(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086934
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】呼吸支援システム及び車両
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20240621BHJP
B60N 2/66 20060101ALI20240621BHJP
A47C 7/40 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/66
A47C7/40
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066899
(22)【出願日】2024-04-17
(62)【分割の表示】P 2019140865の分割
【原出願日】2019-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】星 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 生佳
(72)【発明者】
【氏名】木幡 耕平
(57)【要約】
【課題】不快を感じることなく望ましい呼吸状態に移行可能な呼吸支援システムを提供する。
【解決手段】呼吸支援システム1は、制御部10と、制御部に接続しシートに着座した乗員20の生体情報を検知する検知手段2と、制御部により制御され、乗員に情報を視覚的又は聴覚的に通知する第一通知部21及び第二通知部22と、を備え、検知手段は、乗員の呼吸の状態を検知することが可能であり、制御部は、検知手段が検知した乗員の呼吸の状態を第一通知部により通知すると共に、望ましい呼吸の状態をリファレンス情報15として第二通知部により通知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、
前記制御部に接続しシートに着座した乗員の生体情報を検知する検知手段と、
前記制御部により制御され、前記乗員に情報を視覚的又は聴覚的に通知する第一通知部及び第二通知部と、を備え、
前記検知手段は、前記乗員の呼吸の状態を検知することが可能であり、
前記制御部は、前記検知手段が検知した前記乗員の呼吸の状態を前記第一通知部により通知すると共に、望ましい呼吸の状態をリファレンス情報として前記第二通知部により通知することを特徴とする呼吸支援システム。
【請求項2】
前記第一通知部及び前記第二通知部は照明装置であり、
前記制御部は、前記乗員の呼吸の状態と前記リファレンス情報とを前記第一通知部及び前記第二通知部の照明装置の照明により視覚的に通知することを特徴とする請求項1に記載の呼吸支援システム。
【請求項3】
前記制御部は、照明の強弱により前記乗員の呼吸の状態又は前記リファレンス情報を通知することを特徴とする請求項2に記載の呼吸支援システム。
【請求項4】
前記第一通知部及び前記第二通知部のうちいずれか一方は複数の光源を有する照明装置であり、
前記制御部は、前記照明装置の複数の光源のうち点灯する光源を切り替えることにより、前記乗員の呼吸の状態又は前記リファレンス情報を通知することを特徴とする請求項2に記載の呼吸支援システム。
【請求項5】
前記制御部に接続された第三通知部を備え、
前記制御部は、前記乗員の呼吸の状態と前記リファレンス情報との一致度を判定する判定部を有し、前記判定部が判定した一致度を前記第三通知部により通知することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の呼吸支援システム。
【請求項6】
前記第三通知部は照明装置であり、
前記制御部は、前記判定部が判定した一致度に応じて表示を変化させることを特徴とする請求項5に記載の呼吸支援システム。
【請求項7】
前記シートをリクライニングさせることが可能であると共に前記制御部により制御可能なリクライニング機構を備え、
前記制御部は、前記乗員が呼吸しやすい姿勢になるよう、前記リクライニング機構を作動させることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の呼吸支援システム。
【請求項8】
前記制御部に接続され、着座した乗員の腰部に対応する位置にランバを備え、
前記制御部は、前記ランバを前記リファレンス情報と連動して駆動させ乗員の腰部を押圧することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の呼吸支援システム。
【請求項9】
前記制御部に接続され、着座した乗員の首元及び/又は太腿に対応する位置にヒータを備え、
前記制御部は、前記判定部が判定した一致度に基づいてヒータを稼働させることを特徴とする請求項5又は6に記載の呼吸支援システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の呼吸支援システムを備えることを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸支援システム及びその呼吸支援システムを備える車両に係り、特に着座した乗員の呼吸を整えリラックスした状態にすることを支援する呼吸支援システム及びその呼吸支援システムを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の乗物において着座した乗員の呼吸を適切に支援するために、例えば特許文献1に記載の発明のように、シートバックにランバを設け、乗員が着座するシートの形状を変化させることで、乗員の呼吸状態を変化させるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の呼吸支援装置ででは、シートバックに設けられたランバを周期的に突出させることによって乗員の背中を押圧し、乗員の呼吸リズムを望ましい状態に誘導している。しかしながら、ランバを用いて直接的に乗員の背中を押圧することで強制的に呼吸のリズムをコントロールしようとしているため、乗員によっては触覚的な刺激に不快を感じる場合があるという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、乗員が不快を感じることなく、望ましい呼吸状態に移行することが可能な呼吸支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、呼吸支援システムであって、制御部と、前記制御部に接続しシートに着座した乗員の生体情報を検知する検知手段と、前記制御部により制御され、前記乗員に情報を視覚的又は聴覚的に通知する第一通知部及び第二通知部と、を備え、前記検知手段は、前記乗員の呼吸の状態を検知することが可能であり、前記制御部は、前記検知手段が検知した乗員の呼吸の状態を前記第一通知部により通知すると共に、望ましい呼吸の状態をリファレンス情報として前記第二通知部により通知する、呼吸支援システムにより解決される。
乗員に、視覚的又は聴覚的に呼吸の状態を通知する第一通知部と望ましい呼吸の状態をリファレンス情報として通知する第二通知部とを備えることにより、乗員は自分の呼吸と、望ましい呼吸の状態とを比較することができる。それにより、乗員は自主的に呼吸を調整することができるようになる。触覚的な刺激による不快を感じることなく、望ましい呼吸状態に移行することができる。
【0007】
上記構成において、前記第一通知部及び前記第二通知部は照明装置であり、前記制御部は、前記乗員の呼吸の状態と前記リファレンス情報とを前記第一通知部及び前記第二通知部の照明装置の照明により視覚的に通知すると好適である。
乗員は、自分の呼吸の状態が明確になり、リファレンス情報による望ましい呼吸の状態に合わせやすくなる。
【0008】
また、上記構成において、前記制御部は、照明の強弱により前記乗員の呼吸の状態又は前記リファレンス情報を通知すると好適である。
乗員は、自分の呼吸の状態が明確になり、リファレンス情報による望ましい呼吸の状態に合わせやすくなる。
【0009】
また、上記構成において、前記第一通知部及び前記第二通知部のうちいずれか一方は複数の光源を有する照明装置であり、前記制御部は、前記照明装置の複数の光源のうち点灯する光源を切り替えることにより、前記乗員の呼吸の状態又は前記リファレンス情報を通知すると好適である。
乗員は、自分の呼吸の状態が明確になり、リファレンス情報による望ましい呼吸の状態に合わせやすくなる。
【0010】
また、上記構成において、前記制御部に接続された第三通知部を備え、前記制御部は、前記乗員の呼吸の状態と前記リファレンス情報との一致度を判定する判定部を有し、前記判定部が判定した一致度を前記第三通知部により通知すると好適である。
乗員はリファレンス情報と自分の呼吸とが一致しているか否か理解しやすくなり、自分の呼吸をリファレンス情報による望ましい呼吸の状態に合わせやすくなる。
【0011】
また、上記構成において、前記第三通知部は照明装置であり、前記制御部は、前記判定部が判定した一致度に応じて表示を変化させると好適である。
乗員はリファレンス情報と自分の呼吸とが一致しているか否か理解しやすくなり、自分の呼吸をリファレンス情報による望ましい呼吸の状態に合わせやすくなる。
【0012】
また、上記構成において、前記シートをリクライニングさせることが可能であると共に前記制御部により制御可能なリクライニング機構を備え、前記制御部は、前記乗員が呼吸しやすい姿勢になるよう、前記リクライニング機構を作動させると好適である。
リクライニングさせることにより乗員は呼吸しやすくなり、乗員は自分の呼吸をリファレンス情報による望ましい呼吸の状態に合わせやすくなる。
【0013】
また、上記構成において、前記制御部に接続され、着座した乗員の腰部に対応する位置にランバを備え、前記制御部は、前記ランバを前記リファレンス情報と連動して駆動させ乗員の腰部を押圧すると好適である。
ランバが乗員の腰部を押圧することで、複式呼吸に誘導することができ、呼吸による乗員がリラックスする効果を向上させることができる。
【0014】
また、上記構成において、前記制御部に接続され、着座した乗員の首元及び/又は太腿に対応する位置にヒータを備え、前記制御部は、前記判定部が判定した一致度に基づいてヒータを稼働させると好適である。
首元及び/又は太腿に近接配置されたヒータにより、乗員は首元及び/又は太腿を加温されることで、リラックスする状態が促進されるようになる。
【0015】
また、車両は、上記の呼吸支援システムを備えると好適である。
車両が、上記した構成の呼吸支援システムを備えることにより、乗員は不快を感じることなく、望ましい呼吸状態に移行することができる。
【発明の効果】
【0016】
乗員に、視覚的又は聴覚的に呼吸の状態を通知する第一通知部と望ましい呼吸の状態をリファレンス情報として通知する第二通知部とを備えることにより、乗員は自分の呼吸と、望ましい呼吸の状態とを比較することができる。それにより、乗員は自主的に呼吸を調整することができるようになる。触覚的ない刺激による不快を感じることなく、望ましい呼吸状態に移行することができる。
また、第一通知部及び第二通知部が照明装置であることにより、乗員は、自分の呼吸の状態が明確になり、リファレンス情報による望ましい呼吸の状態に合わせやすくなる。
また、乗員はリファレンス情報と自分の呼吸とが一致しているか否か理解しやすくなり、自分の呼吸をリファレンス情報による望ましい呼吸の状態に合わせやすくなる。
また、リクライニングさせることにより乗員は呼吸しやすくなり、乗員は自分の呼吸をリファレンス情報による望ましい呼吸の状態に合わせやすくなる。
また、ランバが乗員の腰部を押圧することで、複式呼吸に誘導することができ、呼吸による乗員がリラックスする効果を向上させることができる。
また、首元及び/又は太腿に近接配置されたヒータにより、乗員は首元及び/又は太腿を加温されることで、リラックスする状態が促進されるようになる。
また、車両が、上記した構成の呼吸支援システムを備えることにより、乗員は不快を感じることなく、望ましい呼吸状態に移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る呼吸支援システムの外観を示す斜視図である。
【
図2】シートに着座した乗員の状態を示す模式図である。
【
図4】乗員の呼吸の状態を示す内装パネルの一部を示す図であり、第一通知部の表示内容を示す図である。
【
図5】リファレンス情報及び判定結果を示すフロントパネルを示す図であり、第二通知部及び第三通知部の表示内容を示す図である。
【
図7】呼吸支援システムの基本的な処理の流れを示す図である。
【
図8】乗員の呼吸を整えるために支援する処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1~
図8を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係る呼吸支援システムについて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、以下の実施形態において同一又は類似の構成要素には共通の参照符号を付して示し、理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
【0019】
以下の説明中、「前後方向」とは、
図1及び
図2に示すようにシートSの乗員20(ユーザ)から見たときの前後方向を意味し、車両の走行方向と一致する方向である。「シートの幅方向」とは、シートSの横幅方向を意味し、シートSの乗員20から見たときの左右方向と一致する。また、「上下方向」とは、シートSの高さ方向を意味する。
【0020】
まず、
図1及び
図2を参照しながら、呼吸支援システム1の構成について説明する。
図1は、呼吸支援システム1を備える車両の室内を示す斜視図であり、
図2は、呼吸支援システム1と、呼吸支援システム1が取り付けられた車両のシートSに着座した乗員20の状態を示す模式図である。
【0021】
図1及び
図2に示されるように、シートSは、乗員20の臀部及び太腿部20Cを支持するシートクッションS1と、乗員20の背部20Bを支持するシートバックS2と、乗員20の頭部20Aを支持するヘッドレストS3を備える。
【0022】
また、シートSには、呼吸検知センサ2、心拍センサ3、ヒータ7(太腿用ヒータ7a、首元用ヒータ7b)、リクライニング機構8、ランバ9及びECU10(Electro Control Unit)が設置されている。また、シートSの側方にあるドアDのアッパーベースに第一通知部21が設置され、ロアベースにスピーカ5、タッチスイッチ6が設置されている。シートSの前方にあるフロントパネル30に、第二通知部22及び第三通知部23が設置されている。
【0023】
ECU10は、CPU11、メモリ12及び入出力IF13(入出力インターフェース)を備える。ECU10は、シートSに着座する乗員20の呼吸支援システム1を制御する制御部(コンピュータ)である。ECU10は、シートSに内蔵されていてもよいし、シートSの外部装置として設けられてもよい。
【0024】
CPU11は、メモリ12に記憶されるプログラムやデータに基づいて各種の演算処理を実行する中央処理装置である。CPU11は、入出力IF13(入出力インターフェース)を介して検知手段である呼吸検知センサ2又は心拍センサ3から入力される乗員20の身体信号(生体情報)に基づく処理結果に応じて、入出力IF13を介して接続される第一通知部21、第二通知部22、第三通知部23、呼吸検知センサ2、心拍センサ3、スピーカ5、ヒータ7、リクライニング機構8、ランバ9の動作を制御する。
メモリ12は、各種のプログラムやデータを記憶するほか、CPU11のワークメモリとしても機能する。
入出力IF13は、第一通知部21、第二通知部22、第三通知部23、呼吸検知センサ2、心拍センサ3、スピーカ5、タッチスイッチ6、ヒータ7、リクライニング機構8、ランバ9と接続し、各デバイスと通信する。
【0025】
呼吸検知センサ2は、上下に電極を有してシートクッションS1に設けられており、シートSに着座する乗員20の呼吸に応じて変化する電気抵抗を検出する抵抗感圧式のセンサ(圧力センサ)である。
ここで、呼吸検知センサ2の上面の電極に加えられる圧力によって、上面の電極が下方に変形することで接触抵抗が大きくなると電極間の電気抵抗値が小さくなる。この電気抵抗値に係る電気信号が呼吸検知センサ2から入出力IF13を介してECU10に入力される。ECU10は、電気抵抗値に係る電気信号に基づいて圧力を演算し、演算した圧力に基づいて呼吸データを得る。
【0026】
心拍センサ3は、容量結合型電極により乗員20の心電信号を非接触により計測するセンシングデバイスである。ここで、心電信号とは、乗員20の心臓の拍動に伴って生じる活動電位信号のことをいう。
心拍センサ3により検出された心電信号は、入出力IF13を介してECU10に入力される。
本実施形態では、心拍センサ3は、シートバックS2に設けられることとするが、心拍センサ3はシートクッションS1に設けても構わない。また、心拍センサ3によって得られた乗員20の心拍データを、呼吸のリファレンス情報15の変更等に用いない場合は、心拍センサ3を設けなくてもよい。
【0027】
リクライニング機構8は、シートクッションS1とシートバックS2とを回動可能に連結する機構である。そして、リクライニング機構8により、シートクッションS1に対するシートバックS2の角度が可変となっている。
リクライニング機構8は、電動の機構としてよく、入出力IF13を介して入力されるECU10からの制御信号に基づいてシートクッションS1に対するシートバックS2の角度(リクライニング角)が制御される。
なお、呼吸支援システム1では、ECU10により呼吸支援処理(リラックスモード)を開始する際、最初のタイミングでリクライニングしてもよい。また、乗員20の呼吸状態がリファレンス情報15と一致しない場合に、乗員20が呼吸しやすいようリクライニングしてもよい。なお、乗員20が呼吸しやすいリクライニング角としで約15度に設定するのが望ましい。
リクライニングすることにより乗員20は呼吸しやすくなり、乗員20は自分の呼吸をリファレンス情報15による望ましい呼吸の状態に合わせやすくなる。
【0028】
スピーカ5は、入出力IF13を介してECU10から入力される音声信号に基づいて音声を出力する。本実施形態では、スピーカ5は、上述のようにドアDの内装の下部(ロアベース)に設けられる。しかしながら、スピーカ5の位置は、これに限られるものではなく、シートバックS2又はヘッドレストS3に設けられていてもよい。なお、呼吸支援システム1では、スピーカ5を用いて、後述する第一通知部21の代わりに、呼吸検知センサ2により得られた乗員20の呼吸状態を音声により乗員20に通知してもよい。また、第二通知部22の代わりに、リファレンス情報15による望ましい呼吸のタイミングを音声により乗員20に通知してもよい。
【0029】
ランバ9は、シートバックS2に設けられ、乗員20側に突出する(張り出す)ことにより、乗員20の腰部を部分的に押圧する機構である。例えば、ランバ9は、シートバックS2において、乗員20の第四胸椎と対向する位置に設けられ、乗員20側に張り出した場合に乗員20の第四胸椎を押圧することとしてよい。なお、ランバ9の動作は、入出力IF13を介して入力されるECU10からの制御信号に基づいて制御されることとしてよい。
【0030】
図4に本実施形態の第一通知部21を示す。第一通知部21は、ドアDの内装パネル31に設けれた照明装置であり、複数の光源、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)から構成されている。第一通知部21は、呼吸検知センサ2により得られた乗員20の呼吸状態を示すよう設けられていて、呼吸支援システム1が稼働して正常に呼吸状態が得られる場合は、ECU10により、照明装置の中央にある光源21aが点灯する。そして、光源21aの周囲を囲むように配された光源21bが、乗員20の呼吸のタイミングに合わせて点灯する。具体的には乗員20が息を吸っている場合、放射状に矢印A方向に広がるよう光源21bは点灯する。息を吐いている場合は逆向きに縮まるよう光源21bは点灯する。このように、第一通知部21は視覚的に理解しやすいよう乗員20の呼吸の状態を表示する。
なお、この表示方法は一例であり、第一通知部21の光源はドアDの前後方向に沿って並べられ、呼吸の状態に応じて光源が前後方向に流れるよう点灯してもよい。
また、第一通知部21である照明装置の光源は一つでもよく、照明の明るさを変更する、すなわち照明の強弱により呼吸の状態を乗員20に通知してもよい。
【0031】
図5に第二通知部22及び第三通知部23を示す。第二通知部22及び第三通知部23は、フロントパネル30に設けられた照明装置であり、複数の光源(LED)から構成されている。第二通知部22は、ECU10のメモリ12に記憶された望ましい呼吸の状態を示すリファレンス情報15に基づいて、その表示を変更する。リファレンス情報15とは望ましい呼吸のタイミングや、息を吐いたり吸ったりする時間の長さ等が記録されている。本実施形態では、システムが稼働している場合、ECU10により、照明装置の中央にある光源22aが点灯する。そして、光源22aの周囲に配された光源22bが、リファレンス情報15に合わせて点灯する。例えば乗員20に息を吸わせる場合、放射状に矢印B方向に広がるよう光源22bが点灯する。息を吐かせる場合は逆向きに縮まるよう光源22bが点灯する。このように、第一通知部21は視覚的に理解しやすいよう、望ましい呼吸のタイミングとしてリファレンス情報15を表示する。
【0032】
ECU10は、乗員20の呼吸の状態とリファレンス情報15とが一致する度合い(一致度)を判定する判定部14を有する。ECU10は、判定部14が判定した結果に基づき、第三通知部23の光源を点灯させる。本実施形態の第三通知部23は、横一列に並んだ8つのLEDからなり、乗員20の呼吸とリファレンス情報15とが一致する場合、緑色のLEDを点灯する。一致しない場合は、白色のLEDを点灯する。これは一例であり、一致度に応じて表示するLEDの色は別の色でもよい。また、一致度に応じて表示するLEDの数量を変更してもよい。
【0033】
また、第一通知部21と同様、第二通知部22及び第三通知部23である照明装置の光源は一つでもよく、光源の明るさを変更する、すなわち照明の強弱により呼吸のリファレンス情報15や、乗員20の呼吸とリファレンス情報15との一致度を表示して乗員20に通知してもよい。
【0034】
呼吸支援システム1は、タッチスイッチ6を備えており、乗員20は、タッチスイッチ6に表示されたエリアをタッチすることにより、モードを変更することができる。例えば、乗員20がリラックスボタン6aをタッチすることにより、呼吸支援システム1による呼吸支援処理(リラックスモード)が開始される。太腿又は首元を加温したい場合は、ヒータボタン6bをタッチして太腿用ヒータ7a又は首元用ヒータ7bのスイッチを入れることが可能になっている。
【0035】
次に、
図7及び
図8に基づいて、呼吸支援システム1の動作について具体的に説明する。呼吸支援処理(リラックスモード)は、乗員20をリラックスさせることを目的として、乗員20の呼吸状態を望ましい状態に導くために呼吸のタイミングを支援する処理である。
【0036】
図7に示すように、ECU10は、まず、呼吸検知センサ2により、乗員20の呼吸を検知する(S01)。次に、検知した乗員20の呼吸の情報を基に、第一通知部21に呼吸状態を表示する(S02)。次に、ECU10は、メモリ12に記憶されたリファレンス情報15を基に、第二通知部22にリファレンス情報15を表示する(S03)。具体的には、リファレンス情報15に記録された呼吸のタイミングに基づき、照明等を点灯する。乗員20は、第二通知部22に表示されたリファレンス情報15を見ながら、自分の呼吸するタイミングを調整する。この呼吸支援処理は、例えば乗員20により終了のボタン(例えば
図6のリラックスボタン6a)が押されるまで繰り返される(S04)。終了のボタンが押された場合(S04でYes)、呼吸支援処理を終了する。呼吸支援処理はタイマー等により所定時間経過するまで続けられてもよい。
【0037】
呼吸支援処理の別例を
図8に示す。S101~S103は
図7に示すS01~S03と同様であるためその説明は省略する。
図8に示す呼吸支援処理では、第二通知部22にリファレンス情報15を表示(S103)した後、ECU10を用いて、乗員20の呼吸状態とリファレンス情報15とを比較して一致しているか否かを判断する(S104)。リファレンス情報15として示される呼吸のタイミングと、乗員20の呼吸のタイミングが一致している場合(S104でYes)、第三通知部23に一致している旨を表示する。例えば、第三通知部23が、フロントパネル30に設けられたLEDの照明装置である場合、緑色のLEDを点灯する(S105)。第三通知部23が液晶ディスプレイである場合は、一致している旨を文字で表示してもよい。また、第三通知部23をスピーカ5とした場合は、音声で一致している旨を通知してもよい。その後、呼吸支援システム1は、呼吸支援処理を終了する。
【0038】
リファレンス情報15による呼吸のタイミングと、乗員20の呼吸のタイミングが一致しない場合(S104でNo)、第三通知部23に一致していない旨を表示する。例えば、第三通知部23が、フロントパネル30に設けられたLEDの照明装置である場合、一致している場合と異なる色(本実施形態では白色)のLEDを点灯する(S106)。第三通知部23が液晶ディスプレイである場合、呼吸するタイミングが一致していないことを文字で表示してもよい。また、第三通知部23をスピーカ5とした場合は、音声により一致していない旨を通知してもよい。
【0039】
判定部14により一致していないと判定された場合、呼吸支援システム1は、引き続き乗員20の呼吸を検知し(S101)、第一通知部21に呼吸状態を表示し(S102)、第二通知部22にリファレンス情報15を表示する(S103)。そして、判定部14は、乗員20の呼吸のタイミングとリファレンス情報15が示すタイミングと比較して一致するか否か判断する(S104)。一致しない場合、乗員20の呼吸が整えられるよう更なる支援(S107)を実施してもよい。
【0040】
ECU10は、リクライニング機構8を稼働させてシートSのリクライニングを実施してもよい(S108)。
リクライニングさせることにより乗員20は呼吸しやすくなり、乗員20は自分の呼吸をリファレンス情報15による望ましい呼吸の状態に合わせやすくなる。
【0041】
ECU10は、ヒータ7を稼働させて、太腿/肩甲骨を加温してもよい(S109)。首元及び/又は太腿に近接配置されたヒータ7により、乗員20は首元及び/又は太腿を加温されることで、リラックスする状態が促進されるようになる。
【0042】
ECU10は、リファレンス情報15の呼吸のタイミングに合わせて、ランバ9を前後に作動させてもよい(S110)。ランバ9が乗員20の腰部を押圧することで、複式呼吸に誘導することができ、呼吸による乗員20がリラックスする効果を向上させることができる。
また、S107の支援は、乗員20がボタン等で選択することにより実行されてもよい。
また、S107の支援は、乗員20が呼吸支援処理の開始を指示する(タッチスイッチ6のリラックスボタン6aをタッチする)と同時に実施されてもよい。
【0043】
リファレンス情報15により示される乗員20の望ましい呼吸のタイミングは固定ではなく、例えば心拍センサ3によって得られた乗員20の心拍数によって変更されてもよい。例えば、乗員20の心拍数が高い場合、乗員20が合わせやすいよう第二通知部22に示す呼吸のタイミングを通常のタイミングより速くするものとし、心拍数が下がるにつれて第二通知部22に表示する呼吸のタイミングを遅くして徐々に通常のタイミングに近付くようにしてもよい。
【0044】
上記の本実施形態では、具体例として車両に用いられる呼吸支援システム1について説明したが、呼吸支援システム1は車両に限定されることなく、電車、バス等の座席として設けることも可能であり、また、飛行機、船の座席にも利用することもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 呼吸支援システム
S シート
S1 シートクッション
S2 シートバック
S3 ヘッドレスト
D ドア
2 呼吸検知センサ(検知手段)
3 心拍センサ
5 スピーカ
6 タッチスイッチ
6a リラックスボタン
6b ヒータボタン
7 ヒータ
7a 太腿用ヒータ
7b 首元用ヒータ
8 リクライニング機構
9 ランバ
10 ECU
11 CPU
12 メモリ
13 入出力IF
14 判定部
15 リファレンス情報
20 乗員
20A 頭部
20B 背部
20C 太腿部
21 第一通知部
22 第二通知部
23 第三通知部
30 フロントパネル
31 内装パネル