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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087254
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201976
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120628
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】松本 博幸
(72)【発明者】
【氏名】早川 昌徳
(72)【発明者】
【氏名】井澤 一哉
(72)【発明者】
【氏名】千葉 隼人
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB02
5E021FC36
5E021HC12
5E021HC14
(57)【要約】
【課題】コネクタハウジングとは別体に設けられたロック部材が、コネクタハウジングから脱落することを阻止すること。
【解決手段】コネクタ10は、少なくとも1つのコンタクト400と、内部にコンタクト400を保持しており、外面の一つに固定スロット150と、当該固定スロット150に対してコネクタの嵌合方向の後方側において導通する導入開口部160と、を有するコネクタハウジング100と、導入開口部160から嵌合方向に沿って挿入されることにより固定スロット150に圧入固定され、相手方コネクタ90の被ロック部920に係止された場合に相手方コネクタ90との嵌合状態を保持するロック部材200と、嵌合方向とは異なる方向から挿入されることにより導入開口部160に固定され、ロック部材200の嵌合方向の後方への移動を阻止する抜止め部材300と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコンタクトと、
内部に前記コンタクトを保持しており、外面の一つに固定スロットと、当該固定スロットに対してコネクタの嵌合方向の後方側において導通する導入開口部と、を有するコネクタハウジングと、
前記導入開口部から前記嵌合方向に沿って挿入されることにより前記固定スロットに圧入固定され、相手方コネクタの被ロック部に係止された場合に前記相手方コネクタとの嵌合状態を保持するロック部材と、
前記嵌合方向とは異なる方向から挿入されることにより前記導入開口部に固定され、前記ロック部材の前記嵌合方向の後方への移動を阻止する抜止め部材と、を備えるコネクタ。
【請求項2】
前記導入開口部は、前記嵌合方向の後方側と、前記嵌合方向に直交する上下方向の一方側との両方が外部に導通している、請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記導入開口部は、前記嵌合方向に対して直交する幅方向の長さが、前記嵌合方向の後方側において、前記抜止め部材の幅方向の長さよりも短い、請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記導入開口部は、前記幅方向の長さが、前記嵌合方向と前記幅方向との両方に直交する挿入方向における手前側が奥側よりも幅狭であり、前記抜止め部材は、前記幅方向の長さが、前記挿入方向における奥側が手前側よりも幅広である、請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記抜止め部材は係止爪を有し、前記導入開口部は前記係止爪に対応した被係止突起を有し、前記係止爪と前記被係止突起は互いにスナップ式の係止構造によって係合される、請求項4記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ロック部材は、前記嵌合方向における後端に、前記嵌合方向と当該嵌合方向に対して直交する幅方向との両方に直交する挿入方向の手前側に屈曲して前記抜止め部材に当接する当接部を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ロック部材は、前記嵌合方向の後方側に前記挿入方向の手前側に屈曲した位置決め突起を有し、前記抜止め部材には、前記位置決め突起を受け入れる位置決め開口を有する、請求項6記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ、特に、相手方コネクタに対して嵌合された際に、当該相手方コネクタとの嵌合状態を保持又はロックするコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに嵌合し合う雄雌コネクタの嵌合状態を保持するため、雌コネクタのハウジング上面には片持ち状のロックアームが一体形成されていた。このロックアームは、雄コネクタのハウジングの対応する被ロック孔に係止され、嵌合された雄雌コネクタのハウジング相互を外れないようにする。しかし、ハウジングと一体に形成された樹脂製のロックアームは、強度を保持するためには、嵌合方向と直交する高さ方向に十分な厚みが必要であった。そこで、高さ方向の厚みを薄くするため、雌コネクタのハウジングとは別体の金属製のロック部材を雌コネクタのハウジングに圧入固定するものがある。
【0003】
また、下記特許文献1に記載された発明の金属ロックは、雌ハウジングの上面と側面を覆う本体部にスリットを切り込み形成することにより設けられ、本体部は側方に突出し、雌ハウジング側面に圧入されて保持される抜止め部が設けられている。
【0004】
特許文献1記載の金属ロックは、圧入のみで雌ハウジングに取り付けられており、容易に脱落する恐れがある。また、この金属ロックの脱落防止構造は大がかりなものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-197184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、コネクタハウジングとは別体に設けられたロック部材が、当該コネクタハウジングに取り付けられた際に、コネクタハウジングから脱落することを阻止する脱落防止構成を備えたコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のコネクタは、
少なくとも1つのコンタクトと、
内部に前記コンタクトを保持しており、外面の一つに固定スロットと、当該固定スロットに対してコネクタの嵌合方向の後方側において導通する導入開口部と、を有するコネクタハウジングと、
前記導入開口部から前記嵌合方向に沿って挿入されることにより前記固定スロットに圧入固定され、相手方コネクタの被ロック部に係止された場合に前記相手方コネクタとの嵌合状態を保持するロック部材と、
前記嵌合方向とは異なる方向から挿入されることにより前記導入開口部に固定され、前記ロック部材の前記嵌合方向の後方への移動を阻止する抜止め部材と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様において、前記導入開口部は、前記嵌合方向の後方側と、前記嵌合方向に直交する上下方向の一方側が外部に導通している。
【0009】
また、本発明の一態様において、前記導入開口部は、前記嵌合方向における後方側における前記嵌合方向に対して直交する幅方向の長さが、前記抜止め部材の幅方向の長さよりも短い。
【0010】
また、本発明の一態様において、前記導入開口部は、前記幅方向の長さが、前記嵌合方向と前記幅方向との両方に直交する挿入方向における手前側が奥側よりも幅狭であり、前記抜止め部材は、前記幅方向の長さが、前記挿入方向における奥側が手前側よりも幅広である。
【0011】
また、本発明の一態様において、前記抜止め部材は係止爪を有し、前記導入開口部は前記係止爪に対応した被係止突起を有し、前記係止爪と前記被係止突起は互いにスナップ式の係止構造によって係合される。
【0012】
また、本発明の一態様において、前記ロック部材は、前記嵌合方向における後端に、前記嵌合方向と当該嵌合方向に対して直交する幅方向との両方に直交する挿入方向の手前側に屈曲して前記抜止め部材に当接する当接部を備える。
【0013】
また、本発明の一態様において、前記ロック部材は、前記嵌合方向の後方側に前記挿入方向の手前側に屈曲した位置決め突起を有し、前記抜止め部材には、前記位置決め突起を受け入れる位置決め開口を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、ロック部材がコネクタハウジングから脱落することを阻止することができる。
【0015】
本発明の一態様によれば、ロック部材を嵌合方向後方側から固定スロットに導入できるとともに、抜止め部材を嵌合方向に直交する方向から導入開口部に挿入することが可能となる。
【0016】
本発明の一態様によれば、固定スロットに圧入されているロック部材、及び導入開口部に装着された抜止め部材がコネクタの嵌合方向における後方へ移動することを阻止できる。
【0017】
本発明の一態様によれば、導入開口部に装着された抜止め部材がコネクタの嵌合方向と幅方向との両方に直交する挿入方向における手前側に脱落することを阻止できる。
【0018】
本発明の一態様によれば、スナップ式の係止構造を有していない抜止め部材を使用した場合と比較して、抜止め部材を導入開口部に容易に固定できるとともに、固定状態を維持することができる。
【0019】
本発明の一態様によれば、固定スロットに圧入されているロック部材がコネクタの嵌合方向における後方へ移動することを阻止できる。
【0020】
本発明の一態様によれば、抜止め部材を導入開口部に正確に位置決めして固定することができるとともに、ロック部材が嵌合方向における後方へ移動することを阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1(A)は、実施形態の雌コネクタの外観斜視図であり、図1(B)は、雌コネクタの分解斜視図である。
図2図2(A)は、実施形態の雌コネクタハウジングの外観斜視図、図2(B)は、雌コネクタハウジングの後面図、図2(C)は、雌コネクタハウジングの上面図、図2(D)は雌コネクタハウジングの正面図である。
図3図3(A)は、実施形態のロック部材の外観斜視図、図3(B)は、ロック部材の上面図、図3(C)は、ロック部材の後面図、図3(D)は、ロック部材の右側面図である。
図4図4(A)は、実施形態の抜止め部材を上方前方側から見た場合の外観斜視図、図4(B)は、抜止め部材を上方後方側から見た場合の外観斜視図、図4(C)は、抜止め部材を下方後方側から見た場合の外観斜視図、図4(D)は、抜止め部材の上面図、図4(E)は、抜止め部材の正面図、図4(F)は抜止め部材の後面図、図4(G)は抜止め部材の底面図である。
図5図5(A)は、雌コネクタハウジングにロック部材を取り付けた場合の外観斜視図、図5(B)は、図5(A)の後面図、図5(C)は、図5(A)の上面図である。
図6図6(A)は、雌コネクタハウジングに対してロック部材及び抜止め部材の両方を取り付けた場合の外観斜視図、図6(B)は、図6(A)の後面図、図6(C)は、図6(A)の上面図である。
図7図7(A)は、図6(C)のVIIA-VIIA線断面図、図7(B)は、図6(B)のVIIB-VIIB線断面図である。
図8図8(A)は、雌コネクタを、相手方コネクタである雄コネクタに嵌合させようとしている状態を示す斜視図、図8(B)は、雌コネクタと雄コネクタを嵌合させた状態を示す斜視図、図8(C)は、図8(B)の上面図、図8(D)は、図8(C)のVIIID-VIII線断面図である。
図9図9(A)は、変形例の雌コネクタの外観斜視図、図9(B)は図9(A)の上面図、図9(C)は図9(A)の右側面図、図9(D)は図9(A)の後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態の雌コネクタ10を、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明のコネクタを例示して説明するものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載された他の形態のコネクタにも等しく適用されるべきものである。
【0023】
図1(A)、図1(B)に示すように、本発明のコネクタは、雌コネクタ10の形をとるが、雌コネクタハウジング100、ロック部材200、抜止め部材300を含む。なお、以下の説明において、雌コネクタ10が相手方コネクタである雄コネクタ90(図8参照)に嵌合する方向を嵌合方向とし、嵌合する側を前方、反対側を後方と呼んで説明する。また、嵌合方向と直交し、ロック部材200及び抜止め部材300が取り付けられる雌コネクタハウジング100の主要な平面(例えば、上面)と平行な方向を幅方向、嵌合方向と幅方向の両方に直交する方向を上下方向と呼んで説明する。
【0024】
[雌コネクタハウジング]
図2(A)-図2(D)に示すように、雌コネクタハウジング100は、雄コネクタ90に嵌合される部分となる嵌合部110と、基板(図示せず)に装着される部分となる装着部130とを含む。嵌合部110は幅方向が上下方向及び嵌合方向よりも長い略扁平な直方体形状であり、嵌合部上面111、嵌合部下面112、嵌合部前面113、嵌合部側面114、115を有する。装着部130も、幅方向が上下方向及び嵌合方向よりも長い略扁平な直方体形状であり、装着部上面131、装着部下面132、装着部後面133、装着部側面134、135を有する。なお、嵌合部110と装着部130それぞれの幅と長さの寸法は、上記に限定されず、長さが幅よりも大きくてもよい。
【0025】
嵌合部110の後部と装着部130の前部は互いに一体に接続されており、装着部上面131は、嵌合部上面111よりも上方に一段高くなっている。そして、嵌合部上面111と装着部上面131の境界部分は、雄コネクタ90の雄コネクタハウジング900(図8参照)の後面上部が当接する上部段差136となっている。また、装着部側面134、135は、それぞれ嵌合部側面114、115よりも幅方向外側に突出した位置に形成されている。そして、嵌合部側面114、115と装着部側面134、135の境界部分は、それぞれ雄コネクタ90の雄コネクタハウジング900の後面側部が当接する側部肩部137、138となっている。
【0026】
また、装着部後面133は、装着部側面134、135の部分が後方に向けて突出しており、この突出部分に、基板装着金具139が圧入固定、又はインサート成型され、装着部下面132から延出し、基板への固定部分となっている。
【0027】
本発明のコネクタは、少なくとも1つのコンタクトを備えている。本実施形態では、雌コネクタ10は10本の雌コンタクト400(図5C参照)を有している。具体的には、雌コネクタハウジング100には、嵌合部前面113から装着部後面133を貫通するようにコンタクト収容口140が10個形成されており、それぞれのコンタクト収容口140の内部に、雌コンタクト400を一本ずつ保持している。図7(A)、図7(B)に示すように、各雌コンタクト400は、後方部分が雌コネクタハウジング100の装着部後面133から露出するとともに装着部下面132と略同一平面内に位置するように折り曲げられた端子部401を有する。
【0028】
さらに、雌コネクタハウジング100は、外面の一つに固定スロット150を有している。本実施形態では、固定スロット150は、雌コネクタハウジング100の上面、つまり装着部上面131から嵌合部上面111にかけて、下方に凹むように形成されている。固定スロット150に対して嵌合方向の後方側には導入開口部160が形成され、この固定スロット150と導通するとともに装着部後面133において後方に開口している。したがって、固定スロット150は、上方が開口しているとともに後方が導入開口部160に導通しており、導入開口部160は、後方側と上方の両方が外部に導通している。
【0029】
固定スロット150は、底部151の幅が後述するロック部材200の幅と同じか僅かに幅狭であり、ロック部材200を後方から圧入して固定することが可能である。また、固定スロットは、底部151の上方部分の幅が、底部151の幅よりも狭くなっている。つまり、嵌合部上面111と装着部上面131は、固定スロット150の上方において幅方向内側に張出し、側方突縁部152、153を形成している。側方突縁部152、153と底部151との間には間隙が形成されており、これら間隙部分に後述するロック部材200の枠側部212、213が挿入される。そして、この間隙に挿入された枠側部212、213は、側方突縁部152、153によって上方への移動が阻止される。
【0030】
図2(A)、図2(C)、図7(B)に示すように、固定スロット150の底部151の前側部分は、中央部分以外に貫通スロット154、155が形成されて嵌合部前面113に貫通しており、中央部分には柱状支持体156が形成されている。嵌合部上面111は、柱状支持体156と接続されるとともにその両側において貫通スロット154、155の上側を覆い、カバー部157、158を形成している。柱状支持体156は、後述するロック部材200の枠前部211が当接することによりロック部材200の前方への移動を阻止する。また、カバー部157、158の下方にロック部材200の枠前部211が挿入されることにより、ロック部材200が上方に移動するのを阻止する。
【0031】
導入開口部160は、後述する抜止め部材300を、嵌合方向とは異なる方向、本実施形態では上方から挿入することにより受け入れ可能な形状となっている。導入開口部160は、図2(C)に示すように、開口前部161、開口中部162、開口後部163を含んでいる。開口前部161、開口中部162、開口後部163の幅の長さは、いずれも固定スロット150の幅の長さよりも大きい。また、開口中部162の幅の長さは、開口前部161、開口後部163の幅の長さよりも大きくなっている。換言すれば、開口後部163の幅の長さは、開口中部162の幅の長さよりも短い。
【0032】
また、開口後部163の幅の長さは、後述する抜止め部材300の最大幅よりも短くなっている。つまり、導入開口部160は、幅方向の長さが、後方側において、抜止め部材300の幅方向の長さよりも短い。さらに、開口後部163は、図2(B)に示すように、側壁の上方側に、後述する抜止め部材300の係止爪に対応した被係止突起164、165を有しており、これらは幅方向内側に向けて突出している。これにより、開口後部163は、幅方向の長さが、後述する抜止め部材300の挿入方向における手前側が奥側よりも幅狭、つまり上方側が底部側よりも幅狭となっている。
【0033】
[ロック部材]
ロック部材200は、金属平板を打抜き加工することにより形成されており、図3(A)-図3(D)に示すように、略四角形の外形状を有する枠部材210とレバー部材230を含む。枠部材210の嵌合方向の長さは、固定スロット150の嵌合方向の長さと略同じであり、幅方向の長さは、固定スロット150の底部151の幅方向の長さと同じか僅かに幅広となっている。
【0034】
枠部材210は、枠前部211、枠側部212、213、枠後部214より構成されている。枠前部211の後側はレバー部材230と一続きに繋がっている。枠前部211の前側中央部分には後方に窪んだ枠凹部215が形成され、レバー部材230の上下方向の弾性を高めるとともに、ロック部材200が固定スロット150に挿入された際に、柱状支持体156が嵌る部分となっている。
【0035】
レバー部材230は、スロット216、217により枠側部212、213と隔てられており、これにより、レバー部材230は枠前部211との接続部分を支点として片持ち状に変位可能となっている。枠側部212、213の幅方向外側部分には、幅方向に凹凸した掛かり部218、219が形成されており、ロック部材200が固定スロット150に挿入された際に、固定スロット150の側面に食い込んで圧入状態を維持する。
【0036】
枠側部212、213の後端には、幅方向外側に突出するとともに、後述する抜止め部材300の挿入方向の手前側、つまり上方に屈曲する当接部220、221が形成されている。これら当接部220、221は、抜止め部材300の前端面に当接する。なお、当接部220、221は、枠側部212、213の後端から後方に向けて僅かに突出し、直後に上方に屈曲するように形成されていてもよい。
【0037】
枠後部214には、その後方側中央部分に、後述する抜止め部材300の挿入方向の手前側、つまり上方に屈曲するように突出した位置決め突起222が形成されている。この位置決め突起222は、後述する抜止め部材300に形成された位置決め開口309に受け入れられる。
【0038】
レバー部材230は、そのレバー前部231が枠前部211と一続きに繋がっており、レバー部材230の本体部分から上方に突出し、後述する雄コネクタ90の被ロック部920に係止されるロック突起232、及びレバーアーム233を含む。レバーアーム233は、平板状で、レバー部材230本体を、レバー前部231と枠前部211との接続部分を支点として片持ち状に上下方向に変位させる力点として機能する。
【0039】
[抜止め部材]
図4(A)-図4(G)に示すように、抜止め部材300は、全体として導入開口部160の幅の長さに対応しており、幅方向に長尺である。また、抜止め部材300の幅方向の長さは、固定スロット150の幅方向の長さよりも大きい。また、抜止め部材300は、本体前部301、本体後部302から構成される。本体前部301の幅方向の長さは、本体後部302の幅方向の長さよりも長く、上述の導入開口部160の開口中部162の幅方向の長さに略等しく、この開口中部162に受け入れられる長さである。抜止め部材300は、本体後部302の両側部分の底側に、側方に向けて突出した係止爪303、304を有している。この係止爪303、304は、底面側が本体後部302とは底面スロット305、306によって隔てられており、幅方向内側に向けて僅かに変位可能となっている。
【0040】
本体後部302に係止爪303、304が形成されていることにより、抜止め部材300の挿入方向における奥側が手前側よりも幅広、つまり下方側が上方側よりも幅広となっている。上述のように、これに対応する導入開口部160は、側壁の上方側に被係止突起164、165が幅方向内側に向けて突出している。したがって、抜止め部材300を上方から導入開口部160に挿入すると、抜止め部材300の係止爪303、304は、導入開口部160の被係止突起164、165に対してスナップ式の係止構造によって係合されることになる。
【0041】
抜止め部材300の本体前部301の底側には、ロック部材200の枠後部214を受け入れる凹部307が形成されている。また、抜止め部材300の抜止め部材上面308の中央部分には、凹部307へ貫通する位置決め開口309が形成されている。この位置決め開口309は、ロック部材200の位置決め突起222を受け入れる。
【0042】
上記説明した構成の雌コネクタ10の組み立てについて、図5(A)-図5(C)、図6(A)-図6(C)を参照して説明する。まず、図1(B)と図5(A)参照すると分かるように、雌コネクタハウジング100に対して、ロック部材200を装着する。ロック部材200は、雌コネクタハウジング100の後方から前方に向かって、導入開口部160から嵌合方向に沿って挿入され、次いで固定スロット150内に圧入固定される。このとき、ロック部材200の枠側部212、213は、固定スロット150の底部151の側面に沿って移動し、掛かり部218、219がその側面に食い込んで圧入固定された状態となる。
【0043】
このとき、ロック部材200の枠前部211は、固定スロット150の前端部に到達し、貫通スロット154、155内に入り込む。また、枠前部211の枠凹部215に柱状支持体156が嵌り込んで当接する。このとき、枠側部212、213は、側方突縁部152、153の下方に位置している。これにより、ロック部材200は、前方及び上方への移動が阻止された状態となる。
【0044】
また、このとき、図5(C)に示すように、ロック部材200の当接部220、221は、導入開口部160の開口前部161内に位置し、枠後部214は開口中部162に位置している。
【0045】
次いで、図6(A)-図6(C)に示すように、抜止め部材300を導入開口部160に挿入し、導入開口部160に固定する。抜止め部材300は、嵌合方向とは異なる方向から挿入されるが、本実施形態では、抜止め部材300は、上方から導入開口部160に挿入される。このとき、抜止め部材300の本体前部301は、開口中部162に受け入れられ、本体後部302は、開口後部163に受け入れられる。そして、抜止め部材300の位置決め開口309は、ロック部材200の位置決め突起222を受け入れる。
【0046】
ここで、本体後部302を開口後部163へ挿入する際に、係止爪303、304が被係止突起164、165に接触し、下方への挿入が妨げられる。被係止突起164、165による反発力に対抗しながら本体後部302をさらに下方へ押し下げると、底面スロット305、306の存在のために係止爪303、304が僅かに幅方向内側に変形して下方へのさらなる挿入が可能となる。抜止め部材300を下方にさらに移動させると、係止爪303、304は、被係止突起164、165を通過した時点で元の状態に戻る。これにより、抜止め部材300の係止爪303、304は、被係止突起164、165に対してスナップ式に係止される。
【0047】
このとき、図6(C)に示すように、抜止め部材300の本体前部301の前面が、ロック部材200の当接部220、221に対する当接面となり、ロック部材200が後方へ移動することを阻止する。また、ロック部材200の位置決め突起222が位置決め開口309内にあり、これもロック部材200が後方へ移動することを阻止する。
【0048】
図8に示すように、上記のようにして組み立てられた雌コネクタ10を、雄コネクタ90に嵌合する。雄コネクタ90の雄コネクタハウジング900には、雌コネクタハウジング100の嵌合部110を受け入れる嵌合開口910が形成されている。また、嵌合開口910内には、雌コネクタハウジング100に保持された雌コンタクトに電気的に接続される雄コンタクト(図示せず)が延出している。雄コネクタハウジング900の上面には、開口の形状をとる被ロック部920が形成されている。
【0049】
雌コネクタ10を前方に移動して、嵌合部110を雄コネクタハウジング900の嵌合開口910に挿入する。すると、コンタクト収容口140に雄コンタクトが挿入され、内部において雌コンタクトが雄コンタクトと電気的に接続する。そして、雌コネクタハウジング100の上部段差136、側部肩部137、138が雄コネクタハウジング900の嵌合開口910の後端部分に当接し、嵌合部110の嵌合開口910への挿入が停止する。
【0050】
このとき、ロック部材200のレバー部材230のロック突起232は、雄コネクタハウジング900の被ロック部920に係止され、雌コネクタ10の、相手方コネクタである雄コネクタ90との係合状態が保持される。また、レバー部材230のレバーアーム233は、雄コネクタハウジング900の嵌合開口910の後端よりも後方側且つ固定スロット150の上方にある。レバーアーム233を手指等で下方に押下げると、ロック突起232が下方に下がり被ロック部920から係止解除することができ、雌コネクタ10の嵌合部110を後方に移動させ、雄コネクタ90の嵌合開口910から抜去可能となる。
【0051】
[変形例]
上記実施形態においては、雌コンタクト400が基板面に実装される端子部401を有する例を説明したが、本発明は上記の形態に限定されない。本発明のコンタクトは、図9(A)-図9(D)に示すように、電線に接続されるタイプのものであってもよい。図9(A)-図9(D)に示す変形例の雌コネクタ10Aは、上記実施形態の雌コネクタ10とは、雌コネクタハウジング100Aの外形状、及びそれに収容される雌コンタクト(図示せず)の種類が若干異なっている。しかしながら、雌コネクタハウジング100Aに形成された固定スロット150A、導入開口部160A、ロック部材200A、抜止め部材300Aの基本的な構成は、上記実施形態と略同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0052】
変形例の雌コネクタハウジング100Aには、図9(A)-図9(D)に示すように、雌コネクタハウジング100Aの嵌合部前面113Aから装着部後面133Aを貫通するようにコンタクト収容口140Aが4つ形成されている。各コンタクト収容口140Aには、雌コンタクト(図示せず)が収容されている。そして、この雌コンタクトはコンタクト収容口140A内で電線Wに接続されており、電線Wは、装着部後面133Aから後方に向けて引き出されている。
【0053】
上記実施形態及び変形例において、ロック部材200、200Aは金属製としたが、ロック部材の素材は金属でなくてもよく、樹脂で形成されてもよい。
【0054】
また、上記実施形態、及び変形例において、固定スロット150、150A、導入開口部160、160Aは雌コネクタハウジング100、100Aの上面に形成した例を説明したが、下面に形成してもよいし、側面の一つに形成してもよい。そのいずれの場合においても、ロック部材200、200Aは、雌コネクタハウジング100、100Aの後方側から導入開口部160、160Aを介して固定スロット150、150Aに圧入固定される。また、抜止め部材300、300Aは、固定スロット150、150Aが下面に形成されている場合には下方から挿入される構成とする。一方、抜止め部材300、300Aは、固定スロット150、150Aが側面に形成されている場合には、側方から挿入される構成とすることにより導入開口部160、160Aに固定される。いずれの場合においても、抜止め部材300、300Aは、ロック部材200、200Aの後方への移動を阻止する。
【0055】
また、上記実施形態及び変形例では、抜止め部材300、300Aをロック部材200、200Aが挿入される方向と直交する上方から挿入した場合を説明したが、本発明はこれに限定されず、斜め上方の方向から挿入できるようにしてもよい。同様に、固定スロット150、150A、導入開口部160、160Aが雌コネクタハウジング100、100Aの下面に形成されている場合には、抜止め部材300を斜め下方から挿入できるようにしてもよい。また、固定スロット150、150A、導入開口部160、160Aが雌コネクタハウジング100、100Aの側面に形成されている場合には、抜止め部材300を斜め側方から挿入できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10、10A 雌コネクタ
90 雄コネクタ
100、100A 雌コネクタハウジング
110 嵌合部
111 嵌合部上面
112 嵌合部下面
113、113A 嵌合部前面
114、115 嵌合部側面
130 装着部
131 装着部上面
132 装着部下面
133、133A 装着部後面
134、135 装着部側面
136 上部段差
137、138 側部肩部
139 基板装着金具
140、140A コンタクト収容口
150、150A 固定スロット
151 底部
152、153 側方突縁部
154、155 貫通スロット
156 柱状支持体
157、158 カバー部
160、160A 導入開口部
161 開口前部
162 開口中部
163 開口後部
164、165 被係止突起
200、200A ロック部材
210 枠部材
211 枠前部
212、213 枠側部
214 枠後部
215 枠凹部
216、217 スロット
218、219 掛かり部
220、221 当接部
222 位置決め突起
230 レバー部材
231 レバー前部
232 ロック突起
233 レバーアーム
300、300A 抜止め部材
301 本体前部
302 本体後部
303、304 係止爪
305、306 底面スロット
307 凹部
308 抜止め部材上面
309 位置決め開口
400 雌コンタクト
401 端子部
900 雄コネクタハウジング
910 嵌合開口
920 被ロック部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9