(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087167
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】道路の送電構造及び舗装ブロック
(51)【国際特許分類】
E01F 9/506 20160101AFI20240624BHJP
E01C 5/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
E01F9/506
E01C5/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201812
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市毛 敬介
(72)【発明者】
【氏名】牧野 浩明
(72)【発明者】
【氏名】菅井 賢
(72)【発明者】
【氏名】大森 俊英
(72)【発明者】
【氏名】竹川 秀人
【テーマコード(参考)】
2D051
2D064
【Fターム(参考)】
2D051AD05
2D051DA01
2D051DA16
2D051DB01
2D064AA01
2D064AA22
2D064AA24
2D064GA00
(57)【要約】
【課題】道路を形成する舗装ブロックを介して電源から負荷までの送電を行う場合でも、舗装ブロック間の配線作業を不要とする道路の送電構造を提供する。
【解決手段】舗装ブロック8を敷設して形成される道路を介して電源から負荷までの間の送電を行う場合、舗装ブロック8間の送電にワイヤレス給電を利用する。ワイヤレス給電として電磁誘導方式を利用する場合、電源接続ブロック20の経路形成部材23は、AC電源6からの交流電流を受けると送電コイルとして作用し、対向する位置に配設される中継ブロック40の経路形成部材43に起電力を発生させる。経路形成部材143は、経路形成部材43からの電力を受けると送電コイルとして作用し、対向する位置に配設される負荷ブロック30の経路形成部材33に起電力を発生させる。経路形成部材33は、経路形成部材143から受電した電力を発光体10に供給して発光させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から負荷までの間の送電を行う道路の送電構造であって、
前記道路には、複数の舗装ブロックが敷設され、前記複数の舗装ブロックのうち少なくとも一部の隣接するブロック間がワイヤレス給電により送電可能に構成されることを特徴とする道路の送電構造。
【請求項2】
前記複数の舗装ブロックのうち前記電源から前記負荷までの間の送電経路上に位置する経路形成舗装ブロックは、
隣接する前記経路形成舗装ブロックに前記電源からの電力を送電する送電手段、あるいは隣接する前記経路形成舗装ブロックから送電されてくる電力を受電する受電手段、の少なくとも一方として作用し、前記送電経路の一部を形成する経路形成部材を側部に備え、
隣接する前記経路形成舗装ブロック同士は、それぞれが備える前記経路形成部材との間で前記ワイヤレス給電を利用して送受電を行うことを特徴とする請求項1に記載の道路の送電構造。
【請求項3】
前記経路形成舗装ブロックのうち少なくとも1つは、
前記送電手段として作用する前記経路形成部材と、
当該舗装ブロックの外部又は内部に設けられている前記電源からの電力を前記送電手段として作用する前記経路形成部材まで送る電力線と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の道路の送電構造。
【請求項4】
前記経路形成舗装ブロックのうち少なくとも1つは、
前記受電手段として作用する前記経路形成部材と、
前記負荷と、
前記受電手段として作用する前記経路形成部材が受電した電力を前記負荷まで送る電力線と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の道路の送電構造。
【請求項5】
前記経路形成舗装ブロックのうち少なくとも1つは、
前記送電手段として作用する前記経路形成部材と、
前記受電手段として作用する前記経路形成部材と、
前記受電手段として作用する前記経路形成部材が受電した電力を前記送電手段として作用する前記経路形成部材まで送る電力線と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の道路の送電構造。
【請求項6】
隣接する前記経路形成舗装ブロックの位置関係を決める位置決め部材を備えることを特徴とする請求項2に記載の道路の送電構造。
【請求項7】
前記ワイヤレス給電が電磁誘導方式のワイヤレス給電である場合、
前記位置決め部材は、前記経路形成舗装ブロックの側面から突出する突起部であり、
前記経路形成部材は、
コイルと、
前記コイルが巻き回される鉄心と、
を備え、前記鉄心の先端が前記突起部の中に入り込むよう前記経路形成舗装ブロックに配設されることを特徴とする請求項6に記載の道路の送電構造。
【請求項8】
前記経路形成舗装ブロックはインターロッキングブロックであり、前記ワイヤレス給電が電磁誘導方式のワイヤレス給電である場合、前記位置決め部材によって隣接する前記経路形成舗装ブロックとの間に形成される隙間に、砂鉄が混在された目地砂が充填されていることを特徴とする請求項6に記載の道路の送電構造。
【請求項9】
インターロッキングブロック以外のブロック舗装おいて、前記位置決め部材は、
前記経路形成舗装ブロックとは別個に設けられ、
基盤と、
前記経路形成舗装ブロックそれぞれの底面に設けられている凹部と嵌合する位置に前記基盤から立設する複数の凸部と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の道路の送電構造。
【請求項10】
前記経路形成舗装ブロックの少なくとも1つは、送電機構の診断を可能とする診断用部材を備えることを特徴とする請求項2に記載の道路の送電構造。
【請求項11】
敷設されることで道路を形成する舗装ブロックであって、
隣接する他の舗装ブロックの少なくとも1つとワイヤレス給電により送電可能に構成されることを特徴とする舗装ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の送電構造及び舗装ブロック、特に舗装ブロックを敷設して形成される道路における送電構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気を使用して路面標示等を行うことは、一般的である。例えば、路面に埋設された発光標示に対して電気を供給する技術として、特許文献1では、ソーラーパネル及び蓄電装置を備える舗装ブロック(ソーラーパネルブロック)を、LEDを備える舗装ブロック(発光表示ブロック)に配線コードにて有線接続し、ソーラーパネルから蓄電装置に貯えられた電力によりLEDを発光させて路面標示を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-108052号公報
【特許文献2】特開2004-270443号公報
【特許文献3】特開平10-176304号公報
【特許文献4】国際公開第2014/147857号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来においては、ソーラーパネル等による電源を備える舗装ブロックと、LED等の負荷を備える舗装ブロックと、を配線コードという電力線にて有線接続する必要があった。そのため、舗装ブロックを敷設する際には配線作業が必要となってくる。
【0005】
本発明は、道路を形成する舗装ブロックを介して電源から負荷までの送電を行う場合でも、舗装ブロック間の配線作業を不要とする道路の送電構造及び舗装ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る道路の送電構造は、電源から負荷までの間の送電を行う道路の送電構造であって、前記道路には、複数の舗装ブロックが敷設され、前記複数の舗装ブロックのうち少なくとも一部の隣接するブロック間がワイヤレス給電により送電可能に構成されることを特徴とする。
【0007】
また、前記舗装ブロックのうち前記電源から前記負荷までの間の送電経路上に位置する経路形成舗装ブロックは、前記道路に敷設されている状態のときに、隣接する前記経路形成舗装ブロックに前記電源からの電力を送電する送電手段、あるいは隣接する前記経路形成舗装ブロックから送電されてくる電力を受電する受電手段、の少なくとも一方として作用し、前記送電経路の一部を形成する経路形成部材を側部に備え、隣接する前記経路形成舗装ブロック同士は、それぞれが備える前記経路形成部材との間でワイヤレス給電を利用して送受電を行うことを特徴とする。
【0008】
また、前記経路形成舗装ブロックのうち少なくとも1つは、前記送電手段として作用する前記経路形成部材と、当該舗装ブロックの外部又は内部に設けられている前記電源からの電力を前記送電手段として作用する前記経路形成部材まで送る電力線と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記経路形成舗装ブロックのうち少なくとも1つは、前記受電手段として作用する前記経路形成部材と、前記負荷と、前記受電手段として作用する前記経路形成部材が受電した電力を前記負荷まで送る電力線と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記経路形成舗装ブロックのうち少なくとも1つは、前記送電手段として作用する前記経路形成部材と、前記受電手段として作用する前記経路形成部材と、前記受電手段として作用する前記経路形成部材が受電した電力を前記送電手段として作用する前記経路形成部材まで送る電力線と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、隣接する前記経路形成舗装ブロックの位置関係を決める位置決め部材を備えることを特徴とする。
【0012】
また、前記ワイヤレス給電が電磁誘導方式のワイヤレス給電である場合、前記位置決め部材は、前記経路形成舗装ブロックの側面から突出する突起部であり、前記経路形成部材は、コイルと、前記コイルが巻き回される鉄心と、を備え、前記鉄心の先端が前記突起部の中に入り込むよう前記経路形成舗装ブロックに配設されることを特徴とする。
【0013】
また、前記舗装ブロックがインターロッキングブロックで、前記ワイヤレス給電が電磁誘導方式のワイヤレス給電である場合、前記位置決め部材によって隣接する前記経路形成舗装ブロックとの間に形成される隙間に、砂鉄が混在された目地砂が充填されていることを特徴とする。
【0014】
また、インターロッキングブロック以外のブロック舗装おいて、前記位置決め部材は、前記経路形成舗装ブロックとは別個に設けられ、基盤と、前記経路形成舗装ブロックそれぞれの底面に設けられている凹部と嵌合する位置に前記基盤から立設する複数の凸部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、前記経路形成舗装ブロックの少なくとも1つは、送電機構の診断を可能とする診断用部材を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る舗装ブロックは、敷設されることで道路を形成する舗装ブロックであって、隣接する他の舗装ブロックの少なくとも1つとワイヤレス給電により送電可能に構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1-5に記載の発明によれば、道路を形成する舗装ブロックを介して電源から負荷までの送電を行う場合でも、舗装ブロック間の配線作業を不要とする道路の送電構造を提供することができる。
【0018】
請求項6,9に記載の発明によれば、位置決め部材を備えることで舗装ブロックの位置関係を決めることができる。
【0019】
請求項7,8に記載の発明によれば、経路形成舗装ブロック間の磁束の損失を低減させることができる。
【0020】
請求項10に記載の発明によれば、経路形成舗装ブロックを分解することなく経路形成舗装ブロックの内部に設けられている送電機構の診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態1における道路の送電構造が適用される道路を上方から見たときの概略図である。
【
図2】実施の形態1における電源接続ブロックの概略構成図であり、(a)は電源接続ブロックの表層を上方から見たときの平面図、(b)は電源接続ブロックを図面下方向の側面から見たときの正面図、(c)は電源接続ブロックを図面右方向の側面から見たときの側面図である。
【
図3】実施の形態1における負荷ブロックの概略構成図であり、(a)は負荷ブロックの表層を上方から見たときの平面図、(b)は負荷ブロックを図面下方向の側面から見たときの正面図、(c)は負荷ブロックを図面右方向の側面から見たときの側面図である。
【
図4】実施の形態1における中継ブロックの概略構成図であり、(a)は中継ブロックの表層を上方から見たときの平面図、(b)は中継ブロックを図面下方向の側面から見たときの正面図である。
【
図5】
図2~4に示す舗装ブロックを路盤上に敷設したときの状態を上方から見たときの平面図である。
【
図6】
図2に示す電源接続ブロックと
図4に示す中継ブロックとの係合部分を拡大して示す平面図である。
【
図7】実施の形態1において、中継ブロックにおける経路形成部材の配置パターンの変形例を示す概略的な平面図である。
【
図8】実施の形態1における道路の送電構造が適用される他の道路の例を示す図である。
【
図9】実施の形態1における発電ブロックの概略構成図であり、(a)は発電ブロックの表層を上方から見たときの平面図、(b)は発電ブロックを図面下方向の側面から見たときの正面図、(c)は発電ブロックを図面右方向の側面から見たときの側面図である。
【
図10】実施の形態1における他の電源接続ブロックの概略構成図であり、(a)は電源接続ブロックの表層を上方から見たときの平面図、(b)は電源接続ブロックを図面下方向の側面から見たときの正面図、(c)は電源接続ブロックを図面右方向の側面から見たときの側面図である。
【
図11】実施の形態2における舗装ブロックの一部を拡大して示す概略構成図である。
【
図12】実施の形態3における舗装ブロックの一部を拡大して示す概略構成図である。
【
図13】実施の形態4における位置決め台の概略的な斜視図である。
【
図14】実施の形態4における位置決め台を用いて位置決めされた状態の電源接続ブロック、負荷ブロック及び中継ブロックを上方から見たときの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0023】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る道路の送電構造が適用される道路を上方から見たときの概略図である。
図1に示す道路2は、図面の上下方向に延びている。道路2の両側には、縁石4が設けられている。道路2の外側、
図1では左端の縁石4の上にAC電源6が設けられている。AC電源6は、負荷に電力を供給する電源の一例である。なお、「負荷」とは、電力を消費する構造体である。電源は、必ずしも道路2の脇、すなわち縁石4の上に設置する必要はなく、舗装ブロック8の外部の電源接続ブロックと有線接続可能な位置に設置されているか、あるいは後述するように舗装ブロック8の内部に設けてもよい。負荷は、本実施の形態においては、舗装ブロック8の内部に設けているが、後述するように、舗装ブロック8の外部に設けてもよい。
【0024】
本実施の形態における道路2は、舗装ブロック8が敷設されて形成される。「舗装ブロック」は、路盤の上に並べて敷設されることで道路2の舗装表面を形成する舗装部材である。舗装ブロック8は、用途に応じて様々な形状や大きさ、また材質で形成してよい。例えば、プレキャストコンクリート版も舗装ブロックに含まれる。本実施の形態における舗装ブロック8は、一般的な矩形形状、特に正方形を例にして説明する。
【0025】
本実施の形態における舗装ブロック8は、
図1に示すように縦横に規則正しく整列して敷設される。本実施の形態における道路2は、インターロッキングブロック舗装であることを想定している。つまり、本実施の形態における舗装ブロック8は、インターロッキングブロックである。「インターロッキングブロック」とは、荷重が掛かったとき、ブロック間の隙間14(目地)に充填した砂(以下、「目地砂」という)によりブロック相互のかみ合わせ効果(荷重分散効果)が得られる舗装ブロックなどと定義されている。従って、舗装ブロック8を敷設すると、
図1に示すように、隣接する舗装ブロック8の間には、目地が形成される。
【0026】
詳細は後述するが、本実施の形態では、複数の種類の舗装ブロック8を用意している。すなわち、舗装ブロック8は、電源から負荷までの間の送電経路上に位置することにより送電機構を備える舗装ブロック(「経路形成舗装ブロック」ともいう)8と、送電経路上に位置しないことにより送電機構を備える必要のない舗装ブロック8と、に大別できる。本実施の形態では、前者の経路形成舗装ブロックを使用した道路の送電構造に特徴を有している。従って、以降の説明において「舗装ブロック8」と記載する場合、特に断らない限り、道路2の形成に用いる舗装ブロック8のうち前述した送電経路上に位置する経路形成舗装ブロック8を指すことにする。
【0027】
舗装ブロック8のうちの1つとして発光体10を備える舗装ブロック8fがある。発光体10は、負荷の一例である。負荷は、LEDなどで形成される発光体10に限らず、電熱線等の発熱体、各種センサなど、電気により作用する物であればよい。
【0028】
本実施の形態の場合、発光体10は、AC電源6からの電力の供給を受けて発光する。そのために、AC電源6から舗装ブロック8fの間には、複数の舗装ブロック8a~8eを介して送電経路12が形成される。
図1に示す例では、舗装ブロック8a~8fが経路形成舗装ブロック8に該当する。
【0029】
本実施の形態においては、道路2を形成する経路形成舗装ブロック8間の送電は、ワイヤレス給電を利用して行われることを特徴とする。なお、本実施の形態において、舗装ブロック8a~8fなど添字を用いて相互に区別する必要はない場合は「舗装ブロック8」と総称する。
【0030】
ところで、「ワイヤレス給電」とは、電線(ワイヤ)を使わずに電力を送る技術と定義できる。ワイヤレス給電には、電磁誘導方式、電界結合方式、電磁波方式などの種類がある。以下、本実施の形態において特徴的な経路形成舗装ブロック8の構造について説明するが、ここでは、磁界共鳴型ではない電磁誘導方式を利用する場合の経路形成舗装ブロック8を例にして説明する。
【0031】
本実施の形態で用いる経路形成舗装ブロック8は、道路2に敷設されている状態のときに、隣接する1つの経路形成舗装ブロック8に電力を送電する送電手段、または隣接する他の1つの舗装ブロック8から送電されてくる電力を受電する受電手段、の少なくとも一方として作用し、送電経路12の一部を形成する経路形成部材を備える。つまり、本実施の形態における舗装ブロック8は、送電手段を備えるものの受電手段を備えていないタイプ、その逆に受電手段を備えるものの送電手段を備えていないタイプ、そして送電手段及び受電手段の双方を備えるタイプの3種類に分類できる。以下、各タイプに該当する電源接続ブロック20、負荷ブロック30及び中継ブロック40について説明する。なお、電源接続ブロック20、負荷ブロック30及び中継ブロック40を総称する場合、「経路形成舗装ブロック8」あるいは前述したように単に「舗装ブロック8」と記載する。
【0032】
まず、
図2は、本実施の形態における電源接続ブロック20の概略構成図である。このうち、
図2(a)は、道路2の表面を形成する電源接続ブロック20の表層を上方から見たときの平面図である。
図2(b)は、
図2(a)に示す電源接続ブロック20を、図面下方向の側面から見たときの正面図である。
図2(c)は、
図2(a)に示す電源接続ブロック20を、図面右方向の側面から見たときの側面図である。
図2(a)から明らかなように、
図2(c)は経路形成部材が配設されている側面から見た図を、
図2(b)は経路形成部材が配設されていない側面から見た図を、それぞれ示している。
【0033】
電源接続ブロック20は、道路2の外部に設置される電源6を接続するための舗装ブロックである。電源接続ブロック20は、舗装ブロックを形成する本体21と、本体21の側面に設けられる位置決め部材22a,22b,22cと、を備える。なお、位置決め部材22aなど添字を用いて相互に区別する必要はない場合は「位置決め部材22」と総称する。後述する位置決め部材32など他の構成要素においても同様である。
【0034】
位置決め部材22は、舗装ブロック8が路盤上に敷設される際、隣接する舗装ブロック8と所定の距離だけ離間して設置されるよう、隣接する舗装ブロック8との位置関係を決める。本実施の形態における道路2は、インターロッキングブロック舗装なので、前述したように舗装ブロック8の間に隙間を形成する必要がある。本実施の形態における位置決め部材22は、電源接続ブロック20の側面から隣接する舗装ブロック8に向けて突出する突起部により形成されており、位置決め部材22の高さ(突出量)によって隣接する舗装ブロック8との間に所定間隔の隙間を形成する。舗装ブロック8が敷設される際、位置決め部材22a,22cは、隣接する舗装ブロック8の位置決め部材22の間に嵌め込まれることで隣接する舗装ブロック8と係合する。これにより、位置決め部材22は、舗装ブロック8の水平方向のずれを防止する効果を奏する。
【0035】
また、本実施の形態における位置決め部材22は、中空形状をしている。そして、電源接続ブロック20の側面の位置決め部材22が配設される位置は開口している。つまり、位置決め部材22は、電源接続ブロック20の側面の開口部分から突出する突起部である。なお、本実施の形態では、舗装ブロック8の側面の開口部分に、別部材としての位置決め部材22を取り付けるようにしたが、位置決め部材22を舗装ブロック8と一体に形成してもよい。
【0036】
側面に1つの突起部だけで形成される位置決め部材22a,22cは、電源接続ブロック20の幅方向に対して中心に配設される。位置決め部材22bは、一対の突起部によって構成される。位置決め部材22bの各突起部は、電源接続ブロック20の幅方向に対して中心から線対称の位置であって、上記のように舗装ブロック8が敷設された状態のときに、隣接する舗装ブロック8の1つの突起部だけを備える位置決め部材を挟める位置に配設される。
【0037】
ところで、舗装ブロック8の各側面には、位置決め部材22が配設される。本実施の形態においては、図面上、舗装ブロック8の上側と右側に位置する側面には、位置決め部材の22a,22cのように1つの突起部から構成される位置決め部材が配設される。一方、舗装ブロック8の左側と下側に位置する側面には、位置決め部材の22bのように一対の突起部から構成される位置決め部材が配設される。そして、各舗装ブロック8は、1つの突起部から構成される位置決め部材と一対の突起部から構成される位置決め部材とが向かい合うように路盤上に敷設され、1つの突起部から構成される位置決め部材と一対の突起部から構成される位置決め部材とが係合することによって位置決めされる。そのために、舗装ブロック8は、図示する向きを変えずに路盤上に敷設される。
【0038】
ただ、
図2に示すように、AC電源6と対向する側面には、位置決め部材22が設けられていない。これは、
図1に示すように、AC電源6と対向する電源接続ブロック20の側面は、舗装ブロック8ではなく縁石4と向かい合うことから、位置決め部材22が不要となるためである。ただ、縁石4に位置決め部材22が挿着される凹部を設けるのであれば、縁石4と対向する電源接続ブロック20の側面にも位置決め部材22を設けてもよい。
【0039】
電源接続ブロック20は、送電手段として作用する経路形成部材(以下、「送電コイル」ともいう)23及び電力線24を含む送電機構と、故障診断用コイル25と、を本体21の内部に備える。なお、
図2では、内部の構成を破線と一点鎖線で模式的に図示している。電力線24は、送電コイル23をAC電源6と電気的に接続し、AC電源6からの電力を送電コイル23まで送る。本実施の形態では、汎用性を考慮してAC電源6との接続を有線にて行うことを想定しているが、AC電源6が無線、すなわちワイヤレス給電に対応する構成を有しているのであれば、経路形成部材を利用してAC電源6からの電力を受電できるように構成してもよい。
【0040】
なお、
図2において、電力線24は、幅を示すことなく便宜的に1本の破線で図示している。また、
図2(b),(c)では、図面の見やすさを優先させて電力線24を省略している。この図面の描き方については、後述する
図3,4等の図面においても同様である。
【0041】
ワイヤレス給電として電磁誘導方式を利用する場合、経路形成部材23は、鉄心26及びコイル27を備える。本実施の形態における鉄心26は、隣接する舗装ブロック8の方向に延出した3本の棒形状の鉄心26a,26b,26cの集合体として形成される。鉄心26は、端的にいうと、英文字 “E”形状をしている。コイル27は、このうち中心に位置する鉄心26aに巻き回される。鉄心26は、渦電流による発熱を抑制するため積層鋼板で形成するのが望ましい。
【0042】
図2に示すように、1つの突起部を備える位置決め部材22aが設けられている側面に配設される経路形成部材23の場合、鉄心26の中心の鉄心26aは、両端に位置する鉄心26b,26cより長く形成される。なお、両端の鉄心26b,26cは、同じ長さであり、舗装ブロック8の内側面に当接する程度の位置に配設される。一方、中心の鉄心26aは、舗装ブロック8の側面の開口部分から突出し、中空形状の突起部の内部まで入り込む。これにより、鉄心26aの先端は、位置決め部材22aの突起部先端の面に当接する程度に配設される。換言すると、舗装ブロック8が敷設された状態のとき、鉄心26aの先端は、隣接する舗装ブロック8の対向する位置にある経路形成部材が備える鉄心の中心の鉄心の先端と対向する位置に配設される。一般に、電磁誘導コイルにおいて鉄心が断絶しているところは、磁束の損失が出てしまう。本実施の形態では、上記の通り、鉄心26aを位置決め部材22aの中まで入り込むよう配設したので、磁束の損失を極力抑えることができる。
【0043】
また、
図2(b)から明らかなように、位置決め部材22は、舗装ブロック8の厚みより短い。このため、詳細は後述するように、位置決め部材22の周囲全体を砂鉄混在の目地砂で囲むことができる。
【0044】
送電コイル23は、舗装ブロック8が道路2に敷設されている状態のときに、隣接する1つの経路形成舗装ブロック8(以下、「隣接舗装ブロック」ともいう)と対向する側面に設けられる。そして、送電コイル23は、AC電源6からの電力を、隣接舗装ブロックに送電する。
【0045】
故障診断用コイル25は、舗装ブロック8の表層から舗装ブロック8の内部における送電機構の診断を可能とする診断用部材の一例である。電源接続ブロック20における送電機構は、送電コイル23及び電力線24により構成されるので、故障診断用コイル25は、送電コイル23または電力線24の少なくとも一方で発生する故障を検出する機能を有する。より具体的には、故障診断用コイル25は、ブロック表層と直交する方向に磁束が貫くように配置される。例えば、保守作業員が、携行する磁気センサを故障診断用コイル25の配設位置に近づけたときに磁束が検出されなければ、送電機構は故障していると診断できる。なお、故障診断用コイル25は、電力線24と電気的に接続されていれば、図示している以外の場所に配設してもよい。
【0046】
本実施の形態における故障診断用コイル25は、舗装ブロック8の中に設けられるので、舗装ブロック8の外から視認できない。このため、保守作業員は、故障診断用コイル25の埋設位置を事前に把握している必要がある。あるいは、故障診断用コイル25の埋設位置の目印を舗装ブロック8の表面に付けるようにしてもよい。なお、舗装ブロック8の外から視認できるよう診断用部材を設ける場合には、埋設位置の事前把握や目印は不要である。
【0047】
図3は、本実施の形態における負荷ブロック30の概略構成図である。このうち、
図3(a)は、道路2の表面を形成する負荷ブロック30の表層を上方から見たときの平面図である。
図3(b)は、
図3(a)に示す負荷ブロック30を、図面下方向の側面から見たときの正面図である。
図3(c)は、
図3(a)に示す負荷ブロック30を、図面左方向の側面から見たときの側面図である。
図3(a)から明らかなように、
図3(c)は経路形成部材が配設されている側面から見た図を、
図3(b)は経路形成部材が配設されていない側面から見た図を、それぞれ示している。
【0048】
負荷ブロック30は、内部に負荷10を備える舗装ブロックである。負荷ブロック30は、舗装ブロックを形成する本体31と、本体31の側面に設けられる位置決め部材32a,32b,32c,32dを備える。
【0049】
位置決め部材32に関しては、電源接続ブロック20における位置決め部材22と同等の構成要素であるため、詳細な説明を省略する。負荷ブロック30の側面の位置決め部材32が配設される位置は開口している。そして、位置決め部材32は、位置決め部材22と同様に中空形状をしている。
図2に示す電源接続ブロック20の左側面は、縁石4と接する場合を想定しているので、位置決め部材22を設けていない。
図3に示す負荷ブロック30は、
図1に例示する舗装ブロック8fのように縁石4と接していない位置に設置される場合を想定しているので、全ての側面それぞれに位置決め部材32a,32b,32c,32dが設けられる。
【0050】
負荷ブロック30は、受電手段として作用する経路形成部材(以下、「受電コイル」ともいう)33、電力線34及び変換回路38を含む送電機構と、負荷としての発光体10と、故障診断用コイル35と、を本体31の内部に備える。
【0051】
受電コイル33は、道路2に敷設されている状態のときに、隣接する1つの舗装ブロック8(隣接舗装ブロック)と対向する側面に設けられる。そして、受電コイル33は、隣接舗装ブロックから送電されてくる電力を受電する。経路形成部材33は、隣接舗装ブロックの側面に備える送電手段と対向する位置にある場合に受電手段として作用し、受電コイル33として機能する。電力線34は、受電コイル33を発光体10と電気的に接続し、受電コイル33が受電したAC電源6からの電力を発光体10まで送る。
【0052】
ワイヤレス給電として電磁誘導方式を利用する場合、経路形成部材33は、基本的には
図2を用いて説明した経路形成部材23の構造と同様に、鉄心36及びコイル37を備える。送電手段として作用する経路形成部材(送電コイル)23は、
図2に示すように、1つの突起部で構成される位置決め部材22aが配設される内側面に設けられているので、送電コイル23に対向する位置の受電手段として作用する経路形成部材(受電コイル)33は、
図3に示すように、2つの突起部で構成される位置決め部材32dが配設される内側面に設けられることになる。経路形成部材33は、端的に言うと対向する位置の経路形成部材23と線対称の構成を有する。すなわち、鉄心36は、英文字 “E”形状を反転させた形状をしている。但し、鉄心36の中心の鉄心36aは、両端に位置する鉄心36b,36cより短く形成される。鉄心36b,36cは、同じ長さである。中心の鉄心36aは、舗装ブロック8の内側面に当接する程度の位置に配設される。一方、鉄心36b,36cは、舗装ブロック8の側面の開口部分から突出し、中空形状の突起部の内部まで入り込む。これにより、鉄心36b,36cの先端は、位置決め部材32dの先端の面に当接する程度に配設される。換言すると、舗装ブロック8が敷設された状態のとき、鉄心36b,36cの先端は、隣接する舗装ブロック8の対向する位置にある経路形成部材が備える鉄心の両端の鉄心の先端と対向する位置に配設される。なお、コイル37は、経路形成部材23と同様に中心の鉄心36aに巻き回される。
【0053】
故障診断用コイル35は、故障診断用コイル25と同じ構成なので説明を省略する。変換回路38は、電流を交流から直流に変換する回路である。本実施の形態における発光体10は、直流電源を使用することを想定しているので、受電コイル33と発光体10の間に変換回路38を設けている。仮に、発光体10が交流電源を使用するのであれば、変換回路38は不要である。
【0054】
図4は、本実施の形態における中継ブロック40の概略構成図である。このうち、
図4(a)は、道路2の表面を形成する中継ブロック40の表層を上方から見たときの平面図である。
図4(b)は、
図4(a)に示す中継ブロック40を、図面下方向の側面から見たときの正面図である。
図4(b)では、経路形成部材が配設されていない側面を図示している。
【0055】
中継ブロック40は、電源6も負荷10も備えてなく、電源6から負荷10に送られる電力を中継する舗装ブロックである。そのため、中継ブロック40は、受電手段として作用する経路形成部材及び送電手段として作用する経路形成部材をそれぞれ少なくとも1つずつ備える。
図4には、受電手段として作用する経路形成部材43及び送電手段として作用する経路形成部材143を1つずつ備える中継ブロック40の例が示されている。
【0056】
中継ブロック40は、舗装ブロックを形成する本体41と、本体41の側面に設けられる位置決め部材42a,42b,42c,42dを備える。位置決め部材42は、電源接続ブロック20における位置決め部材22及び負荷ブロック30における位置決め部材32と同等の構成要素であるため、説明を省略する。
【0057】
中継ブロック40は、受電手段として作用する経路形成部材(受電コイル)43、送電手段として作用する経路形成部材(送電コイル)143及び電力線44を含む送電機構と、故障診断用コイル45と、を本体41の内部に備える。
【0058】
受電コイル43は、
図3に示す受電コイル33と同じ構造なので説明を省略する。また、送電コイル143は、
図2に示す送電コイル23と同じ構造なので説明を省略する。従って、中継ブロック40を図面の左右方向の側面から見たときの側面図は、
図2(c),
図3(c)で代用できるため省略している。
【0059】
電力線44は、受電コイル43と送電コイル143とを電気的に接続し、受電コイル43が受電した電力を送電コイル143まで送る。故障診断用コイル45は、故障診断用コイル25と同じ構成なので説明を省略する。
【0060】
以上、本実施の形態において利用する3種類の経路形成舗装ブロック8,すなわち電源接続ブロック20、負荷ブロック30及び中継ブロック40について説明した。
【0061】
なお、道路2がインターロッキングブロック舗装の場合、送電経路12上に位置しない舗装ブロック8は、前述した経路形成舗装ブロック8のように送電機構を内部に備える必要はないが、経路形成舗装ブロック8と同様に位置決め部材を側面に設けて、隣接する舗装ブロック8との間に一定間隔の隙間14を形成するようにしてもよい。
【0062】
図5は、
図2~4に示す経路形成舗装ブロック20,30,40を路盤上に敷設したときの状態を上方から見たときの平面図であり、位置決め部材22,32,42の係合状態を示す図である。また、各経路形成舗装ブロック20,30,40の間の隙間14には、目地砂18が充填されるが、位置決め部材42aと位置決め部材32dの係合関係がわかるように、中継ブロック40と負荷ブロック30との間の位置決め部材近傍の目地砂18は
図5から省略している。
【0063】
図6は、
図2に示す電源接続ブロック20と
図4に示す中継ブロック40との係合部分を拡大して示す平面図である。なお、
図6においては、
図2,4と異なり、電力線24,44やコイル27,47を実線で、鉄心26,46をグレースケールで示しているが、各舗装ブロック20,40の構造は、
図2,4に示す構造と同じである。
【0064】
以下、
図2~
図6を用いてAC電源6からの電力を送電して発光体10を発光させるまでの作用について説明する。
【0065】
前述したように、各舗装ブロック8は、位置決め部材22aのように1つの突起部で構成される位置決め部材22を、位置決め部材42dのように2つの突起部を対にして構成される位置決め部材22の間に嵌め込ませていくことで敷設される。隣接する舗装ブロック8の間には、位置決め部材22により所定幅の隙間14が形成される。隙間14には、目地砂18が充填される。
【0066】
図5には、電源接続ブロック20、負荷ブロック30及び中継ブロック40を並べて敷設した場合の並びが図示されている。これにより、電源接続ブロック20の送電コイル23と中継ブロック40の受電コイル43が対向する位置に配設される。また、中継ブロック40の送電コイル143と負荷ブロック30の受電コイル33が対向する位置に配設される。
【0067】
AC電源6からの交流電流は、電力線24を通って電源接続ブロック20の送電コイル23に流れる。これにより、送電コイル23に磁束を発生させる。この磁束は、電源接続ブロック20の側面に直交するように貫き、電源接続ブロック20に隣接する中継ブロック40であって、磁束が貫いた側面に対向する中継ブロック40の受電コイル43に電磁誘導によって起電力を発生させる。
【0068】
このとき、位置決め部材22a,42dによってコイル23,43間の位置決めが適切にとられているので、磁束の損失が低減できる。また、送電コイル23のコイル27が巻き回されている鉄心26aは、受電コイル43の近くまで延びていることから、磁束の損失を更に低減できる。
【0069】
更に、本実施の形態では、隙間14に充填する目地砂18に、砂鉄と珪砂を適度に混合したものを使用する。目地砂18に砂鉄を混在させることにより、舗装ブロック20,40間の隙間14でさらなる磁束の損失を防ぎつつ、渦電流も抑制することができる。また、磁束による束縛により、位置決め部材42dの周囲からの目地砂18の流出も抑制できる。ただ、砂鉄を混在させた目地砂18を舗装ブロック8間の隙間14全体に充填してもよいが、鉄心26,46近傍にのみに充填させた方が磁束の損失効果をより一層高めることができる。
【0070】
中継ブロック40において、受電コイル43により電源接続ブロック20から受電された電力は、電力線44を通って送電コイル143に送られる。中継ブロック40の送電コイル143と対向する位置には、負荷ブロック30の受電コイル33が配設されている。電力を受けた送電コイル143から受電コイル33への送電は、送電コイル23から受電コイル43への送電と同じ作用なので説明を省略する。また、位置決め部材42a,32dの周囲に充填する目地砂18には、位置決め部材42dの近傍と同様に砂鉄と珪砂を適度に混合したものを使用する。
【0071】
負荷ブロック30において、受電コイル33によって中継ブロック40から受電された電力は、電力線34を通って変換回路38に送られ、変換回路38により交流から直流に変換される。そして、発光体10は、直流に変換された電力を受けることで発光する。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態においては、ワイヤレス給電を利用してAC電源6からの電力を負荷である発光体10まで送電することができる。電源と負荷の位置が決まると、その間の送電経路12も決まることになるが、本実施の形態においては、送電経路12上に位置する舗装ブロック8として、前述した経路形成舗装ブロック20,30,40を配設すれば、電源と負荷を有線にて電気的に接続する必要がない。なお、電源と負荷の位置関係によって、
図1に示すように複数の中継ブロック40を使用してもよいし、中継ブロック40を使用せずに電源接続ブロック20と負荷ブロック30とを隣接して敷設してもよい。
【0073】
ところで、
図1に示す発光体10は、複数の中継ブロック40を介してAC電源6からの電力を受けて発光するが、送電経路12は、途中で経路を変えているので、
図4に示す中継ブロック40だけでは送電経路12を形成できない。そこで、中継ブロック40の変形例、特に中継ブロックにおける経路形成部材の配置パターンについて、
図7を用いて説明する。
【0074】
図4に示す中継ブロック40では、対向する側面に経路形成部材43,143を設けている。これに対し、
図7(a)に示す中継ブロック50では、各側面に経路形成部材53a,53b,53c,53dを設けている。各経路形成部材53a,53b,53c,53dは、電力線54により接続されている。例えば、経路形成部材53aが受電手段として作用する場合、経路形成部材53aが受電した電力は、電力線54を通って他の経路形成部材53b,53c,53dに分配される。つまり、経路形成部材53b,53c,53dは、送電手段として作用する。このように、
図7(a)に示す中継ブロック50では、1つの受電手段により受電された電力を複数の送電手段に分配することができる。
【0075】
図7(a)では、各側面に経路形成部材53を配設する例を示しているが、
図7(b),(c),(d)には、3つの側面に経路形成部材63が配設される中継ブロック60の例が示されている。この配置パターンの場合、例えば、1つの経路形成部材63aから受電された電力は、2箇所に分岐された電力線を介して、送電手段として作用する他の2つの経路形成部材63b,63cに分配される。
【0076】
図7(e),(f),(g)には、2つの側面に経路形成部材73が配設される中継ブロック70の例が示されている。この配置パターンの場合、例えば、1つの経路形成部材73aから受電された電力は、電力線を介して、送電手段として作用する他方の経路形成部材73bに送られる。なお、
図7(f)に示す配置パターンは、前述した
図4に示す中継ブロック40に対応する配置パターンである。
図7(e),(f),(g)に示す中継ブロック70のように、隣り合う側面に経路形成部材73が設けられた中継ブロック70を使用することで、
図1に示す送電経路12は、実現できる。
【0077】
なお、
図2には、経路形成部材23を図面右側の側面に備える電源接続ブロック20の例が、
図3には、経路形成部材33を図面左側の側面に備える負荷ブロック30の例が、それぞれ示されている。ただ、
図7に例示するように、電源接続ブロック20及び負荷ブロック30にも複数の経路形成部材を配設してもよい。また、電源接続ブロック20及び負荷ブロック30の電力線24,34を直線以外に配線してもよい。
【0078】
ところで、例えば、
図7(a)に示す中継ブロック50の図面下方に、
図7(b)に示す中継ブロック60を隣接して配置したとする。位置決め部材の関係上、より詳細には各位置決め部材が備える突起部の関係上、このような配置は可能である。この場合、中継ブロック50の経路形成部材53dと、中継ブロック60の経路形成部材63bとが対向する位置に配設されることになる。
【0079】
前述したように、中継ブロック50の経路形成部材53aが受電手段として作用する場合、経路形成部材53aにより受電された電力は、経路形成部材53dに送られてくるので、経路形成部材53dは送電手段として作用する。経路形成部材53dが送電手段として作用する場合、経路形成部材53dと対向する経路形成部材63bは、受信手段として作用する。一方、前述したように、中継ブロック60の経路形成部材63aが受電手段として作用する場合、経路形成部材63aにより受電された電力は、経路形成部材63bに送られてくるので、経路形成部材63bは送電手段として作用する。
【0080】
図2~7に示す送電経路では、電源を図面左側に配置する場合を想定して説明したので、舗装ブロック8において左側面に位置する経路形成部材が受電手段として作用し、それ以外の側面に位置する経路形成部材が送電手段として作用していた。しかしながら、本実施の形態における経路形成部材は、上記経路形成部材63bのように、道路2に敷設されたときの舗装ブロック8の位置関係によって、送電手段として作用したり、受電手段として作用したりする。従って、上記説明では、説明の便宜上、経路形成部材に対して送電コイルや受電コイルと命名して説明した。しかし、経路形成部材は、実際には、舗装ブロック8の位置関係によって、換言すると送電経路上における配置によって、送電手段として作用したり、受電手段として作用したりする場合がある。
【0081】
そうすると、
図7(e)と
図7(g)に示す中継ブロック70は、同じ配置パターンの経路形成部材を備えることになるが、1又は2つの突起部を有する位置決め部材との対応関係上、別個に必要になる。仮に、全ての位置決め部材を同じ形状で形成するとしたならば、
図7(e)と
図7(g)に示す中継ブロック70は、共通化可能である。
【0082】
舗装ブロックが3個以上の経路形成部材を備える場合、複数の経路形成部材を送電手段ではなく、受信手段として作用させることも可能である。すなわち、交流の場合は周波数制御等が必要になってくるかもしれないが、例えば、複数の電源からの電力を統合するなどすることも可能である。
【0083】
図8は、本実施の形態における道路の送電構造が適用される他の道路2の例を示す図である。まず、
図1では、負荷として1つの発光体10が舗装ブロック8fの表面に形成されている場合の例を示した。
図8では、負荷の配置として2つのパターンを示している。 1つは、負荷が路面標示を形成する発光体であり、AC電源6から複数の負荷ブロック8g,8h,8iに対して電力を供給するパターンである。これにより、
図8に例示するように、複数の負荷が組み合わされて1つの路面標示が形成される場合にも適用できる。
図7を用いて説明したように、電源からの電力を複数に分配することができるので、電源が1つしかない場合でも、
図8に示す路面標示が可能となる。
【0084】
もう1つは、負荷16が舗装ブロックの外部にある場合である。このように、路面上に負荷を設けることなく、舗装ブロック8を単に送電経路12として利用することにより、例えばAC電源6とは道路2の反対側にある負荷16に対して電力を供給することができる。また、舗装ブロック8を単に送電経路12として利用するよう構成することによって、無電柱化を推進させることにもつなげることが可能となる。
【0085】
ところで、電磁誘導方式のワイヤレス給電を利用する場合、舗装ブロック8間の送電の際、発生する起電力が低減してしまう可能性が生じる。これを防ぐために、従来では、受電コイルにおけるコイルの巻き数を増やしたりして対応する場合がある。しかしながら、中継ブロックの経路形成部材は、他の舗装ブロック8との位置関係によって送電手段として作用したり、あるいは受電手段として作用したりする。このように、経路形成部材における作用は、固定的でないためコイルの巻き数によって起電力の低減を防ぐことはできない。そこで、本実施の形態においては、鉄心の長さを位置決め部材の中まで延出させたり、目地砂に砂鉄を混在させたりして、発生する起電力の低下を極力防ぐようにしている。
【0086】
図9は、本実施の形態における発電ブロック80の概略構成図である。このうち、
図9(a)は、道路2の表面を形成する発電ブロック80の表層を上方から見たときの平面図である。
図9(b)は、
図9(a)に示す発電ブロック80を、図面下方向の側面から見たときの正面図である。
図9(c)は、
図9(a)に示す発電ブロック80を、図面右方向の側面から見たときの側面図である。
図9(a)から明らかなように、
図9(c)は経路形成部材が配設されている側面を、
図9(b)は経路形成部材が配設されていない側面を、それぞれ図示している。
【0087】
図9に示す発電ブロック80は、
図2に示す電源接続ブロック20と同様に電源からの電力を他の舗装ブロック8に供給する機能を有するが、電源接続ブロック20が、外部にある電源を接続しているのに対し、発電ブロック80は、電源を内部に備える舗装ブロック8の一例である。
【0088】
本実施の形態における発電ブロック80は、電源として太陽光発電システムを備える。太陽光発電システムは、発電ブロック80の表面に設けられる太陽光パネル82と、太陽光パネル82が発電した電力を蓄積する蓄電器84と、蓄電器84への蓄電及び経路形成部材23への送電を制御する制御回路86と、を備える。また、変換回路88は、直流を交流に変換する。
【0089】
本実施の形態における発電ブロック80は、電源を内部に備える点で
図2に示す電源接続ブロック20とは異なるが、経路形成部材23における作用は、電源接続ブロック20と同じなので説明を省略する。
【0090】
図10は、本実施の形態における他の電源接続ブロック90の概略構成図である。このうち、
図10(a)は、道路2の表面を形成する電源接続ブロック90の表層を上方から見たときの平面図である。
図10(b)は、
図10(a)に示す電源接続ブロック90を、図面下方向の側面から見たときの正面図である。
図10(c)は、
図10(a)に示す電源接続ブロック90を、図面右方向の側面から見たときの側面図である。
図10(a)から明らかなように、
図10(c)は経路形成部材が配設されている側面から見た図を、
図10(b)は経路形成部材が配設されていない側面から見た図を、それぞれ示している。
【0091】
図10に示す電源接続ブロック90は、経路形成部材23の構造が、
図2に示す電源接続ブロック20と異なる。電源接続ブロック20における経路形成部材23は、3本の棒形状の鉄心26a,26b,26cの集合体として形成された鉄心26の、中央に位置する鉄心26aにコイル27を巻き回して形成される。これに対して、電源接続ブロック90における経路形成部材23は、3本の棒形状の鉄心26a,26b,26cのうち中央に位置する鉄心26aは設けていない。コイル27は、両端の鉄心26b,26cをつなぐ鉄心26の連結部分26dに巻き回される。
【0092】
図10に示す経路形成部材23の変形例のように、鉄心26の形状、およびコイル27の巻き方については、発生する磁束が舗装ブロック8の側面に直交するようになっていれば、特に
図2に例示した英文字 “E”型に限定されるものではない。経路形成部材23の変形例は、電源接続ブロック90に適用した場合を例にして説明したが、電源接続ブロック90が
図10に示す経路形成部材23の構造を採用する場合は、負荷ブロック30及び中継ブロック40においても同様の構造を採用する必要がある。
【0093】
前述したように、本実施の形態においては、送電経路12上に配置される舗装ブロック8を有線接続する必要がない。このため、送電経路12に断線等の故障が発生して舗装ブロック8の交換が必要となった場合でも、故障した舗装ブロック8のみを交換すればよい。故障した舗装ブロック8は、前述したように保守作業員が携行する磁気センサを故障診断用コイル25,35,45に近づけることで探し出すことができる。すなわち、故障の診断のために、舗装ブロック8を路盤から剥がす必要はない。このように、本実施の形態によれば、メンテナンス性に優れた送電構造を提供することができる。
【0094】
また、送電のための構成のみならず、電力線として有線ケーブルを利用していると、例えば、路面下に埋設されるガス管等の工事の際に電力線が損傷されてしまう可能性もある。一方、工事の作業者は、電力線を損傷させないように慎重に作業を行う必要があるので、作業にかかる負荷、時間が増える傾向になる。一方、本実施の形態においては、ワイヤレス給電を利用するので、作業者は、作業の際、このような心配をする必要がない。
【0095】
実施の形態2.
上記実施の形態1は、ワイヤレス給電として電磁誘導方式を利用する場合を例にして説明した。本実施の形態においては、実施の形態1と異なり、磁界共鳴型の電磁誘導方式を利用する場合を例にして説明する。
【0096】
図11は、本実施の形態における舗装ブロックの一部を拡大して示す概略構成図であり、実施の形態1における
図6に対応する図である。
図11において、経路形成部材23,43以外の図示していない電源接続ブロック220及び中継ブロック240の構造は、
図2,4に示す電源接続ブロック20及び中継ブロック40の構造と同じでよい。また、本実施の形態においては、送電手段として作用する電源接続ブロック220の経路形成部材23と、受電手段として作用する場合の中継ブロック240の経路形成部材43と、を代表させて説明するが、他の経路形成部材143,33においても同様の構造により形成される。
【0097】
磁界共鳴型の電磁誘導方式のワイヤレス給電では、
図11に示すように、経路形成部材23は、電力が送られてくる電力線24とコイル27との間に共振コンデンサ28を設ける。一方、経路形成部材43は、コイル47と受電した電力を送る電力線44との間に共振コンデンサ48を設ける。このように、経路形成部材23,43に、共振コンデンサ28,48を設け、送電コイル23と受電コイル43に同じ共振周波数をもたせることで、送電コイル23と受電コイル43の間で起こる磁界の共鳴を利用する。
【0098】
より具体的には、送電コイル23が発生させる磁界の中に受電コイル43が置かれると、受電コイル43が共振して新たな磁界を発生させ、その磁界が今度は送電コイル23の共振を励起する。このように、送電コイル23と受電コイル43が互いに磁界をやりとりしながら共振を強め合い、強い結合状態(共鳴)を生み出す。
【0099】
このように、経路形成部材23,43の構造及び構造の相違に基づくワイヤレス給電の方法が電磁誘導方式を利用する実施の形態1と異なる以外、上記以外の舗装ブロック8の構造及び作用は、実施の形態1と同じなので説明を省略する。
【0100】
実施の形態3.
上記実施の形態1,2は、ワイヤレス給電として電磁誘導方式を利用する場合を例にして説明した。本実施の形態においては、電界結合型のワイヤレス給電を利用する場合を例にして説明する。
【0101】
図12は、本実施の形態における舗装ブロックの一部を拡大して示す概略構成図であり、実施の形態1における
図6に対応する図である。
図12において、経路形成部材23,43以外の図示していない電源接続ブロック320及び中継ブロック340の構造は、
図2,4に示す電源接続ブロック20及び中継ブロック40の構造と同じでよい。また、本実施の形態においては、送電手段として作用する電源接続ブロック320の経路形成部材23と、受電手段として作用する場合の中継ブロック340の経路形成部材43と、を代表させて説明するが、他の経路形成部材143,33においても同様の構造により形成される。
【0102】
電界結合方式のワイヤレス給電では、
図12に示すように、経路形成部材23は、上記実施の形態1,2で備えるコイル27の代わりに電力が送られてくる電力線24それぞれの先に平板電極29a,29bが接続されて構成される。一方、経路形成部材43は、上記実施の形態1,2で備えるコイル47の代わりに電源接続ブロック320の平板電極29a,29bから送電されてくる電力を受電する平板電極49a,49bを備える。平板電極49a,49bにはそれぞれ、受電した電力を送る電力線44が接続される。
【0103】
電界結合方式のワイヤレス給電は、静電容量結合を利用する。静電容量結合とは、2枚の相対した電極(上記平板電極29,49)の片方(平板電極29)に電流を流しこんで正電荷を注入すると、その正電荷に引き寄せられて、もう一方の電極(平板電極49)に負電荷が集まるため、見かけ上、負電荷の動きと逆の方向に電流が流れることになる。
【0104】
つまり、実施の形態1,2に示した電磁誘導方式のワイヤレス給電では、電磁誘導現象が磁界によって電流が誘導されることによって送電する、つまり磁界を介して送電するが、静電容量結合を利用する本実施の形態においては、2枚の離れた電極間で電圧が励起されることによって送電する、つまり電界を介して送電することが可能となる。
【0105】
ところで、実施の形態1,2における位置決め部材22,42は、経路形成ブロックの厚みより低い高さで形成される。これにより、位置決め部材22,42の周囲は、目地砂18によって覆われ、磁束の低減を抑える効果を奏する。これに対し、図示していないが、本実施の形態における舗装ブロック8における位置決め部材22,42の高さは、経路形成ブロックの厚みと同じ高さで形成される。電界を介して送電する場合、比誘電率を増加させるために位置決め部材を用いるが、位置決め部材の22,42の周囲を目地砂18で覆われないようにすることで、比誘電率が変化するのを防ぐことができる。このように、位置決め部材の形状を工夫することで、送電効率の低下を防止することができる。
【0106】
電界結合方式は、電磁誘導方式と比較して、比較的安価で軽量なワイヤレス給電が実現できると期待されている。これは、電磁誘導方式で必要となる大電流を低損失で流すための高価な導線や、強い磁束を作るための高価で重い磁性体などが必要とされないからである。
【0107】
実施の形態4.
上記実施の形態1~3に示す位置決め部材22,32,42は、舗装ブロック8と一体に形成され、舗装ブロック8の側面から突出するよう配設される。本実施の形態では、舗装ブロック8とは別個に設けられる位置決め台を位置決め部材として用いる。
【0108】
図13は、本実施の形態における位置決め台400の概略的な斜視図である。また、
図14は、本実施の形態における位置決め台400を用いて位置決めされた状態の電源接続ブロック420、負荷ブロック430及び中継ブロック440を上方から見たときの平面図であり、実施の形態1に示す
図5に対応する図である。なお、本実施の形態においても電源接続ブロック420、負荷ブロック430及び中継ブロック440を総称する場合は「舗装ブロック8」と記載する。なお、説明の便宜上、電源接続ブロック420の縁石と接する側面(図面の左側側面)にも位置決め台400を配設しているが、縁石の底面に後述する溝450が設けられていない場合には、位置決め台400を配設する必要はない。
【0109】
位置決め台400は、2つの舗装ブロック8をそれぞれ係止することで、隣接する舗装ブロック8の位置関係を決める。位置決め台400は、基盤402、一対の位置決め突起404a,404b及び係合部材406で構成される。
【0110】
位置決め突起404及び係合部材406は、共に板形状で形成され、位置決め台400の長さ方向に並んで基盤402に立設される。位置決め突起404は、基盤402の両側辺部で立設する。なお、
図14では、便宜的に位置決め突起404を黒色で図示している。係合部材406は、基盤402の中央部分に配設される。
【0111】
ところで、本実施の形態における舗装ブロック8の底面の各側面近傍には溝450a,450b,450c,450dが形成される。
図14では、舗装ブロック8の底面に設けられていることから溝450を破線で示している。凹部である溝450と凸部である位置決め突起404の形状は合致していることから、位置決め突起404は、舗装ブロック8が道路2に敷設されている状態のときに、対応する位置の溝450に嵌合する。これにより、隣接する舗装ブロック8は位置決めされる。また、舗装ブロック8は、車両が表面上を通過するときでもがたつかない。なお、位置決め突起404の立設位置は、
図13に示すように基盤402の両端とする必要はない。道路2に敷設されている状態のときに位置決め突起404が溝450に嵌まる位置に、溝450と位置決め突起404を配設すればよい。
【0112】
隣接する舗装ブロック8同士の位置関係は、位置決め突起404の立設位置によって決まる。つまり、位置決め突起404は、隣接する舗装ブロック8の間に所定の間隔の隙間14を形成する。係合部材406は、その隙間14の中に立設することになるが、係合部材406の厚みを隙間14と合致させることで、舗装ブロック8のがたつき防止効果を更に向上させることができる。また、後述する磁束の損失を減らす効果も向上させることができる。
【0113】
図14に示すように、位置決め台400を電磁誘導方式を利用する場合、係合部材406は、図面の上下方向に積層させた積層鋼板で形成する。あるいは、圧粉鉄心で形成してもよい。これにより、係合部材406は、鉄心に相当する構成とすることができ、渦電流を抑えることによって磁束の損失を減らすことができる。また、このような効果をより効果的に得るために、係合部材406の高さを経路形成部材に含まれる鉄心の位置より高くするのが好ましい。
【0114】
上記実施の形態1~3に示す舗装ブロック8は、インターロッキングブロックを想定していたので、隙間14に砂鉄入りの目地砂18を充填していた。本実施の形態では、係合部材406を積層鋼板等で形成するので、目地砂を充填するにしても砂鉄入りの目地砂18を使用しなくてよい。
【0115】
また、本実施の形態では、積層鋼板を積層させて形成された1枚の板部材で係合部材406を形成したが、経路形成部材423等に含まれる鉄心の位置に対応させて配設するようにしてもよい。例えば、
図2に示す経路形成部材23に含まれる鉄心26は、3本の鉄心26a,26b,26cを有するので、各鉄心26a,26b,26cの位置に対応させて係合部材406を配設すればよい。例えば、係合部材406を3分割して3枚の板で形成してもよい。
【0116】
ところで、
図13に示すように、位置決め台400の基盤402の長さ方向の両端は、突出しており、その先端を90度の角部として形成される。
図14では、図面上、横並びとなる舗装ブロック8の間に配設される位置決め台400のみを図示している。ただ、舗装ブロック8は、路盤上に実際に敷設される際、位置決め突起404が溝450b,450cにも係合するよう、つまり
図14に示す位置決め台400を90度回転させた状態に配設される。換言すると、位置決め台400は、1つの舗装ブロック8を取り囲むように配設され、舗装ブロック8は、その中に載置されることで路盤上に敷設される。この際、本実施の形態では、基盤402の先端を90度の角度にて形成するので、各位置決め台400は、路盤上に敷設されたときに他の位置決め台400の先端部分と重なり合わない。なお、各位置決め台400の先端部分は、他の位置決め台400の先端部分と当接する位置関係となるので、先端部分を接着剤等により接合してもよい。
【0117】
ところで、
図14では、ワイヤレス給電として電磁誘導方式を利用する場合を例にしている。ワイヤレス給電として磁界共鳴型の電磁誘導方式を利用する場合、電磁誘導方式を利用する場合と同じ位置決め台400を用いることができる。
【0118】
電界結合型のワイヤレス給電を利用する場合も
図13に示したものと同じ形状の位置決め台400を用いることができる。但し、係合部材406を誘電率の高い材質、例えば、GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)などの誘電体樹脂で形成するのが好適である。
【0119】
[本願発明の構成]
構成1:
電源から負荷までの間の送電を行う道路の送電構造であって、
前記道路には、複数の舗装ブロックが敷設され、前記複数の舗装ブロックのうち少なくとも一部の隣接するブロック間がワイヤレス給電により送電可能に構成されることを特徴とする道路の送電構造。
構成2:
前記舗装ブロックのうち前記電源から前記負荷までの間の送電経路上に位置する経路形成舗装ブロックは、
前記道路に敷設されている状態のときに、隣接する前記経路形成舗装ブロックに前記電源からの電力を送電する送電手段、あるいは隣接する前記経路形成舗装ブロックから送電されてくる電力を受電する受電手段、の少なくとも一方として作用し、前記送電経路の一部を形成する経路形成部材を側部に備え、
隣接する前記経路形成舗装ブロック同士は、それぞれが備える前記経路形成部材との間でワイヤレス給電を利用して送受電を行うことを特徴とする構成1に記載の道路の送電構造。
構成3:
前記経路形成舗装ブロックのうち少なくとも1つは、
前記送電手段として作用する前記経路形成部材と、
当該舗装ブロックの外部又は内部に設けられている前記電源からの電力を前記送電手段として作用する前記経路形成部材まで送る電力線と、
を備えることを特徴とする構成2に記載の道路の送電構造。
構成4:
前記経路形成舗装ブロックのうち少なくとも1つは、
前記受電手段として作用する前記経路形成部材と、
前記負荷と、
前記受電手段として作用する前記経路形成部材が受電した電力を前記負荷まで送る電力線と、
を備えることを特徴とする構成2に記載の道路の送電構造。
構成5:
前記経路形成舗装ブロックのうち少なくとも1つは、
前記送電手段として作用する前記経路形成部材と、
前記受電手段として作用する前記経路形成部材と、
前記受電手段として作用する前記経路形成部材が受電した電力を前記送電手段として作用する前記経路形成部材まで送る電力線と、
を備えることを特徴とする構成2に記載の道路の送電構造。
構成6:
隣接する前記経路形成舗装ブロックの位置関係を決める位置決め部材を備えることを特徴とする構成1から5までのいずれか1つに記載の道路の送電構造。
構成7:
前記ワイヤレス給電が電磁誘導方式のワイヤレス給電である場合、
前記位置決め部材は、前記経路形成舗装ブロックの側面から突出する突起部であり、
前記経路形成部材は、
コイルと、
前記コイルが巻き回される鉄心と、
を備え、前記鉄心の先端が前記突起部の中に入り込むよう前記経路形成舗装ブロックに配設されることを特徴とする構成6に記載の道路の送電構造。
構成8:
前記舗装ブロックがインターロッキングブロックであり、電磁誘導方式のワイヤレス給電を利用する場合、前記位置決め部材によって隣接する前記経路形成舗装ブロックとの間に形成される隙間に、砂鉄が混在された目地砂が充填されていることを特徴とする構成6又は7に記載の道路の送電構造。
構成9:
インターロッキングブロック以外のブロック舗装おいて、前記位置決め部材は、
前記経路形成舗装ブロックとは別個に設けられ、
基盤と、
前記経路形成舗装ブロックそれぞれの底面に設けられている凹部と嵌合する位置に前記基盤から立設する複数の凸部と、
を備えることを特徴とする構成6に記載の道路の送電構造。
構成10:
前記経路形成舗装ブロックの少なくとも1つは、送電機構の診断を可能とする診断用部材を備えることを特徴とする構成1から9までのいずれか1つに記載の道路の送電構造。
構成11:
敷設されることで道路を形成する舗装ブロックであって、
隣接する他の舗装ブロックの少なくとも1つとワイヤレス給電により送電可能に構成されることを特徴とする舗装ブロック。
【符号の説明】
【0120】
2 道路、4 縁石、6 電源(AC電源)、8,8a~8f, 舗装ブロック、8g,8h,8i,30,430 負荷ブロック、10,16 負荷(発光体)、12 送電経路、14 隙間、18 目地砂、20,90,220,320,420 電源接続ブロック、21,31,41 本体、22a,22b,22c,32a,32b,32c,32d,42a,42b,42c,42d 位置決め部材、23,33,43,53a,53b,53c,53d,63a,63b,63c,73a,73b,143,423,433,443,4143 経路形成部材、24,34,44,54 電力線、25,35,45 故障診断用コイル、26,26a,26b,26c,36,36a,36b,36c,46,46a,46b,46c,146,146a,146b,146c 鉄心、26d 連結部分、27,37,47,147 コイル、28,48 共振コンデンサ、29a,29b,49a,49b 平板電極、38,88 変換回路、40,50,60,70,240,340,440 中継ブロック、80 発電ブロック、82 太陽光パネル、84 蓄電器、86 制御回路、400 位置決め台、402 基盤、404a,404b 位置決め突起、406 係合部材、450a,450b,450c,450d 溝。