(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008709
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】タグ付き容器およびタグ付きプリフォーム
(51)【国際特許分類】
B65D 1/00 20060101AFI20240112BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20240112BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20240112BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20240112BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20240112BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B65D1/00 120
B65D1/02 210
B65D25/20 K
B65D23/00 Z
G06K19/07 230
G06K19/077 220
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110789
(22)【出願日】2022-07-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】594082648
【氏名又は名称】株式会社フロンティア
(71)【出願人】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】甘利 史哉
(72)【発明者】
【氏名】跡部 忠宣
(72)【発明者】
【氏名】谷口 忠壮
(72)【発明者】
【氏名】和田 聡
【テーマコード(参考)】
3E033
3E062
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA16
3E033BA17
3E033BA18
3E033BB01
3E033BB08
3E033DA10
3E033DE20
3E033FA02
3E033FA03
3E062AA09
3E062AB01
3E062AB02
3E062AC02
3E062BA07
3E062BB01
3E062BB02
3E062BB09
3E062DA08
(57)【要約】
【課題】積層構造の容器口部に適切な状態でタグが配置されたタグ付き容器、および当該タグ付き容器の製造に用いるタグ付きプリフォームを提供すること。
【解決手段】タグ付きプリフォーム100は、プリフォーム本体120の口部123の外周面に、別部品として製造した円筒体4が嵌め込み固定され、口部123と円筒体4との間にタグ6が配置される。タグ付きプリフォーム100の胴部122、底部121に二軸延伸ブロー成形を施すことで、タグ付き容器1が得られる。円筒体4とプリフォーム本体120の口部123は、二軸延伸ブロー成形されずにそのまま、タグ付き容器1の容器口部の外層側容器口部および内層側容器口部23として残る。インサート成形に頼ることなく、積層構造の容器口部の内外層の間にタグ6が配置されたタグ付き容器1が得られる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部が内層側容器口部および外層側容器口部を備えた積層構造をしているタグ付き容器の製造に用いるタグ付きプリフォームであって、
底部と、筒状の胴部と、筒状の口部とを備えた合成樹脂製のプリフォーム本体と、
前記口部の外周面に、プリフォーム上下方向から嵌め込み固定された合成樹脂製の筒体と、
前記口部の前記外周面と前記筒体の内周面との間に配置したタグと、
を有しており、
前記底部および前記胴部は、二軸延伸ブロー成形が施されて前記タグ付き容器の容器底部および容器胴部になる部位であり、
前記口部は二軸延伸ブロー成形が施されることなくそのまま前記内層側容器口部を形成する部位であり、前記筒体は二軸延伸ブロー成形が施されることなくそのまま前記外層側容器口部を形成する部位であるタグ付きプリフォーム。
【請求項2】
請求項1において、
前記口部の外周面には、第1外周面と、前記第1外周面の下側に位置し当該第1外周面よりも小径の第2外周面と、前記第2外周面の下側に位置し当該第2外周面よりも大径の第3外周面とが形成され、
前記第1、第2外周面の間には口部側下向き端面が形成され、前記第2、第3外周面の間には口部側上向き端面が形成されており、
前記筒体の前記内周面には、当該筒体の上端開口および下端開口の間に、第1内周面と、前記第1内周面の下側に位置し前記第2外周面に所定の間隔で対峙している第2内周面とが形成されており、
前記第1、第2内周面の間には、前記口部側下向き端面に下側から当接可能な筒体側上向き端面が形成され、前記第2内周面の下端には、前記口部側上向き端面に上側から当接可能な筒体側下向き端面が形成されており、
前記筒体は、前記筒体側上向き端面が前記口部側下向き端面に当接し、前記筒体側下向き端面が前記口部側上向き端面に当接して上下方向に位置決めされた状態で、前記口部側下向き端面と前記口部側上向き端面の間に嵌め込み固定されており、
前記タグは、前記口部の前記第2外周面と前記筒体の前記第2内周面との間に形成される隙間に配置されているタグ付きプリフォーム。
【請求項3】
請求項2において、
前記筒体の前記下端開口から、前記プリフォーム本体の前記口部を差込可能であり、
前記口部の前記第2内周面の上端部分には、上方に向けて半径方向の内方への突出量が漸増している内方突出部が形成されており、前記内方突出部の上端面が前記口部側上向き端面であり、
前記筒体の前記内方突出部を、前記第1外周面の上側から、当該第1外周面を乗り越えて、前記第2外周面の側に嵌め込み可能であり、
前記内方突出部が前記第2外周面の側に嵌め込まれて、当該内方突出部の上端の前記口部側上向き端面が下側から前記口部側下向き端面に当接しているタグ付きプリフォーム。
【請求項4】
請求項2において、
前記筒体の前記上端開口から、前記プリフォーム本体を前記底部の側から差し通して前記口部を前記筒体の内部に差込可能であり、
前記筒体の前記第2内周面の下端部分には、下方に向けて半径方向の内方への突出量が漸増している内方突出部が形成されており、当該内方突出部の下端面が前記筒体側下向き端面であり、
前記筒体の前記内方突出部を、前記第3外周面の下側から、当該第3外周面を乗り越えて、前記第2外周面の側に嵌め込み可能であり、
前記内方突出部が前記第2外周面の側に嵌め込まれて、当該内方突出部の前記口部側下向き端面が上側から前記口部側上向き端面に当接しているタグ付きプリフォーム。
【請求項5】
請求項2において、
前記口部に対する前記筒体の回転を阻止する回り止め部を備えているタグ付きプリフォーム。
【請求項6】
請求項3において、
前記口部に対する前記筒体の回転を阻止する回り止め部を備えており、
前記回り止め部は、
前記筒体に形成され、前記筒体側下向き端面に開口し、前記筒体を半径方向に貫通している係合溝と、
前記口部に形成され、前記口部側上向き端面から上方に突出し、前記係合溝に下側から嵌め込まれている係合突起と、
を備えており、
前記係合溝に嵌め込まれた前記係合突起の上面と、当該係合突起に上側から対峙する前記係合溝の溝内周面の間には、前記筒体の前記内方突出部の前記筒体側上向き端面と前記口部の前記口部側下向き端面との間の係合部分の係合を解除する力を加えることができるように、隙間が形成されており、
前記係合部分は、係合解除後は再係合できない状態になる偽造防止機能が備わっているタグ付きプリフォーム。
【請求項7】
請求項1において、
前記タグは、アンテナを含む回路パターンおよびICチップを備えた情報担持タグであり、
前記情報担持タグは、
前記口部の前記外周面あるいは前記筒体の前記内周面に貼付されたタグ、または、
前記外周面あるいは前記内周面に形成された前記回路パターンと、当該回路パターンに実装された前記ICチップとを備えたタグであるタグ付きプリフォーム。
【請求項8】
請求項1において、
前記口部の前記外周面と前記筒体の前記内周面との間には、前記タグが配置されるタグ配置用隙間が形成されており、
前記タグ配置用隙間の寸法は、0.1mm~5mmであるタグ付きプリフォーム。
【請求項9】
請求項1において、
前記口部の上端面と前記筒体の上端面との間の接合面をシールするシール用の栓を備えているタグ付きプリフォーム。
【請求項10】
請求項1に記載のタグ付きプリフォームを二軸延伸ブロー成形して製造されるタグ付き容器であって、
容器底部、筒状の容器胴部、および筒状の容器口部を備え、
前記容器口部は、内層側容器口部および外層側容器口部を備えた積層構造をしており、
前記容器底部および前記容器胴部は、前記プリフォーム本体の前記底部および前記胴部を二軸延伸ブロー成形して得られた部位であり、
前記内層側容器口部は、前記プリフォームの前記口部が、二軸延伸ブロー成形が施されずに、そのまま残っている部位であり、
前記外層側容器口部は、前記筒体が、二軸延伸ブロー成形が施されずに、そのまま残っている部位であり、
前記タグは、前記内層側容器口部と前記外層側容器口部の間に配置されているタグ付き容器。
【請求項11】
請求項10において、
前記内層側容器口部の外周面には、第1外周面と、前記第1外周面の下側に位置し当該第1外周面よりも小径の第2外周面と、前記第2外周面の下側に位置し当該第2外周面よりも大径の第3外周面とが形成され、
前記第1、第2外周面の間には口部側下向き端面が形成され、前記第2、第3外周面の間には口部側上向き端面が形成されており、
前記筒体の前記内周面には、当該筒体の上端開口および下端開口の間に、第1内周面と、前記第1内周面の下側に位置し前記第2外周面に所定の間隔で対峙している第2内周面とが形成されており、
前記第1、第2内周面の間には、前記口部側下向き端面に下側から当接可能な筒体側上向き端面が形成され、前記第2内周面の下端には、前記口部側上向き端面に上側から当接可能な筒体側下向き端面が形成されており、
前記筒体は、前記筒体側上向き端面が前記口部側下向き端面に当接し、前記筒体側下向き端面が前記口部側上向き端面に当接して上下方向に位置決めされた状態で、前記口部側下向き端面と前記口部側上向き端面の間に嵌め込み固定されており、
前記タグは、前記内層側容器口部の前記第2外周面と前記筒体の前記第2内周面との間に形成される隙間に配置されているタグ付き容器。
【請求項12】
請求項11において、
前記容器口部の前記第2内周面の上端部分には、上方に向けて半径方向の内方への突出量が漸増している内方突出部が形成されており、前記内方突出部の上端面が前記口部側上向き端面であり、
前記筒体の前記内方突出部を、前記第1外周面の上側から、当該第1外周面を乗り越えて、前記第2外周面の側に嵌め込み可能であり、
前記内方突出部が前記第2外周面の側に嵌め込まれて、当該内方突出部の上端の前記口部側上向き端面が下側から前記口部側下向き端面に当接しているタグ付き容器。
【請求項13】
請求項11において、
前記筒体の前記第2内周面の下端部分には、下方に向けて半径方向の内方への突出量が漸増している内方突出部が形成されており、当該内方突出部の下端面が前記筒体側下向き端面であり、
前記筒体の前記内方突出部を、前記第3外周面の下側から、当該第3外周面を乗り越えて、前記第2外周面の側に嵌め込み可能であり、
前記内方突出部が前記第2外周面の側に嵌め込まれて、当該内方突出部の前記口部側下向き端面が上側から前記口部側上向き端面に当接しているタグ付き容器。
【請求項14】
請求項11において、
前記内層側容器口部に対する前記筒体の回転を阻止する回り止め部を備えているタグ付き容器。
【請求項15】
請求項12において、
前記内層側容器口部に対する前記筒体の回転を阻止する回り止め部を備えており、
前記回り止め部は、
前記筒体に形成され、前記筒体側下向き端面に開口し、前記筒体を半径方向に貫通している係合溝と、
前記内層側容器口部に形成され、前記口部側上向き端面から上方に突出し、前記係合溝に下側から嵌め込まれている係合突起と、
を備えており、
前記係合溝に嵌め込まれた前記係合突起の上面と、当該係合突起に上側から対峙する前記係合溝の溝内周面の間には、前記筒体の前記内方突出部の前記筒体側上向き端面と前記容器口部の前記口部側下向き端面との間の係合部分の係合を解除する力を加えることができるように、隙間が形成されており、
前記係合部分は、係合解除後は再係合できない状態になる偽造防止機能が備わっているタグ付き容器。
【請求項16】
請求項10において、
前記タグは、アンテナを含む回路パターンおよびICチップを備えた情報担持タグであり、
前記情報担持タグは、
前記外周面あるいは前記内周面に貼付されたタグ、または、
前記外周面あるいは前記内周面に形成された前記回路パターンと、当該回路パターンに実装された前記ICチップとを備えたタグであるタグ付き容器。
【請求項17】
請求項10において、
前記内層側容器口部の前記外周面と前記筒体の前記内周面との間には、前記タグが配置されるタグ配置用隙間が形成されており、
前記タグ配置用隙間の寸法は、0.1mm~5mmであるタグ付き容器。
【請求項18】
請求項10において、
前記内層側容器口部の上端面と前記筒体の上端面との間の接合面をシールするシール用の栓を備えているタグ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器口部が外層側容器口部および内層側容器口部を備えた積層構造をしている合成樹脂製のタグ付き容器、および当該タグ付き容器の製造に用いるタグ付きプリフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料その他の液体等が充填される底付きの筒状の容器として、積層構造からなる合成樹脂製の容器が知られている。例えば、熱可塑性樹脂の射出成形品である外層用プリフォームに、同じく熱可塑性樹脂の射出成形品である内層用プリフォームを同軸に装着した状態で二軸延伸ブロー成形を施すことで、内外層が一体化された積層構造の容器が得られる。また、積層構造の容器として、その内外層の間に、加飾タグ、ICタグ等の情報担持タグ、その他のタグが挿入されたタグ付き容器が知られている。
【0003】
本発明者等は、特許文献1において、同軸に組み合わせた内層用プリフォームおよび外層用プリフォームを二軸延伸ブロー成形して得られる積層構造の容器において、二軸延伸ブロー成形が施されない容器口部における内外層間にタグを配置することを提案している。RFIDを使用したタギングは商品のトレーサビリティ、ブランドプロテクション(真贋性)、キャッシング、合理化で今後期待されている。また、クラウドサーバーでデーターを管理可能である。
【0004】
一方、このような二層あるいは多層の積層構造を備えた容器として、容器口部のみを二層あるいは多層の積層構造にして、容器口部に必要とされる耐久性、強度等を付与し、それ以外の容器胴部、容器底部の部分を単層のままとした容器が知られている。特許文献2~10には、このような容器が提案されている。これらの特許文献に記載されているように、従来においては、合成樹脂製の容器の口部を二層構造にするために、容器の口部内層部あるいは口部外層部を形成するための円筒状のピースを射出成形型にインサートして、プリフォームを射出成形することで、円筒状のピースをプリフォーム口部に一体化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6857375号公報
【特許文献2】実開昭58-177331号公報
【特許文献3】実開昭58-177332号公報
【特許文献4】実開昭58-177333号公報
【特許文献5】実公昭52-24197号公報
【特許文献6】特開平05-285943号公報
【特許文献7】特公平06-88318号公報
【特許文献8】特公平07-33054号公報
【特許文献9】特公昭60-17693号公報
【特許文献10】特開昭57-175553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2~8に記載の容器においては、二軸延伸ブロー成形用の有底プリフォームの射出成形前に、筒状ピースを当該金型にインサートし、射出成形により一体化させている。
容器口部に要求される特性を備える樹脂材料を使用し、筒状ピースとプリフォーム射出成形材料を、その接触領域で接着により一体化させている。
筒状ピースに回り止めを目的とした突起や、筒状ピースの内面から外面に対して射出成形用樹脂を導入するための貫通穴をあける等、筒状ピースを成形する射出成形金型が複雑となり、金型のエアー抜き不足でショートショット(充填不足による形状不良)になるという課題がある。
また、スクリューキャップ等が装着可能なスクリュー形状をした筒状ピースを射出成形型にインサートする場合には、射出成形型の形状が、筒状ピースを位置決めできるように複雑な構造となり、サイクルタイムの律速となる。
【0007】
特許文献9、10に記載の容器においては、容器口部に機械的強度を付与するために、容器胴部を形成するピースと、これとは異なる材質の合成樹脂あるいは金属製の螺子部材とをインサート成形により一体化させ、二軸延伸ブロー成形を行っている。
螺子部材を周方向に係止させた状態で、これらの部材を装着することで、空転不能に固定しているが、上下方向の固定がされていないので、これらの間に隙間ができるなどの課題がある。
【0008】
ここで、二層あるいは多層の積層構造の容器として、容器口部のみを二層あるいは多層の積層構造として必要とされる耐久性、強度が付与されたものにおいても、加飾ラベル、RFIDタグ、ICタグ、その他のタグを配置することが考えられる。この場合、容器口部の積層構造は、上記のように、プリフォームの射出成形を、容器口部の外層部を形成する筒状ピースを射出成形金型にインサートした状態で行うことで実現している。積層構造の容器口部を備えた容器を製造するためのプリフォームを、インサート成形によって製造する場合、射出成形時に高圧、高熱が作用する容器口部の層間にタグを配置することが困難である。また、上記のように、インサート成形によって積層構造の口部を備えたプリフォームを製造する場合には、射出成形金型の複雑化などの点において改善すべき課題がある。
【0009】
本発明の主目的は、このような点に鑑みて、インサート成形によらずに、積層構造の口部における内外層の間に適切な状態でタグが配置されたタグ付きプリフォーム、および、当該タグ付きプリフォームを二軸延伸ブロー成形して得られるタグ付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、容器口部が内層側容器口部および外層側容器口部を備えた積層構造をしているタグ付き容器の製造に用いるタグ付きプリフォームであって、
底部と、筒状の胴部と、筒状の口部とを備えた合成樹脂製のプリフォーム本体と、
前記口部の外周面に、プリフォーム上下方向から嵌め込み固定された合成樹脂製の筒体と、
前記口部の前記外周面と前記筒体の内周面との間に配置したタグと、
を有しており、
前記底部および前記胴部は、二軸延伸ブロー成形が施されて前記タグ付き容器の容器底部および容器胴部になる部位であり、
前記口部は二軸延伸ブロー成形が施されることなくそのまま前記内層側容器口部を形成する部位であり、前記筒体は二軸延伸ブロー成形が施されることなくそのまま前記外層側容器口部を形成する部位であることを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、上記構成のタグ付きプリフォームを二軸延伸ブロー成形して製造されるタグ付き容器であって、
容器底部、筒状の容器胴部、および筒状の容器口部を備え、
前記容器口部は、内層側容器口部および外層側容器口部を備えた積層構造をしており、
前記容器底部および前記容器胴部は、前記プリフォーム本体の前記底部および前記胴部を二軸延伸ブロー成形して得られた部位であり、
前記内層側容器口部は、前記プリフォーム本体の前記口部が、二軸延伸ブロー成形が施されずに、そのまま残っている部位であり、
前記外層側容器口部は、前記筒体が、二軸延伸ブロー成形が施されずに、そのまま残っている部位であり、
前記タグは、前記内層側容器口部と前記外層側容器口部の間に配置されていることを特徴としている。
【0012】
本発明のタグ付きプリフォームにおいては、プリフォーム本体の口部の外周面に、別部品として製造した筒体が嵌め込み固定され、口部と筒体の間にタグが配置されている。この構成のタグ付きプリフォームの胴部および底部に二軸延伸ブロー成形を施すことで、タグ付き容器が得られる。筒体とプリフォーム本体の口部は二軸延伸ブロー成形されずにそのまま容器口部の外層部および内層部として残る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、インサート成形に頼ることなく、積層構造の容器口部の内外層の間にタグが配置された構成のタグ付き容器を得ることができる。得られたタグ付き容器においては、射出成形時、二軸延伸ブロー成形時の高温・高圧に起因する損傷、位置ずれ等の弊害が発生することなく、タグが適切な状態で積層構造の容器口部に配置された状態を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(A)はタグ付き容器の側面図であり、(B)はその平面図、(C)はその容器口部の部分縦断面図、(D)は容器口部の拡大部分断面図である。
【
図2】(A)はタグ付き容器の製造に用いるタグ付きプリフォームの側面図、(B)はその縦断面図である。
【
図4】(A)は円筒体の側面図、(B)はその下面図、(C)はその縦断面図である。
【
図5】タグ付き容器の製造手順の概要を示す説明図である。
【
図6】(A)は本発明の実施の形態2に係るタグ付き容器の側面図、(B)はその縦断面図、(C)はその口部天面を示す上面図、(D)はその口部を示す拡大部分断面図である。
【
図7】(A)は
図6のタグ付き容器の製造に用いるタグ付きプリフォームの側面図、(B)はその縦断面図である。
【
図8】
図6のタグ付き容器の製造手順の概要を示す説明図である。
【
図9】(A)は天面シール用の栓を付けたタグ付き容器の一例を示す側面図、(B)はその縦断面図、(C)は天面シール用の栓の縦断面図である。
【
図10】天面シール用の栓を付けたタグ付き容器の別の例を示す部分半縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るタグ付き容器、タグ付き容器の製造に用いるタグ付きプリフォーム、タグ付き容器の製造手順を説明する。
【0016】
[実施の形態1]
(タグ付き容器)
図1(A)はタグ付き容器の側面図であり、
図1(B)はその口部上端面を示す上面図、
図1(C)はその容器口部の1C-1C´線で切断した部分を示す部分縦断面図、
図1(D)は容器口部の部分Dの拡大部分断面図である。タグ付き容器1は、内層側容器口部および外層側容器口部からなる積層構造の容器口部にタグが配置されており、ボトル形状をした合成樹脂製の容器本体2と、外層側容器口部形成用の合成樹脂製の筒体、本例では円筒体4と、タグ6とから構成されている。タグ付き容器1は、後述のように、プリフォーム本体(
図3参照)、円筒体4(
図4参照)およびタグ6から構成されるタグ付きプリフォーム100(
図2参照)を二軸延伸ブロー成形して得られる。本例では、容器本体2は単層構造であるが、2層あるいは多層の積層構造とすることも場合によっては可能である。
【0017】
容器本体2および円筒体4は熱可塑性樹脂素材から形成されている。熱可塑性樹脂素材として、PET(結晶性、非晶性、変性PET含む)、PEF、PP、PEN、TPX、非晶性ポリアミド合成樹脂、PC、コポリエステル樹脂、植物由来樹脂、生分解性樹脂、前記樹脂の再生樹脂、ブレンド樹脂を用いることができる。また、円筒体4の素材として熱硬化性樹脂を用いることもできる。容器本体2および円筒体4は、同一種類の樹脂、または、異種の樹脂で形成することが可能である。
【0018】
タグ付き容器1の容器本体2は二軸延伸ブロー成形品であり、
図1(A)、(C)に示すように、容器底部21と、円筒状の容器胴部22と、この容器胴部22の上端に形成された細い円筒状の内層側容器口部23とを備えている。容器底部21および容器胴部22は、二軸延伸ブロー成形が施された部位であり、内層側容器口部23は二軸延伸ブロー成形が施されていない部位である。内層側容器口部23は、その上端に円環状の内層側口部フランジ24が形成されており、内層側口部フランジ24の下端には、内層側口部円筒部25が同軸に形成されており、内層側口部円筒部25の下側には、大径のサポートリング26が同軸に形成されている。サポートリング26の下側部分に容器胴部22の上端部分が繋がっている。
【0019】
内層側容器口部23の内周面23bは上下方向において一定の内径である。
図1(D)に示すように、内層側容器口部23の外周面には、上側から、内層側口部フランジ24の外周面である第1外周面24a、内層側口部円筒部25の外周面である第2外周面25a、サポートリング26の外周面である第3外周面26aが形成されている。第2外周面25aは、その下端部分を除き、第1外周面24aよりも小径の外周面部分25bとなっており、下端部分は第1外周面24aと同一外径の外周面部分25cとなっている。また、外周面部分25bには、タグ装着用の凹部25dが形成されている。第1外周面24aと第2外周面25aの上端側の外周面部分25bとの間には、円環状の口部側下向き端面24bが形成されており、第2外周面25aの下端側の外周面部分25cと下側の第3外周面26aの間には、円環状の口部側上向き端面26bが形成されている。
【0020】
外層側容器口部を形成している円筒体4を
図4に示してある。
図4(A)、(B)および(C)は、それぞれ、円筒体4の側面図、下面図および4C-4C´線で切断した部分の縦断面図である。
図1、
図4に示すように、円筒体4の外周面41には、スクリューキャップ(図示せず)装着用の雄ネジ41aが形成されている。円筒体4の内周面42において、その上側開口端面43(円筒体天面)に連続した部分が第1内周面44となっており、その下側から下側開口端面46までの間の部分が、第1内周面44と同一内径の第2内周面45となっている。第2内周面45の上端部分には、内方突出部47が形成されている。第1内周面44には、内層側容器口部23の第1外周面24aが同軸に嵌め込まれており、第2内周面45は、内層側容器口部23の第2外周面25aに対して、その下端部分を除き、所定の隙間を介して対峙している。この円筒体4の第2内周面45と、内層側容器口部の第2外周面25aの凹部25dとの間がタグ配置用隙間7であり、ここに、タグ6が配置されている。
【0021】
内方突出部47は、第2内周面45の上端部分において、円周方向に等角度間隔で複数箇所に形成されている。本例では、
図4(B)から分かるように、90°間隔で4か所に形成されている。各内方突出部47は、円周方向に一定幅であり、上方に向けて半径方向の内方への突出量が漸増しているテーパー状円弧面47aを備えている。内方突出部47の上端面は、内層側容器口部23の口部側下向き端面24bに対して下側から当接している一定幅の円弧形状をした筒体側上向き端面47bとなっている。また、円筒体4の下側開口端面46は筒体側下向き端面であり、内層側容器口部23のサポートリング26の上面側の口部側上向き端面26bに対して上方から当接している。
【0022】
円筒体4は、内層側容器口部23における円環状の口部側下向き端面24bと円環状の口部側上向き端面26bとの間に嵌め込み固定された状態となっている。円筒体4は、口部側下向き端面24bおよび口部側上向き端面26bに上下方向から当接することで、上下方向に位置決めされた状態で内層側容器口部23に取り付けられており、内層側容器口部23に対する円筒体4の上下方向の抜けも防止される。
【0023】
円筒体4と内層側容器口部23との間には、内層側容器口部23に対する円筒体4の回転を阻止する回り止め部が配置されている。回り止め部は、円筒体4の側に形成された係合溝48と、内層側容器口部23の側に形成された係合突起28とを備えている。係合溝48は、円筒体4の下側開口端面46に開口し、当該円筒体4を半径方向に貫通する矩形輪郭の溝である。本例では、
図4から分かるように、円周方向に180°離れた2箇所に係合溝48が形成されている。また、係合溝48は、円周方向において、180°の角度間隔の位置にある2箇所の内方突出部47に対応した位置に形成されている。
【0024】
内層側容器口部23の側の係合突起28は、円筒体4の下側開口端面46が当接しているサポートリング26の上面側の口部側上向き端面26bから上方に突出しており、係合溝48に対して下側から嵌め込み可能な幅寸法の直方体形状をしている。係合突起28は、係合溝48に対応して、円周方向に180°の角度間隔で2箇所に配置されている。また、係合溝48に係合突起28が嵌め込まれた状態において、
図1(D)に示すように、係合突起28の上面と、当該係合突起28に上側から対峙する係合溝48の溝底面との間には、上下方向に所定幅の隙間Gが形成される。
【0025】
円筒体4を内層側容器口部23に取り付けた状態においては、円筒体4の係合溝48に、内層側容器口部23の係合突起28が下側から嵌り込む。係合溝48に対して係合突起28が円周方向において係合した状態になるので、円筒体4の円周方向の位置ずれが防止される。また、隙間Gを上下方向に押し広げる力を加えて、円筒体4を内層側容器口部23に対して上方に強制的に押し上げると、内方突出部47(筒体側上向き端面47b)と口部側下向き端面24bとの間の係合部分を塑性変形させ、あるいは破損させることができ、これにより、円筒体4を内層側容器口部23から上方に取り外すことが可能となっている。
【0026】
タグ6は、先に述べたように、円筒体4の第2内周面45と、内層側容器口部の第2外周面25aの凹部25dとの間に形成されるタグ配置用隙間7に収容されている。二軸延伸ブロー成形を施す際や、充填、キャッピング、流通の際に掛かる外力によって円筒体4、内層側容器口部23の部分に撓みが生じた場合でも、タグ6の損傷などを防止できる寸法が必要である。このためには、タグ配置用隙間7の隙間寸法を、0.1mm~5mmに設定しておくことが望ましい。タグ6は、例えば、矩形輪郭をしたシート状のRFIDタグである。RFIDタグは、フレキシブルプリント配線基板に、メモリチップ、銅箔などの導電性材料から形成されるアンテナパターン等が実装された構成となっている。
【0027】
タグ6は、内層側容器口部23の第2外周面25aに形成された凹部25dに貼り付けられている。タグ6を、外層側容器口部を規定している円筒体4の第2内周面45に貼り付けてもよい。また、内層側容器口部23の第2外周面25aに、アンテナパターン等の配線を直接に印刷等の手段によって形成し、その上に、メモリチップ等を実装することも可能である。
【0028】
なお、容器本体2において、二軸延伸ブロー成形が施されない内層側容器口部23と、二軸延伸ブロー成形が施される容器胴部22の上端との境界は明確に規定されるものではない。内層側容器口部23のサポートリング26の下面部分から容器胴部22に向かうに連れて、延伸倍率が徐々に増加する状態で延伸ブロー成形が施されている。一般に、延伸ブロー成形が施されていない内層側容器口部23は、容器本体2の口部天面からサポートリング26の下面近傍の部位までを意味する。
【0029】
(タグ付きプリフォームの例)
図2(A)はタグ付き容器1の製造に用いるタグ付きプリフォームを示す側面図、
図2(B)はその2B-2B´線で切断した部分の縦断面図である。
図3はプリフォーム本体を示す縦断面図である。
図2、
図3および
図4を参照してタグ付きプリフォーム100について説明する。
【0030】
タグ付きプリフォーム100、熱可塑性樹脂の射出成形品であるプリフォーム本体120と、熱可塑性樹脂の射出成形品である円筒体4と、タグ6とを備えている。プリフォーム本体120は、底部121と、円筒状の胴部122と、この胴部122の上端に形成された円筒状の口部123とを備えている。プリフォーム本体120は二軸延伸ブロー成形が施されて、タグ付き容器1の容器本体2に成形される。具体的には、プリフォーム本体120の底部121および胴部122は、二軸延伸ブロー成形が施されて、容器本体2の容器底部21および容器胴部22になる部位である。これに対して、プリフォーム本体120の口部123は、二軸延伸ブロー成形が施されることなくそのまま、容器本体2の容器口部の内層側容器口部23になる部位であり、口部123は内層側容器口部23と同一構造である。また、円筒体4も、二軸延伸ブロー成形が施されることなく、そのまま、容器口部の外層側容器口部になる部位である。
【0031】
図2、
図3においては、プリフォーム本体120の口部123における容器本体2の内層側容器口部23の各部に対応する部位には、同一の符号を付してある。円筒体4は、プリフォーム本体120の口部123の外周面に、プリフォーム上下方向、本例では上側から嵌め込み固定されており、口部123の外周面と円筒体4の内周面との間にタグ6が配置されている。すなわち、プリフォーム本体120の口部123の第2外周面25aと、円筒体4の内周面42との間にタグ配置用隙間7が形成されており、ここに、タグ6が第2外周面25aに貼り付けられた状態で配置されている。
【0032】
円筒体4は、その上端側に位置する4つの内方突出部47の筒体側上向き端面47bが下側から内層側容器口部23の口部側下向き端面24bに当接し、その下側開口端面46が上側から内層側容器口部23のサポートリング26の口部側上向き端面26bに当接している。これにより、円筒体4は、内層側容器口部23における口部側下向き端面24bと口部側上向き端面26bとの間に、嵌め込み固定された状態となっている。また、円筒体4を内層側容器口部23に取り付けた状態においては、円筒体4の係合溝48に、内層側容器口部23の係合突起28が嵌り込む。係合溝48に対して係合突起28が円周方向において係合した状態になるので、円筒体4の円周方向の位置ずれが防止される。
【0033】
(タグ付き容器の製造手順の例)
図5はタグ付き容器1の製造手順の概要を示す説明図である。熱可塑性樹脂素材を用いて射出成形によりプリフォーム本体120を用意する。これとは別個に、熱可塑性樹脂素材から射出成形により、外層側容器口部となる円筒体4を製造する。また、タグ6を用意する(ステップST1)。プリフォーム本体120の口部123の第2外周面25aの凹部25dに、タグ6を位置決めして接着剤により貼り付ける(ステップST2)。
【0034】
次に、円筒体4をプリフォーム本体120に取り付ける(ステップST3)。円筒体4に対して、双方の回り止め部である係合溝48および係合突起28が一致するように円周方向に位置決めし、この状態で、円筒体4に対してその下端開口の側から、プリフォーム本体120の口部123を同軸状態で挿入する。円筒体4の内径寸法は、内方突出部47の部分を除き、プリフォーム本体120の口部123を挿入可能な大きさに設定されている。円筒体4は、プリフォーム本体120の口部123が円筒体4の内方突出部47のテーパー状円弧面47aに当たるまでは速やかに移動する。テーパー状円弧面47aは、上方に向かって半径方向の内方に徐々に迫り出して、口部外径よりも小さな内周面を規定している。円筒体4の内方突出部47を口部123の内層側口部フランジ24の第1外周面24aに沿って強制的に押し込む。これにより、円筒体4の内方突出部47が、プリフォーム本体120の内層側口部フランジ24を乗り超えて、その下側に嵌り込む。同時に、円筒体4の下側開口端面46がプリフォーム本体120の口部側上向き端面26bに上側から当接した状態になる。また、円筒体4の回り止め用の係合溝48にプリフォーム本体120の側の回り止め用の係合突起28が下側から嵌り込む。この結果、円筒体4は、上下方向および円周方向に位置決めされた状態で、口部123の第2外周面25aに嵌め込み固定され、内外層の間にタグ6が配置された2層構造の口部を備えたタグ付きプリフォーム100が得られる。
【0035】
次に、タグ付きプリフォーム100を二軸延伸ブロー成形に適した温度に加熱し、加熱後のタグ付きプリフォーム100をブロー成形型(図示せず)に入れて型締めを行い、二軸延伸ブロー成形を施す(ステップST4)。
【0036】
この場合、タグ付きプリフォーム100の口部123および円筒体4を除く部分を、外側からヒーター等で加熱する。例えば、タグ付きプリフォーム100の口部123、円筒体4は遮蔽板等によって覆い隠すことで熱が遮断される。これらの部位の間に配置されているタグ6は、高温に晒されて熱変形等の損傷を受けることがない。タグ付きプリフォーム100では、胴部122および底部121は単層構造の部位であるので、二層あるいは多層構造のプリフォームを加熱する場合とは異なり、底部121、胴部122の各部が均一に加熱され、ブロー成形に適した温度状態が効率良く形成される。加熱後のタグ付きプリフォーム100を、ブロー成形金型(図示せず)に入れて型閉めを行い、二軸延伸ブロー成形を施す。これにより、タグ付きプリフォーム100がタグ付き容器1に成形される。
【0037】
タグ付き容器1において、その容器底部21および容器胴部22は、タグ付きプリフォーム100の底部121および胴部122を2軸延伸ブロー成形することによって形成された部分である。円筒体4が取り付けられた内層側容器口部23は、タグ付きプリフォーム100の円筒体4および口部123がそのままの状態で残っている部位である。すなわち、タグ付きプリフォーム100の円筒体4、口部123は、不図示のブロー成形金型の部位によって把持される部分であり、延伸ブロー成形が施されることなくそのままの形状で残る。よって、円筒体4と口部123の間に配置されているタグ6は、高圧エアーに晒されることがなく、また、延伸されることもない。よって、ブロー成形工程において、タグ6に破損、断線等の弊害が生じることがない。ブロー成形後、タグ付き容器1は、ブロー成形金型から取り出されて所定の場所に回収される。
【0038】
なお、タグ付き容器1において、円筒体4と内層側容器口部23の結合強度を高めるためには、これらの間に接着剤または粘着剤を塗布しておけばよい。例えば、円筒体取付け工程(ステップST3)の前に、プリフォーム本体120の外周面に接着剤、粘着剤等の薬剤を塗布する塗布工程を行う。
【0039】
(実施の形態1の作用効果)
上記のように構成されたタグ付き容器1は、例えば、飲料、化粧品、薬液等の内容物が充填されキャップされた状態で提供される。内層側容器口部23と外層側容器口部である円筒体4とによって構成される積層構造(本例は2層構造)の容器口部の内部に配置されているタグ6に、内容物に関する情報、取り扱い履歴などの各種情報を担持させることができる。担持情報は、外部から、無線通信により読み出して確認することができる。また、書き換え可能なRFIDタグを用いれば、必要に応じて、担持情報の更新、書き換えを行うことができる。担持情報の書き換えを禁止するためのロック機能を利用することで、担持情報のセキュリティが担保される。
【0040】
タグ6は、二軸延伸ブロー成形が施されない内層側容器口部23および円筒体4の間に配置されている。インサート成形によって円筒体4が一体化されて積層構造の容器口部が形成されている場合とは異なり、射出成形時の高温・高圧に起因する損傷、位置ずれ等の弊害が発生することなく、タグ6が適切な状態で積層構造の容器口部の層間に配置された状態となっている。また、タグ6が容器胴部22あるいは容器底部21に配置されている場合とは異なり、二軸延伸ブロー成形のための高熱、高圧、延伸に晒されることがないので、これらに起因する破損、変形、位置ずれなどの弊害が発生しない。よって、タグ6が適切な状態で容器口部の層間に配置されたタグ付き容器1を得ることができる。
【0041】
また、容器外周表面に、RFIDタグなどの情報担持タグが配置されている場合には、悪戯、改ざん等が行われやすいという問題があるが、本例のタグ付き容器1では、タグ6が2層構造の容器口部の層間(外層側容器口部である円筒体4と内層側容器口部23との間)に配置されているので、悪戯、改ざん等が行われ難い。さらに、2層構造の容器口部は、単層構造の容器胴部22、容器底部21に比べて剛性、強度が高く変形しにくいので、容器口部が大きく変形してタグ6が破損するおそれも殆どない。これに加えて、2層構造の容器口部は、キャップ(図示せず)を装着することで覆われて保護および補強されるので、容器口部の内部に配置されているタグ6の安全性が担保される。
【0042】
さらに、本例では、円筒体4を内層側容器口部23から分解可能である。内層側容器口部23の回り止め用の係合突起28と、円筒体4の回り止め用の係合溝48の溝底面との間には、上下方向に所定幅の隙間Gが形成されている。例えば、この隙間Gに工具を差し込み、隙間Gを上下方向に押し広げることで、円筒体4を強制的に上方に押し出す。円筒体4の上端側に形成されている内方突出部47および内層側容器口部23の口部側下向き端面24bを変形させて、これらの間の係合部分の係合を強制的に解除する。これにより、円筒体4が内層側容器口部23から外れ、円筒体4を上方に抜き取ることができる。内方突出部47、口部側下向き端面24bに、強制的に変形させて係合を解除させるような大きな力が作用すると、これらの部位が塑性変形し、あるいは破損して、内方突出部47の筒体側上向き端面47bを口部側下向き端面24bに再係合できず、したがって、円筒体4を再嵌め込みできないようになっている。このように、内方突出部47の筒体側上向き端面47bと口部側下向き端面24bの係合部分に、係合解除後は再係合できない状態になる偽造防止機能を持たせることが可能である。
【0043】
円筒体4を、タグ6を貼り付けた内層側容器口部23から分離し、円筒体4を外した後の内層側容器口部23の外周面からタグ6を取り外すことにより、円筒体4、内層側容器口部23を備えた容器本体2、タグ6を、それぞれ分別回収できるので、これらの素材の再利用等に有利である。
【0044】
なお、円筒体4を取り外す際に利用する隙間Gは、一般に、ペットボトル飲料に代表される、口頚ネジ部に螺合されるピルファープルーフキャップ(PPキャップ)本体と、該キャップ本体のスカート部の下端に破断ブリッジを介して連結されるリング状のTEバンド(タッパーエビデンスバンド)で覆い隠されて保護された状態になる。開栓すると、キャップ下部のミシン目が切断されて開栓されたことが分かる。また、隙間Gは、キャップの開栓前後で常にTEバンドで保護されているため、「いたずら防止」も担保される。
【0045】
[実施の形態2]
次に、本発明を適用した実施の形態2に係るタグ付き容器、タグ付き容器の製造に用いるタグ付きプリフォーム、タグ付き容器の製造手順を説明する。
【0046】
(タグ付き容器)
図6(A)はタグ付き容器の側面図であり、
図6(B)はその縦断面図、
図6(C)はその口部天面を示す上面図、
図6(D)はその口部を示す拡大部分断面図である。タグ付き容器200は、実施の形態1の場合と同様に、内層側容器口部および外層側容器口部からなる積層構造の容器口部にタグが配置されており、ボトル形状をした容器本体220と、外層側容器口部形成用の円筒体240と、タグ260とから構成されている。容器本体220および円筒体240は熱可塑性樹脂素材から形成されており、実施の形態1の場合と同様な熱可塑性樹脂素材を用いることができる。
【0047】
容器本体220は二軸延伸ブロー成形品であり、容器底部221と、円筒状の容器胴部222と、この容器胴部222の上端に形成された細い円筒状の内層側容器口部223とを備えている。容器底部221および容器胴部222は、二軸延伸ブロー成形が施された部位であり、内層側容器口部223は二軸延伸ブロー成形が施されていない部位である。
【0048】
内層側容器口部223の外周面には、
図6(D)に示すように、その上端側から、第1外周面224と、第1外周面224の下側に位置し当該第1外周面224よりも小径の第2外周面225と、第2外周面225の下側に位置し当該第2外周面225よりも大径の第3外周面226とが形成されている。第3外周面226の下端は容器胴部222の外周面に繋がっている。第1、第2外周面224、225の間には、円環状の口部側下向き端面227が形成され、第2、第3外周面225、226の間には、円環状の口部側上向き端面228が形成されている。
【0049】
円筒体240は、下端部に大径のサポートリング250が一体形成されている。円筒体240の内周面には、その上側開口端面241から下側開口端面242に向けて、第1内周面243、この第1内周面243の下側に位置し当該第1内周面243よりも小径の第2内周面244、この第2内周面244の下側の位置し当該第2内周面244よりも大径の第3内周面245が形成されている。第1、第2内周面243、244の間には、円環状の筒体側上向き端面246が形成され、第2、第3内周面244、245の間には、円環状の筒体側下向き端面247が形成されている。円筒体240の外周面には、スクリューキャップ(図示せず)装着用の雄ネジ248が形成されている。
【0050】
ここで、円筒体240の第2内周面244の下端部分には、下方に向けて半径方向の内方への突出量が漸増しているテーパー状内周面249aを備えた内方突出部249が形成されている。この内方突出部249の下端面が、筒体側下向き端面247となっている。また、内層側容器口部223の下端側の第3外周面226は、本例では、下方に向けて半径方向の内方に徐々に後退しているテーパー状外周面となっている。
【0051】
円筒体240を内層側容器口部223に取り付けた状態においては、円筒体240の筒体側上向き端面246が下側から内層側容器口部223の口部側下向き端面227に係合(当接)する。また、円筒体240の筒体側下向き端面247が上側から内層側容器口部223の口部側上向き端面228に当接(係合)する。これらの部位が上下方向から係合することで、円筒体4が上下方向に位置決めされた状態で内層側容器口部223に取り付けられる。また、内層側容器口部223に対する円筒体240の上下方向の抜けも防止される。
【0052】
図6(C)に示すように、円筒体240の第1内周面243には、直径方向の2か所に、回り止め用の内周側平面243cが形成されている。内層側容器口部223の第1外周面224においても同様に、相補的な形状をした回り止め用の外周側平面224cが形成されている。円筒体240の上端の第1内周面243に内層側容器口部223の第1外周面224が嵌り込むことで、円筒体240が円周方向に位置決めされた同軸状態で、内層側容器口部223に取り付けられ、また、円筒体240の円周方向の位置ずれも防止される。
【0053】
円筒体4を内層側容器口部223に取り付けた状態において、円筒体240の第2内周面244と、内層側容器口部223の小径の第2外周面225との間に、タグ装着用の隙間270が形成される。ここに、タグ260が収容されている。例えば、隙間270は、0.1mm~5mmに設定される。タグ260は、実施の形態1のタグ6と同様なタグを用いることができる。
【0054】
(タグ付きプリフォームの例)
図7(A)は、タグ付き容器200の製造に用いるタグ付きプリフォームを示す側面図、
図7(B)はその縦断面図である。タグ付きプリフォーム300は、熱可塑性樹脂の射出成形品であるプリフォーム本体320と、熱可塑性樹脂の射出成形品である円筒体240と、タグ260とを備えている。
【0055】
プリフォーム本体320は、底部321と、円筒状の胴部322と、この胴部322の上端に形成された円筒状の口部323とを備えている。プリフォーム本体320の底部321および胴部322は、二軸延伸ブロー成形が施されて、容器本体220の容器底部221および容器胴部222になる部位である。プリフォーム本体320の口部323は、二軸延伸ブロー成形が施されることなくそのまま、容器本体220の容器口部の内層側容器口部223になる部位であり、口部323は内層側容器口部223と同一構造である。また、円筒体240も、二軸延伸ブロー成形が施されることなく、そのまま、容器口部の外層側容器口部になる部位である。
【0056】
(タグ付き容器の製造手順の例)
図8は、タグ付き容器200の製造手順の概要を示す説明図である。熱可塑性樹脂素材を用いて射出成形によりプリフォーム本体320を用意する。これとは別個に、熱可塑性樹脂素材から射出成形により、外層側容器口部となる円筒体240を製造する。また、タグ260を用意する(ステップST101)。プリフォーム本体320の口部323の第2外周面225に、タグ260を位置決めして接着剤により貼り付ける(ステップST102)。
【0057】
次に、円筒体240をプリフォーム本体320に取り付ける(ステップST103)。円筒体240に対して、双方の回り止め部(224c、243c)が一致するように円周方向に位置決めし、この状態で、円筒体240に対してプリフォーム本体320を、その底部321の側から同軸状態で挿入する。
【0058】
先に説明したように、円筒体240の第2内周面244の下端部分には、下方に向けて半径方向の内方への突出量が漸増しているテーパー状内周面249aを備えた内方突出部249が形成されており、内方突出部249の下端面が筒体側下向き端面247となっている。また、内層側容器口部223の下端側の第3外周面226は、下方に向けて半径方向の内方に徐々に後退しているテーパー状外周面となっている。円筒体240の小径の第2内周面244は、プリフォーム本体320をその底部の側から差し通すことのできる内径寸法に設定されている。
【0059】
円筒体240に、上側からプリフォーム本体320を差し込むと、その口部323の下端の第3外周面226(テーパー状外周面)と円筒体240の下端の内方突出部249のテーパー状内周面249aとが当接する。これらは相補的なテーパー形状の面であるので、円筒体240を所定の力で押し込むと、円筒体240の内方突出部249が、口部下端に形成されているテーパー状外周面である第3外周面226に沿ってガイドされ、当該第3外周面226を乗り越えて、その上側に嵌り込む。この結果、円筒体240の内方突出部249が上側から、口部323の口部側上向き端面228に当接した状態が形成される。同時に、円筒体240の筒体側上向き端面246が口部323の口部側下向き端面227に対して下側から当接した状態が形成される。
【0060】
これにより、内層側容器口部223に対する円筒体240の上下方向の位置決めが行われ、同時に、円筒体240の上方への抜けが防止される。さらに、口部323の第1外周面224と円筒体240の第1内周面243との間には、口部323に対する円筒体240の回転を阻止する回り止め部(224c、243c)が形成されている。円筒体240は円周方向にも位置決めされ、円周方向の位置ずれも防止される。このようにして、内外層の間にタグ260が配置された2層構造の口部を備えたタグ付きプリフォーム300が得られる。
【0061】
次に、タグ付きプリフォーム300を二軸延伸ブロー成形に適した温度に加熱し、加熱後のタグ付きプリフォーム300をブロー成形型(図示せず)に入れて型締めを行い、二軸延伸ブロー成形を施す(ステップST104)。すなわち、タグ付きプリフォーム300の口部323および円筒体240を除く部分を、外側からヒーター等で加熱する。これらの部位の間に配置されているタグ260は、高温に晒されて熱変形等の損傷を受けることがない。タグ付きプリフォーム300では、胴部322および底部321は単層構造の部位であるので、二層あるいは多層構造のプリフォームを加熱する場合とは異なり、底部321、胴部322の各部が均一に加熱され、ブロー成形に適した温度状態が効率良く形成される。
【0062】
加熱後のタグ付きプリフォーム300を、ブロー成形金型(図示せず)に入れて型閉めを行い、二軸延伸ブロー成形を施す。これにより、タグ付きプリフォーム300がタグ付き容器200に成形される。タグ付きプリフォーム300の円筒体240、口部323は、不図示のブロー成形金型の部位によって把持される部分であり、延伸ブロー成形が施されることなくそのままの形状で残る。よって、円筒体240と口部323の間に配置されているタグ260は、高圧エアーに晒されることがなく、また、延伸されることもない。よって、ブロー成形工程において、タグ260に破損、断線等の弊害が生じることがない。また、本例のタグ付き容器200においても、実施の形態1のタグ付き容器1の場合と同様な作用効果が得られる。
【0063】
[その他の実施の形態]
容器口部が内層側容器口部と外層側容器口部からなる積層構造のタグ付き容器1、200においては、その口部天面が、内層側容器口部23、223の天面と外層側容器口部である円筒体4、240の天面とによって規定される。これらの天面の接合部分に隙間が生じると、ここから、内外層の間に異物が侵入するおそれがある。このような弊害を確実に防止するために、口部天面に、シール用の栓を付ける場合がある。
【0064】
図9(A)はタグ付き容器200の天面にシール用の栓を取り付けた場合の一例を示す側面図、
図9(B)はその縦断面図、
図9(C)はシール用の栓を示す縦断面図である。
【0065】
シール用の栓400は、タグ付き容器200の内層側容器口部223の内側に、上側から嵌め込み固定される内側円筒部401と、この内側円筒部401の上端から外方に広がる円環状フランジ402と、円環状フランジ402の外周縁から下方に突出している外側円環部403とを備え、内側円筒部401の外周を同軸に取り囲む下向きの円環状凹部404が形成されている。この円環状凹部404に、タグ付き容器200の容器口部の天面部分が下側から嵌め込み固定された状態になる。これにより、タグ付き容器200の上端部が栓400によってシールされ、栓400の円環状の天面400aによって容器口部の天面が規定される。外層側容器口部を形成する円筒体240の天面240aと、内層側容器口部223の天面223aとの接合面がシールされ、ここから液体等の異物が侵入することが防止される。
【0066】
図10は、タグ付き容器1の天面にシール用の栓を取り付けた場合の一例を示す容器口部の半縦断面図である。容器本体2における内層側容器口部23の上端部に形成されている内層側口部フランジ24の上端面を上方に突出させて、逆円錐台状の栓取付け部24Aが形成されている。ここに、上側からシール用の栓500が嵌め込み固定される。栓500によって、容器本体2の内層側容器口部23の天面と円筒体4との接合面がシールされ、接合面から液体等の異物が侵入することが防止される。
【符号の説明】
【0067】
1 タグ付き容器
2 容器本体
4 円筒体
6 タグ
7 タグ配置用隙間
21 容器底部
22 容器胴部
23 内層側容器口部
23b 内周面
24 内層側口部フランジ
24a 第1外周面
24b 口部側下向き端面
25 内層側口部円筒部
25a 第2外周面
25b 外周面部分
25c 外周面部分
25d 凹部
26 サポートリング
26a 第3外周面
26b 口部側上向き端面
28 係合突起
41 外周面
41a 雄ネジ
42 内周面
43 上側開口端面
44 第1内周面
45 第2内周面
46 下側開口端面
47 内方突出部
47a テーパー状円弧面
47b 筒体側上向き端面
48 係合溝
100 タグ付きプリフォーム
120 プリフォーム本体
121 底部
122 胴部
123 口部
200 タグ付き容器
220 容器本体
221 容器底部
222 容器胴部
223 内層側容器口部
223a 天面
224 第1外周面
224c 外周側平面
225 第2外周面
226 第3外周面
227 口部側下向き端面
228 口部側上向き端面
240 円筒体
240a 天面
241 上側開口端面
242 下側開口端面
243 第1内周面
243c 内周側平面
244 第2内周面
245 第3内周面
246 筒体側上向き端面
247 筒体側下向き端面
248 雄ネジ
249 内方突出部
249a テーパー状内周面
250 サポートリング
260 タグ
270 隙間
300 タグ付きプリフォーム
320 プリフォーム本体
321 底部
322 胴部
323 口部
400、500 栓
400a 天面
401 内側円筒部
402 円環状フランジ
403 外側円環部
404 円環状凹部
G 隙間
【手続補正書】
【提出日】2022-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部が内層側容器口部および外層側容器口部を備えた積層構造をしているタグ付き容器の製造に用いるタグ付きプリフォームであって、
底部と、筒状の胴部と、筒状の口部とを備えた合成樹脂製のプリフォーム本体と、
前記口部の外周面に、プリフォーム上下方向から嵌め込み固定された合成樹脂製の筒体と、
前記口部の前記外周面と前記筒体の内周面との間に配置したタグと、
を有しており、
前記底部および前記胴部は、二軸延伸ブロー成形が施されて前記タグ付き容器の容器底部および容器胴部になる部位であり、
前記口部は二軸延伸ブロー成形が施されることなくそのまま前記内層側容器口部を形成する部位であり、前記筒体は二軸延伸ブロー成形が施されることなくそのまま前記外層側容器口部を形成する部位であり、
前記口部の外周面には、第1外周面と、前記第1外周面の下側に位置し当該第1外周面よりも小径の第2外周面と、前記第2外周面の下側に位置し当該第2外周面よりも大径の第3外周面とが形成され、
前記第1、第2外周面の間には口部側下向き端面が形成され、前記第2、第3外周面の間には口部側上向き端面が形成されており、
前記筒体の前記内周面には、当該筒体の上端開口および下端開口の間に、第1内周面と、前記第1内周面の下側に位置し前記第2外周面に所定の間隔で対峙している第2内周面とが形成されており、
前記第1、第2内周面の間には、前記口部側下向き端面に下側から当接可能な筒体側上向き端面が形成され、前記第2内周面の下端には、前記口部側上向き端面に上側から当接可能な筒体側下向き端面が形成されており、
前記筒体は、前記筒体側上向き端面が前記口部側下向き端面に当接し、前記筒体側下向き端面が前記口部側上向き端面に当接して上下方向に位置決めされた状態で、前記口部側下向き端面と前記口部側上向き端面の間に嵌め込み固定されており、
前記タグは、前記口部の前記第2外周面と前記筒体の前記第2内周面との間に形成される隙間に配置されており、
前記筒体の前記下端開口から、前記プリフォーム本体の前記口部を差込可能であり、
前記筒体の前記第2内周面の上端部分には、上方に向けて半径方向の内方への突出量が漸増している内方突出部が形成されており、前記内方突出部の上端面が前記筒体側上向き端面であり、
前記筒体の前記内方突出部を、前記第1外周面の上側から、当該第1外周面を乗り越えて、前記第2外周面の側に嵌め込み可能であり、
前記内方突出部が前記第2外周面の側に嵌め込まれて、当該内方突出部の上端の前記筒体側上向き端面が下側から前記口部側下向き端面に当接しているタグ付きプリフォーム。
【請求項2】
容器口部が内層側容器口部および外層側容器口部を備えた積層構造をしているタグ付き容器の製造に用いるタグ付きプリフォームであって、
底部と、筒状の胴部と、筒状の口部とを備えた合成樹脂製のプリフォーム本体と、
前記口部の外周面に、プリフォーム上下方向から嵌め込み固定された合成樹脂製の筒体と、
前記口部の前記外周面と前記筒体の内周面との間に配置したタグと、
を有しており、
前記底部および前記胴部は、二軸延伸ブロー成形が施されて前記タグ付き容器の容器底部および容器胴部になる部位であり、
前記口部は二軸延伸ブロー成形が施されることなくそのまま前記内層側容器口部を形成する部位であり、前記筒体は二軸延伸ブロー成形が施されることなくそのまま前記外層側容器口部を形成する部位であり、
前記口部の外周面には、第1外周面と、前記第1外周面の下側に位置し当該第1外周面よりも小径の第2外周面と、前記第2外周面の下側に位置し当該第2外周面よりも大径の第3外周面とが形成され、
前記第1、第2外周面の間には口部側下向き端面が形成され、前記第2、第3外周面の間には口部側上向き端面が形成されており、
前記筒体の前記内周面には、当該筒体の上端開口および下端開口の間に、第1内周面と、前記第1内周面の下側に位置し前記第2外周面に所定の間隔で対峙している第2内周面とが形成されており、
前記第1、第2内周面の間には、前記口部側下向き端面に下側から当接可能な筒体側上向き端面が形成され、前記第2内周面の下端には、前記口部側上向き端面に上側から当接可能な筒体側下向き端面が形成されており、
前記筒体は、前記筒体側上向き端面が前記口部側下向き端面に当接し、前記筒体側下向き端面が前記口部側上向き端面に当接して上下方向に位置決めされた状態で、前記口部側下向き端面と前記口部側上向き端面の間に嵌め込み固定されており、
前記タグは、前記口部の前記第2外周面と前記筒体の前記第2内周面との間に形成される隙間に配置されており、
前記筒体の前記上端開口から、前記プリフォーム本体を前記底部の側から差し通して前記口部を前記筒体の内部に差込可能であり、
前記筒体の前記第2内周面の下端部分には、下方に向けて半径方向の内方への突出量が漸増している内方突出部が形成されており、当該内方突出部の下端面が前記筒体側下向き端面であり、
前記筒体の前記内方突出部を、前記第3外周面の下側から、当該第3外周面を乗り越えて、前記第2外周面の側に嵌め込み可能であり、
前記内方突出部が前記第2外周面の側に嵌め込まれて、当該内方突出部の前記筒体側下向き端面が上側から前記口部側上向き端面に当接しているタグ付きプリフォーム。
【請求項3】
請求項2において、
前記口部に対する前記筒体の回転を阻止する回り止め部を備えているタグ付きプリフォーム。
【請求項4】
請求項1において、
前記口部に対する前記筒体の回転を阻止する回り止め部を備えており、
前記回り止め部は、
前記筒体に形成され、前記筒体側下向き端面に開口し、前記筒体を半径方向に貫通している係合溝と、
前記口部に形成され、前記口部側上向き端面から上方に突出し、前記係合溝に下側から嵌め込まれている係合突起と、
を備えており、
前記係合溝に嵌め込まれた前記係合突起の上面と、当該係合突起に上側から対峙する前記係合溝の溝内周面の間には、前記筒体の前記内方突出部の前記筒体側上向き端面と前記口部の前記口部側下向き端面との間の係合部分の係合を解除する力を加えることができるように、隙間が形成されており、
前記係合部分は、係合解除後は再係合できない状態になる偽造防止機能が備わっているタグ付きプリフォーム。
【請求項5】
請求項1または2において、
前記タグは、アンテナを含む回路パターンおよびICチップを備えた情報担持タグであり、
前記情報担持タグは、
前記口部の前記外周面あるいは前記筒体の前記内周面に貼付されたタグ、または、
前記外周面あるいは前記内周面に形成された前記回路パターンと、当該回路パターンに実装された前記ICチップとを備えたタグであるタグ付きプリフォーム。
【請求項6】
請求項1または2において、
前記口部の前記外周面と前記筒体の前記内周面との間には、前記タグが配置されるタグ配置用隙間が形成されており、
前記タグ配置用隙間の寸法は、0.1mm~5mmであるタグ付きプリフォーム。
【請求項7】
請求項1または2において、
前記口部の上端面と前記筒体の上端面との間の接合面をシールするシール用の栓を備えているタグ付きプリフォーム。
【請求項8】
タグ付きプリフォームを二軸延伸ブロー成形して製造されるタグ付き容器であって、
前記タグ付きプリフォームは、
底部と、筒状の胴部と、筒状の口部とを備えた合成樹脂製のプリフォーム本体と、
前記口部の外周面に、プリフォーム上下方向から嵌め込み固定された合成樹脂製の筒体と、
前記口部の前記外周面と前記筒体の内周面との間に配置したタグと、
を有しており、
前記タグ付き容器は、
容器底部、筒状の容器胴部、および筒状の容器口部を備え、
前記容器口部は、内層側容器口部および外層側容器口部を備えた積層構造をしており、
前記容器底部および前記容器胴部は、前記プリフォーム本体の前記底部および前記胴部を二軸延伸ブロー成形して得られた部位であり、
前記内層側容器口部は、前記プリフォームの前記口部が、二軸延伸ブロー成形が施されずに、そのまま残っている部位であり、
前記外層側容器口部は、前記筒体が、二軸延伸ブロー成形が施されずに、そのまま残っている部位であり、
前記タグは、前記内層側容器口部と前記外層側容器口部の間に配置されており、
前記内層側容器口部の外周面には、第1外周面と、前記第1外周面の下側に位置し当該第1外周面よりも小径の第2外周面と、前記第2外周面の下側に位置し当該第2外周面よりも大径の第3外周面とが形成され、
前記第1、第2外周面の間には口部側下向き端面が形成され、前記第2、第3外周面の間には口部側上向き端面が形成されており、
前記筒体の前記内周面には、当該筒体の上端開口および下端開口の間に、第1内周面と、前記第1内周面の下側に位置し前記第2外周面に所定の間隔で対峙している第2内周面とが形成されており、
前記第1、第2内周面の間には、前記口部側下向き端面に下側から当接可能な筒体側上向き端面が形成され、前記第2内周面の下端には、前記口部側上向き端面に上側から当接可能な筒体側下向き端面が形成されており、
前記筒体は、前記筒体側上向き端面が前記口部側下向き端面に当接し、前記筒体側下向き端面が前記口部側上向き端面に当接して上下方向に位置決めされた状態で、前記口部側下向き端面と前記口部側上向き端面の間に嵌め込み固定されており、
前記タグは、前記内層側容器口部の前記第2外周面と前記筒体の前記第2内周面との間に形成される隙間に配置されており、
前記筒体の前記第2内周面の上端部分には、上方に向けて半径方向の内方への突出量が漸増している内方突出部が形成されており、前記内方突出部の上端面が前記筒体側上向き端面であり、
前記筒体の前記内方突出部を、前記第1外周面の上側から、当該第1外周面を乗り越えて、前記第2外周面の側に嵌め込み可能であり、
前記内方突出部が前記第2外周面の側に嵌め込まれて、当該内方突出部の上端の前記筒体側上向き端面が下側から前記口部側下向き端面に当接しているタグ付き容器。
【請求項9】
タグ付きプリフォームを二軸延伸ブロー成形して製造されるタグ付き容器であって、
前記タグ付きプリフォームは、
底部と、筒状の胴部と、筒状の口部とを備えた合成樹脂製のプリフォーム本体と、
前記口部の外周面に、プリフォーム上下方向から嵌め込み固定された合成樹脂製の筒体と、
前記口部の前記外周面と前記筒体の内周面との間に配置したタグと、
を有しており、
前記タグ付き容器は、
容器底部、筒状の容器胴部、および筒状の容器口部を備え、
前記容器口部は、内層側容器口部および外層側容器口部を備えた積層構造をしており、
前記容器底部および前記容器胴部は、前記プリフォーム本体の前記底部および前記胴部を二軸延伸ブロー成形して得られた部位であり、
前記内層側容器口部は、前記プリフォームの前記口部が、二軸延伸ブロー成形が施されずに、そのまま残っている部位であり、
前記外層側容器口部は、前記筒体が、二軸延伸ブロー成形が施されずに、そのまま残っている部位であり、
前記タグは、前記内層側容器口部と前記外層側容器口部の間に配置されており、
前記内層側容器口部の外周面には、第1外周面と、前記第1外周面の下側に位置し当該第1外周面よりも小径の第2外周面と、前記第2外周面の下側に位置し当該第2外周面よりも大径の第3外周面とが形成され、
前記第1、第2外周面の間には口部側下向き端面が形成され、前記第2、第3外周面の間には口部側上向き端面が形成されており、
前記筒体の前記内周面には、当該筒体の上端開口および下端開口の間に、第1内周面と、前記第1内周面の下側に位置し前記第2外周面に所定の間隔で対峙している第2内周面とが形成されており、
前記第1、第2内周面の間には、前記口部側下向き端面に下側から当接可能な筒体側上向き端面が形成され、前記第2内周面の下端には、前記口部側上向き端面に上側から当接可能な筒体側下向き端面が形成されており、
前記筒体は、前記筒体側上向き端面が前記口部側下向き端面に当接し、前記筒体側下向き端面が前記口部側上向き端面に当接して上下方向に位置決めされた状態で、前記口部側下向き端面と前記口部側上向き端面の間に嵌め込み固定されており、
前記タグは、前記内層側容器口部の前記第2外周面と前記筒体の前記第2内周面との間に形成される隙間に配置されており、
前記筒体の前記第2内周面の下端部分には、下方に向けて半径方向の内方への突出量が漸増している内方突出部が形成されており、当該内方突出部の下端面が前記筒体側下向き端面であり、
前記筒体の前記内方突出部を、前記第3外周面の下側から、当該第3外周面を乗り越えて、前記第2外周面の側に嵌め込み可能であり、
前記内方突出部が前記第2外周面の側に嵌め込まれて、当該内方突出部の前記筒体側下向き端面が上側から前記口部側上向き端面に当接しているタグ付き容器。
【請求項10】
請求項9において、
前記内層側容器口部に対する前記筒体の回転を阻止する回り止め部を備えているタグ付き容器。
【請求項11】
請求項8において、
前記内層側容器口部に対する前記筒体の回転を阻止する回り止め部を備えており、
前記回り止め部は、
前記筒体に形成され、前記筒体側下向き端面に開口し、前記筒体を半径方向に貫通している係合溝と、
前記内層側容器口部に形成され、前記口部側上向き端面から上方に突出し、前記係合溝に下側から嵌め込まれている係合突起と、
を備えており、
前記係合溝に嵌め込まれた前記係合突起の上面と、当該係合突起に上側から対峙する前記係合溝の溝内周面の間には、前記筒体の前記内方突出部の前記筒体側上向き端面と前記容器口部の前記口部側下向き端面との間の係合部分の係合を解除する力を加えることができるように、隙間が形成されており、
前記係合部分は、係合解除後は再係合できない状態になる偽造防止機能が備わっているタグ付き容器。
【請求項12】
請求項8または9において、
前記タグは、アンテナを含む回路パターンおよびICチップを備えた情報担持タグであり、
前記情報担持タグは、
前記外周面あるいは前記内周面に貼付されたタグ、または、
前記外周面あるいは前記内周面に形成された前記回路パターンと、当該回路パターンに実装された前記ICチップとを備えたタグであるタグ付き容器。
【請求項13】
請求項8または9において、
前記内層側容器口部の前記外周面と前記筒体の前記内周面との間には、前記タグが配置されるタグ配置用隙間が形成されており、
前記タグ配置用隙間の寸法は、0.1mm~5mmであるタグ付き容器。
【請求項14】
請求項8または9において、
前記内層側容器口部の上端面と前記筒体の上端面との間の接合面をシールするシール用の栓を備えているタグ付き容器。