(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086958
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】微多孔膜用の改良された堆積物また層、改良された膜、改良されたリチウム電池セパレータ、改良された電池、改良された高電圧リチウム電池、および関連する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/451 20210101AFI20240621BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20240621BHJP
H01M 50/457 20210101ALI20240621BHJP
H01M 50/431 20210101ALI20240621BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20240621BHJP
H01M 50/426 20210101ALI20240621BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20240621BHJP
H01M 50/44 20210101ALI20240621BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20240621BHJP
【FI】
H01M50/451
H01M50/403 D
H01M50/457
H01M50/431
H01M50/417
H01M50/426
H01M50/414
H01M50/44
H01M50/489
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067908
(22)【出願日】2024-04-19
(62)【分割の表示】P 2022185122の分割
【原出願日】2017-03-29
(31)【優先権主張番号】62/314,656
(32)【優先日】2016-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ロニー,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ケメルースキ,キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムス,シャンテ,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】マー,ジュンチン
(72)【発明者】
【氏名】ラプリー,ジェームス,エム.
(57)【要約】
【課題】より大きな強度を得ること、および厚さと電池性能との間のバランスをとるためのコーティングの最終組成を改良する。
【解決手段】少なくとも選択された実施態様において、新規のまたは改良された堆積物、層、膜、多孔質膜、微多孔膜、電池セパレータ、電池、高電圧電池、システム、方法、および/またはその関連する製造方法および/または使用が提供される。改良された膜は、電池内で最大5ボルトまで安定である少なくとも1つの多相金属または金属酸化物堆積層を含有し得る。多相堆積層は、改良された充放電容量、改善された濡れ性および/または好ましい保湿特性、改良された機械的強度、導電性層、改善された接着性などを提供する。膜上に多相金属または金属酸化物マトリックスを堆積させることにより、改質された膜は改良されたインピーダンス/電荷移動、絶縁破壊、および/または改善された安全性を有し得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α相酸化アルミニウム及びγ-AlO(OH)の層をポリマー多孔質膜上の少なくとも片側に含む微多孔膜または基材であって、
前記層は、堆積法で堆積され、前記微多孔質膜の少なくとも片側には、金、白金、ニッケル、又は銅から選択される不活性金属の層である第2の層が積層されている、微多孔膜または基材。
【請求項2】
前記微多孔膜または基材が、電気化学素子の構成部品である、請求項1に記載の微多孔膜または基材。
【請求項3】
前記微多孔膜または基材が、リチウム電池セパレータである、請求項1に記載の微多孔膜または基材。
【請求項4】
前記堆積法が、物理蒸着、原子層堆積、化学蒸着、スパッタリング、レーザープラズマを包含する群から選択される、請求項1に記載の微多孔膜または基材。
【請求項5】
前記ポリマー多孔質膜が、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、織繊維および/または不織繊維を含む、請求項1に記載の微多孔膜または基材。
【請求項6】
前記微多孔膜または基材が、乾式法、湿式法、粒子延伸法、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)法、ベータ核生成二軸配向ポリプロピレン(BN-BOPP)法、不織膜法、またはそれらの組み合わせを使用して製造される単層または多層微多孔膜または基材である、請求項1に記載の微多孔膜または基材。
【請求項7】
前記層が、カソードに面するセパレータの片側にある、請求項3に記載の微多孔膜または基材。
【請求項8】
前記層が、前記セパレータの両側にある、請求項3に記載の微多孔膜または基材。
【請求項9】
前記層が、カソードに面するセパレータの片側にあり、セラミックコーティングがアノードに面するセパレータの片側にある、請求項3に記載の微多孔膜または基材。
【請求項10】
前記微多孔膜または基材が、溶媒およびリチウム塩を含む電解質を有するリチウム電池の一部である、請求項3に記載の微多孔膜または基材。
【請求項11】
請求項1に記載の微多孔膜または基材を含む、一次または二次電池。
【請求項12】
膜または基材上にα相酸化アルミニウム及びγ-AlO(OH)を堆積する方法であって、
レーザー堆積、パルスレーザー堆積、超短パルスレーザー堆積、真空堆積、物理蒸着、原子層堆積、化学蒸着、およびそれらの組合せから選択される堆積方法を使用し、
膜または基材上にα相酸化アルミニウム及びγ-AlO(OH)の層である第1の堆積層を堆積すること、及び
金、白金、ニッケル、及び銅からなる群から選ばれる不活性金属の層である第2の堆積層を堆積すること、含む、前記方法。
【請求項13】
前記α相酸化アルミニウム及びγ-AlO(OH)の層が、3μm未満の総厚さを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記α相酸化アルミニウム及びγ-AlO(OH)の層が、0.1μm未満の厚さを有する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年3月29日出願の米国仮特許出願シリアル番号62/314,656の優先権と利益を主張し、それは、本明細書に参照によってここに完全に組み込まれる。
【0002】
少なくとも1つの選択された実施態様において、本出願または発明は、1つまたは複数の導電層を有する新規のまたは改良された、または最適化された堆積物、層、膜、多孔質膜、微多孔膜、複合膜、電池セパレータ、複合セパレータ、1以上の導電層を有するセパレータ、電池、および/またはその関連する製造および/または使用方法に関する。少なくとも特定の実施態様において、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜およびそのような膜を製造する方法に関する。改良された膜は、電池内で最大5ボルトまでまたは最大7ボルトまで安定である少なくとも1つの多相金属または金属酸化物堆積層を含有し得る。少なくともある特定の実施態様において、多相堆積層は、改良された充放電容量を提供する。少なくとも特定の選択された実施態様において、多相堆積層は、改善された濡れ性および/または好ましい保湿性を提供する。
【0003】
少なくとも特定の他の実施態様において、多相堆積層は、改良された機械的強度を提供する。膜上に多相金属または金属酸化物マトリックスを堆積させることにより、改質された膜は、改良されたインピーダンス/電荷移動、絶縁破壊、および/または改善された安全性を有し得る。極薄の堆積層を用いることによって、電池のエネルギー密度を増加させることができる。多相堆積は、好ましくは、レーザー、パルスレーザー、または超短パルスレーザー堆積などの外部エネルギー源を利用する堆積技術によって多孔質膜に適用される金属または金属酸化物の超薄層である。少なくとも特定の実施態様によれば、本明細書に記載の改良された電池セパレータまたは電池セパレータ膜は、少なくともカソードに面する側に導電性の堆積層を有し、いくつかの実施態様において、ポリオレフィン膜の間および/または内に埋め込まれるか、または1以上のコーティングまたは処理物によって覆われ得る。少なくとも選択された実施態様によれば、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜または基材、セパレータ膜、セパレータ、複合材料、電気化学素子、電池、セル、そのような膜または基材、セパレータ、セル、および/または電池の製造方法、および/またはそのような膜または基材、セパレータ、セル、および/または電池を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
セラミック含有およびポリマーコーティングの使用は、リチウムイオン電池において一般的に使用される微多孔膜の性能を改良するための既知の方法である。コーティングは、セパレータの片面または両面に塗布することができる。伝統的なコーティング技術には、ディップコーティング、ナイフ、グラビア、カーテン、およびスプレーが含まれ、これらのコーティングは厚く、不均一であることが判明している。最近では、均一性を提供し、厚さ2~6ミクロンから数ナノメートルにコーティング厚さを減少させる試みのために、より高度な堆積技術が利用されている。金属および金属酸化物の両方は、セパレータに利点を提供すると考えられ、結晶相は、原位置(インサイチュー)の電池性能を決定する上で重要である。
【0005】
例えば、酸化アルミニウムは、その機械的強度、化学的安定性、および電気化学的特性
のために、多くのセラミックコーティングに組み込まれてきた。酸化アルミニウム(アルミナ)は、多数の結晶相または多形体(α、γ、η、δ、κ、χなど)に見出すことができる。アルファ相は、熱力学的に安定であり、化学的に不活性であることが判明しているので、高温塗布に適している。多孔質膜上への酸化アルミニウムの形成は、化学的および物理的蒸着の様々な技術を用いて達成することができる。酸化アルミニウムが500℃以上の温度で移動するアモルファス相転移は、物理蒸着を用いてのみ達成することができる。温度が上昇するにつれて(γ→δ/θ→α)、アルミナのいくつかの多形が存在し得る
。良好な特性のために、純粋なα相酸化アルミニウムは、多孔質フィルムのセラミックコーティングに望ましいものであった。しかしながら、微多孔フィルム、より具体的には電池セパレータの電気化学的および酸化保護特性を達成するために、純粋なα相酸化アルミニウムの層は数ミクロンの厚さである必要があり、しばしば不一致の性能結果を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電池の能力および容量の継続的な進歩に伴い、より薄いセパレータ、機能化されたセパレータなどと組み合わせて、例えば、より大きな強度など、改良されたセパレータが必要とされている。また、厚さと電池性能との間のバランスをとるように供給されるコーティングの最終組成を改良する必要があり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
少なくとも選択された実施態様、側面、目的において、本出願または発明は、上記の必要性または課題に対処し得、および/または新規のまたは改良された堆積物、層、膜、多孔質膜、微多孔膜、複合膜、電池セパレータ、複合セパレータ、1つ以上の導電層を有するセパレータ、電池、および/またはその関連する製造方法および/または使用を提供することができる。少なくとも特定の実施態様において、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜およびそのような膜を製造する方法に関する。改良された膜は、電池内で最大5ボルトまたは7ボルトまで安定である少なくとも1つの多相金属または金属酸化物堆積層を含有することができる。少なくともある特定の実施態様において、多相堆積層は、改良された充放電容量を提供する。
【0008】
少なくとも特定の選択された実施態様において、多相堆積層は、改善された濡れ性および/または好ましい保湿性を提供する。少なくとも特定の他の実施態様において、多相堆積層は、改良された機械的強度を提供する。膜上に多相金属または金属酸化物マトリックスを堆積させることにより、改質された膜は改良されたインピーダンス/電荷移動、絶縁破壊、および/または改善された安全性を有することができる。極薄の堆積層を用いることによって、電池のエネルギー密度を増加させることができる。多相堆積物は、好ましくは、レーザー、パルスレーザー、または超短パルスレーザー堆積などの外部エネルギー源を利用する堆積技術によって多孔質膜に適用される金属または金属酸化物の極薄層である。
【0009】
少なくとも特定の実施態様によれば、本明細書に記載の改良された電池セパレータまたは電池セパレータ膜は、少なくともカソードに面する側に導電性の堆積層を有し、いくつかの実施態様において、ポリオレフィン膜の間または内に埋め込まれるか、または1以上のコーティングまたは処理物によって覆われ得る。少なくとも選択された実施態様によれば、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜または基材、セパレータ膜、セパレータ、複合材料、電気化学素子、電池、セル、そのような膜または基材、セパレータ、セル、および/または電池の製造方法、および/またはそのような膜または基材、セパレータ、セル、および/または電池を使用する方法に関する。
【0010】
本出願または発明は、少なくとも1つの選択された実施態様、側面、または目的に従っ
て、上記のニーズまたは課題に対処することができ、および/または新規の、改良されたまたは最適化された堆積物、層、膜、多孔質膜、微多孔膜、電池セパレータ膜、電池セパレータ、電池、セルおよび/または関連するその製造方法および/または使用方法を提供する。少なくとも特定の実施態様において、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜およびそのような膜を製造する方法に関する。改良された膜は、その少なくとも片側に少なくとも1つの多相金属または金属酸化物堆積層を含み、電池内で7ボルトまで安定である。
【0011】
少なくともある特定の実施態様において、多相堆積層は、改良された充放電容量を提供する。少なくとも特定の選択された実施態様において、多相堆積層は、改善された濡れ性および/または好ましい保湿性を提供する。少なくとも特定の他の実施態様において、多相堆積層は、改善された耐酸化性および/または機械的強度を提供する。膜上に多相金属または金属酸化物マトリックスを堆積させることにより、改質された膜は、改良されたインピーダンス/電荷移動、絶縁破壊、および/または改善された安全性を有することができる。極薄の堆積層を用いることによって、電池のエネルギー密度を増加させることができる。多相堆積は、好ましくは、レーザー、パルスレーザー、または超短パルスレーザー堆積のような外部エネルギー源を利用する堆積技術によって、多孔質膜に適用される金属または金属酸化物の超薄層である。
【0012】
少なくとも特定の実施態様によれば、本明細書に記載の改良された電池セパレータまたは電池セパレータ膜は、少なくともカソードに面する側に導電性層などの導電性または非導電性の堆積物を有してもよく、また、いくつかの態様において、ポリオレフィン膜間または内に、埋め込まれてもよい。少なくとも選択された実施態様によれば、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜または基材、セパレータ膜、セパレータ、複合体、耐酸化性堆積層、耐酸化膜、電気化学素子、電池、セル、そのような膜または基材、セパレータ、セル、および/または電池を製造する方法、および/またはそのような膜または基材、セパレータ、セル、および/または電池を使用する方法に関する。
【0013】
少なくとも選択された実施態様、側面または目的によれば、本出願または発明は、上記のニーズまたは課題に対処することができ、および/または多孔質膜上に極薄多相金属または金属酸化物堆積層を提供することができ、改良された充放電容量、優れた移動充電、および電気化学セルにおける7ボルトまでの安定性を提供し得る。
【0014】
特定の実施態様によれば、本明細書に記載のセパレータ膜は、堆積層が5μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下の厚さを有する極薄多相金属酸化物堆積層を有する微多孔セパレータ膜に関する。
【0015】
少なくとも一部の実施態様において、本明細書に記載のセパレータ膜は、限定されないが、α相酸化アルミニウムおよびベーマイト(またはベーマイトまたは酸化アルミニウム水酸化物(γ-AlO(OH))鉱物 アルミニウム鉱石またはボーキサイトの成分)を包含する金属酸化物の多相を包含する堆積層を含有し得る。
【0016】
少なくとも選択された実施態様、側面または目的によれば、本出願または発明は、上記のニーズまたは課題に対処することができ、および/または多孔質膜上に、極薄多相金属または金属酸化物堆積層の上、または少なくとも一部の上面に堆積物、処理物、層、材料、またはコーティングを有する、極薄多相金属または金属酸化物堆積層を提供し得る。
【0017】
特定の実施態様によれば、本明細書に記載のセパレータ膜は、少なくとも1つのその表面上に、堆積層の上または少なくとも一部の上に、1以上の導電性、半導電性または非導電性の堆積物、処理物、層、材料、またはコーティングを有する導電性、半導電性または
非導電性の堆積層を有する微多孔セパレータ膜に関するものである。
【0018】
少なくとも特定の実施態様において、本明細書に記載のセパレータ膜は、限定されないが、α相酸化アルミニウムおよびベーマイト(またはベーマイトまたは酸化アルミニウム水酸化物(γ-AlO(OH))鉱物 アルミニウム鉱石またはボーキサイトの成分)を、堆積層の上または少なくとも一部の上に1つまたは複数の導電性、半導電性または非導電性の堆積物、処理物、層、材料、またはコーティングを有する金属酸化物の多相を有する少なくともその1つの表面に包含する堆積層を含有し得る。
【0019】
二次リチウム電池、リチウムイオン電池、またはリチウムポリマー電池用のセパレータ膜またはセパレータなどの、リチウム電池用の微多孔膜または基材上の本発明の耐酸化性または耐酸化性堆積層は、少なくともカソードに面するセパレータ膜の側にあり、セパレータとカソードとの界面で極薄であり、高電圧電池システムにおいて7ボルトまでの電圧で安定であることができ、および/または、リチウム電池内で7ボルトまでの高電圧でトリクル充電を防止することができ、および/または改良された充電容量および/または移動速度を提供することができる。
【0020】
少なくとも特定の選択された実施態様によれば、本発明は、酸化保護、維持または改良された空隙率、維持または改良された機械的強度、維持または改良されたシャットダウン挙動、および/または維持または改良された水分含有量を提供する極薄多相堆積物、層またはコーティングを有する電池用セパレータに関する。当該堆積、層またはコーティングは、好ましくは物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、パルスレーザー堆積法(PLD)、原子層堆積法(ALD)または超短パルスレーザー堆積法(USPLD)、大気圧蒸発コーティング(ECAP)、スパッタリング、および/または電子ビーム、より好ましくは物理蒸着法(PVD)、パルスレーザー堆積(PLD)、超短パルスレーザー堆積(USPLD)などを使用して堆積される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1(EX1)の被覆または改質Celgard(登録商標)2500微多孔膜(非被覆面)の表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)画像を5000倍の倍率で含む。
【
図2】
図2は、2μmのAl
2O
3で被覆された、
図1の実施例1のCelgard(登録商標)2500微多孔膜の被覆された側の面の表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)の倍率5000倍での画像を含む。
【
図3】
図3は、2μmのAl
2O
3で被覆された、
図1の実施例1のCelgard(登録商標)2500微多孔膜の被覆された側の面の表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)の倍率20,000倍での画像を含む。
【
図4】
図4は、2μmのAl
2O
3で被覆された、
図1の実施例1のCelgard(登録商標)2500微多孔膜の断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)の倍率1500倍での画像を含む。
【
図5】
図5は、2umのAl2O3で被覆された
図4の実施例1 Celgard(登録商標)2500微多孔膜の部分断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)の倍率10,000倍での画像を含む。
【
図6】
図6は、20nmのAl
2O
3で被覆された実施例2のCelgard(登録商標)2500微多孔膜の被覆された側の表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)の倍率5000倍での画像を含む。
【
図7】
図7は、20nmのAl
2O
3で被覆された
図6の被覆された実施例2 Celgard(登録商標)2500微多孔膜の被覆表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)の倍率20,000倍での画像を含む。
【
図8】
図8は、比較例2(CE2)としての別のPVD生成物と比較して、α相Al
2O
3およびベーマイトのピーク(黒または上の線)を示す2μmのAl
2O
3で被覆された実施例1(EX1)のXRD分析のグラフを含む。
【
図9】
図9は、他のPVD生成物(比較例1、比較例2)と比較したアルファ相Al
2O
3およびベーマイトのピーク(黒または下線)を示す2μmのAl
2O
3で被覆された実施例1(EX1)のFTIR分析のグラフを含む。
【
図10】
図10の(A)および(B)は、例示のPVD処理膜およびPVD処理物の上にセラミックコーティングしたPVD処理膜のそれぞれ前後の表面画像である。
【
図11】
図11は、
図10の(B)の例示的なセラミック被覆PVD処理膜またはフィルムの概略端面図または断面図である。
【
図12A】
図12Aは、
図10の(B)の例示的なセラミック被覆PVD処理膜またはフィルムの倍率2700倍の断面SEM画像である。
【
図12B】
図12Bは、
図10の(B)の例示的なセラミック被覆PVD処理膜またはフィルムの倍率20,000倍の断面SEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
少なくとも選択された実施態様、側面または目的において、本出願または発明は、上記のニーズまたは課題に対処し、および/または新規のまたは改良された堆積物、層、膜、多孔質膜、微多孔膜、複合膜、電池セパレータ、複合セパレータ、1つ以上の導電層を有するセパレータ、電池、および/またはその関連する製造方法および/または使用方法を提供することができる。少なくとも特定の実施態様において、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜およびそのような膜を製造する方法に関する。改良された膜は、電池内で最大5ボルトまたは7ボルトまで安定である少なくとも1つの多相金属または金属酸化物堆積層を含有することができる。少なくともある特定の実施態様において、多相堆積層は、改良された充放電容量を提供する。
【0023】
少なくとも特定の選択された実施態様において、多相堆積層は、改善された濡れ性および/または好ましい保湿性を提供する。少なくとも特定の他の実施態様において、多相堆積層は、改良された機械的強度を提供する。膜上に多相金属または金属酸化物マトリックスを堆積させることにより、改質された膜は改良されたインピーダンス/電荷移動、絶縁破壊、および/または改善された安全性を有することができる。極薄の堆積層を用いることによって、電池のエネルギー密度を増加させることができる。多相堆積は、好ましくは、レーザー、パルスレーザー、または超短パルスレーザー堆積などの外部エネルギー源を利用する堆積技術によって多孔質膜に堆積される金属または金属酸化物の極薄層である。
【0024】
少なくとも特定の実施態様によれば、本明細書に記載の改良された電池セパレータまたは電池セパレータ膜は、少なくともカソードに面する側に導電性の堆積層を有し、いくつかの実施態様において、ポリオレフィン膜の間または内に埋め込まれるか、または1以上のコーティングまたは処理物によって覆われる。少なくとも選択された実施態様によれば、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜または基板、セパレータ膜、セパレータ、複合材料、電気化学素子、電池、セル、および/または電池、そのような膜または基材、セパレータ、セル、および/または電池を製造する方法、および/またはこのような膜または基材、セパレータ、セル、および/または電池を使用する方法に関する。
【0025】
少なくとも選択された実施態様において、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜およびそのような膜の製造方法に関する。改良された膜は、好ましくは、電池において最大7ボルトまで安定である少なくとも1つの多相金属または金属酸化物堆積層を含有することができる。少なくとも特定の実施態様において、多相堆積層は、改良された充放電容量を提供する。少なくとも特定の選択された実施態様において、多相堆積層は、改善された濡れ性および好ましい保湿特性(より少ない水)を提供する。少なくとも特定の実施態様において、多相堆積層は、改良された機械的強度を提供する。多相金属また
は金属酸化物マトリックス(好ましくは、より多くのアルファ相Al
2O
3およびベーマイト、またはより非晶質の内容物を含む)を堆積させることによって、膜は、改良されたインピーダンス/電荷移動、改良された絶縁破壊、改善された安全性を有し得る。
図1-9を参照されたい。
【0026】
極薄の堆積層を用いることによって、電池のエネルギー密度を増加させることができる。
図1~5、8および9を参照されたい。多相堆積は、好ましくは、レーザー、パルスレーザー、超短波パルスレーザー堆積などの外部エネルギー源を好ましくは利用する堆積技術によって多孔質膜に堆積される金属または金属酸化物の極薄層であり、Al
2O
3、ベーマイトまたは両方のようなレーザーターゲット材料を使用して、高非晶性Al
2O
3含有量を有する多相金属または金属酸化物を有する堆積物を生成し、高アルファ相Al
2O
3およびベーマイトの含有量が高く、アルファ-Al
2O
3およびベーマイトの含有量が高く、アルファ-Al
2O
3およびベーマイトの両方に高い結晶化度を有するなどである。
図1-5、
図8および
図9を参照されたい。
【0027】
試験方法
FTIR-試料は、4000~450cm-1の波数範囲にわたって転移モードで16回スキャンされた。被覆側は、光線に面していた。
XRD-試料は、20~45°2θの範囲にわたって0.02のステップサイズおよび3秒間の滞留時間でスキャンされた。試料は、被覆側が光線に面して調製された。
【0028】
さらに、少なくとも特定の実施態様によれば、本明細書に記載の本発明の電池セパレータ膜の堆積層は、導電性堆積層であり、少なくともカソードに面する側にあってもよく、いくつかの実施態様において、ポリオレフィン膜間または内に埋め込まれ得る。少なくとも選択された実施態様によれば、本明細書に記載の本発明の電池セパレータ膜の堆積層は、非導電性堆積層であり、少なくともカソードに面する側にあってもよく、いくつかの実施態様において、ポリオレフィン膜間または内に埋め込まれ、および/またはポリマーコーティングまたはセラミックコーティングでコーティングされてもよい。
【0029】
少なくとも特定の実施態様によれば、本明細書に記載の本発明の電池セパレータ膜の堆積層は、導電性または非導電性の堆積層であり、膜の少なくとも一方の面または両面に存在してもよく、本出願または発明は、そのような新規の改良された多孔質膜または基材、セパレータ膜、セパレータ、複合材料、電気化学素子、電池、そのような膜または基材、セパレータおよび/または電池の製造方法、および/またはそのような膜または基材、セパレータおよび/または電池の使用方法に関する。
【0030】
さらに、少なくともある特定の実施態様によれば、本明細書に記載される本発明の電池セパレータ膜の堆積層は、導電性の堆積層であり、少なくともアノードに面する側にあってもよく、いくつかの実施態様において、ポリオレフィン膜間または内に埋め込まれてもよく、および/またはポリマーコーティングまたはセラミックコーティング(ポリマーバインダーを含むかまたは含まない)でコーティングされているなど、1つ以上の非導電性層またはコーティングで覆われていてもよい。このような導電層は、樹状突起、短絡、熱、および/または他の潜在的な故障モードを感知する電池またはセル安全システムの一部となることができる。少なくとも選択された実施態様によれば、本明細書に記載された本発明の電池セパレータ膜の堆積層は、非導電性の堆積層であり、少なくともアノードに面する側にあってもよく、いくつかの実施態様において、ポリオレフィン膜 間または内に
埋め込まれ、および/またはポリマーコーティングまたはセラミックコーティングでコーティングされてもよい。
【0031】
少なくとも選択された実施態様において、本出願または発明は、新規のまたは改良され
るか、または最適化された堆積物、層、膜、多孔質膜、微多孔膜、電池セパレータ、電池および/またはその関連する製造および/または使用方法に関する。少なくとも特定の実施態様において、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜およびそのような膜を製造する方法に関する。改良された膜は、電池内で最大7ボルトまで安定した少なくとも1つの多相金属または金属酸化物堆積層を含有し得る。少なくともある特定の実施態様において、多相堆積層は、改良された充放電容量を提供する。少なくとも特定の選択された実施態様において、多相堆積層は、改善された濡れ性および/または好ましい保湿性を提供する。
【0032】
少なくとも特定の他の実施態様において、多相堆積層は、改良された機械的強度を提供する。膜上に多相金属または金属酸化物マトリックスを堆積させることにより、改質された膜は改良されたインピーダンス/電荷移動、絶縁破壊、および/または改善された安全性を有することができる。極薄の堆積層を用いることによって、電池のエネルギー密度を増加させることができる。多相堆積は、好ましくは、レーザー、パルスレーザー、または超短パルスレーザー堆積のような外部エネルギー源を利用する堆積技術によって多孔質膜に堆積される金属または金属酸化物の極薄層である。
【0033】
少なくとも特定の実施態様によれば、本明細書に記載の改良された電池セパレータまたは電池セパレータ膜は、少なくともカソードに面する側に導電性堆積層などの導電性または非導電性の堆積物を有してもよく、いくつかの態様において、ポリオレフィン膜間または内に埋め込まれ得る。少なくとも選択された実施態様によれば、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜または基板、セパレータ膜、セパレータ、複合材料、電気化学素子、電池、セル、そのような膜または基材セパレータ、セル、および/または電池の製造方法、および/またはこのような膜または基材、セパレータ、セル、および/または電池を使用する方法に関する。
【0034】
改良された膜は、電池内で最大7ボルトまで安定した多相金属または金属酸化物堆積層を含有する。少なくとも特定の実施態様において、多相堆積層は、改良された充放電容量を提供する。少なくとも特定の実施態様において、多相堆積層は、改善された濡れ性および好ましい保湿性を提供する。少なくとも特定の実施態様において、多相堆積層は、改良された機械的強度を提供する。多相金属または金属酸化物マトリックスを堆積させることによって、膜はインピーダンス/電荷移動、絶縁破壊を改良し、および改善された安全性を有することができる。
【0035】
極薄の堆積層を用いることによって、電池のエネルギー密度を増加させることができる。多相堆積は、好ましくは、レーザー、パルスレーザー、または超短パルスレーザー堆積のような外部エネルギー源を利用する堆積技術によって多孔質膜に堆積される金属または金属酸化物の超薄層である。さらに、少なくとも特定の実施態様によれば、本明細書に記載の電池セパレータ膜の導電性堆積層は、少なくともカソードに面する側にあってもよく、いくつかの実施態様において、ポリオレフィン膜の間または内に埋め込まれてもよい。少なくとも選択された実施態様によれば、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜または基材、セパレータ膜、セパレータ、複合材料、電気化学素子、電池、そのような膜または基材、セパレータおよび/または電池の製造方法、および/またはそのような膜または基材、セパレータおよび/または電池を使用する方法に関する。
【0036】
図面の
図10Aから
図12Bを参照すると、1つの例示的な実施態様によれば、
図10Aは、導電性堆積または層(Al)を有する例示的なPVD処理された微多孔ポリプロピレン(PP)膜(Celgard(登録商標)2500)を示し、
図10Bは、PVD処理(Al)上のセラミックコーティング(CS)を有する例示的PVD処理膜を示す。この実施例では、セラミックコーティング(CS)は、非導電性であるアクリル系バインダ
ーおよびアルミナ粒子セラミックコーティング(水溶性スラリーを使用してグラビアロールによって塗布し、オーブン中で乾燥され、プラズマ前処理なしで、界面活性剤なしで製造される)であり、下表の特性を有する:
【0037】
【0038】
【0039】
図11は、膜25μmの垂直または厚さ寸法、Al堆積20nm、および4μmのアルミナ粒子を有するセラミックコーティングを有する、
図10Bの例示的なセラミック被覆PVD処理膜またはフィルムの概略端面図または断面図である。
【0040】
図12Aおよび12Bは、それぞれの膜、Al堆積物およびセラミック被覆層を示す、
図10Bのセラミック被覆PVD処理膜またはフィルムの2700倍および20,000倍のそれぞれの断面SEM画像である。
0.03未満の粉末落下および/または100を超える被覆剥離力を有するそのようなセラミック被覆PVD処理膜またはフィルムを有することが好ましい場合がある。
【0041】
共有に係る2017年1月26日公開の米国公開特許出願2017/0025658号は、本明細書に参照して完全に組み込まれ、例えば、特定の多孔質膜または基材、セパレータ膜、セパレータ、複合材、電気化学素子、電池、かかる膜または基材、セパレータ、
および/または電池の製造方法、および/またはかかる膜または基板、セパレータおよび/または電池を使用する方法を記載し得る。
【0042】
本発明の少なくとも選択された実施態様において、新規のまたは改良された堆積物、層、膜、多孔質膜、微多孔膜、電池セパレータ、電池、高電圧電池、システム、方法、および/または関連する製造方法および/またはその使用方法が提供または記載される。少なくとも特定の実施態様において、改良された膜は、電池内で最大5ボルトまで安定である少なくとも1つの多相金属または金属酸化物堆積層を含有し得る。
【0043】
少なくともある特定の実施態様において、多相堆積層は、改良された充放電容量、改善された濡れ性および/または好ましい保湿特性、改良された機械的強度、導電性層、改善された接着性、改善されたコーティング特性などを提供する。膜上に多相金属または金属酸化物マトリックスを堆積させることにより、改質された膜は改良されたインピーダンス/電荷移動、絶縁破壊、および/または改善された安全性を有することができる。極薄の堆積層を用いることによって、電池のエネルギー密度を増加させることができる。多相堆積は、好ましくは、レーザー、パルスレーザー、または超短パルスレーザー堆積などの外部エネルギー源を利用する堆積技術によって多孔質膜に適用される金属または金属酸化物の超薄層である。
【0044】
少なくとも特定の実施態様によれば、本明細書に記載の改良された電池セパレータまたは電池セパレータ膜は、少なくともカソードに面する側に導電性の堆積層を有し、いくつかの実施態様において、ポリオレフィン膜の間または内に埋め込まれ得る。少なくとも選択された実施態様によれば、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜または基材、セパレータ膜、セパレータ、複合材料、電気化学素子、電池、セル、そのような膜または基材、セパレータ、セル、および/または電池の製造方法、および/またはそのような膜または基材、セパレータ、セル、および/または電池を使用する方法に関する。
【0045】
少なくとも選択された実施態様、側面または目的によれば、本出願または発明は、新規のまたは改良された多孔質膜または基材、セパレータ膜、セパレータ、複合材、電気化学素子、電池、セル、システム、車両、そのような膜または基材、セパレータ膜、セパレータ、複合材、電気化学素子、電池、セル、またはシステムを包含する製品または素子、方法、そのような膜または基材、セパレータ、セル、システム、および/または電池の製造方法、および/またはそのような膜または基材、セパレータ、セル、システム、および/または電池を使用する方法に関する。
【0046】
本発明は、その精神および本質的な特性から逸脱することなく、他の形態で実施することができ、したがって、本発明の範囲を示すものとして、前述の明細書ではなく添付の特許請求の範囲を参照すべきである。さらに、本明細書に例示的に開示された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない、任意の要素が存在しない場合にも、適切に実施することができる。