(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087007
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】留置針
(51)【国際特許分類】
A61M 5/158 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61M5/158 500H
A61M5/158 500P
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069870
(22)【出願日】2024-04-23
(62)【分割の表示】P 2019180354の分割
【原出願日】2019-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 貴子
(72)【発明者】
【氏名】中川 直己
(72)【発明者】
【氏名】増谷 明子
(57)【要約】
【課題】本願は、留置針の針を装置内に収容する際の装置の動作の確度を向上させる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、中空針と、中空針を収容可能な中空部分を有する収容部と、中空針を支持するとともに、収容部の内部に配置され、中空部分の開口から中空針が突出している第一の位置から中空針が中空部分に収容される第二の位置まで中空部分を移動可能な移動部材と、移動部材を第一の位置から第二の位置に向かう方向へ付勢するバネと、移動部材を第一の位置と第二の位置において収容部に係合させる係合機構と、を備え、係合機構は、移動部材に設けられ、中心軸から離れる方向に延びる係合部と、収容部の側面に設けられ、第一の位置において係合部と係合する第一被係合部と、第二の位置において係合部と係合する第二被係合部と、を有し、中心軸から第二被係合部までの距離は、中心軸から第一被係合部までの距離よりも短い、留置針である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空針と、
前記中空針を収容可能な中空部分を有する略筒状の部材である収容部と、
前記中空針の基端を支持するとともに前記収容部の内部に配置され、前記収容部の一端における前記中空部分の開口から前記中空針が突出している第一の位置から前記中空針が前記収容部の前記中空部分に収容される第二の位置まで前記中空部分を移動可能な移動部材と、
前記移動部材を前記第一の位置から前記第二の位置に向かう方向へ付勢するバネと、
前記移動部材を前記第一の位置と前記第二の位置において前記収容部に係合させる係合機構と、を備え、
前記係合機構は、
前記移動部材に設けられ、中心軸から離れる方向に延びる係合部と、
前記収容部の側面に設けられ、前記第一の位置において前記係合部と係合する第一被係合部と、
前記第二の位置において前記係合部と係合する第二被係合部と、を有し、
前記中心軸から前記第二被係合部までの距離は、前記中心軸から前記第一被係合部までの距離よりも短い、
留置針。
【請求項2】
前記第二被係合部の係合部基端面との対向面は前記中空針の先端方向に向かうにつれて前記中心軸へ近づく方向へ延びる面を有し、前記係合部基端面は前記第二の位置において前記第二被係合部と係合する、
請求項1に記載の留置針。
【請求項3】
前記係合部基端面と対向する前記第一被係合部又は前記第二被係合部の対向面は先端方向に向かって延びる凸部を有し、
前記係合部は該凸部に対応する凹部を前記係合部基端面に有する、
請求項2に記載の留置針。
【請求項4】
前記第一被係合部の前記係合部基端面と対向する対向面は前記中心軸へ近づく方向及び先端方向に向かって延び、前記係合部の前記係合部基端面は該対向面と係合する、
請求項1から3のうち何れか一項に記載の留置針。
【請求項5】
前記第一被係合部と前記第二被係合部の間における前記収容部の内壁と前記中心軸との距離は、少なくとも一部が、前記第一被係合部と前記中心軸との距離よりも長く、前記第二被係合部と前記中心軸との距離より長い、
請求項1から4のうち何れか一項に記載の留置針。
【請求項6】
前記係合部の自由端は先端側が前記中心軸から離れる方向に向かって突出した形状を有する、
請求項1から5のうち何れか一項に記載の留置針。
【請求項7】
前記係合部の先端壁は前記中心軸から離れる方向へ向かうにつれて先端側に突出した形状を有する、
請求項1から6のうち何れか一項に記載の留置針。
【請求項8】
中空針と、
前記中空針を収容可能な中空部分を有する略筒状の部材である収容部と、
前記中空針の基端を支持するとともに前記収容部の内部に配置され、前記収容部の一端
における前記中空部分の開口から前記中空針が突出している第一の位置から前記中空針が前記収容部の前記中空部分に収容される第二の位置まで前記中空部分を移動可能な移動部材と、
前記移動部材を前記第一の位置から前記第二の位置に向かう方向へ付勢するバネと、
前記移動部材を前記第一の位置と前記第二の位置において前記収容部に係合させる係合機構と、を備え、
前記係合機構は、
前記移動部材に設けられ、中心軸から離れる方向に延びる係合部と、
前記収容部の側面に設けられ、前記第一の位置において前記係合部と係合する第一被係合部と、
前記第二の位置において前記係合部と係合する第二被係合部と、を有し、
前記収容部における、前記第一被係合部及び前記第二被係合部が設けられた側面と角度を有する側面に、前記第一の位置から前記第二の位置に向かう方向に沿って切り欠きが設けられる、
留置針。
【請求項9】
前記収容部において、前記係合部が当接する前記側面の内壁の少なくとも一部は、前記第一の位置から前記第二の位置に向かうにつれて前記中心軸から離れる方向に傾斜する傾斜面を有する、
請求項8に記載の留置針。
【請求項10】
前記移動部材は、前記中心軸から離れる方向に突出する又は前記中心軸へ近づく方向に凹むガイド部を更に有し、
前記収容部は前記ガイド部と係合する被ガイド部を更に有する、
請求項8又は9に記載の留置針。
【請求項11】
前記移動部材は、前記第一の位置において前記移動部材が前記収容部に対して先端方向へ相対移動することを防止するリブを更に有する、
請求項10に記載の留置針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管に穿刺されて留置される留置針であって、特に安全機構を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
点滴や採血などを行う場合に使用される留置針が開発されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような留置針1の場合、
図1に示される状態においてスプリング15から針保持部14へ常に力が作用することになる。よって、例えば、
図1の状態から
図2の状態へ針保持部14が移行する時に、突起部40には、針16の中心軸へ近づく方向へ撓ませる力が常に作用する。よって、針保持部14の本体からU形状の腕38が延出する延出部分が中心軸へ近づく方向へ寄った形に塑性変形することが考えられる。
【0005】
そして、このように延出部分が塑性変形する場合、特許文献1の
図1の状態から特許文献1の
図2の状態へ移行し、突起40が開口48に侵入する際に、突起40が中心軸から離れる方向へ充分に復帰しないことが考えられる。よって、突起40と開口48との係り量が小さくなることが想定される。このような場合、突起40は、開口48において所望の通り係止されず、針16が、ボディ12の開口23から抜け落ちる虞がある。結果として、針16をボディ12へ確実に収容することが困難になる場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、先端から露出した針を内部に収容する安全機構を有する留置針において、安全機構の動作の確度を向上させる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0008】
すなわち本発明の一側面に係る留置針は、中空針と、前記中空針を収容可能な中空部分を有する略筒状の部材である収容部と、前記中空針の基端を支持するとともに前記収容部の内部に配置され、前記収容部の一端における前記中空部分の開口から前記中空針が突出している第一の位置から前記中空針が前記収容部の前記中空部分に収容される第二の位置まで前記中空部分を移動可能な移動部材と、前記移動部材を前記第一の位置から前記第二の位置に向かう方向へ付勢するバネと、前記移動部材を前記第一の位置と前記第二の位置において前記収容部に係合させる係合機構と、を備え、前記係合機構は、前記移動部材に設けられ、中心軸から離れる方向に延びる係合部と、前記収容部の側面に設けられ、前記第一の位置において前記係合部と係合する第一被係合部と、前記第二の位置において前記係合部と係合する第二被係合部と、を有し、前記中心軸から前記第二被係合部までの距離は、前記中心軸から前記第一被係合部までの距離よりも短い、留置針である。
【0009】
当該構成によれば、第一の位置における係合部への負荷を抑えつつ、係合部が第二被係
合部と係合する際に充分な係り量を確保することができる。よって、中空針が中空部分の開口から突出している第一の位置から中空部分に収容される第二の位置まで移動する場合において、係合部をより確実に第二被係合部と係合させることができ、中空針が収容部へ収容される確度が向上する。
【0010】
上記一側面に係る留置針において、第二被係合部の係合部基端面との対向面は前記中空針の先端方向に向かうにつれて中心軸へ近づく方向へ延びる面を有し、係合部基端面は第二の位置において第二被係合部と係合してもよい。
【0011】
当該構成によれば、係合部が第二の位置を超えて基端方向に移動する事態を更に低減する。
【0012】
上記一側面に係る留置針において、係合部基端面と対向する第一被係合部又は第二被係合部の対向面は先端方向に向かって延びる凸部を有し、係合部は該凸部に対応する凹部を係合部基端面に有してもよい。
【0013】
当該構成によれば、凹凸により係合部が固定されるため、第一の位置において、バネ圧により、係合部が中心軸へ近づく方向へ変形してしまうことが防止される。また、第二の位置においては、係合部が中心軸へ近づく方向に撓み、第二被係合部との係合が解除されてしまうことが防止される。
【0014】
上記一側面に係る留置針において、第一被係合部の係合部基端面と対向する対向面は中心軸へ近づく方向及び先端方向に向かって延び、係合部の係合部基端面は該対向面と係合してもよい。
【0015】
当該構成によれば、第一被係合部に対して係合部が面接触するため、バネ圧を面で受けることができ、恒常的なバネ圧による係合部の変形、破損等の損傷を低減する。
【0016】
上記一側面に係る留置針において、第一被係合部と第二被係合部の間における収容部の内壁と中心軸との距離は、少なくとも一部が、第一被係合部と中心軸との距離よりも長く、第二被係合部と中心軸との距離より長くともよい。
【0017】
当該構成によれば、係合部が収容部を移動する際の摺動抵抗を低減することができる。
【0018】
上記一側面に係る留置針において、係合部の自由端は先端側が中心軸から離れる方向に向かって突出した形状を有してもよい。
【0019】
当該構成によれば、係合部が収容部内を摺動する際の抵抗感を低減することができる。
【0020】
上記一側面に係る留置針において、係合部の先端壁は中心軸から離れる方向へ向かうにつれて先端側に突出した形状を有してもよい。
【0021】
当該構成によれば、係合部が中心軸へ近づく方向に移動した際に中空針及び移動部材の軸と当たりにくくすることができる。
【0022】
また、本発明の一側面に係る留置針は、中空針と、前記中空針を収容可能な中空部分を有する略筒状の部材である収容部と、前記中空針の基端を支持するとともに前記収容部の内部に配置され、前記収容部の一端における前記中空部分の開口から前記中空針が突出している第一の位置から前記中空針が前記収容部の前記中空部分に収容される第二の位置まで前記中空部分を移動可能な移動部材と、前記移動部材を前記第一の位置から前記第二の
位置に向かう方向へ付勢するバネと、前記移動部材を前記第一の位置と前記第二の位置において前記収容部に係合させる係合機構と、を備え、前記係合機構は、前記移動部材に設けられ、中心軸から離れる方向に延びる係合部と、前記収容部の側面に設けられ、前記第一の位置において前記係合部と係合する第一被係合部と、前記第二の位置において前記係合部と係合する第二被係合部と、を有し、前記収容部における、前記第一被係合部及び前記第二被係合部が設けられた側面と角度を有する側面に、前記第一の位置から前記第二の位置に向かう方向に沿って切り欠きが設けられる、留置針であってもよい。
【0023】
当該構成によれば、切り欠きが設けられることにより、収容部において移動部材が移動する際に当該移動部材と接触する壁面が、中心軸から離れる方向に撓み易くなる。よって、移動部材が摺動する際に、移動部材が収容部の壁面から受ける摩擦抵抗は低減される。よって、第一の位置から第二の位置への摺動部の移動はスムーズに行われる。また、移動部材を移動方向へ付勢するバネの付勢力を低減することができる。よって、移動部材に設けられ、収容部の第一被係合部及び第二被係合部と係合する係合部が、恒常的なバネ圧によって変形することが、抑制される。その結果、留置針における安全機構の動作の確度を向上させることが可能である。
【0024】
上記一側面に係る留置針において、前記収容部において、前記係合部が当接する前記側面の内壁の少なくとも一部は、前記第一の位置から前記第二の位置に向かうにつれて前記中心軸から離れる方向に傾斜する傾斜面を有してもよい。
【0025】
当該構成によれば、収容部の内壁が滑らかに広がるため、移動部材が第一の位置から第二の位置へ移動する際に、移動部材が収容部の側面の内壁から受ける摩擦抵抗は低減される。よって、第一の位置から第二の位置への摺動部の移動はスムーズに行われる。また、移動部材を移動方向へ付勢する場合に、当該付勢する力を低減することができる。
【0026】
上記一側面に係る留置針において、前記移動部材は、前記中心軸から離れる方向に突出する又は中心軸へ近づく方向に凹むガイド部を更に有し、前記収容部はガイド部と係合する被ガイド部を更に有してもよい。
【0027】
当該構成によれば、第一被係合部から離脱した係合部が第二被係合部へ移動する時に、移動部材ががたつくことなく滑らかに移動させることができ、係合部を第二被係合部へ確実に導くことができる。
【0028】
上記一側面に係る留置針において、前記移動部材は、第一の位置において移動部材が収容部に対して先端方向へ相対移動することを防止するリブを更に有してもよい。
【0029】
当該構成によれば、係合部を介することなく、第一の位置から移動部材が収容部に対して先端方向へ相対移動することは防止される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、留置針の先端から露出した針を装置内に収容する際における装置の動作の確度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる留置針の概要の一例を示している。(A)は、留置針の正面図及び側面図を模式的に例示する。(B)は、(A)におけるA―A矢印断面図の一例である。
【
図2】
図2は、ボディの概要の一例を模式的に例示する。(A)は、ボディの斜視図の一例を示している。(B)は、ボディの断面図の一例として、
図2(A)におけるA―A矢印断面図の一例を示している。
図2(C)は、ボディの断面図の一例として、
図2(A)におけるB―B矢印断面図を示している。
【
図3】
図3は、係合部付近の部分拡大図を示している。
【
図4】
図4は、リブの概要を示している。
図4(A)は、リブが設けられるハブの斜視図を示している。
図4(B)は、リブが設けられるハブの上面図を示している。
図4(C)は、リブが設けられるハブがボディに収容された状態の断面図を示している。
【
図5】
図5は、
図1に示される留置針の初期状態を解除し、針をボディへ収容する場合の手順の一例を示している。(A)は、留置針の正面図を例示している。(B)は、(A)における断面図を示している。
【
図6】
図6は、ロック状態の概要の一例を示している。(A)は、留置針の正面図を例示している。(B)は、(A)における断面図を示している。
【
図7】
図7は、変形例に係る留置針の概要の一例を示している。(A)は、留置針の正面図及び側面図を例示する。(B)は、(A)におけるA―A矢印断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0033】
<機器構成>
図1は、本発明の実施形態にかかる留置針51の構成の一例を示している。
図1(A)は、留置針51の正面図及び側面図である。また、
図1(B)は、
図1(A)におけるA―A矢印断面図である。
図1に示されるように、留置針51は、中空状の針52と、針52を収容するボディ53と、ボディ53の内部に配置され、針52の基端を保持するハブ55と、を備える。ここで、ボディ53は、本発明の「収容部」の一例である。また、ハブ55は、本発明の「移動部材」の一例である。以下、留置針51において、
図1における左側を先端側、右側を後端側とも呼ぶ。また、
図1(B)における上下方向を各々上側、下側とも呼ぶ。また、
図1における紙面に垂直奥側を右側、紙面に垂直手前側を左側とも呼ぶ。また、
図1の使用時における留置針の状態は、以降では初期状態ともいう。また、
図5(後述する)の初期状態が解除された後に針52がボディ53に収容されている状態は、以降ではロック状態ともいう。
【0034】
図2は、留置針51を形成するボディ53の概要の一例を模式的に例示する。
図2(A)は、ボディ53の斜視図を示している。また、
図2(B)は、ボディ53の断面図の一例として、
図2(A)におけるA―A矢印断面図を示している。また、
図2(C)は、ボディ53の断面図の一例として、
図2(A)におけるB―B矢印断面図を示している。
図2に示されるように、ボディ53は、円筒状である先端部53Aと、先端部53Aの中空部分と連通する中空部分を有し、先端部53Aより後端側に位置する本体部53Bから形成される。この本体部53Bは、軸方向から見て略角丸長方形の形状の断面を有する筒状の部分である。ここで、留置針51が使用される場合、ボディ53は、
図2(C)におけるボディ53の下部が患者の皮膚と接するように当該皮膚に固定される。このように固定されることで、ボディ53が皮膚に固定された状態での針と皮膚との間の段差を小さくでき、金属針による血管への悪影響を低減することができる。また、
図2(C)に示されるようにボディ53の下面がフラットであることは、ボディ53が皮膚へ固定されている時の安定化に寄与する。また、ボディ53の側面の曲面化(R化)は、皮膚を傷つけることを抑制する。また、ボディ53は、中心軸60に沿う方向の両端が開口している。そして、両端の開口のうちの先端側の開口54は、針52及び針52の基端を保持するハブ55の先端部55Aが通過可能な大きさとなるように設けられる。
【0035】
また、ボディ53は、針52が開口54から突出した状態において、ハブ55の係合部
57(後述する)と係合し、針52を静止させる第一係合孔58を備える。第一係合孔58は、本体部53Bの先端側であって、中心軸60に対して上側及び下側の面に設けられる。また、
図2(B)に示されるように、第一係合孔58を形成する基端面70は、中心軸60へ近づく方向及びボディ53の先端方向に向かって延びている。また、基端面70には、ボディ53の先端方向に向かって延びる凸部72が設けられている。ここで、基端面70は、本発明の「第一被係合部」の一例であり、第一係合孔58は、本発明の「第一被係合部」を含んでいる。なお、凸を設けることで係合部の基端面との対向部を形成してもよいし、溝を設けることで係合部の基端面との対向部を形成してもよい。また、基端面70は、本発明の「第一被係合部の係合部基端面と対向する対向面」の一例である。
【0036】
また、ボディ53は、第一係合孔58に対して移動方向側に第二係合孔61を備える。そして、第二係合孔61を形成する基端面73は、中心軸60の方向へ、ボディ53の先端方向に向かうにつれて延びている。また、基端面73には、基端面70に設けられる凸部72と同様の凸部が設けられてもよい。ここで、基端面73は、本発明の「第二係合部」の一例であり、第二係合孔61は、本発明の「第二被係合部」を含んでいる。また、基端面73は、本発明の「第二被係合部の係合部基端面との対向面」の一例である。
【0037】
より詳細には、第二係合孔61は、本体部53Bの後端側であって、中心軸60方向に対して上側及び下側の面に設けられる。第一係合孔58及び第二係合孔61は、ボディ53における上側及び下側の壁を貫通している。また、第二係合孔61と中心軸60との距離Xが、第一係合孔58と中心軸60との距離Yよりも短くなるように、第一係合孔58及び第二係合孔61は設けられる。
【0038】
また、ボディ53は、第一係合孔58と第二係合孔61との間に移動方向に沿って形成された切り欠き65を備える。切り欠き65は、
図2(C)に示されるように、2つの第一係合孔58及び2つの第二係合孔61の両脇(ボディ53の左側及び右側の面)に位置するように、合計4つ設けられる。
【0039】
また、本実施例においては、第一係合孔58及び第二係合孔61は、本体部53Bの角丸長方形の外形における円弧状の面に上下方向に開口するように設けられているところ、切り欠き65は、第一係合孔58及び第二係合孔61が設けられる面に角度(ボディ53の中心軸回りの角度)を有する面に設けられている。より詳細には、第一係合孔58及び第二係合孔61が設けられた(開口した)面を挟む円弧状の面であって、直線状の外形を有する部分により近い面に設けられている。また、切り欠き65は、その軸が本体部53Bの外形に垂直になるように開口していてもよいし、第一係合孔58及び第二係合孔61の法線に垂直な軸を有するように開口していてもよい。
【0040】
なお、
図2(A)では、第一係合孔58及び第二係合孔61は、ボディ53の外形の異なる面に設けられているようにも見えるが、両者とも
図1における上下方向に開口しており、同一の面上に設けられている。しかしながら、本発明において、第一係合孔及び第二係合孔が設けられる面は、全く同一の面である必要はなく、両者が若干異なる面に設けられた場合には、第一係合孔及び第二係合孔が設けられる面とは、これら二つの面で決められる領域に含まれる面を示す。
【0041】
また、ボディ53は、本体から分岐し、係合部57をボディ53の中心軸60へ近づく方向へ向かって押圧する押圧アーム66を備える。ここで、押圧アーム66は、本発明の「押圧部材」の一例であり、ボディ53との結合部62を固定端として、中心軸60へ近づく方向へ撓ませることが可能である。また、押圧アーム66の先端には、中心軸60へ近づく方向に突出する押圧部64が設けられている。押圧部64は、押圧アーム66が中心軸60へ近づく方向へ撓むことにより中心軸60へ近づく方向へ変位する。
【0042】
また、係合部57は、移動する際にボディ53の本体部53Bの内側面68と当接するが(詳細は後述する)、当該内側面68における先端側の一部の領域には、移動方向へ向かうにつれて中心軸60から離れる方向に傾斜する傾斜面67が形成されている。中心軸60と内側面68との距離は、第一係合孔58の基端壁と中心軸60との距離及び第二係合孔61の基端壁と中心軸60との距離よりも長い。また、ボディ53の形状は、中心軸60と内側面68の一部分との距離が、第一係合孔58と中心軸60との距離及び第二係合孔61と中心軸60との距離よりも長い形状であってもよい。
【0043】
一方、ハブ55は、
図1に示されるように、移動方向に延び、当該方向の両端が開口している中空の部材である。ハブ55は、先端側に位置して針52を支持する先端部55Aと、先端部55Aより後端側に位置する本体部55Bと、本体部55Bからさらに後端側に位置する後端部55Cとから形成される。そして、針52は、その基端部分がハブ55の先端部55Aの開口に嵌入された状態でハブ55に対して固定される。つまり、ハブ55の中空部分と、針52の中空部分とは、連通することとなる。このように、針52とハブ55とが連通することにより、例えばハブ55の後端部55Cから薬液を供給することで、薬液がハブ55及び針52の中空部分を介して患者の体内に供給される。
【0044】
また、ハブ55は、本体部55Bから分岐し、先端方向に延び出る可撓性の延出部分56を備える。そして、延出部分56の先端には、中心軸60から離れる方向に突出し、第一係合孔58及び第二係合孔61と係合可能な係合部57が設けられている。ここで、係合部57は、中心軸60から見てボディ53の内側面68よりもより離れて位置することが可能で、第一係合孔58及び第二係合孔61と係合した状態となる。なお、係合部57が第一係合孔58と係合した状態におけるハブ55の位置は本実施例において第一の位置に相当する。また、係合部57が第二係合孔61と係合した状態におけるハブ55の位置は第二の位置に相当する。
【0045】
また、
図3は、本体部55Bの係合部57付近の部分拡大図を例示している。
図3に示されるように、係合部57の自由端はその先端面74が中心軸60から離れる方向に向かって突出した形状を有している。また、係合部57の基端面75には先端方向に凹む凹部76が設けられている。基端面75は、初期状態において第一係合孔58の基端面70と面接触して係合する。また、係合時には、凹部76が、基端面70に設けられた凸部72と係合する。また、基端面75は、ロック状態において第二係合孔61の基端面73と面接触して係合する。基端面75は、本発明の「係合部基端面」の一例である。
【0046】
また、延出部分56は、例えば係合部57が中心軸60から離れる方向から中心軸60へ近づく方向へ押圧された場合に、ハブ55の本体との結合部63を固定端として中心軸60の方向へ撓む。このことにより、係合部57は、中心軸60の方向に移動し、第一係合孔58及び第二係合孔61との係合を解除することが可能となっている。
【0047】
また、ハブ55は、その本体部55Bに中心軸60から離れる方向に突出するリブ69を備える。
図4は、リブ69の概要を示している。
図4(A)は、リブ69が上方向に突出するように置いた場合のハブ55の斜視図を示している。また、
図4(B)は、リブ69が上方向に突出するように置いた場合のハブ55の上面図を示している。また、
図4(C)は、
図4(B)におけるX-X矢印断面図であって、ボディ53に収容された状態のハブ55を示している。
図4に示されるように、リブ69は、中心軸60から離れる方向に突出している。そして、リブ69は、中心軸60に沿うように設けられる。なお、リブ69はハブの上面に設けているが、ハブの下面に設けることもできる。一方、ボディ53の本体部53Bの内面には、リブ69を案内する溝79が形成されている。そして、リブ69と溝79とは当接している。また、溝79の先端には、移動方向に対して垂直に先端
壁80が設けられる。そして、リブ69の先端は、先端壁80に当接している。よって、ハブ55が移動方向へ移動する時には、該ハブ55はボディ53の本体部53Bの内面に形成された溝79とリブ69によりガイドされる。これにより、係合部57を第二係合孔61に確実に導くことができる。また、リブ69の先端は、先端壁80に当接しているため、ハブ55が初期状態からボディ53に対して先端方向に移動しないように相対移動を防止する。なお、先端壁80は、初期状態におけるリブ69の先端位置から先端方向に所定距離離れた位置に設けられてもよい。このような構造の場合、ハブ55が初期状態からボディ53に対して先端方向に移動することは許容されるが、係合部57の先端面74がボディに当たらない乃至当たりにくいような構成が好ましい。このようにすることで、係合部57がボディに当たり、変形、損傷を受けてしまう事態を防止することができる。ここで、リブ69は、本発明の「ガイド部」の一例である。また、本体部53Bの内面であって、
図4(C)における上面及び下面には、溝79の替わりに中心軸60に近づく方向に貫通する孔が設けられてもよい。また、ハブ55の外面に溝を設け、ボディ53の内面に突出部を設けてもよい。
【0048】
また、留置針51は、ハブ55を移動方向へ付勢するコイルバネ59を備える。つまり、係合部57は、コイルバネ59によって移動方向に付勢されている。
【0049】
<収容フローの説明>
次に、留置針51の針52がボディ53へ収容される流れを説明する。
図5は、
図1に示される留置針51の初期状態を解除し、針52をボディ53へ収容してロック状態に移行する場合の手順の一例を示している。
図5(A)は、留置針51の正面図及び側面図を例示している。また、
図5(B)は、
図5(A)における断面図を示している。
【0050】
図5に示されるように、まず、ユーザが押圧アーム66に対し中心軸60へ近づく方向へ力を作用させることにより押圧アーム66が撓み、押圧部64と係合部57とが接触する。そして、係合部57は、そのまま押圧部64によって中心軸60へ近づく方向へ向かって押圧される。この時、係合部57の凹部76とボディ53の凸部72とは係合している。よって、中心軸60へ近づく方向への所定以上の力が係合部57に作用しないと、凸部72は凹部76から離脱しない。中心軸60へ近づく方向への所定以上の力が係合部57に作用する場合、凸部72が凹部76から離脱し、延出部分56が結合部63を固定端として中心軸60へ近づく方向へ撓むことになる。その後、係合部57全体が第一係合孔58から離脱する。ここで、係合部57が第一係合孔58から離脱するとき、係合部57の先端面74は、中心軸60から離れる方向に向かうにつれて先端側に向かうような傾斜面を有しているため、ハブ55の本体部55Bと接触することは抑制される。また、ハブ55は、コイルバネ59により移動方向へ付勢されているため、係合部57が第一係合孔58から離脱することにより、ハブ55は、先端側から後端側に向けて移動する。その際、係合部57には、中心軸60から離れる方向に復元する弾性力が働くため、係合部57は、ボディ53の内側面と当接しながら移動方向へ移動することになる。
【0051】
ここで、係合部57がボディ53の内側面と当接しながら移動方向へ移動する時、係合部57は、まずボディ53の傾斜面67を摺動することになる。ここで、傾斜面67は、
図2(B)に示されるように移動方向へ向かうにつれて中心軸60から離れる方向に傾斜している。よって、係合部57が傾斜面67を摺動する際に、傾斜面67から係合部57へ加わる摩擦力は徐々に低減されることになる。その後、係合部57は、傾斜面67よりも後端側に位置する内側面68(
図2(B),(C)参照)と当接しながら移動し、第二係合孔61へ到達する。係合部57が第二係合孔61へ到達すると、撓んだ状態の延出部分56の復元力により、係合部57は第二係合孔61へ嵌り、第二係合孔61と係合したロック状態となる。
【0052】
また、留置針51は、切り欠き65が、本体部53Bにおける第一係合孔58及び第二係合孔61が設けられる面を挟む面に移動方向に沿って設けられている。係合部57がボディ53の傾斜面67を含む内側面68を摺動している時に、傾斜面67を含む内側面68は、中心軸60から離れる方向へ膨らむように撓むことになる(
図5(B)中の矢印)。このことによっても、係合部57が内側面68を摺動する際に、内側面68から係合部57へ加わる摩擦力は低減される。なお、切り欠き65は、係合部57がボディ53の傾斜面67を含む内側面68を摺動している時に、内側面68が撓み易いように、第一係合孔58及び第二係合孔61に充分に近い位置に設けられる。
【0053】
図6は、ロック状態の概要の一例を示している。
図6(A)は、留置針51の正面図及び側面図を示している。また、
図6(B)は、
図6(A)における断面図を示している。
図6に示されるように、ロック状態においては、針52は、ボディ53の内部へ収容された状態となる。
【0054】
ここで、ロック状態においても、ハブ55は、コイルバネ59により移動方向へ付勢される。しかしながら、第二係合孔61と中心軸60との距離Xが、第一係合孔58と中心軸60との距離Yよりも短くなるように、第二係合孔61は設けられている。よって、係合部57と第二係合孔61との係り量を大きくすることができ、ロック状態において、係合部57が第二係合孔61から離脱することを抑制することができる。
【0055】
[作用・効果]
上記のような留置針51によれば、ハブ55に設けられた延出部分56が中心軸60へ近づく方向へ撓むことにより、係合部57は第一係合孔58から離脱する。そして、ハブ55は、コイルバネ59による移動方向への付勢力によって、移動方向に移動することになる。その際、離脱した係合部57は、ボディ53の内側面68と当接しながら移動し、第二係合孔61へ到達し、第二係合孔61と係合する。ここで、第二係合孔61と中心軸60との距離Xが、第一係合孔58と中心軸60との距離Yよりも短い。よって、第一の位置において延出部分56は、自然状態又はコイルバネ59の圧力により中心軸60へ近づく方向へ若干撓んだ状態となる。一方、第二の位置において延出部分56は、第一の位置と比較して、中心軸60へ近づく方向へより撓んだ状態となる。つまり、第一の位置においては、延出部分56は過度に撓んでおらず、係合部57への負荷は抑制される。よって、ユーザは係合部57を第一係合孔58から離脱させるために係合部57を過度に押圧せずに済むため、針52をロック状態に移行することは比較的簡易に実行可能である。一方、第二係合孔61と一旦係合した係合部57には、第一係合孔58と係合する場合よりも中心軸60から離れる方向へ強い復元力が作用する。よって、係合部57が第二係合孔61から簡易に離脱されることは抑制される。よって、初期状態からロック状態に移行する際に、針52及びハブ55がボディ53へ収容される確度は向上する。なお、第二の位置において、係合部は第二係合孔61内に収容されていることが好ましい。係合部が第二係合孔61外に延びていると外部から係合部を押圧できてしまい、安全性の観点で好ましくない。
【0056】
また、上記のような留置針51によれば、初期状態においてコイルバネ59により長時間付勢されることにより、係合部57または延出部分56が中心軸60へ近づく方向へ寄った形に塑性変形された場合であっても、係合部57と第二係合孔61との係り量が大きくとられているため、係合部57が第二係合孔61から離脱されることは抑制される。よって、針52及びハブ55がボディ53へ収容される確度は向上する。
【0057】
また、上記のような留置針51によれば、初期状態において係合部57の凹部76とハブ55の凸部72とが係合している。よって、例えばユーザが針52をボディ53へ収容する意図がなく係合部57を誤って中心軸60へ近づく方向へ押圧した場合であっても、
係合部57が第一係合孔58から離脱することは抑制される。また、凹部76と凸部72との係合により、コイルバネ59のバネ圧により、係合部57が中心軸60へ近づく方向へ変形してしまうことが防止される。
【0058】
また、上記のような留置針51によれば、初期状態において係合部57が第一係合孔58と係合している時に、第一係合孔58の基端面70は、ボディ53の基端面75と面接触している。よって、コイルバネ59の付勢力を基端面75で受けることができ、恒常的なコイルバネ59の圧力による係合部57の破損等の損傷は低減される。
【0059】
また、上記のような留置針51によれば、切り欠き65が、第一係合孔58及び第二係合孔61が設けられる面を挟む面に移動方向に沿って設けられている。よって、ハブ55がボディ53の内側面68を摺動する際に、傾斜面67又は内側面68が、中心軸60から離れる方向に撓みやすくなる。よって、ハブ55の係合部57が、ボディ53の傾斜面67又は内側面68から受ける摩擦抵抗は低減される。
【0060】
また、ハブ55の係合部57が、ボディ53の傾斜面67又は内側面68から受ける摩擦抵抗が低減されることで、コイルバネ59の付勢力を低減することができ、係合部57または延出部分56が中心軸60へ近づく方向へ寄った形に塑性変形すること自体を抑制できる。このことからも、第二係合孔61と一旦係合した係合部57が、第二係合孔61から離脱されることは抑制され、針52及びハブ55がボディ53へ収容される確度は向上する。
【0061】
また、中心軸60と内側面68との距離は、第一係合孔58と中心軸60との距離及び第二係合孔61と中心軸60との距離よりも長い。よって、係合部57は第一係合孔58から離脱する時に一旦中心軸60へ近づく方向へ撓むが、内側面68と当接している時には当該撓み量は少なくなる。つまり、中心軸60から離れる方向へ付勢する付勢力が係合部57に作用する度合いは低減される。このことからも、係合部57が移動方向へ移動する際に、内側面68から係合部57へ作用する摩擦抵抗は低減されることになる。
【0062】
また、係合部57は自由端であるから、ハブ55がボディ53の内部を移動方向へ移動する時に、係合部57は内側面68に沿ってスムーズに移動する。よって、係合部57の移動ががたつくことは抑制され、針52及びハブ55を移動させるために必要な移動距離を小さくすることができる。また、係合部57の先端面74は中心軸から離れる方向へ突出した形状を有している。よって、
図6に示されるように、ロック状態において係合部57と第二係合孔61の先端壁78とは対向する状態となる。よって、ロック状態においてハブ55に先端方向へ移動する力が作用する場合であっても、ハブ55が先端壁78と接触することによりハブ55が先端方向に移動することは抑制される。
【0063】
また、上記のような留置針51によれば、第二係合孔61を形成する基端面73は、中心軸60へ近づく方向へ、ボディ53の先端方向に向かうにつれて延びている。よって、ロック状態において係合部57が第二係合孔61から離脱することは抑制される。よって、針52及びハブ55が基端方向に移動し、当該基端方向に設けられたボディ53の開口から抜け落ちることは抑制される。
【0064】
また、上記の実施形態では、ボディ53の先端部53Aは円筒状の形状を有し、本体部53Bは上下方向に長い角丸長方形の断面を有する筒状の部材であったが、ボディ53の形状はこれに限定されない。ボディ53は、先端部53A及び本体部53Bが針52及びハブ55を収容可能な中空部分を備える形状であればよく、例えば角が面取りされた直方形や長円でもよい。また、切り欠き65の個数は限定されない。また、切り欠き65の位置は、ハブ55がボディ3の内側面68を摺動する際に、ボディ53の傾斜面67または
内側面68が中心軸60から離れる方向へ撓むように設けられていればよい。
【0065】
<変形例>
図7は、変形例に係る留置針51Aの概要を示している。
図7(A)は、留置針51Aの正面図及び側面図である。また、
図7(B)は、
図7(A)におけるA―A矢印断面図である。留置針51Aのハブ55には、
図4に示されるようなリブ69が設けられていない。このような留置針51Aは、意図せず係合部57が中心軸60に近づく方向へ押されて移動した時に、係合部57が第一係合孔58の先端壁に勢いよく当たり、係合部57が損傷を受ける可能性が考えられる。この場合、ハブ55がコイルバネ59により初期位置に戻された時に、凹部76に凸部72が係合されず、初期位置における係合部57の安定性が損なわれる可能性が考えられる。そこで、留置針51Aにおいては、第一係合孔58の先端壁81の外面が一部切り欠かれている。このような留置針51Aによれば、係合部57が中心軸60に近づく方向へ押圧される時に係合部57が第一係合孔58の先端壁81に接触することは抑制される。よって、係合部57が初期位置から先端方向に移動されて、再び初期位置に戻った場合でも、係合部57の凹部76と凸部72との係合が安定して行われる。なお、第一係合孔58の先端壁81の外面の一部切り欠きは成形性の観点から外面が基端に向かって中心軸に近づく方向にテーパーするテーパー状となるようにしてもよい。
【0066】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【符号の説明】
【0067】
1・・留置針;2・・針;3・・ボディ;3B・・本体部;4・・開口;5・・ハブ;5A・・先端部;5B・・本体部;6・・延出部分;7・・係合部;8・・第一係合孔;9・・コイルバネ;10・・中心軸;11・・第二係合孔;14・・押圧部;15・・押圧アーム;16・・内側面;51・・留置針;52・・針;53・・ボディ;53A・・先端部;53B・・本体部;54・・開口;55・・ハブ;55A・・先端部;55B・・本体部;55C・・後端部;56・・延出部分;57・・係合部;58・・第一係合孔;59・・コイルバネ;60・・中心軸;61・・第二係合孔;62・・結合部;63・・結合部;64・・押圧部;65・・切り欠き;66・・押圧アーム;67・・傾斜面;68・・内側面;69・・リブ;70・・基端面;72・・凸部;73・・基端面;74・・先端面;75・・基端面;76・・凹部;78・・先端壁;79・・溝;先端壁80;先端壁81