(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087146
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】雨対策設備及び雨対策方法
(51)【国際特許分類】
B65D 90/02 20190101AFI20240624BHJP
【FI】
B65D90/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201780
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼地 春菜
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋
(72)【発明者】
【氏名】繁泉 恒河
(72)【発明者】
【氏名】正木 祥太
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA21
3E170BA10
3E170RA02
3E170RA13
3E170RA20
3E170WE02
3E170WE10
(57)【要約】
【課題】設置が容易であり、滞水を確実に防止する技術の提供。
【解決手段】雨対策設備100は、コンテナ上部の開口を覆って密閉する密閉用シート10と、密閉用シート10をコンテナに対し固定させてコンテナの密閉を補助する密閉補助具20と、密閉用シート10の上に間隔を空けて設けられる複数の枠体30と、枠体30の溝部に設置される梁部材40と、これら全体を覆う防水用シート50とで構成される。防水用シート50の張設時に2つの梁部材40の間を敢えて弛ませて谷部を形成することで、雨水は谷部を経てコンテナの側方に排出される。また、枠体30はアングル等で作製され、梁部材40は軽い材料で作製されているため、長尺でも人力で設置可能である。このように、雨対策設備100は、設置や撤去を容易に行うことができ、雨対策設備100によれば、上部への滞水を確実に防止することができるとともに、コンテナの密閉性を確保することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口したコンテナの上部に設置する雨対策設備であって、
前記コンテナの開口を覆う平面状の第1シートと、
全体として溝部が前記開口の短手方向に延びたU字溝の輪郭を含む形状をなしており、前記第1シートの上において間隔を空けて前記コンテナに掛け渡される複数の枠体と、
長尺の略板状又は略柱状に形成されており、各前記溝部に載置されて前記溝部から突出する梁部材と、
防水性を有する材料で形成されており、前記梁部材の上において複数の前記枠体の間に対応する部位を弛ませた状態で前記コンテナの上部全体を覆う第2シートと
を備えた雨対策設備。
【請求項2】
請求項1に記載の雨対策設備において、
前記第1シートは、
その周縁部に、前記第1シートを前記コンテナの側面に対し固定させて前記コンテナの密閉を補助する密閉補助具を有していることを特徴とする雨対策設備。
【請求項3】
請求項1に記載の雨対策設備において、
前記第1シートは、
その上面に沿って短手方向に延びた筒状構造が、前記上面の長手方向に複数並んで設けられており、
前記筒状構造の内部に配置された起立部材
をさらに備え、
前記起立部材は、
長尺を有する略板状であり、その長尺に沿った側面が前記第1シートの上面に接し、短尺に沿った側面が前記第1シートの上面に垂直に立つように配置される
ことを特徴とする雨対策設備。
【請求項4】
請求項3に記載の雨対策設備において、
前記起立部材を挟んだ両側又は前記起立部材の下側に配置され、前記起立部材の起立を補助する起立補助部材
をさらに備えた雨対策設備。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の雨対策設備において、
前記第1シートは、
前記開口に対応する領域内に、前記第1シートを貫通する孔から上方に筒状をなして延びた円筒部が設けられていることを特徴とする雨対策設備。
【請求項6】
開口したコンテナの上部に対する雨対策方法であって、
第1シートで前記コンテナの開口を覆う開口被覆工程と、
全体としてU字溝の輪郭を含む形状をなした複数の枠体を、前記枠体の長さ方向が前記開口の短手方向となるように、前記第1シートの上に間隔を空けて掛け渡す枠体掛渡工程と、
長尺の略板状又は略柱状に形成された梁部材を各前記枠体の前記U字溝の溝部に載置して前記溝部から突出させる梁載置工程と、
防水性を有する材料で形成された第2シートを前記梁部材の上に被せ、複数の前記枠体の間に対応する部位を弛ませた状態で前記コンテナの上部全体を覆う全体被覆工程と
を含む雨対策方法。
【請求項7】
請求項6に記載の雨対策方法において、
前記第1シートがその周縁部に有する前記コンテナの密閉を補助する密閉補助具を前記コンテナの側面に対して固定させるシート固定工程
をさらに含む雨対策方法。
【請求項8】
請求項6に記載の雨対策方法において、
前記第1シートには、その上面に沿って短手方向に延びた筒状構造が、前記上面の長手方向に複数並んで設けられており、
前記筒状構造の内部に長尺の板状部材を起立させた状態で配置する起立工程
をさらに含む雨対策方法。
【請求項9】
請求項8に記載の雨対策方法において、
前記起立工程では、
前記板状部材の配置前又は配置後に、前記筒状構造の内部における前記板状部材を挟んだ両側に当たる位置又は前記板状部材の下側に当たる位置に、前記板状部材の起立を補助する補助部材を配置することを特徴とする雨対策方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の雨対策方法において、
前記第1シートの前記開口に対応する領域内に設けられ前記第1シートを貫通する孔から上方に筒状をなして延びた円筒部に前記コンテナ内の気体を入れ替えるための管を挿入し、前記円筒部を前記管に対して所定の態様により閉塞する管設置工程
をさらに含む雨対策方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口したコンテナの上部に設置する雨対策設備及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
着脱式の輸送コンテナには、屋根がなく上部が開口したものがある。このようなコンテナに対しては、雨除け対策として、開口全体を大きな防水シートで覆い、ゴムバンド等でテンションをかけてシートをコンテナに固定させるのが一般的である。このような対策は、シートの着脱が容易な点でメリットがあるものの、コンテナの密閉性がなく、また、シート上に雨水が溜まってシートが撓むことがあり、最悪の場合には、滞水の重みでシートが外れて収容物を保護できなくなる虞がある。シート上への滞水を防止すべく、シートと骨組みとが一体化された製品も存在するが、このような製品はコンテナへの着脱が容易でない。
【0003】
コンテナには、開閉自在なウィングや天蓋等の装置が設けられたものも存在するが(例えば、特許文献1を参照)、これらはコンテナの仕様に合わせて専用に設計されたものであり、上部が開口した任意のコンテナに後付けで設けることは困難である。また、コンテナに上記のような大型の装置が設けられていると、コンテナ内部での作業や荷物の積み下ろしの際に邪魔になる。
【0004】
これに対し、防水シートを自動的に折り畳み及び広げることにより、屋根の自動開閉を可能としたコンテナの開閉屋根が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-347883号公報
【特許文献2】特開2004-269005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した開閉屋根であれば、上部が開口したコンテナに後付けで設けることができる。しかしながら、この開閉屋根は、屋根を自動開閉するために当然ながら動力が必要とするため、使用上の制約となりうる。また、この開閉屋根が閉じることでコンテナの開口に張設される防水シートの下側には複数の連結部材が間隔を空けて存在してはいるものの、連結部材は、屋根を開く際に防水シートを山形に押し上げるものであって、屋根を閉じている状態では防水シートを押し上げてはいないことから、防水シートは概ね水平に張設されるため、雨水が防水シート上に溜まると外部に排出することが困難である。そのため、より簡便に取り扱うことができ、かつ、シート上への滞水を確実に防止できる雨除け対策が求められている。
【0007】
そこで本発明は、設置が容易であり、滞水を確実に防止する技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の雨対策設備及び雨対策方法を採用する。なお、以下の括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
すなわち、本発明の雨対策設備及び雨対策方法は、開口したコンテナの上部に雨対策を施すものであって、第1シート(密閉用シート)でコンテナの開口を覆い、全体としてU字溝の輪郭を含む形状をなした複数の枠体を、枠体の長さ方向がコンテナの開口の短手方向となるように、第1シートの上に間隔を空けて掛け渡し、長尺の略板状又は略柱状に形成された梁部材を各枠体におけるU字溝の溝部に載置して溝部から突出させ、防水性を有する材料で形成された第2シート(防水用シート)を梁部材の上に被せ、複数の枠体の間に対応する部位を弛ませた状態でコンテナの上部全体を覆うものである。
【0010】
この態様の雨対策設備及び雨対策方法は、全体が一体化されておらず、個々の構成部品は大きな重量とならないため、設置や撤去を容易に行うことができるとともに、動力を要する場合と比較して簡便に取り扱うことができる。また、第2シートは複数の枠体の間に対応する中間部(隣接する梁部材の間の部分)を敢えて弛ませた状態で設置することで谷部を形成することができ、中間部に落ちた雨水を谷部に集合させたのち、谷部からコンテナの短手方向の側方に排出することができる。したがって、この態様の雨対策設備及び雨対策方法によれば、雨水を適切に排出して、滞水を確実に防止することができる。
【0011】
好ましくは、上述した態様の雨対策設備及び雨対策方法において、第1シートがその周縁部に有するコンテナの密閉を補助する密閉補助具を、コンテナの側面に対して固定させる。
【0012】
この態様の雨対策設備及び雨対策方法によれば、第1シートの周縁部に設けられた一方の密閉補助具がコンテナの側面に取り付けられた他方の密閉補助具に密着又は係合することにより、第1シートをコンテナの側面に対して固定させることができるため、コンテナの密閉性を確保することが可能となる。
【0013】
より好ましくは、上述したいずれかの態様の雨対策設備及び雨対策方法において、第1シートには、その上面に沿って短手方向に延びた筒状構造が、上面の長手方向に複数並んで設けられており、筒状構造の内部に長尺の板状部材を起立させた状態で配置する。また、板状部材の配置前又は配置後に、筒状構造の内部における板状部材を挟んだ両側に当たる位置又は板状部材の下側に当たる位置に、板状部材の起立を補助する補助部材を配置する。
【0014】
この態様の雨対策設備及び雨対策方法においては、個々の筒状構造に板状部材(例えば、桟木や樹脂板等)やその転倒を防止する補助部材(例えば、直角三角形の底面を有した三角柱やブックスタンドのようなL型部材、起立部材と組み合わせてT字型にするための平板部材等)を配置することで、筒状構造を山形に変形させて保持し、隣接する2つの筒状構造の間に谷部を形成することができる。降雨時には、雨水が山形の傾斜を伝って谷部に流れ落ちたのち、谷部からコンテナの短手方向の側方に流れ落ちる。したがって、この態様の雨対策設備及び雨対策方法によれば、第2シートが何らかの事情により本来の防水機能を発揮できない状況に陥った場合であっても、第1シートが十分な防水機能を発揮することができるため、雨水を適切に排出し、滞水を確実に防止することができる。
【0015】
さらに好ましくは、上述したいずれかの態様の雨対策設備及び雨対策方法において、第1シートの開口に対応する領域内に設けられ第1シートを貫通する孔から上方に筒状をなして延びた円筒部にコンテナ内の気体を入れ替えるための管を挿入し、円筒部を管に対して所定の態様により閉塞する。
【0016】
この態様の雨対策設備及び雨対策方法によれば、コンテナの密閉性を確保しながらコンテナ内のガスの入れ替えを行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、設置が容易であり、滞水を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施形態の雨対策設備100の構成例を示す正面図である。
【
図2】密閉用シート10の構成例及び使用態様を示す斜視図である。
【
図3】第1態様の密閉補助具20(マグネット)を説明する図である。
【
図4】第2態様の密閉補助具22(線ファスナー)を説明する図である。
【
図5】第3態様の密閉補助具23(ポリ袋式ファスナー)を説明する図である。
【
図6】第4態様の密閉補助具24(面ファスナー)を説明する図である。
【
図7】第5態様の密閉補助具25(レールへの締結)を説明する図である。
【
図8】第6態様の密閉補助具26(クリップによる固定)を説明する図である。
【
図9】枠体30及び梁部材40の構成例及び使用態様を示す図である。
【
図10】雨対策設備100の設置工程を説明する図(1/2)である。
【
図11】雨対策設備100の設置工程を説明する図(1/2)である。
【
図12】第1変形例の密閉用シート60の構成例を示す平面図である。
【
図13】筒状部63を示す垂直断面図(
図12中のXIII-XIII線に沿う断面図)である。
【
図15】起立板70を支える補助部材の態様例を示す図である。
【
図16】密閉用シート60を用いた雨対策設備200の構成例を示す斜視図である。
【
図17】第2変形例の密閉用シート80の構成例及び使用態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は雨対策設備及び雨対策方法の好適な一例であり、本発明の実施形態はこの例示に限定されない。
【0020】
〔雨対策設備の構成〕
図1は、一実施形態の雨対策設備100の構成例を示す正面図であり、雨対策設備100がコンテナCNの上部に設置された状態をコンテナCNの長尺側面側からみた様子を表している。説明の便宜のために、最上部に設けられた防水用シート50については、コンテナCNの長手方向に沿って切断した断面を図示している。
【0021】
雨対策設備100は、コンテナCNの上部の開口を覆ってコンテナCNを密閉する密閉用シート10と、密閉用シートの周縁部12に設けられた一方の密閉補助具とコンテナCNの側面に取り付けられる他方の密閉補助具とで対をなす密閉補助具20と、密閉用シート10の上に間隔を空けて設置される複数の枠体30と、個々の枠体30の溝部に設置される梁部材40と、これら全体を覆う防水用シート50とで構成される。図示の例においては、枠体30がコンテナCNの上部における長手方向の端部寄りの位置に1つずつ合計2つ設けられている。
【0022】
防水用シート50は、防水性を有する材料で形成されている。防水用シート50がずれたり外れたりするような万一のケースに備え、密閉用シート10もまた、防水性を有する材料で形成されていることが望ましい。なお、防水用シート50の端部にゴムバンドを取り付けて、ゴムバンドでテンションをかけて防水用シート50をコンテナCNに対し固定させてもよい。
【0023】
図2は、密閉用シート10の構成例及び使用態様を示す斜視図である。
密閉用シート10は、全体として略矩形であるが、その4つの隅部が切り欠かれており、コンテナCNの開口を被覆することとなる開口被覆部11と、開口被覆部11から外方に延びた周縁部12とを有している。周縁部12に設けられた密閉補助具20aは、コンテナの側面に設けられる密閉補助具20bと対をなしており、これらの密閉補助具が係合することにより、密閉用シート10をコンテナCNの側面に対して固定させることができ、コンテナCNを密閉することが可能となる。なお、密閉用シート10は、4つの隅部を切り欠かないままの形状としてもよい。
【0024】
〔密閉補助具〕
図3~
図8は、対をなす密閉補助具に関する様々な態様例を説明する図である。各図において、(A)は、一方の密閉補助具がコンテナCNの側面に設けられた様子を表しており、(B)は、他方の密閉補助具が周縁部12に設けられた様子(密閉用シート10を底面(裏面)側からみた図)を表しており、(C)は、対をなす密閉補助具がどのように係合し合うのかを部分断面図により示している。(A)は、コンテナCNの4つの側面のうち1つの側面のみを表しているが、図示されていない他の3つの側面にも同様の密閉補助具が設けられている。
【0025】
なお、発明の理解を容易とするために、密閉補助具の形状を誇張して表している。また、密閉用シート10とコンテナCNとを識別し易いよう、両者の間に隙間を空けて図示しているが、実際には隙間が生じないよう密閉用シート10はコンテナCNにぴたりと沿わせて設置される。以下、個々の密閉補助具の態様について、順を追って説明する。
【0026】
図3は、第1態様の密閉補助具20として、マグネットを用いた構成例を説明する図である。密閉補助具20は主に、マグネットベルト20aとスチール板20bとで構成される。
【0027】
密閉補助具20のうち、コンテナCNの側面にスチール板20bが貼付される一方、周縁部12の底面(裏面)側にはマグネットベルト20aの縫合、挿入等がなされたベルト状のシートが接着されている。開口被覆部11でコンテナCNの開口を覆った後に、マグネットベルト20aをスチール板20bに合わせながら周縁部12をコンテナCNの側面に対向させることにより、マグネットベルト20aがスチール板20bに磁着し、密閉用シート10が側面に固定されてコンテナCNが密閉される。さらに、周縁部12の端部にゴムバンド21を取り付けてテンションを掛けることにより、密閉用シート10をコンテナCNに対し一段と強固に固定させ、コンテナCNを一段と確実に密閉することができる。
【0028】
マグネットベルト20aには、強い磁力を有したネオジム磁石等が好ましく、また、広範囲を磁着可能なラバータイプのマグネットシート等が好ましい。なお、コンテナCNにおいてスチール板20bが貼付される部位が磁性材で形成されている場合には、スチール板20bの貼付は不要である。また、スチール板20bに代えて、他の磁性材を貼付してもよい。
【0029】
図4は、第2態様の密閉補助具22として、線ファスナーを用いた構成例を説明する図である。密閉補助具22は主に、2つのエレメント列22a,22bで構成される。
【0030】
密閉補助具22のうち、線ファスナーをなす一方のエレメント列22bが縁に沿って設けられたシートがコンテナCNの側面に接着される一方、他方のエレメント列22aが周縁部12の縁に沿って設けられている。開口被覆部11でコンテナCNの開口を覆った後に、線ファスナーの開具を嵌め合わせた上でスライダーを引くと、双方のエレメントが噛み合い、スライダーを最後まで引き切ると、コンテナCNの側面に接着されたシートと周縁部12とが閉じた状態となり、密閉用シート10が側面に固定されてコンテナCNが密閉される。
【0031】
図5は、第3態様の密閉補助具23として、ポリ袋式ファスナー、すなわちファスナー付きポリ袋に設けられているような様式のファスナーを用いた構成例を説明する図である。密閉補助具23は主に、凹条部23aと凸条部23bとで構成される。
【0032】
密閉補助具23のうち、コンテナCNの側面に凸条部23bが接着等により取り付けられる一方、周縁部12の底面(裏面)側には凹条部23aが設けられている。開口被覆部11でコンテナCNの開口を覆った後に、凹条部23aの溝を凸条部23bの隆起に合わせて周縁部12を押さえ込むと、凸条部23bの隆起が凹条部23aの溝に嵌まり、凹条部23aの全長に亘って凸条部23bが嵌合すると、周縁部12がコンテナCNの側面に対して閉じた状態となり、密閉用シート10が側面に固定されてコンテナCNが密閉される。
【0033】
なお、
図5においては、凹条部23aが周縁部12に設けられ、凸条部23bがコンテナCNの側面に設けられているが、凹条部23a及び凸条部23bの配置はこの例と逆にしてもよい。
【0034】
図6は、第4態様の密閉補助具24として、面ファスナーを用いた構成例を説明する図である。密閉補助具24は主に、対をなす2つの面、すなわち、ループ(輪)が配列されたメス面24aとフック(鉤)が配列されたオス面24bとで構成される。
【0035】
密閉補助具24のうち、オス面24bがコンテナCNの側面に接着等により取り付けられる一方、周縁部12の底面(裏面)側にはメス面24aが設けられている。開口被覆部11でコンテナCNの開口を覆った後に、メス面24aの端部をオス面24bの端部に合わせて周縁部12の上面側から押さえ込むと、フックがループに係合することで双方が接着し合い、メス面24aが全長に亘ってオス面24bに接着すると、周縁部12がコンテナCNの側面に対して閉じた状態となり、密閉用シート10が側面に固定されてコンテナCNが密閉される。
【0036】
なお、
図6においては、メス面24aが周縁部12に設けられ、オス面24bがコンテナCNの側面に設けられているが、メス面24a及びオス面24bの配置はこの例と逆にしてもよい。
【0037】
図7は、第5態様の密閉補助具25として、レール及び締結部品を用いた構成例を説明する図である。
【0038】
この態様においては、金属等で形成された2枚の対向する板を有するレール25bがコンテナCNの4つの側面のそれぞれに取り付けられる。各レール25bは、その両端部に締結部品を受け入れる締結孔を有している。一方、4つの周縁部12もまた、それぞれの両端部に締結部品を受け入れる締結孔25aを有している。開口被覆部11でコンテナCNの開口を覆った後に、レール25bをなす2枚の板の間に周縁部12を通し、周縁部12がレール25bに挟まれた状態でねじ等の締結部品を締結孔25aに通してレール25bに対し締結することにより、密閉用シート10が側面に固定されてコンテナCNが密閉される。
【0039】
図8は、第6態様の密閉補助具26として、単管パイプ及びクリップを用いた構成例を説明する図である。
【0040】
この態様においては、コンテナCNの側面に単管パイプ26bが取り付けられる。上述した第1~第5態様の密閉補助具とは異なり、この態様においては、密閉用シート10の周縁部12には密閉補助具が設けられておらず、単管パイプ26bを挟持可能なクリップ26aが用いられる。具体的には、開口被覆部11でコンテナCNの開口を覆った後に、周縁部12をコンテナCNの側面に沿わせた状態で、単管パイプ26bの上からクリップ26aで挟み込むことにより、密閉用シート10が側面に固定されてコンテナCNが密閉される。
【0041】
以上のように、
図3~
図8に示した第1~第6態様の密閉補助具のいずれかを用いて密閉用シート10をコンテナCNに対し固定させることにより、コンテナCNの密閉性を確保することができる。したがって、密閉用シート10によれば、コンテナCNを所定のガスを充填させて用いるような場合に、臭気漏れを防止することができるとともに、充填物を特定のガス濃度で養生することができる。
【0042】
なお、
図4~
図8に示した第2~第6態様においても、
図3に示した第1態様における場合と同様に、周縁部12の端部にゴムバンド21を取り付けてもよい。こうすることにより、ゴムバンド21でテンションを掛けて密閉用シート10をコンテナCNに対し一段と強固に固定させ、コンテナCNを一段と確実に密閉することができる。
【0043】
〔枠体及び梁部材〕
図9は、枠体30及び梁部材40の構成例及び使用態様を示す図である。
図9中(A):枠体30及び梁部材40を示す斜視図である。
枠体30は、全体としてU字溝の輪郭状の形状をなしており、例えば、建設現場等で用いられるアングル(断面形状がL型の鋼材)、又は、棒状の部材等を複数組み合わせて作製されている。或いは、軽量の板状部材を複数組み合わせて、輪郭のみならず側面や底面を有するU字溝の形状をなした枠体を作製してもよい。なお、U字溝の輪郭を含む形状をなした適度な大きさのものが身近に存在する場合には、新たに作製することなくそれを枠体として用いることも可能である。
【0044】
梁部材40は、発泡スチロール等の軽量な材料で長尺の板状又は柱状に作製されており、枠体30と略同一の長さと、枠体30の溝部に嵌まる程度の厚みと、溝部から突出する程度の高さとを有している。図示の例においては、厚みの大きな1つの梁部材40が用いられているが、これに代えて、厚みの小さな梁部材を複数立てることにより上記の梁部材40と同程度の厚みにして用いてもよい。いずれにしても、梁部材は軽量であるため、長尺を有していても人力で容易に設置することができる。
【0045】
図9中(B):枠体30に対し梁部材40を設置する前後の様子を、枠体30の短尺側からみた図である。梁部材40は、枠体30の溝部32に嵌め込むようにして載置され、梁部材40の上部が溝部32から突出した状態となる。梁部材40が溝部32から突出することにより、その上から被せられる防水用シート50は梁部材40に接触することとなる。梁部材40は発泡スチロール等で作製されていることから、その角部が防水用シート50に接触しても損傷を与えることがないため、防水用シート50の破れを防止することができる。
【0046】
図9中(C):密閉用シート10、枠体30及び梁部材40が設置されたコンテナCNを短尺側面側からみた様子を表している。図示の例においては、枠体30の長さL
30が、コンテナCNの短手方向の幅W
CNより若干短く設計されている。コンテナCNの上端部には、側壁の厚みより内側にせり出した部分が存在しており、このせり出し部分に枠体30の長さ方向の端部を載せることが可能である。したがって、枠体の長さL
30は、少なくとも、コンテナCNの短手方向の幅W
CNから両側のせり出し幅2Eを差し引いた長さを超えていればよい(L
30>W
CN-2E)。また、枠体30の長さL
30は、コンテナCNの短手方向の幅W
CNより長くすることも可能であるが、長すぎると邪魔になるため、例えば、片側に10cm以内の長さがはみ出る程度であれば許容できる(L
30≦W
CN+20)。
【0047】
〔雨対策設備の設置工程〕
図10及び
図11は、雨対策設備100の設置工程を説明する図である。以下、工程に沿って説明する。
【0048】
図10中(A):先ず、コンテナCNに対し、その上部の開口に開口被覆部11を合わせるようにして、密閉用シート10を被せる。
【0049】
図10中(B):周縁部12をコンテナCNの側面に対向させ、周縁部12に設けられた密閉補助部20aをコンテナCNの側面に取り付けられた密閉補助部20bに係合させることにより、密閉用シート10を側面に固定させる。これにより、コンテナCNが密閉される。
【0050】
図10中(C):次に、密閉用シート10を設置したコンテナCNの上部を短手方向に横断するようにして、密閉用シート10の上から枠体30を掛け渡す。このとき、枠体30は、コンテナCNの長手方向の端部寄りの位置(例えば、コンテナCNの短尺側面から50~100cm程度の位置)に設置する。
【0051】
図11中(D):続いて、枠体30の溝部に梁部材40を載置する。枠体30が長手方向の端部寄りの位置に1つずつ設けられていることから、2つの梁部材40の間には、ある程度の間隔(例えば、150~200cm)が置かれている。
【0052】
図11中(E):最後に、これまでの工程で設置した密閉用シート10、枠体30及び梁部材40の全体を覆うようにして、防水用シート50を被せる。このとき、防水用シート50のうち、梁部材40からコンテナCNの側面に亘る傾斜部は弛ませずにぴんと張る一方、2つの梁部材40の間の部分(中間部)は敢えて弛ませることで谷部を形成する。防水用シート50の端部にゴムバンドを取り付けた場合には、さらにゴムバンドにテンションを掛けて防水用シート50をコンテナCNに対し固定させる。
【0053】
以上で、雨対策設備100の設置が完了する。防水用シート50を上記のような態様で張設することにより、上記の傾斜部に落ちた雨水は傾斜を伝ってコンテナCNの長手方向の側方に落下させることができる。また、中間部に落ちた雨水は、先ず谷部に集まるが、ある程度の量が溜まった後に、図中に示した水滴WDのようにコンテナCNの長尺な側面の側(短手方向の側方)に落下させることができる。このように、雨対策設備100によれば、雨水を適切に排出して、コンテナCNの上部への滞水を確実に防止することができる。
【0054】
また、密閉用シート10が密閉補助具20を介してコンテナCNの側面に対して確実に固定されるため、コンテナCNの密閉性を確保することができる。なお、密閉補助具20に代えて、上述した他の態様の密閉補助具22~26のいずれかを周縁部12に設けてもよい。
【0055】
〔密閉用シートの第1変形例〕
図12は、第1変形例の密閉用シート60の構成例を示す平面図である。
密閉用シート60は、複数の筒状部63を有している点において、上述した実施形態の密閉用シート10と異なっている。なお、密閉用シート10と共通する点については説明を省略する。
【0056】
密閉用シート60は、コンテナ上部の開口を被覆することとなる開口被覆部61と、開口被覆部61から外方に延びた周縁部62に加え、開口被覆部61に複数の筒状部63を有している。
【0057】
複数の筒状部63は、開口被覆部61の上面(表面)の長手方向に略等間隔で並列して配置されている。また、個々の筒状部63は、開口被覆部61の上面に沿って短手方向に延びている。なお、図示の例においては、9個の筒状部63が一定の間隔で配置されているが、筒状部63の個数、幅、配置の間隔は、これに限定されず、状況に応じて適宜変更が可能である。筒状部63の長さについては、別の図面を用いてさらに後述する。
【0058】
〔筒状部〕
図13は、1つの筒状部63を拡大して示す垂直断面図(
図12中のXIII-XIII線に沿う断面図)である。
筒状部63は、開口被覆部61の上面にシート状の部材が接着、溶着、縫合等により接合されてなる。筒状部63は開口被覆部61の短手方向に貫通しており、筒状部63の内側には内部空間64が形成されている。筒状部63は、内部空間64に長尺を有した桟木や樹脂板等の板状部材(後述する起立板)を起立させた状態で設置することで山形に変形する。これにより、開口被覆部64上に雨水が溜まりにくくなる作用を生じる。
【0059】
筒状部63をなすシート状の部材は、少なくとも防水性を有しており、開口被覆部61と同一の材質であってもよいし、異なる材質(例えば、より薄くより柔らかい材質)であってもよいが、筒状部63は使用時には山形に変形させる一方、不使用時には折り畳むことから、変形させることが容易な材質であることが好ましい。
【0060】
図14は、筒状部63の使用態様を示す図である。
なお、発明の理解を容易とするために、
図14においては、起立板70に網掛けを施している。
【0061】
図14中(A):密閉用シート60が設置されたコンテナCNを長尺側面側からみた様子を表している。密閉用シート60は、開口被覆部61をコンテナCNの上部の開口に被せ、周縁部62をコンテナCNの側面に沿わせた状態で、対をなす密閉補助具20によりコンテナCNの側面に対して固定される。その上で、個々の筒状部63の内部空間64の中央部に長尺を有する起立板70が挿入され、その長辺部が開口被覆部61の上面に接しつつ、その短辺部が開口被覆部61の上面に対して略垂直に立つ状態で設置されると、筒状部63が山形に変形し、隣接する2つの筒状部63の間に谷部65が形成される。なお、全ての筒状部63の内部に起立板70を設置する必要はなく、筒状部63の使用個数は状況に応じて加減することができる。使用しない筒状部63は、広げずに折り畳んでおけばよい。
【0062】
降雨時には、雨水が山形をなした筒状部63の傾斜を伝って谷部65に流れ落ちる。谷部65には雨水が一定以上は溜まらず、ある程度の雨水が溜まると、図中に示した水滴WDのように、谷部65からコンテナCNの長尺な側面の側(短手方向の側方)に流れ落ちる。このようにして、密閉用シート60を用いれば、その上部に集まった雨水が適切に排出されるため、滞水を確実に防止することができる。
【0063】
図14中(B):密閉用シート60が設置されたコンテナCNを短尺な側面の側からみた様子を表している。図示されるように、筒状部63の長さL
63は、コンテナCNの短手方向の幅W
CNよりも短く(L
63<W
CN)、例えば、コンテナCNの短手方向の幅W
CNよりも1~2割程度短く設計されている。また、筒状部63には、筒状部63の全長を超える長さL
70を有する起立板70が設置され(L
70>L
63)、起立板70の両端部が筒状部63からはみ出した状態で設置される。
【0064】
このような寸法とすることにより、起立板70を設置した際に開口被覆部61の端部が筒状部63に引っ張られて浮き上がるのを防止することができる。結果として、密閉用シート60を固定する密閉補助具20に余計な張力が掛からないようにすることができ、コンテナCNを密閉した状態で保持することが可能となる。
【0065】
コンテナCNの上端部には、側壁の厚みより内側にせり出した部分が存在しており、このせり出し部分に起立板70の長さ方向の端部を載せることが可能である。したがって、起立板70の長さL70は、コンテナCNの短手方向の幅WCNから両側のせり出し幅2Eを差し引いた長さを超えていればよい(L70>WCN-2E)。また、起立板70の長さL70は、コンテナCNの短手方向の幅WCNを超えてもよいが、長すぎると邪魔になるため、例えば、幅WCNよりも5cm長い範囲内であれば許容できる(L70≦WCN+5)。
【0066】
図15は、起立板70を支える補助部材の態様例を示す図である。
筒状部63に設置した起立板70の転倒を防止(起立を補助)するために、内部空間64にはさらに補助部材を設置することが可能である。
図15中(A),(B),(C)の其々において、左図は、
図14中の一点鎖線XVに囲まれた部位を拡大して示す図であり、右図は、補助部材を単独で示す斜視図である。
【0067】
図15中(A):2つの三角柱71で起立板70を挟む態様を示している。三角柱71は直角三角形の底面を有しており、底面を横にしつつ直角をなす一方の面を起立板70に対向させて両側から挟み込むことにより、起立板70を支えることができる。三角柱71は、起立板70に沿う方向(図中の奥行方向)の寸法が短めに形成されており、内部空間64の長さ方向に間隔を空けてN箇所に2個ずつ合計2N個(例えば、内部空間64の両端部に2個ずつ合計4個)が設置される。或いは、右図に示されるように、三角柱71を二点鎖線の方向に延ばして長めに形成されたものを2個、内部空間64の全長に亘って設置してもよい。
【0068】
図15中(B):2つのL型柱72で起立板70を挟む態様を示している。L型柱72は平板状部材が直角に曲げられ、又は、2枚の平板状部材が直角に組まれて、ブックスタンドのような形状をなしたものであり、直角をなす一方の面を起立板70に対向させて両側から挟み込むことにより、起立板70を支えることができる。L型柱72は、起立板70に沿う方向(図中の奥行方向)の寸法が短めに形成されており、内部空間64に間隔を空けてNか所に2個ずつ合計2N個(例えば、内部空間64の両端部に2個ずつ合計4個)が設置される。或いは、右図に示されるように、L型柱72を二点鎖線の方向に延ばして長めに形成されたものを2個、内部空間64の全長に亘って設置してもよい。
【0069】
図15中(C):起立板70の下に平板状の支持板73を設置してT字型に組み合わせる態様を示している。支持板73は、起立板70の挿入後に設置してもよいし、起立板70の挿入前に設置してもよい。或いは、支持板73を起立板70に釘等で簡易に固定させ、T字型に組み合わせた上で内部空間64に設置してもよい。支持板73は、短めに形成されており、起立板70の底面のうち内部空間64に収まる部位に対し長さ方向に間隔を空けてNか所(例えば、内部空間64に収まる部位の両端部)に設置される。或いは、右図に示されるように、支持板73を二点鎖線の方向に延ばして長めに形成されたものを、内部空間64に収まる部位全体に対して設置してもよい。
【0070】
なお、補助部材(三角柱71、L型柱72、支持板73)は、起立板70とは別体として設けてもよいし、起立板70と一体化して設けてもよいが、起立板70と一体化せずに別体として分離しておいた方が、取り扱いが容易であり、筒状部63への起立板70及び補助部材の設置や撤去を行い易い。
【0071】
図16は、密閉用シート60を用いた雨対策設備200の構成例を示す正面図であり、雨対策設備200がコンテナCNの上部に設置された状態をコンテナCNの長尺側面側からみた様子を表している。説明の便宜のために、最上部に設けられた防水用シート50については、コンテナCNの長手方向に沿って切断した断面を図示している。
【0072】
雨対策設備200は、筒状部63を備えた密閉用シート60を用いる点において、上述した実施形態の雨対策設備100と異なっている。雨対策設備200は、コンテナCNの上部の開口を覆ってコンテナCNを密閉する密閉用シート60と、密閉用シートの周縁部62に設けられた一方の密閉補助具とコンテナCNの側面に取り付けられる他方の密閉補助具とで対をなす密閉補助具20と、密閉用シート60の上に間隔を空けて設置される複数の枠体30と、枠体30の溝部に設置される梁部材40と、密閉用シート60の上面に設けられた複数の筒状部63の内部に設置される起立板70とで構成される。
【0073】
このような雨対策設備200によれば、密閉用シート60による防水構造を、防水用シート50が何らかの事情で本来の防水機能を発揮できなくなった場合の保険として備えることができる。例えば、強風等により防水用シート50が外れた場合、或いは、豪雨等により防水用シート50の中間部に持たせた弛みから雨水を適切に排出できなくなった場合であっても、密閉用シート60による防水構造を備えていれば、筒状部63に起立板70を設置することで形成された谷部からコンテナCNの側方へ雨水を適切に排出することができ、上部への滞水を防止することができる。
【0074】
〔コンテナシートの第2変形例〕
図17は、第2変形例の密閉用シート80の構成例及び使用態様を示す図である。
密閉用シート80は、上述した第1変形例の密閉用シート60をさらに変形させたものであり、開口被覆部81に管挿入孔90を有している点において、密閉用シート60と異なっている。なお、密閉用シート60と共通する点については説明を省略する。
【0075】
図17中(A):密閉用シート80の構成例を示す平面図である。密閉用シート80においては、開口被覆部81に1つ以上(図示の例においては3つ)の管挿入孔90が設けられている。管挿入孔90は、コンテナCNにガスを充填させたり、コンテナCNからガスを抜き出したりする際に用いられる。管挿入孔90の個数は、用途に応じて適宜変更可能であり、例えば、開口被覆部81の中央部に1つ設置してもよいし、対角線上に複数個を設置してもよい。管挿入孔90を対角に1つずつ合計2箇所に設けた場合には、例えば、一方の管挿入孔90から特定の濃度のガスを流し込み、他方の管挿入孔90からコンテナCNの充填物により変質したガスを抜き出すことが可能である。
【0076】
図17中(B):1つの管挿入孔90を拡大して示す図である。管挿入孔90は、開口被覆部81に設けられた貫通孔91から上方に延びて円筒状をなした、いわば貫通孔を延長させたものである。ガスの入れ替えを行う際には、ガスを出し入れするためのブロワ等に接続した管GPを管挿入孔90に挿入した上で、外側から結束バンド93で縛ることにより、管挿入孔90が管GPに対して固定され閉塞される。
【0077】
なお、結束バンド93に代えて、紐等で管挿入孔90の外側から縛ってもよい。また、管挿入孔90は、不使用時には紐等で縛って塞いでおく。或いは、管挿入孔90の上縁にファスナー等を設けて管挿入孔90を閉塞可能に構成してもよい。
【0078】
上述した雨対策設備100,200及びその雨対策方法によれば、以下のような効果が得られる。
【0079】
(1)上述した雨対策設備は、2枚のシート(密閉用シート、防水用シート)と、密閉補助具と、アングル等で作製された枠体と、発泡スチロール等で作製された梁部材とで構成されており、身近な部材を組み合わせて雨対策設備を完成させることができる上に、全体が一体化されておらず、個々の構成部品は大きな重量とならないため、設置や撤去を容易に行うことができる。また、上述した雨対策設備は、動力が不要であるため簡便に取り扱うことができる。
【0080】
(2)防水用シートを設置する際に、隣接する梁部材(枠体)の間に対応する中間部を敢えて弛ませた状態にすることで中間部に谷部が形成されるため、中間部に落ちた雨水を谷部に集合させたのち、谷部からコンテナの短手方向の側方に排出することができ、滞水を確実に防止することができる。
【0081】
(3)変形例の密閉用シートを用いて筒状部の内部に起立板や補助部材を設置して筒状部を山形に変形させておけば、防水用シートが何らかの事情で適切に機能しなくなった場合でも、雨水は山形に変形した筒状部の傾斜を伝って谷部に流れ落ちたのち、谷部からコンテナの短手方向の側方に流れ落ちるため、雨水を適切に排出することができ、防水機能をより強固なものとすることができる。
【0082】
(4)個々の枠体の溝部に対する梁部材の載置や、個々の筒状部に対する起立板や補助部材の設置は、1つずつ行うことができるため、作業員一人でも設置や撤去を行うことができる。
【0083】
(5)周縁部に設けられた密閉補助具をコンテナの側面に取り付けられる密閉補助具に係合させることにより、密閉用シートを側面に対して固定させることができるため、コンテナを密閉した状態で保持することが可能となる。
【0084】
(6)変形例の密閉用シートは開口被覆部に管挿入孔を有しているため、コンテナの密閉性を確保しながらコンテナ内のガスの入れ替えを行うことができる。
【0085】
本発明は、上述した実施形態及び変形例に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。
【0086】
上述した実施形態及び変形例においては、枠体がコンテナの長手方向における端部寄りの位置に1つずつ合計2つ設けられているが、枠体の数はこれに限定されず、間隔を空けて3以上の枠体を設けてもよい。
【0087】
上述した実施形態及び変形例においては、防水用シートにおける4つの隅部が切り欠かれているが、4つの隅部を切り欠かないままの形状としてもよい。
【0088】
その他、実施形態及びその変形例において図示とともに挙げたものはいずれも、飽くまで好ましい一例であり、本発明の実施に際して適宜に変形が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0089】
10 密閉用シート
20 密閉補助具
30 枠体
40 梁部材
50 防水用シート
100 雨対策設備