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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087256
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】電動台車
(51)【国際特許分類】
   B61D 15/00 20060101AFI20240624BHJP
   B60B 17/00 20060101ALI20240624BHJP
   B61C 3/02 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
B61D15/00 A
B60B17/00 B
B60B17/00 D
B61C3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201982
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】390035312
【氏名又は名称】東光産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141221
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 和明
(72)【発明者】
【氏名】前田 知樹
(57)【要約】
【課題】台車自体の軽量化と台車重心を下げて走行性能を向上させる。
【解決手段】電動台車2は、車枠3と、軌道R上に載置される4輪からなる車輪6とを備えている。車輪6は、車枠3の四辺角部の左右側枠に設けられたブラケット7に取り付けられる。車輪6は、金属製の円環状ホイール10にモータ13が装着される。車枠3には、前方側座席5Aの下にモータ13に電力を供給するバッテリ22が、他方の前方側座席5の下に電力の供給を制御する制御盤23が、また、支柱21には、制御盤23と中継器を介して電気的に接続される操作盤25がそれぞれ配設される。各ホイール10には、ドラムブレーキが設けられる。この電動台車2は、カーボン樹脂を成型した枠体41から構成される。枠体41は、梯子状の左右の側枠42A、42Bとこれら側枠42A、42Bを連結するカーボン樹脂からなる連結部43とを連結して構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道上を走行する電動台車であって、
台車の車枠を、カーボン樹脂を成型した枠体から構成したことを特徴とする電動台車。
【請求項2】
枠体は、梯子状の左右の側枠とこれら側枠を連結する連結部とを備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載の電動台車。
【請求項3】
枠体は、カーボン樹脂を一体成型して構成されることを特徴とする請求項1に記載の電動台車。
【請求項4】
電動台車は前後にそれぞれ2輪の車輪を備え、これら車輪内には、駆動軸を車輪の軸心と合致させて電動機を装着し、駆動軸を側枠に支持部材を介して固定し、電動機を車輪と一体に回転駆動させることを特徴とする請求項2または3に記載の電動台車。
【請求項5】
電動機は、前後いずれか一方の車輪に設けられることを特徴とする請求項4に記載の電動台車。
【請求項6】
車輪には、ドラムブレーキを設けたことを特徴とする請求項4または5に記載の電動台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道等の軌道を走行する作業用の電動台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道で用いられる作業用の自走台車は、作業用の人員や荷物を載せて作業現場に移動するのに用いられる。従来、本出願人は、台車自体の軽量化と台車重心を下げて走行性能を向上させるため、ホイール内に駆動軸をホイールの軸心と合致させて電動機を装着し、駆動軸を台車側に固定し、電動機本体をホイールと一体に回転駆動させる台車を提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-84469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の台車では、車輪の小型化と低重心化ははかれるものの、台車の車体を構成する枠体は、例えば、鉄製やアルミ製の金属から構成しなければならず、軽量化に限界があるという問題がある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、台車全体の重量のうち大きなウエイトを占める車枠の軽量化を図るとともに、台車の重心位置を下げて走行性能を向上させることができる電動台車を提供することを目的としている。
【0006】
本発明に係る電動台車は、軌道上を走行する電動台車であって、台車の車枠を、カーボン樹脂を成型した枠体から構成したことを特徴としている。
【0007】
本発明に係る電動台車では、軌道上を走行する電動台車であって、台車の車枠を、カーボン樹脂を成型した枠体から構成したことにより、台車本体の軽量化を図り、少人数で持ち運びができる一方、車枠に対して相対的に比重の重い車輪を軌道側に配置することになり、台車全体の重心を低くすることができ、走行時の安定性を向上させることができる。
【0008】
また、上記本発明に係る電動台車では、枠体は、梯子状の左右の側枠とこれら側枠を連結する連結部とを備えて構成されることが好ましい。このように構成することにより、車枠の組み立て作業を効率化することができる。さらに、枠体は、カーボン樹脂を一体成型して構成されるようにすることが好ましい。このように構成することにより、より軽量化を図ることができるとともに、枠体の組み立て作業が不要になり、作業性が向上する。また、電動台車は前後にそれぞれ2輪の車輪を備え、これら車輪内には、駆動軸を車輪の軸心と合致させて電動機を装着し、駆動軸を側枠に支持部材を介して固定し、電動機を車輪と一体に回転駆動させることが好ましい。このように構成することにより、車輪の小型化を図ることができ、台車本体全体の軽量化を図ることができる。さらに、電動機は、前後いずれか一方の車輪に設けることが好ましい。このように構成することにより、台車本体をより軽量化することができる。また、車輪には、ドラムブレーキを設けることが好ましい。このように構成することにより、車輪の小径化を図ることができ、台車本体の軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電動台車では、軌道上を走行する電動台車であって、台車の車枠を、カーボン樹脂を成型した枠体から構成したので、台車全体の軽量化を図ることができる。また、軽量な車枠に対して、相対的に比重の重い車輪を軌道側に配置することになるので、台車全体の重心を低くすることができ、走行時の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電動台車を示す平面図である。
図2図2は、図1の電動台車を示す側面図である。
図3図3は、図1の電動台車を示す正面図である。
図4図4は、図1の電動台車の車枠を示す平面図である。
図5図5は、図4の車枠のA-A線に沿った側面図である。
図6図6は、図1の電動台車の車輪取付部の要部を示す一部破断図である。
図7図7は、図1の電動台車の車輪取付部の側面を示す説明図である。
図8図8は、図4の車枠の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に示す一実施形態により本発明を説明する。本発明の一実施形態に係る電動台車2は、図1ないし図3に示すように、鉄道等の軌道R上を自走するようになっている。電動台車2は、車枠3と、車枠3に設けられた踏み板4と、車枠3に支持された座席5と、軌道R上に載置される4輪からなる車輪6とを備えて構成される。車輪6は、車枠3の四辺角部の左右側枠に設けられたブラケット(支持部材)7に取り付けられる。車輪6は、図6および図7に示すように、金属製(本実施形態ではアルミ製)の円環状ホイール10を備えて構成される。ホイール10は、軌道上面に載置される中空の円環部11と、この円環部11に連続し軌間方向の軸方向内側に拡径して形成されるフランジ部12とを有している。ホイール10には、モータ(電動機)13が装着される。モータ13は、モータ本体とこのモータ本体から左右両側に突出する図示しない駆動軸とを備えて構成され、一端がホイール10に、他端が車枠3側にそれぞれ連結される。
【0012】
車枠3の前端部には、支柱21が立設される。車枠3には、図5および図6に示すように、前方側右座席5Aの下にモータ13に電力を供給するバッテリ22が、前方側左座席5の下に電力の供給を制御する制御盤23が、支柱21には、制御盤23と中継器(図示せず)を介して電気的に接続される操作盤25が、それぞれ配設される。操作盤25は、電動台車2の前後進を操作する操作レバー26と前照灯(図示せず)のオンオフを切り換える前照灯スイッチ(図示せず)を備えている。
【0013】
各ホイール10には、ドラムブレーキ(図示せず)が設けられる。これら各ドラムブレーキは、座席(運転用座席)5Aの前方で踏み板4上に弾発揺動可能に設けられたブレーキペダル(図示せず)と連動操作可能になっている。ブレーキペダル(図示せず)の下方には、リミットスイッチ(図示せず)が設けられ、ブレーキペダルが踏み込まれると、モータ13への通電を遮断するようになっている。
【0014】
ところで、本実施形態に係る電動台車2は、図4図5および図8に示すように、台車の車枠3を、カーボン樹脂(CFRPと呼ばれる炭素繊維が混ざった樹脂)を成型した枠体41から構成している。この枠体41は、梯子状の左右の側枠42A、42Bとこれら側枠42A、42Bを連結する同じくカーボン樹脂からなる連結部43とを連結して構成される。バッテリ22が載置される下側には、側枠42にカーボン樹脂からなる支持部(図示せず)が設けられ、バッテリ22を支持するようになっている。
【0015】
次に、上記実施形態に係る電動台車2の作用について説明する。上記実施形態に係る電動台車2は、車枠3が金属に較べて軽量のカーボン樹脂から構成されているので、台車全体の重量が軽量化される。さらに、台車全体の軽量化を図ることができる。また、軽量な車枠3に対して、相対的に比重の重い車輪6を軌道側に配置することになるので、台車全体の重心を低くすることができ、走行時の安定性を向上させることができる。また、ブレーキには、ドラムブレーキを用いているので、ディスクブレーキに較べて軽量化することができる。
【0016】
なお、上記実施形態に係る電動台車2では、4輪全てをモータ内蔵のホイールで構成しているがこれに限られるものではなく、前後何れかの車輪のみをモータ内蔵のホイールで構成するようにしてもよい。係る構成とすることにより、より軽量化を図ることができる。また、上記実施形態に係る電動台車2では、枠体41を、梯子状の左右の側枠42A、42Bとこれら側枠42A、42Bを連結する連結部43とにより構成しているがこれに限られるものではなく、車枠としての枠体そのものを、カーボン樹脂を一体成型して構成するようにしてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0017】
R 軌道
2 電動台車
3 車枠
41 枠体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8