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特開2024-87008半導体プロセス監視装置及び半導体プロセス監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087008
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】半導体プロセス監視装置及び半導体プロセス監視方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240621BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240621BHJP
   G01N 21/68 20060101ALI20240621BHJP
   G01J 3/36 20060101ALI20240621BHJP
   G01J 3/443 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01L21/302 103
H04N25/70
G01N21/68
G01J3/36
G01J3/443
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069880
(22)【出願日】2024-04-23
(62)【分割の表示】P 2024512114の分割
【原出願日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2022194694
(32)【優先日】2022-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】井口 和也
(72)【発明者】
【氏名】増岡 英樹
(72)【発明者】
【氏名】大塚 賢一
(57)【要約】
【課題】計測光の強度を高ダイナミックレンジで且つ高精度に計測することで、半導体プロセスを高精度に監視できる半導体プロセス監視装置及び半導体プロセス監視方法を提供する。
【解決手段】分光部3は、チャンバ81からの計測光L1を第1の方向に波長分解すると共に、第1の方向に交差する第2の方向に波長毎の分光像を結像させ、検出部4は、第2の方向に分割された第1の画素領域及び第2の画素領域を有し、判断部6は、第1の画素領域において第1の露光時間で得られた第1のスペクトルデータに基づいて半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、第2の画素領域において第1の露光時間よりも長い第2の露光時間で得られた第2のスペクトルデータに基づいて半導体プロセスの終点を判断する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバからの計測光を分光する分光部と、
前記分光部によって分光された前記計測光の分光像を検出する検出部と、
前記計測光の分光像の検出結果から得られたデータに基づいて、前記チャンバ内での半導体プロセスの進行状況を判断する判断部と、を備え、
前記分光部は、前記計測光を第1の方向に波長分解すると共に、前記第1の方向に交差する第2の方向に波長毎の分光像を結像させ、
前記検出部は、前記第2の方向に分割された第1の画素領域及び第2の画素領域を有し、
前記判断部は、前記第1の画素領域において第1の露光時間で得られた第1のスペクトルデータに基づいて前記半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、前記第2の画素領域において前記第1の露光時間よりも長い第2の露光時間で得られた第2のスペクトルデータに基づいて前記半導体プロセスの終点を判断する半導体プロセス監視装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記第1のスペクトルデータの長波長領域において所定の波長に第1のピークが出現したか否かに基づいて、前記半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、前記第2のスペクトルデータの短波長領域において所定の波長に第2のピークが出現した場合に、前記半導体プロセスの終点を判断する請求項1記載の半導体プロセス監視装置。
【請求項3】
前記第1のスペクトルデータの長波長領域における所定の波長は、600nm~800nmであり、前記第2のスペクトルデータの短波長領域における所定の波長は、300nm~400nmである、請求項2記載の半導体プロセス監視装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記第1のスペクトルデータの長波長領域及び前記第2のスペクトルデータの短波長領域において所定の波長に前記第1のピークが出現したか否かに基づいて、前記半導体プロセスにおける異常の有無を判断する請求項2記載の半導体プロセス監視装置。
【請求項5】
前記判断部は、前記第2のスペクトルデータの短波長領域においてピークが発生していない波長域において、前記第2のピークが出現した場合に、前記半導体プロセスの終点を判断する請求項2記載の半導体プロセス監視装置。
【請求項6】
前記検出部は、
前記第1の画素領域の各列で生成された電荷が転送される第1の水平シフトレジスタと、
前記第2の画素領域の各列で生成された電荷が転送される第2の水平シフトレジスタと、を有するCCD光検出器である請求項1~5のいずれか一項記載の半導体プロセス監視装置。
【請求項7】
前記検出部は、
前記第1の画素領域の各列で生成された電荷が蓄積される第1の蓄積部と、
前記第2の画素領域の各列で生成された電荷が蓄積される第2の蓄積部と、
前記第1の蓄積部で蓄積された電荷の大きさに応じた各列の電気信号を出力する第1の読出部と、
前記第2の蓄積部で蓄積された電荷の大きさに応じた各列の電気信号を出力する第2の読出部と、を有するCCD光検出器である請求項1~5のいずれか一項記載の半導体プロセス監視装置。
【請求項8】
前記検出部は、
前記第1の画素領域の各画素で蓄積された電荷の大きさに応じた電気信号を出力する第1の読出部と、
前記第2の画素領域の各画素で蓄積された電荷の大きさに応じた電気信号を出力する第2の読出部と、を有するCMOS光検出器である請求項1~5のいずれか一項記載の半導体プロセス監視装置。
【請求項9】
前記第1の画素領域の前記第1の露光時間は、電子シャッタによって制御される請求項1~5のいずれか一項記載の半導体プロセス監視装置。
【請求項10】
前記第1のスペクトルデータの長波長領域のデータと、前記第2のスペクトルデータの短波長領域のデータとを結合して前記判断部に出力する生成部を更に備える請求項1~5のいずれか一項記載の半導体プロセス監視装置。
【請求項11】
チャンバからの計測光を分光する分光ステップと、
前記分光ステップによって分光された前記計測光の分光像を検出する検出ステップと、
前記計測光の分光像の検出結果から得られたデータに基づいて、前記チャンバ内での半導体プロセスの進行状況を判断する判断ステップと、を備え、
前記分光ステップでは、前記計測光を第1の方向に波長分解すると共に、前記第1の方向に交差する第2の方向に波長毎の分光像を結像させ、
前記検出ステップでは、前記第2の方向に分割された第1の画素領域及び第2の画素領域を有する光検出器において、前記分光像を検出し、
前記判断ステップでは、前記第1の画素領域において第1の露光時間で得られた第1のスペクトルデータに基づいて前記半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、前記第2の画素領域において前記第1の露光時間よりも長い第2の露光時間で得られた第2のスペクトルデータに基づいて前記半導体プロセスの終点を判断する半導体プロセス監視方法。
【請求項12】
前記判断ステップでは、前記第1のスペクトルデータの長波長領域において所定の波長に第1のピークが出現したか否かに基づいて、前記半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、前記第2のスペクトルデータの短波長領域において所定の波長に第2のピークが出現した場合に、前記半導体プロセスの終点を判断する請求項11記載の半導体プロセス監視方法。
【請求項13】
前記第1のスペクトルデータの長波長領域における所定の波長は、600nm~800nmであり、前記第2のスペクトルデータの短波長領域における所定の波長は、300nm~400nmである、請求項12記載の半導体プロセス監視方法。
【請求項14】
前記判断ステップでは、前記第1のスペクトルデータの長波長領域及び前記第2のスペクトルデータの短波長領域において所定の波長に前記第1のピークが出現したか否かに基づいて、前記半導体プロセスにおける異常の有無を判断する請求項12記載の半導体プロセス監視方法。
【請求項15】
前記判断ステップでは、前記第2のスペクトルデータの短波長領域においてピークが発生していない波長域において、前記第2のピークが出現した場合に、前記半導体プロセスの終点を判断する請求項12記載の半導体プロセス監視方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体プロセス監視装置及び半導体プロセス監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分光測定は、対象物で生じた計測光の分光像を検出し、分光像のスペクトルデータに基づいて対象物の分析を行う技術である。分光測定では、対象物の種類などによっては、高ダイナミックレンジのスペクトルを取得することが要求される場合がある(特許文献1参照)。例えば、プラズマプロセスにより対象物をドライエッチングする工程では、エッチングに使用するガスに起因する光が発生し、また、エッチング対象物の材料に起因する光も発生する。このような半導体プロセスにおいて、ガス起因の光の波長域と材料起因の光の波長域とは、互いに異なる傾向がある。また、材料起因の光の強度は、ガス起因の光の強度に比べて微弱である傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-118477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の半導体デバイスの微細化や積層化に伴い、半導体プロセスにて対象物で生じる計測光の強度は、より微弱化する傾向にある。そのため、半導体プロセスを高精度に監視するためには、計測光の強度を高ダイナミックレンジで且つ高精度に計測することが重要となる。
【0005】
本開示では、計測光の強度を高ダイナミックレンジで且つ高精度に計測することで、半導体プロセスを高精度に監視できる半導体プロセス監視装置及び半導体プロセス監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る半導体プロセス監視装置は、チャンバからの計測光を分光する分光部と、分光部によって分光された計測光の分光像を検出する検出部と、計測光の分光像の検出結果から得られたデータに基づいて、チャンバ内での半導体プロセスの進行状況を判断する判断部と、を備え、分光部は、計測光を第1の方向に波長分解すると共に、第1の方向に交差する第2の方向に波長毎の分光像を結像させ、検出部は、第2の方向に分割された第1の画素領域及び第2の画素領域を有し、判断部は、第1の画素領域において第1の露光時間で得られた第1のスペクトルデータに基づいて半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、第2の画素領域において第1の露光時間よりも長い第2の露光時間で得られた第2のスペクトルデータに基づいて半導体プロセスの終点を判断する。
【0007】
この半導体プロセス監視装置では、第1の画素領域において第1の露光時間で得られた第1のスペクトルデータに基づいて半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、第2の画素領域において第1の露光時間よりも長い第2の露光時間で得られた第2のスペクトルデータに基づいて半導体プロセスの終点を判断する。この半導体プロセス監視装置では、互いに露光時間の異なる第1の画素領域及び第2の画素領域での計測光の分光像の検出を組み合わせることで、計測光の分光像の強度を高ダイナミックレンジで且つ高精度に計測できる。したがって、半導体プロセスにおいて、比較的強度が高いガス起因の計測光と、比較的強度が低い材料起因の計測光とが混在している場合であっても、半導体プロセスにおける異常の有無及びプロセスの終点を高精度に監視することが可能となる。
【0008】
第1の画素領域では、第1の露光時間が第1の画素領域における第1のフレーム時間よりも短く設定され、第2の画素領域では、第2の露光時間が第2の画素領域における第2のフレーム時間と同じ時間に設定されてもよい。このような構成により、互いに露光時間の異なる第1の画素領域及び第2の画素領域での計測光の分光像の検出を組み合わせることで、計測光の分光像の強度を高ダイナミックレンジで且つ高精度に計測できる。したがって、半導体プロセスにおいて、比較的強度が高いガス起因の計測光と、比較的強度が低い材料起因の計測光とが混在している場合であっても、半導体プロセスにおける異常の有無及びプロセスの終点を高精度に監視することが可能となる。
【0009】
第1の画素領域では、計測光の少なくとも長波長領域で計測光が飽和しないように第1の露光時間が設定され、第2の画素領域では、計測光の少なくとも短波長領域で計測光が飽和しないように第2の露光時間が設定されていてもよい。このような構成により、長波長領域において、比較的強度が高いガス起因の計測光を飽和させずに第1のスペクトルデータを取得できる。また、短波長領域において、比較的強度が低い材料起因の計測光に関する第2のスペクトルデータを良好なSN比で取得できる。したがって、半導体プロセスにおける異常の有無及びプロセスの終点の監視精度を更に高めることができる。
【0010】
生成部は、第1のスペクトルデータの長波長領域のデータと、第2のスペクトルデータの短波長領域のデータとを結合して判断部に出力してもよい。このような構成により、監視対象の波長域の全体にわたって広いダイナミックレンジで計測光のスペクトルデータを生成できる。これにより、異常の有無の判断及びプロセスの終点の判断を簡便且つ精度良く行うことができる。
【0011】
判断部は、第1のスペクトルデータの長波長領域において所定の波長に第1のピークが出現したか否かに基づいて、半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、第2のスペクトルデータの短波長領域において所定の波長に第2のピークが出現した場合に、半導体プロセスの終点を判断してもよい。半導体プロセスにおける材料起因の計測光及びガス起因の計測光のピークの出現傾向に応じた判断を行うことで、半導体プロセスにおける異常の有無及びプロセスの終点の監視精度を更に高めることができる。
【0012】
検出部は、第1の画素領域の各列で生成された電荷が転送される第1の水平シフトレジスタと、第2の画素領域の各列で生成された電荷が転送される第2の水平シフトレジスタと、を有するCCD光検出器であってもよい。このような構成により、CCD光検出器を用いることで、各列の画素で生じた電荷を読み出す際の読み出しノイズの増加を回避できる。
【0013】
検出部は、第1の画素領域の各列で生成された電荷が蓄積される第1の蓄積部と、第2の画素領域の各列で生成された電荷が蓄積される第2の蓄積部と、第1の蓄積部で蓄積された電荷の大きさに応じた各列の電気信号を出力する第1の読出部と、第2の蓄積部で蓄積された電荷の大きさに応じた各列の電気信号を出力する第2の読出部と、を有するCCD光検出器であってもよい。このような構成においても、CCD光検出器を用いることで、各列の画素で生じた電荷を読み出す際の読み出しノイズの増加を回避できる。
【0014】
検出部は、第1の画素領域の各画素で蓄積された電荷の大きさに応じた電気信号を出力する第1の読出部と、第2の画素領域の各画素で蓄積された電荷の大きさに応じた電気信号を出力する第2の読出部と、を有するCMOS光検出器であってもよい。このような構成により、例えば、列ごとに電荷の読み出しを行うCCD光検出器に比べ消費電力を低く抑えることができる。
【0015】
第1の画素領域の第1の露光時間は、電子シャッタによって制御されてもよい。このような構成により、第2の露光時間を短く設定し、且つ第1の露光時間を第2の露光時間に比べて十分に短く設定する場合でも、第1の露光時間を精度良く調整できる。第1の露光時間を第2の露光時間に対して十分に短くすることで、計測のダイナミックレンジを一層十分に高めることが可能となる。
【0016】
本開示の一側面に係る半導体プロセス監視方法は、チャンバからの計測光を分光する分光ステップと、分光ステップによって分光された計測光の分光像を検出する検出ステップと、計測光の分光像の検出結果から得られたデータに基づいて、チャンバ内での半導体プロセスの進行状況を判断する判断ステップと、を備え、分光ステップでは、計測光を第1の方向に波長分解すると共に、第1の方向に交差する第2の方向に波長毎の分光像を結像させ、検出ステップでは、第2の方向に分割された第1の画素領域及び第2の画素領域を有する光検出器において、分光像を検出し、判断ステップでは、第1の画素領域において第1の露光時間で得られた第1のスペクトルデータに基づいて半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、第2の画素領域において第1の露光時間よりも長い第2の露光時間で得られた第2のスペクトルデータに基づいて半導体プロセスの終点を判断する。
【0017】
この半導体プロセス監視方法では、第1の画素領域において第1の露光時間で得られた第1のスペクトルデータに基づいて半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、第2の画素領域において第1の露光時間よりも長い第2の露光時間で得られた第2のスペクトルデータに基づいて半導体プロセスの終点を判断する。この半導体プロセス監視装置では、互いに露光時間の異なる第1の画素領域及び第2の画素領域での計測光の分光像の検出を組み合わせることで、計測光の分光像の強度を高ダイナミックレンジで且つ高精度に計測できる。したがって、半導体プロセスにおいて、比較的強度が高いガス起因の計測光と、比較的強度が低い材料起因の計測光とが混在している場合であっても、半導体プロセスにおける異常の有無及びプロセスの終点を高精度に監視することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、計測光の強度を高ダイナミックレンジで且つ高精度に計測することで、半導体プロセスを高精度に監視できる半導体プロセス監視装置及び半導体プロセス監視方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一実施形態に係る半導体プロセス監視装置の構成を示すブロック図である。
図2図1に示された検出部の構成を示す図である。
図3】検出部を構成するCCD光検出器の一例を示す図である。
図4図4(a)は、図3に示された検出部における第1の画素領域の動作例を示すタイミングチャートである。図4(b)は、図3に示された検出部における第2の画素領域の動作例を示すタイミングチャートである。
図5】検出部を構成するCCD光検出器の別例を示す図である。
図6】検出部を構成するCCD光検出器の別例を示す図である。
図7図7(a)は、図5及び図6に示された検出部における第1の画素領域の動作例を示すタイミングチャートである。図7(b)は、図5及び図6に示された検出部における第2の画素領域の動作例を示すタイミングチャートである。
図8】検出部を構成するCMOS光検出器の一例を示す図である。
図9図9(a)は、図8に示された検出部における第1の画素領域の動作例を示すタイミングチャートである。図9(b)は、図8に示された検出部における第2の画素領域の動作例を示すタイミングチャートである。
図10】本開示の一実施形態に係る半導体プロセス監視方法を示すフローチャートである。
図11】本開示の一実施形態に係る半導体プロセス監視方法を示す詳細なフローチャートである。
図12】第1のスペクトルデータの一例を示す図である。
図13】第2のスペクトルデータの一例を示す図である。
図14】計測光のスペクトルデータの生成について説明するための図である。
図15】本開示の一実施形態に係る半導体プロセス監視方法を示す詳細なフローチャートである。
図16図16(a)は、異常無の場合のスペクトルデータを示す図である。図16(b)は、異常有の場合のスペクトルデータを示す図である。
図17図17(a)は、半導体プロセスの継続を判断する場合のスペクトルデータを示す図である。図17(b)は、半導体プロセスの終点を判断する場合のスペクトルデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本開示の一実施形態に係る半導体プロセス監視装置及び半導体プロセス監視方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態に係る半導体プロセス監視装置1の構成を示すブロック図である。半導体プロセス監視装置1は、導光部2と、分光部3と、検出部4と、生成部5と、判断部6とを備えている。生成部5及び判断部6は、物理的には、例えばCPU等のプロセッサ、RAM、ROM等の記憶媒体を備えるコンピュータ7である。コンピュータ7は、表示部や入力部を一体に備えたスマートフォン或いはタブレット端末などのスマートデバイスであってもよい。コンピュータ7は、マイコンやFPGA(Field-Programmable Gate Array)で構成されていてもよい。半導体プロセス監視装置1は、計測対象となるドライエッチング装置8から到達した計測光L1のスペクトルデータを生成し、スペクトルデータに基づいた制御を行う。
【0022】
ドライエッチング装置8は、ドライエッチングプロセスで使用される装置である。ドライエッチング装置8は、チャンバ81と、監視窓82とを有している。監視窓82は、例えば、無色透明のガラスであり、チャンバ81の側壁に嵌め込まれている。ドライエッチング装置8の操作者は、チャンバ81内に基板Wを搬入し、チャンバ81内にエッチングガスを流入させ、プラズマPLを発生させる。プラズマPLによって基板Wのエッチングが行われる。ドライエッチング装置8からの計測光L1は、監視窓82を介して外部に出力される。計測光L1は、エッチングに使用するガスに起因する光、及び基板Wの材料に起因する光を含んでいる。詳細については後述するが、ガスに起因する光は、比較的長波長の波長領域に出現し、且つ比較的強度が高い傾向がある。材料に起因する光は、比較的短波長の波長領域に出現し、比較的強度が低い傾向がある。
【0023】
導光部2は、ドライエッチング装置8から入射した計測光L1を後段の分光部3に導光する。導光部2は、例えば光ファイバである。導光部2は、単芯の光ファイバであってもよいし、複数の光ファイバが結束されたバンドルファイバであってもよい。導光部2は、入射端2aと、出射端2bとを有している。計測光L1は、入射端2aに入射し、出射端2bから出射される。入射端2aは、ドライエッチング装置8の監視窓82と対向しており、監視窓82から所定の間隔を空けて配置されている。出射端2bは、分光部3と対向しており、分光部3と例えばコネクタを介して光学的に接続されている。
【0024】
分光部3は、導光部2によって導光された計測光L1を分光し、分光像を検出部4の画素領域上に形成する。分光部3は、グレーティング又はプリズム等の分光素子によって計測光L1を各波長成分に分光する。分光部3としては、結像性の良好な分光器が用いられる。分光部3を構成する分光器としては、例えば非点収差補正が可能なツェルニターナ型分光器、ダイソン型分光器、オフナー型分光器などが挙げられる。分光部3は、計測光L1を分光像の波長軸と平行な第1の方向に波長分解すると共に、第1の方向に交差する第2の方向に波長毎の分光像を検出部4の画素領域41に結像させる。
【0025】
検出部4は、分光部3によって分光された計測光L1を検出する。図2は、図1に示された検出部4の構成を示す図である。検出部4は、図2に示すように、分光像Pを撮像する画素領域41を有している。画素領域41では、複数の画素42が行方向及び列方向に配列されている。図2の例では、第1の方向に対応する行方向は、分光部3による分光像Pの波長分解方向に沿っており、第2の方向に対応する列方向は、各画素42の電荷転送方向に沿っている。各画素42は、波長分解された分光像Pを受光し、光の強度に応じた電荷を発生及び蓄積する。図2の例では、分光像Pは、5つの分光像Pとして、行方向に沿って互いに離間した状態で結像している。分光像Pは、いずれも画素42の列方向に直線状に延在している。
【0026】
図2の例では、画素領域41は、行方向の画素数が列方向の画素数よりも多い横長の長方形状の領域をなしている。画素領域41は、列方向に分割された第1の画素領域41A及び第2の画素領域41Bを有している。ここでは、第1の画素領域41Aと第2の画素領域41Bとは、列方向の中央にて区分されている。すなわち、画素領域41において、列方向の中央よりも一方側の画素42は、第1の画素領域41Aに属し、列方向の中央よりも他方側の画素42は、第2の画素領域41Bに属している。ここで、列方向の中央から第1の画素領域41Aに向けて列方向に沿う方向を列方向A1とし、列方向の中央から第2の画素領域41Bに向けて列方向に沿う方向を列方向A2とする。列方向A1と列方向A2とは、互いに反対の方向である。
【0027】
第1の画素領域41Aにおける各画素42の第1の露光時間と、第2の画素領域41Bにおける各画素42の第2の露光時間とは、互いに独立して設定可能となっている。本実施形態では、第1の露光時間より、第2の露光時間の方が長く設定される。
【0028】
生成部5には、計測光L1の分光像Pの検出結果から得られたデータが検出部4から入力される。生成部5は、分光像Pの検出結果に基づいた計測光L1のスペクトルデータSを生成する。生成部5は、計測光L1のスペクトルデータSを判断部6に出力する。判断部6は、生成部5から入力されたスペクトルデータSに基づいて、チャンバ81内での半導体プロセスの進行状況を判断する。生成部5又は判断部6は、検出部4を制御してもよい。
【0029】
図3図9にかけて、検出部4のより詳細な具体例について説明する。検出部4は、例えばCCD光検出器或いはCMOS光検出器によって構成される。図3は、検出部4Aを構成するCCD光検出器の一例を示す図である。検出部4Aは、上述した第1の画素領域41A及び第2の画素領域41Bを含む画素領域41と、第1の画素領域41Aに対応する第1の水平シフトレジスタ43Aと、第2の画素領域41Bに対応する第2の水平シフトレジスタ43Bと、ダミー画素とを有している。
【0030】
第1の画素領域41Aでは、各画素42で生成されて蓄積されていた電荷は、第1の水平シフトレジスタ43Aへ列方向A1に沿って転送されて、各列にある画素42の電荷が第1の水平シフトレジスタ43Aにおいて列毎に足し合わされる(以下では、この動作を「縦転送」という。)。その後、第1の水平シフトレジスタ43Aにおいて列毎に足し合わされた電荷は、順次に第1の水平シフトレジスタ43Aから読み出される(以下では、この動作を「横転送」という。)。そして、第1の水平シフトレジスタ43Aから読み出された電荷の量に応じた電気信号(例えば、電圧値を示す信号)が第1のアンプ44Aから出力され、その電気信号がAD変換器によりAD変換されてデジタル値とされる。デジタル値は、生成部5に出力される。
【0031】
第2の画素領域41Bでは、各画素42で生成されて蓄積されていた電荷は、第2の水平シフトレジスタ43Bへ列方向A2に沿って転送されて、各列にある画素42の電荷が第2の水平シフトレジスタ43Bにおいて列毎に足し合わされる(縦転送)。その後、第2の水平シフトレジスタ43Bにおいて列毎に足し合わされた電荷は、順次に第2の水平シフトレジスタ43Bから読み出される(横転送)。そして、第2の水平シフトレジスタ43Bから読み出された電荷の量に応じた電気信号(例えば、電圧値を示す信号)が第2のアンプ44Bから出力され、その電気信号がAD変換器によりAD変換されてデジタル値とされる。デジタル値は、生成部5に出力される。
【0032】
図4は、図3に示された検出部4Aの動作例を示すタイミングチャートである。この図は、フルフレームトランスファー型CCDイメージセンサを用いた場合のタイミングチャートである。この場合、縦転送期間中に蓄積された電荷の半分がその縦転送で水平シフトレジスタへ転送され、残りの半分は次回の縦転送で水平シフトレジスタへ転送される。図4(a)は、第1の画素領域41Aの動作例を示すタイミングチャートである。第1の露光時間T1は、電子シャッタにより設定することができる。電子シャッタは、例えば、アンチブルーミングゲート(ABG:anti-blooming gate)を利用することで実現することができる。
【0033】
電子シャッタは、第1の画素領域41Aで生成された電荷の蓄積と蓄積された電荷の排出とを切り替える。図4(a)の例では、第1の水平シフトレジスタ43Aによる横転送の開始から、次回の縦転送の終了までを第1のフレーム時間FT1としている。第1のフレーム時間FT1は、第1の画素領域41Aにおけるフレームレートの逆数に相当する。その場合、検出部4Aは、電子シャッタを横転送中に切り替えることによって、電荷を第1のフレーム時間FT1の開始から所定時間DTに亘って排出する。それにより、検出部4Aは、第1のフレーム時間FT1のうち所定時間DTを除く時間を第1の露光時間T1としている。そのため、図4(a)の例では、第1の露光時間T1は、第1のフレーム時間FT1よりも短い。
【0034】
図4(b)は、第2の画素領域41Bの動作例を示すタイミングチャートである。第2の画素領域41Bの動作例では、電子シャッタは、常時オフ状態であり電荷は常時蓄積されていく。図4(b)の例では、第2の水平シフトレジスタ43Bによる横転送の開始から、次回の縦転送の終了までを第2のフレーム時間FT2としている。第2のフレーム時間FT2は、第2の画素領域41Bにおけるフレームレートの逆数に相当する。第2の露光時間T2は、第2のフレーム時間FT2と一致している。また、図4の例では、第1のフレーム時間FT1と第2のフレーム時間FT2とが同じ時間となっているが、第1のフレーム時間FT1と第2のフレーム時間FT2とは、異なっていてもよい。
【0035】
電子シャッタを利用せずとも、第1の露光時間T1に対して第2の露光時間T2を長くすることは可能である。例えば、検出部4Aは、第1の画素領域41Aから生成部5にデジタルデータを出力する周期に対して、第2の画素領域41Bから生成部5にデジタルデータを出力する周期を5倍とする。その場合、第1の露光時間T1に対して、第2の露光時間T2は、約5倍となる。また、第1のフレーム時間FT1に対して第2のフレーム時間FT2を5倍にしてもよいし、第1のフレームレートに対して第2のフレームレートを1/5倍にしてもい。これらの場合でも、第1の露光時間T1に対して、第2の露光時間T2は、約5倍となる。
【0036】
図5及び図6は、検出部4Bを構成するCCD光検出器の別例を示す図である。検出部4Bは、第1の画素領域41Aの各列で生成された電荷が蓄積される第1の蓄積部45Aと、第2の画素領域41Bの各列で生成された電荷が蓄積される第2の蓄積部45Bと、第1の蓄積部45Aで蓄積された電荷の大きさに応じた各列の電気信号を出力する第1の読出部46Aと、第2の蓄積部45Bで蓄積された電荷の大きさに応じた各列の電気信号を出力する第2の読出部46Bとを有している。
【0037】
第1の蓄積部45Aは、第1の画素領域41Aの列方向A1の端部に列毎に配置されている。第1の画素領域41Aに属する各列の画素42で生じた電荷は、列方向A1に沿って縦転送され、第1の蓄積部45Aに蓄積される。第2の蓄積部45Bは、第2の画素領域41Bの列方向A2の端部に列毎に配置されている。第2の画素領域41Bに属する各列の画素42で生じた電荷は、列方向A2に沿って縦転送され、第2の蓄積部45Bに蓄積される。
【0038】
第1の読出部46Aは、第1の画素領域41A側の端部において第1の蓄積部45Aの後段に配置され、第2の読出部46Bは、第2の画素領域41B側の端部において第2の蓄積部45Bの後段に配置されている。第1の読出部46Aは、第1の蓄積部45Aで蓄積された電荷の大きさに応じた各列の第1の電気信号を出力する。第2の読出部46Bは、第2の蓄積部45Bで蓄積された電荷の大きさに応じた各列の第2の電気信号を出力する。第1の電気信号及び第2の電気信号は、例えば、電圧値を示す信号である。
【0039】
第1の読出部46Aは、図5に示すように、トランジスタ51Aと、信号出力用のボンディングパッド52Aとを有している。トランジスタ51Aの制御端子(ゲート)は、第1の蓄積部45Aに電気的に接続されている。トランジスタ51Aの一方の電流端子(ドレイン)は、第1の画素領域41Aの各列にわたって共通に設けられた配線53Aを介してボンディングパッド54Aに電気的に接続されている。ボンディングパッド54Aには、所定の大きさの電圧が常に印加される。
【0040】
トランジスタ51Aの他方の電流端子(ソース)は、信号出力用のボンディングパッド52Aに電気的に接続されている。トランジスタ51Aの制御端子には、第1の蓄積部45Aから出力される第1の電気信号に応じた電圧が印加される。トランジスタ51Aの他方の電流端子からは、印加電圧に応じた電流が出力され、信号出力用のボンディングパッド52Aを介して取り出される。信号出力用のボンディングパッド52Aから出力した第1の電気信号は、第1のアンプによって増幅された後、AD変換器に出力される。第1の電気信号は、AD変換器によりAD変換されてデジタル値とされる。デジタル値は、生成部5に出力される。
【0041】
第2の読出部46Bは、図6に示すように、トランジスタ51Bと、信号出力用のボンディングパッド52Bを有している。トランジスタ51Bの制御端子(ゲート)は、第2の蓄積部45Bに電気的に接続されている。トランジスタ51Bの一方の電流端子(ドレイン)は、第2の画素領域41Bの各列にわたって共通に設けられた配線53Bを介してボンディングパッド54Bに電気的に接続されている。ボンディングパッド54Bには、所定の大きさの電圧が常に印加される。
【0042】
トランジスタ51Bの他方の電流端子(ソース)は、信号出力用のボンディングパッド52Bに電気的に接続されている。トランジスタ51Bの制御端子には、第2の蓄積部45Bから出力される第2の電気信号に応じた電圧が印加される。トランジスタ51Bの他方の電流端子からは、印加電圧に応じた電流が出力され、信号出力用のボンディングパッド52Bを介して取り出される。信号出力用のボンディングパッド52Bから出力した第2の電気信号は、第2のアンプによって増幅された後、AD変換器に出力される。第2の電気信号は、AD変換器によりAD変換されてデジタル値とされる。デジタル値は、生成部5に出力される。
【0043】
図7は、図5及び図6に示された検出部4Bの動作例を示すタイミングチャートである。図7(a)は、第1の画素領域41Aの動作例を示すタイミングチャートである。図7(b)は、第2の画素領域41Bの動作例を示すタイミングチャートである。図4において説明した検出部4Aの動作例と異なる点のみを説明する。図7(a)の例では、第1の読出部46Aが、第1の蓄積部45Aで蓄積された電荷の読み出しを開始してから、電荷の大きさに応じた各列の第1の電気信号を出力するまでを読み出し期間としている。図7(a)の例では、読み出し期間の開始から、次回の縦転送の終了までを第1のフレーム時間FT1としている。検出部4Bは、電子シャッタを読み出し期間中に切り替えることによって、電荷を、第1のフレーム時間FT1の開始から所定時間DTに亘って排出する。それにより、検出部4Bは、第1のフレーム時間FT1のうち所定時間DTを除く時間を第1の露光時間T1としている。そのため、図7(a)の例では、第1の露光時間T1は、第1のフレーム時間FT1よりも短い。図7(b)の例では、読み出し期間の開始から、次回の縦転送の終了までを第2のフレーム時間FT2としている。第2の露光時間T2は、第2のフレーム時間FT2と一致している。
【0044】
図8は、検出部4Cを構成するCMOS光検出器の一例を示す図である。検出部4Cでは、第1の画素領域41Aと、第2の画素領域41Bと、第1の読出部47Aと、第2の読出部47Bとを有している。第1の画素領域41A及び第2の画素領域41Bにおける各画素42は、フォトダイオード61と、アンプ62とを有している。フォトダイオード61は、計測光L1の入力によって生成された電子(光電子)を電荷として蓄積する。アンプ62は、フォトダイオード61に蓄積された電荷を電気信号(例えば、電圧値を示す信号)に変換し、増幅する。また、アンプ62は、入力端子と出力端子との間に接続された容量部(図示しない)と、容量部に並列に接続されたリセットスイッチ(図示しない)とを含んでいてもよい。その場合、検出部4Cは、外部の制御回路(例えば、生成部5)からリセット信号を受信した際に、リセットスイッチをオンすることによって、容量部に蓄積された電荷をリセット(排出)する。
【0045】
アンプ62によって増幅された電気信号は、各画素42の選択スイッチ63の切り替えによって、行方向の画素42同士を接続する垂直信号線64に転送される。垂直信号線64のそれぞれには、CDS(correlated double sampling)回路65が配置されている。CDS回路65は、各画素42間の読み出しノイズを軽減すると共に、垂直信号線64に転送された電気信号を一時的に保管する。
【0046】
AD変換器66は、CDS回路65に保管された電圧値をデジタル値に変換する。第1の画素領域41Aに対応するデジタル値は、第1の読出部47Aを介して、生成部5に出力される。つまり、第1の画素領域41Aの各画素42で蓄積された電荷の大きさに応じた電気信号が第1の読出部47Aから出力される。第2の画素領域41Bに対応するデジタル値は、第2の読出部47Bを介して、生成部5に出力される。つまり、第2の画素領域41Bの各画素42で蓄積された電荷の大きさに応じた電気信号が第2の読出部47Bから出力される。
【0047】
図9は、図8に示された検出部4Cの動作例を示すタイミングチャートである。図9(a)は、第1の画素領域41Aの動作例を示すタイミングチャートである。図9(b)は、第2の画素領域41Bの動作例を示すタイミングチャートである。検出部4Cは、外部の制御回路(例えば、生成部5)からリセット信号を受信している間に、蓄積された電荷を排出する。リセット信号は、例えばパルスである。検出部4Cは、パルスがHiレベルの間に、蓄積された電荷を排出する。検出部4Cは、外部の制御回路(例えば、生成部5)から読み出し信号を受信した際に、第1の読出部47Aを介して、デジタル値を生成部5に出力すると共に、第2の読出部47Bを介して、デジタル値を生成部5に出力する。読み出し信号は、例えばパルスである。図9の例では、リセット信号の立下りから読み出し信号の立上りまでの期間を露光時間として設定している。図9の例では、リセット信号の立下りから読み出し信号の立上りまでの期間を電子シャッタによって調整し得る。この場合、電子シャッタによって第1の露光時間T1と第2の露光時間T2とをそれぞれ個別に設定できる。図9(a)の例では、第1の露光時間T1は、第1のフレーム時間FT1に相当する。図9(b)の例では、第2の露光時間T2は、第2のフレーム時間FT2に相当する。或いは、リセット信号の立下りから次のリセット信号の立下りまでを第1のフレーム時間FT1及び第2のフレーム時間FT2としてもよい。その場合、第1の露光時間T1は、第1のフレーム時間FT1よりも短く、第2の露光時間T2は、第2のフレーム時間FT2よりも短くてもよい。
【0048】
ここで、第1の露光時間T1及び第2の露光時間T2とダイナミックレンジとの関係について説明する。ダイナミックレンジは、検出可能な最大レベルと最小レベルとの比に対して、第2の露光時間T2と第1の露光時間T1との比を乗算することによって算出される。検出可能な最大レベルとは、例えば、AD変換器の最大の出力ビット数である。具体的には、16ビットの場合は、10進数表記で65535である。検出可能な最小レベルとは、検出部4にて検出可能なノイズレベルである。検出可能な最大レベルと最小レベルとの比は、検出部4の仕様によって決まる値であるため、ダイナミックレンジは、第2の露光時間T2と第1の露光時間T1との比に依存する。
【0049】
検出部4A、4B、4Cでは、電子シャッタを用いて第1の露光時間T1を制御することで、ダイナミックレンジを広い範囲で設定できる。検出部4A、4Bでは、イメージセンサのフレーム時間は、最短でも約10msである。電子シャッタを用いない場合、ダイナミックレンジ(第2の露光時間T2と第1の露光時間T1との比)を100に設定すると、第2の露光時間T2は、1000msとなる。これでは、半導体プロセスを監視するにあたって、サンプリング間隔が大きすぎる。そこで、電子シャッタを用いて第1の露光時間T1を第1のフレーム時間FT1よりも短い時間である1msに設定した場合、第2の露光時間T2は、100msとなる。電子シャッタを用いない場合に比べ、サンプリング間隔を1/10に短縮することができる。検出部4Cにおいても、電子シャッタを用いて第1の露光時間T1と第2の露光時間T2とをそれぞれ個別に設定することで、ダイナミックレンジを大きくできる。
【0050】
図10は、本開示の一実施形態に係る半導体プロセス監視方法を示すフローチャートである。本監視方法は、分光ステップS11と、検出ステップS12と、生成ステップS13と、判断ステップS14とを含んで構成されている。図11は、本開示の一実施形態に係る半導体プロセス監視方法を示す詳細なフローチャートである。図11は、図10における分光ステップS11、検出ステップS12、及び生成ステップS13に対応する。分光部3は、チャンバ81からの計測光L1を分光する(ステップS21)。検出部4は、分光された計測光L1を検出する(ステップS22)。検出部4は、計測光L1を検出した結果から得られたデータを生成部5に出力する。生成部5は、第1の画素領域41Aにおける分光像Pの検出結果に基づいた第1のスペクトルデータを生成する(ステップS23)。生成部5は、第2の画素領域41Bにおける分光像Pの検出結果に基づいた第2のスペクトルデータを生成する(ステップS24)。ステップS23とステップS24は、同時に行われてもよく、いずれが先に行われてもよい。
【0051】
図12は、第1のスペクトルデータS1の一例を示す図である。図12に示されるように、第1のスペクトルデータS1では、全ての波長域において計測光L1が飽和しておらず、生成部5は、全ての波長域において飽和の無い強度を取得する。ここで、計測光L1が高強度となる波長域は、低強度となる波長域に比べ、長波長となる傾向にある。長波長且つ高強度の計測光L1は、エッチングガスに起因し、短波長且つ低強度の計測光L1は、エッチング対象となる材料に起因する傾向がある。そこで、計測光L1が高強度となる波長域を含む波長領域を長波長領域Δλ1とし、計測光L1が低強度となる波長域を含む波長領域を短波長領域Δλ2とする。長波長領域Δλ1と短波長領域Δλ2との境界の波長は、例えば、紫外線の波長と可視光の波長との境界である400nmである。
【0052】
図13は、第2のスペクトルデータS2の一例を示す図である。第2のスペクトルデータS2では、長波長領域Δλ1において、計測光L1が飽和している波長域(飽和波長域Δλ3)を含んでいる。一方で、第2のスペクトルデータS2では、短波長領域Δλ2において、計測光L1が飽和していない波長域(非飽和波長域Δλ4)を含んでいる。これに対して、第1のスペクトルデータS1では、長波長領域Δλ1における第2のスペクトルデータS2の飽和波長域Δλ3に対応する波長域において、強度を正確に取得できている。つまり、第1の画素領域41Aでは、計測光L1の少なくとも長波長領域Δλ1で計測光L1が飽和しないように第1の露光時間T1が設定されている。
【0053】
第1のスペクトルデータS1では、短波長領域Δλ2における第2のスペクトルデータの非飽和波長域Δλ4に対応する波長域において、ノイズが重畳しており、SN比が悪い。一方、第2のスペクトルデータS2では、短波長領域Δλ2(非飽和波長域Δλ4)においても、ノイズが重畳せず、生成部5は、高精度なデータを取得することができる。つまり、第2の画素領域41Bでは、計測光L1の少なくとも短波長領域Δλ2(非飽和波長域Δλ4)で計測光L1が飽和しないように第2の露光時間T2が設定されている。
【0054】
続いて、生成部5は、第1のスペクトルデータS1の一部のデータと第2のスペクトルデータS2の一部のデータとを結合して(つなぎ合わせて)計測光L1のスペクトルデータSを生成する(ステップS25)。例えば、生成部5は、第1のスペクトルデータS1における第2のスペクトルデータS2の飽和波長域Δλ3に対応する波長域のデータと、第2のスペクトルデータS2の非飽和波長域Δλ4のデータとを結合して(つなぎ合わせて)計測光L1のスペクトルデータSを生成してもよい。また、生成部5は、第1のスペクトルデータS1の長波長領域Δλ1のデータと第2のスペクトルデータS2の短波長領域Δλ2のデータとを結合して(つなぎ合わせて)計測光L1のスペクトルデータSを生成してもよい。図14は、計測光L1のスペクトルデータSの生成について説明するための図である。例えば、生成部5は、計測光L1のスペクトルデータSを以下の様に生成する。第1のスペクトルデータS1に対しては、第1のスペクトルデータS1を第1の露光時間T1で除算し、除算した結果に基準露光時間を乗算する。一方、生成部5は、第2のスペクトルデータS2に対しては、第2のスペクトルデータS2を第2の露光時間T2で除算し、除算した結果に基準露光時間を乗算する。それにより、生成部5は、第1のスペクトルデータS1のスケールと第2のスペクトルデータS2のスケールとを合わせたうえで、計測光L1のスペクトルデータSを生成する。スペクトルデータSでは、全ての波長域において計測光L1が飽和することなく、且つノイズが重畳せずに、全ての波長域において飽和の無い強度を取得する。
【0055】
図15は、本開示の一実施形態に係る半導体プロセス監視方法を示す詳細なフローチャートである。図15は、図10における判断ステップS14に対応する。判断部6は、計測光L1のスペクトルデータSに基づいて、半導体プロセスにおける異常の有無を判断する。まず、判断部6は、スペクトルデータSの長波長領域Δλ1において所定の波長(例えば、600nm~800nmの波長)に第1のピークが出現したか否か判断する(ステップS31)。第1のピークが出現した場合(ステップS31:YES)、判断部6は、半導体プロセスに異常有と判断する(ステップS32)。その場合、判断部6は、装置の操作者にアラームを発してもよいし、エッチングプロセスを終了させてもよい。そして、一連の判断フローが終了する。なお、ステップS34は、判断部6が、スペクトルデータSの長波長領域Δλ1及び短波長領域Δλ2の両方のスペクトルデータに基づいて、半導体プロセスに異常有と判断することを含む。
【0056】
図16は、半導体プロセスにおける異常の有無を判断する処理について説明するための図である。図16は、スペクトルデータSの長波長領域Δλ1のデータを拡大して図示している。図16(a)は、異常無の場合のスペクトルデータSを示す。図16(b)は、異常有の場合のスペクトルデータSを示す。図16(b)では、図16(a)ではピークが発生していない波長域において、第1のピークP1が発生している。第1のピークP1は、例えば、外部から混入した窒素ガスに起因して発生する。例えば、チャンバ81の扉の開閉を繰り返す中で、扉とチャンバ81本体との間のシール部材が摩耗し、チャンバ内を真空にする際に、窒素ガスが外部から混入する場合があり得る。その際に、外部から混入した窒素ガスが所定の値以上である場合に発生する第1のピークP1を検出することによって、外部からエッチングチャンバ内にガスが過剰に混入した状態を異常状態として高精度に検出することができる。
【0057】
第1のピークP1が検出されなかった場合(ステップS31:NO)、判断部6は、半導体プロセスに異常無と判断する(ステップS33)。続いて、判断部6は、半導体プロセスの終点を判断する。まず、判断部6は、スペクトルデータSの短波長領域Δλ2において所定の波長(例えば、300nm~400nmの波長)に第2のピークが検出されたか否か判断する(ステップS34)。第2のピークが検出されなかった場合(ステップS34:NO)、判断部6は、半導体プロセスの継続を判断し、判断フローはステップ31に戻る。一方で、第2のピークが検出された場合(ステップS34:YES)、判断部6は、半導体プロセスの終点を判断し(ステップS35)、判断フローが終了する。なお、ステップS34は、判断部6が、スペクトルデータSの長波長領域Δλ1及び短波長領域Δλ2の両方のスペクトルデータに基づいて、半導体プロセスに異常無と判断することを含む。
【0058】
図17は、半導体プロセスの終点を判断する処理について説明するための図である。図17は、スペクトルデータSの短波長領域Δλ2のデータを拡大して図示している。図17(a)は、半導体プロセスの継続を判断する場合のスペクトルデータSを示す。図17(b)は、半導体プロセスの終点を判断する場合のスペクトルデータSを示す。図17(b)では、図17(a)ではピークが発生していない波長域において、第2のピークP2が発生している。第2のピークP2は、エッチング対象となる材料に起因して発生する。例えば、基板W上に下地層が形成され、下地層の上にエッチング対象層が形成されているものとする。この場合、第2のピークP2は、下地層に起因して発生する。エッチングプロセスが進行し、エッチング対象層のエッチングが完了すると、下地層がエッチングパターン底部に露出し得る。その際に、第2のピークP2を検出することによって、エッチングプロセスが終了して下地層が露出されたことを高精度に検出することができる。
【0059】
以上説明したように、本開示の一側面に係る半導体プロセス監視装置1では、第1の画素領域41Aにおいて第1の露光時間T1で得られた第1のスペクトルデータS1に基づいて半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、第2の画素領域41Bにおいて第1の露光時間T1よりも長い第2の露光時間T2で得られた第2のスペクトルデータS2に基づいて半導体プロセスの終点を判断する。なお、第1のスペクトルデータS1及び第2のスペクトルデータS2両方のスペクトルデータSに基づいて半導体プロセスにおける異常の有無を判断してもよい。この半導体プロセス監視装置では、互いに露光時間の異なる第1の画素領域41A及び第2の画素領域41Bでの計測光L1の分光像Pの検出を組み合わせることで、計測光L1の分光像Pの強度を高ダイナミックレンジで且つ高精度に計測できる。したがって、半導体プロセスにおいて、比較的強度が高いガス起因の計測光L1と、比較的強度が低い材料起因の計測光L1とが混在している場合であっても、半導体プロセスにおける異常の有無及びプロセスの終点を高精度に監視することが可能となる。
【0060】
第1の画素領域41Aでは、第1の露光時間T1が第1の画素領域41Aにおける第1のフレーム時間FT1よりも短く設定され、第2の画素領域41Bでは、第2の露光時間T2が第2の画素領域41Bにおける第2のフレーム時間FT2と同じ時間に設定されている。このような構成により、互いに露光時間の異なる第1の画素領域41A及び第2の画素領域41Bでの計測光L1の分光像Pの検出を組み合わせることで、計測光L1の分光像Pの強度を高ダイナミックレンジで且つ高精度に計測できる。したがって、半導体プロセスにおいて、比較的強度が高いガス起因の計測光L1と、比較的強度が低い材料起因の計測光L1とが混在している場合であっても、半導体プロセスにおける異常の有無及びプロセスの終点を高精度に監視することが可能となる。
【0061】
第1の画素領域41Aでは、計測光L1の少なくとも長波長領域Δλ1(長波長領域Δλ1における第2のスペクトルデータS2の飽和波長域Δλ3に対応する波長域)で計測光L1が飽和しないように第1の露光時間T1が設定され、第2の画素領域41Bでは、計測光L1の少なくとも短波長領域Δλ2で計測光L1が飽和しないように第2の露光時間T2が設定されている。このような構成により、長波長領域Δλ1において、比較的強度が高いガス起因の計測光L1を飽和させずに第1のスペクトルデータS1を取得できる。また、短波長領域Δλ2において、比較的強度が低い材料起因の計測光L1に関する第2のスペクトルデータS2を良好なSN比で取得できる。したがって、半導体プロセスにおける異常の有無及びプロセスの終点の監視精度を更に高めることができる。
【0062】
生成部5は、第1のスペクトルデータS1の長波長領域Δλ1のデータと、第2のスペクトルデータS2の短波長領域Δλ2のデータとを結合して(つなぎ合わせて)判断部6に出力する。このような構成により、監視対象の波長域の全体にわたって広いダイナミックレンジで計測光L1のスペクトルデータSを生成できる。これにより、異常の有無の判断及びプロセスの終点の判断を簡便且つ精度良く行うことができる。
【0063】
判断部6は、第1のスペクトルデータS1の長波長領域Δλ1において所定の波長に第1のピークP1が出現したか否かに基づいて、半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、第2のスペクトルデータS2の短波長領域Δλ2において所定の波長に第2のピークP2が出現した場合に、半導体プロセスの終点を判断する。半導体プロセスにおける材料起因の計測光L1の第2のピークP2及びガス起因の計測光L1の第1のピークP1の出現傾向に応じた判断を行うことで、半導体プロセスにおける異常の有無及びプロセスの終点の監視精度を更に高めることができる。
【0064】
検出部4は、第1の画素領域41Aの各列で生成された電荷が転送される第1の水平シフトレジスタ43Aと、第2の画素領域41Bの各列で生成された電荷が転送される第2の水平シフトレジスタ43Bと、を有するCCD光検出器である。このような構成により、CCD光検出器を用いることで、各列の画素42で生じた電荷を読み出す際の読み出しノイズの増加を回避できる。
【0065】
検出部4は、第1の画素領域41Aの各列で生成された電荷が蓄積される第1の蓄積部45Aと、第2の画素領域41Bの各列で生成された電荷が蓄積される第2の蓄積部45Bと、第1の蓄積部45Aで蓄積された電荷の大きさに応じた各列の電気信号を出力する第1の読出部46Aと、第2の蓄積部45Bで蓄積された電荷の大きさに応じた各列の電気信号を出力する第2の読出部46Bと、を有するCCD光検出器である。このような構成においても、CCD光検出器を用いることで、各列の画素42で生じた電荷を読み出す際の読み出しノイズの増加を回避できる。
【0066】
検出部4は、第1の画素領域41Aの各画素42で蓄積された電荷の大きさに応じた電気信号を出力する第1の読出部47Aと、第2の画素領域41Bの各画素42で蓄積された電荷の大きさに応じた電気信号を出力する第2の読出部47Bと、を有するCMOS光検出器である。このような構成により、例えば、列ごとに電荷の読み出しを行うCCD光検出器に比べ消費電力を低く抑えることができる。
【0067】
第1の画素領域41Aの第1の露光時間T1は、電子シャッタによって制御される。このような構成により、第2の露光時間T2を短く設定し、且つ第1の露光時間T1を第2の露光時間T2に比べて十分に短く設定する場合でも、第1の露光時間T1を精度良く調整できる。第1の露光時間T1を第2の露光時間T2に対して十分に短くすることで、計測のダイナミックレンジを一層十分に高めることが可能となる。
【0068】
本開示の一側面に係る半導体プロセス監視方法では、上述の半導体プロセス監視装置1と同様の理由により、計測光の強度を高ダイナミックレンジで且つ高精度に計測することで、半導体プロセスを高精度に監視できる。
【0069】
以上説明したように、本開示の一側面に係る半導体プロセス監視方法では、第1の画素領域41Aにおいて第1の露光時間T1で得られた第1のスペクトルデータS1に基づいて半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、第2の画素領域41Bにおいて第1の露光時間T1よりも長い第2の露光時間T2で得られた第2のスペクトルデータS2に基づいて半導体プロセスの終点を判断する。この半導体プロセス監視方法では、互いに露光時間の異なる第1の画素領域41A及び第2の画素領域41Bでの計測光L1の分光像Pの検出を組み合わせることで、計測光L1の分光像Pの強度を高ダイナミックレンジで且つ高精度に計測できる。したがって、半導体プロセスにおいて、比較的強度が高いガス起因の計測光L1と、比較的強度が低い材料起因の計測光L1とが混在している場合であっても、半導体プロセスにおける異常の有無及びプロセスの終点を高精度に監視することが可能となる。
【0070】
以上、本開示の実施形態について説明してきたが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0071】
生成部5は、第1のスペクトルデータS1の長波長領域Δλ1のデータと第2のスペクトルデータS2の短波長領域Δλ2のデータとを結合して計測光L1のスペクトルデータSを生成しなくてもよい。生成部5は、図11のステップS25を省略してもよい。その場合、判断部6は、第1のスペクトルデータS1に基づいて、半導体プロセスにおける異常の有無を判断してもよい。また、判断部6は、第2のスペクトルデータS2に基づいて、半導体プロセスの終点を判断してもよい。生成部5が計測光L1のスペクトルデータSを生成しないことによって、生成部5の演算負荷を低減できる。
【0072】
本開示の要旨は、以下の[1]~[15]のとおりである。
[1]チャンバからの計測光を分光する分光部と、前記分光部によって分光された前記計測光の分光像を検出する検出部と、前記計測光の分光像の検出結果から得られたデータに基づいて、前記チャンバ内での半導体プロセスの進行状況を判断する判断部と、を備え、前記分光部は、前記計測光を第1の方向に波長分解すると共に、前記第1の方向に交差する第2の方向に波長毎の分光像を結像させ、前記検出部は、前記第2の方向に分割された第1の画素領域及び第2の画素領域を有し、前記判断部は、前記第1の画素領域において第1の露光時間で得られた第1のスペクトルデータに基づいて前記半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、前記第2の画素領域において前記第1の露光時間よりも長い第2の露光時間で得られた第2のスペクトルデータに基づいて前記半導体プロセスの終点を判断する半導体プロセス監視装置。
[2]前記判断部は、前記第1のスペクトルデータの長波長領域において所定の波長に第1のピークが出現したか否かに基づいて、前記半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、前記第2のスペクトルデータの短波長領域において所定の波長に第2のピークが出現した場合に、前記半導体プロセスの終点を判断する[1]記載の半導体プロセス監視装置。
[3]前記第1のスペクトルデータの長波長領域における所定の波長は、600nm~800nmであり、前記第2のスペクトルデータの短波長領域における所定の波長は、300nm~400nmである、[2]記載の半導体プロセス監視装置。
[4]前記判断部は、前記第1のスペクトルデータの長波長領域及び前記第2のスペクトルデータの短波長領域において所定の波長に前記第1のピークが出現したか否かに基づいて、前記半導体プロセスにおける異常の有無を判断する[2]又は[3]記載の半導体プロセス監視装置。
[5]前記判断部は、前記第2のスペクトルデータの短波長領域においてピークが発生していない波長域において、前記第2のピークが出現した場合に、前記半導体プロセスの終点を判断する[2]~[4]のいずれか一つ記載の半導体プロセス監視装置。
[6]前記検出部は、前記第1の画素領域の各列で生成された電荷が転送される第1の水平シフトレジスタと、前記第2の画素領域の各列で生成された電荷が転送される第2の水平シフトレジスタと、を有するCCD光検出器である[1]~[5]のいずれか一つ記載の半導体プロセス監視装置。
[7]前記検出部は、前記第1の画素領域の各列で生成された電荷が蓄積される第1の蓄積部と、前記第2の画素領域の各列で生成された電荷が蓄積される第2の蓄積部と、前記第1の蓄積部で蓄積された電荷の大きさに応じた各列の電気信号を出力する第1の読出部と、前記第2の蓄積部で蓄積された電荷の大きさに応じた各列の電気信号を出力する第2の読出部と、を有するCCD光検出器である[1]~[5]のいずれか一つ記載の半導体プロセス監視装置。
[8]前記検出部は、前記第1の画素領域の各画素で蓄積された電荷の大きさに応じた電気信号を出力する第1の読出部と、前記第2の画素領域の各画素で蓄積された電荷の大きさに応じた電気信号を出力する第2の読出部と、を有するCMOS光検出器である[1]~[5]のいずれか一つ記載の半導体プロセス監視装置。
[9]前記第1の画素領域の前記第1の露光時間は、電子シャッタによって制御される[1]~[8]のいずれか一つ記載の半導体プロセス監視装置。
[10]前記第1のスペクトルデータの長波長領域のデータと、前記第2のスペクトルデータの短波長領域のデータとを結合して前記判断部に出力する生成部を更に備える[1]~[9]のいずれか一つ記載の半導体プロセス監視装置。
[11]チャンバからの計測光を分光する分光ステップと、前記分光ステップによって分光された前記計測光の分光像を検出する検出ステップと、前記計測光の分光像の検出結果から得られたデータに基づいて、前記チャンバ内での半導体プロセスの進行状況を判断する判断ステップと、を備え、前記分光ステップでは、前記計測光を第1の方向に波長分解すると共に、前記第1の方向に交差する第2の方向に波長毎の分光像を結像させ、前記検出ステップでは、前記第2の方向に分割された第1の画素領域及び第2の画素領域を有する光検出器において、前記分光像を検出し、前記判断ステップでは、前記第1の画素領域において第1の露光時間で得られた第1のスペクトルデータに基づいて前記半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、前記第2の画素領域において前記第1の露光時間よりも長い第2の露光時間で得られた第2のスペクトルデータに基づいて前記半導体プロセスの終点を判断する半導体プロセス監視方法。
[12]前記判断ステップでは、前記第1のスペクトルデータの長波長領域において所定の波長に第1のピークが出現したか否かに基づいて、前記半導体プロセスにおける異常の有無を判断し、前記第2のスペクトルデータの短波長領域において所定の波長に第2のピークが出現した場合に、前記半導体プロセスの終点を判断する[11]記載の半導体プロセス監視方法。
[13]前記第1のスペクトルデータの長波長領域における所定の波長は、600nm~800nmであり、前記第2のスペクトルデータの短波長領域における所定の波長は、300nm~400nmである、[12]記載の半導体プロセス監視方法。
[14]前記判断ステップでは、前記第1のスペクトルデータの長波長領域及び前記第2のスペクトルデータの短波長領域において所定の波長に前記第1のピークが出現したか否かに基づいて、前記半導体プロセスにおける異常の有無を判断する[12]又は[13]記載の半導体プロセス監視方法。
[15]前記判断ステップでは、前記第2のスペクトルデータの短波長領域においてピークが発生していない波長域において、前記第2のピークが出現した場合に、前記半導体プロセスの終点を判断する[12]~[14]のいずれか一つ記載の半導体プロセス監視方法。
【符号の説明】
【0073】
1…半導体プロセス監視装置、3…分光部、4,4A,4B,4C…検出部、5…生成部、6…判断部、41A…第1の画素領域、41B…第2の画素領域、42…画素、43A…第1の水平シフトレジスタ、43B…第2の水平シフトレジスタ、45A…第1の蓄積部、45B…第2の蓄積部、46A,47A…第1の読出部、46B,47B…第2の読出部、81…チャンバ、L1…計測光、P1…第1のピーク、P2…第2のピーク、S…スペクトルデータ、S1…第1のスペクトルデータ、S2…第2のスペクトルデータ、S11…分光ステップ、S12…検出ステップ、S14…判断ステップ、T1…第1の露光時間、T2…第2の露光時間、Δλ1…長波長領域、Δλ2…短波長領域。

図1
図2
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