(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086921
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240621BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240621BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G03B21/14 E
G03B21/00 D
G03B21/14 B
G03B21/14 D
H04N5/74 E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066610
(22)【出願日】2024-04-17
(62)【分割の表示】P 2020073347の分割
【原出願日】2020-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】羽田野 拓也
(72)【発明者】
【氏名】▲角▼谷 雅人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 史秀
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 靖晃
(57)【要約】
【課題】プロジェクターを天井面や壁面に固定する場合、プロジェクターやプロジェクター内部の光学系の落下を防止すると共に、光学性能を確保することが可能なプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、光源装置31と、光源装置31から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置34と、光変調装置34により変調された光を投写する投写光学装置36とを備えたプロジェクター1であって、光源装置31を収容して構成される光源ユニット370と、光変調装置34が収容されると共に、光源ユニット370が固定される光学ユニット380と、一方の面(面50a)に光学ユニット380を固定すると共に、他方の面(面50b)にプロジェクター1の取付部材60を取り付ける被取付部(固定ナット53)を有するベースプレート50と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置とを備えたプロジェクターであって、
前記光源装置を収容して構成される光源ユニットと、
前記光変調装置が収容されると共に、前記光源ユニットが固定される光学ユニットと、 一方の面に前記光学ユニットを固定すると共に、他方の面に前記プロジェクターの取付部材を取り付ける被取付部を有するベースプレートと、
を備えることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記ベースプレートの前記他方の面に固定され、前記光源ユニット、前記光学ユニット、及び前記ベースプレートを内部に収容する外装ケースを備え、
前記被取付部は、前記外装ケースの外部に露出していることを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記ベースプレートは、金属材料、または結晶性樹脂を含有する樹脂材料で形成されることを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターを天井面や壁面に固定する場合、プロジェクターの落下を防止する構成が知られている。特許文献1の表示装置(例えばプロジェクター)では、樹脂製の筐体と、筐体の内部に配置される金属シールドと、筐体にインサートされて外部の所定部材との固定に利用可能に構成されたインサートナットと、を有している。そして、インサートナットは、筐体にインサートされた状態で、金属シールドに取付けられる固定部を備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の表示装置(例えばプロジェクター)では、プロジェクターの主要な構成要素は金属シールドに固定されることが開示されている。その場合、光源装置(例えばレーザー光源など)と、光源装置以外の光学系とが金属シールドにそれぞれ取付けられる構成とした場合、金属シールドの取付部の精度が出しづらいため、光学性能が確保しづらくなるという懸念がある。従って、プロジェクターを天井面や壁面に固定する場合、プロジェクターやプロジェクター内部の光学系の落下を防止すると共に、光学性能を確保することが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
プロジェクターは、光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置とを備えたプロジェクターであって、前記光源装置を収容して構成される光源ユニットと、前記光変調装置が収容されると共に、前記光源ユニットが固定される光学ユニットと、一方の面に前記光学ユニットを固定すると共に、他方の面に前記プロジェクターの取付部材を取り付ける被取付部を有するベースプレートと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係るプロジェクターの光学系の概構成を示すブロック図。
【
図2】プロジェクターを机上面に載置した状態を示す斜視図。
【
図3】プロジェクターの光学系を構成する光学エンジンを示す斜視図。
【
図4】光学エンジンとベースプレートとの組立てを示す斜視図。
【
図5】光学エンジンをベースプレートに固定した状態を示す斜視図。
【
図6】光学エンジンを固定したベースプレートと第2外装ケースとの組立てを示す斜視図。
【
図7】プロジェクターと取付部材との組立てを示す斜視図。
【
図8】プロジェクターに取付部材を固定した状態を示す斜視図。
【
図9】プロジェクターに取付部材を固定した状態の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.実施形態
本実施形態に係るプロジェクター1について説明する。
【0008】
図1は、実施形態に係るプロジェクター1の光学系30の概構成を示すブロック図である。
図1を参照してプロジェクター1の光学系30を説明する。
プロジェクター1は、光源装置31から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像光を生成し、生成した画像光をスクリーン100などに投写する装置である。
【0009】
図1に示すように、プロジェクター1の光学系30は、光源装置31、照明光学装置32、色分離光学装置33、光変調装置34、色合成装置35、及び投写光学装置36などを備えて構成されている。
光源装置31は、例えば、青色のレーザー光を射出するレーザー光源311、集光レンズ、蛍光層を有する発光素子、コリメートレンズ(いずれも図示省略)などを用いて構成される。照明光学装置32は、レンズアレイ、偏光変換素子、重畳レンズ(いずれも図示省略)などを用いて構成される。
【0010】
光変調装置34は、色光(赤色(R)光、緑色(G)光、青色(B)光)毎に備える3つの透過型の液晶パネル341などを用いて構成される。詳細には、3つの液晶パネル341は、R光用の光変調素子の一例であるR光用液晶パネル341R、G光用の光変調素子の一例であるG光用液晶パネル341G、及びB光用の光変調素子の一例であるB光用液晶パネル341Bで構成される。色合成装置35は、クロスダイクロイックプリズム351を用いて構成される。投写光学装置36は、図示省略するズームレンズなどを含んで構成される。
【0011】
光源装置31は、レーザー光源311から射出される青色のレーザー光を励起光として集光レンズで集光し、発光素子(蛍光層)に入射させ、青色のレーザー光と併せて黄色のレーザー光を射出させ、コリメートレンズで平行化して照明光学装置32に向けて射出する。照明光学装置32は、光源装置31から射出された光に対し、照明光軸に直交する面内での照度を均一化し、光変調装置34(液晶パネル341)の表面に略重畳させる。色分離光学装置33は、照明光学装置32から射出された照明光束を、赤色(R)光、緑色(G)光、及び青色(B)光の3つの色光に分離し、対応する3つの液晶パネル341に導光する。
【0012】
光変調装置34は、3つの液晶パネル341に入射した各色光に対し、画像情報(信号)に応じて、各液晶パネル341でそれぞれ変調して光学像を形成する。色合成装置35は、光変調装置34から色光毎に射出された光学像を、クロスダイクロイックプリズム351で合成し、合成した光学像を画像光として投写光学装置36に射出する。投写光学装置36は、色合成装置35から入射する画像光に対し、ズーム調整機能などを有し、画像光をスクリーン100に拡大投写する。
【0013】
なお、光源装置31は、レーザー光源311(半導体レーザーダイオード)を用いた構成に限られず、LED(Light Emitting Diode)や放電型の光源ランプを用いることもできる。また、光変調装置34は、透過型の液晶パネル341に限られず、反射型の液晶パネルを用いたものや、マイクロミラー型の装置、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)などを用いたものを利用することが可能である。
【0014】
図2は、プロジェクター1を机上面に載置した状態を示す斜視図である。
図2を参照して、本実施形態のプロジェクター1の外観的な構成を説明する。
なお、机上面に水平に載置した状態のプロジェクター1に対して、座標系を適用する。
また、本実施形態のプロジェクター1は、机上面に載置することや、天井面に天吊り設置することが可能である。プロジェクター1を天吊り設置する場合には、プロジェクター1は、机上面に載置する場合に対して、上下を反転させた状態で設置する。
【0015】
プロジェクター1は、外装ケース10で覆われている。外装ケース10は、第1外装ケース11と第2外装ケース12とにより、概ね6面体形状に構成されている。ここで、投写光学装置36の投写レンズ361が露出して画像光が投写される方向をX方向(前後方向)とする。なお、画像光が投写される方向を+X方向(前方向)とし、反対方向は-X方向(後方向)とする。X方向(前後方向)に直交して水平方向に平行となる方向をY方向(左右方向)とする。なお、第1外装ケース11において外部機器(図示省略)と電気的に接続するための接続端子部113が設置される方向を+Y方向(右方向)とし、反対方向は-Y方向(左方向)とする。X方向(前後方向)及びY方向(左右方向)に直交する方向をZ方向(上下方向)とする。なお、第1外装ケース11において投写光学装置36のズーム調整レバー362が突出する方向を+Z方向(上方向)とし、反対方向は-Z方向(下方向)とする。そして、6面体となるそれぞれの面は、各軸方向に平行及び直交する。
【0016】
図2に示すように、第1外装ケース11は、第2外装ケース12の+Z方向に設置され、矩形の箱状に構成されている。第2外装ケース12は、概ねプロジェクター1の外装の底面(下面)を構成する。第1外装ケース11は、第2外装ケース12(底面)を覆うように、前後左右の面と上面を構成する。
【0017】
図2に示すように、第1外装ケース11の前面11aには、投写光学装置36の投写レンズ361を露出させる矩形の開口部111が形成されている。また、前面11aには、-Y方向に、リモコン(図示省略)などからの操作指示を受ける受光部112が形成されている。第1外装ケース11の上面11eには、投写光学装置36のズーム調整を行うズーム調整レバー362が突出している。
【0018】
第1外装ケース11の右面11dには、外部機器と接続する接続端子部113が設置されている。また、右面11dには、電源としてのACアダプター(図示省略)から伸びるプラグ2と接続する電源端子部114が設置されている。本実施形態では、プロジェクター1は、電源を内蔵せず、ACアダプターとして電源を分離させている。また、右面11dには、プロジェクター1内部の冷却を行うために外気を取り込む吸気口115が形成されている。第1外装ケース11の後面11bには、プロジェクター1内部の温まった空気を排気する排気口(図示省略)などが形成されている。また、第2外装ケース12の下面12aには、プロジェクター1を机上面に載置した際の、投写角度を調整する角度調整用脚128が+X方向に設置されている。
【0019】
図3は、プロジェクター1の光学系30を構成する光学エンジン300を示す斜視図である。
図3を参照して、プロジェクター1の光学エンジン300について説明する。
【0020】
図3に示すように、光学エンジン300は、光源ユニット370と光学ユニット380とで構成されている。光源ユニット370は、光源装置31を収容して構成されている。
詳細には、光源ユニット370は、前述したレーザー光源311、集光レンズ、発光素子、コリメートレンズなどを収容して構成されている。また、光源ユニット370は、これらの光学部品を内部に収容する光源用ケース371を備えている。光源用ケース371は、詳細には、光学部品を収容するベースとなる第1光源用ケース372と、各光学部品を案内する複数の第2光源用ケース373とで構成されている。
【0021】
光源ユニット370は、レーザー光源311や発光素子で発熱した熱を、ヒートパイプ375を介して放熱させる第1ヒートシンク376や、光源ユニット370全体の熱を放熱させる第2ヒートシンク377が、光源用ケース371に設置されて構成される。
【0022】
光源用ケース371には、光学ユニット380に光源ユニット370を固定するための固定用ネジ孔374が3つ形成されている。光源用ケース371は、金属材料を用いてダイキャストにより構成されている。本実施形態では、光源用ケース371は、金属材料としてアルミニウムを用いている。
【0023】
光学ユニット380は、光源装置31以外の光学系30を収容して構成されている。詳細には、光学ユニット380は、照明光学装置32、色分離光学装置33、光変調装置34、色合成装置35、投写光学装置36などを収容して構成されている。また、光学ユニット380は、これらの光学部品を内部に収容する光学用ケース381を備えている。光学用ケース381は、詳細には、光学部品を収容するベースとなる第1光学用ケース382と、第1光学用ケース382を塞ぎ、各光学部品を案内する第2光学用ケース383とで構成されている。
【0024】
光学用ケース381には、光源ユニット370を光学ユニット380に固定するために、光源用ケース371の固定用ネジ孔374に対応して、固定用ネジ孔384が3つ形成されている。第1光学用ケース382は、結晶性樹脂材料を用いた射出成型により構成されている。本実施形態では、第1光学用ケース382は、結晶性樹脂材料として、不飽和ポリエステル樹脂のBMC(Bulk Molding Compound)を用いている。
【0025】
光源ユニット370は、光学用ケース381に形成される3つの固定用ネジ孔384に、3つの固定用ネジSC1をそれぞれ挿通し、光源用ケース371に形成される3つの固定用ネジ孔374に螺合することにより、光学ユニット380に固定されて一体となる。
これにより光学エンジン300が完成する。
【0026】
図4は、光学エンジン300とベースプレート50との組立てを示す斜視図である。
図5は、光学エンジン300をベースプレート50に固定した状態を示す斜視図である。
図4、
図5を参照して、光学エンジン300とベースプレート50との固定に関して説明する。
【0027】
図4に示すように、ベースプレート50は、光学エンジン300の-Z方向に位置している。また、ベースプレート50は、外装ケース10を構成する第2外装ケース12の+Z方向に位置している。言い換えると、ベースプレート50は、光学エンジン300と第2外装ケース12とに挟まれている。
【0028】
ベースプレート50は、金属材料の板材をプレス加工、曲げ加工及び切削加工などを行って概ね板状に形成されている。ベースプレート50は、本実施形態では、金属材料として、SECC(電気亜鉛めっきを施した冷間圧延鋼板)を用いている。
【0029】
図4、
図5に示すように、ベースプレート50は、一方の面となる上方向(+Z方向)の面50aに、光学ユニット380の第1光学用ケース382を受けて固定する。なお、ベースプレート50の一方の面となる面50aは段差も含めている。また、ベースプレート50の他方の面となる下方向(-Z方向)の面を面50bとし、段差も含めている。
【0030】
ベースプレート50のプレート本体51には、上方向(+Z方向)に一段折り曲げられた複数の段差部52が形成される。この段差部52には、光学エンジン300を固定する固定用ネジ孔521が1つずつ形成されている。この固定用ネジ孔521に対応して、光学エンジン300を構成する光学ユニット380の第1光学用ケース382には、固定用ネジ孔385が2つ形成される。
図4では、ベースプレート50の固定用ネジ孔521は1つのみ図示している。
【0031】
2つの固定用ネジ孔385は、光学エンジン300の中でも重量が重くなる光学ユニット380の光変調装置34、色合成装置35、投写光学装置36を間に挟む状態で形成されている。
【0032】
ベースプレート50は、第1光学用ケース382に形成される2つの固定用ネジ孔385に、2つの固定用ネジSC2をそれぞれ挿通し、ベースプレート50に形成される2つの固定用ネジ孔521に螺合することで、光学エンジン300をベースプレート50の一方の面となる面50aに固定する。ベースプレート50に光学エンジン300を固定した状態において、光学ユニット380は、ベースプレート50に直接固定されるが、光源ユニット370は、ベースプレート50には直接固定されてはいない状態となっている。
【0033】
ベースプレート50には、他方の面となる面50bに、プロジェクター1を天井面に取り付ける天吊り設置の際に用いる後述する取付部材60(後述する
図6を参照)を固定するための被取付部を有している。本実施形態では、被取付部の一例である、インサートナット或いはクリンチングナットで構成される円筒状の固定ナット53が設置されている。
【0034】
ベースプレート50において固定ナット53は、+X方向の段差部52に1つと、-X方向で、+Y方向と-Y方向の段差部52にそれぞれ1つずつの合計3つの固定ナット53が設置されている。固定ナット53の段差部52への固定は、本実施形態では、最初に、段差部52の貫通する孔部522に対して、円筒状のナット本体532を面50a側から面50b側に挿入して嵌め込む。そして、ローレット加工された鍔部531(後述する
図9を参照)を孔部522の外周の厚さ部分に圧入する。この圧入により、鍔部531が段差部52の厚さ部分に固定されることで、固定ナット53は、面50b側に突出する状態で段差部52に固定される。
【0035】
図6は、光学エンジン300を固定したベースプレート50と、第2外装ケース12との組立てを示す斜視図である。ベースプレート50と、第2外装ケース12との組立てについて説明する。
【0036】
図6に示すように、第2外装ケース12は、ベースプレート50の他方の面となる面50bに固定される。第2外装ケース12は、矩形の皿状に構成されるケース本体121を有し、ケース本体121の4つの角部には、第1外装ケース11にネジ固定するための固定部122が形成されている。この固定部122の下方向(-Z方向)から固定ネジ(図示省略)を固定部122に挿通し、第1外装ケース11に形成される固定受け部(図示省略)にネジ切りして固定することにより、第1外装ケース11と第2外装ケース12とが固定される。また、ケース本体121には、角度調整用脚128を伸縮自在に案内する角度調整案内部124が構成されている。
【0037】
ケース本体121の内面側には、投写光学装置36を受ける投写光学装置受け部123が構成されている。また、ケース本体121の内面側には、複数のダボ(図示省略)が形成されている。この複数のダボは、ベースプレート50に形成される複数の孔部523に挿通され、いわゆる熱カシメによる加工が行われる。これにより、第2外装ケース12がベースプレート50に固定される。
【0038】
また、ケース本体121の内面側には、プロジェクター1を構成する回路基板(図示省略)を固定する基板固定部(図示省略)が形成されている。回路基板は、主に光学エンジンの300の上方向(+Z方向)に位置して基板固定部にネジ固定される。
【0039】
ケース本体121には、ベースプレート50の固定ナット53に対応して、下方向(-Z方向)に突出する3つの固定ナット案内部125が形成されている。固定ナット案内部125の中心にはナット案内孔126が形成されている。ナット案内孔126の孔径は、固定ナット53の外径と略同一であって、内面側からベースプレート50の固定ナット53が挿通される。
【0040】
ベースプレート50に第2外装ケース12が固定された場合、後述する
図7に示すように、固定ナット53はナット案内孔126に挿通され、固定ナット53の先端部533が、第2外装ケース12の外部に露出した状態となる。なお、ケース本体121の下面12aは、固定ナット案内部125を除いて略フラットな面となっている。
【0041】
図7は、プロジェクター1と取付部材60との組立てを示す斜視図である。
図8は、プロジェクター1に取付部材60を固定した状態を示す斜視図である。
図9は、プロジェクター1に取付部材60を固定した状態の要部断面図である。詳細には、
図9は、
図8に示すA-A断面を示し、ベースプレート50、第2外装ケース12、取付部材60、固定ネジ70の断面となる。
図7~
図9を参照して、プロジェクター1の天吊り設置について説明する。
【0042】
なお、
図2~
図6では、プロジェクター1を机上面に載置する状態を基準として図示している。座標系もその配置に合わせて設定している。しかし、
図7~
図9では、プロジェクター1を上下反転させることにより、天吊り設置する状態を基準として図示している。
従って、
図7~
図9では、第2外装ケース12が、第1外装ケース11に対して上方向(天井面側)に位置する状態となる。
【0043】
また、
図7~
図9を参照する場合には、説明において、図を正視した状態を基準に、上下方向、左右方向、前後方向として方向を用いる。従って、
図2~
図6における上下方向及び左右方向が、
図7~
図9においては、それぞれ反対の方向となる。
【0044】
図7、
図8に示すように、取付部材60は、プロジェクター1を天井面に天吊り設置する際に、プロジェクター1側に固定される部材である。そして、取付部材60は、天井面に設置される天井側固定部材(図示省略)に固定されることで、プロジェクター1が天吊り設置される。
【0045】
取付部材60は、概略矩形の皿状に形成される取付本体61を有している。また、取付本体61は、後方向において、左右方向に延出した形状となっている。取付本体61の中央部には、取付本体61から矩形状に一段盛り上がった段差部62が形成されている。
【0046】
取付本体61の前方向には、ベースプレート50の固定ナット53に対応して孔部611が形成されている。また、取付本体61の後方向には、左右方向に延出した領域に、ベースプレート50の固定ナット53に対応して孔部611がそれぞれ形成されている。なお、取付本体61の後方向の左右方向に延出した領域に形成される孔部611において、左方向の1つの孔部611は、左右方向に延びる楕円形状の孔であり、右方向の1つの孔部611は、前後方向に延びる楕円形状の孔で構成されている。
【0047】
なお、取付部材60は、ベースプレート50と同様に、金属材料の板材をプレス加工、曲げ加工及び切削加工などを行って概ね板状に形成されている。また、取付部材60は、ベースプレート50と同様に、金属材料として、SECCを用いている。
【0048】
このような孔部611に対して、上方向から固定ネジ70を挿通する。固定ネジ70は、
図7~
図9に示すように、本実施形態では、特殊ネジとなる六角穴付きボルトを用いている。固定ネジ70は、六角穴付きの頭部71と、その下に鍔部72と、ネジ切りされたネジ部73とで構成されている。固定ネジ70の材質はステンレス鋼で、サイズはM4を用いている。
【0049】
取付部材60をベースプレート50に固定する場合、
図9に示すように、取付部材60を第2外装ケース12の所定の位置に合わせた後、固定ネジ70のネジ部73を取付部材60の孔部611に挿通させて、その下部に位置するベースプレート50の固定ナット53にネジ部73を当接させる。
【0050】
その後、頭部71の六角穴に六角ドライバーを差し込み回転させることにより、ネジ部73を固定ナット53の螺合部534に螺合させて締め付ける。この様な固定を3つの孔部611に対して行う。これにより、
図9に示すように、取付部材60は、孔部611の周囲が固定ナット53の先端部533と、固定ネジ70の鍔部72との間に挟み込まれて、ベースプレート50に固定される。
【0051】
取付部材60の段差部62には、天井面に設置される天井側固定部材に固定するためのネジ切りされた固定用ネジ孔621が4つ形成されている。なお、本実施形態のネジ孔となる固定用ネジ孔621は、VESA(Video Electronics Standards Association)規格に準拠して構成されている。
【0052】
なお、VESA規格は、プロジェクター1を含め、PC(パソコン)用のモニターや薄型テレビなどの映像周辺機器を、例えば、固定用のアーム、固定用のスタンドなどの固定部材に取り付ける際に、それぞれの機器の背面に形成する取り付け用のネジ孔の位置や数を定める国際標準規格となる。このような固定部材により、映像周辺機器を壁面や天井面などに取り付けることができる。なお、VESA規格に対応した機器同士であれば、ネジ孔位置が同じなので、簡単に固定したり、交換したりすることができる。
【0053】
本実施形態のネジ孔となる固定用ネジ孔621の位置間隔は、詳細には、VESA規格で、縦(前後)100mm×横(左右)100mmとなる。言い換えると、固定用ネジ孔621は、縦横(前後左右)ともに100mmピッチで4つ形成される。なお、天井面には、取付部材60と同様に、縦100mm×横100mmのVESA規格に対応する固定金具(図示省略)などを有した天井側固定部材が設置される。
【0054】
プロジェクター1側のVESA規格で形成された取付部材60を、天井側固定部材に固定する場合、天井側固定部材のVESA規格で形成された固定金具が有する固定ネジ(図示省略)などを取付部材60の固定用ネジ孔621に螺合させる。プロジェクター1が、天井側固定部材に取付部材60を介して固定されることにより、プロジェクター1を天吊り設置することができる。
【0055】
また、段差部62には、4つの固定用ネジ孔621に囲まれた概中央部には、例えば、三脚などの雲台(いずれも図示省略)に取り付けができるように、雲台に設置される固定ネジ(図示省略)の規格に対応させて、ネジ切りされた固定用ネジ孔622が1つ形成されている。従って、この固定用ネジ孔622に雲台に設置される固定ネジを螺合させることにより、プロジェクター1を雲台に固定することができる。なお、雲台は、三脚を含めて床面に設置される形態でもよいし、雲台が天井面に固定される形態でもよい。
【0056】
以上のように、本実施形態の取付部材60を用いることにより、プロジェクター1の天吊り設置が可能となるだけではなく、床面、机上面、または壁面など、様々な場所に設置することが可能となる。
【0057】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0058】
本実施形態のプロジェクター1は、光源装置31を収容して構成される光源ユニット370と、光変調装置34が収容されると共に、光源ユニット370が固定される光学ユニット380とを備えている。また、プロジェクター1は、ベースプレート50を備えている。そして、ベースプレート50は、一方の面(面50a)に光学ユニット380を固定すると共に、他方の面(面50b)にプロジェクター1の取付部材60を取り付ける被取付部の一例である固定ナット53を有している。
この構成によれば、ベースプレート50の一方の面(面50a)に、光学ユニット380を固定している。また、光学ユニット380は光源ユニット370を固定している。この場合、光源ユニット370と、光学ユニット380とがベースプレート50にそれぞれ直接取付けられる構成ではないため、ベースプレート50の精度が出しづらい場合にも、光学性能を確保することができる。
また、ベースプレート50の他方の面(面50b)には、プロジェクター1の取付部材60を直接取り付けるための被取付部(固定ナット53)を有している。そのため、プロジェクター1を天井面や壁面に固定する場合、プロジェクター1や、プロジェクター1内部の光学系30を構成する光学エンジン300(光源ユニット370、光学ユニット380)の落下を防止することができる。
【0059】
本実施形態のプロジェクター1は、外装ケース10(第2外装ケース12)を備えており、第2外装ケース12は、ベースプレート50の他方の面(面50b)に固定される。
なお、第2外装ケース12は、光源ユニット370、光学ユニット380、及びベースプレート50を内部に収容する。そして、被取付部(固定ナット53)は、第2外装ケース12の外部に露出している。
この構成によれば、プロジェクター1は、第2外装ケース12を備えることにより、内部に収容される光源ユニット370、光学ユニット380、及びベースプレート50を隠すことができ、所望の外観となるように構成することができる。また、ベースプレート50の被取付部(固定ナット53)は、第2外装ケース12の外部に露出していることで、取付部材60を直接取り付けることができる。
【0060】
本実施形態のプロジェクター1において、ベースプレート50は、金属材料で構成されている。
この構成によれば、ベースプレート50が金属材料で構成されていることにより、プロジェクター1を天井面や壁面に固定する場合、プロジェクター1の設置環境(例えば、油煙環境)に影響されずに、プロジェクター1や、プロジェクター1内部の光学系30を構成する光学エンジン300(光源ユニット370、光学ユニット380)の落下を防止することができる。
【0061】
2.変形例1
本実施形態のプロジェクター1は、ベースプレート50と第2外装ケース12とを備えている。しかし、これには限られず、第2外装ケース12に、金属材料、または結晶性樹脂を含有する樹脂材料を用いて構成することを含めて、ベースプレート50としての機能を持たせることでもよい。また、逆に、ベースプレート50に第2外装ケース12としての機能を持たせることでもよい。このような構成とした場合にも、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0062】
3.変形例2
本実施形態のプロジェクター1は、電源を内蔵せず、ACアダプターを用いることで電源を分離している。しかし、電源を外装ケース10内部に有する構成としてもよい。その場合、電源は光学エンジン300と同様に、ベースプレート50に固定する構成とすることでよい。このような構成とした場合にも、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0063】
4.変形例3
本実施形態の被取付部の一例である固定ナット53は、鍔部531がローレット加工されているものを使用しているが、これには限られず、固定ナットが確実にベースプレート50に固定される構成であればよい。
【0064】
5.変形例4
本実施形態の取付部材60の固定用ネジ孔621は、VESA規格に準拠して構成されている。しかし、これには限られず、独自の取付け構造を用いて、天井側固定部材の固定金具と、取付部材60とを固定することでもよい。
【0065】
6.変形例5
本実施形態のベースプレート50は、SECCを用いているが、これには限られず、金属材料として、例えば、他の鉄系材料、ステンレス鋼、銅、アルミ、マグネシウムなどを用いてもよい。このような構成とした場合にも、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0066】
7.変形例6
本実施形態のベースプレート50は、金属材料を用いているが、耐薬品性などが強い結晶性樹脂を含有する樹脂材料を用いることでもよい。結晶性樹脂として、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)、POM(ポリアセタール、ポリオキシメチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、LCP(液晶ポリマー)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標)などを挙げることができる。このような構成とすることで、プロジェクター1を天井面や壁面に固定する場合、プロジェクター1の設置環境(例えば、油煙環境)に影響されずに、プロジェクター1や、プロジェクター1内部の光学系30を構成する光学エンジン300の落下を防止することができる。
【0067】
8.変形例7
本実施形態のベースプレート50(固定ナット53)は、固定ネジ70を介して取付部材60と固定され、取付部材60を用いて天吊り設置が行われる。しかし、机上面にプロジェクター1を載置する場合には、ベースプレート50(固定ナット53)への取付部材60の固定は行わず、固定ネジ70に換えて、棒状の部材を固定ナット53の螺合部534に螺合させることでもよい。なお、棒状の部材として、例えば、ゴム部材を頭部(例えば固定ネジ70の頭部71)に付けたボルトを用いて、固定ナット53に螺合させることにより、プロジェクター1を机上面に載置する場合の脚部として機能させることができる。これにより、被取付部(固定ナット53)を天吊り設置用などに用いる事の他、机上面に載置する際の脚部として使用することができ、被取付部の利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0068】
1…プロジェクター、10…外装ケース、12…第2外装ケース、31…光源装置、34…光変調装置、36…投写光学装置、50…ベースプレート、50a…一方の面としての面、50b…他方の面としての面、53…被取付部の一例である固定ナット、60…取付部材、300…光学エンジン、370…光源ユニット、380…光学ユニット。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置
と、前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置とを備えたプロジェクタ
ーであって、
前記光源装置を収容して構成される光源ユニットと、
前記光変調装置が収容されると共に、前記光源ユニットが固定される光学ユニットと、
一方の面に前記光学ユニットを固定すると共に、他方の面に前記プロジェクターの取付
部材を取り付ける被取付部を有するベースプレートと、
前記光源ユニット、前記光学ユニット及び前記ベースプレートを内部に収容する外装ケ
ースと、
を備え、
前記投写光学装置から画像光が投写される方向からみたとき、前記外装ケースは、前記
ベースプレートの前記被取付部に重なるように前記ベースプレートを覆うことを特徴とす
るプロジェクター。
【請求項2】
光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置
と、前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置とを備えたプロジェクタ
ーであって、
前記光源装置を収容して構成される光源ユニットと、
前記光変調装置が収容されると共に、前記光源ユニットが固定される光学ユニットと、
一方の面に前記光学ユニットを固定すると共に、他方の面に前記プロジェクターの取付
部材を取り付ける被取付部を有するベースプレートと、
前記光源ユニット、前記光学ユニット及び前記ベースプレートを内部に収容する外装ケ
ースと、
を備え、
前記外装筐体の内部で前記取付部材が前記被取付部に取り付けられていることを特徴と
するプロジェクター。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記被取付部は、前記外装ケースの外部に露出していることを特徴とするプロジェクタ
ー。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記ベースプレートは、金属材料、または結晶性樹脂を含有する樹脂材料で形成される
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
前記外装筐体は、上面、下面および前後左右に位置する複数の側面と、を含み、
前記上面側または前記下面側に前記取付部材が取り付けられ、
前記左右に位置する前記複数の側面のうちの1つの側面には、吸気口が形成され、
前記前後に位置する前記複数の側面のうちの1つの側面には、排気口が形成されること
を特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
前記被取付部に、脚部を取り付け可能であることを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
電源をさらに備え、
前記外装筐体は、前記電源を内部に有し、
前記電源は、前記ベースプレートに固定されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
前記被取付部は、前記取付部と螺合する螺合部を有し、
前記螺合部は、前記外装筐体の内部に配置される。