(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087144
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/28 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
H02K1/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201778
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】奈良 精久
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD02
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD23
5H601DD47
5H601EE18
5H601GA40
5H601JJ05
(57)【要約】
【課題】生産性を向上する。
【解決手段】モータは、シャフトと、前記シャフトを回動可能に支持する軸受と、前記軸受を保持するステータと、前記ステータに対向して配置されて前記シャフトに固定されるロータと、を備える。前記ロータは穴を有する。前記穴には前記シャフトが通過している。前記ロータは前記穴の内周縁から軸方向に延びる延出部を有する。前記ロータには前記穴の内周縁から延びるスリットが設けられている。前記延出部は前記軸受の端部に接触している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトを回動可能に支持する軸受と、
前記軸受を保持するステータと、
前記ステータに対向して配置されて前記シャフトに固定されるロータと、
を備え、
前記ロータは穴を有し、
前記穴には前記シャフトが通過しており、
前記ロータは前記穴の内周縁から軸方向に延びる延出部を有し、
前記ロータには前記穴の内周縁から延びるスリットが設けられており、
前記延出部は前記軸受の端部に接触している、
モータ。
【請求項2】
前記延出部は周方向に複数設けられ、
前記スリットは、複数の前記延出部の間に設けられる、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記延出部は周方向に等間隔に並ぶ、
請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ロータの前記穴の周縁は軸方向に突出する突出部を有しており、
前記延出部は前記突出部から延出している、
請求項1または2に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータは、寿命を長くし、かつ、高回転で稼働させるため軸受を有し、軸受には、与圧を加えるため、バネである与圧部材が設けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、生産性向上の観点でさらなる改良の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生産性を向上することができるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るモータは、シャフトと、
前記シャフトを回動可能に支持する軸受と、前記軸受を保持するステータと、前記ステータに対向して配置されて前記シャフトに固定されるロータと、を備える。前記ロータは穴を有する。前記穴には前記シャフトが通過している。前記ロータは前記穴の内周縁から軸方向に延びる延出部を有する。前記ロータには前記穴の内周縁から延びるスリットが設けられている。前記延出部は前記軸受の端部に接触している。
【0007】
本発明に係るモータの一態様によれば、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るモータの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1における矢視B-Bにおける断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すモータにおいて、ロータを取り外した状態におけるステータの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すモータにおいて、ロータを取り外した状態におけるステータの底面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示すモータが備えるヨークの斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1に示すモータの一部の端面図であって、シャフトに対して軸方向の一方側へ向かう与圧が加えられた状態を示す端面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るモータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施形態に係るモータを図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るモータ1の斜視図である。
図2は、
図1における矢視B-Bにおける断面図である。
図3は、
図1に示すモータ1において、ロータ4を取り外した状態におけるステータ3の斜視図である。
図4は、
図1に示すモータ1において、ロータ4を取り外した状態におけるステータ3の底面図である。
図5は、
図1に示すモータ1の底面図である。
図6は、
図1に示すモータ1が備えるヨーク41の斜視図である。
図7は、
図6に示すヨーク41の平面図である。なお、
図4、
図5において、ベース7の図示を省略している。
【0011】
第1実施形態に係る
図1に示すモータ1の説明において、方向の理解を容易にするため、後述するシャフト2が延びる方向を軸方向Aと呼び、ステータ3に対して後述するシャフト2が回動する方向を周方向Cと呼び、軸方向Aに対して直交する平面に含まれ、かつ、シャフト2の軸心2oを通過し、周方向Cに対して直交する方向を径方向Rと呼ぶ。
【0012】
第1実施形態に係る
図5に示すモータ1は、軸方向Aから視た場合、ロータ4を基準とすると、ロータ4の径方向Rの内側にステータ3が位置する一方、ステータ3の径方向Rの内側にシャフト2が位置するアウターロータ型である。第1実施形態に係るモータ1は、例えば、三相交流電源に対して電気的に接続される三相モータ(DCモータ)である。
【0013】
第1実施形態に係るモータ1は、例えば電源からの電気エネルギーを、シャフト2の周方向Cへ回転する駆動力に変換する電動機である。モータ1は、例えば、図示しないフレームに収容される。
【0014】
モータ1は、例えば、シャフト2と、ステータ3と、ロータ4と、軸受5と、ライナー6と、ベース7と、を備える。シャフト2は、いわゆる回転軸であって、例えば、金属部材で軸方向Aに沿って延びる円柱状に形成される。シャフト2は、軸心2oを有し、かつ、軸心2oを中心に回動可能に設けられる。軸方向Aにおいて、シャフト2の他方の端部には、ギヤ等の動力伝達機構が固定される。そして、シャフト2は、周方向Cに回転することによって、動力伝達機構を介して外部装置に動力を伝達する。
【0015】
ステータ3は、ロータ4を周方向Cへ回転させるための力を発生させる部分である。本実施形態に係るステータ3は、軸受5の外輪51を保持する。ステータ3は、
図3に示すように、例えば、1つのコア31と、複数のティース32と、複数のインシュレータ33と、複数のコイル34と、を備える。
【0016】
コア31は、例えば、ケイ素鋼板、電磁鋼板、軟磁性鋼板等の板状の金属部材を軸方向Aへ積層することによって形成され、磁性を有する。コア31は、軸方向Aから視た場合、環状に形成される。また、本実施形態に係るステータ3は、コア31とティース32とを一体に形成してある。
【0017】
ティース32のそれぞれは、径方向Rにおいて、コア31の外周面からロータ4側へ突出するように形成される。本実施形態に係るステータ3は、例えば、3個のティース32を備える。
【0018】
インシュレータ33は、例えば、絶縁性の樹脂等により形成されてティース32の表面に装着され、ティース32とコイル34との間の絶縁性を確保する。本実施形態に係るステータ3は、例えば、3個のインシュレータ33を備える。
【0019】
コイル34は、例えば、インシュレータ33を介してティース32に巻線を巻き回して形成される。巻線は、導電性の芯線(不図示)と、芯線の周囲を被覆する絶縁性の被覆部(不図示)と、を有する。本実施形態に係るステータ3は、例えば、3個のコイル34を備える。
【0020】
ロータ4は、シャフト2の軸心2oを中心に回動可能に設けられる。本実施形態に係るロータ4は、径方向Rにおいてステータ3と対向して配置され、シャフト2に固定される。さらに、本実施形態に係るモータ1は、シャフト2とロータ4とを別体として形成してある。
【0021】
ロータ4は、例えば、径方向Rにおいてステータ3の外側に配置される。つまり、このモータ1は、ステータ3の径方向Rの外側にロータ4が位置するアウターロータ型のブラシレスモータである。
【0022】
ロータ4は、ヨーク41と、マグネット42と、延出部415と、を有する。ヨーク41は、例えば鉄等の磁性材料で形成される。ヨーク41は、例えば、有底の円筒状に形成される。より具体的に説明すると、ヨーク41は、蓋部41aと、筒部41bと、を有する。
【0023】
蓋部41aの径方向Rにおける中央には、穴411が形成される。つまり、本実施形態に係るロータ4は、穴411を有する。穴411には、シャフト2が通過している。穴411は、例えば円形に形成され、軸方向Aにおいて、蓋部41aを貫通する。
【0024】
蓋部41aは、本体411aと、本体411aよりも軸方向Aの厚さが厚い突出部412aとを有する。つまり、ヨーク41は、本体411aから軸方向Aの一方側に向けて突出する突出部412aを有する。言い換えると、突出部412aの軸方向Aの厚さ412tは、本体411aの軸方向Aの厚さ411tより厚い。このため、蓋部41aにおいて、突出部412aの剛性は、本体411aの剛性よりも大きい。突出部412aは、蓋部41aの径方向Rにおける中央に位置し、かつ、穴411は、突出部412aに形成される。本実施形態に係る突出部412aは、例えば、円形の板状に形成される。言い換えると、ロータ4の穴411の周縁IEは軸方向Aに突出する突出部412aを有する。また、本実施形態に係る延出部415は、突出部412aから延出している。
【0025】
蓋部41aは、穴411の内周縁IEから延在するスリット413を有する。本実施形態に係るスリット413は、穴411の内周縁IEから径方向Rに沿って延びる直線状に形成される。また、蓋部41aには、複数のスリット413(本実施形態では6個)が形成される。そして、複数のスリット413は、周方向Cにおいて等間隔に並ぶ。また、蓋部41aは、スリット413が形成されることで、軸方向Aに変形可能な弾性部414を有する。弾性部414は、周方向Cにおいて隣接するスリット413とスリット413との間に位置する。また、蓋部41aは、複数の弾性部414(本実施形態では6個)を有する。また、スリット413は、軸方向Aから視た場合、周方向Cにおいて複数の延出部415の間に位置する(
図7参照)。
【0026】
弾性部414の弾性力の大きさは、スリット413の長さによって設定される。より具体的に説明すると、スリット413の径方向Rの長さを長くすると、弾性力が小さくなる一方、スリット413の径方向Rの長さを短くすると、弾性力が大きくなる。
【0027】
スリット413は、蓋部41aにおける突出部412aが設けられた領域に配置され、突出部412aが設けられていない領域には配置されていない。このため、突出部412aの剛性により、弾性部414の弾性力を大きくすることができる。つまり、本実施形態に係るロータ4は、蓋部41aの軸方向Aにおいて、突出部412aが設けられた領域の厚さは、突出部412aが設けられていない領域の厚さより厚いため、突出部412aを有さない蓋部41aと比較して弾性力を大きくすることができる。
【0028】
延出部415は、
図2に示すように、穴411の内周縁IEから軸方向Aに延びる。そして、軸方向Aにおいて、延出部415の一方の端部は、軸受5における内輪52に接触している。より具体的に説明すると、延出部415は、軸方向Aにおける一方側の端部が、後述する軸受5の内輪52の第1端部52E1(
図8参照)に固定される。また、軸方向Aにおいて、延出部415の他方の端部は、弾性部414に接触している。より具体的に説明すると、延出部415は、軸方向Aにおける他方側の端部が、弾性部414に固定される。
【0029】
さらに、延出部415は、
図7に示すように、軸方向Aから視た場合、周方向Cにおいて隣接する2つのスリット413の間に配置される。本実施形態に係るロータ4には、複数の延出部415(本実施形態では3個)が形成される。そして、複数の延出部415は、周方向Cにおいて等間隔に並ぶ。本実施形態において、スリット413によって形成された6個の弾性部414に対して、延出部415が設けられた弾性部414と、延出部415が設けられていない弾性部414と、が周方向Cにおいて交互に配置される。つまり、本実施形態に係るロータ4は、周方向Cにおいて、間隔をあけて複数の延出部415を配置してある。また、本実施形態に係る延出部415は、ヨーク41と別体に形成される。
【0030】
マグネット42は、例えば、永久磁石によって構成される。本実施形態に係るマグネット42は、例えば、円筒状に形成される。
【0031】
軸受5は、ステータ3に対してシャフト2を回動可能に支持する。本実施形態に係るモータ1は、
図2に示すように、軸方向Aにおいて、シャフト2の一方側に位置して延出部415に接触する第1軸受5aと、シャフト2の他方側に位置して延出部415に対して非接触の第2軸受5b、とを備える。第1軸受5aの構成と、第2軸受5bの構成とは同一であるため、第1軸受5aの構成について説明し、第2軸受5bの説明を省略する。
【0032】
第1軸受5aは、例えば、転がり軸受であり、筒状に形成される。第1軸受5aは、シャフト2、ロータ4、動力伝達機構、および、外部装置の加重を支持しながら、ステータ3にシャフト2が周方向Cへ回動可能な状態を維持する。第1軸受5aは、径方向Rにおいて、シャフト2側(内側)に位置する内輪52と、シャフト2の反対側(外側)に位置する外輪51と、内輪52と外輪51との間に位置し、周方向Cに沿って並べられた複数のボール53と、を有する。ボール53は、例えば、球形に形成される。そして、軸受5において、後述するように外輪51に対して内輪52が軸方向Aへ移動可能である。
【0033】
外輪51は、例えば、ライナー6の孔部に圧入されることで、ライナー6の内周面に固定される。言い換えると、外輪51は、ステータ3、ライナー6、および、ベース7で構成される固定側に取り付けられる。
【0034】
内輪52は、シャフト2の外周面に固定される。言い換えると、内輪52は、シャフト2、ロータ4、駆動伝達機構、および、外部装置で構成される非固定側に取り付けられる。また、固定側と非固定側との間に、複数のボール53が介在し、ボール53によって、外輪51に対して内輪52が周方向Cに回動可能である。本実施形態に係る第1軸受5aは、外輪51に対して内輪52が軸方向Aへ移動可能である。
【0035】
ライナー6は、径方向Rにおいて、軸受5の外輪51と、ステータ3との間に位置する。本実施形態に係るライナー6は、例えば、筒状に形成される。
【0036】
ベース7は、固定側の部材に取り付けられることでモータ1を固定する。また、ベース7は、
図3に示すように、本体71と、本体71に形成された穴72と、を有する。穴72は、本体71を軸方向Aに貫通する。そして、作業者は、穴72にボルトを挿通し、かつ、固定側の部材に形成された孔にボルトの先端を挿通し、その後、ボルトの先端にナットを螺合することで、ベース7を介してモータ1が固定側の部材に取り付けられる。
【0037】
次に、本実施形態に係るモータ1の与圧(余圧)について
図8を用いて説明する。
図8は、
図1に示すモータの一部の端面図であって、シャフトに対して軸方向の一方側へ向かう与圧F1が加えられた状態を示す端面図である。なお、
図8において、便宜的に、軸方向Aにおいて一方側へ向かう方向を第1方向A1と称呼し、かつ、軸方向Aにおいて他方側へ向かう方向を第2方向A2と称呼する。
【0038】
本実施形態に係るモータ1は、例えば、シャフト2が第1方向A1へ向かうように、予め設定された与圧F1を加えることで、以下のような移動および変形を生じさせる。すなわち、シャフト2は、与圧F1によって第1方向A1へ移動し、かつ、シャフト2に固定された内輪52も第1方向A1へ移動する。そして、内輪52に固定された延出部415も第1方向A1へ移動するとともに、延出部415に固定された弾性部414が変形するとともに、弾性部414に弾性力が発生する。
【0039】
この状態では、弾性部414は、穴411の内周縁IEが最も大きく変形し、径方向Rにおいて穴411から離れるに従って変形量が小さくなり、スリット413における径方向Rの外側に位置する端部の近傍において、変形量が最も小さくなる。より具体的に説明すると、弾性部414の穴411の内周縁IEにおける第2方向A2側の表面IEfが、本体411aにおける第2方向A2側の表面411fよりも第1方向A1側に位置するように弾性部414が変形する。また、この状態において、スリット413が設けられていない本体411aは、弾性変形が生じていない。
【0040】
また、この状態では、内輪52において第1方向A1側に位置する第2端部52E2が、径方向Rにおいて外輪51に対向する位置から外れた状態となり、かつ、外輪51において第2方向A2側に位置する第1端部51E1が、径方向Rにおいて内輪52に対して対向する位置から外れた状態となる。この状態においても、ボール53は、径方向Rにおいて内輪52と外輪51との間に位置して、ステータ3に対してシャフト2およびロータ4が周方向Cへ回動可能な状態を維持する。
【0041】
以上に説明したように、本実施形態に係るモータ1は、ロータ4にスリット413を形成することで、ロータ4に弾性部414を形成することができる。従って、与圧(余圧)F1を加えて内輪52を軸方向Aの一方側へ付勢しながら、弾性部414の弾性力で軸方向Aの他方側へ付勢することができるため、外輪51に対して内輪52が軸方向Aへ移動することを抑制することができる。そのため、軸方向Aにおける外輪51に対する内輪52の位置を適正に制御することができるから、シャフト2およびロータ4はステータ3に対して安定した回動を維持することができる。
【0042】
本実施形態に係るロータ4は、穴411の内周縁IEから軸方向Aに延びる延出部415を有し、延出部415は軸受5の第1端部52E1に接触している。その上、ロータ4には穴411の内周縁IEから延びるスリット413が設けられており、スリット413によってロータ4に弾性部414が形成される。そのため、スリット413によってロータ4の一部に弾性部414を形成することができるから、与圧を制御するための別途の弾性部材を設ける必要がない。その結果、本実施形態に係るモータ1は、別途の弾性部材をロータ4に設ける必要がないから、生産性を向上することができる。その上、モータ1の価格を安価にすることができると共に、部品点数を削減することができる。
【0043】
本実施形態に係るロータ4の延出部415は周方向Cに複数設けられ、スリット413は、複数の延出部415の間に設けられる。
【0044】
本実施形態に係る延出部415は、周方向Cに等間隔に並ぶ。そのため、本実施形態に係るロータ4は、シャフト2の軸心2oに対して複数の延出部415の配置が容易である。その上、本実施形態に係る延出部415は、弾性部414に発生する弾性力(予圧)を、周方向Cおいて均等に軸受5の内輪52に伝達することができる。
【0045】
本実施形態に係るロータ4の穴411の周縁は軸方向Aに突出する突出部412aを有しており、延出部415は突出部412aから延出している。
【0046】
本実施形態に係るロータ4は、周方向Cにおいて、間隔をあけて複数の延出部415を配置してある。そのため、延出部415を形成するための資材をできるだけ少なくすることができるから、モータ1を安価にすることができる。
【0047】
なお、上述した実施形態に係るモータ1は、3個のティース32を有し、3個のコイル34を有するものを説明した。しかし、本実施形態に係るモータ1のティース32およびコイル34の数は、それに限られず、任意の個数に設定することができる。
【0048】
また、上述した実施形態に係るスリット413は、穴411の内周縁IEから径方向Rに沿って直線状に延びるものを説明した。しかし、本実施形態に係るスリット413は、それに限られない。例えば、スリット413は、穴411の内周縁IEから径方向Rの外側へ向けて延びる曲線状に形成されてもよい。
【0049】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るモータ1Aに関して
図9、
図10を用いて説明する。
図9は、第2実施形態に係るモータ1Aの断面図である。
図10は、
図9に示すモータ1Aが備えるヨーク41の斜視図である。なお、第2実施形態に係るモータ1Aの構成において、第1実施形態に係るモータ1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
本実施形態に係るモータ1Aは、例えば
図9に示すように、シャフト2と、ステータ3と、ロータ4Aと、軸受5と、ライナー6と、ベース7と、を備える。
【0051】
第1実施形態に係るロータ4は、ヨーク41と、延出部415と、を別体に形成するものを説明した。しかし、本実施形態に係るロータ4Aは、
図9、
図10に示すように、ヨーク41Aと、延出部415Aと、を一体的に形成してある。
【0052】
また、本実施形態に係るヨーク41Aは、弾性部414の数と、延出部415Aの数とが同一である。より具体的に説明すると、ヨーク41は、6個の弾性部414と、6個の延出部415Aと、を有する。言い換えると、本実施形態に係るモータ1Aにおいて、複数の延出部415Aは、シャフト2の周方向Cにおける外周面に沿って配置される。
【0053】
本実施形態に係るロータ4Aは、ヨーク41Aと、延出部415Aと、を一体的に形成してある。そのため、本実施形態に係るロータ4Aは、第1実施形態に係るロータ4のように、ヨーク41に延出部415と固定する作業が不要であるため、生産性を向上することができる。
【0054】
なお、上述した第1実施形態に係るモータ1、1Aは、アウターロータ型のものを説明した。しかし、本実施形態に係るモータ1、1Aは、それに限られない。例えば、本実施形態に係るモータ1、1Aは、軸方向Aから視た場合、ロータ4の径方向Rの外側にステータ3が位置するインナーロータ型のものに適用することができる。
【0055】
また、上述した実施形態に係るモータ1、1Aは、蓋部41aに突出部412aを設けるものを説明した。しかしながら、本実施形態に係るモータ1、1Aは、それに限られない。例えば、モータ1、1Aは、蓋部41aに突出部412aを設けず、軸方向Aの厚さが一定な蓋部41aを形成してもよい。
【0056】
さらに、上述した実施形態に係るモータ1、1Aは、外輪51を固定側に配置し、かつ、内輪52を非固定側に配置した上で、内輪52に与圧F1および弾性部414の弾性力を作用させるものを説明した。しかしながら、本実施形態に係るモータ1、1Aは、それに限られない。例えば、モータ1、1Aは、外輪51を非固定側に配置し、かつ、内輪52を固定側に配置した上で、外輪51に与圧F1および弾性部414の弾性力を作用させてもよい。
【0057】
以上、本発明に係るモータ1、1Aの実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。上述した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0058】
1、1A、 モータ、 2 シャフト、 3 ステータ、 4、4A ロータ、 411 穴、 412a 突出部、 413 スリット、 415、415A 延出部、 5 軸受、 52E1 第1端部(端部)、 C 周方向、 IE 内周縁