(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086966
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】視認エリアに埋め込まれた接合構造を有する光変調器
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1681 20190101AFI20240621BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20240621BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20240621BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20240621BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G02F1/1681
G02F1/15
G02F1/167
G02F1/1339 500
G02F1/13 505
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024068311
(22)【出願日】2024-04-19
(62)【分割の表示】P 2022552554の分割
【原出願日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】2003224.9
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドナル マーティン オキーフ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー オキーフ
(57)【要約】
【課題】切り替え可能光変調器デバイスを提供すること
【解決手段】切り替え可能光変調器デバイス(201、202、203、204、205)が、1つ以上のポリマー構造によって間隔を置かれた向かい合う主面を伴う第1の基板(101、102、103)と、第2の基板(141、142、143、144)とを備え、1つ以上のポリマー構造の各々は、2つ以上の部分を備え、複数の空洞(111、112、113、114)のための壁特徴(21b、22b、23b)を画定し、空洞は、別々の容積内に流体(71、72、73、74)またはゲルをシールする。1つ以上のポリマー構造の各々は、第1の基板に接合され、陥凹(31、32、33)を画定する成型部分(21、22、23)と、鋳造部分とを備え、鋳造部分は、陥凹を充填し、第2の基板および陥凹の表面に接合され、鋳造部分は、陥凹の表面および第2の基板によって画定され、両方の表面を複製する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2020年3月5日に出願された英国特許出願第2003224.9号の利益および優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、光学的に切り替え可能であり、流体またはゲル層を備えている光変調器デバイスに関し、特に、可撓性基板を有するデバイスに関する。そのようなデバイスは、好ましくは、基板間の間隙を維持し、使用時の取り扱い(曲げること、およびガラスまたは別の基板に積層することを含む)を支援するための視認エリア内のポリマー構造を有する。製品の用途の例は、切り替え可能スマート窓、屋外情報ディスプレイ、および可撓性ディスプレイデバイスを含む。
【背景技術】
【0003】
本発明は、可変透過窓、鏡、および類似デバイスと言われる光変調器に関し、それらは、それらを通過する光または他の電気磁気放射線の量を変調するために設計されている。便宜上、用語「光」が、通常、本明細書で使用され得るが、この用語は、広い意味で非可視波長における電気磁気放射線を含むと理解されたい。例えば、本発明は、建物内の温度を制御するために赤外線放射線を変調し得る窓を提供するために適用され得る。より具体的に、本発明は、粒子ベースの電気泳動媒体を使用して光変調を制御する光変調器に関する。本発明の種々の実施形態の中に組み込まれ得る電気泳動媒体の例は、例えば、米国特許第10,809,590号および米国特許公開第2018/0366069号(その両方の内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)で説明される電気泳動媒体を含む。
【0004】
従来技術では、流体またはゲル層内にポリマー構造を有し、本発明との使用のために好適な解決策は、米国第8,508,695号(特許文献1)(Vlyte Innovations Ltd.)を含み、それは、連続したポリマーマトリクス内に流体液滴(1~5ミクロンの直径)を分散させることを開示し、連続したポリマーマトリクスは、液晶を含むために、両方の基板の定位置に硬化させられている。加えて、米国第10,809,590号(特許文献2)(E Ink Corporation)は、流体液滴をマイクロカプセル化し、1つの基板上のポリマーマトリクス内に緊密に充塞されたポリマーシェルの単層を形成するためにそれらを変形させ、続いて、基板にカプセル層を接合するために、接着剤層を適用することを開示する。欧州特許第1264210号(E Ink California)も、1つの基板上にマイクロカップ構造をエンボス加工し、重合可能成分を有する流体でカップを充填し、流体/カップ表面上に密封層を形成するために、成分を重合し、次いで、第2の基板に接合するために、接着剤層を適用することを開示する。加えて、欧州特許第2976676号(Vlyte Innovations Ltd.)は、1つの基板上に壁構造を形成し、接着剤で壁の上部をコーティングし、流体を用いて壁によって画定された空洞を充填し、対向基板に壁の上部を接合するために、接着剤を重合することを開示する。
【0005】
これらの従来技術解決策の多くは、1つの具体的用途(例えば、切り替え可能LCフィルム)に関する1つの具体的流体(例えば、液晶(LC))を隔離するための実行可能な解決策を提供するために、限定を課す。これを行なうために、上記の解決策の全ては、電気光学流体をプレポリマー成分および重合ステップにさらされる。これは、妥協を余儀なくし、複雑性を追加する。例えば、電気光学流体成分は、重合に関与することも、それを妨げることも行ってはならず、プレポリマー成分は、重合時、流体から相分離し、何らかの方法で、画定されたエリア(例えば、マイクロカップの流体表面上のみ)に固体ポリマー構造を形成しなければならない。加えて、流体が表面を優先的に濡らし、下引き剥し粘着力傷つけ得るので、流体の存在下で表面を基板の表面に強い化学接合を発生させることは、困難であり得る。さらに、流体と接触して行われる重合ステップからの未使用のモノマー、低分子量ポリマー、およびナノ粒子を含む残留成分が存在し、それらは、汚染または別様に電気光学流体の切り替えを損なわせ得る。これらの条件の全ては、光学活性の欠如、層間剥離、または内部流体の漏出により、最終製品の故障につながり得る。
【0006】
欧州特許第3281055号(特許文献3)(Vlyte Innovations Ltd.)では、電気光学流体は、重合ステップにさらされない。欧州特許第3281055号は、その視認エリアに埋め込まれる固体ポリマーマイクロ構造を含む可撓性デバイスを説明し、マイクロ構造は、両方の基板上にある。マイクロ構造は、基板に直交する長さにわたって互いに係合することによって、デバイスの基板を互いに接合する(すなわち、留める)。接合されるマイクロ構造は、壁構造を組み込み、壁構造は、対応する空洞内に含まれた別々の容積の単層にデバイスの流体層を分割する。これは、かなりの構造的強度を伴うデバイスを提供する。説明される方法では、篏合マイクロ構造(すなわち、オス型およびメス型部分)が、各基板上に形成され、次いで、互いに精密に整列させられ、空洞内に流体層をシールする締まり嵌めで接合される。前に記載されたように、電気光学流体は、重合ステップにさらされない。方法の限界は、それが大きい距離にわたって(典型的に、スマートガラス用途において、1メートル以上にわたって)接合されるべき面のXおよびY軸における精密な整列と寸法安定性とを要求することである。
【0007】
その中で複数の荷電粒子が、電場の影響下、懸濁流体を通して移動する粒子ベースの電気泳動ディスプレイは、ここ数年にわたって、集中的研究および開発の対象となっている。そのようなディスプレイは、液晶ディスプレイと比較して、良好な明るさおよびコントラスト、広視認角、状態双安定性、および低電力消費の属性を有することができる。用語「双安定性」および「双安定」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えているディスプレイを指すために本明細書で使用され、その第1または第2の表示状態のいずれかをとるように有限持続時間のアドレスパルスを用いて任意の所与の要素が駆動されてから、アドレスパルスが終了した後、表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が持続するようなディスプレイを指すために本明細書で使用される。公開された米国特許出願第2002/0180687号では、グレースケールが可能ないくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、それらの極限黒色および白色状態においてだけではなく、また、それらの中間グレー状態においても安定し、同じことが、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切に、双安定性ではなく、「多安定性」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定性」が、本明細書では、双安定性および多安定性ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0008】
上で述べたように、電気泳動媒体は、懸濁流体の存在を要求する。殆どの従来技術の電気泳動媒体では、この懸濁流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状懸濁流体を使用して生産されることができる。例えば、Kitamura, T., et al.,「Electrical toner movement for electronic paper-like display」、IDW Japan, 2001, Paper HCS1-1、およびYamaguchi、Y、et al.,「Toner
display using insulative particles charged triboelectrically 」、IDW Japan, 2001, Paper AMD4-4)を参照されたい。欧州特許出願第1,429,178号、1,462,847、第1,482,354号、国際出願第WO2004/090626号、第WO2004/079442号、第WO2004/077140号、第WO2004/059379号、第WO2004/055586号、第WO2004/008239号、第WO2004/006006号、第WO2004/001498号、第WO03/091799号、および第WO03/088495号も参照されたい。そのようなガスベースの電気泳動媒体は、媒体がそのような沈降を可能にする向きにおいて、例えば、媒体が垂直面に配置される標識において使用されるとき、粒子沈降に起因する液体ベースの電気泳動媒体と同じタイプの問題を受けやすいと考えられる。実際に、液体のものと比較したガス状懸濁流体のより低い粘度は、電気泳動粒子のより迅速な沈降を可能にするので、粒子沈降は、液体ベースのものよりもガスベースの電気泳動媒体においてより深刻な問題となると考えられる。
【0009】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California, LLC、および関連する企業に譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願が、カプセル化およびマイクロセル電気泳動、および他の電気光学媒体において使用される種々の技術を説明している。カプセル化電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを備え、それらの各々自体は、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを備えている。典型的に、カプセルは、2つの電極の間に位置付けられるコヒーレント層を形成するために、それ自体がポリマー結合剤内に保持される。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、典型的にはポリマーフィルムである搬送媒体内に形成された複数の空洞内に保持される。これらの特許および出願に説明される技術は、以下を含む:(a) 電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b) カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c) マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(d) マイクロセルを充填およびシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
(e) 電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(f) バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、およびディスプレイにおいて使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(g) 色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照)
(h) ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照)
(i) ディスプレイの用途(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(j) 非電気泳動ディスプレイ(例えば、米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号参照)、およびディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の用途(例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号参照)
【0010】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の別々のマイクロカプセルを包囲する壁が、連続相と置換され、したがって、いわゆるポリマー分散電気泳動ディスプレイを生産し得、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の別々の液滴と、ポリマー材料の連続相とを備え、そのようなポリマー分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が、いかなる別々のカプセル膜も各個々の液滴に関連付けられていない場合であっても、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の第2002/0131147号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのようなポリマー分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0011】
電気泳動ディスプレイの関連タイプは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および懸濁流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、搬送媒体、典型的に、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に保持される。例えば、両方がSiPix Imaging,Inc.に譲渡された国際出願公開第WO02/01281号および公開された米国出願第2002/0075556号を参照されたい。
【0012】
電気泳動媒体は、多くの場合、不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通した可視光の透過を実質的に遮断するので)、反射モードで動作する。この機能性は、
図5Aに図示され、表面に衝打する光の反射率は、好適な電圧を用いて視認表面に向かって黒色または白色荷電粒子を移動させることによって変調される。しかしながら、電気泳動デバイスは、いわゆる「シャッタモード」で動作するように作製されることができ、1つのディスプレイ状態は、実質的に不透明であり、1つは光透過性である。例えば、前述の米国特許第6,130,774号および第6,172,798号、および米国特許第5,872,552号、第6,144,361号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度における変動に依拠する誘電泳動ディスプレイは、類似するモードで動作することができる(米国特許第4,418,346号参照)。他のタイプの電気光学ディスプレイも、シャッタモードで動作することが可能であり得る。特に、この「シャッタモード」電気泳動デバイスが、透明基板上に構築されると、デバイスを通して、光の透過を調整することが可能である。
【0013】
カプセル化またはマイクロセル電気泳動ディスプレイは、典型的に、従来の電気泳動デバイスのクラスタリングおよび沈降故障モードを被らず、ディスプレイを様々な可撓性および剛体基板上に印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。(単語「印刷」の使用は、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押し出し成形コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、順方向および逆方向ロールコーティング、グラビア印刷コーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動堆積、および他の類似技法を含むあらゆる形態の印刷およびコーティングを含むように意図される。)したがって、結果として生じるディスプレイは、可撓性であることができる。さらに、ディスプレイ媒体は、印刷されることができる(種々の方法を使用して)ので、ディスプレイ自体が、安価に作製されることができる。
【0014】
電気泳動媒体のための1つの潜在的に重要な市場は、可変光透過を伴う窓である。建物および車両のエネルギー性能が、ますます重要になるにつれて、電気泳動媒体は、窓上のコーティングとして使用され、ある割合の入射放射線が、電気泳動媒体の光学状態を変動させることによって、電子的に制御された窓を透過させられることを可能にし得る。建物におけるそのような「可変透過率」(「VT」)技術の効果的実装は、(1)高外気温中の不要な加熱効果の低減(したがって、冷却のために必要とされるエネルギーの量、空調設備のサイズ、およびピーク電気需要を低減させる)、(2)天然日光の使用の増加(したがって、照明のために使用されるエネルギーおよびピーク電気需要を低減させる)、(3)熱および視覚的快適性の両方を増加させることによって、増加した居住者の快適性を提供することが予期される。さらなる利益は、封入された容積に対する光沢表面の比率が典型的な建物におけるより著しく大きい自動車において生じることが予期されるであろう。具体的に、自動車におけるVT技術の効果的実装は、前述の利益だけではなく、(1)増加した運転安全性、(2)低減させられたグレア、(3)強化されたミラー性能(電気光学コーティングをミラー上に使用することによって)、および(4)ヘッドアップディスプレイを使用する増加した能力を提供することも予期される。VT技術の他の潜在的用途は、電子デバイスにおけるプライバシガラスおよびグレア保護を含む。VT技術を含む他の潜在的用途は、電子デバイスにおけるプライバシガラスおよびグレア保護を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第8,508,695号明細書
【特許文献2】米国特許第10,809,590号明細書
【特許文献3】欧州特許第3281055号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
多くの他の用途の中でも、窓、鏡、ディスプレイ、日よけ、または看板のために使用されることができる切り替え可能光変調器に関する改良されたアーキテクチャが、本明細書に説明される。特に、説明される設計は、エレクトロクロミックフィルム等の可変透過デバイスよりロバストであり、低減させられたヘイズを伴う改良されたクリア(開放状態)に起因して、より良好な視認経験を提供する。
【0017】
第1の側面では、切り替え可能光変調器は、第1の主面を有する第1の基板と、第2の主面を有する第2の基板と、上部および底部を有するポリマー壁構造とを含む。ポリマー壁構造は、第1の主面と第2の主面との間に配置され、それによって、空洞内の別々の容積に変調流体または変調ゲルを含む複数の空洞を作成する。ポリマー壁構造は、ポリマー壁構造の上部に沿った陥凹を画定する成型部分を含み、鋳造部分は、陥凹の中に流体前駆体を配置し、陥凹を充填し、続いて、陥凹の表面に第2の基板を接合するために、流体前駆体を硬化させることによって形成される。一実施形態において、ポリマー壁構造の底部は、第1の基板に接合される。一実施形態において、流体前駆体は、変調流体または変調ゲルに接触しない。一実施形態において、流体前駆体は、陥凹を画定する側壁を越えて、かつ空洞の中に延びている。一実施形態において、成型部分は、光学的に透明であり、鋳造部分は、光を覆い隠し、着色剤、充填材料、または光散乱材料を含む。一実施形態において、成型物は、着色剤を含み、着色剤は、変調流体または変調ゲル内に配置された粒子の色に合致する。一実施形態において、流体前駆体は、20℃未満のガラス遷移温度(Tg)を有するエラストマポリマーを備えている。一実施形態において、エラストマポリマーは、ポリウレタンである。一実施形態において、陥凹は、第1の主面と第2の主面との間の直交距離の5%以上の最大深度を有する。一実施形態において、空洞は、0.3mm~3cmの最長寸法であり、隣接する空洞の中心間距離は、0.6mm~10cmである。一実施形態において、成型部分は、陥凹の深度および幅における変動を含むそれらの陥凹のそれぞれの形状における差異を有する。一実施形態において、ポリマー壁構造は、加えて、ブレース特徴を含む。一実施形態において、第1の基板または第2の基板は、可撓性透過材料を備えている。一実施形態において、切り替え可能光変調器は、強く光を減衰させる第1の状態と、可視光に実質的に透明である第2の状態とを有する。一実施形態において、変調流体または変調ゲルは、電気泳動粒子、液晶、極性および非極性液体の組み合わせ、エレクトロクロミック流体、サーモクロミック流体、またはフォトクロミック流体を含む。
【0018】
別の側面では、切り替え可能光変調器を作製する方法が、提供される。方法は、第1の主面を含む第1の基板を提供することと、第2の主面を含む第2の基板を提供することと、上部および底部を有するポリマー壁構造を提供することであって、ポリマー壁構造は、ポリマー壁構造の上部に沿った陥凹を画定する成型部分を含む、ことと、流体前駆体を用いて陥凹を充填することと、該複数の空洞内の別々の容積に変調流体または変調ゲルを提供することと、第1の主面と第2の主面との間にポリマー壁構造を配置することと、第2の基板および陥凹の表面を一緒に接合するために、流体前駆体を硬化させることとを含む。一実施形態において、壁構造は、該複数の空洞内の別々の容積に変調流体または変調ゲルを提供するステップの前、第1の基板に接合される。一実施形態において、第2の基板および陥凹の表面を一緒に接合するために、流体前駆体を硬化させることは、流体前駆体を加熱すること、またはUV光に流体前駆体をさらすことを含む。一実施形態において、第1の主面と第2の主面との間にポリマー壁構造を配置することは、第1の基板と第2の基板との間のポリマー壁構造をローラを用いて圧縮することをさらに含む。
【0019】
別の側面では、1つ以上のポリマー構造によって間隔を置かれた向かい合う主面を伴う第1の基板と、第2の基板とを有する切り替え可能光変調器デバイスであって、それぞれ、2つ以上の部分を備え、空洞のための複数の壁特徴を画定し、複数の空洞は、別々の容積内に流体またはゲルをシールし、1つ以上のポリマー構造の各々は、該第1の基板に接合され、陥凹を画定する成型部分と、その鋳造部分とを備え、鋳造部分は、陥凹を充填し、第2の基板および陥凹の表面に接合され、鋳造部分は、陥凹の表面および第2の基板は、によって封入され、両方の表面を複製する、切り替え可能光変調器デバイス。
【0020】
さらなる側面では、切り替え可能光変調器デバイスが、提供される。いくつかの実施形態において、成型部分は、光学的に透明であり(すなわち、光学的に透明ポリマーのみを備えている)、鋳造部分は、光を覆い隠す。光は、そのポリマー構造において、着色剤、充填材料、または光散乱材料のうちの1つ以上を分散または可溶化することによって、鋳造部分によって覆い隠される。好ましくは、着色剤の色は、そのような実施形態の1つ以上の切り替え可能光状態の色または色合いに合致するように選択される。
【0021】
成型部分を光学的に透明に保つことの特定の利点は、それが、急激な紫外線(UV)開始重合に依拠するエンボス加工プロセスによって形成されると、UVの吸収が、最小化されることである。対照的に、成型物が、光吸収材料を有する場合、深部壁区分(例えば、20ミクロン以上)の重合は、少なくとも減速させられ、可能でない可能性が最も高いであろう。エンボス加工ドラムを装備するロールツーロールプロセスでは、成型前駆体は、ドラム表面から解放され/剥がされる前、硬化させるために数秒を有するであろう。成型部分に関するそのような製造プロセスを用いることで、光学的に透明前駆体を使用することが、重要である。有利なこととして、実施形態において、鋳造部分は、デバイス内の定位置で鋳造され、したがって、光吸収材料を伴う鋳造部分は、適切な長期間にわたって熱的に硬化させられることができる。
【0022】
本発明のこれらのおよび他の側面は、以下の説明に照らして、明白となるであろう。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
切り替え可能光変調器(201、202、203、204、205)であって、前記切り替え可能光変調器は、
第1の主面を有する第1の基板(101、102、103)と、
第2の主面を有する第2の基板(141、142、143、144)と、
上部および底部を有するポリマー壁構造(21、22、23)であって、前記ポリマー壁構造は、前記第1の主面と前記第2の主面との間に配置され、それによって、複数の空洞(111、112、113、114)を作成し、前記複数の空洞は、前記空洞(111、112、113、114)内の別々の容積に変調流体(71、72、73、74)または変調ゲルを含み、前記ポリマー壁構造(21、22、23)は、前記ポリマー壁構造(21、22、23)の前記上部に沿った陥凹を画定する成型部分(31、32、33)を含む、ポリマー壁構造と、
鋳造部分(81、82、83、84)と
を含み、
前記鋳造部分は、前記陥凹の表面に前記第2の基板を接合するために、前記陥凹の中に流体前駆体を配置し、前記陥凹を充填し、続いて、前記流体前駆体を硬化させることによって形成される、切り替え可能光変調器。
(項目2)
前記ポリマー壁構造の前記底部は、前記第1の基板に接合されている、項目1に記載の切り替え可能光変調器。
(項目3)
前記流体前駆体は、前記変調流体または前記変調ゲルに接触しない、項目1に記載の切り替え可能光変調器。
(項目4)
前記流体前駆体は、前記陥凹を画定する側壁(21a、22a、23a)を越えて、前記空洞の中に延びている、項目1に記載の切り替え可能光変調器。
(項目5)
前記成型部分は、光学的に透明であり、前記鋳造物部分は、光を覆い隠し、着色剤、充填材料、または光散乱材料を含む、項目1に記載の切り替え可能光変調器。
(項目6)
前記成型物は、着色剤を含み、前記着色剤は、前記変調流体または変調ゲル内に配置された粒子の色に合致する、項目5に記載の切り替え可能光変調器。
(項目7)
前記流体前駆体は、20℃未満のガラス遷移温度(Tg)を有するエラストマポリマーを備えている、項目1に記載の切り替え可能光変調器。
(項目8)
前記エラストマポリマーは、ポリウレタンである、項目7に記載の切り替え可能光変調器。
(項目9)
前記陥凹は、前記第1の主面と前記第2の主面との間の直交距離(121、122)の5%以上の最大深度(1031、1032)を有する、項目1に記載の切り替え可能光変調器。
(項目10)
前記空洞は、0.3mm~3cmの最長寸法であり、隣接する空洞の中心間距離は、0.6mm~10cmである、項目1に記載の切り替え可能光変調器。
(項目11)
前記成型部分は、前記陥凹の深度(1031、1032)および幅(1041、1042)における変動を含むそれらの陥凹のそれぞれの形状における差異を有する、項目1に記載の切り替え可能光変調器。
(項目12)
前記ポリマー壁構造は、ブレース特徴(23c)をさらに含む、項目1に記載の切り替え可能光変調器。
(項目13)
前記第1の基板または前記第2の基板は、可撓性透過材料(90)を備えている、項目1に記載の切り替え可能光変調器。
(項目14)
前記切り替え可能光変調器は、強く光を減衰させる第1の状態と、可視光に実質的に透明である第2の状態とを有する、項目1に記載の切り替え可能光変調器。
(項目15)
前記変調流体または前記変調ゲルは、電気泳動粒子、液晶、極性および非極性液体の組み合わせ、エレクトロクロミック流体、サーモクロミック流体、またはフォトクロミック流体を含む、項目1に記載の切り替え可能光変調器。
(項目16)
項目1に記載の切り替え可能光変調器を含むディスプレイ、窓、鏡、日よけ、または看板。
(項目17)
切り替え可能光変調器(201、202、203、204、205)を作製する方法であって、前記方法は、
第1の主面を含む第1の基板(101、102、103)を提供することと、
第2の主面を含む第2の基板(141、142、143、144)を提供することと、
上部および底部を有するポリマー壁構造(21、22、23)を提供することであって、前記ポリマー壁構造(21、22、23)は、前記ポリマー壁構造(21、22、23)の前記上部に沿った陥凹を画定する成型部分(31、32、33)を含む、ことと、
流体前駆体を用いて前記陥凹を充填することと、
前記複数の空洞(111、112、113、114)内の別々の容積に変調流体(71、72、73、74)または変調ゲルを提供することと、
前記第1の主面と前記第2の主面との間に前記ポリマー壁構造(21、22、23)を配置することと、
前記流体前駆体を硬化させ、前記第2の基板と前記陥凹の表面とを一緒に接合することと
を含む、方法。
(項目18)
前記壁構造は、前記複数の空洞(111、112、113、114)内の別々の容積に変調流体(71、72、73、74)または変調ゲルを提供するステップの前、前記第1の基板に接合されている、項目17に記載の切り替え可能光変調器を作製する方法。
(項目19)
前記流体前駆体を硬化させ、前記第2の基板と前記陥凹の表面とを一緒に接合することは、前記流体前駆体を加熱すること、またはUV光に前記流体前駆体をさらすことを含む、項目17に記載の切り替え可能光変調器を作製する方法。
(項目20)
前記第1の主面と前記第2の主面との間に前記ポリマー壁構造(21、22、23)を配置することは、前記第1の基板と第2の基板との間の前記ポリマー壁構造をローラを用いて圧縮することをさらに含む、項目19に記載の切り替え可能光変調器を作製する方法。
(項目21)
第1の基板(101、102、103)と第2の基板(141、142、143、144)とを有する切り替え可能光変調器デバイス(201、202、203、204、205)であって、前記第1の基板および第2の基板は、1つ以上のポリマー構造によって間隔を置かれた向かい合う主面を有し、前記1つ以上のポリマー構造の各々は、2つ以上の部分を備え、前記複数の空洞(111、112、113、114)のための壁特徴(21b、22b、23b)を画定し、前記空洞は、別々の容積内に前記流体(71、72、73、74)またはゲルをシールし、
前記1つ以上のポリマー構造の各々は、前記第1の基板に接合され、陥凹(31、32、33)を画定する成型部分(21、22、23)と、その鋳造物部分(81、82、83、84)とを備え、前記鋳造部分は、前記陥凹を充填し、前記第2の基板および前記陥凹の表面に接合され、前記鋳造部分は、前記陥凹の表面と前記第2の基板とによって封入され前記両方の表面を複製する、切り替え可能光変調器デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施形態が、付随の3次元図面を参照して、例としてここで説明されるであろう。
【0024】
【
図1A】
図1Aは、その成型マイクロ構造21および陥凹31を含む第1の基板101を示す。
【0025】
【
図1B】
図1Bは、プレポリマー41によって充填される陥凹31を伴う第1の基板101を示す。
【0026】
【
図1C】
図1Cは、成型マイクロ構造21および鋳造マイクロ構造81を含む実施形態201を示す。
【0027】
【
図2A】
図2Aは、その成型マイクロ構造22および陥凹32を含む第1の基板102を示す。
【0028】
【
図2B】
図2Bは、成型マイクロ構造22および鋳造マイクロ構造82を含む実施形態202を示す。
【0029】
【
図3A】
図3Aは、その成型マイクロ構造23および陥凹33を含む第1の基板103を示す。
【0030】
【
図3B】
図3Bは、成型マイクロ構造23および鋳造マイクロ構造83を含む実施形態203を示す。
【0031】
【
図4】
図4は、成型マイクロ構造21、鋳造マイクロ構造84、および薄い第2の基板144を含む実施形態204を示す。
【0032】
【
図5】
図5は、アクティブマトリクスバックプレーン165に固定される実施形態204を備えている、実施形態205を示す。
【0033】
図面は、本概念に従って1つ以上の実装を描写するが、例にすぎず、限定のためではない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態は、流体層を伴う切り替え可能光変調器デバイスを提供する。デバイスは、その流体層に埋め込まれる固体ポリマー構造を有し、構造は、ミクロン規模で、(基板の並置された主面に直交する)高さおよび幅を有する。ポリマー構造は、本書では、マイクロ構造(microstructuresまたはmicro-structure)と称される。ポリマーマイクロ構造は、2つの部分(第1の基板に接合される第1の部分と、第2の基板に接合される第2の部分)内に配置される。2つの部分も、互いに接合され、結果として、デバイスの基板を互いに接合または固定する。第1の部分は、壁特徴を組み込み、壁特徴は、デバイスの流体層を空洞に対応する別々の容積の単層に分割し、第2の部分は、容積をシールするシーラント特徴を組み込み、それによって、空洞は、互いに隔離される。第2の部分がシールするが、そのポリマー構造は、第1の部分のポリマーによって、デバイスの流体層との接触からほぼ完全に隔離される。
【0035】
実施形態において、2部分ポリマー構造の第1の部分は、成型マイクロ構造と称され、それらは、第1の基板の内側主面に共有結合的に接合される。成型マイクロ構造は、エンボス加工または成型ステップにおいて、第1の基板上にツールの表面をマイクロ複製することによって作製される。成型マイクロ構造は、陥凹特徴(陥凹特徴はまた、チャネル、切り欠き、またはくぼみと呼ばれ得る)を用いてパターン化される。実施形態において、陥凹は、2部分ポリマー構造の第2の部分によって充填される。この第2の部分は、鋳造マイクロ構造と称され、それらは、第2の基板の内面に共有結合的に接合される。鋳造マイクロ構造は、それらから鋳造されることによって陥凹を複製するが、鋳造後、成型マイクロ構造から分離されない。
【0036】
鋳造のために使用されるプレポリマーは、成型マイクロ構造内の陥凹を充填するために、印刷されるか、または別様にコーティングされる。次いで、デバイスは、その流体層と組み立てられ、流体層は、第1および第2の基板の反対側の間隔を置かれた主面間に配置される。成型マイクロ構造は、第1の基板の主面から流体層の中に延び、第2の基板の反対側の主面に接触する。このように、成型マイクロ構造は、流体層のセル間隙を画定する。この段階において、陥凹は、鋳造マイクロ構造のプレポリマーで充填され、空洞は、流体で充填される。次に、プレポリマーが、鋳造マイクロ構造を形成するために、鋳造ステップにおいて重合され、成型マイクロ構造と第2の基板の内側主面とに鋳造マイクロ構造を共有結合的に接合する。その結果、鋳造ステップは、成型ステップに続き、基板間で流体層を伴って定位置で生じる。重合(すなわち、鋳造)中、陥凹内のプレポリマーバルクは、流体と接触せず、重合後、鋳造物は、成型マイクロ構造によって封入され、流体から隔離される。実施形態は、成型マイクロ構造部分と、その鋳造マイクロ構造部分とを備えている2部分ポリマー構造によって、特徴付けられる。
【0037】
実施形態の光変調器は、電気、光学、または熱変化に応答して、光減衰、色、正透過度、または拡散反射のうちの1つ以上を選択的に変化させ、2つ以上の光状態を提供することを切り替える。好ましくは、光状態は、可視光に対して透明である1つの極限状態と、光を強く減衰させる別の極限状態とを含む。実施形態に関する重要な用途は、スマート窓におけるものである。いくつかの実施形態は、ガラス積層内の層として、窓にデバイスを組み込む。他の実施形態において、デバイスは、可撓性であり、ガラス板に接合する。両方のスマート窓実施形態において、フィルムデバイスは、かなりの構造的強度を有し、自己シールされた各別々の流体容積を伴って流体層を区画に分ける。実施形態の構造的強度は、その成型および鋳造マイクロ構造の設計およびそれらのポリマー材料の選択に由来する。構造的強度は、ガラス積層または接合プロセスに耐えること、大きなスマート窓を取り扱い、据え付けるときに遭遇する負荷に耐えること、極度の風力および気温等の環境の衝撃によってその寿命にわたってデバイス上にかけられた負荷に耐えることが必要であることを含む。さらに、輸送用途では、デバイスのポリマー構造は、振動に強いように選択される。
【0038】
デバイスのための他の実施形態は、光シャッタ、光減衰器、可変光透過シート、可変光吸収シート、可変光反射率シート、鏡、車両のための日よけ板、電子皮膚、モノクロディスプレイ、カラーディスプレイ、またはシースルーディスプレイとして使用することを含む。有利なこととして、実施形態は、特に、0.25m2~5m2等の大きなエリアを要求する用途に好適である。さらに、フィルムのロールであるデバイスが、1,000m2またはそれより大きい面積を有することができる。
【0039】
実施形態は、図に示される3次元投影図を参照して、説明される。
図1a-1cは、実施形態201を説明するために使用される。
図2Aおよび2Bは、実施形態202を説明し、
図3Aおよび3Bは、実施形態203を説明し、
図4は、実施形態204を説明し、
図5は、実施形態205を説明する。図では、実施形態は、第1の基板(101、102、103)と第2の基板(141、142、143、143)との間に保持される流体またはゲル層(71、72、73、74)を備えている。いくつかの実施形態において、流体層(71、72、73、74)は、例えば、上で説明されるように、電気光学層として説明されることができる。
【0040】
基板は、流体層に関するセル間隙(121、122、123、124)を画定するために、ポリマーマイクロ構造(21、22、23)によって間隔を置かれる。マイクロ構造はまた、別々のシールされた空洞(111、112、113、114)または区画に流体層を分割する。マイクロ構造は、2つの部分におけるものあり、1つの部分は、ツールの表面を複製する成型マイクロ構造(21、22、23)であり、デバイスの組み立てに先立って、第1の基板上にエンボス加工または成型ステップで形成され、他のものは、デバイスを組み立てた後、成型マイクロ構造内の陥凹(31、32、33)内および第2の基板上に形成される鋳造マイクロ構造(81、82、83、84)である。その結果、鋳造マイクロ構造は、成型物のマイクロ構造内の陥凹とのその界面(または密着接点または共有表面)と、第2の基板とのその界面(または密着接点または共有表面)とから、直接、生じる。
【0041】
いくつかの実施形態において、基板の一方または両方は、透明可撓性フィルム(90)であり、それは、透明電極(60)とともに流体側にコーティングされる。電極の主面は、互いに面し、平行に並置される。基板の反対側の表面は、実施形態の視認面を形成する。フォトクロミックまたはサーモクロミック光変調器を含む代替実施形態において、基板(およびデバイス)は、視認面(または切り替え可能エリア)に電極コーティングを有していない。
【0042】
本書では、成型マイクロ構造(21、22、23)は、空洞壁(21a、22a、23a)、陥凹(31、32、33)、陥凹壁(31a、32a、33a)、および壁ブレース(23c)として説明される(または、それに対応する)、特徴を有する。これらの特徴は、それらが一部分である全体(21、22、23)と別個であると見なされるが、単一エンボス加工ステップで形成される。対照的に、鋳造マイクロ構造(81、82、83、84)は、別個のステップで形成され、いくつかの実施形態において、成型マイクロ構造と異なる材料を有する。
【0043】
図1C、2B、3B、4、および5では、ちょうど7つの完全な流体空洞(111、112、113、114)が、隣接する空洞とこれらの空洞内の流体(71、72、73、74)とを通して切断された断面を用いて示されている。流体を通した断面は、斜線で示されないが、流体の存在が、概して、示されている。実施形態の図は、はるかに大きいデバイスの局所エリア(または断面)に対応し、図は、正確な縮尺で描かれていない。実施形態において、空洞(またはそれによって画定された流体容積)のピッチは、50ミクロン~3,000ミクロンである。六角形空洞に関する最長寸法(
図1Aにおける、L.D.)は、例えば、
図1Aに示されるように、0.3mm~3cmであり得る。対応する中心間距離(
図1AにおけるC.-C.)は、0.6mm~10cmであり得る。空洞の最長寸法と中心間距離との間の関係は、互いに対する空洞の幾何学形状に応じて、変動し得る。いくつかの事例では、空洞は、不規則的多角形の集合であり得、それらは、モアレまたは他の光学干渉効果を低減させ得る。一実施形態において、250ミクロンのピッチを伴うスマートガラスデバイスが、典型的に、その面を横断して2,000~6,000の別々の流体空洞、その面に沿って、2,000~20,000、または4百万~120百万の空洞の総数を有するであろう。他の実施形態において、より大きいピッチが、視認経験を改良するように(すなわち、低減させられたヘイズおよびモアレを伴うように)使用され得る。より大きいピッチが、使用されると、眼は、グリッド(またはアレイ)として可視パターンを分解し、光減衰粒子の色である不透明エリアのグリッドとして鋳造部分を知覚する。多くの場合、鋳造部分は、光変調器が、第1の(不透明/暗い)光状態に切り替えられると、光変調器の面上で区別不能である。光変調器が、開放した光透過性(第2の)状態に切り替えられると、着色された粒子は、視認可能鋳造部分に隣接して集合し、防虫網の全体的外観をもたらす。しかしながら、空洞のより大きいサイズは、ヘイズを大幅に改良する。事例研究は、より大きい用途(例えば、車両または建物の窓)に関して、視認可能セル壁の存在がより小さいピッチ設計で存在し得るより高いヘイズほど不愉快でないことを示唆する。
【0044】
図1aは、実施形態201の第1の基板101を示す(後者は、
図1cに示される)。成型マイクロ構造21は、六角形の形状の空洞111を画定する壁構造であり、壁構造は、基板101の内面に接合されている。後者は、
図1Aにおいて、可撓性フィルム90上の随意の電極60の表面に接合されたマイクロ構造21として示されている。マイクロ構造21の空洞壁特徴(または構成体)は、21bによって示され、基板面に直交するその高さは、寸法1021によって示され、その幅は、1051によって示される。基板101の反対側に、マイクロ構造21は、陥凹31を有する。陥凹31を画定するマイクロ構造21の壁(または側)は、21aによって示され、拡大
図1001に示される。陥凹31の幅は、1041によって示され、その高さは、1031によって示される。
【0045】
視認エリアに埋め込まれる壁区分の大部分の幅1051は、7.5ミクロン~175ミクロン、より好ましくは、12ミクロン~125ミクロン、最も好ましくは、15ミクロン~90ミクロンである。陥凹の大部分の幅1041は、2.5ミクロン~100ミクロン、より好ましくは、7.5ミクロン~85ミクロン、最も好ましくは、10ミクロン~75ミクロンである。陥凹の大部分に関する第2の基板の面に直交する高さ(または深度)1031は、セル間隙121の2.5%~99%、より好ましくは、5%~66%、最も好ましくは、6.25%~46%である。
【0046】
図1Bは、プレポリマー41が、成型マイクロ構造21内の陥凹31の中に印刷またはコーティングされた後の第1の基板101を示す。デバイスアセンブリ(または調製または製造)におけるこのステップに関する好適な印刷プロセスの例は、スクリーン印刷またはインクジェット印刷を含む。好ましい印刷方向は、矢印1010によって示される。これは、印刷スクイージと平行な陥凹エリアの中への印刷を回避する。プレポリマー41は、鋳造物81に対する前駆体である。好ましくは、それは、フリーラジカル重合による高粘度(1,000cst以上)樹脂硬化性である(好適な材料は、後に説明される)。
図1Bでは、プレポリマー41の上面は、41aによって示される。この表面は、好ましくは、壁表面21aと一致するか、または、それを超える。いくつかの実施形態において、プレポリマー41の過剰分は、印刷ステップ後かつ流体積層ステップ前、上部壁表面21aをコーティングすることができる。
【0047】
図1Cでは、実施形態201の流体層は、71として示され、それは、基板101と141との随意の電極60間で画定された容積の一部を占有する。セル間隙121は、第1および第2の基板との流体層71のそれぞれの界面間の直交距離に対応する。流体71は、次に、空洞111によって画定されている各流体容積を伴う成型マイクロ構造21の一部である壁21bによって別々の流体容積に分割される。流体空洞111は、六角形グリッドにおいて横並びに置かれ、単層内にある。いくつかの実施形態において、空洞は、ある程度の不規則性または無作為性を有する横並び配置をもたらす不規則的形状を有する。
【0048】
実施形態201は、水平に向けられ、(NIPローラの間の通路に関して)垂直給送方向を有する一対のNIPローラを使用して、積層ステップにおいて組み立てられる。いくつかの実施形態において、積層中、基板は、ロールツーロールシステムの一部としての繰り出しおよび/または巻き取りステーションまたはモジュールによる張力下で保持される。デバイスの流体71は、NIPローラを通して、垂直向きで通過する前、リザーバを形成する基板101と141との間に導入される。六角形空洞の向きに対する積層の好ましい方向は、
図1Bにおいて、矢印1010によって示される(プレポリマー41の印刷に関係して、前に説明される)。この向きでは、流体71は、積層ローラのNIP点と平行(すなわち、ローラと平行)な空洞壁を経験せず、デバイスがNIP点を通過するとき、空洞から過剰流体を押しやることをより容易にする。陥凹31内(成型マイクロ構造21内)のプレポリマー41は、マイクロ構造21から鋳造マイクロ構造81を生じるように、硬化段階において鋳造される。好ましくは、硬化は、フリーラジカル重合によるものである。後者は、好ましくは、ロールツーロールプロセスの一部として、高強度の紫外線放射線モジュールにおいて遂行される。代替硬化方法は、熱硬化を含み、鎖成長重合の代替タイプは、イオン、カチオン性、および配位重合を含む。
【0049】
硬化が完了すると、鋳造マイクロ構造81は、第2の基板141および成型マイクロ構造21に強固に接合される。鋳造マイクロ構造81は、成型物の陥凹31と第2の基板141の内面との間の容積内に鋳造されるので、両方によって包囲および封入され、両方によって導出および画定される。鋳造物81は、両方の界面表面を複製し、それらの表面およびそれらの間の容積の3D転写である。両方の表面と化学的に適合性があるようにプレポリマー41を選択することによって、硬化させられた鋳造物81は、両方に強固に接合する。鋳造物81は、親である成型マイクロ構造21の子であり、2部分(または対)は、成型物21およびその鋳造物81として説明される。
【0050】
別の実施形態において、熱可塑性ポリマーが、プレポリマー41として液体形態で適用され、流体積層ステップ前に固体化することを可能にされる。基板間に流体71を積層後、鋳造ステップは、熱可塑性ポリマー41をリフローさせるために十分な高い温度にデバイスをさらすことによって、完了される。それが冷えると、熱可塑性ポリマー41は、それが鋳造物81の中に固体化するにつれて、成型マイクロ構造21および第2の基板141に接合する。熱可塑性の例は、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)(Lucite(登録商標)、Perspex(登録商標)、およびPlexiglas(登録商標)等の商標名によって公知)およびポリカーボネートを含む。屋外設定(特に、自動車用途)において使用するために好適なグレードが、好ましい。低密度ポリエチレン(LDPE)のグレードを含む30~100のshore A硬度を伴う軟質熱可塑性が、最も好ましい。
【0051】
実施形態201では、鋳造物81は、空洞111に対して連続的であり、成型物21とともに、空洞の流体71を包囲する。流体は、シールされ、隣接する空洞111から隔離される。
図1Cでは、鋳造物81の上面は、81aとして示され、成型物21の上面は、21aとして示される。鋳造物81は、第2の基板141および成型マイクロ構造21に化学的に接合することによって、空洞111を連続的にシールする。次に、後者は、第1の基板101に化学接合することによって、連続的にシールされる。このように、実施形態において、成型マイクロ構造21は、空洞の包囲する壁を画定し、鋳造マイクロ構造81は、空洞の流体シーラントを画定する。
【0052】
流体積層ステップ(前に説明される)は、鋳造物プレポリマー41と第2の基板141との間の接触エリアから外に流体を実質的に押しやる。積層の間に圧縮力を加えることは、プレポリマー41を第2の基板141との密着した接触にし、過剰プレポリマーが、陥凹31から、薄い層で陥凹壁21aの上部に搾り出される。いくつかの実施形態において、鋳造ステップは、成型マイクロ構造21の上部と第2の基板141との間の過剰プレポリマーの薄い層を重合することによって、空洞をシールする。硬化させられた薄い層はまた、フラッシングとして知られている。好ましくは、硬化させられた薄い層は、5ミクロン未満、より好ましくは、3ミクロン未満、最も好ましくは、2ミクロン未満の厚さを有する。いくつかの実施形態において、鋳造マイクロ構造からの過剰ポリマーは、成型された上面21aを越えて、陥凹壁の空洞側の中に延びている。
【0053】
有利なこととして、実施形態201では、流体70は、鋳造物のプレポリマー41が、陥凹31に含まれているので、鋳造物のプレポリマー41にほとんどさらされない。積層は、第2の基板141とのプレポリマー41の接触エリアから流体70を搾り出し、積層ステップ中、プレポリマー41を流体にほとんどさらさず、光学流体71からプレポリマー41(高粘度流体)を実質的に隔離する。積層ステップは、陥凹31と上部基板141との間のプレポリマー41の非恒久的シールである。積層の直後、重合ステップは、プレポリマーを硬化させ、シールを恒久的にする(すなわち、鋳造物81を形成することによって)。重合中、陥凹31内のプレポリマーバルクは、流体70と接触しない。積層中に空洞の中に搾り出される任意の過剰プレポリマーとの接触のみが、可能である。陥凹31の中に印刷されるプレポリマー41の量を選択および制御することによって、過剰プレポリマーは、所望のように、最小化または回避されることができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、第2の基板141の並置された平行な(第1の基板から)間隔を置かれた主面は、その電極層60(
図1Cに示されない)の上にポリマー絶縁および/または接着剤層を有する。いくつかの実施形態において、ポリマー層は、鋳造物41のプレポリマー41が重合すると同時に、重合される。このように、接着剤層は、鋳造物41の第2の基板への引き剥がし粘着力を向上させる。
【0055】
デバイス201では、セル間隙121は、成型マイクロ構造21の壁高さ1021以下である(
図1A参照)。有利なこととして、いくつかの実施形態において、流体71は、壁21bが流体積層ステップからの圧縮または負荷下にあり、その圧縮または負荷がセル間隙121に対応するデバイス内の低減させられた壁高さをもたらすので、空洞111内で吸引下にある。本書では、吸引下の流体は、周囲の大気圧力に対してより低い圧力にある流体を指す。実施形態201では、壁高さ121は、デバイス1021の外側の高さ未満であり、好ましくは、デバイス内の壁高さは、デバイスの外側の高さの0.99倍以下である。
【0056】
図2Aは、実施形態202の第1の基板102を示す。後者は、
図2Bに示される。実施形態202は、前に説明される実施形態201に類似する。陥凹32を画定するマイクロ構造22の壁(または側)は、22aによって示され、拡大
図1002に示される。壁高さは、1022であり、その幅は、1052である。陥凹32の幅は、1042によって示され、その高さは、1032によって示される。陥凹32は、拡大
図1002において、22aによって示されるように、外向き傾斜湾曲(または丸みを帯びた)壁を有する。
図2Aでは、陥凹32の壁22aは、第1の基板と反対側の縁に行くほど細くなる。
【0057】
図2Bでは、空洞は、112であり、流体72で充填される。セル間隙は、122である。陥凹32の壁22aは、第2の基板142に接触する(または近接または隣接する)縁に行くほど細くなる。その結果、鋳造物82の上面82aは、
図2Bに示されるように、成型物22の上面22aの実質的に全てに重複する。有利なこととして、鋳造物82が、着色剤を有し、成型物22が、透明であるとき、視認者が、実施形態の視認面を視認すると、着色されているように両方のマイクロ構造を知覚する。
【0058】
いくつかの実施形態において、成型および鋳造マイクロ構造の材料は、同じであり、他方では、差異がある。好ましい実施形態において、成型部分は、光学的に透明であり、鋳造部分は、光を覆い隠し、着色剤(顔料または色素)、充填材料、または光散乱材料のうちの1つ以上を含む。好ましくは、着色剤の色は、切り替え可能光変調器デバイスの1つ以上の切り替え可能光状態の色または色合いに合致するように選択される。例えば、黒色、クリア、および中間色合い状態を有するある実施形態は、カーボンブラック装填ポリマーを備えているポリマーおよび黒色鋳造マイクロ構造を備えている光学的にクリア成型マイクロ構造を有する。別の例では、白色、クリア、および中間色合い状態を有するある実施形態は、二酸化チタン装填ポリマーを備えているポリマーおよび白色鋳造マイクロ構造を備えている光学的にクリア成型マイクロ構造を有する。着色された極限光状態を有するいくつかの実施形態において、鋳造マイクロ構造は、クリア光状態でヘイズおよび色知覚を最小化するように、黒色である。
【0059】
成型部分を光学的に透明に保つことの特定の利点は、それが、急激な紫外線(UV)開始重合に依拠するエンボス加工プロセスによって形成されると、UVの吸収が、最小化されることである。対照的に、成型物が、光吸収材料を有する場合、深部壁区分(例えば、20ミクロン以上)の重合は、少なくとも減速させられ、可能でない可能性が最も高いであろう。エンボス加工ドラムを装備するロールツーロールプロセスでは、成型前駆体は、ドラム表面から解放/剥がされる前、硬化させるために数秒を有するであろう。成型部分に関するそのような製造プロセスを用いることで、光学的に透明前駆体を使用することが、重要である。有利なこととして、実施形態において、鋳造部分は、デバイス内の定位置で鋳造され、したがって、光吸収材料を伴う鋳造部分は、適切に長期間にわたって熱的に硬化させられることができる。
【0060】
図3Aは、実施形態203の第1の基板103を示す。後者は、
図3Bに示される。実施形態203は、前に説明される実施形態201および202に類似する。陥凹33を画定するマイクロ構造23の壁(または側)は、23aによって示され、拡大
図1003に示される。空洞壁は、23bによって示され、その高さは、1023であり、幅は、1053である。陥凹33は、拡大
図1003において、23aによって示されるように、外向きの傾斜壁を有する。
図3Aでは、陥凹33の壁23aは、第1の基板と反対の側の段部に行くほど細くなる。陥凹33の幅は、陥凹内の1043によって、陥凹がその最大幅にある、段部エリアの間で1063として、示される。陥凹の高さ(または深度)は、1033によって示される。陥凹33は、「V」形状断面を有する。いくつかの実施形態において、成型物は、陥凹の形状、または深度または幅における変動を含むその陥凹の形状における差異を有する。
【0061】
図3Bでは、空洞は、113であり、液晶流体73で充填される。セル間隙は、123である。陥凹33の壁23aは、第2の基板143に接触する(または近接または隣接する)段部に行くほど細くなる。その結果、鋳造物83の上面83aは、
図3Bに示されるように、成型物23の上面23aの実質的に全てに重複する。第2の基板143は、基板142(
図2Bに示される)と、液晶整合層193とを備えている。有利なこととして、整合層193は、液晶流体が、積層される前、基板142の電極表面上にコーティングされることができる。続いて、空洞113は、鋳造物83を硬化させることによって、シールされる。シールは、それが液晶73と接触する整合層193と干渉しない。
【0062】
図3Aおよび3Bでは、成型マイクロ構造23の壁特徴23bは、ブレース特徴23cを有する。ブレース特徴23cは、壁に追加の強度を提供するために含まれる。これは、エンボス加工ツール(前に説明される)に関する成型マイクロ構造を解放するとき、続いて、実施形態が、ガラス板の間に積層されるとき、有益である。ブレース特徴23cの幅は、拡大
図1003において、1073として、その高さは、1083として、示される。いくつかの実施形態において、高さは、壁高さ1023と同じであり、好ましくは、そのようなデバイスでは、ブレース特徴は、陥凹を有し、陥凹は、空洞壁陥凹に接合される。このように、ブレース特徴は、関連付けられた鋳造部分を有し、デバイスの引き剥がし粘着力(引き剥がし粘着力は、第1の基板と第2の基板との間の接着力を指す)を追加する。
【0063】
デバイス204が、
図4に示され、多くの要素をデバイス201(
図1Cに示される)と共有する。共通要素は、両方の図において、同じ数字で示される。デバイス204の第2の基板144は、デバイス201の第2の基板141と異なる。
図4では、第2の基板144は、随意の剥離ライナ154に固定されて、示される。その名称によって含意されるように、剥離ライナ154は、デバイスが、使用時に(または製造ステップ前に)除去されるように意図される犠牲層である。第2の基板144は、連続的であり、その厚さ(またはその主面に直交する寸法)は、0.5ミクロン~50ミクロン、好ましくは、1ミクロン~35ミクロン、最も好ましくは、1.25ミクロン~25ミクロンである。
【0064】
いくつかの実施形態において、この薄いシート(すなわち、第2の基板144)は、薄い固体ポリマーであり、空洞、絶縁層、障壁層、またはハードコートのための被覆層のうちの1つ以上として機能することができる。いくつかの実施形態において、第2の基板144は、光学的にクリアであり、他の実施形態において、着色剤を有し、さらに他の実施形態において、太陽光を反射する。第2の基板141(デバイス201)に関して、第2の基板144(デバイス204)のの際立った特徴は、第2の基板141(デバイス201)上の電極層60の欠如である。
【0065】
実施形態204では、鋳造マイクロ構造84は、実施形態201における鋳造物81に似ている。鋳造物84は、第2の基板144に、および成型マイクロ構造21に強固に接合される。鋳造マイクロ構造84は、成型物の陥凹31と第2の基板144の内面との間の容積内に鋳造されるので、両方によって包囲および封入され、両方によって導出および画定される。鋳造物84は、両方の界面表面を複製し、それらの表面およびそれらの間の容積の3D転写である。
【0066】
図4では、実施形態204の流体層は、74として示され、基板101の電極60と第2の基板144の内面(または界面との間)との間で画定された容積の一部を占有する。セル間隙124は、第1および第2の基板との流体層74のそれぞれの界面間の直交距離に対応する。流体74は、次に、空洞114によって画定されている各流体容積を伴う成型マイクロ構造21の一部である壁21bによって別々の流体容積に分割される。実施形態204では、鋳造物84は、空洞114に対して連続的であり、成型物21とともに、空洞の流体74を包囲し、シールし、隣接する空洞114から流体を隔離する。
【0067】
デバイス204のいくつかの実施形態において、第1の基板101上の電極60が、セグメントにパターン化され、使用時、流体74は、異なる電圧極性および/またはレベルを隣接するセグメントに適用することによって、電場の影響を受ける。そのようなデバイスでは、第2の基板は、それに関連付けられた電極層を有していないこともある(すなわち、デバイスは、単一電極層を用いて光状態を形成し、面内切り替えを使用すると言われ得る)。
【0068】
実施形態205が、
図5に示され、アクティブマトリクスバックプレーン165に固定されて(剥離ライナ154が除去された状態で)示されるように、実施形態204を含む。固定は、接着剤によるものを含む任意の好適な手段によるものであり得る(
図5に示されない)。接着剤/ポリマー層が、使用される場合、好ましくは、その厚さは、バックプレーン165にデバイス204を均一に固定することを必要最小限(すなわち、0.5ミクロン~15ミクロン)に保たれ、部分間の適正な引き剥がし粘着力を達成する。アクティブマトリクスバックプレーン165は、ピクセルを形成するためにパターン化された電極を有し、アクティブマトリクストランジスタとともに、恣意的画像が表示され得るピクセルエリアのマトリクスとして、デバイス205が実施形態204を動作させることを可能にする。製品(205)の例は、電子ブックリーダと、電子棚札とを含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、切り替え可能光変調器デバイスが、以下のタイプまたはそのハイブリッドバージョンのうちの1つを含む:電気泳動デバイス、液晶デバイス、エレクトロウェッティングデバイス、界面動電デバイス、電解液/ゲルを組み込むエレクトロクロミックデバイス、サーモクロミックデバイス、またはフォトクロミックデバイス。有利なこととして、いくつかの実施形態において、流体層は、基板の並置された平行な間隔を置かれた主面の一部と接触しており、基板は、基板表面を含み、基板表面は、電極層(60)、無機誘電層、有機誘電層、整合層(193)、エレクトロクロミック層、イオン貯蔵層、またはアクティブマトリクス層を備えている。エレクトロクロミック実施形態において、流体は、電解ゲルであり、流体は、1つの基板上の電極に重ね合わされるエレクトロクロミック層と、他の基板上の他の電極に重ね合わされるイオン貯蔵層と接触している。エレクトロクロミックデバイスの例は、米国第6,934,067号(Gentex)で説明される。ハイブリッドエレクトロクロミック/フォトクロミック実施形態において、切り替え可能材料は、液体またはゲルである。切り替え可能液体またはゲルは、Switch Materialの米国第8,837,032号で説明される。液晶デバイスでは、流体は、好ましくは、キラルネマチック液晶であり、好適なデバイスが、「A Chiral Nematic Liquid Crystal Light Shutter」と題された、英国特許出願第1416385.1号において、本出願人によって説明される。界面動電デバイスは、電気泳動デバイスのハイブリッドであり、流体内に懸濁される荷電粒子を含むインクを備えている。例えば、米国第2019/0256625号(Crown Electrokinetics)を参照されたい。エレクトロウェッティング実施形態において、流体層は、米国第8,854,714号(Sun Chemical Corp.)で説明される流体を備えていることができる。
【0070】
引き剥がし粘着力を向上させるために、いくつかの実施形態において、隔離された成型および鋳造された部分は、空洞内に位置することができる。例えば、空洞が、陥凹(成型マイクロ構造)を伴う中心に位置する支柱を有し、その陥凹に硬化させられた、鋳造マイクロ構造を通して、対向基板に接合されことができる。これは、空洞壁によって提供される引き剥がし粘着力を補完する空洞内に引き剥がし粘着力を提供する。中心に位置するマイクロ構造はまた、デバイスを外部から加えられる点圧力により抵抗力があるようにする流体層内の追加の空間としての機能を果たす。
【0071】
いくつかの実施形態において、視認エリアの周りの周辺縁シールが、成型および鋳造されたポリマー部分を使用する。縁シールの成型部分は、成型マイクロ構造が、複製されることと同時に、成型またはエンボス加工ステップでその基板上に複製される。そのような周辺縁シールを用いて作製されるデバイスは、自動車サンルーフまたはバイザ等の同じデバイスの大量生産に好適である。デバイスは、フィルムの連続ロール上で繰り返しデバイスとして生産され、次いで、フィルムのロールから打抜機で切断されること、またはレーザで切断されることができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、周辺縁シールの追加される引き剥がし粘着力は、デバイスの縁が露出させられるときなど、より極限の条件により好適である。例えば、スマート窓実施形態が、片側のみ上でガラス板に接合されることができ、その他の基板および縁エリアを露出させられたままにする。
【0073】
基板(101、102、103、141、142、143)は、ポリマーまたはガラス等の任意の好適な透明シート材料であり得、かつ可撓性または剛体であり得る。可撓性基板は、PET(すなわち、テレフタル酸ポリエチレン)、PEN(すなわち、ポリエチレンナフタレート)、PES(すなわち、ポリエーテルスルホン)、PC(すなわち、ポリカーボネート)、PI(すなわち、ポリイミド)、またはFRP(すなわち、繊維強化プラスチック)、または可撓性ガラス(例えば、50ミクロンまたは100ミクロンガラス(Nippon Electric Glass Co. Ltd.))等のポリマーを含む。剛体基板が、フロートガラス、または熱処置されたフロートガラス、または磨きガラス、または色付き/着色されたガラス、または熱吸収/反射ガラス、またはアクティブマトリクスガラスを使用することができる。
【0074】
電極(60)は、任意の好適な透明導体であることができる。例えば、ITO(すなわち、インジウムスズ酸化物)、カーボンナノチューブ、銀ナノワイヤ、またはPEDOT(すなわち、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)等の伝導性ポリマーである。上部電極が、ITO等の1つのタイプであり、底部電極は、PEDOT等の別のタイプである。PEDOTコーティングされたPET基板は、Kodak(US)から利用可能であり、ITOコーティングされたPET基板は、Sheldahl(US)から利用可能である。
【0075】
可撓性実施形態において、マイクロ構造および基板は、デバイスが、半径300mm、好ましくは、半径100mm、最も好ましくは、半径50mmの円柱の曲率に共形化することを可能にするように、十分な可撓性を有する。
【0076】
いくつかの実施形態に関して前に説明されるように、鋳造マイクロ構造において使用されるポリマーは、光または熱手段によって硬化させられ、その包囲する成型マイクロ構造およびその境界基板の内面に共有結合的に接合する。好ましくは、鋳造物のプレポリマーは、流体層の流体内で可溶性でなく、高分子量の成分と高粘度との重量比で、大部分を有する。いくつかの実施形態において、成型および鋳造マイクロ構造は、少なくともデバイスの基板と同じくらい可撓性である。
【0077】
好ましくは、実施形態の成型(21、22、23)および鋳造(81、82、83)マイクロ構造における使用のための好適な可撓性(または変形可能)ポリマーは、熱硬化性ポリマー、より具体的に、エラストマ固体ポリマーを含む。エラストマは、摂氏20度(すなわち、293K)未満のガラス遷移温度(すなわち、Tg)によって特性評価され、架橋結合を保有する。いくつかの実施形態において、Tgは、用途のために要求される最小動作温度未満である。いくつかの実施形態において、マイクロ構造のエラストマポリマーの剛性は、架橋結合のレベルを使用して、選択されることができる。いくつかの実施形態において、エラストマが、荷重下で、その剛性、引き裂き強度、および耐久性を増加させるように、分散される硬質材料(すなわち、充填材)で充填されることができる。充填材料の例は、沈殿されたシリカ、溶融シリカ、石英粉末、黒色顔料ナノ粒子、カーボンファイバ、またはナノ粒子、またはセラミックファイバ、またはナノ粒子を含む。実施形態において、固体ポリマーの弾性率は、成型および鋳造マイクロ構造の好適な弾性変形を提供するように選択され、弾性率は、2MPa~200MPa、より好ましくは、3MPa~100MPaの範囲内にある。実施形態において、マイクロ構造で使用される固体ポリマーの引き裂き強度は、摂氏20度、より好ましくは、9kN/m~50kN/mにおいて、7.5kN/m~75kN/mの範囲内にあるように選択される。最大動作温度(例えば、摂氏90度)における最小引き裂き強度は、≧7.5kN/mであるように選択される。実施形態において、成型および鋳造マイクロ構造内で使用されるポリマーの線熱膨張率は、合致させられる。
【0078】
好ましい実施形態において、マイクロ構造部分(すなわち、成型および鋳造部分)の一方または両方のためのエラストマは、ポリウレタンである(すなわち、ポリウレタン結合を含む)。好ましいポリウレタンは、架橋結合を形成するために硬化させられるアクリレート/メタクリレート基を有する。いくつかの実施形態において、ポリマー前駆体形成物は、単官能モノマーを用いる溶液中に二官能ポリウレタン鎖を有する。これらの成分の両方は、ある実施形態の流体(71、72、73、74)による膨張に対する化学抵抗を改良するために、フッ素化されることができる。実施形態においてエラストマポリマーとして使用のために好適である光学グレードプレポリマーの市販の例は、以下(Norland製品(www.norlandprod.com))、すなわち、NOA78、NOA75、NOA68、NOA68T、およびフッ素化グレードNOA142、NOA139、NOA、138、およびNOA13825を含む。
【0079】
ヘイズを最小化するために、いくつかの実施形態は、流体に対する成型および鋳造マイクロ構造の屈折率、好ましくは、互いの0.02、より好ましくは、0.005、最も好ましくは、0.002内に合致する。他の実施形態は、光を吸収および/または反射するために、鋳造マイクロ構造のポリマー内に着色剤を含む。好ましくは、太陽光赤外線スペクトルを反射する、陽光顔料が、着色剤のために使用される。好ましくは、着色剤は、光散乱(その結果、ヘイズ)を回避するために、黒色である。鋳造マイクロ構造の固体ポリマー内の黒色着色剤が、流体および黒色固体ポリマーに関する不一致の屈折率を可能にする。さらに、鋳造マイクロ構造の固体ポリマー内の黒色着色剤を使用する実施形態は、光学的に透明でないポリマーを使用することができる。例えば、前に説明されるように、固体ポリマーは、分散される硬質充填材料を組み込むことができる。別の例では、ポリマーは、半結晶構造を有することができる。
【0080】
いくつかの実施形態において、面内(すなわち、電気光学層内)切り替えを提供するために、鋳造マイクロ構造のポリマーは、伝導性の鋳造マイクロ構造であり、また、デバイス内の鋳造された電極としても機能する。
【0081】
次に、成型技法が、実施形態内で成型マイクロ構造を作製するために説明される。成型技法は、複製技法として説明されることもできる。これらおよび他の好適な複製技法は、「An Electrophoretic Device Having a Transparent Light State」と題された、欧州特許第3396446号(Vlyte Innovations)で説明される。
【0082】
成型技法では、硬質または軟質ツール表面が、ネガティプモールドマスタとして、成型ステップにおいて、使用され、マスタの表面の3次元(3D)形状の逆のものは、成型マイクロ構造を形成するために、基板に転写される(すなわち、複製される)。硬質ツール表面の例が、電鋳ニッケルであり、その表面は、基板上に最大100,000個の複製を作製するために好適である。軟質ツール表面の例が、架橋結合されたポリジメチルシロキサンであり、最大1,000個の複製を作製することができる。成型ステップは、プレポリマーを用いてマスタの表面をコーティングすることと、基板を積層する(随意に、コーティングは積層の一部として行われる)ことと、基板に接合されるポリマー内でマスタの表面の形状を逆に複製するように、コーティングを硬化させることと、基板上で複製されたマイクロ構造のままであるマスタから剥がすこととを含む。
【0083】
デバイスの成型マイクロ構造は、ロールツーロールプロセスのフィルムのロール上で、(複製によって)連続的に繰り返されることができる。この場合、ドラムの表面は、硬質ツールである。代替として、フィルムの連続ロールが、デバイスに対応するシートに切断され、次いで、シートプロセスにおいて、成型マイクロ構造が、各基板上で複製されることができる。この場合、電鋳シートが、好適な硬質ツールであるか、または、PET上のP(DMS)が、好適な軟質ツールである。
【0084】
硬質でネガティブモールドマスタが、テンプレートの表面上にニッケルを電鋳し、それによって、硬質モールドマスタの表面にポリマーテンプレートの形状を転写することによって、ポリマーテンプレートから作製されることができる。ポリマーテンプレートの表面は、フォトレジストとして公知の感光性ポリマーの中にマイクロ構造を光学的に書き込み、レジストを現像することによって、直接、形成される。感光性ポリマー内のテンプレートの表面の直接書込は、直接書込リソグラフィ、一点レーザ書込、レーザ干渉法、および電子ビームリソグラフィとして説明される技術を含む。www.microchem.comから利用可能なSU8シリーズを含む任意の好適なフォトレジストが、使用されることができる。直接書込マイクロ構造は、感光性ポリマーを露光し、露光された構造は、別個のステップにおいて、溶液中で現像される。好ましくは、コンピュータ制御システムが、感光性ポリマーを露光し、壁特徴および陥凹特徴を伴う成型マイクロ構造を形成するために、レーザビームまたは電子ビーム(eビーム)を使用する。ポリマーテンプレートの表面上にネガティブモールドマスタを電鋳することに先立って、テンプレートは、そのポリマー表面上に薄い(<250nm)金属またはセラミック共形コーティング(またはコーティング)を堆積することによって、(電鋳と)より適合性があるようにする。
【0085】
他の技法では、硬質マスタ(例えば、ステンレス鋼、銅、電鋳ニッケル、シリコン、溶融シリカ、またはフッ化カルシウム)内の3次元表面が、材料除去によって直接形成される。硬質表面は、複製表面を直接形成する(または書き込む)ために、機械的切削(例えば、一点ダイヤモンド旋削)、化学エッチング、イオンビーム切削、反応性イオンエッチング、またはレーザアブレーションによって形成されることができる。典型的に、(すなわち、ネガティプ)反転像が、タイルと呼ばれる、小エリアにおいて直接形成され、このエリアの金属箔コピー(シムと呼ばれる)は、エンボス加工ドラムの表面等のツール表面を被覆するために使用される。多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、上で説明される本発明の具体的実施形態において行われ得ることが当業者に明白であろう。故に、前述の説明の全体は、限定的意味ではなく、例証的意味において解釈されるものである。
【0086】
前述の公開された特許、刊行物、および係属中の出願は全て、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【外国語明細書】