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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087125
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】外壁構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/28 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
E06B7/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201740
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】内村 陽介
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓久
(57)【要約】
【課題】外壁の内部への漏水が生じてから漏水の検出までの時間の低減を図ることができる外壁構造を提供する。
【解決手段】外壁構造1は、開口部を有する外壁20と、開口部に設けられたサッシ10と、サッシ10の下側の外壁20の内部に配置され、外壁20の内部への漏水を検出可能な漏水センサ40を具備する。また、漏水センサ40は、外壁20の外壁パネル桟21とサッシ10のサッシ下枠13とによって形成される空間S内に設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する外壁と、
前記開口部に設けられたサッシと、
前記サッシの下側の前記外壁の内部に配置され、前記外壁の内部への漏水を検出可能な漏水センサを具備する、
外壁構造。
【請求項2】
前記漏水センサは、
前記外壁の桟木と前記サッシの下枠とによって形成される空間の内部に設けられる、
請求項1に記載の外壁構造。
【請求項3】
前記空間は、
前記サッシの下枠を固定する固定部材の固定孔と連通する空間である、
請求項2に記載の外壁構造。
【請求項4】
前記漏水センサは、
長手状に形成され、前記サッシの下枠に沿って水平方向に延びるように配置される、
請求項2に記載の外壁構造。
【請求項5】
前記漏水センサは、
当該漏水センサの長手方向端部が、前記サッシの縦枠に沿って鉛直方向に立ち上がるように設けられる、
請求項4に記載の外壁構造。
【請求項6】
前記開口部に沿って前記サッシの屋内側に設けられた額縁を具備し、
前記額縁は、
前記サッシの縦枠に沿って設けられる額縁縦枠と、前記サッシの上枠に沿って設けられる額縁上枠と、前記サッシの下枠に沿って設けられる額縁下枠と、を具備し、
前記額縁下枠は、
前記空間を覆うように設けられるとともに、前記サッシの下枠及び前記額縁縦枠に対して脱着可能に設けられている、
請求項2から請求項5までのいずれか一項に記載の外壁構造。
【請求項7】
前記外壁の前記桟木は、
前記額縁下枠の下方に設けられる屋内側桟木と、
前記屋内側桟木の屋外側に設けられる屋外側桟木と、
を具備し、
前記漏水センサは、前記屋外側桟木に設けられ、
前記屋内側桟木は、
当該屋内側桟木の前記漏水センサと対向する面が切り欠かれるように形成されている、
請求項6に記載の外壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の外壁構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の外壁に形成された開口部に窓等を設ける場合には、一般的に、上下枠及び左右の縦枠で構成された枠体状のサッシが設けられる(例えば、特許文献1)。このようなサッシが設けられた外壁構造においては、暴風雨等大きな風圧を伴った雨の場合等に、外壁の内部への漏水(浸水)が生じる場合がある。
【0003】
外壁の内部への漏水を確実に検出するには、外装材又は内装材を剥がす必要がある。また、非破壊の検査方法として、高周波含水率計を用いて各場所の含水率を測定し、測定した含水率に基づいて漏水の可能性を判断する方法が用いられる場合がある。
【0004】
しかしながら、いずれの方法においても、外壁の内部への漏水を随時検出することはできないため、漏水を検出するタイミングが、漏水が生じてからかなり時間が経過した後となる可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6319639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、外壁の内部への漏水が生じてから漏水の検出までの時間の低減を図ることができる外壁構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、開口部を有する外壁と、前記開口部に設けられたサッシと、前記サッシの下側の前記外壁の内部に配置され、前記外壁の内部への漏水を検出可能な漏水センサを具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記漏水センサは、前記外壁の桟木と前記サッシの下枠とによって形成される空間の内部に設けられるものである。
【0010】
請求項3においては、前記空間は、前記サッシの下枠を固定する固定部材の固定孔と連通する空間であるものである。
【0011】
請求項4においては、前記漏水センサは、長手状に形成され、前記サッシの下枠に沿って水平方向に延びるように配置されるものである。
【0012】
請求項5においては、前記漏水センサは、当該漏水センサの長手方向端部が、前記サッシの縦枠に沿って鉛直方向に立ち上がるように設けられるものである。
【0013】
請求項6においては、前記開口部に沿って前記サッシの屋内側に設けられた額縁を具備し、前記額縁は、前記サッシの縦枠に沿って設けられる額縁縦枠と、前記サッシの上枠に沿って設けられる額縁上枠と、前記サッシの下枠に沿って設けられる額縁下枠と、を具備し、前記額縁下枠は、前記空間を覆うように設けられるとともに、前記サッシの下枠及び前記額縁縦枠に対して脱着可能に設けられているものである。
【0014】
請求項7においては、前記外壁の前記桟木は、前記額縁下枠の下方に設けられる屋内側桟木と、前記屋内側桟木の屋外側に設けられる屋外側桟木と、を具備し、前記漏水センサは、前記屋外側桟木に設けられ、前記屋内側桟木は、当該屋内側桟木の前記漏水センサと対向する面が切り欠かれるように形成されているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1においては、漏水を随時検出可能であるので、外壁の内部への漏水が生じてから漏水の検出までの時間の低減を図ることができる。
【0017】
請求項2においては、外壁の桟木とサッシの下枠とによって形成される空間を有効活用することができる。
【0018】
請求項3においては、外壁の内部に水が比較的浸入し易い箇所に漏水センサが設けられるので、外壁の内部への漏水を検出し易くすることができる。
【0019】
請求項4においては、サッシの下枠と外壁との隙間からの漏水(浸水)を検出することができる。
【0020】
請求項5においては、サッシの縦枠を伝って上方から下方に移動してきた水(伝い水)を、漏水センサによって検出することができる。
【0021】
請求項6においては、額縁下枠を取り外すことにより、漏水センサに付着した水を拭き取り可能な状態となるので、漏水センサのメンテナンス性を向上させることができる。
【0022】
請求項7においては、漏水センサに付着した水をより拭き取り易くなるので、漏水センサのメンテナンス性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る外壁構造を屋外側から見た正面図。
図2図1のA-A断面図。
図3】額縁を屋外側から見た図。
図4】漏水センサが取り付けられた部分を示す平面図。
図5】外壁構造を示すブロック図。
図6】外壁の内部への漏水経路を示した図。
図7】額縁を取り外した状態を示した図。
図8】別例の漏水センサが取り付けられた部分を屋内側から見た背面図。
図9】(a)別例のA-A断面図。(b)別例の屋内側桟木を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明においては、図中に示した矢印に従って、上下方向及び左右方向をそれぞれ定義する。
【0025】
以下では、図1から図5を用いて、本発明の一実施形態に係る外壁構造1について説明する。
【0026】
外壁構造1は、住宅の室内と室外との境界を構成するものである。外壁構造1は、サッシ10、外壁20、額縁30、漏水センサ40及びランプ50を具備する。
【0027】
図1等に示すサッシ10は、後述する外壁20に形成された略矩形の開口部に、シーリング材等の防水部材や断熱部材を介して取付けられる。サッシ10は、サッシ縦枠11、サッシ上枠12、サッシ下枠13、内側ガラス14及び外側ガラス15を具備する。
【0028】
図1に示すサッシ縦枠11は、サッシ10の左右端部を構成する部分である。サッシ縦枠11は、サッシ10の左端及び右端それぞれに、長手方向を上下方向に向けて設けられる。
【0029】
図1に示すサッシ上枠12は、サッシ10の上端部を構成する部分である。サッシ上枠12は、左右のサッシ縦枠11の上端部同士を接続するように、長手方向を左右方向に向けて設けられる。
【0030】
図1に示すサッシ下枠13は、サッシ10の下端部を構成する部分である。サッシ下枠13は、左右のサッシ縦枠11の下端部同士を接続するように、長手方向を左右方向に向けて設けられる。
【0031】
このように形成されたサッシ縦枠11、サッシ上枠12及びサッシ下枠13によって、矩形状の枠体が形成される。
【0032】
内側ガラス14は、サッシ縦枠11、サッシ上枠12及びサッシ下枠13によって形成された矩形状の枠体の内部に、スライド可能に配設される。
【0033】
外側ガラス15は、サッシ縦枠11、サッシ上枠12及びサッシ下枠13によって形成された矩形状の枠体の内部に、スライド可能に配設される。外側ガラス15は、内側ガラス14よりも屋外側に設けられる。
【0034】
図1図2及び図5に示す外壁20は、外壁パネル桟21、パネル面材22、第一ビス23、外装材24、内装材25及び断熱材26を具備する。
【0035】
以下、図2を用いて、外壁20の各構成について説明する。以下では、外壁20のうちサッシ下枠13の周囲の部分に着目して説明を行う。
【0036】
外壁パネル桟21は、外壁20の骨組を構成するものである。外壁パネル桟21は、屋内側桟木21a及び屋外側桟木21bを具備する。
【0037】
屋内側桟木21aは、外壁パネル桟21のうち屋内側の部分を構成する部分である。屋内側桟木21aは、角柱状に形成され、長手方向を外壁構造1の延伸方向(左右方向)に向けて設けられる。屋内側桟木21aは、サッシ下枠13よりも屋内側に設けられる。屋内側桟木21aは、上下方向において当該屋内側桟木21aの上面がサッシ下枠13と重複する高さに設けられる。
【0038】
屋外側桟木21bは、外壁パネル桟21のうち屋外側の部分を構成する部分である。屋外側桟木21bは、角柱状に形成され、長手方向を外壁構造1の延伸方向(左右方向)に向けて設けられる。屋外側桟木21bは、サッシ下枠13の下方に設けられる。屋外側桟木21bは、屋内側桟木21aの屋外側に当該屋内側桟木21aに隣接するように設けられる。屋外側桟木21bは、当該屋外側桟木21bの上面が屋内側桟木21aの上面よりも低い位置となるように設けられる。また、屋外側桟木21bは、長手方向を上下方向に向けて設けられた桟木(図8参照)を含んでいる。これにより、屋外側桟木21bは、サッシ10を取り囲むように構成される。
【0039】
このように外壁パネル桟21が設けられることにより、外壁パネル桟21とサッシ下枠13との間には空間Sが形成される。
【0040】
パネル面材22は、矩形状に形成される板材である。パネル面材22は、各板面をそれぞれ屋内側及び屋外側に向けた状態で、屋外側桟木21bの屋外側の面に設けられる。パネル面材22は、当該パネル面材22の開口部の下面(図2で示す上端部)においてサッシ下枠13の屋外側端部13aを支持する。パネル面材22は、当該パネル面材22の図2で示す上端部が屋外側桟木21bの上面と略面一となるように設けられる。パネル面材22は、当該パネル面材22の下面が屋外側桟木21bの下面よりも低い位置となるように設けられる。
【0041】
第一ビス23は、サッシ下枠13及びパネル面材22を屋外側桟木21bに固定するものである。第一ビス23は、サッシ下枠13の屋外側端部13a及びパネル面材22の上部に屋外側から屋内側に向けて挿通され、屋外側桟木21bに打ち込まれる。このようにして、サッシ下枠13及びパネル面材22が、第一ビス23によって屋外側桟木21bに共締めされる。
【0042】
外装材24は、外壁20の屋外側を装飾するものである。外装材24は、装飾面を屋外側に向けた状態で、パネル面材22の屋外側の面に設けられる。
【0043】
内装材25は、外壁20の屋内側を装飾するものである。内装材25は、装飾面を屋内側に向けた状態で、屋内側桟木21aの屋内側の面に設けられる。内装材25は、当該内装材25の開口部の下面(図2で示す上端部)が屋内側桟木21aの上面と略同じ高さ(より詳細には、内装材25の図2で示す上端部が屋内側桟木21aの上面よりも若干高い位置)となるように設けられる。
【0044】
断熱材26は、外壁20の内部空間の断熱を行うものである。断熱材26は、パネル面材22と内装材25との間に、かつ、屋外側桟木21bの下方に設けられる。
【0045】
このように形成された外壁20により、住宅の室内と室外とを仕切ることができる。また、外壁20の開口部にサッシ10が支持される。
【0046】
図2及び図3等に示す額縁30は、サッシ10が設けられる外壁20の開口部に沿ってサッシ10の屋内側に設けられる見切材である。額縁30は、額縁縦枠31、額縁上枠32及び額縁下枠33を具備する。
【0047】
図3に示す額縁縦枠31は、額縁30の左右端部を構成する部分である。額縁縦枠31は、額縁30の左端及び右端それぞれに、長手方向を上下方向に向けて設けられる。
【0048】
図3に示す額縁上枠32は、額縁30の上端部を構成する部分である。額縁上枠32は、左右の額縁縦枠31の上端部同士を接続するように、長手方向を左右方向に向けて設けられる。
【0049】
図2及び図3に示す額縁下枠33は、額縁30の下端部を構成する部分である。額縁下枠33は、左右の額縁縦枠31の下端部同士を接続するように、長手方向を左右方向に向けて設けられる。
【0050】
額縁下枠33の左右端部には、ほぞ33aが形成される。左側のほぞ33aは、額縁下枠33の左端部から左方に突出するように形成される。右側のほぞ33aは、額縁下枠33の右端部から右方に突出するように形成される。ほぞ33aは、額縁縦枠31に形成されたほぞ穴31aに差し込まれる。これにより、額縁下枠33は、額縁縦枠31に対して脱着可能に設けられる。
【0051】
このように形成された額縁縦枠31、額縁上枠32及び額縁下枠33によって、額縁30は、矩形の枠体状に形成される。額縁30は、左右対称かつ上下対称に形成される。以下、図2を用いて、額縁下枠33の構成及び配置について詳細に説明する。
【0052】
図2に示すように、額縁下枠33は、屋内側桟木21a及び内装材25の開口部の下面(図2で示す上端部)の上方に設けられる。額縁下枠33は、側面視(A-A断面視)において、屋内側桟木21aよりも屋外側から内装材25よりも屋内側まで延びるとともに、その屋内側端部から内装材25に沿って下方に延びて、その下端部が内装材25の図2で示す上端部よりも下方に位置するように形成される。
【0053】
額縁下枠33は、当該額縁下枠33の屋外側端部がサッシ下枠13の屋外側端部の立上がり部13bに当接するように設けられる。また、額縁下枠33は、当該額縁下枠33の屋外側端部がサッシ下枠13の屋外側端部の水平部13cの下方に位置するように設けられる。
【0054】
このように額縁下枠33が設けられることにより、外壁パネル桟21とサッシ下枠13とによって形成される空間Sを目隠しすることができる。
【0055】
第二ビス34は、額縁下枠33を屋内側桟木21aに固定するものである。第二ビス34は、サッシ下枠13の水平部13c及び額縁下枠33に上方から下方に向けて挿通され、屋内側桟木21aに打ち込まれる。このようにして、サッシ下枠13及び額縁下枠33が、第二ビス34によって屋内側桟木21aに共締めされる。これにより、額縁下枠33は、屋内側桟木21aに対して脱着可能に設けられる。なお、額縁下枠33に形成される第二ビス34の挿通孔(固定孔)は、空間Sと連通する。
【0056】
図2図4及び図5に示す漏水センサ40は、外壁20の内部への漏水(浸水)を検出するものである。漏水センサ40は、任意の種類のセンサを使用することができる。本実施形態においては、漏水センサ40は、電気式の漏水センサが使用される。漏水センサ40は、電極間の抵抗を検知可能に構成され、電極に液体が接触した場合の電極間の抵抗の変化(低下)により、漏水を検知する。漏水センサ40は、一度漏水を検出した後は、漏水センサ40に付着した水を拭き取ることにより、再度漏水の検出が可能な状態となる。
【0057】
漏水センサ40は、可撓性を有する長手状に形成される。本実施形態においては、漏水センサ40は、帯状に形成される。漏水センサ40は、外壁パネル桟21とサッシ下枠13とによって形成される空間S内に設けられる。漏水センサ40は、外壁構造1の延伸方向(左右方向)に延びるように設けられる。漏水センサ40は、屋外側桟木21bの上面に設けられる。より詳細には、漏水センサ40は、屋外側桟木21bの上面のうち、屋内側桟木21aに近い部分(屋内側)に設けられる。
【0058】
図4は、漏水センサ40が取り付けられた部分の平面図である。図4においては、外壁パネル桟21及び漏水センサ40以外の部材の図示を省略している。図4に示すように、漏水センサ40は、ステープル等の固定具41によって屋外側桟木21bに固定される。固定具41は、所定の間隔(例えば300mm)を空けて設けられ、漏水センサ40の両端部及び中途部を屋外側桟木21bに固定する。
【0059】
図5に示すランプ50は、漏水センサ40による漏水の検出を住人に報知するものである。ランプ50は、住宅の室内空間の適宜の位置に設けられ、漏水センサ40と接続される。ランプ50は、漏水センサ40が漏水を検出した場合に点灯し、漏水センサ40が漏水を検出しなくなった場合に消灯するように構成される。
【0060】
このように構成された外壁構造1において、室内及び屋外から外壁20の内部に漏水(浸水)することがある。例えば、図6に示すように、結露がサッシ10を伝って第二ビス34を打ち込んだ箇所の隙間(室内)から外壁20の内部に浸入する場合がある。また、暴風雨等大きな風圧を伴った雨の場合等に、第一ビス23を打ち込んだ箇所の隙間(屋外)から、雨水が外壁20の内部に浸入する場合がある。外壁20の内部への漏水(浸水)が継続的に発生すると、外壁20の内部に水が滞留する等、漏水による被害が生じる。
【0061】
そこで、本実施形態に係る外壁構造1においては、外壁20の内部に漏水センサ40が設けられている。これにより、外装材24又は内装材25を剥がさなくても、外壁20の内部への漏水を検出することができる。また、外壁20の内部への漏水を随時検出できるので、漏水の進行を抑制することができ、漏水による被害を抑制できる。
【0062】
また、漏水センサ40は、外壁20の内部への浸水の入口となり易い第一ビス23(サッシ下枠13及びパネル面材22の固定具)及び第二ビス34(サッシ下枠13及び額縁30の固定具)の近傍に設けられている。より詳細には、漏水センサ40は、額縁下枠33に形成される第二ビス34の挿通孔(固定孔)と連通する空間Sに設けられている。このため、外壁20の内部への漏水を検出し易くすることができる。
【0063】
また、漏水センサ40は、一度漏水を検出した後は、漏水センサ40に付着した水を拭き取るメンテナンスを行う必要がある。本実施形態に係る外壁構造1においては、図7に示すように、第二ビス34を取り外した後、額縁30を屋内側へスライドさせることにより、外壁パネル桟21とサッシ下枠13とによって形成される空間Sの上方が開放される。これにより、空間Sの上方から、漏水センサ40に付着した水を拭き取ることが可能となる。したがって、漏水センサ40のメンテナンス性を向上させることができる。
【0064】
具体的には、漏水センサ40に付着している水滴が視認できる場合には、サッシ下枠13と屋内側桟木21aとの間の隙間から手を入れて、布等で水滴を拭き取ることができる。また、漏水センサ40に付着している水滴が視認できない場合には、棒体の先端に布を取り付け、棒体の先端を漏水センサ40に沿って移動させることで、水滴を拭き取ることができる。また、エアスプレーガン等で漏水センサ40にエアーを吹き付けることで、漏水センサ40に付着している水滴を吹き飛ばすことができる。
【0065】
漏水センサ40が外壁20の内部への漏水を検出した場合、ランプ50が点灯することによって住人は漏水の発生を知ることができる。漏水が発生した場合、住人は、外壁20の内部の詳細な検査を行うようにすることができる。
【0066】
なお、住人は、ランプ50の点灯時間に応じて対応を変えることもできる。例えば、ランプ50が点灯しても数分程度ですぐに消灯する場合は、誤作動の可能性が高いため、外壁20の内部の詳細な検査は行わずに様子を見るようにしてもよい。また、ランプ50が点灯しても例えば数分から24時間以内に消灯する場合は、誤作動あるいは軽微な漏水が生じていることが考えられるため、住人は、額縁下枠33を取り外して漏水センサ40の拭き取り作業を行い、様子を見るようにしてもよい。また、ランプ50が24時間以上点灯し続ける場合は、漏水が発生している可能性が高いため、住人は、額縁下枠33を取り外して漏水センサ40の拭き取り作業を行い、その後もランプ50の点灯が続くようであれば、外壁20の内部の詳細な検査を行うよう業者を手配してもよい。
【0067】
以上の如く、本実施形態に係る外壁構造1は、
開口部を有する外壁20と、
前記開口部に設けられたサッシ10と、
前記サッシ10の下側の前記外壁20の内部に配置され、前記外壁20の内部への漏水を検出可能な漏水センサ40を具備するものである。
【0068】
このような構成により、漏水を随時検出可能であるので、外壁の内部への漏水が生じてから漏水の検出までの時間の低減を図ることができる。
【0069】
また、前記漏水センサ40は、
前記外壁20の外壁パネル桟21(桟木)と前記サッシ10のサッシ下枠13とによって形成される空間Sの内部に設けられるものである。
【0070】
このような構成により、外壁20の外壁パネル桟21とサッシ10のサッシ下枠13とによって形成される空間Sを有効活用することができる。
【0071】
また、前記空間Sは、前記サッシ10のサッシ下枠13を固定する第二ビス34(固定部材)の固定孔と連通する空間であるものである。
【0072】
このような構成により、外壁20の内部に水が比較的浸入し易い箇所に漏水センサ40が設けられるので、外壁20の内部への漏水を検出し易くすることができる。
【0073】
また、前記漏水センサ40は、
長手状に形成され、前記サッシ10のサッシ下枠13に沿って水平方向に延びるように配置されるものである。
【0074】
このような構成により、サッシ10のサッシ下枠13と外壁20との隙間からの漏水(浸水)を検出することができる。
【0075】
また、前記開口部に沿って前記サッシ10の屋内側に設けられた額縁30を具備し、
前記額縁30は、
前記サッシ10のサッシ縦枠11に沿って設けられる額縁縦枠31と、前記サッシ10のサッシ上枠12に沿って設けられる額縁上枠32と、前記サッシ10のサッシ下枠13に沿って設けられる額縁下枠33と、を具備し、
前記額縁下枠33は、
前記空間Sを覆うように設けられるとともに、前記サッシ10のサッシ下枠13及び前記額縁縦枠31に対して脱着可能に設けられているものである。
【0076】
このような構成により、額縁下枠33を取り外すことにより、漏水センサ40に付着した水を拭き取り可能な状態となるので、漏水センサ40のメンテナンス性を向上させることができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0078】
例えば、本実施形態において、漏水センサ40は、屋外側桟木21bの上面に設けられるものとしたが、漏水センサ40の配置場所はこれに限定されるものではなく、例えば屋内側桟木21aの屋外側の側面に設けられてもよい。
【0079】
また、本実施形態においては、ランプ50により外壁20の内部への漏水を報知するものとしたが、漏水の報知手段はこれに限定されず任意のものとすることができ、例えば音で知らせるものであってもよい。
【0080】
また、漏水の報知手段は、ランプ50に加えて、ランプ50の点灯時間に応じた報知を行う手段(例えば文字を表示する表示手段)を備えていてもよい。例えば、前記表示手段は、ランプ50が点灯しても数分程度ですぐに消灯する場合は、外壁20の内部の検査が不要である旨を表示することができる。また、前記表示手段は、ランプ50が点灯しても例えば数分から24時間以内に消灯する場合は、漏水センサ40の拭き取り作業が必要であるが外壁20の内部の検査は不要である旨を表示することができる。また、ランプ50が24時間以上点灯し続ける場合は、漏水センサ40の拭き取り作業及び外壁20の内部の検査が必要である旨を表示することができる。
【0081】
また、本実施形態において、漏水センサ40は、長手方向を左右方向に向けて設けられた屋外側桟木21bの上面に水平方向(左右方向)に延びるように設けられるものとしたが、図8に示すように、漏水センサ40の長手方向端部が、長手方向を上下方向に向けて設けられた屋外側桟木21b及びサッシ縦枠11に沿って鉛直方向に立ち上がるように設けられるようにしてもよい。これにより、漏水センサ40は、上方からの伝い水を検出することができる。
【0082】
以上の如く、本実施形態に係る外壁構造1において、
前記漏水センサ40は、
当該漏水センサ40の長手方向端部が、前記サッシ10のサッシ縦枠11に沿って鉛直方向に立ち上がるように設けられるものである。
【0083】
このような構成により、サッシ縦枠11を伝って上方から下方に移動してきた水(伝い水)を、漏水センサ40によって検出することができる。
【0084】
また、本実施形態において、屋内側桟木21aは側面視矩形状に形成されるものとしたが、屋内側桟木21aの形状はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、屋内側桟木21aには、屋内側桟木21aの屋外側の面(漏水センサ40と対向する面)及び上面が切り欠かれた切欠部21cが形成されていてもよい。これにより、額縁下枠33を取り外した際に、空間Sの上方から漏水センサ40に付着した水滴を拭き取り易くなる。すなわち、漏水センサ40のメンテナンス性をより向上させることができる。
【0085】
以上の如く、本実施形態に係る外壁構造1において、
前記外壁20の前記外壁パネル桟21(桟木)は、
前記額縁下枠33の下方に設けられる屋内側桟木21aと、
前記屋内側桟木21aの屋外側に設けられる屋外側桟木21bと、
を具備し、
前記漏水センサ40は、前記屋外側桟木21bに設けられ、
前記屋内側桟木21aは、
当該屋内側桟木21aの前記漏水センサ40と対向する面が切り欠かれるように形成されているものである。
【0086】
このような構成により、漏水センサ40に付着した水をより拭き取り易くなるので、漏水センサ40のメンテナンス性をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 外壁構造
10 サッシ
13 サッシ下枠
20 外壁
21 外壁パネル桟
23 第一ビス
30 額縁
33 額縁下枠
34 第二ビス
40 漏水センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9