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  • 特開-ブレーキ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087253
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 55/40 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
F16D55/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201973
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】永山 弘海
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA44
3J058AA53
3J058AA59
3J058AA77
3J058AA88
3J058BA16
3J058BA70
3J058CC02
3J058CC07
3J058CC35
3J058CC78
3J058DC05
3J058FA11
(57)【要約】
【課題】メンテナンス性を損なわずに液体の攪拌等による抵抗や発熱量を低減し、機械効率を向上させる。
【解決手段】実施形態のブレーキ装置1は、液体を充填可能なブレーキ室10に収容されるシャフト6を備え、ブレーキ力を発生させることでシャフト6の回転運動を制限するブレーキ作動状態と、ブレーキ力を発生させないことでシャフト6の回転運動を許容するブレーキ解除状態とを切り替えるブレーキ機構2を含む。ブレーキ装置1は、ブレーキ作動状態ではブレーキ室10に液体が充填され、ブレーキ解除状態ではブレーキ室10から液体が退避する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を充填可能なブレーキ室に収容されるシャフトを備え、ブレーキ力を発生させることで前記シャフトの回転運動を制限するブレーキ作動状態と、前記ブレーキ力を発生させないことで前記シャフトの回転運動を許容するブレーキ解除状態とを切り替えるブレーキ機構を含み、
前記ブレーキ作動状態では前記ブレーキ室に前記液体が充填され、前記ブレーキ解除状態では前記ブレーキ室から前記液体が退避する、
ブレーキ装置。
【請求項2】
前記ブレーキ室の容積を、前記ブレーキ室に前記液体が充填される第1容積と、前記ブレーキ室から前記液体が退避する第2容積との間で変化させる容積変化機構を更に備える、
請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項3】
前記容積変化機構は、前記ブレーキ室につながるピストン室に収容されるピストンを備え、
前記ピストンは、前記ブレーキ作動状態では前記ブレーキ室の容積を前記第1容積に保持するように停止し、前記ブレーキ解除状態では前記ブレーキ室の容積が前記第2容積となるように移動する、
請求項2に記載のブレーキ装置。
【請求項4】
前記ブレーキ機構は、
固定摩擦板と、
前記シャフトと一体に回転する回転摩擦板と、を備え、
前記回転摩擦板は、前記ブレーキ作動状態では前記固定摩擦板に接触し、前記ブレーキ解除状態では前記固定摩擦板から離れる、
請求項1から3の何れか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項5】
前記ブレーキ室の容積を変化させる容積変化機構と、前記ブレーキ機構とに作動液が供給されるようにパイロット圧を作用させるための流路は、互いに同じである、
請求項1から3の何れか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項6】
前記ブレーキ室の容積を変化させる容積変化機構の少なくとも一部は、
前記ブレーキ室よりも鉛直方向下側に配置される、
請求項1から3の何れか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項7】
前記ブレーキ室の空気の吸気及び排気を行うための吸排気孔は、前記ブレーキ室の液量調整用のピストンを収容するピストン室、又は、前記ピストンにばね圧を作用させるばねを収容するばね室に通じる、
請求項1から3の何れか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項8】
ブレーキ解除後、又は、ブレーキ解除中に、前記ブレーキ室から前記液体を退避する、
請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項9】
ブレーキ作動後、又は、ブレーキ作動中に、前記ブレーキ室へ前記液体を供給する、
請求項1に記載のブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両機械の走行モータ等において、油圧モータ等の湿式ブレーキ及び乾式ブレーキ等のブレーキ装置を備える場合がある。
例えば、湿式のブレーキ装置は、油中にブレーキ機構(回転摩擦板及び固定摩擦板等)を備える。ブレーキ作動時(圧力室の圧力が所定未満の低圧の場合)は、ブレーキバネがブレーキピストンを押し付けることで、回転摩擦板と固定摩擦板との間で摩擦が生じる。ブレーキ作動状態では、油圧モータの回転軸の回転運動が制限される。一方、圧力室の圧力が所定以上に高まると、ブレーキバネの押し付け力に抗してブレーキピストンが移動する。すると、回転摩擦板と固定摩擦板との間の摩擦が弱まり、ブレーキ解除状態となる。ブレーキ解除状態では、油圧モータの回転軸の回転運動が許容される。
例えば、特許文献1には、乾式のブレーキ装置が開示されている。乾式のブレーキ装置は、油圧モータの油圧通路に接続されている環状空間を有する。環状空間の圧力が所定未満の低圧の場合、ブレーキリングがブレーキばねに押し付けられることで、ブレーキ作動状態となる。ブレーキ作動状態では、油圧モータの出力軸の回転運動が制限される。一方、環状空間の圧力が所定以上に高まり、ブレーキばねの押し付け力に抗してブレーキリングが移動すると、ブレーキ解除状態となる。ブレーキ解除状態では、油圧モータの出力軸の回転運動が許容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3360135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、湿式ブレーキの場合は次の課題がある。ブレーキ機構が油中にある場合、回転摩擦板と固定摩擦板との間等で油の攪拌抵抗や、せん断抵抗が大きくなるため、油圧モータの機械効率が低下する可能性がある。また、同時に熱も発生し、作動油の温度が上昇するため、車体側の冷却能力も消費する。また、油の有する粘性等により、ブレーキピストンの端面とストッパー面とが密着してしまう可能性がある。そのため、ブレーキ解除状態からブレーキ作動状態に移行するときに、ブレーキピストンの端面がストッパー面から離れるタイミングにばらつきが生じる可能性がある。その結果、ブレーキ作動のタイミングがばらつく可能性がある。
一方、乾式ブレーキの場合は次の課題がある。湿式ブレーキと比較すると、摩耗量が多く、寿命が短いため、交換等のメンテナンスが必要となる頻度が高い。また、錆、腐食等の懸念もある。
そのため、メンテナンス性を損なわずに液体の攪拌等による抵抗や発熱量を低減し、機械効率を向上させることが望まれている。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、メンテナンス性を損なわずに液体の攪拌等による抵抗や発熱量を低減し、機械効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の構成を有する。
(1)本発明の態様に係るブレーキ装置は、液体を充填可能なブレーキ室に収容されるシャフトを備え、ブレーキ力を発生させることで前記シャフトの回転運動を制限するブレーキ作動状態と、前記ブレーキ力を発生させないことで前記シャフトの回転運動を許容するブレーキ解除状態とを切り替えるブレーキ機構を含み、前記ブレーキ作動状態では前記ブレーキ室に前記液体が充填され、前記ブレーキ解除状態では前記ブレーキ室から前記液体が退避する。
【0007】
この構成によれば、ブレーキ作動状態ではブレーキ室に液体が充填されることで、ブレーキ機構が液体に浸かる。すなわち、ブレーキ装置は、ブレーキ作動状態では湿式ブレーキとして機能する。一方、ブレーキ解除状態ではブレーキ室から液体が退避することで、ブレーキ機構が液体に浸からない。すなわち、ブレーキ装置は、ブレーキ解除状態では乾式ブレーキとして機能する。そのため、ブレーキ解除状態では、シャフトが回転しても、液体による攪拌等による抵抗や、せん断抵抗、熱は発生しない。したがって、メンテナンス性を損なわずに液体の攪拌等による抵抗や発熱量を低減し、機械効率を向上させることができる。
【0008】
(2)上記(1)に記載のブレーキ装置は、前記ブレーキ室の容積を、前記ブレーキ室に前記液体が充填される第1容積と、前記ブレーキ室から前記液体が退避する第2容積との間で変化させる容積変化機構を更に備えてもよい。
【0009】
(3)上記(2)に記載のブレーキ装置では、前記容積変化機構は、前記ブレーキ室につながるピストン室に収容されるピストンを備え、前記ピストンは、前記ブレーキ作動状態では前記ブレーキ室の容積を前記第1容積に保持するように停止し、前記ブレーキ解除状態では前記ブレーキ室の容積が前記第2容積となるように移動してもよい。
【0010】
(4)上記(1)から(3)の何れかに記載のブレーキ装置では、前記ブレーキ機構は、固定摩擦板と、前記シャフトと一体に回転する回転摩擦板と、を備え、
前記回転摩擦板は、前記ブレーキ作動状態では前記固定摩擦板に接触し、前記ブレーキ解除状態では前記固定摩擦板から離れてもよい。
【0011】
(5)上記(1)から(4)の何れかに記載のブレーキ装置では、前記ブレーキ室の容積を変化させる容積変化機構と、前記ブレーキ機構とに作動液が供給されるようにパイロット圧を作用させるための流路は、互いに同じであってもよい。
【0012】
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載のブレーキ装置では、前記ブレーキ室の容積を変化させる容積変化機構の少なくとも一部は、前記ブレーキ室よりも鉛直方向下側に配置されてもよい。
【0013】
(7)上記(1)から(6)のいずれかに記載のブレーキ装置では、前記ブレーキ室の空気の吸気及び排気を行うための吸排気孔は、前記ブレーキ室の液量調整用のピストンを収容するピストン室、又は、前記ピストンにばね圧を作用させるばねを収容するばね室に通じてもよい。
【0014】
(8)上記(1)から(7)のいずれかに記載のブレーキ装置では、ブレーキ解除後、又は、ブレーキ解除中に、前記ブレーキ室から前記液体を退避してもよい。
【0015】
(9)上記(1)から(8)のいずれかに記載のブレーキ装置では、ブレーキ作動後、又は、ブレーキ作動中に、前記ブレーキ室へ前記液体を供給してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、メンテナンス性を損なわずに液体の攪拌等による抵抗や発熱量を低減し、機械効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態のブレーキ装置のブレーキ作動状態を示す図である。
図2】実施形態のブレーキ装置のブレーキ解除状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、ブレーキ装置として、車両機械の走行モータ等においてブレーキの機能を油圧式走行ユニットの一部として備えたブレーキ装置の例を挙げて説明する。以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を意味するのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も含むものとする。以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0019】
<ブレーキ装置>
図1は、実施形態のブレーキ装置1のブレーキ作動状態を示す図である。図2は、実施形態のブレーキ装置1のブレーキ解除状態を示す図である。
図1及び図2を併せて参照し、ブレーキ装置1は、ブレーキ機構2と、容積変化機構3と、を備える。
【0020】
<ブレーキ機構>
ブレーキ機構2は、潤滑油(以下単に「油」ともいう。液体の一例)を充填可能なブレーキ室10を備える。ブレーキ機構2は、ブレーキ室10に収容されるシャフト6を備える。ブレーキ機構2は、ブレーキ力を発生させることでシャフト6の回転運動を制限するブレーキ作動状態と、ブレーキ力を発生させないことでシャフト6の回転運動を許容するブレーキ解除状態とを切り替える。
【0021】
以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。X方向は、シャフト6の軸方向と一致している。Z方向は、鉛直方向(重力方向)と一致している。Y方向は、X方向及びZ方向に直交する方向を示している。以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。+Z側は鉛直方向の上側に相当し、-Z側は鉛直方向の下側に相当する。
【0022】
シャフト6は、油圧モータ5(例えば、アキシャルピストンモータ)の出力軸として機能する。例えば、ブレーキ機構2は、油圧モータ5が作動していないときに制動力を発生させる駐車用のブレーキとして機能してもよい。この場合、図1は、油圧モータ5の出力軸の回転が停止しており、ブレーキ機構2が駐車ブレーキとして機能している状態に相当する。図2は、駐車ブレーキが解除され、油圧モータ5の出力軸の回転が許容されている状態に相当する。
【0023】
ブレーキ機構2は、リヤフランジ20と、ブレーキピストン21と、ブレーキハブ22と、固定摩擦板23と、回転摩擦板24と、ブレーキばね25と、ブレーキカバー26と、を備える。
【0024】
リヤフランジ20は、油圧モータ5の一部にボルト等の締結部材で固定されている。リヤフランジ20は、ブレーキピストン21と、シャフト6の一部と、ブレーキハブ22と、固定摩擦板23と、回転摩擦板24と、ブレーキばね25と、を収容している。シャフト6は、リヤフランジ20に対して回転可能に支持されている。図示はしないが、リヤフランジ20は、油圧モータ5の制御弁や油圧ポートを備えていてもよい。
【0025】
リヤフランジ20は、パイロット圧が入力されるパイロット圧ポート30と、ブレーキ室10の空気の吸気及び排気を行うための吸排気孔31と、を備える。パイロット圧ポート30及び吸排気孔31は、リヤフランジ20の上部に配置されている。吸排気孔31は、パイロット圧ポート30とブレーキ室10との間に配置されている。
【0026】
ブレーキピストン21は、リヤフランジ20の内周面に対して軸方向(X方向)に移動可能に取り付けられている。ブレーキピストン21は、リヤフランジ20の一端側(-X端側)の開口からリヤフランジ20内に挿入されている。ブレーキピストン21は、リヤフランジ20に支持されたシャフト6の一端(-X端)と、リヤフランジ20の一端に取り付けられたブレーキカバー26との間に配置されている。ブレーキピストン21は、シャフト6と同軸上に配置されている。ブレーキピストン21は、段付の筒状に形成されている。ブレーキピストン21は、パイロット圧ポート30に臨む部分に段部21aを備える。ブレーキピストン21の段部21aとリヤフランジ20の内側部分との間には、ブレーキピストン21の外周に沿う環状空間32が形成されている。
【0027】
ブレーキピストン21は、リヤフランジ20と共にブレーキ室10の一部を形成している。以下、ブレーキ室10のうちリヤフランジ20の側部開口内面とブレーキピストン21の一側面とで区画された部分を「第1室11」ともいう。第1室11は、リヤフランジ20の内周に設けられたオイルシール13によって油圧モータ5側の作動油から隔離されている。第1室11は、ブレーキピストン21の外周に設けられたピストンシール14によってパイロット圧ポート30から隔離されている。
【0028】
ブレーキハブ22は、シャフト6と同軸上に配置されている。ブレーキハブ22は、シャフト6においてブレーキ室10に収容される部分の外周に沿う筒状に形成されている。ブレーキハブ22の内周部(径方向内側部)は、シャフト6においてブレーキ室10に収容される部分に固定されている。ブレーキハブ22は、シャフト6と一体に回転する。
【0029】
固定摩擦板23は、シャフト6と同軸の環状に形成されている。固定摩擦板23の外周部(径方向外側部)は、リヤフランジ20においてブレーキ室10に臨む内側部分に取り付けられている。固定摩擦板23は、リヤフランジ20により回転運動が固定されている。すなわち、固定摩擦板23は、シャフト6と一体には回転しない。例えば、固定摩擦板23は、軸方向(X方向)には移動可能に、リヤフランジ20に対してスプライン結合により取り付けられている。固定摩擦板23は、ブレーキピストン21によって軸方向の移動範囲が制限される。
【0030】
回転摩擦板24は、シャフト6と同軸の環状に形成されている。回転摩擦板24の内周部(径方向内側部)は、ブレーキハブ22の外周部(径方向外側部)に取り付けられている。回転摩擦板24は、ブレーキハブ22と共にシャフト6と一体に回転する。例えば、回転摩擦板24は、軸方向(X方向)には移動可能に、ブレーキハブ22に対してスプライン結合により取り付けられている。回転摩擦板24は、ブレーキ作動状態では固定摩擦板23に接触する。回転摩擦板24は、ブレーキ解除状態では固定摩擦板23から離れる。
【0031】
回転摩擦板24及び固定摩擦板23は、軸方向に互いに隣り合うように複数(図の例では5つずつ)配置されている。なお、回転摩擦板24及び固定摩擦板23の配置数は、上記に限らず、4つ以下でもよいし、6つ以上であってもよい。例えば、回転摩擦板24及び固定摩擦板23の配置数は、設計仕様に応じて変更可能である。
【0032】
ブレーキばね25は、回転摩擦板24と固定摩擦板23とが互いに接触する方向にブレーキピストン21を押し付ける。ブレーキばね25は、ブレーキピストン21とブレーキカバー26との間に圧縮状態で配置されている。例えば、ブレーキばね25は、コイルばねである。なお、ブレーキばね25は、上記に限らず、皿ばねであってもよい。例えば、ブレーキばね25の構成態様は、設計仕様に応じて変更可能である。
【0033】
ブレーキばね25によりブレーキピストン21が図の右方向(+X方向)に押されることで、回転摩擦板24と固定摩擦板23との間に摩擦が生じ、シャフト6の回転運動が制限される。これにより、図1に示すブレーキ作動状態となる。
【0034】
<容積変化機構>
容積変化機構3は、ブレーキ室10の容積を、ブレーキ室10に油が充填される第1容積と、ブレーキ室10から油が退避する第2容積との間で変化させる。容積変化機構3は、ブレーキ室10よりも鉛直方向下側に配置される。容積変化機構3は、鉛直線上でブレーキ室10よりも下方に位置する。容積変化機構3は、ハウジング40と、油量調整ピストン41(ブレーキ室10の液量調整用のピストンの一例)と、仕切板42と、油量調整ばね43と、ピストンカバー44と、を備える。
【0035】
ハウジング40は、リヤフランジ20の下部にボルト等の締結部材で固定されている。ハウジング40は、Z方向に沿う筒状に形成されている。ハウジング40は、リヤフランジ20と共にブレーキ室10の一部を形成している。以下、ブレーキ室10のうちリヤフランジ20の下部開口内面とハウジング40の上面とで区画された部分を「第2室12」ともいう。第1室11及び第2室12は、油路51を介して互いに通じている。
【0036】
油量調整ピストン41は、ブレーキ室10につながるピストン室50に収容される。ピストン室50は、ハウジング40の内面と、ハウジング40の下部に取り付けられたピストンカバー44とで区画された部屋である。油量調整ピストン41は、ブレーキ作動状態ではブレーキ室10の容積を第1容積に保持するように停止する。第1容積は、ブレーキ室10において第1室11が占める容積に相当する。油量調整ピストン41は、ブレーキ解除状態ではブレーキ室10の容積が第2容積となるように移動する。第2容積は、ブレーキ室10全体の容積(第1室11と第2室12とを足し合わせた容積)に相当する。
【0037】
油量調整ピストン41は、ブレーキ室10において第2室12と、第2室12につながるピストン室50とを跨ぐように設けられている。油量調整ピストン41は、ハウジング40の内周面に対してZ方向に沿う方向(鉛直方向に相当)に移動可能に取り付けられている。油量調整ピストン41は、ハウジング40の下端側の開口からハウジング40内に挿入されている。
【0038】
仕切板42は、油量調整ピストン41と同軸上に配置されている。仕切板42は、油量調整ピストン41において第2室12に収容される部分の上部外周に沿う環状に形成されている。仕切板42の内周部(径方向内側部)は、油量調整ピストン41において第2室12に収容される部分の上部に固定されている。仕切板42は、油量調整ピストン41と一体に移動する。仕切板42は、リヤフランジ20の下部開口内周面に対してZ方向に沿う方向に移動可能になっている。
【0039】
油量調整ばね43は、油量調整ピストン41の上端(又は仕切板42の上端)がリヤフランジ20の下部開口上壁に接触する方向に油量調整ピストン41を押し付ける。油量調整ばね43は、油量調整ピストン41とピストンカバー44との間に圧縮状態で配置されている。例えば、油量調整ばね43は、コイルばねである。なお、油量調整ばね43は、上記に限らず、皿ばねであってもよい。例えば、油量調整ばね43の構成態様は、設計仕様に応じて変更可能である。
【0040】
油量調整ばね43により油量調整ピストン41が図の上方向(+Z方向)に押されることで、油量調整ピストン41の上端(又は仕切板42の上端)がリヤフランジ20の下部開口上壁に接触する。これにより、ブレーキ室10の容積が第1容積(第1室11が占める容積に相当)に保持される(ブレーキ作動状態)。
【0041】
<流路等>
本実施形態では、容積変化機構3とブレーキ機構2とに作動油が供給されるようにパイロット圧を作用させるための流路は、互いに同じである。容積変化機構3に作動油が供給されるようにパイロット圧を作用させるための流路52(以下「油量調整チャンバ52」ともいう。)は、油量調整ピストン41の下部(ハウジング40内周面に接する部分)とハウジング40の内面(下部開口上壁)との間に形成されている。ブレーキ機構2に作動油が供給されるようにパイロット圧を作用させるための流路32は、ブレーキピストン21の段部21aの外周に沿う部分(環状空間32に相当)に形成されている。すなわち、環状空間32及び油量調整チャンバ52は、互いに同じパイロット圧ポート30に通じている。
【0042】
本実施形態では、吸排気孔31は、油量調整ピストン41を収容するピストン室50、又は、油量調整ピストン41にばね圧を作用させる油量調整ばね43を収容するばね室53に通じている。例えば、吸排気孔31の上端開口部は、不図示の配管を介して、ピストン室50又はばね室53につながっていてもよい。
【0043】
<ブレーキ装置の動作>
パイロット圧ポート30の圧力が所定未満の低圧の場合は、ブレーキ作動状態となり、ブレーキ室10は油で満たされている。ブレーキ作動状態では、ブレーキ室10に油が充填されることで、固定摩擦板23及び回転摩擦板24が油に浸かる(図1に示す状態)。
【0044】
一方、パイロット圧ポート30が所定以上の高圧になると、パイロット圧ポート30に通じている環状空間32及び油量調整チャンバ52の圧力も高圧となる。これにより、油量調整ピストン41が図の下方に移動し、ブレーキピストン21が図の左方向に移動する。ブレーキピストン21の図の左方向への移動に伴い、回転摩擦板24と固定摩擦板23との間の摩擦が弱まり(無くなり)、ブレーキ解除状態となる(図2に示す状態)。
【0045】
油量調整ピストン41の図の下方への移動に伴い、ブレーキ室10にあった油は、重力によってブレーキ室10の第1室11から第2室12へ移動する。すなわち、ブレーキ解除状態では、油路51を通じてブレーキ室10の第1室11から第2室12へ油が退避する。すると、回転摩擦板24及び固定摩擦板23があるブレーキ室10の第1室11内には、吸排気孔31を通じて外気が流れ込む。本実施形態では、吸排気孔31が油面(第1室11にある油の液面)よりも鉛直方向上側にあるため、油が漏れることなくスムーズに移動(退避)する。
【0046】
ブレーキ解除状態では、ブレーキ室10の第1室11から第2室12へ油が退避し、第1室11内に外気が流れ込むことで、固定摩擦板23及び回転摩擦板24が油に浸からない。そのため、ブレーキ解除状態では、シャフト6が回転しても、回転摩擦板24と固定摩擦板23との間等で油による攪拌等による抵抗や、せん断抵抗、熱は発生しない。
なお、ブレーキ解除状態において、パイロット圧ポート30の圧力が再び所定未満の低圧になると、ブレーキ作動状態に戻る。
【0047】
ブレーキ装置1では、ブレーキ解除後、又は、ブレーキ解除中に、ブレーキ室10から油を退避する。ブレーキ装置1では、ブレーキ作動後、又は、ブレーキ作動中に、ブレーキ室10へ油を供給する。ブレーキ解除の通路には、通常オリフィスが設けられている。容積変化機構3に供給される作動油は、オリフィスによって絞られる手前の圧力を導入する。
【0048】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態に係るブレーキ装置1は、油を充填可能なブレーキ室10に収容されるシャフト6を備え、ブレーキ力を発生させることでシャフト6の回転運動を制限するブレーキ作動状態と、ブレーキ力を発生させないことでシャフト6の回転運動を許容するブレーキ解除状態とを切り替えるブレーキ機構2を含む。ブレーキ装置1は、ブレーキ作動状態ではブレーキ室10に油が充填され、ブレーキ解除状態ではブレーキ室10から油が退避する。
【0049】
この構成によれば、ブレーキ作動状態ではブレーキ室10に油が充填されることで、ブレーキ機構2が油に浸かる。すなわち、ブレーキ装置1は、ブレーキ作動状態では湿式ブレーキとして機能する。一方、ブレーキ解除状態ではブレーキ室10から油が退避することで、ブレーキ機構2が油に浸からない。すなわち、ブレーキ装置1は、ブレーキ解除状態では乾式ブレーキとして機能する。そのため、ブレーキ解除状態では、シャフト6が回転しても、油による攪拌等による抵抗や、せん断抵抗、熱は発生しない。したがって、メンテナンス性を損なわずに油の攪拌等による抵抗や発熱量を低減し、機械効率を向上させることができる。
【0050】
本実施形態に係るブレーキ装置1は、ブレーキ室10の容積を、ブレーキ室10に油が充填される第1容積と、ブレーキ室10から油が退避する第2容積との間で変化させる容積変化機構3を更に備える。
この構成によれば、ブレーキ室10の容積を第1容積と第2容積との間で変化させることで、ブレーキ装置1を湿式ブレーキと乾式ブレーキとにスムーズに切り替えることができる。
【0051】
本実施形態に係る容積変化機構3は、ブレーキ室10につながるピストン室50に収容される油量調整ピストン41を備える。油量調整ピストン41は、ブレーキ作動状態ではブレーキ室10の容積を第1容積に保持するように停止し、ブレーキ解除状態ではブレーキ室10の容積が第2容積となるように移動する。
この構成によれば、油量調整ピストン41の停止又は移動により、ブレーキ装置1を湿式ブレーキと乾式ブレーキとにスムーズに切り替えることができる。
【0052】
本実施形態に係るブレーキ機構2は、固定摩擦板23と、シャフト6と一体に回転する回転摩擦板24と、を備える。回転摩擦板24は、ブレーキ作動状態では固定摩擦板23に接触し、ブレーキ解除状態では固定摩擦板23から離れる。
この構成によれば、ブレーキ作動状態ではブレーキ室10に油が充填されることで、固定摩擦板23及び回転摩擦板24が油に浸かる。一方、ブレーキ解除状態ではブレーキ室10から油が退避することで、固定摩擦板23及び回転摩擦板24が油に浸からない。そのため、ブレーキ解除状態では、シャフト6が回転しても、回転摩擦板24と固定摩擦板23との間等で油による攪拌等による抵抗や、せん断抵抗、熱は発生しない。したがって、メンテナンス性を損なわずに油の攪拌等による抵抗や発熱量を低減し、機械効率を向上させる上で好適である。
【0053】
本実施形態に係るブレーキ装置1では、ブレーキ室10の容積を変化させる容積変化機構3と、ブレーキ機構2とに作動油が供給されるようにパイロット圧を作用させるための流路(パイロット圧ポート30に相当)は、互いに同じである。
この構成によれば、容積変化機構3とブレーキ機構2とに別々の流路を設ける場合と比較して、装置構成が簡素化する。
【0054】
本実施形態に係るブレーキ装置1では、ブレーキ室10の容積を変化させる容積変化機構3は、ブレーキ室10よりも鉛直方向下側に配置される。
この構成によれば、重力の作用により、ブレーキ解除状態ではブレーキ室10から油をスムーズに退避させることができる。加えて、ブレーキ室10から油を退避させるための機構を別に設ける場合と比較して、装置構成が簡素化する。
【0055】
本実施形態に係るブレーキ装置1では、ブレーキ室10の空気の吸気及び排気を行うための吸排気孔31は、油量調整ピストン41を収容するピストン室50、又は、油量調整ピストン41にばね圧を作用させる油量調整ばね43を収容するばね室53に通じている。
この構成によれば、ブレーキ室10の空気をピストン室50又はばね室53との間で循環させることができる。
【0056】
本実施形態に係るブレーキ装置1では、ブレーキ解除後、又は、ブレーキ解除中に、ブレーキ室10から油を退避する。
この構成によれば、ブレーキ解除が遅れることを低減できる。
【0057】
本実施形態に係るブレーキ装置1では、ブレーキ作動後、又は、ブレーキ作動中に、ブレーキ室10へ油を供給する。
この構成によれば、ブレーキ作動が遅れることを低減できる。
【0058】
<変形例>
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0059】
上述した実施形態では、ブレーキ装置は、ブレーキ室の容積を、ブレーキ室に油が充填される第1容積と、ブレーキ室から油が退避する第2容積との間で変化させる容積変化機構を更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ブレーキ装置は、容積変化機構を備えていなくてもよい。例えば、ブレーキ装置は、ブレーキ作動状態ではブレーキ室に油が充填され、ブレーキ解除状態ではブレーキ室から油が退避するように構成されていればよい。例えば、容積変化機構の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0060】
上述した実施形態では、容積変化機構は、ブレーキ室につながるピストン室に収容されるピストンを備え、ピストンは、ブレーキ作動状態ではブレーキ室の容積を第1容積に保持するように停止し、ブレーキ解除状態ではブレーキ室の容積が第2容積となるように移動する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、容積変化機構は、ピストンを備えていなくてもよい。例えば、容積変化機構は、カム機構及びリンク機構等(ピストン以外の構成)を備えていてもよい。例えば、容積変化機構の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0061】
上述した実施形態では、ブレーキ機構は、固定摩擦板と、シャフトと一体に回転する回転摩擦板と、を備え、回転摩擦板は、ブレーキ作動状態では固定摩擦板に接触し、ブレーキ解除状態では固定摩擦板から離れる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ブレーキ機構は、固定摩擦板及び回転摩擦板を備えていなくてもよい。例えば、ブレーキ機構は、被摩擦部材と、被摩擦部材に押し付けられることでブレーキ力を発生させる摩擦材と、を備えた構成(摩擦板以外の構成)であってもよい。例えば、ブレーキ機構の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0062】
上述した実施形態では、ブレーキ室の容積を変化させる容積変化機構と、ブレーキ機構とに作動液が供給されるようにパイロット圧を作用させるための流路は、互いに同じである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、容積変化機構とブレーキ機構とに別々の流路が設けられてもよい。例えば、パイロット圧を作用させるための流路の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0063】
上述した実施形態では、ブレーキ室の容積を変化させる容積変化機構は、ブレーキ室よりも鉛直方向下側に配置される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、容積変化機構は、ブレーキ室よりも鉛直方向下側に配置されなくてもよい。例えば、容積変化機構は、ブレーキ室に対して水平方向一方側に配置されていてもよい。例えば、容積変化機構の一部は、鉛直線上でブレーキ室よりも下方に位置してもよい。例えば、ブレーキ室の容積を変化させる容積変化機構の少なくとも一部は、ブレーキ室よりも鉛直方向下側に配置されていてもよい。例えば、容積変化機構の配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0064】
上述した実施形態では、ブレーキ室の空気の吸気及び排気を行うための吸排気孔は、ブレーキ室の液量調整用のピストンを収容するピストン室、又は、ピストンにばね圧を作用させるばねを収容するばね室に通じている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、吸排気孔は、ピストン室又はばね室に通じていなくてもよい。例えば、吸排気孔の接続態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0065】
上述した実施形態では、ブレーキ装置は、ブレーキ解除後、又は、ブレーキ解除中に、ブレーキ室から油を退避する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ブレーキ解除後にはブレーキ室から油を退避しなくてもよい。例えば、ブレーキ装置は、ブレーキ解除状態(ブレーキ解除中に相当)ではブレーキ室から油が退避するように構成されていればよい。例えば、ブレーキ室から油を退避する構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0066】
上述した実施形態では、ブレーキ装置は、ブレーキ作動後、又は、ブレーキ作動中に、ブレーキ室へ油を供給する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ブレーキ作動後にはブレーキ室へ油を供給しなくてもよい。例えば、ブレーキ装置は、ブレーキ作動状態(ブレーキ作動中に相当)ではブレーキ室へ油を供給するように構成されていればよい。例えば、ブレーキ室へ油を供給する構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0067】
上述した実施形態では、油圧モータがアキシャルピストンモータである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、油圧モータは、他のモータ(例えば、ラジアルピストンモータ等)であってもよい。例えば、油圧モータの態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0068】
上述した実施形態では、モータ部(油圧モータに相当)、ブレーキ部(ブレーキ装置に相当)及び減速機部(不図示の減速装置に相当)が一体型のユニットである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、モータ部、ブレーキ部及び減速機部は、それぞれ別体であってもよい。例えば、ブレーキ装置は、他の装置と独立に構成されていてもよい。例えば、ブレーキ装置の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0069】
上述した実施形態では、ブレーキ解除のパイロットライン(パイロット圧ポートに相当)を油量調整チャンバに接続した例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、油量調整専用のパイロットラインを設けてもよい。例えば、パイロットラインの設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0070】
上述した実施形態では、ブレーキ解除のパイロットライン(パイロット圧ポートに相当)を環状空間及び油量調整チャンバに接続した例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、オリフィスやバルブを間(各流路の間)に配置してもよい。例えば、ブレーキをかける場合は、先に油量調整チャンバ側を動かすことで、ブレーキ室を油で満たした状態でブレーキをかけてもよい。例えば、各流路に互いに異なる径のオリフィスを入れることで、作動タイミングをずらしてもよい。例えば、バルブ等の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0071】
上述した実施形態では、吸排気孔を設けたが、外気との境界部にオリフィス、チェックバルブ、ブリーダーバルブ等を設けてもよい。例えば、外気との境界部におけるバルブ等の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0072】
上述した実施形態では、ばね室又はピストン室が低圧の作動油で満たされる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ばね室又はピストン室は、低圧の作動油で満たす代わりに、大気開放でもよい。例えば、ばね室又はピストン室における作動油の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0073】
上述した実施形態では、ブレーキ室に潤滑油が充填される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ブレーキ室に作動油(例えば、モータやブレーキ装置を作動させるための油)が充填されてもよい。例えば、ブレーキ室には、油以外の液体が充填されてもよい。例えば、ブレーキ室に充填される液体の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0074】
上述した実施形態では、ブレーキ室の空気の吸気及び排気を行うための吸排気孔を通じて外気が流れる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ブレーキ室の空気の吸排先を外気ではなくピストン室にするために、吸排気孔を外気ではなくピストン室につなげてもよい。この場合、吸排気孔とピストン室との間にチェックバルブを設けてもよい。例えば、吸排気孔の接続態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0075】
上述した実施形態では、仕切板及び油量調整ピストンが互いに別部材で一体に設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、仕切板及び油量調整ピストンは、互いに同一の部材で一体に形成されていてもよい。すなわち、仕切板及び油量調整ピストンは一体型であってもよい。例えば、仕切板及び油量調整ピストンの態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0076】
上述した実施形態では、リヤフランジ及びハウジングが互いに別部材で一体に設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、リヤフランジ及びハウジングは、互いに同一の部材で一体に形成されていてもよい。すなわち、リヤフランジ及びハウジングは一体型であってもよい。例えば、リヤフランジ及びハウジングの態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0077】
上述した実施形態では、油量調整ピストンの移動方向が上下になるように図示しているが、これに限らない。例えば、油量調整ピストンがブレーキ室よりも下側に配置されていれば、任意の方向(例えば、図の奥行方向や左右方向)であってもよい。例えば、油量調整ピストンの移動方向は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0078】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0079】
1…ブレーキ装置、2…ブレーキ機構、3…容積変化機構、6…シャフト、10…ブレーキ室、23…固定摩擦板、24…回転摩擦板、30…パイロット圧ポート(パイロット圧を作用させるための流路)、31…吸排気孔、41…油量調整ピストン(ブレーキ室の液量調整用のピストン)、43…油量調整ばね(ピストンにばね圧を作用させるばね)、50…ピストン室、53…ばね室
図1
図2