(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008722
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】管制装置、管制システム及び画面表示方法
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240112BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G08B17/00 Z
G05B23/02 301Y
G08B17/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110825
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 伸樹
(72)【発明者】
【氏名】門倉 悠真
(72)【発明者】
【氏名】長島 正和
(72)【発明者】
【氏名】小山 郁郎
【テーマコード(参考)】
3C223
5G405
【Fターム(参考)】
3C223AA15
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB05
3C223FF10
3C223FF42
3C223FF45
3C223GG01
3C223HH04
5G405AA06
5G405AD06
5G405AD07
5G405BA01
5G405CA21
5G405CA23
5G405CA26
5G405CA31
5G405CA60
(57)【要約】
【課題】火災等の災害発生時にオペレータの操作あるいは判断が要求される場合に、オペレータを支援し、オペレータの知識差、経験差、体調や精神的な状態による影響を抑制して、正しくかつ迅速に操作が行える。
【解決手段】実施形態の管制装置は、管制に必要な各種情報を表示する表示装置と、オペレータが各種操作を行う操作部と、前記オペレータの一又は複数種類の生体情報を取得する生体情報取得部と、取得した一又は複数種類の前記生体情報に基づいて、前記オペレータが所定の異常状態にあるか否かを判断する判断部と、前記オペレータが前記異常状態にある場合に、前記操作部を介した前記オペレータの操作の手順を示すガイダンス画面を前記表示装置の表示画面に表示する表示制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管制に必要な各種情報を表示する表示装置と、
オペレータが各種操作を行う操作部と、
前記オペレータの一又は複数種類の生体情報を取得する生体情報取得部と、
取得した一又は複数種類の前記生体情報に基づいて、前記オペレータが所定の異常状態にあるか否かを判断する判断部と、
前記オペレータが前記異常状態にある場合に、前記操作部を介した前記オペレータの操作の手順を示すガイダンス画面を前記表示装置の表示画面に表示する表示制御部と、
を備えた管制装置。
【請求項2】
前記判断部は、一又は複数種類の前記生体情報が所定の閾値を超えている場合に、前記異常状態にあると判断する、
請求項1記載の管制装置。
【請求項3】
前記判断部は、一又は複数種類の前記生体情報が所定の閾値を超えている状態が所定時間以上継続した場合に、前記異常状態にあると判断する、
請求項1記載の管制装置。
【請求項4】
前記判断部は、一又は複数種類の前記生体情報の変化パターンと、前記オペレータに対応する所定の基準変化パターンとのマッチング度が所定の閾値以下である場合に前記異常状態にあると判断する、
請求項1記載の管制装置。
【請求項5】
前記判断部は、一又は複数種類の前記生体情報の変化パターンと、前記オペレータに対応する所定の基準変化パターンとのマッチング度が所定の閾値以下である状態が所定時間以上継続した場合に前記異常状態にあると判断する、
請求項1記載の管制装置。
【請求項6】
前記基準変化パターンは、複数の前記オペレータに対応するものである、
請求項4又は請求項5記載の管制装置。
【請求項7】
複数の前記オペレータのそれぞれに対応する前記基準変化パターンを記憶する記憶部を備え、
前記判断部は、判断対象のオペレータに対応する前記基準変化パターンを前記記憶部から抽出し、抽出した前記基準変化パターンと前記判断対象のオペレータから取得した一又は複数種類の前記生体情報の変化パターンとのマッチング度に基づいて前記判断を行う、
請求項4又は請求項5記載の管制装置。
【請求項8】
管制装置と、前記管制装置により管制される被管制装置を備えた管制システムであって、
前記管制装置は、
管制に必要な各種情報を表示する表示装置と、
オペレータが各種操作を行う操作部と、
前記オペレータの一又は複数種類の生体情報を取得する生体情報取得部と、
取得した一又は複数種類の前記生体情報に基づいて、前記オペレータが所定の異常状態にあるか否かを判断する判断部と、
前記オペレータが前記異常状態にある場合に、前記操作部を介した前記オペレータの操作の手順を示すガイダンス画面を前記表示装置の表示画面に表示する表示制御部とを備え、
前記管制装置は、前記オペレータの操作に基づいて、前記被管制装置の管制を行う、
管制システム。
【請求項9】
管制に必要な各種情報を表示する表示装置と、オペレータが各種操作を行う操作部と、を有し、被管制装置を管制する管制装置において、前記表示装置への画面表示を行う画面表示方法において、
前記オペレータについて、取得した一又は複数種類の生体情報に基づいて、前記オペレータが所定の異常状態にあるか否かを判断する過程と、
前記オペレータが前記異常状態にある場合に、前記操作部を介した前記オペレータの操作の手順を示すガイダンス画面を前記表示装置の表示画面に表示する過程と、
を備えた画面表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、管制装置、管制システム及び画面表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の管制システムとしての施設管制システムでは、管理対象の施設の動作状況の監視や、必要な操作に関する制御等を行っていた。この場合において、施設管制システムの機能の一つとしてトンネル内の監視も行っており、施設管制システムは、トンネル内で災害(例えば火災)が発生した場合の確認事項や操作内容を含む一連の災害対応手順を用意している。
【0003】
例えば、トンネル内に設置されたCCTV(Closed Circuit Television System)カメラや火災検知器等のセンサ類などから取得した情報に基づいて、トンネル火災の発生を検知した場合、施設管制システムは、自動で火災発生時の連動画面に切り替わるようになっている。そして、施設管制システムのオペレータは、検出した火災が誤報ではなく、本当の火災であることを確認した場合は、火災発生の発報を含む火災発生時対応手順について、関する画面表示を見ながら各種確認や各種操作を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の道路の施設管制システムにおいては、火災を検知した場合は、その発生箇所とその付近の映像を管制センターの大型スクリーンに映し出す。そして、オペレータの操作の判断に基づいて、情報板の表示や照明制御、換気装置の制御などが操作を行われていた。
【0006】
例えば、水噴霧に関する作業においては、「水噴霧の必要の有無」と「放水する区画の選定」の二つの判断と操作が必要となっていた。
これらの判断及び操作に誤りがあった場合、二次被害につながる恐れもあった。
また、近年、オペレータの高齢化が進んでいるとともに、経験の浅いオペレータも増えてきている。さらには、オペレータの体調や精神的な状態によっては判断が誤る恐れもあった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、火災等の災害発生時にオペレータの操作あるいは判断が要求される場合に、オペレータを支援し、オペレータの知識差、経験差、体調や精神的な状態による影響を抑制して、正しくかつ迅速に操作が行える管制装置、管制システム及び画面表示方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の管制装置は、管制に必要な各種情報を表示する表示装置と、オペレータが各種操作を行う操作部と、前記オペレータの一又は複数種類の生体情報を取得する生体情報取得部と、取得した一又は複数種類の前記生体情報に基づいて、前記オペレータが所定の異常状態にあるか否かを判断する判断部と、前記オペレータが前記異常状態にある場合に、前記操作部を介した前記オペレータの操作の手順を示すガイダンス画面を前記表示装置の表示画面に表示する表示制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の管制システムの概要機能構成ブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態の施設中央装置の火災通報時の概要処理フローチャートである。
【
図3】
図3は、通常時のセンサデータの変化パターン及びガイダンス画面表示判定用の閾値を説明する図である。
【
図4】
図4は、火災通報時における特定のオペレータに対応するセンサデータの取得状態を説明する図である。
【
図5】
図5は、第1態様のガイダンス画面の表示例の説明図である。
【
図6】
図6は、第2態様のガイダンス画面の表示例の説明図である。
【
図7】
図7は、第3態様のガイダンス画面の表示例の説明図である。
【
図8】
図8は、第3態様のガイダンス画面の表示例の説明図である。
【
図9】
図9は、第4態様のガイダンス画面の表示例の説明図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態の管制システムの概要機能構成ブロック図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態の施設中央装置の火災通報時の概要処理フローチャートである。
【
図12】
図12は、通常時のセンサデータの変化パターン及びガイダンス画面表示判定用の過去のセンサデータを説明する図である。
【
図13】
図13は、火災通報時における判断対象のオペレータに対応するセンサデータのマッチング度の変化状態を説明する図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態の管制システムの概要機能構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態の管制装置(施設管制装置)、管制システム(施設管制システム)及び画面表示方法の実施形態について説明する。
以下の説明においては、管理対象の施設として、高速道路を走行する車両用のトンネルを例にとる。また、災害として、火災を例にとる。しかし、施設や災害はこれらに限定されるものではない。
【0011】
[1]第1実施形態
まず、第1実施形態について説明する。
第1実施形態は、操作者の生体センサの検出結果により、操作者に動揺等の異常発生時に、ガイダンス画面を表示する実施形態である。
図1は、第1実施形態の管制システムの概要機能構成ブロック図である。
管制システム10は、大別すると、施設中央装置11と、操作部12と、生体情報取得部13と、トンネル設備14と、図示されていないその他の監視対象設備とを備えている。ここで、その他の監視対象設備としては、電源装置、表示板、路面等を監視するITVカメラ等がある。
【0012】
ここで、施設中央装置11は、管制装置として機能し、トンネル設備14が施設中央装置の管制を受ける管制対象として機能することとなる。
施設中央装置11は、ヒューマンマシンインタフェース部(HMI部)20と、情報処理部21と、を備えている。
【0013】
ヒューマンマシンインタフェース部20は、液晶ディスプレイパネル等の表示装置を有する制御卓22を有しており、制御卓22は、画面表示機能F11(表示制御部として機能)、通信制御機能F12及び操作アシスト機能F13を提供している。
【0014】
情報処理部21は、いわゆるコンピュータとして構成され、各種演算などのデータ処理を行う中央データ処理部25を備えている。
中央データ処理部25は、操作部12あるいは生体情報取得部13により取得されたセンサデータを処理するセンサデータ処理部26を備えている。
ここで、センサデータ処理部は、判断部として機能している。
【0015】
操作部12は、マウス、キーボード等を備えて構成されており、オペレータが各種操作を行うこととなる。
なお、制御卓22の表示装置と操作部12を一体化したタッチパネルディスプレイとして構成することも可能である。
【0016】
生体情報取得部13は、例えば、オペレータの視線を検出するアイトラッキングセンサ、オペレータの心拍数を検出する心拍センサ、オペレータの脈波を検出する脈波センサ、オペレータの血流量を検出する血流量センサ、オペレータの頭の動きを検出するカメラ等を備え、オペレータの生体情報として、視線移動量、心拍数変化量、頭の移動量等を取得する。
そして、取得されたオペレータの生体情報は、予め記憶された対応する生体情報の閾値との比較対象とされる。
【0017】
トンネル設備14は、情報板31、換気設備32、CCTVシステム33、各種センサ34及び水噴霧システム35を備えている。
水噴霧システム35は、鎖錠設備37及び水噴霧設備38を備えている。
【0018】
図2は、実施形態の施設中央装置の火災通報時の概要処理フローチャートである。
ステップS11において、施設中央装置11の情報処理部21は、火災の検知または火災発生の通報を受けると、ステップS12において、操作者は検知又は通報された火災が本当の火災か誤報なのかを判断する。
【0019】
ステップS12において、誤報と判断された場合には(ステップS12;No)、処理を再びステップS11に移行し、待機状態となる。
そして、ステップS12において、本当の火災と判断されると(ステップS12;Yes)、操作者は火災発生への対応操作を開始する。
対応操作が開始されると、中央データ処理部25がヒューマンマシンインタフェース部20の制御卓22に対し、センサデータの取得の指示を行う。
【0020】
ステップS13において、制御卓22の通信制御機能F12は、センサデータの取得の指示を受けとり、操作アシスト機能F13により操作部12及び生体情報取得部13を制御してセンサデータの取得を行わせる。
【0021】
この場合において、センサデータとしては、心拍数(あるいは、心拍数変化率)、視線移動量(あるいは視線移動量変化率)、マウス移動量(あるいはマウス移動量変化率)、脳血流量(あるいは脳血流量変化量)、ストレス度(値)、周囲温度(環境温度)等のオペレータに災害の発生による影響が現れやすいデータ(指標)が用いられる。なお、実際にセンサデータ処理部においては、元データではなく、それぞれ正規化したデータ(例えば、0~1の範囲のデータ)を用いて処理を行っている。
【0022】
図3は、通常時のセンサデータの変化パターン及びガイダンス画面表示判定用の閾値を説明する図である。
図3においては、センサデータとして、操作部12のマウスの移動量データ、生体情報取得部13のアイトラッキングセンサによる視線移動量データ、及び生体情報取得部13の心拍センサにより取得した心拍数データを用いている。
なお、
図3におけるセンサデータの変化パターンは、一般的なオペレータにおける平均的な変化パターンを示しており、ある特定のオペレータに対応する変化パターンではない。
【0023】
更に、マウス閾値、視線閾値、心拍閾値も設定されている。ここで、マウスの移動量データに対応する閾値であるマウス閾値、視線移動量データに対応する閾値である視線閾値及び心拍数データに対応する閾値である心拍閾値は、通常時(災害非発生時)に対応するセンサデータのパターンでは、センサデータの変化量が超えることはないように設定されている。
さらに、心拍閾値、視線閾値及びマウス閾値は予め統計的に処理して得られる値であり、災害発生時に対応するセンサデータのパターンでは、一般的なオペレータに対して取得されるセンサデータのパターンでは、センサデータの変化量が対応する閾値を超えるように適宜設定されている。
【0024】
したがって、これらの閾値を超える時間が長くなればなるほど、オペレータは火災通報への対応操作を行うことにより動揺していると推定され、災害が発生していない状況と同様の平常心で操作や判断を行うことができない可能性が高いと考えられる。
【0025】
図4は、火災通報への対応時における特定のオペレータに対応するセンサデータの取得状態を説明する図である。
図4においても
図3に対応させるべく、センサデータとして、操作部12のマウスの移動量データ、生体情報取得部13のアイトラッキングセンサによる視線移動量データ及び心拍センサによる心拍数データを用いている場合を図示している。
【0026】
実施形態においては、
図4の例では、少なくともいずれかのセンサデータの変化量が対応する閾値を超えた時間が所定時間以上続くことが検出され、実際に操作及び判断を行っている特定のオペレータが平常心から大きく乖離して操作あるいは判断が正常に行えない恐れがあると推定される場合である。
したがって、このような場合には、操作ガイドあるいは判断ガイドを含むガイダンス画面を表示装置の表示画面に表示して、正しい操作や判断を行えるようにすることが必要となる。
【0027】
図2に戻り、ステップ14において、ステップ13で取得したヒューマンマシンインタフェース部20によりセンサデータ(本例では、心拍数、視線移動量及びマウス移動量のデータ)を閾値と比較する。具体的には、センサデータを受信した中央データ処理部25のセンサデータ処理部26は、
図4に示した一般的なセンサデータの時間的変化に基づいて、取得した生体情報に対応するセンサデータがそれぞれ設定された心拍(数)閾値、視線閾値及びマウス閾値を超えているか否かを判断する閾値比較処理を行う。
【0028】
続いて、ステップS15において、センサデータ処理部26は、ガイダンス画面の表示が必要であるか否かを判断する。この判断は、取得した生体情報に対応するセンサデータがそれぞれ設定された心拍(数)閾値、視線閾値及びマウス閾値を超えている時間が所定時間以上継続して超えたか否かにより判断される。
この場合において、各閾値を所定時間以上継続して超えたか否かを判断しているのは、生体情報の変動は通常時でもある程度大きいので、ガイダンス画面の表示が本当に必要な場合をより確実に判断するためである。
【0029】
ここで、センサデータに基づくガイダンス画面の表示の要否の判断については、センサデータと閾値とを比較することにより行っていた。
【0030】
しかしながら、センサデータをパラメータとする予測関数に基づいて誤操作を予見することでガイダンス画面の表示の要否の判断行うようにしてもよい。
例えば、予測関数のパラメータとして、x:正規化した視線移動量、y:正規化した心拍数、z:正規化した頭部移動量、w:正規化したマウスの移動量とする。
【0031】
そして、予測関数f(x、y、z、w)は、0~1の値をとる関数を用いる。
具体的には、例えば、以下の(1)式に示すような関数で表される。
【0032】
【0033】
この場合において、関数g(x,y,z,w)は最もシンプルな例を示すと、(2)式に示すように、各パラメータx、y、z、wが独立で係数k、l、m、n、oを定数とする1次関数で表すことができる。
g(x,y,z,w)=k・x+l・y+m・z+n・w+o ……(2)
【0034】
そして、ガイダンス画面を表示する基準として、例えば予測関数f(x、y、z、w)の値が0.5以上とすることができる。なお、ガイドを出す基準においてはこの限りではない。
【0035】
ステップS15の判断において、取得した生体情報に対応するセンサデータがそれぞれ設定された心拍(数)閾値、視線閾値及びマウス閾値を所定時間以上、継続して超えていない場合には(ステップS15;No)、処理をステップS17に移行する。
【0036】
ステップS15の判断において、取得した生体情報に対応するセンサデータがそれぞれ設定された心拍(数)閾値、視線閾値及びマウス閾値を所定時間以上、継続して超えた場合には(ステップS15;Yes)、表示画面にガイダンス画面を表示する(ステップS16)。なお、ガイダンス画面の詳細構成は、後述する。
【0037】
そして、ステップS15の判断において、取得した生体情報に対応するセンサデータがそれぞれ設定された心拍(数)閾値、視線閾値及びマウス閾値を所定時間以上、継続して超えていない場合(ステップS15;No)、および、表示画面にガイダンス画面が表示された場合(ステップS16)、オペレータによる操作部12の操作に基づいて、施設中央装置11は、トンネル設備14を制御する操作・制御処理を行う(ステップS17)。
【0038】
具体的には、施設中央装置11は、オペレータによる操作内容に基づいて、トンネル設備14の情報板31に各種情報(例えば、火災発生している旨、車両停止の指示等)を表示したり、換気設備32を制御して煙排出のための換気を行ったり、鎖錠設備37を制御して鎖錠状態から鎖錠解状態に移行して、所定の水噴霧対象地点において水噴霧設備38により水噴霧を行ったりする。
【0039】
そして、ステップS18において、施設中央装置11は、オペレータの指示に対応する処理(本例では、火災発生時の対応処理)が終了したか否かを判断する。
【0040】
ステップS18の判断において、未だオペレータの指示に対応する火災発生対応処理が終了していない場合には(ステップS18;No)、処理を再びステップS17に移行して処理を継続する。
【0041】
ステップS18の判断において、既に、オペレータの指示に対応する火災発生対応処理が終了した場合には、ステップS16においてガイダンス画面を表示していた場合、ガイダンス画面を消去する(ステップS19)。
そして、火災発生対応処理を終了する。
【0042】
次に、ガイダンス画面の一例について説明する。、実際に表示画面に表示するガイダンス画面は、センサデータに基づいて決定される。
【0043】
図5は、第1態様のガイダンス画面の表示例の説明図である。
図5のガイダンス画面の例においては、Aトンネルの火災が通報(検知)された後に表示部の表示画面D1に画面表示機能F11により表示がなされる。
【0044】
表示画面D1の領域R1には、この表示画面D1がAトンネルの火災発生に連動した画面であることを示す情報が表示される。
表示画面D1の領域R2には、水噴霧システム35の鎖錠設備37が鎖錠状態であることや、操作モードが自動であることや、各情報板が不連動である旨を示す情報が表示される。
【0045】
表示画面D1の領域R3には、Aトンネルの上り方向の第1区間~第4区間(
図5中、区間1~区間4と示す)のうち第4区間4で自動通報(例えば、火災検知器による火災検知)があったことを示す情報が表示される。また、各所の情報板に「進入禁止 火災」、「火災とまれ」という表示がなされていることを示す情報が表示される。
【0046】
表示画面D1の領域R4には、Aトンネルの下り方向について入口の情報板に「進入禁止 火災」という表示がなされていることを示す情報が表示される。
【0047】
表示画面D1の領域R5には、火災発生からの経過時間が表示される。
表示画面D1の領域R6には、入口からの火災位置が表示される。
表示画面D1の領域R7には、別の画面に遷移するために操作する「非常」の文字が表示される。
【0048】
表示画面D1の領域R8には、表示すべきガイダンス画面GD1として、災害対応手順の全体と現在の手順を示す情報が表示される。
図5の例においては、オペレータは、災害対応手順の全体は、ステップS1~S7の7つの手順によって構成されていることを容易に把握できる。
そして、オペレータが、現在行うべき手順がステップS2の「鎖錠解判断」であることを容易に把握できるように、ステップS2の背景色によって表示されている。
【0049】
これによって、これを見たオペレータは、戸惑うことなく災害対応手順の全体と現在の手順を容易に知ることができる。
すなわち、オペレータは、例えば、水噴霧(ステップS5)までにあといくつの操作があるのかや、この先に行うことになる操作にはどのようなものがあるのかを一目で把握することができるようになる。
【0050】
なお、現在の手順を該当ステップ(ステップS2)の背景色によって表示しているが、表示態様あるいは情報の告知態様は、これに限定されるものではない。
例えば、該当ステップの枠の色を他と異ならせてもよい。あるいは、該当ステップの箇所(枠だけも含む。)を点滅させるようにしてもよい。
【0051】
図6は、第2態様のガイダンス画面の表示例の説明図である。
図6において、領域R1~R7については、
図5の場合と同様である。
ヒューマンマシンインタフェース部20の操作アシスト機能F13は、表示部の表示画面D2に、災害対応手順の全体における現在の進捗度を少なくとも図形によってガイダンス画面GD2を表示させる。
【0052】
表示画面D2の領域R9には、災害対応手順の全体における現在の進捗度を示す図形と文字がガイダンス画面GD2として、表示される。
図6のガイダンス画面GD2の例では、全体(例えば火災発生から水噴霧まで)の手順数が9手順であり、現在、第4手順まで終わっていることを示している。
さらに、現在の手順である第5手順が「火災覚知」であり、次の手順である第6手順が「鎖錠解」であることを示している。
【0053】
これによって、操作者は、表示画面D2の領域R9におけるガイダンス画面GD2としての図形部分等を見て、一目で、災害対応手順の全体における現在の進捗度を容易に知ることができる。
【0054】
なお、領域R9に表示されたガイダンス画面GD2の表示は、これに限定されない。例えば、災害対応手順の全体における現在の進捗度を、分数形式(4/9)ではなく、%にて表示してもよい。
【0055】
また、操作完了までの各手順に要する標準的な時間を積算し、全体の積算時間に対する、操作完了分の手順までの積算時間の割合を、バーにおける色の変化する面積に対応させて表示してもよい。
【0056】
また、図形は、複数の逆くの字型(逆L字型)に限定されず、複数の平行四辺形、複数のひし形、1つのバーにおける二色以上の多色表示(あるいはグラデーション表示)などであってもよい。
【0057】
図7は、第3態様のガイダンス画面の表示例の説明図である。
ヒューマンマシンインタフェース部20の操作アシスト機能F13は、表示部の表示画面D3に、災害対応手順における各操作のシミュレーション動画をGIF(Graphics Interchange Format)アニメーションによって表示させる。
【0058】
図7においては、鎖錠設備37を鎖錠解状態から鎖錠状態にする場合について説明する。
表示部の表示画面D3は全体画面である。ガイダンス画面GD3-1~GD3-3は、表示画面D3の小ウィンドウSWDに表示されるアニメーション画面を時系列(
図7の例では、ガイダンス画面GD3-1→ガイダンス画面GD3-2→ガイダンス画面GD3-3の順)に示したものである。
【0059】
例えば、表示画面D3において操作する箇所(領域R11の「水噴霧鎖錠解」ボタン)をマウスカーソル(黒矢印)によって指すと、小ウィンドウSWDにおいて操作方法を図示、例示するシミュレーションをガイダンス画面としてプレビュー表示する。
具体的には、まず、小ウィンドウSWDにおけるガイダンス画面GD3-1において、領域R11の「水噴霧鎖錠解」ボタンをマウスカーソルによって指すことを示す。
【0060】
そうすると、次に、小ウィンドウSWDにおけるガイダンス画面GD3-2に示すように、領域R12においてボタン選択を行うことを示す。そのボタン選択を行うと、小ウィンドウSWDにおけるガイダンス画面GD3-3に示すように、領域R11においてボタン表示が「水噴霧鎖錠解」から「水噴霧鎖錠」に変わることを示している。
【0061】
一般に、トンネル火災が起きた際の操作は多方面に大きな影響を与えるものであり、特に経験の浅い操作者が操作時に躊躇し、操作に遅延が出ることが懸念されている。このシミュレーション機能により、操作後の動きを事前に確認できるようになることで、操作にかかる所要時間の短縮だけでなく、誤操作防止にも貢献できる。
【0062】
図8は、第3態様のガイダンス画面の表示例の説明図である。
図7に示したように、小ウィンドウSWD内で表示画面D3全体(全体画面)を表示させると文字等が小さくなってしまうので、
図8に示すように、小ウィンドウSWD内では全体画面ではなく操作に関係する部分の拡大画面をガイダンス画面GD4-表示させてもよい。
【0063】
図8において、表示部の表示画面D4は全体画面である。ガイダンス画面GD4-1~GD4-3は、表示画面D4の小ウィンドウSWDに表示されるアニメーション画面を時系列(
図8の例では、ガイダンス画面GD4-1→ガイダンス画面GD4-2→ガイダンス画面GD4-3の順)に示したものである。
【0064】
図8に示すように、小ウィンドウSWDに表示画面D4の部分拡大画面としてガイダンス画面GD4-1~GD4-3を表示することで、操作に関係する部分をより明確に表示し、操作者にとってよりわかりやすいガイダンス画面とすることができる。
【0065】
ヒューマンマシンインタフェース部20の制御卓22は、操作アシスト機能F13により、表示画面D4における操作ボタンの境界付近が操作された場合、再度の操作を要求する画面を表示させる。
ここで、操作ボタンの境界付近とは、複数の操作ボタンの境界付近の意味と、単一の操作ボタンの境界付近の意味と、両方の意味を含む。以下、前者を例にとって説明する。
【0066】
複数の操作ボタンの境界付近が操作された場合、再度の操作を要求する画面を表示させる。これにより、操作者の意思と異なる操作が実行されることを防止できる。トンネル火災時の操作は一つの誤操作が様々なところに大きな影響を与えることもあり、このような構成を採ることにより、操作者の意思に沿った操作を確実に行えるようになる。
【0067】
図9は、第4態様のガイダンス画面の表示例の説明図である。
領域R1~R7については、
図5の場合と同様である。
領域R21には、火災状況確認として、出火無し、小規模火災、大規模火災の三択から選ぶ画面が表示される。そのうち小規模火災が選択された場合、領域R22には、領域R7の「非常」ボタンを操作して「水噴霧待機入力」を操作する旨のガイド画面がポップアップ表示される。このとき、併せて音声による通知を行ってもよい。
【0068】
このように操作者に確認箇所や操作方法を教示することにより、操作者は判断を下した後の操作方法を、ガイド画面にて確認することができ、特に知識や経験の少ない操作者による誤操作の防止や操作に要する時間の短縮に貢献できる。
【0069】
以上の説明においては、オペレータに関し、通常時と異なる異常時の例として、オペレータの動揺時を例としたが、異常時の例は本例に限らない。
したがって、ガイダンス画面を表示する基準は、通常時のセンサデータと実際のセンサデータとの比較によって決定されればよく、各センサデータの閾値については、上限に限らず下限または一定の範囲として設定しても良い。
【0070】
また、ガイダンス画面を表示する基準については、一又は複数のセンサデータが閾値を超える場合とすることも可能である。この場合において、継続時間を判断基準に含めることなく閾値にヒステリシスを設けて、安定的に判断するようにしてもよい。
【0071】
[2]第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態が、第1実施形態と異なる点は、中央データ処理部25が不特定の複数のオペレータの過去のセンサデータを統計的に処理して記憶した過去センシングデータベース(DB)41を備え、閾値比較処理に代えて過去のセンサデータ(=基準変化パターンに相当)と実際のセンサデータとのマッチング度を算出し、マッチング度が所定の閾値より低くなった場合に、異常状態であると判断してガイダンス画面を表示する点である。
【0072】
図10は、第2実施形態の管制システムの概要機能構成ブロック図である。
図10の管制システム10Aにおいて、
図1の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
【0073】
図11は、第2実施形態の施設中央装置の火災通報時の概要処理フローチャートである。
ステップS21において、施設中央装置11の情報処理部21は、火災の検知または火災発生の通報を受けると、ステップS22において、操作者は検知又は通報された火災が本当の火災か誤報なのかを判断する。
【0074】
ステップS22において、誤報と判断された場合には(ステップS22;No)、処理を再びステップS21に移行し、待機状態となる。
そして、ステップS22において、本当の火災と判断されると(ステップS22;Yes)、操作者は火災発生への対応操作を開始する。
対応操作が開始されると、ステップS23において、中央データ処理部25がヒューマンマシンインタフェース部20の制御卓22に対し、センサデータの取得の指示を行う。これにより、制御卓22の通信制御機能F12は、センサデータの取得の指示を受けとり、操作アシスト機能F13により操作部12及び生体情報取得部13を制御してセンサデータの取得を行わせる。
【0075】
図12は、通常時のセンサデータの変化パターン及びガイダンス画面表示判定用の過去のセンサデータを説明する図である。
図12においてもセンササデータとしては、操作部12のマウスの移動量データ、生体情報取得部13のアイトラッキングセンサによる視線移動量データ及び心拍センサによる心拍数データを用いた場合の例を示している。
【0076】
図12におけるセンサデータの変化パターンは、第1実施形態とは異なり、過去センシングデータベース41から抽出した一般的なオペレータにおける平均的な変化パターン(通常時と見なせるセンサデータ)となっている。
そして、実際に取得したセンサデータの変化パターンとのマッチング度を算出し、マッチング度が所定の閾値よりも低くなった期間が所定時間を超えた場合に異常であると判断するようにされている。
【0077】
したがって、マッチング度が所定の閾値よりも低くなった時間が長くなると、オペレータは火災通報により動揺していると推定され、災害が発生していない状況と同様の平常心で操作や判断を行うことができない可能性が高い状態が継続していると考えられる。
【0078】
図13は、火災通報時における判断対象のオペレータに対応するセンサデータのマッチング度の変化状態を説明する図である。
図13の場合においても
図3に対応させるべく、センサデータとして、操作部12のマウスの移動量データ、生体情報取得部13のアイトラッキングセンサによる視線移動量データ及び心拍センサによる心拍数データを用いている場合を図示している。
【0079】
第2実施形態においては、
図13の時刻t1以降の時間帯に示すように、実際に取得したセンサデータの変化パターンとのマッチング度が、所定の閾値よりも低くなった期間が所定時間以上続くことが検出され、実際に操作及び判断を行っている特定のオペレータが平常心から大きく乖離して操作あるいは判断が正常に行えないおそれがあると推定される。
【0080】
したがって、このような場合には、操作ガイドあるいは判断ガイドを含むガイダンス画面を表示装置の表示画面に表示して、オペレータが通常時と同様に、正しい操作や判断を行えるようにしているのである。
【0081】
図11に戻り、ステップ23おいて、より具体的には、ヒューマンマシンインタフェース部20によりセンサデータ(本例では、心拍数、視線移動量及びマウス移動量のデータ)が取得されると、センサデータを受信した中央データ処理部25のセンサデータ処理部26は、ステップS24において、取得したセンサデータの時間的変化パターン及び過去センシングデータベースのセンサデータの時間的変化パターンに基づいて、マッチング度を算出するマッチング度算出処理を行う。
【0082】
続いて、ステップS25において、センサデータ処理部26は、ガイダンス画面の表示が必要であるか否か、すなわち、マッチング度が所定の閾値以下である状態が所定時間以上、継続したか否かを判断する。
この場合において、各閾値を所定時間以上継続して超えたか否かを判断しているのは、生体情報の変動は通常時でもある程度大きいので、ガイダンス画面の表示が本当に必要な場合をより確実に判断するためである。
【0083】
ステップS25の判断においてマッチング度が所定の閾値以下である状態が所定時間以上、継続していない場合には(ステップS25;No)、処理をステップS27に移行する。
【0084】
ステップS25の判断において、取得した生体情報に対応するセンサデータの変化パターンのマッチング度が所定の閾値以下である状態が所定時間以上継続して超えた場合には(ステップS25;Yes)、第1実施形態と同様に、表示画面にガイダンス画面を表示する(ステップS26)。
【0085】
そして、ステップS25の判断においてマッチング度が所定の閾値以下である状態が所定時間以上、継続していない場合には(ステップS25;No)、および、表示画面にガイダンス画面が表示された場合(ステップS26)、ステップS27において、オペレータによる操作部12の操作に基づいて、施設中央装置11は、トンネル設備14を制御する操作・制御処理を行う。
【0086】
具体的には、施設中央装置11は、オペレータによる操作内容に基づいて、トンネル設備14の情報板31に各種情報(例えば、火災発生している旨、車両停止の指示等)を表示したり、換気設備32を制御して煙排出のための換気を行ったり、鎖錠設備37を制御して鎖錠状態から鎖錠解状態に移行して、所定の水噴霧対象地点において水噴霧設備38により水噴霧を行ったりする。
【0087】
そして、ステップS28において、施設中央装置11は、オペレータの指示に対応する処理(本例では、火災発生時の対応処理)が終了したか否かを判断する。
【0088】
ステップS28の判断において、未だオペレータの指示に対応する火災発生対応処理が終了していない場合には(ステップS28;No)、処理を再びステップS27に移行して処理を継続する。
【0089】
ステップS28の判断において、既に、オペレータの指示に対応する火災発生対応処理が終了した場合には、ステップS26においてガイダンス画面を表示していた場合、ガイダンス画面を消去する(ステップS29)。
そして、火災発生対応処理を終了する。
【0090】
以上においては、操作中のセンサデータを過去の操作におけるセンシングDBの正常だった際のセンサデータと比較して、そのマッチング度を計算しそのマッチング度が閾値を下回る場合にガイダンス画面を表示する場合について説明した。
しかしながら、オペレータの異常時の生体情報について過去センシングDBに格納しておき、異常時のセンサデータとの比較により、マッチング度が閾値を超えることを基準にする等、過去センシングDB41の使用方法は本例に限らない。
【0091】
[3]第3実施形態
次に、第3実施形態について説明する。
第3実施形態が、第2実施形態と異なる点は、中央データ処理部25が個々のオペレータのそれぞれについて過去のセンサデータを統計的に処理して記憶した複数の操作者データベース43を含む過去センシングデータベース(DB)42を備え、各オペレータについて、対応する過去のセンサデータ(=判断対象のオペレータに対応する基準変化パターンに相当)と実際のセンサデータとのマッチング度を算出し、マッチング度が所定の閾値より低くなった場合に、異常状態であると判断してガイダンス画面を表示する点である。
【0092】
図14は、第3実施形態の管制システムの概要機能構成ブロック図である。
図14の管制システム10Bにおいて、
図10の第2実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
【0093】
次に再び
図11を参照して第3実施形態の動作を説明する。
ステップS21において、施設中央装置11の情報処理部21は、火災が発生したことの通報を受けると、操作者は検知又は通報された火災が本当の火災か誤報なのかを判断する。本当の火災と判断されると、操作者は火災発生への対応操作を開始する。
操作から開始されると、ステップS23において、中央データ処理部25がヒューマンマシンインタフェース部20の制御卓22に対し、センサデータの取得の指示を行う。これにより、制御卓22の通信制御機能F12は、センサデータの取得の指示を受けとり、操作アシスト機能F13により操作部12及び生体情報取得部13を制御してセンサデータの取得を行わせる。
【0094】
この場合において、過去センシングデータベース42から抽出されるDBから読み出すセンサデータの変化パターンは、第2実施形態とは異なり、一般的なオペレータにおける平均的な変化パターンではなく、操作者データベース43から抽出した判断対象のオペレータの過去のセンサデータ(通常時と見なせるセンサデータ)の変化パターンとなっている。
【0095】
そして、実際に取得したセンサデータの変化パターンと判断対象のオペレータの過去のセンサデータとのマッチング度を算出し、マッチング度が所定の閾値よりも低くなった期間が所定時間を超えた場合に異常であると判断するようにされている。
【0096】
したがって、マッチング度が所定の閾値よりも低くなった時間が長くなると、当該判断対象のオペレータは火災通報により動揺していると推定され、災害が発生していない状況と同様の平常心で操作や判断を行うことができない可能性が高い状態が継続していると考えられることとなる。
したがって、このような場合には、操作ガイドあるいは判断ガイドを含むガイダンス画面を表示装置の表示画面に表示して、オペレータが通常時と同様に、正しい操作や判断を確実に行えるようにしているのである。
【0097】
すなわち、ヒューマンマシンインタフェース部20によりセンサデータ(本例では、心拍数、視線移動量及びマウス移動量のデータ)が取得されると、センサデータを受信した中央データ処理部25のセンサデータ処理部26は、ステップS24において、取得したセンサデータの時間的変化パターン及び過去センシングデータベース42の操作者データベース43から読み出したセンサデータの時間的変化パターンに基づいて、マッチング度を算出するマッチング度算出処理を行う。
【0098】
続いて、ステップS25において、センサデータ処理部26は、ガイダンス画面の表示が必要であるか否か、すなわち、取得したセンサデータの時間的変化パターンと、過去センシングデータベース42の操作者データベース43から読み出したセンサデータと、のマッチング度が所定の閾値以下である状態が所定時間以上、継続したか否かを判断する。
【0099】
ステップS25の判断においてマッチング度が所定の閾値以下である状態が所定時間以上、継続していない場合には(ステップS25;No)、処理をステップS27に移行する。
【0100】
ステップS25の判断において、取得した生体情報に対応するセンサデータの変化パターンのマッチング度が所定の閾値以下である状態が所定時間以上継続して超えた場合には(ステップS25;Yes)、第1実施形態と同様に、表示画面にガイダンス画面を表示する(ステップS26)。
【0101】
そして、ステップS25の判断においてマッチング度が所定の閾値以下である状態が所定時間以上、継続していない場合(ステップS25;No)、および、表示画面にガイダンス画面が表示された場合(ステップS26)には、オペレータによる操作部12の操作に基づいて、施設中央装置11は、トンネル設備14を制御する操作・制御処理を行う(ステップS27)。
【0102】
具体的には、施設中央装置11は、オペレータによる操作内容に基づいて、トンネル設備14の情報板31に各種情報(例えば、火災発生している旨、車両停止の指示等)を表示したり、換気設備32を制御して煙排出のための換気を行ったり、鎖錠設備37を制御して鎖錠状態から鎖錠解状態に移行して、所定の水噴霧対象地点において水噴霧設備38により水噴霧を行ったりする。
【0103】
そして、ステップS28において、施設中央装置11は、オペレータの指示に対応する処理(本例では、火災発生時の対応処理)が終了したか否かを判断する。
【0104】
ステップS28の判断において、未だオペレータの指示に対応する火災発生対応処理が終了していない場合には(ステップS28;No)、処理を再びステップS27に移行して処理を継続する。
【0105】
ステップS28の判断において、既に、オペレータの指示に対応する火災発生対応処理が終了した場合には、ステップS26においてガイダンス画面を表示していた場合、ガイダンス画面を消去する(ステップS29)。
そして、火災発生対応処理を終了する。
【0106】
以上においては、操作中のセンサデータを過去の操作におけるセンシングDBの正常だった際のセンサデータと比較して、そのマッチング度を計算しそのマッチング度が閾値を下回る場合にガイダンス画面を表示する場合について説明した。
しかしながら、オペレータの異常時の生体情報について過去センシングDBに格納しておき、異常時のセンサデータとの比較により、マッチング度が閾値を超えることを基準にする等、過去センシングDB41の使用方法は本例に限らない。
【0107】
以上の説明のように、各実施形態によれば、火災等の災害発生時にオペレータの操作あるいは判断が要求される場合に、オペレータの生体情報に基づいてオペレータが異常状態にある場合には、的確なガイダンス画面を表示させることができるので、オペレータを支援し、オペレータの知識差、経験差、体調や精神的な状態による影響を抑制して、オペレータが正しくかつ迅速に操作が行える環境を提示することが可能となる。
【0108】
本実施形態の管制装置は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの操作部として機能する入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0109】
本実施形態の管制装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、USBメモリ、SSD(Solid State Drive)等の半導体メモリ装置、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0110】
また、本実施形態の管制装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の管制装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0111】
また、本実施形態の管制装置のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
10、10A、10B 管制システム
11 施設中央装置
12 操作部
13 生体情報取得部
14 トンネル設備
20 ヒューマンマシンインタフェース部
21 情報処理部
22 制御卓
25 中央データ処理部
26 センサデータ処理部
31 情報板
32 換気設備
33 CCTVシステム
34 センサ
35 水噴霧システム
37 鎖錠設備
38 水噴霧設備
41、42 過去センシングデータベース
43 操作者データベース
D1~D4 表示画面
F11 画面表示機能
F12 通信制御機能
F13 操作アシスト機能
GD1~GD4 ガイダンス画面
R1~R9 領域
R11、R12、R21、R22 領域
SWD 小ウィンドウ