(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087197
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】ソフトカフ装着補助具
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
A61B5/022 300G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201850
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯島 庸平
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AD12
(57)【要約】
【課題】ソフトカフを装着するときに補助具として使用することで、要求される装着性と収納性を両立させるソフトカフ装着補助具を提供すること。
【解決手段】コアを有しない腕帯であるソフトカフ10を腕Aに巻き付け装着するときに使用されるソフトカフ装着補助具であって、可撓性板材によって開口部を有するアーチ形状に形成され、ソフトカフ10のカフ外側表面に対して着脱可能である補助リング80を備える。補助リング80は、ソフトカフ10への取り付け状態でカフ外側表面に接触し、ソフトカフ10の形状を、腕Aの外周面に沿った巻き付け形状に規定するカフ接触内面81を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアを有しない腕帯であるソフトカフを腕に巻き付け装着するときに使用されるソフトカフ装着補助具であって、
可撓性板材によって開口部を有するアーチ形状に形成され、前記ソフトカフのカフ外側表面に対して着脱可能である補助リングを備え、
前記補助リングは、前記ソフトカフへの取り付け状態で前記カフ外側表面に接触し、前記ソフトカフの形状を、前記腕の外周面に沿った巻き付け形状に規定するカフ接触内面を有する
ことを特徴とするソフトカフ装着補助具。
【請求項2】
前記カフ接触内面は、前記腕を通す前の状態で前記ソフトカフに取り付けると、前記ソフトカフの形状に丸みを持たせるアーチ形状内面部と、丸みを持たせた形状の前記ソフトカフに前記腕を通した状態にすると、前記ソフトカフを介して前記腕を両側から挟持する一対の挟持内面部と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のソフトカフ装着補助具。
【請求項3】
前記補助リングは、アーチ形状に沿う周上の位置に、前記ソフトカフの巻き付け方向の周縁部に対して幅方向への差し込みにより取り付けるカフ固定爪を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のソフトカフ装着補助具。
【請求項4】
前記カフ固定爪は、前記補助リングの前記アーチ形状に沿う周上のうち、両端部位置と中央部位置との3箇所に有する
ことを特徴とする請求項3に記載のソフトカフ装着補助具。
【請求項5】
前記ソフトカフの1枚に対して用意する補助具は、前記ソフトカフの幅方向両側位置にそれぞれ分けて取り付ける一対の前記補助リングによる補助リングセットとする
ことを特徴とする請求項1から4までの何れか一項に記載のソフトカフ装着補助具。
【請求項6】
前記ソフトカフの1枚に対して用意する補助具は、前記ソフトカフの幅方向両側位置に取り付ける一対の前記補助リングを連結バーにより繋いだ1個の連結補助リングとする
ことを特徴とする請求項1から4までの何れか一項に記載のソフトカフ装着補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアを有しない腕帯であるソフトカフを腕へ装着するのを補助するソフトカフ装着補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
他人の手を借りることなく簡単に腕に血圧計の腕帯を巻き付けることができる血圧計用腕帯が知られている。この血圧計用腕帯は、動脈加圧用空気袋が収納される袋体と、この袋体の一部に収納され、前記袋体をほぼ弧状に形成する可撓性フック部材とを有する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
正確に阻血個所に装着することを可能にする手首式血圧計が知られている。この手首式血圧計のカフ帯は、帯状クリップ部材と、阻血袋と、外布と、内布とを有している。帯状クリップ部材は、所定の弾性を備える薄板材により略C字状に湾曲形成されている。細幅な一対の帯状クリップ部材は、阻血袋の長さとほぼ同じ長さに形成されていて、カフ帯とほぼ同じ幅の阻血袋の両端にあって、阻血袋の長手方向に沿うようにして配置されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭50-141487号公報
【特許文献2】特開2002-102182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、血圧計用腕帯に関しては、腕へ装着するときにできる限り簡単な操作で適切な所定位置に装着できるという装着性と、腕から外して収納するときにできる限りコンパクトなサイズで収納できるという収納性と、が併せて要求される。
【0006】
これに対し、特許文献1に記載された血圧計用腕帯は、袋体に可撓性フック部材を芯材(以下、「コア」という。)として内蔵し、特許文献2に記載された血圧計用腕帯は、カフ帯に帯状クリップ部材をコアとして内蔵している。すなわち、特許文献1,2に記載された血圧計用腕帯は、何れもコアを有する「ハードカフ」と呼ばれる腕帯である。このハードカフは、腕を挟む形状によるコアを有することで、血圧測定時、腕へ巻き付け装着するときにカフ形状やカフ位置を安定させることが可能である。しかし、ハードカフは、袋体やカフ帯に対して常にコアが内蔵されているため、収納するときにコアの形状に沿って丸めた円筒形状等の形態にして収納することになり、コンパクトな収納形態にできない、という課題がある。
【0007】
一方、コアを有しない血圧計用腕帯は「ソフトカフ」と呼ばれる。このソフトカフは、コアが無くて自由な曲げ変形性が確保されることで、収納するときにコンパクトに折り畳み収納することができる。しかし、ソフトカフは、血圧測定時、片手により腕へ装着するときにカフ形状やカフ位置が安定しにくく、容易に所定位置へ装着することができない、という課題がある。
【0008】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、ソフトカフを装着するときに補助具として使用することで、血圧計用腕帯に要求される装着性と収納性を両立させるソフトカフ装着補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、コアを有しない腕帯であるソフトカフを腕に巻き付け装着するときに使用されるソフトカフ装着補助具であって、可撓性板材によって開口部を有するアーチ形状に形成され、前記ソフトカフのカフ外側表面に対して着脱可能である補助リングを備える。前記補助リングは、前記ソフトカフへの取り付け状態で前記カフ外側表面に接触し、前記ソフトカフの形状を、前記腕の外周面に沿った巻き付け形状に規定するカフ接触内面を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のソフトカフ装着補助具によれば、ソフトカフを装着するときに補助具として補助リングを使用することで、血圧計用腕帯に要求される装着性と収納性を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1~3のソフトカフ装着補助具が使用されるソフトカフがカフホルダーに収納されている状態の上腕式電子血圧計の一例を示す斜視図である。
【
図2】実施例1~3のソフトカフ装着補助具が使用されるソフトカフの折り畳み収納形態を示す斜視図である。
【
図3】実施例1~3のソフトカフ装着補助具が使用されるソフトカフを展開したときのカフ外側表面を示すカフ展開図である。
【
図4】実施例1のソフトカフ装着補助具である補助リングの全体形状を示す斜視図である。
【
図5】実施例1のソフトカフ装着補助具である補助リングのカフ接触内面及びカフ固定爪を示す正面図である。
【
図6】実施例1の一対の補助リングをソフトカフの幅方向両側位置にそれぞれ取り付けた状態を示す補助リング取付け説明図である。
【
図7】補助リングを使用しない比較例のソフトカフを腕に巻き付け装着する手順1を示す説明図である。
【
図8】補助リングを使用しない比較例のソフトカフを腕に巻き付け装着する手順2を示す説明図である。
【
図9】補助リングを使用しない比較例のソフトカフを腕に巻き付け装着する手順3を示す説明図である。
【
図10】補助リングを使用しない比較例のソフトカフを腕に巻き付け装着する手順4を示す説明図である。
【
図11】実施例1の補助リングを使用するソフトカフを腕に巻き付け装着するときにカフ形状やカフ位置が安定する作用を示す作用説明図である。
【
図12】実施例2の爪無し補助リングを示す斜視図である。
【
図13】実施例2の一対の爪無し補助リングをソフトカフの幅方向両側位置にそれぞれ取り付けた状態を示す補助リング取付け説明図である。
【
図14】実施例3の連結補助リングを示す斜視図である。
【
図15】実施例3の連結補助リングをソフトカフの幅方向両側位置にそれぞれ取り付けた状態を示す補助リング取付け説明図である。
【
図16】実施例2の爪無し補助リングを1個用意してソフトカフの幅方向片側位置に取り付けた状態を示す補助リング取付け説明図である。
【
図17】実施例2の爪無し補助リングを3個用意してソフトカフの幅方向両側位置と幅方向中央位置に取り付けた状態を示す補助リング取付け説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のソフトカフ装着補助具を実施するための形態は、図面に示す実施例1~実施例3に基づいて、以下のように説明される。
【0013】
実施例1~実施例3のソフトカフ装着補助具を使用するソフトカフ10は、被検体の上腕部(以下、「腕A」という。)に巻き付け装着し、血圧(最高血圧、最低血圧)や心拍数を計測する上腕式電子血圧計(血圧計の一例)に適用される。以下の説明において、腕Aに巻き付けられる方向を「巻き付け方向P」とし、巻き付け方向Pに直交する方向(巻き付けられた状態における腕Aに沿う方向)を「幅方向D」とする。
【実施例0014】
まず、実施例1~実施例3のソフトカフ装着補助具が使用されるソフトカフ10の構成は、
図1~
図3を参照して、以下のように説明される。なお、
図1は、ソフトカフ10がカフホルダー32に収納されている状態の上腕式電子血圧計の一例を示し、
図2は、ソフトカフ10の折り畳み収納形態を示し、
図3は、ソフトカフ10を展開したときのカフ外側表面を示す。
【0015】
上腕式電子血圧計は、
図1に示すように、ソフトカフ10と、エアホース20と、血圧計本体30と、を備えて構成されている。ソフトカフ10は、コアを有しない血圧計用腕帯であり、エアホース20によって血圧計本体30に接続される。
【0016】
エアホース20は、一端がソフトカフ10の空気袋50に設けられたエア給排ノズル51に接続されていて、他端にエアーホースプラグ21が設けられている。他端に設けられたエアーホースプラグ21は、少なくとも血圧測定時において、血圧計本体30の側面に設けられたエアホースソケット31fに接続される。
【0017】
血圧計本体30は、表示機能や操作機能や血圧測定機能や脈拍測定機能を有する本体ケース31と、本体ケース31の背面側に連結され、ソフトカフ10を使わないときにソフトカフ10を収容するカフホルダー32と、を備えている。
【0018】
本体ケース31は、
図1に示すように、ケース前面には、血圧測定値(最高血圧及び最低血圧)や脈拍数等を表示する液晶パネルによる表示部31aが斜めに配置される。表示部31aの下部には、測定/停止スイッチ31b、メモリースイッチ31c、時計合わせスイッチ31d、時計設定スイッチ31eが配置される。本体ケース31のケース側面には、エアホース20の一端が接続されるエアホースソケット31fが配置される。また、本体ケース31には、図示を省略しているが、空気袋50に空気を供給するエアポンプ、空気袋50の圧力を検出する圧力センサ、ポンプ作動制御や圧力検出値から血圧値等の算出処理を行う制御部、必要データを記憶する記憶部、等の各種機器が内蔵されている。
【0019】
カフホルダー32は、
図1に示すように、ソフトカフ10を使わないとき、折り畳み収納形態のソフトカフ10を、ホルダー上方からエアホース20と共に差し込むことにより収納する。ソフトカフ10の折り畳み収納形態は、
図2に示すように、ソフトカフ10を平たく方形状に折り畳んで面ファスナーにより面係合した形態とする。よって、折り畳み収納形態のソフトカフ10は、本体ケース31の背面をホルダーの一部とするカフホルダー32に対してコンパクトに収納される。一例として、
図1に示すように、縦長の表示部31aを有する本体ケース31とした場合、血圧計本体30を正面から視たときにソフトカフ10を本体ケース31の背面に隠した状態で収納することも可能である。
【0020】
ソフトカフ10は、
図3に示すように、腕帯カバー40と、空気袋50と、カフリング金具60と、カフリング止め70と、を備えている。以下の説明において、
図3に示すソフトカフ10の左端をソフトカフ10の後端10aといい、
図3の右端をソフトカフ10の先端10bという。
【0021】
腕帯カバー40は、
図3に示すように、腕Aに巻き付けられる巻き付け方向Pの長さが幅方向Dに対して長い帯状であり、表布41と、裏布42と、を有する。表布41は、腕Aに巻き付けられた状態で外周側に配置され、裏布42は、腕Aに巻き付けられた状態で内周側に配置される。表布41としては、柔らかくて細い糸によるループが密集して表面全体に形成された雌型面ファスナー生地が用いられる。一方、裏布42としては、屈曲自在な素材であり腕Aと接触するときに刺激を与えることなく密着する柔軟な生地が用いられる。表布41と裏布42は、周縁の全周に亘って周縁生地43によって縫合される。これにより、腕帯カバー40は、表布41と裏布42との間に空気袋50やカフリング止め70を収容する収容空間が形成される。また、周縁生地43には、空気袋50のエア給排ノズル51の位置を中心とし、巻き付け方向Pの両側に向かって所定の長さを有する動脈位置合わせマーク44が設けられている。動脈位置合わせマーク44は、例えば、細長い青色の帯状生地を周縁生地43に沿って縫合することにより取り付けられる。
【0022】
表布41には、雌型面ファスナー生地に対して面的に着脱できるファスナーである雄型面ファスナー45がソフトカフ10の先端10b側に寄った領域に設けられている。雄型面ファスナー45は、幅方向の辺を長辺とし巻き付け方向Pの辺を短辺とする長方形状であり、硬めの樹脂糸によるカギ状フックが密集して面全体に形成されている。この雄型面ファスナー45は、血圧測定時、ソフトカフ10が腕Aに巻き付けられた状態で表布41(=雌型面ファスナー生地)に対して面係合により貼り付けられる。この貼り付けによってソフトカフ10の巻き付け方向Pの周長が固定され、空気袋50の膨張に対してソフトカフ10が外方に拡大するのが抑えられる。
【0023】
空気袋50は、ソフトカフ10の巻き付け方向Pの中心位置から後端10a側に寄った領域であって、表布41と裏布42とに挟まれた空間に収容され、空気の供給によって膨張し、空気の排出によってソフトカフ10の形状に沿って収縮する袋である。空気袋50としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)を素材とし、互いに連通する外周側袋体と内周側袋体による2つの袋体を積み重ねて一体化した積層構造であり、袋体形状を略矩形形状としたものが用いられる。空気袋50には、巻き付け方向Pの中央部位置にエア給排ノズル51が設けられる。エア給排ノズル51は、表布41を貫通して配置され、カフ表面から露出しているエア給排ノズル51にエアホース20の一端が接続される。
【0024】
カフリング金具60は、ソフトカフ10の後端10aの位置に設けられ、ソフトカフ10の先端10bが差し込み通される金具である。このカフリング金具60は、円形断面の線材を長円形状に成形し、平行な2本の丸棒61,62により細長いカフ挿通隙間tを幅方向に形成している。カフリング金具60のソフトカフ10への固定は、平行な2本の丸棒61,62のうち一方の丸棒62を金具固定布63により表布41に縫合することで取り付けられる。ソフトカフ10が巻き付け装着される上腕部の腕径は、一般に肘関節に近い側より肘関節に遠い側の方が大きい。よって、カフリング金具60は、この点を考慮し、肘関節に近い側の巻き付け方向Pの長さが、肘関節に遠い側の巻き付け方向Pの長さより短くなる斜め配置の設定とされている。ここで、「肘関節に近い側」とは、動脈位置合わせマーク44が設けられる周縁生地43側をいう。
【0025】
カフリング止め70は、ソフトカフ10の先端10bの部分をカフリング金具60の細長いカフ挿通隙間tに対して弾性変形によって通した後、復元形状によって通したソフトカフ10がカフリング金具60から外れるのを止める部材である。このカフリング止め70は、ソフトカフ10の先端10bと雄型面ファスナー45との間の位置の幅方向Dに配置され、弾性変形性の高い樹脂素材等により細長い円柱形状又は細長い円筒形状に形成される。カフリング止め70のソフトカフ10への固定は、例えば、表布41と裏布42の間の所定位置にカフリング止め70を介装し、カフリング止め70の外周部分を囲むように縫合することで取り付けられる。
【0026】
次に、実施例1のソフトカフ装着補助具である補助リング80の構成は、
図4~
図6を参照して、以下のように説明される。なお、
図4は、補助リング80の全体形状を示し、
図5は、補助リング80のカフ接触内面81及びカフ固定爪83を示し、
図6は、一対の補助リング80,80をソフトカフ10の幅方向両側位置にそれぞれ取り付けた状態を示す。
【0027】
補助リング80は、血圧測定時、コアを有しない腕帯であるソフトカフ10を腕Aに巻き付け装着するときに使用されるソフトカフ装着補助具である。この補助リング80は、
図4に示すように、可撓性板材によって開口部を有するアーチ形状に形成され、ソフトカフ10のカフ外側表面に対して着脱可能である。補助リング80の内径は、血圧測定対象者における最小の腕周囲長に基づく腕外径よりも小さい内径に設定されている。
【0028】
ここで、「可撓性板材」とは、例えば、可撓性を有するポリプロピレン(PP)等を素材とする樹脂板材をいう。「アーチ形状」とは、幅寸法が10mm前後の細長い樹脂板材を、板材両端を離した状態で円形に成形したときの円形板部分の形状をいう。「開口部」とは、離れた板材両端による空間部分をいい、開口幅を拡大したり縮小したりすることでソフトカフ10への着脱機能を発揮する。「カフ外側表面」とは、ソフトカフ10を装着するときに外周面になる表布41の表面をいう。
【0029】
補助リング80は、
図4及び
図5に示すように、ソフトカフ10への取り付け状態でカフ外側表面に接触し、ソフトカフ10の形状を、腕Aの外周面に沿った巻き付け形状に規定するカフ接触内面81を有する。ここで、「規定する」とは、取り付けられた補助リング80のカフ接触内面81の形状によって、ソフトカフ10の形状を、緩みや皺の発生が無く腕Aの外周面に密着させる巻き付け形状に定めることをいう。
【0030】
カフ接触内面81は、
図5に示すように、アーチ形状内面部81aと、一対の挟持内面部81b,81bと、を有する。アーチ形状内面部81aとは、カフ接触内面81のうち、腕Aを通す前の状態でソフトカフ10に取り付けたとき、主にソフトカフ10の形状に丸みを持たせる機能が発揮されるアーチ形状領域をいう。一対の挟持内面部81b,81bとは、カフ接触内面81のうち、補助リング80を取り付けたソフトカフ10に腕Aを通した状態にしたとき、主にソフトカフ10を介して腕Aを両側から挟持する機能が発揮されるリング端部領域をいう。
【0031】
ここで、腕Aを両側から挟持する機能は、補助リング80を取り付けたソフトカフ10に腕Aを通すと、
図5の仮想線に示すように、補助リング80が弾性変形により両側に拡大し、元の形状に戻ろうとする弾性復元力が挟持力になって発揮される。なお、アーチ形状内面部81aと一対の挟持内面部81b,81bとは、領域を分ける明確な境界線を引くことができず、腕Aを通す前の丸みを持たせる機能と、腕Aを通した後の挟持機能は互いに重なる領域が存在する。例えば、腕Aを通す前においては、カフ接触内面81の全ての面がアーチ形状内面部81aということもできる。
【0032】
補助リング80は、
図4及び
図5に示すように、アーチ形状に沿う周上の位置に、ソフトカフ10の巻き付け方向Pの周縁部に対して幅方向Dへの差し込みにより取り付けるカフ固定爪83を有する。カフ固定爪83は、補助リング80のアーチ形状に沿う周上のうち、両端部位置と中央部位置との3箇所に有する。ここで、カフ固定爪83は、
図4及び
図5において、補助リング80のリング外周面82とリング両側面に跨る位置からの一体成形により有する例を図示している。しかし、カフ固定爪83は、補助リング80のアーチ形状に沿う周上の位置に有するものであれば良く、リング外周面82の位置からの一体成形により有する例であっても良いし、リング側面の片側位置からの一体成形により有する例であっても良い。さらに、別体に形成したカフ固定爪83を補助リング80に対し接着等により取り付ける例としても良い。
【0033】
カフ固定爪83は、ベース部83aと、湾曲部83bと、爪部83cと、カフ固定溝83dと、を有する。ベース部83aは、リング外周面82とリング両側面に跨る位置から外方に突出して形成され、内面がソフトカフ10の表布41に接触する。ベース部83aの内面は、カフ接触内面81から延長して形成された延長面であり、補助リング80のリング幅から幅方向Dの両側に突出することで、カフ接触内面81を拡大する拡大延長面とされている。湾曲部83bは、ベース部83aから一体に形成され、ソフトカフ10の周縁生地43に沿って回り込み接触する。爪部83cは、湾曲部83bから一体に形成され、ソフトカフ10の裏布42に接触する。爪部83cの内面は、ベース部83aの内面の一部に対向する面であり、爪部83cの先端部形状は略半円形状とされ、カフ固定爪83をソフトカフ10に差し込むときの操作を円滑にしている。カフ固定溝83dは、ベース部83aの内面と、湾曲部83bの内面と、爪部83cの内面とにより形成され、ソフトカフ10の周縁生地43へ差し込み固定するときの開口溝である。
【0034】
ソフトカフ10の1枚に対して用意する補助具は、
図6に示すように、ソフトカフ10の幅方向両側位置にそれぞれ分けて取り付ける一対の補助リング80,80による補助リングセット8Sとしている。補助リングセット8Sは、爪有りタイプの同じ形状による補助リング80を2個用意すること成立する。2個の補助リング80を1枚のソフトカフ10に対して両側からそれぞれ取り付け固定するとき、2個の補助リング80のカフ固定爪83が対向するように、一方の補助リング80を180度反転させる。
【0035】
次に、補助リング80を使用しない比較例のソフトカフ10を腕Aに巻き付け装着するときの位置ずれ及び緩みの発生作用は、
図7~
図10を参照して、以下のように説明される。なお、
図7,
図8,
図9,
図10は、補助リング80を使用しない比較例のソフトカフ10を腕Aに巻き付け装着する手順1,手順2,手順3,手順4をそれぞれ示す。
【0036】
まず、カフホルダー32から折り畳み収納されているソフトカフ10及びエアホース20を取り出し、エアホース20の他端に設けられたエアーホースプラグ21を血圧計本体30のエアホースソケット31fに接続する。次に、ソフトカフ10を左の腕Aに対し、下記の手順1,手順2,手順3,手順4を経由して巻き付け装着する。
【0037】
手順1では、ソフトカフ10の先端10bをカフリング金具60に通し、ソフトカフ10の輪の大きさを腕Aの太さよりも拡げた状態で、
図7に示すように、右手によりソフトカフ10を把持したままで、左手の指先から腕Aにソフトカフ10を通す。
【0038】
手順2では、ソフトカフ10を腕Aに通した後、動脈位置合わせマーク44が手のひら側にくるように位置合わせをし、
図8に示すように、右手によりソフトカフ10の先端10bを下向きに引っ張る。
【0039】
手順3では、ソフトカフ10の先端10bを下向きに引っ張って、ソフトカフ10の輪を小さくするように巻き締めた後、引っ張り状態を維持したまま右手によりソフトカフ10の先端10bを、
図9に示すように、カフリング金具60を支点として折り返す。
【0040】
手順4では、引っ張ったままでの折り返し動作によりソフトカフ10が巻き締められた後、
図10に示すように、右手によりソフトカフ10の先端10bを腕Aの周りに巻き付け、雄型面ファスナー45を表布41である雌型面ファスナーに貼り付ける。この面ファスナー貼り付け動作により、腕Aの周囲にソフトカフ10が巻き付け固定される。
【0041】
ここで、ソフトカフ10は、腕Aに通した後、動脈位置合わせマーク44に従ってソフトカフ10を手のひら側の所定位置に合せた状態で緩みなく巻き締めるのが望ましい。しかし、ソフトカフ10を腕Aに巻き付け装着する際、ソフトカフ10が巻き付けられる左手は使えず、右手だけを使ってソフトカフ10を腕Aに巻き付け装着する必要がある。このため、ソフトカフ10の先端10bを下向きに引っ張る手順2のとき、及び、ソフトカフ10の先端10bを引っ張ったまま折り返す手順3のとき、腕Aに巻き付けられているカフ部分には腕Aの外周面に密着させるような力が何も作用しない。
【0042】
したがって、下向きに引っ張る手順2のとき、及び、引っ張ったまま折り返す手順3のとき、フリー状態にて腕Aに巻き付けられているカフ部分に引っ張り力が加わると、引っ張り力にしたがって変形したり周方向に移動したりし、カフ形状やカフ位置が安定せずに動いてしまう。このように、ソフトカフ10が動いてしまうと、ソフトカフ10を巻く位置が所定位置からずれるカフ位置ずれやソフトカフ10が緩く巻かれるカフ緩みが発生してしまう。よって、比較例の場合、ソフトカフ10が所定位置に巻かれない可能性やソフトカフ10が緩く巻かれる可能性が高くなる。この結果、血圧を正しく測定することができず、血圧測定時にエラー動作と判定されたり、血圧測定値がばらつく測定精度不良を招いたりする。
【0043】
上記比較例の課題を解決する課題解決手段及び作用効果は、
図1,
図2,
図4,
図5,
図7,
図8,
図9,
図11を参照して、以下のように説明される。なお、
図11は、補助リング80を使用する実施例1のソフトカフ10を腕Aに巻き付け装着するときにカフ形状やカフ位置が安定する作用を示す。
【0044】
本発明者は、比較例に対して、ソフトカフ10の利点であるコンパクトな収納性を残しつつ、カフ装着時にだけ腕Aに巻き付いているカフ部分の動きを抑える役割を担う外付けの「拘束部材」を使用すると、収納性と装着性を両立できる点に着目した。そして、外付けの「拘束部材」として外付けの補助リング80を使用する下記の課題解決手段を採用した。
【0045】
課題解決手段は、血圧測定時、コアを有しない腕帯であるソフトカフ10を腕Aに巻き付け装着するときに使用されるソフトカフ装着補助具であって、可撓性板材によって開口部を有するアーチ形状に形成され、ソフトカフ10のカフ外側表面に対して着脱可能である補助リング80を備える。補助リング80は、ソフトカフ10への取り付け状態でカフ外側表面に接触し、ソフトカフ10の形状を、腕Aの外周面に沿った巻き付け形状に規定するカフ接触内面81を有する(
図4,
図5を参照)。
【0046】
血圧測定時に使用される補助リング80は、血圧測定時以外のときはソフトカフ10から外されている。よって、折り畳み収納形態とされたソフトカフ10(
図2を参照)は、例えば、本体ケース31の背面をホルダーの一部とするカフホルダー32に対してコンパクトに収納される(
図1を参照)。
【0047】
血圧測定時には、ソフトカフ10を腕Aに巻き付け装着する際、上記手順1に入る前に補助リング80がカフ外側表面に取り付けられる。ソフトカフ10へ取り付けられると、補助リング80のカフ接触内面81がカフ外側表面に接触し、ソフトカフ10の形状が、カフ接触内面81により腕Aの外周面に沿った巻き付け形状に規定される。そして、手順1(
図7を参照)において、右手によりソフトカフ10を把持したままで、左手の指先から腕Aにソフトカフ10を通すと、一対の挟持内面部81b,81bによりソフトカフ10を介して腕Aが両側から挟持される。このため、手順2(
図8を参照)、並びに、手順3(
図9を参照)のとき、腕Aに巻き付けられているカフ部分のカフ形状やカフ位置を拘束する補助リング80により安定し、ソフトカフ10の位置がずれる動きが抑えられる。
【0048】
すなわち、
図11に示すように、ソフトカフ10の先端10bを下向きの矢印E方向に引っ張る手順2のとき、腕Aに巻き付いているソフトカフ10の部分は、腕Aの形状に沿って矢印F方向に移動しようとする。同様に、ソフトカフ10の先端10bを矢印G方向に引っ張りながらカフリング金具60を支点として円弧状に回しながら折り返す手順3のとき、腕Aに巻き付いているソフトカフ10の部分は、腕Aの形状に沿って矢印F方向に移動しようとする。しかし、ソフトカフ10のうち腕Aに巻き付いているカフ部分には、外側からカフ部分を拘束するように補助リング80が取り付けられている。このため、腕Aに巻き付いているカフ部分は、補助リング80のカフ接触内面81により腕Aの外周面に沿った巻き付け形状に規定されることで、カフ部分の内周面を腕Aの外周面に密着させた状態となる。したがって、腕Aに巻き付いているソフトカフ10の部分に、矢印F方向に移動しようとする力が作用しても、ソフトカフ10の内周面と腕Aの外周面との間で矢印Fとは反対の矢印H方向の摩擦抵抗力が生じ、ソフトカフ10が移動するのが抑えられる。つまり、補助リング80のカフ接触内面81は、ソフトカフ10を腕Aに巻き付け装着するとき、ソフトカフ10の動きを拘束し、腕Aに巻き付けられているカフ部分のカフ形状やカフ位置を安定させる役割を果たす。
【0049】
よって、ソフトカフ10を装着するときに補助具として補助リング80を使用することで、血圧計用腕帯に要求される装着性と収納性を両立させることができる。血圧計用腕帯に要求される装着性が得られる結果、血圧を正しく測定することができ、血圧測定時にエラー動作と判定されたり、血圧測定値がばらつく測定精度不良を招いたりすることも防止される。さらに、外付けの補助リング80であるため、ソフトカフ10に限られず現状の様々なソフトカフに対し、装着性が向上する補助リング80を取り付けることができる。また、不必要と判断すれば、補助リング80を装着せず、通常のソフトカフ10のまま使用するという選択も可能である。
【0050】
次に、補助リング80によるソフトカフ10に丸みを持たせる作用及びソフトカフ10を挟み込む作用は、
図5及び
図6を参照して、以下のように説明される。
【0051】
補助リング80のカフ接触内面81は、アーチ形状内面部81aと、一対の挟持内面部81b,81bと、を有する(
図5を参照)。
【0052】
上記手順1に入る前段階のソフトカフ10に対し、
図6に示すように、一対の補助リング80,80を、幅方向両側位置にそれぞれ取り付けるとする。このとき、補助リング80のカフ接触内面81にアーチ形状内面部81aを有することで、取り付けた部分のソフトカフ10の巻き付け方向形状が、補助リング80のアーチ形状内面部81aの形状により丸みが持たせられる。
【0053】
補助リング80を取り付けたことで丸みを持たせた形状のソフトカフ10に対し、上記手順1にしたがって、右手によりソフトカフ10を把持したままで、左手の指先から腕Aにソフトカフ10を通したとする。このとき、丸みを持たせた形状のソフトカフ10に腕Aを通すことで、
図5の仮想線に示すように、補助リング80が弾性変形により両側に拡大する。これに対し、補助リング80のカフ接触内面81に一対の挟持内面部81b,81bを有することで、元の形状に戻ろうとする弾性復元力が挟持力になり、一対の挟持内面部81b,81bがソフトカフ10を介して腕Aを両側から挟み込む。
【0054】
このように、ソフトカフ10に丸みを持たせることで腕Aを通した際にソフトカフ10は腕Aを挟み込むため、ソフトカフ10は腕Aの巻き付け位置で安定し、ソフトカフ10を所定位置(動脈位置合わせマーク44の位置)に設定することが容易になる。また、挟み込んでいるため、ソフトカフ10に緩みが発生することも無い。
【0055】
次に、カフ固定爪83によりソフトカフ10に対して補助リング80を取り付け固定する作用は、
図4~
図6を参照して、以下のように説明される。
【0056】
補助リング80は、アーチ形状に沿う周上の位置に、ソフトカフ10の巻き付け方向Pの周縁部に対して幅方向Dへの差し込みにより取り付けるカフ固定爪83を有する(
図4及び
図5を参照)。
【0057】
補助リング80をソフトカフ10の巻き付け方向Pの周縁部に取り付けるときは、カフ固定爪83を幅方向Dへ差し込む操作により取り付けられる。例えば、一対の補助リング80,80がソフトカフ10の幅方向両側位置にそれぞれ取り付けられている
図6に基づいて説明する。
図6に示す左側の補助リング80は、カフ固定爪83を幅方向Dのうち右方向への差し込み操作を差し込み限度の終端位置まで行うことで、ソフトカフ10の左側の周縁部に挟み込み状態で取り付け固定される。一方、
図6に示す右側の補助リング80は、カフ固定爪83を幅方向Dのうち左方向への差し込み操作を差し込み限度の終端位置まで行うことで、ソフトカフ10の右側の周縁部に挟み込み状態で取り付けられる。よって、補助リング80を差し込み限度位置により決まるソフトカフ10の適切な位置に容易に取り付けられる。さらに、ソフトカフ10を腕Aに巻き付け装着する途中段階で補助リング80が取り付けた位置からずれたり、補助リング80がソフトカフ10から外れたりするのが防止される。
【0058】
カフ固定爪83は、補助リング80のアーチ形状に沿う周上のうち、両端部位置と中央部位置との3箇所に有する(
図4及び
図5を参照)。
【0059】
一対の補助リング80,80は、上記手順1に入る前段階のソフトカフ10に対し、
図6に示すように、幅方向両側位置にそれぞれ取り付け固定される。このとき、両端部位置と中央部位置との3箇所において、補助リング80のカフ固定爪83を幅方向Dへ差し込むことで取り付けられる。このように、補助リング80が3点固定により取り付けられるため、補助リング80を取り付けたカフ部分の巻き付け方向形状が、補助リング80のカフ接触内面81のアーチ形状との一致性が高い整然とした丸み形状になる。よって、腕Aに整然とした丸み形状のソフトカフ10を通すとき(手順1)、スムーズに腕Aを通すことができる。さらに、3点固定の補助リング80によりソフトカフ10を介して腕Aが両側から適正な挟持力により挟み込まれる。
【0060】
以上説明したように、実施例1のソフトカフ装着補助具にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
【0061】
(1)コアを有しない腕帯であるソフトカフ10を腕Aに巻き付け装着するときに使用されるソフトカフ装着補助具であって、可撓性板材によって開口部を有するアーチ形状に形成され、ソフトカフ10のカフ外側表面に対して着脱可能である補助リング80を備える。補助リング80は、ソフトカフ10への取り付け状態でカフ外側表面に接触し、ソフトカフ10の形状を、腕Aの外周面に沿った巻き付け形状に規定するカフ接触内面81を有する。このため、ソフトカフ10を装着するときに補助具として補助リング80を使用することで、血圧計用腕帯に要求される装着性と収納性を両立させることができる。そして、ソフトカフ10を腕Aの所定位置に巻き付け装着する装着性が得られる結果、血圧を正しく測定することができ、血圧測定時にエラー動作と判定されたり、血圧測定値がばらつく測定精度不良を招いたりすることも防止される。
【0062】
(2)カフ接触内面81は、腕Aを通す前の状態でソフトカフ10に取り付けると、ソフトカフ10の形状に丸みを持たせるアーチ形状内面部81aと、丸みを持たせた形状のソフトカフ10に腕Aを通した状態にすると、ソフトカフ10を介して腕Aを両側から挟持する一対の挟持内面部81b,81bと、を有する。このため、ソフトカフ10の巻き付け方向形状を、補助リング80のアーチ形状内面部81aの形状により丸みを持たせた形状にすることができると共に、一対の挟持内面部81b,81bによりソフトカフ10を介して腕Aを両側から挟み込むことができる。この結果、ソフトカフ10は腕Aの巻き付け位置で安定し、ソフトカフ10を所定位置に設定することが容易になると共に、挟み込んでいることで、ソフトカフ10に緩みが発生することも抑えられる。
【0063】
(3)補助リング80は、アーチ形状に沿う周上の位置に、ソフトカフ10の巻き付け方向Pの周縁部に対して幅方向Dへの差し込みにより取り付けるカフ固定爪83を有する。このため、補助リング80をソフトカフ10に取り付ける際、カフ固定爪83を用いる幅方向Dへの差し込み固定により、補助リング80を適切な位置に容易に取り付けることができる。加えて、ソフトカフ10を腕Aに巻き付け装着するときに補助リング80がずれたり外れたりするのを防止できる。
【0064】
(4)カフ固定爪83は、補助リング80のアーチ形状に沿う周上のうち、両端部位置と中央部位置との3箇所に有する。このため、補助リング80を取り付けた部分のソフトカフ10の巻き付け方向形状を、補助リング80のカフ接触内面81のアーチ形状との一致性が高い整然とした丸み形状にすることができる。この結果、腕Aにソフトカフ10を通すとき、スムーズに腕Aを通すことができると共に、3点拘束の補助リング80によりソフトカフ10を介して腕Aを両側から適正な挟持力により挟み込むことができる。
【0065】
(5)ソフトカフ10の1枚に対して用意する補助具は、ソフトカフ10の幅方向両側位置にそれぞれ分けて取り付ける一対の補助リング80,80による補助リングセット8Sとする。このように、ソフトカフ10を腕Aに装着するときの補助具として補助リングセット8Sを用いるため、1枚のソフトカフ10に対し1個の補助リング80を取り付ける場合に比べ、ソフトカフ10に丸みを待たせるときの丸み形状の安定性が向上する。なお、実施例1のようにカフ固定爪83を有する爪有りタイプの補助リング80を取り付ける場合は、ソフトカフ10の両端部への挟み込みにより位置決めされることで、カフ位置の安定性が向上する。
実施例2は、実施例1がカフ固定爪83を有する爪有りタイプの補助リング80による例であるのに対し、カフ固定爪83を無くして爪無し補助リング80’とする例である。
実施例2のソフトカフ装着補助具にあっては、実施例1の上記(1)、(2)、(5)の効果を得ることができる。そして、爪無し補助リング80’とした実施例2の場合は、実施例1の爪有りタイプの補助リング80に比べてリング構成が簡潔である。このため、安価に製造することが可能であるし、使わないときにコンパクトに収納できるし、実施例1より短時間で容易にソフトカフ10へ取り付けることができる。