(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086902
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20240621BHJP
F16H 1/06 20060101ALI20240621BHJP
F16H 1/14 20060101ALI20240621BHJP
F16H 57/04 20100101ALI20240621BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F16H1/32 A
F16H1/06
F16H1/14
F16H57/04 G
B62D5/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065505
(22)【出願日】2024-04-15
(62)【分割の表示】P 2020146280の分割
【原出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】中井 悠人
(57)【要約】
【課題】形状のコンパクト化を図ることができる減速機及び駆動装置を提供する。
【解決手段】実施形態の減速機11は、回転機器12から入力される回転を変速させて出力するクランク軸51、複数の歯車41,42と、クランク軸51や複数の歯車41,42を収容し、内歯ピン26を有する第2ケース22と、第2ケース22に設けられ第2ケース22又は第2ケース22内を加熱する加熱部70と、を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機器から入力される回転を変速させて出力する歯車群と、
前記歯車群を収容するケースと、
前記ケースに設けられ、前記ケース又は前記ケース内を加熱する加熱部と、
を備えた減速機。
【請求項2】
回転機器から入力される回転を変速させて出力する歯車群と、
前記歯車群を収容するケースと、
前記ケースを密封するシールを保護し、かつ、前記ケースに設けられたスリーブと、を備えた減速機。
【請求項3】
前記ケースは内歯を有し、
前記歯車群は、
前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、
前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、
を有する
請求項1又は請求項2に記載の減速機。
【請求項4】
内歯を有するケースと、
前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、
前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、
を備え、
前記内歯は、歯数が80~120、
前記クランク軸は、偏心量が1.3mm以下である
減速機。
【請求項5】
回転機器と、
前記回転機器から入力される回転を変速させて出力する歯車群、及び前記歯車群を収容するケースを有し、前記ケースに前記回転機器が取り付けられている減速機と、
を備え、
前記ケースの前記回転機器が取り付けられる一壁は、前記回転機器のハウジングの一壁と兼用されている
駆動装置。
【請求項6】
前記ケースは内歯を有し、
前記歯車群は、
前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、
前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、
を有し、
前記回転機器は、前記クランク軸に回転力を入力する
請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
回転機器と、
前記回転機器から入力される回転を変速させて出力する歯車群を有する減速機と、
前記歯車群に外部の回転力を入力する操作機構と、
を備え、
操作機構は、前記歯車群に前記回転力を入力する際の回転角度、及びトルクを検知する検知部を備えた
駆動装置。
【請求項8】
前記減速機は、内歯を有するケースを備え、
前記歯車群は、
前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、
前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、
を備え、
前記回転機器及び前記操作機構は、前記クランク軸に回転力を入力する
請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
内歯を有するケースと、
前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、
前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、
前記クランク軸に外部の回転力を入力する操作機構と、
を備え、
前記操作機構は、
前記クランク軸に回転力を伝達する従動かさ歯車と、
前記従動かさ歯車の軸線に対して直交する位置に設けられ、前記従動かさ歯車に噛合う駆動かさ歯車と、
を備え、
前記従動かさ歯車は、前記従動かさ歯車の回転方向を変更する第1噛合い位置と、第2噛合い位置とに切換自在である
駆動装置。
【請求項10】
内歯を有するケースと、
前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、
前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、
前記クランク軸に回転力を入力する回転機器と、
前記クランク軸に外部の回転力を入力する操作機構と、
を備え、
前記クランク軸は、
前記回転機器からの入力が伝達される第1伝達歯車と、
前記第1伝達歯車に隣接して設けられ、前記操作機構からの入力が伝達される第2伝達歯車と、
を備えた駆動装置。
【請求項11】
回転機器と、
前記回転機器の回転力が入力される第1入力軸を有する減速機と、
前記第1入力軸と交差する第2入力軸を有し、前記第1入力軸に前記第2入力軸を介して外部の回転力を入力する操作機構と、
を備え、
前記回転機器と、前記減速機及び操作機構とは、任意の平面を挟んで両側に配置されている
駆動装置。
【請求項12】
前記減速機は、
内歯を有するケースと、
前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持され一端側に配置された伝達歯車を有するクランク軸と、
前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、
を備え、
前記伝達歯車を挟んで前記減速機とは反対側に前記回転機器が配置されて前記伝達歯車に前記回転機器の回転力が入力され、
前記操作機構は、前記伝達歯車に前記第2入力軸を介して外部の回転力を入力する
請求項11に記載の駆動装置。
【請求項13】
内歯を有するケースと、
前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、
前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、
前記クランク軸に回転力を入力する回転機器と、
前記クランク軸に外部の回転力を入力する操作機構と、
を備え、
前記回転機器に対する前記クランク軸の減速比が4~5、
前記操作機構に対する前記クランク軸の増速比が4~5である
駆動装置。
【請求項14】
車輪部に設けられた車輪駆動部をアクスルシャフトに連結する減速機と、
前記減速機に回転力を入力して前記車輪駆動部を前記アクスルシャフトに対して水平方向に揺動する回転機器と、を備えた
駆動装置。
【請求項15】
タイロッドに設けられ、車輪部に設けられた車輪駆動部がリンクを介して連結される回転機器を備え、
前記回転機器は、前記タイロッドを軸方向に移動することにより、前記車輪駆動部を前記タイロッドに対して水平方向に揺動する
駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機及び駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、外歯歯車と、外歯歯車が内接噛合する内歯歯車と、内歯歯車が設けられたケーシングと、ケーシングと相対回転するキャリアと、を備えた減速機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、減速機は多様な設備等に使用されることが考えられる。しかし、多様な設備等に適用させるためには、変速機を取り付ける多様な設備等の空間に、減速機を収容可能に形成することが要求される。
【0005】
本発明は、多様な設備等に適用でき、かつ小型化できる減速機及び駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る減速機は、回転機器から入力される回転を変速させて出力する歯車群と、前記歯車群を収容するケースと、前記ケースに設けられ、前記ケース又は前記ケース内を加熱する加熱部と、を備えた。
【0007】
ここで、減速機を屋外で使用をする際、使用する地域によっては気温が氷点下になることがしばしばある。その環境で減速機を始動する際、減速機の内部、特に潤滑剤が凝固し、減速機の性能を満足させることが難しくなる。例えば、減速機を作動できなくなることも考えられる。
例えば、減速機を車両の操舵装置に備えた場合には、従来、エンジンの熱により、潤滑剤の凝固を回避していた。しかし、近年、車両の電動化(モータ駆動)が進んでおり、電動化された車両の場合、エンジンの熱により潤滑剤の温度を上げることは難しい。
【0008】
そこで、減速機のケースに加熱部を設ける(内蔵する)ようにした。
このように構成することで、ケースに設けた加熱部で、例えば寒冷地でも、ケース内の潤滑剤の温度を高めて潤滑剤の粘性(粘度)を下げることができる。これにより、例えば、減速機を寒冷地仕様の車両に設けた場合でも、減速機を確実に始動させることができる。
さらに、減速機のケースを利用して加熱部を設けることにより、加熱部を設けるために専用の取付部材を個別に用意する必要がなく、減速機を小型化できる。これにより、減速機を多様な設備等の取り付けることができ、用途の範囲を拡大できる。
【0009】
本発明の他の態様に係る減速機は、回転機器から入力される回転を変速させて出力する歯車群と、前記歯車群を収容するケースと、前記ケースを密封するシールを保護し、かつ、前記ケースに設けられたスリーブと、を備えた。
【0010】
ここで、減速機を屋外、特に車載などの特殊環境で使用する場合、雨、高圧洗浄、紫外線、飛び石等、従来に影響のなかった外的要因が増加する。このため、屋外での使用を保障できる減速機はないのが現状である。
ところで、例えば、一般に洗浄ロボット向けにスリーブが使用されているが、これらの形状では、雨、高圧洗浄、紫外線、飛び石等の外的要因を防ぐことは難しい。
【0011】
そこで、スリーブでケースの隙間を好適に閉塞するようにした。よって、スリーブでオイルシールを良好(確実)に覆うことができる。これにより、オイルシールを雨、高圧洗浄、紫外線、飛び石等の外的要因からスリーブで防ぐことができる。
また、スリーブをケースに設けるようにした。これにより、スリーブを取り付けるための専用部品を不要にでき、減速機を小型化できる。
【0012】
上記構成で、前記ケースは内歯を有し、前記歯車群は、前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、を有してもよい。
【0013】
本発明の他の態様に係る減速機は、内歯を有するケースと、前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、を備え、前記内歯は、歯数が80~120、前記クランク軸は、偏心量が1.3mm以下である。
【0014】
ここで、操舵装置に備える減速機に要求される事項として、軽量化、小型化、かつ高耐荷重であることが必要である。
操舵装置はモータ等の回転機器でアシストしつつ、運転手による操作も同時に行われる。このため、ハンドルに掛かる感触、感覚(フィーリング)に違和感なく操舵を行うことが要求される。さらに、減速機の内部には、偏心揺動をする機構が設けられているため、スムーズな偏心揺動運動をさせる必要がある。
【0015】
そこで、内歯の歯数を80~120に増すように設定した。内歯の歯数を増すことにより、外歯部材から荷重を受ける内歯を増すことができる。これにより、減速機は、小型なままで高耐荷重に対応することが可能となる。
また、クランク軸の偏心量を1.3mm以下に設定した。クランク軸の偏心量を減らすことにより、クランク軸や外歯部材の振動量を小さく抑えることができる。これにより、運転手の違和感がなく、減速機をスムーズに回転することができる。
【0016】
本発明の他の態様に係る駆動装置は、回転機器と、前記回転機器から入力される回転を変速させて出力する歯車群、及び前記歯車群を収容するケースを有し、前記ケースに前記回転機器が取り付けられている減速機と、を備え、前記ケースの前記回転機器が取り付けられる一壁は、前記回転機器のハウジングの一壁と兼用されている。
【0017】
ここで、一般に回転機構(例えば、モータ)は、機器本体(例えば、モータ本体)の全体が機構ケースで覆われている。よって、回転機構を減速機に取り付けた場合に、取り付けられた部位で、減速機のケースと回転機器のケースとが重ね合わされる。さらに、例えば、減速機のケースに回転機器のケースをボルト等で取り付けためには、減速機のケースにねじ孔を形成する必要がある。このため、減速機のケースの板厚が厚くなる。
【0018】
ところで、回転機器の駆動軸は、回転機器のケース及び減速機のケースを貫通して減速機の内部に配置される。よって、回転機器の駆動軸は、長くなり、イナーシャが高くなることが考えられる。このため、回転機器への負担が大きくなることが考えられる。
また、減速機のケースと回転機器のケースとが重ね合わされることにより、駆動装置の扁平化(すなわち、小型化)を図ることが難しくなる。
【0019】
そこで、減速機のケースのうち回転機器に対向するケース部を回転機器のケースの一部として兼用するようにした。よって、減速機と回転機器との間に、ケース部のみを介在させる構成にできる。これにより、回転機器の駆動軸を短くしてイナーシャを低く抑えることができるので、回転機器への負担を小さく抑えることができる。
また、駆動装置の扁平化(すなわち、小型化)を図ることができる。
【0020】
上記構成で、前記ケースは内歯を有し、前記歯車群は、前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、を有し、前記回転機器は、前記クランク軸に回転力を入力してもよい。
【0021】
本発明の他の態様に係る駆動装置は、回転機器と、前記回転機器から入力される回転を変速させて出力する歯車群を有する減速機と、前記歯車群に外部の回転力を入力する操作機構と、を備え、操作機構は、前記歯車群に前記回転力を入力する際の回転角度、及びトルクを検知する検知部を備えた。
【0022】
ここで、車両の操舵装置では、自動運転化、電動化に向けて、自動操舵、アシスト制御をおこなうためのセンサ類の搭載が要求されている。このため、現行車両の車載スペースに搭載できるセンサ類(例えば、回転角度、及びトルクを検知する検知部)が必要となる。
また、現行車両の構造から、例えば、減速機のクランク軸(回転軸)は、ステアリングホイールに連結された操作軸に対して直交に配置されている。
このため、例えば、操作機構に、操作軸にかさ歯車を設け、さらに操作軸に検知部を設けるようにした。
【0023】
このように構成することで、例えば、現行車両の小スペースに、自動操舵、アシスト制御に必要なセンサ類(例えば、回転角度、及びトルクを検知する検知部)を搭載して、ステアリングホイールに連結された操作軸からの直交軸入力が可能になる。
具体的には、例えば、検知部で検知した回転角度及びトルクに基づいて回転機器を制御することにより、回転機器で減速機を作動することができる。これにより、運転者の操作を検知部や回転機器でアシストすることができる。
【0024】
上記構成で、前記減速機は、内歯を有するケースを備え、前記歯車群は、前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、を備え、前記回転機器及び前記操作機構は、前記クランク軸に回転力を入力してもよい。
【0025】
本発明の他の態様に係る駆動装置は、内歯を有するケースと、前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、前記クランク軸に外部の回転力を入力する操作機構と、を備え、前記操作機構は、前記クランク軸に回転力を伝達する従動かさ歯車と、前記従動かさ歯車の軸線に対して直交する位置に設けられ、前記従動かさ歯車に噛合う駆動かさ歯車と、を備え、前記従動かさ歯車は、前記従動かさ歯車の回転方向を変更する第1噛合い位置と、第2噛合い位置とに切換自在である。
【0026】
ここで、操舵装置は車種や使用国の違いにより、右ハンドル、左ハンドルの違いがある。このため、右ハンドル、左ハンドルの違いにより操舵装置が設計変更されている。右ハンドル、左ハンドルの両方に対応するために、例えば、操作機構を車載するレイアウトの変更や、操舵用の内蔵ボールネジのネジ方向の変更等で対応している。
【0027】
このように構成することで、従動かさ歯車を第1噛合い位置と第2噛合い位置とに切換えるのみで、駆動かさ歯車の回転に対する従動かさ歯車の回転方向を逆転させることができる。すなわち、従動かさ歯車の取付位置を変える以外の部品の設計を一切変えることなく、従動かさ歯車の回転を変更できる。
また、操作機構を小型にでき、減速機付き駆動装置を小型化できる。
【0028】
本発明の他の態様に係る駆動装置は、内歯を有するケースと、前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、前記クランク軸に回転力を入力する回転機器と、前記クランク軸に外部の回転力を入力する操作機構と、を備え、前記クランク軸は、前記回転機器からの入力が伝達される第1伝達歯車と、前記第1伝達歯車に隣接して設けられ、前記操作機構からの入力が伝達される第2伝達歯車と、を備えた。
【0029】
ここで、従来、減速機のクランク軸に回転機器と操作機構との2系統から回転力を入力する場合、クランク軸の一端部に回転機器の回転力が入力する伝達歯車を設け、クランク軸の他端部に操作機構の回転力が入力する伝達歯車を設けていた。よって、クランク軸が軸方向に伸びてしまう。また、回転機器と操作機構とは、それぞれ上下両側に配置される。このため、減速機付き駆動装置のユニットとしてのサイズが大きくなる。
特に、減速機付き駆動装置を操舵装置に採用した場合には、路面側に回転機器(モータ)が配置されることが考えられ、路面からの飛び石・泥水などにより、破損のリスクが高まることが考えられる。
【0030】
そこで、クランク軸の端部に第1伝達歯車と第2伝達歯車とを隣接して設けるようにした。このように構成することで、減速機付き駆動装置を小型に抑えた状態で、クランク軸(すなわち、減速機)に回転機器及び操作機構の2系統から回転力をクランク軸に入力することができる。
また、回転機器を上部に配置することが可能となり、飛び石などによる影響を抑えることができる。
【0031】
本発明の他の態様に係る駆動装置は、回転機器と、前記回転機器の回転力が入力される第1入力軸を有する減速機と、前記第1入力軸と交差する第2入力軸を有し、前記第1入力軸に前記第2入力軸を介して外部の回転力を入力する操作機構と、を備え、前記回転機器と、前記減速機及び操作機構とは、任意の平面を挟んで両側に配置されている。
【0032】
ここで、従来、回転機器(モータ)及び駆動装置の場合、回転機器の駆動軸部にオイルシールが設けられ、減速機の内部の潤滑剤が回転機器側に流入しないように構成されている。回転機器の駆動軸は高速回転で駆動するため、オイルシールはある程度の緊迫力があるものが使用される。このため、駆動軸にかかる負担が大きくなり、そのことが余分な損失となっている。
また、一般に、駆動装置は、構造上、減速機の上方に操作機構が設けられている。このため、例えば、減速機の内部の噛合い部を潤滑させつつ、減速機の内部に充分な空間容積を確保することが困難となることが考えられる。
【0033】
そこで、任意の平面を挟んで一方に回転機器を配置し、他方に減速機及び操作機構を配置した。このような構成のもと、例えば回転機器を減速機の上方に配置することで、回転機器の駆動軸部に設けられているオイルシールを除去できる。これにより、駆動軸にかかる負担を小さく抑えることができ、余分な損失の軽減(すなわち、高効率化、バックドライブトルクの軽減)が可能となる。また、減速機の側の潤滑剤が、回転機器の駆動軸部に流入することを、重力により阻止できる。
【0034】
さらに、例えば操作機構(収容ケース)を減速機11の側方に配置することで、減速機の内部で、潤滑剤の油面を回転機器の位置より低くできる。また、駆動装置の全体に空間を設けることも可能となる。これにより、潤滑剤の油面を駆動装置の内部で偏りをなくすことにより、噛合い部品を潤滑させつつ、充分な空間容積も確保することが可能となる。
【0035】
上記構成で、前記減速機は、内歯を有するケースと、前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持され一端側に配置された伝達歯車を有するクランク軸と、前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、を備え、前記伝達歯車を挟んで前記減速機とは反対側に前記回転機器が配置されて前記伝達歯車に前記回転機器の回転力が入力され、前記操作機構は、前記伝達歯車に前記第2入力軸を介して外部の回転力を入力してもよい。
【0036】
本発明の他の態様に係る駆動装置は、内歯を有するケースと、前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持されるクランク軸と、前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、前記クランク軸に回転力を入力する回転機器と、前記クランク軸に外部の回転力を入力する操作機構と、を備え、前記回転機器に対する前記クランク軸の減速比が4~5、前記操作機構に対する前記クランク軸の増速比が4~5である。
【0037】
ここで、例えば、車両の操舵装置では、減速機付き駆動装置を回転機器(モータ)により駆動する場合、回転機器の消費電力をなるべく落とすために高減速比が要求される。さらに、運転者がステアリングホイールの回転を伝えるためには、運転者による操舵操作が即座に出力される必要があり、低減速比による動作が要求される。
回転機器による回転出力と運転者による回転出力との双方の回転出力は、同じ減速機に入力され、入力された回転出力により操舵されることが好ましい。同じ減速機に双方の回転入力を入力し、かつ、高減速比及び低減速比の両方の機能を備えるためには、回転機器から減速機への伝達比を減速させ、ステアリングホイールから減速機への伝達比を増速させる必要がある。
【0038】
そこで、回転機器に対するクランク軸の減速比を4~5、操作機構に対するクランク軸の増速比を4~5とした。このように構成することで、回転機器からクランク軸への入力を適正な減速比で実施でき、電力負荷を落とすことが可能となる。
また、操作機構からクランク軸への入力を適正な増速比で実施でき、運転者による操作を素早くおこなうことができる。
また、回転機器に対するクランク軸の減速比を4~5、操作機構に対するクランク軸の増速比を4~5とするのみで、回転機器による操作と、運転者による操作とを好適に実行でき、駆動装置を小型化できる。
【0039】
本発明の他の態様に係る駆動装置は、車輪部に設けられた車輪駆動部をアクスルシャフトに連結する減速機と、前記減速機に回転力を入力して前記車輪駆動部を前記アクスルシャフトに対して水平方向に揺動する回転機器と、を備える。
【0040】
ここで、例えば、自動車業界では、環境への影響を配慮して、自動車のEV(Electric Vehicle)化が進んでいる。自動運転化も視野に入れ、駆動・操舵を電動化することが課題となっている。
【0041】
そこで、車輪駆動部を駆動装置(減速機及び回転機器)でアクスルシャフトに対して水平方向に揺動するようにした。このように構成することで、自動車のEV化、自動運転化が可能となる。また、ステアリングリンク部を省略でき、機械的な連結が不要なステアバイワイヤでの操舵が可能となる。
ステアリングリンク部を省略することにより、駆動装置を小型化できる。
さらに、駆動装置を一輪ごとに備えることにより、例えば、内輪、外輪の回転数を変更できるので、損失の少ない操舵が可能となる。
【0042】
本発明の他の態様に係る駆動装置は、タイロッドに設けられ、車輪部に設けられた車輪駆動部がリンクを介して連結される回転機器を備え、前記回転機器は、前記タイロッドを軸方向に移動することにより、前記車輪駆動部を前記タイロッドに対して水平方向に揺動する。
【0043】
ここで、例えば、自動車業界では、環境への影響を配慮して、自動車のEV(Electric Vehicle)化が進んでいる。自動運転化も視野に入れ、駆動・操舵を電動化することが課題となっている。
【0044】
そこで、車輪駆動部を駆動装置でタイロッドに対して水平方向に揺動するようにした。このように構成することで、自動車のEV化、自動運転化が可能となる。また、ステアリングリンク部を省略でき、機械的な連結が不要なステアバイワイヤでの操舵が可能となる。
ステアリングリンク部を省略することにより、駆動装置を小型化できる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、減速機及び駆動装置を多様な設備等に適用でき、かつ小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の第1実施形態の駆動装置を示す断面図。
【
図3】本発明の第1実施形態の変形例の駆動装置を示す断面図。
【
図4】本発明の第2実施形態の減速機を示す断面図。
【
図5】本発明の第3実施形態の駆動装置を示す断面図。
【
図6】本発明の第4実施形態の駆動装置を示す断面図。
【
図7】本発明の第5実施形態の従動かさ歯車を減速機側に配置した例を示す断面図。
【
図8】本発明の第5実施形態の従動かさ歯車を減速機の反対側に配置した例を示す断面図。
【
図10】本発明の第6実施形態の変形例1の駆動装置の断面図。
【
図11】本発明の第6実施形態の変形例2の駆動装置の断面図。
【
図12】本発明の第6実施形態の変形例3の駆動装置の断面図。
【
図13】本発明の第6実施形態の変形例4の駆動装置の断面図。
【
図14】本発明の第7実施形態の駆動装置を示す断面図。
【
図15】本発明の第8実施形態の駆動装置を示す断面図。
【
図16】本発明の第9実施形態の駆動装置を示す断面図。
【
図17】本発明の第9実施形態のスリーブ及びオイルシールを拡大した断面図。
【
図18】本発明の第9実施形態のオイルシールの変形例1を示す断面図。
【
図19】本発明の第9実施形態のスリーブ及びオイルシールを取り付ける位置を変えた例を示す変形例2の断面図。
【
図20】本発明の第10実施形態の操舵装置を示す平面図。
【
図21】本発明の第10実施形態の操舵装置を示す正面図。
【
図22】本発明の第10実施形態の操舵装置を操舵する例を説明する平面図。
【
図23】本発明の第11実施形態の操舵装置を示す平面図。
【
図24】本発明の第11実施形態の操舵装置を操舵する例を説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
次に、本発明の実施形態に係る減速機及び駆動装置を図面に基づいて説明する。
【0048】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の駆動装置を示す断面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿う断面図である。
図1、
図2に示すように、駆動装置10は、減速機11と、駆動源(例えば、モータ)である回転機器12と、を備えている。駆動装置10は、例えば、偏心揺動減速機とされ、自動車などの車両の操舵装置に用いられる。
回転機器12は、減速機11を駆動する駆動源(例えば、モータ)である。
【0049】
減速機11は、例えば、偏心揺動減速機とされ、自動車などの車両の操舵装置に用いられる。減速機11は、筐体筒(ケース)20と、歯車部40と、3つのクランク組立体50と、加熱部70と、を備える。筐体筒20は、歯車部40と、3つのクランク組立体50と、を収容する。
筐体筒20は、第1ケース21と、第2ケース22と、2つの主軸受23と、を含む。2つの主軸受23は、第1ケース21と、第2ケース22と、の間の相対的な回転運動を可能にする。減速機11の出力部は、第1ケース21及び第2ケース22のうち一方によって例示される。
【0050】
2つの主軸受23の回転中心軸として規定される減速機11の中心軸(主軸)F0を示す。第1ケース21が固定されている場合には、第2ケース22が、主軸F0周りに回転する。第2ケース22が固定されている場合には、第1ケース21が、主軸F0周りに回転する。すなわち、第1ケース21及び第2ケース22のうち一方は、第1ケース21及び第2ケース22のうち他方に対して、主軸F0周りに相対的に回転することができる。
【0051】
円筒状である第1ケース21の外周には、取付フランジ24が周設されている。取付フランジ24の周縁には、取付穴25が互いに間隔を有して複数形成されている。取付フランジ24は、たとえば、インローとして減速機11を取り付ける際に用いられる。
【0052】
第2ケース22は、内周面に複数の内歯ピン(内歯)26と、を含む。各内歯ピン26は、主軸F0にほぼ平行に延びる円柱状の部材である。各内歯ピン26は、第2ケース22の内壁に形成された溝部に嵌入される。したがって、各内歯ピン26は、第2ケース22によって適切に保持される。
【0053】
複数の内歯ピン26は、主軸F0周りに等間隔で配置される。各内歯ピン26の半周面は、第2ケース22の内壁から主軸F0に向けて突出する。したがって、複数の内歯ピン26は、歯車部40と噛合う内歯として機能する。
【0054】
第1ケース21は、基部27と、端板部28と、位置決めピン29と、固定ボルト31と、を含む。第1ケース21は、全体的に、円筒形状をなす。第1ケース21には、主軸F0と同心となる貫通孔21aが形成される。
基部27は、基板部32と、3つのシャフト部33と、を含む。3つのシャフト部33それぞれは、基板部32から端板部28に向けて延びる。3つのシャフト部33それぞれの先端面には、ネジ孔35及びリーマ孔36が形成される。位置決めピン29は、リーマ孔36へ挿入される。この結果、端板部28は、基部27に対して精度よく位置決めされる。固定ボルト31は、ネジ孔35に螺合する。この結果、端板部28は、基部27に適切に固定される。
【0055】
歯車部40は、基板部32と端板部28との間に配置される。3つのシャフト部33は、歯車部40を貫通し、端板部28に接続される。
歯車部40は、2つの歯車(外歯部材)41,42を含む。歯車41は、基板部32と歯車42との間に配置されて、複数の内歯ピン26に噛合う外歯を有する。歯車42は、端板部28と歯車41との間に配置されて、複数の内歯ピン26に噛合う外歯を有する。
【0056】
歯車41の形状及び大きさは、歯車42とほぼ等しい。歯車41,42は、内歯ピン26に噛合いながら、第2ケース22内を周回移動する。したがって、歯車41,42の中心は、主軸F0周りを周回することとなる。
【0057】
歯車41の周回位相は、歯車42の周回位相から約180°ずれている。歯車41は、複数の内歯ピン26のうち半数に噛合う間、歯車42は、複数の内歯ピン26のうち残りの半数に噛合う。したがって、歯車部40は、第1ケース21又は第2ケース22を回転させることができる。
【0058】
第1実施形態では、歯車部40は、2つの歯車41,42を含む。あるいは、歯車部として、2を超える数の歯車を用いてもよい。更に代替的に、歯車部として、1つの歯車を用いてもよい。
【0059】
3つのクランク組立体50それぞれは、クランク軸51と、4つの軸受52,53,54,55と、伝達歯車56と、を含む。3つのクランク軸51は、主軸F0と同心で所定間隔をあけて離間されるとともに周方向に互いに離間して配置された回転軸である。
伝達歯車56は、駆動源としての回転機器(例えば、モータ)12の駆動軸57の歯車に噛合わされている。伝達歯車56は、駆動源としての回転機器12が発生させた駆動力を直接的又は間接的に受ける。減速機11は、その使用環境や使用条件に応じて回転機器12から伝達歯車56までの駆動力の伝達経路を適宜設定することができる。したがって、第1実施形態は、回転機器12から伝達歯車56までの特定の駆動伝達経路に限定されない。
【0060】
図1には、クランク軸線(伝達軸)F2を示す。伝達軸F2は、主軸F0に対してほぼ平行である。3つのクランク軸線F2は、主軸F0と同心で所定間隔をあけて離間されるとともに周方向に互いに離間して位置する。クランク軸51は、伝達軸F2周りに回転する。
クランク軸51は、2つのジャーナル(クランクジャーナル)58,59と、2つの偏心部(偏心体)61,62と、を含む。ジャーナル58,59は、伝達軸F2に沿って延びる。ジャーナル58,59の中心軸は、伝達軸F2に一致する。偏心部61,62は、ジャーナル58,59間に形成される。偏心部61,62それぞれは、伝達軸F2から偏心している。
【0061】
ジャーナル58は、軸受52を介して端板部28に支持される。ジャーナル59は、軸受53を介して基部27に支持される。
偏心部61は、軸受54に挿入される。軸受54は、偏心部61と歯車41との間に配置される。よって、歯車41は、偏心部61により偏心運動する。偏心部62は、軸受55に挿入される。軸受55は、偏心部62と歯車42との間に配置される。よって、歯車42は、偏心部62により偏心運動する。
【0062】
伝達歯車56に回転機器12の駆動軸57から駆動力が入力されると、クランク軸51は、伝達軸F2周りに回転する。この結果、偏心部61,62は、伝達軸F2周りに偏心回転する。軸受54,55を介して偏心部61,62に接続された歯車41,42は、第2ケース22によって規定された円形空間内で揺動する。歯車41,42は、内歯ピン26に噛合うので、第1ケース21と第2ケース22との間で相対的な回転運動が引き起こされる。
【0063】
ここで、減速機11を屋外で使用をする際、使用する地域によっては気温が氷点下になることがしばしばある。その環境で減速機11を始動する際、減速機11の内部、特に潤滑剤が凝固し、減速機11の性能を満足させることが難しくなる。例えば、減速機11を作動できなくなることも考えられる。
例えば、減速機11を車両の操舵装置に備えた場合には、従来、エンジンの熱により、潤滑剤の凝固を回避していた。しかし、近年、車両の電動化(モータ駆動)が進んでおり、電動化された車両の場合、エンジンの熱により潤滑剤の温度を上げることは難しい。
【0064】
そこで、例えば、筐体筒20の第2ケース22のうち外周面に沿って加熱部70を環状に設ける(内蔵する)ようにした。加熱部70は、ヒータ(熱線)71と、絶縁部72と、を備える。ヒータ71は、ワイヤハーネス73を介して電源(図示せず)に接続されている。絶縁部72は、例えばゴムなどの絶縁材で形成され、ヒータ71を覆うように形成されている。
【0065】
第2ケース22の外周面に沿って加熱部70を設けることにより、加熱部70で、例えば寒冷地でも、第2ケース22を加熱して筐体筒20内の潤滑剤の温度を高めることができる。よって、潤滑剤の粘性(粘度)を下げることができる。これにより、例えば、減速機11を寒冷地仕様の車両に備えた場合でも、減速機11を確実に始動させることができる。
さらに、減速機11の第2ケース22を利用して加熱部70を設けることにより、加熱部70を設けるために専用の取付部材を個別に用意する必要がなく、減速機11の形状をコンパクトに抑えることができる。これにより、減速機11を多様な設備等の取り付けることができ、用途の範囲を拡大できる。
【0066】
[変形例]
図3は、第1実施形態の変形例の駆動装置を示す断面図である。
図3に示すように、変形例の減速機80は、例えば、筐体筒20の第1ケース21のうち、貫通孔21aの内周面に沿って加熱部81を設けた(内蔵した)ものである。変形例の減速機80その他の構成は、第1実施形態の減速機11と同様である。
【0067】
加熱部81は、ヒータ(熱線)82と、絶縁部83と、を備える。ヒータ82は、ワイヤハーネス84を介して電源(図示せず)に接続されている。すなわち、ヒータ82は、例えば、貫通孔21aの内周面に環状に設けることにより、減速機80の内部に配置される。これにより、ヒータ82は、減速機80の内部の潤滑剤に接触されている。絶縁部83は、例えばゴムなどの絶縁材で形成され、ヒータ82を覆うように形成されている。
ワイヤハーネス84は、減速機80の内部を経て基板部32の貫通孔32aに挿通される。挿通したワイヤハーネス84は、固定部85により基板部32に固定されている。
【0068】
加熱部81は、ヒータ82が減速機80の内部に配置されて潤滑剤に接触されている。よって、潤滑剤をヒータ82で直接加熱できるので、潤滑剤の温度を一層効率よく高めることができる。これにより、例えば、減速機80を寒冷地仕様の車両に備えた場合でも、減速機80を確実に始動させることができる。
さらに、減速機80の貫通孔21aの内周面を利用して、減速機80の内部に加熱部81を設けることにより、加熱部81を設けるために専用の取付部材を個別に用意する必要がなく、減速機80の形状をコンパクトに抑えることができる。これにより、減速機80を多様な設備等の取り付けることができ、用途の範囲を拡大できる。
【0069】
以下、第2実施形態から第11実施形態を
図4から
図24に基づいて説明する。第2実施形態から第11実施形態では、第1実施形態と同一、類似部材については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0070】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の減速機を示す断面図である。
図4に示すように、第2実施形態の減速機90は、内歯ピン26が80~120本に設定され、クランク軸51の偏心量が1.3mm以下に設定されたものである。第2実施形態の減速機90のその他の構成は、第1実施形態の減速機11と同様である。
【0071】
このように、内歯ピン26は、通常の内歯ピンに比べて80~120本に増すように設定されている。すなわち、第2ケース22の内歯は、歯数が80~120に設定されている。また、クランク軸51の偏心量は、通常の偏心量に比べて1.3mm以下に減らすように設定されている。
内歯ピン26を80~120本に設定し、クランク軸51の偏心量を1.3mm以下に設定する理由は次のとおりである。
【0072】
すなわち、減速機90を操舵装置に備える場合、操舵装置に備える減速機90に要求される事項として、軽量化、コンパクト化、かつ高耐荷重であることが必要である。
操舵装置は、モータなどの回転機器でアシストしつつ、運転手による操作も同時に行われる。このため、ハンドルに掛かる感触、感覚(フィーリング)に違和感なく操舵を行うことが要求される。さらに、減速機90の内部には、偏心揺動運動をする機構が設けられているため、スムーズな偏心揺動運動をさせる必要がある。
【0073】
そこで、内歯ピン26を80~120本に増すように設定した。内歯ピン26のピン数を80~120本に増すことにより、歯車部40の歯車41,42から荷重を受ける内歯ピン26を増すことができる。これにより、減速機90は、コンパクトな状態のままで高耐荷重に対応することが可能となる。
また、クランク軸51の偏心量を1.3mm以下に減らすように設定した。クランク軸51の偏心量を1.3mm以下に減らすことにより、クランク軸51や歯車部40(歯車41,42)の振動量を小さく抑えることができる。これにより、運転手の違和感がなく、減速機90をスムーズに回転することができる。
【0074】
[第3実施形態]
図5は、第3実施形態の駆動装置を示す断面図である。
図5に示すように、第3実施形態の駆動装置100は、第1実施形態の減速機11から加熱部70を除去し、さらに筐体筒20を筐体筒(ケース)101に代え、加えて、操作機構102を備えたものである。第3実施形態の駆動装置100のその他の構成は、第1実施形態の駆動装置10と同様である。
【0075】
筐体筒101は、例えば、第1ケース105と、第2ケース22と、第3ケース106と、を含む。筐体筒101は、歯車部40と、3つのクランク組立体50と、を収容する。すなわち、筐体筒101は、減速機のケースを形成している。
第1ケース105は、例えば、基部27と、端板部107と、を含む。端板部107は、第1実施形態の端板部28に第1収容ケース109を有している。第1収容ケース109は、操作機構102を収容する収容ケース108の一方を形成するケースである。
第3ケース106は、複数のボルト111により端板部107に密閉された状態に取り付けられている。
【0076】
第3ケース106は、ケース部112と、第2収容ケース113と、を有している。
第2収容ケース113は、操作機構102を収容する収容ケース108の他方を形成するケースである。第1収容ケース109及び第2収容ケース113により収容ケース108が形成さている。収容ケース108には、操作機構102の主要部が収納されている。
【0077】
操作機構102は、操作軸115と、第1かさ歯車(第1ベベルギヤ)116と、第2かさ歯車(第2ベベルギヤ)117と、中間軸118と、中間歯車119と、を備えている。操作軸115は、支持部126に軸受127を介して回転自在に支持されている。支持部126は、収容ケース108に固定されている。
操作軸115の先端に第1かさ歯車116が同軸上に形成されている。第1かさ歯車116には、第2かさ歯車117が噛合わされている。第2かさ歯車117は、中間軸118に同軸上に設けられている。中間軸118は、操作軸115に対して直交するように配置され、収容ケース108に軸受128を介して回転自在に支持されている。
中間軸118には、中間歯車119が同軸上に設けられている。中間歯車119は、伝達歯車56に噛合わされている。
【0078】
操作機構102は、中間軸118が操作軸115に対して直交するように配置されることにより直交入力部に構成されている。操作機構102は、例えば、運転者が操作軸115を操作して回転させることにより、操作軸115の回転力が第1かさ歯車116に伝えられる。第1かさ歯車116の回転力は、第2かさ歯車117と、中間軸118、及び中間歯車119を経て伝達歯車56に伝達される。
【0079】
第3ケース106のケース部112には、回転機器12が取り付けられている。回転機器12は、機器ケース121と、機器本体122と、を備えている。機器ケース121は、断面U字状に形成され、ケース部112に対向する部位が開口されている。機器ケース121の内部には、機器本体122が収容されている。また、機器ケース121の開口部は、ケース部112により覆われている。
すなわち、ケース部112は、減速機のケースの一部を形成し、かつ機器ケース121の一部を形成している。
減速機のケースの一部を形成するケース部112で、回転機器12のケースの一部を形成する理由は次のとおりである。
【0080】
すなわち、一般に回転機器(例えば、モータ)は、機器本体(例えば、モータ本体)の全体が機構ケースで覆われている。よって、回転機器を減速機に取り付けた場合に、取り付けられた部位で、減速機のケースと回転機器のケースとが重ね合わされる。さらに、例えば、減速機のケースに回転機器のケースをボルト等で取り付けためには、減速機のケースにねじ孔を形成する必要がある。このため、減速機のケースの板厚が厚くなる。
【0081】
ところで、回転機器の駆動軸は、回転機器のケース及び減速機のケースを貫通して減速機の内部に配置される。よって、回転機器の駆動軸は、長くなり、イナーシャが高くなることが考えられる。このため、回転機器への負担が大きくなることが考えられる。
また、減速機のケースと回転機器のケースとが重ね合わされることにより、駆動装置の扁平化(すなわち、コンパクト化)を図ることが難しくなる。
【0082】
そこで、減速機の筐体筒101のうち回転機器12に対向するケース部112を回転機器12のケースの一部として兼用するようにした。よって、減速機と回転機器12との間に、ケース部112のみを介在させる構成にできる。これにより、回転機器12の駆動軸57を短くしてイナーシャを低く抑えることができ、回転機器への負担を小さく抑えることができる。
また、駆動装置100の扁平化(すなわち、コンパクト化)を図ることができる。
【0083】
[第4実施形態]
図6は、第4実施形態の駆動装置を示す断面図である。
図6に示すように、第4実施形態の駆動装置140は、第3実施形態の駆動装置100の収容ケース108を収容ケース141に代えるとともに、操作機構102を操作機構142に代え、さらに検知部143を備えたものである。第4実施形態の駆動装置140のその他の構成は、第3実施形態の駆動装置100と同様である。
【0084】
収容ケース141は、第3実施形態の収容ケース108と同様に形成されているので詳しい説明を省略する。
操作機構142は、第3実施形態の操作軸115を第1操作軸144と、第2操作軸145と、に分割したものである。第1操作軸144は、軸受146を介して支持部126に回転自在に支持されている。第1操作軸144は、基端部が支持部126から収容ケース108の外部に突出されている。第2操作軸145は、軸受147を介して支持部126に回転自在に支持されている。第2操作軸145は、先端部に第1かさ歯車116が同軸上に設けられている。
【0085】
検知部143は、例えば、第1操作軸144の先端部及び第2操作軸145の基端部にトーションバー148、及びロータ149等が設けられている。トーションバー148は、例えば、第1操作軸144の先端部の収容孔と、第2操作軸145の基端部の収容孔とに収容されている。トーションバー148は、例えば、スプリングピン152で第1操作軸144及び第2操作軸145に固定されている。
検知部143は、例えば、ロータ149等で第1操作軸144と第2操作軸145との回転角度を検知することができる。また、検知部143は、例えば、トーションバー148等で第1操作軸144と第2操作軸145とに発生したトルクを、回転角度と同時に検知することができる。
操作機構142の第1操作軸144及び第2操作軸145に検知部143を備えた理由は次のとおりである。
【0086】
すなわち、車両の操舵装置では、自動運転化、電動化に向けて、自動操舵、アシスト制御をおこなうためのセンサ類(例えば、回転角度、及びトルクを検知する検知部)の搭載が要求されている。このため、現行車両の車載スペースに搭載できるセンサ類が必要となる。
また、現行車両の構造から、例えば、減速機のクランク軸(回転軸)51は、ステアリングホイールに連結された第1操作軸144及び第2操作軸145に対して直交に配置されている。
このため、例えば、操作機構142の第2操作軸145に第1かさ歯車116を設け、さらに第1操作軸144及び第2操作軸145に検知部143を設けるようにした。
【0087】
このように構成することで、第1かさ歯車116や検知部143を備えた操作機構142をコンパクトにまとめられている。よって、例えば、現行車両の小スペースに、自動操舵、アシスト制御に必要なセンサ類(例えば、検知部143)を搭載して、ステアリングホイールに連結された第1操作軸144からの直交軸入力が可能になる。
具体的には、例えば、第1操作軸144を操作して回転力をクランク軸51に入力する際に、検知部143で回転角度及びトルクを検知する。検知部143で検知した回転角度及びトルクに基づいて回転機器12を制御することにより、回転機器12で減速機を作動することができる。これにより、運転者の操作を検知部143や回転機器12でアシストすることができる。
【0088】
[第5実施形態]
図7は、第5実施形態の駆動装置の従動かさ歯車を減速機側に配置した例を示す断面図である。
図8は、第5実施形態の駆動装置の従動かさ歯車を減速機の反対側に配置した例を示す断面図である。
図7に示すように、第5実施形態の駆動装置160は、第4実施形態の操作機構142を操作機構162に代えたものである。第5実施形態の駆動装置160のその他の構成は、第4実施形態の駆動装置140と同様である。
【0089】
操作機構162は、第4実施形態の操作機構142から検知部143を除去し、第1操作軸144及び第2操作軸145を操作軸115に代え、中間軸118を中間軸164に代えたものである。
中間軸164は、第1噛合い位置164aと、第2噛合い位置164bとの各外周面にスプライン、セレーション、キー溝等の第1係止部が形成されている。第1噛合い位置164aは、中間軸164のうち中間歯車119(すなわち、減速機)の側の端部である。第2噛合い位置164bは、中間軸164のうち中間歯車119(すなわち、減速機)の反対側の端部である。
【0090】
第2かさ歯車(従動かさ歯車)117は、内周面にスプライン、セレーション、キー溝等の第2係止部が形成されている。第2係止部は、第1噛合い位置164a及び第2噛合い位置164bの第1係止部に係り合うように形成されている。
これにより、中間軸164の第1噛合い位置164aと第2噛合い位置164bとに第2かさ歯車117が向きを変えて着脱自在に取り付けられる。すなわち、第2かさ歯車117を、第1噛合い位置164aと第2噛合い位置164bとに向きを変えて、かつ、切換自在に取り付けることができる。
【0091】
図7に示すように、第2かさ歯車117が第1噛合い位置164aに取り付けられている。よって、駆動装置160によれば、操作機構162の操作軸115に、例えば時計回り方向に矢印Aの如く回転力を伝えることにより、操作軸115の回転力が第1かさ歯車(駆動かさ歯車)116に伝えられる。第1かさ歯車116の回転力により、第2かさ歯車117及び中間軸118に矢印B方向への回転力が伝達される。中間軸118の回転力は、中間歯車119を経て伝達歯車56に伝達される。
また、操作軸115に、例えば反時計回り方向に矢印Cの如く回転力を伝えることにより、操作軸115の回転力が第1かさ歯車116に伝えられる。第1かさ歯車116の回転力により、第2かさ歯車117及び中間軸118に矢印D方向への回転力が伝達される。
【0092】
図8に示すように、第2かさ歯車117が第2噛合い位置164bに取り付けられている。よって、駆動装置160によれば、操作機構162の操作軸115に、例えば時計回り方向に矢印Aの如く回転力を伝えることにより、操作軸115の回転力が第1かさ歯車116に伝えられる。第1かさ歯車116の回転力により、第2かさ歯車117及び中間軸118に矢印D方向への回転力が伝達される。中間軸118の回転力は、中間歯車119を経て伝達歯車56に伝達される。
また、操作軸115に、例えば反時計回り方向に矢印Cの如く回転力を伝えることにより、操作軸115の回転力が第1かさ歯車116に伝えられる。第1かさ歯車116の回転力により、第2かさ歯車117及び中間軸118に矢印B方向への回転力が伝達される。
図7、
図8に示すように、中間軸164の第1噛合い位置164aと第2噛合い位置164bとに第2かさ歯車117を切換えるのみで、第1噛合い位置164aの回転に対する第2かさ歯車117の回転方向を逆転させることができる。
【0093】
ここで、操舵装置は車種や使用国の違いにより、右ハンドル、左ハンドルの違いがある。このため、右ハンドル、左ハンドルの違いにより操舵装置が設計変更されている。右ハンドル、左ハンドルの両方に対応するために、例えば、操作機構を車載するレイアウトの変更や、操舵用の内蔵ボールネジのネジ方向の変更等で対応している。
【0094】
そこで、操作機構162では、中間軸164の第1噛合い位置164aと第2噛合い位置164bとに第2かさ歯車117を切換えるのみで、第1噛合い位置164aの回転に対する第2かさ歯車117の回転方向を逆転させるようにした。
これにより、第2かさ歯車117の取付位置を変える以外の部品の設計を一切変えることなく、第2かさ歯車117の回転を変更できる。
また、操作機構16をコンパクトにまとめることができ、駆動装置160のコンパクト化を図ることができる。
【0095】
[第6実施形態]
図9は、第6実施形態の駆動装置の断面図である。
図9に示すように、第6実施形態の駆動装置170は、第5実施形態のクランク軸51をクランク軸171に代えたものである。第6実施形態の駆動装置170のその他の構成は、第5実施形態の駆動装置160と同様である。
クランク軸171は、回転機器12の側の端部に第1伝達歯車172と、第2伝達歯車173と、を備える。
【0096】
第1伝達歯車172は、クランク軸171の端部に取り付けられたスパーギヤである。第1伝達歯車172は、回転機器12の駆動軸57の歯車に噛合わされている。すなわち、第1伝達歯車172には、回転機器12から回転力が入力される。これにより、回転機器12から入力した回転力が、第1伝達歯車172を介してクランク軸171に入力する。
【0097】
第2伝達歯車173は、クランク軸171の端部で、第1伝達歯車172に隣接して形成(加工)された小歯車である。第2伝達歯車173は、操作機構175の中間歯車176に噛合わされている。操作機構175は、第5実施形態の操作機構162の中間歯車119を中間歯車176に代えたものである。
第2伝達歯車173には、操作機構175から回転力が入力される。これにより、操作機構175から入力した回転力が、第2伝達歯車173を介してクランク軸171に入力する。
このように、クランク軸171の端部に第1伝達歯車172と第2伝達歯車173とを隣接して設けることにより、クランク軸171(すなわち、減速機)に回転機器12及び操作機構175の2系統から回転力を入力できる。
【0098】
ここで、従来、減速機のクランク軸に回転機器と操作機構との2系統から回転力を入力する場合、例えば、クランク軸の一端部に回転機器の回転力が入力する伝達歯車を設け、クランク軸の他端部に操作機構の回転力が入力する伝達歯車を設けていた。よって、クランク軸が軸方向に伸びてしまう。また、回転機器と操作機構とが、それぞれ上下両側に配置される。このため、減速機付き駆動装置のユニットとしてのサイズが大きくなる。
特に、減速機付き駆動装置を操舵装置に採用した場合には、路面側に回転機器(モータ)が配置されることが考えられ、路面からの飛び石・泥水などにより、破損のリスクが高まることが考えられる。
【0099】
そこで、クランク軸171の端部に第1伝達歯車172と第2伝達歯車173とを隣接して設けるようにした。これにより、駆動装置170の形状をコンパクトに抑えた状態で、クランク軸171(すなわち、減速機)に回転機器12及び操作機構175の2系統から回転力をクランク軸171に入力することができる。
また、回転機器12を上部に配置することが可能となり、飛び石などによる影響を抑えることができる。
【0100】
[変形例1]
図10は、第6実施形態の変形例1も駆動装置の断面図である。
図10に示すように、変形例1の駆動装置180は、第6実施形態の第2伝達歯車173を第2伝達歯車181に代えたものである。変形例1の駆動装置180のその他の構成は、第6実施形態の駆動装置170と同様である。
【0101】
すなわち、駆動装置180は、第1伝達歯車172がクランク軸182の端部に取り付けられている。第1伝達歯車172には、第2伝達歯車181のフランジ183が複数のボルト184で取り付けられている。第2伝達歯車181は、突出部に小歯車185が形成(加工)されている。
よって、第2伝達歯車181(具体的には、小歯車185)は、クランク軸182の端部側で第1伝達歯車172に隣接して設けられている。小歯車185は、中間歯車176に噛合わされている。
【0102】
このように、クランク軸182の端部に第1伝達歯車172と第2伝達歯車181とを隣接して設けた。これにより、駆動装置180の形状をコンパクトに抑えた状態で、クランク軸182(すなわち、減速機)に回転機器12及び操作機構175の2系統から回転力をクランク軸182に入力することができる。
また、回転機器12を上部に配置することが可能となり、飛び石などによる影響を抑えることができる。
【0103】
[変形例2]
図11は、第6実施形態の変形例2の駆動装置の断面図である。
図11に示すように、変形例2の駆動装置190は、変形例1の第2伝達歯車181を第2伝達部191に代えたものである。変形例2の駆動装置190のその他の構成は、変形例1の駆動装置180と同様である。
【0104】
第2伝達部191は、連結部192と、第2伝達歯車196と、を備える。連結部192は、フランジ193が複数のボルト194で第1伝達歯車172に取り付けられている。
連結部192の突出部195には、環状の第2伝達歯車196が嵌合されている。突出部195及び第2伝達歯車196は、キー197で固定されている。第2伝達歯車196は、中間歯車176に噛合わされている。
突出部195の凸面にはプレート198がボルト199で固定されている。
【0105】
このように、クランク軸182の端部に第1伝達歯車172と第2伝達歯車196とを隣接して設けた。これにより、駆動装置190の形状をコンパクトに抑えた状態で、クランク軸182(すなわち、減速機)に回転機器12及び操作機構175の2系統から回転力をクランク軸182に入力することができる。
また、回転機器12を上部に配置することが可能となり、飛び石などによる影響を抑えることができる。
【0106】
[変形例3]
図12は、第6実施形態の変形例3の駆動装置の断面図である。
図12に示すように、変形例3の駆動装置210は、第6実施形態の第2伝達歯車173を第2伝達歯車211に代えたものである。変形例3の駆動装置210のその他の構成は、第6実施形態の駆動装置170と同様である。
【0107】
駆動装置210のクランク軸212は、端部にスプラインやセレーション等の係合部が形成されている。クランク軸212の端部には、第1伝達歯車172と第2伝達歯車211とが隣接して取り付けられている。第2伝達歯車211は、中間歯車176に噛合わされている。中間歯車176は、中間軸177に取り付けられている。
【0108】
このように、クランク軸212の端部に第1伝達歯車172と第2伝達歯車211とを隣接して設けた。これにより、駆動装置210の形状をコンパクトに抑えた状態で、クランク軸212(すなわち、減速機)に回転機器12及び操作機構175の2系統から回転力をクランク軸212に入力することができる。
また、回転機器12を上部に配置することが可能となり、飛び石などによる影響を抑えることができる。
【0109】
[変形例4]
図13は、第6実施形態の変形例4の駆動装置の断面図である。
図13に示すように、変形例4の駆動装置220は、第6実施形態の第2伝達歯車211を第2伝達歯車221に代えたものである。変形例4の駆動装置220のその他の構成は、変形例3の駆動装置210と同様である。
【0110】
第2伝達歯車221は、クランク軸212の端部に第1伝達歯車172と隣接して取り付けられている。第2伝達歯車221は、かさ歯車に形成され、第1かさ歯車116に噛合わされている。
かさ歯車の第2伝達歯車221をクランク軸212の端部に取り付けることにより、変形例3の操作機構175から中間歯車176や中間軸177を除去できる。よって、変形例4の操作機構222から筐体筒(ケース)223のフランジ224までの距離Lを小さく抑えることができる。
【0111】
このように、クランク軸212の端部に第1伝達歯車172と第2伝達歯車221とを隣接して設けた。これにより、駆動装置220の形状をコンパクトに抑えた状態で、クランク軸212(すなわち、減速機)に回転機器12及び操作機構175の2系統から回転力をクランク軸212に入力することができる。
また、回転機器12を上部に配置することが可能となり、飛び石などによる影響を抑えることができる。
さらに、第2伝達歯車221をかさ歯車に形成することにより、操作機構222からフランジ224までの距離Lを小さく抑えることができ、駆動装置220の形状を一層コンパクトにできる。
【0112】
[第7実施形態]
図14は、第7実施形態の駆動装置を示す断面図である。
図14に示すように、第7実施形態の駆動装置230は、
図8に示す第5実施形態の駆動装置160を横向きに配置して操作機構162を減速機11の側方に配置したものである。第7実施形態の駆動装置230のその他の構成は、第5実施形態の駆動装置160と同様である。
【0113】
すなわち、駆動装置230は、減速機11の主軸F0が鉛直を向いて配置される。よって、伝達歯車56は、減速機11の筐体筒20(具体的には、端板部28)の上方に配置されている。伝達歯車56には、駆動軸57が噛合わされている。駆動軸57は鉛直を向いて配置されることにより、回転機器12が減速機11の上方に配置されている。
【0114】
また、伝達歯車56には、中間歯車119が噛合わされている。中間歯車119は、中間軸164の上端に取り付けられている。中間軸164は、鉛直に配置されている。中間軸164には、第2かさ歯車117が中間歯車119の下方に隣接して取り付けられている。第2かさ歯車117には第1かさ歯車116が噛合わされている。第1かさ歯車116が設けられた操作軸115は、第2かさ歯車117の下方に配置されている。
これにより、操作機構162は、減速機11の側方に配置される。操作機構162の主要部は、収容ケース232に収容されている。収容ケース232は、減速機11の側方に配置される。
減速機11(すなわち、筐体筒20)の内部や、収容ケース232の内部等には、噛合い部品等を潤滑させる潤滑剤が蓄えられている。
【0115】
ここで、例えば、一般に、回転機器(モータ)及び駆動装置の場合、回転機器の駆動軸部にオイルシールが設けられ、減速機の内部の潤滑剤が回転機器側に流入しないように構成されている。回転機器の駆動軸は高速回転で駆動するため、オイルシールはある程度の緊迫力があるものが使用される。このため、駆動軸にかかる負担が大きくなり、そのことが余分な損失となっている。
また、一般に、駆動装置は、構造上、減速機の上方に操作機構が設けられている。このため、例えば、減速機の内部の噛合い部を潤滑させつつ、減速機の内部に充分な空間容積を確保することが困難となることが考えられる。
【0116】
そこで、回転機器12を減速機11の上方に配置するようにした。よって、回転機器12の駆動軸57に設けられているオイルシールを除去できる。これにより、駆動軸57にかかる負担を小さく抑えることができ、余分な損失の軽減(すなわち、高効率化、バックドライブトルクの軽減)が可能となる。また、減速機11の潤滑剤が、回転機器12の駆動軸57に沿って内部に流入することを、重力により阻止できる。
【0117】
さらに、収容ケース232を減速機11の側方に配置するようにした。よって、減速機11の内部で、潤滑剤の油面を回転機器12の位置より低くできる。また、駆動装置230の全体に空間を設けることも可能となる。これにより、潤滑剤の油面を駆動装置230の内部で偏りをなくすことにより、噛合い部品を潤滑させつつ、充分な空間容積も確保することが可能となる。
また、収容ケース232を減速機11の側方に配置することにより、駆動装置230のコンパクト化を図ることができる。
【0118】
[第8実施形態]
図15は、第8実施形態の駆動装置を示す断面図である。
図15に示すように、第8実施形態の駆動装置240は、第6実施形態の駆動装置170での回転機器12に対するクランク軸171の減速比を4~5、操作機構175に対するクランク軸171の増速比を4~5としたものである。第8実施形態の駆動装置240のその他の構成は、第6実施形態と同様である。
【0119】
すなわち、駆動装置240は、回転機器12の駆動軸57及び第1伝達歯車172による減速比が4~5に設定されている。また、駆動装置240は、第1かさ歯車116、第2かさ歯車117、中間歯車176、及び第2伝達歯車173による増速比が4~5に設定されている。
【0120】
ここで、例えば、車両の操舵装置では、減速機付き駆動装置を回転機器(モータ)により駆動する場合、回転機器の消費電力をなるべく落とすために高減速比が要求される。さらに、運転者がステアリングホイールの回転を伝えるためには、運転者による操舵操作が即座に出力される必要があり、低減速比による動作が要求される。
【0121】
回転機器による回転出力と運転者による回転出力との双方の回転出力は、同じ減速機に入力され、入力された回転出力により操舵されることが好ましい。同じ減速機に双方の回転入力を入力し、かつ、高減速比及び低減速比の両方の機能を備えるためには、回転機器から減速機への伝達比を減速させ、ステアリングホイールから減速機への伝達比を増速させる必要がある。
【0122】
そこで、回転機器12に対するクランク軸171の減速比を4~5、操作機構175に対するクランク軸171の増速比を4~5とした。このように構成することで、回転機器12からクランク軸171への入力を適正な減速比で実施でき、電力負荷を落とすことが可能となる。
また、操作機構175からクランク軸171への入力を適正な増速比で実施でき、運転者による操作を素早くおこなうことができる。
また、回転機器12に対するクランク軸171の減速比を4~5、操作機構175に対するクランク軸171の増速比を4~5とするのみで、回転機器12による操作と、運転者による操作とを好適に実行でき、駆動装置240のコンパクト化を図ることができる。
【0123】
[第9実施形態]
図16は、第9実施形態の駆動装置を示す断面図である。
図17は、第9実施形態のスリーブ及びオイルシールを拡大した断面図である。
図16、
図17に示すように、第9実施形態の駆動装置300は、第6実施形態の変形例3の駆動装置210にスリーブ301及びオイルシール(シール)302を備えたものである。第9実施形態の駆動装置300のその他の構成は、変形例3の駆動装置210と同様である。
【0124】
図16、
図17に示すように、第1ケース21の端板部28には、第2ケース22と対向する面に環状の溝部304が形成されている。端板部28の溝部304に第2ケース22の一端部22aが差し込まれている。
溝部304の外周壁304aと第2ケース22の一端部22aとの間に環状のスリーブ301が設けられている。スリーブ301は、例えば、内端部305、第1壁部306、及び第2壁部307により断面クランク状に形成されている。
【0125】
内端部305は、第2ケース22の一端面22bに接触されている。よって、スリーブ301は、例えば、第2ケース22の一端面22bにより位置決めされている。また、第1壁部306は、第2ケース22の一端部22a(具体的には、一端部22aの外周面)に接触されている。スリーブ301は、例えば、第2ケース22の一端部22aに固定されている(設けられている)。
【0126】
第2壁部307は、第1壁部306から端板部28の段部309まで環状に張り出され、段部309に非接触に配置されている。第2壁部307を端板部28の段部309に配置することにより、例えば、第2壁部307と段部309との間の隙間をラビリンス状に形成できる。よって、スリーブ301と第1ケース21との間で相対的な回転運動が許容され、かつ、第2壁部307と段部309との間の隙間から水や光等の浸入を好適に抑えることができる。
これにより、溝部304の外周壁304aと第2ケース22の一端部22aとの間の空間がスリーブ301の第2壁部307で好適に閉塞されている。
【0127】
また、溝部304には、第2壁部307より内側に環状のオイルシール302が設けられている。オイルシール302は、シール本体311が溝部304の外周壁304aと第1壁部306とに接触され、さらに、リップ312が第1壁部306に接触されている。 これにより、オイルシール302は、溝部304の外周壁304aと第1壁部306との間を密封することができる。
また、オイルシール302は、スリーブ301で溝部304の外側から覆われている。スリーブ301は、例えば、クランク状に形成されることにより、オイルシール302に雨水、洗浄水、日光等が当たらない形状に形成されている。このように、スリーブ301を形成した理由は次のとおりである。
【0128】
すなわち、減速機を屋外、特に車載などの特殊環境で使用する場合、雨、高圧洗浄、紫外線、飛び石等、従来に影響のなかった外的要因が増加する。このため、屋外での使用を保障できる減速機はないのが現状である。
ところで、例えば、一般に洗浄ロボット向けにスリーブが使用されているが、これらの形状では、雨、高圧洗浄、紫外線、飛び石等の外的要因を防ぐことは難しい。
【0129】
そこで、スリーブ301を、例えばクランク状に形成し、第2ケース22に確実に固定させて、溝部304の外周壁304aと第2ケース22の一端部22aとの間の空間(隙間)をスリーブ301で好適に閉塞するようにした。よって、スリーブ301でオイルシール302を良好(確実)に覆うことができる。これにより、オイルシール302を雨、高圧洗浄、紫外線、飛び石等の外的要因からスリーブ301で防ぐことができる。
また、スリーブ301を第2ケース22に設けるようにした。これにより、スリーブ301を取り付けるための専用の部品を不要にでき、減速機のコンパクト化を図ることができる。
【0130】
[変形例1]
図18は、第9実施形態のオイルシールの変形例1を示す断面図である。
図18に示すように、変形例1のオイルシール(シール)320は、第9実施形態のオイルシール302にリップ322(以下、第2リップ322という)を加えたものである。変形例1のオイルシール320のその他の構成は、第9実施形態のオイルシール302と同様である。
すなわち、オイルシール320は、第1リップ312と、第2リップ322と、を有する。第1リップ312は、第1壁部306に接触する。第2リップ322は、第2壁部307に接触する。よって、オイルシール320は、溝部304の外周壁304aと第1壁部306との間を密封し、かつ、溝部304の外周壁304aと第2壁部307との間を密封することができる。これにより、オイルシール320による密封性を一層高めることができる。
【0131】
[変形例]
図19は、第9実施形態のスリーブ及びオイルシールを取り付ける位置を変えた例を示す変形例2の断面図である。
図19に示すように、スリーブ301及びオイルシール302は、第1ケース21の基板部32と第2ケース22の他端部22cとの間に設けられている。第1ケース21の基板部32と第2ケース22の他端部22cとの間にスリーブ301及びオイルシール302が設けられることにより、基板部32と第2ケース22の他端部22cとの間をスリーブ301及びオイルシール302で密封することができる。
さらに、基板部32と第2ケース22の他端部22cとの間のオイルシール302を、雨、高圧洗浄、紫外線、飛び石等の外的要因からスリーブ301で防ぐことができる。
【0132】
[第10実施形態]
図20は、第10実施形態の駆動装置を有する操舵装置を示す平面図である。
図21は、第10実施形態の駆動装置を有する操舵装置を示す正面図である。
図22は、第10実施形態の駆動装置で操舵装置を操舵する例を説明する平面図である。
【0133】
図20、
図21に示すように、操舵装置250は、アクスルシャフト251と、駆動装置252と、連結部253と、車輪駆動部(インホイールモータ)254と、車輪部255と、を備える。
アクスルシャフト251は、不図示の車両の幅方向に延びている。アクスルシャフト251の両端部に駆動装置252が設けられている。
【0134】
駆動装置252は、例えば、減速機257と、回転機器(モータ)258と、を備える。
減速機257及び回転機器258は、例えば、第1実施形態から第9実施形態の減速機及び回転機器が使用される。減速機257は、例えば、ケースがアクスルシャフト251の端部に取り付けられ、出力部が連結部253に取り付けられている。減速機257の入力軸に、回転機器258の駆動軸が回転力を伝達可能に連結されている。連結部253には、車輪駆動部254が取り付けられている。車輪駆動部254の出力部が車輪部255に取り付けられている。
【0135】
駆動装置252は、一輪(車輪部255)ごとに備えられている。また、減速機257は、車輪部255に設けられた車輪駆動部254をアクスルシャフト251の端部に出力部を介して連結している。さらに、回転機器258は、減速機257の入力軸に回転力を入力して車輪駆動部254をアクスルシャフト251に対して水平方向に揺動する。
車輪駆動部254は、例えば、車輪部255を回転するインホイールモータであり、回生ブレーキを兼ねている。
【0136】
ここで、例えば、自動車業界では、環境への影響を配慮して、自動車のEV(Electric Vehicle)化が進んでいる。自動運転化も視野に入れ、駆動・操舵を電動化することが課題となっている。
【0137】
そこで、
図22に示すように、車輪駆動部254を駆動装置252(減速機257及び回転機器258)でアクスルシャフト251に対して水平方向に揺動するようにした。このように構成することで、自動車のEV化、自動運転化が可能となる。また、ステアリングリンク部を省略でき、機械的な連結が不要なステアバイワイヤでの操舵が可能となる。 ステアリングリンク部を省略することにより、駆動装置252のコンパクト化を図ることができる。
さらに、駆動装置252を一輪ごとに備えることにより、例えば、内輪、外輪の回転数を変更できるので、損失の少ない操舵が可能となる。
【0138】
[第11実施形態]
図23は、第11実施形態の駆動装置を備えた操舵装置を示す平面図である。
図24は、第11実施形態の駆動装置で操舵装置を操舵する例を説明する平面図である。
【0139】
図23に示すように、操舵装置270は、タイロッド271と、駆動装置272と、リンク273と、連結部274と、車輪駆動部(インホイールモータ)275と、車輪部276と、を備える。
タイロッド271は、不図示の車両の幅方向に延びている。タイロッド271の中央に駆動装置272が設けられている。駆動装置272は、例えば中空モータ(直動部)であり、タイロッド271をボールネジ、又はラック&ピニオンにより車幅方向に移動可能に構成されている。
タイロッド271の両端部にリンク273を介して連結部274が連結されている。連結部274には、車輪駆動部275が取り付けられている。
【0140】
すなわち、駆動装置272は、車輪駆動部275にリンク273を介して連結されている。車輪駆動部275の出力部が車輪部276に取り付けられている。駆動装置272は、タイロッド271をボールネジ、又はラック&ピニオンにより車幅方向にすることにより、車輪駆動部275をタイロッド271に対して水平方向に揺動する。
なお、駆動装置272は、回転機器(モータ)単体でもよく、減速機に回転機器を備えたものでもよい。駆動装置272として、減速機に回転機器を備えたものを使用する場合、例えば、第1実施形態から第9実施形態の減速機及び回転機器を採用してもよい。
車輪駆動部275は、例えば、車輪部276を回転するインホイールモータであり、回生ブレーキを兼ねている。
【0141】
ここで、例えば、自動車業界では、環境への影響を配慮して、自動車のEV(Electric Vehicle)化が進んでいる。自動運転化も視野に入れ、駆動・操舵を電動化することが課題となっている。
【0142】
そこで、
図24に示すように、車輪駆動部275を駆動装置272でタイロッド271に対して水平方向に揺動するようにした。このように構成することで、自動車のEV化、自動運転化が可能となる。また、ステアリングリンク部を省略でき、機械的な連結が不要なステアバイワイヤでの操舵が可能となる。
ステアリングリンク部を省略することにより、駆動装置272のコンパクト化を図ることができる。
【0143】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0144】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0145】
10,100,140,160,170,180,190,210,220,230,240,252,300(駆動装置)、11,80,90、257…減速機、12,258…回転機器、16,102,142,162,175,222…操作機構、20,101,223…筐体筒(ケース)、26…内歯ピン(内歯)、40…歯車部、41,42…歯車(外歯部材)、51,171,182,212…クランク軸、56…伝達歯車、70,81…加熱部、116…第1かさ歯車(駆動かさ歯車)、117…第2かさ歯車(従動かさ歯車)、143…検知部、164a…第1噛合い位置、164b…第2噛合い位置、172…第1伝達歯車、173,181,196,211,221…第2伝達歯車、251…アクスルシャフト、254,275…車輪駆動部、255,276…車輪部、271…タイロッド、272…駆動装置、273…リンク、301…スリーブ、302,320…オイルシール(シール)、F0…中心軸(主軸)
【手続補正書】
【提出日】2024-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイロッドに設けられ、車輪部に設けられた車輪駆動部がリンクを介して連結される回転機器を備え、
前記回転機器は、前記タイロッドを軸方向に移動することにより、前記車輪駆動部を前記タイロッドに対して水平方向に揺動する
駆動装置。
【請求項2】
前記回転機器から入力される回転を変速させて出力する歯車群と、
前記歯車群を収容するケースと、
前記ケースを密封するシールを保護し、かつ、前記ケースに設けられたスリーブと、を備えた請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
内歯を有するケースと、
前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持され、前記回転機器から回転力が入力されるクランク軸と、
前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、
を備え、
前記内歯は、歯数が80~120、
前記クランク軸は、偏心量が1.3mm以下である
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記回転機器から入力される回転を変速させて出力する歯車群を有する減速機と、
前記歯車群に外部の回転力を入力する操作機構と、
を備え、
操作機構は、前記歯車群に前記回転力を入力する際の回転角度、及びトルクを検知する検知部を備えた
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項5】
内歯を有するケースと、
前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持され、前記回転機器から回転力が入力されるクランク軸と、
前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、
前記クランク軸に外部の回転力を入力する操作機構と、
を備え、
前記操作機構は、
前記クランク軸に回転力を伝達する従動かさ歯車と、
前記従動かさ歯車の軸線に対して直交する位置に設けられ、前記従動かさ歯車に噛合う駆動かさ歯車と、
を備え、
前記従動かさ歯車は、前記従動かさ歯車の回転方向を変更する第1噛合い位置と、第2噛合い位置とに切換自在である
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項6】
内歯を有するケースと、
前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持され、前記回転機器から回転力が入力されるクランク軸と、
前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、
前記クランク軸に外部の回転力を入力する操作機構と、
を備え、
前記クランク軸は、
前記回転機器からの入力が伝達される第1伝達歯車と、
前記第1伝達歯車に隣接して設けられ、前記操作機構からの入力が伝達される第2伝達歯車と、
を備えた請求項1に記載の駆動装置。
【請求項7】
内歯を有するケースと、
前記ケースの径方向内側で前記ケースの軸方向が回転軸線方向となるように回転自在に支持され、前記回転機器から回転力が入力されるクランク軸と、
前記内歯に噛合う外歯を有するとともに前記クランク軸によって偏心運動する複数の外歯部材と、
前記クランク軸に外部の回転力を入力する操作機構と、
を備え、
前記回転機器に対する前記クランク軸の減速比が4~5、
前記操作機構に対する前記クランク軸の増速比が4~5である
請求項1に記載の駆動装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明は、多様な設備等に適用でき、かつ小型化できる駆動装置を提供する。