(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087057
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ドライバ推定装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 5/117 20160101AFI20240621BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61B5/117 200
A61B5/0245 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024072142
(22)【出願日】2024-04-26
(62)【分割の表示】P 2023099917の分割
【原出願日】2015-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】竹内 吉和
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 禎司
(72)【発明者】
【氏名】榎本 清
(72)【発明者】
【氏名】下平 真武
(72)【発明者】
【氏名】矢野 健一郎
(57)【要約】
【課題】ドライバを随時推定することが可能なドライバ推定装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置2の通信部27は、車両の搭乗者が装着するウェアラブル端末1から、搭乗者の心拍数の時系列計測データを含む心拍データDhを受信する。そして、ナビゲーション装置2の制御部21は、通信部27が受信した搭乗者の心拍データDhに基づいて、当該搭乗者が車両のドライバであるかどうかを推定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の搭乗者が装着し、前記搭乗者の心拍又は脈拍を測定する端末から、前記心拍又は脈拍に関するデータを受信する受信部と、
前記心拍又は脈拍に関するデータに基づいて、前記搭乗者が前記車両のドライバであるかどうかを推定する推定部と、
を備えることを特徴とするドライバ推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバ(運転者)を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の運転開始時にドライバ認証を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、タッチスクリーンなどの入力装置でドライバ名の入力を受け付けたり、指紋等の生体認証を行ったりすることで、車両の運転開始時にドライバ認証を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の運転支援装置は、ドライバ認証を運転開始時のみに行っている。よって、特許文献1の技術では、経路の途中でドライバが代わった場合に、現在のドライバを正しく特定できない。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ドライバを随時推定することが可能なドライバ推定装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、ドライバ推定装置であって、車両の搭乗者が装着し、前記搭乗者の心拍又は脈拍を測定する端末から、前記心拍又は脈拍に関するデータを受信する受信部と、前記心拍又は脈拍に関するデータに基づいて、前記搭乗者が前記車両のドライバであるかどうかを推定する推定部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項に記載の発明は、装着自在なドライバ推定装置であって、前記ドライバ推定装置の装着者が車両に搭乗したことを検出する搭乗検出部と、前記装着者が車両に搭乗したことを前記搭乗検出部が検出した場合、前記装着者の心拍又は脈拍を測定し、当該心拍又は脈拍に関するデータを生成する測定部と、前記心拍又は脈拍に関するデータに基づいて、前記搭乗者が前記車両のドライバであるかどうかを推定する推定部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項に記載の発明は、ドライバ推定装置が実行する制御方法であって、車両の搭乗者が装着し、前記搭乗者の心拍又は脈拍を測定する端末から、前記心拍又は脈拍に関するデータを受信する受信工程と、前記心拍又は脈拍に関するデータに基づいて、前記搭乗者が前記車両のドライバであるかどうかを推定する推定工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、コンピュータが実行するプログラムであって、車両の搭乗者が装着し、前記搭乗者の心拍又は脈拍を測定する端末から、前記心拍又は脈拍に関するデータを受信する受信部と、前記心拍又は脈拍に関するデータに基づいて、前記搭乗者が前記車両のドライバであるかどうかを推定する推定部として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】ドライバ推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】複数のウェアラブル端末が車内に存在する場合のドライバ推定システムの概要図である。
【
図5】変形例に係るドライバ推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の1つの好適な実施形態では、ドライバ推定装置は、車両の搭乗者が装着し、前記搭乗者の心拍又は脈拍を測定する端末から、前記心拍又は脈拍に関するデータを受信する受信部と、前記心拍又は脈拍に関するデータに基づいて、前記搭乗者が前記車両のドライバであるかどうかを推定する推定部と、を備える。
【0012】
上記ドライバ推定装置は、受信部と、推定部とを備える。受信部は、車両の搭乗者が装着する端末から、搭乗者の心拍又は脈拍に関するデータを受信する。推定部は、受信部が受信した搭乗者の心拍又は脈拍に関するデータに基づいて、当該搭乗者が車両のドライバであるかどうかを推定する。この態様では、ドライバ推定装置は、搭乗者が装着する端末から心拍又は脈拍に関するデータを受信し、当該データに基づき搭乗者がドライバであるか否か推定する。一般に、車両のドライバと運転をしない乗員とでは、安全確認等による緊張やストレス状態が異なるため、心拍又は脈拍の挙動に差が生じる。よって、ドライバ推定装置は、この態様により、端末を装着する搭乗者がドライバであるか否かを随時推定することができる。
【0013】
上記ドライバ推定装置の一態様では、前記心拍又は脈拍に関するデータは、前記搭乗者の心拍又は脈拍の時系列データであり、前記推定部は、前記心拍又は脈拍の時系列データから特定される前記搭乗者の心拍又は脈拍の変化の傾向に基づいて、前記搭乗者が前記車両のドライバであるかどうかを推定する。一般に、車両のドライバと運転をしない乗員とでは、安全確認等による緊張やストレス状態が異なるため、心拍又は脈拍の時系列の変化の傾向に差が生じる。よって、ドライバ推定装置は、この態様により、端末を装着する搭乗者がドライバであるか否かを好適に推定することができる。
【0014】
上記ドライバ推定装置の他の一態様では、前記受信部は、複数の搭乗者がそれぞれ装着する前記端末から、前記心拍又は脈拍に関するデータを受信し、前記推定部は、前記端末毎に受信した前記心拍又は脈拍に関するデータに基づいて、前記複数の搭乗者の各々が前記車両のドライバであるかどうかを推定する。このように、ドライバ推定装置は、車両に複数の搭乗者が存在する場合であっても、個々の端末から送信された心拍又は脈拍のデータに基づいて、ドライバを推定することができる。
【0015】
上記ドライバ推定装置の他の一態様では、前記推定部は、前記心拍又は脈拍に関するデータと、前記車両の走行状態又は前記車両の走行道路種別の少なくとも1つと、に基づいて、前記搭乗者が前記車両のドライバであるかどうかを推定する。一般に、車両の走行状態又は/及び車両の走行道路種別によって、ドライバの心拍又は脈拍の挙動が異なる。よって、この態様により、ドライバ推定装置は、より的確に搭乗者がドライバであるか否かを推定することができる。
【0016】
上記ドライバ推定装置の他の一態様では、前記推定部は、前記車両が所定の時間停車した場合、前記車両のドライバの推定を行う。「所定の時間」は、例えばドライバが交代するのに必要な時間等に実験等に基づき設定される。この態様により、ドライバ推定装置は、ドライバが交代した可能性がある場合に、車両のドライバの推定を行うことで、ドライバが交代した場合であっても交代後のドライバを的確に推定することができる。
【0017】
上記ドライバ推定装置の他の一態様では、ドライバ推定装置は、前記車両のドアの開閉を検出するドア開閉検出部を更に備え、前記推定部は、前記車両のドアが閉められた場合、前記車両のドライバの推定を行う。この態様では、ドライバ推定装置は、ドアの開閉が行われた場合にはドライバが交代した可能性があることから、車両のドライバの推定を行う。これにより、ドライバが交代した場合であっても交代後のドライバを的確に推定することができる。
【0018】
上記ドライバ推定装置の他の一態様では、前記推定部は、前記心拍又は脈拍に関するデータに基づいて、前記搭乗者が前記車両のドライバであると推定した場合、当該心拍又は脈拍に関するデータを記憶部に蓄積し、前記推定部は、前記受信部が前記心拍又は脈拍に関するデータを受信した際に、前記記憶部に蓄積した前記心拍又は脈拍に関するデータが存在する場合、前記受信部が受信した前記心拍又は脈拍に関するデータと、前記記憶部に蓄積した前記心拍又は脈拍に関するデータとに基づいて、前記搭乗者が前記車両のドライバであるかどうかを推定する。この態様により、車両に同一のドライバが繰り返し乗車する場合に、ドライバの推定処理を高速化したり、推定精度を向上させたりすることができる。
【0019】
本発明に係る他の実施形態では、装着自在なドライバ推定装置は、前記ドライバ推定装置の装着者が車両に搭乗したことを検出する搭乗検出部と、前記装着者が車両に搭乗したことを前記搭乗検出部が検出した場合、前記装着者の心拍又は脈拍を測定し、当該心拍又は脈拍に関するデータを生成する測定部と、前記心拍又は脈拍に関するデータに基づいて、前記搭乗者が前記車両のドライバであるかどうかを推定する推定部と、を備える。この態様により、ドライバ推定装置は、装着者がドライバであるか否かを、心拍又は脈拍を測定することで随時推定することができる。
【0020】
本発明に係るさらに別の実施形態では、ドライバ推定装置が実行する制御方法は、車両の搭乗者が装着し、前記搭乗者の心拍又は脈拍を測定する端末から、前記心拍又は脈拍に関するデータを受信する受信工程と、前記心拍又は脈拍に関するデータに基づいて、前記搭乗者が前記車両のドライバであるかどうかを推定する推定工程と、を有する。ドライバ推定装置は、この制御方法を実行することで、端末を装着する搭乗者がドライバであるか否かを随時推定することができる。
【0021】
本発明に係るさらに別の実施形態では、コンピュータが実行するプログラムは、車両の搭乗者が装着し、前記搭乗者の心拍又は脈拍を測定する端末から、前記心拍又は脈拍に関するデータを受信する受信部と、前記心拍又は脈拍に関するデータに基づいて、前記搭乗者が前記車両のドライバであるかどうかを推定する推定部として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、端末を装着する搭乗者がドライバであるか否かを随時推定することができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0023】
[ドライバ推定システムの構成]
図1は、本実施例に係るドライバ推定システムの概要図である。
図1に示すように、ドライバ推定システムは、運転者(ドライバ)などの車両の搭乗者が装着するウェアラブル端末1と、ナビゲーション装置2とを有する。ウェアラブル端末1とナビゲーション装置2とは、無線又は有線(
図1では無線)によるデータ通信を行う。
【0024】
ウェアラブル端末1は、装着型の端末であって、ナビゲーション装置2の要求に基づき、装着者の心拍に関するデータ(「心拍データDh」とも呼ぶ。)をナビゲーション装置2に送信する。ウェアラブル端末1は、本ドライバ推定システム専用に製造された端末であってもよく、本ドライバ推定システムに準拠するためのプログラムがインストールされた汎用の端末であってもよい。
【0025】
ナビゲーション装置2は、据置型の車載機、又はPND(Portable Navigation Device)やスマートフォンなどの携帯型の端末であって、ユーザが指定した目的地までの経路案内を実行する。また、本実施例では、ナビゲーション装置2は、ウェアラブル端末1から受信した心拍データDhに基づき、ウェアラブル端末1の装着者がドライバであるか否かを判定する処理(「ドライバ推定処理」とも呼ぶ。)を行う。
【0026】
次に、引き続き
図1を参照して、ウェアラブル端末1及びナビゲーション装置2の各構成について説明する。
【0027】
図1に示すように、ウェアラブル端末1は、主に、制御部11と、通信部12と、心拍センサ13と、記憶部14とを有する。通信部12は、制御部11の制御に基づき、ナビゲーション装置2とデータ通信を行う。心拍センサ13は、制御部11の制御に基づき、ウェアラブル端末1の装着者の心拍数を計測し、計測結果を制御部11へ供給する。記憶部14は、ウェアラブル端末1の動作を制御するためのプログラムを保存したり、ウェアラブル端末1の動作に必要な情報を保持したりする。また、記憶部14は、ウェアラブル端末1に固有の識別情報(「端末ID」とも呼ぶ。)などを記憶する。
【0028】
ウェアラブル端末1の制御部11は、図示しないCPUなどを備え、ウェアラブル端末1内の各構成要素に対して種々の制御を行う。本実施例では、制御部11は、ナビゲーション装置2から心拍データDhの送信要求を通信部12により受信した場合に、心拍センサ13が所定時間幅にわたり計測した心拍数の時系列のデータ(「時系列計測データ」とも呼ぶ。)と、記憶部14に記憶された端末IDとを、心拍データDhとして通信部12によりナビゲーション装置2へ送信する。上述の「時系列計測データ」は、時系列で計測された各心拍数の計測時刻が特定可能なデータであって、例えば、計測された心拍数と、当該心拍数が計測された時刻を示す時刻情報とが関連付けられた時系列データである。
【0029】
次に、ナビゲーション装置2の構成について説明する。
図1に示すように、ナビゲーション装置2は、主に、制御部21と、測位部22と、ディスプレイなどの表示部23と、スピーカなどの音出力部24と、入力部25と、記憶部26と、通信部27とを有する。
【0030】
測位部22は、ジャイロセンサや距離センサなどの自立測位装置やGPS受信機などであり、車両の現在地や進行方向などの測位を行う。測定部22の計測結果を示す出力データは、記憶部26に記憶される。表示部23は、制御部21の制御に基づき、ルート案内のための地図などを表示する。音出力部24は、制御部21の制御に基づき、ルート案内のための音声案内や所定の警告等を出力する。入力部25は、ボタン、スイッチ、タッチパネル、音声入力装置等であり、入力された情報を制御部21へ供給する。通信部27は、制御部21の制御に基づき、ウェアラブル端末1に対して心拍データDhの要求信号を送信したり、ウェアラブル端末1から送信された心拍データDhを受信したりする。通信部27は、本発明における「受信部」の一例である。
【0031】
記憶部26は、ナビゲーション装置2の動作を制御するためのプログラムを保存したり、ナビゲーション装置2の動作に必要な情報を保持したりする。例えば、記憶部26は、道路種別などが登録された道路データを含む地図データを記憶する。また、記憶部26は、車両の走行状態及び車両の走行中の道路種別の組合せごとにドライバの心拍数の変化特性を記録したマップ(「ドライバ特性マップMp」とも呼ぶ。)を記憶する。また、記憶部26は、制御部21の制御に基づき、測定部22の出力データをその計測時刻と関連付けて記憶したり、通信部27が受信した心拍データDhを記憶したりする。
【0032】
制御部21は、図示しないCPUなどを備え、ナビゲーション装置2内の各構成要素に対して種々の制御を行う。本実施例では、制御部21は、ウェアラブル端末1から心拍データDhを受信した場合、心拍データDhに含まれる時系列計測データとドライバ特性マップMpとに基づき、ウェアラブル端末1の装着者がドライバであるか否かの判定を行う。そして、制御部21は、ウェアラブル端末1の装着者がドライバであると判定した場合、受信した心拍データDhに含まれる端末IDを、ドライバが装着するウェアラブル端末1の端末IDとして記憶部26に記憶する。その後、例えば、制御部21は、記憶部26に記憶した端末IDに対応するウェアラブル端末1に対し、ドライバの運転を支援するための所定の動作の実行を指示する制御信号を送信する。制御部21は、本発明における「推定部」及びプログラムを実行する「コンピュータ」の一例である。
【0033】
[ドライバ推定処理]
次に、ナビゲーション装置2の制御部21が実行するドライバ推定処理の詳細について説明する。概略的には、制御部21は、心拍データDhの時系列計測データが示すウェアラブル端末1の装着者の心拍数の時系列変化が、ドライバ特性マップMpを参照して認識したドライバの心拍数変化の特性と一致する場合、当該装着者がドライバであると推定する。この場合、制御部21は、上述のドライバの心拍数変化の特性を、心拍数の計測時での車両の走行状態及び車両が走行中の道路種別からドライバ特性マップMpを参照することで的確に認識する。
【0034】
以下では、まず、ドライバ推定処理に用いるドライバ特性マップMpについて説明する。
図2は、ドライバ特性マップMpの一例を示す。
【0035】
図2に示すドライバ特性マップMpは、心拍数の計測時の車両の走行状態と、心拍数の計測時に車両が走行中の道路種別(走行道路種別)との組合せごとに、運転者の心拍数の変化の特性を示している。ドライバ特性マップMpに規定される走行状態及び道路種別の組合せは、ドライバとドライバ以外の搭乗者とで心拍数変化の差異が生じる組合せとなっている。
【0036】
図2の例では、車両の走行状態として、車両が停止中の状態に対応する「停車」、車両が加速中の状態に対応する「加速」、車両が略一定の速度で走行中の状態に対応する「定速」、車両が車線変更した状態に対応する「車線変更」の4つの状態が規定されている。また、
図2の例では、車両が走行中の道路種別として、「一般道路」、「高速道路」、及び「駐車場」の3つの種類が規定されている。そして、これらの車両の走行状態及び道路種別の組合せごとに、当該車両のドライバである場合に想定される心拍数の変化特性(
図2では「上昇」、「低下」、「不変」のいずれか)が記録されている。例えば、
図2の例では、走行状態が「停車」である場合には、道路種別によらずに心拍数が低下することが示されており、走行状態が「加速」である場合には、道路種別によらずに心拍数が上昇することが示されている。一方、走行状態が「定速」の場合には、道路種別が「一般道路」又は「高速道路」のときに心拍数が不変又は低下し、道路種別が「駐車場」のときに心拍数が不変又は上昇することが示されている。さらに、走行状態が「車線変更」の場合には、道路種別が「一般道路」又は「高速道路」のときに心拍数が上昇することが示されている。
【0037】
なお、
図2のドライバ特性マップMpは本発明を説明するための例示にすぎず、本発明が適用可能なドライバ特性マップMpはこれに限定されない。例えば、ドライバ特性マップMpに規定される道路種別は、「一般道路」、「高速道路」、及び「駐車場」の区分けに限られない。例えば、一般道路を国道と細街路等とにさらに細かく分類してもよい。他の例では、ドライバ特性マップMpに規定する道路種別を、交差点直前の地点、交差点通過直後の地点、交差点の右折車線など、ドライバとドライバ以外の搭乗者とで心拍数変化の差異が生じる場所ごとに適宜設定してもよい。同様に、ドライバ特性マップMpに規定する走行状態は、
図2の例に限られず、右折時の状態を示す「右折」や左折時の状態を示す「左折」などを含んでもよい。このように、ドライバ特性マップMpに規定される道路種別及び走行状態の組合せは、ドライバとドライバ以外の搭乗者とで心拍数変化の差異が生じる組合せとなるように実験等に基づき設定され、かつ、組合せごとのドライバの心拍数変化の特性についても実験等に基づき設定される。
【0038】
次に、ドライバ特性マップMpを用いたドライバ推定方法について説明する。
【0039】
制御部21は、心拍データDhに含まれる時系列計測データの時刻情報に基づき、心拍数計測時での車両の走行状態及び走行道路種別を認識し、ドライバ特性マップMpを参照することにより、心拍数計測時でのドライバの心拍数の変化特性を把握する。そして、制御部21は、ウェアラブル端末1から受信した心拍データDhに含まれる心拍数の時系列計測データが示す心拍数の変化が、ドライバ特性マップMpから把握したドライバの心拍数の変化特性と一致する場合に、心拍データDhの送信元のウェアラブル端末1の端末IDを、ドライバの装着端末の端末IDとして記憶部26に記憶する。なお、制御部21は、上述の車両の走行状態を、記憶部26に記憶された加速度センサやGPS受信機などの測定部22の出力データに基づき認識すると共に、上述の走行道路種別を、記憶部26に記憶されたGPS受信機などの測定部22の出力データが示す車両の走行位置の軌跡及び記憶部26に記憶された道路データ等に基づき認識する。
【0040】
一般に、車両のドライバと運転をしない搭乗者では、安全確認等による緊張やストレス状態が異なるため、車両の走行時での心拍数の時系列変化に差が生じる。以上を勘案し、本実施例に係るナビゲーション装置2は、ドライバに特有の心拍数の変化が生じる走行状態及び道路種別の組合せごとにドライバの心拍数の変化の特性を記録したドライバ特性マップMpを予め記憶しておく。これにより、ナビゲーション装置2は、ウェアラブル端末1から受信した心拍データDhに基づき、心拍データDhの送信元のウェアラブル端末1の装着者がドライバであるか否かを的確に判定することができる。
【0041】
[処理フロー]
図3は、ドライバ推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0042】
まず、ナビゲーション装置2は、ナビゲーション装置2が搭載されている車両のエンジンスイッチがオンになったことを検知したか否か判定する(ステップS101)。例えば、ナビゲーション装置2は、車両から電源が供給された場合、又は、車両の制御部(ECU:Electronic Control Unit)からエンジンスイッチがオンになった旨の情報をCAN(Controller Area Network)等により受信した場合、車両のエンジンスイッチがオンになったと判断する。
【0043】
そして、エンジンスイッチがオンになったことを検知した場合(ステップS101;Yes)、ナビゲーション装置2は、心拍データDhの要求信号をウェアラブル端末1へ送信する(ステップS102)。この場合、ナビゲーション装置2は、上述の要求信号を、ブロードキャストにより不特定送信してもよく、既に通信を確立したウェアラブル端末1が存在する場合に当該ウェアラブル端末1に対して送信してもよい。
【0044】
ウェアラブル端末1は、心拍データDhの要求信号をナビゲーション装置2から受信した場合、心拍センサ13により心拍数の計測を行う(ステップS103)。そして、ウェアラブル端末1は、心拍センサ13が計測した心拍数の時系列データである時系列計測データと、ウェアラブル端末1の端末IDとを含む心拍データDhを、ナビゲーション装置2へ送信する(ステップS104)。そして、ナビゲーション装置2は、心拍データDhを受信する(ステップS105)。
【0045】
次に、ナビゲーション装置2は、受信した心拍データDhに含まれる心拍数の時系列計測データに基づき、心拍数の変化傾向を認識する(ステップS106)。また、ナビゲーション装置2は、心拍数が計測された時刻での車両の走行状態及び走行道路種別を認識する(ステップS107)。
【0046】
次に、ナビゲーション装置2は、ウェアラブル端末1の装着者がドライバであると推定可能であるか否か判定する(ステップS108)。この場合、ナビゲーション装置2は、ステップS107で認識した走行状態及び走行道路種別に対応するドライバの心拍数の変化特性を、ドライバ特性マップMpを参照することで認識し、ステップS106で特定した心拍数の変化傾向と一致するか否か判定する。
【0047】
そして、ナビゲーション装置2は、ウェアラブル端末1の装着者がドライバであると推定可能であると判断した場合(ステップS108;Yes)、心拍データDhの送信元となるウェアラブル端末1の装着者はドライバであるとみなし、心拍データDhに含まれる端末IDを記憶部26に記憶する(ステップS109)。一方、ナビゲーション装置2は、計測した心拍数の変化傾向に基づき、ウェアラブル端末1の装着者がドライバであると推定できないと判断した場合(ステップS108;No)、再びステップS102へ処理を戻し、心拍データDhを受信し、心拍データDhの送信元がドライバの装着端末であるか否かの判定を行う。なお、ナビゲーション装置2は、所定回数以上ステップS108でウェアラブル端末1の装着者がドライバであると推定できない場合等には、ウェアラブル端末1の装着者は運転者でないと判断し、ステップS109を実行することなくフローチャートの処理を終了してもよい。
【0048】
なお、
図3のフローチャートでは、ウェアラブル端末1は、ステップS102の心拍データDhの送信要求がある度に、ステップS103で心拍データDhをナビゲーション装置2に送信した。これに代えて、ウェアラブル端末1は、ステップS102の心拍データDhの送信要求が一度あった後には、心拍データDhが不要であるとナビゲーション装置2から通知を受けるまで、心拍データDhを繰り返し生成及び送信してもよい。
【0049】
[ウェアラブル端末が複数存在する場合]
次に、ウェアラブル端末1が車内に複数存在する場合(即ち複数の搭乗者がウェアラブル端末1を装着していた場合)について補足説明する。
図4は、複数のウェアラブル端末1(1A、1B、…)がナビゲーション装置2と共に同一の車両内に存在する場合のドライバ推定システムの概要図を示す。
【0050】
図4の場合、ウェアラブル端末1A及びウェアラブル端末1Bは、心拍データDhの要求信号をナビゲーション装置2から受信した場合に、端末固有の端末IDを含む心拍データDhをナビゲーション装置2へ送信する。そして、ナビゲーション装置2は、ウェアラブル端末1Aから受信した心拍データDhに基づき、ウェアラブル端末1Aの装着者がドライバであるか否かを判定すると共に、ウェアラブル端末1Bから受信した心拍データDhに基づき、ウェアラブル端末1Bの装着者がドライバであるか否かを判定する。そして、ナビゲーション装置2は、ウェアラブル端末1A、1Bのいずれかの装着者がドライバであると判断した場合、ドライバと判断した装着者に対応するウェアラブル端末1の端末IDを記憶部26に記憶する。
【0051】
このように、ナビゲーション装置2は、複数のウェアラブル端末1が車内に存在する場合であっても、各ウェアラブル端末1の心拍データDhに基づき、各ウェアラブル端末1の装着者がドライバか否か判定する。これにより、ナビゲーション装置2は、複数のウェアラブル端末1が車内に存在する場合であっても、的確にドライバを推定することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施例に係るナビゲーション装置2の制御部21は、通信部27により、車両の搭乗者が装着するウェアラブル端末1から、搭乗者の心拍数の時系列計測データを含む心拍データDhを受信する。そして、制御部21は、通信部27が受信した搭乗者の心拍データDhに基づいて、当該搭乗者が車両のドライバであるかどうかを推定する。一般に、車両のドライバと運転をしない乗員とでは、安全確認等による緊張やストレス状態が異なるため、心拍の挙動に差が生じる。よって、ナビゲーション装置2は、この態様により、ウェアラブル端末1を装着する搭乗者がドライバであるか否かを好適に推定することができる。
【0053】
[変形例]
以下、上述の実施例に好適な変形例について説明する。以下に示す変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0054】
(変形例1)
本発明は、ドライバ特性マップMpを用いたドライバ推定処理に限定されず、パターン認識(モデル化を含む)などの種々の公知の統計的手法等を用いることで、ドライバ特性マップMpによらずにドライバの推定を行ってもよい。
【0055】
例えば、ナビゲーション装置2は、予め計測したドライバ及びドライバ以外の搭乗者の心拍数の時系列データを対象に、公知の学習を実行することで所定の特徴空間を定めて各特徴量(特徴ベクトル)を規定しておく。そして、ナビゲーション装置2は、ウェアラブル端末1から受信した心拍データDhに含まれる時系列計測データを対象に解析を行って特徴量を抽出し、予め記憶したドライバ及びドライバ以外の搭乗者の各特徴量と比較することで、心拍数の計測対象者がドライバであるか否か判定する。
【0056】
この場合、ナビゲーション装置2は、運転が開始される前には、走行道路種別及び走行状態に基づくドライバ特性マップMpによらずにドライバ推定処理を行い、車両が走行を開始した後もドライバの認証ができない場合には、走行道路種別及び走行状態に基づく本実施例のドライバ推定処理を行ってもよい。即ち、ナビゲーション装置2は、複数のドライバ推定処理が実行可能な場合には、運転状況に応じて実行すべきドライバ推定処理を切り替えてもよい。
【0057】
(変形例2)
変形例1に基づき統計的手法等を用いたドライバ推定処理を行う場合、ナビゲーション装置2は、ドライバ推定処理で用いた心拍データDhに含まれる心拍数の時系列計測データを蓄積し、当該時系列計測データをサンプルとして用いてもよい。
【0058】
この場合、ナビゲーション装置2は、ドライバの心拍数の時系列計測データを蓄積した回数が所定回数未満の場合では、予め記憶部26に記憶されたドライバの一般的な心拍数の時系列データに基づき、ドライバ推定処理を行う。そして、ナビゲーション装置2は、ドライバ推定処理によりドライバであると推定した場合、推定に用いた心拍データDhの時系列計測データを、ドライバの心拍数のサンプルとして記憶部26に記憶する。そして、ナビゲーション装置2は、例えば所定回数以上ドライバの心拍数のサンプルを蓄積した場合、蓄積した当該サンプルを用いることで、心拍数の計測対象者がドライバであるか否か判定する。この場合、例えば、ナビゲーション装置2は、蓄積したドライバの心拍数のサンプルから、ドライバの心拍数の特徴を表すテンプレート等を更新し、当該テンプレートと、受信する心拍データDhに含まれる時系列計測データの特徴とが略一致するか判定する。
【0059】
一般に、心拍数の変化は、運転初心者、ベテランドライバ、高齢者などといったドライバの種類(カテゴリ)によっても違いがある。また、ナビゲーション装置2は、一般に同一のドライバにより繰り返し使用される場合が多い。よって、上述のように、ナビゲーション装置2は、実際に計測して蓄積した心拍数の時系列計測データをドライバ推定処理に用いることで、より正確にドライバの推定を行うと共に、ドライバ推定処理の時間を短縮化することができる。
【0060】
(変形例3)
ナビゲーション装置2は、心拍数の計測時での車両の走行状態と走行道路種別とに基づき、ドライバ特性マップMpを参照してドライバ推定処理を実行した。これに代えて、ナビゲーション装置2は、心拍数の計測時での車両の走行状態と走行道路種別のいずれか一方のみに基づいてドライバ推定処理を行ってもよい。
【0061】
この場合、例えば、ドライバ特性マップMpには、走行状態と道路種別のいずれか一方に対し、ドライバの心拍数の変化の特性が規定される。そして、ナビゲーション装置2は、ドライバ推定処理では、ドライバ特性マップMpに規定された走行状態又は道路種別のいずれか一方の心拍数の計測時での状態又は種別を認識し、ドライバ特性マップMpを参照してドライバの心拍数の変化特性を認識する。そして、ナビゲーション装置2は、認識したドライバの心拍数の変化特性と、心拍データDhに含まれる心拍数の時系列計測データとを比較することで、心拍数の計測対象者がドライバであるか否か判定する。
【0062】
(変形例4)
ナビゲーション装置2は、ドライバ推定処理を、ドライバを認証できた後であっても、ドライバが交代した可能性があると判断される所定の条件が満たされた場合に、再度実行してもよい。
【0063】
例えば、ナビゲーション装置2は、車両のドアの開閉を検知した場合、ドライバが交代した可能性があると判断する。この場合、ナビゲーション装置2は、例えば、CAN等のプロトコルにより車両の制御部(ECU)からドアの開閉に関する信号を受信することにより、車両のドアの開閉を検知する。そして、車両のドアの開閉を検知した場合、ナビゲーション装置2は、心拍データDhの要求信号をウェアラブル端末1に送信することで心拍データDhを受信し、
図3のステップS106~ステップS108に基づきドライバの認証を行う。そして、ナビゲーション装置2は、ステップS108において、ステップS109で以前に記録した端末IDと異なる端末IDのウェアラブル端末1の装着者がドライバであると判断した場合、ドライバが装着するウェアラブル端末1の端末IDの記録を書き換える。なお、ナビゲーション装置2は、ステップS108において、ステップS109で以前に記録した端末IDのウェアラブル端末1の装着者がドライバであると推定できなかった場合、前にステップS109で記録した端末IDを消去してもよい。
【0064】
他の例では、ナビゲーション装置2は、地図データに登録されている駐車場(高速道路のサービスエリアやパーキングエリアも含む)に停車した後に発進したことを検知した場合、又は、駐車場以外の場所に所定時間停車した後に発進したことを検知した場合に、ドライバが交代した可能性があると判断し、ドライバ推定処理を再度実行してもよい。
【0065】
このように、本変形例によれば、ナビゲーション装置2は、エンジンスイッチがオンになった後、再びエンジンスイッチがオフになるまでの間にドライバが入れ替わった場合であっても、入れ替え後のドライバを随時認識することができる。なお、制御部21は、本発明における「ドア開閉検出部」の一例である。
【0066】
(変形例5)
ナビゲーション装置2は、車両の制御部の制御下にある図示しない通信部(「車両通信部」とも呼ぶ。)を介して心拍データDhの受信等を行ってもよい。この場合、ウェアラブル端末1と車両通信部、及びナビゲーション装置2と車両通信部とは、それぞれ通信を確立し、車両通信部は、ナビゲーション装置2から受信した心拍データDhの送信要求をウェアラブル端末1に転送したり、ウェアラブル端末1から受信した心拍データDhをナビゲーション装置2に転送したりする。
【0067】
(変形例6)
図3の例では、ウェアラブル端末1は、ナビゲーション装置2からの心拍データDhの送信要求に基づき、ステップS104で心拍データDhを送信した。これに代えて、ウェアラブル端末1は、車両の制御部との通信に基づき、又は、図示しないセンサの出力等に基づき、装着者の車両への乗車を認識した場合に、心拍データDhを生成し、心拍データDhをナビゲーション装置2へ送信してもよい。
【0068】
(変形例7)
車両の制御部(ECU)は、本実施例でナビゲーション装置2が実行したドライバ推定処理を、ナビゲーション装置2に代えて実行してもよい。
【0069】
この場合、車両の制御部は、例えば、変形例5で説明した車両通信部により心拍データDh等の授受をウェアラブル端末1と行うと共に、ドライバ推定処理に必要なドライバ特性マップMp等を図示しない記憶部に記憶する。そして、車両の制御部は、
図3のステップS101~S102及びステップS105~S109の処理を実行する。この場合、車両通信部は、本発明における「受信部」の一例であり、車両の制御部は、本発明における「推定部」及びプログラムを実行する「コンピュータ」の一例である。
【0070】
(変形例8)
ナビゲーション装置2の処理の一部又は全部を、ウェアラブル端末1が実行してもよい。例えば、ウェアラブル端末1は、ナビゲーション装置2に代えて自端末の装着者がドライバであるか否か判定し、当該装着者がドライバであると判断した場合に、自端末の端末ID等をナビゲーション装置2へ送信してもよい。他の例では、ドライバ推定システムは、ウェアラブル端末1のみから構成され、ナビゲーション装置2の処理をウェアラブル端末1が実行してもよい。
【0071】
図5は、実施例のナビゲーション装置2の処理をウェアラブル端末1が実行する場合のドライバ推定処理の手順を示すフローチャートの一例である。
【0072】
まず、ウェアラブル端末1は、装着者の乗車を検知したか否か判定する(ステップS201)。例えば、ウェアラブル端末1は、エンジンスイッチがオンになった旨やドアの開閉が行われた旨等の所定の情報を車両の制御部から受信した場合、又は所定のユーザ入力を検知した場合等に、装着者が乗車したと判断する。そして、ウェアラブル端末1は、装着者の乗車を検知した場合(ステップS201;Yes)、心拍数の計測を行う(ステップS202)。そして、ウェアラブル端末1は、
図3のステップS106と同様に、計測した心拍数の時系列計測データに基づき、心拍数の変化の傾向を認識する(ステップS203)。
【0073】
また、ウェアラブル端末1は、ドライバ特性マップMpを参照するため、心拍数の計測時の車両の走行状態及び道路種別を認識する(ステップS204)。この場合、ウェアラブル端末1は、図示しない加速度センサやGPS受信機などの測位部を有し、当該測位部の出力に基づき走行状態を認識してもよく、車両の制御部から車速パルスの情報等を受信することで、車両の走行状態を認識してもよい。また、ウェアラブル端末1は、例えば、GPS受信機の出力等により認識した現在位置の周辺地図の情報を図示しないサーバ装置から受信することで、車両が走行中の道路種別を認識する。
【0074】
そして、ウェアラブル端末1は、
図3のステップS108と同様に、装着者がドライバと推定できるか否か判定する(ステップS205)。そして、ウェアラブル端末1は、装着者がドライバと推定できた場合(ステップS205;Yes)、装着者がドライバであることを前提としたモードへ移行する(ステップS206)。この場合、ウェアラブル端末1は、例えば、計測した心拍数に基づき所定の警告などを出力したりする。
【0075】
このように、ウェアラブル端末1は、好適に実施例のナビゲーション装置2の処理を実行することができる。なお、本変形例では、ウェアラブル端末1は、本発明における「ドライバ推定装置」の一例であり、制御部11は、本発明における「搭乗検出部」及び「推定部」の一例であり、心拍センサ13は、本発明における「測定部」の一例である。
【0076】
(変形例9)
ナビゲーション装置2は、経路案内以外の用途の車載機(例えばドライブレコーダ等)であってもよい。
【0077】
(変形例10)
ウェアラブル端末1は、心拍数を計測する代わりに脈拍数を計測し、脈拍数の時系列計測データをナビゲーション装置2に送信してもよい。この場合、ナビゲーション装置2は、心拍数の場合と同様に、脈拍数の時系列計測データに基づき、搭乗者が車両のドライバであるかどうかを推定する。このように、ナビゲーション装置2がウェアラブル端末1から受信するデータは、心拍に関するデータに限定されず、脈拍に関するデータであってもよい。車両のドライバと運転をしない乗員とでは、安全確認等による緊張やストレス状態が異なるため、心拍と同様、脈拍の挙動にも差が生じる。よって、ナビゲーション装置2は、この態様によっても、ウェアラブル端末1を装着する搭乗者がドライバであるか否かを好適に推定することができる。