(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087088
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】座及び椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 7/16 20060101AFI20240621BHJP
A47C 5/04 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
A47C7/16
A47C5/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074906
(22)【出願日】2024-05-02
(62)【分割の表示】P 2019175896の分割
【原出願日】2019-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】奥田 直之
(57)【要約】
【課題】見映えを向上させた上で、支持構造体との連結強度を確保できる座及び椅子を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る座3は、座本体51と、側方連結部70と、を備えている。側方連結部70は、座本体51の下面との間にナットを収容するナット収容空間83を画成するとともに、前後方向に間隔をあけて配置されたナット保持部80と、座本体51から下方に突出するとともに、前後方向で隣り合うナット収容空間83同士を接続するリブ81と、を備えている。ナット保持部80には、ナット収容空間83を左右方向に開放させてナットが挿入されるナット挿入口90、及びナット収容空間83を下方に開放させて支持構造体を通じてボルトが挿入されるボルト挿入口91が形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方を向く荷重支持面を有する支持板と、
前記支持板の下面の外周部に設けられ、支持構造体に連結される連結部と、を備え、 前記連結部は、
前記支持板の下面との間にナットを収容するナット収容空間を画成するとともに、上下方向に交差する面方向のうち、第1方向に間隔をあけて配置されたナット保持部と、 前記支持板から下方に突出するとともに、前記第1方向で隣り合う前記ナット保持部を接続するリブと、を備え、
前記ナット保持部には、前記面方向のうち、前記第1方向に交差する第2方向に前記ナット収容空間を開放させて前記ナットが挿入されるナット挿入口、及び前記ナット収容空間を下方に開放させて前記支持構造体を通じてボルトが挿入されるボルト挿入口が形成されている座。
【請求項2】
前記リブは、前記第1方向で隣り合う前記ナット保持部同士の間で、前記第2方向に間隔をあけて複数設けられている請求項1に記載の座。
【請求項3】
前記リブは、前記第2方向を向き、前記ナット挿入口の開口面に沿って連なる連続面を有している請求項1又は請求項2に記載の座。
【請求項4】
前記ナット保持部は、前記支持板の下面に対向するとともに、前記ボルト挿入口が貫通する底壁部を備え、
前記底壁部には、前記支持構造体に係合される位置決め部が形成されている請求項1から請求項3の何れか1項に記載の座。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の座と、
前記ボルト挿入口を通じて挿入された前記ボルトが前記ナット収容空間に収容された前記ナットに螺着されて、前記座に連結された前記支持構造体と、を備えている椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座及び椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
座を支持構造体に連結する構成として、例えば下記特許文献1に記載された構成が知られている。下記特許文献1において、座を構成するインナシェルの外周部には、ナットが収納されるナット収納凹所が形成されている。ナット収納凹所には、脚柱の上端部に位置するアウタシェルを通じてボルトが挿通されている。ボルトは、ナット収納凹所内においてナットに螺着されることで、インナシェルとアウタシェルとを連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の構成にあっては、ナット収納凹所がインナシェルの上面にも開口しているため、座の見映えを損なう可能性があった。
また、着座時において、インナシェルの中央部に下向きの着座荷重が作用すると、この着座荷重に起因してインナシェルの外周部は中央部に対して上方に変位しようとする。この場合、ボルト及びナットには、互いを離間させる方向に荷重が作用する可能性がある。そのため、従来の座では、支持構造体との連結強度を確保する点で未だ改善の余地があった。
【0005】
本発明は、見映えを向上させた上で、支持構造体との連結強度を確保できる座及び椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る座は、上方を向く荷重支持面を有する支持板と、前記支持板の下面の外周部に設けられ、支持構造体に連結される連結部と、を備え、前記連結部は、前記支持板の下面との間にナットを収容するナット収容空間を画成するとともに、上下方向に交差する面方向のうち、第1方向に間隔をあけて配置されたナット保持部と、前記支持板から下方に突出するとともに、前記第1方向で隣り合う前記ナット保持部を接続するリブと、を備え、前記ナット保持部には、前記面方向のうち、前記第1方向に交差する第2方向に前記ナット収容空間を開放させて前記ナットが挿入されるナット挿入口、及び前記ナット収容空間を下方に開放させて前記支持構造体を通じてボルトが挿入されるボルト挿入口が形成されている。
【0007】
本態様によれば、ナット収容空間を第2方向に開放させるナット挿入口、及びナット収容空間を下方に開放させるボルト挿入口がナット保持部80に形成されているため、ナット保持部の開口部が座の上面に露出することがない。そのため、座の見映えを向上させることができる。
ここで、本態様では、第1方向に隣り合うナット保持部同士がリブにより接続された構成とした。
この構成によれば、連結部全体としての剛性を確保することができる。すなわち、着座荷重に起因して座の外周部分に作用する荷重を連結部の全体に分散させることができるので、ナット保持部を介してナットに、ボルトから離間させる方向の荷重が局所的に作用するのを抑制できる。これにより、座の中央部に主に作用する着座荷重によって支持板の外周部分が上方に変位しようとしたとしても、ナット保持部の歪み等を抑制できる。その結果、座と支持構造体との連結強度を確保できる。
【0008】
上記態様の座において、前記リブは、前記第1方向で隣り合う前記ナット保持部同士の間で、前記第2方向に間隔をあけて複数設けられていてもよい。
本態様によれば、連結部全体としての剛性を向上させることができる。特に、第1方向を軸方向とする捩じり方向の剛性も確保することができるので、座と支持構造体との連結強度をより一層確保できる。
【0009】
上記態様の座において、前記リブは、前記第2方向を向き、前記ナット挿入口の開口面に沿って連なる連続面を有していてもよい。
本態様によれば、ナット保持部のうち、ナット挿入口周辺の剛性を確保することができる。そのため、ナット挿入口の周辺を起点としてナット保持部に歪み等が生じるのを抑制できる。
【0010】
上記態様の座において、前記ナット保持部は、前記支持板の下面に対向するとともに、前記ボルト挿入口が貫通する底壁部を備え、前記底壁部には、前記支持構造体に係合される位置決め部が形成されていてもよい。
本態様によれば、位置決め部を支持構造体に係合させることで、座を支持構造体に固定する前の状態において、支持構造体に対する座の面方向の位置決めを行うことができる。これにより、座の組付性を向上させることができる。
【0011】
本態様に係る椅子は、上記何れかの態様に係る前記座と、前記ボルト挿入口を通じて挿入された前記ボルトが前記ナット収容空間に収容された前記ナットに螺着されて、前記座に連結された前記支持構造体と、を備えている。
本態様によれば、意匠性及び耐久性に優れた信頼性の高い椅子を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
上記各態様によれば、見映えを向上させた上で、支持構造体との連結強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】実施形態に係る座及び支持構造体の分解斜視図である。
【
図3】
図5のIII-III線に相当する断面図である。
【
図4】
図5のIV-IV線に相当する断面図である。
【
図7】
図5のVII-VII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する各実施形態(及び変形例)において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。また、以下の説明における前後上下左右の方向は、着座者から見た方向を示している。
【0015】
[椅子1]
図1は、椅子1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る椅子1は、背凭れ2や座3がクッション材を有しない、いわゆるヌードシェルタイプの椅子である。具体的に、椅子1は、上述した背凭れ2や座3が支持構造体4に支持されて構成されている。
【0016】
<支持構造体4>
図2は、座3及び支持構造体4の分解斜視図である。
図2に示すように、支持構造体4は、左右一対の脚体10と、後側連結杆11と、前側フレーム12と、側部フレーム13と、を備えている。
各脚体10は、金属等からなるパイプ材が左右方向から見て(側面視)台形枠状に屈曲されて形成されている。具体的に、脚体10は、前脚21と、後脚22と、下側連結杆23と、上側連結杆24と、背凭れ支持部25と、を備えている。
【0017】
前脚21は、下方に向かうに従い漸次前方に向けて延在している。
下側連結杆23は、前脚21の下端部から後方に延在している。下側連結杆23は、接地キャップ26を介して床面F(
図1参照)に接地される。
後脚22は、下側連結杆23の後端部から上方に延在している。本実施形態において、後脚22は、上方に向かうに従い前方に向けて傾斜している。
上側連結杆24は、前脚21の上端部から後方に延在している。
【0018】
背凭れ支持部25は、脚体10を構成するパイプ材のうち、上側連結杆24の後端部から上方に屈曲した部分、及び後脚22の上端部から上方に突出した部分同士が溶接等によって接合された構成である。
【0019】
後側連結杆11は、各脚体10における上側連結杆24の後端部同士を架け渡している。後側連結杆11は、上下方向から見て(平面視)後方に向けて凸の円弧状をなしている。後側連結杆11における左右両端部は、それぞれ対応する上側連結杆24に溶接等によって接合されている。
【0020】
前側フレーム12は、金属等の板材が左右方向に沿って延在する構成である。前側フレーム12は、各脚体10のうち、上側連結杆24と前脚21とがなす角部同士を架け渡している。前側フレーム12における左右両端部は、それぞれ対応する角部に溶接等によって接合されている。本実施形態において、前側フレーム12は、上側連結杆24と前脚21とがなす角部に倣って前方に向かうに従い下方に延在している。前側フレーム12には、上方に窪む膨出部28が形成されている。膨出部28の頂壁には、上下方向に貫通する取付孔29が形成されている。なお、膨出部28は、前側フレーム12において、左右方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0021】
側部フレーム13は、各脚体10において、上側連結杆24から左右方向の内側(椅子1の中心に向かう側)に張り出している。側部フレーム13は、金属等の板材が前後方向(面方向のうち第1方向)に沿って延在する構成である。
【0022】
図3は、
図5のIII-III線に相当する断面図である。
図4は、
図5のIV-IV線に相当する断面図である。
図3、
図4に示すように、側部フレーム13は、傾斜部31、取付片32及び起立片33を備えている。
傾斜部31は、左右方向(面方向のうち第2方向)の内側に向かうに従い漸次下方に傾斜している。傾斜部31における左右方向の外側端部は、上側連結杆24に溶接等によって接合されている。なお、側部フレーム13は、前後両端縁において、上述した後側連結杆11や前側フレーム12に対しても溶接等によって接合されている。本実施形態において、後側連結杆11、前側フレーム12及び側部フレーム13は、平面視で矩形枠状の座支持部34を構成している。
【0023】
取付片32は、傾斜部31から左右方向の内側に延在している。本実施形態において、取付片32は、床面F(
図1参照)と平行に延在している。
図3に示すように、取付片32には、上方に膨出する膨出部35が形成されている。膨出部35の頂壁には、上下方向に貫通する取付孔36が形成されている。なお、膨出部35は、取付片32において、前後方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0024】
起立片33は、取付片32における左右方向の内側端部から上方に突出している。図示の例において、起立片33の上端縁は、傾斜部31における左右方向の外側端部と同等の高さに設定されている。
【0025】
<背凭れ2>
図1に示すように、背凭れ2は、背凭れ支持部25に支持されている。背凭れ2は、着座者の腰部や背部等を後方から支持する。本実施形態において、背凭れ2は、樹脂材料を射出成形することにより板状に形成されている。具体的に、背凭れ2は、平面視において後方に向けて凸の円弧状をなし、側面視において前方に向けて凸の円弧状をなしている。
【0026】
背凭れ2は、左右方向の両端部に形成された脚体収容部(不図示)内に、上述した背凭れ支持部25が各別に挿入されていることで支持構造体4に支持されている。なお、背凭れ支持部25は、脚体収容部内に収容された状態において、ビス等によって背凭れ2に固定されていてもよく、脚体収容部内に圧入されることで背凭れ2に固定されていてもよい。
【0027】
<座3>
図2に示すように、座3は、支持構造体4に下方から支持されている。具体的に、座3は、座本体(支持板)51と、連結部52と、を備えている。座3は、樹脂材料を射出成形することにより一体形成されている。したがって、座3は、弾性変形可能に構成されている。
座本体51は、上下方向を厚さ方向とする板状に形成されている。座本体51は、着座時において、着座者の臀部や大腿部等を下方から支持する。すなわち、座本体51の上面は、着座面(荷重支持面)53を構成する。具体的に、座本体51は、主支持部55と、前側連続部56と、後側連続部57と、を備えている。
【0028】
主支持部55は、上述した座支持部34を上方から覆っている。主支持部55は、平面視矩形状に形成されている。主支持部55は、前後方向に直交する断面視、及び左右方向に直交する断面視で下方に向けて凸の円弧状をなしている。主支持部55の後端部には、後方凹部60が形成されている。後方凹部60は、主支持部55の下面から上方に窪むとともに、主支持部55の左右方向の全域に亘って延在している。上述した後側連結杆11の上端部は、後方凹部60内に収容された状態で、後方凹部60の内面に下方から近接又は当接している。
【0029】
前側連続部56は、主支持部55の前端縁に連なっている。具体的に、前側連続部56は、側面視において、上側連結杆24及び前脚21がなす角部に倣って前方に向かうに従い下方に湾曲しながら延在している。前側連続部56の下面(裏面)には、前後方向に延びる前側リブ61が形成されている。前側リブ61は、左右方向で対向してリブ対62を構成している。リブ対62は、リブ対62を構成する前側リブ61同士の間隔よりも広い間隔をあけて左右方向に並んでいる。各リブ61の下端縁は、上述した前側フレーム12に近接又は当接している。但し、前側リブ61の形状やピッチ等は、適宜変更が可能である。
【0030】
後側連続部57は、主支持部55の後端縁に連なっている。具体的に、後側連続部57は、側面視において、上側連結杆24及び背凭れ支持部25がなす角部に倣って後方に向かうに従い上方に湾曲しながら延在している。後側連続部57の下面(裏面)には、第1後側リブ65及び第2後側リブ66が形成されている。
【0031】
第1後側リブ65は、後側連続部57における左右方向の中央部において、左右方向に間隔をあけて並んでいる。
第2後側リブ66は、後側連続部57において、前端部及び左右方向の両端部に沿って延在している。但し、各後側リブ65,66の形状やピッチ等は、適宜変更が可能である。
【0032】
図3に示すように、座本体51における左右方向の両端部には、側方凹部67が形成されている。側方凹部67は、下方及び左右方向の外側に向けて開放されている。側方凹部67は、座本体51(前側連続部56、主支持部55及び後側連続部57)において、前後方向の全体に亘って延在している。上側連結杆24及び前脚21がなす角部から、上側連結杆24及び背凭れ支持部25がなす角部に至る部分は、側方凹部67内に収容された状態で、側方凹部67の内面に下方から近接又は当接している。
【0033】
図2に示すように、連結部52は、側方連結部70と、前側連結部71と、を備えている。
側方連結部70は、主支持部55の下面において、左右方向の両端部にそれぞれ形成されている。具体的に、側方連結部70は、主支持部55の下面において、側部フレーム13(取付片32)と平面視で重なる位置に前後方向に延在している。なお、各側方連結部70は、左右対称な構成である。したがって、以下では、左右一対の側方連結部70のうち、右側の側方連結部70を例にして説明する。
【0034】
図5は、座3の部分底面図である。
図5に示すように、側方連結部70は、ナット保持部80と、リブ81と、を備えている。
ナット保持部80は、主支持部55の下面のうち、前後方向の中央部及び後端部に配置されている。各ナット保持部80は、何れも同様の構成である。したがって、以下では、中央部に位置するナット保持部80を例にして説明する。
【0035】
図3、
図5に示すように、ナット保持部80は、左右方向の外側(右側)に開口する箱型に形成されている。ナット保持部80は、主支持部55の下面との間にナット82を収容するナット収容空間83を画成している。
【0036】
図6は、
図3のVI-VI線に沿う断面図である。
図6に示すように、ナット保持部80の周壁84は、上下方向に直交する断面視において、左右方向の外側に向けて開口するC字状に形成されている。具体的に、周壁84は、前壁85及び後壁86と、前壁85及び後壁86間を架け渡す接続壁87と、を備えている。
図6の例において、前壁85及び後壁86は、接続壁87に対して左右方向の両側に突出している。
【0037】
図7は、
図5のVII-VII線に沿う断面図である。
図5、
図7に示すように、ナット保持部80の底壁88は、周壁84の下端開口部を閉塞している。底壁88の下面には、上方に向けて窪む位置決め凹部(位置決め部)89が形成されている。位置決め凹部89は、上方に向かうに従い前後方向の幅が漸次縮小するテーパ状に形成されている。位置決め凹部89内には、上述した膨出部35が収容されている。膨出部35の頂壁は、位置決め凹部89の頂壁に下方から当接している。図示の例において、位置決め凹部89は、上述した接続壁87にも連なり、ナット保持部80における左右方向の全長に亘って形成されている。なお、ナット保持部80は、位置決め凹部89を有さない構成であってもよい。
【0038】
図3に示すように、ナット保持部80において、左右方向の外側開口部は、ナット82が挿入可能なナット挿入口90を構成している。ナット挿入口90は、ナット収容空間83を左右方向の外側に開放している。本実施形態において、ナット収容空間83は、左右方向の内側に向かうに従い(ナット挿入口90から離間するに従い)上下方向の高さが漸次縮小している。主支持部55の下面のうち、ナット保持部80に対して左右方向の外側に位置する部分には、上方に窪む逃げ部93が形成されている。逃げ部93は、左右方向に向かうに従い漸次浅くなっている。
【0039】
図6に示すように、底壁88(位置決め凹部89の頂壁)のうち、上述した取付孔36と平面視で重なる部分には、ボルト挿入口91が形成されている。ボルト挿入口91は、ナット収容空間83を下方に開放している。なお、上述した位置決め凹部89は、ボルト挿入口91とは異なる位置に形成されていてもよい。
【0040】
底壁88のうち、ボルト挿入口91に対して左右方向の外側に位置する部分には、連通口92が形成されている。連通口92は、底壁88を上下方向に貫通するとともに、左右方向に延在している。連通口92は、ナット挿入口90及びボルト挿入口91間を左右方向に連通させている。すなわち、連通口92は、底壁88における左右方向の外側端縁上で開口している。
【0041】
連通口92のうち、前後方向で対向する内周縁には、前後方向の内側(内周縁同士が対向する側)に膨出する規制部94がそれぞれ形成されている。規制部94は、平面視において、左右方向の両側から中央部に向かうに従い前後方向の内側に向けて膨出する三角形状に形成されている。具体的に、規制部94は、頂部95に対して左右方向の内側に連なる係止面96と、頂部95に対して左右方向の外側に連なる乗り越え面97と、を有している。
【0042】
係止面96は、左右方向の内側に向かうに従い前後方向の外側に向けて傾斜している。すなわち、係止面96は、左右方向の内側(ボルト挿入口91)を向いている。なお、係止面96は、法線方向が少なくとも左右方向の成分を有し、かつ上下方向の成分を有さない構成であればよい。
【0043】
乗り越え面97は、左右方向の外側に向かうに従い前後方向の外側に向けて傾斜している。したがって、連通口92における前後方向の開口幅は、左右方向の外側に向かうに従い漸次縮小した後、さらに左右方向の外側に向かうに従い漸次拡大している。図示の例では、係止面96の左右方向における長さは、乗り越え面97の左右方向における長さよりも短くなっている。また、左右方向に対する係止面96及び乗り越え面97の傾斜角度は、互いに同等であっても異なっていてもよい。また、本実施形態では、連通口92の内周縁のうち、前後方向の全体に亘って規制部94が形成された構成について説明したが、この構成に限らず、連通口92の内周縁の一部に規制部94が形成されていてもよい。
【0044】
ところで、ナット挿入口90は、座3の射出成形時において、左右方向に進退可能な第1コアピンの成形面(外面)に倣って形成される。また、ボルト挿入口91及び連通口92は、座3の射出成形時において、上下方向に進退可能な第2コアピンの成形面(外面)に倣って形成される。この場合、本実施形態では、規制部94が連通口92の内周縁から膨出しているため、規制部94の厚さ方向が第2コアピンの進退方向に沿った状態で形成される。
【0045】
図5に示すように、リブ81は、主支持部55から下方に突出している。具体的に、リブ81は、接続リブ100と、延長リブ101と、補助リブ102と、を備えている。 接続リブ100は、前後方向で隣り合うナット保持部80同士を接続している。接続リブ100は、左右方向に間隔をあけて設けられた第1接続部110及び第2接続部111を備えている。
【0046】
第1接続部110は、第2接続部111に対して左右方向の内側に位置している。第1接続部110は、各ナット保持部80のうち、前後方向の後端部に位置するナット保持部80の前壁85と、前後方向の中央部に位置するナット保持部80の後壁86と、における左右方向の内側端部同士を直線状に接続している。
第2接続部111は、第1接続部110に対して左右方向の外側に位置している。第2接続部111は、各ナット保持部80のうち、前後方向の後端部に位置するナット保持部80の前壁85と、前後方向の中央部に位置するナット保持部80の後壁86と、における左右方向の外側端部同士を接続している。第2接続部111のうち、左右方向の外側を向く外側面(連続面)111aは、ナット挿入口90の開口面(ナット保持部80における左右方向の外側端面)と面一に配置されている。但し、第2接続部111の外側面111aは、ナット挿入口90の開口面に対して左右方向にずれて配置されていてもよい。
【0047】
図示の例において、接続部110,111の下端面は、前壁85及び後壁86の下端面と面一に配置されている。したがって、接続部110,111の下端面は、上述した取付片32に上方から近接又は当接している。この場合、接続部110,111の下端面は、位置決め凹部89の頂壁よりも下方に位置している。但し、接続部110,111の下端面は、前壁85及び後壁86より高くても低くてもよい。
【0048】
延長リブ101は、左右方向に間隔をあけて設けられた第1延長部115及び第2延長部116と、各延長部115,116の前端部同士の間を架け渡す架け渡し部117と、を備えている。
【0049】
第1延長部115は、前後方向の中央部に位置するナット保持部80の前壁85において、左右方向の外側端部から前方に向けて延在している。第1延長部115は、上述した第1接続部110と同一直線上に位置している。
第2延長部116は、前後方向の中央部に位置するナット保持部80の前壁85において、左右方向の内側端部から前方に向けて延在している。第2延長部116のうち、左右方向の外側を向く外側面116aは、ナット挿入口90の開口面と面一に配置されている。
架け渡し部117は、左右方向に沿って直線状に延在している。
【0050】
補助リブ102は、リブ81のうち、第1接続部110及び第1延長部115から左右方向の内側に向けて突出している。補助リブ102は、前後方向に間隔をあけて複数配設されている。なお、
図4に示すように、補助リブ102の下端面は、左右方向の内側に向かいに従い上方に延びる傾斜面に形成されている。補助リブ102における左右方向の内側端面は、上述した起立片33に左右方向の外側から近接又は当接している。すなわち、補助リブ102は、側部フレーム13に対して側方連結部70を左右方向に位置決めする機能も有する。
【0051】
図2に示すように、前側連結部71は、ナット保持部120と、リブ121と、を備えている。前側連結部71において、上述した側方連結部70と同様の構成については、適宜説明を省略する。
ナット保持部120は、上述したナット保持部80と同様に左右方向の外側に開口する箱型に形成されている。
【0052】
リブ121は、主支持部55から下方に突出している。具体的に、リブ121は、接続リブ125と、補助リブ126と、を備えている。
接続リブ125は、前後方向に間隔をあけた状態で左右方向に互いに平行に延在している。各接続リブ125は、隣り合うナット保持部120同士を左右方向で接続している。
【0053】
補助リブ126は、前後方向に延在するとともに、各接続リブ1257同士の間を接続している。補助リブ126は、左右方向に間隔をあけて複数配設されている。図示の例において、補助リブ126は、上述した前側リブ61と同一ピッチで配設されている。
【0054】
図6、
図7に示すように、上述した連結部52は、ナット82及びボルト140によって座支持部34に固定されている。以下の説明では、側方連結部70と側部フレーム13との固定部分を例にして説明する。
ナット82は、いわゆるTナットである。具体的に、ナット82は、上下方向に延びる筒部135と、筒部135の上端縁から張り出すフランジ部136と、を備えている。
【0055】
筒部135の下端部は、上述したボルト挿入口91内に保持されている。筒部135の内周面には、雌ねじ部が形成されている。筒部135は、ボルト挿入口91内において、上述した係止面96に左右方向の内側から係止可能(近接又は当接)に構成されている。これにより、ナット82は、ナット保持部80に対する左右方向の外側への移動が規制されている。なお、筒部135の下端面は、ボルト挿入口91の下端開口縁と同等若しくは上方に位置している。
【0056】
フランジ部136は、筒部135の上端部(ナット収容空間83内に位置する部分)から前後両側に張り出している。フランジ部136は、ナット保持部80の接続壁87に左右方向で近接又は当接している。これにより、ナット保持部80に対するナット82の回転が規制されている。
【0057】
ボルト140は、上述した取付孔36を通じてボルト挿入口91内に下方から挿入されている。ボルト140の軸部は、ボルト挿入口91内において、筒部135に螺着されている。これにより、座3が支持構造体4に固定されている。なお、ボルト140の頭部は、一部が膨出部35内に収容されている。
【0058】
<座3の組付方法>
座3を支持構造体4に組み付けるには、まずナット82をナット保持部80に組み付ける。具体的には、ナット82は、筒部135を連通口92に対向させ、かつフランジ部136をナット挿入口90に対向させた状態で、左右方向の外側からナット収容空間83に向けてナット82を押し込む。すると、ナット82は、筒部135が乗り越え面97に摺動しながら左右方向の内側に移動することで、規制部94が前後方向の外側に向けて弾性変形する。これにより、連通口92が押し広げられる。その後、筒部135が頂部95を乗り越えると、規制部94が復元変形する。これにより、筒部135の下端部がボルト挿入口91内に保持された状態で、ナット82(フランジ部136)がナット収容空間83内に収容される。なお、連通口92は、少なくとも頂部95での前後方向の開口幅が筒部135の外径よりも狭くなっていればよい。すなわち、連通口92における左右方向の外側開口部の開口幅は、筒部135の外径より広くても狭くてもよい。
【0059】
次に、座3を座支持部34上に載置する。この際、対応するナット保持部80(ボルト挿入口91)と取付孔36とが平面視で重なり合うように、座3を載置する。これにより、ナット保持部80やリブ81の下端面が取付片32の上面に上方から近接又は当接するとともに、起立片33の上端面が主支持部55の下面に下方から近接又は当接する。このとき、ナット保持部80の凹部89内に膨出部35が収容され、補助リブ102と起立片33とが左右方向で近接又は当接する。そのため、座3を支持構造体4に固定する前の状態において、支持構造体4に対する座3の前後方向及び左右方向の位置決めを行うことができる。
【0060】
続いて、取付孔36及びボルト挿入口91内に下方からボルト140を挿入することで、ボルト140を筒部135に螺着する。これにより、座3が支持構造体4に固定されている。
【0061】
このように、本実施形態では、ナット収容空間83を左右方向に開放させるナット挿入口90、及びナット収容空間83を下方に開放させるボルト挿入口91がナット保持部80に形成された構成とした。
この構成によれば、本実施形態のようなヌードシェルタイプの座3を採用した場合であっても、ナット保持部80の開口部が着座面53上に露出することがない。そのため、座3の見映えを向上させることができる。
ここで、本実施形態では、前後方向に隣り合うナット保持部80同士がリブ81(接続リブ100)により接続された構成とした。
この構成によれば、側方連結部70全体としての剛性を確保することができる。すなわち、着座荷重に起因して座3の外周部分に作用する荷重を側方連結部70の全体に分散させることができるので、ナット保持部80を介してナット82に、ボルト140から離間させる方向(上方)の荷重が局所的に作用するのを抑制できる。これにより、座3の中央部に主に作用する着座荷重によって座本体51の外周部分が上方に変位しようとしたとしても、ナット保持部80の歪み等を抑制できる。その結果、座3と支持構造体4との連結強度を確保できる。
【0062】
本実施形態では、接続リブ100が左右方向に間隔をあけて設けられた複数の接続部110,111を備える構成とした。
この構成によれば、側方連結部70全体としての剛性を向上させることができる。特に、前後方向を軸方向とする捩じり方向の剛性も確保することができるので、座3と支持構造体4との連結強度をより一層確保できる。
【0063】
本実施形態では、第2接続部111の外側面111aがナット挿入口90の開口面に沿って連なる構成とした。
この構成によれば、ナット保持部80のうち、ナット挿入口90周辺の剛性を確保することができる。そのため、ナット挿入口90の周辺を起点としてナット保持部80に歪み等が生じるのを抑制できる。
【0064】
本実施形態では、ナット保持部80(底壁88)に支持構造体4の膨出部35を収容する位置決め凹部89が形成された構成とした。
この構成によれば、座3を支持構造体4に固定する前の状態において、支持構造体4に対する座3の前後方向及び左右方向の位置決めを行うことができる。これにより、座3の組付性を向上させることができる。
【0065】
本実施形態の椅子1は、上述した座3を備えているため、意匠性及び耐久性に優れた信頼性の高い椅子1を提供することができる。
【0066】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、ヌードシェルタイプの背凭れ2及び座3を例にして説明したが、この構成に限られない。背凭れ2や座3は、クッション材を有する構成であってもよく、メッシュ等が張り渡された構成であってもよい。
上述した実施形態では、支持構造体4がパイプ等により枠状に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。支持構造体4は、例えば4本の脚柱が座3の各角部をそれぞれ支持する構成であってもよく、1本の脚柱の上端部から座支持部が張り出している構成等であってもよい。
上述した実施形態では、連結部が2つのナット保持部を有する構成について説明したが、この構成に限られない。ナット保持部は、3つ以上あってもよい。
【0067】
上述した実施形態では、本発明の一態様に係る連結部70として、ナット挿入口90が左右方向に開口し、接続リブ100が前後方向に延びる構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、ナット挿入口が前後方向に開口し、かつ接続リブが左右方向に延びる構成であってもよい。また、ナット収容空間83は、左右方向の両側に開口していてもよい。
上述した実施形態では、接続リブ100が2本の接続部110,111を有する構成について説明したが、この構成に限られない。接続リブ100は、1本であっても、3本以上の複数であってもよい。
上述した実施形態では、座3と支持構造体4との位置決めに位置決め凹部89や膨出部35等を用いた場合について説明したが、この構成に限られない。例えば、座3に膨出部を形成し、支持構造体4に位置決め凹部を形成してもよい。
【0068】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…椅子
3…座
4…支持構造体
10…脚体
51…座本体(支持板)
52…連結部
53…着座面(荷重支持面)
70…側方連結部(連結部)
80…ナット保持部
82…ナット
89…位置決め凹部(位置決め部)
90…ナット挿入口
91…ボルト挿入口
92…連通口
100…接続リブ(リブ)
111a…外側面(連続面)
140…ボルト