(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000087
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】生産装置の設置構造及び生産装置の設置方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/00 20060101AFI20231225BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20231225BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20231225BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
B23Q1/00 S
E04G21/12 105Z
B23Q7/04 Z
B25J19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098635
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】390017385
【氏名又は名称】宮川工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155549
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 敏之
(72)【発明者】
【氏名】前田 耕希
【テーマコード(参考)】
3C033
3C048
3C707
【Fターム(参考)】
3C033HH01
3C048AA03
3C048EE06
3C707CS10
(57)【要約】
【課題】 設置面に対する生産装置の水平方向のずれを防止し易くできる生産装置の設置構造及び生産装置の設置方法を提供すること。
【解決手段】 生産装置100の設置構造は、各固定装置50が、第2位置決め部材54の貫通孔54Dに挿通されるボルト56によって、生産装置100の周囲に取り付けられた第1位置決め部材52の接触部52Eに対しては生産装置100に向かう方向の力を生じさせ、第2位置決め部材54における貫通孔54Dに対しては接触部52Eから離れる方向の力を生じさせることにより、第2位置決め部材54の貫通孔54Eにアンカーボルト81が当接した状態とされるので、生産装置100が当該固定装置50へ向かう方向に水平移動することを抑制できる。かかる固定装置50が複数設けられているので、その分、生産装置が移動可能な水平方向の向きを減らすことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産装置と、その生産装置を設置面に固定するために複数の箇所に設けられる固定手段とを備え、
その固定手段は、
生産装置を設置面に固定するために用いられるアンカー部材と、
前記生産装置の外周部分に設けられて前記アンカー部材が挿通される貫通孔と当該貫通孔より上方側に設けられた作用部とを有する位置決め部材と、
前記生産装置の一部に設けられる接触部と前記作用部とに接触して、前記接触部と前記作用部とが離間する方向側の力を生じさせる作用手段とを備え、
その作用手段によって、前記接触部に対しては前記生産装置に向かう方向の力を生じさせ、前記作用部に対しては前記接触部から離れる方向の力を生じさせることにより、前記位置決め部材の貫通孔に前記アンカー部材が当接した状態とされる複数の前記固定手段により前記生産装置が設置面に固定されていることを特徴とする生産装置の設置構造。
【請求項2】
生産装置と、その生産装置を設置面に固定するために複数の箇所に設けられる固定手段とを備え、
その固定手段は、
生産装置を設置面に固定するために用いられる複数のアンカー部材と、
前記生産装置の外周部分に設けられて前記アンカー部材が挿通される貫通孔を形成する第1部材と、
前記アンカー部材が挿通される貫通孔と当該貫通孔より上方側に設けられた作用部とを有する第2部材と、
前記第1部材又は前記生産装置の一部に設けられる接触部と前記作用部とに接触して、前記接触部と前記作用部とが離間する方向側の力を生じさせる作用手段とを備え、
その作用手段によって、前記接触部に対しては前記生産装置に向かう方向の力を生じさせ、前記作用部に対しては前記接触部から離れる方向の力を生じさせることにより、前記第2部材の貫通孔に前記アンカー部材が当接した状態とされる複数の前記固定手段により前記生産装置が設置面に固定されていることを特徴とする生産装置の設置構造。
【請求項3】
前記作用部は、雌ねじが設けられた部位を有し、
前記作用手段は、前記雌ねじに対応する雄ねじが設けられたねじ部材を有し、前記接触部から離れる側から当該接触部に向かう方向へ前記作用部の雌ねじに螺挿された前記ねじ部材の先端が前記接触部に接触した状態で当該ねじ部材を前記接触部に向かう方向へ締め込むことによって前記作用部に対して前記接触部から離れる方向の力を生じさせ、前記アンカー部材に前記第2部材の貫通孔が当接した状態とすることが可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の生産装置の設置構造。
【請求項4】
前記第2部材の貫通孔は、上面視において、前記作用部と、前記接触部とを通過する線分上又は当該線分の近傍に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の生産装置の設置構造。
【請求項5】
複数の固定手段によって生産装置を設置面に固定する生産装置の設置方法であって、
前記固定手段は、
生産装置を設置面に固定するために用いられる複数のアンカー部材と、
前記生産装置の外周部分に設けられて前記アンカー部材が挿通される貫通孔を形成する第1部材と、
前記アンカー部材が挿通される貫通孔と当該貫通孔より上方側に設けられた作用部とを有する第2部材と、
前記第1部材又は前記生産装置の一部に設けられる接触部と前記作用部とに接触して、前記接触部と前記作用部とが離間する方向側の力を生じさせる作用手段とを備え、
前記固定手段は、
前記生産装置の外周部分に設けられる前記第1部材の貫通孔に前記アンカー部材を挿通して設置面に打ち込み、当該アンカー部材によって当該第1部材を設置面に取り付ける第1部材取付工程と、
その第1部材取付工程の後に、前記第2部材を配置し、当該第2部材の貫通孔に前記アンカー部材を挿通して設置面に打ち込んだ状態とする第2部材配置工程と、
その第2部材配置工程の後に、前記接触部に対しては前記生産装置に向かう方向の力を生じさせ、前記作用部に対しては前記接触部から離れる方向の力を生じさせる作用手段使用工程と、
その作用手段使用工程により前記力を生じさせた前記作用手段によって前記第2部材の貫通孔に前記アンカー部材が当接した状態とされた後に、当該アンカー部材によって前記第2部材を設置面に取り付ける第2部材取付工程とを含む固定手段取付工程によって前記生産装置の外周部分に設けられ、
前記生産装置の外周部分における複数の箇所に前記固定手段が設けられ、複数の前記固定手段を構成する前記第2部材の貫通孔に前記アンカー部材が当接した状態とされて、前記生産装置が設置面に固定されることを特徴とする生産装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産装置の設置構造及び生産装置の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品の生産における加工作業や搬送作業、検査作業などに利用可能な生産装置(例えば、特許文献1に記載される木材のプレカット加工用の加工装置)は、コンクリート等の設置面にアンカー部材を打ち込むことによって当該設置面に対して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アンカー部材によって固定したはずの生産装置が加工や搬送や検査などを行うために高速で稼働された場合には、当該生産装置が設置面に対して水平方向にずれてしまう可能性があるという問題があった。生産装置の効率を高めるためには高速での動作設定が好ましいものの、生産装置が設置面に対して水平方向にずれてしまうと、必要な位置に切削加工ができずに製品不良となったり、崩れやすい梱包となってしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した事情などを鑑みてなされたものであり、設置面に対する生産装置の水平方向のずれを防止し易くできる生産装置の設置構造及び生産装置の設置方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1に記載の生産装置の設置構造は、
生産装置と、その生産装置を設置面に固定するために複数の箇所に設けられる固定手段とを備え、
その固定手段は、
生産装置を設置面に固定するために用いられるアンカー部材と、
前記生産装置の外周部分に設けられて前記アンカー部材が挿通される貫通孔と当該貫通孔より上方側に設けられた作用部とを有する位置決め部材と、
前記生産装置の一部に設けられる接触部と前記作用部とに接触して、前記接触部と前記作用部とが離間する方向側の力を生じさせる作用手段とを備え、
その作用手段によって、前記接触部に対しては前記生産装置に向かう方向の力を生じさせ、前記作用部に対しては前記接触部から離れる方向の力を生じさせることにより、前記位置決め部材の貫通孔に前記アンカー部材が当接した状態とされる複数の前記固定手段により前記生産装置が設置面に固定されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の生産装置の設置構造によれば、生産装置を設置面に固定するために複数の箇所に設けられる各固定手段は、作用手段によって、生産装置の一部に設けられる接触部に対しては当該生産装置に向かう方向の力を生じさせ、位置決め部材の作用部に対しては前記接触部から離れる方向の力を生じさせることにより、位置決め部材の貫通孔にアンカー部材が当接した状態とされるので、生産装置が当該固定手段へ向かう方向に水平移動することを抑制できる。かかる固定手段が複数設けられているので、その分、生産装置が移動可能な水平方向の向きを減らすことができる。
【0008】
請求項2に記載の生産装置の設置構造は、
生産装置と、その生産装置を設置面に固定するために複数の箇所に設けられる固定手段とを備え、
その固定手段は、
生産装置を設置面に固定するために用いられる複数のアンカー部材と、
前記生産装置の外周部分に設けられて前記アンカー部材が挿通される貫通孔を形成する第1部材と、
前記アンカー部材が挿通される貫通孔と当該貫通孔より上方側に設けられた作用部とを有する第2部材と、
前記第1部材又は前記生産装置の一部に設けられる接触部と前記作用部とに接触して、前記接触部と前記作用部とが離間する方向側の力を生じさせる作用手段とを備え、
その作用手段によって、前記接触部に対しては前記生産装置に向かう方向の力を生じさせ、前記作用部に対しては前記接触部から離れる方向の力を生じさせることにより、前記第2部材の貫通孔に前記アンカー部材が当接した状態とされる複数の前記固定手段により前記生産装置が設置面に固定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の生産装置の設置構造によれば、生産装置を設置面に固定するために複数の箇所に設けられる各固定手段は、作用手段によって、生産装置の外周部分に取り付けられた第1部材又は生産装置の一部に設けられる接触部に対しては生産装置に向かう方向の力を生じさせ、第2部材の作用部に対しては前記接触部から離れる方向の力を生じさせることにより、第2部材の貫通孔にアンカー部材が当接した状態とされるので、生産装置が当該固定手段へ向かう方向に水平移動することを抑制できる。かかる固定手段が複数設けられているので、その分、生産装置が移動可能な水平方向の向きを減らすことができる。
【0010】
請求項3に記載の生産装置の設置構造は、請求項2に記載の生産装置の設置構造において、
前記作用部は、雌ねじが設けられた部位を有し、
前記作用手段は、前記雌ねじに対応する雄ねじが設けられたねじ部材を有し、前記接触部から離れる側から当該接触部に向かう方向へ前記作用部の雌ねじに螺挿された前記ねじ部材の先端が前記接触部に接触した状態で当該ねじ部材を前記接触部に向かう方向へ締め込むことによって前記作用部に対して前記接触部から離れる方向の力を生じさせ、前記アンカー部材に前記第2部材の貫通孔が当接した状態とすることが可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の生産装置の設置構造は、請求項2又は3に記載の生産装置の設置構造において、
前記第2部材の貫通孔は、上面視において、前記作用部と、前記接触部とを通過する線分上又は当該線分の近傍に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の生産装置の設置方法は、
複数の固定手段によって生産装置を設置面に固定する生産装置の設置方法であって、
前記固定手段は、
生産装置を設置面に固定するために用いられる複数のアンカー部材と、
前記生産装置の外周部分に設けられて前記アンカー部材が挿通される貫通孔を形成する第1部材と、
前記アンカー部材が挿通される貫通孔と当該貫通孔より上方側に設けられた作用部とを有する第2部材と、
前記第1部材又は前記生産装置の一部に設けられる接触部と前記作用部とに接触して、前記接触部と前記作用部とが離間する方向側の力を生じさせる作用手段とを備え、
前記固定手段は、
前記生産装置の外周部分に設けられる前記第1部材の貫通孔に前記アンカー部材を挿通して設置面に打ち込み、当該アンカー部材によって当該第1部材を設置面に取り付ける第1部材取付工程と、
その第1部材取付工程の後に、前記第2部材を配置し、当該第2部材の貫通孔に前記アンカー部材を挿通して設置面に打ち込んだ状態とする第2部材配置工程と、
その第2部材配置工程の後に、前記接触部に対しては前記生産装置に向かう方向の力を生じさせ、前記作用部に対しては前記接触部から離れる方向の力を生じさせる作用手段使用工程と、
その作用手段使用工程により前記力を生じさせた前記作用手段によって前記第2部材の貫通孔に前記アンカー部材が当接した状態とされた後に、当該アンカー部材によって前記第2部材を設置面に取り付ける第2部材取付工程とを含む固定手段取付工程によって前記生産装置の外周部分に設けられ、
前記生産装置の外周部分における複数の箇所に前記固定手段が設けられ、複数の前記固定手段を構成する前記第2部材の貫通孔に前記アンカー部材が当接した状態とされて、前記生産装置が設置面に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1又は2に記載の生産装置の設置構造によれば、設置面に対する生産装置の水平方向のずれを防止し易くできるので、生産装置の高速稼働による生産効率の向上と、当該生産装置による各種作業の精度向上との両立を図ることができる。
【0014】
請求項3に記載の生産装置の設置構造によれば、雌ねじが設けられた部位を作用部が有し、当該雌ねじに対応する雄ねじが設けられたねじ部材が作用手段として用いられるので、設置面に対する生産装置の水平方向のずれの防止を簡易で安価な構成によって実現できる。
【0015】
請求項4に記載の生産装置の設置構造によれば、1の作用手段であっても、当該作用部材によって第2部材に対して第1部材から離れる方向の力を生じさせた場合に、当該第2部材の貫通孔における最も生産装置に近い側においてアンカー部材を当接させ易くできる。よって、第2部材における1の貫通孔に挿通されるアンカー部材に対して1の作用手段があれば、生産装置が当該固定手段へ向かう方向に移動することを効率的に抑制できるので、設置面に対する生産装置の水平方向のずれの防止を安価な構成によって実現できる。
【0016】
請求項5に記載の生産装置の設置方法によれば、請求項2に記載の生産装置の設置構造と同様に、設置面に対する生産装置の水平方向のずれを防止し易くできる。よって、生産装置の高速稼働による生産効率の向上と、当該生産装置による各種作業の精度向上との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る設置構造により設置面に設置された生産装置の一例を示す側面図
【
図2】(A)は、生産装置を固定するための複数の固定装置配置の一例を説明するための斜視図、(B)は、
図2(A)の斜視図に対応する上面図
【
図3】(A)は、設置途中の固定装置を示す斜視図、(B)は、設置完了した固定装置を示す斜視図
【
図4】(A)は、
図3(A)に対応する固定装置の側断面図、(B)は、
図4(A)においてIVB-IVB線で切断した場合におけるアンカーボルト付近の断面図、(C)は、
図3(B)に対応する固定装置の側断面図、(D)は、
図4(C)においてIVD-IVD線で切断した場合におけるアンカーボルト付近の断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る設置構造により設置面Gに設置された生産装置100の一例を示す側面図である。また、
図2(A)は、生産装置100を固定するための複数の固定装置50の配置の一例を説明するための斜視図であり、
図2(B)は、
図2(A)の斜視図に対応する上面図である。
【0019】
なお、
図2(
図2(A)及び
図2(B))は、複数の固定装置50の配置を主に説明するためのものであり、これらの固定装置50が固定ボルト71(
図3参照)やアンカーボルト81(
図3参照)によって生産装置100にも設置面Gにも未だ取り付けられていない状態を図示している。また、
図2においては、図面の理解を容易にするため、架台20上に載置されるべき装置本体10の図示は省略している。
【0020】
本実施形態の生産装置100は、装置本体10と、当該装置本体10が載置される架台20とから構成される。装置本体10は、所定の待機位置に置かれた対象物(例えば、プレカット加工材)を所定の積込領域へ移動して積み込む積込装置である。当該積込装置である装置本体10は、対象物を吸着可能な吸着部11Aが先端側に設けられた多関節構造のロボット11と、ロボット11の水平方向の回動動作を可能に当該ロボット11を支持する基台12とから構成される。
【0021】
なお、本実施形態では装置本体10として上述した積込装置を例示したが、本実施形態の設置構造を適用可能な生産装置100の装置本体10としては、
図1に示すような積込装置である必要は必ずしもなく、工業製品の生産における加工作業や搬送作業、検査作業などに利用可能な他の種類の装置であってもよい。
【0022】
架台20は、箱状の台座部21と、台座部21の左右の設置面G側にそれぞれ設けられて当該台座部21の寸法を超えて前後方向に延びる一対の脚部22,22とを備えている。装置本体10は、
図1に示すように、架台20の台座部21の上に据え置かれる。
【0023】
生産装置100は、当該生産装置100の周囲(外周部分)に配置される複数の固定装置50によってコンクリート等の設置面Gに固定される。本実施形態においては、
図2(
図2(A)及び
図2(B))に示すように、6つの固定装置50(50A~50F)が生産装置100の周囲に配置される。
【0024】
より詳細には、左側の脚部22に対する左方側に2つの固定装置50A,50Bが配置され、右側の脚部22に対する右方側に2つの固定装置50C,50Dが配置され、台座部21に対する前方側には固定装置50Eが配置され、台座部21に対する後方側には固定装置50Fが配置される。
【0025】
なお、
図2及び後述する
図3,4では、参考のために、前方及び後方をそれぞれ矢印「前」及び矢印「後」で表し、上方及び下方をそれぞれ矢印「上」及び矢印「下」で表し、左方及び右方をそれぞれ矢印「左」及び矢印「右」で表している。
【0026】
また、
図2に示すように、生産装置100の周囲には、2つの固定装置60(60A,60B)が配置される。より詳細には、左側の脚部22に対する左方側であって固定装置50A,50Bの間には固定装置60Aが配置され、右側の脚部22に対する右方側であって固定装置50C,50Dの間には固定装置60Bが配置される。
【0027】
各固定装置50(50A~50F)は、固定ボルト71(
図3参照)によって架台20に取り付けられる第1部材としての第1位置決め部材52と、第1位置決め部材52に対して生産装置100(より詳細には、架台20)から離れる側(すなわち、架台20に取り付けられた第1位置決め部材52を基準として当該第1位置決め部材52よりも生産装置100から離れる側)に配置される第2部材としての第2位置決め部材54と、第2位置決め部材54に形成された貫通孔54D(
図4(A)参照)から第1位置決め部材52に向けて挿通されるボルト56と、第1位置決め部材52及び第2位置決め部材54を設置面Gに取り付けるためのアンカーボルト81(
図3参照)とを含んで構成される。詳細は後述するが、かかる構成の固定装置50を用いる生産装置100の設置構造によれば、当該生産装置100の水平方向のずれを防止し易くできる。
【0028】
固定装置50A,50Bは、固定ボルト71を用いて、それぞれの第1位置決め部材52を左側の脚部22の左側面に設けられた取付部に取り付けることによって生産装置100(より詳細には、架台20)に取り付けられる。
【0029】
本実施形態においては、
図2(B)に示すように、固定装置50Aは、左側の脚部22の左側面における前端側(又は台座部21より前方側)に設けられた取付部に第1位置決め部材52を取り付けることによって取り付けられ、固定装置50Bは、その後端側(又は台座部21より後方側)に設けられた取付部に第1位置決め部材52を取り付けることによって取り付けられる。なお、
図2(B)に示す例において、固定装置50A,50Bは、台座部21の前後方向の略中心を通る線分に対して略対称となる位置に配置される。
【0030】
固定装置50C,50Dは、固定ボルト71を用いて、それぞれの第1位置決め部材52を右側の脚部22における右側面に設けられた取付部に取り付けることによって生産装置100に取り付けられる。
【0031】
本実施形態においては、
図2(B)に示すように、固定装置50Cは、右側の脚部22の右側面における前端側(又は台座部21より前方側)に設けられた取付部に第1位置決め部材52を取り付けることによって取り付けられ、固定装置50Dは、その後端側(又は台座部21より後方側)に設けられた取付部に第1位置決め部材52を取り付けることによって取り付けられる。なお、
図2(B)に示す例において、固定装置50C,50Dは、台座部21の左右方向の略中心を通る線分に対して固定装置50A,50Bと略対称となる位置に配置される。
【0032】
なお、
図2においては、図面の理解を容易にするため、固定装置50B及び固定装置50Cについて、第2位置決め部材54が第1位置決め部材52に対して離間された状態を図示している。
【0033】
台座部21の前面及び後面には、
図2(B)に示すように、装置本体10の水平出しを行うためのボルト28(
図1参照)を挿通可能に突出する水平出し部23A,23Bが設けられている。固定装置50Eは、固定ボルト71を用いて、第1位置決め部材52を水平出し部23Aの先端面(すなわち、前端面)に取り付けることによって生産装置100に取り付けられる。固定装置50Fは、固定ボルト71を用いて、第1位置決め部材52を水平出し部23Bの先端面(すなわち、後端面)に取り付けることによって生産装置100に取り付けられる。
【0034】
なお、
図2においては、図面の理解を容易にするため、水平出し部23A,23Bに挿通されるボルト28の図示を省略している。また、
図2に示すように、架台20には、左右の各脚部22の前後に、水平出し部23A,23Bと同様の水平出し部24が計4つ設けられているが、当該
図2においては、これらの各水平出し部24に挿通されるボルト28の図示もまた省略している。
【0035】
本実施形態のように生産装置100の周囲に6つの固定装置50(50A~50F)を配置する場合、架台20の台座部21(又は装置本体10の基台12)が、
図2(B)に示すように、当該台座部21の前方側において左右方向に配置される一組の固定装置50A,50Cを結ぶ線分(二点鎖線L1)と、当該台座部21の後方側において左右方向に配置される一組の固定装置50B,50Dを結ぶ線分(二点鎖線L2)との間に位置するように、これらの固定装置50A~50Dが配置されることが生産装置100の水平方向左右のずれを防止し易くできるという点において好ましく、残りの固定装置50E,50Fが台座部21に対する前後に配置されることが生産装置100の水平方向前後のずれを防止し易くできるという点において好ましい。
【0036】
図2に示す例においては、固定装置50A~50Dの第1位置決め部材52の幅方向(台座部21又は脚部22の側面とも設置面Gとも平行となる向き)の長さと、固定装置50E,50Fの第1位置決め部材52の幅方向の長さとが異なる場合を例示したが、固定装置50における第1位置決め部材52の幅は、全ての固定装置50について同じである構成であってもよく、各固定装置50の第1位置決め部材52の幅が取付位置の状況に応じた種々の長さとされる構成であってもよい。
【0037】
固定装置60(60A,60B)は、側面視略L字型の金属板であり、固定装置50の第1位置決め部材52と同様、固定ボルト71を用いて、左右の各脚部22に設けられた各取付部に取り付けられるとともに、アンカーボルト81を用いて設置面Gに取り付けられる。
【0038】
図3(A)は、設置途中(より詳細には、後述するボルト取付工程の実行中)の固定装置50を示す斜視図であり、
図3(B)は、設置完了した固定装置50を示す斜視図である。なお、
図3(
図3(A)及び
図3(B))においては、本実施形態の生産装置100の設置構造に用いた6つの固定装置50A~50Fのうち固定装置50Aを一例として図示している。また、
図3においては、図面の理解を容易にするため、ボルト56及びアンカーボルト81に設けられた雄ねじの図示は省略している。
【0039】
図4(A)は、
図3(A)に対応する固定装置50の側断面図であり、
図4(B)は、
図4(A)においてIVB-IVB線で切断した場合におけるアンカーボルト81付近の断面図である。また、
図4(C)は、
図3(B)に対応する固定装置50の側断面図であり、
図4(D)は、
図4(C)においてIVD-IVD線で切断した場合におけるアンカーボルト81付近の断面図である。
【0040】
より詳細には、
図4(A)及び
図4(C)は、貫通孔54Dに挿通されたボルト56の軸中心を通る切断線で切断した場合の側断面図である。なお、
図4(A)及び
図4(C)においては、ボルト56及びアンカーボルト81について、その断面でなく側面を図示している。
【0041】
また、
図4(A)には、図面の理解を容易にするため、領域X1,X2におけるボルト56又はアンカーボルト81が挿通されていない状態の貫通孔54D及び貫通孔54Eを別途図示している。また、
図4(A)及び
図4(C)においては、第1位置決め部材52が取り付けられる架台20の図示を省略している。
【0042】
図3に示すように、固定装置50における第1位置決め部材52は、設置面G上に置かれる金属製の底板52Aと、底板52Aにおける生産装置100(
図3に示す例においては架台20における左側の脚部22)の側の端部から上方へ立設される金属製の側板52Bと、底板52A及び側板52Bの幅方向の両端側において底板52Aと側板52Bとの間に配置される略直角三角形状の金属製の補強板52Cとを備えている。
【0043】
底板52A、側板52B及び補強板52Cは溶接(図示せず)によって一体化される。なお、底板52A、側板52B及び補強板52Cは、必ずしも溶接によって一体化される構成である必要はなく、ボルトや接着剤により一体化される構成であってもよい。
【0044】
なお、本実施形態においては、第1位置決め部材52が底板52Aと側板52Bとが溶接により接続された側面視略L字状の部材である場合を例示したが、第1位置決め部材52は、底板と側板とが連なった側面視略L字状の金属板であってもよい。また、第1位置決め部材52は、補強板52Cを有さない構成であってもよい。
【0045】
第1位置決め部材52の側板52Bには、固定ボルト71を挿通可能な複数の貫通孔52Dが貫通形成されている。
図3においては、縦長の(上下方向に延びる)貫通孔52Dが第1位置決め部材52の幅方向に4つ設けられた場合が例示されている。
【0046】
第1位置決め部材52にその幅方向に並ぶ複数の貫通孔52Dが設けられていることにより、第1位置決め部材52の取付位置の状況に応じた適宜の位置や数の貫通孔52Dを用いることができる。また、貫通孔52Dが縦長の長孔に構成されるので、第1位置決め部材52の取付位置の高さに汎用性を持たせることができる。なお、第1位置決め部材52に設けられる貫通孔52Dの数は、複数である必要は必ずしもなく、1つであってもよい。また、貫通孔52Dの形状もまた、縦長の長孔であることに限らず、例えば、円形の孔であってもよく横長などの上下方向以外の方向に延びる長孔であってもよい。
【0047】
第1位置決め部材52の底板52Aには、アンカーボルト81を挿通可能な貫通孔(図示せず)が貫通形成されている。本実施形態においては、第1位置決め部材52は2本のアンカーボルト81によって設置面Gに取り付けられる構成とされているので、底板52Aには2つの貫通孔が設けられている。なお、底板52Aに設けられる貫通孔は、必ずしも2つである必要はなく、3以上の複数であっても1つであってもよい。
【0048】
第2位置決め部材54は、設置面G上に置かれる金属製の底板54Aと、底板54Aにおける生産装置100の側(第1位置決め部材52の側)の端部から上方へ立設される金属製の側板54Bと、底板54A及び側板54Bの幅方向の両端側において底板54Aと側板52Bとの間に配置される略直角三角形状の金属製の補強板54Cとを備えている。
【0049】
底板54A、側板54B及び補強板54Cは溶接(図示せず)によって一体化される。なお、底板54A、側板54B及び補強板54Cは、必ずしも溶接によって一体化される構成である必要はなく、ボルトや接着剤により一体化される構成であってもよい。
【0050】
なお、本実施形態においては、第2位置決め部材54が底板54Aと側板54Bとによる側面視略L字状の部材である場合を例示したが、第2位置決め部材54は、底板と側板とが連なった略L字状の金属板であってもよい。また、第2位置決め部材54は、補強板54Cを有しない構成であってもよい。
【0051】
また、本実施形態の固定装置50は、第2位置決め部材54が第1位置決め部材52より小さいサイズである場合を例示したが、第2位置決め部材54と第1位置決め部材52のサイズの大小関係は、本実施形態のように第2位置決め部材54の方が小さくある必要は必ずしもなく、第2位置決め部材54が第1位置決め部材52と同じであっても第1位置決め部材52より大きい構成であってもよい。
【0052】
第2位置決め部材54の側板54Bには、ボルト56を挿通可能な貫通孔54Dが貫通形成されている。貫通孔54Dは、ボルト56に設けられた雄ねじに対応する雌ねじが設けられている。なお、側板54Bに設けられる貫通孔54Dは、必ずしも1つである必要はなく、2以上の複数であってもよい。
【0053】
第2位置決め部材54の底板54Aには、アンカーボルト81を挿通可能な貫通孔54E(
図4(A)参照)が貫通形成されている。本実施形態において、貫通孔54Eは、上面視において、貫通孔54Dに挿通されたボルト56の軸中心に略一致する線分上又は当該線分の近傍に設けられている。なお、底板54Aに設けられる貫通孔54Eは、必ずしも1つである必要はなく、2以上の複数であってもよい。
【0054】
このように、第2位置決め部材54には、アンカーボルト81を挿通可能な貫通孔54Eと、貫通孔54Eより上方側に設けられた貫通孔54Dであって雌ねじが形成された貫通孔54Dとが設けられている。
【0055】
ここで、各固定装置50(50A~50F)を取り付ける固定装置取付工程について説明する。固定装置取付工程は、水平出し部23A,23B,24に挿通されたボルト28(
図1参照)による装置本体10の水平出しを行った後に行われる工程であり、第1位置決め部材取付工程と、第2位置決め部材配置工程と、ボルト取付工程と、ナット締込工程とを含む。
【0056】
固定装置取付工程においては、まず、第1位置決め部材取付工程を行う。第1位置決め部材取付工程は、各固定装置50(50A~50F)の第1位置決め部材52をアンカーボルト81によって設置面Gに取り付ける工程である。具体的に、第1位置決め部材取付工程においては、まず、各固定装置50(50A~50F)の第1位置決め部材52を、架台20の各取付位置(左右の脚部22に設けられた取付部又は水平出し部23A,23Bの先端面)に設けられた雌ねじに、各第1位置決め部材52の貫通孔52Dに挿通した固定ボルト71を螺合させることによって架台20に取り付ける。
【0057】
次に、架台20の各取付位置に取り付けられた各第1位置決め部材52の底板52Aに設けられた貫通孔(図示せず)から当該貫通孔に連通するよう設置面Gに穿設された取付穴(図示せず)にアンカーボルト81を打ち込み、当該アンカーボルト81に対応するナット82を締め込むことによって、各第1位置決め部材52を設置面Gに取り付ける。
【0058】
なお、第1位置決め部材取付工程においては、必ずしも、第1位置決め部材52を固定ボルト71によって架台20に取り付けた後にアンカーボルト81によって設置面Gに取り付ける構成である必要はなく、第1位置決め部材52をアンカーボルト81によって設置面Gに取り付けた後に固定ボルト71によって架台20に取り付ける構成であってもよい。
【0059】
第1位置決め部材取付工程を行った後、第2位置決め部材配置工程を行う。第2位置決め部材配置工程においては、第1位置決め部材取付工程によって設置面Gに取り付けられた各固定装置50(50A~50F)の第1位置決め部材52に対して第2位置決め部材54を配置した後、各第2位置決め部材54の貫通孔54E(
図4(A)参照)から当該貫通孔54Eに連通するよう設置面Gに穿設された取付穴90(
図4(A)参照)にアンカーボルト81を打ち込む。
【0060】
第2位置決め部材配置工程において設置面Gに打ち込まれた状態のアンカーボルト81は、
図4(B)に示すように、貫通孔54Eの全周に対して隙間を有している。なお、
図4(B)及び後述する
図4(D)においては、アンカーボルト81の断面を当該アンカーボルト81の最大外径の円によって図示している。
【0061】
なお、第2位置決め部材54は、例えば、第1位置決め部材52に対し生産装置100から離れる側に数ミリ(例えば、5ミリ)程度離れた位置に配置される。第1位置決め部材52に対して第2位置決め部材54を離して配置する必要は必ずしもなく、第2位置決め部材54を第1位置決め部材52に隣接して配置する構成であってもよい。
【0062】
第2位置決め部材配置工程を行った後、ボルト取付工程を行う。ボルト取付工程においては、まず、ボルト56を、貫通孔54Dにおける第1位置決め部材52とは反対の側の開口から当該貫通孔54Dの雌ねじに螺入し、
図3(A)及び
図4(A)に示すように、第1位置決め部材52(すなわち、生産装置100の架台20)へ向かう向き(矢印MA方向)に締め込む。なお、貫通孔54Dに挿通される(螺挿される)ボルト56にはその頭部の側にナット57が予め螺合されている。
【0063】
矢印MA方向に締め込まれるボルト56は、その先端56Aがやがて第1位置決め部材52の側板52Bに接する。先端56Aが側板52Bに接した後もボルト56をさらに矢印MA方向への締め込みを続けると、ボルト56は、
図4(C)に示すように、先端56Aが当該先端56Aとの接触部52Eを矢印MA方向に押し付けるとともに、当該ボルト56の雄ねじに螺接する貫通孔54D(より詳細には、貫通孔54Dに設けられた雌ねじ)に対して矢印MAとは反対向きである矢印MB方向の力を与える。
【0064】
つまり、第2位置決め部材54における貫通孔54Dの雌ねじに螺合されたボルト56は、その先端56Aが第1位置決め部材52における接触部52Eに接した後もなお締め込みを続けることによって、接触部52Eと貫通孔54Dとが離間する方向側の力を生じさせることができる。
【0065】
ボルト取付工程により取り付けたボルト56によって、上述したように、第1位置決め部材52の接触部52Eに対しては生産装置100(より詳細には、架台20)に向かう方向の力を生じさせ、第2位置決め部材54の貫通孔54Dに対しては接触部52Eから離れる方向(すなわち、矢印MB方向)の力が生じるので、
図4(C)に示すように、第2位置決め部材54は矢印MB方向に押されて移動する。
【0066】
これにより、貫通孔54Eもまた、
図4(D)に示すように、二点鎖線で示す元の位置から矢印MB方向に移動する。アンカーボルト81の位置はボルト56の取り付けによっても変化しないので、貫通孔54Eが矢印MB方向に移動したことにより、アンカーボルト81を貫通孔54Eにおける生産装置100の側において当該貫通孔54Eに当接させることができる。
【0067】
特に、本実施形態の固定装置50においては、
図3(B)及び
図4(C)に示すように、第2位置決め部材54の貫通孔54Eは、上面視において、貫通孔54Dと接触部52Eとを通過する線分(すなわち、貫通孔54Dに挿通されたボルト56の軸中心に略一致する線分)上に設けられている。これにより、1本のボルト56であっても、当該ボルト56によって第2位置決め部材54に対して接触部52Eから離れる方向の力を生じさせた場合に、貫通孔54Eにおける最も第1位置決め部材52(すなわち、生産装置100)に近い側においてアンカーボルト56を当接させ易くできる。
【0068】
なお、貫通孔54Eが、上面視において、貫通孔54Dと接触部52Eとを通過する線分上に設けられている構成である必要は必ずしもなく、当該線分の近傍に設けられる構成であってもよい。
【0069】
ボルト取付工程を行った後は、アンカーボルト81が貫通孔54Eに当接した状態でナット締込工程を行う。ナット締込工程においては、アンカーボルト81の上側からナット82を螺合させて締め込むとともに、ボルト56のナット57を側板54Bに向けて締め込む。ナット締込工程の完了によって固定装置取付工程は完了し、
図3(B)及び
図4(C)に示すように、固定装置50の取り付けが完了する。
【0070】
なお、第2位置決め部材配置工程を行った後であってボルト取付工程を行う前に、アンカーボルト81のナット82を軽く締め、その状態でボルト取付工程を行う構成であってもよい。
【0071】
本実施形態の生産装置100の設置方法においては、上述した固定装置取付工程によって生産装置100の周囲に配置された複数の固定装置50(50A~50F)のいずれについてもアンカーボルト81が第2位置決め部材54の貫通孔54Eに当接した状態とすることで設置面Gに対する生産装置100の固定を行う。
【0072】
なお、固定装置取付工程による各固定装置50A~50Fの取り付けは、各固定装置50A~50Fの第1位置決め部材52を全て第1位置決め部材取付工程によって取り付けた後に第2位置決め部材配置工程以降の工程を行う工程であってもよく、各固定装置50A~50Fについて1つずつ固定装置取付工程による取付けを順次完了させていく構成であってもよい。
【0073】
固定装置60は、第1位置決め部材取付工程の際に第1位置決め部材52とともに生産装置100及び設置面Gに取り付けられる。なお、固定装置60が、固定装置取付工程を行った後に生産装置100及び設置面Gに取り付ける構成としてもよく、装置本体10の水平出しを行った後であって固定装置取付工程を行う前に生産装置100及び設置面Gに取り付ける構成としてもよい。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の生産装置100の設置構造によれば、生産装置100を設置面Gに固定するために複数の箇所に設けられる各固定装置50(50A~50F)は、第2位置決め部材54の貫通孔54Dに挿通される(螺挿される)ボルト56によって、生産装置100の外周部分(周囲)に取り付けられた第1位置決め部材52の接触部52Eに対しては生産装置100に向かう方向(
図4(C)における矢印MA方向)の力を生じさせ、第2位置決め部材54における雌ねじが設けられている貫通孔54Dに対しては接触部52Eから離れる方向(
図4(C)における矢印MB方向)の力を生じさせることにより、第2位置決め部材54の貫通孔54Eにアンカーボルト81が当接した状態とされるので、生産装置100が当該固定装置50へ向かう方向に水平移動することを抑制できる。
【0075】
生産装置100の周囲には当該固定装置50が複数設けられているので、その分、生産装置が移動可能な水平方向の向きを減らすことができる。つまり、左側の脚部22の左側面に取り付けられた固定装置50A,50Bは、生産装置100の左方向への移動(水平移動)を抑制でき、右側の脚部22の右側面に取り付けられた固定装置50C,50Dは、生産装置100の右方向への移動を抑制でき、台座部21の前面に取り付けられた固定装置50Eは、生産装置100の前方向への移動を抑制でき、台座部21の後面に取り付けられた固定装置50Fは、生産装置100の後方向への移動を抑制できる。これにより、設置面Gに対する生産装置100の水平方向のずれを防止し易くできる。よって、生産装置100の高速稼働による生産効率の向上と、当該生産装置100による各種作業の精度向上との両立を図ることができる。
【0076】
特に、雄ねじが設けられたボルト56と当該雄ねじに対応する雌ねじが設けられた貫通孔54Dとを用いることによって、接触部52Eに対しては生産装置100に向かう方向の力を生じさせ、貫通孔54Dに対しては接触部52Eから離れる方向の力を生じさせる構成であるので、設置面Gに対する生産装置100の水平方向のずれの防止を簡易で安価な構成によって実現できる。
【0077】
また、上述したように、第2位置決め部材54の貫通孔54Eが、上面視において、貫通孔54Dと接触部52Eとを通過する線分上に設けられている構成であるので、1本のボルト56であっても、当該ボルト56の締め込みによって、貫通孔54Eにおける最も第1位置決め部材52(すなわち、生産装置100)に近い側においてアンカーボルト56を当接させ易くできる。よって、第2位置決め部材54における1の貫通孔54Eに挿通されるアンカーボルト81に対して1のボルト56があれば、生産装置100が当該固定装置50へ向かう方向(すなわち、
図4(C)における矢印MB方向)に移動することを効率的に抑制できるので、かかる点においても、設置面Gに対する生産装置100の水平方向のずれの防止を安価な構成によって実現できる。
【0078】
また、上述した固定装置取付工程を含む本実施形態の生産装置100の設置方法によれば、本実施形態の生産装置100の設置構造と同様、設置面Gに対する生産装置100の水平方向のずれを防止し易くできる。よって、かかる設置方法により設置された生産装置もまた、高速稼働による生産効率の向上と各種作業の精度向上との両立を図ることができる。
【0079】
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、例えば、以下に記載するように変形して実施しても良い。この場合に、以下に記載する各構成を上記実施形態に対して適用しても良く、以下に記載する複数の構成を組み合わせて上記実施形態に対して適用しても良い。
【0080】
上記実施形態においては、貫通孔54Dに挿通されて(螺合されて)締め込まれたボルト56の先端56Aが第1位置決め部材52の側板52Bにおける接触部52Eに接する構成の固定装置50を例示したが、固定装置50は、貫通孔54Dに挿通されて締め込まれたボルト56の先端56Aが第1位置決め部材52より第2位置決め部材54から離れた側に位置する生産装置100(装置本体10又は架台20)に接する構成であってもよい。例えば、ボルト56の先端56Aが側板52Bに形成された貫通孔を通過して架台20の側面に接する構成や、ボルト56が側板52Bの周辺(例えば、上辺)の外側を通って架台20の側面に接する構成であってもよい。かかる変形例の構成においても、上記実施形態の固定装置50と同様の効果を奏する。
【0081】
上記実施形態においては、第1位置決め部材52と第2位置決め部材54とを位置決め部材として備える固定装置50を例示したが、第2位置決め部材54のみを位置決め部材として備える構成としてもよい。かかる構成においては、第1位置決め部材52又は固定装置60が第2位置決め部材54とは別の位置に設けられる。
【0082】
かかる変形例の構成においても、位置決め部材の貫通孔の雌ねじに螺入されて締め込まれるボルト56の先端56Aが生産装置100の一部に設けられた所定の接触部に接触することで、上記実施形態の固定装置50と同様に、当該接触部に対しては生産装置100に向かう方向の力を生じさせ、当該ボルト56が挿通される貫通孔に対しては生産装置100(より詳細には、接触部)から離れる方向の力を生じさせることができ、それによって、位置決め部材に設けられたアンカーボルト81用の貫通孔に当該アンカーボルト81を当接させることができる。これにより、上記実施形態の固定装置50と同様の効果を奏する。
上記実施形態においては、第1位置決め部材52と第2位置決め部材54とが別体である構成を例示したが、第2位置決め部材54が第1位置決め部材52に対して生産装置100に向かう方向又はその反対方向に移動可能な態様で連結された構成であってもよい。
【0083】
上記実施形態においては、ボルト56を貫通孔54Dの雌ねじに螺合することによって接触部52Eに対して生産装置100に向かう方向の力を生じさせ、貫通孔54Dに対して生産装置100から離れる方向の力を生じさせる構成としたが、当該構成に代えて又は当該構成に加えて、例えば、第1位置決め部材52の側板52Bと第2位置決め部材54の側板54Bとの間にねじや歯車等により小さな力で両端側を拡げるような出力を発生可能な装置(例えば、ジャッキ)を配置して、当該装置の作動によって、当該装置の一端側における側板52Bとの接触部に対して生産装置100に向かう方向の力を生じさせ、当該装置の他端側における側板54Bとの接触部(作用部)に対して生産装置100から離れる方向の力を生じさせる構成としてもよい。
【0084】
上記実施形態においては、固定装置50A,50Bを左側の脚部22の外側の面である左側面に取り付け、固定装置50C,50Dを右側の脚部22の外側の面である右側面に取り付けることで、生産装置100の左右方向への移動を抑制する構成としたが、これらの固定装置50A~50Dに代えて又はこれらの固定装置50A~50Dに加えて、左右の脚部22における内側の面に固定装置50を取り付けることによって、生産装置100の左右方向への移動を抑制する構成としてもよい。
【0085】
例えば、
図2(B)において二点鎖線で示すように、左側の脚部22の内側の面である右側面の位置JA,JBに固定装置50を取り付け、左側の脚部22の内側の面である左側面の位置JC,JDに固定装置50を取り付ける構成としてもよい。かかる構成によれば、位置JA,JBに取り付けた固定装置50によって生産装置100の右方向の移動を抑制し、位置JC,JDに取り付けた固定装置50によって生産装置100の左方向の移動を抑制できる。
【0086】
左右の脚部22の各内側面にそれぞれ2つの固定装置50を取り付ける構成においては、左右の脚部22の各外側面にそれぞれ2つの固定装置50(50A~50D)を取り付ける場合と同様に、架台20の台座部21(又は装置本体10の基台12)が、当該台座部21の前方側において左右方向に配置される一組の固定装置50(すなわち、位置JA,JCに配置される固定装置50)を結ぶ線分と、当該台座部21の後方側において左右方向に配置される一組の固定装置50(すなわち、位置JB,JDに配置される固定装置50)を結ぶ線分との間に位置するように各固定装置50が取り付けられることが生産装置100の水平方向左右のずれを防止し易くできるという点において好ましい。
【0087】
上記実施形態においては、生産装置100の周囲に6つの固定装置50(50A~50F)を取り付ける構成を
図2(B)に例示したが、生産装置100の周囲に取り付ける固定装置50の数は、必ずしも6つである必要はなく、複数(2つ以上)の適宜数を適用できる。
【0088】
例えば、4つの固定装置50が生産装置100の周囲に取り付けられる構成としてもよい。生産装置100の周囲に4つの固定装置50が取り付けられる場合、左右の脚部22の外側面に取り付けられる一組の固定装置50(2つの固定装置50)は、これら一組の固定装置50を結ぶ線分(例えば、
図2(B)における二点鎖線LX)が台座部21(又は装置本体10の基台12)を通るよう配置されることが好ましく、残りの一組の固定装置50が固定装置50E,50Fと同様に台座部21に対する前後に取付けられることが好ましい。なお、左右の脚部22の外側面に取り付けられる一組の固定装置50は、これら一組の固定装置50を結ぶ線分が台座部21の前後方向の略中央を通るように取付けられることがより好ましい。
【0089】
また、台座部21の前後に配置された2つの固定装置50E,50Fに代えて又はこれらの固定装置50E,50Fに加えて、台座部21より左方側において前後方向に配置される2つの固定装置50を結ぶ線分と、当該台座部21の右方側において前後方向に配置される2つの固定装置50線分との間に架台20の台座部21が位置するように固定装置50が取り付けられる構成としてもよい。例えば、脚部22の前端面及び後端面に前後方向に一組となる固定装置50をそれぞれ取り付け可能な構成である場合に、左右の各脚部22の前端面及び後端面にそれぞれ固定装置50を取り付ける構成としてもよい。
【0090】
よって、架台20の台座部21(又は装置本体10の基台12)を、上記実施形態にて例示したように固定装置50A~50Dによって台座部21の前方側において左右方向に配置される2つの固定装置50A,50Cを結ぶ線分(二点鎖線L1)と、当該台座部21の後方側において左右方向に配置される2つの固定装置50B,50Dを結ぶ線分(二点鎖線L2)との間に位置させるだけでなく、台座部21より左方側において前後方向に配置される2つの固定装置50を結ぶ線分と、当該台座部21の右方側において前後方向に配置される2つの固定装置50線分との間に位置させる構成としてもよい。
【0091】
上記実施形態においては、装置本体10と架台20とから構成される生産装置100を架台20の周囲に配置された複数の固定装置50によって固定する構成を例示したが、装置本体10が架台20に載置されない生産装置100の構成において、装置本体10の周囲(例えば、基台12の周囲)に配置された複数の固定装置50によって当該生産装置100が固定される構成であってもよい。
【0092】
上記実施形態においては、装置本体10が架台20の上に載置される形態である生産装置100をその周囲に配置された複数の固定装置50によって固定する構成を例示したが、架台20に吊り下げられる形態の装置本体10を備える生産装置100をその周囲に配置された複数の固定装置50によって固定する構成であってもよい。
【0093】
上記実施形態においては、生産装置100を設置面Gに固定するアンカー部材としてアンカーボルト81を用いる構成としたが、これに限定されるものでなく、底板52A,54Aに形成された各貫通孔に釘状のアンカー部材を打ち込み、上端を底板52A,54Aに対してかしめる構成などをアンカーボルト81に代えて又は加えて採用する構成であってもよい。
【0094】
上記実施形態においては、第2位置決め部材54を設置面Gに取り付けるアンカーボルト81が1本である場合を例示したが、必ずしも1本である必要はなく、複数本のアンカーボルト81によって第2位置決め部材54を設置面Gに取り付ける構成であってもよい。かかる構成においては、上記実施形態と同様に、複数本の各アンカーボルト81を挿通するための各貫通孔54Eを各ボルト56の軸中心上に位置させたり、隣接する貫通孔54Eの略中間位置にボルト56を配置させるようにすることにより、貫通孔54Eにおける最も第1位置決め部材52(すなわち、生産装置100)に近い側においてアンカーボルト56を当接させ易くできる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上説明したように、この発明は、生産装置の設置に適している。
【符号の説明】
【0096】
10:装置本体、20:架台、50:固定装置(固定手段)、52:第1位置決め部材(第1部材)、52E:接触部、54:第2位置決め部材(第2部材)、54D:貫通孔(作用部)、54E:貫通孔、56:ボルト(作用手段)、81:アンカーボルト(アンカー部材)、100:生産装置