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  • 特開-移動体及びバッテリユニット 図1
  • 特開-移動体及びバッテリユニット 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087123
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】移動体及びバッテリユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/659 20140101AFI20240624BHJP
   B64U 20/90 20230101ALI20240624BHJP
   B64U 50/19 20230101ALI20240624BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240624BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20240624BHJP
   H01M 10/62 20140101ALI20240624BHJP
   F25D 3/02 20060101ALI20240624BHJP
   F25D 3/00 20060101ALN20240624BHJP
【FI】
H01M10/659
B64U20/90
B64U50/19
H01M10/613
H01M10/658
H01M10/62
F25D3/02
F25D3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201727
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】大園 隆一
(72)【発明者】
【氏名】立川 律哉
(72)【発明者】
【氏名】田邉 成司
【テーマコード(参考)】
3L044
5H031
【Fターム(参考)】
3L044AA04
3L044BA03
3L044CA14
3L044DC03
3L044KA02
3L044KA04
5H031AA09
5H031KK02
(57)【要約】
【課題】軽量化を図りつつ好適にバッテリを冷却する。
【解決手段】移動体は、バッテリと、バッテリの周辺に固体の状態で配置され、バッテリの熱により液化する冷却材と、液化した冷却材を外部に排出する排出部と、を備える。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
前記バッテリの周辺に固体の状態で配置され、前記バッテリの熱により液化する冷却材と、
液化した前記冷却材を外部に排出する排出部と、
を備える移動体。
【請求項2】
前記排出部は、液化した前記冷却材を気化させる気化部を有する、
請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記冷却材の排出可能領域の情報を有する記憶部と、
自機位置の情報を取得する測位部と、
を備え、
前記排出部は、前記測位部で取得した自機位置が、前記記憶部に記憶された前記排出可能領域に到達した場合に、液化した前記冷却材を排出する、
請求項1に記載の移動体。
【請求項4】
前記バッテリ及び前記冷却材を収容する収容部材を備え、
前記収容部材は、前記冷却材の周囲に配置される断熱材料を含む、
請求項1に記載の移動体。
【請求項5】
バッテリと、
前記バッテリの周辺に配置される固体の冷却材と、
前記バッテリ及び前記冷却材を収容する収容部材と、
がモジュール化されている、
バッテリユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体及びバッテリユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチコプター等の移動体を駆動させるエネルギー源には、主にバッテリが用いられる。バッテリは、エネルギーを放出する過程で発熱して高温になるため、冷却が必要になる。バッテリの冷却は、冷却ファンによる空冷式や、ラジエータ等で冷やした冷媒をポンプで循環させる冷媒式が一般的である。
【0003】
しかし、これらの冷却方式では、冷却ファンやポンプ等の冷却機器の駆動にエネルギーが必要になる。また、冷却機器を搭載する分だけ機体重量が増加し、飛行にはより大きなエネルギーが必要になる。
この点、例えば特許文献1に記載の技術では、電池セルの付近に蓄冷材(保冷材)を密着可能に配置しており、冷却機器を用いずに電池セルを冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-248363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、蓄冷材が冷却能力を発揮し終えた後も装置内に配置されたままである。冷却能力を発揮し終えた冷却材を排出できると、さらなる軽量化を図ることができる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、軽量化を図りつつ好適にバッテリを冷却することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、移動体であって、
バッテリと、
前記バッテリの周辺に固体の状態で配置され、前記バッテリの熱により液化する冷却材と、
液化した前記冷却材を外部に排出する排出部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バッテリを冷却して液化した冷却材が、排出部から外部に排出される。したがって、軽量化を図りつつ好適にバッテリを冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る無人航空機の斜視図である。
図2】実施形態に係る無人航空機の概略の制御構成を示すブロック図である。
図3A】実施形態に係るバッテリユニットの斜視図である。
図3B図3AのIII-III線でのバッテリユニットの断面図である。
図4】実施形態に係る排液処理の手順を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係る無人航空機の変形例1を示す模式図である。
図6】実施形態に係る無人航空機の変形例2を示す模式図である。
図7】実施形態に係る無人航空機の変形例3を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
[無人航空機の全体構成]
図1は、本実施形態に係る無人航空機1の斜視図であり、図2は、無人航空機1の概略の制御構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る無人航空機(以下、単に「無人機」という)1は、本発明に係る移動体の一例であり、複数の回転翼部(プロペラ)21によって揚力(推力)を得るマルチコプターである。
なお、本実施形態の無人機1は、予め入力された飛行プログラムにより自律飛行するものとする。ただし、無人機1は、遠隔地から送信される操縦信号に基づいて操縦されてもよい。
【0011】
具体的に、無人機1は、本体部20と、複数の回転翼部21とを備える。
本体部20は、矩形箱状に形成され、無人機1の各部に電力を供給するバッテリユニット5等を内部に収容している。
複数の回転翼部21は、本体部20から四方に延出する複数のアーム部22の先端に設けられている。
【0012】
また、無人機1は、図2に示すように、プロペラ駆動部31、測位センサ33、通信部34、蓋開閉モータ35、記憶部36、制御部37を備える。
プロペラ駆動部31は、複数の回転翼部21に対応するモータ及び電磁ブレーキ(図示省略)を有する。プロペラ駆動部31は、制御部37からの制御信号に基づいて各回転翼部21の駆動(回転)及び制動を行う。
【0013】
測位センサ33は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)受信機であり、無人機1の現在位置(高度含む)を計測して制御部37に出力する。
通信部34は、通信ネットワークを通じて各種情報を送受信可能な通信デバイスである。また、無人機1が遠隔操作される場合、通信部34は、遠隔の操縦装置との間で各種情報を送受信する。
蓋開閉モータ35は、後述するバッテリユニット5の排出蓋523を開閉させるモータである。蓋開閉モータ35は、制御部37からの制御信号に基づいて排出蓋523の開閉を行う。
【0014】
記憶部36は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されるメモリである。記憶部36は、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部37の作業領域としても機能する。本実施形態の記憶部36には、地図データ362と排出ポイントデータ364が記憶されている。
地図データ362は、少なくとも無人機1の飛行(予定)範囲を含む地図情報である。地図データ362に含まれる情報は特に限定されず、例えば、山や河川等の地形情報、道路や鉄道、建造物、田畑等の土地の利用状態に関する情報等である。
排出ポイントデータ364は、後述する冷却材54(本実施形態では水)を排出可能な排出可能領域のデータ(位置情報)である。本実施形態の排出可能領域は、空中から冷却材54を排出可能な場所であって当該排出による悪影響が小さい場所であり、例えば湖沼や海などである。なお、排出ポイントデータ364は、排出可能領域を特定できる情報であればよい。また、排出ポイントデータ364は、地図データ362と対応付けられていても(又はその一部でも)よい。
さらに、本実施形態の記憶部36には、後述の排液処理を実行するためのプログラムが予め記憶されている。
【0015】
制御部37は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成され、無人機1の各部の動作を制御する。例えば、制御部37は、記憶部36に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。
【0016】
[バッテリユニットの構成]
図3Aは、バッテリユニット5の斜視図であり、図3Bは、図3AのIII-III線でのバッテリユニット5の断面図である。なお、図3Aでは後述の冷却材54の図示を省略しており、図3Bではバッテリ本体の図示を省略している。
図3A及び図3Bに示すように、バッテリユニット5は、無人機1の各部(例えば、プロペラ駆動部31や制御部37等)に電力を供給するバッテリ(バッテリ本体)51と、バッテリ51を収容するケース52とを含む。
【0017】
バッテリ51は、前後方向に長尺な略矩形状に形成されたバッテリハウジング510と、バッテリハウジング510の前面を覆う前面パネル512とを有している。前面パネル512には給電ケーブル513が接続されている。バッテリハウジング510と前面パネル512は、熱伝導性の良好な部材、例えば金属等からなる。また、バッテリハウジング510と前面パネル512は、バッテリ51内部を密封している。ただし、後述の冷却材54として、液化してもバッテリ51を漏電させない物質を使用可能であれば、バッテリハウジング510と前面パネル512がバッテリ51内部を密閉していなくともよい。
【0018】
ケース52は、例えば矩形箱状に形成され、前面が開口している。ケース52の前面開口は、着脱可能(又は回動可能)な蓋部材53により、少なくとも漏水しない程度の密閉状態に閉塞可能となっている。ケース52は断熱材料を含んで構成され、内部を断熱している。ただし、ケース52は、内部と外部を好適に断熱できれば、断熱材料を一体的に含んでいなくともよく、例えば内面又は外面に別体の断熱材料が配置されていてもよい。
【0019】
ケース52内部の下面には、バッテリ51を支持する複数の脚部521が立設されている。複数の脚部521は、バッテリ51の左右両端を支持するように、左右に所定の距離を空けて左右2列に配列されている。左右各列の複数の脚部521は、前後に隣り合うものと隙間を介在させて並設されている。
また、ケース52内部の下面には、漏斗状の孔部522が形成されている。孔部522は、下方に向かって小さくなる上側の円錐状孔部522aと、円錐状孔部522aの下端から下方に延出する円柱状孔部522bとを有する。
円錐状孔部522aは、ケース52の下面のうちの略中央であって、左右2列の脚部521の間に配置され、当該脚部521上に配置されるバッテリ51の下方に開口する。
円柱状孔部522bの開口下端は、無人機1の外部(下方)に連通するとともに、排出蓋523により開閉可能となっている。排出蓋523は、常態で円柱状孔部522bを閉塞させており、蓋開閉モータ35(図2参照)に駆動されて円柱状孔部522bを開放させる。
【0020】
ケース52の内部では、バッテリ51が複数の脚部521上に固定されている。これにより、バッテリ51は、ケース52内部のうち左右方向の中央に配置されている。つまり、ケース52は、バッテリ51の周囲に空間Sを画成しつつ当該バッテリ51を内部に収容している。
【0021】
ケース52の内部のうちバッテリ51周囲の空間Sには、冷却材54が配置されている。より詳しくは、バッテリ51の左右両側と上側とを覆うように、正面視で下向きのU字状の冷却材54が、ケース52内の空間S一杯に充填されている。
冷却材54は、本実施形態では氷であり、バッテリ51稼動時にはバッテリ51の熱を奪って氷(固体)から水(液体)に状態変化する。冷却材54は、バッテリ51のエネルギー量を十分に上回る状態変化エネルギーを有している。
なお、冷却材54の材質(物質)は、バッテリ51から熱を奪って固体から液体に状態変化するものであれば特に限定されない。例えば、冷却効率等を向上させる添加剤を加えた液体を用いてもよい。この場合、排出時にフィルターを通すことで添加剤を回収できるように構成してもよい。ただし、冷却材54は自然環境への負荷が小さい物質であるのが好ましい。空間S内に配置される固体の冷却材54の形状や個数も特に限定されず、例えば多数の冷却材54が空間S内に充填されていてもよい。
また、バッテリ51に対する固体の冷却材54の配置は、バッテリ51の熱が伝わるその周辺であればよい。ただし、固体の冷却材54は少なくともバッテリ51の上側に配置するのが好ましい。
【0022】
また、バッテリユニット5は、カセット式(カートリッジ式)に無人機1本体と着脱可能に構成されている。つまり、バッテリユニット5は、バッテリ51と、ケース52と、固体の冷却材54と(又は、さらに蓋部材53と)が、予めモジュール化(ユニット化)されている。これにより、バッテリ51、ケース52及び固体の冷却材54を無人機1本体に一体的に着脱することができる。ただし、バッテリ51の使用後におけるバッテリユニット5の取り外し時には、後述するように、冷却材54の全部又は一部は液化して排出されている。
【0023】
[排液処理]
続いて、無人機1の飛行時に実行される排液処理について説明する。
図4は、排液処理の手順を示すフローチャートである。
排液処理は、飛行中の無人機1が液化した冷却材54を外部に排出する処理である。排液処理は、制御部37が記憶部36から該当プログラムを読み出して展開することで実行される。
なお、以下では、固体の冷却材54の符号に「S」、液化した冷却材54の符号に「L」を付して、両者を識別する場合がある。
【0024】
図4に示すように、排液処理が実行されると、まず制御部37は、所定の飛行プログラムにより無人機1の自律飛行を開始させる(ステップS1)。無人機1は、予め設定された飛行経路に沿って目的地までの自律飛行を開始する。
なお、排液処理は飛行プログラムの一部に組み込まれていてもよい。
【0025】
次に、制御部37は、現在の自機位置の情報を取得する(ステップS2)。
ここでは、制御部37は、測位センサ33により自機位置を測位する。
【0026】
次に、制御部37は、無人機1が、液化した冷却材54を排出可能な排出可能領域に到達したか否かを判定する(ステップS3)。
ここでは、制御部37は、ステップS2で取得した自機位置が、記憶部36に格納された排出ポイントデータ364に含まれる場合に、無人機1が排出可能領域に到達したと判定する。
そして、無人機1が排出可能領域に到達していないと判定した場合(ステップS3;No)、制御部37は、上述のステップS2へ処理を移行する。
なお、ステップS2、S3では、排出可能領域への到達判定を行えれば、その手法は測位センサ33による位置情報に基づくものでなくともよい。例えば、撮像装置による画像情報に基づく手法であってもよいし、方位センサや距離センサによる方位情報や距離情報に基づく手法等であってもよい。
【0027】
ステップS3において、無人機1が排出可能領域に到達したと判定した場合(ステップS3;Yes)、制御部37は、バッテリユニット5から液化した冷却材54Lを排出する排液動作を実行する(ステップS4)。
無人機1の飛行中、バッテリユニット5ではバッテリ51の発熱がその周囲の冷却材54Sによって冷却されている。冷却材54はバッテリ51の熱により液化してケース52内に溶け出し、孔部522内に溜まっている。
この状態で、制御部37が、排液動作として、蓋開閉モータ35を駆動して排出蓋523を開放する。すると、閉塞されていた孔部522の円柱状孔部522b下端が開放され、ケース52内に溜まっていた冷却材54Lが孔部522を通じて無人機1の外部に排出される。排出された冷却材54Lは、地上の排出可能領域内に落下する。
【0028】
次に、制御部37は、排液処理を終了させるか否かを判定し(ステップS5)、終了させないと判定した場合には(ステップS5;No)、上述のステップS2へ処理を移行する。
一方、例えば目的地への到着等により、排液処理を終了させると判定した場合には(ステップS5;Yes)、制御部37は、排液処理を終了させる。
【0029】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、バッテリ51の熱により液化する冷却材54がバッテリ51の周辺に固体の状態で配置され、液化した冷却材54Lがケース52から外部に排出される。つまり、冷却材54によってバッテリ51を冷却するとともに、バッテリ51を冷却して液化した冷却材54をケース52から外部に排出することができる。
そのため、冷却ファンやラジエータ等の冷却機器を用いる場合と異なり、冷却機器やその配管等を含む煩雑な冷却設備も、冷却機器を駆動させるためのエネルギー(電力)も不要にできる。これにより、無人機1の機体を軽量化するとともに、バッテリ51のエネルギーを有効に利用することができる。
また、冷却材54が冷却能力を発揮し終えて液体になると排出されるので、飛行に伴って機体(バッテリユニット5)が軽量化される。
したがって、軽量化を図りつつ好適にバッテリ51を冷却することができる。
【0030】
また、本実施形態によれば、測位センサ33で取得した自機位置が、記憶部36に記憶された排出ポイントデータ364に含まれる場合(すなわち、排出可能領域に到達した場合)に、液化した冷却材54Lが排出される。
これにより、液化した冷却材54Lの排出による周囲への影響を抑えて、安全に冷却材54を排出できる。
【0031】
また、本実施形態によれば、バッテリ51及び冷却材54を収容するケース52が、冷却材54の周囲に配置される断熱材料を含んでいる。
これにより、ケース52外部から冷却材54への伝熱を抑制できる。ひいては、冷却材54によりバッテリ51を好適に冷却できる。
【0032】
また、本実施形態によれば、バッテリ51と、バッテリ51の周辺に配置される固体の冷却材54と、バッテリ51及び冷却材54を収容するケース52と、がモジュール化されている。
これにより、バッテリ51、冷却材54及びケース52を一体的に無人機1本体に着脱できる。したがって、バッテリ51が充電され、冷却材54が充填されたバッテリユニット5を、簡便に無人機1本体に装着することができる。すなわち、バッテリ51及び冷却材54を容易に交換又は補充できる。
【0033】
[変形例]
上記実施形態では、液化した冷却材54Lを外部に排出する排出動作として、ケース52の孔部522下端を開放させ、冷却材54Lを下方に落下させた。しかし、特に冷却材54Lの排出量が多い場合等には、以下の変形例1~3の構成により、冷却材54Lがそのまま地上へ落下することを抑制してもよい。
【0034】
<変形例1>
例えば図5に示すように、孔部522(円柱状孔部522b)の下端に、無人機1外部に露出した布状の繊維材55を連結してもよい。
この場合、液化した冷却材54Lは、円柱状孔部522bから繊維材55に伝って吸収される。繊維材55は、無人機1の飛行により気流が当たることで、吸収した冷却材54Lを気化させる。これにより、液化した冷却材54Lの揮発を促進して、当該冷却材54Lがそのまま地上へ落下することを抑制できる。
なお、繊維材55は、液化した冷却材54Lを吸収し、かつ、気流に当たって冷却材54Lを気化させるものであれば、その材質や形状等は特に限定されない。また、繊維材55は、出没可能に機体に設け、冷却材54Lを気化させるときに機体から外部に露出させてもよい。
またこの場合、円柱状孔部522bの下端の排出蓋523は、設けなくてもよい。
【0035】
<変形例2>
あるいは、図6に示すように、液化した冷却材54Lを回転翼部21に向けて排出し、回転翼部21が起こす気流によって冷却材54Lを拡散させてもよい。
この場合、円柱状孔部522b(及びその配管)の先端をいずれかの回転翼部21に向け、当該回転翼部21の近傍に開口させておけばよい。これにより、回転翼部21によって拡散された冷却材54Lは噴霧状になって大気中に放出されるため、当該冷却材54Lがそのまま地上へ落下することを抑制できる。
またこの場合、円柱状孔部522bの下端の排出蓋523は、設けなくてもよい。
【0036】
<変形例3>
あるいは、図7に示すように、液化した冷却材54Lをパン(受け皿)56で貯留しておき、発熱体561で気化(蒸発)させてもよい。
この場合、孔部522(円柱状孔部522b)の下端に、底部に電熱線等の発熱体561を有するパン56を配置しておけばよい。これにより、パン56で貯留した冷却材54Lを発熱体561で気化させ、当該冷却材54Lがそのまま地上へ落下することを抑制できる。
またこの場合、円柱状孔部522bの下端の排出蓋523は、設けなくてもよい。
【0037】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態(変形例含む)に限られない。
例えば、上記実施形態では、バッテリユニット5(バッテリ51、冷却材54及びケース52)がモジュール化されていることとした。しかし、バッテリ51、冷却材54及びケース52は、モジュール化(ユニット化)されていなくともよい。この場合、冷却材54を補充するときには、例えば前面の蓋部材53を開けて冷却材54だけをケース52内に充填すればよい。
【0038】
また、上記実施形態では、液化した冷却材54Lを排出可能領域に排出したり気化させたりすることとした。しかし、特に冷却材54が環境負荷の小さい物質である場合等には、液化した冷却材54Lを、排出場所やその状態に関わりなくそのまま排出してもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、本発明に係る移動体の一例として無人航空機を挙げて説明したが、本発明に係る移動体は、機体に搭乗した搭乗者(操縦者)によって操縦されても(すなわち有人の航空機でも)よい。
さらに言えば、本発明は、航空機に限定されず、バッテリを搭載する移動体(例えば、車両や船舶、又はこれらを模した玩具等)に広く適用できる。
【0040】
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 無人航空機(移動体)
5 バッテリユニット
20 本体部
21 回転翼部
33 測位センサ(測位部)
35 蓋開閉モータ
36 記憶部
37 制御部
51 バッテリ
52 ケース(排出部、収容部材)
53 蓋部材
54 冷却材
54L 液化した冷却材
54S 固体の冷却材
55 繊維材(気化部)
56 パン
362 地図データ
364 排出ポイントデータ
510 バッテリハウジング
512 前面パネル
521 脚部
522 孔部
522a 円錐状孔部
522b 円柱状孔部
523 排出蓋
561 発熱体
S 空間
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7