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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087168
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】流体混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/10 20220101AFI20240624BHJP
   B01F 23/232 20220101ALI20240624BHJP
   B01F 23/2373 20220101ALI20240624BHJP
   B01F 23/213 20220101ALI20240624BHJP
   B01F 23/2326 20220101ALI20240624BHJP
   B01F 25/452 20220101ALI20240624BHJP
   B01F 25/70 20220101ALI20240624BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20240624BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20240624BHJP
   B01F 35/221 20220101ALI20240624BHJP
   B01F 25/315 20220101ALI20240624BHJP
【FI】
B01F25/10
B01F23/232
B01F23/2373
B01F23/213
B01F23/2326
B01F25/452
B01F25/70
B01F35/71
B01F35/75
B01F35/221
B01F25/315
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201813
(22)【出願日】2022-12-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】522492299
【氏名又は名称】アクアソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】佐 藤 嘉
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AB04
4G035AB16
4G035AC22
4G035AC26
4G035AC37
4G035AC44
4G035AE01
4G035AE13
4G037AA01
4G037AA02
4G037AA11
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】 旋回流を構成する媒体と異なる媒体中に放出した場合であっても、旋回している流体中に他の流体を微細にして混合する事のできる流体混合装置を提供する。
【解決手段】 主流体中に副流体を分散混入させる流体混合装置であって、縦断面形状が円形の内壁面を有する主容器を備えており、当該主容器の内壁面には、その内周面に沿って主流体を案内する主流体導入口が設けられると共に、当該主容器の一方の端部には、当該主容器の軸心方向に副流体を案内する副流体導入口が設けられており、前記主容器における前記副流体導入口が設けられた側とは反対側に存在する他端部には、主容器内で渦流となった主流体を導出する導出口が設けられており、当該導出口の外側には、導出される流体に対する圧力障壁を形成する圧力調整部を設けた流体混合装置とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流体中に副流体を分散混入させる流体混合装置であって、
縦断面形状が円形の内壁面を有する前記主容器を備えており、
当該主容器の内壁面には、その内周面に沿って主流体を案内する主流体導入口が設けられると共に、当該主容器の一方の端部には、当該主容器の軸心方向に副流体を案内する副流体導入口が設けられており、
前記主容器における前記副流体導入口が設けられた側とは反対側に存在する他端部には、主容器内で渦流となった主流体を導出する導出口が設けられており、
当該導出口の外側には、導出される流体に対する圧力障壁を形成する圧力調整部を設けたことを特徴とする、流体混合装置。
【請求項2】
前記内壁面は、案内された主流体に旋回流を生じさせ、当該旋回流の中心部に生じる負圧空洞部に、前記副流体導入口から副流体を導入し、
前記旋回流の圧力が開放される渦崩壊点において、前記副流体が主流体内に混入し、
当該渦崩壊点は前記導出口に存在する、請求項1に記載の流体混合装置。
【請求項3】
前記主流体は液体であって、前記副流体は気体であり、
前記圧力障壁は液溜まりであって、前記圧力調整部は当該液溜まりを形成する空間部である、請求項1又は2に記載の流体混合装置。
【請求項4】
前記圧力調整部は、前記導出口の周りを包囲する隔壁部と、複数の開口部を備え、前記導出口と対向配置された散水板と、前記隔壁部の径方向外側に設けられた外側空間部とからなる、請求項1~3の何れか一項に記載の流体混合装置。
【請求項5】
前記散水板に設けられた複数の開口部の総開口面積は、前記導出口の開口面積に対して、50%以上、200%以下である請求項4に記載の流体混合装置。
【請求項6】
前記導出口における主流体の圧力は、前記圧力調整部に存在する流体の圧力よりも小さい、請求項1に記載の流体混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体と気体を混合するマイクロバブル発生装置などのように、2つの流体を混合して導出する流体混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気体を微細な状態にして液体中に導入する装置としてマイクロバブル発生装置が提供されており、液体の旋回流によって気体を撹拌混入させる装置として旋回式微細気泡発生装置が提供されている。
【0003】
かかる旋回式微細気泡発生装置については、特許文献1(特開2011-88045号公報)において、液体中へ微細気泡を拡散する形状と微細気泡の発生量を任意に制御可能な旋回式微細気泡発生装置が提案されている。即ち、一端側が壁体で閉口され、他端側が開口している円筒形容器本体の他端側開口部から微細気泡を含む旋回気液混合液を導出する旋回式微細気泡発生装置が提案されている。
【0004】
また特許文献2(特開2012-239953号公報)では、小規模な水環境への適用可能なように小型化・簡易化した旋回式微細気泡発生装置として、中空部を有する略球形の器体内に流入した液体の旋回流により気体導入口から自吸した気体を微細気泡化し、気液噴出口から微細気泡を含む旋回気液混合液を導出するように成した旋回式微細気泡発生装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-88045号公報
【特許文献2】特開2012-239953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の通り、液体の旋回流によって気体導入口から気体を自吸して微細気泡化し、微細気泡を含む旋回気液混合液を導出させる旋回式微細気泡発生装置は提案されている。しかしながら、これらの旋回式微細気泡発生装置は、旋回流を生じさせる液体と同じ液体中に導出することにより旋回気液混合液を放出するものであり、旋回流を構成する媒体と異なる媒体中、例えば空気中に導出した場合には、微細気泡を含む旋回気液混合液を導出するのが困難であった。
【0007】
そこで本発明では、旋回流を構成する媒体と異なる媒体中に放出した場合であっても、旋回している流体中に他の流体を微細にして混合する事のできる流体混合装置を提供することを課題とする。
【0008】
更に本発明では、旋回している液体中に空気等の気体流体を微細にして混入させることのできる流体混合装置(即ち、マイクロバブル発生装置)であって、特に微細気泡を含有する気液混合液を、ミスト状又は液滴状にして空気中に放出する事のできる流体混合装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題の少なくとも何れかを解決するべく、本発明では導出口の外側に圧力障壁を設けた流体混合装置を提供する。
即ち本発明では、主流体中に副流体を分散混入させる流体混合装置であって、縦断面形状が円形の内壁面を有する主容器を備えており、当該主容器の内壁面には、その内周面に沿って主流体を案内する主流体導入口が設けられると共に、当該主容器の一方の端部には、当該主容器の軸心方向に副流体を案内する副流体導入口が設けられており、前記主容器における前記副流体導入口が設けられた側とは反対側に存在する他端部には、主容器内で渦流となった主流体を導出する導出口が設けられており、当該導出口の外側には、導出される流体に対する圧力障壁を形成する圧力調整部を設けた流体混合装置を提供する。
【0010】
前記主流体は水である他、ガソリンなどの液体燃料や、アルコールその他の液体、或いは空気、プロパンガス、又は水素ガス等の気体であって良い。また前記副流体は空気、プロパンガス、又は水素ガス等の気体の他、水、ガソリンなどの液体燃料、又はアルコールその他の液体であって良い。ここで主流体と副流体は相互に異なる状態(液体又は気体)を使用することが望ましく、例えば主流体が水などの液体であれば、副流体は空気等の気体であることが望ましい。また主流体と副流体は相互に異なる限りにおいて、同じ状態(液体又は気体)であっても良く、例えば主流体が空気(気体)であれば、副流体は水素ガス(気体)であって良い。
【0011】
そして主流体が水であって、副流体が空気であれば、当該流体混合装置はマイクロバブル発生装置として利用することができ、主流体がガソリンなどの液体燃料であって、副流体が空気であれば、当該流体混合装置はキャブレターやインジェクターなどとして利用することができる。よって本発明に係る流体混合装置は、主流体と副流体の組み合わせ次第では、各種の工業製品の製造にも使用することができる。
【0012】
上記本発明の流体混合装置において、前記内壁面は案内された主流体に旋回流を生じさせ、当該旋回流の中心部に生じる負圧空洞部に、前記副流体導入口から副流体を導入し、前記旋回流の圧力が開放される渦崩壊点において、前記副流体が主流体内に混入し、当該渦崩壊点は前記導出口又はその近傍に存在するように構成することが望ましい。また当該渦崩壊点は、導出口から、その開口径の長さ分だけ内側又は外側に存在しても良く、特に散水板を設けた場合には導出口と散水板の間の領域に存在するのが好ましい。
【0013】
前記圧力障壁は、前記渦崩壊点の位置を制御する為に機能することができ、前記導出口における主流体の圧力は、前記圧力調整部に存在する流体の圧力よりも小さいように形成することが望ましい。
【0014】
そして上記本発明に係る流体混合装置において、前記主流体は水等の液体であり、前記副流体が空気等の気体である場合には、前記圧力障壁は液溜まりとして形成することができる。その際、前記圧力調整部は当該液溜まりを形成する空間部として具体化することができる。かかる圧力調整部は、前記導出口の周りを包囲する隔壁部と、複数の開口部を備えて前記導出口と対向配置された散水板と、前記隔壁部の径方向外側に設けられた外側空間部とで構成することもできる。かかる外側空間部を設ける事により、副流体が微細状に混入した主流体に対して旋回流を生じさせることができ、当該旋回流において更に副流体の微細化を実現できる。
【0015】
さらに前記圧力障壁としては、副流体が微細状に混入した主流体の放出に抵抗する部材を用いることができ、例えば多孔板やメッシュなどを使用することができる。これらの部材を前記導出口を閉塞するように設けるか、又は導出口から僅かに離間させて配置することによっても渦崩壊点の発生位置を制御することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の流体混合装置は、旋回流型の流体混合装置であり、混合された流体導出口の外側には、導出される流体に対する圧力障壁を形成する圧力調整部を設けている。これにより、旋回流における圧力変動による渦崩壊を導出口よりも外側に存在させることができ、旋回流を構成する媒体と異なる媒体中に放出した場合であっても、旋回している流体中に他の流体を微細にして混合する事のできる流体混合装置が実現する。
【0017】
特に旋回流を構成する主流体が水であり、副流体が空気である場合には、微細気泡を含有するミストまたは液滴を空気中に放出する事のできるマイクロバブル発生装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施の形態にかかるマイクロバブル発生装置を示す(A)A-A矢視断面図、(B)背面図、(C)C-C矢視断面図、(D)正面図
図2】第1の実施の形態にかかるマイクロバブル発生装置の分解断面図
図3】第1の実施の形態にかかるマイクロバブル発生装置における(A)流体(水および空気)の流れを示すX-X矢視端面図、(B)放水されるマイクロバブル混入水の流れを示す正面図
図4】第2の実施の形態にかかる流体混合装置を示すC-C矢視端面図
図5】第3の実施の形態にかかる流体混合装置を示すC-C矢視端面図
図6】第4の実施の形態にかかる流体混合装置を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかる流体混合装置を具体的に説明する。特に本実施の形態では、主流体として水を使用し、副流体として空気を使用したいわゆるマイクロバブル発生装置10に基づいて具体的に説明する。よって以下では、流体混合装置をマイクロバブル発生装置10として説明する。
【0020】
図1は第1の実施の形態にかかるマイクロバブル発生装置10を示す(A)A-A矢視断面図、(B)背面図、(C)C-C矢視断面図、(D)正面図であり、図2は当該マイクロバブル発生装置10の分解断面図であり、図3は当該マイクロバブル発生装置10における(A)流体(水および空気)の流れを示すX-X矢視端面図、(B)放水されるマイクロバブル混入水の流れを示す正面図である。
【0021】
図1に示す様に、この第1の実施の形態にかかるマイクロバブル発生装置10は、水などの主流体や空気などの副流体が案内される主容器11を用いて形成される。かかる主容器11は、中空状であって、その内壁面は球面形状に形成されている。その結果、当該主容器11内には、図1に示す様に先細り形状の円錐体形状の内部空間12が形成される。但し当該内部空間12は、その他にも円柱形状であってもよく、少なくとも軸方向に直交する向きが円形または楕円形状であれば各種形状に形成することができる。当該内部空間12において導入した主流体に旋回流を生じさせるためである。また当該主容器11の内部空間12の後端側、即ち導出口13とは反対側の内面には、半球形状の窪みを、後述する副流体導入口15を囲む様に環状に形成している。
【0022】
また上記主容器11には、その内周面に沿って主流体を案内する主流体導入口14を設けている。かかる主流体導入口14は、水などの流体を主容器11の内壁面に沿って案内することから、内壁面の接線方向から水を案内するように形成する。本実施の形態において、かかる主流体導入口14は主容器11における長さ方向の略中央に設けているが、導出口13または後端側に設けることもできる。また当該主容器11の後端側の壁面には、前記内部空間12内に空気等の副流体を取り込むための副流体導入口15を設けている。かかる副流体導入口15は単なる開口として形成することもできるが、図1に示す様に内部空間内に突出するノズル形状に形成するのが望ましい。ノズル状に内部空間12内に突出させることにより、副流体を吸入した後の流れを円滑に行うことができる。
【0023】
そして上記主容器11の先端側には、内部空間12に導入した水などの主流体を排出する為の導出口13を設けている。かかる導出口13の開口径は、前記主流体導入口14の開口径と同じか、これよりも小さく形成するのが望ましい。
【0024】
以上のように構成した主容器11における導出口13の外側(即ち、下流側)には、主容器11から排出される主流体の流れの抵抗となる圧力障壁16を設けている。かかる圧力障壁16は、本実施の形態では液溜まり16によって実現しており、前記導出口13の外側には、当該液溜まりを形成する為の圧力調整部17を設けている。本実施の形態において当該圧力調整部17は、導出口13の周りを包囲する隔壁部18と、複数の開口部を備えて前記導出口13と対向配置された散水板19と、前記隔壁部18の径方向外側に設けられた外側空間部20とで形成している。
【0025】
かかる隔壁部18の正面側、即ち微細状副流体が分散混合した主流体の放出方向には、複数の開口部を備える散水板19を配置している。前記導出口13と対向状に配置される散水板19は、複数の開口孔を設けたパンチングメタルを用いる他、網部材を使用することができる。この散水板19に形成された開口部の総開口面積は、前記導出口13の開口面積に対して、50%以上、200%以下、特に70%以上、150%とすることが望ましい。50%未満であると、微細状副流体が分散混合した主流体を円滑に排出するのが困難となり、200%を超えると圧力障壁16の確保が困難になる為である。かかる散水板19は、図2に示す様に、前記主容器11における導出口13と対向するように配置し、これを内向きフランジ部を有する筒状の保持部材21によって前記主容器11に固定することができる。
【0026】
前記隔壁部18を設ける事により、その径方向外側には外側空間部20が形成される。かかる外側空間部20は、前記導出口13から放出されて、前記散水板19の内側に存在する空間(即ち、液溜まり16)に存在する、微細状副流体が分散混合した主流体を、さらに撹拌する為の空間として機能する。即ち、本実施の形態にかかる流体混合装置では、前記液溜まり16と当該外側空間部20とが一体となって、微細状副流体が分散混合した主流体の撹拌領域として機能することから、微細な副流体同士の結合又は合体の問題を無くすことができる。
【0027】
図3は以上のように構成した流体混合装置の動作時における各流体(本実施の形態では、水と空気)の流れを示す(A)X-X矢視端面図、(B)正面図である。この図3に示す様に、前記主流体導入口14から案内された水道水などの主流体は、主容器11の内部空間12内に沿って流れることで螺旋流となる。そして当該内部空間12は導出口13に向かって先細り形状となっており、内壁面に沿って流れる水等の主流体の中心部分には、負圧空洞部が生じる。その結果、前記副流体導入口15から、空気等の副流体が内部空間内(即ち負圧空洞内)に吸引されることになる。そして螺旋流となっている水等の主流体と、負圧空洞部に案内された空気等の副流体は、導出口13に向かって先細り形状になっている領域を通って導出口13を出た領域(即ち、渦崩壊点)において、前記主流体の螺旋流が渦崩壊し、前記空気等の副流体と混合撹拌される。その結果、主流体よりも比重が小さい副流体は微細化し、これが主流体中に分散混入されることになる。即ち、本実施の形態において副流体の微細化(マイクルバブル化)は、前記導出口13よりも下流側で発生している。これは当該導出口13の外側に圧力障壁16が存在する事によるものであり、本実施の形態では、前記導出口13の外側に液溜まりを設けている為である。
【0028】
当該液溜まり16、即ち導出口13の外側であって前記散水板19の内側に確保された空間内において、前記導出口13から排出された、微細気泡分散含有水は螺旋状に旋回して撹拌され、当該液溜まりと連続する前記外側空間部20内においても撹拌される。これにより前記の圧力障壁(液溜まり16)を確保することにより、微細化した空気等の副流体が再結合する事態を阻止することができる。
【0029】
そして旋回流を生じさせている微細気泡分散含有水は、前記散水板19を通過した後においても旋回流となる。即ち、図3(B)に示す様に、散水板19の各開口孔から放出されるそれぞれが螺旋を描いて放出されることになる。その結果、当該流体混合装置から放出される水はマイクロバブルを含有し、且つ開口孔から放出される夫々が螺旋状であることから、吐出する混合液の分散性を高めた流体混合装置とすることができる。
【0030】
次に図4~6を参照しながら、他の実施の形態にかかる流体混合装置を具体的に説明する。図4は第2の実施の形態にかかる流体混合装置30を示すC-C矢視端面図であり、特に実施の形態1における前記隔壁部18を省略した流体混合装置としている。即ち、この実施の形態にかかる流体混合装置30では、導出口13から排出されるた主流体と副流体は、散水板19の内側に設けられた圧力障壁(即ち、液溜まり16)によって主流体の渦崩壊が生じ、これによって副流体が微細化されて主流体中に分散混合される。
【0031】
図5は第3の実施の形態にかかる流体混合装置40を示すC-C矢視端面図であり、この実施の形態では、前記外側空間部20の底面を中心部(隔壁側)が深くなる半球状に形成している。外側空間部20の底面をこのように湾曲させることにより、流体の流れを滞留させることなく円滑にすることができる。
【0032】
図6は第4の実施の形態にかかる流体混合装置50を示す縦断面図である。この実施の形態にかかる流体混合装置50では、先端側、即ち導出口13側を円錐形状に形成した漏斗状の主容器11を用いており、その内部空間12も先細り形状となっている。そして後端側の壁面には、内壁面の接戦方向に主流体を案内する主流体導入口14を設け、後端側は閉塞部材51で閉塞している。かかる閉塞部材51は、半円形の窪みを環状に設けると共に、その中央部に副流体導入口15を設けて形成されている。また漏斗状に形成した主容器11の導出口13には、これを閉塞する様に散水板19を設けている。当該散水板19は多孔板や網部材によって形成することができ、少なくとも導出口13から放出される主流体に抵抗となる様に形成する。
【0033】
即ち、この第4の実施の形態にかかる流体混合装置では、前記散水板19が圧力障壁16となっており、当該圧力障壁16の存在により、主流体中に副流体を微細混合させた微細気泡分散含有水を製造することができる。そして液溜まりを設けていない事から、前記渦崩壊点は散水板19内またはその近傍に存在する事になる。
【0034】
以上、本実施の形態では主流体を水、副流体を空気としてマイクロバブル分散水を製造する例について説明したが、主流体や副流体はこれらに限ることなく使用することができる。よって、当該流体混合装置は、各種流体の混合装置として、例えばキャブレターやインジェクターなどとしても使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明にかかる流体混合装置は、マイクロバブル発生装置の他、各種流体を混合させるため、特に副流体を主流体中に分散混合させるために使用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 マイクロバブル発生装置
11 主容器
12 内部空間
13 即ち導出口
13 導出口
14 主流体導入口
15 副流体導入口
16 圧力障壁(液溜まり)
17 圧力調整部
18 隔壁部
19 散水板
20 外側空間部
21 保持部材
30,40,50 流体混合装置
51 閉塞部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流体中に副流体を分散混入させる流体混合装置であって、
縦断面形状が円形の内壁面を有する容器を備えており、
当該主容器の内壁面には、その内周面に沿って主流体を案内する主流体導入口が設けられると共に、当該主容器の一方の端部には、当該主容器の軸心方向に副流体を案内する副流体導入口が設けられており、
前記主容器における前記副流体導入口が設けられた側とは反対側に存在する他端部には、主容器内で渦流となった主流体を導出する導出口が設けられており、
当該導出口の外側には、導出される流体に対する圧力障壁を形成する圧力調整部を設けており、
当該圧力調整部は、前記導出口の周りを包囲する隔壁部と、複数の開口部を備えて前記導出口と対向配置された散水板と、前記隔壁部の径方向外側に設けられた外側空間部とからなることを特徴とする、流体混合装置。
【請求項2】
前記内壁面は、案内された主流体に旋回流を生じさせ、当該旋回流の中心部に生じる負圧空洞部に、前記副流体導入口から副流体を導入し、
前記旋回流の圧力が開放される渦崩壊点において、前記副流体が主流体内に混入し、
当該渦崩壊点は前記導出口に存在する、請求項1に記載の流体混合装置。
【請求項3】
前記主流体は液体であって、前記副流体は気体であり、
前記圧力障壁は液溜まりであって、前記圧力調整部は当該液溜まりを形成する空間部である、請求項1又は2に記載の流体混合装置。
【請求項4】
前記外側空間部は、前記導出口の外側であって前記散水板の内側に確保された液溜まりと連続し、前記導出口から導出された流体を旋回撹拌させ、
前記旋回流の圧力が開放される渦崩壊点は、前記導出口と散水板の間の領域に存在する、請求項1又は2に記載の流体混合装置。
【請求項5】
前記散水板に設けられた複数の開口部の総開口面積は、前記導出口の開口面積に対して、50%以上、200%以下である請求項1又は2に記載の流体混合装置。
【請求項6】
前記導出口開口径は、前記主流体導入口の開口径と同じか、これよりも小さく形成されており、
前記散水板に形成された開口部の総開口面積は、前記導出口の開口面積に対して、50%以上、200%以下である、請求項1に記載の流体混合装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
また上記主容器11には、その内周面に沿って主流体を案内する主流体導入口14を設けている。かかる主流体導入口14は、水などの流体を主容器11の内壁面に沿って案内することから、内壁面の接線方向から水を案内するように形成する。本実施の形態において、かかる主流体導入口14は主容器11における長さ方向の略中央に設けているが、導出口13または後端側に設けることもできる。また当該主容器11の後端側の壁面には、前記内部空間12内に空気等の副流体を取り込むための副流体導入口15を設けている。かかる副流体導入口15は単なる開口として形成することもできるが、図1に示す様に内部空間内に突出するノズル形状に形成するのが望ましい。ノズル状に内部空間12内に突出させることにより、副流体を吸入した後の流れを円滑に行うことができる。

【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
かかる隔壁部18の正面側、即ち微細状副流体が分散混合した主流体の放出方向には、複数の開口部を備える散水板19を配置している。前記導出口13と対向状に配置される散水板19は、複数の開口孔を設けたパンチングメタルを用いる他、網部材を使用することができる。この散水板19に形成された開口部の総開口面積は、前記導出口13の開口面積に対して、50%以上、200%以下、特に70%以上、150%以下とすることが望ましい。50%未満であると、微細状副流体が分散混合した主流体を円滑に排出するのが困難となり、200%を超えると圧力障壁16の確保が困難になる為である。かかる散水板19は、図2に示す様に、前記主容器11における導出口13と対向するように配置し、これを内向きフランジ部を有する筒状の保持部材21によって前記主容器11に固定することができる。