IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 能美防災株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-防災システム 図1
  • 特開-防災システム 図2
  • 特開-防災システム 図3
  • 特開-防災システム 図4
  • 特開-防災システム 図5
  • 特開-防災システム 図6
  • 特開-防災システム 図7
  • 特開-防災システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087021
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】防災システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
G08B17/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024070258
(22)【出願日】2024-04-24
(62)【分割の表示】P 2020206833の分割
【原出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 和之
(72)【発明者】
【氏名】狩山 則之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 建弥
(57)【要約】
【課題】人手による作業を行うことなく、火災検知器の試験が開始された時点を基準として、火災検知器が最初に火災を検知するまでの第1時間と、蓄積復旧後に再び火災を検知するまでの第2時間とを得ることのできる防災システムを提供する。
【解決手段】防災システム10において、防災受信盤200は、火災検知器100の試験が開始されてから火災検知器100が最初に火災を検知するまでの予告判定時間(第1時間)を計測する第1計測手段と、この試験が開始されてから火災検知器100が蓄積復旧後に再び火災を検知するまでの火災判定時間(第2時間)を計測する第2計測手段と、予告判定時間と火災判定時間とを出力する出力手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災検知器の試験が開始されてから前記火災検知器が最初に火災を検知するまでの第1時間を計測する第1計測手段と、
前記第1時間を出力する出力手段と
を備え、
前記第1計測手段は、前記試験が開始された後、前記火災検知器により前記火災が検知されないまま前記第1時間の計測に関して設定された制限時間が経過すると、前記第1時間の計測を中止する
防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災検知器の試験において、火災検知器が動作するのに要する時間を計測する技術がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3268508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火災検知器が最初に火災を検知した後、蓄積復旧後に再び火災を検知したときに、火災が発生したと判定し、火災の発生を報知する機能がある。このような機能を有する場合、火災検知器の試験が開始された時点を基準として、火災検知器が最初に火災を検知するまでの時間と、蓄積復旧後に再び火災を検知するまでの火災判定時間との両方が、試験結果として要求される場合がある。しかし、人手による作業を行うことなく、これらの時間を両方とも計測する技術はなかった。
【0005】
本発明は、人手による作業を行うことなく、火災検知器の試験が開始された時点を基準として、火災検知器が最初に火災を検知するまでの第1時間と、蓄積復旧後に再び火災を検知するまでの第2時間とを得ることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、火災検知器の試験が開始されてから前記火災検知器が最初に火災を検知するまでの第1時間を計測する第1計測手段と、前記試験が開始されてから前記火災検知器が蓄積復旧後に再び前記火災を検知するまでの第2時間を計測する第2計測手段と、前記第1時間と前記第2時間とを出力する出力手段とを備える防災システムを提供する。
【0007】
前記第1計測手段は、前記試験が開始された後、前記火災検知器により前記火災が検知されないまま前記第1時間の計測に関して設定された制限時間が経過すると、前記第1時間の計測を中止してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、人手による作業を行うことなく、火災検知器の試験が開始された時点を基準として、火災検知器が最初に火災を検知するまでの第1時間と、蓄積復旧後に再び火災を検知するまでの第2時間とが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る防災システムの概要の一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係る防災受信盤の構成の一例を示す図である。
図3】第1実施形態に係る防災システムの動作の一例を示すシーケンスチャートである。
図4】予告判定時間及び火災判定時間の計測の一例を示すタイミングチャートである。
図5】予告判定時間及び火災判定時間の表示の一例を示す図である。
図6】第2実施形態に係る防災システムの概要の一例を示す図である。
図7】第2実施形態に係る中継盤の構成の一例を示す図である。
図8】第2実施形態に係る防災システムの動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る防災システム10の概要の一例を示す図である。防災システム10は、火災を迅速に発見し、火災による被害を最小限に抑えるためのシステムである。防災システム10は、例えばトンネルに設置される。第1実施形態に係る防災システム10は、非分散型のシステム構成を有する。防災システム10は、複数の火災検知器100と、試験器150と、防災受信盤200と、操作卓300とを備える。なお、図1では、主に火災検知器100の試験に関する構成だけが示されており、その他の構成については省略されている。複数の火災検知器100は、例えばトンネル内に所定の間隔で設けられる。防災受信盤200及び操作卓300は、例えばトンネルの電気室に設けられる。試験器150は、保守員により持ち運ばれる。防災受信盤200と複数の火災検知器100とは、信号線51を介して接続されている。防災受信盤200と操作卓300とは、信号線52を介して接続されている。
【0011】
火災検知器100は、火災を検知して防災受信盤200に火災信号を送信する。例えば火災検知器100は、受光素子を有し、二波長ちらつき式という検知原理を利用して炎を検知する。ただし、火災検知器100が火災を検知する方法は、二波長ちらつき式に限定されず、他の方法であってもよい。火災検知器100は、監視モードと保守モードという2つの動作モードを有する。監視モードは、火災を監視するための動作モードである。保守モードは、火災検知器100の保守を行うための動作モードである。保守モードでは、火災検知器100が正常に動作するかを確認するための試験が行われる。
【0012】
試験器150は、火災検知器100の動作を確認するための試験に用いられる。試験器150は、保守員により火災検知器100に接触するように支持される。なお、試験器150は、ゴムや紐等の固定手段を用いて火災検知器100に一時的に固定されてもよい。試験器150は、発光素子を有し、照射認識用の光と疑似炎を示す疑似炎光とを火災検知器100に照射する。
【0013】
図2は、防災受信盤200の構成の一例を示す図である。防災受信盤200は、火災検知器100から火災信号を受信すると、火災の発生を報知するとともに、消火設備や水噴霧設備を制御する。ここで、防災受信盤200は、非火災報を抑制するために、火災検知器100から最初の火災信号を受信した時点では火災が発生したと判定せず、蓄積復旧後に火災検知器100から再び火災信号を受信したときに火災が発生したと判定し、火災の発生を報知する。この蓄積復旧とは、火災検知器100から最初の火災信号を受信したときに、火災検知器100の状態を一旦リセットすることをいう。
【0014】
防災受信盤200は、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、操作部204と、表示部205とを備える。制御部201は、プロセッサとも呼ばれ、防災受信盤200の各部の制御及び各種の処理を行う。制御部201には、例えばCPU(Central Processing Unit)が含まれる。記憶部202は、メモリとも呼ばれ、各種のデータ及びプログラムを記憶する。記憶部202には、例えばROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、及びRAM(Random Access Memory)のうち少なくとも一つが含まれる。記憶部202には、防災受信盤200の機能を実現するためのプログラムが記憶される。通信部203は、防災受信盤200を信号線51及び52に接続するための通信インターフェースである。通信部203は、信号線51又は52を介して接続された他の装置と通信を行うために用いられる。操作部204は、各種の操作を受け付ける。操作部204には、例えば操作ボタンが含まれる。表示部205は、各種の情報を表示する。表示部205には、例えば液晶ディスプレイが含まれる。
【0015】
制御部201は、モード制御手段211と、第1計測手段212と、蓄積復旧手段213と、第2計測手段214と、出力手段215として機能する。これらの機能は、制御部201が記憶部202に記憶されたプログラムを実行して、制御部201が演算を行い又は防災受信盤200の各部を制御することにより実現される。或いは、第1計測手段212及び第2計測手段214は、ハードウェアタイマーにより実現されてもよい。
【0016】
モード制御手段211は、火災検知器100の動作モードを制御する。第1計測手段212は、火災検知器100の試験の際に、予告判定時間を計測する。予告判定時間は、火災検知器100の試験が開始されてから火災検知器100が最初に火災を検知するまでの時間である。すなわち、予告判定時間は、疑似火災が発生した時点から火災検知器100が最初に火災を検知するまでの時間を示す。予告判定時間は、本発明に係る「第1時間」の一例である。蓄積復旧手段213は、火災検知器100から最初の火災信号を受信すると、火災検知器100を蓄積復旧させる。第2計測手段214は、火災検知器100の試験の際に、火災判定時間を計測する。火災判定時間は、火災検知器100の試験が開始されてから火災検知器100が蓄積復旧後に再び火災を検知するまでの時間である。すなわち、火災判定時間は、疑似火災が発生した時点から火災が発生したと判定されるまでの時間を示す。火災判定時間は、本発明に係る「第2時間」の一例である。出力手段215は、第1計測手段212及び第2計測手段214により計測された予告判定時間及び火災判定時間を出力する。この出力先には、記憶部202と表示部205又は後述する表示部302とが含まれる。
【0017】
図1に戻り、操作卓300は、保守員により用いられ、防災受信盤200に対する情報の入出力に用いられる。操作卓300は、操作部301と表示部302とを備える。操作部301は、各種の操作を受け付ける。操作部301には、例えば操作ボタンが含まれる。表示部302は、各種の情報を表示する。表示部302には、例えば液晶ディスプレイが含まれる。
【0018】
図3は、第1実施形態に係る防災システム10の動作の一例を示すシーケンスチャートである。この動作は、火災検知器100の試験を行うときに開始される。ステップS11において、防災受信盤200のモード制御手段211は、例えば操作部204又は301を用いた保守員の操作に応じて、火災検知器100に保守モードへの移行を指示する保守モード信号を送信する。ステップS12において、火災検知器100は、防災受信盤200から保守モード信号を受信すると、動作モードを保守モードに移行する。
【0019】
火災検知器100の動作モードが保守モードに移行されると、保守員は試験器150を火災検知器100に接触するように支持する。ステップS13において、試験器150は、保守員の操作に応じて、火災検知器100への照射認識用の光及び疑似炎光の照射を開始する。試験器150からの照射が開始されると、火災検知器100の試験が開始される。ステップS14において、火災検知器100は、試験器150から照射された照射認識用の光を受光することにより、試験器150からの照射を検知する。ステップS15において、火災検知器100は、照射が開始されたことを示す照射開始信号を防災受信盤200に送信する。この照射開始信号は、火災検知器100の試験が開始されたことを示す。ステップS16において、防災受信盤200の第1計測手段212及び第2計測手段214は、それぞれ、火災検知器100から照射開始信号が受信されると、予告判定時間及び火災判定時間の計測を開始する。
【0020】
ステップS17において、火災検知器100は、試験器150から照射された疑似炎光により、疑似的な火災を検知し、火災が発生したと判定する。ステップS18において、火災検知器100は、火災の発生を示す火災信号を防災受信盤200に送信する。ステップS19において、防災受信盤200の第1計測手段212は、火災検知器100から火災信号が受信されると、予告判定時間の計測を終了する。これにより、予告判定時間が計測される。ステップS20において、防災受信盤200の出力手段215は、ステップS19において計測された予告判定時間を計測結果として記憶部202に記憶させる。このとき、予告判定時間は、例えば試験の対象となる火災検知器100を一意に識別する検知器IDと関連付けて記憶される。
【0021】
ステップS21において、防災受信盤200の蓄積復旧手段213は、火災検知器100を蓄積復旧させるための蓄積復旧信号を火災検知器100に送信する。ステップS22において、火災検知器100は、防災受信盤200から蓄積復旧信号を受信すると、蓄積復旧する。例えば火災検知器100は、ソフトウェア処理によって状態情報を初期化することにより蓄積復旧する。この状態情報には、例えばセンサのA/D値、各種のカウンタ値、火災判定のフラグ等の内部変数が含まれる。この蓄積復旧により、火災検知器100の状態がリセットされ、火災が検知される前の状態に戻る。
【0022】
ステップS23において、蓄積復旧後、火災検知器100は、試験器150から照射された疑似炎光により、再び疑似的な火災を検知し、火災が発生したと判定する。ステップS24において、火災検知器100は、火災の発生を示す火災信号を防災受信盤200に送信する。ステップS25において、防災受信盤200の第2計測手段214は、ステップS21において蓄積復旧信号を送信した後において火災検知器100から最初の火災信号が受信されると、火災判定時間の計測を終了する。これにより、火災判定時間が計測される。
【0023】
ステップS26において、防災受信盤200の出力手段215は、ステップS25において計測された火災判定時間を計測結果として記憶部202に記憶させる。このとき、火災判定時間は、例えば試験の対象となる火災検知器100を一意に識別する検知器IDと関連付けて記憶される。記憶部202に記憶された予告判定時間及び火災判定時間は、例えば火災検知器100の試験結果の報告に用いられる。
【0024】
ここで、火災検知器100が正常に動作しない場合には、試験器150から疑似炎光が照射されても、火災が検知されない場合がある。この場合に、予告判定時間及び火災判定時間の計測を途中で中止するために、予告判定時間及び火災判定時間には予め制限時間が設定されてもよい。この制限時間は、例えば保守員が操作部204又は301を操作することにより設定される。予告判定時間の制限時間の初期値は、例えば30秒である。予告判定時間の制限時間は、例えば1~30秒の範囲で設定される。同様に、火災判定時間についても制限時間が設定される。予告判定時間の制限時間と火災判定時間の制限時間とは同じであってもよいし、火災判定時間の制限時間は予告判定時間の制限時間より長くてもよい。
【0025】
第1計測手段212は、上述したステップS16において予告判定時間の計測を開始した時点を基準として、火災検知器100から火災信号が受信されないまま予告判定時間の制限時間が経過した場合には、火災検知器100が正常に動作していないことを示すため、予告判定時間の計測を中止する。同様に、第2計測手段214は、上述したステップS16において火災判定時間の計測を開始した時点を基準として、上述したステップS21において蓄積復旧信号を送信した後、火災検知器100から火災信号が受信されないまま、火災判定時間の制限時間が経過した場合には、蓄積復旧後に火災検知器100が正常に動作していないことを示すため、火災判定時間の計測を中止する。なお、予告判定時間や火災判定時間の計測が途中で中止された場合、記憶部202には、予告判定時間や火災判定時間の計測が中止されたことを示す情報が記憶される。
【0026】
図4は、予告判定時間及び火災判定時間の計測の一例を示すタイミングチャートである。時刻t1において火災検知器100から照射開始信号が受信されると、第1計測手段212及び第2計測手段214は、それぞれ、予告判定時間T1及び火災判定時間T2の計測を開始する。時刻t2において火災検知器100から最初の火災信号が受信されると、第1計測手段212は、予告判定時間T1の計測を終了する。これにより、照射開始信号が受信された時刻t1から最初の火災信号が受信された時刻t2までの予告判定時間T1が計測される。時刻t3において、蓄積復旧信号が火災検知器100に送信された後、時刻t4において火災検知器100から火災信号が受信されると、すなわち蓄積復旧後において火災検知器100から最初の火災信号が受信されると、第2計測手段214は、火災判定時間T2の計測を終了する。これにより、照射開始信号が受信された時刻t1から、蓄積復旧後に再び火災信号が受信された時刻t4までの火災判定時間T2が計測される。
【0027】
図5は、予告判定時間及び火災判定時間の表示の一例を示す図である。例えば保守員が操作部204又は301を用いて予告判定時間及び火災判定時間の計測結果の表示を指示する操作を行うと、出力手段215は、記憶部202に記憶された計測結果に基づいて、図5に示される計測表示画面320を表示部205又は302に表示させる。この計測表示画面320には、各火災検知器100の検知器IDと、その火災検知器100の試験において計測された予告判定時間及び火災判定時間とが含まれる。例えば「001」という検知器IDの火災検知器100の試験において予告判定時間「7秒」と、火災判定時間「15秒」とが計測された場合には、検知器ID「001」と関連付けて、予告判定時間「7秒」と、火災判定時間「15秒」とが表示される。なお、予告判定時間や火災判定時間の計測が途中で中止された場合には、予告判定時間や火災判定時間に代えて、時間の計測が中止されたことを示す情報、例えば「***」が表示される。
【0028】
以上説明した第1実施形態によれば、防災受信盤200により予告判定時間及び火災判定時間が計測されるため、人手による作業を行うことなく、予告判定時間と火災判定時間とを得ることができる。
【0029】
第2実施形態
図6は、第2実施形態に係る防災システム20の概要の一例を示す図である。第2実施形態に係る防災システム20は、分散型のシステム構成を有する。防災システム20は、複数の火災検知器100と、試験器150と、複数の中継盤400と、防災受信盤200と、操作卓300とを備える。なお、図6では、図1と同様に、主に火災検知器100の試験に関する構成だけが示されており、その他の構成については省略されている。複数の中継盤400は、例えばトンネルの領域を分割することにより得られる複数の監視範囲に一つずつ設けられる。防災受信盤200と各中継盤400とは、信号線53を介して接続されている。各中継盤400は、同一の監視範囲内に設置された少なくとも一つの火災検知器100と信号線54を介して接続されている。
【0030】
第2実施形態では、防災受信盤200に代えて中継盤400が予告判定時間及び火災判定時間を計測する。第2実施形態に係る防災システム20の火災検知器100、防災受信盤200、及び操作卓300の構成は、基本的には、第1実施形態に係る防災システム10の火災検知器100、防災受信盤200、及び操作卓300の構成と同様である。ただし、防災受信盤200の制御部201は、第1計測手段212、蓄積復旧手段213、第2計測手段214、及び出力手段215を有さなくてもよい。
【0031】
図7は、中継盤400の構成の一例を示す図である。中継盤400は、防災受信盤200と各火災検知器100との間でやり取りされる信号を中継する。中継盤400は、制御部401と、記憶部402と、通信部403とを備える。制御部401、記憶部402、及び通信部403は、それぞれ、第1実施形態に係る防災受信盤200の制御部201、記憶部202、及び通信部203と同様である。ただし、記憶部402には、中継盤400の機能を実現するためのプログラムが記憶される。通信部403は、中継盤400を信号線53及び54に接続するための通信インターフェースである。通信部203は、信号線53又は54を介して接続された他の装置と通信を行うために用いられる。
【0032】
制御部401は、中継手段411と、第1計測手段412と、蓄積復旧手段413と、第2計測手段414と、出力手段415として機能する。これらの機能は、制御部401が記憶部402に記憶されたプログラムを実行して、制御部401が演算を行い又は中継盤400の各部を制御することにより実現される。或いは、第1計測手段412及び第2計測手段414は、ハードウェアタイマーにより実現されてもよい。中継手段411は、防災受信盤200と各火災検知器100との間でやり取りされる信号を中継する。第1計測手段412、蓄積復旧手段413、第2計測手段414、及び出力手段415は、第1実施形態に係る防災受信盤200の第1計測手段212、蓄積復旧手段213、第2計測手段214、及び出力手段215と同様である。ただし、出力手段215の出力先には、記憶部402と防災受信盤200とが含まれる。
【0033】
図8は、第2実施形態に係る防災システム20の動作の一例を示すシーケンスチャートである。ステップS31~S34の処理は、第1実施形態に係るステップS11~S14の処理と同様である。ただし、ステップS31では、防災受信盤200から中継盤400を介して火災検知器100に保守モード信号が送信される。ステップS35において、火災検知器100は、照射が開始されたことを示す照射開始信号を中継盤400に送信する。この照射開始信号は、火災検知器100の試験が開始されたことを示す。ステップS36において、中継盤400の第1計測手段212及び第2計測手段214は、それぞれ、火災検知器100から照射開始信号が受信されると、予告判定時間及び火災判定時間の計測を開始する。
【0034】
ステップS37の処理は、第1実施形態に係るステップS17の処理と同様である。ステップS38において、火災検知器100は、火災の発生を示す火災信号を中継盤400に送信する。ステップS39において、中継盤400の中継手段411は、火災検知器100から火災信号が受信されると、この火災信号を防災受信盤200に転送する。ステップS40において、中継盤400の第1計測手段412は、火災検知器100から火災信号が受信されると、予告判定時間の計測を終了する。これにより、予告判定時間が計測される。なお、ステップS39の処理とステップS40の処理とは並行して行われてもよいし、ステップS40の処理がステップS39の処理より先に行われてもよい。
【0035】
ステップS41において、中継盤400の出力手段415は、ステップS40において計測された予告判定時間を計測結果として記憶部402に記憶させる。このとき、予告判定時間は、例えば試験の対象となる火災検知器100を一意に識別する検知器IDと関連付けて記憶される。ステップS42において、中継盤400の出力手段415は、ステップS41において記憶部402に記憶された予告判定時間を防災受信盤200に送信する。ステップS43において、防災受信盤200は、中継盤400から受信された予告判定時間を記憶部202に記憶させる。
【0036】
ステップS44において、中継盤400の蓄積復旧手段413は、火災検知器100を蓄積復旧させるための蓄積復旧信号を火災検知器100に送信する。ステップS45及び46の処理は、第1実施形態に係るステップS22及びS23の処理と同様である。ステップS47において、火災検知器100は、火災の発生を示す火災信号を中継盤400に送信する。ステップS48において、中継盤400の中継手段411は、火災検知器100から火災信号が受信されると、この火災信号を防災受信盤200に転送する。ステップS49において、中継盤400の第2計測手段414は、ステップS44において蓄積復旧信号を送信した後において火災検知器100から最初の火災信号が受信されると、火災判定時間の計測を終了する。これにより、火災判定時間が計測される。なお、ステップS48の処理とステップS49の処理とは並行して行われてもよいし、ステップS49の処理がステップS48の処理より先に行われてもよい。
【0037】
ステップS50において、中継盤400の出力手段415は、ステップS49において計測された火災判定時間を計測結果として記憶部402に記憶させる。このとき、火災判定時間は、例えば試験の対象となる火災検知器100を一意に識別する検知器IDと関連付けて記憶される。ステップS51において、中継盤400の出力手段415は、ステップS50において記憶部402に記憶された火災判定時間を防災受信盤200に送信する。ステップS52において、防災受信盤200は、中継盤400から受信された火災判定時間を記憶部202に記憶させる。第1実施形態と同様に、予告判定時間及び火災判定時間は、例えば試験が行われた火災検知器100を一意に識別する検知器IDと関連付けて記憶される。
【0038】
また、第1実施形態と同様に、予告判定時間及び火災判定時間には予め制限時間が設定されてもよい。この場合、防災受信盤200は、例えば保守モード信号とともに、予告判定時間の制限時間と火災判定時間の制限時間とを中継盤400に送信する。火災検知器100から火災信号が受信されないまま予告判定時間又は火災判定時間の制限時間が経過した場合の動作は、第1実施形態で説明した動作と同様である。ただし、第2実施形態では、防災受信盤200の第1計測手段212又は第2計測手段214に代えて、中継盤400の第1計測手段412又は第2計測手段414がこの動作を行う。
【0039】
予告判定時間及び火災判定時間の計測のタイミングについても、第1実施形態と同様である。ただし、第2実施形態では、防災受信盤200の第1計測手段212及び第2計測手段214に代えて、中継盤400の第1計測手段412及び第2計測手段414が予告判定時間及び火災判定時間の計測を行う。
【0040】
以上説明した第2実施形態によれば、中継盤400により予告判定時間及び火災判定時間が計測されるため、人手による作業を行うことなく、予告判定時間と火災判定時間とを得ることができる。
【0041】
変形例
本発明は、上述した各実施形態に限定されない。上述した各実施形態は、以下の変形例のように変形して実施されてもよい。各実施形態と変形例とは、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。同様に、以下の変形例は、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。
【0042】
上述した各実施形態において、防災受信盤200又は中継盤400に代えて、火災検知器100が予告判定時間及び火災判定時間を計測してもよい。この場合、火災検知器100は、試験器150の照射が開始されてから最初に火災が検知又は判定されるまでの時間を予告判定時間として計測する。また、火災検知器100は、試験器150の照射が開始されてから蓄積復旧後に再び火災が検知又は判定されるまでの時間を火災判定時間として計測する。そして、火災検知器100は、計測された予告判定時間及び火災判定時間を防災受信盤200又は中継盤400に送信する。この変形例によれば、火災検知器100により予告判定時間及び火災判定時間が計測されるため、人手による作業を行うことなく、予告判定時間と火災判定時間とを得ることができる。
【0043】
上述した各実施形態において、火災検知器100が左右に一つずつ受光素子を含む火災検知部を備えており、火災検知器100に向かって右側の火災検知部(以下、「右目」という。)と左側の火災検知部(以下、「左目」という。)とで火災検知器100の左右の空間をそれぞれ監視している場合には、火災検知器100の右目の試験と左目の試験とが別々に行われる。この場合、火災検知器100の右目の試験と左目の試験とのそれぞれについて、予告判定時間及び火災判定時間が計測されてもよい。この変形例では、例えば照射開始信号は、照射が開始されたことに加えて、試験器150による照射の対象が右目と左目とのうちどちらの目であるかを示す。また、予告判定時間及び火災判定時間は、例えば上述した検知器IDに加えて、火災検知器100の試験の対象となる目を識別する情報と関連付けて記憶される。さらに、計測表示画面320には、各火災検知器100の検知器IDと、試験の対象となる目を識別する情報と、その火災検知器100の右目又は左目の試験において計測された予告判定時間及び火災判定時間が含まれる。例えば「001」という検知器IDの火災検知器100の右目の試験において予告判定時間「7秒」と、火災判定時間「15秒」とが計測された場合には、検知器ID「001」と、「右目」と、予告判定時間「7秒」と、火災判定時間「15秒」とが関連付けて記憶及び表示される。
【0044】
上述した各実施形態において、予告判定時間及び火災判定時間の出力は、記憶部202への記憶や表示部205又は302の表示に限定されない。例えば操作卓300にプリンターが含まれる場合には、プリンターにより予告判定時間及び火災判定時間が印刷されてもよい。また、防災受信盤200と信号線を介して接続された遠方監視装置に予告判定時間及び火災判定時間が送信されてもよい。さらに、予告判定時間及び火災判定時間は、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記憶媒体に記憶され、別の場所に設置されたパーソナルコンピュータ等の装置においてこの記憶媒体から読み出されて表示されてもよい。
【0045】
上述した各実施形態において、防災システム10又は20の設置場所は、トンネルに限定されない。防災システム10又は20は、火災が発生し得る場所であれば、どこに設置されてもよい。また、防災受信盤200に代えて火災受信機が採用されてもよい。さらに、火災検知器100が火災を検知する方式は炎式に限定されない。例えば火災検知器100が火災を検知する方式は、煙式や熱式であってもよい。試験器150は、火災を検知する方式に応じた疑似火災信号を出力する。例えば火災を検知する方式が煙式である場合、試験器150は、疑似炎光に代えて煙を出す。火災を検知する方式が熱式である場合、試験器150は、疑似炎光に代えて熱を発する。この変形例では、試験器150により煙や熱の出力が開始された時点が、火災検知器100の試験が開始される時点となる。
【0046】
上述した各実施形態において、防災システム10又は20の構成は上述した例に限定されない。防災システム10又は20は、上述した装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。また、防災システム10又は20の機能を有する主体は、上述した例に限定されない。例えば防災受信盤200の機能は、複数の装置が協働することにより実現されてもよい。例えば防災受信盤200は、操作部204及び表示部205を備えていなくてもよい。防災受信盤200が操作部204及び表示部205を備えていない場合には、操作卓300の操作部301及び表示部302を用いて操作及び表示が行われる。或いは、操作卓300が設けられなくてもよい。操作卓300が設けられない場合には、防災受信盤200の操作部204及び表示部205を用いて操作及び表示が行われる。
【0047】
上述した各実施形態において、防災システム10又は20の動作は上述した例に限定されない。防災システム10又は20の処理手順は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。また、防災システム10又は20の一部の処理手順が省略されてもよい。
【0048】
本発明の別の形態は、防災システム10、防災受信盤200、又は中継盤400において行われる処理のステップを有する方法を提供してもよい。また、本発明の更に別の形態は、防災受信盤200又は中継盤400において実行されるプログラムを提供してもよい。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネット等を介したダウンロードによって提供されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10、20:防災システム、100:火災検知器、150:試験器、200:防災受信盤、211:モード制御手段、212:第1計測手段、213:蓄積復旧手段、214:第2計測手段、215:出力手段、300:操作卓、301:操作部、302:表示部、400:中継盤、411:中継手段、412:第1計測手段、413:蓄積復旧手段、414:第2計測手段、415:出力手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8