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  • 特開-蠅捕獲器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086909
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】蠅捕獲器
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/14 20060101AFI20240621BHJP
   A01M 1/10 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A01M1/14 S
A01M1/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024066223
(22)【出願日】2024-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】391050466
【氏名又は名称】日高 忍
(72)【発明者】
【氏名】日高 忍
(57)【要約】
【課題】
使用者が誤って粘着剤を触ってしまう可能性が低く、手軽に持ち運びができ、毒性も低く、簡単に扱える蠅捕獲器を提供すること。
【解決手段】
組み立てると上部に開口があるカップ状の捕獲器本体となるように、捕獲器本体の展開図状に形成された薄板部材(21)と、薄板部材(21)の、捕獲器本体の内壁側面となる内壁側面相当部(3)に設けられた粘着層(5)と、粘着層(5)に、粘着層(5)を覆うように貼られた剥離紙(8)とを有する蠅捕獲器により解決する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み立てると上部に開口があるカップ状の捕獲器本体となるように、前記捕獲器本体の展開図状に形成された薄板部材と、
前記薄板部材の、前記捕獲器本体の内壁側面となる内壁側面相当部に設けられた粘着層と、
前記粘着層に、前記粘着層を覆うように貼られた剥離紙と
を有することを特徴とする蠅捕獲器。
【請求項2】
前記剥離紙の摘まみ部が前記剥離紙の前記開口側に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の蠅捕獲器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蠅などの飛翔する害虫を、粘着剤を使用して捕獲するための蠅捕獲器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コバエなどの飛翔害虫を捕獲するためには、たとえば蠅取り紙と呼ばれる、短冊状の樹脂テープの両面に粘着剤を塗布したものを吊るして使用するものがある。
また、上部に蓋をされた円筒状の捕獲器本体の内壁面に粘着剤を塗布し、側面に害虫の侵入口を設けた捕獲器が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再表2010/001935
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粘着剤を使用して飛翔害虫を捕獲する捕獲器の取り扱いには注意が必要である。吊るされている蠅取り紙ではその近くを歩行中に粘着剤が頭や肩に付着してしまうことがある。また、粘着剤に蠅などが付着している蠅取り紙は見た目もよくない。
【0005】
特許文献1に記載されている捕獲器は組み立てて蓋をして使用するものであるが、粘着剤が内壁面全体に塗布されており、取り扱い時に粘着剤に触ってしまう可能性が高い。
本発明は使用者が誤って粘着剤を触ってしまう可能性が低く、簡単に扱える蠅捕獲器を提供するものであり、上述の課題を解決することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するための請求項1に記載の本発明は、組み立てると上部に開口があるカップ状の捕獲器本体となるように、前記捕獲器本体の展開図状に形成された薄板部材と、前記薄板部材の、前記捕獲器本体の内壁側面となる内壁側面相当部に設けられた粘着層と、前記粘着層に、前記粘着層を覆うように貼られた剥離紙とを有することを特徴とする蠅捕獲器である。
【0007】
また、この課題を解決するための請求項2に記載の本発明は、前記剥離紙の摘まみ部が前記剥離紙の前記開口側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蠅捕獲器である。
【発明の効果】
【0008】
使用者が誤って粘着剤を触ってしまう可能性が低く、手軽に持ち運びができ、毒性も低く、簡単に扱える蠅捕獲器を提供できる。また、組み立てる前は略薄板状であるため複数個、コンパクトに重ねて輸送でき、輸送コストを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の蠅捕獲器の実施の形態の組み立て後のものの斜視図である。
図2】本発明の蠅捕獲器の実施の形態の組み立て前のものの平面図である。
図3】本発明の蠅捕獲器の実施の形態の使用時のものの斜視図である。
図4】本発明の蠅捕獲器の実施の形態の捕獲器本体の展開図状の薄板部材の平面図である。
図5】本発明の蠅捕獲器の実施の形態の捕獲器本体の展開図状の薄板部材に粘着層を塗布したものの平面図である。
図6】本発明の蠅捕獲器の実施の形態の第二の剥離紙の斜視図である。
図7】本発明の蠅捕獲器の実施の形態の第二の剥離紙を使用した蠅捕獲器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
近年、安全、健康志向の高まりから無農薬野菜を求める機会が増えている。そのため、無農薬野菜を介して飛翔害虫、例えばコバエが室内に入ってしまうことが多い。
【0011】
出願人は緑茶の飲み残しが入った湯飲み茶わんの上部開口の縁にコバエが停まり、数秒間、縁を這った後、内壁側面を底に向かって這っていく様子を何度か目撃した。そこで、プラスチック製の内部空洞で上面開口の四角柱状の味噌の空きケースの内壁側面に市販されている蠅取り紙(粘着剤)を貼った蠅捕獲器を試作し、その内部の底に食材を入れてテーブルの上に置いて使用したところ、コバエを粘着捕獲することに成功した。その後、検討を重ね、本発明に至った。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の蠅捕獲器の実施の形態の組み立て後のものの斜視図である。本発明の蠅捕獲器の実施の形態の組み立て後のものは、上部に開口(2)があるカップ状の捕獲器本体(1)の内壁側面(3)に粘着層(5)が形成されている。剥離紙(8)は内壁側面(3)に形成されている図示しない粘着層(5)を覆い隠すように貼られている。図示した粘着層(5)は剥離紙(8)が剥がされた状態のものである。
【0013】
摘まみ部(9)は剥離紙(8)の開口(2)側に形成されている。実施の形態では摘まみ部(9)は開口(2)が作る略平面より上方に突出するように形成されている。開口(2)が作る略平面とは庇部(7)の上面が作る略平面と言ってもよい。
庇部(7)は周縁部(4)から外方向へ張り出した庇である。
【0014】
図2は、本発明の蠅捕獲器の実施の形態の組み立て前のものの平面図である。つまり、図1に示す捕獲器本体(1)の展開図状に形成された薄板部材(21)に粘着層(5)が形成され、さらに粘着層(5)に剥離紙(8)が貼られたものの平面図である。粘着層(5)は内壁側面(3)に形成され、剥離紙(8)は4枚あり、4枚とも粘着層(5)に粘着層(5)を覆うようにして貼られている。なお、図では粘着層(5)は剥離紙(8)で覆われて見えないので小さな破線で示している。薄板部材(21)としては厚紙やプラスチックの薄板などを用いればよい。
【0015】
図2の一点鎖線は山折りにする山折り部(12)であり、大きな破線は谷折りにする谷折り部(13)である。山折り部(12)には折りやすくするために図の表面から切れ目を入れ、谷折り部(13)には図の裏面から切れ目を入れておくとよい。
嵌合部(10)は、薄板部材(21)を組み立てて上部に開口(2)(図1)があるカップ状の捕獲器本体(1)(図1)とするときに嵌合穴(11)に挿入するものである。
【0016】
なお、薄板部材(21)を組み立てれば捕獲器本体(1)(図1)となるのでこれらは同じものであることは言うまでもないことであるが、説明のため異なる番号を付している。
【0017】
本発明の蠅捕獲器の実施の形態は以上のような構成で、次にこれの組み立て方法を説明する。なお、組み立て方法の説明のため、組み立て後の捕獲器本体(1)(図1)の底板に相当する底板相当部(14)、側壁に相当する側壁相当部(3)はそれぞれ内壁底面(14)、内壁側面(3)の番号と同じ番号を流用している。
【0018】
図2において、薄板部材(21)の底板相当部(14)に連なる4つの側壁相当部(3)うち、嵌合部(10)がある側壁相当部(3)と底板相当部(14)の間にある谷折り部(13)を約90度の角度で谷折りし、嵌合部(10)がある一対の側壁相当部(3)を立ち上げる。同様にして嵌合穴(11)がある一対の側壁相当部(3)を立ち上げる。そのときに嵌合部(10)を嵌合穴(11)に挿入して、隣り合う側壁相当部(3)を連結する。
【0019】
さらに庇部(7)を、山折り部(12)を約90度の角度で山折りして略水平に寝かせる。そうすると、図1に示すような上部に開口(2)があるカップ状の捕獲器本体(1)となる。なお、図1の蠅捕獲器の実施の形態は4枚あった剥離紙(8)のうち3枚が剥がされ、1枚だけが残った状態のものである。
【0020】
図1のように組み立てられた本発明の蠅捕獲器の実施の形態を使用するときは、コバエなどの飛翔害虫が好むもの、例えば食材の一部を図示しない内壁底面(14)(図2)に載せる。次に、開口(2)付近にある剥離紙(8)の摘まみ部(9)を摘まんで剥離紙(8)を4枚とも剥がして粘着層(5)を露出させる。
【0021】
剥離紙(8)を剥がして粘着層(5)を露出させた蠅捕獲器の実施の形態を図3に示す。これを台所や食堂などに置いておく。すると、図示しない内壁底面(14)に載せられている食材などの匂いに引き寄せられたコバエ等が庇部(7)に停まり、辺りを伺い、食材を見つけると食材に気を取られて警戒心が低下し、食材に近づこうとして粘着層(5)に飛び移り、粘着捕獲されるものと推察される。
【0022】
時間がたって図示しない内壁底面(14)に載せた食材が乾燥した場合などは追加の食材を載せてもよい。匂いの強いものがより有効であると思われる。蠅捕獲器の実施の形態を移動させたい場合は外壁側面(6)や庇部(7)を掴めばよく、手を汚さずに移動させることができる。
【0023】
また、上部の開口(2)を通して、内壁底面(14)に手軽に追加の食材を載せることができる。このことは、飛翔害虫を引き寄せる効果が長持ちする薬剤を使用しなくても済むという効果を生む。食材を追加し続けることで飛翔害虫を引き寄せる効果を持続させることができる。
【0024】
以下、本発明の蠅捕獲器の実施の形態の製造方法を説明する。
図4は、本発明の蠅捕獲器の実施の形態の捕獲器本体(1)(図1)の展開図状の薄板部材(21)の平面図である。粘着層(5)(図1)と剥離紙(8)(図1)がない状態である。
まず、この展開図状の薄板部材(21)を成形する。薄板部材(21)の材料としては前に述べた厚紙やプラスチックの薄板などを用いればよい。
【0025】
次に、山折り部(12)には折りやすくするために図の表面から切れ目を入れ、谷折り部(13)には図の裏面から切れ目を入れる。
そして薄板部材(21)に粘着層(5)を塗布する。図5は、粘着層(5)を塗布した薄板部材(21)の平面図である。
最後に、粘着層(5)を覆い隠すように、かつ摘まみ部(9)が図2に示したような向きに配置されるように粘着層(5)に剥離紙(8)を貼る(図2)。
【0026】
このように、組み立てると上部に開口(2)があるカップ状の捕獲器本体(1)となるように、薄板部材(21)を捕獲器本体(1)の展開図状に形成する工程と、展開図状に形成された薄板部材(21)の、捕獲器本体(1)の内壁面となる内壁側面相当部(3)に粘着層(5)を形成する工程と、粘着層(5)に剥離紙(8)を貼る工程とを有する製造方法である。捕獲器本体(1)の内壁側面(3)と薄板部材(21)の内壁側面相当部(3)は説明のために言い分けただけであるので同番号を付している。
【0027】
前述の製造方法において、薄板部材(21)に粘着層(5)を塗布し、剥離紙(8)を貼る工程を、予め粘着層(5)と剥離紙(8)が一体となったものを薄板部材(21)に貼る工程としてもよい。
【0028】
以下、補足を述べる。
図1図2において、摘まみ部(9)は剥離紙(8)の開口(2)側に形成されているばかりでなく、開口(2)が作る略平面より上方に出るように形成されているので、より摘まみ易いものとなっている。
【0029】
図6は剥離紙(15)の下部の斜線で示す接合部(18)で、略短冊状に形成した摘まみ部(16)を接合した第二の剥離紙の斜視図である。摘まみ部(16)の上部(17)を摘まんで上方へ引っ張ると剥離紙(15)は下から順次、比較的簡単に剥がされる。なお、略短冊状の摘まみ部(16)と剥離紙(15)を一体のものとし、接合部(18)に相当する所で略180度、折り返した構成としてもよい。
【0030】
図7図6に示す第二の剥離紙を使用した、カップラーメンの容器状の捕獲器本体(31)を有する蠅捕獲器の斜視図である。一部を切り欠いて内部が見えるようにしたものである。図示しない粘着層(19)の表面に剥離紙(15)が貼られている。図示した粘着層(19)は既に剥離紙(15)が剥がされたものである。
この第二の剥離紙はもちろん本発明の実施の形態にも使用できる。
【0031】
図2において、内壁底面(14)には食材などが載せられるので、内壁底面(14)や内壁側面(3)は防水加工を施しておくとよい。
隣り合う側壁相当部(3)を連結する手段は、嵌合部(10)を嵌合穴(11)に挿入することに限定されるものではない。接着テープ類を使用することもできる。
【0032】
なお、本発明の蠅捕獲器の実施の形態の捕獲器本体(1)は略直方体状であるが、本発明の蠅捕獲器の捕獲器本体の組み立て後のものは、これ以外にも内部に空間がある略多角柱状や略円筒状、略椀形状など、上部に開口があるカップ状のものであればよい。図7の捕獲器本体(31)についても同様である。
【符号の説明】
【0033】
1…捕獲器本体、2…開口、3…内壁側面、内壁側面相当部、側壁相当部、4…周縁部、5…粘着層、6…外壁側面、7…庇部、8…剥離紙、9…摘まみ部、10…嵌合部、11…嵌合穴、12…山折り部、13…谷折り部、14…内壁底面、底板相当部、15…剥離紙、16…摘まみ部、17…摘まみ部の上部、18…接合部、19…粘着層、20…内壁側面、21…薄板部材、31…捕獲器本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7