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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008700
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】売買システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20240112BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110769
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】516218384
【氏名又は名称】ハドラスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】山本 英明
(72)【発明者】
【氏名】岸 洋路
(72)【発明者】
【氏名】池田 正範
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB23
(57)【要約】
【課題】太陽光パネルにコーティング膜が被膜されたことによる利益に関する債権をID化して売買可能とすることができる売買システムを提供する。
【解決手段】太陽光パネルが設置された場所と区画を特定可能な特定情報により特定される太陽光パネル10に、コーティング膜が被膜されたことにより発生する利益に関する債権IDを管理する管理部2と、選択された債権IDの買い付けを受け付ける受付部2と、売買が成立したときに当該債権IDとユーザIDとを紐付ける登録部2と、当該債権IDと紐付けられるユーザIDを当該債権IDに基づき利益を還元する処理の対象として設定する利益還元処理部2と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネルが設置された場所と区画を特定可能な特定情報により特定される太陽光パネルに、コーティング膜が被膜されたことにより発生する利益に関する債権IDを管理する管理部と、
選択された債権IDの買い付けを受け付ける受付部と、
売買が成立したときに当該債権IDとユーザIDとを紐付ける登録部と、
前記債権IDと紐付けられるユーザIDを前記債権IDに基づき利益を還元する処理の対象として設定する利益還元処理部と、を備えていることを特徴とする売買システム。
【請求項2】
前記特定情報を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の売買システム。
【請求項3】
前記出力部は、前記特定情報を構成する所在地情報、環境情報、区画情報を表示させることを特徴とする請求項2に記載の売買システム。
【請求項4】
指定期間における前記太陽光パネルの実測値と前記コーティング膜が被膜される以前の当該太陽光パネルの将来にわたる稼働想定値の差分の累計を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の売買システム。
【請求項5】
前記太陽光パネルの耐用年数に係る情報を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の売買システム。
【請求項6】
前記コーティング膜は、SiOを主成分とし、
前記コーティング膜の仕様情報を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の売買システム。
【請求項7】
前記コーティング膜は、SiOを主成分とし、
前記コーティング膜の成分情報を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の売買システム。
【請求項8】
前記コーティング膜は、SiOを主成分とし、
前記コーティング膜の膜厚情報を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の売買システム。
【請求項9】
前記太陽光パネルの製造元情報を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の売買システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電に適用される売買システムに関する。
【0002】
近年、温暖化の原因となる二酸化炭素等の温室効果ガスを排出せず、環境に負荷をかけない再生可能エネルギを利用した発電システムとして、太陽光発電の普及が推進されている。
【0003】
太陽光発電装置は、ガラスや耐候性樹脂フィルム等からなる透光性を有する保護部材によって太陽光の受光面となる太陽電池セルの表面側が保護された太陽光パネルを備え、太陽電池セルに入射した太陽光の光エネルギが電気エネルギに変換されることにより発電が行われる。
【0004】
太陽光発電は、日射量に応じて発電量が決まることから、太陽光パネルの設置時においては、設置場所の緯度や経緯等の位置情報、太陽光パネルの方位角や傾斜角だけでなく、太陽光パネルが設置される地域別および天候別の日射強度、動作温度等の様々な指標を用いて発電量を高精度で予測することにより、最適な太陽光発電システムの容量を選択し、任意の設置場所において太陽光パネルにおける発電量を効率化することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-108486号公報(第5頁~第6頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に太陽光パネルの寿命は20~30年と言われており、設置後の太陽光パネルにおいては発電効率が徐々に低下していくことが知られている。発電効率の低下を理由に既存の太陽光パネルを新しい太陽光パネルに変更するには入替コストが大きく、使われなくなった太陽光パネルは産業廃棄物として処理する必要があることから、将来的な太陽光パネルの廃棄量の増加も問題視されている。このような状況を踏まえ、既存の太陽光パネルに対して発電効率を可能な限り高める処理を行うことにより、既存の太陽光パネルを用いた新たな太陽光発電ビジネスを展開できる。
【0007】
本発明は、太陽光パネルにコーティング膜が被膜されたことにより発生する利益に関する債権をID化して売買可能とすることができる売買システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の売買システムは、
太陽光パネルが設置された場所と区画を特定可能な特定情報により特定される太陽光パネルに、コーティング膜が被膜されたことにより発生する利益に関する債権IDを管理する管理部と、
選択された債権IDの買い付けを受け付ける受付部と、
売買が成立したときに当該債権IDとユーザIDとを紐付ける登録部と、
前記債権IDと紐付けられるユーザIDを前記債権IDに基づき利益を還元する処理の対象として設定する利益還元処理部と、を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、太陽光パネルにコーティング膜が被膜されたことにより発生する利益に関する債権をID化して売買可能とすることにより、新たな太陽光発電ビジネスを展開できる。
【0009】
前記特定情報を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、太陽光パネルが設置された場所と区画を特定できる特定情報を表示可能とすることにより、債権の価値を評価しやすくなる。
【0010】
前記出力部は、前記特定情報を構成する所在地情報、環境情報、区画情報を表示させることを特徴としている。
この特徴によれば、特定情報を構成する所在地情報、環境情報、区画情報を表示可能とすることにより、債権の価値をより評価しやすくなる。
【0011】
指定期間における前記太陽光パネルの実測値と前記コーティング膜が被膜される以前の当該太陽光パネルの将来にわたる稼働想定値の差分の累計を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、指定期間における実測値と稼働想定値の差分の累計により、コーティング処理を行った太陽光パネルにおける実績を確認することができるため、債権の価値をより正確に評価することができる。
【0012】
前記太陽光パネルの耐用年数に係る情報を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、太陽光パネルの耐用年数を確認することにより、債権の価値をより正確に評価することができる。
【0013】
前記コーティング膜は、SiOを主成分とし、
前記コーティング膜の仕様情報を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、コーティング膜の仕様情報を確認することにより、債権の価値をより正確に評価することができる。
【0014】
前記コーティング膜は、SiOを主成分とし、
前記コーティング膜の成分情報を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、コーティング膜の成分情報を確認することにより、債権の価値をより正確に評価することができる。
【0015】
前記コーティング膜は、SiOを主成分とし、
前記コーティング膜の膜厚情報を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、コーティング膜の膜厚情報を確認することにより、債権の価値をより正確に評価することができる。
【0016】
前記太陽光パネルの製造元情報を表示可能に出力する出力部を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、太陽光パネルの製造元情報を確認することにより、債権の価値をより正確に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例における売買システムを示すイメージ図である。
図2】実施例における売買システムにより端末装置に表示される稼働想定値の承認画面を示す図である。
図3】実施例における売買システムにより端末装置に表示される太陽光パネルの債権情報に関するリストを示す図である。
図4】実施例における売買システムにより端末装置に表示される債権情報に関する詳細情報画面の一例を示す図である。
図5】実施例における売買システムにより端末装置に表示される債権情報に関する詳細情報画面の一例を示す図である。
図6】実施例における売買システムにより端末装置に表示される債権情報に関する詳細情報画面の一例を示す図である。
図7】実施例における売買システムにより端末装置に表示される債権情報に関する詳細情報画面の一例を示す図である。
図8】実施例における売買処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る売買システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0019】
実施例に係る売買システムにつき、図1から図8を参照して説明する。
【0020】
本発明の売買システムは、太陽光パネルにコーティング膜が被膜されたことにより発生する利益に関する債権をID化して売買可能とするシステムであり、例えば、既存の太陽光パネルの表面にSiOを主成分とするコーティング膜を被膜する処理(以下、単に「コーティング処理」とも言う。)を行うことにより、発電効率が高められた既存の太陽光パネルを用いた新たな太陽光発電ビジネスを展開することを可能としたシステムである。
【0021】
なお、「既存の太陽光パネル」とは、例えば所定の場所に設置され太陽光発電を開始してから数カ月あるいは数年が経過した太陽光パネルのことである。
【0022】
売買システムは、コーティング膜が被膜された太陽光パネルにおける最新の実測値が逐次登録される実測値登録部と、コーティング膜が被膜される以前の当該太陽光パネルの将来にわたる稼働想定値が時間情報と共に記録される記録部と、実測値と稼働想定値とを同時間を基準にして比較可能に出力する差分出力部と、を備え、さらに、太陽光パネルが設置された場所と区画を特定可能な特定情報により特定される太陽光パネルに、コーティング膜が被膜されたことにより発生する利益に関する債権IDを管理する管理部と、選択された債権IDの買い付けを受け付ける受付部と、売買が成立したときに当該債権IDとユーザIDとを紐付ける登録部と、当該債権IDと紐付けられるユーザIDを当該債権IDに基づき利益を還元する処理の対象として設定する利益還元処理部と、を備えている。
【0023】
実測値登録部には、コーティング膜が被膜された太陽光パネルにおける発電量あるいは売電額の最新の実測値が逐次登録される。最新の実測値は、例えばコーティング膜が被膜された太陽光パネルを有する太陽光発電システムから送信されるものであり、当該実測値の実測時間に関する時間情報が付与された時系列データであることが好ましい。
【0024】
また、最新の実測値は、上述した時間情報以外にも、例えば気象情報のように太陽光パネルにおける発電量に影響を与える各種情報が付与されたデータであってもよい。
【0025】
また、最新の実測値は、例えば1日間隔、1週間隔、1か月間隔等の所定のタイミングで登録部に登録されることが好ましい。
【0026】
なお、実測値登録部における最新の実測値の登録については、コーティング膜が被膜された太陽光パネルを有する太陽光発電システムから所定のタイミングで送信される実測値を最新の実測値として登録部に逐次登録する態様に限らず、例えば太陽光発電システムから逐次送信され、太陽光発電システムの稼働状況を監視する外部の監視サーバ等に一旦集約された実測値を所定のタイミングで最新の実測値として取得し、登録部に逐次登録する態様であってもよい。
【0027】
記録部には、コーティング膜が被膜される以前の当該太陽光パネルの将来にわたる発電量あるいは売電額の稼働想定値が時間情報と共に記録される。稼働想定値は、既存の太陽光パネルの稼働実績と、太陽光パネルにおける発電量あるいは売電額に影響を与える各種情報等に基づいて設定される。また、稼働想定値は、コーティング処理が行われてから将来の発電量あるいは売電額がゼロ又は収益不可の状態になるまでの期間にわたる時間情報が付与された時系列データである。
【0028】
詳しくは、稼働想定値は、例えば既存の太陽光パネルに対するコーティング処理前後の時点で、売買システムによって既存の太陽光パネルにおける過去の稼働実績(発電量)、当該過去の稼働実績に基づき予測される経年劣化による将来の発電量の低下率、太陽光パネルの製造元から公表されている情報に基づく経年劣化による将来の発電量の低下率、季節や気象変化による発電量の変化に基づいて時系列データとして作成され、例えば週間、月間、年間単位でチャートや数値表としてまとめられたものが表示可能に出力される。当該稼働想定値は、太陽光パネルの所有者からの承認を得ることにより正式な稼働想定値として売買システムにおいて設定される。
【0029】
差分出力部は、実測値登録部に逐次登録される最新の実測値と、記録部に記録された稼働想定値とを同時間を基準にして比較可能に出力する。
【0030】
なお、「同時間を基準」とは、例えば最新の実測値の実測時間に関する年月日が特定された時間情報(例えば所定の1週間)を基準として、同じ年月日が特定された時間情報(最新の実測値と同じ所定の1週間)が付与された稼働想定値の時系列データを用いることである。
【0031】
また、「比較可能に出力する」とは、最新の実測値と稼働想定値を比較可能な情報として出力することであり、例えば最新の実測値と稼働想定値を並べて表示可能に出力する出力方式、最新の実測値と稼働想定値を比較可能なチャートを表示可能に出力する出力方式、稼働想定値に対する最新の実測値の比率(差分)、すなわち発電効率の変化率を表示可能に出力する出力方式等の他にも様々な出力方式を採用することができる。
【0032】
管理部は、太陽光パネルが設置された場所と区画を特定できる特定情報により特定される太陽光パネルにコーティング膜が被膜されたことにより発生する利益に関する債権IDを管理する。債権IDは、例えばコーティング膜が被膜された太陽光パネル毎に割り振られて太陽光パネルを特定する固有のパネルIDと紐付けられている。
【0033】
なお、「太陽光パネルにコーティング膜が被膜されたことにより発生する利益に関する債権」とは、例えば太陽光パネルにコーティング膜が被膜されたことによる発電量の増加分に基づく利益(売電額)の少なくとも一部を受け取ることができる権利のことである。
【0034】
受付部は、売買システムの利用者により選択された債権IDの買い付けを受け付ける。
【0035】
登録部は、上記受付部により受け付けられた当該債権IDの買い付けに対する売買が成立したときに当該債権IDと、当該債権IDの買い付けを行った売買システムの利用者に付与されたユーザIDとを紐付ける。
【0036】
利益還元処理部は、上記登録部により当該債権IDと紐付けられるユーザIDを当該債権IDに基づき利益を還元する処理の対象として設定する。
【0037】
なお、管理部は、売買が成立した債権IDについて、少なくとも利益還元処理部の処理対象として設定されているユーザIDを紐付けた状態で管理可能となっている。
【0038】
売買システムは、上述した差分出力部の他に、特定情報を表示可能に出力する出力部としての特定情報出力部を備えている。特定情報出力部は、特定情報を構成する所在地情報、環境情報、区画情報を表示可能に出力する。
【0039】
なお、「所在地情報」とは、債権IDと紐付けられるパネルIDを有する太陽光パネルの所在地、緯度経度、地図等の情報である。また、「環境情報」とは、債権IDと紐付けられるパネルIDを有する太陽光パネルの設置場所における地形、標高、方位別の周囲環境等の情報である。また、「区画情報」とは、太陽光発電設備を構成する太陽光パネル全体における債権IDと紐付けられる太陽光パネルが占める大きさ(割合)、あるいは1枚の太陽光パネルに対して債権IDと紐付けられるパネルIDにより定められる領域が占める大きさ(割合)等の情報である。
【0040】
また、売買システムは、指定期間(例えば週間、月間、年間等)における実測値と稼働想定値の差分の累計を表示可能に出力する差分累計出力部を備えている。なお、実測値と稼働想定値の差分の累計は、発電量あるいは売電額として表示可能に出力される。
【0041】
また、売買システムは、コーティング処理が行われた太陽光パネルそのものに係る情報を表示可能に出力する各種出力部を備えている。例えば、売買システムは、太陽光パネルの耐用年数に係る情報を表示可能に出力する出力部、太陽光パネルの製造元情報を表示可能に出力する出力部を備えている。
【0042】
なお、これらの太陽光パネルそのものに係る情報は、売買システムが備える記憶手段に債権IDあるいはパネルIDと紐付けられて記憶されており、上述した稼働想定値を設定する際の指標情報としても用いることができる。
【0043】
さらに、売買システムは、太陽光パネルに被膜されたコーティング膜そのものに係る情報を表示可能に出力する各種出力部を備えている。例えば、売買システムは、コーティング膜の仕様情報を表示可能に出力する出力部、コーティング膜の成分情報を表示可能に出力する出力部、コーティング膜の膜厚情報を表示可能に出力する出力部を備えている。
【0044】
なお、「コーティング膜の仕様情報」とは、コーティング膜を形成するコーティング材の製造元、品番、施工方法(例えば単層塗り、複層塗り)等に関する情報である。また、「コーティング膜の成分情報」とは、コーティング膜を形成するコーティング材を構成するベース剤(例えば無機ポリシラザン、有機ポリシラザン)、添加剤(例えばカーボンナノチューブ)の種類、添加量等に関する情報である。
【0045】
なお、これらのコーティング膜そのものに係る情報は、売買システムが備える記憶手段に債権IDあるいはパネルIDと紐付けられて記憶されている。
【0046】
本実施例における売買システムの一例について説明する。
【0047】
図1に示されるように、売買システム1は、管理サーバ2と、記憶サーバ3と、インターネットを介して複数台接続されるコンピュータ等の端末装置5,5,…と、を備えている。なお、図1において、管理サーバ2と記憶サーバ3を囲んでいる枠線部分は、売買システム1の管理者側がサービスを提供するために構築されるネットワークを示すものである。すなわち、売買システム1は、少なくとも管理サーバ2と記憶サーバ3を備えるものであればよく、端末装置5,5,…や太陽光パネル10(太陽光発電システム100)を備えるものでなくてもよい。
【0048】
管理サーバ2は、コーティング膜が被膜された太陽光パネル毎に割り振られて太陽光パネル10を特定する固有のパネルIDと特定情報により特定される太陽光パネル10にコーティング膜が被膜されたことにより発生する利益に関する債権IDが紐付けられて記憶された管理部としてのIDデータベース20と、記憶サーバ3に発行された非代替性トークン(Non-Fungible Token;NFT)のトークンIDとIDデータベース20に記憶されたパネルIDおよび債権IDとを対応付ける対応テーブル21とを備えている。
【0049】
IDデータベース20に記憶されたパネルIDには、当該パネルIDを有する太陽光パネル10の稼働想定値と、当該太陽光パネル10およびコーティング膜に関する各種情報が紐付けられている。なお、管理サーバ2は、稼働想定値や各種情報が記録される記憶手段としての図示しないデータベースを備えている。すなわち、管理サーバ2は、債権IDを管理する管理部と、稼働想定値が時間情報と共に記録される記録部とを備えている。さらに、管理サーバ2は、管理部以外にも後述する債権の売買処理を行うための受付部、登録部、利益還元処理部を備えている。
【0050】
ここで、稼働想定値の設定処理について説明する。太陽光パネルの所有者は、管理サーバ2が作成、出力することにより、ディスプレイに表示された太陽光パネルの稼働想定値の承認画面(図2参照)にて、稼働想定値の時系列データを確認する。太陽光パネルの所有者が稼働想定値を承認する場合には、稼働想定値の承認画面の下方に表示された承認するボタンをクリックし、承認情報と共にパネルIDを管理サーバ2に送信する。管理サーバ2は、端末装置5から承認情報を受信し、承認情報と共に受信されたパネルIDをIDデータベース20にて照会し、該当するパネルIDに対応する稼働想定値を正式な稼働想定値としてパネルIDに紐付けた状態でデータベースに保管する。一方、太陽光パネルの所有者が稼働想定値を承認しない場合には、稼働想定値の承認画面の下方に表示された承認しないボタンをクリックし、非承認情報と共にパネルIDを管理サーバ2に送信する。管理サーバ2は、端末装置5から非承認情報を受信し、非承認情報と共に受信されたパネルIDをIDデータベース20にて照会し、該当するパネルIDに対応する稼働想定値の修正版を作成、出力することにより、ディスプレイに修正された稼働想定値の承認画面を再度表示させる。稼働想定値の修正版は、例えば修正前の稼働想定値から所定の増加率で稼働想定値を増加させたものであることが好ましい。
【0051】
なお、図2において、稼働想定値の時系列データは、耐用年数の範囲で想定発電量の年間平均値がチャート表示される例を挙げて説明しているが、稼働想定値の承認画面において、チャート表示だけでなく数値表も一緒に表示可能となっていてもよく、想定発電量の年間平均値から月間平均値、週間平均値への切り替えが可能となっていてもよい。また、稼働想定値の承認画面において、稼働想定値が所定の数値範囲内で修正可能となっていてもよい。
【0052】
また、債権情報(債権ID)の発行は、太陽光パネルの所有者(すなわち当該太陽光パネルによる発電の受益者)による稼働想定値の承認後に管理サーバ2により行われる。太陽光パネルの所有者は、管理サーバ2が作成、出力することにより、ディスプレイに表示された太陽光パネルの債権情報の承認画面にて、利益分配率等の設定と承認を行い、承認された債権情報を管理サーバ2に送信する。管理サーバ2は、端末装置5から承認された債権情報を受信し、承認された債権情報と共に受信された債権IDをIDデータベース20にて照会し、該当する債権IDに対応する債権情報を正式な債権情報としてパネルIDに紐付けた状態でデータベースに保管する。また、当該債権IDについては、債権情報の承認が行われることにより、管理サーバ2において売出注文可能な状態として処理され、売出額の設定が可能となる。なお、管理サーバ2は、上記承認画面における利益分配率等の設定情報として、パネル情報や債権情報の内容が類似する他の債権における売買履歴情報等に基づき、利益分配率等の推奨値を表示可能となっていてもよい。
【0053】
記憶サーバ3は、ブロックチェーンプラットフォームの動作環境である複数のコンピュータ群で構成されており、コンピュータ群はNFT化されたパネル情報(ブロックチェーンA)およびNFT化された債権情報(ブロックチェーンB)のブロックを生成する複数のノードでもある。管理サーバ2は、太陽光パネル10の稼働想定値を記憶サーバ3にブロックチェーンAを発行するタイミングでブロックチェーンA上に保管させる。また、管理サーバ2は、太陽光パネル10を有する太陽光発電システム100から送信されてくる最新の実測値、時間情報、気象情報を所定のタイミング(本実施例においては1日間隔)で記憶サーバ3に発行されたブロックチェーンA上に保管させる。なお、稼働想定値や最新の実測値等が保管されるブロックチェーンAは、該当する太陽光パネル10のパネルIDに対応付けられたトークンIDを有するブロックチェーンであることは言うまでもない。
【0054】
さらに、管理サーバ2は、利益還元処理部の処理対象として設定されるユーザIDや売買額等を含む最新の売買履歴情報を債権の売買処理が行われたタイミングでブロックチェーンB上に保管させる。なお、売買履歴情報が保管されるブロックチェーンBは、該当する太陽光パネル10の債権IDに対応付けられたトークンIDを有するブロックチェーンであることは言うまでもない。
【0055】
また、管理サーバ2は、記憶サーバ3に発行されたブロックチェーンA,Bから返された各種データに対応するトランザクションハッシュを対応テーブル21上で太陽光パネルのパネルIDあるいは債権IDと対応付けて記憶している。詳しくは、記憶サーバ3は、ブロックチェーンA,B上に保管された各種データのトランザクションハッシュを管理サーバ2に返すようになっており、管理サーバ2はこのトランザクションハッシュを基に保管されたデータを検索し参照可能になっている。ブロックチェーンではハッシュ値を格納する各ブロックは、1つ前のブロックのハッシュ値を持っているため、途中のブロックを改ざんしようとすると、それ以降のすべてのブロックのハッシュ値との整合性をとらなければならず、この特性から稼働想定値や最新の実測値等の改ざんを防止させ、信頼性を高めることができる。
【0056】
なお、管理サーバ2は、所定期間が経過しても売買が成立しない債権IDについては、太陽光パネルの所有者に対して利益分配率等の設定変更を促すメール等を送信するようになっていてもよい。例えば、管理サーバ2は、太陽光パネルの所有者宛のメールに太陽光パネルの債権情報の承認画面を再度作成、出力した画面に誘導するためのURL等を添付する。
【0057】
端末装置5は、管理サーバ2に対してインターネットにて接続され、表示部であるディスプレイを備えているいわゆる個人所有のコンピュータや、スマートフォン等の携帯通信端末である。
【0058】
次に、売買システム1を利用した債権の売買について説明する。売買システム1の利用者は、管理サーバ2が作成、出力することにより、ディスプレイに表示された太陽光パネルの債権情報に関するリスト画面(図3参照)にて、詳細を確認したい債権情報を選択する。端末装置5は、選択された債権情報の債権IDをインターネットを介して管理サーバ2に送信する。
【0059】
図3に示されるように、本実施例における債権情報に関するリスト画面には、コーティング処理が行われた太陽光パネル10の債権ID毎に、債権IDと紐付けられたパネルIDを有する太陽光パネルに係る情報(所在地、製造元、型番、耐用年数)と、コーティング処理が行われたことによる発電効率の変化率および債権の売出額がリスト表示されている。なお、債権の売出額は、例えば債権の最初の売買時において売買システム1の管理者により設定されるものであってもよいし、売買システム1の利用者間での債権の売買時において売出注文を行う債権者により設定されるものであってもよい。
【0060】
管理サーバ2は、例えば、最新の実測値である実測発電量を所定の1週間で表示する設定の場合には、所定のタイミング(1日間隔、毎日0:00)で記憶サーバ3のブロックチェーンA上に保管されたデータの照会を行い、管理サーバ2において、パネルIDと紐付けられている評価情報を更新して記憶しておき、アクセスしてきた端末装置5に対しては、受信されたパネルIDに基づき評価情報を詳細情報画面(図4参照)としてディスプレイに表示可能に出力する。なお、評価情報は、最新の実測値と稼働想定値とが同時間を基準にして比較可能な情報として差分出力部により演算され表示可能に出力された情報であり、特に図4において発電効率の変化率や、実測発電量と想定発電量を比較可能なチャート等が該当する。当然ながら、図3のリスト画面に表示される発電効率の変化率についても、管理サーバ2においてパネルIDと紐付けて記憶されている評価情報に基づいて差分出力部により表示可能に出力されたものである。
【0061】
また、管理サーバ2は、例えば、所定のタイミング(若しくはリアルタイム)で記憶サーバ3のブロックチェーンB上に保管されたデータの照会を行い、管理サーバ2において、債権IDと紐付けられている売買履歴情報を更新して記憶しておき、アクセスしてきた端末装置5に対しては、受信された債権IDに基づき売買履歴情報(売出額、年間配当率等)を上述したパネルIDに基づく評価情報と共に詳細情報画面(図4参照)としてディスプレイに表示可能に出力する。当然ながら、図3のリスト画面に表示される債権の売出額についても、管理サーバ2において債権IDと紐付けて記憶されている売買履歴情報に基づいて表示可能に出力されたものである。
【0062】
図4に示されるように、本実施例における債権情報に関する詳細情報画面には、コーティング処理が行われた太陽光パネルの債権ID、債権の売出額および債権の年間配当率、稼働想定値である想定発電量(週間の平均値)、最新の実測値である実測発電量(週間の平均値)、想定発電量に対する実測発電量の比率(差分)、実測発電量と想定発電量を比較可能なチャート、太陽光パネルに係る情報(所在地、製造元、型番、耐用年数)、コーティング膜に係る情報(仕様情報、成分情報、膜厚情報)等が表示されている。なお、本実施例において、想定発電量と実測発電量は、管理サーバ2にて同時間(最新の1週間)を基準として週間の平均値を算出したものが比較可能に表示されているが、これに限らず、想定発電量と実測発電量は、同時間を基準とするものであれば、例えば最新の10日間や1か月間の平均値を算出したものが比較可能に表示されてもよいし、最新の1日における想定発電量と実測発電量が比較可能に表示されてもよい。
【0063】
なお、図4の債権情報に関する詳細情報画面は一例であり、例えば、図5に示されるように、特定情報を構成する太陽光パネルの所在地情報(所在地、地図)、太陽光パネルの設置場所に関する環境情報(地形、標高、方位別の周辺環境)、区画情報(太陽光パネルの大きさ)が表示されてもよい。また、図6に示されるように、売買システム1の利用者が端末装置5から詳細情報を確認したい期間を指定する操作を行うことにより、指定期間における実測値と稼働想定値の差分の累計(差分累計)が表示されてもよい。また、図7に示されるように、例えば、実測発電量(週間の平均値)の基となる1日毎の実測発電量と、これに紐付けられる気象情報(天気、最高気温、最低気温、日照時間)が表示されてもよい。このように、債権情報に関する詳細情報画面において、太陽光パネルの特定情報、差分累計、1日毎の実測発電量と紐付けられる気象情報等が表示されることにより、債権の価値を評価しやすくなる。
【0064】
ここで、売買システム1の利用者が買い付けを行う際の手順および管理サーバ2における売買処理について図4に示される債権の詳細情報画面と図8のフローチャートとを用いて説明する。売買システム1の利用者が買い付けを行う場合には、図3に示される複数の太陽光パネルの債権IDの中から所望の債権IDを選択し、当該債権IDの債権情報に関する詳細情報画面の右上に表示された買付注文ボタン(図4参照)をクリックし、買付注文情報を選択された債権情報の債権IDおよび売買システム1の利用者に付与されたユーザIDと共に管理サーバ2に送信する。管理サーバ2は、端末装置5から買付注文情報を受信し(ステップS1)、買付注文情報と共に受信された債権IDをIDデータベース20にて照会し、該当する債権IDに対応する売出注文が有効であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0065】
ステップS2にて、売出注文が有効であると判定された場合、管理サーバ2の受付部にて該当する債権IDの買付注文を受け付け、管理サーバ2の登録部において受付部により受け付けられた当該債権IDと、当該債権IDの買付注文を行ったユーザIDとを紐付ける(ステップS3)。一方、売出注文が無効であると判定された場合、管理サーバ2の受付部にて該当する債権IDの買い付けの受け付けをキャンセルし、買付注文情報が送信されてきた端末装置5に買付注文のキャンセル情報を送信する(ステップS4)。
【0066】
ステップS3にて、登録部により売買が成立した債権IDと紐付けられたユーザIDを管理サーバ2の利益還元処理部において当該債権IDに基づき利益を還元する処理の対象として設定する(ステップS5)。
【0067】
ステップS5にて、売買が成立した債権IDについて、利益還元処理部の処理対象として設定されているユーザIDを紐付けた状態で管理サーバ2におけるIDデータベース20に記憶させる(ステップS6)。
【0068】
また、ステップS5にて、管理サーバ2の売買が成立した債権IDに係る売買履歴情報を記憶サーバ3のブロックチェーンBに保管させる(ステップS7)。
【0069】
なお、管理サーバ2は、NFT化されたパネル情報および債権情報の偽造を防ぐために、管理サーバ2の管理者の認定情報(バッジ)を付与することにより、例えば管理サーバ2に対して照会を行うことでNFT化されたパネル情報および債権情報が公式のものであるかどうかを証明できるようにしてもよい。
【0070】
また、本実施例の売買システム1における債権の売買は、ブロックチェーンプラットフォームにおいて使用される所定の暗号資産により行われてもよいし、法定通貨により行われてもよい。
【0071】
以上説明したように、本発明の売買システム1によって、太陽光パネル10にコーティング膜が被膜されたことにより発生する利益に関する債権をID化して売買可能とすることにより、新たな太陽光発電ビジネスを展開できる。
【0072】
また、コーティング膜が被膜された太陽光パネル10における最新の実測値と、コーティング膜が被膜される以前の当該太陽光パネルの将来にわたる稼働想定値とを同時間を基準にして比較可能に出力することにより、同時間を基準にして実測値と稼働想定値の差分が確認できるため、発電効率を高めるコーティング処理を行った太陽光パネル10の将来にわたる価値を予測することができ、債権の価値を評価しやすくなる。
【0073】
また、売買システム1においては、最新の実測値や稼働想定値がブロックチェーンA上に保管されることにより、最新の実測値や稼働想定値の改ざんを防止することができるため、信頼性が高い。また、債権IDの売買履歴情報がブロックチェーンB上に保管されることにより、売買履歴情報の改ざんを防止することができるため、信頼性が高い。
【0074】
また、売買システム1は、利用者の指定期間における実測値と稼働想定値の差分の累計を出力することにより、コーティング処理を行った太陽光パネル10における実績を確認することができるため、債権の価値をより正確に評価することができる。
【0075】
また、少なくとも最新の実測値と、時間情報と、気象情報とが所定タイミングで記録されるブロックチェーンAが記憶サーバ3の一部を構成しており、実測値と時間情報と気象情報とが所定タイミングでブロックチェーンAに記録されることにより、実測値の改ざんを防止することができるとともに、実測値の信ぴょう性を高めることができる。
【0076】
また、売買システム1は、太陽光パネル10の特定情報(所在地情報、環境情報、区画情報)、製造元、耐用年数、コーティング膜の仕様情報、成分情報、膜厚情報等を表示可能であり、これらの情報を確認することにより、債権の価値をより正確に評価することができる。
【0077】
また、太陽光パネル10に被膜されるコーティング膜がSiOを主成分とすることにより、特に太陽光パネルの表面がSiOを主成分とする場合に、発電効率を効果的に高めることができる。
【0078】
また、売買システム1は、債権情報に関する詳細情報画面に当該画面を表示した時点から、最初の利益還元が行われる基準日までに得られる利益の予測値を表示させるようになっていてもよい。これによれば、債権IDの買い付けにより得られる利益を予め確認することができ、買い付けを行うか否かの判断基準として利用することができる。
【0079】
また、売買システム1は、債権IDの売買が成立した時点から、最初の利益還元が行われる基準日までに得られる利益の予測値を債権IDと紐付けられたユーザIDを有する利用者のディスプレイに表示させるようになっていてもよい。これによれば、債権IDの現在の価値と将来にわたる価値を確認しやすくすることができ、売り出しを行うか否かの判断基準として利用することができる。これらの利益の予測値は、管理サーバ2により作成、出力される。
【0080】
また、売買システム1は、債権IDに紐付けられるパネルIDを有する太陽光パネルの稼働状況に何か異常(天災等による破損、設備異常等)があったことを実測値と稼働想定値の差分から判定することができ、当該異常について、太陽光パネルの所有者だけでなく、該当する債権IDに紐付けられたユーザIDを有する債権者に対して通知することができる。
【0081】
また、売買システム1は、天候不順やその他の要因により、実測値と稼働想定値との間に大きな乖離が生じている場合、太陽光パネルの所有者と債権者の承認を得ることにより、稼働想定値を変更可能となっていてもよい。
【0082】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0083】
例えば、前記実施例では、「太陽光パネルにコーティング膜が被膜されたことにより発生する利益に関する債権」は、太陽光パネルにコーティング膜が被膜されたことによる発電量の増加分に基づく利益(売電額)の少なくとも一部を受け取ることができる権利として説明したが、これに限らず、太陽光パネルにコーティング膜が被膜されたことによる発電量の増加分を含めた当該太陽光パネルの発電量全体に基づく利益(売電額)の少なくとも一部を受け取ることができる権利であってもよい。
【0084】
また、前記実施例では、売買システムにおいて最新の実測値や債権IDの売買履歴情報が記憶される記憶サーバがブロックチェーンプラットフォームの動作環境である複数のコンピュータ群により構成される態様について説明したが、これに限らず、記憶サーバは、通常のサーバにより構成されてもよい。
【0085】
また、前記実施例では、ブロックチェーンにNFT化されたパネル情報と最新の実測値が一緒に保管される態様について説明したが、これに限らず、NFT化されたパネル情報と、実測値等の情報が個別のブロックチェーン上に保管され、2つのブロックチェーンが対応付けられて管理されてもよい。
【0086】
また、前記実施例では、管理サーバが太陽光パネルを有する太陽光発電システムから送信されてくる最新の実測値、時間情報、気象情報を所定のタイミングで記憶サーバに発行されたブロックチェーン上に保管させる態様として説明したが、これに限らず、管理サーバを介さずに、最新の実測値、時間情報、気象情報を所定のタイミングでブロックチェーン上に直接保管されてもよい。
【0087】
また、前記実施例では、端末装置のディスプレイに表示される承認画面、リスト画面、詳細情報画面は、管理サーバにより作成、出力される態様について説明したが、これに限らず、管理サーバとは別に設けられる外向け用のサービスサーバによりこれらの画面が表示されるようになっていてもよい。
【0088】
また、前記実施例では、管理サーバは、評価情報を更新するために所定のタイミングとして1日間隔で記憶サーバのブロックチェーン上に保管されたデータの照会を行う態様について説明したが、これに限らず、所定のタイミングは1週間でもよいし、リアルタイムであってもよい。
【0089】
また、前記実施例では、管理サーバは、売買履歴情報を更新するために所定のタイミングとしてリアルタイムで記憶サーバのブロックチェーンB上に保管されたデータの照会を行う態様について説明したが、これに限らず、所定のタイミングは数秒間隔でもよいし、数分間隔であってもよい。
【0090】
また、前記実施例では、管理サーバは、所定のタイミングとして1日間隔で太陽光発電システムから送信されてくる最新の実測値、時間情報、気象情報を記憶サーバに発行されたブロックチェーン上に保管させる態様として説明したが、これに限らず、所定のタイミングは1週間でもよいし、リアルタイムであってもよい。
【0091】
前記実施例では、売買システムは、稼働想定値や最新の実測値の他に太陽光パネルに係る情報やコーティング膜に係る情報を記録し表示可能となっている態様について説明したが、他にも太陽光パネルにおける実測値に影響する可能性がある情報、例えば太陽光パネルシステムを構成するパネル架台やパワーコンディショナ等の性能等に係る情報を記録し表示可能となっていてもよい。
【0092】
また、債権IDに紐付けられる太陽光パネルのパネルIDは、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、債権IDは、コーティング膜が被膜された1枚の太陽光パネルを複数の区画に分けて割り振られるものであってもよい。すなわち、1つのパネルIDに紐付けられる債権IDは複数であってもよい。なお、債権IDとパネルIDとの紐付けや区画の割り振りは、太陽光パネルのパネル情報に基づいて管理サーバにより設定されてもよいし、売買システムの管理者によって設定されてもよい。
【0093】
また、太陽光パネルの債権情報に関するリスト画面に表示される項目は、少なくとも債権IDと売出額が表示されていれば、他の項目は太陽光パネルに係る情報に限らず、コーティング膜に係る情報や最新の実測値、最新の実測値と稼働想定値の差分、差分累計、配当率等の他の情報であってもよい。
【0094】
また、前記実施例では、太陽光パネルを被膜するコーティング膜は、SiOを主成分とするものとして説明したが、これに限らず、コーティング処理により発電効率を高めることができるものであれば、樹脂等の他の成分を主成分とするコーティング膜であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 売買システム
2 管理サーバ
3 記憶サーバ
5 端末装置
10 太陽光パネル
20 IDデータベース
21 対応テーブル
100 太陽光発電システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8