IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリジン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-掲示枠及び立て看板 図1
  • 特開-掲示枠及び立て看板 図2
  • 特開-掲示枠及び立て看板 図3
  • 特開-掲示枠及び立て看板 図4
  • 特開-掲示枠及び立て看板 図5
  • 特開-掲示枠及び立て看板 図6
  • 特開-掲示枠及び立て看板 図7
  • 特開-掲示枠及び立て看板 図8
  • 特開-掲示枠及び立て看板 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087227
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】掲示枠及び立て看板
(51)【国際特許分類】
   G09F 7/00 20060101AFI20240624BHJP
   G09F 7/18 20060101ALI20240624BHJP
   G09F 15/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
G09F7/00 E
G09F7/18 Y
G09F15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201922
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】391045336
【氏名又は名称】オリジン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100228511
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彩秋
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(74)【代理人】
【識別番号】100100860
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 陽子
(72)【発明者】
【氏名】津野 英範
(57)【要約】
【課題】掲示物を簡単に交換することができる掲示枠を提供する。
【解決手段】内周面に掲示物が差し込まれる差込口が形成され、差込口に差し込まれた掲示物を保持する掲示枠である。掲示枠は、差込口が形成された第1縦枠及び第2縦枠30と、差込口が形成され、第1縦枠と第2縦枠30とを接続する第1横枠40及び第2横枠と、を備える。第1縦枠、第2縦枠30、第1横枠40、及び第2横枠のうち、少なくとも1つの枠は、互いに固定された残りの枠で構成された固定枠25に対して着脱可能な着脱枠であり、着脱枠の軸方向における両端部には、軸方向に平行な軸を中心に回転可能な回転部材78が設けられており、回転部材78を回転させることで、着脱枠は、固定枠25に対してロックされたロック状態と、ロックが解除されたアンロック状態との間で状態を変化させる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に掲示物が差し込まれる差込口が形成され、前記差込口に差し込まれた前記掲示物を保持する掲示枠であって、
前記差込口が形成された第1縦枠及び第2縦枠と、
前記差込口が形成され、前記第1縦枠と前記第2縦枠とを接続する第1横枠及び第2横枠と、を備え、
前記第1縦枠、前記第2縦枠、前記第1横枠、及び前記第2横枠のうち、少なくとも1つの枠は、互いに固定された残りの枠で構成された固定枠に対して着脱可能な着脱枠であり、
前記着脱枠の軸方向における両端部には、前記軸方向に平行な軸を中心に回転可能な回転部材が設けられており、
前記回転部材を回転させることで、前記着脱枠は、前記固定枠に対してロックされたロック状態と、前記ロックが解除されたアンロック状態との間で状態を変化させる、
掲示枠。
【請求項2】
前記回転部材の形状は、前記着脱枠を前記軸方向に直交する方向から切断した場合の断面と略同一の形状であり、
前記軸方向からみて前記回転部材が前記着脱枠の断面と一致している場合、前記着脱枠は前記ロック状態であり、
前記回転部材が回転して前記軸方向からみて前記着脱枠の断面と一致していない場合、前記着脱枠は前記アンロック状態である、
請求項1に記載の掲示枠。
【請求項3】
前記回転部材は、前記着脱枠を前記固定枠に取り付ける際に、前記固定枠の内部に挿入される鉤状部を有し、
前記固定枠には、前記着脱枠が前記ロック状態にあるときに、前記鉤状部が引っ掛けられる突起部が内部に形成されている、
請求項1に記載の掲示枠。
【請求項4】
前記着脱枠の両端部において、前記回転部材の内側で重なった状態で取り付けられ、対応する前記固定枠の差込孔に差し込まれて前記着脱枠の姿勢を安定させる差込プレートが設けられている、
請求項3に記載の掲示枠。
【請求項5】
前記差込プレートの先端部には、幅方向における一部の範囲において、面外方向に折り曲げられた屈曲部を有し、
前記着脱枠の一方の端部に設けられた前記差込プレートを、他方の端部に設けられた前記差込プレートに対応する前記差込孔に差し込んでいくと、前記屈曲部が前記突起部に当接してそれ以上の差込が阻止される、
請求項4に記載の掲示枠。
【請求項6】
前記着脱枠は、前記第2横枠よりも上方にある前記第1横枠であり、
前記固定枠は、前記第1縦枠、前記第2縦枠、及び前記第2横枠が連結されて、上方が開放されたコの字状部を有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の掲示枠。
【請求項7】
請求項6に記載の掲示枠を備え、
前記第2横枠よりも下方に延びる脚部が、前記第1縦枠及び前記第2縦枠に設けられている、
立て看板。
【請求項8】
請求項6に記載の掲示枠を有し、前記第2横枠よりも下方に延びる脚部が、前記第1縦枠及び前記第2縦枠に設けられている看板部を2つ備え、
2つの前記看板部はヒンジを介して開閉可能に接続されている、
立て看板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掲示枠及び立て看板に関する。
【背景技術】
【0002】
ポスターやチラシ等の掲示物を保持する掲示枠は、壁面に設置されたり、立て看板に使用されたりと、主に広告、宣伝、告知等に用いられている。例えば、特許文献1には、掲示物を交換することが可能な掲示枠を有する立て看板を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-134288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の立て看板において、掲示物を交換するためには縦枠と横枠との両方を回動させなければならず、交換作業が大掛かりになる。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、掲示物を簡単に交換することができる掲示枠、及びこの掲示枠を有する立て看板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る掲示枠は、内周面に掲示物が差し込まれる差込口が形成され、前記差込口に差し込まれた前記掲示物を保持する掲示枠であって、前記差込口が形成された第1縦枠及び第2縦枠と、前記差込口が形成され、前記第1縦枠と前記第2縦枠とを接続する第1横枠及び第2横枠と、を備える。前記第1縦枠、前記第2縦枠、前記第1横枠、及び前記第2横枠のうち、少なくとも1つの枠は、互いに固定された残りの枠で構成された固定枠に対して着脱可能な着脱枠であり、前記着脱枠の軸方向における両端部には、前記軸方向に平行な軸を中心に回転可能な回転部材が設けられており、前記回転部材を回転させることで、前記着脱枠は、前記固定枠に対してロックされたロック状態と、前記ロックが解除されたアンロック状態との間で状態を変化させる。
【0007】
前記回転部材の形状は、前記着脱枠を前記軸方向に直交する方向から切断した場合の断面と略同一の形状であり、前記軸方向からみて前記回転部材が前記着脱枠の断面と一致している場合、前記着脱枠は前記ロック状態であり、前記回転部材が回転して前記軸方向からみて前記着脱枠の断面と一致していない場合、前記着脱枠は前記アンロック状態であってもよい。
【0008】
前記回転部材は、前記着脱枠を前記固定枠に取り付ける際に、前記固定枠の内部に挿入される鉤状部を有し、前記固定枠には、前記着脱枠が前記ロック状態にあるときに、前記鉤状部が引っ掛けられる突起部が内部に形成されてもよい。
【0009】
前記着脱枠の両端部において、前記回転部材の内側で重なった状態で取り付けられ、対応する前記固定枠の差込孔に差し込まれて前記着脱枠の姿勢を安定させる差込プレートが設けられてもよい。
【0010】
前記差込プレートの先端部には、幅方向における一部の範囲において、面外方向に折り曲げられた屈曲部を有し、前記着脱枠の一方の端部に設けられた前記差込プレートを、他方の端部に設けられた前記差込プレートに対応する前記差込孔に差し込んでいくと、前記屈曲部が前記突起部に当接してそれ以上の差込が阻止されてもよい。
【0011】
前記着脱枠は、前記第2横枠よりも上方にある第1横枠であり、前記固定枠は、前記第1縦枠、前記第2縦枠、及び前記第2横枠が連結されて、上方が開放されたコの字状部を有してもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る立て看板は、上述の掲示枠を備え、前記第2横枠よりも下方に延びる脚部が、前記第1縦枠及び前記第2縦枠に設けられている。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る立て看板は、上述の掲示枠を有し、前記第2横枠よりも下方に延びる脚部が、前記第1縦枠及び前記第2縦枠に設けられている看板部を2つ備え、2つの前記看板部はヒンジを介して開閉可能に接続されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、掲示物を簡単に交換することができる掲示枠、この掲示枠を有する立て看板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係る立て看板の斜視図
図2図1に示す断面線II-IIで切断した立て看板の断面図
図3】実施の形態に係る立て看板の上横枠と固定枠との接続部分に着目した正面図
図4図3に示す断面線IV-IVで切断した立て看板の断面図
図5図3に示す上横枠の右端部に設けられた差込プレートの図であり、(a)は図3中の矢印Vからみた正面図、(b)は(a)中の矢印Bから見た側面図
図6図3に示す上横枠の右端部に設けられた回転部材の図であり、(a)は図3中の矢印VIからみた正面図、(b)は(a)中の矢印Bから見た側面図
図7図3に示す上横枠の左端部に設けられた部材を図3中の矢印VIIからみた正面図であり、(a)は差込プレートの図、(b)は回転部材の図
図8図3中の矢印VIIIからみた場合において、上横枠を固定枠に取り付ける様子を工程順((a)~(c))に示した図
図9】実施の形態に係る立て看板の右縦枠に、上横枠の左端部に設けられた差込プレートを差し込んだ場合の図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る掲示枠、及び立て看板について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
立て看板1は、2枚の看板部10,10がヒンジ金具2により開閉可能に連結された2枚合わせの拝み状のものである。立て看板1が閉じた状態にある場合、看板部10,10は互いに平行な状態となる。一方、ヒンジ金具2を介して立て看板1を開くことで、図1に示すように、立て看板1を「ハ」の字状とすることができ、地面や路面等に安定した状態で載置することができる。
【0018】
なお、2枚の看板部10,10は同じ構成であることから、一方の看板部10の詳細についてのみ説明する。また、看板部10において、図2に示すように、掲示物100の記載内容が視認できる方向を前方、その反対の方向を後方、及びキャップ65を介して地面に垂直に起立させた際の上下の方向をそれぞれ規定する。また、図1に示すように、看板部10を前方からみたときの左右の方向をそのまま看板部10の左右の方向として規定する。以下では、これらの各方向を適宜用いながら説明する。
【0019】
看板部10は、図1に示すように、左右の方向に間隔をあけて配された第1縦枠としての左縦枠20と、第2縦枠としての右縦枠30と、左縦枠20及び右縦枠30(これらを単に縦枠20,30と記載する場合がある)を接続する第1横枠としての上横枠40と、第2横枠としての下横枠50と、補強バー60と、を備えている。以下では、上横枠40及び下横枠50を、単に横枠40,50と記載する場合がある。縦枠20,30及び横枠40,50は、組み合わされて掲示物100の4辺を保持する矩形状の掲示枠5を形成する。
【0020】
左縦枠20は、図2に示すように、上下方向に延び、上端で上横枠40に接触し、下横枠50よりも下方にまで延びている。左縦枠20の下端には、看板部10を載置した際に地面等に接触するキャップ65が取り付けられている。左縦枠20は、掲示物100を保持する掲示枠5の一部を構成する保持部20aと、下横枠50の取付位置よりも下方の部分である脚部20bとを有している。
【0021】
左縦枠20は、例えばアルミニウムの押し出し成形品であり、角形の棒状部材である。図4に示すように、左縦枠20を長手方向(上下方向)に直交する方向から切断した断面において、矩形状の第1貫通孔21と、矩形状の第2貫通孔22とが、この順で左から右に並んで形成されている。左縦枠20の内側(右側)を向いた面には、長手方向(上下方向)に延び、第2貫通孔22につながったスリット23が形成されている。また、左縦枠20には、第1貫通孔21を区画する左側の面から第1貫通孔21に向けて突出した突起部24が形成されている。突起部24は、左縦枠20の後方寄りに配置されている。突起部24は、例えばブラインドリベットにより形成されている。
【0022】
右縦枠30は、看板部10を正面視したときの上下方向に延びる中心線を対象軸として、左縦枠20と左右対称の構成を有している。右縦枠30の下端には、図1に示すように、看板部10を載置した際に地面等に接触するキャップ66が取り付けられている。右縦枠30は、掲示物を保持する掲示枠の一部を構成する保持部30aと、保持部30aの下方に設けられた脚部30bとを有する。
【0023】
右縦枠30は、図4に示すように、矩形状の第1貫通孔31と、矩形状の第2貫通孔32とが、この順で右から左に並んで形成されている。右縦枠30の内側(左側)を向いた面には、長手方向(上下方向)に延び、第2貫通孔32につながったスリット33が形成されている。また、右縦枠30には、第1貫通孔31を区画する右側の面から第1貫通孔31に向けて突出した突起部34が形成されている。突起部34は、右縦枠30の後方寄りに配置されている。
【0024】
縦枠20,30に形成されたスリット23,33は、掲示物100(図1)の縁部を差し込み保持するための差込口である。また、縦枠20,30に形成された貫通孔のうち、外側の第1貫通孔21,31には、差込孔として、図3に示す上横枠40の軸方向(左右方向)における両端部に形成された差込プレート83,71が差し込まれる。
【0025】
図1に示す下横枠50は、例えばアルミニウムの押し出し成形品である。図2に示すように、下横枠50の上側を向いた面には、掲示物100の縁部を差し込むための差込口としてのスリット53が形成されている。また、下横枠50には、2つタッピングホール51が形成されており、ビス52を介して両端部が縦枠20,30に連結されている。
【0026】
図1に示す補強バー60は、例えばアルミニウムの押し出し成形品であり、下横枠50よりも下方に取り付けられている。補強バー60には、図2に示すように、2つタッピングホール61が形成されており、ビス62を介して両端部が縦枠20,30に連結されている。これにより、看板部10の下側を補強バー60で補強することができ、地面に載置したときのがたつきを抑えることができる。
【0027】
上横枠40は、看板部10の上縁に対して着脱自在な構成を有している。上横枠40は、図3に示すように、アルミニウムの押し出し成形品である横枠本体41と、横枠本体41の右側の端部に設けられた差込プレート71及び回転部材78と、横枠本体41の左側の端部に設けられた差込プレート83及び回転部材84とを備えている。
【0028】
横枠本体41は、図1に示すように、左縦枠20の上端と右縦枠30の上端とに架け渡せるだけの長さを有している。横枠本体41の下側を向いた面には、図2に示すように、掲示物100の縁部を差し込むための差込口としてのスリット43が形成されている。また、横枠本体41には、2つのタッピングホール42が形成されている。
【0029】
差込プレート71は、例えばステンレス製で、図3に示すように、横枠本体41の右側端部に固定されている。差込プレート71は、図5(a)及び図5(b)に示すように、横枠本体41に固定された固定部72と、両サイドが切り欠かれた幅狭箇所であり、横枠本体41側(左側)に折り曲げられた屈曲部73と、上横枠40が装着される際に、図4に示す第1貫通孔31に差し込まれる差込部74を有している。
【0030】
固定部72は、下方が切り欠かれた箇所を除き横枠本体41の外形と略同一の形状である。固定部72には、横枠本体41に向けて突出した半ヌキ部75と、回転部材78の回転軸となるリベット82(図3)が挿通される挿通孔76と、皿穴77が形成されている。図3に示すように、半ヌキ部75と皿穴77に挿通された皿ねじ94は、図2に示すタッピングホール42に挿入あるいは螺合される。これにより、差込プレート71は、横枠本体41の右側端部で固定される。
【0031】
屈曲部73は、差込プレート71の面外方向に屈曲しており、これにより平面状の差込部74の位置は、平面状の固定部72の位置よりも横枠本体41側にある。すなわち、屈曲部73は、差込プレート71において段差を形成している。
【0032】
差込部74は矩形状をなし、その幅W1は、図4に示す第1貫通孔31の幅W2と同等か、あるいは差込部74を第1貫通孔31にがたつかせずに抜き差しできる程度に幅W2より小さい。差込部74の先端において、図5(a)及び図5(b)に示すように、前側半分の領域は、右側(回転部材78側)に突出した突出部74aを形成している。
【0033】
回転部材78は、例えばステンレス製で、図3に示すように、差込プレート71の外側(右側)に回転可能に設けられている。回転部材78は、差込プレート71の固定部72に回転可能に取り付けられた本体部79と、本体部79から横枠本体41側(左側)に折り曲げられた屈曲部80と、上横枠40が装着される際に、図4に示す第1貫通孔31に差し込まれる鉤状部81を有している。
【0034】
本体部79の形状は、横枠本体41の端部の形状(断面形状)と略同一の形状を有している。本体部79には、回転軸となるリベット82(図3)が挿通される挿通孔79aが形成されている。図3に示すように、本体部79は、リベット82を介して差込プレート71に取り付けられている。これにより、回転部材78は、リベット82を軸にして回転することができる。なお、この軸は、図中左右方向に平行であり、上横枠40の長手方向に平行である。
【0035】
屈曲部80は、図6(b)に示すように、回転部材78の面外方向に屈曲しており、これにより平面状の鉤状部81の位置は、平面状の本体部79の位置よりも横枠本体41側にある。このように、屈曲部80は、回転部材78において段差部を形成している。
【0036】
鉤状部81は、後述するロック状態にあるときに、図4に示す突起部34が入りこむ凹部81aが形成されている。
【0037】
なお、図3に示すように、回転部材78と差込プレート71との間には、リベット82が通されたウェーブワッシャ55が設けられている。このようにウェーブワッシャ55を介在させることにより、回転部材78の回転動作をスムーズに行わせることができる。
【0038】
横枠本体41の左側の端部に設けられた差込プレート83及び回転部材84は、図3に示すように、看板部10を正面視したときの上下方向に延びる中心線CLを対象軸として、横枠本体41の右側の端部に設けられた差込プレート71及び回転部材78と左右対称の構成を有している。
【0039】
差込プレート83は、例えばステンレス製で、図3に示すように、横枠本体41の左側端部に固定されている。差込プレート83は、横枠本体41に固定された固定部88と、横枠本体41側(右側)に折り曲げられた屈曲部89と、上横枠40が装着される際に、図4に示す第1貫通孔21に差し込まれる差込部90を有している。
【0040】
固定部88には、図7(a)に示すように、横枠本体41に向けて突出した半ヌキ部91と、回転部材84の回転軸となるリベット82(図3)が挿通される挿通孔92と、皿穴93が形成されている。図3に示すように、半ヌキ部91と皿穴93に挿通された皿ねじ94とは、図2に示すタッピングホール42に挿入あるいは螺合される。
【0041】
屈曲部89は、差込プレート83の面外方向に屈曲しており、これにより平面状の差込部90は、平面状の固定部88よりも横枠本体41側にある。
【0042】
差込部90は、図7(a)に示すように矩形状をなし、その幅W3は、図4に示す第1貫通孔21の幅W4と同等か、差込部90を第1貫通孔21にがたつかせずに抜き差しできる程度に幅W4より小さい。差込部90の先端において、図3及び図7(a)に示すように、前側半分の領域は、左側(回転部材84側)に突出した突出部90aが形成されている。
【0043】
回転部材84は、例えばステンレス製で、図3に示すように、差込プレート83の外側(左側)に回転可能に設けられている。なお、回転部材84と差込プレート83との間にも、回転部材84の回転をスムーズにするためのウェーブワッシャ55が設けられている。回転部材84は、差込プレート83の固定部88に回転可能に取り付けられた本体部85と、本体部85から横枠本体41側(右側)に折り曲げられた屈曲部86と、上横枠40が装着される際に、図4に示す第1貫通孔21に差し込まれる鉤状部87を有している。
【0044】
本体部85には、図7(b)に示すように、回転軸となるリベット82(図3)が挿通される挿通孔85aが形成されている。図3に示すように、本体部85は、リベット82を介して差込プレート83に取り付けられている。これにより、回転部材84は、リベット82を軸にして回転することができる。
【0045】
屈曲部86は、回転部材84の面外方向に屈曲しており、これにより平面状の鉤状部87は、平面状の本体部85よりも横枠本体41側にある。
【0046】
鉤状部87は、後述するロック状態にあるときに、図4に示す突起部24が入りこむ凹部87aが形成されている。
【0047】
看板部10が保持する掲示物100は、図2に示すように、例えば発泡スチロール製の裏板103と、ポスターやチラシ等の掲示物本体102と、裏板103とともに掲示物本体102を挟み込む透明板101とを有している。透明板101は、例えばアクリル樹脂製で、掲示物100の最前面に配置される。透明板101、掲示物本体102、及び裏板103は、矩形状で略同一の大きさを有し、積層された状態で、掲示枠5の内縁10a(図1)に形成されたスリットに差し込まれて保持されている。
【0048】
上述したように、看板部10の左縦枠20、下横枠50、及び右縦枠30は、互いに連結され固定枠25を形成している。この固定枠25は、上方が開放されたコの字状の枠体を有しており、掲示物100を上方から抜き差しすることができる。上横枠40は、この固定枠25の上縁に対して着脱可能である。
【0049】
次に、着脱枠である上横枠40の着脱方法と掲示物100の交換方法について説明する。なお、図8各図において、図示しない左側の回転部材84(図3)は、対称の構成を有している右側の回転部材78と同じ姿勢にあるものとする。すなわち、図8各図において、仮に破線で左側の回転部材84を図示したのであれば、その破線は、回転部材78を表す実線と重なる。以下では、上横枠40の右端部とそれに対応する右縦枠30とを図示した図8各図を参照しながら、上横枠40の着脱方法等について説明するが、図3に示す上横枠40の左端部とそれに対応する左縦枠20においても同様の動作が行われる。また、図8各図において、右縦枠30に差し込まれた差込プレート71及び回転部材78の様子が理解できるように、右縦枠30は二点鎖線で図示している。
【0050】
図8(a)は、上横枠40が固定枠25から取り外された状態を示している。回転部材78は、差込プレート71と一致した状態から、リベット82を軸として図中時計回りに回転して差込プレート71からずれた状態にある。このとき、回転部材78の差込プレート71に折れ曲がった屈曲部80が、図5に示す差込プレート71の窪み部72aに当接し、回転部材78のそれ以上の時計回りの回転が制限されている。
【0051】
上横枠40が取り外された固定枠25において、図1に示す掲示物100を固定枠25から抜き出したり、新たな掲示物100を固定枠25に差し込んだりすることができる。
【0052】
図8(a)の状態から、上横枠40を固定枠25にとりつける場合、まず、図中の矢印Y1で示すように、差込部74を第1貫通孔31に挿入していく。このとき、右縦枠30に形成された突起部34と、差込部74の突出部74aとは前後方向にずれた位置にあるため、互いに干渉することはない。やがて、図8(b)に示すように、上横枠40が右縦枠30の上端に接触し、差込部74の第1貫通孔31に対する差し込みが完了する。
【0053】
次に、回転部材78を、図8(b)中の矢印Y2に示すように反時計回りに回転させる。すると、図8(c)に示すように、突起部34が、鉤状部81に形成された凹部81aに収容される。これにより、鉤状部81が突起部34に引っかかり、上横枠40が固定枠25から抜け出せなくなるロック状態とすることができる。このとき、回転部材78を上横枠40の軸方向(右側)から見ると、回転部材78と上横枠40の端部(断面)とが一致している。
【0054】
なお、図8(c)に示す回転部材78は、差込プレート71側に折れ曲がった屈曲部80が、図5に示す差込プレート71の窪み部72bに当接することで、それ以上の反時計回りの回転が制限されている。すなわち、回転部材78は、図8(a)に示す状態と、図8(c)に示す状態との間で、回転角度が制限されている。
【0055】
看板部10に保持された掲示物100の内容を変更する場合には、まず、回転部材78を、図8(c)中の矢印Y3に示すように時計回りに回転させる。すると、図8(b)に示すように、突起部34が凹部81aから抜け出し、鉤状部81が突起部34に係止した状態が解消される。これにより、上横枠40を、固定枠25から取り外すことが可能なアンロック状態とすることができる。
【0056】
続いて、図8(b)中の矢印Y4に示すように、上横枠40の差込部74を第1貫通孔31から抜き出す。これにより、上横枠40は、固定枠25から取り外されて、保持された図1に示す掲示物100を取り出すことができる。
【0057】
なお、上横枠40の左右を間違えて取り付けようとした場合、例えば、右縦枠30には、図3に示す上横枠40の左側端部に設けられた差込プレート83が差し込まれる。このとき、図9に示すように、右縦枠30に形成された突起部34と、差込部90の突出部90aは、前後方向に重なる位置にあり、互いに干渉する。これにより、差込部90を差し込めなくなり、上横枠40の左右を誤って取り付けようとしていることを使用者に気付かせることができる。
【0058】
本発明によれば、上横枠40の両端部に取り付けられた回転部材78,84を回転させることで、上横枠40を固定枠25から取り外し不可能とするロック状態と、取り外し可能とするアンロック状態との間で変化させることができる。このため、上横枠40の着脱作業を容易に行え、掲示物100の交換作業を容易に行うことができる。
【0059】
また、図8(c)に示すように、上横枠40がロック状態にあるとき、回転部材78,84は上横枠40の端部の形状と一致した状態にある。そのため、回転部材78,84は目立っておらず、立て看板1を視認したとしても回転部材78,84が回転すると認識することは難しい。すなわち、上横枠40の着脱方法を外観からは理解することが難しく、掲示物100が立て看板1から取られ、掲示物100が破損されるといった悪戯を抑制することができる。
【0060】
また、差込プレート71,83の先端部において、幅方向における一部の範囲を屈曲させて突出部74a,90aを形成している。これにより、上横枠40の左右を間違えると突起部24,34と干渉して取り付けられなくなり、上横枠40の左右を間違えて取り付けられるのを防ぐことができる。
【0061】
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記実施の形態では、縦枠20,30は、下横枠50よりも下方に延びる脚部20b,30bを有している説明した。しかしながら、脚部20b,30bを省略して、矩形状の掲示枠5として、壁や柱等に設置してもよい。また、掲示物100は、ポルタ―やチラシ等に限定されず、版画や絵画などの美術品を掲示枠5に保持させて展示してもよい。
【0062】
また、図1に示すように2枚の看板部10をヒンジ金具2で連結した立て看板1について説明したが、1つの看板部10を単独で壁に立てかけて、立て看板として使用してもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、上横枠40が着脱可能であると説明した。しかしながら、着脱可能とする枠の位置は限定されず、掲示枠5を形成する4本の縦枠及び横枠のうち、いずれか1つの枠を着脱可能とすればよい。
【符号の説明】
【0064】
1…立て看板、2…ヒンジ金具、5…掲示枠、10…看板部、10a…内縁、20…左縦枠、20a…保持部、20b…脚部、21…第1貫通孔、22…第2貫通孔、23…スリット、24…突起部、25…固定枠、30…右縦枠、30a…保持部、30b…脚部、31…第1貫通孔、32…第2貫通孔、33…スリット、34…突起部、40…上横枠、41…横枠本体、42…タッピングホール、43…スリット、50…下横枠、51…タッピングホール、52…ビス、53…スリット、55…ウェーブワッシャ、60…補強バー、61…タッピングホール、62…ビス、65,66…キャップ、71…差込プレート、72…固定部、72a,72b…窪み部、73…屈曲部、74…差込部、74a…突出部、75…半ヌキ部、76…挿通孔、77…皿穴、78…回転部材、79…本体部、79a…挿通孔、80…屈曲部、81…鉤状部、81a…凹部、82…リベット、83…差込プレート、84…回転部材、85…本体部、85a…挿通孔、86…屈曲部、87…鉤状部、87a…凹部、88…固定部、89…屈曲部、90…差込部、90a…突出部、91…半ヌキ部、92…挿通孔、93…皿穴、94…皿ねじ、100…掲示物、101…透明板、102…掲示物本体、103…裏板、CL…中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9