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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087145
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】コンテナシート及び雨対策設備
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/02 20190101AFI20240624BHJP
【FI】
B65D90/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201779
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼地 春菜
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋
(72)【発明者】
【氏名】繁泉 恒河
(72)【発明者】
【氏名】正木 祥太
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA21
3E170BA01
3E170DA01
3E170PA09
3E170PA10
3E170RA02
3E170RA13
3E170VA16
3E170VA20
3E170WE02
(57)【要約】
【課題】着脱が容易であり、滞水を確実に防止する技術の提供。
【解決手段】コンテナシート1は、開口被覆部11及び周縁部12を有する防水シート10と、コンテナCNの側面に取り付けられる密閉補助具と対をなす、周縁部12に設けられた密閉補助具20aと、開口被覆部11の上面に設けられた複数の筒状部30とで構成されており、開口被覆部11をコンテナCNの開口に被せ、周縁部12をコンテナCNの側面に沿わせた状態で、対をなす密閉補助具20によりコンテナCNの側面に対し固定される。その上で、個々の筒状部30の内部空間31の中央部に長尺を有する起立板40が設置されると、筒状部30が山形に変形し、隣接する2つの筒状部30の間に谷部32が形成される。降雨時には、雨水が山形をなした筒状部30の傾斜を伝って谷部32に流れたのち、谷部32からコンテナCNの側方に排出される。よって、上部への滞水を確実に防止することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口したコンテナの上部を被覆するためのコンテナシートであって、
防水性を有する材料で形成された略矩形かつ平面状のシートと、
前記シートの上面に設けられた複数の筒状構造と
を備え、
前記筒状構造は、
前記上面に沿って短手方向に延び、前記上面の長手方向に複数並んでいる
ことを特徴とするコンテナシート。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテナシートにおいて、
前記シートにおける周縁部に設けられ、前記シートを前記コンテナの側面に対して固定させることで前記コンテナの密閉を補助する密閉補助具
をさらに備えたコンテナシート。
【請求項3】
請求項2に記載のコンテナシートにおいて、
前記密閉補助具は、
磁石であり、前記コンテナの側面又は側面に貼付された磁性部材に対し前記磁石を介して前記シートを固定させることを特徴とするコンテナシート。
【請求項4】
請求項2に記載のコンテナシートにおいて、
前記密閉補助具は、
対をなす2つの係合部品を有したファスナーの一方の係合部品であり、当該係合部品を前記コンテナの側面に設置された他方の係合部材に係合させて前記シートを固定させることを特徴とするコンテナシート。
【請求項5】
請求項2に記載のコンテナシートにおいて、
前記密閉補助具は、
締結孔であり、前記コンテナの側面に設置されたレールに前記締結孔を通して締結部品を締結させることにより前記シートを固定させることを特徴とするコンテナシート。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のコンテナシートにおいて、
前記コンテナの開口に対応する領域内に設けられた貫通孔と、
前記貫通孔から上方に筒状をなして延びた円筒部と
をさらに備えたコンテナシート。
【請求項7】
請求項1に記載のコンテナシートと、
前記筒状構造の内部に配置された起立部材と
を備え、
前記起立部材は、
長尺を有する略板状であり、その短辺部は前記シートの上面に略垂直に立つように設けられ、その長辺部は前記シートの上面に接して設けられる
ことを特徴とする雨対策設備。
【請求項8】
請求項7に記載の雨対策設備において、
前記起立部材を挟んだ両側又は前記起立部材の下側に配置され、前記起立部材の起立を補助する起立補助部材
をさらに備えた雨対策設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口したコンテナの上部を被覆するためのコンテナシート及びこれを用いた雨対策設備に関する。
【背景技術】
【0002】
着脱式の輸送コンテナには、屋根がなく上部が開口したものがある。このようなコンテナに対しては、雨除け対策として、開口全体を大きな防水シートで覆い、ゴムバンド等でテンションをかけてシートをコンテナに固定させるのが一般的である。このような対策は、シートの着脱が容易な点でメリットがあるものの、コンテナの密閉性がなく、また、シート上に雨水が溜まってシートが撓むことがあり、最悪の場合には、滞水の重みでシートが外れて収容物を保護できなくなる虞がある。シート上への滞水を防止すべく、シートと骨組みとが一体化された製品も存在するが、このような製品はコンテナへの着脱が容易でない。
【0003】
このような背景の下、2本のベルトの間に支柱を挟むように取り付け、この一対のベルトの両端を引くと菱形が形成される仕組みを利用し、支柱を挟んで固定した複数対のベルトを防水シートの裏面に接合することにより、防水シートの表面を山形に保ち、雨水が溜まらない構成としたシートカバーが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3031751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したシートカバーは、防水シートの表面を山形にすることができるため、コンテナがさほど大きくなければ滞水の防止が可能と考えられる。しかしながら、支柱が設けられるのは防水シートの長手方向における中央部のみであるため、防水シートの表面が山形になっても、コンテナが大きければ山形をなす2つの傾斜が長くなり、個々の傾斜の中間部に滞水が生じる懸念がある。これを避けるために支柱を高くすることも考えられるが、その場合には、シートカバーの折り畳みが困難となり嵩張ることから、不使用時の保管に制約が生じることが推測される。また、このシートカバーを用いるには、ベルトに張力を付加するための接続具及び張設ユニットをコンテナの長手方向の両側に装着しなければならず、その空間の確保も必要となる。そのため、より簡便に取り扱うことができ、かつ、コンテナの大きさに関わらずシート上への滞水を確実に防止できる雨除け対策が求められている。
【0006】
そこで本発明は、着脱が容易であり、滞水を確実に防止する技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は以下のコンテナシート及び雨対策設備を採用する。なお、以下の括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
すなわち、本発明のコンテナシートは、開口したコンテナの上部を被覆するためのコンテナシートであって、防水性を有する材料で形成された略矩形かつ平面状のシートと、シートの上面に設けられた複数の筒状構造とを備え、筒状構造は、上面に沿って短手方向に延び、上面の長手方向に複数並んでいることを特徴としている。
【0009】
この態様のコンテナシートをコンテナの上部に被せた上で、個々の筒状構造に対し長尺を有した桟木や樹脂板等の板状部材を起立させた状態で設置すると、筒状構造が山形に変形し、隣接する2つの筒状構造の間に谷部が形成される。降雨時には、雨水が山形の傾斜を伝って谷部に流れ落ちたのち、谷部からコンテナの短手方向の側方に流れ落ちる。このように、この態様のコンテナシートによれば、山形に変形可能な筒状構造を活用することで、シートの上部に雨水が溜まりにくくなる作用を生じるため、滞水を確実に防止することができる。
【0010】
また、この態様のコンテナシートは板状部材と一体化されておらず、コンテナシートを設置した後に板状部材を後から1つずつ挿入することができるため、作業員一人でも着脱を容易に行うことができ、不使用時にはコンパクトに折り畳んで保管することができる。
【0011】
より好ましくは、上述した態様のコンテナシートにおいて、シートにおける周縁部に設けられ、シートをコンテナの側面に対して固定させることでコンテナの密閉を補助する密閉補助具をさらに備えている。
【0012】
例えば、密閉補助具は磁石であり、コンテナの側面又は側面に貼付された磁性部材(例えば、スチール板)に対し磁石を介してシートを固定させる。又は、密閉補助具は対をなす2つの係合部品を有したファスナー(例えば、線ファスナーや面ファスナー)の一方の係合部品であり、当該係合部品をコンテナの側面に設置された他方の係合部材に係合させてシートを固定させる。或いは、密閉補助具は締結孔(例えば、ねじ孔)であり、コンテナの側面に設置されたレールに対する締結部品(例えば、ねじ)の締結によりシートを固定させる。
【0013】
この態様のコンテナシートによれば、シートの周縁部に設けられた一方の密閉補助具がコンテナの側面に取り付けられた他方の密閉補助具に密着又は係合することにより、コンテナシートをコンテナの側面に対して固定させることができるため、コンテナの密閉性を確保することが可能となる。
【0014】
さらに好ましくは、上述したいずれかの態様のコンテナシートにおいて、コンテナの開口に対応する領域内に設けられた貫通孔と、貫通孔から上方に筒状をなして延びた円筒部とをさらに備えている。
【0015】
この態様のコンテナシートによれば、円筒部にガスの入れ替え用の管を挿入して閉塞することができるため、コンテナの密閉性を確保しながらコンテナ内のガスの入れ替えを行うことができる。
【0016】
また、本発明の雨対策設備は、上述したいずれかの態様のコンテナシートと、筒状構造の内部に配置された起立部材とを備えており、起立部材は、長尺を有する略板状であり、その短辺部はシートの上面に略垂直に立つように設けられ、その長辺部はシートの上面に接して設けられることを特徴としている。
【0017】
この態様の雨対策設備は、コンテナシートが有する個々の筒状構造の内部に起立部材(桟木や樹脂板等の板状部材)を配置するだけで設置が完了するため、作業員一人でも設置や撤去を容易に行うことができる。また、起立部材の配置により筒状構造が山形に変形することで、シートの上部に雨水が溜まりにくくなるため、コンテナ上部への滞水を確実に防止することができる。
【0018】
より好ましくは、上述した態様の雨対策設備において、起立部材を挟んだ両側又は起立部材の下側に配置され、起立部材の起立を補助する起立補助部材をさらに備えている。
【0019】
この態様の雨対策設備によれば、起立補助部材(例えば、直角三角形の底面を有した三角柱やブックスタンドのようなL型部材、起立部材に組み合わせてT字型にするための平板部材等)をさらに備えており、筒状構造の内部に設置された板状部材の転倒を防止することができるため、山形に変形した筒状構造の形状を良好に保持することができ、コンテナ上部への滞水を一段と確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、着脱が容易であり、滞水を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態のコンテナシート1の構成例を示す平面図である。
図2】筒状部30を示す垂直断面図(図1中のII-II線に沿う断面図)である。
図3】筒状部30の使用態様を示す図である。
図4】起立板40を支える補助部材の態様例を示す図である。
図5】第1態様の密閉補助具20(マグネット)を説明する図である。
図6】第2態様の密閉補助具22(線ファスナー)を説明する図である。
図7】第3態様の密閉補助具23(ポリ袋式ファスナー)を説明する図である。
図8】第4態様の密閉補助具24(面ファスナー)を説明する図である。
図9】第5態様の密閉補助具25(レールへの締結)を説明する図である。
図10】第6態様の密閉補助具26(クリップによる固定)を説明する図である。
図11】一実施形態の雨対策設備100の構成例を示す斜視図である。
図12】変形例のコンテナシート2の構成例及び使用態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態はコンテナシート及び雨対策設備の好適な一例であり、本発明の実施形態はこの例示に限定されない。
【0023】
〔コンテナシートの構成〕
図1は、一実施形態のコンテナシート1の構成例を示す平面図である。
コンテナシート1は、防水性を有する材料で形成された略矩形かつ平面状の防水シート10と、防水シート10の周縁部12に設けられた密閉補助具20aと、防水シート10の上面に設けられた複数の筒状部30とで構成される。
【0024】
防水シート10は、全体として略矩形であるが、その4つの隅部が切り欠かれており、コンテナ上部の開口を被覆することとなる開口被覆部11と、開口被覆部11から外方に延びた周縁部12とを有している。周縁部12に設けられた密閉補助具20aは、コンテナの側面に別途設けられる密閉補助具と対をなしており、これらの密閉補助具が係合することにより、防水シート10をコンテナの側面に対して固定させることができ、コンテナを密閉することが可能となる。なお、密閉補助具の具体的な態様については、別の図面を参照しながら詳しく後述する。
【0025】
複数の筒状部30は、開口被覆部11の上面(表面)の長手方向に略等間隔で並列して配置されている。また、個々の筒状部30は、開口被覆部11の上面に沿って短手方向に延びている。なお、図示の例においては、9個の筒状部30が一定の間隔で配置されているが、筒状部30の個数、幅、配置の間隔は、これに限定されず、状況に応じて適宜変更が可能である。筒状部30の長さについては、別の図面を用いてさらに後述する。
【0026】
〔筒状部を用いた滞水対策〕
図2は、1つの筒状部30を拡大して示す垂直断面図(図1中のII-II線に沿う断面図)である。
筒状部30は、開口被覆部11(防水シート10)の上面にシート状の部材が接着、溶着、縫合等により接合されてなる。筒状部30は開口被覆部11(防水シート10)の短手方向に貫通しており、筒状部30の内側には内部空間31が形成されている。筒状部30は、内部空間31に長尺を有した桟木や樹脂板等の板状部材(後述する起立板)を起立させた状態で設置することで山形に変形する。これにより、開口被覆部11上に雨水が溜まりにくくなる作用を生じる。
【0027】
筒状部30をなすシート状の部材は、少なくとも防水性を有しており、防水シート10と同一の材質であってもよいし、異なる材質(例えば、より薄くより柔らかい材質)であってもよいが、筒状部30は使用時には山形に変形させる一方、不使用時には折り畳むことから、変形させることが容易な材質であることが好ましい。
【0028】
図3は、筒状部30の使用態様を示す図である。
なお、発明の理解を容易とするために、図3においては、起立板40に網掛けを施している。
【0029】
図3中(A):コンテナシート1が設置されたコンテナCNを長尺側面の側からみた様子を表している。コンテナシート1は、開口被覆部11をコンテナCNの上部の開口に被せ、周縁部12をコンテナCNの側面に沿わせた状態で、対をなす密閉補助具20によりコンテナCNの側面に対して固定される。その上で、個々の筒状部30の内部空間31の中央部に長尺を有する起立板40が挿入され、その長辺部が開口被覆部11の上面に接しつつ、その短辺部が開口被覆部11の上面に対して略垂直に立つ状態で設置されると、筒状部30が山形に変形し、隣接する2つの筒状部30の間に谷部32が形成される。
【0030】
降雨時には、雨水が山形をなした筒状部30の傾斜を伝って谷部32に流れ落ちる。谷部32には雨水が一定以上は溜まらず、ある程度の雨水が溜まると、図中に示した水滴WDのように、谷部32からコンテナCNの長尺側面側(短手方向の側方)に流れ落ちる。このようにして、コンテナシート1によれば、その上部に集まった雨水が適切に排出されるため、滞水を確実に防止することができる。
【0031】
図3中(B):コンテナシート1が設置されたコンテナCNを短尺側面側からみた様子を表している。図示されるように、筒状部30の長さL30は、開口被覆部11の短手方向の幅W11よりも短く(L30<W11)、例えば、開口被覆部11の短手方向の幅W11よりも1~2割程度短く設計されている。また、筒状部30には、筒状部30の全長を超える長さL40を有する起立板40が設置され(L40>L30)、起立板40の両端部が筒状部30からはみ出した状態で設置される。
【0032】
このような寸法とすることにより、起立板40を設置した際に開口被覆部11の端部が筒状部30に引っ張られて浮き上がるのを防止することができる。結果として、コンテナシート1を固定する密閉補助具20に余計な張力が掛からないようにすることができ、コンテナCNを密閉した状態で保持することが可能となる。
【0033】
コンテナCNの上端部には、側壁の厚みより内側にせり出した部分が存在しており、このせり出し部分に起立板40の長さ方向の端部を載せることが可能である。したがって、起立板40の長さL40は、少なくともコンテナCNの短手方向の内寸、すなわち開口被覆部11の短手方向の幅W11から両側のせり出し幅2Eを差し引いた長さを超えていればよい(L40>W11-2E)。また、起立板40の長さL40は、開口被覆部11の短手方向の幅W11を超えてもよいが、長すぎると邪魔になるため、例えば、幅W11よりも5cm長い範囲内であれば許容できる(L40≦W11+5)。
【0034】
図4は、起立板40を支える補助部材の態様例を示す図である。
筒状部30に設置した起立板40の転倒を防止(起立を補助)するために、内部空間31にはさらに補助部材を設置することが可能である。図4中(A),(B),(C)の其々において、左図は、図3中の一点鎖線IVに囲まれた部位を拡大して示す図であり、右図は、補助部材を単独で示す斜視図である。
【0035】
図4中(A):2つの三角柱41で起立板40を挟む態様を示している。三角柱41は直角三角形の底面を有しており、底面を横にしつつ直角をなす一方の面を起立板40に対向させて両側から挟み込むことにより、起立板40を支えることができる。三角柱41は、起立板40に沿う方向(図中の奥行方向)の寸法が短めに形成されており、内部空間31の長さ方向に間隔を空けてN箇所に2個ずつ合計2N個(例えば、内部空間31の両端部に2個ずつ合計4個)が設置される。或いは、右図に示されるように、三角柱41を二点鎖線の方向に延ばして長めに形成されたものを2個、内部空間31の全長に亘って設置してもよい。
【0036】
図4中(B):2つのL型柱42で起立板40を挟む態様を示している。L型柱42は平板状部材が直角に曲げられ、又は、2枚の平板状部材が直角に組まれて、ブックスタンドのような形状をなしたものであり、直角をなす一方の面を起立板40に対向させて両側から挟み込むことにより、起立板40を支えることができる。L型柱42は、起立板40に沿う方向(図中の奥行方向)の寸法が短めに形成されており、内部空間31の長さ方向に間隔を空けてNか所に2個ずつ合計2N個(例えば、内部空間31の両端部に2個ずつ合計4個)が設置される。或いは、右図に示されるように、L型柱42を二点鎖線の方向に延ばして長めに形成されたものを2個、内部空間31の全長に亘って設置してもよい。
【0037】
図4中(C):起立板40の下に平板状の支持板43を設置してT字型に組み合わせる態様を示している。支持板43は、起立板40の挿入後に設置してもよいし、起立板40の挿入前に設置してもよい。或いは、支持板43を起立板40に釘等で簡易に固定させ、T字型に組み合わせた上で内部空間31に設置してもよい。支持板43は、短めに形成されており、起立板40の底面のうち内部空間31に収まる部位に対し長さ方向に間隔を空けてNか所(例えば、内部空間31に収まる部位の両端部)に設置される。或いは、右図に示されるように、支持板43を二点鎖線の方向に延ばして長めに形成されたものを、内部空間31に収まる部位全体に対して設置してもよい。
【0038】
なお、補助部材(三角柱41、L型柱42、支持板43)は、起立板40とは別体として設けてもよいし、起立板40と一体化して設けてもよいが、起立板40と一体化せずに別体として分離しておいた方が、取り扱いが容易であり、筒状部30への起立板40及び補助部材の設置や撤去を行い易い。
【0039】
〔密閉補助具による密閉性の確保〕
図5図10は、対をなす密閉補助具に関する様々な態様例を説明する図である。各図において、(A)は、一方の密閉補助具がコンテナCNの側面に設けられた様子を表しており、(B)は、他方の密閉補助具が周縁部12に設けられた様子(コンテナシートを底面(裏面)側からみた図)を表しており、(C)は、対をなす密閉補助具がどのように係合し合うのかを部分断面図により示している。(A)は、コンテナCNの4つの側面のうち1つの側面のみを表しているが、図示されていない他の3つの側面にも同様の密閉補助具が設けられている。
【0040】
なお、発明の理解を容易とするために、密閉補助具の形状を誇張して表している。また、コンテナシートとコンテナCNとを識別し易いよう、両者の間に隙間を空けて図示しているが、実際には隙間が生じないようコンテナシートはコンテナCNにぴたりと沿わせて設置される。以下、個々の密閉補助具の態様について、順を追って説明する。
【0041】
図5は、第1態様の密閉補助具20として、マグネットを用いた構成例を説明する図である。密閉補助具20は主に、マグネットベルト20aとスチール板20bとで構成される。
【0042】
密閉補助具20のうち、コンテナCNの側面にスチール板20bが貼付される一方、周縁部12の底面(裏面)側にはマグネットベルト20aの縫合、挿入等がなされたベルト状のシートが接着されている。開口被覆部11でコンテナCNの開口を覆った後に、マグネットベルト20aをスチール板20bに合わせながら周縁部12をコンテナCNの側面に対向させることにより、マグネットベルト20aがスチール板20bに磁着し、コンテナシートが側面に固定されてコンテナCNが密閉される。さらに、周縁部12の端部にゴムバンド21を取り付けてテンションを掛けることにより、コンテナシートをコンテナCNに対し一段と強固に固定させ、コンテナCNを一段と確実に密閉することができる。
【0043】
マグネットベルト20aには、強い磁力を有したネオジム磁石等が好ましく、また、広範囲を磁着可能なラバータイプのマグネットシート等が好ましい。なお、コンテナCNにおいてスチール板20bが貼付される部位が磁性材で形成されている場合には、スチール板20bの貼付は不要である。また、スチール板20bに代えて、他の磁性材を貼付してもよい。
【0044】
図6は、第2態様の密閉補助具22として、線ファスナーを用いた構成例を説明する図である。密閉補助具22は主に、2つのエレメント列22a,22bで構成される。
【0045】
密閉補助具22のうち、線ファスナーをなす一方のエレメント列22bが縁に沿って設けられたシートがコンテナCNの側面に接着される一方、他方のエレメント列22aが周縁部12の縁に沿って設けられている。開口被覆部11でコンテナCNの開口を覆った後に、線ファスナーの開具を嵌め合わせた上でスライダーを引くと、双方のエレメントが噛み合い、スライダーを最後まで引き切ると、コンテナCNの側面に接着されたシートと周縁部12とが閉じた状態となり、コンテナシートが側面に固定されてコンテナCNが密閉される。
【0046】
図7は、第3態様の密閉補助具23として、ポリ袋式ファスナー、すなわちファスナー付きポリ袋に設けられているような様式のファスナーを用いた構成例を説明する図である。密閉補助具23は主に、凹条部23aと凸条部23bとで構成される。
【0047】
密閉補助具23のうち、コンテナCNの側面に凸条部23bが接着等により取り付けられる一方、周縁部12の底面(裏面)側には凹条部23aが設けられている。開口被覆部11でコンテナCNの開口を覆った後に、凹条部23aの溝を凸条部23bの隆起に合わせて周縁部12を押さえ込むと、凸条部23bの隆起が凹条部23aの溝に嵌まり、凹条部23aの全長に亘って凸条部23bが嵌合すると、周縁部12がコンテナCNの側面に対して閉じた状態となり、コンテナシートが側面に固定されてコンテナCNが密閉される。
【0048】
なお、図7においては、凹条部23aが周縁部12に設けられ、凸条部23bがコンテナCNの側面に設けられているが、凹条部23a及び凸条部23bの配置はこの例と逆にしてもよい。
【0049】
図8は、第4態様の密閉補助具24として、面ファスナーを用いた構成例を説明する図である。密閉補助具24は主に、対をなす2つの面、すなわち、ループ(輪)が配列されたメス面24aとフック(鉤)が配列されたオス面24bとで構成される。
【0050】
密閉補助具24のうち、オス面24bがコンテナCNの側面に接着等により取り付けられる一方、周縁部12の底面(裏面)側にはメス面24aが設けられている。開口被覆部11でコンテナCNの開口を覆った後に、メス面24aの端部をオス面24bの端部に合わせて周縁部12の上面側から押さえ込むと、フックがループに係合することで双方が接着し合い、メス面24aが全長に亘ってオス面24bに接着すると、周縁部12がコンテナCNの側面に対して閉じた状態となり、コンテナシートが側面に固定されてコンテナCNが密閉される。
【0051】
なお、図8においては、メス面24aが周縁部12に設けられ、オス面24bがコンテナCNの側面に設けられているが、メス面24a及びオス面24bの配置はこの例と逆にしてもよい。
【0052】
図9は、第5態様の密閉補助具25として、レール及び締結部品を用いた構成例を説明する図である。
【0053】
この態様においては、金属等で形成された2枚の対向する板を有するレール25bがコンテナCNの4つの側面のそれぞれに取り付けられる。各レール25bは、その両端部に締結部品を受け入れる締結孔を有している。一方、4つの周縁部12もまた、それぞれの両端部に締結部品を受け入れる締結孔25aを有している。開口被覆部11でコンテナCNの開口を覆った後に、レール25bをなす2枚の板の間に周縁部12を通し、周縁部12がレール25bに挟まれた状態でねじ等の締結部品を締結孔25aに通してレール25bに対し締結することにより、コンテナシートが側面に固定されてコンテナCNが密閉される。
【0054】
図10は、第6態様の密閉補助具26として、単管パイプ及びクリップを用いた構成例を説明する図である。
【0055】
この態様においては、コンテナCNの側面に単管パイプ26bが取り付けられる。上述した第1~第5態様の密閉補助具とは異なり、この態様においては、コンテナシートの周縁部12には密閉補助具が設けられておらず、単管パイプ26bを挟持可能なクリップ26aが用いられる。具体的には、開口被覆部11でコンテナCNの開口を覆った後に、周縁部12をコンテナCNの側面に沿わせた状態で、単管パイプ26bの上からクリップ26aで挟み込むことにより、コンテナシートが側面に固定されてコンテナCNが密閉される。
【0056】
以上のように、図5図10に示した第1~第6態様の密閉補助具のいずれかを用いてコンテナシートをコンテナCNに対し固定させることにより、コンテナCNの密閉性を確保することができる。したがって、コンテナシート1によれば、コンテナCNを所定のガスを充填させて用いるような場合に、臭気漏れを防止することができるとともに、充填物を特定のガス濃度で養生することができる。
【0057】
なお、図6図10に示した第2~第6態様においても、図5に示した第1態様における場合と同様に、周縁部12の端部にゴムバンド21を取り付けてもよい。こうすることにより、ゴムバンド21でテンションを掛けてコンテナシート1をコンテナCNに対し一段と強固に固定させ、コンテナCNを一段と確実に密閉することができる。
【0058】
〔コンテナシートを用いた雨対策設備〕
図11は、一実施形態の雨対策設備100の構成例を示す斜視図である。
雨対策設備100は、コンテナCNの上部の開口を覆ったコンテナシート1と、コンテナシート1が有する個々の筒状部30の内部に設置される起立板40とで構成される。このような雨対策設備100によれば、コンテナシート1(開口被覆部11)の上部に雨水が溜まりにくくなり、雨水が適切に排出されるため、上部への滞水を確実に防止することができる。また、周縁部12が密閉補助具20によりコンテナCNの側面に対して確実に固定されるため、コンテナCNの密閉性を確保することができる。
【0059】
なお、周縁部12には、密閉補助具20に代えて、上述した他の態様の密閉補助具22~26のいずれかを設けてもよい。また、筒状部30の内部には、起立板40に加えて、その起立を補助する上述した態様の補助部材41~43のいずれかを設けてもよい。また、図示の例においては、全ての筒状部30の内部に起立板40が設置されているが、状況に応じて使用個数を加減することができる。使用しない筒状部30は、広げずに折り畳んでおけばよい。
【0060】
〔コンテナシートの変形例〕
図12は、変形例のコンテナシート2の構成例及び使用態様を示す図である。
コンテナシート2は、開口被覆部11に管挿入孔50を有している点において、上述した実施形態のコンテナシート1と異なっている。なお、コンテナシート1と共通する点については説明を省略する。
【0061】
図12中(A):コンテナシート2の構成例を示す平面図である。コンテナシート2においては、開口被覆部11に1つ以上(図示の例においては3つ)の管挿入孔50が設けられている。管挿入孔50は、コンテナCNにガスを充填させたり、コンテナCNからガスを抜き出したりする際に用いられる。管挿入孔50の個数は、用途に応じて適宜変更可能であり、例えば、開口被覆部11の中央部に1つ設置してもよいし、対角線上に複数個を設置してもよい。管挿入孔50を対角に1つずつ合計2箇所に設けた場合には、例えば、一方の管挿入孔50から特定の濃度のガスを流し込み、他方の管挿入孔50からコンテナCNの充填物により変質したガスを抜き出すことが可能である。
【0062】
図12中(B):1つの管挿入孔50を拡大して示す図である。管挿入孔50は、開口被覆部11に設けられた貫通孔51から上方に延びて円筒状をなした、いわば貫通孔を延長させたものである。ガスの入れ替えを行う際には、ガスを出し入れするためのブロワ等に接続した管GPを管挿入孔50に挿入した上で、外側から結束バンド53で縛ることにより、管挿入孔50が管GPに対して固定され閉塞される。
【0063】
なお、結束バンド53に代えて、紐等で管挿入孔50の外側から縛ってもよい。また、管挿入孔50は、不使用時には紐等で縛って塞いでおく。或いは、管挿入孔50の上縁にファスナー等を設けて管挿入孔50を閉塞可能に構成してもよい。
【0064】
上述したコンテナシート1,2及び雨対策設備100によれば、以下のような効果が得られる。
【0065】
(1)コンテナの上部にコンテナシートを被せて、その周縁部を介して側面に固定し、筒状部の内部に起立板や補助部材を設置するだけで雨対策設備が完成するため、コンテナシートの着脱や雨対策設備の設置や撤去を容易に行うことができる。また、個々の筒状部に対し、起立板や補助部材を1つずつ挿入又は挿抜することができるため、作業員一人でも設置や撤去を行うことができる。
【0066】
(2)筒状部の内部に起立板が設置されることで、筒状部が山形に変形して隣接する2つの筒状部の間に谷部が形成され、降雨時には、雨水が山形の傾斜を伝って谷部に流れ落ち、谷部にある程度の雨水が溜まると、谷部からコンテナの短手方向の側方に流れ落ちるため、コンテナシートの上部に集まった雨水を適切に排出することができ、上部への滞水を確実に防止することができる。
【0067】
(3)周縁部に設けられた密閉補助具をコンテナの側面に取り付けられる密閉補助具に密着又は係合させることにより、コンテナシートを側面に対して固定させることができるため、コンテナを密閉した状態で保持することが可能となる。
【0068】
(4)変形例のコンテナシートは開口被覆部に管挿入孔を有しているため、コンテナの密閉性を確保しながらコンテナ内のガスの入れ替えを行うことができる。
【0069】
本発明は、上述した実施形態及び変形例に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。
【0070】
上述した実施形態及び変形例においては、防水シート(コンテナシート)における4つの隅部が切り欠かれているが、4つの隅部を切り欠かないままの形状としてもよい。
【0071】
上述した実施形態においては、筒状部の内部における中央部に板状の起立板が設置されているが、これに代えて、例えば、断面が略台形の角柱等のような、より安定した形状の起立部材を設置してもよい。このような起立部材は、板状の起立板と比較すると入手しにくいかも知れないが、補助部材を設置することなく単独で筒状部を山形に変形させて谷部を形成することできる点において有用である。
【0072】
その他、実施形態及びその変形例において図示とともに挙げたものはいずれも、飽くまで好ましい一例であり、本発明の実施に際して適宜に変形が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0073】
1 コンテナシート
10 防水シート
20 密閉補助具
30 筒状部
40 起立板
100 雨対策設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12