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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087190
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】燃料ガス供給装置
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/26 20060101AFI20240624BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20240624BHJP
   F02C 9/40 20060101ALI20240624BHJP
   F02C 9/28 20060101ALI20240624BHJP
   F02C 3/22 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F02C7/26 A
F02C7/22 B
F02C9/40 B
F02C9/28 Z
F02C3/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201835
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】池田 怜
(72)【発明者】
【氏名】植木 良和
(72)【発明者】
【氏名】中原 将彦
(72)【発明者】
【氏名】久保田 豊
(57)【要約】
【課題】ガスタービンの着火時や昇速時における各種燃料ノズルに対する燃料ガスの流量制御を簡易な構成で精度よく実施する。
【解決手段】本願はガスタービンの燃焼器に設けられた複数の燃料ノズルに対して燃料ガスを供給するための燃料ガス供給装置に関する。本装置は、各燃料ノズルに供給される燃料ガスの流量を調節するための複数の流量調節弁より上流側に設けられた遮断弁と、遮断弁をバイパスするように設けられたバイパスラインに設けられた遮断弁バイパス弁と、流量調節弁の上流側圧力を制御するための制御装置とを備える。通常運転時には、遮断弁を開くとともに遮断弁バイパス弁を閉じることにより、上流側圧力は燃料ガス供給源の供給圧力によって制御される。ガスタービンの着火時又は昇速時の少なくとも一方では、遮断弁を閉じるとともに遮断弁バイパス弁を開くことにより、上流側圧力は通常運転時に比べて低くなるように制御される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンの燃焼器に設けられた複数の燃料ノズルに対して燃料ガスを供給するための燃料ガス供給装置であって、
燃料ガス供給源に接続された燃料ガス供給ラインを介して前記複数の燃料ノズルに前記燃料ガスをそれぞれ供給するための燃料ガス供給系統と、
前記燃料ガス供給ラインに設けられ、前記複数の燃料ノズルに対する前記燃料ガスの流量をそれぞれ調節するための複数の流量調節弁と、
前記燃料ガス供給ラインのうち前記複数の流量調節弁より上流側に設けられた遮断弁と、
前記燃料ガス供給ラインに対して前記遮断弁をバイパスするように設けられたバイパスラインと、
前記バイパスラインに設けられた遮断弁バイパス弁と、
前記燃料ガス供給ラインのうち前記複数の流量調節弁の上流側圧力を制御するための制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記ガスタービンが通常運転状態にある場合において、前記遮断弁を開くとともに、前記遮断弁バイパス弁を閉じることにより、前記上流側圧力を、前記燃料ガス供給源の供給圧力によって制御し、
前記ガスタービンの着火時又は昇速時の少なくとも一方を含む非通常運転状態において、前記遮断弁を閉じるとともに、前記遮断弁バイパス弁を開くことにより、前記上流側圧力を前記通常運転時に比べて低くなるように制御する、燃料ガス供給装置。
【請求項2】
前記遮断弁バイパス弁は、開度を調節可能な制御弁であり、
前記制御装置は、前記非通常運転状態において、前記通常運転状態に比べて、前記上流側圧力が低くなるように、前記遮断弁バイパス弁の開度を制御する、請求項1に記載の燃料ガス供給装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記複数の流量調節弁がチョーク流れ状態で動作するように、前記上流側圧力を制御する、請求項1又は2に記載の燃料ガス供給装置。
【請求項4】
前記燃料ガス供給系統は、前記燃料ガス供給ラインの下流側から前記複数の燃料ノズルに分岐する複数の燃料ガス分岐ラインを含み、
前記遮断弁は、前記燃料ガス供給ラインに設けられ、
前記複数の流量調節弁は、前記複数の分岐燃料ガス供給ラインにそれぞれ設けられる、請求項1又は2に記載の燃料ガス供給装置。
【請求項5】
前記遮断弁によって遮断された前記燃料ガス供給ラインの前記燃料ガスを外部に放出するための燃料ガス排出ラインと、
前記燃料ガス排出ラインに設けられたベント弁と、
を更に備え、
前記遮断弁、前記遮断弁バイパス弁、及び、前記ベント弁は、共通の制御空気供給系統から供給される制御空気によって作動可能な空気駆動弁である、請求項1又は2に記載の燃料ガス供給装置。
【請求項6】
前記遮断弁及び前記遮断弁バイパス弁は、前記制御空気の遮断時に閉状態になり、
前記ベント弁は、前記制御空気の遮断時に開状態になる、請求項5に記載の燃料ガス供給装置。
【請求項7】
前記空気供給系統は、
前記制御空気を供給するための制御空気供給ラインと、
前記制御空気供給ラインから分岐し、前記遮断弁、前記遮断弁バイパス弁、及び、前記ベント弁にそれぞれ接続される複数の制御空気分岐ラインと、
前記制御空気供給ラインに設けられた第1電磁弁と、
前記遮断弁に接続される前記制御空気分岐ラインに設けられた第2電磁弁と、
を備える、請求項6に記載の燃料ガス供給装置。
【請求項8】
前記第1電磁弁は励磁時に開状態となり、
前記第2電磁弁は励磁時に閉状態となる、請求項7に記載の燃料ガス供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンの燃焼器に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンでは、燃焼器で燃料を燃焼して生成した燃焼ガスによって、タービンが駆動される。燃焼器には、燃料ガスを燃焼室に噴出するための燃料ノズルが設けられており、特に、NOx排出量の低減や燃焼安定性を目的として、複数種の燃料ノズルを備えるものが知られている。例えば特許文献1では、このような燃料ノズルとして、予混合燃焼用のメインノズルや拡散燃焼用のパイロットノズルに加えて、更なるNOx排出量の低減を目的とした予混合燃焼用のトップハットノズルを備える燃焼器を対象として、燃料ガスの供給制御に関する技術が開示されている。
【0003】
燃焼器に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給装置は、供給先である燃料ノズルが複数種類有る場合には、その種類ごとに、燃料ガスの供給量を独立して制御可能に構成されることがある。例えば特許文献1の構成では、各種燃料ノズルに燃料ガスを供給するための各供給系統には、燃料ガスの流れの上流側から順に、圧力調節弁と流量調節弁とがそれぞれ設けられる。圧力調節弁は、流量調節弁の上流側と下流側との差圧を一定に保つ機能を有する。これにより、流量調節弁は、当該差圧が一定の条件下で、流量調節弁が有する流量係数(Cv値)に基づく演算により得られた目標開度になるように開度制御を行うことで、非チョークフロー域における燃料ガスの流量調整が可能となっている。
【0004】
特許文献1に開示された燃料ガス供給装置の構成では、燃料ノズルの種類ごとに設けられた各供給系統に、油圧駆動弁である圧力調節弁及び流量調節弁がそれぞれ設けられる。油圧駆動弁は、制御弁や制御油系統等のコストが高い。そのため、油圧駆動弁に代えて空気駆動弁を用いることでコストダウンが考えられるが、空気駆動弁は油圧駆動弁に比べて応答性・位置決め精度が劣る。そのため、圧力調節弁に空気駆動弁を採用すると、流量調節弁の上流側圧力が振れてしまい、流量制御性が低下してしまうおそれがある。
【0005】
このような課題に対して特許文献2では、流量調節弁をチョークフロー域で作動させることで、燃料ノズルの種類ごとに設けられる各供給系統から圧力調節弁を省略して、弁数削減によるコストダウンが可能とされている。一般的に、圧縮性流体が流れる管路において上流側状態を固定して下流側圧力を次第に低下させると、はじめは非チョークフロー域にあるため下流側圧力の低下に従って、管路の流量は増加する。しかしながら、下流側圧力がある所定の圧力以下まで低下すると、流量が変化しなくなるチョークフロー域となる(すなわちチョークフロー域では、流量が下流側圧力に依存せず、上流側圧力のみに依存する)。
尚、チョークフロー域は、流量調節弁の上流側圧力Pinと下流側圧力Poutとが、以下の関係を満たす領域として定義される。
Pout≦Pin/2 (1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-77867号公報
【特許文献2】国際公開第2013/105406号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献2では、流量調節弁をチョークフロー域で作動させることにより、流量調節弁の目標開度は上流側圧力と必要流量とを用いて算出することができるため、圧力調節弁を不要とすることで弁数を削減し、コストダウンを図ることができるとされている。このような構成は、燃料ガスの流量が十分に多い通常運転時が想定されているため、燃料ガスの流量が比較的少なくなるガスタービンの着火時や昇速時には、流量調節弁の流量係数(Cv値)が小さくなり、燃料ガスの流量制御の精度が低下するおそれがある。
【0008】
このような課題を解決するための一手法として、例えば、燃料ノズルの種類ごとに設けられた各供給系統の流量調節弁を流量係数が互いに異なる親弁及び小弁で構成し、燃料ガスの流量に応じて切り替えることが考えられる。この場合、燃料ガスの流量が比較的多い通常運転時には親弁を使用し、燃料ガスの流量が比較的少ない着火時や昇速時には子弁を使用することにより、各運転状態において流量調節弁の流量係数(Cv値)を程度に確保することができる。しかしながら、燃料ノズルの種類ごとに設けられる流量調節弁を、このような構成にすることは、やはり弁数の増加を招いてしまう。
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、ガスタービンの着火時や昇速時における各種燃料ノズルに対する燃料ガスの流量制御を簡易な構成で精度よく実施可能な燃料ガス供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の少なくとも一実施形態に係る燃料ガス供給装置は、上記課題を解決するために、
ガスタービンの燃焼器に設けられた複数の燃料ノズルに対して燃料ガスを供給するための燃料ガス供給装置であって、
燃料ガス供給源に接続された燃料ガス供給ラインを介して前記複数の燃料ノズルに前記燃料ガスをそれぞれ供給するための燃料ガス供給系統と、
前記燃料ガス供給ラインに設けられ、前記複数の燃料ノズルに対する前記燃料ガスの流量をそれぞれ調節するための複数の流量調節弁と、
前記燃料ガス供給ラインのうち前記複数の流量調節弁より上流側に設けられた遮断弁と、
前記燃料ガス供給ラインに対して前記遮断弁をバイパスするように設けられたバイパスラインと、
前記バイパスラインに設けられた遮断弁バイパス弁と、
前記燃料ガス供給ラインのうち前記複数の流量調節弁の上流側圧力を制御するための制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記ガスタービンが通常運転状態にある場合において、前記遮断弁を開くとともに、前記遮断弁バイパス弁を閉じることにより、前記上流側圧力を、前記燃料ガス供給源の供給圧力によって制御し、
前記ガスタービンの着火時又は昇速時の少なくとも一方を含む非通常運転状態において、前記遮断弁を閉じるとともに、前記遮断弁バイパス弁を開くことにより、前記上流側圧力を前記通常運転時に比べて低くなるように制御する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、ガスタービンの着火時や昇速時における各種燃料ノズルに対する燃料ガスの流量制御を簡易な構成で精度よく実施可能な燃料ガス供給装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係るガスタービン発電プラントの概略構成図である。
図2図1の燃料ガス供給装置の概略構成図である。
図3図1の制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
図4】一実施形態に係るガスタービン制御方法を示すフローチャートである。
図5図2の遮断弁ユニットの概略構成図である。
図6A】第1参考技術に係る遮断弁ユニットの構成図である。
図6B】第1参考技術に係る遮断弁ユニットの構成図である。
図7】第2参考技術に係る遮断弁ユニットの構成図である。
図8図5の遮断弁ユニットの非通常運転状態(例えば着火時又は昇速時)における動作状態を示す模式図である。
図9図5の遮断弁ユニットの異常発生状態における動作状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0014】
図1は一実施形態に係るガスタービン発電プラント1の概略構成図である。ガスタービン発電プラント1は、圧縮機2と、燃焼器3と、タ一ビン4と、燃料ガス供給装置5と、発電機6と、制御装置50とを備える。
【0015】
圧縮機2は、外部から空気(大気)を吸入して圧縮空気を生成するための構成である。圧縮機2で生成された圧縮空気は、燃焼器3に供給される。燃焼器3は、圧縮機2から供給された圧縮空気を、及び、燃料ガス供給装置5から供給される燃料である燃料ガスと混合させて燃焼することにより、高温の燃焼ガスを生成する。タービン4は、燃焼器3で生成された燃焼ガスの供給を受けて駆動することで、回転軸7から回転駆動力を出力する。回転軸7は、タービン4から出力された回転駆動力を発電機6に伝達することで、発電機6によって発電が行われる。
【0016】
制御装置50は、前述の燃料ガス供給装置5を制御するための構成である。制御装置50の詳細については詳述する。
【0017】
続いて図2を参照して燃料ガス供給装置5の具体的構成について説明する。図2図1の燃料ガス供給装置5の概略構成図である。燃料ガス供給装置5は、燃焼器3に燃料である燃料ガスを供給するための構成である。
【0018】
燃料ガス供給装置5は、燃焼器3が備える燃料ノズルに対して燃料ガスを供給可能に構成される。燃焼器3は複数種の燃料ノズルを備えていてもよい。本実施形態では、燃焼器3は、燃料ノズルとして、NOx低減を図ることを目的とした予混合燃焼用の第1メインノズル11M1及び第2メインノズル11M2、燃焼の安定化などを図ることを目的とした拡散燃焼用のパイロットノズル11P、並びに、更にNOx低減を図ることを目的とした予混合燃焼用の燃料ノズルであるトップハットノズル11Tを備える。このような各種燃料ノズルを備える燃焼器3の構成としては、例えば特開2007-77867号公報に示された構成など、公知の構成を用いることができ、特に限定されない。
【0019】
燃料ガス供給装置5は、共通系統10Cと、第1メイン燃料供給系統10M1と、第2メイン燃料供給系統10M2と、パイロッ卜燃料供給系統10Pと、トップハット燃料供給系統10Tとを備える。
【0020】
共通系統10Cは、第1メイン燃料供給系統10M1、第2メイン燃料供給系統10M2、パイロッ卜燃料供給系統10P、及び、トップハット燃料供給系統10Tにそれぞれ燃料ガスを供給するための系統であり、燃料ガス供給ライン15を含む。燃料ガス供給ライン15の一端側は、燃料ガスの供給元である燃料ガス供給源(不図示)に接続され、他端側は、第1メイン燃料供給系統10M1、第2メイン燃料供給系統10M2、パイロット燃料供給系統10P、及び、トップハット燃料供給系統10Tに分岐して接続される。
【0021】
燃料ガス供給ライン15には、遮断弁ユニット22が設けられる。遮断弁ユニット22の詳細な構成は後述するが、遮断弁ユニット22は、燃料ガス供給ライン15を流れる燃料ガスを遮断するため遮断弁24を含む複数の弁を備えて構成される。遮断弁24は、燃料ガス供給ライン15に設けられ、開閉状態を切替可能である(すなわち、遮断弁24は、その開度が「0%」又は「100%」の2段階に切り替え可能な弁である)。
【0022】
また遮断弁ユニット22は、燃料ガス供給ライン15に対して遮断弁24をバイパスするバイパスライン28と、バイパスライン28に設けられた遮断弁バイパス弁26とを有する。遮断弁バイパス弁26は、その開度が「0%」から「100%」の間で調整可能な弁構成である。
【0023】
また遮断弁ユニット22は、遮断弁24又は遮断弁バイパス弁26によって燃料ガス供給ライン15を流れる燃料ガスが遮断された際に、燃料ガスを外部に逃がすための燃料ガス排出ライン18を有する。燃料ガス排出ライン18には、外部に逃がす燃料ガスの流量を調節するためのベント弁19が設けられる。
【0024】
尚、燃料ガス供給ライン15のうち遮断弁ユニット22より下流側には、各流量調節弁(第1メイン流量調節弁13M1、第2メイン流量調節弁13M2、パイロット流量調節弁13P及びトップハット流量調節弁13T)の上流側圧力である第1圧力P1を測定するための圧力センサ20が設けられている。
【0025】
第1メイン燃料供給系統10M1は、第1メインノズル11M1に燃料ガスを供給するための系統である。第1メイン燃料供給系統10M1の一端側は、共通系統10Cの燃料ガス供給ライン15に接続され、他端側は第1メインノズル11M1の各々に燃料ガスを供給するための第1メインマ二ホールド12M1に接続されている。更に第1メイン燃料供給系統10M1には、第1メインノズル11M1に供給される燃料ガスの流量を制御するための第1メイン流量調節弁13M1が設けられる。第1メイン流量調節弁13M1は、第1メインノズル11M1に供給される燃料ガスの流量を調節するための弁である。第1メインマ二ホールド12M1は、第1メイン燃料供給系統10M1から供給された燃料ガスを、複数の第1メインノズル11M1に分配するための構成である。
【0026】
第2メイン燃料供給系統10M2は、第2メインノズル11M2に燃料ガスを供給するための系統である。第2メイン燃料供給系統10M2の一端側は、共通系統10Cの燃料ガス供給ライン15に接続され、他端側は第2メインノズル11M2の各々に燃料ガスを供給するための第2メインマ二ホールド12M2に接続されている。更に第2メイン燃料供給系統10M2には、第2メインノズル11M2に供給される燃料ガスの流量を制御するための第2メイン流量調節弁13M2が設けられる。第2メイン流量調節弁13M2は、第2メインノズル11M2に供給される燃料ガスの流量を調節するための弁である。第2メインマ二ホールド12M2は、第2メイン燃料供給系統10M2から供給された燃料ガスを、複数の第2メインノズル11M2に分配するための構成である。
【0027】
パイ口ッ卜燃料供給系統10Pは、パイロットノズル11Pに燃料ガスを供給する系統である。パイロッ卜燃料供給系統10Pの一端側は、共通系統10Cの燃料ガス供給ライン15に接続され、他端側はパイロットノズル11Pに燃料ガスを供給するパイロットマニホールド12Pに接続されている。更に、パイロッ卜燃料供給系統10Pには、燃料ガスの流量を制御するパイロッ卜流量調節弁13Pが設けられている。パイロッ卜流量調節弁13Pは、パイロッ卜ノズル11Pに供給される燃料ガスの流量を調節する弁である。パイロットマ二ホールド12Pは、パイロット燃料供給系統10Pから供給された燃料ガスを、複数のパイロッ卜ノズル11Pに分配するための構成である。
【0028】
トップハット燃料供給系統10Tは、トップハットノズル11Tに燃料ガスを供給する系統である。トップハット燃料供給系統10Tの一端側は、共通系統10Cの燃料ガス供給ライン15に接続され、他端側はトップハットノズル11Tに燃料ガスを供給するトップハットマニホールド12Tに接続されている。更に、トップハット燃料供給系統10Tには、燃料ガスの流量を制御するトップハット流量調節弁13Tが設けられている。トップハット流量調節弁13Tは、トップハットノズル11Tに供給される燃料ガスの流量を調節する弁である。トップハットマ二ホールド12Tは、トップハット燃料供給系統10Tから供給された燃料ガスを、複数のトップハットノズル11Tに分配するための構成である。
【0029】
続いて上記構成を有する燃料ガス供給装置5を制御するための制御装置50の構成について説明する。図3図1の制御装置50の機能的構成を示すブロック図である。
【0030】
制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。尚、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0031】
このようなハードウェア構成を有する制御装置50は、ガスタービン発電プラント1の運転状態に応じて、遮断弁ユニット22が有する各弁を制御することにより、各流量調節弁の上流側圧力を調節するように機能する。当該機能を実現するための構成として、図3に示すように、制御装置50は、運転状態判定部52と、遮断弁ユニット制御部54とを備える。
【0032】
運転状態判定部52は、ガスタービン発電プラント1の運転状態を判定するための構成である。運転状態判定部52は、通常運転状態と、通常運転状態に比べて各燃料ノズルに対する燃料ガスの流量が少なくなる非通常運転状態とを少なくとも区別して判定可能である。非通常運転状態は、例えばタービン4の着火時又は昇速時を含むが、その他の運転状態を含んでもよい。
【0033】
遮断弁ユニット制御部54は、遮断弁ユニット22を制御するための構成である。遮断弁ユニット制御部54は、遮断弁ユニット22が備える遮断弁24、遮断弁バイパス弁26及びベント弁19をそれぞれ制御するための遮断弁制御部54a、遮断弁バイパス弁制御部54b及びベント弁制御部54cを含む。
【0034】
遮断弁制御部54aは、遮断弁ユニット22のうち遮断弁24を制御するための構成である。前述したように遮断弁24は、開度が0%である全閉状態と、開度が100%である全開状態とを切替可能な制御弁であり、遮断弁制御部54aからの制御信号に基づいて切替可能である。
【0035】
遮断弁バイパス弁制御部54bは、遮断弁ユニット22のうち遮断弁バイパス弁26を制御するための構成である。前述したように遮断弁バイパス弁26は、開度が0%から100%の間で調節可能な制御弁であり、遮断弁バイパス弁制御部54bからの制御信号に基づいて開度が調節される。
【0036】
ベント弁制御部54cは、遮断弁ユニット22のうちベント弁19を制御するための構成である。前述したようにベント弁19は、開度が0%である全閉状態と、開度が100%である全開状態とを切替可能な制御弁であり、ベント弁制御部54cからの制御信号に基づいて切替可能である。
【0037】
続いて上記構成を有する制御装置50によって実施されるガスタービン制御方法について説明する。図4は一実施形態に係るガスタービン制御方法を示すフローチャートである。
【0038】
まず運転状態判定部52は、ガスタービン発電プラント1の運転状態が通常運転状態であるか否かを判定する(ステップS1)。運転状態が通常運転状態である場合(ステップS1:YES)、遮断弁ユニット制御部54は、遮断弁24を開状態に制御し、遮断弁バイパス弁26及びベント弁19を閉状態に制御する(ステップS2~S4)。これにより、通常運転状態では、燃料ガスは燃料ガス供給ライン15を介して、各燃料ノズルに対して供給される。
尚、ステップS2~S4は順不同でよい。
【0039】
このとき各流量調節弁の上流側圧力Pinは、燃料ガス供給ライン15の上流側にある不図示の燃料ガス供給源による燃料ガスの供給圧力に依存する。この上流側圧力Pinは、上記(1)式で示す条件を満たすように設定されることで、各流量調節弁を通過する燃料ガスはチョークフロー域にある。そのため通常運転状態では、各流量調節弁を通過する燃料ガスの流量は、各流量調節弁の下流側圧力Poutに依存せず、上流側圧力Pinに基づいて算出される。その結果、通常運転状態では、上流側圧力Pinに基づいて算出される燃料ガスの流量に基づいて、各流量調節弁の開度制御が可能となる。
【0040】
このように通常運転状態では、各燃料ノズルへの燃料ガスは、遮断弁24が設けられた燃料ガス供給ライン15を介して供給される。通常運転状態に比べて燃料ガスの流量が比較的少なくなる非通常運転状態では、仮に通常運転状態と同様の燃料ガスの供給経路をとると、各流量調節弁の流量係数(Cv値)が小さくなり、燃料ガスの流量制御の精度が低下するおそれがある。そこで運転状態が非通常運転状態であると判定された場合(ステップS1:NO)、遮断弁ユニット制御部54は遮断弁24及びベント弁19を全閉状態に制御するとともに、遮断弁バイパス弁26の開状態に制御し、各流量調節弁を通過する燃料ガスがチョークフロー域を維持可能な範囲で、その開度を制御する(ステップS5~S7)。このとき遮断弁バイパス弁26の開度は、通常運転状態に比べて各流量調節弁の上流側圧力が低くなるように制御される。遮断弁バイパス弁26は、遮断弁24より流路断面積が小さく構成された、いわゆる小弁であるため、遮断弁ユニット22における燃料ガスの経路をこのように変更することで、燃料ガスの流量が少なくなる非通常運転状態においても、各流量調節弁を通過する燃料ガスがチョークフロー域を維持しつつ、各流量調節弁の流量係数を適度に確保して制御安定性を得ることができる。
尚、ステップS5~S7は順不同でよい。
【0041】
尚、図4に示す実施形態では、説明をわかりやすくするために、ステップS1では、運転状態の判定として、通常運転状態であるか否かのみを判定しているが、運転状態判定部52は、独立的に、ガスタービン発電プラント1に何らかの異常が発生した異常発生状態であるか否かを判定してもよい。この場合、運転状態が異常発生状態であると判定された際には、遮断弁24及び遮断弁バイパス弁26を閉制御するとともに、ベント弁19を開制御することにより、燃料ガス供給ライン15を流れる燃料ガスを遮断するとともに、遮断された燃料ガスを燃料ガス排出ライン18を介して外部に排出できる。
【0042】
続いて遮断弁ユニット22の具体的構成について説明する。図5図2の遮断弁ユニット22の概略構成図である。
【0043】
遮断弁ユニット22は、前述の遮断弁24、遮断弁バイパス弁26及びベント弁19が連系して動作可能なユニットとして構成される。遮断弁24、遮断弁バイパス弁26及びベント弁19は、いずれも制御空気供給系統40から供給される制御空気によって動作可能な空気駆動弁である。特に、遮断弁24及びベント弁19は、制御空気の供給有無に対応して全開状態又は全閉状態を択一的に切替可能に構成される一方で、遮断弁バイパス弁26については、制御空気供給系統40から供給される制御空気に加えて、制御装置50からの制御信号に基づいて開度制御が可能な制御弁として構成される。
【0044】
制御空気供給系統40は、一端が制御空気供給源(不図示)に接続された制御空気メインライン41と、制御空気メインライン41の他端から分岐し、遮断弁24、遮断弁バイパス弁26及びベント弁19にそれぞれ接続される第1制御空気分岐ライン42、第2制御空気分岐ライン43及び第3制御空気分岐ライン44を有する。
【0045】
制御空気メインライン41には、制御装置50からの制御信号に基づいて励磁されることにより開閉動作が可能な第1電磁弁45が設けられる。本実施形態では特に、第1電磁弁45は励磁時に開状態になり、非励磁時に閉状態になるように構成される。また第1制御空気分岐ライン42には、制御装置50からの制御信号に基づいて励磁されることにより開閉動作が可能な第2電磁弁46が設けられる。本実施形態では特に、第2電磁弁46は、前述の第1電磁弁45とは対照的に、励磁時に閉状態になり、非励磁時に開状態になるように構成される。
【0046】
ここで、このような構成を有する遮断弁ユニット22の特徴を理解するための前提技術として、幾つか参考技術について説明する。図6A及び図6Bは第1参考技術に係る遮断弁ユニット22´-1の構成図であり、図7は第2参考技術に係る遮断弁ユニット22´-2の構成図である。
尚、これらの参考技術では、前述の実施形態に対応する構成には共通の符号を付しており、特段の記載がない限りにおいて、重複する説明は省略する。
【0047】
まず図6A及び図6Bに示される第1参考技術では、前述の実施形態に比べて遮断弁バイパス弁26と、その周辺構成が省略されたシンプルな構成を有する。この構成では、異常が発生していない通常運転状態では、図6Aに示すように、遮断弁24は開状態であるとともにベント弁19は閉状態であることにより、燃料ガス供給ライン15を介して下流側の各流量調節弁に燃料ガスが供給される。一方で、異常発生時には、図6Bに示すように、遮断弁24は閉状態であるとともにベント弁19は開状態であることで、遮断弁24によって遮断された燃料ガスは、ベント弁19を介して外部に放出される。
【0048】
このように第1参考技術では、遮断弁24及びベント弁19は互いに開閉状態が互いに逆動作の関係を有する。このような遮断弁24及びベント弁19に対して、仮にそれぞれ独立した制御空気供給系統を設けると、一方の制御空気供給系統が電磁弁の故障等によって正常に動作しない場合には、本来、逆動作すべき遮断弁24及びベント弁19が同動作(例えば両方とも開状態又は閉状態)になるなど、燃料ガスが意図しない流れとなり、機器保護、及び、安全の観点からリスクがある。
【0049】
そこで図6では、遮断弁24及びベント弁19は共通の制御空気供給系統40を有するとともに、制御空気の供給に対して互いに逆動作するように構成することで、このようなリスクを軽減している。つまり、遮断弁24は制御空気の供給時に開状態となるのに対して、ベント弁19は制御空気の供給時に閉状態となるように構成される。これにより、前述のリスクを効果的に抑えながら、異常発生時における遮断弁24及びベント弁19の開閉動作を簡易的な構成で実現できる。
【0050】
次に図7に示す第2参考技術は、上記の第1参考技術をベースに、遮断弁バイパス弁26とその周辺構成が追加されている。第2参考技術では、遮断弁24、遮断弁バイパス弁26及びベント弁19に対して、制御空気メインライン41からの制御空気が直接供給されるように構成されている。この場合、異常発生時に、前述の第1参考技術に倣って遮断弁24及び遮断弁バイパス弁26と、ベント弁19とが互いに逆動作するように構成すると、前述のように着火時や昇速時のような燃料ガスの流量が少ない場合に、遮断弁24に代えて遮断弁バイパス弁26の開度制御を行うことに対応することができない。例えば、図7のように、遮断弁バイパス弁26による開度制御を行うために、遮断弁バイパス弁26に制御空気を供給すると、遮断弁24にも制御空気が供給されてしまう。そのため、遮断弁24とベント弁19とを閉状態にしながら、遮断弁バイパス弁26の開度制御を行う運用を構造的に行うことができない。
【0051】
このような課題は、図5に示す本実施形態に係る遮断弁ユニット22によって好適に解消可能である。遮断弁ユニット22では、第2参考技術に比べて、遮断弁24に接続される第1制御空気分岐ライン42上に、第2電磁弁46が設けられる。これにより、制御空気の供給に対して、遮断弁24及び遮断弁バイパス弁26と、ベント弁19とが共通の制御空気供給系統40からの制御空気によって互いに逆動作しつつ、着火時や昇速時のような燃料ガスの流量が少ない場合には遮断弁24を閉状態にしながら遮断弁バイパス弁26による開度制御を実現できる。
【0052】
具体的に説明すると、まず図5では、通常運転時における遮断弁ユニット22の動作状態が示されている。この場合、第1電磁弁45は制御装置50からの制御信号によって励磁されることにより開状態となる。これにより、制御空気供給源(不図示)からの制御空気は、制御空気メインライン41から第1制御空気分岐ライン42、第2制御空気分岐ライン43及び第3制御空気分岐ライン44を介して供給される。ここで第1制御空気分岐ライン42には第2電磁弁46が設けられているが、第2電磁弁46は制御装置50からの制御信号によって非励磁されることにより開状態となる。
【0053】
また第2制御空気分岐ライン43は遮断弁バイパス弁26に直接接続されているため、遮断弁バイパス弁26には制御空気が供給されることにより開度が可変な状態となるが、制御装置50から制御信号によって、遮断弁バイパス弁26の開度は0%(すなわち閉状態)に制御される。また第3制御空気分岐ライン44はベント弁19に直接接続されているため、ベント弁19には制御空気が供給されることにより、閉状態となる。
【0054】
このように通常運転状態において遮断弁ユニット22は、遮断弁24が開状態にする一方で、遮断弁バイパス弁26及びベント弁19を閉状態にすることで、燃料ガス供給ライン15を介した燃料ガスの供給が可能となる。また通常運転状態は、ガスタービン発電プラント1の運用時において他の状態(例えば非通常運転状態や異常発生状態)に比べて長い期間を占める。そのため、通常運転状態における第2電磁弁46を非励磁状態とすることで、第2電磁弁46に故障が生じるリスクを効果的に低減できる。
【0055】
図8図5の遮断弁ユニット22の非通常運転状態(例えば着火時又は昇速時)における動作状態を示す模式図である。非通常運転状態では、制御装置50からの制御信号によって第1電磁弁45が励磁されることにより開状態となる。これにより、制御空気供給源(不図示)からの制御空気は、制御空気メインライン41から第1制御空気分岐ライン42、第2制御空気分岐ライン43及び第3制御空気分岐ライン44を介して供給される。ここで第1制御空気分岐ライン42には第2電磁弁46が設けられており、第2電磁弁46は制御装置50からの制御信号によって励磁されることにより閉状態となる。その結果、遮断弁24には制御空気が供給されないことにより、遮断弁24は閉状態となる。
【0056】
また第2制御空気分岐ライン43は遮断弁バイパス弁26に直接接続されているため、遮断弁バイパス弁26には制御空気が供給されることにより開度が可変な状態となり、その開度は、制御装置50から制御信号によって可変に制御される。また第3制御空気分岐ライン44はベント弁19に直接接続されているため、ベント弁19には制御空気が供給されることにより、ベント弁19は閉状態となる。
【0057】
このように非通常運転状態では、遮断弁24及びベント弁19がともに閉じられている状態において、制御弁である遮断弁バイパス弁26が制御装置50からの制御信号によって開度制御することが可能となる。
【0058】
図9図5の遮断弁ユニット22の異常発生状態における動作状態を示す模式図である。異常発生状態では、制御装置50からの制御信号によって第1電磁弁45が非励磁されることにより閉状態となる。これにより、制御空気供給源(不図示)からの制御空気は、制御空気メインライン41において遮断される。その結果、遮断弁24には第1制御空気分岐ライン42から制御空気が供給されないためは閉状態となり、燃料ガス供給ライン15における燃料ガスが遮断される。
【0059】
尚、第1制御空気分岐ライン42には第2電磁弁46が設けられているが、仮に第2電磁弁46の開閉状態に関わらず遮断弁24には制御空気が供給されない構成となっている。そのため、仮に第2電磁弁46が故障している場合においても燃料ガス供給ライン15の燃料ガスを確実に遮断することができ、いわば安全サイドの設計とすることができている。
【0060】
また遮断弁バイパス弁26には第2制御空気分岐ライン43から制御空気が空気されないため、遮断弁バイパス弁26は閉状態となる。またベント弁19には第3制御空気分岐ライン44を介して制御空気が供給されないため、ベント弁19は開状態となり、遮断弁24によって遮断された燃料ガスがベント弁19を介して外部に放出される。
【0061】
このように異常発生時では、遮断弁24及び遮断弁バイパス弁26が閉状態となることで、各燃料ノズルに対して燃料ガスが遮断されるとともに、ベント弁19が開状態となることで、当該遮断された燃料ガスを外部に放出することが可能となる。
【0062】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0063】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0064】
(1)一態様に係る燃料ガス供給装置は、
ガスタービンの燃焼器に設けられた複数の燃料ノズルに対して燃料ガスを供給するための燃料ガス供給装置であって、
燃料ガス供給源に接続された燃料ガス供給ラインを介して前記複数の燃料ノズルに前記燃料ガスをそれぞれ供給するための燃料ガス供給系統と、
前記燃料ガス供給ラインに設けられ、前記複数の燃料ノズルに対する前記燃料ガスの流量をそれぞれ調節するための複数の流量調節弁と、
前記燃料ガス供給ラインのうち前記複数の流量調節弁より上流側に設けられた遮断弁と、
前記燃料ガス供給ラインに対して前記遮断弁をバイパスするように設けられたバイパスラインと、
前記バイパスラインに設けられた遮断弁バイパス弁と、
前記燃料ガス供給ラインのうち前記複数の流量調節弁の上流側圧力を制御するための制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記ガスタービンが通常運転状態にある場合において、前記遮断弁を開くとともに、前記遮断弁バイパス弁を閉じることにより、前記上流側圧力を、前記燃料ガス供給源の供給圧力によって制御し、
前記ガスタービンの着火時又は昇速時の少なくとも一方を含む非通常運転状態において、前記遮断弁を閉じるとともに、前記遮断弁バイパス弁を開くことにより、前記上流側圧力を前記通常運転時に比べて低くなるように制御する。
【0065】
上記(1)の態様によれば、ガスタービンの通常運転状態では、遮断弁を開くとともに遮断弁バイパス弁を閉じることにより、複数の燃料ノズルには、遮断弁を介して燃料ガスが供給される。このとき流量調節弁の上流側圧力は、燃料ガス供給源の供給圧力によって制御される。一方、ガスタービンの着火時又は昇速時の少なくとも一方を含む非通常運転状態では、遮断弁を閉じるとともに遮断弁バイパス弁を開くことにより、複数の燃料ノズルには、遮断弁バイパス弁を介して燃料ガスが供給される。このとき、流量調節弁の上流側圧力は、通常運転時に比べて低くなるように制御される。これにより、通常運転状態に比べてガスタービンの燃料ガスの必要燃流量が少なくなる着火時や昇速時のような非通常運転状態においても、流量調節弁の流量係数を適度に確保できる。
【0066】
(2)他の態様では、上記(1)の態様において、
前記遮断弁バイパス弁は、開度を調節可能な制御弁であり、
前記制御装置は、前記非通常運転状態において、前記通常運転状態に比べて、前記上流側圧力が低くなるように、前記遮断弁バイパス弁の開度を制御する。
【0067】
上記(2)の態様によれば、通常運転状態に比べてガスタービンの燃料ガスの必要燃流量が少なくなる着火時や昇速時のような非通常運転状態においても、遮断弁バイパス弁の開度制御によって、流量調節弁の流量係数が適度に確保できる。
【0068】
(3)他の態様では、上記(1)又は(2)の態様において、
前記制御装置は、前記複数の流量調節弁がチョーク流れ状態で動作するように、前記上流側圧力を制御する。
【0069】
上記(3)の態様によれば、流量調節弁がチョークフロー域で作動するように、流量調節弁の上流側圧力が制御される。これにより、流量調節弁の下流側圧力を演算する必要がなくなり、簡易な構成で各燃料ノズルに対する燃料ガスの流量制御が可能となる。
【0070】
(4)他の態様では、上記(1)から(3)のいずれか一態様において、
前記燃料ガス供給系統は、前記燃料ガス供給ラインの下流側から前記複数の燃料ノズルに分岐する複数の燃料ガス分岐ラインを含み、
前記遮断弁は、前記燃料ガス供給ラインに設けられ、
前記複数の流量調節弁は、前記複数の分岐燃料ガス供給ラインにそれぞれ設けられる。
【0071】
上記(4)の態様によれば、燃料ガス供給源からの燃料ガスは、燃料ガス供給ラインから分岐する複数の分岐燃料ガス供給ラインを介して、各燃料ノズルに供給される。このような燃料ガス供給系統において、遮断弁は燃料ガス供給ラインに設けられるとともに、複数の流量調節弁は、複数の分岐燃料ガス供給ラインにそれぞれ設けられる。
【0072】
(5)他の態様では、上記(1)から(4)のいずれか一態様において、
前記遮断弁によって遮断された前記燃料ガス供給ラインの前記燃料ガスを外部に放出するための燃料ガス排出ラインと、
前記燃料ガス排出ラインに設けられたベント弁と、
を更に備え、
前記遮断弁、前記遮断弁バイパス弁、及び、前記ベント弁は、共通の制御空気供給系統から供給される制御空気によって作動可能な空気駆動弁である。
【0073】
上記(5)の態様によれば、燃料ガス供給系統を構成する燃料ガス供給ラインには、例えば異常発生時に遮断弁によって燃料ガス供給ラインを流れる燃料ガスを遮断された際に、燃料ガスを外部(例えば大気)に逃がすためのベント弁が設けられる。このベント弁は、前述の遮断弁及び遮断弁バイパス弁とともに空気駆動弁として構成される。空気駆動弁は、油圧系統を伴う油圧駆動弁に比べてコスト的に有利である。また空気駆動弁である遮断弁、遮断弁バイパス弁及びベント弁は、共通の空気供給系統から供給される制御空気によって作動することにより開閉可能である。このように遮断弁、遮断弁バイパス弁及びベント弁に制御空気を供給するための空気供給系統を共通化することで、構成を効率化し、設置スペースやコストを効果的に抑制できる。
【0074】
(6)他の態様では、上記(5)の態様において、
前記遮断弁及び前記遮断弁バイパス弁は、前記制御空気の遮断時に閉状態になり、
前記ベント弁は、前記制御空気の遮断時に開状態になる。
【0075】
上記(6)の態様によれば、遮断弁及びベント弁に加えて、遮断弁バイパス弁もまた共通の空気供給系統から供給される制御空気によって開閉状態が制御される場合に、何らかの異常が発生した際には、制御空気を遮断することによって、遮断弁及び遮断弁バイパス弁を閉状態にして燃料ガスを遮断する一方で、ベント弁を開状態にすることで遮断した燃料ガスを外部に逃がすことができる。
【0076】
(7)他の態様では、上記(5)又は(6)の態様において、
前記空気供給系統は、
前記制御空気を供給するための制御空気供給ラインと、
前記制御空気供給ラインから分岐し、前記遮断弁、前記遮断弁バイパス弁、及び、前記ベント弁にそれぞれ接続される複数の制御空気分岐ラインと、
前記制御空気供給ラインに設けられた第1電磁弁と、
前記遮断弁に接続される前記制御空気分岐ラインに設けられた第2電磁弁と、
を備える。
【0077】
ここで、遮断弁バイパス弁を有さず、遮断弁及びベント弁を有する空気供給系統では、ガスタービンに何らかの異常が生じることで燃料ガス供給系統における燃料ガスを遮断する場合には、遮断弁を閉じて燃料ガス供給ラインを流れる燃料ガスを遮断する一方で、ベント弁を開けることで遮断された燃料ガスを外部に逃がす。このとき、仮に遮断弁及びベント弁に対して制御空気の供給/遮断を切り替えるための電磁弁を独立に設けると、いずれか一方の電磁弁が故障等によって正常に動作しない場合に、制御空気が意図しない流れとなり、装置保護又は安全性の観点からリスクとなるおそれがある。そのため、遮断弁及びベント弁に対する制御空気の供給/遮断を行うための電磁弁を共用とし、制御空気の供給/遮断に対する遮断弁及びベント弁の開閉が逆になるように構成することで、電磁弁の数を減らすことで故障リスクやコストを低減しながら、異常発生時における遮断弁の閉動作とベント弁の開動作の信頼性を向上できる。
【0078】
上記(7)の態様では、制御空気供給ラインに第1電磁弁を設けることで、第1電磁弁の開閉によって、上記の参考技術と同様に、異常発生時に遮断弁及びベント弁の開閉を互いに逆動作させることで、電磁弁の故障リスクを効果的に低減できる。一方で、遮断弁に接続される制御空気分岐ラインに第2電磁弁を設けることで、前述したガスタービンの着火時や昇速時のような非通常運転状態には、遮断弁及びベント弁を閉じつつ、遮断弁バイパス弁を開度制御することが可能となる。このような構成により、制御空気供給系統が備える電磁弁の数を抑えながら、ガスタービンの着火時や昇速時のような非通常運転状態における遮断弁バイパス弁の開制御を実現できる。
【0079】
(8)他の態様では、上記(7)の態様において、
前記第1電磁弁は励磁時に開状態となり、
前記第2電磁弁は励磁時に閉状態となる。
【0080】
上記(8)の態様によれば、ガスタービンの通常運転状態では、燃料ガスを遮断しないために遮断弁を開状態にすべく、第2電磁弁は非励磁状態とされる。これにより、ガスタービンの運用時において大部分を占める通常運転状態において第2電磁弁を励磁しないことで(すなわち第2電磁弁の励磁期間を少なくすることで)、第2電磁弁に不具合が生じる可能性を低減し、信頼性を向上できる。
【符号の説明】
【0081】
1 ガスタービン発電プラント
2 圧縮機
3 燃焼器
4 タ一ビン
5 燃料ガス供給装置
6 発電機
7 回転軸
10C 共通系統
10M1 第1メイン燃料供給系統
10P パイロッ卜燃料供給系統
10T トップハット燃料供給系統
11M1 第1メインノズル
11P パイロッ卜ノズル
11T トップハットノズル
12M1 第1メインマ二ホールド
12P パイロットマ二ホールド
12T トップハットマ二ホールド
13M1 第1メイン流量調節弁
13P パイロッ卜流量調節弁
13T トップハット流量調節弁
15 燃料ガス供給ライン
18 燃料ガス排出ライン
19 ベント弁
20 圧力センサ
22 遮断弁ユニット
24 遮断弁
26 遮断弁バイパス弁
28 バイパスライン
40 制御空気供給系統
41 制御空気メインライン
42 第1制御空気分岐ライン
43 第2制御空気分岐ライン
44 第3制御空気分岐ライン
45 第1電磁弁
46 第2電磁弁
50 制御装置
52 運転状態判定部
54 遮断弁ユニット制御部
54a 遮断弁制御部
54b 遮断弁バイパス弁制御部
54c ベント弁制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9