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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008694
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/02 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
H01H73/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110757
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】水上 翔一朗
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 一輝
(72)【発明者】
【氏名】田畑 裕
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030AA04
5G030XX08
5G030YY05
(57)【要約】
【課題】小型化を図ることができるとともに、可動接触子の回動動作を安定して行うことができる回路遮断器を提供する。
【解決手段】主回路の各相に対応する電流遮断部は、第1可動接点16d及び第2可動接点16eを両端に設けた長尺な板形状の可動接触子16を備えている。可動接触子は、長尺方向の中央部に設けた軸部16aより第1可動接点側の幅方向の一方の面に第1凹部を形成することで電源側バネ配置スペース19が設けられ、軸部より第2可動接点側の幅方向の他方の面に第2凹部を形成することで負荷側バネ配置スペース21が設けられている。そして、電源側接圧バネ17が、電源側バネ配置スペースに配置され、バネ両端部が可動接触子及び可動子ホルダ14に係合されている。また、負荷側接圧バネ18が、負荷側バネ配置スペースに配置され、バネ両端部が可動接触子及び可動ホルダに係合されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断器ケース内に、主回路の各相に対応した複数の2点切り方式の電流遮断部を並列に組み込んだ回路遮断器において、
前記電流遮断部は、遮断部ケースに、電源側固定接点を有する電源側固定接触子と、負荷側固定接点を有する負荷側固定接触子と、前記電源側固定接点及び前記負荷側固定接点に接離する第1可動接点及び第2可動接点を両端に設けた長尺な板形状の可動接触子と、前記可動接触子を回動させる可動子ホルダと、前記第1可動接点から前記電源側固定接点に接触圧が加わるように前記可動接触子に付勢力を作用する電源側接圧バネと、前記第2可動接点から前記負荷側固定接点に接触圧が加わるように前記可動接触子に付勢力を作用する負荷側接圧バネと、を備え、
前記可動接触子は、長尺方向の中央部に設けた軸部より前記第1可動接点側の幅方向の一方の面に第1凹部を形成することで電源側バネ配置スペースが設けられ、前記軸部より前記第2可動接点側の幅方向の他方の面に第2凹部を形成することで負荷側バネ配置スペースが設けられており、
前記電源側接圧バネは、前記電源側バネ配置スペースに配置され、バネ両端部が前記可動接触子及び前記可動子ホルダに係合され、
前記負荷側接圧バネは、前記負荷側バネ配置スペースに配置され、バネ両端部が前記可動接触子及び前記可動子ホルダに係合されていることを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
前記第1凹部は、前記軸部の幅方向の一方の面から段付き部を設けて前記第1可動接点側に延在する段差面が形成され、当該段差面により前記電源側バネ配置スペースが設けられており、
前記第2凹部は、前記軸部の幅方向の他方の側面から段付き部を設けて前記第2可動接点側に延在する段差面が形成され、前記段差面により前記負荷側バネ配置スペースが設けられていることを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記第1凹部は、前記軸部より前記第1可動接点側の幅方向の一方の側面の一部に形成した第1切り欠き部であり、当該第1切り欠き部により前記電源側バネ配置スペースが設けられており、
前記第2凹部は、前記軸部より前記第2可動接点側の幅方向の他方の側面の一部に形成した第2切り欠き部であり、当該第2切り欠き部により前記電源側バネ配置スペースが設けられていることを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記第1切り欠き部及び前記第2切り欠き部は、前記可動接触子の幅方向の中心線に交差する深さまで形成されていることを特徴とする請求項3記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線用遮断器や漏電遮断器などに適用される回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器は、開閉機構、過電流引外し装置及び電流遮断部を備えており、主回路に過電流が流れると、過電流引外し装置の指令により開閉機構がトリップ動作を開始し、電流遮断部が開離動作を行う。回路遮断器は一般に3相交流であり、各相に対応した3組の2点切り方式の電流遮断部が遮断器ケース内に並列に組み込まれている。
【0003】
特許文献1に記載の2点切り方式の電流遮断部は、ケースに、電源側固定接触子、負荷側固定接触子及び可動子ユニットが収納されている。可動子ユニットは、可動子ホルダと、可動子ホルダに回動自在に支持されている可動接触子と、両端が可動子ホルダ及び可動接触子に係合している引張りコイルバネで構成した接圧バネと、を備えている。
可動接触子は、長尺な板形状の伝導体であり、長尺方向の中心位置で可動子ホルダに回動自在に支持されている。この可動接触子は、長尺方向の一端から他端まで同一の幅寸法で形成されており、長尺方向の一端に電源側固定接触子の電源側固定接点に接離する第1可動接点が設けられ、長尺方向の他端に負荷側固定接触子の負荷側固定接点に接離する第2可動接点が設けられている。
【0004】
接圧バネは、可動接触子の一端側及び可動子ホルダに係合して第1可動接点から電源側固定接点に接触圧が加わるように可動接触子に付勢力を作用する電源側接圧バネと、可動接触子の他端側及び可動子ホルダに係合して第2可動接点から負荷側固定接点に接触圧が加わるように可動接触子に付勢力を作用する負荷側接圧バネと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-97905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の2点切り方式の電流遮断部を構成する可動子ユニットは、可動接触子を幅方向から挟み込むように、可動接触子の両側面に沿って一対の電源側接圧バネと、一対の負荷側接圧バネとが配置されている。可動接触子の両側面に一対の電源側接圧バネ及び一対の負荷側接圧バネを配置した可動子ユニットは、幅方向寸法が増大したユニットとなる。
【0007】
このように、幅方向寸法が増大した可動子ユニットを有する電流遮断部を回路遮断器に組み込むと、並列に配置した複数相の電流遮断部の幅寸法が増大して大型の回路遮断器となるおそれがある。
また、特許文献1に記載の可動子ユニットは、可動接触子が回動する際に、可動接触子の同一側面に配置した電源側接圧バネ及び負荷側接圧バネ同士が干渉するおそれがあり、可動接触子の安定した回動動作の面で問題がある。
【0008】
本発明は、小型化を図ることができるとともに、可動接触子の回動動作を安定して行うことができる回路遮断器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る回路遮断器は、遮断器ケース内に、主回路の各相に対応した複数の2点切り方式の電流遮断部を並列に組み込んでいる。電流遮断部は、遮断部ケースに、電源側固定接点を有する電源側固定接触子と、負荷側固定接点を有する負荷側固定接触子と、電源側固定接点及び負荷側固定接点に接離する第1可動接点及び第2可動接点を両端に設けた長尺な板形状の可動接触子と、可動接触子を回動させる可動子ホルダと、第1可動接点から電源側固定接点に接触圧が加わるように前記可動接触子に付勢力を作用する電源側接圧バネと、第2可動接点から負荷側固定接点に接触圧が加わるように可動接触子に付勢力を作用する負荷側接圧バネと、を備えている。そして、可動接触子は、長尺方向の中央部に設けた軸部より第1可動接点側の幅方向の一方の面に第1凹部を形成することで電源側バネ配置スペースが設けられ、軸部より前記第2可動接点側の幅方向の他方の面に第2凹部を形成することで負荷側バネ配置スペースが設けられており、電源側接圧バネは、電源側バネ配置スペースに配置され、バネ両端部が可動接触子及び可動子ホルダに係合され、負荷側接圧バネは、負荷側バネ配置スペースに配置され、バネ両端部が可動接触子及び前記可動子ホルダに係合されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る回路遮断器によると、可動子ユニットの幅方向寸法が小さくなるように電源側接圧バネ及び負荷側接圧バネを配置することで小型化を図ることができるとともに、電源側接圧バネ及び負荷側接圧バネの干渉を無くすことで可動接触子の回動動作を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る電流遮断部を備えた回路遮断器を示す概略構成図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の電流遮断部の内部構造を示す図である。
図3】本発明に係る第1実施形態の電流遮断部を構成する可動接触子の形状、電源側接圧バネ及び負荷側接圧バネの配置位置を示す図である。
図4】発明に係る第2実施形態の電流遮断部を構成する可動接触子の形状、電源側接圧バネ及び負荷側接圧バネの配置位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0013】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
なお、以下の説明で記載されている「長尺方向の一方及び他方」、「短尺方向の一方及び他方」、「幅方向の一方及び他方」の方向を示す用語は、添付図面の方向を参照して用いられている。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る第1実施形態の3相交流用の回路遮断器1を示すものであり、開閉ハンドル2、トグル式の開閉機構3、過電流引外し装置4及び電流遮断部5を備えており、電流遮断部5は主回路の各相に対応して遮断器ケース内に並列に組み込まれている。回路遮断器1は、開閉ハンドル2のON/OFF操作により開閉機構3を介して各相の電流遮断部5を開閉動作する。
【0015】
図2は、第1実施形態の2点切り方式の電流遮断部5の詳細な構造を示すものである。
電流遮断部5は、遮断部ケース8と、遮断部ケース8に収納されている電源側固定接触子9、負荷側固定接触子10、可動子ユニット11、電源側消弧部12及び負荷側消弧部13を備えている。
可動子ユニット11は、可動子ホルダ14と、可動子ホルダ14に回動自在に支持されている可動接触子16と、両端が可動子ホルダ14及び可動接触子16に係合している引張りコイルバネで構成した電源側接圧バネ17及び負荷側接圧バネ18と、を備えている。
【0016】
可動子ホルダ14は、軸方向両端開口部を閉塞した略円筒の絶縁部材であり、外周が遮断部ケース8の曲率内壁8a,8bに摺動することで、遮断部ケース8内において回動自在に支持されている。
電源側固定接触子9は、遮断部ケース8の長尺方向の一方に配置されており、長尺方向の一方から他方に向かってクランク状に曲がって延在する帯状の導電体である。遮断部ケース8の外部に突出している電源側固定接触子9の一方の端部9aに電源側端子(不図示)が接続され、電源側固定接触子9の他方の端部に固定接点9bが設けられている。
【0017】
負荷側固定接触子10は、遮断部ケース8の長尺方向の他方に配置されており、長尺方向に延在する平板帯状の導電体である。負荷側固定接触子10の遮断部ケース8の内部側には固定接点10aが設けられ、負荷側固定接触子10の遮断部ケース8の外部側に位置する端部10bに負荷側端子(不図示)が接続される。
可動接触子16は長尺な導電体であり、長尺方向の中央部に設けた軸部16aと、軸部16aから電源側固定接触子9側に延在する電源側可動部16bと、軸部16aから負荷側固定接触子10側に延在する負荷側可動部16cと、を備えている。軸部16aには回転軸15が貫通しており、回転軸15を介して可動接触子16が可動子ホルダ14に回転自在に支持されている。
【0018】
図3は、第1実施形態の可動接触子16を短尺方向の一方から示した図である。電源側可動部16bは、幅方向の一方側の第1電源側幅面16b1が軸部16aの第1軸幅面16a1と面一に形成され、幅方向の他方側の第2電源側幅面16b2が軸部16aの第2軸幅面16a2との間に段付き部16fを形成して幅方向の一方に寄った位置で第1電源側幅面16b1と平行に延在している。電源側可動部16bの端部には、電源側固定接触子9の固定接点9bに接離する第1可動接点16dが形成されている。段付き部16fは、可動接触子16の他方の側面に電源側接圧バネ17に沿って斜めに形成されている。
【0019】
また、電源側可動部16bには、軸部16aの第2軸幅面16a2との間に段付き部16fを設けてから第1電源側幅面16b1と平行に延在する段差面が形成されており、この段差面によりバネ配置スペース19が設けられている。そして、第2電源側幅面16b2の短尺方向の一方の端部に(図3参照)、バネ配置スペース19に向けて突出する係合ピン20が固定されている。
【0020】
また、負荷側可動部16cは、幅方向の他方側の第2負荷側幅面16c2が軸部16aの第2軸幅面16a2と面一に形成され、幅方向の一方側の第1負荷側幅面16c1が軸部16aの第1軸幅面16a1との間に段付き部16gを形成して幅方向の他方に寄った位置で第2負荷側幅面16c2と平行に延在している。負荷側可動部16cの端部には、負荷側固定接触子10の固定接点10aに接離する第2可動接点16eが形成されている。段付き部16gは、可動接触子16の一方の側面に電源側接圧バネ18に沿って斜めに形成されている。
【0021】
また、負荷側可動部16cには、軸部16aの第1軸幅面16a1との間に段付き部16gを設けてから第2負荷側幅面16c2と平行に延在する段差面が形成されており、この段差面によりバネ配置スペース21が設けられている。そして、第1負荷側幅面16c1の短尺方向の他方の端部に(図3参照)、バネ配置スペース19に向けて突出する係合ピン22が固定されている。
【0022】
図2に示すように、可動子ホルダ14の回転軸15より短尺方向の他方に寄った位置に係合ピン23が固定されている。電源側接圧バネ17は、一端が係合ピン20に係合し、他端が係合ピン23に係合した状態で配置される。これにより、図3に示すように、電源側接圧バネ17の略全域がバネ配置スペース19に入り込んだ状態で配置され、電源側接圧バネ17は、第1可動接点16dから固定接点9bに接触圧が作用するように引張りバネ状態で可動接触子16を付勢する。
【0023】
また、可動子ホルダ14の回転軸15より短尺方向の一方に寄った位置に係合ピン24が固定されている。負荷側接圧バネ18は、一端が係合ピン22に係合し、他端が係合ピン24に係合した状態で配置される。これにより、図3に示すように、負荷側接圧バネ18の略全域がバネ配置スペース21に入り込んだ状態で配置され、負荷側接圧バネ18は、第2可動接点16eから固定接点10aに接触圧が加わるように引張りバネ状態で可動接触子16を付勢する。
【0024】
そして、図2に示すように、可動子ホルダ14には貫通孔25a,25bが形成されており、これら貫通孔25a,25bと、遮断部ケース8に形成した貫通孔(不図示)に連結シャフト(不図示)が挿通される。連結シャフトは、並列に配置した他の相の電流遮断部5の可動子ホルダ14にも挿通されている。
【0025】
本実施形態の回路遮断器1は、主回路の通電中に過電流が流れて過負荷引外し装置4が作動すると、開閉機構3のトリップ動作により上述した連結シャフトを介して各相の電流遮断部5を構成する可動子ユニット11の可動子ホルダ14が時計回りに回動する。可動子ホルダ14の回動により、可動接触子16の第1可動接点16dが電源側固定接触子9の固定接点9bから開離して開極状態となり、第2可動接点16eが負荷側固定接触子10の固定接点10aから開離して開極状態となる。
【0026】
次に、本実施形態の回路遮断器1の効果について説明する。
本実施形態の回路遮断器1の2点切り方式の電流遮断部5を構成する可動子ユニット11は、可動接触子16の軸部16aと電源側可動部16bとの間に段付き部16fを設けたことで、第2電源側幅面16b2に沿ってバネ配置スペース19が形成され、このバネ配置スペース19に電源側接圧バネ17の略全域が入り込んだ状態で配置される。また、可動接触子16の軸部16aと負荷側可動部16cとの間に段付き部16gを設けたことで、第1負荷側幅面16c1に沿ってバネ配置スペース21が形成され、このバネ配置スペース21に負荷側接圧バネ18の略全域が入り込んだ状態で配置される。本実施形態の可動子ユニット11は、電源側接圧バネ17の略全域がバネ配置スペース19に、負荷側接圧バネ18の略全域がバネ配置スペース21に入り込んで配置されていることから、従来の可動子ユニット(課題で説明した可動接触子を幅方向から挟み込むように可動接触子の両側面に一対の電源側接圧バネ及び負荷側接圧バネを配置したユニット)と比較して幅寸法を小さいユニットに設計することができる。
【0027】
これにより、幅寸法が小さい可動子ユニット11を有する3相の電流遮断部5を回路遮断器1の内部に並列に組み込むと機器全体の幅寸法が小さくなるので、回路遮断器1の小型化を図ることができる。
また、可動接触子16の幅方向の一方の面(第1負荷側幅面16c1)側に負荷側接圧バネ18を配置し、可動接触子16の幅方向の逆側の面(第2電源側幅面16b2)側に電源側接圧バネ17を配置していることから、可動接触子16の回動動作で電源側接圧バネ17及び負荷側接圧バネ18が干渉することがなく、可動接触子16の安定した回動動作を可能とすることができる。
【0028】
[第2実施形態]
次に、図4は、本発明に係る第2実施形態の可動接触子30の形状を短尺方向の一方から示した図である。なお、第1実施形態で示した構成と同一構成部分は、同一符号を付して説明は省略する。
本実施形態の可動接触子30も、第1実施形態の可動接触子16と同様に、長尺な導電体であり、長手方向の中央部に設けた軸部30aと、軸部30aから長尺方向の一方に延在する電源側可動部30bと、軸部30aから長尺方向の他方に延在する負荷側可動部30cと、を備えている。軸部30aには回転軸15が貫通しており、回転軸15を介して可動接触子16が可動子ホルダ14に回転自在に支持されている。
【0029】
電源側可動部30bの端部に、電源側固定接触子9の固定接点9bに接離する第1可動接点30dが形成されており、負荷側可動部30cの端部に、負荷側固定接触子10の固定接点10aに接離する第2可動接点30eが形成されている。ここで、図4の符号L1で示す直線は、可動接触子30の幅方向中心線である。
本実施形態の電源側可動部30bには、幅方向の他方側の第2電源側幅面30b2の一部に、第1電源側幅面30b1に向かってV字形状の切り欠き部31が形成されている。この切り欠き部31は幅方向中心線L1に交差する深さまで形成されており、この切り欠き部31の内側空間がバネ配置スペース32とされている。また、切り欠き部31の底部にバネ配置スペース32に向けて突出する係合ピン20が固定されている。
【0030】
負荷側可動部30cには、幅方向の一方側の第1負荷側幅面30c1の一部に、第2負荷側幅面30c2に向かってV字形状の切り欠き部33が形成されている。この切り欠き部33も幅方向中心線L1に交差する深さまで形成されており、この切り欠き部33の内側空間がバネ配置スペース34とされている。また、切り欠き部33の底部にバネ配置スペース34に向けて突出する係合ピン22が固定されている。
【0031】
本実施形態の電源側接圧バネ17は、一端が係合ピン20に係合し、他端が可動子ホルダ14に固定した係合ピン23に係合して引張りバネ状態で配置される。これにより、電源側接圧バネ17の略全域がバネ配置スペース32に入り込んだ状態で配置される。
また、本実施形態の負荷側接圧バネ18は、一端が係合ピン22に係合し、他端が可動子ホルダ14に固定した係合ピン24に係合して引張りバネ状態で配置される。これにより、負荷側接圧バネ18の略全域がバネ配置スペース34に入り込んだ状態で配置される。
【0032】
次に、本実施形態の可動接触子30を備えた回路遮断器1の効果について説明する。
本実施形態の可動接触子30を備えた可動子ユニット11は、電源側可動部30bにV字形状の切り欠き部31を設けたことでバネ配置スペース32が形成され、このバネ配置スペース32に電源側接圧バネ17の略全域が入り込んだ状態で配置される。また、負荷側可動部30cにV字形状の切り欠き部33を設けたことでバネ配置スペース34が形成され、このバネ配置スペース34に負荷側接圧バネ18の略全域が入り込んだ状態で配置される。本実施形態の可動子ユニット11は、電源側接圧バネ17の略全域が可動接触子30のバネ配置スペース32に、負荷側接圧バネ18の略全域がバネ配置スペース34に入り込んで配置されていることから、従来の可動子ユニットと比較して幅寸法を小さいユニットに設計することができ、この可動子ユニット11を有する3相の電流遮断部5を回路遮断器1の内部に並列に組み込むと機器全体の幅寸法が小さくなるので、回路遮断器1の小型化を図ることができる。
【0033】
また、可動接触子30の幅方向の一方の面(第1負荷側幅面30c1)側に負荷側接圧バネ18を配置し、可動接触子16の幅方向の逆側の面(第2電源側幅面30b2)側に電源側接圧バネ17を配置していることから、可動接触子30の回動動作で電源側接圧バネ17及び負荷側接圧バネ18が干渉することがなく、可動接触子16の安定した回動動作を可能とすることができる。
【0034】
さらに、可動接触子30の幅方向中心線L1に交差するように、電源側可動部30bの切り欠き部31及び負荷側可動部30cの切り欠き部33を設けたことから、バネ配置スペース32に配置した電源側接圧バネ17が可動接触子30の幅方向中心位置の近傍で可動接触子30に付勢力を発生し、バネ配置スペース34に配置した負荷側接圧バネ18が可動接触子30の幅方向中心位置の近傍で可動接触子30に付勢力を発生する。これにより、電源側接圧バネ17及び負荷側接圧バネ18は、可動接触子30に対して幅方向中心線L1回りの回転力を作用せず、第1可動接点30dが電源側固定接触子9の固定接点9bに最適な接触圧を作用し、第2可動接点30eが負荷側固定接触子10の固定接点10aに最適な接触圧を作用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 回路遮断器
2 開閉ハンドル
3 開閉機構
4 過電流引外し装置
5 電流遮断部
8 遮断部ケース
8a,8b 曲率内壁
9 電源側固定接触子
9b 固定接点
10 負荷側固定接触子
10a 固定接点
11 可動子ユニット
12 電源側消弧部
13 負荷側消弧部
14 可動子ホルダ
15 回転軸
16 可動接触子
16a 軸部
16a1 第1軸幅面
16a2 第2軸幅面
16b 電源側可動部
16b1 第1電源側幅面
16b2 第2電源側幅面
16c 負荷側可動部
16c1 第1負荷側幅面
16c2 第2負荷側幅面
16d 第1可動接点
16e 第2可動接点
16f,16g 段付き部
17 電源側接圧バネ
18 負荷側接圧バネ
19 バネ配置スペース(電源側バネ配置スペース)
21 バネ配置スペース(負荷側バネ配置スペース)
20,22,23,24 係合ピン
25a,25b 貫通孔
30 可動接触子
30a 軸部30a
30b 電源側可動部
30b1 第1電源側幅面
30b2 第2電源側幅面
30c 負荷側可動部
30c1 第1負荷側幅面
30c2 第2負荷側幅面
30d 第1可動接点
30e 第2可動接点
31 切り欠き部(第1切り欠き部)
32 バネ配置スペース(電源側バネ配置スペース)
33 切り欠き部(第2切り欠き部)
34 バネ配置スペース(電源側バネ配置スペース)
図1
図2
図3
図4