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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087100
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
   F02F 1/10 20060101AFI20240624BHJP
   F02B 67/00 20060101ALI20240624BHJP
   F02B 75/22 20060101ALI20240624BHJP
   F01P 5/12 20060101ALI20240624BHJP
   F01M 1/02 20060101ALI20240624BHJP
   F01M 13/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F02F1/10 D
F02B67/00 G
F02B67/00 L
F02B75/22 E
F01P5/12
F01M1/02
F02F1/10 Z
F01M13/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201699
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】正置 龍二
【テーマコード(参考)】
3G015
3G024
3G313
【Fターム(参考)】
3G015AA07
3G015BA03
3G015BA05
3G015BD04
3G015CA01
3G015DA04
3G024AA38
3G024CA05
3G024DA18
3G024FA00
3G313AA07
3G313AA09
3G313BB14
(57)【要約】
【課題】エンジンが備える流体流路の簡素化を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】例示的なエンジンは、複数のシリンダ列と、前記複数のシリンダ列を冷却する冷却液を吐出する冷却液ポンプと、前記冷却液ポンプから吐出された冷却液を前記複数のシリンダ列に分配する分配流路、および、前記複数のシリンダ列を冷却した後の冷却液を合流させる合流流路を有する流路形成部材と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダ列と、
前記複数のシリンダ列を冷却する冷却液を吐出する冷却液ポンプと、
前記冷却液ポンプから吐出された冷却液を前記複数のシリンダ列に分配する分配流路、および、前記複数のシリンダ列を冷却した後の冷却液を合流させる合流流路を有する流路形成部材と、
を備える、エンジン。
【請求項2】
サーモスタットを内部に有し、前記合流流路から流出した冷却液が通過するサーモスタットケースを備える、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記サーモスタットケースは、前記流路形成部材に取り付けられる、請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記流路形成部材は、平面視において、前記複数のシリンダ列を有するシリンダブロックのクランク軸方向の一端に配置される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項5】
前記冷却液ポンプは、前記シリンダブロックに対して、前記流路形成部材とクランク軸方向の同じ側に配置される、請求項4に記載のエンジン。
【請求項6】
前記流路形成部材は、潤滑油が流れる潤滑油流路を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項7】
前記潤滑油流路は、調圧弁を通過した潤滑油が流入し、流入した潤滑油をメインギャラリとオイルパンとのうちの少なくも一方に流出する流路を含む、請求項6に記載のエンジン。
【請求項8】
前記流路形成部材は、ブローバイガスが流れるブローバイガス流路を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、V型エンジンの冷却システムが開示される。当該冷却システムでは、エンジンのクランク軸方向一端側にウォータポンプが設けられる。ウォータポンプから吐出された冷却水は、エンジンのクランク軸方向他端側に設けられる連絡管に供給される。連絡管に供給された冷却水は、エンジンの両バンクのウォータジャケットに分配供給される。両バンクのウォータジャケットを通過した冷却水は、クランク軸方向一端側で集合され、冷却水ポンプに戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-356131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エンジンには、例えば過給機やインタークーラなど、エンジン本体を構成するシリンダブロック等以外にも冷却液の供給を必要とする部品が配置される。また、エンジンには、例えば潤滑油やブローバイガスなど、冷却液以外の流体が流れる流路も必要とされる。このために、エンジンにおいては、流体流路をレイアウトする上での制約が厳しくなることがある。
【0005】
本発明は、エンジンが備える流体流路の簡素化を図ることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なエンジンは、複数のシリンダ列と、前記複数のシリンダ列を冷却する冷却液を吐出する冷却液ポンプと、前記冷却液ポンプから吐出された冷却液を前記複数のシリンダ列に分配する分配流路、および、前記複数のシリンダ列を冷却した後の冷却液を合流させる合流流路を有する流路形成部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明によれば、エンジンが備える流体流路の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】エンジンの概略の構成を示す左側面図
図2】エンジンの概略の構成を示す正面図
図3】エンジンの概略の構成を示す平面図
図4】エンジンにおける冷却液の流れの概要を示す模式図
図5】エンジンにおける潤滑油の流れの概要を示す模式図
図6】流路形成部材とシリンダブロックとの関係を示す概略右側面図
図7】流路形成部材の概略の構成を示す斜視図
図8図6のVIII-VIII位置における切断面を示す概略斜視図
図9図6のIX-IX位置における切断面を示す概略斜視図
図10図6のX-X位置における切断面を示す概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図面においては、適宜、3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。以下の説明においては、X方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向とする。なお、+X側が前側、-X側が後側とする。+Y側を左側、-Y側を右側とする。+Z側を上側、-Z側を下側とする。詳細には、図1に示すクランク軸(出力軸)の中心線Jが延びる方向を前後方向とする。フライホイールハウジング3に収容されるフライホイール(不図示)に対してシリンダブロック11が配置される側を前側とする。また、シリンダブロック11に対してオイルパン2が配置される側を下側として上下方向を定義する。前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向と定義し、前方から後方に向かって見た場合に左となる側を左側、右となる側を右側とする。なお、これらの方向は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定する意図はない。
【0010】
<1.エンジンの概要>
図1は、本発明の実施形態に係るエンジン100の概略の構成を示す左側面図である。図2は、本発明の実施形態に係るエンジン100の概略の構成を示す正面図である。図3は、本発明の実施形態に係るエンジン100の概略の構成を示す平面図である。図1から図3を参照して、エンジン100の概要を説明する。
【0011】
エンジン100は、特に限定する意図はないが、例えば、発電のために使用するエンジンや、船舶推進用に使用する船舶推進用エンジンであってよい。エンジン100はディーゼルエンジンである。エンジン100は、大きくは、エンジン本体1とオイルパン2とを備える。エンジン本体1は、シリンダブロック11と、ヘッドブロック12と、ヘッドカバー13とを備える。
【0012】
シリンダブロック11の内部には、複数のピストン(不図示)と、各ピストンに連結され、前後方向に延びるクランク軸(不図示)とが配置される。クランク軸は、ピストンの往復運動を回転運動に変換する。クランク軸の後端には、フライホイールハウジング3に収容されるフライホイール(不図示)が取り付けられる。フライホイールは、クランク軸と一体的に回転し、エンジン100の動力を取り出すために利用される。
【0013】
シリンダブロック11は、左右のそれぞれに、前後方向に並ぶ複数のシリンダ14(後述の図6参照)を有する。すなわち、エンジン100は、2つのシリンダ列15(図6参照)を備える。なお、シリンダ列15の数が2つである構成は例示である。本発明のエンジンが備えるシリンダ列の数は複数であれば、2つ以外であってもよい。前後方向に延びる2つのシリンダ列15は、左右に間隔をあけて配置される。複数のピストンのそれぞれは、各シリンダ14内に配置される。なお、エンジン100は、一例としてV型12気筒エンジンであり、左右のそれぞれにおいて前後方向に並ぶシリンダ14の数は6個である。
【0014】
ヘッドブロック12は、各シリンダ14の上方に重ねて配置される。すなわち、エンジン本体1は、左右のそれぞれに、前後方向に並ぶ6つのヘッドブロック12を有する。各ヘッドブロック12は、シリンダ14、ヘッドブロック12、および、ピストンで構成される燃焼室にガスを供給するための吸気ポート(不図示)と、燃焼室からガスを排気する排気ポート(不図示)とを有する。
【0015】
ヘッドカバー13は、各ヘッドブロック12の上方に配置される。すなわち、エンジン本体1は、左右のそれぞれに、前後方向に並ぶ6つのヘッドカバー13を有する。各ヘッドカバー13は、ヘッドブロック12に配置される吸気弁および排気弁(不図示)を覆う。各ヘッドカバー13には、インジェクタ(不図示)が取り付けられる。インジェクタの、燃料を噴射する噴射口が設けられる一端部(下端部)は、燃焼室に臨む。各インジェクタは、燃料を高圧として吐出する燃料ポンプ4から供給される燃料を、適宜のタイミングで燃焼室に噴射する。燃焼室に噴射された燃料の燃焼により生じる力によって、ピストンが往復運動を行う。なお、本実施形態では、燃料ポンプ4は、エンジン100の左側面の後方に配置される。
【0016】
エンジン100の左側に設けられる、シリンダ列15、ヘッドブロック12、および、ヘッドカバー13は、左バンクLBを構成する。エンジン100の右側に設けられる、シリンダ列15、ヘッドブロック12、および、ヘッドカバー13は、右バンクRBを構成する。
【0017】
また、エンジン100は、給気マニホールド5および排気マニホールド6を備える。
【0018】
給気マニホールド5は、詳細は後述する過給機7から供給された空気または混合気である給気を各シリンダ(燃焼室)に分配する。詳細には、給気マニホールド5は、左右のそれぞれに配置されるシリンダ列15に対応して、エンジン本体1の左右の側面に1つずつ配置される。左右に配置される給気マニホールド5は、いずれも前後方向に延びる。以下、左側のシリンダ列15に対応して左側に設けられる給気マニホールド5を左給気マニホールド5Lと表現する。右側のシリンダ列15に対応して右側に設けられる給気マニホールド5を右給気マニホールド5Rと表現する。
【0019】
排気マニホールド6は、各シリンダ14(燃焼室)からの排気を集約する。詳細には、排気マニホールド6は、左右のそれぞれに配置されるシリンダ列15に対応して2つ配置される。2つの排気マニホールド6は、いずれも前後方向に延びる。2つの排気マニホールド6は、V型エンジンを構成する左右のバンクLB、RBにより形成されるVバンクの内側に左右に並んで配置される。以下、左側のシリンダ列15に対応してVバンク内の左側に配置される排気マニホールド6を、左排気マニホールド6Lと表現する。右側のシリンダ列15に対応してVバンク内の右側に配置される排気マニホールド6を、右排気マニホールド6Rと表現する。
【0020】
過給機7は、エンジン100の後方上部に配置される。過給機7は、エンジン100の外部から供給された空気や混合気を加圧圧縮してインタークーラ8を介して給気マニホールド5に供給する。過給機7は、排気マニホールド6から供給される排ガスを駆動源とするターボチャージャである。
【0021】
なお、給気マニホールド5と接続されるインタークーラ8は、低温水用ポンプ16の駆動により冷却水を供給され、給気を冷却する。過給機7から供給される給気は、加圧圧縮されることにより圧縮熱が発生して温度が上昇する。インタークーラ8は、冷却水と、加圧圧縮された給気との間で熱交換を行うことで給気を冷却する。すなわち、インタークーラ8が設けられることにより、給気マニホールド5に供給される給気の温度を所望の温度に調整することができる。
【0022】
過給機7は、詳細には、エンジン100の左側に設けられる左過給機7Lと、エンジン100の右側に設けられる右過給機7Rとを有する。左過給機7Lは、インタークーラ8を介して左給気マニホールド5Lに空気等(給気)を供給する。右過給機7Rは、インタークーラ8を介して右給気マニホールド5Rに空気等(給気)を供給する。左排気マニホールド6Lで集約された排ガスは、左過給機7Lを介して外部に排気される。右排気マニホールド6Rで集約された排ガスは、右過給機7Rを介して外部に排気される。
【0023】
オイルパン2は、シリンダブロック11の下方に配置され、潤滑油を貯留する。オイルパン2に貯留される潤滑油は、エンジン100の潤滑が必要な各部に供給される。
【0024】
<2.流体の流れの概要>
次に、エンジン100における流体の流れの概要について説明する。流体には、冷却液、潤滑油、および、ブローバイガスが含まれる。以下、これらについて分けて説明する。なお、本実施形態においては、冷却液は冷却水である。ただし、冷却液は、例えば不凍液等の水以外の液体であってもよい。不凍液は、例えば、純水とエチレングリコールとを所定割合で混合した液体である。
【0025】
[2-1.冷却液の流れ]
図4は、エンジン100における冷却液の流れの概要を示す模式図である。なお、図4は、主にエンジン本体1を冷却する冷却液の流れを示す。インタークーラ8への冷却水の供給は、図4に示す冷却系統とは別の冷却系統により行われる。
【0026】
図4に示す冷却液ポンプ21は、シリンダブロック11やヘッドブロック12等のエンジン100における冷却が必要な箇所に冷却液を供給するためのポンプである。エンジン100における冷却が必要な箇所には、シリンダブロック11およびヘッドブロック12の他に、過給機7や後述のオイルクーラ32等が含まれてよい。冷却液ポンプ21は、詳細には、インタークーラ8に冷却水を供給する低温水用ポンプ16とは別の高温水用ポンプである。冷却液ポンプ21は、クランク軸からギヤ(不図示)を介して伝達される回転動力により駆動される。本実施形態では、冷却液ポンプ21は、エンジン100の前面左側に配置される(図2参照)。
【0027】
冷却液ポンプ21の駆動により、左バンク冷却液通路22Lと右バンク冷却液通路22Rとに冷却液が送り出される。すなわち、エンジン100は、複数(詳細には2つ)のシリンダ列15を冷却する冷却液を吐出する冷却液ポンプ21を備える。左バンク冷却液通路22Lを流れる冷却液は、左バンクLBを構成するシリンダ14の周囲やヘッドブロック12を冷却する。右バンク冷却液通路22Rを流れる冷却液は、右バンクRBを構成するシリンダ14の周囲やヘッドブロック12を冷却する。
【0028】
左バンク冷却液通路22Lおよび右バンク冷却液通路22Rを流れた後の冷却液(戻り冷却液)は、サーモスタットケース23へと送られる。本実施形態では、サーモスタットケース23は、エンジン100の左側面の前側上部に配置される(図1参照)。サーモスタットケース23は、サーモスタット23aを内部に有する。サーモスタット23aは、冷却液の温度を設定された温度の付近に保つ機能を有する。詳細には、サーモスタット23aの作用により、サーモスタットケース23に送り込まれた戻り冷却液は、冷却が必要とされる場合には冷却液クーラ24に送られ、冷却が不要な場合には直接冷却液ポンプ21に戻される。
【0029】
なお、冷却液クーラ24は、戻り冷却液の冷却を行う。冷却液クーラ24は、熱交換を利用して戻り冷却液の冷却を行う熱交換器である。冷却液クーラ24を通過した戻り冷却液は、冷却液ポンプ21に送られる。冷却液クーラ24は、液冷式であっても空冷式であってもよい。
【0030】
[2-2.潤滑油の流れ]
図5は、エンジン100における潤滑油の流れの概要を示す模式図である。図5に示す潤滑油ポンプ31は、エンジン100における潤滑が必要な各部に潤滑油を供給するためのポンプである。潤滑油ポンプ31は、クランク軸からギヤ(不図示)を介して伝達される回転動力により駆動される。図5には、潤滑油が潤滑油ポンプ31の駆動により各部に供給される流れのみが示されており、潤滑油がオイルパン2に戻る流れについては省略されている。本実施形態では、潤滑油ポンプ31は、エンジン100の前側に配置される。図1において、潤滑油ポンプ31は、オイルパン2の内側に存在するために隠れて見ない。
【0031】
オイルパン2に貯留された潤滑油は、潤滑油ポンプ31の駆動によってオイルクーラ32に送られる。なお、本実施形態においては、オイルクーラ32には、冷却液ポンプ21から冷却液が送られる。オイルクーラ32に送られた潤滑油は、冷却液との間で熱交換を行うことにより冷却される。本実施形態では、オイルクーラ32は、エンジン100の前面上部に配置される(図2参照)。
【0032】
なお、本実施形態では、潤滑油ポンプ31によって吸い上げられた潤滑油のうちの一部は、遠心こし器33へ送られ、遠心こし器33で浄化された後にオイルパン2へ戻される。これにより、オイルパン2内のオイルの浄化を図ることができる。本実施形態において、遠心こし器33は、エンジン100の左側面に配置される(図1参照)。
【0033】
オイルクーラ32を通過した潤滑油は、オイルフィルタ装置34へ送られる。オイルフィルタ装置34は、潤滑油を浄化する。本実施形態において、オイルフィルタ装置34は、エンジン100の前面左側に配置される(図2参照)。
【0034】
オイルフィルタ装置34により浄化された潤滑油は、調圧弁35により所定の圧力に調整されて、エンジン本体1に設けられるメインギャラリ36へ送られる。なお、調圧弁35によりリリーフされた潤滑油はオイルパン2へ戻される。本実施形態において、調圧弁35は、エンジン100の左側面の前側に配置される。
【0035】
メインギャラリ36は、詳細には、左右のシリンダ列15のそれぞれに対して1つずつ設けられる。なお、図5では、便宜的に2つのメインギャラリ36は上下に並んでいるが、実際には、2つのメインギャラリ36は、左右に並ぶ。各メインギャラリ36へ送られた潤滑油は、ピストンやクランク軸等のエンジン本体1に含まれる潤滑が必要な各部に分配される。メインギャラリ36からエンジン本体1の各部へ供給されたオイルは、適宜オイルパン2へ戻される。また、2つのメインギャラリ36のうちの一方を通過した潤滑油は、過給機7へ供給される。詳細には、潤滑油は、左過給機7Lと右過給機7Rとへ供給される。2つのメインギャラリ36のうちの他方を通過したオイルは、燃料ポンプ4へ供給される。過給機7および燃料ポンプ4へ供給されたオイルは、適宜オイルパン2へ戻される。
【0036】
[2-3.プロ―バイガスの流れ]
エンジン100においては、燃焼室から漏れ出たブローバイガスは、シリンダブロック11の内部を通ってオイルセパレータ41に送られる。オイルセパレータ41は、ブローバイガスからオイル成分を除去する。本実施形態では、オイルセパレータ41は、エンジン100の前側上部に配置される(図1参照)。
【0037】
オイルセパレータ41を通過したブローバイガスは、ブローバイガス管42を通って、過給機7に送り込まれる。過給機7に送り込まれたブローバイガスは、給気として利用される。詳細には、ブローバイガス管42は、ブローバイガスを左過給機7Lと右過給機7Rとに振り分ける分岐部42a(図3参照)を有する。オイルセパレータ41を通過したブローバイガスは、分岐部42aを介して、一部が左過給機7Lに送られ、残りが右過給機7Rに送られる。
【0038】
<3.流路形成部材>
図1から図3に示すように、エンジン100は流路形成部材50を備える。流路形成部材50は、内部に流体の流路を含む部材である。流路形成部材50は、エンジン100における流体流路の簡素化を図るために設けられた部材である。本実施形態では、好ましい形態として、流路形成部材50は、平面視において、複数(詳細には2つ)のシリンダ列15を有するシリンダブロック11のクランク軸方向の一端に配置される。なお、クランク軸方向は、クランク軸の長手方向であり、本実施形態では前後方向である。
【0039】
冷却液ポンプ21や潤滑油ポンプ31は、クランク軸の軸方向端付近のギヤにより直接又は間接的に駆動される。このために、冷却液ポンプ21や潤滑油ポンプ31は、シリンダブロック11のクランク軸方向の一端付近に配置される。流路形成部材50がシリンダブロック11のクランク軸方向の一端に配置される構成とすると、流路形成部材50と、冷却液ポンプ21や潤滑油ポンプ31とを近くに配置することができる。この結果、例えば、流体の通路を形成するために必要とされる配管の量を減らすことができ、エンジン100のコンパクト化やシンプル化を図ることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、冷却液ポンプ21は、シリンダブロック11に対して、流路形成部材50とクランク軸方向の同じ側に配置される。また、潤滑油ポンプ31は、流路形成部材50と同じく、エンジン100のクランク軸方向の同じ端部側に配置される。詳細には、流路形成部材50は、上方からの平面視において、シリンダブロック11の前後方向の一端である前端に配置される。冷却液ポンプ21も、シリンダブロック11に対して、クランク軸方向の前側に配置される。潤滑油ポンプ31も、流路形成部材50と同じく、エンジン100の前端側に配置される。
【0041】
図6は、流路形成部材50とシリンダブロック11との関係を示す概略右側面図である。図7は、流路形成部材50の概略の構成を示す斜視図である。図6および図7に示すように、流路形成部材50は、矩形板状である。流路形成部材50は、厚み方向が前後方向と平行となる向きとされて、シリンダブロック11に取り付けられる。本実施形態では、流路形成部材50は、シリンダブロック11に直接取り付けられる。
【0042】
詳細には、流路形成部材50は、シリンダブロック11の前方に配置される。流路形成部材50の後面と、シリンダブロック11の前面とが前後方向に対向する。より詳細には、流路形成部材50の下部と、シリンダブロック11の上部とが前後方向に重なる。そして、流路形成部材50とシリンダブロック11との当該重なる部分同士が、ボルト等の留め具を用いて接続される。
【0043】
流路形成部材50は、冷却液が流れる冷却液流路51を有する。図8は、図6のVIII-VIII位置における切断面を示す概略斜視図である。図7および図8を参照して、冷却液流路51について説明する。なお、図7および図8において、実線の白抜き矢印は、冷却液ポンプ21から吐出され、左バンク冷却液通路22Lおよび右バンク冷却液通路22Rへ向かう冷却液の流れを示す。また、図7および図8において、破線の白抜き矢印は、左バンク冷却液通路22Lおよび右バンク冷却液通路22Rを流れた後の戻り冷却液の流れを示す。
【0044】
図8に示すように、流路形成部材50は、冷却液ポンプ21から吐出された冷却液が内部に入る第1冷却液入口511を有する。第1冷却液入口511は、流路形成部材50の前面右側に設けられる開口である。第1冷却液入口511は、冷却液流路51を構成する。
【0045】
また、図8に示すように、流路形成部材50は、内部に、第1冷却液入口511と連通する第1冷却液空間512を有する。第1冷却液空間512は、冷却液流路51を構成する。詳細には、第1冷却液空間512は、左右方向に延びる横方向冷却液空間512aと、上下方向に延びる2つの縦方向冷却液空間512b、512cとを含む。横方向冷却液空間512aは、第1冷却液入口511と繋がる。2つの縦方向冷却液空間512b、512cのうち、左側に配置される左縦方向冷却液空間512bは、その上端部が横方向冷却液空間512aの左端部と繋がる。2つの縦方向冷却液空間512b、512cのうち、右側に配置される右縦方向冷却液空間512cは、その上端部が横方向冷却液空間512aの右端部と繋がる。
【0046】
図7に示すように、流路形成部材50は、第1冷却液入口511から内部に入った冷却液を外部へ流出する第1冷却液出口513を有する。第1冷却液出口513は、冷却液流路51を構成する。詳細には、第1冷却液出口513は、流路形成部材50の後面に設けられる。第1冷却液出口513は、左冷却液出口513aと右冷却液出口513bとを含む。左冷却液出口513aは、流路形成部材50の後面の左側下部に設けられる開口である。右冷却液出口513bは、流路形成部材50の後面の右側下部に設けられる開口である。
【0047】
左冷却液出口513aは、流路形成部材50の内部に設けられる左縦方向冷却液空間512bの下部と繋がる。右冷却液出口513bは、流路形成部材50の内部に設けられる右縦方向冷却液空間512cの下部と繋がる。
【0048】
第1冷却液入口511から第1冷却液空間512に入った冷却液の一部は、横方向冷却液空間512aおよび左縦方向冷却液空間512bを介して左冷却液出口513aから、流路形成部材50の外部に流出される。第1冷却液入口511から第1冷却液空間512に入った冷却液の他の一部は、横方向冷却液空間512aおよび右縦方向冷却液空間512cを介して右冷却液出口513bから、流路形成部材50の外部に流出される。左冷却液出口513aから外部に流出された冷却液は、シリンダブロック11の内部に設けられる左バンクLB用の冷却液通路(不図示)へと送られる。また、右冷却液出口513bから外部に流出された冷却液は、シリンダブロック11の内部に設けられる右バンクRB用の冷却液通路(不図示)へと送られる。
【0049】
以上からわかるように、流路形成部材50は、冷却液ポンプ21から吐出された冷却液を複数(詳細には2つ)のシリンダ列15に分配する分配流路を有する。分配流路は、第1冷却液空間512により構成される。
【0050】
図7に示すように、流路形成部材50は、左バンク冷却液通路22Lおよび右バンク冷却液通路22Rを流れた後の戻り冷却液が内部に入る第2冷却液入口514を有する。第2冷却液入口514は、冷却液流路51を構成する。第2冷却液入口514は、詳細には、左冷却液入口514aと右冷却液入口514bとを含む。左冷却液入口514aは、流路形成部材50の後面の左側上部に設けられる開口である。左冷却液入口514aは、左バンク冷却液通路22Lを流れた後の戻り冷却液が流れる左冷却液管25L(図3参照)と接続される。右冷却液入口514bは、流路形成部材50の後面の右側上部に設けられる開口である。右冷却液入口514bは、右バンク冷却液通路22Rを流れた後の戻り冷却液が流れる右冷却液管25R(図3参照)と接続される。
【0051】
なお、左冷却液管25Lおよび右冷却液管25Rは、図3に示すように、左バンクLBと右バンクRBとの間に配置され、前後方向に延びる。左冷却液管25Lと右冷却液管25Rとは、左バンクLBと右バンクRBとの間に左右方向に並んで配置される。左冷却液管25Lと右冷却液管25Rとは、上下方向の高さ位置が同じである。
【0052】
図8に示すように、流路形成部材50は、内部に、第2冷却液入口514と連通する第2冷却液空間515を有する。第2冷却液空間515は、冷却液流路51を構成する。詳細には、第2冷却液空間515は、左冷却液入口514aおよび右冷却液入口514bと繋がる。第2冷却液空間515は、左右方向に延びる。
【0053】
また、図7および図8に示すように、流路形成部材50は、第2冷却液入口514から内部に入った戻り冷却液を外部へ流出する第2冷却液出口516を有する。第2冷却液出口516は、冷却液流路51を構成する。詳細には、第2冷却液出口516は、流路形成部材50の左側面の上部に設けられる。第2冷却液出口516は、第2冷却液空間515の左端部に設けられ、第2冷却液空間515と繋がる。なお、本実施形態では、第2冷却液出口516は、3つの開口で構成される。当該開口の数は、サーモスタットケース23内に配置されるサーモスタット23a(図4参照)の数に応じて決まる。
【0054】
左冷却液入口514aから流路形成部材50の内部に入った戻り冷却液と、右冷却液入口514bから流路形成部材50の内部に入った戻り冷却液とは、第2冷却液空間515で合流する。そして、戻り冷却液は、第2冷却液空間515内を流れて第2冷却液出口516を通って、流路形成部材50の左側面に取り付けられるサーモスタットケース23内に入る。
【0055】
以上からわかるように、流路形成部材50は、複数(詳細には2つ)のシリンダ列15を冷却した後の冷却液を合流させる合流流路を有する。合流流路は、第2冷却液空間515により構成される。本実施形態の流路形成部材50は、冷却液の分配と合流との両方を行う。上述のように、流路形成部材50は、冷却液ポンプ21の近くに配置されるために、冷却液ポンプ21の近くで冷却液の分配と合流が行われる。このために、冷却液が流れる流路のコンパクト化やシンプル化を図ることができる。すなわち、エンジン100のコンパクト化やシンプル化を図ることができる。この結果、エンジン100の製造に要するコストの低減を図ることができる。
【0056】
また、エンジン100は、合流流路(第2冷却液空間515)から流出した冷却液が通過するサーモスタットケース23を備える。サーモスタットケース23は、流路形成部材50に取り付けられる。詳細には、サーモスタットケース23は、流路形成部材50にボルト等の留め具を用いて、流路形成部材50に直接取り付けられる。このように構成することにより、冷却液の流路をシンプル且つコンパクトに構成することができる。
【0057】
流路形成部材50は、潤滑油が流れる潤滑油流路52をさらに有する。流路形成部材50および潤滑油ポンプ31は、いずれもエンジン100の前側に配置される。このために、流路形成部材50に潤滑油流路52が設けられることにより、潤滑油が流れる流路のコンパクト化やシンプル化を図り易くすることができる。また、流路形成部材50が、冷却液の流路を構成する部材、および、潤滑油の流路を構成する部材として兼用されるために、エンジン100のコンパクト化を図ることができる。
【0058】
図9は、図6のIX-IX位置における切断面を示す概略斜視図である。図7から図9を参照して、潤滑油流路52について説明する。なお、図7から図9において、太い実線の矢印は、潤滑油の流れを示す。
【0059】
図7から図9に示すように、流路形成部材50は、左側面の下部側に、第1潤滑油入口521、第2潤滑油入口522、および、第3潤滑油入口523を有する。流路形成部材50の左側面の下から順に、第1潤滑油入口521、第2潤滑油入口522、第3潤滑油入口523が配置される。これら3つの潤滑油入口521~523は、潤滑油流路52を構成する開口である。第1潤滑油入口521と第2潤滑油入口522との前後方向の位置は、同じである。第3潤滑油入口523は、第1潤滑油入口521および第2潤滑油入口522よりも後方にずれて配置される。
【0060】
流路形成部材50は、内部に、第1潤滑油入口521と連通する第1潤滑油空間524を有する。第1潤滑油空間524は、潤滑油流路52を構成する。詳細には、第1潤滑油空間524は、第1横方向潤滑油空間524aと、第1縦方向潤滑油空間524bとを含む(図8および図9参照)。第1横方向潤滑油空間524aは、左右方向に延びる。第1横方向潤滑油空間524aの左端部は、第1潤滑油入口521と繋がる。第1横方向潤滑油空間524aの右端は、流路形成部材50の右側面の近くに位置する。第1縦方向潤滑油空間524bは、上下方向に延びる。第1縦方向潤滑油空間524bの上端部は、第1横方向潤滑油空間524aの右端部と繋がる。第1縦方向潤滑油空間524bは、流路形成部材50の下面まで延びる。すなわち、第1縦方向潤滑油空間524bは、流路形成部材50の下面において、外部と繋がる。
【0061】
また、流路形成部材50は、内部に、第2潤滑油入口522と連通する第2潤滑油空間525を有する。第2潤滑油空間525は、潤滑油流路52を構成する。詳細には、第2潤滑油空間525は、第2横方向潤滑油空間525aと、第2縦方向潤滑油空間525bとを含む(図8および図9参照)。第2横方向潤滑油空間525aは、左右方向に延びる。第2横方向潤滑油空間525aの左端部は、第2潤滑油入口522と繋がる。第2横方向潤滑油空間525aの右端部は、流路形成部材50の左右方向の中央部よりも左方向に位置する。第2縦方向潤滑油空間525bは、上下方向に延びる。第2縦方向潤滑油空間525bの上端部は、第2横方向潤滑油空間525aの右端部と繋がる。第2縦方向潤滑油空間525bは、流路形成部材50の下面まで延びる。すなわち、第2縦方向潤滑油空間525bは、流路形成部材50の下面において、外部と繋がる。
【0062】
また、流路形成部材50は、内部に、第3潤滑油入口523と連通する第3潤滑油空間526を有する(図8参照)。第3潤滑油空間526は、潤滑油流路52を構成する。詳細には、第3潤滑油空間526は、上下方向に延びる。第3潤滑油空間526の上端部は、第3潤滑油入口523に繋がる。第3潤滑油空間526は、流路形成部材50の下面まで延びる。すなわち、第3潤滑油空間526は、流路形成部材50の下面において、外部と繋がる。
【0063】
調圧弁35(図5等参照)で調圧された潤滑油が、第1潤滑油入口521および第2潤滑油入口522から流路形成部材50の内部に入る。第1潤滑油入口521から内部に入った潤滑油は、第1横方向潤滑油空間524aおよび第1縦方向潤滑油空間524bを通って、流路形成部材50の下面から外部に流出する。外部に流出した潤滑油は、流路形成部材50の下方に配置されるギヤケース37(図1参照)を介して、シリンダブロック11の右側のシリンダ列15用のメインギャラリ36に送られる。第2潤滑油入口522から内部に入った潤滑油は、第2横方向潤滑油空間525aおよび第2縦方向潤滑油空間525bを通って、流路形成部材50の下面から外部に流出する。外部に流出した潤滑油は、流路形成部材50の下方に配置されるギヤケース37を介して、シリンダブロック11の左側のシリンダ列15用のメインギャラリ36に送られる。
【0064】
また、調圧弁35(図5等参照)によりリリーフされた潤滑油が、第3潤滑油入口523から流路形成部材50の内部に入る。第3潤滑油入口523から内部に入った潤滑油は、第3潤滑油空間526を通って、流路形成部材50の下面から外部に流出される。外部に流出した潤滑油は、流路形成部材50の下方に配置されるギヤケース37を介してオイルパン2に戻される。
【0065】
以上からわかるように、流路形成部材50が有する潤滑油流路52は、調圧弁35を通過した潤滑油が流入し、流入した潤滑油をメインギャラリ36とオイルパン2とのうちの少なくも一方に流出する流路を含む。本実施形態では、流路形成部材50が有する潤滑油流路52は、調圧弁35を通過した潤滑油をメインギャラリ36とオイルパン2とに流出する流路を含む。
【0066】
流路形成部材50は、ブローバイガスが流れるブローバイガス流路53をさらに有する。流路形成部材50が、冷却液と潤滑油とのうちの少なくとも一方の流路を構成する部材、および、ブローバイガスの流路を構成する部材として兼用されるために、エンジン100のコンパクト化を図ることができる。本実施形態では、流路形成部材50は、冷却液の流路を構成する部材、潤滑油の流路を構成する部材、および、ブローバイガスの流路を構成する部材として兼用される。
【0067】
図10は、図6のX-X位置における切断面を示す概略斜視図である。図7および図10を参照して、ブローバイガス流路53について説明する。なお、図7および図10において、太い破線の矢印は、ブローバイガス流れを示す。
【0068】
図7および図10に示すように、流路形成部材50は、後面の下部に、前方に向けて凹む第1ブローバイガス空間531を有する。第1ブローバイガス空間531は、後方に向けて開口するだけでなく、下方に向けても開口する。第1ブローバイガス空間531は、前後方向において、シリンダブロック11と重なる。
【0069】
また、図10に示すように、流路形成部材50は、内部に、第1ブローバイガス空間531と連通する第2ブローバイガス空間532を有する。第2ブローバイガス空間532は、上下方向に延びる。第2ブローバイガス空間532の下端部は、第1ブローバイガス空間531と繋がる。第2ブローバイガス空間532は、流路形成部材50の上面まで延びる。すなわち、第2ブローバイガス空間532は、流路形成部材50の上面において、外部と繋がる。第1ブローバイガス空間531と第2ブローバイガス空間532とは、ブローバイガス流路53を構成する。
【0070】
燃焼室から漏れ出たブローバイガスは、シリンダブロック11の内部を通って第1ブローバイガス空間531に送られる。第1ブローバイガス空間531に送られたブローバイガスは、第2ブローバイガス空間532を通って流路形成部材50の上面から外部に流出する。外部に流出したブローバイガスは、流路形成部材50の上方に配置されるオイルセパレータ41に送られる。
【0071】
<4.留意事項等>
本明細書中に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。また、本明細書中に示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0072】
以上に説明した実施形態では、本発明がV型エンジンに適用される構成とした。ただし、これは例示にすぎない。本発明は、2つのシリンダ列を備えるエンジンに広く適用することができ、例えば、ピストンが水平方向に往復動する水平対向型エンジン等にも適用可能である。
【0073】
<5.付記>
本明細書における例示的なエンジンは、複数のシリンダ列と、前記複数のシリンダ列を冷却する冷却液を吐出する冷却液ポンプと、前記冷却液ポンプから吐出された冷却液を前記複数のシリンダ列に分配する分配流路、および、前記複数のシリンダ列を冷却した後の冷却液を合流させる合流流路を有する流路形成部材と、を備える構成(第1の構成)であってよい。
【0074】
上記第1の構成のエンジンは、サーモスタットを内部に有し、前記合流流路から流出した冷却液が通過するサーモスタットケースを備える構成(第2の構成)であってよい。
【0075】
上記第2の構成のエンジンにおいて、前記サーモスタットケースは、前記流路形成部材に取り付けられる構成(第3の構成)であってよい。
【0076】
上記第1から第3のいずれかの構成のエンジンにおいて、前記流路形成部材は、平面視において、前記複数のシリンダ列を有するシリンダブロックのクランク軸方向の一端に配置される構成(第4の構成)であってよい。
【0077】
上記第4の構成のエンジンにおいて、前記冷却液ポンプは、前記シリンダブロックに対して、前記流路形成部材とクランク軸方向の同じ側に配置される構成(第5の構成)であってよい。
【0078】
上記第1から第5のいずれかの構成のエンジンにおいて、前記流路形成部材は、潤滑油が流れる潤滑油流路を有する構成(第6の構成)であってよい。
【0079】
上記第6の構成のエンジンにおいて、前記潤滑油流路は、調圧弁を通過した潤滑油が流入し、流入した潤滑油をメインギャラリとオイルパンとのうちの少なくも一方に流出する流路を含む構成(第7の構成)であってよい。
【0080】
上記第1から第7のいずれかの構成のエンジンにおいて、前記流路形成部材は、ブローバイガスが流れるブローバイガス流路を有する構成(第8の構成)であってよい。
【符号の説明】
【0081】
2・・・オイルパン
11・・・シリンダブロック
15・・・シリンダ列
21・・・冷却液ポンプ
23・・・サーモスタットケース
23a・・・サーモスタット
35・・・調圧弁
36・・・メインギャラリ
50・・・流路形成部材
52・・・潤滑油流路
53・・・ブローバイガス流路
100・・・エンジン
512・・・第1冷却液空間(分配流路)
515・・・第2冷却液空間(合流流路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10