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特開2024-87086伸縮機構及び/又はレバー駆動式ラックアンドピニオンを有するIOLインジェクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087086
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】伸縮機構及び/又はレバー駆動式ラックアンドピニオンを有するIOLインジェクタ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074669
(22)【出願日】2024-05-02
(62)【分割の表示】P 2021531354の分割
【原出願日】2019-12-13
(31)【優先権主張番号】62/782,613
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス ビー.ウェンスリッチ
(72)【発明者】
【氏名】レン タクズワ マガラ
(72)【発明者】
【氏名】リウ チャン
(72)【発明者】
【氏名】アヌブハブ チャウハン
(57)【要約】
【課題】伸縮機構及び/又はレバー駆動式ラックアンドピニオンを有するIOLインジェクタを提供する。
【解決手段】伸縮機構及び/又はレバー駆動式ラックアンドピニオンを有するIOLインジェクタ及び、伸縮可能インジェクタ本体と、テレスコピックシリンダを形成し、少なくとも、近位端と遠位端を有する第一のスリーブ(801)と、第一のスリーブにスライド可能に連結され、主要部の遠位部分から形成され、近位端と遠位端を有する第二のスリーブ(804)を有する伸縮可能部分(800)と、を有し、非収縮状態では第二のスリーブの遠位端は第一のスリーブの近位端に隣接し、収縮状態では第二のスリーブの遠位端は第一スリーブの遠位端に隣接する、IOLインジェクタ。
【選択図】図10A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能インジェクタ本体を有する眼内レンズ(IOL)インジェクタにおいて、
近位端、遠位端、及び前記遠位端を含む遠位部分を有する主要部と、
テレスコピックシリンダを形成し、少なくとも、近位端と遠位端を含む第一のスリーブと、前記第一のスリーブにスライド可能に連結され、前記主要部の前記遠位部分から形成され、近位端と遠位端を有する第二のスリーブと、を含む伸縮可能部分と、
前記インジェクタ本体内に同心円状に移動可能に連結されたプランジャであって、IOLに接触するように適合されたプランジャ先端を有するプランジャと、
を含み、
非収縮状態では、前記第二のスリーブの前記遠位端は前記第一のスリーブの前記近位端に隣接し、収縮状態では、前記第二のスリーブの前記遠位端は前記第一のスリーブの前記遠位端に隣接し、
前記プランジャは、前記非収縮状態と前記収縮状態との間で前記伸縮可能部分を移行させるときに、前記第二のスリーブに対して移動しない、
IOLインジェクタ。
【請求項2】
近位端と遠位端を有するノズルであって、前記近位端は前記伸縮可能部分の前記第一のスリーブの前記遠位端に連結され、IOL保管位置と、前記IOL保管位置の遠位側のIOL待機位置とをさらに有するノズルと、
前記主要部の前記近位端から前記ノズルの前記遠位端まで延びる長さ方向軸を有するボアと、
をさらに含み、
前記プランジャは、前記ボアの中で心合わせされ、
前記非収縮状態で、前記プランジャ先端は前記IOL保管位置に近位側で隣接する第一の位置を有し、
前記収縮状態では、前記プランジャ先端は前記IOL待機位置に近位側で隣接する第二の位置を有する、
請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項3】
前記収縮状態では非収縮状態にあるときより10~20%短い長さを有する、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項4】
前記第二のスリーブは、前記第一のスリーブ内に同心円状にスライド可能に連結されるか、又は、前記第一のスリーブは、前記第二のスリーブ内に同心円状にスライド可能に連結される、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼内レンズ(IOL)インジェクタのためのシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の眼は、ごく簡単に言えば、角膜と呼ばれる透明な外側部分を通じて光を透過させ、屈折させ、さらに水晶体によって眼後部の網膜に結像させることによって視覚を提供するように機能する。結像の質は、眼の大きさ、形状、及び長さ、並びに角膜と水晶体との形状及び透明性をはじめとする多くの要素に依存する。外傷、加齢、又は疾病によって水晶体の透明性が低減すると、網膜まで透過させることのできる光が減少するため、視力が低下する。このような眼水晶体の障害は、医学的に白内障として知られる。このような状態の治療は、手術による水晶体の除去及び人工レンズ(IOL)の移植である。
【0003】
多くの白内障水晶体は、超音波水晶体乳化吸引術と呼ばれる外科的技術によって除去される。この処置では、眼の前嚢に開口が作られ、超音波水晶体乳化吸引用切除チップを病変水晶体内に挿入し、超音波で振動させる。振動する切除チップによって、水晶体が液化又は乳化し、それによって水晶体が眼から吸い出され得る。病変水晶体は、取り出されると、IOLと置換される。
【0004】
IOLは小さい切開創から注入され得、病変水晶体の除去に使われたものと同じ切開創が使用されることもある。IOLインジェクタは、IOLを眼内に送達するために使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の態様によれば、本開示はIOLインジェクタに関し、これは近位端、遠位端、及び遠位端を含む遠位部分を有する主要部を含んでいてよい。IOLインジェクタはまた、伸縮可能部分も含んでいてよく、これは、テレスコピックシリンダを形成し、少なくとも、近位端と遠位端を含む第一のスリーブと、第一のスリーブにスライド可能に連結され、主要部の遠位部分から形成され、近位端と遠位端を有する第二のスリーブと、を含む。非収縮状態では、第二のスリーブの遠位端は第一のスリーブの近位端に隣接してよく、収縮状態では、第二のスリーブの遠位端は第一のスリーブの遠位端に隣接していてよい。IOLインジェクタは、近位端と遠位端を有するノズルであって、その近位端は伸縮可能部分の第一のスリーブの遠位端に連結され、IOL保管位置と、IOL保管位置の遠位側のIOL待機位置とをさらに含むノズルと、主要部の近位端からノズルの遠位端まで延びる長さ方向軸を含むボアと、インジェクタ本体内に同心円状に移動可能に連結され、ボアの中で心合わせされるプランジャであって、IOLと接触するようになされたプランジャ先端を含むプランジャと、をさらに含んでいてよい。非収縮状態で、プランジャ先端はIOL保管位置に近位側で隣接する第一の位置にあってよく、収縮状態では、プランジャ先端はIOL待機位置に近位側で隣接する第二の位置にあってよい。IOLインジェクタは、収縮状態では、非収縮状態にあるときより10~20%短くてよい長さを有していてよい。第二のスリーブは、第一のスリーブ内に同心円状にスライド可能に連結されてよい。第一のスリーブは、第二のスリーブ内で同心円状にスライド可能に連結されてよい。
【0006】
第二の態様によれば、本開示はIOLインジェクタに関し、これは、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを含んでいてよい。IOLインジェクタはインジェクタ本体を含んでいてよく、これは、近位端と遠位端を含む主要部と、近位端と遠位端を含むノズルであって、ノズルの近位端は主要部の遠位端に連結されるノズルと、主要部の近位端からノズルの遠位端まで延びる長さ方向軸を含むボアと、を含む。IOLインジェクタはまた、複数の歯を含む少なくとも1つのピニオンも含んでいてよい。IOLインジェクタは、レバーをさらに含んでいてよく、これは遠位端と、レバーの近位端と遠位端との間に配置される旋回点であって、インジェクタ本体に回転可能に連結されて、旋回点の周囲でのレバーの回転運動を可能にする旋回点と、使用者がアクセスでき、旋回点とレバーの遠位端との間に配置された押し下げ可能表面と、弧状ラックであって、弧状ラックの移動に応答して1つのピニオンの複数の歯と噛み合い、ピニオンを回転運動させるようになされた複数の歯を含む弧状ラックを含む近位端と、をさらに含んでいてよい。IOLインジェクタは、インジェクタ本体内に同心円状に移動可能に連結され、ボアの中で心合わせされたプランジャをさらに含んでいてよく、プランジャは、近位端と遠位端を含み、1つのピニオンの複数の歯と噛み合うようになされた複数の歯を含むプランジャラックをさらに含むプランジャ本体であって、プランジャラックは1つのピニオンの回転運動に応答してノズルの遠位端に向かって直線運動可能であるようになされているプランジャ本体と、近位端と遠位端を含むプランジャロッドであって、その近位端はプランジャ本体の遠位端に連結されるプランジャロッドと、プランジャロッドの遠位端に形成され、レバーの表面が押し下げられたことに応答してIOLと接触し、IOLを待機位置から移動させるようになされたプランジャ先端と、を含む。IOLインジェクタは1つのピニオンを含んでいてよく、弧状ラックの複数の歯はピニオンの複数の歯と噛み合うようになされてよく、プランジャラックの複数の歯はピニオンの複数の歯と噛み合うようになされてよく、レバーの押し下げ可能表面が押し下げられたことに応答して、レバーは、旋回点の周囲で第一の回転方向に回転し、弧状ラックの複数の歯を第一の回転方向に移動させるようになされてよく、ピニオンは第二の回転方向に回転するようになされてよく、プランジャラックは、ピニオンが第二の回転方向に回転運動したことに応答してノズルの遠位端に向かって直線運動可能であるようになされてよい。IOLインジェクタは、2つのピニオンを含んでいてよく、弧状ラックの複数の歯は第一のピニオンの複数の歯と噛み合うようになされてよく、第一のピニオンの複数の歯は第二のピニオンの複数の歯と噛み合うようになされてよく、プランジャラックの複数の歯は、第二のピニオンの複数の歯と噛み合うようになされてよく、レバーの押し下げ可能表面が押し下げられたことに応答して、レバーは、旋回点の周囲で第一の回転方向に回転し、弧状ラックの複数の歯を第一の回転方向に移動させるようになされてよく、第一のピニオンは第二の回転方向に回転するようになされてよく、第二のピニオンは第一の回転方向に回転するようになされてよく、プランジャラックは、第二のピニオンが第一の回転方向に回転運動したことに応答して、ノズルの遠位端に向かって直線運動可能であるようになされてよい。第一のピニオンは歯止めをさらに含んでいてよく、第二のピニオンはラチェットをさらに含んでいてよく、歯止めは、ラチェットと噛み合ってプランジャラックがノズルの近位端に向かって移動するのを阻止するようになされていてよい。第一のピニオンは円周R1を有していてよく、第二のピニオンは円周R2を有していてよく、R2対R1の値の比は1:1~1:5であってよい。IOLインジェクタは、レバーに連結された第一の端とインジェクタ本体に連結された第二の端を有する復帰ばねをさらに含んでいてよく、レバーは、レバーの押し下げ可能表面が押し下げられたことに応答して第一の回転方向に回転するようになされていてよく、復帰ばねは、レバーを第一の回転方向と反対の第二の回転方向に回転させるようになされてよい。ノズルは、IOL保管位置とIOL待機位置を有していてよく、IOL待機位置はIOL保管位置の遠位側にあり、IOL待機位置とノズルの遠位端との間の距離は長さrを有してよく、プランジャラックは、レバーが1~10回押し下げられたことに応答して、長さrの距離だけ移動するようになされてよい。インジェクタ本体は伸縮可能であってよく、IOLインジェクタは、近位端、遠位端、及び遠位端を含む遠位部分を有する主要部と、テレスコピックシリンダを形成し、少なくとも、近位端と遠位端を有する第一のスリーブと、第一のスリーブにスライド可能に連結され、主要部の遠位部分から形成され、近位端と遠位端を有する第二のスリーブを有する伸縮可能部分をさらに含んでいてよく、非収縮状態では第二のスリーブの遠位端は第一のスリーブの近位端に隣接してよく、収縮状態では第二のスリーブの遠位端は第一のスリーブの遠位端に隣接してよい。プランジャラックの複数の歯は、IOLインジェクタが収縮状態にあるとき、ピニオンの複数の歯と噛み合ってよいが、IOLインジェクタが非収縮状態にあるときには噛み合わない。プランジャ本体は、プランジャ本体の近位端と接触するようになされたフランジをさらに含んでいてよく、プランジャ本体は、フランジに軸方向の力が加えられたことに応答して軸方向に移動するようになされてよく、プランジャ先端は、フランジに軸方向に力が加えられたことに応答して、IOLを保管位置から待機位置へと移動させるようになされてよい。IOLインジェクタはリブ付き減衰機構をさらに含んでいてよく、これはプランジャ本体上の少なくとも1つのリブとボアの内壁上の少なくとも1つのリブを含み、プランジャ上の少なくとも1つのリブは、内壁上の少なくとも1つのリブと接触して、プランジャの軸方向の移動に対して摩擦抵抗を提供するようになされてよい。プランジャ本体上の1つ又は複数のリブはリッジを形成してよく、内壁上の1つ又は複数のリブはリッジ係合歯を形成し、リッジ及びリッジ係合歯は、プランジャがIOLインジェクタの主要部の近位端に向かって移動するのを阻止するようになされてよい。内壁上の1つ又は複数のリブはリッジを形成してよく、プランジャ上の1つ又は複数のリブはリッジ係合歯を形成してよく、リッジ及びリッジ係合歯はプランジャがIOLインジェクタの主要部の近位端に向かって移動するのを阻止するようになされてよい。IOLインジェクタは、IOLベース、IOL光学部、又はその両方を別々に注入するようになされてよい。IOLインジェクタは、IOLベースとIOL光学部を同時に注入するようになされてよい。
【0007】
本開示をより十分に理解するために、ここで、正確な縮尺で描かれていない下記のような添付の図面と読むべき以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、例示的なIOLインジェクタの斜視図である。
図2図2は、図1のIOLインジェクタの長さ方向の断面図である。
図3図3は、例示的な1ピースIOLを示す。
図4図4は、ベースと光学部を含む例示的な2ピースIOLを示す。
図5図5は、IOLインジェクタの例示的なノズルの斜視図である。
図6図6は、図5のIOLインジェクタのノズルの断面図である。
図7図7は、図5のIOLインジェクタのノズルの例示的な断面形状である。
図8図8は、図5のIOLインジェクタのノズルの他の斜視図である。
図9図9は、IOLがその中に配置され、待機位置に位置付けられているIOLインジェクタの遠位端の図である。
図10A図10Aは、インジェクタ本体の伸縮可能部分と、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを有している例示的なIOLインジェクタの、伸縮可能部分が収縮されておらず、プランジャがレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムによってIOLインジェクタの遠位端まで進められていない断面図である。
図10B図10Bは、図10Aのインジェクタ本体とレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを有する例示的なIOLインジェクタの、インジェクタ本体の伸縮可能部分が収縮されて、プランジャがレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムによってIOLインジェクタの遠位端まで進められていない、他の断面図である。
図10C図10Cは、図10Aのインジェクタ本体とレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを有する例示的なIOLインジェクタの、インジェクタ本体の伸縮可能部分が収縮されて、プランジャがレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムによってIOLインジェクタの遠位端まで進められた、さらに他の断面図である。
図11図11は、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを有するが、伸縮可能部分を持たない例示的なIOLインジェクタの断面図である。
図12図12は、図は、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを有する例示的なIOLインジェクタのラックアンドピニオン部分の断面図である。
図13A図13Aは、例示的なレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムの略図である。
図13B図13Bは、例示的なレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムの他の略図である。
図14図14は、例示的なリブ付き減衰システムの詳細図である。
図15図15は、例示的な非円形プランジャ-ボア界面の略図である。
図16A図16Aは、待機位置まで進められたスライドとレバー駆動式ラックアンドピニオン機構を有するIOLインジェクタの実装形態を示す略図である。
図16B図16Bは、図16Aのレバー駆動式ラックアンドピニオン機構を有するIOLインジェクタの例示的な一方向歯車システムの詳細図である。
図16C図16Cは、図16Aのレバー駆動式ラックアンドピニオン機構を有するIOLインジェクタの例示的な一方向歯車システムの他の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の原理の理解を進めるために、ここで、図面に描かれた実装形態を参照し、具体的な文言を使ってこれを説明する。それでも、本開示の範囲の限定は意図されていないと理解されたい。記載されている装置、機器、方法、及び本開示の原理の他の何れの応用に対する何れの変更及びさらなる改良も、本開示が関係する分野の当業者が通常着想するように、十分に想定される。特に、1つの実装形態に関して記載された特徴、構成要素、及び/又はステップは、本開示の他の実装形態に関して記載された特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わされてよいことも十分に想定される。
【0010】
図1及び2は、使用者が手で力を加えることによって作動される例示的なIOLインジェクタ10の例示的な略図である。IOLインジェクタ10は、インジェクタ本体20と、インジェクタ本体20に形成されたボア40を通って往復運動するようになされたプランジャ30と、折り畳み器80と、インジェクタ本体20の遠位端60に配置されたノズル25と、を含む。
【0011】
IOLインジェクタ10はまた、長さ方向軸75も含む。長さ方向軸75は、プランジャ30に沿って延び、プランジャ30の長さ方向軸を画定する。
【0012】
IOLインジェクタ10は、近位端50と遠位端22を含む主要部21を含む。主要部21の遠位端22は、折り畳み器80の近位端23に連結される。折り畳み器80の遠位端24は、ノズル25の近位端26に連結される。ノズル25は通路31を画定し、そこを通って畳まれた状態のIOLが前進させられ、遠位端60の遠位先端27の開口29を介して眼に送達されてよい。折り畳み器80の送達路はボア40と心合わせされてよく、それによってIOL、例えばIOL 70を折り畳み器80の送達路とノズル25の通路31内で前進させ、先端27を通じて眼内に送達できる。
【0013】
折り畳み器80は、折り畳み装置100の内部にアクセスできるようにするドア90を含んでいてよい。ドア90はヒンジ100を含んでいてよく、それによってドア90はヒンジ100の周囲で旋回して折り畳み器80を開き、例えば、IOL 70の設置を可能にする。他の実装形態において、折り畳み器80はIOL 70を設置するためのドアがなくてもよい。このような例では、IOL 70は、折り畳み器80の組立時に折り畳み器80に組み込まれてよい。それゆえ、このような例では、IOLインジェクタ10はプリロードIOLインジェクタとなる。
【0014】
インジェクタ本体20はまた、インジェクタ本体20の近位端50に形成されるタブ110を含んでいてよい。タブ110は、使用者、例えば眼科医、眼科手術助手若しくは看護師、又は他の医療関係者の指で操作されて、ボア40の中でプランジャ30を前進させてよい。プランジャ30は、本体部分200と、本体部分200から遠位方向に延びるプランジャロッド210と、プランジャロッド210の遠位端230に形成され、例えばIOLインジェクタ10の折り畳み器80と配列され畳まれた状態のIOLとが接触するようになされた、プランジャ先端220と、を含んでいてよい。プランジャ30がボア40の中で矢印78の方向の遠位方向に変位されると、プランジャ30のプランジャ先端220は折り畳み器80の中に収容された畳まれた状態のIOL、例えばIOL 70と係合して、前進させる。プランジャ30はまた、近位端250に形成されたフランジ240を含んでいてよく、これは使用者の指又は手で操作されて、プランジャ30をボア40の中で矢印78の方向の遠位方向へと変位させることによって、プランジャ30をボア40の中で前進させてよい。
【0015】
本明細書に記載の幾つかの実装形態において、プランジャ30の様々な部品は、IOLインジェクタ10のインジェクタ本体20の中で相互に物理的に分離又は切断されていてもよい。例えば、幾つかの実装形態において、プランジャ本体200はプランジャロッド210から物理的に分離又は切断されていてもよい。各種の実装形態において、プランジャ30の様々な部品が相互に物理的に分離又は切断されている場合、プランジャ30の他の部品の移動に応答して、IOLインジェクタ10の追加のコンポーネントがプランジャ30の1つの部品の移動を作動させてよく、これは、本開示を読んだ当業者にとって明らかであろう。
【0016】
幾つかの実装形態において、IOL 70は1ピースIOLであってよい。すなわち、幾つかの実装形態において、IOL 70は、図3に示されるように、光学部460と支持部450を含んでいてよい。支持部450の各々は先端452を含む。幾つかの実装形態において、光学部460と支持部450は1つの材料片から一体に形成されてよい。他の実装形態において、光学部460は材料の1片から形成されてよく、支持部450は材料の他の1片から形成されてよく、光学部460と支持部450は眼内に送達される前に相互に連結されてよい。幾つかの例において、光学部460と支持部450は、IOLインジェクタに挿入され、眼内に送達される前に相互にしっかりと固定されてよい。
【0017】
他の実装形態において、IOL 70は、例えば図4に示されるように、マルチピースIOLであってもよい。例えば、幾つかの実装形態において、IOL 70は2つ又はそれ以上の別々のコンポーネントを含んでいてよい。図4は、取外し可能に取り付けられた2つのコンポーネントを含む例示的なIOL 70である。図4に示されているように、IOL 70は、光学部460と、支持部450を含み、上部498と底部499を有するベース461と、を含む。光学部460とベース461は、相互に連結されて1つのIOLとされ、その後、必要に応じて相互に分離されて別々のコンポーネントとなるようになされてよい。幾つかの例では、マルチピースIOL、例えば図4に示される2ピースIOL 70の1つ又は複数のコンポーネントは、患者の眼内に別々に注入可能であってよい。眼内に入ったところで、コンポーネントは完全なIOLに組み立てられてよい。例えば、図4に示される2ピースIOL 70の場合、光学部460とベース461は眼内に別々に注入可能である。光学部460は、いったん注入されると、ベース461の上部498に連結され、その上に載るようになされる。
【0018】
時折、患者はIOLの交換を必要とすることがあり、IOLの交換のための処置の結果として、眼が損傷を受けることがある。例えば、2ピースIOLを使用することにより、交換のための処置に関わるのは光学部の交換のみで、ベースは眼内の所定の位置に残されたままでよい。
【0019】
前述のように、幾つかの実装形態において、IOL 70は2ピースIOLであってよく、ベース461と光学部460は患者の眼内に別々に注入される。したがって、2ピースIOLの場合、ベース461と光学部460は眼内に挿入するために別のIOLインジェクタ10に収容されてよい。他の実装形態では、2ピースIOLの2つのコンポーネントは、1つのIOLインジェクタを使って眼内に別々に挿入されてよい。1ピースIOLの場合、光学部460と支持部450は1つのIOLを形成し、1つのIOLインジェクタを使って眼内に同時に挿入される。
【0020】
したがって、幾つかの実装形態において、使用者は1ピースIOLをIOLインジェクタの中に、例えばIOLをIOLインジェクタのIOL保管室、例えば前述のIOLインジェクタのIOL保管室80に装填することによってセットされてよい。同じく前述のように、保管室には、ドア、例えばドア90を介してアクセスされてよい。幾つかの実装形態において、IOLは手で折り畳んで圧縮された、又は畳まれた状態にされてもよい。
【0021】
2ピースIOLの場合、幾つかの実装形態において、使用者はベース(ベース461と同様であってよい)をIOLインジェクタのIOL保管室に、例えばドアを介して装填してよい。光学部(光学部460と同様であってよい)は、別のIOLインジェクタのIOL保管室の中に、例えばドアを介して導入されてよい。幾つかの例では、IOL保管には、ドア90と同様のドアを通じてアクセスされてよい。幾つかの実装形態において、ベースと光学部の一方又は両方は、手で折り畳んで圧縮された、又は畳まれた状態にされてもよい。
【0022】
幾つかの実装形態において、IOLは、例えば製造中又はそれ以外に最終使用者への販売前に、IOLインジェクタの保管室内にプリロードされてよい。したがって、1ピースIOLの場合、1ピースIOLは最終使用者が受け取る前に、IOLインジェクタの保管室にプリロードされてよい。2ピースIOLの場合、ベースは1つのIOLインジェクタの保管室内にプリロードされてよく、他方で光学部は別のIOLインジェクタのIOL保管室の中にプリロードされてもよい。「プリロード」という用語は、本明細書で使用さるかぎり、1ピース又はマルチピース構成(例えば、2ピース構成を含む)のIOLが、使用者によってIOLインジェクタに装填されるのではなく、IOLが事前にIOLインジェクタの中に取り付けられ、IOLインジェクタが使用者によって受け取られるときにはIOLインジェクタ内に既に収容されていることを意味する。IOLインジェクタは、使用者が受け取るときには、滅菌包装材の中に包装されてよい。
【0023】
当業者であればわかるように、IOLインジェクタにプリロードされたIOLには、使用者が行う手作業によるIOLのIOLインジェクタへの取付けと折り畳みに対する利点がある。例えば、IOLを手で取り付け、折り畳むことによって、エラーが生じるチャンスが高くなり、これによって、ただでさえ複雑な処置において、不必要な二次的操作又は修正が発生する可能性がある。手でIOLを取り付け、折り畳むと、例えばヒューマンエラーや不十分な滅菌技術により、IOLの汚染の可能性も生じ得る。IOLの汚染は、患者にための滅菌環境を損ない、患者に対して感染その他の危害のリスクを及ぼしかねない。
【0024】
図5~8は、例示的なノズル25の詳細を示す。幾つかの例において、ノズル25はテーパのついた外面を有する。さらに、ノズル25は、ボア40のうち、開口29に向かって細くなる通路64を形成する部分を含んでいてよい。遠位先端27は、眼内に挿入されてIOL 70を植え込めるようになされる。IOL 70は、遠位先端27に形成された開口29から眼内に押し出される。図7に示されるように、遠位先端27は楕円形の断面120を有していてよい。それに加えて、遠位先端27は傾斜先端130を含んでいてよい。折り畳み器80、通路64、及び開口29は、送達通路を画定してよい。送達通路の大きさは、その長さに沿って変化してよい。例えば、幾つかの例において、通路の高さH1は、送達通路の長さに沿って変化してよい。送達通路の大きさの変化は、IOLが、それに沿って前進される際に折り畳み器80を通じて折り畳まれるのに寄与してよい。
【0025】
幾つかの例においてインジェクタ本体20は、挿入深さガード140を含んでいてよい。挿入深さガード140は、フランジ面150を形成してよく、これは眼の外面と当接するようになされる。挿入深さガード140は、眼表面と当接し、それによって遠位先端27が眼内に延びることのできる量を限定し、これは米国特許出願第15/049,315号明細書に記載されており、その開示の全体を参照によって本願に援用する。
【0026】
図8及び図9は、例示的なノズル25の一部の詳細図である。ノズル25は、テーパ部分62と挿入深さガード140を含んでいてよい。遠位先端27は境界1900を含んでいてよく、これは折り畳まれた、又は一部が折り畳まれたIOL 70の待機位置809を視覚的に表示する。「待機位置」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、ノズル25の遠位先端60に隣接する位置を指す。例えば、待機位置809は、遠位端60から2~10mmの位置であってよい。例えば、図8に示される例において、境界1900は、ノズル25の全部又は一部を取り囲む狭いリッジ又は線である。幾つかの例において、境界1900は、テーパ部分62と挿入深さガード140との間に設置されてよい。インジェクタ本体20の少なくとも一部は、透明又は半透明材料から形成されてよく、それによって使用者からインジェクタ本体20内のIOLが見える。特に、インジェクタ本体20のノズル25は、IOLを、それがプランジャ30によってその中を移動される間に見えるような透明材料から形成されてよい。
【0027】
図9は、IOLインジェクタ10の遠位端60の図を示し、IOL 70がその中のノズル25内の待機位置809にある。図9に示されるように、IOL 70の待機位置809は、IOL 70の光学部の遠位縁が境界1900と実質的に整列する位置と定義されてよい。支持部450又はその一部は、境界1900を越えて延びてよい。
【0028】
本明細書に記載される実装形態において、IOLインジェクタ10は、IOL 70が、典型的には折り畳み器80内の保管位置から待機位置809に進められると、IOLインジェクタの長さを短縮するようになされた折り畳み可能インジェクタ本体を含んでいてよい。
【0029】
図10A~10Cは、例示的なIOLインジェクタ10の略図であり、主要部21は折り畳み可能部分800を含み、これはテレスコピックシリンダ等のテレスコピック区間を形成する。
【0030】
図10A~10Cの例示的なIOLインジェクタは、本明細書に記載のレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムも有するIOLインジェクタ10を示しているが、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムは、伸縮可能部分800を有するIOLインジェクタ10になくてもよい。図10Aは、非収縮状態のIOLインジェクタ10を示し、図10Bは、収縮状態の、同じIOLインジェクタ10を示す。
【0031】
当業者であればわかるように、「テレスコピック(telescoping)」という用語は一般に、第一の部分がスライドして第二の部分から出て、又はその中に入る移動を指し、2つの部分は連結され、伸展された、すなわち非収縮状態と、短縮された、すなわち収縮状態を有する。より具体的には、「テレスコピックシリンダ」に関して、第一及び第二の部分はチューブ又はシリンダであってよく、これらは本明細書では異なる直径の「スリーブ」と呼ばれ、より小径のスリーブはより大径の外側スリーブの中に同心円状に連結され、又は入れ子状にされる。2つ又はそれ以上の同心円状に連結されたスリーブは、テレスコピックシリンダとして使用されてよい。1つのスリーブがスライドして他のスリーブから出る、又は入る移動によって、テレスコピックシリンダをそれぞれ長く、又は短くすることができる。長くされた、又は伸展した状態は、「非収縮」と言われてよく、短くされた状態、例えばより小径のチューブの長さが完全に、又はほとんど、より大径のチューブの中にある状態は、「収縮」と呼ばれてよい。
【0032】
例えば、図10Aに示されるように、伸縮可能部分800は少なくとも、近位端802と遠位端803を有する第一のスリーブ801を有する。主要部21の遠位部分は、近位端805と遠位端22を有する第二のスリーブ804を形成する。第一のスリーブ801の近位端802は、第二のスリーブ804の遠位端22とスライド可能に連結される。幾つかの実装形態において、例えば図10Aからわかるように、第二のスリーブ804の遠位端22は、第一のスリーブ801の近位端802内に同心円状にスライド可能に連結されてよく、それによって主要部21の遠位部分は、第一のスリーブ801の近位端802内で同心円状にスライドする。他の実装形態において、第一のスリーブ801は、第二のスリーブ804の中で同心円状にスライド可能に連結されてよく、それによって第一のスリーブ801は主要部21の遠位部分の中で同心円状にスライドする。幾つかの例では、第一のスリーブ801はスライドして、主要部21の外面とボア40との間に画定される円筒形の空間内に入ってよい。折り畳み可能部分のその他の構成も可能である。
【0033】
第一のスリーブ801は、当業者の知る何れの適当な連結アタッチメントを使って第二のスリーブ804と同心円状にスライド可能に連結されてもよい。例えば、第一のスリーブ801と第二のスリーブ804は、第一のスリーブ801と第二のスリーブ804の対向する同軸表面を結合するスリップジョイントによってスライド可能に連結されてよい。
【0034】
非収縮状態で、第二のスリーブ804の遠位端22は第一のスリーブ801の近位端802に隣接する。収縮状態では、第二のスリーブ804の遠位端22は第一のスリーブ801の遠位端803に隣接する。
【0035】
主要部21は、主要部21の外面上の1つ又は複数の突起807を有していてよく、突起807は第二のスリーブ804の近位端805に設置され、伸縮可能部分800が収縮状態にあるときに第一のスリーブ801の近位端802と接触するようになされる。
【0036】
図10Aに示されるような伸縮可能部分800を有する例示的なIOLインジェクタ10において、ノズル25の近位端は第一のスリーブ801の遠位端803に連結される。インジェクタ本体はボア40を有し、これは、主要部21の近位端50からノズル25の遠位端60まで延びる長さ方向軸75を有する。IOLインジェクタ10はまた、インジェクタ本体20内に同心円状に移動可能に連結され、ボア40内で心合わせされるプランジャ30も有する。
【0037】
ノズル25は、IOL保管位置808と、IOL保管位置808の遠位側のIOL待機位置809を有する。非収縮状態では、プランジャ先端220はIOL保管位置808に近位側で隣接する第一の位置を有する。収縮状態では、プランジャ先端220は、IOL待機位置809に近位側で隣接する第二の位置を有する。特に、プランジャ先端220は典型的に、非収縮状態にあるときに保管位置808内のIOLの5~20mm近位側にあり、プランジャ先端220は典型的に、収縮状態にあるとき、待機位置809内のIOLの、後方の、すなわち近位方向に向かう支持部のすぐ近位側で隣接し、それと接触し、係合する。
【0038】
本明細書に記載されているように、例えば待機位置809の位置は、IOL又はその一部の、境界に関する位置決めによって示されてよい。それに加えて、例えば待機位置は、プランジャ30に軸方向の力が加えられる前に、プランジャ30が初期近位位置にあるときに第一のスリーブ801の近位端802と突起807が係合することによって示されてよい。
【0039】
したがって、収縮状態のIOLインジェクタ10の長さは、非収縮状態のIOLインジェクタの長さより10~20%短くてよい。
【0040】
したがって、本開示はまた、IOL 70をIOLインジェクタ10内で保管位置808から待機位置809へと前進させる方法にも関する。この方法は、第二のスリーブ804の遠位端22を第一のスリーブ801の近位端802から第一のスリーブ801の遠位端803まで軸方向にスライドさせることによって、伸縮可能部分を収縮させるステップを含む。図10に示されるように、スライドさせるステップは、矢印78の方向に行われる。方法は、プランジャ30を主要部21に関してスライドさせるステップを含まず、例えばインジェクタ本体20の主要部21を主要部21の伸縮可能部分800の第一のスリーブ801の中へとスライドさせるステップを含むと理解されたい。したがって、このようにインジェクタ本体を収縮させる中で、プランジャ30は第二のスリーブ801に関して移動しないか、又は実質的に移動しない。それに加えて、IOLインジェクタ10をこのように収縮させることによって、IOLを待機位置809から眼内に注入する際に使用する、短縮されたIOLインジェクタ10が得られる。伸縮可能な特徴によって、IOLインジェクタ10の全体的長さが短縮されることで、人間工学の点で改善される。
【0041】
図10Bは、インジェクタ本体20の伸縮可能部分800の第二のスリーブ804を第一のスリーブ801の中へとスライドさせた後の収縮状態にあるIOLインジェクタ10を示す。収縮状態では、例えば図10Bに示されるように、第二のスリーブ804の遠位端22は第一のスリーブ801の遠位端803に隣接し、主要部21の突起807は第一のスリーブ801の近位端802と接触し、プランジャ先端220はIOL待機位置809に近位側で隣接する第二の位置にある。
【0042】
眼の組織と構造の敏感さと繊細さから、当業者であればわかるように、使用者がIOLを容認可能なピーク速度及び力で前進させることができることが重要である。幾つかの既存のIOLインジェクタの機構につきものであるが、IOLを折り畳み、眼内へと前進させるとき、IOLが遠位先端の出口を通過するときに高いピークの軸方向力と大きい圧力放出が生じ、場合によってはこれはIOLが高速で、制御しにくい方法で排出される原因となる。幾つかの既存のIOLインジェクタはばねを含み、その力の増大は、送達中ずっと使用者によって感じとられる。このような、より高いピーク力は一部の使用者により、大きすぎて、その器具を一貫して心地よく使用できないと特徴付けられている。これらの圧力と力の増減は、使用者によるIOLインジェクタ及び最終的にIOL送達の制御を行いにくくする。IOL送達における課題には、使用者の操作を通じて加えられる力のメカニズムと大きさが確実に適切であり、繰返し可能であるようにすることが含まれる。また、直感的であり、どのような技能及び技術レベルの使用者であっても使用できるIOLインジェクタを有することも重要である。
【0043】
本開示はまた、レバーが押し下げられたことに応答してプランジャの軸方向の運動を生じさせるようになされたレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを有するIOLインジェクタにも関する。
【0044】
当業者であればわかるように、ラックアンドピニオンはリニアアクチュエータの一種であり、回転運動を直線運動に変換する歯車のペアを含む。「ピニオン」と呼ばれる円形歯車は「ラック」と呼ばれる線形の棒状歯車の歯と係合する。ピニオンに回転力が加えられると、ラックがピニオンに関して移動し、それによってピニオンの回転運動がラックの直線運動に変換される。
【0045】
例えば、図10A~10Cは、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを有する例示的なIOLインジェクタ10の略図である。図10A~10Bにおいて、プランジャ30はレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムによって遠位端60まで前進させられていない。図10Cでは、プランジャ30はレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムによって遠位端60まで前進させられている。図10A~10Cの例示的なIOLインジェクタは、伸縮可能部分800も有するIOLインジェクタ10を示しているが、伸縮可能部分800は、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを持つIOLインジェクタ10になくてもよい。図11図12、及び図16A~16Cもまた、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムの各種の実装形態を有する例示的なIOLインジェクタの様々な面を示す略図である。
【0046】
図10A~10C、11及び12において、プランジャ30のプランジャ本体200は、複数の歯602を含むプランジャラック601を有する。IOLインジェクタ10はまた、第一のピニオン603も有し、これはプランジャラック601の歯602と噛み合い、又は嵌合するようになされた複数の歯604を含み、それによってプランジャラック601は第一のピニオン603の回転運動に応答して直線運動可能である。IOLインジェクタ10はまた、第二のピニオン611も有し、これは、第一のピニオン603の歯604と噛み合うようになされた複数の歯612を有する。IOLインジェクタ10はまた、近位端606と遠位端607を有するレバー605も有し、レバーはレバー605の近位端606に弧状ラック608を有する。弧状ラック608は、第二のピニオン611の歯612と噛み合うようになされた複数の歯619を有し、それによって第二のピニオン611は弧状ラック608の運動に応答して回転運動可能である。
【0047】
レバー605は、レバー605の近位端606とレバー605の遠位端607との間に配置され、旋回点609はインジェクタ本体20に回転可能に連結され、旋回点609の周囲でのレバー605の回転運動を可能にするようになされている。レバーは、使用者がアクセスできる押し下げ可能表面610を有し、押し下げ可能表面610はレバー605の旋回点609と遠位端607との間に配置される。レバー605の押し下げ可能表面610が押し下げられたことに応答して、レバー605は矢印77により示される第一の回転方向に旋回点609の周囲で回転するようになされ、第二のピニオン611は、第一の回転方向と反対の第二の回転方向に回転するようになされ、第一のピニオンは第一の回転方向に回転するようになされ、それによってプランジャラック601は矢印78により示される直線方向に、IOLインジェクタ10の遠位端60に向かって前進させられる。
【0048】
幾つかの実装形態において、1つのピニオンのみがあってもよく、この場合、レバー605は図10A~10Cに示されるものと反対の軸方向の向きにあってよい。
【0049】
幾つかの実装形態において、プランジャラックアンドピニオンは3つ以上のピニオンを含んでいてよく、これらは、レバー605が押し下げられたことに応答してプランジャ30の軸方向の運動が作動するように回転可能に連結される。レバー605は、プランジャ30の所望の軸方向運動を実現するのに適した軸方向の向きを有していてよい。
【0050】
幾つかの実装形態において、例えば図10Aに示されるように、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムは復帰ばね615をさらに含んでいてよく、これはレバー605に連結された第一の端616と主要部21に連結された第二の端617を有し、復帰ばね615はレバーを第二の回転方向に回転させるようになされる。例えば図10Aに示されるような幾つかの実装形態において、復帰ばねはトーションばねであってもよい。
【0051】
幾つかの実装形態において、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムは、例えば図12に示されるように、一方向歯車システムをさらに含んでいてよく、第一のピニオン603は回転歯止め613をさらに含み、第二のピニオンは回転ラチェット614をさらに含む。回転歯止め613は回転ラチェット614と噛み合って、プランジャ30のプランジャ本体200がインジェクタ本体20の近位端50に向かって移動するのを阻止するようになされる。したがって、図12に示される例示的な回転ラチェット614及び歯止め613によって、レバー605が復帰してプランジャ30の運動から切断されるようにする作動リセットを可能にする。換言すれば、一方向歯車システムによって、レバーは、例えば戻りばね615により第二の回転方向に回転してプランジャラック601の作動運動から切断されることができ、それによってプランジャ30がインジェクタ本体20の近位端50に向かって移動するのが阻止される。
【0052】
幾つかの実装形態において、本開示は、スライド前進レバー駆動式ラックアンドピニオン注入機構を有するIOLインジェクタに関する。したがって、幾つかの実装形態において、本明細書に記載のIOLインジェクタ10は、使用者がフランジ240に軸方向の力を加えることによって作動されるプランジャ30を軸方向にスライドさせることによって、IOLが保管位置808から待機位置809へと前進させられるようになされる。IOLを待機位置809に前進させると、レバー駆動式ラックアンドピニオン機構が係合し、これはIOLを待機位置809から患者の眼内へと軸方向に前進させることができるようになされる。
【0053】
図16A~16Cは、スライド前進レバー駆動式ラックアンドピニオン注入機構を有するIOLインジェクタ10の例示的な実装形態を示す。スライド前進及びラックアンドピニオン注入機構を有するIOLインジェクタ10は、インジェクタ本体20を有する。インジェクタ本体20は、近位端222と遠位端50を有する主要部21を含む。インジェクタ本体20はまた、近位端23と遠位端60を有するノズル25を含み、ノズル25の遠位端223は主要部21の遠位端222に連結される。インジェクタ本体20はボア40を有し、これは主要部21の近位端50からノズル25の遠位端60まで延びる長さ方向軸75を有する。IOLインジェクタ10はまた、プランジャ30も有し、これはインジェクタ本体20の中に移動可能に連結され、ボア40の中で心合わせされる。プランジャ30は、近位端250と遠位端230を有するプランジャ本体200と、複数の歯602を含むプランジャラック601を有する。プランジャ30はまた、近位端と遠位端230を有するプランジャロッド210も有し、プランジャロッド210の近位端はプランジャ本体200の遠位端に連結される。プランジャロッドは、IOLと接触するようになされたプランジャ先端220を有し、プランジャ先端220はプランジャロッド210の遠位端230に形成される。
【0054】
図16A~16Cに示される例示的なIOLインジェクタ10はまた、第一のピニオン603も有し、これはプランジャラック601の歯602と噛み合い、又は嵌合するようになされた複数の歯を有し、プランジャラック601は、第一のピニオン603の回転運動に応答して直線運動可能である。IOLインジェクタ10はまた、近位端606と遠位端607を有するレバー605を有し、レバーはレバー605の近位端606に弧状ラック608を有する。幾つかの実装形態において、弧状ラック608は、第一のピニオン603の歯と噛み合うようになされた複数の歯を有してよく、第一のピニオン603は弧状ラック608の運動に応答して回転運動可能である。レバー605は、レバー605の近位端606とレバー605の遠位端607との間に配置された旋回点609を有し、旋回点609はインジェクタ本体20に回転可能に連結され、旋回点609の周囲でのレバー605の回転運動を可能にするようになされる。レバーは、使用者がアクセスできる押し下げ可能表面610を有し、押し下げ可能表面610は、レバー605の旋回点609と遠位端607との間に配置される。レバー605の押し下げ可能表面610が押し下げられたことに応答して、レバー605は旋回点609の周囲で矢印77により示される第一の回転方向に回転するようになされ、第一のピニオン603は第二の回転方向に回転するようになされ、プランジャラック601は、矢印78により示される第一の直線方向にノズル25の遠位端60に向かって移動するようになされる。
【0055】
例えば図16Aに示されるような幾つかの実装形態において、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムは第二のピニオン611をさらに含んでいてよく、これは弧状ラック608の歯及び第一のピニオン603の歯と噛み合うようになされ、レバー605の押し下げ可能表面610が押し下げられたことに応答して、レバー605は旋回点609の周囲で矢印77に示される第一の回転方向に回転するようになされ、第二のピニオン611は矢印77により示されるものと反対の第二の回転方向に回転するようになされ、第一のピニオン603は矢印77により示される第一の回転方向に回転するようになされ、プランジャラック601は、矢印78により示される第一の直線方向にノズル25の遠位端60に向かって移動するようになされる。
【0056】
図16Aに示される例示的なIOLインジェクタにおいて、フランジ240はプランジャ本体200と接触するようになされる。例えば、フランジはプランジャ本体200の近位端250と接触するようになされてよい。フランジ240は、矢印78の方向に軸方向の力が加えられたことに応答して主要部21内で軸方向に移動するようになされる。したがって、プランジャ本体200は、フランジ240の運動に応答して軸方向に移動するようになされる。IOLインジェクタ10はまた、フランジ240に軸方向に力が加えられたことに応答してフランジ240の軸方向の移動を可能にするようになされるチャネル1705も含んでいてよい。
【0057】
特に、例えば図16Aに示されるように、チャネル1705は、主要部21の遠位端50の、フランジ240に軸方向の力が加えられたことに応答してプランジャ30の軸方向の移動を可能にするようになされた開口であってよく、プランジャ30はチャネル1705内にスライド可能に配置され、フランジ240はユーザによりアクセス可能である。
【0058】
プランジャ30は、フランジ240に軸方向の力が加えられたことに応答して移動可能である。これによって、IOLは保管位置から待機位置に移動する。第一のピニオン603はプランジャラック601に回転可能に連結され、プランジャ30は、レバー605が押し下げられて第一のピニオン603の回転を作動させられたことに応答して軸方向に移動可能である。これはIOLを待機位置809から眼へと移動させる。
【0059】
幾つかの実装形態において、図16Aに示されるように、プランジャ先端220は、フランジ240に矢印78により示される第一の方向への軸方向の力が加えられたことに応答して、IOL保管位置808に近位側で隣接する第一の位置からIOL待機位置809に近位側で隣接する第二の位置へと移動可能であり、プランジャ先端220は、レバー605が矢印77により示される第一の回転方向に押し下げられたことに応答して、第二の位置からノズル25の遠位端60へと移動可能である。
【0060】
特に、プランジャ先端220は典型的に、第一の位置にあるときには保管位置808内のIOLの5~20mm近位側にあり、プランジャ先端200は典型的に、第二の位置にあるときには待機位置809内のIOLの後方の、すなわち近位側に向かう支持部のすぐ近位側に隣接し、それと接触し、係合する。
【0061】
幾つかの実装形態において、IOLインジェクタ10は、ハードストップ機構を含んでいてよく、これはフランジ240が矢印78により示される第一の軸方向にノズル25の遠位端60に向かって移動するのを阻止するようになされたバリア1704を有する。特に、バリア1704は、プランジャ先端220が待機位置809に近位側で隣接する第二の位置まで軸方向に前進すると、フランジ240が矢印78により示される第一の軸方向にノズル25の遠位端60に向かって移動するのを阻止するようになされてよい。例えば、バリア1704は、プランジャ先端220が待機位置809に近位側で隣接する第二の位置まで移動すると、フランジ240と接触し、それによってプランジャ30が矢印78により示される第一の軸方向にノズル25の遠位端60に向かって移動するのを阻止するようになされてよい。したがって、ハードストップ機構は、フランジ240が軸方向に押されたことに応答したIOL保管位置808に近位側で隣接する第一の位置から待機位置809に近位側で隣接する第二の位置へのプランジャ先端220の移動をレバー605が押し下げられたことに応答するIOL待機位置809に近位側で隣接する第二の位置からノズル25の遠位端60に向かうプランジャ先端220の移動から切断するようになされる。
【0062】
幾つかの実装形態において、フランジ240は、例えば取外し点1713において、プランジャ30のプランジャ本体200から取外し可能であるか、又は切断されるようになされてよい。幾つかの実装形態において、フランジ240とプランジャ本体200の近位部分は、取外し点1713においてプランジャ本体200の遠位部分から取外し可能であってよく、プランジャ30の遠位部分はプランジャラック601を含む。したがって、各種の実装形態において、取外し点1713により、フランジ240に軸方向の力が加えられるとボア40の中でスライド可能なプランジャ30の近位部分は、レバー605が押し下げられたことに応答して矢印78の方向に移動可能なプランジャラック1703を有するプランジャ30の遠位部分から外れる。取外し点1713でプランジャ30の近位部分がプランジャ30の遠位部分から外れることは、幾つかの実装形態において、レバー605が押し下げられたことに応答してプランジャ30の遠位部分が前進するようになされ、それによってプランジャ先端220は、待機位置809に近位側で隣接する第二の位置からノズル25の遠位端60へと移動できる。例えば、図16Aに示される断面図は、フランジ240に軸方向の力が加えられたときにプランジャが矢印78の方向にスライドする前の状態の例示的なIOLインジェクタ10を示す。図16Aは例えば、プランジャ先端220は保管位置808に近位側で隣接する第一の位置にある。
【0063】
一方向歯車システムの他の例示的な実装形態の詳細は、図16B及び16Cに示される。
【0064】
図16B及び16Cに示される例示的な一方向歯車システムは、レバー605が矢印77の方向に押し下げられると第二のピニオン611を回転させるようになされる。第二のピニオンは、第一の円形ラチェット622に固定して連結される。それに応答して、第一の歯止め618は第一の円形ラチェット622と係合し、それが一方向歯車619を回転させ、それが固定アクスル623によって第一の歯止め618に固定して連結される。第一の歯止め618は、第一の円形ラチェット622の中に同心円状に配置され、それと回転可能に嵌合するようになされる。それに応答して、第一の歯車619は第一のピニオン603と嵌合してそれを回転させる。第二の歯止め620は、第二のアクスル621によってインジェクタ本体20に回転不能に固定されるか、又は固定して連結される。回転不能に固定される、という用語は、第二の歯止め620が回転しないようになされるのではなく、第二の円形ラチェット624が第二の歯止め620の周囲で回転するようになされることを意味する。第二の歯止め620は、第二の円形ラチェット624の中に同心円状に配置され、それと回転可能に嵌合するようになされる。したがって、第二の円形ラチェット624は、第一のピニオン603に固定して連結された第二の円形ラチェット624の中で滑り、プランジャラック601が矢印78の方向に前進させられるようになされ、それによってプランジャ本体200を軸方向に前進させ、それによってIOLを患者の眼内に送達されるための待機位置へと前進させる。
【0065】
例えば戻りばねによって作動されたときに、レバー605がリセットされると、レバー605が矢印77の回転方向と反対の第二の回転方向に回転したときに、プランジャラック601は、回転可能に固定された第二の歯止め620に係合するようになされた第二の円形ラチェット624によってインジェクタ本体20の主要部21の近位端に向かって移動しないようにされる。したがって、一方向歯車619は、第一のピニオン603によって回転が阻止される。第一の円形ラチェット622は、第一の歯止め608に沿って滑るようになされ、それによって、レバー605は矢印77の回転方向と反対の第二の回転方向に移動して、プランジャ30を前進させない。
【0066】
図13A及び図13Bは、例示的なレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムの略図である。特に、図13A及び図13Bは、本明細書に記載のレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムに関する例示的なパラメータを示しており、Fは、レバー605を押し下げるために加えられる力であり、fは、弧状ラック608の運動に応答してピニオン、例えば弧状ラック608と回転可能に連結された第一のピニオン603を回転させるための力であり、第一のピニオンはある値を有する円周Rを有する。レバー605の遠位端は、回転距離Hを有し、これはインジェクタ本体20の外面から測定される回転距離であり、Hはレバー押し下げ力Fがないときに最大値を有し、Hの値はレバー605が完全に押し下げられたときに最小となる。レバー605の近位端は、弧状ラック608の移動距離hを有し、hはHの値と逆に変化する値を有する。プランジャラック601は長さrを有し、これはIOLが待機位置809から患者の眼内へと移動する距離と等しい。レバー605は、旋回点609からレバー605の遠位端607までの距離dと、旋回点609から弧状ラック608までの距離dを有する。
【0067】
本明細書に記載のレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムの各種の実装形態において、システムのパラメータの値を変化させることにより、プランジャラック601を軸方向に移動させるためにレバー605を押し下げるのに必要な力F、及び/又はプランジャラック601を軸方向に距離rだけ移動させるのに必要なレバー605の押し下げ回数への影響を通じた機械的利益を得る中で、変形型が提供されてよい。例えば、図13Aの例示的なレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムでは、以下の例示的なパラメータ値が適用されてよい:H=15mm、h=6mm、d=25mm、d=10mm、R=5~6mm、及びr=35mm。したがって、このような例示的な値を適用することにより、F/f≒2/5となり、それによって、プランジャ30をそれに応答して移動させるためにレバーを押し下げるのに必要な力が軽減される。図13Aに示される例において、r/R≒6であり、それによってプランジャラック601を距離rだけ移動させるために、レバー605を約6回押し下げることが必要となる。
【0068】
他の実装形態において、例えば図13Bに示されるように、プランジャラック601を距離rだけ移動させるのに必要なレバー605の押下げ回数を減らすために、第二のピニオン627を第一のピニオン603と一緒に含めて、同心歯車とも呼ばれる複合歯車又は図13Bに示されるような二重歯車として、又は当業者であれば本開示を読めば特定できるその他のものとして歯車対を形成してよい。図13Bに示される例示的な歯車対において、弧状ラック608は第一のピニオン603と回転可能に連結され、弧状ラック608の歯609は、第一のピニオン603の歯と回転可能に噛み合うようになされる。第二のピニオン627は、第一のピニオン603と固定して連結されてよく、それによって第一のピニオン603と第二のピニオン611は回転中心を共有し、その結果、第一のピニオン603の1回転は第二のピニオン611の1回転と固定して連結される。したがって、第二のピニオン627は、ある値を有する円周Rを有していてよい。幾つかの実装形態において、R対Rの値の比は1:1~1:5であってよい。したがって、R対Rの値の比は機械的利益を提供してよい。例えば、図13Bに示されるように、以下のパラメータ値が適用されてよい:R対Rの比が約1:4~1:5とすると、R=5~6mm、R=24mm。当業者であれば、図13Bに示される例のような歯車比によって、レバー605に加える必要のある力Fを軽減させることにおけるレバーの機械的利益が低下し得ることがわかるであろう。例えば、図の歯車対のうちの小さいほうの第二のピニオン627を回転運動させるために必要な力f’’は、大きいほうの第一のピニオン603を回転運動させるために必要な力と比較して小さくなり得る。他の例(図示せず)では、このような歯車対のうちの大きいほうの第二のピニオンを回転運動させるために必要な力f’’は、小さいほうの第一のピニオンを回転運動させるために必要な力と比較して大きくなり得る。例えば、以下の例示的パラメータが適用されてよい:d1=30mm、d2=5mm、H=24mm、h=4mm、それによってf’’/f=5、F/f’’=1/6、それゆえF/f=5/6となり、レバー605を押し下げるのに必要な力は20%減少する。それに加えて、このようなパラメータによれば、レバー605を押し下げる回数が減り、それによってレバー605を1回押し下げると、プランジャラックは24mm軸方向に前進する。距離r=40mmのプランジャラックの場合、このような歯車対により、レバー605を2回押し下げるとプランジャラックは距離rだけ軸方向に移動し、これは、プランジャラック601を距離rだけ移動させるためにレバー605を約6回押し下げる必要がある場合より好ましい。
【0069】
したがって、幾つかの実装形態において、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムは、レバー605が1~10回押し下げられたことに応答して、プランジャラック601を長さrの距離だけ移動させるようになされてよい。
【0070】
当業者であればわかるように、各種の実装形態において、R及びRの値は、当業者によって、レバー605を押し下げるために必要な力Fとプランジャラック601を距離rだけ移動させるのに必要なレバー605の押下げ回数との適切なバランスを提供するように最適化されてよい。
【0071】
幾つかの実装形態において、IOLインジェクタ10はまた、軸方向の力に対する摩擦抵抗を提供するようになされたリブ付き減衰機構も含んでいてよい。
【0072】
図14は、例示的なリブ付き減衰システムの詳細図である。主要部の中で、ボア40もまた、軸方向の力に対する摩擦抵抗を提供するようになされたリブ付き減衰機構を含んでいてよい。リブ付き減衰機構は、プランジャ本体200上の少なくとも1つのリブ1201と、ボア40の内壁1203上の少なくとも1つのリブ1202を含み、プランジャ本体200上の少なくとも1つのリブ1201は、内壁1203上の少なくとも1つのリブ1202と接触するようになされ、プランジャ30の軸方向の移動に対する摩擦抵抗を提供するようになされる。リブ付き減衰機構は、変形可能プラスチック等の柔軟材料で構成されよく、それによってプランジャ30の軸方向への移動中のリブ1201及び1202間の接触が、矢印78の方向への軸方向の移動に対する抵抗を生じさせるが、矢印78の方向への軸方向の移動を阻止しない。
【0073】
図14に示されるように、幾つかの実装形態において、プランジャ30のプランジャ本体200上のリブ1201の1つ又は複数はリッジを形成してよく、内壁1203上の1つ又は複数のリブ1202はリッジ係合歯を形成してよく、リッジとリッジ係合歯は、プランジャ30の遠位端220が第二の軸方向にIOLインジェクタの主要部の近位端に向かって移動するのを阻止するようになされる。例えばプランジャ30のプランジャ本体200上のリブ1201はラチェットを形成してよく、内壁1203上の1つ又は複数のリブ1202は歯止めを形成してよい。
【0074】
他の実装形態において、内壁1203上のリブ1201の1つ又は複数はリッジを形成してよく、プランジャ30のプランジャ本体200上の1つ又は複数のリブ1202はリッジ係合歯を形成してよく、リッジ及びリッジ係合歯は、プランジャ30の遠位端220が第二の軸方向にIOLインジェクタの主要部の近位端に向かって移動するのを阻止するようになされる。例えば、内壁1203上のリブ1202はラチェットを形成してよく、プランジャ30のプランジャのプランジャ本体200上の1つ又は複数のリブ1201は歯止めを形成してよい。
【0075】
幾つかの実装形態において、1つ又は複数のリブ1201及び/又は1202は複数のリブ1201及び/又は1202であってよく、リブ1201及び/又は1202の各々間の距離は、主要部の遠位端からの距離の減少と共に減少してよい。したがって、リブ1201及び/又は1202を主要部200の遠位端及び/又はボア40の内壁1203により近付けることによって、典型的にIOLが遠位先端の出口を通過するときの高いピーク軸方向力及び大きい圧力放出に対抗するためのより大きい抵抗を提供してよい。
【0076】
本明細書に記載の実装形態の何れにおいても、IOLインジェクタのコンポーネントは相互に組み合わせられてよい。例えば、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを有するIOLインジェクタはリブ付き減衰機構をさらに含んでいてよい。レバー駆動式ラックアンドピニオンシステム及び/又はリブ付き減衰機構を有するインジェクタ本体は、伸縮可能部分を含んでいてよく、主要部は近位端と遠位端と、少なくとも2つのスリーブを有するテレスコピックシリンダを形成する伸縮可能部分であって、第一のスリーブは近位端と遠位端を有し、主要部の遠位部分は、近位端と遠位端を有する第二のスリーブを形成し、第一のスリーブは第二のスリーブにスライド可能に連結される伸縮可能部分と、近位端と遠位端を有するノズルであって、ノズルの遠位端は伸縮可能部分の第一のスリーブの遠位端に連結されるノズルと、を有する。
【0077】
したがって、幾つかの実装形態において、IOLインジェクタ10はレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムと伸縮可能部分を含み、IOLインジェクタは、プランジャラックの歯が、IOLインジェクタが収縮状態にあるときに第一のピニオンの歯と接触するが、非収縮状態では接触しないようになされてよい。したがって、プランジャ30のプランジャ本体200は遠位部分を有してよく、これは第一のピニオン603又は第二のピニオン611と接触するようになされた歯602を有するプランジャラック601を持たず、それによってプランジャ本体の遠位部分は伸縮可能部分800の伸縮中にインジェクタ本体20の主要部21と共に軸方向に自由に移動するようになされ、レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムと係合しない。
【0078】
本明細書に記載のIOLインジェクタ10の幾つかの実装形態において、ボア40内のプランジャ30の安定性を増大させるために、プランジャ30とボア40との間の軸方向の界面は非円形断面を有することによって、ボアの中でプランジャが矢印76の方向に回転するのを防止してよい。図15は、プランジャ30とボア40の横平面で見た例示的な非円形プランジャ-ボア界面の略図である。例えば、プランジャのプランジャ本体200において、プランジャ30はウィング1301を有してよく、これはプランジャ30の長さ又は長さの一部に沿って延び、ボア40の内面1203の長さ又は長さの一部に沿った溝1302と接するようになされる。他の非円形形状も可能であり、本開示を読んだ当業者であれば特定でき、これは例えばD字形の横断面である。
【0079】
レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを有するIOLインジェクタ10は、3点グリップで保持されるようになされてよく、例えば、親指が伸縮可能部分の片側と接触し、中指が伸縮可能部分の反対側と接触し、レバー605の押し下げ可能表面610は使用者の人差し指により押し下げられるようになされる。これは、使用者がIOL 10を眼内に送達する間に機器をしっかりと保持するためにより高い安定性を提供し得る。
【0080】
本明細書に記載され、本開示の範囲に含まれるIOLインジェクタの各種の実装形態は、マルチピースIOLのIOLベース及び/又はIOL光学部、又は1ピースIOLを送達するようになされてよい。本明細書に記載のIOLインジェクタ及び関連する方法の各種の実装形態は、使用者によってIOLインジェクタの中に手作業で装填されるか、又は使用者により送達前にプリロードされる、IOLベース及び/又は光学部に使用されてよい。
【0081】
本明細書に記載のIOLコンプレッサと共に使用されるようになされてよいIOLインジェクタの非限定的な例には、米国特許第7,156,854号明細書及び米国特許出願公開第2016/0256316号明細書に記載されているものが含まれ、各々の開示の全体を参照によって本願に援用する。
【0082】
本明細書に記載のIOLインジェクタの利点としては、以下が含まれるがこれらに限定されない。任意選択により本明細書に記載のリブ付き減衰機構を含む本明細書に記載のレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムは、IOLのための軸方向の前進運動をスムーズで制御された方法で発生させるための解決策を提供する。レバー駆動式ラックアンドピニオン機構は、レバー駆動式歯車システムを使ってプランジャを一方向に駆動することによって機械的利益を提供するようになされてよい。リブ付き減衰機構は、手術体験をよりよくするための改善された制御を提供する。伸縮可能な特徴は、機器の全体的な長さを短縮することによって人間工学的面を改善する。
【0083】
待機位置へのIOLの初期移動は、伸縮可能スライドを通じて実現される。この特徴は、機器の全体的長さを短縮させ、機器の有用性と人間工学的面を改善する。より短い機器は、従来のシリンジ又は三脚グリップの何れかを有する既存のIOLインジェクタと比較して、片手によりなじみやすく、使用者の制御する側の手にとってよりよい質量中心を提供する。
【0084】
レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを使ってIOLを眼に送達するために、IOLインジェクタは鉛筆握りとも呼ばれる3点グリップで保持されてよく、使用者はレバーをその人差し指で押し、使用される筋肉は典型的なシリンジタイプのグリップより少なくて済む。
【0085】
レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムは、幾つかの実装形態において、レバーの圧迫をピニオンと組み合わせて使用してよく、これは従来のシリンジタイプの機構を使ってIOLを注入するための直接的な軸方向の力を加える幾つかの既存のIOLインジェクタより、プランジャを軸方向に移動させるための歯車にさらに機械的利益を提供するための歯車として使用されるときもある。従来のシリンジ又はプッシュ式機構では、使用者がプランジャに加える力は典型的に、IOLがどれだけ素早く移動するかに直接的に比例する。本明細書に記載のレバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを用いるIOL送達機構を適用することによって、より制御され、一貫したIOL移動に関して得られる機械的利益がある。この一貫性は、IOLが突然飛び出すインシデンスを低減させると共に、一定の力をより長時間にわたり加えることに関わる使用者の疲労を軽減させる。IOLインジェクタは、片手で鉛筆を握るように保持できる。レバーは、それを何度か押したり離したりすることによって作動されて、IOLを前進させる。幾つかの実装形態において、IOLがプリロードされていることは、IOLインジェクタ及びIOLの滅菌状態を処置中保持するのに役立つほか、使用者による準備ステップを排除する。
【0086】
上で開示された主題は例示的であって制限的ではないと考えられたく、付属の特許請求の範囲は、本開示の実際の主旨と範囲に含まれるあらゆる変更、改良、及びその他の実装形態をカバーするものとする。それゆえ、法律的に認められる最大限に、本開示の範囲は以下の特許請求項及びそれらの等価物の可能なかぎり最も広い解釈によって特定されるものとし、上記の詳細な説明により制約又は制限されないものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図16C
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバー駆動式ラックアンドピニオンシステムを有する眼内レンズ(IOL)インジェクタにおいて、
インジェクタ本体であって、
近位端と遠位端とを含む主要部と、
近位端と遠位端とを含むノズルであって、前記ノズルの前記近位端は前記主要部の前記遠位端に連結される、ノズルと、
前記主要部の前記近位端から前記ノズルの前記遠位端まで延びる長さ方向軸を含むボアと、
を有するインジェクタ本体と、
複数の歯を含む少なくとも1つのピニオンと、
レバーであって、
遠位端と、
前記レバーの近位端と前記遠位端との間に配置される旋回点であって、前記インジェクタ本体に回転可能に連結されて、前記旋回点の周囲での前記レバーの回転運動を可能にする旋回点と、
使用者がアクセスでき、前記旋回点と前記レバーの前記遠位端との間に配置された押し下げ可能な表面と、
弧状ラックであって、前記弧状ラックの移動に応答して1つのピニオンの複数の歯と噛み合い、前記ピニオンを回転運動させるように適合された複数の歯を有する弧状ラックを有する前記近位端と、
を有するレバーと、
前記インジェクタ本体内に同心円状に移動可能に連結され、前記ボアの中で心合わせされるプランジャであって、
近位端と遠位端を含み、1つのピニオンの複数の歯と噛み合うように適合された複数の歯を含むプランジャラックであって、1つのピニオンの回転運動に応答して前記ノズルの前記遠位端に向かって直線運動可能であるようにさらに適合されるプランジャラックをさらに有するプランジャ本体と、
近位端と遠位端を含むプランジャロッドであって、前記プランジャロッドの前記近位端は前記プランジャ本体の前記遠位端に連結される、プランジャロッドと、
前記プランジャロッドの前記遠位端に形成され、前記レバーの前記表面が押し下げられたことに応答してIOLと接触し、前記IOLを待機位置から移動させるように適合されたプランジャ先端と、を含む
プランジャと、
を含むIOLインジェクタ。
【請求項2】
1つのピニオンを含み、
前記弧状ラックの前記複数の歯は前記ピニオンの前記複数の歯と噛み合うように適合され、
前記プランジャラックの前記複数の歯は前記ピニオンの前記複数の歯と噛み合うように適合され、
前記レバーの前記押し下げ可能な表面が押し下げられたことに応答して、前記レバーは、前記旋回点の周囲で第一の回転方向に回転し、前記弧状ラックの前記複数の歯を前記第一の回転方向に移動させるように適合され、前記ピニオンは、第二の回転方向に回転するように適合され、
前記プランジャラックは、前記ピニオンが前記第二の回転方向に回転運動したことに応答して前記ノズルの前記遠位端に向かって直線運動可能であるように適合される、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項3】
2つのピニオンを含み、
前記弧状ラックの前記複数の歯は第一のピニオンの複数の歯と噛み合うように適合され、
前記第一のピニオンの前記複数の歯は第二のピニオンの複数の歯と噛み合うように適合され、
前記プランジャラックの前記複数の歯は、前記第二のピニオンの前記複数の歯と噛み合うように適合され、
前記レバーの前記押し下げ可能な表面が押し下げられたことに応答して、前記レバーは、前記旋回点の周囲で第一の回転方向に回転し、前記弧状ラックの前記複数の歯を前記第一の回転方向に移動させるように適合され、前記第一のピニオンは、第二の回転方向に回転するように適合され、前記第二のピニオンは前記第一の回転方向に回転するように適合され、
前記プランジャラックは、前記第二のピニオンが前記第一の回転方向に回転運動したことに応答して、前記ノズルの前記遠位端に向かって直線運動可能であるように適合される、
請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項4】
前記第一のピニオンは歯止めをさらに含み、
前記第二のピニオンはラチェットをさらに含み、
前記歯止めは、前記ラチェットと噛み合って前記プランジャラックが前記ノズルの前記近位端に向かって移動するのを阻止するように適合される、
請求項3に記載のIOLインジェクタ。
【請求項5】
前記第一のピニオンは円周R1を有し、
前記第二のピニオンは円周R2を有し、
R2対R1の値の比は1:1から1:5である、
請求項3に記載のIOLインジェクタ。
【請求項6】
前記レバーに連結された第一の端と前記インジェクタ本体に連結された第二の端を有する復帰ばねをさらに含み、前記レバーは、前記レバーの前記押し下げ可能な表面が押し下げられたことに応答して第一の回転方向に回転するように適合され、前記復帰ばねは、前記レバーを前記第一の回転方向と反対の第二の回転方向に回転させるように適合される、
請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項7】
前記ノズルは、IOL保管位置とIOL待機位置とを有し、前記IOL待機位置は前記IOL保管位置の遠位側にあり、
前記IOL待機位置と前記ノズルの前記遠位端との間の距離は長さrを有し、前記プランジャラックは、前記レバーが1回から10回押し下げられたことに応答して、長さrの距離だけ移動するように適合される、
請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項8】
前記インジェクタ本体は伸縮可能であり、前記IOLインジェクタは、
近位端、遠位端、及び前記遠位端を含む遠位部分を有する主要部と、
テレスコピックシリンダを形成し、少なくとも、近位端と遠位端を有する第一のスリーブと、前記第一のスリーブにスライド可能に連結され、前記主要部の前記遠位部分から形成され、近位端と遠位端を有する第二のスリーブとを有する伸縮可能部分と、
を含み、
非収縮状態では前記第二のスリーブの前記遠位端は前記第一のスリーブの前記近位端に隣接し、収縮状態では前記第二のスリーブの前記遠位端は前記第一のスリーブの前記遠位端に隣接し、
前記プランジャラックの前記複数の歯は、前記IOLインジェクタが前記収縮状態にあるときに、前記ピニオンの前記複数の歯と噛み合うが、前記IOLインジェクタが非収縮状態にあるときには噛み合わない、
請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項9】
前記プランジャ本体は、前記プランジャ本体の前記近位端と接触するように適合されたフランジをさらに含み、前記プランジャ本体は、前記フランジに軸方向の力が加えられたことに応答して軸方向に移動するように適合され、前記プランジャ先端は、前記フランジに前記軸方向の力が加えられたことに応答して、前記IOLを保管位置から前記待機位置へと移動させるように適合される、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項10】
前記プランジャ本体上の少なくとも1つのリブと前記ボアの内壁上の少なくとも1つのリブを有するリブ付き減衰機構をさらに含み、
前記プランジャ上の前記少なくとも1つのリブは、前記内壁上の前記少なくとも1つのリブと接触して、前記プランジャの軸方向の移動に対して摩擦抵抗を提供するように適合され、
前記プランジャ本体上の1つ又は複数の前記リブはリッジを形成し、前記内壁上の1つ又は複数の前記リブはリッジ係合歯を形成し、
前記リッジ及び前記リッジ係合歯は、前記プランジャが前記IOLインジェクタの前記主要部の前記近位端に向かって移動するのを阻止するように適合される、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項11】
前記内壁上の1つ又は複数の前記リブはリッジを形成し、前記プランジャ上の1つ又は複数の前記リブはリッジ係合歯を形成し、前記リッジ及び前記リッジ係合歯は、前記プランジャが前記IOLインジェクタの前記主要部の前記近位端に向かって移動するのを阻止するように適合される、請求項10に記載のIOLインジェクタ。
【請求項12】
伸縮可能なインジェクタ本体を有しており、前記IOLインジェクタは、
近位端、遠位端、及び前記遠位端を含む遠位部分を有する主要部と、
テレスコピックシリンダを形成し、少なくとも、近位端と遠位端とを有する第一のスリーブと、前記第一のスリーブにスライド可能に連結され、前記主要部の前記遠位部分から形成され、近位端と遠位端とを有する第二のスリーブとを有する伸縮可能部分と、
を含み、
非収縮状態では、前記第二のスリーブの前記遠位端は前記第一のスリーブの前記近位端に隣接し、収縮状態では、前記第二のスリーブの前記遠位端は前記第一のスリーブの前記遠位端に隣接する、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項13】
近位端と遠位端とを含むノズルであって、前記近位端は、前記伸縮可能部分の前記第一のスリーブの前記遠位端に連結され、前記ノズルは、IOL保管位置と前記IOL保管位置の遠位側にあるIOL待機位置とをさらに有する、ノズルと、
前記主要部の前記近位端から前記ノズルの前記遠位端まで延びる長さ方向軸を有するボアと、
前記インジェクタ本体内に同心円状に移動可能に連結され、前記ボアの中で心合わせされるプランジャであって、IOLと接触するように適合されたプランジャ先端を有するプランジャと、をさらに含み、
非収縮状態では、前記プランジャ先端は、前記IOL保管位置に近接する第一の位置を有し、収縮状態では、前記プランジャ先端は、前記IOL待機位置に近接する第二の位置を有する、請求項12に記載のIOLインジェクタ。
【請求項14】
収縮状態において、非収縮状態における長さよりも10%から20%短い長さを有する、請求項12に記載のIOLインジェクタ。
【請求項15】
前記第二のスリーブは、前記第一のスリーブ内に同心円状にスライド可能に連結され、又は、前記第一のスリーブは、前記第二のスリーブ内に同心円状にスライド可能に連結される、請求項12に記載のIOLインジェクタ。