(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086938
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20240621BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067198
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2023093627の分割
【原出願日】2018-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 隆一郎
(57)【要約】
【課題】本発明は、着座者が容易にセンサの位置を知ることができ、適切にセンサを利用することができるシートを提供することを目的とする。
【解決手段】
シートは、クッションパッド20と、クッションパッド20を被覆する表皮10とを有するシート本体S0と、シート本体S0に座っている着座者の情報を取得するセンサ(圧力センサPS1~PS6)と、シート本体S0の外側からセンサの位置を視認可能に表示する位置表示部を備える。センサは、クッションパッド20と表皮10との間に配置され、位置表示部は、表皮10に縫い込まれた糸状部材32である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッションパッドと、クッションパッドを被覆する表皮とを有するシート本体と、
前記シート本体に座っている着座者の情報を取得するセンサと、
前記シート本体の外側から前記センサの位置を視認可能に表示する位置表示部と、を備えるシートであって、
前記センサは、前記クッションパッドと前記表皮との間に配置され、
前記位置表示部は、前記表皮に対して着脱可能であることを特徴とするシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート本体に座っている着座者の情報を取得するセンサを備えるシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者のシートに圧力センサ等を搭載して、着座者の着座姿勢を推定する装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の装置は、運転者の着座姿勢を評価して提示するだけであるので、あまり有効に利用できないという問題がある。有効に利用する例として、例えば、正しい着座姿勢を運転者に提示し、運転者の現在の着座姿勢が正しい着座姿勢となるように運転者に動作を促すことが考えられる。しかしながら、この場合、運転者がセンサの位置を知らないと、自分の身体をどのように動かしてよいか分からないという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、シートの新たな価値を提案するべく、着座者が容易にセンサの位置を知ることができ、適切にセンサを利用することができるシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決する本発明は、シート本体と、前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている着座者の情報を取得するセンサと、を備えるシートである。
前記シートは、前記シート本体の外側から前記センサの位置を視認可能に表示する位置表示部を備える。
【0007】
この構成によれば、位置表示部によってシート本体の外側からセンサの位置を視認することができるので、着座者が容易にセンサの位置を知ることができ、適切にセンサを利用することができる
【0008】
また、前記シート本体は、クッションパッドと、クッションパッドを被覆する表皮とを備え、前記センサは、前記クッションパッドと前記表皮との間に配置されていてもよい。
【0009】
また、前記位置表示部は、前記表皮の外側に露出していてもよい。
【0010】
これによれば、位置表示部が表皮の外側に露出するので、位置表示部を視認しやすくすることができる。
【0011】
また、前記位置表示部の色は、前記表皮の色と異なっていてもよい。
【0012】
これによれば、位置表示部の色が表皮と異なるので、位置表示部を視認しやすくすることができる。
【0013】
また、前記表皮は、前記センサに対応した位置に孔を有し、前記位置表示部は、前記孔を通して前記表皮の外側に露出していてもよい。
【0014】
これによれば、位置表示部が孔を通して表皮の外側に露出するので、位置表示部を視認しやすくすることができる。
【0015】
また、前記位置表示部は、前記センサであってもよい。
【0016】
これによれば、位置表示部としてセンサとは別の部材を設ける必要がないので、コストを削減することができる。
【0017】
また、前記位置表示部は、前記表皮と前記センサとの間に配置され、前記表皮の一部を当該一部の周囲の部分よりも突出させてもよい。
【0018】
これによれば、表皮の一部が周囲の部分よりも突出することで、着座者が容易にセンサの位置を知ることができる。
【0019】
また、前記位置表示部は、前記表皮の外側に光を出射する発光部材であってもよい。
【0020】
これによれば、光によって着座者が容易にセンサの位置を知ることができる。
【0021】
また、前記センサで検出した情報を所定の対象機器に送信する制御部をさらに備え、前記制御部は、前記対象機器と通信可能になった場合に、前記発光部材を発光させてもよい。
【0022】
これによれば、制御部が対象機器と通信可能な場合、つまり着座者がセンサを使用する場合に、発光部材が発光するので、非使用時に発光部材が不必要に光るのを抑制することができる。
【0023】
また、前記制御部は、前記センサからの情報に基づいて着座者が着座したと判断した場合に、前記発光部材を消灯させてもよい。
【0024】
これによれば、例えば着座後も発光部材を発光させ続ける形態と比べ、電力消費を抑えることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、着座者が容易にセンサの位置を知ることができ、適切にセンサを利用することができる。
【0026】
また、位置表示部を表皮の外側に露出させることで、位置表示部を視認しやすくすることができる。
【0027】
また、位置表示部の色を表皮とは異なる色とすることで、位置表示部を視認しやすくすることができる。
【0028】
また、表皮に形成した孔を通して位置表示部を表皮の外側に露出させることで、位置表示部を視認しやすくすることができる。
【0029】
また、位置表示部としてセンサを利用することで、コストを削減することができる。
【0030】
また、位置表示部によって表皮の一部を周囲の部分よりも突出させることで、着座者が容易にセンサの位置を知ることができる。
【0031】
また、表皮の外側に光を出射する発光部材を位置表示部として利用することで、光によって着座者が容易にセンサの位置を知ることができる。
【0032】
また、制御部が対象機器と通信可能な場合、つまり着座者がセンサを使用する場合に、発光部材を発光させることで、非使用時に発光部材が不必要に光るのを抑制することができる。
【0033】
また、着座者が着座した場合に発光部材を消灯させることで、例えば着座後も発光部材を発光させ続ける形態と比べ、電力消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】一実施形態に係るシートの構成を説明する図である。
【
図3】第1変形例に係る位置表示部を示す平面図(a)と、
図3(a)のI-I断面図(b)である。
【
図4】第2変形例に係る位置表示部を示す断面図である。
【
図5】第3変形例に係る位置表示部を示す断面図である。
【
図6】第4変形例に係る位置表示部を示す断面図である。
【
図7】第5変形例に係る位置表示部を示す断面図である。
【
図8】第6変形例に係る位置表示部を示す断面図である。
【
図9】第6変形例に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】第7変形例に係る位置表示部を示す断面図である。
【
図11】第8変形例に係る位置表示部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の乗物用シートSは、シートの一例であり、例えば、車両に設置される車両用シートとして構成される。乗物用シートSは、シート本体S0と、制御部の一例としての制御装置100とからなる。
【0036】
シート本体S0は、シートクッションS1およびシートバックS2を有する。シートクッションS1およびシートバックS2は、クッションパッド20と、クッションパッド20を被覆する表皮10とを備えている。クッションパッド20は、ウレタンフォームなどからなり、図示せぬフレームによって支持されている。表皮10は、合成皮革や布地などからなっている。
【0037】
シートクッションS1とシートバックS2には、表皮10の下に複数の圧力センサPS1~PS6が設けられている。圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0に座っている着座者Pの動作を特定するための測定値を取得するセンサである。圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0に着座する着座者Pに対向する座面の状態を検知可能に配置され、シート本体S0に座っている着座者Pからの圧力値を取得する。
【0038】
各圧力センサPS1~PS6は、乗物用シートSの左右の中心に対して左右対称に1対ずつ設けられている。
具体的には、シートクッションS1には、圧力センサPS1~PS3が設けられている。圧力センサPS1および圧力センサPS2は、シートクッションS1における着座者Pの臀部に対応する位置に配置されている。圧力センサPS1および圧力センサPS2は、着座者Pの臀部からの圧力を測定する第1クッションセンサSC1を構成している。圧力センサPS2は、圧力センサPS1の少し前に配置されている。なお、第1クッションセンサSC1は、圧力センサPS1および圧力センサPS2のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0039】
圧力センサPS3は、着座者Pの大腿の下に位置している。圧力センサPS3は、着座者Pの大腿からの圧力値を測定する第2クッションセンサSC2を構成している。圧力センサPS3は、圧力センサPS1および圧力センサPS2から前方に大きく離れて配置されている。
【0040】
シートバックS2には、圧力センサPS4~PS6が設けられている。圧力センサPS4は、着座者Pの腰の後ろに対応する位置に設けられている。圧力センサPS5は、圧力センサPS4の少し上に配置されている。圧力センサPS4および圧力センサPS5は、いずれも、着座者Pの腰からの圧力を測定する第1バックセンサSB1を構成している。なお、第1バックセンサSB1は、圧力センサPS4および圧力センサPS5のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0041】
圧力センサPS6は、圧力センサPS4および圧力センサPS5から上方に大きく離れて配置されている。圧力センサPS6は、着座者Pの背中の上部に対応して位置している。圧力センサPS6は、着座者Pの肩甲骨からの圧力値を測定する第2バックセンサSB2を構成している。
【0042】
なお、圧力センサPS1~PS6は、例えば、外部からの圧力によって電気抵抗が変化する素子であり、圧力値が大きい程、検出信号の電圧が高くなる(もしくは低くなる)。
【0043】
図2に示すように、各圧力センサPS1~PS6は、表皮10とクッションパッド20との間に配置されている。各圧力センサPS1~PS6の配線Hは、クッションパッド20に形成された孔21を通して制御装置100(
図1参照)に接続されている。
【0044】
表皮10の外面10Aにおける各圧力センサPS1~PS6に対応した位置には、位置表示部の一例としての塗料31が塗布されている。塗料31は、表皮10の外面10Aに塗布されることで、表皮10の外側に露出している。塗料31の色は、表皮10の外面10Aとは異なる色となっている。具体的には、例えば表皮10の外面10Aが黒色である場合には、塗料31の色は、黄色などの黒色に対して目立つ色とすることができる。
【0045】
このような塗料31は、
図1に示すように、着座者が乗物用シートSに着座する前に、シート本体S0の外側から各圧力センサPS1~PS6の位置を視認可能に表示している。
【0046】
制御装置100は、各圧力センサPS1~PS6から、圧力値を取得可能に圧力センサPS1~PS6と接続されている。制御装置100は、各圧力センサPS1~PS6で検出した情報を、対象機器の一例であるスマートフォンSPに送信可能となっている。
【0047】
制御装置100およびスマートフォンSPは、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行する。なお、スマートフォンSPは、ディスプレイDSPをさらに備えている。
【0048】
制御装置100には、ブルートゥース(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信を可能にする近距離通信機3Aが接続されている。制御装置100は、近距離通信機3Aを介してスマートフォンSPと通信可能であり、スマートフォンSPにインストールされたアプリと連携してスマートフォンSPに所定の画面や音声を提供するとともに、スマートフォンSPで入力されたデータを取得することができるようになっている。
【0049】
このようなシート本体S0、制御装置100およびスマートフォンSPからなるシステムでは、例えば、スマートフォンSP上で、100m走のゲームを提供することができる。この場合、制御装置100は、シート本体S0上で着座者が左右の脚を交互に上下させることで、ディスプレイDSP上に表示されたゲーム内のキャラクタを走らせる操作をする信号を出力する。
【0050】
このようなゲームを行う場合において、着座者は、シート本体S0に着座する前に、シート本体S0に塗布された塗料31の位置を視認することができるので、各圧力センサPS1~PS6の位置を容易に確認することができる。これにより、着座者は、自分の左右の大腿を左右の圧力センサPS3の上に適切にセットすることができるため、各圧力センサPS3を有効に利用して、ゲームを楽しむことができる。
【0051】
以上、本実施形態によれば、前述した効果に加え、以下の効果を奏することができる。
位置表示部である塗料31が表皮10の外側に露出するので、例えば後述するような表皮10によって隠される位置表示部(スペーサ36:
図7参照)を採用する場合と比べ、位置表示部(塗料31)を視認しやすくすることができる。
【0052】
塗料31の色を表皮10とは異なる色にしたので、位置表示部(塗料31)をより視認しやすくすることができる。
【0053】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の変形例に示すように、適宜変形して実施することが可能である。なお、以下に説明する変形例において、前記実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。
【0054】
図3に示す第1変形例では、表皮10に縫い込まれた糸状部材32を位置表示部として例示する。糸状部材32は、例えば、綿、羊毛、絹、ナイロンなどの繊維からなる糸であってもよいし、革などからなる紐であってもよい。
【0055】
糸状部材32は、表皮10に縫い込まれることで、その一部が模様として表皮10の外側に露出している。糸状部材32で形成される模様は、各圧力センサPS1~PS6に対応した位置に配置されている。模様としては、どのような模様であってもよいが、例えば、
図3(a)に示すように、圧力センサPS1を囲うような円模様などを採用することができる。
【0056】
糸状部材32の色は、表皮10の色と異なっている。以上のように構成される第1変形例であっても、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
図4に示す第2変形例では、面ファスナー33を位置表示部として例示する。面ファスナー33は、表皮10に設けられる第1部材33Aと、第1部材33Aに対して着脱可能な第2部材33Bとを備えている。第1部材33Aは、表皮10における各圧力センサPS1~PS6に対応した位置に配置されている。なお、第1部材33Aは、表皮10に一体に形成されていてもよいし、表皮10に接着剤などによって固定されていてもよい。
【0058】
第1部材33Aは、フック状に起毛されたフック部を有している。第2部材33Bは、ループ状に起毛されたループ部を有している。そして、第2部材33Bのループ部は、第1部材33Aのフック部に対して係合・離脱可能となっている。なお、本変形例とは逆に、フック部を第2部材33Bに設け、ループ部を第1部材33Aに設けてもよい。この場合には、第2部材33Bを取り外した状態において、着座者の衣服が第1部材33Aのループ部に引っ掛からないため、好ましい。
【0059】
第1部材33Aは、第2部材33Bが取り外された状態において、表皮10の外側に露出する。第2部材33Bは、第1部材33Aに取り付けられた状態において、表皮10の外側に露出する。
【0060】
第2部材33Bの外側に露出する面の色は、表皮10と異なる色となっている。第1部材33Aの色は、どのような色であってもよいが、例えば表皮10と同系統の色、例えば同じ色にすることができる。この場合、着座者がシート本体S0をゲームのコントローラとして使用する際には、第2部材33Bを第1部材33Aに取り付けることで、各圧力センサPS1~PS6の位置を、表皮10とは異なる色の第2部材33Bによって目立たせることができる。また、着座者がシート本体S0をコントローラとして使用しない場合には、第2部材33Bを取り外すことで、シート本体S0の外観を向上させることができる。なお、本変形例によるその他の効果は、前記実施形態と同様である。
【0061】
なお、表皮10に対して着脱可能となる部材のその他の例としては、例えば、凸状の金具と凹状の金具を備えるスナップボタンなどが挙げられる。
【0062】
図5に示す第3変形例では、シート本体S0の外装の大部分を占める表皮10とは別の表示用表皮34を、位置表示部として例示する。この変形例において、表皮10のうち各圧力センサPS1~PS6に対応した位置には、表示用表皮34が一体に縫い込まれている。
【0063】
表示用表皮34は、表皮10とは異なる材料または異なる色で構成されている。表示用表皮34は、表皮10の外側に露出している。以上のように構成される第3変形例であっても、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0064】
図6に示す第4変形例では、押しボタン式のスイッチ35を、センサおよび位置表示部として例示する。この変形例において、表皮10のうち各圧力センサPS1~PS6に対応した位置には、孔11が形成されている。なお、孔11の周囲は、内側に折り畳まれて、縫製によりまとめられている。
【0065】
スイッチ35は、基台35Aと、押しボタン35Bとを備えている。基台35A内には、スイッチ機能を構成する基板等が収容されている。基板等に接続される配線Hは、前記実施形態と同様にクッションパッド20の孔21を通って制御装置100に接続されている。
【0066】
基台35Aは、表皮10とクッションパッド20との間に配置されている。押しボタン35Bは、基台35Aから孔11を通って表皮10よりも外側に突出することによって、外部に露出している。押しボタン35Bの色は、表皮10とは異なる色となっている。
【0067】
この変形例では、センサであるスイッチ35が位置表示部として機能するので、例えば位置表示部としてセンサとは別の部材を設ける構造に比べ、コストを削減することができる。なお、本変形例によるその他の効果は、前記実施形態と同様である。
【0068】
なお、この変形例のように表皮10に孔11を形成する形態では、圧力センサPS1を孔11から外部に露出させてもよい。また、圧力センサPS1上に設ける他の部材を、孔11から露出させてもよい。また、この変形例のようにセンサを位置表示部として利用する場合には、例えば表皮の外面にセンサを貼り付けることで、このセンサを位置表示部としてもよい。
【0069】
図7に示す第5変形例では、表皮10と圧力センサPS1との間に配置されるスペーサ36を、位置表示部として例示する。スペーサ36は、例えば樹脂などからなり、表皮10の一部を当該一部の周囲の部分よりも突出させている。ここで、表皮10の一部の突出量は、着座者が目視により突出していることが分かるような、ある程度大きめの突出量となっている。この形態でも、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
図8に示す第6変形例では、発光部材の一例としての面状発光体37を、位置表示部として例示する。面状発光体37は、表皮10の外側に光を出射する部材であり、通電により発光する。面状発光体37は、表皮10と圧力センサPS1との間に配置されている。面状発光体37の配線HLは、クッションパッド20の孔21を通って制御装置100に接続されている。
【0071】
なお、面状発光体37としては、例えば有機EL照明パネルなどが挙げられる。また、表皮10は、面状発光体37からの光を透過できる材料、例えばメッシュ状の材料で形成されている。なお、表皮10に小さな孔を設け、この孔を通して面状発光体37からの光を外部に出射させてもよい。
【0072】
この変形において、制御装置100は、
図9に示す制御を実行する。制御装置100は、
図9に示す制御を常時繰り返し実行している。
【0073】
図9に示す制御において、制御装置100は、まず、スマートフォンSPと通信可能であるか否かを判断する(S11)。ステップS11において通信可能でないと判断した場合には(No)、制御装置100は、本制御を終了する。
【0074】
ステップS11において通信可能であると判断した場合には(Yes)、制御装置100は、面状発光体37への通電を実行して、面状発光体37を発光させる(S12)。ステップS12の後、制御装置100は、各圧力センサPS1~PS6からの情報に基づいて、着座者がシート本体S0に着座したか否かを判断する(S13)。
【0075】
ステップS13において着座していないと判断した場合には(No)、制御装置100は、本制御を終了する。ステップS13において着座したと判断した場合には(Yes)、制御装置100は、面状発光体37への通電を停止して、面状発光体37を消灯させて(S14)、本制御を終了する。
【0076】
以上、この変形例によれば、前記実施形態と同様の効果を奏する他、以下に示す効果を奏する。
制御装置100がスマートフォンSPと通信可能な場合、つまり着座者が圧力センサPS1~PS6を使用する場合に、面状発光体37が発光するので、非使用時に面状発光体37が不必要に光るのを抑制することができる。そして、非使用時には面状発光体37が光らないので、シート本体S0の外観を良好にすることができる。
【0077】
着座者がシート本体S0に着座した後は面状発光体37を消灯させるので、例えば着座後も面状発光体37を発光させ続ける形態と比べ、電力消費を抑えることができる。
【0078】
なお、発光部材としては、面状発光体37に限らず、例えば、LEDなどであってもよい。なお、LEDなどの面状でない発光部材の場合には、センサの周りでクッションパッドに埋め込んでもいい。また、面状発光体を表皮の外面に貼り付けてもよい。
【0079】
前記実施形態では、表皮10のうち圧力センサPS1~PS6を設けた箇所が外側に突出するように構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図10に示す第7変形例のように、クッションパッド20に、圧力センサPS1~PS6の厚み分の深さを有する凹部22を設けて、表皮10の外面10Aをフラットにしてもよい。この場合であっても、表皮10のうち圧力センサPS1~PS6に対応した位置に、塗料31などの位置表示部を設けることで、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、
図11に示す第8変形例のように、クッションパッド20に、圧力センサPS1~PS6の厚みよりも大きな深さを有する凹部23を設けて、表皮10のうち圧力センサPS1~PS6に対応した箇所を凹ませてもよい。つまり、この変形例では、表皮10の外面10Aに、圧力センサPS1~PS6に対応した位置に配置される凹部10Bが形成されている。この変形例では、凹部10Bが位置表示部として機能するので、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0081】
前記実施形態では、シートとして、自動車などの乗物で使用される乗物用シートSを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他のシート、例えば、家屋などの室内で使用される座椅子や椅子などであってもよい。
【0082】
着座者の情報としては、着座者の動作を特定するための情報に限らず、例えば、着座者の血圧などであってもよい。
【0083】
対象機器は、スマートフォンSPに限らず、例えばタブレット端末などであってもよい。
【0084】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0085】
31 塗料
PS1~PS6 圧力センサ
S 乗物用シート
S0 シート本体
【手続補正書】
【提出日】2024-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッションパッドと、クッションパッドを被覆する表皮とを有するシート本体と、
前記シート本体に座っている着座者の情報を取得するセンサと、
前記シート本体の外側から前記センサの位置を視認可能に表示する位置表示部と、を備えるシートであって、
前記センサは、前記クッションパッドと前記表皮との間に配置され、
前記位置表示部は、前記表皮とは別の表示用表皮であることを特徴とするシート。
【請求項2】
前記表示用表皮は、前記表皮に縫い込まれていることを特徴とする請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記表示用表皮は、前記表皮とは異なる材料または異なる色で構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート。
【請求項4】
前記センサから情報を取得する制御部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシート。
【請求項5】
前記シート本体は、シートクッションおよびシートバックを有し、
前記シートクッションおよび前記シートバックは、クッションパッドと、前記クッションパッドを被覆する表皮とを備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシート。