部に支持される。そして、当該被支持部から下側に向かって延在する一対の上下方向延在部によって、収容物品よりも下側の下側連結部が吊り下げ状態で支持される。そのため、一対の落下規制部材が規制位置にある状態では、保持部による物品の保持が意図せずに解除された場合であっても、一対の落下規制部材のそれぞれの下側連結部により当該物品を支持することができる。よって、物品が一対の落下規制部材から転落してしまうことを回避できる。
また、このように下側連結部により物品を支持している状態では、物品の荷重は、被支持部から下側連結部までが上下方向に沿う姿勢の落下規制部材に対する上下方向の引っ張り荷重として作用する。すなわち、落下規制部材及び当該落下規制部材を支持する支持部に大きな曲げモーメントが作用することを回避することができる。従って、物品の重量が大きい場合であっても、落下規制部材及び支持部の剛性を大きく高めることなく、物品を支持するのに必要な強度を確保し易い。またこれにより、落下規制部材及び支持部の小型化や軽量化を図り易い。
また、本構成によれば、一対の落下規制部材が規制位置にある状態では、各上下方向延在部が、第2方向視で収容物品と重複するように配置されている。よって、物品又はその一部が、第2方向に脱落することも規制することができる。
このように、本構成によれば、物品の重量に拘らず強度を確保し易い構造の落下規制装置を備えた物品搬送車を実現することができる。
【0052】
ここで、前記車体は、前記収容空間に対して前記第2方向の少なくとも一方側が開放された形状であり、
前記駆動機構は、一対の前記落下規制部材のそれぞれの前記被支持部を前記第1方向に移動させ、
前記解除位置では、一対の前記落下規制部材のそれぞれの一対の前記上下方向延在部が、前記第2方向視で前記収容物品と重複しないように前記収容物品に対して前記第1方向の外側に配置されると好適である。
【0053】
本構成によれば、一対の落下規制部材が規制位置にある状態では、一対の落下規制部材のそれぞれの一対の上下方向延在部により、物品又はその一部が第2方向に脱落することを規制することができ、一対の落下規制部材が解除位置にある状態では、物品を収容位置から第2方向に移動させることが可能となる。従って、例えば、物品を第2方向に取り出したり、第2方向にスライド移動させて移載したりすることが可能となる。
【0054】
また、前記駆動機構は、一対の前記落下規制部材のそれぞれの前記被支持部を前記第1方向に移動自在に案内する案内部と、一対の前記被支持部を前記第1方向の互いに反対側に移動させる駆動部と、を備えると好適である。
【0055】
本構成によれば、一対の落下規制部材を第1方向の互いに反対側に駆動して、規制位置と解除位置とに適切に移動させることができる。
また、解除位置において一対の落下規制部材が収容物品に対して第1方向の両外側に分かれて配置されるため、一対の落下規制部材が収容物品に対して第1方向のいずれかの側にまとめて配置される構成と比べて、解除位置における一対の落下規制部材の退避スペースを確保し易い。
【0056】
また、前記規制位置は、前記第1方向における複数の位置に設定可能であると好適である。
【0057】
本構成によれば、収容物品の大きさに応じた規制位置を複数設定できるため、物品の大きさが複数種類ある場合であって、保持部による物品の保持が意図せずに解除された場合であっても、当該物品を落下しないように適切に支持することができる。
【0058】
また、前記車体は、前記走行部よりも下側に配置され、
前記カバー連結部は、前記走行部に連結されていると好適である。
【0059】
本構成によれば、車体における走行部との連結部分であるカバー連結部により、一対の落下防止部材のそれぞれの被支持部が支持されている。従って、車体側において一対の落下規制部材を支持する支持部の強度を確保し易い。
【0060】
また、前記第1方向は、前記走行部の走行方向に沿う方向であると好適である。
【0061】
本構成によれば、走行部の加速や減速による荷重が収容物品に作用した場合であっても、物品又はその一部が走行方向(第1方向)に脱落することを、第1カバー部及び第2カバー部でにより規制できる。
【0062】
本開示に係る物品搬送車は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0063】
1 :物品搬送車
2 :落下規制装置
4 :走行部
4a :車輪
5 :車体
6 :保持部
7 :昇降部
20 :落下規制部材
21 :被支持部
22 :上下方向延在部
24 :下側連結部
30 :駆動機構
32 :案内部
35 :駆動部
41 :支持部
51 :第1カバー部
52 :第2カバー部
53 :カバー連結部
P0 :解除位置
P1 :規制位置
S :収容空間
W :物品
Ws :収容物品
X :第1方向
X1 :第1方向第1側
X2 :第1方向第2側
Y :第2方向