(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087077
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 21/00 20060101AFI20240621BHJP
F16L 47/02 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F16L21/00 C
F16L47/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074359
(22)【出願日】2024-05-01
(62)【分割の表示】P 2019175389の分割
【原出願日】2019-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 愛美子
(72)【発明者】
【氏名】畑野 航平
(72)【発明者】
【氏名】池田 基
(72)【発明者】
【氏名】近藤 陸太
(57)【要約】
【課題】内部を流れる液体が樹脂継手部と金属継手部との接続部分から外部に漏れるのを抑制した管継手を提供する。
【解決手段】管継手1は、樹脂管が溶融接続される溶融接続部を有する樹脂継手部10と、第1端部に金属管がネジ嵌合により接続されるネジ部が形成され、第2端部の外側の表面が樹脂継手部に覆われた金属継手部30と、を備え、金属継手部の第2端部の外周面には、環状突起34が形成され、環状突起における金属継手部の軸線O方向の少なくとも一方の端部には、外周面が平坦である封止角部37,38が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂管が溶融接続される溶融接続部を有する樹脂継手部と、
第1端部に金属管がネジ嵌合により接続されるネジ部が形成され、第2端部の外側の表面が前記樹脂継手部に覆われた金属継手部と、
を備え、
前記金属継手部の前記第2端部の外周面には、環状突起が形成され、
前記環状突起における前記金属継手部の軸線方向の少なくとも一方の端部には、外周面が平坦である封止角部が形成されている管継手。
【請求項2】
前記環状突起の前記軸線方向の両端部には、前記封止角部がそれぞれ形成されている請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記金属継手部の前記軸線方向の前記第2端部側の端、及び前記環状突起の前記軸線方向の前記第2端部側の端の位置は、互いに同等である請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項4】
前記封止角部は、前記環状突起における前記軸線方向の前記第1端部側の端部に形成され、
前記環状突起における前記軸線方向の前記第2端部側の外周面は、前記第2端部側に向かうに従い漸次、外径が小さくなる請求項1から3のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項5】
前記封止角部よりも前記軸線方向の前記第1端部側に配置され、前記樹脂継手部に対して前記金属継手部が前記軸線周りに回転するのを規制する規制部を備える請求項1から4のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項6】
樹脂管が溶融接続される溶融接続部を有する樹脂継手部と、
第1端部に金属管がネジ嵌合により接続されるネジ部が形成され、第2端部の外側の表面が前記樹脂継手部に覆われた金属継手部と、
を備え、
前記金属継手部の前記第2端部には、外周面が平坦である封止角部が形成されている管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂管と金属管とを接続する管継手として、例えば特許文献1に開示された管継手が知られている。
管継手は、樹脂管が溶融接続される樹脂継手部と、金属管がネジ嵌合により接続される金属継手部とが、互いに接続されて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
管継手内には、排水等の液体が流れる。樹脂継手部と金属継手部との接続部分の封止が充分でないと、管継手の内部を流れる液体が、樹脂継手部と金属継手部との接続部分から管継手の外部に漏れる虞がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、内部を流れる液体が樹脂継手部と金属継手部との接続部分から外部に漏れるのを抑制した管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の管継手は、樹脂管が溶融接続される溶融接続部を有する樹脂継手部と、第1端部に金属管がネジ嵌合により接続されるネジ部が形成され、第2端部の外側の表面が前記樹脂継手部に覆われた金属継手部と、を備え、前記金属継手部の前記第2端部の外周面には、環状突起が形成され、前記環状突起における前記金属継手部の軸線方向の少なくとも一方の端部には、外周面が平坦である封止角部が形成されていることを特徴としている。 ここで言う封止角部は、軸線を含む断面において、環状突起の側面の一部である第1表面、及び環状突起の外周面の一部である第2表面を含む。封止角部の第1表面及び第2表面は、それぞれ樹脂継手部により覆われている。また、ここで言う平坦とは、算術平均粗さRaが500μm以下であることを意味する。この算術平均粗さRaは、300μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
【0007】
仮に、管継手内における樹脂継手部と金属継手部との接続部分から液体が漏れた場合には、液体は、第1表面と樹脂継手部との間、及び第2表面と樹脂継手部との間に形成される流路を通って、管継手の外部に向かって流れる。第1表面と樹脂継手部との間と第2表面と樹脂継手部との間とで、液体が流れる向きが大きく変化するため、液体が、第1表面と樹脂継手部との間及び第2表面と樹脂継手部との間の一方から他方に向かって流れる際の圧力損失が大きくなる。このため、液体が、第1表面と樹脂継手部との間及び第2表面と樹脂継手部との間の一方から他方に向かって流れ難くなる。
従って、管継手内を流れる液体が、樹脂継手部と金属継手部との接続部分から管継手の外部に漏れるのを抑制することができる。
【0008】
また、前記管継手において、前記環状突起の前記軸線方向の両端部には、前記封止角部がそれぞれ形成されていてもよい。
この発明によれば、環状突起の軸線方向の両端部に形成された封止角部で液体の漏れを抑制できるため、液体の漏れをより確実に抑制することができる。
【0009】
また、前記管継手において、前記金属継手部の前記軸線方向の前記第2端部側の端、及び前記環状突起の前記軸線方向の前記第2端部側の端の位置は、互いに同等であってもよい。
この発明によれば、例えば金属継手部の軸線方向の第2端部側の端に、管継手内における樹脂継手部と金属継手部との接続部分が位置する。従って、樹脂継手部と金属継手部との接続部分に近い位置、すなわち、管継手内から液体が漏れる虞のある流路の上流側の部分で、、封止角部により液体が漏れるのを抑制することができる。
【0010】
また、前記管継手において、前記封止角部は、前記環状突起における前記軸線方向の前記第1端部側の端部に形成され、前記環状突起における前記軸線方向の前記第2端部側の外周面は、前記第2端部側に向かうに従い漸次、外径が小さくなってもよい。
この発明によれば、例えば管継手をインサート成形により製造する場合に、金型内に配置した金属継手部の環状突起における第2端部側の部分の径方向外側に、樹脂継手部を形成する樹脂が回り込みやすくすることができる。そして、環状突起における第1端部側に形成された封止角部により、管継手内を流れる液体が、樹脂継手部と金属継手部との接続部分から管継手の外部に漏れるのを抑制することができる。
【0011】
また、前記管継手において、前記封止角部よりも前記軸線方向の前記第1端部側に配置され、前記樹脂継手部に対して前記金属継手部が前記軸線周りに回転するのを規制する規制部を備えてもよい。
この発明によれば、封止角部により管継手内からの液体の漏れが抑制された位置で、樹脂継手部に対して金属継手部を軸線周りに回転し難くすることができる。
【0012】
また、本発明の他の管継手は、樹脂管が溶融接続される溶融接続部を有する樹脂継手部と、第1端部に金属管がネジ嵌合により接続されるネジ部が形成され、第2端部の外側の表面が前記樹脂継手部に覆われた金属継手部と、を備え、前記金属継手部の前記第2端部には、外周面が平坦である封止角部が形成されていることを特徴としている。
ここで言う封止角部は、金属継手部の軸線を含む断面において、金属継手部の軸線方向の端面の一部である第1表面、及び金属継手部の外周面の一部である第2表面を含む。封止角部の第1表面及び第2表面は、それぞれ樹脂継手部により覆われている。
【0013】
仮に、管継手内における樹脂継手部と金属継手部との接続部分から液体が漏れた場合には、液体は、第1表面と樹脂継手部との間、及び第2表面と樹脂継手部との間に形成される流路を通って、管継手の外部に向かって流れる。第1表面と樹脂継手部との間と第2表面と樹脂継手部との間とで、液体が流れる向きが大きく変化するため、液体が、第1表面と樹脂継手部との間及び第2表面と樹脂継手部との間の一方から他方に向かって流れる際の圧力損失が大きくなる。このため、液体が、第1表面と樹脂継手部との間及び第2表面と樹脂継手部との間の一方から他方に向かって流れ難くなる。
従って、管継手内を流れる液体が、樹脂継手部と金属継手部との接続部分から管継手の外部に漏れるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の管継手によれば、内部を流れる液体が樹脂継手部と金属継手部との接続部分から外部に漏れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の管継手の縦断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態の第1変形例における管継手の要部の縦断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態の第2変形例における管継手の要部の縦断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態の第3変形例における管継手の要部の縦断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態の第4変形例における管継手の要部の縦断面図である。
【
図9】本発明の一施形態の第5変形例における管継手の要部の縦断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態の第6変形例における管継手の要部の縦断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態の第7変形例における管継手の縦断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態の第8変形例における管継手の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る管継手の一実施形態を、
図1から
図12を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の管継手1は、いわゆるソケット型の継手(変換継手)であり、樹脂管200と金属管210とを接続する。なお、
図1では、樹脂管200及び金属管210を二点鎖線で示し、
図1、及び後述する
図3、
図5、
図7、
図9から
図12では、後述する金属継手部30,70の一部のみの断面を示している。
以下では、まず樹脂管200及び金属管210について説明する。
【0017】
樹脂管200は、ポリブテン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、架橋ポリエチレン樹脂、架橋ポリブテン樹脂等で形成されている。
金属管210は、円筒状の口金211と、多層管212と、を備えている。なお、管継手1と接続されるものは金属管210に限るものではなく、金属製のネジ部を備えた圧力計や流量計、温度計等の計器類でもよい。
口金211の第1端部の外周面には、管雄ネジ部214が形成されている。口金211における第1端部とは反対側の第2端部は、多層管212との接続部215になっている。口金211における管雄ネジ部214と接続部215との間には、スパナ等を係合させるための管係合部216が形成されている。
多層管212は、図示はしないが、管状に形成されたポリエチレン樹脂層、アルミニウム層等を、径方向に積層して構成されている。多層管212の端部は、口金211の接続部215に外嵌されている。
なお、金属管210の構成はこれに限定されない。
【0018】
次に、管継手1について説明する。管継手1は、樹脂継手部10と、金属継手部30と、を備えている。樹脂継手部10は、樹脂管200を接続するEF(エレクトロフュージョン)継手である。
樹脂継手部10及び金属継手部30は、それぞれ円筒状に形成されている。樹脂継手部10及び金属継手部30は、互いに共通の軸線上に、この軸線に沿う方向に位置をずらして配置された状態で互いに接続されている。以下では、この共通の軸線を、軸線Oと言う。軸線Oに直交する方向を径方向と言い、軸線O回りに周回する方向を周方向という。樹脂継手部10に対する金属継手部30側を先端側と言い、金属継手部30に対する樹脂継手部10側を基端側と言う。
図1は、軸線Oを含む断面図である。
【0019】
樹脂継手部10は、継手本体11と、係止部12と、加熱線13と、端子ピン14と、ボス15と、を備えている。
継手本体11は、円筒状に形成されている。継手本体11は、軸線O上に配置されている。継手本体11における係止部12よりも基端側の部分の内径、及び樹脂管200の外径は、互いに同等である。
係止部12は、円環状に形成され、継手本体11の内周面における軸線O方向の中間部に配置されている。係止部12は、軸線O上に配置されている。
図2に示すように、係止部12の先端側の側面には、先端側に向かって突出する係合突起12aが形成されている。係合突起12aは環状に形成され、係止部12と同軸に配置されている。
【0020】
加熱線13は、例えばニクロム線で形成されている。加熱線13は、ニクロム線をコイル状に形成して構成され、
図1に示すように継手本体11の内周面における係止部12よりも基端側の部分に配置されている。
樹脂継手部10は、端子ピン14を一対備えている。なお、一対の端子ピン14、継手本体11における係止部12よりも基端側の部分、及び加熱線13で、樹脂管200が溶融接続される溶融接続部16を構成する。
一対の端子ピン14は、継手本体11の外周面における係止部12よりも基端側の部分に配置されている。一対の端子ピン14は、軸線O方向に互いに間隔を空けて配置されている。一対の端子ピン14には、加熱線13の両端部がそれぞれ電気的に接続されている。
ボス15は、円筒状に形成されて継手本体11の外周面に設けられている。ボス15は、各端子ピン14を囲んでいる。
【0021】
図1及び
図2に示すように、継手本体11の内周面における係止部12よりも先端側の部分には、係合溝18,19,20が形成されている。係合溝18,19,20は、基端側から先端側に向かってこの順で、互いに間隔を空けて配置されている。係合溝20は、先端側に向かって開口している。
継手本体11の先端部の外周面には、小径部22が形成されている。小径部22の外径は、継手本体11における小径部22に対して基端側に連なる部分の外径よりも小さい。小径部22の外周面には、カシメリング23が取付けられている。カシメリング23は、金属継手部30の後述する連結部31の径方向外側を覆う樹脂継手部10が、連結部31から径方向外側に離れるのを抑制している。
継手本体11、係止部12、及びボス15は、樹脂管200と同様の材料で一体に形成されている。
【0022】
図1に示すように、継手本体11の外周面における一対の端子ピン14の間に位置する部分には、インジケータ用の小突起25が配置されている。小突起25は、継手本体11の外周面に形成された穴内に配置されている。
小突起25は、樹脂継手部10と樹脂管200との接続が良好に行われると、径方向外側に向かって突出する。
【0023】
金属継手部30は、砲金等の金属で形成されている。
図1及び
図2に示すように、金属継手部30は、連結部31と、クランプ部32と、ネジ接続部33と、第1環状突起(環状突起)34と、第2環状突起35と、を備えている。
連結部31、クランプ部32、及びネジ接続部33は、それぞれ円筒状に形成されている。連結部31、クランプ部32、及びネジ接続部33は、軸線O上に、基端側から先端側に向かってこの順に配置されている。連結部31は、金属継手部30の基端部(第2端部)に形成されている。ネジ接続部33は、金属継手部30の先端部(第1端部)に形成されている。金属継手部30の先端部は、金属継手部30の基端部とは反対側の端部である。
金属継手部30において、連結部31からネジ接続部33に向かう向きが先端側であり、ネジ接続部33から連結部31に向かう向きが基端側である。
【0024】
連結部31の内径及びクランプ部32の内径は、互いに同程度である。連結部31の外径は、クランプ部32の外径よりも小さい。
連結部31の基端部の外周面には、係合溝31aが形成されている。係合溝31aは、基端側に向かって開口している。連結部31の径方向外側の表面は、樹脂継手部10の継手本体11に覆われている。
図2に示すように、第1環状突起34は、円環状に形成されている。第1環状突起34は、連結部31の基端部の外周面に、連結部31と同軸に配置されている。第1環状突起34は、連結部31の基端部に、全周にわたって形成されている。連結部31の基端、及び第1環状突起34の基端の軸線O方向の位置は、互いに同等である。係合溝31aの径方向外側は、第1環状突起34に覆われている。第1環状突起34の外周面(径方向外側の表面)、内周面(径方向内側の表面)、及び側面(軸線O方向の各端面)は、いずれも平坦である。
第1環状突起34の表面には、後述するローレット溝が形成されていない。
【0025】
第1環状突起34の軸線O方向の両端部には、外周面が平坦である封止角部37,38がそれぞれ形成されている。すなわち、第1環状突起34の基端部には封止角部37が形成され、第1環状突起34の先端部には封止角部38が形成されている。封止角部37,38は、第1環状突起34の全周にわたってそれぞれ形成されている。
封止角部37は、第1環状突起34の基端側の側面の一部である第1表面37a、及び第1環状突起34の外周面の一部である第2表面37bを含む。封止角部38は、第1環状突起34の先端側の側面の一部である第1表面38a、及び第1環状突起34の外周面の一部である第2表面38bを含む。
第1表面37aは、第1環状突起34の基端側の側面における径方向外側の部分である。第2表面37bは、第1環状突起34の外周面の基端部である。第1表面38aは、第1環状突起34の先端側の側面における径方向外側の部分である。第2表面38bは、第1環状突起34の外周面の先端部である。
【0026】
図2に示す軸線Oを含む断面において、第1表面37a及び第1表面38aは、軸線Oにほぼ直交している。第2表面37b及び第2表面38bは、軸線Oに沿っている。
第1表面37aにおける第2表面37bに連なる端部における接線と、第2表面37bにおける第1表面37aに連なる端部における接線とが、封止角部37の内側になす角度θ1は、30度以上110度以下であることが好ましい。この角度は、60度以上100度以下であることがより好ましく、85度以上95度以下であることがさらに好ましい。第1表面38aにおける第2表面38bに連なる端部における接線と、第2表面38bにおける第1表面38aに連なる端部における接線とが、封止角部37の内側になす角度θ2についても、角度θ1と同様である。
第1環状突起34は、継手本体11の係合溝18内に配置されている。連結部31の係合溝31a内には、係止部12の係合突起12aが配置されている。第1環状突起34の表面は、継手本体11に覆われている。
管継手1では、いわゆる一山タイプの第1環状突起34により、後述する排水の漏れを抑制している。
【0027】
第2環状突起35は、円環状に形成されている。第2環状突起35は、連結部31の外周面における第1環状突起34とクランプ部32との間の位置に、連結部31と同軸に配置されている。第2環状突起35の外径及び第1環状突起34の外径は、互いに同等である。
第2環状突起35の外周面には、ローレット溝(ローレット、規制部)35aが形成されている。ローレット溝35aの種類は特に限定されないが、ローレット溝35aの種類は、例えばJIS B 0951:1962に規定される、アヤ目 m0.5である。この場合、ローレット溝35aにおける溝の深さは、ローレット溝35aの外径が充分大きい場合には、(0.326×2)の式により、0.652mm(652μm)となる。
ローレット溝35aは、第2環状突起35の外周面における軸線O方向の全範囲にわたって形成されている。ローレット溝35aは、封止角部37,38よりも先端側に配置されている。
第2環状突起35は、継手本体11の係合溝19内に配置されている。第2環状突起35の表面は、継手本体11に覆われている。
ローレット溝35aの溝内に継手本体11の一部が入り込むことで、樹脂継手部10に対して金属継手部30の連結部31が軸線O周りに回転するのが規制されている。
【0028】
図1及び
図2に示すように、クランプ部32の外径は、第2環状突起35の外径、及び樹脂管200の外径とそれぞれ同程度である。
クランプ部32の基端部は、継手本体11の係合溝20内に配置されている。クランプ部32の基端部の外周面には、ローレット溝32aが形成されている。ローレット溝32aは継手本体11の係合溝20内に配置されている。ローレット溝32aの種類は特に限定されないが、例えばローレット溝35aの種類と同一である。ローレット溝32aの溝内に継手本体11の一部が入り込むことで、樹脂継手部10に対して金属継手部30の連結部31が軸線O周りに回転するのが規制される。クランプ部32におけるローレット溝32a以外の外周面は、外部に露出している。
【0029】
図1に示すように、ネジ接続部33の内周面には、雌ネジ部(ネジ部)33aが形成されている。雌ネジ部33aには、金属管210の管雄ネジ部214がネジ嵌合により接続される。軸線O方向に見たときに、ネジ接続部33の外周面は六角状である。ネジ接続部33の外径は、クランプ部32の外径よりも大きい。ネジ接続部33の外周面の内接円の径は、クランプ部32の外径よりも大きい。
金属継手部30におけるローレット溝35a、ローレット溝32a、及びネジ接続部33以外の表面は、平坦である。
樹脂継手部10の内部空間と、金属継手部30の内部空間とは、互いに連通している。
【0030】
なお、管継手1に樹脂管200及び金属管210を接続する工程は、以下のように行われる。
樹脂管200の端部の外周面を図示しないスクレーパで削り、樹脂管200のこの端部を管継手1の溶融接続部16内に挿入する。管継手1と樹脂管200とを一時的に固定するために、図示しない公知のクランプを用いて、金属継手部30のクランプ部32及び樹脂管200をそれぞれ把持する。一対の端子ピン14間に通電すると、加熱線13により樹脂継手部10の継手本体11及び樹脂管200が溶融する。これにより、管継手1と樹脂管200とが接続される。小突起25が、径方向外側に向かって突出する。
一方で、金属継手部30のネジ接続部33に金属管210の管雄ネジ部214を嵌合させる。金属継手部30のネジ接続部33の外周面に第1スパナを取付けるとともに、金属管210の管係合部216に第2スパナを取付ける。第1スパナに対して第2スパナを、軸線O回りの所定の向きに相対的に回転させる。ネジ接続部33に管雄ネジ部214が締め付けられ、管継手1と金属管210とが接続される。
【0031】
次に、以上のように構成された管継手1の動作について説明する。
例えば、液体が金属管210内から管継手1内に流れ込むと、この液体は、管継手1内を通して樹脂管200内に流れ込む。
この際に、管継手1内における樹脂継手部10と金属継手部30との接続部分R1(
図2参照)から、樹脂継手部10と金属継手部30との境界部分を通して、排水が管継手1の外部に漏れる虞がある。
【0032】
これに対して本実施形態の管継手1によれば、仮に、管継手1内の接続部分R1から液体が漏れた場合には、液体は、第1表面37aと樹脂継手部10の継手本体11との間、及び第2表面37bと継手本体11との間に形成される流路を通って、管継手1の外部に向かって流れる。第1表面37aと継手本体11との間と第2表面37bと継手本体11との間とで、液体が流れる向きが大きく変化するため、液体が、第1表面37aと継手本体11との間から第2表面37bと継手本体11との間に向かって流れる際の圧力損失が大きくなる。このため、液体が、第1表面37aと継手本体11との間から第2表面37bと継手本体11との間に向かって流れ難くなる。
液体が封止角部38の第1表面38aと継手本体11との間、及び第2表面38bと継手本体11との間に形成される流路を通る場合も、同様に流れ難くなる。
従って、管継手1内を流れる液体が、樹脂継手部10と金属継手部30との接続部分R1から管継手1の外部に漏れるのを抑制することができる。管継手1の止水性を、向上させることができる。
【0033】
第1環状突起34の軸線O方向の両端部には、封止角部37,38がそれぞれ形成されている。第1環状突起34の軸線O方向の両端部に形成された封止角部37,38で液体の漏れを抑制できるため、液体の漏れをより確実に抑制することができる。
連結部31の基端、及び第1環状突起34の基端の位置は、互いに同等である。金属継手部30の基端に、管継手1内における接続部分R1が位置する。従って、接続部分R1に近い位置、すなわち、管継手1内から液体が漏れる虞のある流路の上流側の部分で、封止角部37,38により液体が漏れるのを抑制することができる。
管継手1が、封止角部37,38よりも先端側にローレット溝35aを備えている。封止角部37,38により管継手1内からの液体の漏れが抑制された位置で、樹脂継手部10に対して金属継手部30を軸線O周りに回転し難くすることができる。
【0034】
本実施形態の管継手1は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図3及び
図4に示す第1変形例の管継手1Aのように、本実施形態の管継手1において、金属継手部30の連結部31に係合溝31aが形成されていなく、第1環状突起34の外周面における軸線O方向の中間部に、溝部34aが形成されていてもよい。
溝部34aは、第1環状突起34に全周にわたって形成されている。溝部34aの底面と軸線Oとの距離は、連結部31の外径の半分よりも長い。すなわち、径方向において、溝部34aの底面は、連結部31の外周面に達していない。
管継手1Aでは、いわゆる凹み付き一山タイプの第1環状突起34により、排水の漏れを抑制している。
【0035】
図5及び
図6に示す第2変形例の管継手1Bのように、本実施形態の管継手1において、第1環状突起34における基端側の外周面である第3表面34bは、基端側に向かうに従い漸次、外径が小さくなってもよい。この変形例では、第1環状突起34には、封止角部37は形成されていなく、第1環状突起34の先端部に封止角部38が形成されている。
例えば管継手1Bをインサート成形により製造する場合に、金型内に配置した金属継手部30の第1環状突起34における第3表面34bの径方向外側に、樹脂継手部10を形成する樹脂が回り込みやすくすることができる。そして、第1環状突起34の先端部に形成された封止角部38により、管継手1B内を流れる液体が、樹脂継手部10と金属継手部30との接続部分R1から管継手1Bの外部に漏れるのを抑制することができる。
【0036】
図7に示す第3変形例の管継手1Cのように、本実施形態の管継手1の各構成に加えて、第1環状突起(環状突起)41を備えてもよい。第1環状突起41は、第1環状突起34と同一の構成である。すなわち、第1環状突起41における基端側の外周面である第3表面41aは、基端側に向かうに従い漸次、外径が小さくなっている。第1環状突起41の先端部には、外周面が平坦である封止角部42が形成されている。第1環状突起41は、第1環状突起34と第2環状突起35との間に、第1環状突起34及び第2環状突起35との間にそれぞれ間隔を開けて配置されている。
管継手1Cでは、いわゆる二山タイプの第1環状突起34,41により、排水の漏れを抑制している。
【0037】
図8に示す第4変形例の管継手1Dのように、本実施形態の管継手1において、金属継手部30が第1環状突起34に代えて第2環状突起45を備えてもよい。
この変形例では、第2環状突起35は、連結部31の基端面から先端側に所定の距離離間した位置に配置されている。連結部31(金属継手部30)の基端部には、外周面が平坦である封止角部46が形成されている。封止角部46は、連結部31の基端面の一部である第1表面46a、及び連結部31の外周面の一部である第2表面46bを含む。
第1表面46aは、連結部31の基端面における径方向外側の部分である。第2表面46bは、連結部31の外周面の基端部である。
図8に示す軸線Oを含む断面において、第1表面46aは、軸線Oにほぼ直交している。第2表面46bは、軸線Oに沿っている。
第1表面46aにおける第2表面46bに連なる端部における接線と、第2表面46bにおける第1表面46aに連なる端部における接線とが、封止角部46の内側になす角度θ4は、前記角度θ1と同様に構成されている。
【0038】
第2環状突起45は、第2環状突起35と同一の構成である。すなわち、第2環状突起45の外周面には、ローレット溝35aと同様に構成されたローレット溝45aが形成されている。第2環状突起45は、第2環状突起35とクランプ部32との間に、第2環状突起35及びクランプ部32との間にそれぞれ間隔を開けて配置されている。
連結部31の第1表面46a及び第2表面46bは、それぞれ継手本体11により覆われている。
【0039】
仮に、管継手1D内における樹脂継手部10と金属継手部30との接続部分R1から液体が漏れた場合には、液体は、第1表面46aと継手本体11との間、及び第2表面46bと継手本体11との間に形成される流路を通って、管継手1Dの外部に向かって流れる。第1表面46aと継手本体11との間と第2表面46bと継手本体11との間とで、液体が流れる向きが大きく変化するため、液体が、第1表面46aと継手本体11との間から第2表面46bと継手本体11との間に向かって流れる際の圧力損失が大きくなる。このため、液体が、第1表面46aと継手本体11との間から第2表面46bと継手本体11との間に向かって流れ難くなる。
従って、管継手1D内を流れる液体が、樹脂継手部10と金属継手部30との接続部分R1から管継手1Dの外部に漏れるのを抑制することができる。
このように、管継手1Dでは、いわゆる凹んだ封止角部46により、排水の漏れを抑制している。
【0040】
なお、本変形例の管継手1Dでは、ローレット溝32a、第2環状突起35,45の少なくとも1つが形成されていればよい。
【0041】
図9に示す第5変形例の管継手1Eのように、本実施形態の管継手1において、金属継手部30がローレット溝32a及び第2環状突起35に代えて、第1環状突起41、第1環状突起48、規制部49,50を備えてもよい。
第1環状突起48は、第1環状突起41と同一の構成である。ただし、第1環状突起41,48の外径は、軸線O方向の位置によらず一定でもよい。
第1環状突起48は、第1環状突起41とクランプ部32との間に配置されている。第1環状突起34,41,48は、軸線O方向に互いに間隔を開けて配置されている。
管継手1Eでは、ローレット溝による規制部は形成されていない。管継手1Eでは、軸線O方向に沿って延びる突条状の規制部49、そして、連結部31、第1環状突起41,48、及びクランプ部32の外周面から軸線Oに向かって凹んだ凹部状の規制部50が形成されている。
【0042】
規制部49は、連結部31の外周面から、第1環状突起34,41,48の径方向の長さの中間部まで突出している。管継手1Eには、周方向に互いに間隔を開けて複数の規制部49が形成されている。
規制部50は、規制部50に対向するように径方向外側から見たときに、円形状を呈している。
複数の規制部49の周囲が継手本体11により覆われ、規制部50内には、継手本体11の一部が入り込んでいる。こうして、樹脂継手部10に対して金属継手部30の連結部31が軸線O周りに回転するのが規制されている。
【0043】
図10に示す第6変形例の管継手1Fのように、前記変形例の管継手1Eにおいて、規制部49,50に代えて、規制部53を備えてもよい。この変形例の管継手1Fでは、規制部53は、第1環状突起34と第1環状突起41との間の連結部31の外周面から軸線Oに向かって凹んだ凹部状に形成されている。規制部53は、規制部53に対向するように径方向外側から見たときに、円形状を呈している。
規制部53内には、継手本体11の一部が入り込んでいる。こうして、樹脂継手部10に対して金属継手部30の連結部31が軸線O周りに回転するのが規制されている。
なお、規制部53が形成される位置はこれに限定されず、例えば第1環状突起41と第1環状突起48との間の連結部31の外周面でもよいし、第1環状突起48とクランプ部32との間の連結部31の外周面でもよい。
【0044】
以下の変形例では、管継手がソケット型以外の継手である場合について説明する。
図11に示す第7変形例の管継手2は、いわゆる分岐サドル型の継手である。管継手2は、分岐サドル型の樹脂継手部60と、金属継手部70と、を備えている。
樹脂継手部60は、配管等の外面に取付けられる。樹脂継手部60は、半円筒状の本体61と、接続筒62と、を備えている。本体61の外面には、貫通孔61aが形成されている。接続筒62は、本体61の外面に固定され、貫通孔61aと連通している。
金属継手部70は、連結部31と、クランプ部32と、係合部71と、雄ネジ部(ネジ部)72と、第1環状突起34、第2環状突起35と、を備えている。
係合部71は、円環状に形成されている。軸線O方向に見たときに、係合部71の外周面は六角状である。
連結部31、クランプ部32、係合部71、及び雄ネジ部72は、基端側から先端側に向かってこの順で配置されている。金属継手部70は、樹脂継手部60の接続筒62に接続されている。
【0045】
図12に示す第8変形例の管継手3は、いわゆるチーズ型の継手である。管継手3は、チーズ型の樹脂継手部80と、金属継手部70と、を備えている。
樹脂継手部80は、円管状の本体81と、接続筒62と、を備えている。本体81の外面には、貫通孔81aが形成されている。接続筒62は、本体81の外面に固定され、貫通孔81aと連通している。
金属継手部70は、樹脂継手部80の接続筒62に接続されている。
なお、樹脂継手部80の端部に、本実施形態の樹脂継手部10のようなEF継手を備えてもよい。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,2,3 管継手
10,60,80 樹脂継手部
16 溶融接続部
30,70 金属継手部
33a 雌ネジ部(ネジ部)
34,41,48 第1環状突起(環状突起)
32a,35a,45a ローレット溝(規制部)
37,38,42,46 封止角部
49,50,53 規制部
72 雄ネジ部(ネジ部)
200 樹脂管
210 金属管
O 軸線