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  • 特開-インペラ、及び遠心圧縮機 図1
  • 特開-インペラ、及び遠心圧縮機 図2
  • 特開-インペラ、及び遠心圧縮機 図3
  • 特開-インペラ、及び遠心圧縮機 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086911
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】インペラ、及び遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/30 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
F04D29/30 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066328
(22)【出願日】2024-04-16
(62)【分割の表示】P 2019156984の分割
【原出願日】2019-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】八木 信頼
(72)【発明者】
【氏名】中庭 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】岡 寛哲
(57)【要約】
【課題】より簡素な構成によって応力が低減されることで、運転可能な回転数領域が拡大することが可能なインペラ、遠心圧縮機を提供する。
【解決手段】インペラは、軸線回りに回転可能とされて、軸線方向一方側に向かうに従って径方向外側に向かって延びる外周面を有するディスクと、ディスクの前記外周面に周方向に間隔をあけて複数配置されたブレードと、複数のブレードを覆うようにディスクの外周面に対向して配置されたカバーと、を備え、ブレードの前縁が、カバー側からディスク側に向かうに従って軸線方向一方側に向かって延びる直線部と、ディスク側の端部を含む部分に設けられ、前縁から突出する突出部と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転可能とされて、前記軸線方向一方側に向かうに従って径方向外側に向かって延びる外周面を有するディスクと、
該ディスクの前記外周面に周方向に間隔をあけて複数配置されたブレードと、
前記複数のブレードを覆うように前記ディスクの外周面に対向して配置されたカバーと、
を備え、
前記ブレードの前縁が、
前記カバー側から前記ディスク側に向かうに従って前記軸線方向一方側に向かって延びる直線部と、
前記ディスク側の端部を含む部分に設けられ、前記前縁から突出する突出部と、
を有するインペラ。
【請求項2】
前記突出部は、径方向外側から内側に向かうに従って、軸線方向の他方側に延びている請求項1に記載のインペラ。
【請求項3】
前記突出部の端縁は、前記ディスク側に向かって凹となる曲面をなしている請求項1又は2に記載のインペラ。
【請求項4】
前記軸線に沿って延びる回転軸と、
該回転軸に固定された請求項1又は2に記載のインペラと、
前記回転軸、及び前記インペラを外周側から覆うケーシングと、
を備える遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インペラ、及び遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機に用いられるインペラとして、カバー型と呼ばれる形式のインペラが知られている。一例として下記特許文献1に記載されているように、この種のインペラは、ディスクと、ブレードと、カバーとを有している。ディスクの外周面は、軸線方向一方側に向かうに従って径方向外側に延びている。この外周面上には、周方向に間隔をあけて配列された複数のブレードが設けられている。カバーはこれらブレードを径方向外側から覆っている。
【0003】
遠心圧縮機の運転中には、インペラに対して回転に伴う遠心力が発生する。この遠心力によって、ブレードの両端縁(つまり、ディスク側の端縁、及びカバーの端縁)には、高い応力が生じる。このような応力が常態的にブレードに加わると、遠心圧縮機の安定的な運転に支障を来たす虞がある。言い換えれば、遠心圧縮機の運転可能な回転数領域は、この応力分布を一つの指標として決定される。そこで、ブレードの肉厚を大きくして剛性を高め、運転可能な回転数領域を広げる措置が取られる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-234803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようにブレードの肉厚を単に大きくした場合、遠心圧縮機としての性能が低下する可能性がある。この性能の低下を補うために各部の形状や寸法を全面的に見直す必要も生じてしまう。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、より簡素な構成によって応力が低減されることで、運転可能な回転数領域が拡大されたインペラ、及び遠心圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係るインペラは、軸線回りに回転可能とされて、前記軸線方向一方側に向かうに従って径方向外側に向かって延びる外周面を有するディスクと、該ディスクの前記外周面に周方向に間隔をあけて複数配置されたブレードと、前記複数のブレードを覆うように前記ディスクの外周面に対向して配置されたカバーと、を備え、前記ブレードの前縁が、前記カバー側から前記ディスク側に向かうに従って前記軸線方向一方側に向かって延びる直線部と、前記ディスク側の端部を含む部分に設けられ、前記前縁から突出する突出部と、を有する。
【0008】
本開示に係る遠心圧縮機は、前記軸線に沿って延びる回転軸と、該回転軸に固定された前記インペラと、前記回転軸、及び前記インペラを外周側から覆うケーシングと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示のインペラ、及び遠心圧縮機によれば、より簡素な構成によって応力が低減されることで、運転可能な回転数領域が拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第一実施形態に係る遠心圧縮機の構成を示す断面図である。
図2】本開示の第一実施形態に係るインペラを周方向から見た図である。
図3】本開示の第二実施形態に係るインペラを周方向から見た図である。
図4】本開示の変形例に係るインペラを周方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施形態>
(遠心圧縮機の構成)
以下、本開示の第一実施形態に係る遠心圧縮機1について、図1図2を参照して説明する。図1に示すように、遠心圧縮機1は、回転軸2、ジャーナル軸受5、スラスト軸受6、インペラ20、及びケーシング10を備えている。本実施形態の遠心圧縮機1は、インペラ20を複数段備えたいわゆる一軸多段遠心圧縮機である。
【0012】
回転軸2は、水平方向に沿う軸線O方向に延びる円柱状をなしている。回転軸2は、軸線O方向の第一端部3側(軸線O方向他方側)および第二端部4側(軸線O方向一方側)で、ジャーナル軸受5によって軸線O回りに回転可能に支持されている。回転軸2は、第一端部3がスラスト軸受6によって支持されている。
【0013】
インペラ20は、回転軸2の外周面に外嵌されており、軸線O方向に間隔をあけて複数段が設けられている。これらインペラ20は、回転軸2とともに軸線O回りに回転することで、軸線O方向から流入するガス(流体)を径方向外側に向かって圧送する。インペラ20の詳細な構成については後述する。
【0014】
ケーシング10は、筒状に形成された部材であって、回転軸2、インペラ20、および、ジャーナル軸受5等を収容する。ケーシング10は、ジャーナル軸受5を介して回転軸2を回転自在に支持している。これによりケーシング10に対して回転軸2に取り付けられたインペラ20が相対回転可能となっている。ケーシング10は、導入流路11、接続流路13及び排出流路16を有している。
【0015】
導入流路11は、複数のインペラ20のうち最も軸線O方向他方側に配置された最前段のインペラ20に対してケーシング10の外部からガスを導入する。導入流路11は、ケーシング10の外周面に開口しており、当該開口部はガスの吸込み口12とされている。該導入流路11は、径方向内側の部分で最前段のインペラ20の軸線O方向他方側に接続されている。
【0016】
接続流路13は、軸線O方向に隣り合う一対のインペラ20を接続する流路である。接続流路13は、前段側のインペラ20から径方向外側に排出されるガスを、後段側のインペラ20に軸線O方向他方側から導入する。接続流路13は、ディフューザ流路14及びリターン流路15を有している。
ディフューザ流路14は、インペラ20の径方向外側に接続されており、インペラ20から径方向外側に排出されるガスを径方向外側に導きながら速度エネルギーを圧力エネルギーに変換する。リターン流路15は、ディフューザ流路14の径方向外側に接続されて径方向外側に向かうガスを径方向内側に転向させて後段側のインペラ20に案内する。
【0017】
排出流路16は、複数のインペラ20のうち最も軸線O方向他方側に配置された最後段のインペラ20から径方向外側に排出されるガスをケーシング10の外部に排出する。排出流路16は、ケーシング10の外周面に開口しており、当該開口部はガスの排出口17とされている。該排出流路16は、径方向内側の部分で最後段のインペラ20の径方向外側に接続されている。
【0018】
(インペラの構成)
次に、図2及び図3を参照して、インペラ20の詳細構成について説明する。インペラ20は、ディスク30、ブレード40及びカバー36を有している。
ディスク30は、軸線Oを中心とした円盤状に形成されている。ディスク30には、軸線Oを中心とした円形をなして軸線O方向に貫通する貫通孔31が形成されている。貫通孔31の内面が回転軸2の外周面に嵌まり込むことによって、インペラ20が回転軸2に一体に固定されている。
【0019】
ディスク30における軸線O方向他方側を向く面は、軸線Oに直交する平面状をなすディスク背面32とされている。ディスク30における貫通孔31の軸線O方向他方側の端部からディスク背面32の径方向外側の端部にかけては、軸方向他方側から一方側に向かうに従って漸次径方向外側に向かって延びるディスク主面33が形成されている。ディスク主面33は、軸線O方向他方側の部分は、径方向外側を向いており、軸線O方向一方側に向かうにしたがって軸線O方向他方側を向くように漸次湾曲している。即ち、ディスク主面33は、軸線O方向他方側から一方側に向かうに従って漸次拡径している。ディスク主面33は、凹曲面状をなしている。
【0020】
本実施形態では、ディスク主面33の軸線O方向他方側の端部と貫通孔31の軸線O方向一方側の端部との間には、軸線O方向に直交する平面状をなすディスク前端面34が形成されている。ディスク主面33の軸線O方向一方側の端部とディスク背面32の径方向外側の端部との間には、軸線O方向に延びてディスク30の外周縁部となるディスク外端面35が設けられている。
【0021】
ブレード40は、ディスク30におけるディスク主面33に軸線Oの周方向に間隔をあけて複数設けられている。各ブレード40は、径方向内側から径方向外側に向かうに従ってインペラ20の回転方向R後方側(周方向一方側)に向かって湾曲している。各ブレード40は、回転方向Rの前方側に向かって凸となる凸曲面をなしながら延びている。互いに隣り合う一対のブレード40同士の間には、上述の導入流路11、及び接続流路13に連通する流路が形成されている。
【0022】
ブレード40の前縁51は、カバー36の軸線O方向他方側の端部に近接した位置に配置されている。前縁51は、直線部Sと、切欠部Cとによって構成されている。直線部Sは、カバー36側からディスク30側に向かうに従って、軸線O方向一方側に向かって延びている。切欠部Cは、この直線部Sの中途位置から当該直線部Sよりも後退している。切欠部Cは、周方向から見て円弧状をなしている。切欠部Cのディスク30側の端部は、該ディスク30の外周面(ディスク主面33)からカバー36側に離間した位置にある。
【0023】
切欠部Cは、当該切欠部Cの中心点を通り、前縁51に直交する等分線Lを基準として、カバー36側に位置する第一部分C1と、ディスク30側に位置する第二部分C2とに分けられている。本実施形態ではこれら第一部分C1、及び第二部分C2が互いに連続する円弧状をなしている。このうち、第一部分C1は円弧状以外の形状(例えば矩形状)をなしていてもよい。一方で、第二部分C2は、第一部分C1の形状によらず、円弧状とされる。
【0024】
さらに、切欠部Cの延在寸法D(つまり、切欠部Cのカバー側の端部からディスク側の端部までの寸法:円弧の直径)は、前縁51全体の寸法を100%とした時、50%以下とされる。より望ましくは、この寸法Dは、前縁51全体の40%以下とされる。最も望ましくは、寸法Dは前縁51全体の30%以下とされる。
【0025】
カバー36は、複数のブレード40を外周側から覆っている。カバー36は、ディスク30との間にブレード40を挟むように、ディスク30と対向して設けられている。カバー36の内周面37は、軸線O方向他方側から一方側に向かうにしたがって漸次拡径するように形成されている。カバー36の内周面37は、ディスク主面33と対応するように該ディスク主面33同様に湾曲している。カバー36の内周面37には、ブレード40におけるディスク主面33側とは反対側の端部が固定されている。
【0026】
カバー36の内周面37、ディスク主面33及びブレード40によって、これらの間に軸線O方向一方側から他方側に向かうに従って、回転方向R後方側に湾曲するように延びる流路が形成されている。
【0027】
(作用効果)
次いで、遠心圧縮機1の動作について説明する。遠心圧縮機1を駆動するに当たっては、まず外部の動力源によって、回転軸2を回転させる。回転軸2の回転に伴って、インペラ20が一体に回転する。これにより、上述の導入流路11を通じて、外部の流体が遠心圧縮機1内に取り込まれる。流体は、インペラ20のブレード40同士の間の流路を流通するに従って圧縮され、高圧流体となって接続流路13に流入する。接続流路13に流入した流体は、さらに後段のインペラ20によって圧縮される。このようなサイクルが最終段のインペラ20に至るまで繰り返され、最終的に排出流路16から目標圧力の流体が吐出する。
【0028】
ところで、遠心圧縮機1の運転中には、インペラ20に対して回転に伴う遠心力が発生する。この遠心力によって、ブレード40の両端縁(つまり、ディスク30側の端縁、及びカバー36側の端縁)には、高い応力が生じる。このような応力が常態的にブレード40に加わると、遠心圧縮機1の安定的な運転に支障を来たす虞がある。言い換えれば、遠心圧縮機1の運転可能な回転数領域は、この応力分布を一つの指標として決定される。そこで、本実施形態では、ブレード40の前縁51に、直線部Sと、切欠部Cとが形成されている。
【0029】
上記構成によれば、当該切欠部Cが形成されている部分では、他の部分(直線部S)に比べて剛性が低くなる。したがって、インペラ20の回転に伴う遠心力がブレード40に加わった場合、応力の大部分は、当該切欠部Cが形成されている部分に集中する。言い換えれば、ブレード40の前縁51におけるディスク30側の端部や、カバー36側の端部に生じる応力を小さく抑えることができる。その結果、遠心力に対するインペラ20の耐久性を高めることができる。その結果、遠心圧縮機1の運転可能な回転数領域を拡大することができる。
【0030】
上記構成によれば、切欠部Cが全体として円弧状をなすことから、例えば切欠部Cを矩形状に形成した場合に比べて、局所的な応力集中を抑えることができる。言い換えれば、当該部分における応力分布を緩やかにすることができる。したがって、前縁51の全体のうち、切欠部Cに応力を積極的に集中させつつも、当該切欠部C内では応力の分布を均一化することができる。
【0031】
上記構成によれば、切欠部Cのディスク30側の端部が、ディスク30の外周面からカバー36側に離間した位置にあることから、ブレード40の剛性を確保しつつ、切欠部Cに応力を集中させることができる。
【0032】
<第二実施形態>
次に、本開示の第二実施形態について、図3を参照して説明する。なお、上記の第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。同図に示すように、本実施形態では、インペラ20bの構成が第一実施形態とは異なっている。
【0033】
インペラ20bでは、前縁51のうち、カバー36側の部分は直線部Sとされ、直線部Sよりもディスク30側の部分は切欠部Cbとされている。つまり、この切欠部Cbの径方向内側の端部(ディスク30側の端部)は、ディスク30の外周面(ディスク主面33)に接している。
【0034】
切欠部Cbの延在寸法D(つまり、切欠部Cbのカバー側の端部からディスク側の端部までの寸法:円弧の直径)は、前縁51全体の寸法を100%とした時、10%以上40%以下とされる。より望ましくは、この寸法Dは、前縁51全体の20%以上40%以下とされる。最も望ましくは、寸法Dは前縁51全体の40%とされる。
【0035】
上記構成によれば、切欠部Cbのディスク30側の端部が、ディスク30の外周面に接していることから、ブレード40の剛性を確保しつつ、切欠部Cbに応力をさらに集中させることができる。
【0036】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、図4に示すように、インペラ20cでは、前縁51におけるディスク30側の端部を含む部分に、前縁51から突出する突出部Pが設けられていてもよい。この突出部Pは、径方向外側から内側に向かうに従って、軸線O方向の他方側に延びている。突出部Pの端縁は、ディスク30側に向かって凹となる曲面をなしている。このような構成によれば、ブレード40に生じた応力が、突出部Pにその応力の大部分を集中させることができる。
【0037】
<付記>
各実施形態に記載のインペラは、例えば以下のように把握される。
【0038】
(1)第1の態様に係るインペラは、軸線回りに回転可能とされて、前記軸線方向一方側に向かうに従って径方向外側に向かって延びる外周面を有するディスクと、該ディスクの前記外周面に周方向に間隔をあけて複数配置されたブレードと、前記複数のブレードを覆うように前記ディスクの外周面に対向して配置されたカバーと、備え、前記ブレードの前縁が、前記カバー側から前記ディスク側に向かうに従って前記軸線方向一方側に向かって延びる直線部と、該直線部よりも後退するとともに、少なくとも前記ディスク側の部分が周方向から見て円弧状に形成された切欠部と、を有する。
【0039】
上記構成によれば、ブレード40の前縁51に切欠部Cが形成されている。これにより、当該切欠部Cが形成されている部分では、他の部分(直線部S)に比べて剛性が低くなる。したがって、インペラ20の回転に伴う遠心力がブレード40に加わった場合、応力の大部分は、当該切欠部Cが形成されている部分に集中する。言い換えれば、ブレード40の前縁51におけるディスク30側の端部や、カバー36側の端部に生じる応力を小さく抑えることができる。その結果、遠心力に対するインペラ20の耐久性を高めることができる。
【0040】
(2)第2の態様に係るインペラ20では、前記切欠部Cの前記カバー36側の部分が周方向から見て円弧状に形成されている。
【0041】
上記構成によれば、切欠部Cが全体として円弧状をなすことから、例えば切欠部Cを矩形状に形成した場合に比べて、局所的な応力集中を抑えることができる。言い換えれば、当該部分における応力分布を緩やかにすることができる。したがって、前縁51の全体のうち、切欠部Cに応力を積極的に集中させつつも、当該切欠部C内では応力の分布を均一化することができる。
【0042】
(3)第3の態様に係るインペラ20では、前記切欠部Cの前記ディスク30側の端部は、該ディスク30の前記外周面から前記カバー36側に離間した位置にある。
【0043】
上記構成によれば、切欠部Cのディスク30側の端部が、ディスク30の外周面からカバー36側に離間した位置にあることから、ブレード40の剛性を確保しつつ、切欠部Cに応力を集中させることができる。
【0044】
(4)第4の態様に係るインペラ20は、前記切欠部Cの前記ディスク30側の端部から前記カバー36側の端部までの長さは、前記前縁51の長さに対して30%以下である。
【0045】
上記構成によれば、ブレード40の剛性を確保しつつ、切欠部Cに応力を集中させることができる。
【0046】
(5)第5の態様に係るインペラ20bでは、前記切欠部Cbの前記ディスク30側の端部は、該ディスク30の前記外周面と接している。
【0047】
上記構成によれば、切欠部Cbのディスク30側の端部が、ディスク30の外周面に接していることから、ブレード40の剛性を確保しつつ、切欠部Cbに応力を集中させることができる。
【0048】
(6)第6の態様に係るインペラ20bは、前記切欠部Cbの前記ディスク30側の端部から前記カバー36側の端部までの長さは、前記前縁51の長さに対して20%以上40%以下である。
【0049】
上記構成によれば、ブレード40の剛性を確保しつつ、切欠部Cbに応力を集中させることができる。
【0050】
(7)第7の態様に係る遠心圧縮機1は、前記軸線Oに沿って延びる回転軸2と、該回転軸2に固定された上記いずれか一の態様に係るインペラ20,20bと、前記回転軸2、及び前記インペラ20,20bを外周側から覆うケーシング10と、を備える。
【0051】
上記構成によれば、遠心力に対するインペラ20,20bの耐久性が高められていることによって、遠心圧縮機1の運転可能な回転数領域をさらに拡大することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 圧縮機
2 回転軸
3 第一端部
4 第二端部
5 ジャーナル軸受
6 スラスト軸受
10 ケーシング
11 導入流路
12 吸込み口
13 接続流路
14 ディフューザ流路
15 リターン流路
16 排出流路
17 排出口
20,20b,20c インペラ
30 ディスク
31 貫通孔
32 ディスク背面
33 ディスク主面
34 ディスク前端面
35 ディスク外端面
36 カバー
37 内周面
40 ブレード
51 前縁
52 後縁
C,Cb 切欠部
C1 第一部分
C2 第二部分
L 等分線
O 軸線
P 突出部
S 直線部
図1
図2
図3
図4